05/03/15 第3回発達障害者支援に係る検討会の議事録について            第3回「発達障害者支援に係る検討会」        日時:平成17年3月15日(火)18:00〜20:00        場所:厚生労働省4F社会・援護局第2会議室 ○山崎企画課長補佐  それでは、大変お待たせいたしました。  ただいまから「発達障害者支援に係る検討会」第3回を開始させていただきたいと存 じます。  それでは、栗田先生、どうぞよろしくお願いいたします。 ○栗田座長  先生方、お忙しいところお集まりいただいて、ありがとうございました。  一応予定では、これで可能な限りまとめてというふうな形で、第3回の会議が位置づ けられておりますので、御協力よろしくお願いいたしたいと思います。   資料が幾つかございますけれども、とりあえず今日の先生方にお願いしたい議論 は、2の「発達障害者支援法の施行に向けた課題の検討」ということで、1つは「発達 障害の定義」に関してのこの前からの議論を更にもう一度深めていただくことです。こ れに関しては資料がございますので、後ほど説明をいただきたいと思います。  あとは、これは前回のときにも幾つか御意見が出ておりましたけれども、やはりこう いった法律をきちんと実質化していくためには、医療機関あるいは専門家の養成という のは非常に重要ですので、そのことについても、ここで細かいことを決めるということ ではありませんし、別の検討会が既に組織されているということですので、そこにつな げるような形での議論がここで一定程度まとまれば、よろしいのではないかと思ってお ります。   それから、この前の2月〜3月にかけて、パブリックコメントにかけていただいた ものについても、貴重な御意見がたくさん寄せられておりまして、それは幾つかのカテ ゴリーに分けてわかりやすく整理していただいた資料などがありますので、事務局の方 からその辺はちょっと御説明いただけないでしょうか。 ○山崎企画課長補佐  それでは事務局、障害保健福祉部企画課の方から御説明をさせていただきたいと存じ ます。  まずお手元の資料なんですけれども、ちょっと追加をしたものがございまして、その 並び順等が若干混乱をしておりまして、恐縮でございます。  次第がございまして、委員のメンバーを書かせていただきました1枚紙がございま す。  資料1ということで「発達障害の定義に係る政令案」という1枚紙。こちらが入って るかと存じます。  資料2ということで、発達障害者支援施策に関する御意見募集、パブリック・コメン トということで、1枚紙が入っていると思うんですけれども、このパブリック・コメン トの募集に関しましては、済みません、ちょっと追加で配らせていただいた中で、右肩 に資料番号等付いておりませんけれども、「『発達障害者支援施策』に関する御意見募 集(パブリックコメント)実施要項」ということで、3、4枚の資料が付いております ので、後ほど併せて御説明させていただければと考えております。  次が、資料3ということで、先ほど栗田先生からも御紹介いただきました「『子ども の心の診療に携わる専門の医師の養成に関する検討会』について」。後ほど御説明させ ていただきます。  資料4については、前回、加我委員の方から口頭で御紹介がございました、国立精神 ・神経センター精神保健研究所におきます発達障害に関する医師研修。これのプログラ ムを提供していただいております。  資料5と右上に付きましたのが、今回パブリック・コメントに寄せられた主な御意見 ということで整理させていただいたものでございます。  そのほか、参考資料といたしまして、これは第1回目の検討会の資料に付けさせてい ただきました「発達障害の定義について」ということで、ICD−10とDSM−IVの該 当部分を抜粋しましたものがお手元に行っておるかと思います。  あと、追加的にお配りしましたもので、右上に参考資料3と書いておりますけれど も、これまでの2回、第1回目、第2回目でいただきました主な御意見をまとめさせて いただいた資料がございます。  あと、更にそれぞれ1枚紙で、資料4ということで、法律の抜粋。今日2番の議題で 専門的な医療機関について御議論いただきたいと思っておりますが、それに関係する条 文を抜き出したもの。  資料5が「専門的な医療機関について」。御議論のたたき台にということで、ちょっ と項目を列記したものを付けさせていただいております。  ちょっとその資料の並び順がやや混乱しておりまして、大変恐縮でございますが、お 手元で不足等ございましたら、お教えいただければ不足の分をお持ちいたします。  それでは、まず定義につきまして、パブリック・コメントの状況あるいは政令案の進 行状況について御説明申し上げたいと思います。  まず資料1をごらんいただきたいと存じます。1枚紙の資料でございます。  「発達障害の定義に係る政令案」ということで、内閣法制局と現在協議中でございま すけれども、この資料1にありますように、その政令の第一条ということになりますが 「発達障害者支援法(以下「法」という。)第二条第一項の政令で定める障害は、脳機 能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するもののうち、言語の障害、協 調運動の障害その他厚生労働省令で定める障害とする」というところが現時点の案でご ざいます。  この検討会で御議論をいただいて、パブリック・コメントに出させていただいた案と 基本的な対象範囲の考え方は変わっていないものと考えておりますけれども、法律の技 術的なところで書き方の前後が「脳機能の障害であってその症状が通常低年齢で発現す るもののうち」というふうに書き方が変わっておるところと、パブリック・コメントで は運動の協調の障害ということで表現していたんですけれども、医学の現場等では、む しろ協調運動あるいは協調運動障害という使われ方がすることが多いということもござ いまして、協調運動の障害という表現に変わっているところでございます。  あともう一点、言語の障害、運動の協調の障害、その他特定の機能の障害というふう にパブリック・コメントではかけていたところですけれども、これも法律の技術的なと ころで、その他特定のという言い方ですと、その範囲が特定されないというところで、 それはちょっと政令としては問題があるということで、そこのところは厚生労働省令で 定めるということで、省令という厚生労働省で定めます省令の方で定めようというとこ ろにしております。  その厚生労働省令案というのがその左の方に記載させていただいております。こちら については具体的な検討と言いますか、内部的な手続、これからでございます。また、 厚生労働省令としておりますけれども、また文部科学省さんの方とも今後調整をさせて いただきながら進めたいと思いますが、内容的にはこの言語の障害、協調運動の障害の ほか、心理的発達の障害並びに行動及び情緒の障害ということで書かせていただいてお りまして、ICDで言いますと、そのF8が心理的発達の障害、F9のところが小児 期、青年期等に起こる行動及び情緒の障害ということでございますので、これまでのこ の検討会の御議論でも、この法律の対象とすべき範囲の外縁ということでは、そのIC D−10で言いますと、F8、F9の辺りというところで議論が進んでいたのかなという 理解をしておりまして、ちょっとこういうような案としておりますけれども、御議論を いただければというふうに思っているところでございます。  これが今の政令の案なんですけれども、定義に関しまして、もしお差支えなければ、 パブリック・コメントでも定義に関する案も幾つか寄せられていますので、続けて御紹 介をさせていただいて、その上で御議論をいただければと思っております。  パブリック・コメントについてですが、追加で配りました御意見募集の実施要項。こ ちらにありますとおり、この2月10日から3月9日までということで募集をいたしたと ころでございます。  募集の内容は、1点目がこの政令で定める発達障害の定義についてということで、具 体的には2枚おめくりいただきますと、発達障害の定義についての考え方ということ で、真ん中辺に太い下線を引いたところがございます。言語運動の強調その他の特定の 脳機能の障害であって、その症状が通常低年齢において発現するものというところでお 示しをして、これに関する御意見を募ったところでございます。  もう一点目が、また1枚目の戻っていただきますと、発達障害の早期発見とか早期の 発達支援、保育、教育、就労支援、地域での生活支援等々、発達障害者支援法に基づく 具体手な施策について、広く併せて御意見を募集したところでございます。  これで集まった御意見なんでございますけれども、資料5をごらんいただきたいと思 います。まずこの集まった件数でございますけれども、寄せられた御意見の数は総数で 292 件の大変多数の御意見をいただいたものというふうに考えております。方法として は、メールによるものが一番多くて189 件、FAX61件、お手紙42件ということでござ いました。  いただいた方の内訳ということで、これは事務局の方で整理させていただいたもので ございますけれども、発達障害をお持ちの当事者の御本人から22件の御意見をいただい ております。また、障害を有する方の御家族から122 件御意見をいただいておりまし て、やはり当事者、御家族からの多数の御意見をいただいたところでございます。  特に当事者、御家族からちょうだいした御意見につきましては、日々の生活におきま す困難さというものが切々と記されている御意見が多かったところでございますし、ま たこれはそのほか団体関係者、専門職の方から寄せられた御意見の中にも多数ございま したけれども、現行の支援とか制度に関します課題とか提言ですとか、そういったもの を多数いただいております。  そのほかにいただいているのが、団体の関係の方々、医師あるいは学校の教職員を含 めました専門職の方々。その他の方では、いわゆる一般の方というような方からも多く の関心を寄せていただいたところでございます。  具体的には、1ページおめくりいただきまして、少し大きく全般に関するものとか教 育に関するものとか、事務局の方で分けさせていただいて、ある程度同じ同趣旨の意見 については、まとめた形で整理をして延べ件数ということで整理をさせていただきまし た。  ただ、ちょっとその締切りが最近だったということで、まだこの整理のところは完全 に行われていないところもございますけれども、御参考にごらんいただければと思いま す。  それから、かいつまんで御紹介申し上げますと、制度全般という関係ではやはり障害 特性について社会的な理解を促す普及啓発という御意見が33件ということで、非常に多 数寄せられております。  次は、一生にわたって必要なライフステージを通じた支援が受けられる一貫した体制 が必要という御意見。また、同じような指針にもなってまいりますが、子どもだけでは なくて、成人してからの支援の取組みが必要といった御意見。こういったところが多い 意見でございました。  2枚ほどおめくりいただきまして「医療に関するご意見」というところをいただいて おります。ここでは診断する医師によって薬漬けにするなどの不適切な対応が危惧され るのではないかというような御意見が17件ということでいただいております。  この辺については、後ほど本日の医療機関のところで少し御議論を賜れればというふ うに考えております。そのほかでは、児童精神科等へのいわゆる診療報酬制度の見直し といったような御意見、あるいは乳児期から成人期まで発達障害を継続して診る医療機 関の設置といった御意見が多い御意見でございました。家族支援に関する御意見につい ては、兄弟を含む家族への支援の充実、親が相談できる機関の充実といった御意見が多 かったところであります。  1ページおめくりいただきまして、教育に関する御意見も非常に多数かつ多種いただ いているところでございます。御意見の多かったところといたしましては、学校の先生 に発達障害支援に関する研修や実習を強化してほしい、義務づけてほしいという御意見 が多数ございました。  また、きめ細かい教育のためには、教員の増員という量的な充実も不可欠という御意 見も多いところでございました。あと、また個々人の特性に合った適切なプログラムま たは専門性を持ったコーディネーターの関与といったところの御意見をお送りいただい ているところであります。  1ページおめくりいただきまして、下の方には「就労に係るご意見」をいただいてお ります。ここではジョブコーチの確保ということ。また障害者雇用制度への位置づけと いったような御意見が多数の御意見となっておりました。  次のページをごらんいただきますと「発達障害者支援センターに係るご意見」をいた だいております。ここではセンター単独で支援というよりも各関係機関との連携・構築 といった御意見が多数寄せられておりますし、また必要な職員や予算の確保といった御 意見も寄せられています。  「手帳・手当・年金・税に関するご意見」ということでは、1ページおめくりいただ きまして、療育手帳または新たな発達障害者手帳の交付というようなことで、手帳の交 付に関する御意見が多数寄せられていたところでございます。  「早期発見・早期療育に関するご意見」ということについては、やはり早期発見の早 期療育が重要ということで、ここは御家族の方から、もっと早い発見とその療育があれ ば、もっと改善と言いますか、社会への適応が改善したのではないかというような御意 見が多数寄せられていたところでございます。  「人材養成に関するご意見」では、一番上が専門の医師の養成確保、次が学校の教職 員の養成といったことで、やはり医師、専門性を持った教職員の確保ということで多数 の御意見をいただいております。また、専門家一般への育成不足という御意見も多数い ただいております。  次のページにまいりまして「療育に関するご意見」というところでは、年齢にかかわ らず療育施設の確保または医療機関等とのネットワークづくりといったような体制づく りに関する御意見を多数いただいておりますが、次の行動療法もしくは応用行動分析、 ABAといった用法ですとかTEACCHプログラムの導入というようなことで、この 辺は当時者や御家族からもこういった専門的な療育についてのかなり詳しい御意見もい ただいておるところでございます。  こうした御意見を多数いただいたところでございますが、これらについては、それぞ れの施策を担当いたしますような担当部局におきましても、内容をよく検討させていた だきまして、今後の発達障害者支援の施策の参考とさせていただければというふうに考 えております。  本日につきましては、定義のところについて主に御意見を賜りたいと思っております けれども、今申し上げました全般、あとは各施策に関する寄せられた御意見について、 もし特段のコメントがございましたらば、後ほど賜れればと考えております。  今、御説明しておりました資料の一番最後のところに「定義に関する御意見」という ことで、パブリック・コメントで寄せられた御意見を整理させていただいております。 こちらについては、少し内容別に事務局の方で整理をさせていただいております。  まず上から3つ太線で区切っておりますけれども、こちらについては今回のパブリッ ク・コメントの案でおおむね妥当ではないかという賛同する御意見をいただいておりま して、2番目のところですけれども、日本発達障害学会からの理事会からも、こうした 御意見をいただいているところでございます。  4つ目の「てんかんを対象とすること」というところから幾つか、その個別の範囲の ところで個別の障害についての御意見をいただいております。てんかんを対象とするこ と。次が小児の脳腫瘍とか脳血管障害による後天的な要因からなる同様の発達障害も対 象とできないかというところでございます。  これはパブリック・コメントにも付けておりますけれども、これまでの2回の御意見 で、こうしたいわゆる器質的なと言いますか、てんかんとか他疾患による障害について も同様な障害、先ほどの政令で定めようとしている障害と同様な障害を持って、困って いらっしゃる方には同じく支援の対象とした方がいいのではないかという御意見をいた だいておりますので、この辺については今後施行に向けて整備していきます通知的にお いて、そういったところを明確にしていければというふうに考えているところでござい ます。  次に、吃音症とチック・トレットということでの御意見をいただいております。トレ ットについては前回も対象として考えることがいいのではないかといった御意見をいた だいております。先ほどの政令、省令の案で行きますと、吃音、チックが入ってくるの かなというふうに考えているところであります。  次にLD関係で、LDで明確に診断されないような方とか、ディスレクシア、字を読 む障害ということでよろしいんでしょうか。それについて明確な対象としてほしい。た だ、これらについて学習障害の概念の中に明確に入っていると思いますので、含まれて いるということと考えております。  感覚異常ということで、これは詳しく読んでみますと、いわゆる感覚の過敏というよ うなことを御指摘受けておりまして、これは多分広汎性発達障害等に随伴する障害のこ とを指摘をいただいているのかなと考えております。  子どものうつ病や統合失調症、情緒障害、行動障害を加えてほしいという御意見でご ざいました。情緒や行動については、今の省令案のところですと、対象になってくると 思いますけれども、うつ病や統合失調症というところについては、もし後ほど若干御意 見を賜れればと思います。  こういった書き方がいいのではないかということで、言語、情動、運動の協調、行 為、その他の云々ということで御意見をいただいているところでございます。  また、そのほか高機能自閉症を並列的に表現していただいきたい。ただ、概念的には これは広汎性発達障害の中にきちんと含まれているものと理解しております。そのほか の政令案にコミュニケーションの障害も加えるべきではないかと。社会性の障害である ことを明記するべきではないかといったような御意見をいだいております。  4つについてなんですけれども、これは機能の障害、特にLDですとかAD/HDが 必ずしも脳機能の障害と証明されたことはないのではないかといったような御意見もい ただいていますけれども、これは前回必ずしも器質的な障害というふうに狭くとらえる よりも、その脳の機能の障害というふうに考えていく方が現実の支援に合うのではない かという御意見をいただいております。また、その一方で機能の障害と考える、この検 討会での議論に賛成という御意見もいただいております。  そのほかの環境の要素も大きく影響してくるのではないかという御意見とか、余りに 広くなってはというような御意見も少数いただいているところであります。  次の一群が、知的障害との関連のところでございまして、IQだけで判断するのは適 当ではないと。少しこの幾つか詳しく見てみますと、この発達障害の定義をするのにI Qで切るようなことで適当ではないのではないかという御意見で、それは今の政令案で も、これまでの御議論でもIQでというような方向性ではございませんので、適当では ないというこの御指摘には沿った方向で、むしろどういう障害かということで定義をし ていただいていると考えております。  そのほか、軽度の知的障害やボーダーラインの知的障害を加えるべき、あるいは精神 遅滞を含めることといったような御意見。あとは少し発達障害のこの法律そのものから ややずれるのかもしれませんけれども、知的障害者の法的定義というような御意見もご ざいました。  次の2つはさまざまな状態に対応できる柔軟なものとか、この辺は運用の問題という ふうに理解しております。  最後、下4つのところが、これは発達障害という名称の使い方のところでございます けれども、この辺は前回もこの法案、法律、制定の趣旨のお話し等もございましたけれ ども、この法律ではこれまで制度の対象とならなかった方。そこを発達障害と呼ぼうと いうところで、中を議論していただいているところでございます。  ちょっと済みません。説明が長くなりましたけれども、こうしたようなパブリック・ コメントの御意見を踏まえまして、今検討中の政令案、省令案というところにつきまし て、御議論を賜れればと思います。どうぞよろしくお願いいたします。 ○栗田座長  どうもありがとうございました。特にパブリック・コメントに関しては、整理してわ かりやすく御報告いただきました。  それでは、議題の最初ですけれども、前回1、2回から続けてやっているテーマです が、発達障害の定義に関して、特に資料1、先ほど御説明がありましたパブリック・コ メントにかけた段階では、運動の協調という言葉になっていたのが、協調運動というふ うに、より臨床的な場面でよく使われているものにしたということなのですが、内容的 には変わっているということはないと思いますが、それを補足するものとして、特定の ということはやめてその他ということで、省令によって一応それを定義するという形で 資料1が出されております。この資料1をごらんになりながら、従来の議論をもう少し 進めていただいて、今日できれば一応まとめるという形にしたいと思いますので、また 活発な御議論をいただければと思いますが、いかがでしょうか。  特にパブリック・コメントの中で定義に関することを今整理していただいたんですけ れども、幾つかのコメントが出ていて、多分過去の1、2回のこの会でも意見が出たも のも少しあるかとは思うんですけれども、いかがでしょうか。  内山先生、何かありますか。 ○内山委員  意見というか確認ですけれども、精神遅滞に関してはこの資料1の案ですと、心理発 達障害並びに行動及び情緒の障害の中に含まれると考えてよろしいんですね。 ○栗田座長  精神遅滞は入っていないと思います。ICDだとF7になるんですね。知的障害にな りますので、一応ここで厳密に省令案で出されている心理的発達障害並びに行動及び情 緒の障害というのは、内容的には先ほど御説明があったようにF8と9に対応するもの ですが、必ずしもその診断基準でかっちり縛るようなものしか対応しないというわけで はないといったニュアンスです。知的障害に関しては前から議論がありますように、既 に別の法律がございますので、そのF7のことは外してあるということだと思います。   ただ、ボーダーラインに関しては、結局両方のどちらにも入っていない。これはD SM―IVやICD−10でそうですので、そこは問題になるんだろうかと思います。  どうぞ。 ○宮崎委員  定義に関する意見の中に、言語、情動、運動の協調、行為、その他の特定の脳機能あ るいは複合した脳機能障害であってというふうに書いたらどうかという提案があるんで すけれども、ICD−10などを見た場合に、この政令案の中にこの行為障害については 入っていると解釈してよろしいんですか。 ○栗田座長  今ここで、資料1で提出されている政令を補うものとしては省令案というのがござい まして、先ほど御説明がありましたように、まだ十分きちんと整理し切っていないとい うことのようですけれども、一応ICD−10のF8と9に相当するものを想定しており ますので、そのF9の中にたしか行為障害が入っているんですね。 ○宮崎委員  そうですね。そうすると、この省令案の心理的発達障害並びに行動及び情緒の障害と するという、この中でカバーするというふうに解釈してよろしいんでしょうか。 ○栗田座長  だと思います。ただ、その辺はむしろ逆に幅が広くなり過ぎているのではないかとい うふうな御意見があるのではないかと思いますけれども。たしか前回、前前回の議論の 中に行為障害というのは特に直接は対応しないんだというふうな御意見もあったかに。 ○宮崎委員  若干出てきたので、そこのところの確認だけちょっとしたかったんです。 ○栗田座長  その辺はむしろ先生方に御議論いただいて、少し全体の考え方を整理した方がよろし いかと思います。 ○宮崎委員  実は、行為障害そのものに関して言いますと、小学校の担任の先生方の中で、やはり その辺りを気になさっていたりするケースが多いんですね。要するに行為障害そのもの や行動の障害についての支援というのをかなり求めているケースが通常学級の中にある ものですから、その辺りをどう考えていくかというのは教育現場でも重要な中身になっ ているものですから、ちょっと申し上げました。 ○栗田座長  今、行為障害のことを取り上げていただいたんですけれども、こういった状態につい ての考え方についてはいかがでしょうか。確かにF8、9そのものを杓子定規に取ると いう考え方では多分ないと思います。できるだけ幅広く困難のある人をサポートしよう と、従来の法律の中では対応できなかった人たちをという精神ではあるんですけれど も。  純粋な行為障害というと非行みたいなものと関連しますので、別の法律体系で対応さ れてしまっている現状はあるかと思います。 ○市川委員  行為障害という概念は非常に幅広くて、今、栗田先生がおっしゃった非行グループも 行為障害です。10歳未満発症と10歳以上発症という分け方がありまして、予後も、障害 の内容も大きく違うことになっています。10歳未満発症例は、おそらく発達障害的な要 素を持っていると思います。思春期になってグループで行う非行に近い行為障害もあり ますが、これは医療以外でも対応できると思います。10歳未満のケースは、宮崎先生が おっしゃったような、小学校の現場でも話題になるような例だと思います。ただ両方と もF9の中に入っていますので、この中でカバーできると思います。 ○栗田座長  どうもありがとうございました。  ほかに、この行為障害の件について御意見ないでしょうか。確かにその発症年齢が早 いものについては、もともとその政令の第一条で言われているようなことと関連があり ますから、低年齢というところに含まれますので、この中に含まれるんだと思います。 むしろ思春期以降になって、いろいろ問題を起こしてくる行為障害というのは、またち ょっと違うんだろうかと思います。  いかがでしょうか。この件について何か。どうぞ。 ○藤村委員  私がこんな質問をするとかえって皆さんを惑わせてしまうかもしれないんですけれど も、このF9に相当するものというのは、原因として、その脳機能障害によるものと環 境因によるものとが鑑別されないことが多いのではないでしょうか。これまで発達障害 の定義ということで考えられてきたことというのは、恐らくその脳機能を原因に起こし ている障害に限定されて話をしてきたような気がするのですが、F9をまとめて拾って しまうと、その環境因によるものもこの中に一度に入ってしまうということで、今まで の議論からはちょっと飛んでしまうのではないかと思うのですが、そんなことはないの でしょうか。 ○栗田座長  どうもありがとうございました。  その件につきましては、確かにF9の中には例えば、一過性のチックなどというのは かなり従来から、あるいは現在でも心因性の強いものというような考え方もございます ね。  ですから、その場合でも、私は法律は細かくわからないんですけれども、先ほど事務 局の方と打ち合わせしたときに御説明いただいたんですが、政令の方が上に来ますの で、ここの段階で脳機能の障害と想定されているというところがかぶさってきますの で、多分その省令の中で例えば、F8、9ということを想定しても、脳機能の障害と学 問的に余り考えられていないものは対象にならないというふうな多分整理の仕方なので はないかと考えておりますが、そんなことでよろしいでしょうか。 ○山崎企画課長補佐  政省令の書き方では、脳機能の障害であって、その症状が通常低年齢において発現す るもののうちというところが、省令にもかかってまいりますので、そこは座長先生から お話ししていただいたとおりでございます。  あとは確かに環境要因のところと、実際の場にはなかなかクリアーに個々の人の場合 に切り分けられないことが多かったり、あと具体的な支援の面では、働きかけが同じよ うな働きかけでプラスの効果というようなこともあるだろうとも思いますので、今、先 生に整理していただいたようなところで、あと少し実際の運用という面ではそれぞれの 現場での柔軟性を持った運用が図られればというふうには考えております。 ○栗田座長  どうもありがとうございました。  そういうことで確かにF9の中にはいろんなものがございますので、ただ、政令の定 義の中で省令として決めるような部分が整理されてくるという考えで、実際には運用さ れるだろうということでございます。それからまた、実際には更にまたいろいろ柔軟な 対応があり得るということであります。  どうぞ。 ○内山委員  先ほどの精神遅滞のことのちょっとこだわるんですけれども、パブリック・コメント などで軽度発達障害が対象という認識を前提にしたコメントが幾つかあったと思うんで すけれども、カナータイプの、つまり知的障害を伴うタイプの自閉症もこの発達障害者 支援法の中の定義に含まれると考えてよろしいんですか。  いわゆる軽度発達障害支援の法律だということは言われているんですけれども、それ はちょっと誤解だと考えてよろしいんですか。ここのところをちょっと確認したかった んです。 ○栗田座長  どうもありがとうございます。その辺に関しては何か御意見ございますか。私が余り 言い過ぎるのはなんですけれども、当初この法律が考えられるようになった中には、や はりアスペルガー症候群とかAD/HDとか、確かに非常に重い知的障害を持っていな い人たちが対象になっていた部分もありますけれども、一応法律の中では広汎性発達障 害となっていますので、広汎性発達障害は断じて軽い障害だとは専門家はだれも思って いませんので、御意見の中には確かに軽度発達障害であるというふうなコメントがござ いますけれども、必ずしも軽度なものだけを意識しているというものではないだろうと 思います。  いかがでしょうか。どんどん御意見をいただければと思います。大事な部分ですの で。 ○緒方委員  定義に関する意見の中で、コミュニケーションとか社会性とかが触れられていて、こ の辺は全部含まれると思うんですけれども、やはり前回も話題になったボーダーライン の、これはボーダーラインの知的障害という表現はおかしいと思うんですけれども、い わゆるボーダーラインぐらいの方たちはどういうふうに扱うことになるのかというとこ ろをやはり確認しておくことが必要かなと思います。  実際の小中学校の現場で一番人数的に対応に困っているのがボーダーラインの子であ ることは間違いないと思います。 ○栗田座長  どうもありがとうございました。重要な問題だと思います。  今の緒方先生の御意見について、何かございますでしょうか。非常に大事なことだと 思います。 ○市川委員  今回の検討会では、ICDを中心に診断を行ってますが、DSMなどですと、知的な 部分は別の軸による分類になっております。境界域知能であっても、何らかの問題を呈 する場合が問題であり、境界域知能だけが理由にはなりません。そういう見方で言え ば、境界域知能から生じてくる、F9なり、あるいはF8に分類される問題を抱えてい る方を対象にすると考えれば、IQが高いとか低いということを問題にしなくてもよい と思います。 ○栗田座長  どうもありがとうございました。  ボーダーラインの知能に関しましては、私も前回、前前回で発言させていただいたの で、緒方先生と同じように重要な問題だという認識は持っております。省令案で今お示 しいただいているのは、確かに内容的にはICDの資料にありますF8とF9を想定は しているんですけれども、厳密にその診断基準に当てはまるものだけを取り上げようと しているわけではなくて、それと大体同じような類似の問題という考え方のようです。 そうしますと今、市川先生が整理していただいたように、ボーダーラインの方でも非常 に適応がよくて幸せに生活している人は、多分特別な支援を求めてこないと思うんで す。ですから、ボーダーラインの知能を持っていて、やはり学校で不適応を起こして、 例えば、不登校になるとか、場合によってはいじめられるとか、あるいはある程度大き くなってなかなか就労のチャンスに恵まれないとか、やはりいろんな意味で不適応ある いは御本人が非常に困っている場合には、多分F、特に9レベルの類似の情緒的な問題 とか心理的な葛藤は生じますので、やはり御本人が非常につらい、何とかしてくれとい うこと自体はそこに近いものなので、そういう形で政令あるいはそのほかの運用で柔軟 に対応できる対象になるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。 ○小塩委員  単純に定義では決まらないような気もしていて、運用と絡んで定義の問題を考えない といけないのかなと思います。最終的には厚生労働省の案、省令の方は、対象が広く入 っているわけですが、広くすることによって随分救われるところもありますが、サービ スの対象を広くし過ぎてしまうと、本来サービスを必要としている人たちもその中に入 って、必要としない人たちも実はそこの中に入っている。そうするとサービスを奪われ るという側面もありますので、どうするのか、その運用と絡めての話ですので、本来の 精神がちゃんと生きていくような何か条項が1つ必要なのかとか、その辺がちょっとわ からなくて判断しかねております。 ○栗田座長  どうもありがとうございました。  確かにボーダーラインとか、そのほかのことも含めてですけれども、実際に個々の問 題を考えますと、今先生がおっしゃったようなことというのはいろんなことに当てはま るような感じがしまして、その辺はいかがなんでしょうか。運用というのはどういうレ ベルでどういうふうな形でその辺はうまく取り込んでいくのかということです。 ○山崎企画課長補佐  確かになかなか難しい点がある問題と承知しておりますけれども、これまでの1回2 回の御議論でも、この法律の趣旨が発達障害支援を必要とする人たちを広くカバーして いこうという考え方からは必要な対象者が広くカバーされるような方向で、むしろこぼ れ落ちてしまわないように設定することが重要ではないかといった御議論がされたかな というふうに理解をしております。  実際のその運用の場面では、ただ御指摘のような面というのは多々出てくると思うん ですけれども、それを確かに政令とか省令の案の中にすべて盛り込むのは難しい面もあ るかなと思っております。この後々、通知ですとか、そういったところを出していこう と思いますけれども、ただ、最後にこの障害は対象でこの障害は対象でないと書くの か、あるいはその支援の必要性等を勘案していただいて、実施運用を図っていただくと いうような、やや一般的な書き方になってしまうかもしれないんですけれども、そうい った御指摘のような点を何か含められればとも思います。 ○栗田座長  どうもありがとうございました。  実際にはその運用の場面でいろいろと現場の御苦労がまたフィードバックされて、そ れがまた洗練されてくるというようなことがあるんだろうかと思いますけれども、定義 に関して、ほかにいかがでしょうか。どうぞ。 ○小枝委員  定義に関する御意見の中で、低年齢での発現に言及することにより、それを証明でき ずに、対象範囲外から外れてしまう人が出ないようにという御意見がございますが、こ れは意外と適用のよいアスペルガーの人が大学生ぐらいになって不適用を起こして初め て診断が付くというケースもあります。遡及的に幼児期にどうだったかといっても、結 構あいまいだったりしますので、低年齢で発現するということに該当しない方が実際に は出てくるんじゃないかなと、これを読んで感じたんですが、その辺りは大丈夫なんで しょうか。 ○栗田座長  今の御意見については、いかがでしょうか。何かございますか。  どうぞ。 ○内山委員  低年齢という枠をはずしてしまうと、例えば成人期に精神科にかかる非典型的な統合 失調症やボーダーラインパーソナリティとの区別が曖昧になってくると思うんです。  今、ちょっと困った傾向があると思うんです。診断のつかないケースをとりあえずア スペルガーと言ってしまうような傾向が、成人の精神科の中に多少見られると思うんで す。  それは、やはり発達履歴を丹念に聞くということをやれば、低年齢で何らかのサイン が、何らかというか、かなりはっきりしたサインが見つかることが多いですし、逆に全 然見つからなければ発達障害とは言えないので、ここはやはり抜かさない方がいいんじ ゃないかと思うんです。低年齢で発症という条件を抜かしてしまうと、精神科臨床でよ く診断つかないケースがすべてアスペルガーになってしまうという懸念があるので、こ こは是非置いておいてほしいなと私は思います。 ○栗田座長  どうもありがとうございました。市川先生何かございますか。 ○市川委員  多分低年齢とは何歳ですかという話になってしまうんでしょうけれども、いろいろ工 夫して、これは低年齢という言葉にきっとなっているんだろうと思うんです。  私も同じで、恐らく成人になってアスペルガーに気がつく方で、小さいころのことを 全然情報が得られない方をどうするかという問題が1つあるんです。特に保護者の方が もういらっしゃらないという場合は、わからないんですけれども、この中で取っていけ ば、通常と書いてあったり、何かいろいろ苦労されてこの文章をつくられていると思う ので、本当に必要な方は何とか、この中で得られるようにしていくぐらいしかないのか なという気がするんですけれども、これ以上広げてしまいますと、確かに拡大解釈にな ってしまうと思いますけれども。 ○小枝委員  実際に4月になって、この法律が動き始めたときに、幼児期、学齢期にある子どもと いうのは、保護者の意識も高いですし、注目度も高いので当然、数がたくさん出てくる んでしょうけれども、成人というのは、もっともっとたくさんいますので、病歴とか成 育歴といった情報がない人がいっぱい出てくるかもしれないと思っているんです。その 中で、きっと先生方もお迷いになるケースが少なくないんだろうと思うんです。  そのときに、証拠がないのではねるという形になると、本当であれば適用になるのに 残念だなという方も中には含まれるだろうと思いますので、証拠をどこまで求めるのか ということが、かなり議論されなければいけないんではないかという気がしています。 市川先生、その辺りはいかがなんでしょうか。 ○市川委員  おっしゃるとおりだと思います。例えばアスペルガーだったかもしれない人が成人に なってから、医療場面でどういう診断を受けているかという問題があります。  例えば、人格障害とか、ほかの診断を受けている方がいます。その中で本当にアスペ ルガーの方もいるし、そうでない方もいるという報告があります。この様な症例を広く 対象にできるようにしておきますと、診断的に難しい例を広汎性発達障害と診断するこ ともあります。先生が言うのももっともですが、結局は線引きの問題じゃないかと思い ます。 ○栗田座長  どうもありがとうございました。  どうぞ。 ○山崎企画課長補佐  この通常低年齢において発現するものというところについては、これは法律の中にこ う書いてあるところなんですけれども、その障害が通常低年齢において発現する障害と いう意味で書かれていますので、例えば、今のアスペルガー症候群ということで言いま すと、アスペルガー症候群は、通常低年齢において発現するというコンセンサスであれ ば、成人になってから診断といいますか、アスペルガー症候群ということがはっきりし た方というのは、わかった時点が成人であっても、これは発達障害者の対象ということ にはなると考えております。 ○栗田座長  どうもありがとうございました。確かに現場でのことで申し上げると、一般の風潮と いうか、いきなり不思議な方を見てアスペルガーと言ってしまうという人がいないわけ ではないんです。けれども、きちんと責任を持って診断するとすれば、その人が50歳に なろうが、60歳になろうが、やはり小さいころの特徴が明らかにそうだから、それを疑 うことは多分臨床の経験のある人ならできるんです。診断をきちんとするためには、小 さいころの資料、それが育児記録であって、あるいは幼稚園の記録でもいいんですけれ ども、そういうものを踏まえた上で診断ができるので、成人になって、昔のことを聞か ないでアスペルガーという診断をつけるのは、多分それは専門家の側の間違いだと思い ます。  ですから、そういう点では、アスペルガーという診断がつくケースについて言えば、 小さいころのデータを何とか集めて行われるということがあるというふうに普通は考え ますので、今、おっしゃっていただいたような形で特段問題ないだろうと思います。  むしろ、その辺は後で議論する、専門家の養成というか、力量をどう上げていくかと いう問題と多分つながることがあると思うんです。  定義の問題に関しまして、ほかに何かございますでしょうか。大分いろいろと整理さ れてきたと思うんですけれども。  どうぞ。 ○小枝委員  発達障害という用語を用いる場合には、支援法の定義によると明示し、無用な混乱を 避けていただきたいという御要望が、日本発達障害学会の理事会から出ております。こ の発達障害者支援法が出てきたのはこれまでの障害福祉施策の中では含まれていなかっ た人たちにも光を当てようということで出てきていますので、いわゆる軽度発達障害の 人たちが対象になったのでしょうけれども、一般的に発達障害というと、もっともっと いろんなものを含めるのが一般的ですので、わかりやすい形で明示しておくのが大事で はないかと思います。つまりこの理事会の提案については私らも心に止め置くべきでは ないかなと思うんです。  経緯を知らない人が、初めて聞きましたら、ではうちの子も入るんだなと、ダウン症 の子のお母さんは思いますね。ですから、これまでの経緯を何らかの形でわかりやすく 明示するという工夫は考えるべきではないかなと思うんですが、いかがでしょうか。 ○栗田座長  ありがとうございました。ただ先生、その件につきましては、要するに発達障害者支 援法における発達障害の定義というのは、既に明確に出ていますし、それを受けた政令 の範囲というのは、ある程度かたまっていますし、それからそれを補う省令案というの もありますので、そこをくんでいただければ、まさに発達障害者支援法でいうところの 発達障害だというのは理解いただけるんではないかと思うんです。  つまり、そこは少し誤解があると思います。特に今は広汎性発達障害全体を一応カバ ーしようという形には法律でなっていますので、これは断じて軽度の発達障害ではない ので、アスペルガーだってその困難性を考えれば、決して軽度とは言えないというの は、多分自閉的発達障害に関わっている人たちの、多分コンセンサスに近いと思いま す。 ○小枝委員  発達障害学会の理事会が誤解しているとはとても思っていなくて、正しい理解の下 で、なおかつ一般の人たちにわかりやすい看板が必要ではないかなと、そういう御意見 をお持ちじゃないかなと思ったんです。  ぱっと一見して発達障害者支援法と聞けば、経緯を知らない一般の人たちは、どうし てもそう思ってしまうので、当然定義の中とか、そういったところまで細かく踏み込ん で理解する人はそういう誤解はないでしょうけれども、こういう法律ができたというこ とを耳にしただけの人たちというのは、やはり誤解しやすいですので、そういう誤解と いうのはどんどんと口コミで広まっていきますから、やはりみんなにわかりやすいとい うのは目指すべきところではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。  どうぞ。 ○藤村委員  私は、軽度発達障害という言葉が、そんなにコンセンサスを得た概念ではないんでは ないかと思っているのですがいかがでしょうか。世の中では、今ずっと話題になってい ることがまさにそうだと思うのですが、専門家の間では決して軽度ではないという認識 に立って発達障害を取り扱っているはずなんですけれども、いつの間にかそこに軽度発 達障害という言葉が一人歩きし始めているんではないかと。  逆に言うと、ここで元に戻しているんではないかと考えるのですが、いかかがでしょ うか、そんなことはないんですか。やはり軽度発達障害というのは、相当巷に流布して いる概念になっているんでしょうか。 ○山崎企画課長補佐  確かに表現といいますか、用語の問題というのは、なかなか難しい問題も含んでいる ところと思うんですけれども、この法律においてということでは、第2条で発達障害と はということで、定義をしております。  今回は、発達障害者支援法という名前になった経緯については、前回の発案者の一人 である福島豊先生もお見えになられて、やはり今の制度の対象ではないところの人で、 この方のところをやはり定義をして、支援を法律化していかなければいけない。  そういう中で、発達障害という言葉について、一般用語といいますか、例えば医学的 にはもっと広い範囲もあるということは理解しつつも、やはりそこに法律といいます か、障害の名前として必要という観点もあり、この法律においては、こう言おうという ことで立法したというお話があったかと思っております。  確かに、そういった制定の趣旨ですとか、この法律でいうところの発達障害というの はこういう人ですというところを確かに専門家だけでなくて、広く一般の方にも御理解 をいただくことは非常に重要なことと考えておりますので、それは行政としても周知に ついていろいろな施策の中で努めてまいりたいと考えております。 ○栗田座長  どうもありがとうございました。  どうぞ。 ○市川委員  確認ですが、パブリック・コメントの中の対象に“てんかん”が入っておりますが、 てんかんはGコードでFコードにありません。「発作そのものだけの場合は入ってこな いが、小さいころに起きてくるてんかん発作でF8・F9に分類される症状を来すもの は入れる」という解釈でよろしかったですか。 ○山崎企画課長補佐  今日の参考資料の3に1回、2回の意見の概要をお付けしておりますけれども、これ までの議論で、まさに今、市川先生御指摘いただいたとおり、てんかんについても認知 障害が伴うこともあり、発達支援を考えていくことは重要であるというような御指摘も ございましたので、今、先生御指摘のとおり、てんかんに伴って今回定義しようとして いる心理発達あるいは情緒行動の障害がある場合には、この法律の支援の対象と考えて いいのではないかということで、その辺は具体的には今後通知等の中で明らかにしてい こうと考えております。  ただ、確かにてんかんの発作そのものとなりますと、むしろ医療ですとか、そういっ たところになりますと、この法律の中でてんかんへの対応のすべてをカバーということ は到底無理ですので、そういう意味ではてんかんに伴う、今、定義しようとしている発 達障害、そこについては対象とするという考え方で、これは他の中枢神経系への疾患と か、脳外傷の脳血管障害の後遺症といったところも同様というふうに考えております。 ○栗田座長  どうもありがとうございました。どうぞ。 ○藤村委員  済みません、何度も同じことをお伺いするようで申し訳ないんですけれども、先ほど から話題になっている軽度発達障害に相当する発達障害というのは、「今まで法律の対 象になっていなかった人を対象に」というように、ここで話題になっていると思うので すが、例えばここで発達障害として定義する自閉症については、さっき内山さんが言わ れたように、カナータイプの自閉症、つまり知的障害を伴う人たちも含んで発達障害と いうふうに定義しているので、決して排他条項として扱う必要はないんじゃないかと思 うんですけれども、それはそういう認識でよろしいんでしょうか。知的障害を伴った発 達障害の人も法律の対象であるというふうに考えていいですか。 ○山崎企画課長補佐  はい、広汎性発達障害の中で知的障害を伴っていらっしゃって、今の知的障害者福祉 法の対象になる方も、この発達障害者支援法の対象にもなるということで、勿論、だか らといって知的障害の法律の対象から外れてしまうということではありませんで、それ ぞれの支援の内容とも異なりますので、両方に該当される方もいらっしゃるということ でございます。 ○栗田座長  ありがとうございました。確かに発達障害という言葉は非常に幅広いので、多分小児 科領域と精神科領域ではまた含む場合が違いますけれども、一応法律あるいはそれをサ ポートする政令、省令などで定義されているものとしての発達障害であるということ は、今後いろいろな機会を通していろいろ広く伝えられることによって、もしかしたら 混乱があるのかもしれませんけれども、だんだん整理されていくんではないかというふ うに考えます。 ○小枝委員  こういったものが決まってまいりましたら、診断名とか状態像でもいいんですけれど も、それを書き上げて、こういった人は該当する、こういった人はこれには該当しない というような一覧表みたいなものができると、みんなが確認できていいのではないかと 思うんですが、今、知的障害のある自閉症の方で、例えばカナータイプの方は両方にま たがって該当するんだというお話を聞いて得心したんですけれども、その辺がきちんと みんなの中で理解できていないといけないというのはありますので、てんかんで例えば 多動のある人は該当するとか、てんかんで多動がない人は該当しないとか、そういった ような何か一覧表があった方が、みんなわかっているようで、実はちょっとずつ了解し ている範囲がずれているのではないかと思いますので、つくるのは大変難しいと思うん ですが、是非そういったものが提示されるとうれしいなと思います。  以上です。 ○栗田座長  どうもありがとうございました。その辺のことは、多分、今後いろいろ運用の中で工 夫されていくことだろうかと思います。 ○山崎企画課長補佐  なかなか、今、直ちにというところが、多分整理していくとどうしても辺縁の線のと ころが出てきたり、診断の裏づけという問題が出てくるようなところもあるのかなと考 えておりまして、今後支援の実際の現場での運用と、それに関するいろいろ疑問ですと か、問題とかも挙がってくると思いますので、そういった情報を収集しつつ、ちょっと 継続的に、また必要に応じて専門家の先生方の御意見を賜わりながら、ちょっと時間を いただきつつ、検討させていただければと思います。  どうもありがとうございました。藤村先生どうぞ。 ○藤村委員  今の話に非常に似ていることなんですけれども、先ほど、私が最初に心配したことに ついて、法があって、政令があって、省令があってと説明されれば、これは当たり前の ことで、よくわかることなんですけれども、なかなか普通の人はそういう考え方をしな いと思うんです。  この厚生労働省令案というところで、例えば「心理発達の障害並びに行動及び情緒の 障害とする」というように書いてあると、政令や法律のことは考えずに、これに飛び付 いてしまう人や専門家もいるんではないかと思うので、そこをわかりやすく説明をして いただけるとありがたいと思うんです。 ○栗田座長  どうもありがとうございました。それは多分今後の、どうぞ。 ○文部科学省 文部科学省でございます。これは文部科学省としての正式の意見という ことではないんですが、せっかくの折でございますので、若干意見を、申し上げたいと 思っております。これは事務的な話で大変恐縮なんでございますが、定義について法 律、政令、省令と3つで規定されている形になっておりまして、法律の中では3つの例 示として広汎性発達障害と学習障害とAD/HDが示され、その他これに類するものと いう形で定義されております。  それを受けて、政令の中で言語の障害、協調運動の障害、その下にまた省令で落とす という形になっており、さらに省令の中では、心理的発達の障害、行動及び情緒の障害 となっております。実は省令のところが一番広がりを持っているような表現になってい るんではないかと思っておりまして、これは事務的な話なんでございますが、法令的な 書きぶりとして、こういう形でいいのかと、若干協議させていただければと、考えてい るところでございます。 ○栗田座長  どうもありがとうございました。いかがですか。 ○山崎企画課長補佐  範囲と定義の仕方というか、対象範囲が広過ぎるというよりは、書き方の法律との書 き分けとしてという御指摘、またその辺はよく調整をさせていただきたいと思います。  それにちょっと関連して、資料1で政令案と省令案というところを示しております。  冒頭政令案の方も、今の内閣法制局の方と、かなり詰まっている段階ですけれども、 文言等を含めて詰めているところですので、基本的な考え方も大きく変わらないものと 考えていますけれども、多少文言のところを微修正あり得べしというふうに考えており ます。  また、省令については、今の文部科学省さんの御指摘もありましたので、今後詰めさ せていただいて、最終的なものにつきましては、また各委員の皆様方のところへ持ち回 りといいますか、お送り申し上げて御確認をいただければというふうに考えておりま す。 ○栗田座長  どうもありがとうございました。そろそろ第1の方の議題をまとめたいんですけれど も、何か御発言はございますでしょうか。  それでは、今まで3回議論を重ねてまいりまして、一応、政令での範囲、それから省 令案に関しては、まだ今後の検討が必要であるし、あるいは実際の運用の面では、今日 出していただいた御意見、あるいは既にパブリック・コメントで寄せられている貴重な 御意見などを含めて、またいろいろと検討いただくという形になるかと思いますので、 とりあえず第1の議題に関しては、そういうことでまとめさせていただきたいと思いま す。  ありがとうございました。  第2も非常に重要な議題ですが、医療機関の確保等に関してなんですが、これは前回 ぐらいから少し御意見をいただいて、こちらの方はまだ確かにいろいろな試みが既に進 行しているというようなことはありましたけれども、少し(2)の議題に関しまして、 若干資料がございますので、それを事務局の方から少し御紹介いただけないでしょう か。 ○山崎企画課長補佐  お手元の資料の中で、資料4というのが、実はダブってしまっているんですけれど も、1枚紙で「法律第百六十七号」と書いた資料4というのがございます。  これは、法律の抜粋でございまして、19条に「(専門的な医療機関の確保等)」とい うのがございまして「都道府県は、専門的に発達障害の診断及び発達支援を行うことが できると認める病院又は診療所を確保しなければならない」と。  第2項では「国及び地方公共団体は、前項の医療機関の相互協力を推進するととも に、同項の医療機関に対し、発達障害者の発達支援等に関する情報の提供その他必要な 援助を行うものとする」となっております。  第5条の方は、早期発見の中の3項でございまして「発達障害の疑いがある場合には 」ということで、市町村が早期に医学的に、または心理学的判定を受けることができる よう、この19条で都道府県が確保した医療機関その他機関を紹介し、または助言を行う ものとするというところで、法律の中に専門的な医療機関が出てくるところを抜き書い たものでございます。  今日の議題の2で若干御議論いただければと思いますのは、なかなかかちっとした専 門的な医療機関の要件を余りハードルを高くし過ぎてしまいますと、現状から考えて、 実際確保がほとんど難しいということも出てくると思いますけれども、資料5に少し事 務局の方で作成いたしまして、専門的な医療機関の備えるべき機能とか、第2項の「国 及び地方公共団体の援助について」ということで、論点だけ抜き書いたものなんですけ れども、こういったものもたたき台にしていただきながら、こういう専門的な医療機関 ではこういう機能が必要ではないかというところについて、少し幅広に御意見をいただ ければというふうに考えておりまして、資料5の方では具体的にはここに書いてありま す診療科目とか、診断機能とか、発達支援治療機能とか、施設設備あるいは入院機能、 他機関との連携といったようなところについて書かせていただいたところでございま す。  また「国及び地方公共団体の援助について」は、法律にあるように発達支援等に関す る情報の提供とか、その他こういうことが必要ではないかといったようなことについて 御提言を賜われればと考えております。  もう一点、先ほどパブリック・コメントの中の医療のところで、診断についていただ いた御意見をもう少し詳しく見ると、特にAD/HDを中心にしまして、非常に御意見 の中で懸念というか、危惧されておりましたのは、診断がみだりにといいますか、こう いう表現が適切かわかりませんけれども行われて、何か薬漬け医療を促進するようなこ とになっては大変に心配だと、こういった御意見でございました。  そういった点も含めまして、少し医療機関の備えるべき機能というような中で御議論 を賜われればと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。 ○栗田座長  どうもありがとうございました。それでは、この議題について、今、事務局から御説 明をいただいたようなことを踏まえて御意見を出していただきたいんですけれども。  今、最後におっしゃっていたことについて、何か御意見はないでしょうか。 ○市川委員  このパブリック・コメントは、AD/HDについてのものだということはわかってい るのですか。今の課長補佐の話だと、薬漬け云々という点は、AD/HDを中心にとい うようなお話ですね。 ○大塚障害福祉専門官 来ているパブリック・コメントは、AD/HDを中心に薬漬け というような形になる可能性が多いという御意見でいただいております。 ○市川委員  世界的に見ますと、日本はAD/HDについての薬の使用は少ないと思います。特に アメリカやオーストラリアや南アフリカに比べればはるかに少ないのが現状だと思いま す。今後どうなるかはわかりませんが、思春期以降になって他の精神疾患と間違って抗 精神病薬を中心に過量に投与されることも考えられると思います。診断がきちっと出来 るということと、適切な薬を選択することの2段の問題だと思います。診断を誤って薬 が投与される場合と、不必要に薬を投与することを指摘していると思います。海外に比 べると、日本はそういう方向にはないと私は理解しております。 ○小枝委員  市川先生がおっしゃったとおりで、薬物療法に関しては児童精神科の先生、それから 小児神経科の先生にアンケートを取って、どの辺りの重症度というか、それで使うかと いうのをアンケート調査しているんです。そうしますと、重症ないしはそれよりもワン ランク上の段階で初めて適用と考えるというアンケート結果が出ておりますので、これ はやはり日本のそういった診療に当たる人たちはやはり慎重に薬の投与というのをきち んと決めているという結果は出ております。  そういったところですので、それが17件もあったというのはちょっと驚きなんです ね。現実とはちょっと乖離した御心配があるのかなと。それについては、やはりきちん とお知らせをしていって、それから医師側の教育もきちんとしていくということで対応 できるのではないかと考えているところです。  でも、違った観点から行くと、例えば、今AD/HDに対する投薬とありましたけれ ども、認可されたお薬は一つもないですね。ですから、薬漬けになるということはなか なかないのではないかと思ったりします。 ○宮崎委員  ちょっと余談なんですけれども、インターネット上でリタリンの項を見ると大量の書 き込みがあるんです。そして、どこそこの精神病院ではこういう薬をどんどん出してく れるとか、特にAD/HDに関わって薬を大量に投与されているとかというような書き 込みがサイトでなされていることは事実です。ですので、そういったようなところを見 てしまうと、これは安易に薬が出されているのではないかというようなことを一般に取 られてしまいかねない。それが正しいかどうかは置いておきまして、サイトではそうい うのが見られるということは事実としてはあります。そこに対する警戒というか、やは りそういう啓発活動はしていかなければいけないのではないか。  だから、今、市川先生や小枝先生がおっしゃったような医療サイドではそういう慎重 な対応をされているんだけれども、現実にそこは自由にリタリンの売買などがされたり するような動きも実際にはあるということはどうもあるようです。これは余談です。 ○市川委員  宮崎先生がおっしゃるような事実がありますが、サイトにはリタラーという言葉が書 いてあります。リタリンが大人のうつ病に適用になっているため、成人の場合に中毒者 が多いということが大きな問題になっています。実は年少のAD/HDの方で中毒者と いうのは圧倒的に少ないと考えられております。「リタリンのうつ病への適用を認めて よいのか」という話も出ております。その辺りがホームページではごっちゃになってお りますので、必ずしもそれがAD/HDの話ではないように考えております。 ○栗田座長  どうもありがとうございました。今の問題は結局、確かに一部にはいろいろ混乱があ り得るということだと思いますが、やはり適切な発達障害の診療だとか診断だとか、あ るいは支援とか、今のこれから御議論をいただきたい、あるいは御意見をいただきたい この議題そのものに関連することだろうと思います。  あるいはそういうことで、いろいろ診療機能あるいは診断機能などが向上することに よって、多分そういう混乱が基本的にはなくなるということだろうかと思います。資料 5などでも一応、他のいろいろ、今日先生方に出していただきたい項目を整理していた だきましたので、この辺に沿って御意見をいただければと思います。  内山先生、どうぞ。 ○内山委員  それでは、この項目に沿って御意見を申し上げますと、診療項目はやはり児童精神科 あるいは小児科、小児神経内科か小児神経科だと思います。あるいは、成人に関しては 勿論精神科でいいと思うんです。  診断機能は、発達障害としての行動学的評価のみをするのか、あるいはその基底にあ る脳機能障害の評価まで含めて診断するのか、その2つ診断について分けて考えた方が いいと思うんです。例えば、アスペルガーとかAD/HDという発達障害の診断を、生 物学的な脳機能の評価まで含めるのだという立場ですと、脳波とかあるいはMRIとか が必要になってくるとと思うんです。  そういう詳細な医学的な評価が可能な施設も必要だと思うんですけれども、手前みそ ですけれども、うちのクリニックですとそういうものは一切医学的な検査はありませ ん。すべて発達歴と心理的な行動観察によって診断を続けています。例えば、TEAC CHセンターでも医学的な検査は一切していませんし、アスペルガーを広めたウィング 先生のクリニックも医学的検査は一切していないですね。本当に心理学的な、あるいは 精神医学的な、現在その評価に、あるいは発達歴の評価になります。そういうクリニッ クが幾つか専門クリニックとしてあってもいいと思います。  プラス、さらに小児神経内科的なチェックもできる大きな施設、設備のある病院と、 その2つがタイアップしていくのが現実的であって、1つのクリニックで全部医学的な 検査をしなければいけないとなるとかなり敷居は高いだろうというふうに思っていま す。  発達支援や治療機能に関しても、これも一つのクリニックあるいは病院でいわゆる療 育も含めてやらなければいけないというふうに考えるとかなり敷居が高くなってくると 思うので、地域によっては診断あるいは診断評価機能だけのクリニックとか病院があっ てもいいと思うんです。療育その他は地域の療育センターあるいは教育機関に任せて、 その提携をするというふうに分業してもいいのではないかと思っています。  施設に関しても、先ほど申し上げたとおり、全く診断評価だけの何もいわゆる医学的 な設備がないところでも診断評価ができますし、プラス医学的な評価もできるところも あっていいと。その2通りがあっていいと思うんです。  入院機能に関しては、経験上はやはり各県に1つや2つは欲しいなと思います。私は 横浜で仕事をしていますが、横浜市内であるいは神奈川県内で入院ができる、アスペル ガー、高機能自閉症、あるいはAD/HDの入院ができるところはほとんどないんで す。それで市川先生のところにいつもお願いしている状況で、政令指定都市でもないと いうのはちょっと困るなと思っています。  他機関との連携に関して言うと、学校や保健所その他の機関との連携は必要だと思い ますが、その連携に関しては経済的裏づけが今は全くないと。保険点数も取れませんの で、連携はしたいんですけれども実質的にはできないというのが現状で、そういう経済 的な裏づけを考えていただきたいというふうに思っています。  その他に関して言うと、日本に1か所でも2か所でもいいですから、研修もできて、 すべての検査ができるような機関が1つか2つは欲しいというふうに考えています。 ○栗田座長  どうもありがとうございました。  市川先生、いかがですか。 ○市川委員  内山先生がおっしゃったことは現実的なことだと思います。私が前回に話しました が、“発達障害の症状に基づく治療”と、“合併症の治療”という両方があります。両 方とも受けてもらえる医療機関がないことを考えておいていただきたいと思います。そ れから、その他のところに入ってくると思いますが、医療者の中でも発達障害をきちっ と鑑定できる方が非常に少ないのが現状です。医療観察法がスタートしたとしても、発 達障害の方をきちんと診断していただけるかどうかわからないのが現状ですので、そう いう機能も付け加えておいていただきたいと思います。 ○栗田座長  どうもありがとうございました。  小枝先生、いかがですか。 ○小枝委員  診断機能で見ますと、診断するための施設の機能というふうにして考えてしまうんで すが、正確に言うと、これは恐らく診断する人たちの能力なんだろうと思うんです。そ れも医師だけではなくて、それ以外の他職種の総合的な能力で診断能力、診断機能とい うことになると思いますので、医師だけを想定するのではなくて医師、心理の人、いろ んな訓練の人、そういったような学際的な診断機能という人たちの能力であると解釈し ておくべきではないかと思います。  どうしても医療機関となると、それではMRIがあるかとかそういった設備の方につ い目が向いてしまいますので、そういった意味で内山先生が言ってくださったことに大 賛成です。小児神経科の立場として1点付け加えさせていただくとすれば、鑑別診断が 非常に重要だろうと思っています。小児の神経疾患あるいは身体疾患との鑑別する能 力、これをきちんと診断機能の中に位置づけていただきたいと考えております。  AD/HDのガイドライン等をつくる過程で全国の小児神経科専門医にアンケートさ せていただいて、40%弱の回答が返ってまいりました。病気の初期にAD/HDと間違 われていた神経疾患ないしは身体疾患を挙げてほしいというアンケート調査をいたしま して、少なからぬ身体疾患ないしは小児の神経疾患が出てまいっております。確定診断 までに数か月の遅れがあったという事例も挙がってきていますので、この診断する機能 の中に鑑別診断という機能を、是非位置づけていただければと思います。  以上です。 ○栗田座長  どうもありがとうございました。  加我先生、お着きになったばかりで、申し訳ないですけれども、今、医療機関につい てというところで、特に専門的な医療機関なんですけれども、資料5のところについて 御意見を承っているところなんですが、先生の御立場からこの辺について、発達障害を きちんと対応していくためにはこういう体制が必要だとかについて御意見をいただけれ ばと思います。 ○加我委員  遅れてきて申し訳ございません。  先生方がもうおっしゃってくださったのかもしれないんですけれども、医学的にきち んと診断できるということは勿論だと思います。周りを支えるスタッフを確保できる体 制をつくり上げていく必要があるということはとても大切だと感じております。  診断に関しては、操作的な診断で行く場合には、今、小枝先生がおっしゃったように さまざまな疾患が入ってきてしまいます。実際ちょっと違っていたということではな く、例えば副腎脳白質ジストロフィー症など、大変な病気が隠れているのに、最初の症 状はAD/HDに見えたり、自閉症のように見えていたために診断が遅れる可能性も実 際あります。  それから、心理的な要因によると思われているということもしばしばございます。し っかりした診断機能はぜひとも確保していかないと、こういったお子さんたちにはとて も不幸なことになるのではないかと思います。そこを是非押さえていけるようにする必 要があります。 ○栗田座長  どうぞ。 ○宮崎委員  先ほど内山先生がおっしゃったことで、私もこの点だけはというふうに思っているこ とがあります。それは入院機能を備えている病院が圧倒的に少ないということです。  実は、市川先生のところには私どもの教育機関、分教室があるんですが、この人たち の場合には入退院を繰り返すケースが結構多くて、1年だったり半年だったりして、繰 り返しをしながら改善されていくというケースもありますし、入院時の教育効果という のもかなりあるというふうに思っております。そういう意味ではできるだけ各県に入院 機能のある病院が欲しいなということがあります。そうでなければ、少し広域でも構い ませんので、そういう対応が是非欲しい。  そのときに、他機関との連携ということで分教室等をきちっと整備する方向は教育委 員会が考えていくことだと思いますが、そういったような構えも欲しいというふうに考 えています。これは、梅ヶ丘病院内に青鳥養護学校の梅ヶ丘分教室が存在しているとい うことで長く教育機能提供をしてきていますので、その辺りは参考になるのではないか というふうに思っております。  以上です。 ○藤村委員  1つ質問をさせていただいてよろしいでしょうか。  ここで言われている専門的な医療機関というのは、狭義の医療機関というふうに考え るべきなんでしょうか。狭義というのは変な言い方ですけれども、医療対応をするため の医療機関であるのか、それとも今後の生活の支援をこの医療機関も含めて担っていく 一部の機能を持った機関なのかどうか、皆さんおわかりでしょうか。その辺はいかがで しょうか。  純粋に医療としてだけやっていけばいいのと、やはりその先のことを考えるのとで は、少し違いがあると思うんですけれども、多分この19条で言われている専門的な医療 機関というのは、狭義の部分であって、その続きに関してはほかの専門的な機関と連携 しなさいという書き方なのかもしれないんですけれども、ただそれにしてもほかとどう いうふうにつながっていくかというのは大事なことだと思うので、ちょっとお聞きした んです。 ○栗田座長  どうもありがとうございました。藤村先生がおっしゃるように、確かに医療機関とい うのは、狭くとらえられているかと思いますが、ただ実際にはどういうふうに連携して 発達支援を行っていくかということですので、むしろそのところまで含めていろんな御 議論をいただければと思います。  ですから、もっと広いものをつくるべきであるという御意見があって当然だろうと思 います。どうぞ。 ○障害者雇用対策課 障害者雇用対策課でございます。私どもでは、青年期以降、成人 期の発達障害者に対する就労の支援という部分での施策を担当しているおりまして、今 後発達障害者に対する雇用支援施策についても充実を図っていかなければならないと考 えているところですけれども、私ども労働関係機関で支援を行っていく場合にも、やは り発達障害の特性や、それを踏まえたノウハウという点でも医療機関の御助言をいただ く必要があると思いますし、あるいは、支援施策を講じていく場合の認定の在り方につ いても、今後検討しなければいけないということが考えられるところです。成人期にお ける発達障害の診断、あるいは労働機関に対しての協力等、について、御意見を承って おきたいと思います。 ○栗田座長  どうもありがとうございました。今の件について、いかがでしょうか。  藤村先生、どうぞ。 ○藤村委員  それでは、少し広げてこういうことが必要なんではないかということをお話ししたい と思いますけれども、狭義の医療の部分については、もう大先生方がおそろいですの で、お任せしますが、どちらかというと私はいつものとおり福祉の立場で発言をさせて いただくと、診断を受けた後、彼らがどういうふうに生活をしていくのかということを 考えると、それぞれが生活している場所で、どんな支援が得られるかということを考え る必要があると思うのです。  特に子育てをしている、お父さんやお母さんに対する支援を、専門的な医療機関がど ういうふうに行えるか。例えばお医者さんが勿論子育てをうまく、こういうふうにやれ ばいいんだということを教えていただければ、それはそれでいいんだと思うんですけれ ども、必ずしもお医者さんの役割として子育てまで踏み込んでお話しをしていただける ことはないと思うので、そういう機能を持った、先ほど小枝さんが医者以外の専門家が 必要なんだというふうにおっしゃった。例えば看護師であるとか、ケースワーカーであ るとか、いろんな人たちがそこに必要なんだと思うんです。そういうお医者さん以外の 専門家の配置というのが大変大事だと思うのですが、そのときに、これは大変失礼なも のの言い方で恐縮なんですが、今の医療機関のシステムというのは、やはりお医者さん がトップにあって、医者の指示に基づいてパラメディカルスタッフが仕事をするという 形になっているのだと思います。生活を支える仕事を考えたときには、必ずしもお医者 さんがすべてを決めることが良いことではなく、学際的な専門家のチームがというふう に、小枝先生おっしゃったような、いろんな人が意見を出し合って問題解決を図れるよ うなシステムを検討していただけたらと思っています。  そこで必要なのは、相談を受けることであるとか、助言をするであるとか、あるいは 他機関の連携、先ほど宮崎先生おっしゃったような、学校との連携であるとか、雇用対 策課の方がおっしゃったような、労働機関との連携とか、いろんな連携ができるような 専門家をチームとして抱えていくというのが、備えるべき機能なんではないかというふ うに思います。 ○栗田座長  ありがとうございました。  どうぞ。 ○市川委員  今、藤村先生は、どういうことを意味されているか若干わからないんですけれども、 発達障害の専門的な医療機関であれば、自動的に医療だけでは全然完結しないんです ね。ですから、恐らくコメディカルスタッフも相当いなければいけないし、福祉であ れ、教育であれ、あるいは就労の問題であれ、全部職員がないと恐らく、ただ手術して 何日経ちましたから退院ですという問題ではないですから、逆に言えば発達障害の専門 医療機関であれば、自動的にそういうふうになってないと機能していかないのではない でしょうか。 ○藤村委員  そうですね。多分、市川先生の認識では、自動的になんだと思うんですけれども、こ の備えるべき機能等についてというふうに列挙してある項目立てで見ると、やはりそこ が「自動的」ではないのではないかというふうに思ったので、あえて発言をさせていた だいたところです。 ○市川委員  わかりました。 ○栗田座長  どうもありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。  確かに、医療施設、医療機関ということではありますけれども、幅広くお考えいただ いて、いろいろなお立場から御意見をいただけるとありがたいんですけれども、いかが でしょうか。  個人的な私の経験では、精神医学の中では診断研究というカテゴリーのことをずっと やってきた立場からすると、やはり診断機能に関しては、小枝先生もおっしゃっていま したけれども、例えばDSMとかICDの診断基準は、決して医師だけが使うようにつ くられているわけではなくて、実際アメリカなんかでは、特にイギリスでもそうですけ れども、診断そのものの研究は医師でない人がかなりいい研究をしていて、むしろ指導 的な人はそういう人たちがかなりいるわけです。  ですから、臨床的な面でもやはり、実際に発達障害は市川先生がおっしゃるように、 医師だけで成り立つ領域ではないので、きちんと対象を受け入れる段階で、いろいろな 領域の人が共通の枠組みを持って診断できるということは大事だろうと思います。  それから、特にICDとかDSMというのは、かなり包括的な内容が書いてあります ので、それをどう読んで適用していくかというところに、実は大きなぶれが実際に生じ るわけです。  ですから、DSMを使っていると言っても、機関によって違う診断が出てしまうとい うことはあるわけです。そこをもうちょっと細かく現場で使えるような形で把握するよ うな道具と言いますか、そういうものがやはりつくられたり、あるいはそれについての 研修みたいなものが行われていくということは大事かと思います。  特に今、これは現場で使うものではないんですけれども、研究レベルでは自閉的な発 達障害についてはADIR、日本語で自閉症診断インタビューというものがあります。 これは1980年代の終わりに開発されて、新しいバージョンが1990年代半ばですけれど も、今、特に生物学的な研究を欧米の雑誌に出すと、ADIRでちゃんと診断したかと いうことが言われて、しっぽを巻いてしまう日本の研究者もたくさんいるわけです。だ けど、ADIRは、アメリカのシカゴとかに行って、研修を受けてライセンスをもらわ ないと、しかもその受けた人が自分の研究のためにやる範囲だけでしか使えないという もので、しかも評価に3時間ぐらいかかるんです。ですから、臨床では使えない。けれ ども、やはりそれがある意味では重要なものになっていて、生物学的研究をするときに は、日本の専門家は今、非常にハンディキャップを認識しつつあるという状況です。た だ、それをまねする必要はないんですが。  例えば、いろんな職種の人たちがDSMとかICDを共通の理解としてやっていくた めには、やはりお互いどういうふうにそれを読んでいくかという勉強と言いますか、そ ういうトレーニングがすごく必要です。ADIRというのも結局ICDの診断基準項目 を詳細に聞くものですので、それに準じたようなものがあれば、いろんな専門家の教育 に多分役に立つのではないかということは思っております。  ちょっと長く申し上げましたけれども、いかがでしょうか。  加我先生、研修などの御経験を踏まえて何かありませんか。 ○加我委員  診療に関しては、療育や暮らしに直結していることなので、やはり医療サイドでも具 体的に情報としてお届けするようにはしているはずです。外来にいらっしゃる方には、 その場で原則的な事柄や基本的なお話をしていくことは可能ですし、多分、十分やって おられるとは思います。でもそれでは毎日何をどうしたらいいかということについての 練習の指導や見守りを病院ですべて行うのは不可能なことです。それを実際に受けてい ただける場所や担当してくださる方を探す、日々のケアを担当していただける方をお願 いするということについて病院では困る場面が実際あることは確かだと思います。これ がスムーズにいくような体系をつくっていくことが実際の役にも立つし、御家族にも御 本人にも貢献できるのではないかと思います。 ○栗田座長  どうもありがとうございました。  あと、先ほど内山先生がおっしゃったんですけれども、診療科目については、小児神 経科というのは立派な標榜科ですけれども、児童精神科というのは全然そういうふうに なってないという残念な現状です。これは児童をやっている精神科医の長い間の悲願な んですけれども、確かに私たち児童精神科医の方にもいろいろ問題があるんですが、や はり発達障害をきちんと把握する精神科医を育てるためには、そういった診療科目とし て児童精神科というのがあると、相談に来る方も相談しやすいということはあるかと思 います。ただ、そこの内容をどうするかというのが、精神科の場合は一番重要なんだと 思います。 ○小枝委員  小児神経科を買っていただいてとてもうれしいんですけれども、正式な標榜科にはな ってないんです。小児神経科というのは、正式な標榜科ではございませんで、小児科の 中の1つの専門外来として、発達障害外来とか、神経外来というのを設けているという ことでございます。 ○栗田座長  どうもありがとうございました。  この件に関していかがでしょうか。 ○内山委員  医療に関していろんな注文というか、要望があると思うんですけれども、優先順位を 考えると、まずやはり診断評価だと思うんです。それが、例えば、アスペルガーの人 を、ほかの診断名を付けてしまうと支援が始まらないし、そもそも発達障害者支援法の 対象にならないわけですね。プライオリティーを考えると、まず入口のところでの診断 だと思うんです。小枝先生おっしゃったように、それは人だと思うので、診断評価がで きる小児科医や精神科医を養成することが、まずプライオリティーの1つだろうと。  もう一つのプライオリティーは、やはり命を守るとか、健康を守るということになる ので、発達障害の人が入院できる精神科を各県に確保すると。それで、合併症の問題が 非常に困っております。要するに、患者が虫垂炎になっても入院させてくれる病院がな いとか、そういったこともあるので、そういう合併症の人が入院できるベッドを確保す る。ここのプライオリティーになると思うんです。  あと、小枝先生の鑑別診断という意味では、精神科と小児科との連携が重要になって くると思います。私たち精神科医は、小児科的な評価をする力はないので、AD/HD とかアスペルガーと診断した人を、大体近くの小児神経科、あるいは遺伝科とかに結構 送っているんです。ほとんどルーチンに小児科的な評価をしてくださいということでお 送りしているんですけれども、なかなかそれがうまく連携が取れない現状があって、そ んなにたくさん送ってきても困るという話になってしまいます。そういった連携につい ても少し考えていきたいと思っております。  プライオリティーという意味では、やはり鑑別、診断、評価ということになるんでは ないかと思います。 ○栗田座長  ありがとうございました。  どうぞ。 ○藤村委員  今の内山さんのプライオリティーというのは、大変よくわかるんです。そのプライオ リティーの順番のその次に来るもので多分連携があるんだと思うんですけれども、先ほ ど経済的な裏づけがというふうに言われていたではないですか、この経済的な裏づけが ないと、なかなか医療機関というのは、そこに踏み出せないのではないかと思うんです けれども、それはどういうふうにしたら経済的な裏づけはできるんでしょうか。他機関 との連携を確たるものにする経済的な裏づけというのは。 ○市川委員  医療の経済的裏づけには、医療保険の点数の問題が関係してくると思います。この分 野はマンパワーが必要です。人手がかかるということは、人件費がかかるということ で、この点が一番懸念されています。民間の医療機関がこの分野はほとんどないという のは、まさしくその結果だと思います。 勿論、医療以外のところでも同じことが起き てきていると思いますが。 ○藤村委員  そうすると、先ほど私が申し上げた、狭義の専門的な医療機関にとどまらないために は、やはり経済的な裏づけをどのように作っていくか、ということが大事ではないかと 思いますけれども、それでよろしいでしょうか。 ○市川委員  はい。 ○栗田座長  どうもありがとうございました。この議題に関しましては、とにかく固まった案を出 すということではございませんで、先生方からいろいろ御意見を出していただいて、今 後の重要な参考にさせていただくということですので、もう時間もそろそろ。  それでは、最後に先生、どうぞ。 ○市川委員  藤村委員も言われましたように、これは医療だけではなく、いろんな分野がなければ ならないと思います。この勉強会でも以前お話しましたが、発達障害のナショナルセン ターを是非つくっていただいて、そこから全国的に展開していくことを是非考えていた だきたいと思います。 ○栗田座長  どうもありがとうございました。  それでは、今、非常にたくさん貴重な御意見をいただいたので、事務局の方でおまと めいただいて、それを次のステップに反映させていただければと思います。  どうもありがとうございました。  どうぞ。 ○山崎企画課長補佐  そうしましたら、本日は政令案についておまとめいただきまして、本当にどうもあり がとうございました。  お手元に若干資料ございますけれども、内容については前回御説明申し上げたところ ですので、後ほど資料を御確認いただければと思います。今日は3回目ということで、 最後おまとめいただきまして、最後に塩田障害保健福祉部長の方から、一言ごあいさつ 申し上げたいと思います。 ○障害保健福祉部長  検討会の委員の皆様には、3回にわたりまして熱心な御討議をいただきまして、あり がとうございました。政令案と発達障害の専門的な医療機関の確保の2つの論点で議論 していただきました。  政令につきましては、今月中に閣議決定をして公布したいと思っております。  それから、いよいよ発達障害者支援法の政令ができれば、今年の4月1日からスター トするということでありまして、この法律は行政がつくった法律ではなくて、関係の方 々の熱意、それから熱心に取り組んでいただいた国会の先生方の御尽力でできた法律で ありまして、私たちとしては文科省とともに法律の精神が生かされるように最大の努力 をしたいと思っておりまして、法律のスタートは発達障害者の方々の、これからの長い 長い物語の始まりだということでありまして、発達障害を持つ人たちが普通に暮らせる ような社会の実現に向けて努力したいと思っているところでございます。  ナショナルセンターの話が出ましたが、既に通常国会の予算委員会でもそういった問 題提起をされている先生方が出ておりますので、今後更に国会で議論をして、そういう ものを実現できればいいと私自身も思っております。  それから、この検討会は、とりあえず閉じますけれども、従来からやっておりますイ ンフォーマルな勉強会を来月からまた再開しますので、また御参加していただければと 考えております。  本当にありがとうございました。 ○山崎企画課長補佐  どうもありがとうございました。 ○栗田座長  どうもありがとうございました。  それでは、これで閉会させていただきます。本当にどうもありがとうございました。 (問い合わせ先)   厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部     企画課障害認定係 西澤  TEL 03−5253−1111(内3022)  FAX 03−3502−0892