05/03/22 第9回がん検診に関する検討会議事次第 第9回がん検診に関する検討会議事録                           日 時:平成17年3月22日(火)10:30 〜12:28 場 所:厚生労働省共用第7会議室 1.開 会 2.議 題  (1)検討会開催の趣旨について  (2)大腸がん検診の有効性の評価について  (3)その他 3.閉 会 ○神ノ田課長補佐  おはようございます。それでは定刻となりましたので、ただいまよ り第9回「がん検診に関する検討会」を開催させていただきます。 まず初めに、三浦老人保健課長からごあいさつ申し上げます。 ○三浦老人保健課長 おはようございます。老人保健課長の三浦でございます。 本日は、大変お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。また、 このたび新たに本検討会の委員に御就任いただいた先生方には、委員を快くお引き受け いただきましたことにつきまして御礼を申し上げる次第でございます。併せて、日ごろ から高齢者の保健医療行政に御理解、御協力いただいていることにつきましても厚く御 礼を申し上げる次第でございます。 さて、この検討会でございますが、平成15年12月に立ち上げて以来、これまで8回 にわたりまして、特に乳がん検診あるいは子宮がん検診につきまして御検討いただきま して、報告書といたしまして2つの報告書をお出しいただいたところでございます。 言うまでもなく、がん対策につきましては昭和56年、1981年以来、死因の第1位と いうことでございまして、私どもといたしましては最大の課題というふうに考えており ます。 この問題に対しまして、私ども厚生労働省のみならず政府全体でも取組みを進 めておりまして、御案内のとおり対がん10か年総合戦略を1984年、昭和59年から、ま たその後はがん克服指針10か年戦略、更には第3次の対がん10か年総合戦略を2004 年から、これは死亡率あるいは罹患率の減少を目指すという基本目標を掲げております が、そういう戦略が策定されております。 私ども、今般の検診ということにつきましては女性のがん対策ということで、受診率 が必ずしも高くない、あるいは死亡率の減少効果の観点から実施方法あるいは対象年齢 に問題があるのではないかという御指摘をいただいておりましたことから、2005年度を 初年度にいたしまして、10か年の戦略として健康フロンティア戦略が提唱され、その中 で女性のがん対策を緊急に取り込むということになっております。 この検討会でございますが、がん検診のさまざまな課題につきまして御検討いただく ということを目標として設置されているところでございますが、今回、第9回目からは テーマを大腸がん検診に移しまして検討をお願いいたしたいと考えております。まずは 死亡率の減少効果の観点から有効性の評価をいただく、併せて検診における事業評価に ついても御検討いただきまして、私どもの思いといたしましては今年10月ごろを目途に 御結論をいただきたいと考えております。 大変短い日程で誠に恐縮でございますが、よろしく御審議のほどをお願い申し上げま して冒頭のごあいさつとさせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。 ○神ノ田課長補佐 ただいまの老人保健課長のあいさつにもありましたとおり、今回か ら大腸がん検診について御検討いただく予定としております。その関係で、本日の検討 会より新たに御参加いただく委員を御紹介申し上げます。 祖父江委員でございます。 ○祖父江委員 国立がんセンターの祖父江と申します。よろしくお願いいたします。 ○神ノ田課長補佐 樋渡委員でございます。 ○樋渡委員 いわき市立総合磐城共立病院の樋渡です。よろしくお願いいたします。 ○神ノ田課長補佐 森山委員でございます。 ○森山委員 国立がんセンターの森山でございます。よろしくお願いします。 ○神ノ田課長補佐 どうぞよろしくお願いいたします。 また、坪野委員にも新たに御参加いただく予定としておりますが、本日は御欠席との 御連絡をいただいております。 次に、本日の委員の出席状況でございますが、ただいま御紹介いたしました坪野委員 のほか、笹子委員からも御欠席の御連絡をいただいているところでございます。 それでは、以後の進行を垣添座長にお願いいたしたいと思います。よろしくお願いし ます。 ○垣添座長 皆さん、おはようございます。 三浦課長の方からごあいさつがありましたように、これまで女性がん、特に乳がんと 子宮がんの検診の在り方と、その事業評価について御検討いただきました。それで、今 回から大腸がん検診ということでありますが、そのためにこの委員会の委員の構成も少 し変えまして取り組んでいただくと。本年10月ごろを目途にということですので、かな り険しい日程ではありますが、大腸がんもまた極めて我が国にとって重要ながんであり ますので、その検診の在り方をじっくり御議論いただければと思います。 私、個人的なことですが、花粉症で苦しんでおりまして、鼻づまりの声で、いつもの ように美声でなくて誠にお聞き苦しくて申し訳ありません。それから、抗ヒスタミン剤 を飲んでいるために眠くなって、座長をしながら寝たりしないように、どうぞ緊張した 御議論をいただければと思います。よろしくお願いいたします。 それでは、まず事務局から本日の資料の確認をお願いいたします。 ○神ノ田課長補佐 それでは、資料の確認をさせていただきます。 まず議事次第がございます。 資料といたしまして、資料1が、「大腸がん検診の現状等」でございます。 資料2が、「大腸がん検診に係るこれまでの議論」ということで、斎藤委員の方から 提出をしていただいている資料でございます。 資料3が、「有効性評価に基づく大腸がん検診ガイドライン(普及版)」ということ で、こちらは祖父江委員から提出をいただいております。 また、これと併せまして、これは委員の皆様方のみに配布させていただいております が、有効性評価に基づく大腸がん検診ガイドライン、分厚いもの、全体版でございます が、こちらも併せて御参照いただければと思います。 そのほか、参考資料といたしまして、参考資料1が、「新たながん検診手法の有効性 の評価−大腸がん部分の抜粋−」ということで、久道班でおまとめいただいたものの大 腸がん部分の抜粋でございます。 参考資料2が、「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針(平成16年4 月27日一部改正通知)」ということで、老人保健課長名で通知しております指針でござ います。 資料は以上でございます。落丁等ございましたら御連絡いただければと思います。 ○垣添座長 よろしいでしょうか。 それでは、議事に移らせていただきます。まず、「(1)検討会開催の趣旨について」 ということで、これも事務局から説明をお願いいたします。 ○神ノ田課長補佐 それでは、御説明申し上げます。 議事次第を2枚おめくりいただきますと、「大腸がん検診に関する検討について」と いうことで、本検討会の趣旨等につきましておまとめしております。 まず「1 目的」でございますが、「大腸がん検診に関する有効性評価及び事業評価 等に関する検討を行い、今後の大腸がん検診の在り方について提言を行う」というのが 目的でございます。 「2 検討事項等」でございますが、大腸がん検診の現状について、大腸がん検診の 方法について、また、精密検査の方法についても御検討いただきたいと思います。また、 検診受診率及び精検受診率の向上策について、事業評価の取組みについて、その他とい うことで、検討事項を6点挙げさせていただいております。 「3 検討会の位置付け等」についてですが、老健局長の私的検討会という位置付け で、原則として公開で開催いたします。 「4 検討日程」でございます。本日、この大腸がんにつきましては第1回というこ とで、全体で4回程度の検討を予定しており、17年10月を目途に中間報告をとりまと めいただければというふうに考えております。 おめくりいただきまして、「今後のスケジュール(案)」でございますが、本日第9 回検討会では検討会開催の趣旨ということ、また、大腸がん検診の有効性の評価、その 他について御検討いただきたいと思います。 次回、第10回におきましては、精密検査の在り方、事業評価、ヒアリング、骨子案の 作成及び検討。 11回検討会では、中間とりまとめ(案)の検討。 12回検討会では、中間とりまとめというように、大変タイトなスケジュールとなって おります。 続きまして、資料1に基づきまして、大腸がん検診の現状等につきまして一通り御説 明申し上げます。 ここら辺、先生方には十分御案内のことかと思いますが、1ページのところに部位別 に見たがんの死亡率の年次推移を男女別でグラフ化してお示ししております。 男性の方をごらんいただきますと、大腸がんにつきましては、現在、肺、胃、肝臓が んに続きまして4番目のがんということで、人口10万対で34.1というような死亡率と なっております。また、大腸がんにつきましては増加傾向にあるということでございま す。 女性の方をごらんいただきますと、大腸がんにつきましては1位となっておりまして、 人口10万対で27.7でございます。これも増加傾向にございます。 おめくりいただきまして、2ページ目のところに「地域保健・老人保健事業報告に基 づく大腸がん検診の推移」ということで、受診者数と受診率の推移をグラフ化してお示 ししております。 受診者数につきましては少しずつ増えてきておりまして、15年度の数字では約六百四 十万人が受診されております。受診率は、18.1%という状況でございます。 次に3ページ、大腸がん検診の受診率、要精検率等のデータを都道府県別に整理して 表でお示ししております。これはちょっとわかりにくいので、グラフ化したものを4ペ ージ以降に付けさせていただいております。 まず、受診率でございますが、こちらのグラフでは高い順にまとめております。高い ところでは山形県が43.5%、低いところでは京都府が8.3 %ということでございます。 全国平均が18.1%という状況でございます。 5ページに要精検率をまとめております。高いところでは佐賀県の11.7%、低いとこ ろでは青森県の4.0 %、全国平均が7.3 %という状況でございます。 おめくりいただきまして、精検受診率でございます。こちらは要精検となった方が実 際にどれぐらい精密検査を受けているかということで、本来であれば100 %を目指さな ければいけないところでありますが、一番高いところで宮城県が80.9%にとどまってお ります。低いところでは東京都で27.9%という状況、全国平均では55.6%でございます。 7ページ、がん発見率でございますが、佐賀県の0.0033%から、東京都の0.0012%ま でばらつきがありまして、全国平均では0.0017%という状況でございます。 ここでちょっと前に戻っていただきますと、5ページのところで要精検率、下から3 番目に宮城県がございます。宮城県につきましては要精検率が低い率になっております が、6ページのところで精検受診率は80.9%ということで全国で1番となっておりまし て、7ページのところのがん発見率を見ましても上から14番目ということでございます ので、かなりいい発見率を上げているということでございます。 これは、非常に効率のいい検診が実施されているという例として挙げられるかなと思 いますが、全国的にこのような形で可能な限り精密検査を必要最小限に抑え、その上で 高いがん発見率を上げていくということが目指すべき方向かと考えております。 事務局からは以上でございます。 ○垣添座長 ありがとうございました。大腸がん検診の実施の状況と論点整理、今後の スケジュールと資料1に沿いまして大腸がん検診の現状を報告いただきましたけれども、 何かこの内容に関して御質問ありますか。 どうぞ、清水委員。 ○清水委員 がん発見率の分母、分子を教えてください。何が分母で、何が分子かとい うことですか。 ○神ノ田課長補佐 受診者数が分母に来ます。それで、実際に発見された数が分子にま いります。 資料の3ページの方をごらんいただきますと、がん発見率という一番右の欄にありま す。 ○清水委員 わかりました。ありがとうございました。 ○垣添座長 どうぞ。 ○樋渡委員 このがん発見率はパーセントではないですね。100 をかけていない値だと 思います。 ○斎藤委員 私もすごく低いなと思って見ていたんです。 ○神ノ田課長補佐 大体1,000 人受診されて1人見つかるようなことですから、パーセ ントではございません。済みません、失礼いたしました。 ○垣添座長 そうすると、胃がんとか子宮頸がん0.1 %にほぼ匹敵すると考えていいわ けですね。わかりました。 ほかにいかがでしょうか。 私からで、4ページの受診率は山形県が断トツで43.5%なのが、その次の5ページの 要精検率は真ん中辺に落ちて7.2 %というのは随分格差がありますけれども、先ほど宮 城県の例をお話になりましたけれども、これは何か理由がありますか。 ○神ノ田課長補佐 ちょっと詳細は承知しておりませんが、この分析はかなり細かいと ころを見ていく必要はあるかと思います。 ○垣添座長 委員の先生、何か御存じの方はおられませんか。 結構です。ありがとうございます。 ほかにいかがでしょうか。 それでは、一応、資料1に沿いましての形でこういう大腸がん検診の現状であるとい うことで、検診開催の趣旨に沿って検討項目、大体6項目、それから大体今年の秋ごろ、 10月ぐらいまでに結論を出すということで、4回の議論の予定で進んでまいりたいと思 います。 それでは、「(2)大腸がん検診の有効性の評価について」ということで、まず斎藤 委員から資料の御説明をいただきまして、続いて祖父江委員からも御説明をいただいて、 その後議論をいただきたいと思います。よろしくお願いします。 ○斎藤委員 よろしくお願いします。国立がんセンターの斎藤です。 私の方からは、まず大腸がん検診に関するこれまでの議論ということで、主として大 腸がん検診がいわゆる旧老人保健事業に導入されるまでの経緯を簡単にお話し申し上げ ます。 1枚おめくりいただきますと、A41枚に要約があります。極めて雑駁な要約 で恐縮でありますが、大腸がん検診に関する公的な性格を持つ推奨といいますか、勧告 といったものは、一番上段にありますがん研究助成金による研究班による「適切な大腸 集検の方法」ということが嚆矢であります。 この班は昭和56年から59年まで行われたものです。内容は、要約しますと対象は40 歳以上、これが現在まで続いております。 スクリーニング法は、この当時はグアヤック法で3日法と。これは当時の欧米のやり 方を踏襲したものであります。 精検はシグモイドスコピー、S状結腸内視鏡検査と注腸X線検査の併用、または注腸 X線検査単独ということで、現在の全大腸内視鏡検査はここには選択肢として盛り込ま れてはいません。 注といたしまして、スクリーニング法は免疫法が利用できるようになればこれに代わ るということが添えられています。 この背景は、一部の地域では研究プロジェクトながら83〜84年辺りから既に胃集検規 模の大腸がん検診が免疫法便潜血検査を用いて行われていたということで、近い将来利 用できるようになればそれに変えるのが望ましいというふうなことであります。 次いで、平成元年に日本消化器集団検診学会から「大腸集検法」として勧告がなされ ておりまして、おおむね同じでありますが、違うところは、スクリーニングは免疫便潜 血検査を用いるとされております。 この背景は、先ほど御紹介しましたとおり、既に一部地域で行われていたことと、昭 和61年からはこの検査法キットが市販されまして、広く入手可能になりまして、これを 受けております。それで、1日法で行う。ただし、コンプライアンス、コスト等の施行 特性に関わる諸条件が整備された場合は2日法が推奨されるということが添えられてい ます。 この背景としましては、当時の研究班、久道班で2日法が感度と特異度がすぐれてい るという予備的なデータが出ていたからであります。ちなみに、後に、平成10年だと思 いますが、この勧告は2日法に変更されております。 精密検査といたしましては、昭和59年のものに全大腸内視鏡検査というオプションが 加えられております。 そして、付記といたしまして、各項目は今後の進展、新技術の開発等により改定され るべきものであると添えられています。 この後、検診が急速に普及しまして検診規模の拡大を見ておりますが、例えば、平成 元年には日本消化器集団検診学会の集計で、これは全国の全貌を示すものではなくて部 分集合を見ているだけでありまして、全国ではそれよりもかなり大きな規模で行われて いると考えられますが、平成元年に86万人という集計が出ております。 更に、先ほどのがん研究等助成金の研究班、久道班での共同研究で、症例対照研究に よりましてこの免疫便潜血検査による検診の死亡率減少効果というものが示唆されてお ります。 こういったことを受けまして、平成3年に厚生省によりまして「大腸がん検診基準検 討会」というものが設置されました。その趣旨は、資料にそのままそっくり載せてあり ますが、大腸がんの増加にかんがみて、これを第3次保健事業8か年計画として行うた めに基準を作成するというようなものであります。 こうやって作成されました基準は、次のページから4ページにまとめられております。 これが、現在に至る大腸検診方法でありまして、要点は御承知のとおりでありますので、 割愛いたします。 翌平成4年から、いわゆる老健事業の中のがん検診として大腸がん検診が導入されて おります。 これが平成13年になりまして、がん検診の有効性評価ということで、いわゆる久道班 により、新たながん検診手法の有効性の評価にまとめられておりまして、318 ページに その結論が示されておりましてまとめられております。 「便潜血検査による大腸がん検診の死亡率減少効果を示す十分な根拠がある。したが って、現行の検診を継続することを勧奨する。現行の免疫便潜血検査2日法による逐年 検診の効果についてひき続き評価・実証していくべきである」。これは1日法について 症例対照研究が示されたということであります。 「スクリーニングの精度管理については特異度の向上を目指すべきである。効果を上 げる上で精検受診率の改善が急務である。精検は現行のS状結腸内視鏡検査と注腸X線 検査の併用から積極的に全大腸内視鏡検査に切り換えていくことが望ましい」という結 論が出ております。 それ以後、本年、後で祖父江委員から提示があります有効性評価で、まず大腸がん検 診が取り上げられておりまして、それぞれ久道班から一歩進めて、いわゆる対策型検診 と任意型検診、つまり個人が受診の意思決定をする検診別に勧告が出されることと思わ れます。 以上で、この大腸がん検診のこれまでの経緯についてざっとまとめました。 その次のページをおめくりください。横になりますが、6ページ目です。 皆様御存じのことで大変恐縮なのでありますが、一応、会の導入ということで、現在 の便潜血検査等の大腸がん検診のスクリーニング法についてごく簡単に御説明申し上げ ます。 6ページの1枚目が、私が知り得ています世界各国の大腸がん検診の現状につ いて、その一部を抜粋したものであります。 簡単に御説明しますと、米国ではこの4つの方法プラス、もう一つ併用法があります が、複数からの選択となっておりまして、FOBTは便潜血検査、CSは全大腸内視鏡 検査、FSはS状結腸内視鏡検査、BEは注腸X線検査でありますが、こういったもの から選択して行うということになっております。 米国以外の国では全大腸内視鏡検査を一部入れたものがありますが、すべて便潜血検 査でありまして、これが化学法の便潜血検査と免疫法の便潜血検査と分かれております。 したがいまして、この3つ、便潜血検査の2つの方法、それから2つの内視鏡検査、こ れらが主たるスクリーニング法となっております。実際には注腸X線検査は現在では余 り用いられておりません。 「各スクリーニング法の利点・欠点」でありますが、次の表をごらんください。この 3つについてだけ取り上げております。便潜血検査は2つを一括して示してあります。 感度に関しましては、便潜血検査は低いあるいは中等度。それから、シグモイドスコ ピーは中等度から低い。コロノスコピーは非常に高いということがこれまでの報告から 要約できると思います。 受容度に関しましては、上から下に高いから低いの順番です。処理能力も、そのよう な順番になっておりまして、コストは逆であります。 有効性は、便潜血検査についてだけ確立しておりまして、シグモイドスコピーについ て示唆と。コロノスコピーについては不明といいますか、今回の祖父江班の判定の以前 の段階ですが、国際的には不明であるというようなことであります。 この対策型検診として、健康政策としてやる上での実行可能性は、FOBT、便潜血 検査についてだけ確立しております。 こういうことで、感度の点ではでき得るならば内視鏡ということが望まれるわけであ りますが、その他の諸条件ですべてこの対策型検診としての条件はまだ示されていない というのが現状であります。 次をおめくりください。 こういったことで、内視鏡による検診というものが一部で必要性が叫ばれておりまし て、ただし、先ほどの表にありましたとおり、この実行可能性および偶発症、その他の 諸条件でこれがクリアーできなかったわけでありますが、2000年ごろに全大腸内視鏡検 診による検診のスクリーニングの費用効果やスクリーニングコロノスコピーの有用性に 関する有力な論文が出されまして、にわかに内視鏡検診、スクリーニングコロノスコピ ーが現実味を帯びてきたというようなことがあります。 しかし、一方ではまだそういうキャパシティーがなく、それではということで、次善 の策といたしましてシグモイドスコピーで行おうという考えが有力だったわけですが、 シグモイドスコピーに関しましては上段にありますとおり非常に不十分な検査であると いう指摘がありました。 シグモイドコロンまで65%前後のがんがあるわけではありますが、深部に関しては見 えないわけでありまして、シグモイドスコピーで検診を行うのは片方の乳房に対してマ ンモグラフィーを行うに等しいと。もっと奥まできちっと見なくてはいけないというこ とでコロノスコピーを進める意見がこれ以降噴出してきたわけです。 同時に、このような非常に沸騰した議論でありますが、有効性を示す根拠はまだ弱い ということ。それから、有害事象に関して、これはまだアクセプタブルではないという こと。コンプライアンスが示されていない、あるいは低いというふうなこと。その他の 安全性の面での懸念ということも強調されておりまして、スクリーニングコロノスコピ ーが対策型検診としてのコンセンサスを得るというふうには至っておりません。 こういったことで、最初の6ページに戻りますが、各国では主として便潜血検査によ る検診が対策型検診として行われているという現状であります。 以上です。 ○垣添座長 どうも大変ありがとうございました。 引き続きまして、祖父江委員の方から説明をお願いいたします。 ○祖父江委員 がんセンターの祖父江と申します。よろしくお願いします。 お手元の資料のうち資料3「有効性評価に基づく大腸がん検診ガイドライン(普及版)」 というものと、参考資料として配布されております参考資料1「新たながん検診手法の 有効性の評価−大腸がん部分の抜粋−」、これは久道班の報告書というものです。それ から、一番分厚い、最後に配られております有効性評価に基づく大腸がん検診ガイドラ インのフルバージョンを資料として使います。ただ、フルバージョンに関しては全部を 説明するわけにはいきませんので、普及版を通じて説明させてください。 それでは、ページをめくっていただきまして資料3を説明します。 大腸がん検診の有効性評価に関しては、既に久道班の方で過去3回行われています。 最新版が参考資料1として示されております2000年に出ているものです。この中で、大 腸がん検診の評価としては便潜血検査が取り上げられておりまして、評価としては1A、 死亡率減少効果に関して十分な証拠があるという判断がされています。 久道班の報告書の中で、今後の課題としてこうしたガイドラインの更新を研究班とい う形ではなく常設の機関で定期的に行っていくべきであるという点と、もう一つは日本 でも有効性の評価研究としてRCTを含む質の高い研究法を是非採用すべきである。そ の基盤を整備すべきであるというような指摘がなされています。 その前者に関して取り組むために、一昨年、平成16年から厚生労働省がん研究助成金 の研究班としてがん検診を扱う研究班を担当させていただくことになりました。その中 で、まずはガイドラインをつくる標準的な手法というものを定式化し、それを一つのが ん検診に対して当てはめて、それを検討していこうということで過去2年間検討してま いりました。 例としては、大腸がんを選んで検討しました。本日お示ししたものは、有効性評価に 基づく大腸がん検診のガイドラインですけれども、これと別に作成手順に関しても一つ の冊子をまとめております。本日はそれは割愛させていただきますけれども、併せて報 告書としてまとめています。 そのガイドラインをまとめる際の基本的な姿勢なんですけれども、検診というのは検 診受診者に対して利益をもたらすばかりでなく、不利益という点があります。そのこと を考えて、その2つについて文献を通じて系統的な総括を行うということが基本的な姿 勢であります。その際に証拠をまとめ、推奨を決定するというようなことをするわけで すけれども、検診の目的として集団を対象とした対策型の検診と、個人のリスクを下げ るということを目的とした任意型検診というものを区別して推奨を提示するという試み を行いました。後でこのことに関しては詳しく説明します。 基本的に、すべての検診に関わる関係者の方々に有効性に関する情報を提供するとい うことを目的として作業を進めてまいりました。 ガイドラインの作成方法ですけれども、今申し上げましたように、現在診療ガイドラ インといったもので大体やり方としては定式化されていると思うんですけれども、文献 を系統的にレビューし、集められた文献に基づいて個々の論文を質を含めたチェックす ると。そうしたものをまとめて、証拠をまとめ、サマリー及びエビデンスを作成し、そ れに基づいた推奨、ガイドラインのレベルを決定して一般に公開するというのが一連の ガイドラインのまとめ方だと思います。 その中で、アナリチック・フレームワークというものを採用しています。これが図1、 一番最後の方の16ページにございます。これは検診を受けて生じるイベントを時間の流 れ、経過とともに提示したものなんですけれども、本来大腸がん検診の有効性の評価と いうものは、検診を受けて最終的に大腸がんの罹患あるいは死亡が下がるかどうかとい うことで判断をいたします。 この図でいきますと、1に当たる研究がそれなんですけれども、そういう直接的な証 拠を提示する研究というものが十分にあればそれだけで判断ができますが、それがどう しても多くないという状況が出てきます。中間的な指標でもって評価をするということ もできるだけ取り上げるというようなことをする際に、全体での研究の位置付けという ものをはっきりさせるためにこういう流れ図を書いて、この研究はこの位置付けである ということをまとめていくということをサポートするための流れで、これをアナリチッ ク・フレームワークというふうに呼びます。 大腸がん検診の場合は、特徴としては複数の検診方法があるということ。それから、 ポリペクトミーを通じての大腸がん罹患そのものの減少というものが一つの中間指標と してあるということが特徴になります。 ページを戻っていただきまして2ページ目ですけれども、通常のガイドライン作成手 順に従って文献をMEDLINE等からチェックをし、不利益に関してはさまざまなあ らゆる情報を通じて収集を行ったということであります。 「4)推奨の過程」に行きますけれども、そうして集めたさまざまな論文について証 拠のレベルというものを決定します。 18ページの「表1 証拠のレベル」というものをごらんになっていただきますと、通 常質の高い研究というのが無作為化比較対照試験というものです。証拠のレベルとして は、これに対して1で、2が観察的な研究、主には症例対照研究、コホート研究がこれ に相当します。3がその他の研究、4が専門家の意見というものですけれども、たとえ RCTでもきちんと行われた、正しく行われたRCTかどうかということで評価が変わ ってくるという指摘がありますので、質が高い低いということもこの評価の中に入れま して、証拠のレベルに2+、1+、−というものを加えています。それぞれ質のレベル を表すものであります。 加えまして、先ほどのアナリチック・フレームワークをできるだけ採用しようという ことで、例えば1+の中にAF、アナリチック・フレームワークの組み合わせとして、 アナリチック・フレームワークの重要な段階においてRCTが行われており、2+以上 の症例対照研究、コホート研究が行われている場合は、本来ですと2+というふうに判 断するところ、1ランク上げて1+というふうに判断するというような形で、AFの中 で出てくる研究結果をできるだけ採用するというようなことを試みました。それが2+ の場合にも存在します。 このような形で証拠のレベルを決定し、次にそれを推奨につなげるという作業があり ます。表2が推奨のレベルの対応関係を示していますけれども、証拠のレベル1という ふうに付いたものが基本的には推奨A、「死亡率減少効果を示す十分な証拠があるので、 実施することを強くすすめる」と。証拠のレベルが2と判定されたものに関しては、「相 応な証拠があるので、実施することをすすめる」ということになります。 ただ、ここに不利益というものがあります。不利益に関しては、系統的な、定量的な 判断ということが難しいので、個々のイベントをそのまま記述するということをしまし た。 表7なんですけれども、検診方法別に偽陰性率、偽陽性率、事前の食事制限ある いは前処置、前投薬、スクリーニング後の偶発症、放射線被曝等、不利益と考えられる ものをすべて列挙し、どの程度存在するのかという存在頻度のデータがあるものに関し てはそれも併記しつつ列記するということです。 これを見て、かなりの部分に主観的な判断が入るかもしれませんけれども、少なくと も直腸指診、便潜血検査の化学法、免疫法については大きな不利益というものが存在し ない。対して、S状結腸内視鏡、全大腸内視鏡、注腸X線に関しては無視し得ない不利 益がある程度存在するというような判断ができるかと思います。 戻っていただきまして、こうした不利益についての判断を推奨のレベルの中に含めて おります。19ページの表2ですけれども、Cと書きましたのが死亡率減少効果を示す証 拠はあるレベルであるのですけれども、無視できない不利益があるために集団を対象と して実施することは勧められないという表現にしました。個人を対象とする場合には、 安全性を確保するとともに、不利益について十分説明する必要があるというような判断 です。 Dについては、このレベルとしては1、2に対応していますけれども、いずれにして も死亡率減少を示す証拠がないとするものでありまして、実施すべきではないという判 断です。 Iが、死亡率減少効果の判断をするための十分な証拠がない、証拠が不十分であるた めに、集団を対象とする検診としては実施することは勧められない。個人を対象として 実施する場合には、効果が不明であることを十分説明する必要がある。 このような表現で、推奨のレベルを5段階にランキングしました。 実際に、ちょっと不利益の方が先走ってしまいましたけれども、利益に関してどれだ けの証拠があるのかということを検討しまして、最終的に約八十の文献を採用して、そ れに基づいた証拠のまとめをつくりました。そのまとめの結果が20ページの表3であり ます。 方法別には、便潜血検査を始め、7つの方法別に証拠のレベルを判定しました。 直接証拠としては、例えば便潜血検査化学法ですと13あるうちの9が有効性の有意差 をもって有効性を証明した研究であり、その他が4あると。この結果、判定としては1 ++というふうに判断します。便潜血検査化学法については、総数13のうちの3つがR CTによるポジティブな結果です。そのために、1++というふうになります。 便潜血検査免疫法については、直接的な証拠5のうちのすべてが観察的なケースコン トロールスタディによる方法ですので、判断としては2+というふうになります。ただ し、間接的な証拠でもって化学法と免疫法とを感度を比べた場合に、免疫法の方が感度 がまさるというようなデータが主に出ておりますので、それを組み合わせると証拠のレ ベル、一番左の方ですけれども、最終的な判断として1+という判断をしたということ であります。 S状結腸鏡検査に関しても同様に、直接的な証拠だけで判断しますと2 +ですけれども、証拠のレベル、最終的な判断としては1+。 以下、S状結腸等の併用法、全大腸内視鏡検査、注腸X線検査に関しては観察的な結 果であるというようなことが主でありますので、結果としては2+と、いずれも有効で はあるんですけれども、間接的な証拠であるという判断であります。 直腸指診に関しては、効果がないとする結果が2つありまして、これは有効でないと いうことの2+という判断であります。 それが総括なんですけれども、それぞれの中身に関しましては、表4に便潜血検査化 学法によるRCTが3つあると申し上げました結果の節であります。 表5に関しては、便潜血検査の化学法、免疫法それぞれの感度を比べたもの。概して、 免疫法の方が化学法に比べて感度、特異度ともまさっているということが見て取れるか と思います。 表6が、免疫法に関しての症例対照研究、観察的な研究でありますけれども、これに 関しても大腸がん死亡の抑制効果が有意差をもって示されているというものがほとんど であります。 表7につきましては、これが不利益、先ほど申し上げた表であります。 総合的に判断をしましてといいますか、証拠のレベルと不利益、この2点に基づいて 判断をしますと、便潜血検査化学法、便潜血検査免疫法については証拠のレベルが1と いうことで推奨のレベルがA、すなわち死亡率減少効果を示す十分な根拠があるので、 集団及び個人を対象として便潜血検査化学法による大腸がん検診を実施することを強く 勧める、あるいは免疫法に関して強く勧めるということになります。 ただし、添え書きとして、便潜血検査化学法に比べて免疫法の場合は感度がすぐれて いる点、それから、受診者の食事・薬剤制限を必要としないという点から、化学法より 免疫法を選択することが望ましいという付記をしております。 一方、S状結腸、S状結腸と便潜血の併用、全大腸内視鏡、注腸に関しては無視し得 ない不利益があるという点をかんがみて推奨レベルとしてはCというふうにしておりま す。 同様のことが書いてありますけれども、死亡率減少効果を示す十分な証拠はある んですけれども、内視鏡到達範囲外に死亡率減少効果は期待できない可能性が高い。一 方、検査に伴う不利益は少ないと言い切れないため、集団を対象として実施することは 勧められないと。個人を対象として実施する場合には、安全性を確保するとともに、到 達範囲外の死亡減少効果は不明なことや、前投薬、検査による不利益について十分説明 をする必要があるというようなことがS状結腸検査には書かれておりまして、あと、同 様の表現が書かれていると。 直腸指診に関しては、死亡率減少効果がないとする証拠があるために、実施すること は勧められないということで、Dという判断をしております。 ページをめくっていただきまして、表9です。 冒頭に申し上げましたような対策型検診、任意型検診というふうな2つに分けた考え でいきますと、対策型検診というのは集団全体の死亡率を下げるために行うもので、具 体例としては老人保健事業で行う集団検診あるいは職域検診というようなものが想定さ れます。一方、任意型検診は、個人の死亡リスクを下げるために個人の判断で行うとい うものでありまして、人間ドックというものがいい例かと思います。 こうした分け方でいきますと、対策型検診として適当であると判断できるのは、便潜 血検査化学法・免疫法の2つであります。任意型検診として適当だと判断されるのが、 上の6つの検診方法であるということになります。ただし、注釈に書いてありますよう に、化学法に比べて免疫法の方が感度が高いというようなことから、免疫法を選択する ことが望ましいというようなことであります。 表10が、諸外国の判断と比べた場合の今回の判断がどうかということを示したもので す。 アメリカでの判断というのが、US Preventive Services Task Force が2番目に 書いてあります。ACSがAmerican Cancer Society 、AGAが消化器系の学会のガイ ドラインでありますけれども、いずれも便潜血検査に加えて内視鏡系の検査を併せて推 奨すると。いずれも等しく推奨するというような判断になっています。 一方で、フィンランド等では便潜血検査の化学法のみを推奨するというような判断に なっています。 カナダは、その中間的な判断というような形ですけれども、今回の我々の研究班の判 断は割とカナダに近いといいますか、アメリカとヨーロッパの中間のような形の判断に なっています。 こういうようなところですけれども、またページを変えていただきまして、「7.今 後の課題」というのが9ページから10ページの方にあります。 大腸がん検診に関しては、先ほど斎藤委員の方からちょっと触れられたかと思います けれども、問題点としては精検の受診率が低いですとか、あるいは個別検診で特にそう いうことがあるというようなことをここの中で指摘させていただいています。 本ガイドラインの目的としては、検診に関わるすべての方々に有効性に関しての理解 を深めていただくということが趣旨でありますので、まとめたものとしては非常に分厚 いものなのですけれども、これをそのまま皆様方に配布をすると絶対に読んでいただけ ないということは前回の久道班のガイドラインの場合もそのような傾向がありました。 それはアンケート調査を行った結果、例えば市町村のがん検診を担当される保健師さ んの方々にあれを読めと言われてもなかなかそれは読んでいただけないと。それで、骨 子をまとめてわかりやすく説明をした簡略版、あるいは一般向けの解説書で、実はそう いうものとともに専門家の先生方にもわかりやすく説明した解説本というものが必要な のではないかというふうに考えておりまして、そういうものを順次準備をしていき、更 に英語にして世界に対しても日本でやっていることをアピールするというようなことを 考えています。 そういうことを通じて、どれだけこういうガイドラインに従った施策 が取られているか、あるいは検診が行われているかということも継続的にモニターをし、 足らない点は付け加え、間違っている点は直すというようなことで、がん検診をより有 効なものに、がん死亡を減少させるということにつなげるためのがん検診を行っていき たいというふうに思っております。 以上です。ありがとうございました。 ○垣添座長 ありがとうございました。斎藤委員と祖父江委員の方から資料の説明をい ただきました。 それでは、ここで、まず斎藤委員に関して御質問あるいは御発言がありましたらお受 けしたいと思います。これまでの厚生省の班研究による歴史的な背景と、いろんなポイ ントを紹介していただきました。 日本が対象年齢を40歳以上に決めたのは、どういう理由ですか。各国状況、6ページ によると大体早くて45歳ということになっていますが。 ○斎藤委員 それまで行われていた胃がん等とそろえて、大腸がん検診が40歳以上を対 象として始まったということだと思います。 ○垣添座長 どうぞ。 ○土屋(了)委員 今のに関連してなんですけれども、罹患率とか年代別の罹患率がそ ういうので40歳以上として何か根拠となるものがあるということはない。単に他の臓器 とそろえるというような意味だけですか。 ○斎藤委員 有効性評価が行われたのが、症例対照研究でやはり40歳以上に行われて、 そのフィールドで有効性が示されたということがまず第一にあります。 罹患率等から考えますと、もう少し後の50歳辺りが急峻に罹患率が上がってくるとこ ろですので、効率からいくともう少し対象年齢が高い方がいいんだろうということもこ れまでの成績から推測されます。 ただ、証拠としては一応40歳から有効であるということが示されているということで す。 ○垣添座長 そうすると、今の40歳代でどのくらい発見される、50歳代でどのく らいという、何かグラフはありますか。 ○斎藤委員 今、ここにはありません。 ○垣添座長 そうすると、次回ですか。 ○斎藤委員 はい。用意できると思います。 ○垣添座長 年齢をどうするかということで、そういう資料があれば大変参考になりま すので、よろしくお願いします。 ほかにいかがでしょうか。どうぞ、森山委員。 ○森山委員 今、胃がん等が出てきたんですけれども、我々の認識では何となく臨床の 方では大腸がんの方がやはりスパンが長くて、発育のスピードが遅いというような感覚 があるので、そういうことというのはどこかに考慮されているんでしょうか。 ○斎藤委員 それが前臨床期が長いということで検診不安という理由だと思うんですが、 それをちょっとうがって考えますと、便潜血検査の早期がんまで入れた前臨床期がんに 対する感度というのは1回では余り高くないわけです。免疫法では化学法よりは高いの ですが、それでも内視鏡検査に比べると随分低いです。それでも有効だということが、 前臨床期が長いためにこの連続して行う逐年検診で死亡率減少が図っていけるというこ との背景だと思います。 ○垣添座長 これは検診の費用として、つまり化学法と免疫法でどのくらいキットの値 段が違うんですか。 ○斎藤委員 今まで便潜血検査免疫法に関する信頼性に足る費用効果分析の報告は、英 文で日本から2つ出ておりまして、正確なことはわかりませんが、少なくとも一方では、 便潜血検査免疫法の方は費用効果はすぐれているという結果が出ています。その理由は、 やはり発見率が高いということです。 ○垣添座長 ほかに。 どうぞ、土屋委員。 ○土屋(了)委員 同じく6ページの「大腸がん検診の各国の状況」ですけれども、実 施レベルの国、パイロット、地方、国と。これは具体的にはどういうような内容になっ ているかを教えていただけますか。 ○斎藤委員 御存じのとおり、欧米ではエビデンスに基づいた意思決定ということが徹 底しておりまして、死亡率減少効果がある検診をさらにナショナルレベルでやってうま くいくかどうかという、つまり死亡率減少が図れるというふうな値踏みを慎重にしてか ら行うということがあります。先ほど祖父江委員から示されましたRCTを受けて、米 国、それから、英国もパイロットスタディを完了し、2006年から始まることが決まって います。これはRCTの後にそういう大規模パイロットスタディを経て、受診率をはじ め、国レベルでの死亡率減少効果が図れるという根拠が示されたことによります。 そういうわけで、国レベルでの導入が既に図られているところあるいは近々そうなる ところはごく限られておりまして、米国、英国、オーストラリア、それから、多分フラ ンス、そしてドイツというところであります。 地方といいますのは、イタリアでは国レベルでの国家検診は一応内視鏡を使って行わ れているんですが、これは成功していません。かわりにイタリアでは、地方に健康政策 決定の権限がありまして、特に北イタリアにおいて比較的大きな範囲でオーガナイズド ・スクリーニングを積極的にやっているということで注目すべきものとしてあえて取り 上げました。 ○土屋(了)委員 そうしますと、このパイロットというのはスタディの段階という意 味ですか。 ○斎藤委員 ですから、パイロットというのは死亡率減少効果が示されたんですが、こ れが実際に国家レベルで、ナショナルプログラムとしてやって死亡率が下げられるかど うかということを見るためのパイロットスタディという意味です。 ○土屋(了)委員 検診が国家レベルで行われているということとは違うわけですか。 ○斎藤委員 ですから、丸ごと国家レベルで導入する1つ前の段階としてうまく機能す るかと。死亡率減少効果を示したRCTというのは、あくまでも研究レベルなわけです。 それを、実際に国レベルで受診率をはじめ同じような精度管理ができるか。いいマネ ージメントができるか。そして、死亡率減少につなげられるかということを見るための パイロットサービス。したがって、このパイロットスタディでRCTで示された以上の 成績が出ればゴーサインが出るというようなことだと思います。 ○土屋(了)委員 しつこいようですが、イタリアの国というのは研究レベルと考えて いいわけですか。 ○斎藤委員 内視鏡検診の方についてですが、これは、一応ナショナルプログラムとい う定義にもよると思うのですが、一応国費で該当する人口にオファーをして、それをフ ィーも全部出すというふうな意味でナショナルプログラムと名付けていますが、定義に よってはナショナルプログラムと言えないかもしれません。一応、アナウンスが国レベ ルということで実施レベルは国としたのでありますが、上の2つの国というのとはちょ っと異なると思います。 ○垣添座長 そこの上の米国とかドイツに関して言うと、国レベルということは検診の 自己負担はなしということで、国策でやっているということですか。 ○斎藤委員 米国に関しましては、この右のスクリーニング法別に示しました括弧内が 検診のインターバルなんです。このインターバルを守って行われた部分に関しましては、 払い戻しがされるということであります。全額だと思います。 これはドイツに関してもそうだと思いますが、確認してみないと正確なことはわかり ません。 ○垣添座長 どうぞ、祖父江委員。 ○祖父江委員 ちょっと補足なんですが、先週、実はイギリスのNHS、キャンサー・ スクリーニング・プログラムに行ってまいりました。そこのダイレクターに大腸がん検 診に関しても伺ってきたのですけれども、まだパイロットをしている段階で、国レベル で導入したわけではないと。 パイロットをする理由としては、斎藤委員のおっしゃったこととかぶりますけれども、 やはり受診率を確認したいということのようです。現在のところ予定しているのは、60 〜69歳に対して近々導入をするということを予定しているそうです。 年齢範囲を非常に狭めてやるのは、向こうの英国でやっている検診はコール・アンド ・リコールシステムというものと、QAシステムという、後の管理の体制が非常にヘビ ーなものをしますので、まずはできるだけ少ない範囲でやって、うまくいくことを確認 してから拡大をするという方針のようでした。 方法としては、化学法と書いていますけれども、免疫法も同時に検討はしているとい うことでありました。勿論、NHSの中でやるので、検診は全部無料です 間隔については、たしか2年に1回だったと思うんですけれども、ちょっと定かでは ありません。 ○垣添座長 米国としては60〜69歳を対象に、2年に一遍、便潜血反応で大腸がん検診 をやろうということですね。 ○祖父江委員 そういう方針で、今、検討をしているということかもしれません。 ○垣添座長 どうぞ。 ○斎藤委員 2006年4月だと思いますが、とにかく2006年から導入するということの アナウンスは既に公式にされています。 ○垣添座長 その場合、60〜69歳としたというところが、後のフォローアップは非常に 厳密にやるということで対象を絞ったということですけれども、これは我が国の検診医 療を考える場合に影響はどういうふうに考えないといけませんか。これまでは40歳以降 でやっていますね。 ○祖父江委員 ですから、英国のポリシーというか方針は、定められた対象の人たちに 確実に検診を提供することによって対象者の中での死亡率を減らすということを実現す るためにありとあらゆる事をします。それが、全体の小さな予算で大きな効果を生み出 す一番効率的な方法だというふうに考えているということのようです。 ○垣添座長 いずれにしても、先ほど斎藤委員にお願いしましたように、日本における 各年齢層の大腸がんの罹患率というのか、何かそういうグラフがないと、考える上でそ ういう資料は是非とも必要です。よろしくお願いします。 どうぞ。 ○斎藤委員 今、祖父江委員のコメントで大体言い尽くされていると思うんですが、ナ ショナルスクリーニングコミッティーというのがありまして、このパイロットスタディ のプロジェクトをやる前の検討がかなりいろいろ資料があるんです。それを見ますと、 英国ではRCTで死亡率減少効果が示されたわけですけれども、やはり、先ほどの繰り 返しになりますが、実際に死亡率を下げるためにはまだまだ研究と実際とは違うという 認識が一つあります。受診率が一つ大きな問題なんですが、コンプライアンスが保てる かということです。それをきちっとやるためにターゲットを絞って、よかったら広げて いくというふうな考えだと思います。 もう一つは、やはりコロノスコピーのキャパシティーが英国は非常に貧困であるとい うようなことが書いてありまして、それと、更には特にパーフォーレーション(腸管穿 孔)ですが、偶発症を非常に懸念しておりまして、このパイロットスタディの結果の柱 の1つは、偶発症が少なかったということも挙げられております。それでゴーサインが 出たということではないかと個人的には考えております。 ○垣添座長 ほかにいかがでしょうか。 それでは、引き続きまして、祖父江委員から御紹介いただきました有効性評価に基づ く大腸がん検診ガイドラインに関して御発言がありましたらお願いします。 どうぞ。 ○土屋(了)委員 祖父江委員の御報告で、26ページの最初におっしゃった対策型検診 と任意型検診とに分けて推奨レベルを考えるというのは大変実用的でわかりやすい分け 方かと思うんですが、27ページの表10の各諸外国のガイドラインというところを見る と、米国あるいはカナダ、フィンランド、それぞれかなり結果に差異があるんですけれ ども、これは米国のものはかなり任意型検診も意識していると考えてよろしいんですか。 ○祖父江委員 そうだと思います。やはりヨーロッパの方は、英語で言いますとオーガ ナイズド・スクリーニング、オポチュニスティック・スクリーニングという分け方をす るんですけれども、それと今回の対策型、任意型というものが1対1では対応していな いと思います。 ただ、日本語にする場合にオポチュニスティック・スクリーニングというのを日和見 検診とかそういうふうにするとちょっと具合悪いですし、組織化された検診というのも 日本語では言いにくいので、このようにさせていただいていますけれども、考え方とし ては対策型検診というのは組織化されたもので、集団としてのリスクを下げたいという ようなことを目指しているんだということは一致していると思います。 概して、ヨーロッパはオーガナイズド・スクリーニングを重視する。アメリカは、全 体としてのオーガナイズド・スクリーニングというのはちょっと無理なので、かなりの 程度任意型にゆだねるところを持っているということだと思います。 ○垣添座長 どうぞ。 ○樋渡委員 フルペーパーの方で、日本で現在行われている老健法による検診方法は、 対策型としては不完全なものであると。住民台帳がないことも一つ挙げておられるんで すが、全体的に不完全とする要素というのはそのほかに何かあるんでしょうか。○祖父 江委員 対象者名簿を個人で把握していないというところがかなり多いという点、それ から、後の精度管理に関しての情報の収集の度合が不完全であるという点、これが大き いと思います。 ○垣添座長 どうぞ。 ○渡邊委員 地域別に受診率が違うのは先ほど御報告があったんですけれども、現在の ところ、そういう受診率と大腸がんの死亡率との相関に関する仕事は先生のところでは されていないんでしょうか。受診率が高いところでは、大腸がんの死亡率が減っている というエビデンスは得られているんでしょうか。 ○祖父江委員 今のところ、残念ながらその動向に関しての関連は検討していません。 ただ、昔、愛知がんセンターにおられた黒石先生が、ほかのがんに関しては幾つかや られていると思います。大腸がん検診はやっておられないと思います。 ○垣添座長   どうぞ、森山委員。 ○森山委員 やっていないということは、基礎となる十分なデータがないということな んでしょうか。 ○祖父江委員 死亡率に関しては、別に人口動態統計で都道府県別の動向というのはき っちり見られるんですけれども、受診率というのがどんな定義ではかられた数字なのか というのが恐らく市町村ごとにまちまちであると、ここが問題だと思います。更に、概 して受診率が低い状態にある場合、都道府県全体の死亡率の動向に影響を与えるほど検 診の効果が大きくはないのではないかということが懸念されます。 ただ、資料1で恐らく前回の久道班の最新版の第3版の中で黒石先生が恐らく検討さ れていて、40〜69歳の大腸がん死亡率が高受診率地区では低下していたということが報 告されています。ただ、これがどの検診に基づくものなのか、ほかの要因に基づくもの なのかというのはちょっと判断は難しいということが言えるかと思います。 ○垣添座長 その受診率が県によってどういうふうに調べられたのかなんかは必ずしも はっきりしないというのは、資料1の3ページにある受診率というのは対象者数を母数 にして、受診者の数を分子にするというやり方でやっているとは限らないということを 意味するんですか。 ○祖父江委員 いえ、対象者なんですけれども、対象者の定義がそれぞれ違うと。個人 の名簿でもって、老人保健事業の場合はほかの機会で検診を受けられる人たちは除くと いうことが原則なので、職域で受けられる人は除く、あるいは医療機関に関わっている 人は除くというようなことをするんですが、それを個人レベルでやっているところもあ れば、何か推計式を使って推定しているというところもあります。それが同じ府県の中 でも市町村によってばらばらな方法が取られているので、対象者数を低く見積もれば当 然受診率は上がるというようなことで、比較性に関してはかなり問題があるというふう に思います。 ○垣添座長 そうすると、先ほど私が聞いた次の4ページ目、山形県が43.5%と非常に 高いのも必ずしもこれは他府県との違いで、こういうように非常に受診率が高いという ふうにそのまま受け取れないと。 ○祖父江委員 必ず対象者をどのように測定したのかの定義を確認する必要があると思 います。 ただ、黒石先生がやられていた研究は、そこのところを介するために住民数をすべて 分母として計算するカバー率というものを使って計算されているはずです。報告されて いる受診率よりも当然低くなるわけですけれども、その方が比較性という意味では保た れるだろうということで使われていると思います。 ○垣添座長 どうぞ。 ○斎藤委員 その場合は、老人保健事業以外の場で行っている検診の把握ができないの で、住民を分母にした場合はその比較性はあるんですが、老人保健事業以外で行われた 検診、受診歴に関しては把握できないので、今度は分子の方が危うくなってくるという ことがあると思います。 ○清水委員 地域比較には限界があるということですね。 ○垣添座長 どうぞ。 ○土屋(了)委員 今のは大変大事なことだと思うんですが、確かに祖父江先生がまと められた検診ガイドラインの、今はエビデンスがみんなスタディでの検診がもとになる と思うんですけれども、これが改定されていくとすると、実際に実施されているものが、 先ほどの英国のようにどれだけきちっとフォローアップされるかというデータが次のガ イドラインの改定していくときの一番のもとになるだろうと思うんです。実際にどれだ けの効果があるかというエビデンスが、本来は出てこないといけないですね。 ○祖父江委員 今回紹介させていただいたのは、あくまで有効性に関するガイドライン ですので、実際の検診がどのようにやられているかに関する実施モニタリングとはちょ っと違うガイドラインだと思います。新しい検診技法が開発された場合に、それが死亡 率減少効果という点で本当に有効であるのかどうか、不利益はどうなのかということを 検討して、この有効性ガイドラインに加えていく、更新をしていくというのがこのガイ ドラインの趣旨です。 勿論、それだけでは十分ではないので、実施されている各検診に関しての精度管理、 QA、法律アシューアランスについてはまた別途やり方を定め、それに関してデータを 集めて報告書を出すということが必要だと思います。その機能が、現在老人保健事業報 告として十分にされているかというと、そこのところはまだ手薄ではないかというふう に思っています。 ○垣添座長 どうぞ。 ○三浦老人保健課長 まさに祖父江先生が言われるように、そこの部分をどうやってい くかということが課題でございますので、今回の検討会のテーマとして、最終的にはそ ういう事業評価、どのようにやれば適切に自治体で行っていただけるのか、そういうガ イドラインをこの検討会で御議論いただきたいというふうに考えております。 ○垣添座長 この前の女性がんに関しても、事業評価というのを付けていただいたとい うのは大変よかったと思うんですけれども、大腸がんに関しても同じことが言えると思 います。 この検討会開催の趣旨のところで事務局から御説明いただきましたように、検討項目 として大腸がん検診の現状、方法、精密検査の方法、検診受診率の向上策、それから事 業評価という主に5点あるわけですが、本日は大腸がん検診の現状と方法についてお話 しいただいたのでしょうか。これを最終的に報告書にまとめていく上で、事業評価を進 めていく上で、本日の議論で足りない部分は何かということがありましたら御指摘をい ただけませんか。 どうぞ。 ○三浦老人保健課長 先ほど、次回の宿題になっていると思いますが、斎藤先生の方か ら50歳以上で罹患率が高まるというので効率性がよくなるという議論があって、今どの ような状況かというデータを次回お持ちいただければというふうに思っているんですが、 祖父江班の方でそこら辺の年齢問題、対象年齢を何歳にするかとか、あるいは何歳から 有効であるとか、そこら辺のデータがどのように検討されたのか、もしあれば教えてい ただきたいと思いますし、ないとするならば今後どういうふうに考えていくべきか、サ ジェスチョンをいただければと思います。 ○垣添座長 非常に大事なポイントだと思います。 ○祖父江委員 非常に大事でありまして、これは大腸がん検診だけではなくてほかの検 診にも通じる大きな問題だと思います。何か根拠をもって示すということを、有効性に 求めるというのがまず一つあると思います。 乳がん検診のような場合は、外国の例でいきますと40歳代に関して有効性にちょっと 問題があり、50〜60歳代に関しては有効性が確定しているというようなことで、今は英 国の場合は50歳〜64歳。69歳に延ばすという話をしていましたけれども、そういうよ うな決め方をすると。 上限も、対策型検診をする場合にはどうも決めているようで、そこに関してはやはり 受診率がそんなに上がらないであろうということで、対策型でやる場合にはやはり受診 率を70〜80%に持っていくというのが前提にあるので、高齢者の場合にはそこまで持っ ていくことを前提とはしないという立場で上限を決めるんだというようなことを、先週 行ったNHSのキャンサー・スクリーニング・プログラムのダイレクターが言っていま した。ですから、有効性の証拠とアクセプタンスレート、受診率に関しての証拠、これ から上限、下限というものを決めていくというようなことをおっしゃっていました。 あと、考えるべきことはやはり経済効率とかというようなことも発見率、罹患率とい うようなものを勘案しての効率といったものだと思うんですけれども、それを直接年齢 範囲の設定に結び付けるのは結構難しい話であるというようなことも同時に言っていま した。 ですから、この場で年齢を決めることに関して明確な方向性というか回答とい うのはちょっと難しいので、若干時間をいただいて、諸外国での決め方等を勉強しつつ、 また案を提示させていただきたいというふうに思っています。 ○垣添座長 それでは、次、お願いします。 それでは、斎藤委員。 ○斎藤委員 今の有効性についてなんですが、極めて予備的なものですが、東北大の坪 野先生が青森県と宮城県の症例対照研究を束ねて、メタアナリシスをして年代別にオッ ズ費を計算しているデータは発表されています。それによると、やはり40代よりは50 代以上の方がオッズ比が小さかったと思います。具体的には0.7 とかというのに対して 0.4 ぐらいでしたか、ちょっと忘れましたが、そのようなデータが出ています。 ただ、そういう単一の研究だけでは極めて予備的なものですし、勿論説得力があるも のではありませんが、有効性に関しては国内のデータとしてそういうものが一応ありま す。 ○祖父江委員 もう一つ聞いてきた話、聞いてきた話ばかりですけれども、イギリスで は子宮頸がんの下限の年齢を去年20歳から25歳に引き上げたということをされたそう です。 昔からといいますか、ここ10年ぐらいのデータの蓄積があり、20〜25歳に関 しては検診を受けた人と受けない人の間で浸潤がん罹患率が変わらなかったという観察 結果になったそうです。そのことを提示して、20〜25歳で検診をすることはやめますと いうことを種々の記者会見、パブリックアナウンスメントをいろいろ工夫してスムーズ に25歳に引き上げるということに成功したというようなことをおっしゃっていました。 だから、これに関しても有効性で年齢の幅を変更したという言い方をされています。 ○清水委員 細かいことになりまして、ない物ねだりを言うようなことになるんですが、 年齢別の要精検率といいましょうか、それから、要精検に回った中からどれくらい見つ かったかというのももし出れば。 そんなことを言いますのは、今回の祖父江先生の報告で不利益についても言及してく ださっているのですが、ここで言われた不利益はまさに先行とかそういう偶発事故のこ とを言っていらっしゃるんですが、心理的な不利益といいましょうか、若い年齢層で精 密検査に回れと言われまして、それが多く回れと言って、そこから見つかるがんが少な い場合に、その間の心理的な不安、それから、精密検査を受けるときに働いている世代 だったら会社あるいは勤めを休んでそこへ行ってということがありまして、それらを全 部総合していくとかなりの損失ということにもなるかなと思います。 それをはかることは非常に難しいとは思いますが、不利益の側面としてどの年齢層に だったらどの程度やっていいかということの一つの指標になるかとも思いました。 ○垣添座長 どうぞ。 ○斎藤委員 年代が上がるほど、その要精検率が高くなるというのはこれまでの事業デ ータではっきりしています。それも先ほどの年代別の発見率と一緒に、老人保健課がお 持ちのデータから出てくると思いますので、よろしくお願いします。 ○垣添座長 どうぞ。 ○森山委員 不利益のところの定量化が非常に難しいんですけれども、これを何かうま くできる方法はないのかと。どういうやり方でやってもうまく決まらないとは思うんで すけれども、不利益というのは不利益を考えていくと不利益自体が今度は利益になる場 合もありますね。 例えば、若いときにそういう検診のところへ行くということで、自分の健康だとか検 診に対する感覚というのが非常に高いレベルに行くという利益もあるわけです。そうし ますと、本当に物理的なところだけで、どの店までで判断するのかという、これがいつ も非常に難しいと思っております。 ○祖父江委員 不利益に関しては、確かに定量的な評価というのは難しいというところ がありまして、これは国際的に見ても相当困っているところです。 いわゆるネットベネフィットという考えがあるんですけれども、ベネフィットとハー ムを引き算してネットベネフィットを計算する。このバランスがプラスであれば検診を やりますという、理屈はそれでいいんですけれども、実際にネットベネフィットを計算 した例というのは余りありません。 結局、利益の方は定量的な判断というのは結構できるわけですけれども、不利益に関 してはやはり定量性が難しい、むしろ主観的な判断というのが非常に大きく含まれてき ますので、定性的で、万人が認めてひどいハームであるというようなところをカウント するというようなところに今のところとどまっているというようなことだと思います。 ○垣添座長 どうぞ。 ○土屋(了)委員 先ほどちょっと出た年齢の上限の方で、先ほど事務局の方から出た ので、斎藤先生もお話しして、年齢とともに要精検率が上がると。しかし、80〜90歳に なると多分要精検の受診率はどこかで下がるだろうと思うんです。ですから、その辺も やはり上限の参考にされた方がいいのではないかと思います。 もう一つ、年齢ということから言うと、ハイリスクがどこからかということになると 思うんですが、たばこのように年齢とか性別以外に何かハイリスクの要素として考える ものがあるのかないのか。ないのであれば年齢だけでいいかと思うんです。 ○斎藤委員 それは、やはり本来の検診の対象者であれば年齢が一番強いファクターだ と思います。大腸がんの場合は、あと家族歴というのがありますが、この検討会ではそ れは棚上げしていますので、そういう仮定で申し上げました。 ○垣添座長 どうぞ、渡邊委員。 ○渡邊委員 今、要精検率のお話がありましたけれども、要精検率は年齢によって多分 年齢が上がると暇だというのは申し訳ないんですけれども、要精検率は逆に上がって、 更に上がると下がるのではないかと予測されるんですけれども、実は要精検率がもしも 上がればがんの発見率も上がり、更に死亡率を低下させるという予測というのはどのぐ らい要精検率が上がればどのぐらい死亡率を下げられるんだという予測はできるんでし ょうか。もしくは、できていたら教えてほしいんです。 非常にこの要精検は、大腸の要精検率が低いのは多分精検が大変だからだと思うんで す。胃の検診とかと比較しますと、自分自身もやるのが面倒くさいですから、下剤を飲 んで大変な思いをして、多分丸1日は全部つぶれてしまうわけですけれども、そういう のもあるので、それに対するクレジットをだれがどういうふうに与えるのかという問題 もその後に起こってくると思うんですけれども、それを説得するだけのデータというの があればと思っています。 ○斎藤委員 要精検率と有効性は、切り離して考えるべきだと思います。ただ、あると すれば、要精検率が高くなることによって内視鏡よけを行います。それで当然前駆病変 の腺腫も見つかるということで、それが効果につながるのではないかという議論はあり ます。 例えば、ミネソタスタディという無作為化試験で、内視鏡を受けた率が累積で 38%になったわけです。当初は、それが死亡を減らして、ひいてはがんを減らしたので はないかという議論もあったわけです。 しかし、その後、その疑義は晴れましたが、それではそこで要精検率を高くすればい いかというと、これは全然別の問題で、むしろナショナルプログラムとしては要精検率 を高くするとこれは立ち行きません。それは、内視鏡のキャパシティーが増えてきてい るとはいえ、精密検査として行うだけでもまだ潤沢ではありません。ですから、要精検 率を高くして有効性を高めるというのはちょっと道筋が違うのではないかと。むしろ要 精検率を低くしてきちっと有効な検診をやろう、マネージメントをきちんとしていく、 こちらの方がいいやり方だと思います。 祖父江委員から紹介のあった、英国での実情がまさにそれだと思います。つまり、ま ずはきちっとマネージメントできるターゲットに絞ってやって、そこで死亡率を確かに 下げたという、そこから先に進むという段取りだと思います。 ○神ノ田課長補佐 渡邊先生は、要精検率ではなく精検受診率の低さについての御指摘 だと思いますが。 ○斎藤委員 失礼しました。 ○垣添座長 ですから、何歳から便潜血法で検診をスタートすることはいいとして、何 歳から始めるか、何年に一遍やるかということと、それで陽性になった場合に、次の手 段は全大腸内視鏡で調べるというふうに考えていいわけですか。祖父江先生あるいは斎 藤先生、全大腸内視鏡ですか。 ○斎藤委員 精検方法ですね。第1選択は多分次回以降に議論になると思いますが、内 視鏡検査が一番感度が高いということで、そうだと思います。 ○垣添座長 そうすると、今度は要するに国内のアベイラビリティーというのか、どの くらいそれに対応できる能力があるかということが問題になってくるわけですね。 今の段階で、便潜血反応の間隔に関してはどういうデータがありましたか。 ○斎藤委員 まず、無作為化試験は3つとも隔年について検討しています。うち1つが 逐年も検討しています。逐年の死亡率減少効果が一番大きいと考えられます。しかし、 隔年でも死亡率減少効果があるということです。 次に、我が国の免疫便潜血検査に関しましては、やはり逐年が一番効果が大きいとい う結果になっています。隔年の死亡率減少効果も、一応示唆されていますが、はっきり 一致して出ているのは逐年に関するものです。 ○垣添座長 そうすると、方法論としては一応毎年やるというふうに考えるべきですね。 ○斎藤委員 少なくとも、逐年の方が確かだと思いますし、効果の大きさの点では逐年 が大きいというふうに考えますが、果たして逐年がいいのか隔年がいいのかというのは もう少し検討が要る部分も残ると思います。 ○垣添座長 だけれども、この検討会で方針を決める上には、考えるとはいってもデー タがなければこのまま最終的にやっていくことになりますね。 ○斎藤委員 現時点では、まずは逐年だと思います。 ○垣添座長 それに関しては、一定のデータがあるということですね。 どうぞ、森山委員。 ○森山委員 1点ちょっと教えていただきたいんですけれども、今、便の調べ方、要す るに受診者からすると何か物を送ってきてそれに入れて送り返すとか、そういう方法論 というのは日本の場合、統一されているんでしょうか。それとも、地方によって違うん でしょうか。 ○斎藤委員 これは幾通りかあると思いますが、例えば郵送するとか、持参してもらう というふうな違いはあります。大抵は、地域検診としてやっているのは郵送ではなくて 持参してもらっていると思いますが、問題は遠隔地などの場合にどうやってラボラトリ ーまで運ぶかとか、それから時間的なものです。特に、この精度が温度に非常に依存し ているということがわかっていますので、夏場などにどうやっているかというのはかな り施設によって差があります。 それらについては、先ほどお示ししました実施基準のときに一緒につくったマニュア ルの中であるべきやり方が書かれてあるんですが、現状に関しましては推測だけで、ど のようにそれが守られているかということは知るデータはありません。 ○垣添座長 どうぞ。 ○神ノ田課長補佐 ただいまの検体の回収方法につきましては、指針の中で一応考え方 を整理しておりまして、参考資料2の9ページをごらんいただきますと、「(ウ) 検 体の回収」ということで書いてございます。 1点は、冷蔵保存し、2回目の検体を採取した後、即日回収することを原則とすると。 それが1点。次に、 即日回収できない場合も、なるべく回収までの時間を短縮するということ。 あと、なお書きで書いておりますが、検体郵送は温度管理が困難であり検査の精度が 下がるので、原則として行わないものとするということで、指針の中では整理しており ます。○垣添座長 あと、年齢の上限の問題に関して設けるか設けないかという話で、 もう少し御意見ありますか。前の乳がんのときにも少し議論がありましたね。 ○斎藤委員 祖父江委員からの先ほどの英国の例を考えるとわかるんですが、やはりこ こで精度管理というものをもう一回きちっと、従来の方法ではなくてもっと徹底してや るということであれば、下限の問題もそうですが、もう少しターゲットを絞って少ない 集団にやる。ほかはやらないということでは必ずしもなくて、精度管理をするターゲッ トを絞るという意味ではそれはあり得ると思います。 ただ、実際にそれを決めるという議論はなかなか、先ほどの祖父江委員にあったよう に難しいことだと思います。 ○祖父江委員 あと、精度管理の面でも前回の乳がん、子宮がんのときにも出ました数 値設定、発見率、要精検率あるいは受診率等に関して具体的にここを数値として目標と する、あるいはミニマムなものとするというような数値設定をする場合に、年齢を非常 にブロードなものにしますとなかなか数値というのが決めにくいところがあります。範 囲を狭めれば適切な数値というものがある程度設定できるので、精度管理を徹底すると いう立場から行くと、ある程度の年齢幅を持って設定するという方が具体的にそういう ことを執行しやすいというふうに思います。 ○垣添座長 そうすると、もし精度管理をしっかりしようという観点から年齢制限をし ようとすると、例えば先生はこのデータをまとめるに当たってどんな想定をされますか。 ○祖父江委員 ちょっと具体的な数値は言いにくいんですけれども、外国の例で行くと 大体上が69歳とか74歳とかそんなところが。 ○垣添座長 その場合、下はどうですか。 ○祖父江委員 下は、大腸がんの場合で行くと50歳とかが非常に多いところではありま す。 ○垣添座長   どうぞ、清水委員。 ○清水委員 先生、今のはさっき言われたオーガナイズド・スクリーニング、対策型の ことを考えて言っていらっしゃるんですか。 ○祖父江委員 勿論そうです。 ○清水委員 もし、そうだとしても、精度管理をする意味で年齢を区切った方がいいと いうのはちょっとおかしいかなと。もし市町村が行っているときに、自分のところの精 度がどのくらいかというときは集計のときだけその年齢に限って、分析のときからは外 せばいいわけであって、希望者が多い場合にあなたはだめですというのは、今の理由で 断るというのはちょっとどうかなと思います。 ○祖父江委員   勿論、そうです。ですから、英国でも70歳以上の乳がん検診を断ってい るわけではないんです。フリーでやっているんですけれども、集計の中からは外すと。 ○清水委員 わかりました。それなら納得です。 ○垣添座長 そうすると、やはり上限の方で議論する必要はないんですね。 どうぞ。 ○土屋(了)委員 それと、ある年齢層に絞って厳格なフォローアップをするというこ とが必要なんだと思うんです。ですから、その対象とするのはどこかという議論でやっ た方がよろしいかと思うんです。そうしないと、次のデータになってこないと思います。 ○垣添座長 今日は、割合時間がありましたから、かなり突っ込んだ議論をしていただ きましたけれども、ほかに御発言ありましょうか。よろしいでしょうか。 どうぞ、渡邊委員。 ○渡邊委員 任意型とか対策型とかということを考える上では、やはりどのレベルでど の検診方法がどのステージのがんを見つけやすくて、見つけにくいかということは多分 わかっておられると思うんですけれども、そういうことをきちっと整理しておかないと、 今度は推奨すなわちガイドラインをつくって住民に説明するときに、よく外来であるの は、私は便潜血の検査をずっとやっていたのに、どうして見つかったときはこんなにな ってしまっているんですかと責められることがないわけではないので、この検査という のはこのパーセンテージでこういう人たちを見つけられるということをきちっとインフ ォームしないといけないと思いますので、その辺を十分に吟味されて、一般の人には偽 陽性率、偽陰性率と言われても全くぴんと来ませんから、これだと損する、これだと得 するぐらいの説明をしなければならないので、その辺のデータは多分重要になってくる のではないかと思います。 ○垣添座長 それについて、何かありますか。 ○祖父江委員 偽陰性率、偽陽性率のデータというのがここにお示ししたものとしてあ るんですけれども、それの意味するところというのをきちんと正確に伝えるというとこ ろが今のところ不十分なところがあるということだと思います。 特に、一般の方々、検診に関して過大に評価する方もおられるし、過小に評価される 方もおられる。過大評価されている方は、見落としなど一例もあってはならないという ふうに思っておられる人もおられるでしょうけれども、検診というのはそういうもので はなくて、発見できる範囲というのはこういうものがあり、もし検診と検診の間で症状 が出たら速やかに受診してくださいというようなことを十分に徹底すると。それから、 検診で異常があると言われたら必ず精密検査を受けてくださいとか、そういうような検 診を受ける際の合理的な対応というものを浸透させる努力というのはまだまだ必要なん だというふうに思います。 ○垣添座長 そのとおりですね。だから、これの報告書をとりまとめるに当たって、大 腸がん検診における便潜血反応陽性の意味、あるいは陰性の意味みたいなものをやはり 前のところにきちっと書いておくという必要があるんでしょうね。 ほかにいかがでしょうか。 どうぞ、神ノ田課長補佐。 ○神ノ田課長補佐 次回、ヒアリングを予定しておりますが、こういう団体なり人の話 を聞きたいといった御希望等がありましたらこの場で教えていただければと思います。 ○垣添座長 大腸がんのことで取り組んでいる患者団体というのはありますか。乳がん なんかにいろんな団体がありますね。ああいうのに相当するような大腸がんの患者団体 というのはありますか。 どうぞ、渡邊委員。 ○渡邊委員 多分、集団検診学会か、もしくは消化器内視鏡学会で要精検受診者が安心 して受けられるかどうかということが多分重要になってくると思いますから、消化器内 視鏡学会関係の先生に今どのぐらいの危険性があるのかとか、どのぐらいの精度がある のかというのをアップ・トゥー・デートなデータは欲しいと思います。欧米の内視鏡の レベルと日本の内視鏡のレベルはかなり違うと私は思いますので、日本のデータで安心 させてほしいと思います。 ○斎藤委員 現実的なことを申し上げますと、内視鏡の先生は臨床診断としての内視鏡 を一生懸命やっておられる方がたくさんいらっしゃるんです。ごく一部にスクリーニン グコロノスコピーをやっている方がいらっしゃいます。精検としての内視鏡を専ら興味 の中心としてやっておられる方は非常に少ないんです。そうしますと、今論じている対 策型検診に関するデータをお持ちの方はごく限られるということが現実的なところかと 推定します。 スクリーニングコロノスコピーということは関わってきますが、これはまた別の問題 ですので、もしそういうことであればその点を勘案してお考えになればよろしいかと思 います。 ○垣添座長 樋渡先生、何かありますか。 ○樋渡委員 今、斎藤先生おっしゃったように、いわゆる検診として1次スクリーニン グに内視鏡を取り込んでいこうと頑張っていらっしゃる先生、S状結腸内視鏡にしても トータル内視鏡にしてもそれで頑張っている先生もいらっしゃいますけれども、ほとん どの先生は有症状者あるいは便潜血検査陽性者に対する診断的な内視鏡をほとんどなさ っていて、そこからはなかなか内視鏡の見逃し率あるいは合併症の発表というのはほと んどないですね。ですから、このがん検診にプラスになるようなお話というのは、検診 側から見て余りデータ的には聞けないのではないかという感じはします。 確かに、レベル的には日本の内視鏡の方がはるかに上を行っているとは思うんですが、 そういう検診という点から見るとなかなか日本のデータも表に出にくいところがあると 思います。 ○垣添座長 渡邊委員、どうぞ。 ○渡邊委員 検診ではなくて、内視鏡による事故が何%でというような内視鏡の危険性 とかそういうものを常にクローズアップされるわけです。あれは多分、スクリーニング も入っているだろうし、それから要精検者も入っているだろうし、それが今どのぐらい で、こちらにもありましたけれども、アメリカのが5年に1度、それから日本の消化器 内視鏡学会は、ちょっとうろ覚えなんですけれども、たしか3年に1度だったと思いま すけれども、そういう根拠も多分あると思うので、私が申し上げたのは安全性と2次ス クリーニングというか、要精検受診者に対してのインフォメーションとしてどうかなと いうことで、スクリーニングをやるとどうだというようなことではないんです。 ○垣添座長 どうぞ。 ○土屋(了)委員 私は、この便潜血で精密検査に回ったのは、いわゆる診療行為にな るわけですので、通常の内視鏡の診療行為がどういう危険性があるかというお話を聞く だけで十分ではないかと思うんです。 それと、スクリーニングはやはり厳密に保険制度が適用されるとすれば、これは保健 診療ではないわけですので、これは一般病院では検診センターの方でやるべき行為です ので、やはり我々が知りたいのは、便潜血で精査に回ったときに一般診療としてどうい う内視鏡検査というのが回っているかということの実態を把握しておけばよろしいので はないかと思います。 ○垣添座長 もし、そういうデータを語っていただける人があれば、ヒアリングとして お話をお聞きするのは大変参考になると思います。 それから、もし、今どなたからも声が上がっていませんけれども、先ほど私がお尋ね しましたように、患者団体があればその代表の方に大腸がん検診に関してのお考えをも し述べていただければそれも参考になると思いますので、これは見つかればよろしくお 願いします。 ほかに、特にヒアリングのこういう話を聞きたいということがありましたら、事務局 の方にでも後ほど寄せてください。 ほかにありましょうか。 それでは、最後に事務局の方からお願いします。 ○三浦老人保健課長 それでは、どうもありがとうございました。 次回の予定でございますが、日程を調整させていただいた上で追って御連絡をさせて いただきたいと思います。 本日はお忙しい中、誠にありがとうございました。                     照会先:老健局老人保健課                     連絡先:03-5253-1111                     担当者:課長補佐 神ノ田(内線 3942)                         主査   前田 (内線 3947)      1