05/03/18 労働者の健康障害防止に係るリスク評価検討会第4回議事録         第4回労働者の健康障害防止に係るリスク評価検討会                   日時 平成17年3月18日(金)                      16:00〜                   場所 中央合同庁舎5号館 専用第16会議室 ○石野化学物質評価室長補佐  定刻になりましたので、これから「第4回リスク評価検討会」を始めます。本日は大 変お忙しい中、ご参集いただいてありがとうございます。本日は岸委員、加藤委員が都 合によりご欠席という連絡をいただいています。  議事に先立ちまして、資料の確認をいたします。資料No.1〜3まであり、No.1が 「第3回労働者の健康障害防止に係るリスク評価検討会議事概要(案)」。No.2が 「ばく露関係情報の届出用紙(素案)について」。No.3が「労働者の健康障害防止に 係るリスク評価検討会報告書(案)」です。  それでは、前回に引き続きまして、櫻井委員に座長をお願いします。よろしくお願い します。 ○櫻井座長  早速ですが、議事に入らせていただきます。議事次第に従って議事を進めていきま す。まず事務局から、前回の議事概要について説明してください。 ○石野化学物質評価室長補佐  それでは、資料No.1「第3回労働者の健康障害防止に係るリスク評価検討会議事概 要(案)」についてご説明します。時間の関係上1〜3は省略しまして、4の概要につ いて読み上げさせていただきます。4 概要(1)第2回検討会議事概要(案)につい て、事務局より説明がなされ、了承された。(2)国が行う化学物質等による労働者の 健康障害防止に係るリスク評価について(再改訂案)及びリスク評価の結果に基づき講 ずべき措置について(改訂案)、前回からの変更点について事務局より説明が行われ了 承された。  (3)ばく露関係情報の届出について、事務局より説明が行われ、次の点について質 問、議論が行われた。ア 取扱量に関して、製造の場合に何をもって取扱いとするかに ついて議論がなされた。イ 調査対象物質の取扱量について、混合物の場合は純物質に 換算した量で計算することが説明され、表現について検討することとされた。ウ 取扱 量を1年間分把握することについて、小規模な事業場での対応について、意見が出され 説明がなされた。エ 作業時間については、1日又は1月間の作業時間、あるいは1年 の作業時間等について、一定の範囲の時間を示して選択する方式にするのがよいのでは ないかという意見が出された。オ 対象とする事業場の規模が「規模にかかわらず」と なっている点について意見が出された。カ 届出の様式のモデルがあったほうがわかり やすいとの意見が出され、次回までに検討することとされた。  (4)次回の日程について、次回は平成17年3月18日16:00〜18:00の間に開催するこ ととされた。以上です。 ○櫻井座長  ただいまの説明について、何か修正点等、お気付きの点はございますでしょうか。特 にないようでしたら、(案)を取りまして議事概要ということにさせていただいて、今 日の議題に入りたいと思います。  議事概要で前回にいくつか意見が出ているわけですが、事務局として説明する点があ りましたら、それについての説明をしていただき、また「ばく露関係情報の届出様式」 について事務局で検討されたと思いますので、関連があると思いますので、併せて説明 してください。 ○石野化学物質評価室長補佐  議事概要(案)の4の(3)のアからカまで意見があったわけですが、この中でア、 エ、カにつきましては、資料No.2届出様式についてと、イとオにつきましては、資料 No.3の報告書の内容と関連しておりますので、それぞれ関連のところでご説明させて いただきます。  ただいまカの所に、届出様式のモデルというご意見がありましたので、まず資料No. 2で様式(案)を説明しながら、関連部分についてご説明します。資料No.2ですが、 これはばく露関係情報の届出の様式のイメージを理解していただくために暫定的なもの として示しております。今後検討すべき点を多々含んでいるということをまず申し上げ て、ご説明したいと思います。  まず事業の種類、事業場の名称、それから労働者数、所在地、これは通常の様式で す。次に書いていただくのが、対象物質の名称、これはどういう物質について届け出て いただくかということで、MSDSの中の1つの物質の名称を書いていただくことにな ります。  次の頁のほうに備考がありますので、それも併せて見ていただければと思います。右 側の対象化学物質を含有する製剤等の名称ですが、一般的な製品の名称、あるいは商品 名になろうかと思います。次は含有率です。これについては10%の単位による表示とし て差し支えないということになっていますので、その表示でも可能であります。  次の欄が、製造量又は消費量ということですが、概要のアの取扱量にありましたが、 取扱量の概念がわかりにくいということで、メーカーは製造量、あるいはユーザーは消 費量、若しくは購入量というような形で、書いていただくということになろうかと思い ます。用途ですが、次の頁の備考7の所を見ていただきますと、用途には別紙1の記号 等を記すということで、3頁に別紙1用途を選択するような形で、ア〜チまで17書いて あります。この用途に該当するものを書いていただきます。これに当てはまらない場合 は、その他に記入していただくことを考えております。  下欄ですが、まず基本的にばく露作業が届出の対象になるという関係から、この作業 の内容を書いていただきます。具体的には、3頁を見ていただきますと、備考8の所で 別紙2の作業内容の記号を記すことと書いてあり、現在26の代表的なばく露作業につい て掲げてありますので、この作業の中から該当する記号を書いていただくという形にな っています。  次のばく露を受ける労働者数については、次の頁の備考9の当該作業に従事している 実労働者数の概数を記すということです。次の取り扱う化学物質の性状ですが、これは 次の頁の備考10を見ますと、ア〜オまであります。ア.破砕しないペレット状の固体、 イ.結晶化した顆粒状の固体、ウ.粉末、エ.液体、オ.気体。この5種類について記号を 書いていただきます。  取り扱い時の化学物質の温度ですが、備考11にア〜ウまで50度未満、50度〜100度、 100度以上ということで、3種類に分けています。  換気設備の設置状況は、備考12にあります。ア〜ウまで、局所排気装置、全体換気装 置、プッシュプル型換気装置を各記号で選択する。保護具の使用状況につきましては、 備考13にありますが、呼吸用保護具、保護衣、保護眼鏡、保護手袋、その他ということ で、この5種類から選択してもらう。作業時間は備考14で、労働者の1人当たりの1月 間の平均労働時間数としてア〜オまで、月10時間未満、11〜20時間、21〜50時間、51〜 100時間、101時間以上という形で書いてあります。  一応現在はこういう形で届出様式について考えております。以上です。 ○櫻井座長  ただいまの説明の内容等について、何かご意見、ご質問がありましたらどうぞ。 ○福光委員  備考12に、密閉設備について取り扱う場合であって、ばく露のおそれのない場合は 除く、というのがここに書いてあるのですが、調査をする場合に、これが大前提になる わけですね。ばく露のおそれのない所は、別に気にしなくていいということですから、 これはもっと前のほうに書いたほうがわかりやすいかという気がします。 ○櫻井座長  そうですね。確かにこれは、ちょっと位置については後日検討します。ほかに何かご ざいますか。  それでは、事務局からリスク評価検討会報告書(案)が出されていますので、これま でのいろいろなものをとりまとめたものと思いますが、説明をお願いします。 ○石野化学物質評価室長補佐  資料No.3の労働者の健康障害防止に係るリスク評価検討会報告書(案)を、今回出 させていただきました。次の頁の目次を見ていただきますと、全体構成ですが、「はじ めに」があり第1、第2、第3という具合に3部構成になっています。  第1の所は、「国が行う化学物質等による労働者の健康障害に係るリスク評価につい て」ということで、リスクの評価の方法等について記載してあります。第2は、「リス ク評価の結果に基づき講ずべき措置について」ということで、第1のリスク評価を行っ て、リスクがあるとされた場合に、講ずべき措置について記載しています。第3は、 「ばく露関係情報の届提出について」ということです。これらは第1〜3回までの資料 を、基本的にはとりまとめたものですが、1つに報告書の体裁のために目次を作ってあ るということ。1頁の「はじめに」の所は、第1の所にあった事項を、若干こちらのほ うに移動して、1頁の下から第2段落の辺りが新たに付け加えられています。またの所 ですが、「また、化学物質へのばく露後長期間を経過して発症する場合があることなど を考慮すると、職業性疾病が発生していない段階においても、化学物質に対する予防的 取り組みを踏まえた管理が必要であるとしている」という形が、第1の所に加わってい ます。  次の変更点ですが、4頁の4の所に下線が引いてあると思いますが、これは第3のば く露関係情報の届出との関連、要するに第3の届け出られた情報をどう第1の所で活用 するかというところを明確にするために、新たにアとイが加わっています。ウとエにつ いては、若干言葉を足してあります。アを読みますと、「第3において検討されている ばく露関係情報から把握した作業形態、換気設備の設置状況等をもとに労働者のばく露 状況を把握する」。「イ ばく露関係情報から得られたデータを取扱量、用途・作業形 態等に応じて分類する」。「ウ 当該情報を活用して化学物質等の有害性、取扱量、用 途等により、調査対象とする物質の優先順位を付ける」。「エ 上記イや下記(3)の ばく露データを活用して、化学物質等を取り扱うばく露レベルが高いと判断される作業 について、ばく露データ等から、作業環境の測定等の対象とする作業を選定する」とい う形でアとイが付け加わっています。第1の所の変更点は、これだけです。  19頁以降の第3のところにつきましては、第3回の検討会の意見等を踏まえて、いく つか変更になっています。下線が引いてあるところですが、まず19頁の2のばく露関係 情報の把握の目的及びその現状と課題ということで、新たにその目的を明確にするため に(1)目的の項目が設けてあります。全文を朗読させていただきます。「(1)目的  ばく露関係情報を収集する主要な目的のひとつは、事業場から提出された作業内容、 作業環境の状況等に関する事項から判断して、労働者の化学物質へのばく露の程度やそ の広がりを推定し、健康障害の発生のおそれのある作業などを事前に把握し、必要に応 じて関係事業場の指導、支援等を行うためのものであること、次に、有害性やばく露レ ベルが高く健康障害のおそれがあると想定されるものについては、ばく露関係情報を分 析のうえ、ばく露評価等による定量的なリスクの判定を行い、必要な場合には国として 健康障害防止措置を講ずることである」という形で、新たに掲げてあります。  (2)現状及び課題ですが、もう少し理由を明確にするために、アンケート調査等を 利用できないかということに対しての説明です。(2)の4行目から朗読します。「こ のような調査として、アンケート調査、ヒアリング等による対象事業場を把握し、ばく 露関係情報を得る方法が考えられるが、アンケート調査は母集団が把握できる場合に実 施が可能であり、未規制物質の使用状況が未知の場合は調査そのものの実施が困難であ る。また、仮に対象事業場を把握できたとしても、協力の得られる事業場のみの回答と なるおそれがあり、健康障害のおそれのある作業等の状況を十分に把握することができ なくなる。一方、国によるリスク評価は統計的な有意性を保つために無作為に抽出され たデータに基づいて実施することが重要であるが、これらの無作為性を損なわないよう にするためには、測定データを母集団から任意に抽出することができる仕組みを整える 必要がある」ということです。  (3)届出の対象物質等は、理由を明確にするために表現振りを若干変えています。 (1)届出の対象物質ですが、「安衛法施行令別表第9に掲げられている物質等(通知 対象物)は、労働者に健康障害を生ずるおそれのあるものとして譲渡等に際して有害性 等の情報の提供が義務付けられている物質であること、事業者はMSDSにより有害性 や取り扱い物質の成分を知ることができ、したがって届出の対象物質に該当するか否か を判断することができること等を勘案すると、通知対象物(特別規則等で規制している ものを除く)を届出の対象とする必要がある」。  変更点が、21頁のイ 対象業種です。ここは最も大きな変更点になりまして、前回全 業種という形でご提案申し上げていたところですが、いろいろな意見等を踏まえて、業 種については第一種衛生管理者を選任すべき有害な業務のある業種等ということで限定 されています。その理由として、しかしながらのところに理由が記載してありますの で、ここを朗読します。「しかしながら、通知対象物は有害業務のある製造業などの業 種において使用されている場合が多いこと、国が行うばく露評価は取扱量等が多い等の ばく露レベルが高いと想定される作業について実施されるものであることを勘案する と、届出義務の対象となる業種としては、化学物質の使用実態等を踏まえて一定の業種 に限定したとしても、リスク評価を行う作業等に係る主要なばく露状況を把握すること は可能である。このため、対象業種としては、労働衛生上有害な業務がある第一種衛生 管理者を選任すべき業種等の一定のものに限定することは合理的と考えられる」。  次の変更点は、22頁(イ)ですが、先ほどの議事録にもありましたように、混合物の 場合における表現がわかりにくいということでしたので、新たに言葉を足してありま す。まず個々の通知対象物の1年間の取扱量が0.5トン以上であること、それはいくつ かの対象物を合わせて0.5トンということではなく、それぞれ個別に0.5トンということ を明確にしたこと。なお書きのところで、多種類の混合物を取り扱っている場合には、 それぞれの混合物中の個々の通知対象物の含有量を、個々に合計したものが0.5トン以 上であることという形にしています。  23頁ですが、先ほど届出の様式のところでも説明しましたが、議事録に取扱量の意見 がありましたので、(4)の所に取扱量をメーカーの場合は製造量、ユーザーの場合に は消費量という形で記載しています。下線を引いてある4のなお書きのところです。 「なお、取扱量については、製造者にあっては製造量を、使用者にあっては消費量等と することが適切である。一定の要件のもとでは消費量は、購入量で代替することは可能 である」。(6)のところですが、届出の対象とする作業が、ばく露作業に限定すると いう意味を明確にするために、(6)で対象作業という形で付け加えています。対象と なる作業は、上記(4)ばく露を受ける作業とするというところです。  変更点ではありませんが、議事録のウのところに、小規模な事業場での対応について とありましたが、取扱量は0.5トンの裾切りを行っていますが、これは事業場の8割程 度を把握できるというので0.5トンとしてあることで、再度申し上げます。大体どの程 度の数になるのかですが、私どもは1物質について提出すべき事業場につきましては、 現在特定化学物質については、特殊健康診断の提出等が義務付けられていますが、その 提出数から推定して、提出すべき事業場としては概ね数百のオーダー、多くて1千レベ ルではないか、これはあくまでも推定ですが、いくつかの他のデータから推定して考え られます。  本文でいくつかの変更に伴いまして、24頁の別紙ですが、若干変更しています。それ から、2の(2)のところで、届け出る場合は、同一物質を定期的に毎年届け出るとい う類のものではないということで、仕組みの例の中にこれを新たに入れています。以上 です。 ○櫻井座長  ただいまの説明の内容につきましてご質問、あるいはご意見がありましたらどうぞ。 ○本間委員  19頁のいちばん下のところで、「国によるリスク評価は統計的な有意性を保つために 」というところですが、統計的な有意性というと、何か有意性があるというイメージで 感じてしまうのですが、これは片寄りがないようにという意味ではないかと思うのです が。 ○櫻井座長  そうですね。ちょっと言葉を変えたほうがいいですね。 ○石野化学物質評価室長補佐  代表性を担保するためにという形でいかがでしょうか。 ○本間委員  よろしいです。 ○櫻井座長  ほかに特にございませんか。報告書について事務局のほうで、少し更に追加のお考え もあるようですが。 ○石野化学物質評価室長補佐  今回の報告書につきましては、先ほどもご指摘がありました箇所について事務局で、 修正したいと思っています。またそのほかにお気付きの点がありましたら、3月中に連 絡していただければと思っています。 ○櫻井座長  ということですが、何かいまこの場で、特段ございませんか。 ○福光委員  私どもはいわゆる業界という意味合いで、何度か厚生労働省さんのほうと別個に協議 等をさせていただいたのですが、やはり今回この検討会では、代表は私と加藤委員と2 人だけということで、全産業すべてを代表しているわけでもまだないということもあり まして、実際上やることに関しては、やはり産業界全体の意見、希望等をもう少し盛り 込んで進めていただきたいということを是非お願いしたいと思います。 ○櫻井座長  この場で細かい点の修正というよりは、もう少しそれぞれの団体のほうで検討したい というご要望です。その点は事務局はよろしゅうございますか。 ○角元化学物質評価室長  私どもといたしましても、特に第3章ですか、直接的に法制度に関わることでもあり ますので、法制度としての立て方その他、実際の運用面で整備して、きちっと機能する 有効性も含めて、関係の業界団体とも再度調整をさせていただきながら、最終のものと させていただければというように考えています。 ○福光委員  わかりました。 ○石野化学物質評価室長補佐  当検討会の報告書としてはただいまご意見があり、室長のほうからお答えしたよう に、今後関係団体の意見を踏まえて、最終的なものにしたいと思っています。したがい まして最終的には、今後各委員の方々に最終報告書という形でメール、あるいは文書等 で送付して確認を取らせていただくという形を取らせていただければ、事務局としてあ りがたいと思います。 ○櫻井座長  ただいまの事務局のほうからのご提案ですが、報告書の最終案としては、一応委員会 そのもの、お集まりいただくのは、今日が予定としては最後になりますので、その間各 委員にメール、あるいは文書等でご確認いただき、最終的なとりまとめは座長に一任し ていただくことにしたいと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。                 (異議なしの声) ○櫻井座長  ご異議ないようですので、そのようにさせていただきます。それでは、今日の検討会 はこれで終了します。これまで4回の検討会の開催に当たりご協力をいただきましたこ とを、厚く御礼申し上げます。どうもありがとうございました。 照会先 労働基準局安全衛生部化学物質対策課化学物質評価室 TEL 03-5253-1111 (内線5512)