05/03/29 地域保健対策検討会 第2回議事録                 地域保健対策検討会                 第2回検討会議事録           日時:平成17年3月29日(火)14:00〜15:35           場所:経済産業省別館1028号会議室(10階)  事務局(瀬上大臣官房参事官)  お忙しいところお集まりいただきまして、まことにありがとうございました。定刻と なりましたので、第2回の地域保健対策検討会を開いていただきたいと思います。  はじめに、第1回に御欠席いただいた方々について、改めて皆さんに御紹介をさせて いただきます。  はじめに稲葉先生。  稲葉委員  稲葉でございます。  事務局(瀬上大臣官房参事官)  今村委員でございます。  今村委員  今村でございます。  事務局(瀬上大臣官房参事官)  植村委員でございます。  植村委員  植村でございます。  事務局(瀬上大臣官房参事官)  岡部委員でございます。  岡部委員  岡部でございます。  事務局(瀬上大臣官房参事官)  本日は、佐藤委員が欠席との連絡を受けております。それでは林座長よろしくお願い します。  林座長  それでは、本日の議題に入る前に、事務局より資料の確認をお願いしたいと思いま す。  事務局(横尾地域保健室長)  本日の検討会の資料でございますが、資料の1といたしまして、地域における健康危 機管理のあり方でございます。  それから資料の2でございますが、地域保健計画(仮称)のあり方、でございます。 これは第1回検討会終了後、林座長の元、各委員の皆様方に資料分担作成していただき 取りまとめたものでございます。また、参考資料1から8までございますが、資料作成 の際に、参考とした資料を添付しておりますので随時御覧いただきたいと思います。  お手元の青いファイルにつきましては、第1回検討会の資料でございます。検討会終 了後、次回のために、今回の資料も別途とじておきますのでそのままにしておいていた だきますようお願いいたします。以上です。  林座長  ありがとうございます。では、本日の議事でございますけれども、第1点として地域 における健康危機管理のあり方について。それから2番目、地域保健計画(仮称)でご ざいますけれども、それについて。それから、その他ということになっております。  1月20日に開催された第1回の検討会以降、地域における健康危機管理、地域保健計 画について、検討会で議論をするために、各委員の皆さんにお忙しいところ資料作成し ていただきまして、このたび取りまとめになりました。大変御苦労さまです。本日、そ の資料を資料1、2という形でいただいておりますので、取りまとめをしていただきま した方から代表して御説明をお願いしたいと思います。  「地域における健康危機管理について」は、岡部委員より御説明をお願いしたいと思 います。よろしくお願いします。  岡部委員  はい。もともと平成13年3月、ここの参考資料3のところにあるような形での、地域 における健康危機管理ガイドラインといったようなものがあるのですが、それをもっと より具体的なものにして、強化するというようなことが目的だったであろうと思いま す。その後、危機管理ガイドラインができてから後も、御存知のようにSARSが出たり、 鳥インフルエンザが出たり、あるいは出ていないけれども、響きとしては大変強烈だっ たバイオテロの問題、自然災害の問題、それから高齢虐待の問題も新たに加えるといっ たようなことがテーマになってまいりました。各委員で、自由に問題を最初に提起をし て、その中からピックアップをするような形になったわけですけれども、そのほかには 自然災害のときにどういうふうな対応を地域でされたかといったようなこと、あるいは もしあるものに決められた場合に、それを行なわなかったということに対する不作為の 問題であるとか、それから地域の保健所、保健センター及び地方衛生研究所の役割、そ してそこにおける人材育成といったようなものについて討議を重ねました。  お手元の資料1にあるのが、そのときの討議をまとめ、また事務局の方からいくつか 提案されているような課題についてまとめあげたのがこの資料1であります。対応とし ては、最初は「はじめに」ということが書いてありますけれども、それを見ていただい て2ページ目の方に、地域の健康危機管理に関して新たに対応すべき課題として、主な ものとしては4点挙げられております。  第1点は、原因が特定できない健康危機事例へどういうふうに対応したらいいか、こ れは従来感染症法とか食品衛生法などに書いてあるようなものについては、それに基づ けばいいわけですけれども、近年では、東北地方で急性脳炎、脳症といったようなもの で最初、感染症ではないかとして浮かび上がった急性脳症事例の多発ですね、現在は食 品あるいはスギヒラタケではないかといったようなことで調査は進められていますけれ ども、そういったようなときの情報の収集や何か、そしてそれへの対応、これも含めら れますけれども原因の特定が困難であるときの調査、対応を保健所がどういうふうにし て行なうかというようなことがかなり課題になると思います。そして、そういったよう なときに立ち入りをしたり、検査に必要な物品の除去あるいは検診、亡くなられた場合 の剖検などについても、制度上でこれを整備すべきではないかということが一つ言われ ております。  そして、これも東北地方を例に挙げれば「広域に及ぶ」ということになった場合に、 相互の情報の共有とか行動に関する連携がもっと強化すべきであるということがいわれ ました。感染症法には規定されているわけですけれども、何かあったときの積極的対応 について国が行なうと、国が調整及び主体に行なうといったようなことがあるので、こ のときの積極的な支援についても整備する必要があるというふうに言われております。  そして第2点になるのが6ページ目にあります。これはやはり国全体として今問題に なっているわけですけれども、生物テロへの対応、これを未然に防ぐというのは必ずし も保健所あるいは衛生研究所といった等の役割ではないと思いますけれども、それに備 えたりあらかじめの情報の収集といったようなことについては、やはり現場における保 健所、地研、検疫所などが特に求められているわけであります。平成13年に内閣官房に 「NBCテロ対策会議」というのが設置されているわけですけれども、その中でも各機関、 それは警察、消防、海上保安庁、自衛隊そして保健所と医療機関というのが入ってくる わけですけれども、そして都道府県、市町村などの連携について書かれているわけで、 これについて速やかな対応を行なうための人材育成であったり確保、そして施設の方も 対応するべききちんとやらなくてはいけない。そしてこれを早く検知するためのサーベ イランスの充実、あるいはそういう蓋然性が加わったときのサーベイランスの強化が必 要である。  それからこれは地方衛生研究所に係わってくる問題だと思うのですけれども、病原体 を取扱っているところでは、それがずさんに取扱われたりすると、持っていかれてしま ったりすることがあるわけですから、そういうような管理体制の確立もこの中で求める べきであろうというふうにまとめてあります。  第3番目は、これは危機管理ということからいうと少し離れるのかもしれませんが、 一つの問題点としては、児童虐待に加えて高齢者虐待が近年問題になってくることが多 いというのがございます。児童虐待の方については、母子保健サービスあるいは子育て 支援といったようなものがあるので、そちらによる従来の取り組みを強化というのがあ りますが、高齢虐待については、これまであまり十分に認識されていなかったというの で、7ページに行きますが、平時における保健活動の中からこういったようなことの早 期発見が重要である。これには、保健所ないし保健センターが日常の中から、積極的に これにアンテナを高くする必要があるだろうということになると思います。  そして7ページにその論点の4番目があるわけですが、公衆衛生上問題があると考え られた亡くなった方の死体の調査ということについて、もう少し権限を規定した方がい いだろうと、これは行政によって、死因の不確定な要素を調査することが必要である。 これはときどき現場で、こういったような問題が取り上げられながらなかなか実施でき ず、原因の究明に達しないといったようなことから出てきている問題であります。  それから8ページで第5番目が書いてありますが、論点の重要なところは4と書いて ありますけれども、それに付随するような形ではありますが現在の災害等を見ますと、 心のケア対策ということもやはり重要な問題であることが提起されています。これも平 成13年の報告書の方には記されていることではありますが、実際にこういうような状況 が起きた場合のケア対策ということは、地域の問題としてのこの地域保健の中での取り 組みということが重要であろうということを再度、念を押しているような形になろうか と思います。  そして今後の健康危機に関する組織・体制、これが8ページから最後に至るまで書い てあります。保健所での取り組み、それから地方衛生研究所での取り組みが9ページ 目、10ページ目に市町村における保健センターの取り組みというのがあります。いずれ も健康危機管理情報の収集そして提供といったようなことが中心になるわけですが、保 健所は特に中核であるようなことを、きちっと明確にした上で人材の確保それから機能 の整備、健康危機管理体制制度そのものの整備ということが、今のところ決して十分と はいえない。そういうことを整備しておかないと、バイオテロだけでなくNBCテロ全て ですね、それから感染症のアウトブレイクの察知というようなことに結びついていかな いといったようなことが書いてあります。そのための、現場における対応を行なうため の体制制度の整備を図るべきであるというふうに位置づけております。  そして9番目は、地方衛生研究所についてでありますけれど、地方衛生研究所につい てはあまり明確な役割といったようなことが出ていないということが、地方衛生研究所 からも問題が提起されているわけですが、特に従来の機能である試験研究、調査研究、 研修・指導のほかに、健康危機管理の科学的な技術的中核としての機能を明確にすべき である。またその地域格差も、できるだけこれを平らにしていく努力が必要である。そ して、その健康危機事例に関してどういうことをやるか、検査上の制度管理の問題、そ して疫学調査の水準の向上、とはいえ全部できるわけではないですからその機能、連携 といったようなこと。地区ブロック内での連携が強化されるべきである。そして、地方 感染症情報センターの機能強化が必要であるようなことが9ページ目のところに書いて ございます。これについて法令上というか行政的な位置づけということを明確にしてい ただきたいといったようなことになります。  10ページ目のところには、市町村保健センターの役割でありますけれど、この健康危 機管理情報の他に加えて、特に保健センターの方においては、災害弱者に関してこれの リスト整備、情報伝達、手段の確立といったようなことが特に保健センターの方に求め られることであろうとまとめてあります。  対応ですが、多少具体的なことになりますが、この健康危機管理事例とされている感 染症、医薬品、食中毒、飲料水汚染、これは下の方に書いてございますけれども、それ に加えるような形で、先ほどの4事例プラス健康ケアですね、そういったようなことを 加えた新たな対処が必要である。具体的には、例えば24時間体制の整備、あるいは11ペ ージ目になりますが、組織体制の整備として、ことに(1)、(2)というようなところで書 いてあるのは、地域において専門家を集めるような設備、あるいは健康危機情報分析部 門こういったようなものを設置し、今行なわれてはおりますけれども、地研における情 報収集といったようなことをもっと集約的に行なうべきである。そして国との連携を取 り、これは国に対する注文でもあるわけですけれども、健康危機情報分析機能部門を設 置していただきたいといったようなことがあります。  そして保健所内では、特に何かあったときに対応できる専門分野の異なるメンバーか らなるチームの編成をしておくべきであり、またそういうものを統括したり調査をする 専門職員を配置すべきである。これは人材育成に係るわけですが、例えば実地疫学専門 家養成コースを修了するような専門知識を持つ職員を自治体は置くべきであり、保健所 でもそういうトレーニングを短期間でも受けた人を必ず配備すべきではないか。そして それの育成を今後図っていくよう努力しなくてはいけないのではないかということが、 この11ページに書いてございます。  12ページでは、今の人材確保をどうするかということをここには書いてあるわけです が、特に協力機関としては、例えば国立保健医療科学院あるいは私どもの国立感染症研 究所においての研修、講習の充実・強化が必要であり、またそれの人々によるシミュレ ーションといったようなことによる体制が必要であるというのがございます。  そして12ページの真ん中ぐらいからは、連携・応援体制、これも例えば地方自治体間 のみだけではなく、国の幾つかの機関あるいは日本中毒情報センターといったようなと ころ、医薬品食品衛生試験所との連携も日ごろから確立し、これをFace to faceも非常 に必要であり、一方全部が集まるわけではないので電話会議等で行なうのが必要であろ うということが言われております。  そして情報の収集・整理・活用ですけれども、ITが進んではいるものの実際に地域で あまり整備されていないといったようなことがございますので、そういったようなこと を能力を高めるとともに、これは人がやることですから、繰り返しになりますが専門的 な立場で判断できる人の養成それによるリスク分析、対応が必要である。  そして13ページの真ん中からは、日常からそういうものについて情報を発信しておく ということが、何らかの問題が起きたときのパニックを少しでも軽減するために、日常 からの適切なタイミングでの情報発信そして適切なということが前提になりますが、情 報公開といったようなことが今後やるべきこととして挙げられております。  14ページですが、こういったところに基づいた指針及び計画策定を行なうべきであ り、また必要な行政措置を行なっていただきたいというのが、今回の議論の中心である というふうに思います。以上です。  林座長  ありがとうございます。大変重要な提案が幾つかあったかと思いますが、ただいま岡 部委員からの説明の資料につきまして、委員の皆様から何か御質問や御意見がございま せんでしょうか。今村委員、あるいは稲葉委員あたりからいかがでしょう、補足をして いただければ。  今村委員  健康危機管理、日本の国のところ非常によくできていると思うのですが、まだやはり 少しずつ穴があると思うのです。その穴に落ちたときに事件が大きくなったり、そのた めに不安が広がったりしてしまうケースがあると思いますので、それをできるだけ埋め ていくような対策が今後必要ではないかと議論を聞いていて感じました。  林座長  ありがとうございます。稲葉委員、何かございますか。  稲葉委員  私自身もともと法律家ですので、議論としては、いろいろ権限等ができたときに、そ の権限を適切に利用ができなければ却って信頼に反するということがあるので、それは 幾つかそういう訴訟が出ておりますのでその分析もしなければならないと同時に、そう いうことを現場の保健所員等が理解をして、自分たちの行動の指針として身につけると いうことが非常に大事だなということを1点申し上げました。その点は、今回の中にき ちんと入っていると思います。  それからこれ以外には、今俗にモデル事業といいまして、医政局が中心となりまして 各学会等も係わりまして、異常死といわれているものを医療関連死という形で第三者機 関に届け出るというモデル事業が始まっております。これはいわば病院にとりましては 患者さんがお亡くなりなったということではネガティブな情報ですが、逆に、公衆衛生 上はそういう情報を保健所等で検討する必要があるのではないか、つまり非常にいい情 報の端緒として考える必要があるのではないかという議論がありました。ただ、モデル 事業自身が今現在まだ進行中のことがありますので、そこまで踏み込んで権限を規定す ることについてはいろいろ議論があるだろうというふうに思って、今回のような表現に なったと思います。  もう1点は、4月1日から個人情報保護法が施行されるということで、結局さまざま な情報を円滑に伝達されなければならない、時に個人情報に係わることがあるのです が、それを公衆衛生上、個人情報保護法が手かせ、足かせにならないような形に法律上 はかなり規定がされていますが、しかし実際はそのことを十分周知しないために、もし かすると情報が適切に伝わらないということもあると思いますので、その点についての 解釈基準であるとか取り組みなどを規定していただくというようなことも、実は今岡部 委員が言われたところにもその旨が入っております。補足として御説明させていただき ました。以上です。  林座長  ありがとうございます。異常死亡の問題も最近よく報道されているわけでございます けれども、保健所がその役割を果たすとなると、たぶん今までそういうようなトレーニ ングの機会もあまりなかったかと思うのですが、曽根委員、何かこの点に関して御意見 がありますか。  曽根委員  トレーニングですが、やはり岡部委員がおっしゃったように、都道府県とか地方自治 体における、コアとなる優れた人材の育成も必要でありますし、かつ保健所とかあるい は衛研等でコア人材の周りにいる一般職員に対する訓練も大変重要ではないかと思いま す。  12ページの真ん中上あたりにも書いてありますが、やはりこれからは健康危機管理と いうことを重視するのであれば、訓練を業務としてきちんと明確に位置づけるというこ とが大変重要なのではないかと思います。例えば、消防署であるとか自衛隊が訓練して いるのは誰も遊んでいるとは思わないわけで、やはり今まで訓練や教育を受けるという ことが本務以外の業務というふうに位置づけられがちであったわけですが、そうではな く健康危機管理ということを重視するのであれば、やはり訓練が業務であるということ をきちんとして、その訓練をする体制を各自治体あるいは国としても整備する必要があ ると思います。  実施体制を作ってもそれを担う人材が十分な働きができるかどうか、その訓練いかん にかかっているのではないかと感じました。  林座長  ありがとうございました。先ほど今村委員の方からも、日ごろよく現れている健康危 機というのはわりと対処できるのだけれども、空白が生じたときに大きな問題がある と。そうだと思うのですが、今曽根委員からもお話が出たように、空白を埋めるといっ た場合にある程度予想できないとなかなか空白を埋めにくいです。先生が考えている、 例えば今まで起きていないようなことで起こりそうなものというのは、何か具体的にあ るのでしょうか。  今村委員  なかなか想定しづらいから、たぶん議論が進んでいないのだと思うのです。O-157の 事件などの例を見ても、それまでは感染症と食中毒は全く別に対策をとっていても問題 にならなかったと思うのです。大腸菌というのは食品に100個までは入っていても許さ れていた基準がまかり通っていたわけです。ところが時代の変遷とともに、どういう食 中毒もしくは感染症のものかというのがわかってきて、O-157が起こすというのがわか ったところで、それはその境界領域として感染症と食中毒が共同して動いていかなけれ ばならないということがわかってきたわけです。そういう新しい事件が起こって連携を とるということを今まで繰り返してきていると思うのです。その中で、特に化学物質と そういう生物系の間というのは、全くその間を埋める対策はなくて、最近見ても和歌山 の毒物事件などでも結構混乱していますし、食中毒か化学物質かわからない、まして刑 事事件かどうかわからないというようなときには混乱が起きるわけで、初動が法律的 に、どこかの法律には必ず落ちると思うのですけれども、その法律でどの法律でも落ち るかということがはっきりするまでの間、誰かが責任を負ってその経過をちゃんとフォ ローして割り振りをしていくということが今後必要になってくると考えていまして、具 体的にこれだというふうに想定できると議論しやすいのですけれども、これから出てく るであろう境界領域というあいまいな表現になるのかなと思います。  ただこの間のスギヒラタケなどが一つの教訓だと思うのですが、あれ脳症が起こって いるから感染症予防法で対策が取れていると思うのですが、例えばあれが皆さんが失明 していったらとしたら、どこの法律も引っかからないのです。そういうわけのわからな い疾病が、一気に広がったというようなところに対しての対策が非常に弱いと感じま す。  林座長  ありがとうございます。初期対応の難しさという、初動体制の難しさというところか と思われますが、そのほかいかがでしょう。どうぞ。  村田委員  12ページに連携・応援体制の整備ということが出ているのですが、各保健所が健康危 機管理の能力を十分に発揮できるということですが、現在の人員を考えたときにやはり 連携体制を1保健所ではなくて、何ヵ所の保健所がそういう専門家チームを作って対応 していくというようなことも実は必要なのではないかと思います。1保健所1市町村で はなく、いろいろな広域的に出てきた部分には何ヵ所の保健所が、その中心になるとこ ろはもちろんあるかと思うのですが、そういうところが連携を取って応援体制にしてい くということが非常に必要ではないかと思います。  あとそれから私どもの県でJCOの事故がございました。あのときも大変な思いをした わけですが、今先生がおっしゃったみたいに予想できないようなJCOの事故みたいな、 原子力の事故は本当に予想し得ない事故が突然起こってパニック状態になってというこ とで、平常になるまでにはかなりの期間がかかったわけですが、それを教訓に日ごろか らシミュレーションで、毎年JCO事故に対するということで住民と全ての医療機関、保 健所、市町村そういう人たちが訓練をやっているのです。こういうことが起こってはい けないのですが、起こったときにはどういう態勢を取るのかというようなことをやって いるという平常時のことをしておかないと、本当に起きないようなことを何年か後にす ぐ動けるかというとなかなかそのへんのところはできない、やはりそのへんのところが 非常に必要なのではないかということです。  それから、私どもでまた一つ神栖の砒素の問題等がありまして、そういうときでも一 番地方衛生研究所も大事ですが、あまりこの中には入っていないのですが、大学がいろ いろな文献をお持ちいただいて、大学の先生方の技術支援が非常にあったというような ことがあります。ですので、やはり関連機関のところにフロー図などもでております が、衛生研究所あたりと大学、どこと、その連携が非常に大事になってくるのか、いろ いろな文献を全国的な部分で、これに似たようなものについてはこの大学に持っていま すというような連携が常に取れているとそのへんの対応が非常に早いのではないかと思 います。  それからもう1点ですが、いろいろな大きい事故がありますと、一番困るのはやはり PTSDの問題の対応です。いまだにJCOの場合には尾を引いています。毎年健康診断をや って、問題のあった人たちの管理にいるわけですが、やはりそのへんのところもかなり 強化をしていって、そういうPTSDの対応をどういうふうにしていくのかということもき ちんと明記をしておかないと、ただ精神保健に関するような人たちがありますというこ とだけではなく、どういう対応が必要かということが必要なのかなというふうにいろい ろな経験から述べさせていただきました。以上です。  林座長  ありがとうございます。今おっしゃったことは、ネットワークの重要性それから日ご ろのトレーニング、それと事後のPTSDなどへの対応、そういった観点から述べていただ いたかと思いますが、そのほかいかがでしょう。  山本委員  今までにもお話にでてきていますが、例えば化学物質や感染症そういうのが最初の段 階でわからないような原因不明のときとか、広域にまたがる、そういうときが一番その 後の動きによって結果が大きく変わる場合ではないかと思うのですけれども、そういう 中でここに盛り込まれている、例えば保健所が24時間対応とか、24時間いつでも受け入 れる体制を整えるとか、それから訓練を業務として位置づけるということが非常に大事 ではないかと思います。  もう1点、ちょっと確認というところですが、地衛研の場合に、それぞれの自治体に 所属していると思うのですが、何かが起こったときに例えば何かをすぐに分析しなけれ ばいけないときに、ある地衛研だと機器がないけれども別の県のところに分析機械があ るからそこにすぐに頼みたいということがあると思うのです。そういうときに、手続き がそんなに煩雑でなく迅速にいける状態というか、そういうものが整備されているかど うかそのようなところがどうなのかということをお伺いしたいと思います。  事務局(平子室長補佐)  今の、後段の地方衛生研究所の広域ブロックの連携体制についてですが、例として は、中国5県で協力関係を構築してするようなことをされております。ただ、それがそ の他のブロックまで広がってというわけではございませんで、今年から、そういった広 域連携については積極的に取り組んでいただくようにお願いをしているところではござ いますけれども、今後そういった点についても強化していくという御指摘だと思います ので、そういった点を踏まえて、また別途検討することをさせていただきたいと思いま す。  岡部委員  ちょっとよろしいですか、今の御質問ですが、実際、地方の衛生研究所はブロック別 になっていて、例えば東北・北海道ブロックとか北陸ブロックとかそういうふうについ ているのですが、何かあるときに、いったん連携をしようとしても、これは県のもので あると、したがって県と隣の県と例えば検体のやり取りは非常にスムーズに動かないの があるというのは、何かしらの裏づけがあればこれはできるのだというのが現場の意見 なのです。しかもそういったようなことを盛り込んでいただければ、連携は極めてスム ーズに動く土壌はあると思います。  山本委員  今私がちょっとお尋ねしたのは、そのあたりのところの確認というか、うまくいかな い場合も時として過去にあったということを聞いていますので、そのあたりがこういう ところにきっちり盛り込まれると非常によろしいのではないかと思います。  林座長  一つの具体的連携の前に、そういう情報を共有しているということが重要なんでしょ う。例えば、長野県だときのこ中毒を調べるのが得意だとか、北海道だとエキノコッカ スを調べるのが得意だと、いろいろ得意技というのがあろうかとは思うのですけれど も。  今おっしゃった保健所での24時間対応というのは、実際どうなのでしょうか今までの 実態としては、どなたか御存知の方。  中野委員  兵庫県では、震災後、平成14年5月から24時間体制ということで、夜間と休日、保健 所に電話がかかりましたら、県の災害対策センターの中に健康危機管理のホットライン を置いていますので、そこで対応する仕組みになっております。そこに夜間と休日は人 員を配置しまして、電話を聞き、緊急を要する内容に関しましてはそれぞれの関係部署 へ、保健所で対応しないといけないものであれば保健所の管理職へ、そして担当者へと いう体制で対応しておりますし、事実を受けて月曜日など平日で対応できる場合は、い ついつ、どこどこへ連絡してくださいと24時間365日体制をとっております。  林座長  住民は電話をかけるときは、最初に保健所の方にかけるのでしょうか。  中野委員  はい。それぞれ管内の保健所に時間外に電話をかけられると、それがそのまま健康危 機管理ホットラインにつながっていきます。今25の健康福祉事務所があり、全部ホット ラインに入る仕組みになっております。  河原委員  それに関して質問ですが、消防とか警察は人員を配置して24時間年中やっています。 そのホットラインが入ったときから初動に至るまでの、例えば時間的な間隔はどれくら いかかりますか。  中野委員  現状では、保健所の業務に関しましてかかってまいりますので、精神保健などの緊急 診察が入ってきましたら精神科救急医療体制につなぐとか内容に応じ、それぞれの健康 福祉事務所それから本庁の担当課の管理職へ即、連絡する体制にしていますので、そん なに時間がかからずに、対応できています。  河原委員  それから呼び出しをかけて出てきて、出勤してそれから対応にかかりますね。  中野委員  その場合もありますし、電話の応対等で調整できる場合がありますので、今のところ 大事には至っておりません。  林座長  健康危機管理ですから、迅速性が求められるわけです。そのほか、玉川委員いかがで ございましょうか。  玉川委員  この資料、あるいは今まで委員の御指摘などで尽くされているものだと思うのです が、やはり個別対策ということを今まで一生懸命詰めていって、その中であるものにつ いては解決の仕組みが出来上がって、平時の対応ということが出来上がっていくと。た だそうは言っても、想定し尽されないものというのが、この後でも起こることが当然あ りえることだし、その場合には健康危機管理という視点で、その目の体制を保健所なり なんなりに人材から施設、こうしたものでちゃんと整えておいて、そのことを危機管理 の原則として対外的にも明らかにすることによって初動段階のロスというのを防いで、 解決に迅速に結びつけるということが非常に重要だというふうに思っています。そのこ とを改めて強調して、こういう形でまとめたということは非常に意義が深いことだと思 っております。  個別の事案については、それぞれまた今後も知見が重なってくるところがあると思い ますけれども、こうした原則、心構えといったことを見直しながら明らかにしていくと いったことを今後とも推し進めるべきだと思います。  林座長  ありがとうございます。そのほかいかがでしょう。  曽根委員  先ほど委員の方々から連携ということも言われたのですが、連携の一方で、そういう 健康危機管理事例が発生したときの命令系統のきちんとした整備というのも、忘れては いけないことだと思います。やはり原因不明事例が発生したときに、どうしてもそこに はいろいろな意味でのあいまいさというのがあるわけで、それをきちんと初動の時点で 判断して、そしてその深刻さであるとか広がりであるとかあるいは重要性みたいなもの をきちんと判断して、その問題の広がりパースペクティブをきちっと把握して、そして そのあいまいさを終息させていくような対策をとれるリーダーシップを持った人、ある いはそれを支える命令系統というものを充実させるということも一つ忘れてはいけない ポイントであると思います。  岡部委員  すみません、今の曽根委員の御指摘は、私ちょっと言い落としたところがありまし て、12ページの連携・応援体制の整備のポツが2つありますが、その下の方には保健所 における健康危機管理担当者と本庁というふうに書いてありますが、健康危機管理担当 部門等の指揮命令系統を確立すると、またレベルごとにおいてどこが対応するかといっ たようなことを、少なくとも保健所対応ということがあります。御指摘ありがとうござ いました。  林座長  そうですね。レベル1とレベル2では、対応ということが述べられているわけですけ れども、現在の状況ではどんなものでしょう。ここに書いておられるから、必ずしも地 域によっては、はっきり明確に位置づけられていないという認識でよろしいのでしょう か。  委員一同  はい。  林座長  いろいろ御意見が出ましてありがとうございます。それでは、もし思いついたことが あれば後ほど述べていただくこととしまして、次に移りたいと思います。  地域保健計画について、植村委員より御説明お願いいたしたいと思います。  植村委員  それでは、資料2というものがあるかと思いますが、これを御覧いただきながら御説 明申し上げたいと思います。  各委員のこの地域保健結果に関する問題意識というものは、きわめて共通した部分が ございまして、比較的スムーズに問題の本質に入っていった議論が進められたのではな いかと考えております。ただ最初にやはり話題になりましたのは、今、なぜ地域保健計 画かということでございまして、既に保健医療あるいは健康といったキーワードに関し ましてはさまざまな計画が作られておるわけでございますし、またかかわりの深い福祉 の分野におきましても、保健福祉計画というような形で一体となった計画が作られてお るわけでございます。しかも市町村、都道府県という重層的な形で作られているわけ で、今なぜさらに地域保健計画を作らなければいけないのかという、積極的な必要性と いうのがなかなか浮かび上がってこないという問題がございました。  なぜ地域保健計画を作るのかということにつきましての、経緯なり背景なりにつきま しては、資料の「はじめに」というところに書かれているわけでございますが、経緯だ けではその必要性というのがなかなか浮かび上がってこないわけでございます。地域保 健計画の必要性云々という前に、今地域保健の現場と申しますか、特に都道府県の地域 保健事業の現状に一体どういう問題があるのか、どういう課題があるのかということを まずきちっと把握をして、そしてその問題、課題を分析し、かつそれをあるべき姿に持 っていく、それにはどうしたらいいのだろうかというまずそこから議論をすべきではな かろうかということで、そのための指針となるべきものというものを考えていけば、お のずからその計画で定めるべき内容というのは見えてくるのではないかと、そういう観 点から検討をいたしました。  その問題点といいますのが資料の2ページのところに、地域保健対策の現状と課題が ございますが、そこに書かれているわけでございます。最初の健康課題の精査、原因究 明が不十分というところがございますけれども、ここに書いてありますように、これま での保健医療あるいは健康に係わる計画、あるいは実際の事業の進め方もいわゆるプロ ブレム・オリエンテッドと申しますか、まずその課題があってこれにどう対応するのか という対応の仕方になっていない。我が地域にはどういう健康問題があるのかというこ とを客観的、科学的に明らかにして、その要因を探り、かつその対策をどう講じていく のか。そういうことが必要であるわけですが、なかなかそういう分析や評価というもの がなく、したがって次に書いてありますような、健康課題解決のための具体的な方策の 検討というものもなされていない、厳しくいえばそういう実態があるのではないかとい うことがまず挙げられたわけでございます。  地域保健のさまざまな施策というものが、プロブレム・オリエンテッドで、そして客 観的、科学的な分析と評価に基づいて行なわれていけば、そして具体的な手法を示して いけば当然意味のある目標というのが作られるべきだと、しかし現状を見ると、それは 「がんばってこれこれをしましょう」というようないわば努力目標といいますか、そう いったものであって、目標に向かって施策の効果というものを評価をし、そして具体的 に何をして何がどう変わったのかということを評価できるような、そういったものにな っていないのではないか。  そういうものに変えていく必要があるということが第一でございまして、そのために は次のページでございますが、専門的な人材の養成でありますとか、あるいは地域保健 対策の中にもっと住民の主体的参加というものが必要になってくるのではないか。特 に、専門的な人材の養成という面では、地域の中で一体何が健康課題として問題なのか ということをきちっと把握できる人材が育っていないのではないか、さまざまな調査デ ータはあるけれども、それを分析してそこから課題をきちっと引っ張り出してきて、さ らにいかなる対策が必要かということを考えていけるような人材が保健医療の第一線に 少なくなっているのではないか。さらには、都道府県の保健医療部局にも少なくなって きているのではないかというような指摘があるわけでございます。  また次のページ(4ページ)ですが、市町村への技術的支援ということにつきまして も、対人保健サービスというのは、市町村事業になっているわけですが、市町村ではそ ういう直接サービスという面での専門家が育っているわけですが、都道府県の市町村に 対する技術的支援というものの中身も当然変わらなければならないわけです。市町村よ りもう少し広域的な観点から、地域の健康課題というものを明らかにしていって、市町 村が具体的にどういう対策を講じていけばいいのかということがわかるような指標なり というものを示していく、そういう形での技術支援というのが必要になってきているわ けですけれども、そういう面での人材養成というものも現状ではまだ十分ではないので はないか。  地域保健計画というのは、こういう都道府県としてやらなければいけない。現状では 十分できていないこと、そういうことを明らかにしていって仕事のやり方と申します か、これをこういうふうに変えていく、こういう方向でやっていくのだということを示 す、これがこの地域保健計画の第一の意義ということになるのではないかと考えたわけ でございます。  その作成の方法としましては、実際の地域保健施策が、ある程度完結する地域はどの 圏域がいいのかということについては、医療計画との係わりもあって検討がさらに必要 であるかと思いますけれども、いわゆる「地域の」という言葉で表されるような一定の 圏域の中で、その健康課題を客観的なデータから分析をして、そして何が問題なのかと いうことを明らかにし、何をすべきかと、そして意義のある目標を定めてそれに沿って 実際の施策が展開していけるような内容の地域保健計画というものを作っていく必要が あるのではないか。  また対人保健サービスについては、市町村の仕事になっておりますので、計画を作成 するにあたっては当然市町村の意見を聞くということも必要になってまいりますし、市 町村としては、そういう地域の健康課題というものを、地域保健計画の中で明らかにさ れた上で、今度は我が市町村としては何をやるべきかということの具体的な実施計画と いいますかそういうものを作っていく、そういう関係になるのではないか。これは健康 増進計画の中で作るのか、あるいは高齢者保健福祉計画のようないろいろな計画の中に 取り入れていくのか、いろいろな方法がありますが実際の事業はそういう形で進められ ていくということが出てくるということでございます。  そういう形で市町村と都道府県というものは役割分担がなされていくだろうと、そし て国は分析手法を開発しあるいは提示する。あるいはデータを提供するといった、保健 医療計画を作るための基盤といいますか、そういうものを提供していく。また人材の養 成という面でも国の果たすべき役割があるのではないかと思われるわけでございます。  その次の5ページですが、2の地域保健計画の性格というところでは、先ほど問題の ところで申し上げましたプロジェクト・オリエンテッドとかプロブレム・オリエンテッ ドとか、つまりこれまでやってきた事業を中心に据えていって、それをどうやって進め ていくのかというような計画の策定の仕方ではなくて、プロブレム・オリエンテッドつ まり課題中心主義という、先ほど申し上げた地域の健康課題というものをまず把握して いく、そこからスタートしていくというものでなければならないということでございま す。  そして計画の性格としましては、医療計画との関連で一体的に考える必要があるとい うこと、あるいは他の保健計画との関係では、いわば親計画的なまず課題と問題点、そ れから対策というものの大きな枠組みを決めて、具体的な内容は、それぞれ個々の計画 の中にそれを基にして盛り込んでいくというような関係になっていくということ。とは いえ、固有の分野として、先ほど来より御議論がありました健康危機管理の問題である とか、あるいは人材の養成といった問題を固有の問題としてこの計画の中に取り入れて いくということを書いてございます。  こうした理念だけでは、地域保健計画の具体的な内容はなかなか姿がみえにくいとい うこともございまして6ページのところでございますが、4の地域保健計画策定の枠組 というところでは、具体的な健康課題としてどういったものが挙げられるのかという例 を幾つか書いてございます。それから次のページですが、健康課題を抽出し分析する手 法というものが幾つか考えられる。例えばというようなことで、千葉県のSALT法などが 参考資料に挙げてございますけれども、こういったものも考えられるのではないか。そ してそこから優先的に取り組むべき課題を抽出して優先順位を位置づけていくというよ うなことで、その場合のどういう事項が考えられるのかという例示を挙げているところ でございます。  当然、計画を作りまして目標を設定いたしますと、施策が計画どおり実施をされて成 果を上げているかどうかということの評価が必要になってくるわけでございますし、そ の状況に応じては計画の見直しということも必要になってきますので、計画の評価とい うものがどうしても大切になってまいります。その評価自体も、客観的な評価方法で行 なわれる必要があるということで、そのへんのことが7ページの下の5の地域保健計画 の評価に書いているところでございます。  最後が地域保健計画の作成の手続でございます。住民参加でありますとか外部機関の 活用といったプロセスの問題、それから計画作成のための組織体制というものについて も書いてございます。ただこのへんのところにつきましては、まだ検討の余地がある。 先ほどのどういう圏域を想定して考えるのか、そしてどのような組織機関を考えていく のかというところについては、まださまざま関係方面との調整がございまして、まだ検 討の余地があるかと思いますが、こういった内容で考えていきますと地域保健計画とい うものの必要性といいますか、その内容というものが具体的に見えてくるということで はなかろうかということです。そういった内容でこれまで、このプロジェクトチームで 議論をしまして、この報告という形でまとめさせていただいた次第でございます。以上 でございます。  林座長  ありがとうございます。ただいま植村委員から説明がありました資料につきまして、 委員の皆様から何か御質問あるいは御意見ございませんでしょうか。河原委員あたりか ら何かありませんか。  河原委員  地域保健計画に関係させていただきました。植村先生の方からデータの分析とか、そ れに基づいていろいろ施策を講じるというところを触れられたと思うのですが、実は昨 日医療計画の方の検討会がありました。医療計画の方もかなり具体的に疾病ごとに医療 機関連携の問題とか、いろいろ審議しました。その中で一つ座長から意見がでました。 例えばがんの死亡率を高い順番に総死亡率を書いているのですが、秋田が一番だったと 思いますが、そういうのを単に見たらガンセンターがないから高いのだということで、 また箱物の要請になると。そういう意味でもデータをどこかが分析しないといけない、 適切に施策に結びつく形にしないといけないという議論があったのです。  まさしく地域保健計画の方もデータの分析が非常に大事になると思うのですが、この 保健計画では要するに保健所の機能として求めていると思うのです。もし、医療計画等 が一体的になったときに、医療計画のデータの方のモニタリングもいろいろやっていく 必要があると思うのですが、それが都道府県庁の役目なのか保健所の役目なのか、ある いは一体してやるのか議論があると思うのですが、そのあたり、先ほどの危機管理もそ うですが、危機管理のところはたぶん医療計画の中の災害医療のところに該当すると思 うのですが、そのあたりも昨日の段階ではかなり具体的に出てきていますので、刷り合 わせが要るのではないかなと思います。  林座長  ありがとうございました。私も若干そういうような意味合いで同じことを考えていた のですが、やはり地域保健計画の中身を見ると、そのほかさまざまないろいろな計画が あります。医療計画、感染症の計画、防災計画いろいろあります。それは地域保健計画 が全部を包括しているということなのか、それとも地域保健計画というのは、実はプロ グラムのことなのか、そこらへん整理はどうすればよろしいのでしょうか。  植村委員  おそらくここは、正直申し上げて完全にプロジェクトの中で詰めたということではご ざいませんが、地域保健計画というのはまず課題を明らかにしていくと、そして全体の 課題に対する対策と行き着く目標というのを明らかにしていくものであって、個別具体 的にそのために何をしなければいけないかというかなり具体的な問題が出てくると思う のですけれども、それが個々の計画の中でいわば実施計画的な意味合いを持って作られ ていくというそういう関係になっていくのではないかというふうに理解をしているので す。  津下委員  よろしいでしょうか、この地域保健計画を考える中で、計画というよりもストラテジ ーではないだろうかという話も出たぐらいでして、ほかの母子だとかいろいろな計画も ありますが、健康課題を抽出するためのモニタリングシステムだとか、そのデータをど う解釈し、どう政策につなげるのかというような評価をまた今度、次の対策につなげる というような仕事の仕組みをまずきちっと整理をしないと、地域保健全体が進まないの でないかと。ですからその仕組みのむしろ計画、別の横の計画ではなくて戦略といった 方が近いのではないかというような認識で話し合いをしておりました。そういう中で、 こういう課題抽出のためのどういう仕組みが必要なのか、またはどういう人材が必要な のか。  先ほど危機管理の方でも、地方衛生研究所がどういう役割を果たし、そして専門的な ノウハウそれから広域連合でそこを国がバックアップするような形というのがあったか と思うのですが、やはりこの地域保健計画、生活習慣病対策が平時には中心になってく ることかと思いますけれども、そこにもそういうある意味の専門性の部分が必要になっ てくると思いますので、そういう仕組みづくりということも、この中に入れ込んでいか なければいけないというようなことでまとめられていると認識しています。  林座長  なるほど、今のおっしゃったことは非常にわかりやすいと感じました。つまりアセス メントがあって、そしてどうやってプランニングして、どの程度の資源、人材を投入し ていくか、その結果としてまたアセスメントというそういうサイクルで、その全体像が 地域保健計画であるということになるわけですね、そう思います、そうでしょうね。そ うでなければ例えば健康日本21との関連は何かといった場合に、全部吹き飛んでしまい ます。  津下委員  現状を言いますと、評価をしましょうということで、評価は評価をし、評価と対策が 切り離されていたりだとか、そういう何か評価自体が目的化してしまっている部分も現 場ではありますが、実効性のあるということと地域特性というのがキーワードだったと 思いますけれど、本当に地域にあった必要なところに必要な財源を落とすとか、仕組み を作っていくというために、必要な仕組みづくりということを、作っていかなければい けないというのがこの地域保健計画ではないかと思います。  林座長  ありがとうございます。そのほか、いかがでしょう。  村田委員  前の危機管理でもそうですが、この地域保健計画の中でも、いわゆる人材が育ってい ないということが盛んに出ているわけです。人がいない、人材ができていない、何もし ていないと、それは長年のいろいろな部分があるのでしょうが、それの教育のあり方と いうものをきちっとしていかないと、本当に、ではどういう人材がどういう形でいろい ろな職種だ、専門職種だ、それから事務職も同じだと思うのですが、そういう人たちが どういう形で教育を受けて計画、こういった全体像が見えるような形の仕組みづくりに していくかということを、やはりきちんとどこかで考えていかなければいけないのかと いう気がします。  そのへんのところが専門的な人材の育成ということはわかりますけれども、それをど ういうような形で育成するのかということがわかったようでいてわからない、例えば国 立保健医療科学院に全員が行けばそれで問題は解決するかというと、なかなかそうでは ないというような問題の日常の中で、業務の中でそれをどう育てていく、それを誰が日 常の中でその人たちを指導していくかというあたりをきちんと明らかにしていくという か、そういうことも非常に必要なのではないかと。いつも保健師などは一番攻められる というか、よくできていないのではないかと言われるたびに、どういうふうにしていっ たらいいのかということが本当に私たちの大きな課題でもあるので、保健師だけではな くて、いろいろな職種の人たちがたぶん悩みながら、日常生活の業務をたくさん抱えな がら課題、プランドシーをやりなさいということは頭の中でわかっているのだけれど、 どういうふうにやっていったらいいのだろうということが非常に皆さん苦労していると 思うのです。ですので、やはりそのへんのところも明らかにしていかないと、いろいろ な問題がまた出てくるのかなというふうにちょっと思ったのです。  津下委員  今のは、本当に大切な御指摘で、専門職はいても専門家がいないということだろうと 思うのですけれども、「配置をする」ということがしきりに書かれていると思うのです が、専門職を配置するだけでは、専門職は一人しかいなければ学ぶことができないので 専門家には育っていかないと思うのです。ですから地域で中核となるような、例えば危 機管理なら危機管理のセンターまたは生活習慣病のセンター、健康課題の解析のセンタ ー、それは県ごとにある必要があるのかどうかはまた別ですが、そこにある程度籍を置 きつつ現場の業務もしつつというような形だとか、そういう人材を仕事の中で育てると いうような仕組みを作っていかないといけないのかなと思っています。  一人一人が、個々にそれぞれの保健所からいろんな相談を私どものセンターで受ける のですが、みんながお互いに勉強しあっていないなというのがよくわかります。横のつ ながりで勉強しあっていない、または一定期間きちっとその業務の中で勉強していない というのがよくわかりますので、そういう地域の指導者を仕事の中で育成していくよう な仕組みが必要だろうと思うのです。  そういうことで言うと、保健所の機能もどこも一定の保健所でいいのか、またはある 機能分化をしたような形をとって専門的なことはそこで学ぶことができるだとか、そう いう仕組みを考えなければいけないのかというところにきているのではないかと思いま す。  林座長  そこらへんですが、看護大学も既に100あるわけです。勉強の場所、機会というのは 非常にたくさんあるような気がするのですが、どうしてそういう結論にいってしまうの でしょうか。  岡部委員  感染症の方を私はやっているのですが、比較的システムとしては教育体制なども少し ずつ出来上がってきてはいると思うのです。ところが現場の方にとってみれば、ある一 つの職種をトレーニングのために出すと、そこには専門職がいなくなってしまう。そう するとそれをどこかから埋めようかというのは、保健所あるいは地方衛生研究所だけで 考えられないことではないかと思うのです。必ずどこかに補てんをしていきながら行く と、そのプラスαの部分がないと結局誰も育っていかない。ここの人はトレーニングを 受けないまま、失礼な言い方になりますが専門家にならなければいけないという非常に 厳しさを持っていると思うのです。On the job trainingだからどっちみち仕事をしな がらやっていくのだけれども、誰かがどこかでスーパーバイズしていかなければいけな い、あるいはどこかで定期的に評価を受けなくてはいけないのですが、その機会がない ということではないかと思うのです。場所は幾つかできている。非常にソフトな部分だ と思うのです。  林座長  基礎的なトレーニングは可能であってもオン ザ ジョブ トレーニングの段階での、 総アドバイザー、アドバイスを出せる仕組みが不足しているということ。  岡部委員  はい。  林座長  曽根委員、アメリカに行ったときに、そういうシステムを見学してきたという話を聞 いたような気がするのですが。  曽根委員  要するにシステムとして学ぶものということで、アメリカでは、一つノースキャロラ イナ大学において公衆衛生行政の幹部層を対象としたのナショナルリーダーシップ ト レーニングというのがあるのですが、そこではやはり日常業務 をしながらの1年間の コースで、集まるのは年に2回だけです。具体的には現場でチームを作って一つの課題 を解決しながら、仕事とトレーニングがかなり一体化しているようなプログラムをやっ て、それをナショナルセンターがスーパーバイズしながらトレーニングしていくという ふうな仕組みがあります。  やはり現場として、先ほど訓練を業務とするというお話をいたしましたが、トレーニ ングというものを現場の仕事と密着させながら継続しながらやっていくという仕組みが 重要かと思います。現場にスーパーバイザーがいて、さらにその上にスーパーバイザー がいてという仕組みがあり、それをもう少し上のレベルでさらにスーパーバイズしてい くような、そういう仕組みというのは一つ考えられるかと思います。  現状においては組織として学ぶ仕組みになっていないというといころが一つの問題点 かと思います。  中野委員  今の保健所の業務を見ていると、それぞれの専門職種がいますけれども、やはりそれ がチームとなって一緒にトレーニングする、レベルアップするという仕組みがないと思 うのです。事件が起こったときは、それぞれの役割で仕事をしますけれども、それで解 決したら終わりになって、やはりチームとしての力量アップというシステムが今本当に 必要ではないかと思っています。  村田委員  それは必ずしも保健所だけではなく、むしろ市町村などは専門職といわれているのは 保健師と栄養士ぐらいしかおりません。あとは事務職の中で動いておりますので、やは りそのへんのところももっと保健所の場合よりも大変というか、ではそこの市町村の人 たちをどう支援するのはどこかと、保健所だと言われていてもその保健所もなかなかう まくいってないとなれば、それともう一つは、先ほど先生の方でスーパーバイザーとい うお話がありましたが、そのスーパーバイザーは保健所の中で誰が担うのかということ も非常に、保健所の中で担うのかそれともどこからか来ていただいて現場の中でトレー ニングをしながら、現場の中で仕事をしながらやるというのは一番身につくわけです が、そのスーパーバイザーもどうなんだろうかということも現実にはあるということで す。  津下委員  ですから、この地域保健計画の中で、トレーニングに方法だとかいろいろなデータの 取り方の標準化だとか、仕事をしながら地域保健を進める方策が学べるようなそういう 筋道の整理をしていくことができればいいのではないかなと思うのです。スーパーバイ ザーの役割をどこが担うのか、県がしっかり考えていく必要があるのだろうと思うので すけれど、地方自治体でしょうか。  稲葉委員  人材育成の問題は、まさにおっしゃるように保健所だけの問題ではなく、さまざまな 医療関連のところで問題になっていまして、私自身が倫理委員会の委員のトレーニング であるとか、リスクマネジメントを押すリスクマネージャーのトレーニングであると か、あるいは将来的には医療関連の亡くなった人たちを仮に保健所でもしも受け取って いただくとすると、それは今までの保健所の役割からかなり外れてくるとするとどんな 形で育てていくのかというのが問題になってくると思うのです。だからここではむし ろ、人材育成の必要性を言うということにとどまらず、どのようにして人材育成をする のかという先ほどでいうと、ストラテジーといいますか、そういうものを示す必要があ るのではないでしょうか。  それはたぶんそれぞれの領域によって、少し戦略というのは違ってくるかもしれない のです。特に先ほどおっしゃったように、現場の人たちが長期間抜けるということがで きない職場での人材育成の仕方であるとか、それとオン ザ ジョブ トレーニングが非 常に大事だといわれるようなところと、そうでない比較的机上での知識をベースにした ものであるというところでは、少し育て方が違うのであれば地域保健の中で育つ人材の 育て方についてもう少し議論をするなり、書くということは要るのではないかなと思い ました。  岡部委員  また感染症の方ですが、感染症に限らずサーベイランスということで見た場合には、 資料1の11ページに具体的に書いたのが、さっき御紹介したところですが、真ん中にあ る保健所内の組織体制整備、そしてポツ、専門知識を有する職員の配置としてコアをま ず育てなくてはいけない、そのコアは自治体が責任をもってやるけれども、そのほかに トレーニングを短期間でもいいから取れる人を現場に配置すべきである。しかし、それ をきちんと出せる仕組みを作っておかないと、結局は誰も出せなくなる、そこのところ が一番ポイントだと思うのです。  林座長  人を出せるというと。  岡部委員  先ほど申し上げましたけれど、人を出すということについて誰かが認知しておかない と、いいなと思いながらも誰も出せないそういう状況ではないかと思います。  中野委員  今保健所の機能の中で企画調整機能が重要で、企画調整の部門の人材をきっちり配置 していくことが必要だと思います。兵庫県では事務職の方がそういう機能を担っている のですが、今年4月の機構改革で、そこに保健師ですとか栄養士といった専門職も入れ ながら企画調整担当で、保健医療計画の見直しをやっていこうという体制ですが、何か もう少し保健所の機能として企画調整機能にプラス専門人材という体制をきっちり整備 しないとなかなか評価が難しいのではないかという気がしているのですが。  今村委員  今の中野委員の御意見、全くその通りだと思うのです。企画調整というよりは政策の 策定能力というのが保健所に今一番足りないものだと思うのです。一つ一つの事件は非 常にうまくこなす能力には長けているのですが、その事件全体を減らすためにはどうす れば良いのかというのを企画調整という部門を今作っていますが、実際にはそれは地域 保健政策の策定だと思うのです。その政策を学んだ方が保健所に少ないので、保健所全 体として対策をどうすればいいのかというのは全部県にお任せしているという状態で、 保健所レベルでの政策の立案というのが非常に弱い。では、それがなぜできないかとい うと政策に触れる機会が保健所の方は少なくて日常の業務に追われていて、これを減ら すためにどうすればいいのかという、それを減らすための条例はどうやって作ればいい とか予算をどうやって確保すればいいとかいう実務につながるような政策立案というの が弱いと思うのです。そういう意味では、先ほど河原委員がおっしゃった地域医療計画 と地域保健計画というものが非常に近い関係にあって、医療が準備されればある程度疾 病というのが変化するという今の状況があるので、その意味ではそことまず調整をとっ ていく必要があると思うのです。  そうでないと、たぶん地域医療計画を作る人が、地域医療計画のことを知らないとで きないと思うのです。それはなぜかというと実際に日本の疾病というのは、健康だけに 左右されているのではないのです。病院の数が多いから病気が多いということもありま す。西高東低という病院の格差がありますが、がんなどは西高東低はあまり目立たない ですが、生活習慣病というのはやはり関西の方が多いです。では関西の人に病気が多い のか、東北の人ががまんしているのか、病院のせいなのかというそういう実際の専門知 識と違う政策的なセンスというのが、やはり対策全体に必要になってくると思いますの で、他の県よりも自分のところが少ないからいいというふうに考えていくのか、うちの 県がほかよりも病気が多いと考えるのか、そこが実は医療計画そのものの問題点を反映 しているだけだという面もあると思うのです。そういったことを考えられる人を育てて いかなければいけないと思いますし、この計画を作る際にはそういう面とちゃんと整合 性をとっていく必要があると思うのです。  玉川委員  人材ということに関してですが、どういう人材が求められているのかという中で、先 ほど地域保健計画の性格について、これはストラテジーなんだというお話がありまし た。プロジェクト・オリエンテッドでなくてプロブレム・オリエンテッドにするのだと いっても、結局ソリューションはどこかがもたらさなければならないと。健康危機管理 の場合は、初動がともかく行政機関によって動かなければならないということで、それ を説明するという意味で、指針なりなんなりということがでてくるわけですが、地域保 健の場合、行政機関だけではこれをソリューションまで結びつかないわけで、住民自身 の納得も必要であれば、その他さまざまな知恵も事業なども実施してこれを結びつけて いかなければならない。  その際にどこまで都道府県、保健所といったところが、自分のやるところの役割なの かということを考えながら結び付けていかないと、その中身というのが、自分は計画を 立てたけれども、そこはじゃあ今度ディバイスで見直して評価をするというところにつ ながってくると思うのですけれども、全くプラニングだけというのは分かれたところで は計画を立てる責任もとれないということです。たぶんそこは医療政策と結び付けなけ ればならないといわれているところと重なるところがあると思うのですけれども、それ 以外にもかなり開かれた体系となる計画だと思われますので、そこをどうやって合意形 成していくかという仕組みの作り方をうまく仕込まないと実効あるものとならないと思 います。  林座長  ありがとうございます。  津下委員  今のお話、3ページのところで健康課題を解決するための方策が行政の枠組みの中だ けではできない、民間、NPO、住民の主体的な参画等々ということで、いろいろなとこ ろの役割分担とか、それぞれの目標設定とか、それを起こすためにどういう情報公開、 または参画をしていくのかということが非常に必要になってきますし、それぞれに対す る評価も必要になってくるだろうと思うのですが、今までは行政の掛け声だけであった のをどのように他者ですね、地域全体をまきこんだ地域保健計画にしていくのかという 観点で、役割分担の明確化それから到達目標の具体的な設定ということに結び付けられ ればいいかと思うのですが、現状ではちょっとまだ難しい部分があるのかと思っていま すけれども、会議には参加されて意見は言われるのですが、意見がその場で終わってし まうというのが今の地域の会議のような気がしておりますので、例えば参加された団体 は、そこの会議に持ち帰って、その対策についてどうするのかまた議論を深めてもらう ようなそういう仕事の仕組みがいるのではないかと思うのです。  今村委員  今御指摘いただいた議論した経過をどうやっていただくのかというのがまさに合意形 成、玉川先生がおっしゃった合意形成のことだと思うのです。政策を考えるというの は、純粋に考えるだけでなくてそれを実施できる土壌に引き上げるという作業だと思う のです。ですので、そのある案を作ったとしたら、その案がその地域で受け入れ可能な ものかどうかということと、どれぐらいまで実施できるかということを諮って、同意を 取り付けて動かすというところが、たぶんそれが政策の決定・実施ということだと思う のです。だから、その機能を普通行政部門というのは持っていると思うのです。それが 保健部門の中でも、特に保健所の部門でどうやってその合意形成をとっていけばいいか わからないという面だと思うのです。だからその意思決定を含めた政策策定というもの が、一番今重要な部分ではないかと考えています。  村田委員  先生から政策形成の話があったのですが、今保健所の中の裁量というものが、政策決 定まで保健所がこれでやっていきますというより、だいたい県がある程度示したものを 各保健所がそれぞれの地域の特性に合わせたというような形できているので、そもそも の部分が本庁が大体いろいろな形を作って、それに対して各保健所がというようなこと が非常に多いのではないかと思うのです。今後これからいろいろ考えたときに、地域の 特性と言ったときに、住民から見れば茨城県全体よりも自分の身近な隣の人がどうしよ うかというようなことの方が、もっと健康の部分では大事なことだと思うのです。そう いうことから考えると、保健所の権限というのでしょうか、そのへんのところも今後は 視野に入れながら、どういうところを保健所に「これだけは裁量であなた方に任せるよ 」というようなものが一つ、地域特性みたいなものでも考えられるようなことを考えて いってもいいのではないかとフト思うときがあるのです。  政策医療みたいな、医療の部分についてはなかなかそのへんは難しいかもしれないの ですが、それ以外の部分でも何か地域特性にあった保健所が、「これはあなた方の保健 所にお金をこれだけ渡すから、任せるから地域の保健のことを少しやってみてね」とい うようなことがどこかにあると、また動き方が少し違ってくるのかなということも考え ることがあるのですけれども。  今村委員  全く御指摘の意味はよくわかるのです。ただ、では権限がないかというと保健所長の 権限というのは絶大なんです。本来、保健所長の全権限があって、あくまでその県は政 策調整という位置づけで、都道府県の権限のものはあまりないのです。それが現実問題 としては、都道府県の中央課の方で全部政策を決めて、あとは全部作業としてやってく ださいというような流し方をされていること自身が、今の保健所の政策力を落としてい る原因だと思うのです。ですから、本来の保健所が持っていたアクティビティと権限を 取り戻せば、本来の政策立案能力というのは出てくるものと考えていますし、それが出 てこないと逆に県から政策立案の権限を取っていくということも難しいのではないかと 思うのです。  林座長  だいぶ意見が出てきたかと思うのですが、確かに地域保健の問題というのは、自治体 だけの問題でなく、ここに住んでいる住民たちがどれだけ自分たちの健康問題を意識し ているかということにも大きく係わる話なので、住民の意識が低いままで地域保健計画 を一生懸命作ろうと思ってもなかなか難しい側面があろうかとは思うのですが、行き着 くところはデモクラシーの問題になってくるかもしれません。  いろいろ御議論いただいて本当にありがとうございました。先ほど、もし健康危機管 理のことについて何かまだ意見、言い残したことがあれば、もう一度戻っていただいて もかまいませんが、何かございますでしょうか。  津下委員  教えて欲しいのですが、9ページの地方感染症情報センターというものは、国立感染 症研究所との関連はどうかということと、あと地方衛生研究所との関係はその中にある のかどうでしょうか。  岡部委員  感染症の法律の中で、サーベイランスを行なうということは決まっているのですが、 それが実施するということで、中央の感染症情報センターというものと地域の感染症情 報センターというのが設置されることが決まっているのです。中央の感染症情報センタ ーというのは、いわゆる私たちのいる感染研の情報センターですが、地域においては、 地域というのは都道府県単位になりますけれど、あるいは政令指定都市とかになります が、そういうところで地方感染症情報センターを設置して、地域の情報はそこが中心に なって集めて、我々のほうにスルーをするという形になっています。  現在、地域にある感染法情報センターというのは、相当整備されつつあるのですが 100%ではないのです。3分の2ぐらいが衛生研究所にそういう機能を設置し、残りの30 〜40%が本庁が持っているといったような、どっちかでなければいけないということは ないのですが、ただ実際には地方衛生研究所というところでの機能が少しずつ強化され つつ、つまり感染症に関する常日頃から情報をキャッチして、そこが情報も発信すると いう機能を持っています。  津下委員  そうしますと、図の中で地方衛生研究所というのが孤立して書いてありますけれど も、ここと国立感染症研究所というのはかなり情報がやり取りされているというふうに 思えばよろしいですか。  岡部委員  もともと微生物というものを通じては、昔の予防衛生研究所と地方衛生研究所のつな がりはシステムは違っても相当交流があったようです。現在では、それが微生物だけで はなくて、感染症というものの動きについて交流をしているということがあります。た だ、組織上はこっちは国だし、こっちは自治体ということです。ですからサーベイラン スをやるようになってから感染症情報センター、前にあった予研では保健所との結びつ きはほとんどなかったと思います。それが今、地域をつながって保健所といろいろな連 絡のやり取りができるようになってきたというのは、新しい枠組みではないかと思いま す。  津下委員  健康課題の抽出等で同じような基準で全国を課題の整理だとか、モニタリングしてい く中で、やはり国の研究所なり考え方が地域に直結するような形または情報がすぐに国 に行くような形が取れれば、地域の特性もわかるし、国全体の動きもわかるということ で、こういう仕組みが生活習慣病の分野でも確立されていくといいのかと思うのです。  岡部委員  食品などですと、それが医薬品食品研究所の方に行っている部分がかなりあるわけで す。  林座長  はい、ほかにございませんでしょうか。では、本日の議論を踏まえて、次回この検討 会のとりまとめを行いたいと考えておりますがよろしいでしょうか。  委員一同  はい。  林座長  それでは事務局の方で、今回の議論を踏まえて修正をお願いしたいと思います。ま た、委員の皆さんは、お気づきの点があればまた事務局の方に知らせてくださるように お願いします。  次の議事3でございますが、その他について、でございます。事務局からお願いしま す。  事務局(横尾地域保健室長)  今後のスケジュールでございますが、4月19日火曜日に、第3回の検討会を厚生労働 省の専用22会議室で開催する予定にしております。別途、御案内をいたしたいと考えて おります。  資料につきましては、今回御議論いただいた内容を踏まえ、次回までに修正したもの をお示しする予定でございます。なお、まことに恐縮ではございますが、予備日として 4月27日を予定させていただいておりますのでよろしくお願いいたします。  林座長  そのほか何かございますでしょうか。もしなければ、本日はこれで検討会を修了した いと思います。どうも長時間ありがとうございました。                                      以上 (照会先) 厚生労働省健康局総務課地域保健室 小椋(2394)