05/03/02 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会 平成17年3月2日議事録      薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会議事録 ○日時 :平成17年3月2日 (水)   午後2時27分〜午後4時43分 ○場所 :厚生労働省専用第15会議室(7階) ○出席者:   委員   井上(達)委員(部会長)、井上(松)委員、大野委員、小沢委員、        加藤委員、志賀委員、下田委員、豊田委員、米谷委員、山添委員   関係省庁 農林水産省消費・安全局衛生管理課薬事・飼料安全室 小野室長補佐        農林水産省消費・安全局農産安全管理課農薬対策室 小峯生産安全専門官        農林水産省消費・安全局植物防疫課 鈴木課長補佐   事務局  松本大臣官房参事官、高原企画情報課長、中垣基準審査課長、        宮川課長補佐、近藤専門官、浦上係長、坪井技官 ○議題:  (1)食品中の残留農薬等に係る基準の設定について    ・ピルリマイシン(動物用医薬品)    ・クロチアニジン(農薬)  (2)食品中に残留する農薬等へのポジティブリスト制の導入について  (3)その他 ○事務局  それでは、定刻より若干早いわけでございますが、委員の先生方おそろいになりまし たので、これより「薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会」を 開催させていただきます。本日は、お忙しい中お集まりいただきありがとうございま す。どうぞよろしくお願いいたします。  開会に当たりまして、本来、外口食品安全部長からごあいさつを申し上げるところで すが、所用のため松本参事官からごあいさつを申し上げます。 ○大臣官房参事官 皆さん、こんにちは。ただいま御紹介いただきました、大臣官房参 事官の松本でございます。「薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬品 部会」の開催に当たりまして、一言ごあいさつ申し上げます。  皆様方におかれましては、日ごろより食品衛生行政の推進につきまして、種々御協力 をいただきまして、ありがとうございます。  初めに、去る1月31日に開催されました「薬事・食品衛生審議会総会」で、審議会委 員の委員改選等がございました。当部会では、委員の互選によりまして、井上委員に部 会長をお願いすることといたしました。井上委員におかれましては、よろしくお願いい たします。また、豊田委員におかれましては、これまで部会長として当部会を円滑に運 営いただきましたことに、厚く御礼申し上げます。農薬登録等に伴います審議のほか、 食品に残留する農薬等のポジティブリスト制施行に向けた作業など、案件の多い部会で ございますが、井上部会長始め委員の皆様方におかれましては、引き続き御協力のほど よろしくお願いいたします。  本日は、食品中の残留農薬等の基準設定につきまして、農薬のクロチアニジンと動物 用医薬品のピルリマイシンについて御審議いただくこととしております。  また、前回の当部会で御報告いたしました、残留農薬等ポジティブリスト制の暫定基 準(第二次案)でございますが、それに寄せられました意見について御検討をお願いい たします。 簡単ではございますけれども、開会に当たりましてごあいさつ申し上げま す。御審議のほど、どうぞよろしくお願いいたします。 ○事務局  ありがとうございました。  初めに、去る1月に薬事・食品衛生審議会委員の改選がございまして、当部会に新た に志賀委員が就任されておりますので、御報告を申し上げます。  本日は、青木委員、中澤委員、吉池委員より欠席の御連絡をいただいております。 「農薬・動物用医薬品部会」の委員13名中10名の御出席をいただいており、部会委員総 数の過半数に達しておりますので、本日の部会が成立しておりますことを御報告いたし ます。  それでは、井上部会長に御審議の進行をお願いしたいと思います。今後の御審議よろ しくお願い申し上げます。 ○井上(達)部会長  ただいま、松本参事官の方からも御紹介いただきましたが、改めて私、小職から是非 よろしくお願い申し上げます。  それでは、議事に入らせていただきますが、始めに事務局から配布資料の確認をお願 いします。 ○事務局  それでは、配布資料の確認をさせていただきます。お手元にお配りしております議事 次第でございますが、こちらは3枚の紙をホッチキスどめしたものとなっております。  次に配布資料の中でございますが、資料1−1、1−2といたしまして、動物用医薬 品であるピルリマイシンについての資料となっております。  また、資料2−1、2−2、こちらは農薬でありますクロチアニジンの資料となって おります。  また、資料3−1、3−2、資料3−3−1、3−3−2、こちらにつきはしては、 ポジティブリスト制の導入に係る配布資料となっております。  また、最後に参考資料といたしまして、参考資料1「国民平均、幼小児、妊婦、高齢 者別の農産物・畜産物摂取量」。  参考資料2といたしまして「食品中に残留する農薬等の暫定基準(第2次案)等につ いて」、こちらは公表資料でございます。  参考資料3といたしまして「食品安全委員会への意見聴取及び食品健康影響評価結果 について」となっております。  落丁等がございましたら、御連絡のほどよろしくお願いいたします。 ○井上(達)部会長  それでは、配布資料の不足等お気づきでしたら、逐次事務局の方までお申し来しくだ さるようお願いいたします。  それでは、審議に入りたいと思いますが、議題1「食品中の残留農薬等に係る基準の 設定について」、本日は2件、動物用医薬品のピルリマイシンと農薬のクロチアニジン について審議を行うことになっております。  まず、動物用医薬品ピルリマイシンについて、資料1に基づいて事務局から御説明を お願いいたします。この動物用医薬品の基準案の作成に当たっては、関係の委員に既に 資料等について御検討をいただいているところでございますので、よろしくお願いいた します。 ○事務局  それでは、ピルリマイシンにつきまして御説明いたします。資料は、資料1−1と記 載しているものでございます。  このピルリマイシンにつきましては、現在、我が国において使用が認められている品 目ではございませんで、今般海外で使用される農薬等に係る残留基準の設定及び改正に 関する指針に基づきまして、残留基準の設定について要請がなされたものでございま す。  これまでの経緯を簡単に申し上げますと、昨年11月30日に要請者から厚生労働大臣あ てに要請がございまして、これを受けまして12月3日付で厚生労働大臣から食品安全委 員会委員長あてに食品健康影響評価を依頼いたしました。  食品安全委員会におきましては「動物用医薬品専門調査会」におきまして審議が行わ れました結果といたしまして、現在、資料1−1の評価案が公表されておりまして、評 価案につきましては本日まで意見、情報の募集が行われているところでございます。  なお、本部会での御審議に当たりましては、本年2月22日付で畜水産食品中に残留す る動物用医薬品ピルリマイシンの基準設定につきまして、厚生労働大臣から薬事・食品 衛生審議会会長あてに諮問していることを御報告いたします。  それでは、資料に基づきまして御説明をさせていただきます。  まず「1.薬剤の概要」でございます。  「(1)物質名」でございますが、ピルリマイシン塩酸塩水和物でございまして、図 のような構造のものでございます。  「(2)効能・効果」でございますが、ピルリマイシンは、リンコサミドを含むML S抗生物質の一群で、主としてグラム陽性菌に対して有効であるということでございま して、一般的な乳房炎の病原菌であるStaphylococcus属及びStreptococcus 属等に対し て有効であるということでございまして、動物用医薬品としては乳房炎の治療に用いら れているということでございます。  「(3)その他」にまいりまして、諸外国での状況でございますけれども、英国、ニ ュージーランド等では、泌乳期の乳牛の潜在性及び臨床型乳房炎の治療、EUでは泌乳 期の乳牛の潜在性乳房炎の治療を目的として使用されているということでございます。 各国における、用法・用量につきましては、記載のとおりでございますが、本剤は乳房 内注入投与剤ということでございまして、本日要請者の方からサンプルをお借りしてま いりましたが、このようなシリンジを用いまして乳房内に投与するというようなもので ございます。 それでは、2ページをごらんください。「2.毒性試験の概要」「2− 1.吸収・分布・代謝・排泄」についての御説明をいたします。  「(1)吸収・排泄」のところの泌乳牛における乳房内投与試験をごらんください。 対照動物の吸収・排泄試験が、標識ピルリマイシンを用いて2つの試験が実施されてお ります。  1つ目の結果といたしましては、この項目の2パラ目にございますけれども、乳房内 に投与されたピルリマイシンは、大部分が投与後12時間以内に排泄され、これらは血中 に移行せずに排泄されたものと考えられましたが、一部は血液/乳房を介して全身の組 織循環に入り、2相性の薬物動態が認められたということでございます。  投与量に対する平均総回収率につきましては、乳汁に約50%、尿中に約10%、糞中に 約24%であったということでございます。  また、2つ目の試験につきましても、同様の結果が得られているということでござい ます。  3ページにまいりまして「(2)代謝」のところの泌乳牛における体内分布をごらん ください。こちらにつきましても、標識ピルリマイシンを用いまして、2つの試験が実 施されておりますけれども、いずれにつきましても、肝臓で最も高く、続いて、腎臓、 脂肪、筋肉の順であったということでございます。  続きまして、泌乳牛における乳汁、肝臓、尿、糞中の代謝物のところにまいります。 ここでは、尿、糞、乳汁、肝臓中、それぞれの代謝物の平均存在比が調べられておりま す。結果は2パラ目でございます。  尿中では、ピルリマイシン未変化体が80.6%、ピルリマイシンスルホキシドが8.0 %、未同定の極性物質1が3.8 %、2が6.7 %、その他0.4 %という結果でございま す。糞中では、ピルリマイシン未変化体が44.6%、ピルリマイシンスルホキシドが1.5 %、未同定の極性物質1が32.2%、2が17.8%、その他2.6 %でございました。肝臓中 では、ピルリマイシン未変化体が21.9%、ピルリマイシンスルホキシドが76.5%という 結果でございます。乳汁ではピルリマイシン未変化体が90.0%以上を占めていたという ことでございます。  なお、未同定の極性物質につきましては、ピルリマイシンまたはピルリマイシンスル ホキシドのリボヌクレオチド付加体であるということと結論されているところでござい ます。 また、結果は示されておりませんが、ピルリマイシンスルホキシドの抗菌活性 につきましては、ピルリマイシンの100 分の1未満であったと報告されているところで ございます。 続きまして4ページにまいりまして、毒性試験が実施されております。 急性毒性試験、亜急性毒性試験等につきまして結果が記載されております。毒性試験の まとめといたしましては、13ページをごらんください。  13ページの下の方の「3.食品健康影響評価について」のところでございます。ま ず、催奇形性については、げっ歯類2種及びウサギを用いた試験が実施されているとこ ろでございます。ラット及びマウスにおきましては、それぞれ800mg/kg体重/ 日、1600 mg/kg 体重/ 日の用量までの試験が実施されておりまして、いずれも母体毒性は観察さ れておりますが、最高用量でも催奇形作用は認められなかったという結果でございま す。  ウサギを用いた試験におきましては、5mg/kg 体重/ 日の最高用量で胚致死作用等の 発現率の上昇が見られ、母体においては高頻度の流産らの毒性が観察されておりますけ れども、いずれの投与量においても催奇形性は認められなかったとされております。  14ページにまいりまして、しかしながら、このウサギの試験につきましては、ほかの 試験に比べますと、非常にNOELが低いという結果でございますけれども、ウサギは ある種の抗生物質とか、消化管の障害に対する感受性が高く、この種の化学物質の毒性 評価に用いる動物種としては、不向きであることが知られています。特にリンコマイシ ン系の抗生物質につきましては、ウサギにClostridium spp.による腸炎を起こすとされ ております。 これらのことから、本薬の毒性学的ADIの設定に当たりましては、ウ サギ催奇形性試験の知見を採用することが適切でないという結論とされております。結 果として、今回のADI設定には用いられてないということでございます。  発がん性につきましては、慢性毒性、発がん性試験については実施されていません。 しかしながら、ピルリマイシンはin vitroのAmes試験、前進突然変異試験、in vivo の小核試験のいずれにつきましても陰性でありまして、遺伝毒性はないと考えられると されております。  また、90日の試験におきましては、腫瘍の発生頻度の増加は報告されておりません。 更に、リンコマイシン系の抗生物質については比較的長いヒト臨床における使用歴があ るが、副作用として腫瘍の発生は知られておりません。  これらのことから、発がん性試験を欠いても、ADIの設定は可能であるが、慢性毒 性の知見がないことから、毒性の評価にあってはこれらを考慮する必要があると判断さ れております。  これらを踏まえまして、毒性学的データから導かれるADIにつきましては、15ペー ジにまいりまして「一日摂取許容量(ADI)の設定について」の2パラ目でございま すけれども、毒性学的影響につきましては、最も低い用量で被験物質投与の影響が認め られたと考えられる指標は、ラットを用いた3か月間亜急性毒性試験でございまして、 このNOAEL10mg/kg 体重/ 日を用いまして、これに種差10、個体差10に加えまして 慢性毒性試験を欠くことについて、更に10の安全係数1000を考慮しまして、毒性学的A DIは0.01mg/kg 体重/ 日と設定されております。  再び14ページに戻っていただきまして、今度は微生物学的影響のところでございま す。こちらの微生物学的影響につきましては、JECFAにより決定樹が示されている と。それから、現在検討中のVICHのガイドラインで示されているということでござ いますが、食品安全委員会といたしましても、これらを踏まえまして、ヒトの腸内細菌 叢への影響を十分に反映できる単独の試験法が確立されていない現状を考慮すると、こ れらのように複数の知見から最も適切と考えられるものを用いて微生物学的ADIを設 定する手法が、現時点において最も妥当な手法であるとされているところでございま す。  今回のピルリマイシンについての微生物学的影響につきましては、in vitroの試験と しましては、MIC50、連続培養試験における細菌生存能、それからin vivo の知見と しましては、リンコサミン系抗生物質のヒト臨床上の使用経験における有害影響、ヒト ボランティアにおける単回経口投与(用量漸増)による臨床観察とClostridium difficile 及びその毒素の検出試験があるということでございますけれども、食品安全 委員会といたしましては、総合的に考慮した結果としましては、ヒトボランティアにお ける経口摂取に関する知見を採用することが、現状では最も適当であると判断しており ます。  この内容につきましては、12ページに戻っていただきまして、Gというところをごら んください。「Gヒトボランティアにおける微生物学的影響」のところでございます。 ここでは、5名の健常男性ボランティアにつきまして、4用量を1週間のインターバル を置いて経口投与し、投与前日及び投与2日後の糞弁中のClostridium difficile 、こ れはリンコマイシン系抗生物質の重要な副作用として認識されております、偽膜性大腸 炎の原因と考えられている菌でございますけれども、この菌から産生される毒素が調べ られております。  結果といたしましては、プラセボとピルリマイシンの各用量における、この Clostridium difficile の検出率に統計学的な有意差は認められなかったと。それか ら、検出例総数の比較では有意であったという結果でございます。  すなわち、この結果は有意ではございませんけれども、結果の表の125mg の後のCの ところで5分の3になっていると、250mg の同じところでは5分の5になっていると、 それから、500mg では5分の3になっているということで、この菌が検出されたという 結果が得られております。有意ではありませんが、そういう結果が得られているという ことでございまして、この結果に基づいて、ADIが設定されているわけでございます けれども、この評価といたしましては、また15ページをごらんいただきたいと思います けれども、ここの「一日摂取許容量(ADI)に設定について」の下から9行目辺りで ございますけれども、菌は検出されておりますが毒素が検出されなかったこと、それか ら、血液生化学パラメーター等にも影響は認められなかったということでございますの で、この投与量における影響はごく限定的なものと考えられているということでござい ます。  結論としましては、ヒト試験については安全係数として個人差10のみが適用されます けれども、この試験の対象は限られた人数の健常男性であって限定的であると。それか ら、明確なNOELに基づいてないことを保守的に考慮しまして、追加の安全係数10を 適用するのが適当と判断されております。  体重補正、安全係数として個人差10、追加10の合計100 を用いてADIは0.0083mg /kg 体重/ 日と設定されております。  これらの結果から、ピルリマイシンのADIといたしましては、微生物学的ADIと 毒性学的データから得たADIの低い方を取りまして、それから国際的慣行で1けたと いうことにしまして、0.008mg/kg体重/ 日と設定することが適当であると評価されてお ります。 続きまして、当部会の報告案について御説明させていただきます。  21ページ、資料1−2と書いてあるものをごらんください。こちらが御報告案でござ います。  「1.概要」としましては、品目名:ピルリマイシン。用途:泌乳期の牛乳房炎の治 療。こちらについては、ピルリマイシンはリンコマイシン系の抗生物質であると、グラ ム陽性菌に対して有効である、米国やEU諸国等で乳房注入剤として使用されている、 今般の要請に基づいて、残留基準を設定するものであるということを記載してございま す。  化学名、構造式及び物性については、記載のとおりでございます。  22ページにまいりまして、(5)適用方法及び用量につきましては、先ほどの安全委 員会の評価案の記載に加えまして、カナダの休薬期間についても追加の情報が入りまし たので記載させていただいているというところでございます。  「2.残留試験結果」にまいりまして「(1)分析の概要」といたしましては、(1) 分析対象の化合物としまして、ピルリマイシン、肝臓についてはピルリマイシン及びそ の代謝物であるピルリマイシンスルホキシド。  (2)分析法の概要としましては、バイオアッセイ法及びHPLC/TSP/MS(H PLC/thermospray /mass spectrometry )法が、乳及び組織において用いられてお ります。  それから、肝臓につきまして、ピルリマイシンスルホキシドを分析対象に加えている 理由を記載しておりますけれども、これは検体の調整の間にピルリマイシンスルホキシ ドからピルリマイシンへの変化が認められた。すなわち、流通段階等で代謝物であるピ ルリマイシンスルホキシドがピルリマイシンに変化することが想定されたため、残留試 験における肝臓の分析に当たっては、ピルリマイシンスルホキシドをピルリマイシンに 変化させるよう、24時間放置する操作を追加したということでございます。  なお、腎臓などほかの組織につきましては、ピルリマイシンスルホキシドの存在が認 められているということでございますけれども、このような変化は見られなかったとい うことでございます。  また、参考といたしましては、ピルリマイシンスルホキシドはピルリマイシンの主要 な代謝物でありますけれども、微生物学的活性はピルリマイシンの約百分の一であると 報告されているところでございます。  次に残留試験でございますけれども、ここに記載している結果につきましては、アイ ソトープで標識していないピルリマイシンの投与におけます組織における残留試験結 果。それから、23ページにまいりまして、乳における残留試験結果を記載しておりま す。  これらの結果につきましては、25ページにまいりまして「(4)まとめ」としまし て、諸外国における適用方法、用量及び休薬期間内における最大残留量。すなわち、休 薬期間内において最大の値を示した値を整理しております。  筋肉、脂肪につきましては、いずれも定量限界で、2回というのは、アメリカ、カナ ダ、ニュージーランドの投与方法でございまして、8回というのはEUでございますけ れども、(5)の休薬期間内において、いずれも定量限界未満になっているということ でございます。肝臓につきましては、2回投与で休薬期間7日の場合610ppb程度、それ から8回のときは21日の休薬期間で165 、腎臓につきましては8回の21日休薬期間の場 合は、定量限界未満になるという結果でございます。  それから、食用部分といたしましては、筋肉、脂肪、肝臓及び腎臓を除いた部分とい たしまして、データが利用可能であった乳房につきまして150ppb程度、それから小腸に つきまして30ppb 程度という結果が得られております。それから、乳につきましては、 2回投与で休薬期間が36時間の場合、220ppb程度。8回投与で96時間の場合、50ppb 程 度という結果でございます。  「3.許容一日摂取量(ADI)評価」につきましては、先ほど御説明差し上げたと おりでございます。26ページにまいりまして、諸外国における使用状況でございますけ れども、先ほど申し上げたように、米国、EU等で使用が承認されている。  それから、残留基準につきましては、米国、カナダ、EU、ニュージーランド等にお いて以下のとおり設定されているところでございます。  国際的な部分につきましては、平成16年2月に開催されましたJECFAにおきまし て、ピルリマイシンの評価が行われておりまして、残留基準の国際基準が提案されてお ります。これを受けまして、コーデックス委員会の残留動物用医薬品部会(CCRVD F)におきましては、昨年10月に会議が開催されておりまして、残留基準の設定につい て現在検討(ステップ5)が行われている状況でございます。  27ページにまいりまして「5.残留基準値」でございます。  (1)残留の規制対象としては、ピルリマイシン。  (2)残留基準値(案)としては、以下のとおりでございます。  まず、牛の筋肉、脂肪、肝臓及び腎臓につきましては、JECFAの提案を踏まえま して、それから残留実態も勘案しまして、それぞれJECFAと同じ値を設定すること とさせていただいております。  (2)、牛の食用部分につきましては、先ほどデータにつきましては御説明させていた だきましたけれども、乳房につきましては、一般に食用とされないということから、小 腸の残留実態を勘案いたしました。  小腸の残留実際につきましては、残留値を見る限り腎臓とほぼ同様かそれ以下と考え られることから、腎臓と同じ値としております。  乳につきましては、JECFAにおいて0.1ppmと提案されておりますけれども、この 提案につきましては、チーズ等の乳製品製造用発酵菌への影響、この表の下に(注)が ございますけれども、JECFAでは乳の残留基準0.1ppmとしておりますが、この根拠 は乳製品製造用発酵菌に影響しない乳中のピルリマイシン濃度が0.13ppm 未満であった ということに基づいていると承知しているところでございますけれども、これは一方で はヒトへの健康影響の観点ではないということでございまして、その取り扱いについて はCCRVDFにおいて議論中であると。それから、また要請者の提案が0.3ppmであっ たということを踏まえまして、それから残留実態も勘案しまして、0.3ppmという残留基 準値案を提案しております。  「(3)ADI比」でございますけれども、今、御提案させていただいた基準値(案 )の上限まで本剤が残留したと仮定した場合、国民栄養調査結果に基づき試算される、 1日当たり摂取する本剤の量(TMDI)のADIに対する比は、以下のとおりでござ います。 この算出につきましては、28ページに国民平均の摂取の試算例を書かせてい ただいておりますけれども、基準値案に国民栄養調査から得られます、当該食品の摂取 量を掛けまして、それの合計とADIを比較したということで、一番多いもので小児の 47.6%ということでございます。  それから、(4)の暫定基準の第2次案の関係でございますけれども、ピルリマイシ ンについては暫定基準値案が設定されておりますけれども、今般残留基準を設定すると いうことから削除させていただきたいということでございます。  以上でございます。よろしくお願いいたします。 ○井上(達)部会長  どうも御説明ありがとうございます。それでは、この報告案について、御質問、御意 見ございますでしょうか。 ○小沢委員  質問でございますが、27ページの残留基準値のところの(2)の中の乳について、J ECFAでは0.1ppmが提案されているがのくだりなんですが、チーズ等の乳製品で多分 スターター発酵菌への影響を考慮したということで、あとはCCRVDFで議論中だと いうふうに書かれておりますが、この結論が出てしまったら、この取り扱いをどうする のかということと、日本では今、使われていないんだと思うんですが、今後このスター ターへの影響を考えるような使われ方というのは、されることがないのか。その辺が、 この書き方だけではわりかにくいかなと思うんですが、いかがでしょうか。 ○井上(達)部会長  それでは、その2点について、御説明いただけますか。  どなたからがいいですか。どうぞ。 ○基準審査課長  スターターへの影響というのは、食品製造への影響というふうに考えておりまして、 そういう意味から申し上げますと、乳を摂食することによるヒトへの影響という観点か ら決めます、この残留基準の設定とは若干趣旨が異なるんだろうというふうに解釈いた しているところでございます。  また、今回このステップ5の段階とはいえ、コーデックスの基準を横目で見ながら議 論をしていただいておるわけでございますし、そういう意味から申し上げますと、コー デックスの基準が正式に決まった際には、WTO条約、あるいはSPS協定の関係もご ざいますので、それはそれでまた考えなければならない部分も当然出てくるんだろうと いうふうに考えております。 ○井上(達)部会長  よろしゅうございますか。ほかにはいかがでしょうか。 ○加藤委員  今の御質問のところに絡むんですが、JECFAで0.1 の根拠は、今のお話のように 発酵菌に影響するかどうかというところで規定されているというふうに書いてあるんで すけれども、そのJECFAの資料を見てみますと、必ずしもそうではないというよう な読み方ができるんです。この項は、確かにそういうことが書いてあるんですけれど も、別項のところで乳、そのほかのところで、LOQの2倍という数字で設定したとい う1項が入っているんです。ですから、そこはちょっと確認できないのかどうか。確か に、EUについては、ここに書いてあるとおり、この菌に対する影響ということで0.1 という設定がされているので、この表の根拠のところをもう一度確認していただきたい と思います。 ○基準審査課長  確認した上、正確な表現に変えさせていただきたいと思います。 ○井上(達)部会長  ほかにはいかがでしょうか。残留に関するヒト影響の問題とか、代謝の問題とか、こ れでよろしいですか。 ○大野委員  これで結構です。 ○井上(達)部会長  どうぞ。 ○米谷委員  2点ばかり疑問がございまして、一部事務局の方にも事前にお伝えしておりまして、 1つにつきましては御回答いただきました。それは、肝臓の場合ですと、スルホキシド がメインになっておりまして、それが途中でまた元の本体に戻る可能性があるというこ とで、ではほかの臓器ではどうですかということでお調べいただきましたところ、先ほ ど御説明がありましたように、ほかの臓器にもあるが、もう元には戻らないという御説 明でしたので、それにつきましては納得いたしました。  もう一つは、乳房炎の治療をするときに、当然牛から搾乳しないといけないと思うん ですが、それについては当然休薬期間がありますので廃棄されるということで、それを きちんと守っていただきたいというのを、こちらの方からは要望したいと。それは当然 のことだと思いますので、混ぜて薄めてということをお考えにならないようにというこ とでございます。 ○井上(達)部会長  事務局、よろしいですか。 ○事務局  はい、この件につきましては、米谷先生の方から御質問を伺っておりまして、これに つきましては、投与中も当然ながら通常と同様に1日2回搾乳を行うことを確認してい ます。無論搾乳された乳につきましては、薬剤を含むということでございますので、こ れについては適切に処分がなされるものというふうに考えております。 ○米谷委員  どうもありがとうございました。 ○井上(達)部会長  ほかにはいかがでしょうか。これは、こうした乳房炎に対する治療以外の使用経験が 比較的長くあるわけですね。以前、ヒトで使われていて、偽膜性大腸炎なんかたくさん 見て、原因がその当時はわからなかったんだけれども、今、御説明のようなことなの で、ヒトよりも動物の方で使われるようになったという理解なんですけれども、そっち の方の経験は長いんですね。(発言者注:リンコマイシンとの混同である。) ○事務局  ヒトにつきましては、使用の経験は今までにございません。 ○井上(達)部会長  乳房に対しはどうですか。 ○事務局  乳房に対しては、1993年から米国で使われているという状況でございます。 ○井上(達)部会長  どうぞ。 ○井上(松)委員  このデータとは直接は関係ありませんが、微生物学的な評価をするときに、データが ちょっと古いような気がするんです。恐らく、申請時と最近とでMIC値などが相当変 わっていく可能性があります。最近のデータがあるかというと、なかなかないと思いま す。それで安全係数が関わってくるという話になるんでしょうけれども、この辺をどう 評価に生かすかがあると思います。 ○井上(達)部会長  その辺の審議の件、御確認ください。  ほかにはいかがでしょうか。 ○基準審査課長  実は、この乳の基準値の案が0.3 ということで提案させていただいております。た だ、この残留のデータを見てみますと、25ページの表の一番下の部分でございますが、 国によって若干使用方法が違っておりまして、それを2列に書いているわけでございま すけれども、多い方では220 ±230ppbという結果が出ておるわけでございます。ですか ら、これをプラス・マイナスという標準偏差で考えますと、0.3ppm、300ppbを、もう既 にデータ自体が超えているという事態が実は生じております。  普通、残留実態から基準値を決めていく際には、実験値にある程度の余裕を持ってA DIの範囲内に収まるのであれば、ある程度の余裕を持って基準値を決めていくわけで ございますが、この場合に27ページの5の(3)、先ほど小沢委員から御指摘のあったと ころに書いておりますとおり、要請者の提案が0.3 ということでございますので、この 0.3 という形で御提案させていただいておるところでございますが、これからパブリッ ク・コメント、あるいはWTO通報で諸外国のコメントを取っていく際には、場合によ ってはここが問題になる可能性があるし、そういう場合にはまた部会の先生方にも御相 談する事態も出てくるのではないかと考えているところでございます。  勿論、乳自体が外国から輸入されることはございませんので、これは食品衛生法の外 の問題でございますが、実際上、乳自体が輸入されることはございません。乳の基準を つくっておりますのは、外国でこの乳を使って乳製品が製造され、その乳製品が日本に 輸入されると、ポジティブリストの世界の中では、そういった乳製品にもこの乳の基準 を基に規制がかかってまいりますので、そういう意味で乳の基準をつくろうとしておる わけでございますが、先ほど申し上げましたような事情から、いろんなところからまた コメントが出てくるかもしれない。また、コメントが出てきた際には先生方のお知恵を 拝借する機会もあるんだろうということを、あらかじめお願いをしておきたいと思いま す。 ○井上(達)部会長  それでは、ただいまの中垣課長の留意点についてお含みおきいただくということで、 先に進めたいと思いますが、ほかにございませんか。  ないようでしたら、本報告案をもちまして、当部会の報告とさせていただきたいと思 いますが、よろしゅうございますか。               (「異議なし」と声あり) ○井上(達)部会長  ありがとうございます。  それでは、本報告案で当部会の報告書として出すということで、事務局から今後の手 続について御説明お願いします。 ○事務局  本件につきましては、食品安全委員会から正式な通知を受けた上で、一部確認事項等 もございますけれども、本報告案を部会報告書といたしまして、WTO通報及びパブリ ック・コメントを求めるとともに、食品衛生分科会に諮る予定としております。 ○井上(達)部会長  よろしゅうございますか。                (「はい」と声あり) ○井上(達)部会長  どうもありがとうございます。  続きまして、農薬クロチアニジンについて、資料2に基づいて事務局からの御説明を お願いいたします。この農薬の基準案の作成に当たっては、先ほどと同様関係委員の先 生方に既に資料等について御検討いただいていることをお伝え申し上げます。  それでは、よろしくお願いいたします。 ○事務局  資料2−1、2−2を中心に説明させていただきます。資料2−1は、食品安全委員 会が1月21日に厚生労働大臣に通知をいただきましたクロチアニジンに係る食品健康影 響評価の結果でございます。  まず、8ページをごらんください。8ページの上の方からありますけれども、用途と しては殺虫剤で、2002年4月に食用作物に農薬登録がなされております。今回は、その 2003年5月に申請者から農薬取締法に基づく適用拡大の申請がございまして、それに基 づいて安全委員会の評価、それからこの部会での御検討をいただくというものでありま す。  1ページへ戻りまして、7ページにこの剤の食品健康影響評価結果の要約がまとめら れています。結論から申しますと、一番最後の行でございますが、ADIが0.097mg/kg 体重/ 日という設定になっているということであります。  評価書の内容は、細々と御説明するのも時間を要しますので、総合評価、25ページの ところで説明をさせていただきたいと考えております。25ページに「III .総合評価」 がございます。まず一番最初のパラグラフが、動物体内の運命試験の結果でございま す。ラットを用いた試験でございまして、血液中の濃度が低用量の単回投与で2時間後 に最高値になると。それから、静脈投与でも最高値になって、半減期は経口投与で2.9 から4、静脈投与で1.8 から2時間。組織残留は低用量投与で投与後2時間で11.2μg/g 等々、その代謝試験の状況が出ております。主な排出経路は、尿中でございまして、投 与後7日でおよそほとんどのものが代謝物として出てくると。糞中にわずかですが出て くるということになります。  高用量投与群になりますと、同じような傾向でありますが、若干量が少ないのかなと いうところです。  同じような試験で反復投与試験等がございますが、それらは代謝物が若干異なってい るということになります。主な代謝物としましては、そこにありますような、ニトログ アニジン基とチアゾリルメチル部分の開裂などによって代謝されるということになりま す。  イネ、トマト、お茶で、植物体内の運命試験が行われておって、イネ、トマトでは代 謝を受けて、そこにありますTZMU、MG、それからトマトではMNG、TZNGと いうような代謝物が主要なものであると。茶では、代謝物はほとんどわずかしか検出さ れなかったということであります。  その次、真ん中辺りに土壌中の運命試験。それから、その次のパラグラフは加水分 解、それから水中の光分解試験の結果が載っております。そちらは割愛をさせていただ きまして、その後、作物残留試験でございますが、水稲、野菜、果実等々、適用のある ものについて、クロチアニジン、それから主要な代謝物について分析が行われておりま す。クロチアニジン自身の作物残留試験の最高値ですが、お茶のデータでそういう数 値、38ppm というのがありましたと。それで、14日、21日のデータは、7.93mg/kg 、 3.28mg/kg と減衰があったと。代謝物の最高値は、そこにありますようなお茶でのデー タですけれども、TZNGだと0.167mg/kgという数字になっているということになりま す。お茶、ブドウ以外では、代謝物というものは全体のすべて0.1mg/kg未満であったと いうことになります。  その後に、土壌での残留試験成績などがございまして、次の26ページにまいりまし て、毒性試験の結果が出ております。  最初に、急性毒性、急性の経口投与によるLD50など、あと経皮のLD50が出ており ます。ラット、それからマウス、それぞれそのような数字になっております。  代謝物についても、急性の経口毒性を認めますが、そこにございますような数字にな っております。  急性の神経毒性の無毒性量が、ラットで60mg/kg 。亜急性毒性で得られた無毒性量 は、ラットで79.9、イヌで19.3。神経毒性は見られなかったと。  慢性毒性、それから発がん性試験ですが、それの無毒性量はマウスで47.2、ラットで 9.7 、イヌで15.0、それぞれmg/kg 体重/ 日。これについて発がん性は認められない。  2世代の繁殖試験の無毒性量は9.8mg/kg体重/ 日。  発生毒性の無毒性量は、ラット母動物で10mg/kg 体重/ 日、胎児で125mg/kg体重/ 日。 ウサギのデータだと、それぞれ25mg/kg 体重/ 日で、催奇形性などは認められなか ったと。 その後、変異原性の試験が出ておりまして、細菌を用いた復帰突然変異試験 等々試験が行われておりまして、CHL細胞を用いた染色体異常試験以外はすべて陰性 でありましたと。CHL試験の方ですが、これは染色体の異常誘発が認められておるけ れども、肝臓培養細胞を用いた試験。それから、小核試験の結果が陰性であったことか ら、生態における遺伝毒性は発現しないものと考えられると結論づけられております。  代謝物につきましては、細菌を用いた復帰突然異論試験を行っていますが、すべて陰 性ということになります。  無毒性量の最小量が、次の27ページの表14にまとめられておりますが、その中で最小 値と申しますのは、上から8つ目です、ラットの24か月の慢性毒性/発がん性併合試験 の結果で、雌の9.7mg/kg体重/ 日となっています。ただ、2003年に農薬取締法の登録保 留基準の設定時に、中央環境審議会で設定されたADIが、0.078mg/kg体重/ 日となっ ています。これにつきましては、イヌの慢性毒性試験、325ppm投与群の雄の7.8mg/kg体 重/ 日ということで設定されていたものと考えられておるわけですが、このときの同じ 試験の650ppm投与群の雄雌で見られたALT減少の毒性の影響によるものと考えられる けれども、ただこれは他の病理学所見が観察されていないことから、検体の投与に関連 した毒性ではないと結論づけて、結果としてイヌの無毒性量は、そのマウスの無毒性量 よりも大きいものとなっているという解説が付いております。  結論といたしましては、27ページの一番下にございますように、ラットを用いた試験 の結果、無毒性量に安全係数をかけてADIが0.097mg/kg体重/ 日になっております。  以上が、食品安全委員会の結論でございまして、それに基づきまして、資料2−2に この部会の報告書案としてまとめております。37ページでございますが、クロチアニジ ンに関して、まず殺虫剤で、ネオニコチノイド系の殺虫剤で、ニコチン性のアセチルコ リン受容体のアゴニストとして作用するものだということになります。  適用は、37ページの下からしばらく42ページまで出ております。37ページの方にいき なり芝が出ておりますが、そこにあります「フルスウィング」これは商品名ですので、 これは水溶剤ですけれども、そこに書いてあるのは商品名が書いてございますが、それ ぞれ作物名、適用病害虫名、希釈倍数、使用時期等々の適用の規定が出ております。  38ページには、これも「ダントツ水溶剤」とありますが、これも商品名でございまし て、クロチアニジンの水溶剤、16%の水溶剤だということになります。イネ、それから イネの箱での育苗の際での使用、キュウリ、メロン、スイカ、ナス等々ございまして、 今回適用拡大の申請をしているのが、39ページの一番下でございまして、大豆への適 用、それから次の40ページの上を見ていただきますと、キャベツ、ピーマンへの適用と いう下線の引いてあるところで、今回適用拡大の申請のあるものになります。大豆で申 し上げますと、適用の病害虫名は、アブラムシ、カメムシ類でございまして、希釈倍率 がこの剤でございますが、クロチアニジンの16%の水溶剤を2000倍希釈をして、10a辺 り150 〜300 Lをまくと。使用時期は収穫前7日までで、本剤の使用は3回以内で散布 を行うということになります。  それ以外でございますと、粒剤でございますとか、そのあとにフロアブルであります とか出てございますが、40ページの下にイネの箱育苗のものが適用拡大として出ており ますし、41ページのところで、キャベツ、ピーマン、かんきつの苗への適用などが出て おります。  42ページの方では、粉剤でダイズへの適用というのも拡大申請として出ております。  途中、適用病害虫のところにも下線が引かれておりますが、これも適用拡大申請とし て申請の中に出ておると理解しておりますけれども、作物に対して新たに加わっている のはこれだけということになります。  それで、43ページからが作物残留試験の成績でございます。分析対象はクロチアニジ ンとしておりまして、クロチアニジンをアセトン抽出して、43ページの6の(1)の (2)にあります、それぞれのカラムなどで精製をした後に、高速液体クロマトグラフィ ー(UV検出器)で定量するという形にしております。  作物残留試験の成績をまとめたものが、51ページから55ページにかけて一覧表にして ございます。文章の方は、43ページからございますから、一覧にまとめますとそこにな ります。非常にたくさんありますので、後ほど基準の設定のところで説明をしておきた いと思いますので、ここでは割愛をさせていただきます。  更に、今回イネへの使用がありますので、稲わらへの残留というものがあります関係 上、48ページでございますけれども、乳汁への移行試験結果が示されております。これ は、残留している稲わらを投与するのではなくて、クロチアニジンを1日辺りにつき14 mgを投与すると、朝搾乳後7日間、これを搾乳後に経口投与して、投与開始日、投与開 始後1、3、7、それから投与後1、3、5でそれぞれ搾乳をして、1日に2回搾乳を いたしまして、同一のサンプルを混ぜた上でクロチアニジンの測定をすると。ただ、い ずれも乳汁への移行というものは、検出限界以下であったということになります。  以上がクロチアニジンの作物残留の試験のデータの関係ですが、ADIの評価が48ペ ージの真ん中に出ておりますが、これは安全委員会の評価結果のとおりです。海外での 使用状況ですが、このクロチアニジンにつきましては、コーデックス、米国、カナダ、 EU、オーストラリア、ニュージーランドについて調査をいたしましたけれども、基準 が設定されているのは、アメリカ、カナダのトウモロコシ、なたね、乳ということにな ります。  クロチアニジンの基準案でございますが、今回この基準を考えるに当たって、その48 ページの下のただし書きで、49ページの前半のところを見ていただければと思いますけ れども、49ページに分子の形態が載っておりますが、チアメトキサムという農薬が別に ございます。実は、このクロチアニジンという物質は、このチアメトキサムを散布した 際の主な代謝物のひとつであるということになります。  したがいまして、今回のクロチアニジンの基準案を策定するに当たっては、単にクロ チアニジンを使用した際のクロチアニジンの残留のほかに、チアメトキサムを使用した 場合のクロチアニジンの残留を加えて、それで設定するということにしています。この ような提案をさせていただきたいと考えております。  登録保留基準、それから米国の基準については、チアメトキサムについてそれぞれ基 準を設定しておりますが、この場合チアメトキサムとチアメトキサム由来のクロチアニ ジンを足し合わせたもので、それぞれ設定をしておるんですが、食品衛生法上の取り扱 いとしは、チアメトキサムはまだ安全委員会で評価中ですけれども、チアメトキサムの 基準はチアメトキサムのみとして、クロチアニジンの基準値はクロチアニジンとチアメ トキサムに由来するクロチアニジンを足し合わせたものを基準の対象とするということ にしたいと考えています。  それらに基づきまして、基準案を別紙2で示しております。まず作成方法の方から、 今のような原則に従って、データなどの取り扱いについて別紙3に3つのパターンを示 しておりますので、まずそれを説明したいと思います。  それでは、実際に基準をつくった人間が説明した方がわかりやすいと思いますので、 彼に説明をしてもらいます。 ○事務局  それでは、別紙3の61ページをごらんください。表は左から大きく分けまして、今回 設定するクロチアニジンの基準値案、それからクロチアニジンに関します登録の有無、 国内外の基準値、クロチアニジンの作物残留試験成績等のデータ。その右側に、チアメ トキサムに関しますデータ、そして一番右にはクロチアニジンの暫定基準案(第2次案 )ということで、順に記載してございます。  今回、クロチアニジンの基準値案の設定に関しましては、大きく分けて(1)〜(3)のパ ターンに基づきまして基準値案を設定いたしました。  まず(1)ですが、クロチアニジンとチアメトキサムの双方に国内登録、あるいは登録 申請中のものも含みますが、これらがありまして、ともに作物残留試験成績がございま す。コメの例を御紹介しております。この場合、表の中ほどに掲載されております、ク ロチアニジンの作物残留試験成績、ここでは0.13ppm というのが一番大きいものになる んですが、それと表の右側から2番目の方に記載してございます、チアメトキサムを使 用したときの作物残留試験成績、これはチアメトキサムを使用した場合に、クロチアニ ジンとして残留した残留値を指します。ここでは、0.005ppm未満となっております。こ ちらを足しまして、その合計値を考慮いたしまして、基準値案を0.5ppmと設定したもの でございます。  なお、コメの方は、クロチアニジンとチアメトキサムの両者に作物残留試験成績がご ざいますが、クロチアニジン、あるいはチアメトキサムのどちらかのみに作物残留試験 成績がある場合もございます。  次に(2)の説明に移ります。(2)では、登録保留基準を参考に基準値を設定した場合と いたしまして、キョウナを御紹介しております。いわゆる、マイナー農作物の経過措置 等が設定されている場合には、登録保留基準値を基準値案とすることといたしておりま す。キョウナの例でございますが、クロチアニジンに経過措置が設定されていますこと から、キョウナの登録保留基準値の5ppm を基準値案として採用してございます。  最後に(3)ですが、海外基準値を参考に基準値案を設定した場合といたしまして、ト ウモロコシを御紹介しております。ここでは、クロチアニジンの米国基準0.01ppm とい うものを参考に、0.01ppm をクロチアニジンの基準値案として設定しております。  なお、(3)の説明書きのところに、クロチアニジンの基準値イコールクロチアニジン 海外基準値、またはチアメトキサム海外基準値×換算係数とありますが、これはチアメ トキサムの海外基準値をそのまま参考とする場合、分子量換算を行った上で採用してい るということを示してございます。  以上で、別紙3の説明を終わらせていただきます。 ○事務局  少しややこしいんですが、そういう原則に従いまして、別紙2に基準の案をまとめて おります。56ページ〜60ページまでございまして、パターンとすれば、先ほど説明をい たしました3つのパターンで見てございます。56ページ、ちょっと横長ですので、横に していただいて見ていただきますと、先ほどと形は全く同じ表がごらんいただけるんだ と思います。それぞれクロチアニジンは、日本で登録がありますものは、○印が付いて ございますので、56ページの中だけ申し上げますと、クロチアニジンが国内で使われる ものは、コメ、バレイショ、カンショ、テンサイ、ダイコンです。今回、キャベツなど で登録申請が出ておりまして、経過措置としてキョウナとか、その他のアブラナ科野菜 というものがあるということになります。  それで、作物残留試験の成績が、そのクロチアニジンの枠の中にございますので、先 ほどの原則に従って設定をしていくということになります。  チアメトキサムの方に関しましては、海外での作物残留試験についてチアメトキサム の申請者から情報の提供をいただいて、サマライズしたものが加えられています。  例えば、小麦でございますと、小麦のチアメトキサムのカラムの側を見ていただきま すと、外国基準、アメリカに0.02というのがございまして、そのチアメトキサム由来の クロチアニジンの量はというと、0.009 以下だったということになります。作物残留試 験が31やらせていて、そこの(+)というのはどこかに書いてあるかと申しますと、60 ページになるんですが、アメリカの作物残留試験を採用しましたという印しのために斜 体にして(+)を付けているということになります。  もう少し見ますと、やや細かくてややこしいところがあるんですが、例えば、もうち ょっと下がりまして、ソラマメのところを見ていただきますと、アメリカのエンドウの データを参考にしましたところ、一部作物残留試験のないようなものにつきましては、 そういう数字を用いて決めているということになります。  それから、数値の後ろに($)ですとか(#)が付いているものがありますが、これ もあちこちに行って恐縮ですが、60ページの下でございますが、まず(#)の方は注4 )というところを見ていただけるとありがたいんですけれども、(#)はいわゆる適用 の範囲外のデータが一部使われていますと、先ほど説明をしました、適用申請の出てい るよりも少し過大な使われ方をしている例とか、そういうもののデータを使っていると いうことになります。  ($)につきまして、そこにあります例、クロチアニジンのレタス、キュウリ、ミカ ン、ナツミカン、チアメトキサムのインゲン云々というところについて、ばらつきを考 慮いたしまして、最大値を用いて基準を設定しているということになります。  58ページ、59ページも同じように基準を設定しておりまして、お茶では50ppm 、ここ だけは作残のデータから考えて高い数値になっておりますが、そのような数字にしてお ります。  59ページの下からが、動物のデータですが、これはいずれもアメリカの基準値をベー スにしておるということであります。  以上のように、チアメトキサム由来のクロチアニジンの作物残留試験成績、もしくは それの分子量換算なども加えたものと、クロチアニジンに由来するクロチアニジンを足 したものを併せて基準値を設定いたしまして、その56ページからの表の左から2つ目の 基準案というものを設定してございます。  それをベースに暴露評価をいたしますと、暴露評価のやり方は、50ページに戻ります が、試算の具体例ということになっておりますけれども、玄米だと0.5ppmで、当該食品 の摂取量が1日1人当たり185.1 gということですので、クロチアニジンの摂取量の推 定される量は、基準値いっぱいまで残留しているという場合だと92.6ということになり ます。  以下、小麦、大麦、それから動物に関しては、そこにありますような「牛・豚・羊・ 馬・山羊」等々の数字で摂取量を合算いたしまして、57.5という数字がございますの で、それに一番大きな基準値をかけてやると。乳についても同じようにやるということ にしますと、これは国民平均の摂取量ですが、推定される摂取量はTMDI方式の計算 によりますと、643.4 というようになりまして、これはADIと比較いたしますと、 12.4ということになります。  それ以外に、幼小児、妊婦、高齢者でそれぞれTMDI計算をしたものが、49ページ の表にございますように、国民平均では12.4、幼小児では24.9、妊婦では10.6、高齢者 では13.5ということですので、それぞれADIの範囲に十分収まっているということに なります。  50ページにまた戻るんですが、(4)のところに暫定基準の2次案を示しておりま す。クロチアニジンについてはまとめておりますが、今回この基準が設定されるという ことであれば、暫定基準からその案を削除したいと考えております。  以上、クロチアニジンの基準の部会報告案でございます。  以上でございます。 ○井上(達)部会長  どうもありがとうございます。大変複雑な話になりましたけれども、その前にここで 報告案の最初の部分の食品安全委員会の結果に御説明がありましたが、これについての 御質問があれば先に伺って、なければ今のお話に入っていこうと思いますが、いかがで しょうか。  どうぞ。 ○大野委員  薬理のところなんですけれども、食品安全委員会の報告の24ページなんですけれど も、これは吸収性のニコチン用受容体のアゴニストというような作用でドラッグとして 使われているわけですけれども、そういう作用から考えると、一般薬理試験というとこ ろを、もともとその作用自身がどの程度で出るかということが示されてないと評価でき ないんです。これは人身系の作用のところで見ていますけれども、これは全然作用がな いとか、非常に不思議なデータなんです。  昆虫のニコチン用受容体に特異的で、哺乳類には作用しないということを全然否定す るわけではないですけれども、少なくともそういう比較のデータがないと、in vitroで どういう作用が出ているのか。in vivo でどういう作用を見過しているのかというがわ からないんです。それがちょっと気になりました。 ○井上(達)部会長  どうすればよろしいですか。まず御質問として御理解いただいて、事務局の方から何 かありますか。 ○事務局  安全委員会の評価書でございますので、従来もよく似た例がございましたけれども、 こういう点につきましては、大野委員からの御意見をよく私どもの方でまとめまして、 それで安全委員会の事務局の方にお伝えすると。それから、データの要求という部分も 若干あると思いますので、そういう観点では今日、農林水産省の方も傍聴されておりま すので、農林水産省にもその旨はお伝えしておきたいと思います。 ○井上(達)部会長  大野先生、そういう扱いでよろしいですか。 ○大野委員  結構です。 ○井上(達)部会長  ほかにはございますか。ないようでしたら、事務局の御説明にもありましたように、 このクロチアニジンの毒性が既に毒性評価にかかっているところのチアメトキサムとの 交差があるということで、その考え方というかスキームの御説明があったわけです。そ の辺、(先々何か問題になったら、その場で考えればいいことではあると思いますが、 )多少先のことも考えてスキーム上の問題も念頭に置いてこの件について御議論いただ くことになろうかと思います。いかがでしょうか。  どうぞ。 ○小沢委員  扱い方の問題でちょっと伺いたいんですが、チアメトキサムが今、食品安全委員会で 意見聴取中ということは、今、審査をしている最中ということですね。そのことと、今 回のクロチアニジン代謝物を一緒に併せて考えるということを、どんなふうに判断した らいいのかよくわからないんですが。 ○事務局  こう考えるのが、今の段階では一番適当なのかなと思う事務局としての考え方をお示 しできればと思いますが、チアメトキサムの許容量というのは、今の段階ではわからな いわけでございますので、いずれにしましても、安全委員会が毒性の評価をした結果が 出た段階で、チアメトキサムの基準として考えるときに、暴露評価などを考えたらどう かと。  作物残留の方は、これは適用がそれぞれもう決まっておるわけですし、それからそれ ぞれ申請されているわけですし、それらのデータに基づいて今回クロチアニジンをそこ から引き出してこちらに入れ込んでおりますので、そういう観点では少なくともクロチ アニジンに関してはこれで満足がいくものではないかと思っています。  チアメトキサムはそういう意味では、毒性の方が、まだメジャーの方がはっきりしな いわけですから、そこは今の段階でさらなる議論と言いますと、深い議論というのは、 かなり難しいのかなと思います。 ○井上(達)部会長  そういう位置づけですが、米谷委員、どうぞ。 ○米谷委員  チアメトキサムとクロチアニジン、同時に使う場合には、今のままでいいんですが、 先走りますが、チアメトキサムだけが使われる場合には、どうなるかということで、も し次回以降、それが出てきた場合に、アメリカの基準がこうなっていますからと、それ がぽっと出てきますと、非常によくないと感じます。  それから、こういう例に関しましては、今まで第1次、第2次の案に関しまして、パ ブリック・コメントで非常にたくさんの意見をいただいていまして、カルボフランとか いろいろ例がありますけれども、そのときにお答えとして一般的な考え方がもう出てい るはずです。ですから、それに沿ってやっていただければと思います。  今回の場合はよろしいですが、チアメトキサムのときには、ちょっと考えないといけ ないのではないかというふうに、今のところは思っております。 ○井上(達)部会長  今の2点については。 ○事務局  恐らく最初の方の御質問については、今回もそのとおりだったんですけれども、アメ リカの基準を判断する際に、実際アメリカの適用に基づく作物残留試験の成績を、かな り大量に私ども提供いただきました。したがいまして、その中にはチアメトキサムはチ アメトキサムとして分析がなされている。それから、チアメトキサム由来のクロチアニ ジンもクロチアニジンとして分析がなされていて、それぞれの数値が出ておりますの で、クロチアニジンの基準値を検討する際には、そのような作物残留の基のデータをベ ースにして、チアメトキサムだけを判断の材料にするということは可能なんだと思って います。  2つ目のお話なんですが、この代謝物に関しては、確かにいろいろ暫定基準の際に御 議論をいただいて、暫定基準の案として組み立ててきたのは、まさに米谷先生に御協力 いただいてやってきたところですが、そういう意味では今回の例というのが、正式な基 準を判断する上で、実際にやってみた段階だと、作物残留試験のデータとか分析方法と いうデータもあるわけですので、そういう観点ではより明確な食品の規制を考える上 で、クロチアニジン本体でとりまとめて、それで基準に設定をしてしまおうということ で、若干従来と違う考え方になっているところがございます。  ただ、恐らくこれは今後も出てくるんだと思いますが、ほかのコーデックスなんかで もそうだと思いますけれども、多少ケース・バイ・ケースでやらざるを得ないところは 残るのかなというふうに事務局でも考えております。現段階でベストな方法として、こ の考え方を御提案させていただいておりまして、今後の議論、今後の別の剤などで、ま た別の考え方が出てくるということはあり得るんだと思います。 ○井上(達)部会長  どうぞ。 ○基準審査課長  この49ページの最初に書いてあるような方針、すなわちチアメトキサムはチアメトキ サムのみで基準をつくろう、チアメトキサムの代謝物であるクロチアニジン、あるいは 農薬としてのクロチアニジンは、クロチアニジンとして基準をつくっていこうという割 り切りをしている背景には2つのことがあるんだろうと思います。  1つは、チアメトキサムについて、現在、食品安全委員会に評価をお願いしていると ころでございますが、我が国でのこれまでの評価、あるいは諸外国での評価を見てみる と、どうもクロチアニジンのADIの10分の1程度の数字が、諸外国では、あるいは今 まで我が国でも使われておる。かなりこのチアメトキサムとその代謝物は、毒性が違う んだろうというのが1点。  2番目には、クロチアニジンというのは、このペーパーの中でも解説されていたと思 いますが、我が国の企業が開発いたしておりますので、いろんな農作物に使われておる のは我が国だけであって、アメリカ等一部にクロチアニジンは使われていおるようでご ざいますが、それはトウモロコシとか幾つかの農作物に限られておるという状況が一つ ある。  国際整合性という観点から申し上げますと、アメリカ等においては、チアメトキサム とクロチアニジンを併せたものを規制の対象にしておるようですから、そういう方向と いうのも考えたわけでございますが、我が国では非常に多くの農作物にクロチアニジン が使われておるという状況がもう根本的に諸外国と異なっておるということ。  更には、その毒性学的な数字も、推測ではございますけれども、かなり違うだろうと いうことから考えてみると、チアメトキサムを使ったにしろ、クロチアニジンを使った にしろ、人間に摂食される際の化学構造が問題であるとすれば、それはクロチアニジン であって、それがどこの代謝物であるのか、それとも原体がクロチアニジンであるとか というのは関係ないんだろうということで、1つの割り切りとしてチアメトキサムはチ アメトキサムとしてつくろう。クロチアニジンはチアメトキサムの代謝物も含めてつく ろうということにしているわけでございます。  勿論、米谷委員が御指摘のカルボフランであるとか、いろいろなものにつきまして は、国際的な整合性、あるいは我が国の状況等を考えて、できるだけ国際的なものにも 配慮しながら基準をつくっていくという考えには変わりないわけでございますが、この ものについての事情を申し上げますと、今、申し上げた2点が大きく異なるということ でございます。 ○井上(達)部会長  ただいまの御説明いかがでしょうか。ほかの委員のお考えは。この場に、このケース におけるプラクティカルなものも含まれた形ではありますので、いろいろお考えもあろ うかとは思いますが、どうぞ忌憚のないところを出してください。  加藤委員は、いかがですか。 ○加藤委員  質問ではないんですが、基本的にこの事務局のお考えでいいんではないかと考えてお ります。国際的な基準からいきましても、JMPRのトリアジメホン、トリアジメノー ルの関係、基準値と暴露評価の関係は、まさに今回のチアメトキサム、クロチアニジン の関係と全く同じでして、国際的には通用する考え方だったと思っています。ただ、ア メリカとは違うというのは、先ほどお話のあったとおりです。  その事情につきましても、課長からお話があったことで理解できると考えておりま す。  あと、これが破綻するかどうかという問題。例えば、チアメトキサムの残留の実態 が、チアメトキサムの親化合物がほとんど残留してなければ、これは破綻するわけです けれども、少なくとも私が調べた限りでは、チアメトキサムの十何種類の作物での残留 値、チアメトキサムの親化合物本体と、その化合物であるクロチアニジン、その代謝物 の残留の相対的な関係でいきますと、大部分の作物でクロチアニジンは親化合物の数分 の一とか10分の1ぐらいの微量しか残ってなくて、大部分がチアメトキサムが残ってい るので、そちらを押さえていればチアメトキサムの、少なくとも残留基準を守っている かどうか、使用基準を守っているかどうかという判断は適正にできるだろうと思ってい ます。  一部、モモにつきましては、代謝物としてのクロチアニジンの方が多いものもあるわ けですけれども、これについては逆にクロチアニジンとしての規制で安全性は担保でき ると思いますので、そういうことを考えますと、この事務局の案で少なくとも大きな破 綻を今の時点で予見できるものはないと、問題なくいくんだろうと思います。 ○井上(達)部会長  ありがとうございます。  ほかにはいかがでしょうか。どうぞ。 ○下田委員  これは1つ質問なんですけれども、チアメトキサムとクロチアニジンを併せて一緒に 使うということはあるんですか。 ○事務局  私どもが、いろいろ関係者の方から聞いている範囲で申し上げますと、まず作用機序 が似ていますから、あり得ないだろうというふうに聞いています。両方わざわざ使う と。ただ、法的に適用作物であれば、国内でも両方使うことはとまらないという状況の ようです。  現実問題としては、実際あった事例というもので言うと、何か防除暦の中で両方が入 っているような例が一部の作物であったという例は見ました。ただ、恐らくそれはかな りレアケースです。  今回は、先ほどの話とも重複しますけれども、海外でもかなりチアメトキサムは使わ れますので、ましてや国内だとさすがにある程度使われる状況はあるんですけれども、 海外から来る輸入品なんかのことまであると、その使われ方という意味でうまく仕分け られるということは難しい部分もあるかもしれません。 ○下田委員  併せるということは、一緒に使うということを想定しているということですね。同時 に使うということを想定して、併せて。 ○事務局  それでも、安全性が担保されると。 ○下田委員  それで、その安全性を担保しようという意図ですね。 ○事務局  はい。 ○下田委員  わかりました。 ○井上(達)部会長  ほかにはいかがですか。 ○基準審査課長  そういう意味では、過剰な推定をしているのかもしれません。最悪のケースを推定し ていると言えば、そうかもしれません。 ○下田委員  どちらかであれば、通常は、例えば、チアメトキサムを食することによる、クロチア ニジンの暴露というのは当然少ないということですね。  あともう一つ、チアメトキサムの場合には、クロチアニジンの残留は考えないという ことなんですか。 ○事務局  その部分は、またチアメトキサムの基準を設定する際に、もう一度議論をいただかな いといけない部分なのかなと思っておりますが、基準の設定の対象はチアメトキサムと いたしまして、そこで基準値を判断すると。  暴露評価の方は、そういう意味からしますと、少しチアメトキサムだけで見るんでは なくて、クロチアニジンを加味した形で評価するとか、少し工夫が必要なのかなとは思 っております。 ○井上(達)部会長  ありがとうございます。ほかにございませんか。  豊田先生、何かコメントございませんか。 ○豊田委員  事務局の方からお話がございましたとおり、先ほどのように一般論からまた外れるの が、これからも多分続々出て、米谷先生も御指摘になったとおり出てくるので、非常に 最初につくった側としては、なかなか難しい問題が個々にこれからケース・バイ・ケー スでかなり出てくることが考えられるので、やはりそのときにはそのときなりに、今回 もそうなんですが、かなり慎重にいろいろデータも調べられておりますので、今回この ようなことでよろしいかと思いました。 ○井上(達)部会長  どうもありがとうございます。スキーム上の問題に影響するので、慎重に御審議いた だいたところでございます。とりあえずは、皆様方に御議論いただいた、これをもって 終了させていただきます。  それでは、これについて事務局から今後の手続についての御説明をお願いします。  どうぞ。 ○農林水産省 農林水産省ですけれども、基準値案のところの58ページになりますけれ ども、こちらのブドウですけれども、先ほど御説明がありました、基準設定の原則を適 用しますと、クロチアニジンの残留量が1.43、それからチアメトキサム由来のクロチア ニジンは0.12ということになります。これを足し合わせますと1.55という残留量になり ますので、1.55であれば基準値(案)としては3ではなくて5が適当ではないかという ことで御提案させていただきたいと思います。  もう一点は、この検討会に間に合えばよかったのですけれども、ほかのところの詳細 な検討というのは、ちょっと時間がなくてできなかった点がございまして、検討が済ん だ後で農水の案として提出する必要がある場合には、厚生労働省の事務局の方に提案さ せていただきたいと思っておりますので、御了解いただきたいと思います。 ○井上(達)部会長  ただいまの点。 ○基準審査課長  第1点について、私どもの考えを申し上げますと、何をおっしゃっているのかよく理 解できないところがあるわけでございますが、クロチアニジンの1.43とチアメトキサム の0.12を足したものを基準値策定の根っこにするというのは、考え方としてはそのとお りかもしれませんが、そこまでの事態を予想する必要はないんだろうと思います。  2点目について申し上げますと、今回の部会はこれで終了とさせていただいて、どう しても御意見があるのであれば次回の部会に、この場に出していただければありがたい と思います。 ○井上(達)部会長  それでは、扱いとしてはそのような方向にさせていただくということで、各委員の先 生方よろしゅうございますか。               (「異議なし」と声あり) ○井上(達)部会長  では、値の取り扱いについては、そのように必要があれば今後この場にまたお出しい ただく形にして、とりあえずのところはこの事務局の御提案で御了承いただくというふ うにいたしたいと思います。  ただいま申しましたように、今後の手続について、事務局の方からお願いいたしま す。 ○事務局  既に安全委員会の評価も固まっておりますので、本日いただきました部会の案をもっ て、WTO通報、それからパブリック・コメントなどの手続を進めたいと思います。  併せて、分科会への報告という形でさせていただきたいと思います。 ○井上(達)部会長  では、どうもありがとうございました。  ちょっと押しておりますが、議題2に入りたいと思います。「食品中に残留する農薬 等へのポジティブリスト制の導入について」引き続いて御説明をいただきます。  前回1月19日に当たりますが、部会で事務局から報告がありました、暫定基準(第2 次案)等に対する御意見について、対応を審議いたしたいと思います。  初めに、事務局から資料3がお手元にあろうかと思いますが、これについて御説明を お願いします。 ○事務局  今回、御審議をいただきたい点は、大きく分けて3つございます。と言いますと、実 質的に御審議をいただきたいのは、1つでございますけれども、資料3−1から、資料 3−2、資料3−3−1、資料3−3−2というのがございます。まず、資料3−1の 方から説明をいたしますが、資料全体の構成をお話しておいた方がいいかと思いますの で、それをまず最初に簡単に申し上げておきたいと思います。  資料3−1は、これは意見、それから意見の提出者、文書番号などの部分は、これは 第2次案に対して寄せられた主な意見の部分で、前回の資料としてお出ししたものであ ります。それに今回回答案を事務局の方で作成いたしまして、これについて御意見をい ただきたいというのが1点でございます。  資料3−2は、これは既に閲覧室などで公表しております、寄せられた意見の本体の 中から、主な意見以外の個別の物質に対して寄せられた意見を事務局でとりまとめたも のでございます。これについては、今日の場で内部の詳細というものを議論いただくの はなかなか難しいと思いますので、これについてはこの場でこういう資料を作成したと いうことで御承知をいただいて、この内容につきましては、追って前回もお諮りいたし ましたが、ワーキンググループの先生方とともに事務局で検討して、次回以降の部会で 回答をつくって、またそれはこの部会で御審議いただきたいと思っています。その手続 について御了解をいただけるかどうかということです。  それから、残りの資料3−3−1、それから資料3−3−2は、いずれも農水省から いただきました意見でございまして、暫定基準の2次案に対しての意見です。標題は若 干それぞれ異なっておりますが、3−3−1は農薬対策室から、3−3−2は衛生管理 課長からいただいているものです。3−3−1が農薬、3−3−2が動物薬ということ になります。これは、後ほど内容を御紹介して、こちらもまたワーキンググループなり 事務局なりで整理をさせていただいて、次回以降の部会で審議をさせていただけたらと 考えております。  以上がポジティブリスト関係で本日御議論いただく資料でございますが、3−1の方 に戻りまして、主な意見に対する回答の案でございます。数がたくさんございますの で、幾つかポイントを絞って、私ども事務局で考えました回答の部分について御披露い たしまして、御意見を賜ればというふうに考えております。  その部分が、ちょうど表の一番右側に小さな○が書いてあろうかと思います。その部 分を説明していきたいと思います。この他の部分につきましても、事前にお送りしてい たと思いますので、御意見などあればそれもちょうだいしたいと思います。  まず、1ページ目の4でございます。左側のカラムに番号の4番というものがござい ますが、「輸入加工品への暫定基準の適用について」ということで、施行された輸入品 について施行日というのは、どこから判断されるんだろうかと。輸入の通関日で判断さ れるのか、それとも製造日で判断されるのか、よくわからないですねということであり ます。  これについて、私どもの回答が、一番右側のカラムで回答案として準備しているもの がそこにございますが、通常輸入品については輸入をもって国内流通が開始しますの で、適用の判断を行うということになります。  ただ、加工品については、例えば、缶詰のように製造後長期間流通するということが ございますので、その暫定基準の適用の対象となるのは、施行日以降に製造された食品 とするという方向で検討したいと考えております。  ただ、その後続いているのは、先方のコメントが、基準値の適用についてということ がありましたので、ポジティブリスト制は遅くとも18年5月までにと規定をされていま すので、そこから施行しますということが書いてあることになります。  次のポイントは、次の2ページの9でございます。この御質問の趣旨は、今、海外の 基準など、コーデックスの基準も含めてですけれども、参考としている諸外国の基準に ついて、告示が出るまでの間にも新たなものが出てくるのではないでしょうかと。これ らについて、どの段階までであれば告示に採用できるのか、できる限り遅く、告示まで でできる限り採用してほしいというのが御趣旨だということであります。  これにつきましては、事務局の整理といたしまして、余り告示の前日に出たと言われ ても、これはさすがに不可能ですので、WTO通報を行って、一定の期間、通常9週間 のコメント期間を定めるわけですが、このコメント期間の期限までに設定されたものに ついては、官報等の写しなどの情報提供をいただければ、暫定基準に反映していきたい という考えを持っております。  それから、その次が13番、14番でございます。これと関連しますのが、その次のペー ジの、16、17、18もやや関連する案件でございますが、要は、スパイス、ハーブのよう なたぐいのもの、非常に少量使われるわけでございますけれども、広く使われるような もの、それから14番にございますのは、ミカンの皮の陳皮、これは一部スパイスとして 使われるような例もあるでしょうけれども、こういうものの基準の適用について明確に してほしい、もしくはそのスパイス、ハーブというものについて、具体的に独立をさせ て設定してほしいというのが趣旨だということになります。  これにつきましては、それぞれ回答を用意してございますが、コーデックスなどでも 見ますと、スパイス、それがハーブというようなくくりで基準が設定されている例が多 々ございます。従来でありますと、例えば、ある種のスパイスは、その他の野菜の基準 が適用されるとか。その他の柑橘類の基準が適用されるというように、現行の基準では そういう扱いをしてきたわけですけれども、今回、暫定基準の設定に当たっては、そこ に新たに作物分類としてスパイス、ハーブというものを新たに設ける方向で検討したい というふうに考えております。  陳皮、オレンジピールについても同じような扱いということを考えております。  それから、3ページの方にまいりまして、22番でございますが、これは抗生物質が含 有している農薬の扱いでございます。これについて検出限界値を定めてくださいという ことですが、これは現行基準を見直すことは考えておりませんので、現在も規制がかか っているものですから、見直さないという結論を付けております。  その次に4ページの下の方で、28番でございます。これは、従来の動物薬の基準値の 設定に当たって、暫定基準の2次案では、組織、筋肉と臓器、標的臓器という観点で、 それぞれ一部のものにしか基準が設定されてない場合があります。その場合に、例え ば、食用に供される臓器というもので基準のない例がありますので、その部分について は一番低い基準値を採用するやり方をやってきたわけですが、筋肉の残留がどうしても 低くなる。内臓については、どうしても高くなるという傾向がありますので、それを分 けてほしいという要請であります。したがいまして、それを分けて考えてはいかがかと いう案を回答としております。  5ページの方にまいりまして、31番、32番がございますが、これにつきましては、ち ょっと時間の関係もありますので割愛をさせていただきたいと思います。  33番でございますが、これはアメリカ政府、その他からの要請でございますが、アメ リカでは、そこにある緊急条項、セクション18と言われているものですけれども、要す るに、ある種の虫の発生、それから病気の発生などに対応するために、期間限定での使 用を認める。それの残留基準が設定されているものがあります。従来の暫定基準では、 採用しておらないんですが、今回アメリカ政府などから、この緊急条項に関してのいろ んな資料の提出がございました。あとその使用に当たって、アメリカのEPAがリスク 評価などを行った上で設定しているということでございますので、この部分についても 暫定基準の設定に組み入れようというふうに考えております。  ○は付いておりませんが、6ページの38番は、コーデックスと国内登録保留基準の関 係を言ってございます、39番もそれでございますが、これは後ほど農水省からコメント いただいている例がございますので、そのときに説明をいただけたらと思います。  その後、7ページの41番、42番、43番辺りがございますが、これは御意見としては、 国内で適用がない作物とか農薬について、海外での使用について、そのまま受け入れる のではなくて、使用状況とか毒性データの不明なものは採用しない、もしくは日本の適 用方法をベースに外国にも求めるべきではないか。それから、コーデックスなどの基準 というもの中では一番低い値を採用すべきではないかという御提案であります。  それぞれなんですが、原則といたしまして、考え方といたしますと、41番の回答案に ございますように、農産物の種類とか農産物に対する疾病や病害の種類とか程度、それ から農業形態などによって農薬の使用は異なることから、国外、それから国内で必要と なる農薬の種類とか適用方法は異なっているんでしょうと。したがいまして、それぞれ について、少なくとも国際基準、それから登録保留基準、米国などの基準は、いずれも その登録に当たって毒性の評価を行った上で設定されているものですので、それらにつ いて採用することは妥当なんではないかと。  海外でしかない農薬を設定するべきではないというのは、内外無差別という観点から も、やや難しいところがあるのではないかと。ただ、暫定基準でございますので、安全 性に関しては、マーケットバスケット調査などで優先順位を付して再評価をいたします と。このような回答をしてございます。  43番は、もう少し別の観点が入っておりますが、そこは割愛をさせていただきます。  加工食品の扱いについて、9ページに飛びまして、加工食品の基準適合性について、 どのように判断するのかという御質問をいただいております。実際に加工食品も規制の 対象になるわけですが、その際の判断ということになります。  併せて、59番を見ていただけると、もっとわかりやすいかと思いますが、54番のとこ ろの回答でありますように、基準の適合性の判断というのは、法的な告示では原料を用 いた食品の基準適合性の有無ということで判断するわけですが、実際の加工食品で検出 された場合には、それが明らかに基準違反を形成するものであるのか、それとももう全 く問題ないものであるのか、ある程度事前にスクリーニングをすることが必要であろう と、したがいまして、それらについては指標の比率、それから濃縮係数というような判 断基準を施行通知などでまとめて明確にしたいと考えています。  それの1つの例といたしまして、考え方とすれば、59ページにあるように、これは原 料用の濃縮果汁とか野菜の濃縮液について、例えば、8倍濃縮というようなものであれ ば、基準の8倍と判断していいでしょうかという御質問になっています。これについて は、今の考え方からすれば、御指摘のような8倍濃縮というものを目安にスクリーニン グをしてはいかがかというふうに考えております。  それから、一律基準の関係で幾つか御質問、御意見をいただいている部分がございま すが、基本的な考え方は、○が付いておりませんが、11ページの66番の回答案の部分で あります。これはもう従来から申し上げているように、2次案に寄せられた意見を添え て安全委員会に評価を依頼することとしております。  それぞれ個別の話で、幾分意見としていただいているもので、私どもが回答をつくっ ているのは、12ページの一番下の80番、分析法でカバーできるのは限られているのでは ないか、一律基準が0.01と設定した場合では、それでカバーできるのが相当少ないので はないかと、そういう意味から分析できる範囲でやるべきではないかということでござ いますが、これにつきましては、回答の方にありますように、分析法と一律基準という のは、直接関係がないと。一律基準というものは、その後にもございますが、分析自身 は今後とも感度を上げるとか、いろいろ適用される作物といいますか、分析できる作物 を増やすとか、そういうことをやっていくわけですが、それをもう少し書いてあるの は、13ページの81番のところにございますけれども、通知法以外の検査法であっても、 科学的に適正な方法で分析されたものであれば、それは法的に有効であって、その値が 一律基準を含めて基準を超えていれば、違反という判断をするということになります。  更に分析法に関連いたしましては、83番のところでございますが、これは不検出の部 分ですけれども、一律基準の適用の範囲は、1つは一部の農薬に基準が設定されてい て、基準の設定されてない場合と、もう一つはいずれ農作物にも基準が設定されていな いという2つのケースですけれども、2つ目のケースは、法的に限定されて、何がどの 対象の農薬かというのが限定されることはありませんので、それらについて特定される ことは不可能と、ましてやそういうことからすると分析するという部分でも不可能とい うことになります。  あと対象外物質のことがございますが、特に新しく説明をすべき点はここではござい ませんので、とりあえず事務局からの説明は以上とさせていただいて、この段階で御質 問、御意見などをいただければと思います。 ○井上(達)部会長  お疲れ様です。それでは、皆さんからの御意見の前に、この回答案等について、今後 ワーキンググループと一緒に事務局の方でまとめていくという手続でよろしいかどうか という点、これは御了承いただけますか。               (「異議なし」と声あり) ○井上(達)部会長  それでは、よろしくお願いいたします。  ただいまピックアップして、幾つかの例についての事務局の御説明がありましたけれ ども、事前にお目通しいただいて、いない先生方におかれてはこの場で急にというわけ にもいかないかもしれませんが、ただいまの説明に対して、あるいは事前にごらんいた だいている先生から、何か御意見ございましたらお願いいたします。  どうぞ。 ○小沢委員  3−1関連でよろしいですね。先ほどの御説明以外の部分なんですが、3ページの20 番のところで、前に分厚いパブリック・コメントの一覧をちょうだいしたときにも、要 するに、含有してはならないということと、不検出の違いがわからないということがた くさん出ていたと思いますけれども、私が思うにはこの提出、御意見を出されている方 がわからないというよりも、この方たちが懸念をされているのは、要するに、そこをは っきりしておかないと、ここのところにも書いてありますが、後ほどいろんな混乱が起 きるのではないかということを、多分言っていらして、では第2次案の中にその辺が丁 寧に書かれているかというと、多少不足しているのではないか。  例えば、不検出の場合でも、別表1を付けていますが、別表1で何で不検出なのかと いうことの説明がよく見当たらないということで、その辺は基の2次案の中にきちんと 説明しておいた方が、それこそ無用の混乱を避けることになるのではないかというふう に、蛇足ですけれども思いました。 ○基準審査課長  そうさせていただきます。 ○井上(達)部会長  ほかにはいかがでしょうか。  そうすると、農水省の方からの御説明をいただくんですか。 ○事務局  そうですね。 ○井上(達)部会長  それでは、そちらの方を伺っている間に、また御意見などあったら考えていただくこ とにします。 ○事務局  資料3−3−1、それから資料3−3−2ということでいただいております。中身 は、それぞれ農水省の方に今日来ていただいておりますので御説明をいただこうと思っ ております。主に資料3−3−1であれば1ページ目のところにポイントが書いてござ いまして、マイナー作物の対応でありますとか、誤記でありますとか、コーデックスと 農薬登録保留基準との関連の部分ということで、およそ120 プラス、臭化メチル及びリ ン化アルミニウムの植物防疫上の指標の問題という部分が御指摘をいただいているとい うことになります。  それから、動物薬の方については、従来から検出限界などのデータをいただいておる んですが、それらについて一部修正等々ございましてので、それを情報提供いただいた ということになります。  それでは、済みませんが手短にお願いします。 ○農林水産省 それでは、意見につきまして、個別の農薬についての説明は省略させて いただきまして、意見の考え方の点について御説明したいと思います。  まず、農林水産省として御意見申し上げた件数ですが、農薬と作物分類、区分の組み 合わせで136 件について意見を提出してございます。大きく分けますと4分類になりま して、まず1番として、現在、農林水産省でマイナー農作物の経過措置の手続を行って おります。その経過措置につきましては、マイナー作物に使用できる農薬が少ないとい うことで、その手当をするということで、現在、データを作成しておるところでござい まして、登録申請後すぐに登録をして、マイナー作物の安定生産に資するということ で、登録保留基準値をそのまま経過措置承認している作物の基準として入れておいてい ただきたいというのが29件でございます。  2つ目は、国内における農薬使用成績に基づく変更ということですけれども、基準の 設定の類型のところで、1−1という類型がございます。これは、コーデックス基準が あって、国内登録がある場合は、コーデックス基準を採用するということになっており ます。この場合、コーデックス基準が非常に低い基準で、登録保留基準が大きな数値の 場合、農薬の登録につきましては、農薬登録基準を基に登録していることになりますの で、低いコーデックス基準を暫定基準というふうに当てはめられますと、現在の登録の 維持が困難になるというような事例が生じますので、その場合には登録保留基準をその まま入れていただくか、実際の残留試験の結果を基に値を入れていただきたいというも のが63基準でございます。  3つ目につきましては、2次案における各種基準の誤記等に伴う訂正ということで、 実際その登録保留基準が設定されているのに入っていなかったり、そういう単純なミス というところが見受けられましたので、その点について28基準の訂正をお願いしたいと いうことです。  最後に16基準ですが、現行の残留基準等の数値が違っていたというところが16基準ほ どありましたので、それについては訂正をお願いしたいということで、御意見を出させ ていただいております。  次の3ページ目に「臭化メチル及びリン化アルミニウムについて」ということでペー パーが付いてございますが、この臭化メチルとリン化アルミニウム等につきましては、 国内での農薬の使用、国内の農作物の生産という観点も一部ありますけれども、輸入検 疫というところでの使用ということもございますので、参考としてその理由を改めて付 けさせていただきました。  以上でございます。 ○井上(達)部会長  その3−3−1について、まず先にしましょうか。  それでは、ただいまの御要望についての扱いと言いますか、事務局のお考えを述べて ください。 ○事務局  この点につきましては、中身について個別の基準、特に国内での農薬使用の成績に基 づく変更の要請みたいな部分がございますので、それは個別の表が5ページ以降、かな り詳細に付いてございますので、まず事務局の方で一通りは見ておりますが、精査をい たしまして、ワーキンググループの先生方にも御了解をいただいて、それで最終的にこ ちらの部会にもう一度御報告をさせていただくという形にしたいと思います。 ○井上(達)部会長  そういうことで、委員の先生方よろしゅうございますか。  どうぞ。 ○米谷委員  ちょっと質問させていただきたいんですが、先日、農水省の方の委員会に出ましたと きに、マイナー作物の経過措置の各都道府県からの要望を、A、B、Cというランク分 けにされていまして、緊急性、必要性の高いAだけでも、たしか二千三百幾つあったか と思うんですが、それらをまとめられてこういう少ない数字になったんでしょうか。そ れとも二千数百個というのは、まだ後に残っているんでしょうか。その辺をお聞きした いんですけれども。 ○農林水産省 その二千数百個という件数は、多分延べ件数、作物と農薬との組み合わ せで、2つの県から出てくれば、本来であれば1つということになるんでしょうけれど も、累計として数えているところがあるかと思いますので、実際数値が多くなっている のではないかと思います。  ですから、今回要望しておりますものにつきましても、(1)のところでは29の作物 分類と農薬の組み合わせということで、その点だけ担保いただきたいということです。 ○井上(達)部会長  基本的にこの数で誤りはないであろうということですね。 ○農林水産省 はい。 ○基準審査課長  恐らく、その二千幾つの中を見てみると、もう既に現行の食品衛生法の基準ではカバ ーされているもの、あるいは暫定基準を今回つくった中でカバーされているものがたく さんあるんだろうと思います。  今回、このマイナー農作物という分類で言われてきておりますのは、コーデックスに 基準があって、コーデックス優先という暫定基準設定方法となっていますので、コーデ ックス基準を取ることによって登録保留基準値よりも低い値が暫定基準として提案され ているものだろうと思います。  ただ、農薬取締法で規制を強化する際に、国会での御議論を踏まえて、マイナー農作 物については経過措置として登録保留基準の範囲内で使用を認めるというのが政府全体 としての方針だと考えておりますし、今回幸いにして農林水産省から、いわゆるマイナ ー農作物として登録保留基準値に変えてほしいという要望があったのは29品目、29の基 準にとどまっておるというようなことも考えると、これはこれで政府全体の方針として 認めていかざるを得ないだろうと考えております。  また、(2)の国内における農薬使用成績に基づくものでございますが、これは後の 別表を見ていただくと、結果として登録保留基準値を採用してくださいというものと、 結果として現行の案よりは大きくなるけれども、登録保留基準よりは小さくなるという ようなものが、私ども統計取ってないんですが、相半ばしているのかなと考えておりま す。 そういうことから申し上げますと、登録保留基準で使用を制限してきた今までに 比べると、少なくとも半分程度はより低い基準値というのが適用されるという意味で は、大きな前進ではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。  また、(3)のこちらの方の動きに基づくものというのは、当然なんだろうというふ うに考えておりまして、詳細につきまして、特に使用成績が示されているものにつきま しては、先ほど担当補佐の方からお答えさせていただきましたように、ワーキンググル ープでもまた議論していただくことになろうと思いますが、大まかな方針としては大体 このような方向でいきたいというふうに考えている次第でございまして、先生方の御意 見を賜れれば幸いでございます。 ○井上(達)部会長  ありがとうございます。  それでは、更に御追加で御質問ございませんか。  山添先生、どうぞ。 ○山添委員  先ほど、臭化メチルの検疫の際の使用のことのお話をいただいたんですけれども、こ のような使用の場合に、通常の作物の、例えば、通常の作物であれば収穫の何日前まで に使用するとかという使い方があるんですけれども、この検疫の場合については、検疫 以降それを実際に食用にするまでに何かの期間を置くとか、そういう一定のルールはあ るんでしょうか。 ○農林水産省 農林水産省植物防疫課でございますが、これはもう植物防疫法に基づく 消毒措置として使用が認められておりますので、特に何日後とかそういうことは規制は ありません。 ○事務局  現状とすると、くん蒸をされてリリースされたものは、その後もう流通に乗るという ことになりますが、そういう理解でいいんですね。 ○井上(達)部会長  その御回答でよろしいですか。 ○山添委員  何かそうすると、二重の基準になるような気がしてちょっとすっきりしないなという 気がするんですけれども。 ○井上(達)部会長  問題点として記録しておいてください。  ほかにはございませんか。  それでは、この3−3−1については、ここで承ったということで、次の3−3−2 でございます。 ○農林水産省 農林水産省の衛生管理課でございます。3−3−2で御説明をさせてい ただきたいと存じます。動物用医薬品等に関するということで、これは飼料添加物も含 まれてございます。これらに関しましては、一昨年からポジティブリスト制への対応と いうことで、私ども動物用医薬品等につきましては、残留性が問題になるものにつきま しては、所要の休薬期間等を設けておるわけでございますけれども、そのときの残留試 験の検出限界値等を元データということで御参考に御提供いたしてきておるわけでござ いますけれども、今般そのデータの内容、2次案への反映の状況等を見させていただき まして、あるいは動物用医薬品等の承認保有者の方々からの情報提供等も求めまして、 現在までにお出ししたデータで、残留基準値設定のためのデータとして御提出すること が不適切だということが判明したものがございます。  そういったものについて一部取り下げさせていただく、削除していただく、あるいは 訂正をさせていただくといった点と。あと追加で御提供できるデータにつきまして追加 をさせていただくと。その他、若干の御要望と言いますか、そういった内容をとりまと めましたので御説明をさせていただきます。  農薬のようにきれいにまとまっておりませんので、概要だけざっと御説明させていた だきますと、1つは1枚めくっていただきますとわかりますように、数値について、今 まで出したもので取り下げさせていただくものでございます。1つは、生理的に既に存 在するものがございまして、これで検出限界で測りますと、これは投与する前からある というものがございますので、そういったものについては取り下げさせていただくとい うことでございます。別紙(7)でも同様の内容のものがございます。  それから、訂正をさせていただくものでございますが、次のページの別紙(2)にご ざいますけれども、実際に現在の残留管理に使っているデータと異なったものがござい ましたので、より適正なデータに改めさせていただくというものがございます。  同じ関連で3枚ほどめくっていただきまして、別紙(5)でもRIでの分析をしたデ ータがございます。これは動物用医薬品の残留分析の手法として一般的ではございませ んので、これについても取り下げさせていただきたいというものでございます。  それから、2枚戻っていただきまして、別紙(3)でございますが、追加で御提供で きるデータがございましたので、追加で出させていただいたというものでございます。  前後して大変申し訳ございませんが、次に別紙(4)でございます。飼料添加物の関 係で魚の関係でございますけれども、実際に飼料添加物につきましては、これは抗酸化 剤なんですが、飼料に添加できる量が決まっております。定められた量で使用しまして も、実際に残留する値がございまして、それに関する新しいデータがございましたの で、追加をさせていただくという内容のものでございます。  それから、2枚めくっていただきまして、別紙(6)でございます。これは、現在、 残留基準値の設定されている項目につきましては、私どもが当初この薬を承認、あるい は使用基準を定めましたときに用いました検出限界値を御提出しているわけでございま すけれども、現行のMRL、残留基準値と整合が取れないところがございます。この残 留基準値が設定されましたときに、私どもが休薬期間等を定めております使用基準は全 部見直しておりますので、既に提出したこの関係の数値については御使用していただか ないようにお願いしたいということで、取り下げさせていただくというものでございま す。  あと2枚めくっていただきまして、名称につきまして若干お願いしたい点がございま して、農薬と動物用医薬品で同じ物質を別な名前で使っていたりとか、動物用医薬品で 固有の言い方をしているものがございます。その辺の御配慮をいただければというもの でございます。  それから、最後の別紙(9)でございますが、これは対象外物質についてのお願いで ございまして、飼料添加物の関係でございます。飼料添加物でございますけれども、 今、150 成分ほどあるわけでございますけれども、その中でのいわゆる家畜への栄養補 給というような目的で投与されております。アミノ酸であるとかビタミン、ミネラルと いうものでございます。こういったものにつきましては、それ自体が食品添加物になっ ているもの、あるいは食品添加物になっておらなくても、実際に代謝されたものが食品 添加物と同じ物質になるというものがあるわけでございますので、そういったものにつ いては対象外物質として扱っていただきたいこと。食品添加物になってないものでも、 それに準ずるようなものにつきましては、当然これは家畜の栄養改善という目的で入れ ておりますので、およそ限度というものがあるわけでございますので、対象外物質とい うふうに扱っていただきたいというものでございます。 ○井上(達)部会長  ただいま、諸点お話がありましたが、事務局何かこの場で特に何かございませんか。 ○事務局  結構です。 ○井上(達)部会長  それでは、そういった点を取り入れながら御検討いただくということになります。  そうしますと、3−1、3−3−1、3−3−2、3つの資料全体、これらを先ほど のようなワーキンググループの先生方と御相談を進めながら、事務局で次回に向けてお まとめいただくということでございますが、それに向けてこの場で更にもう2、3、御 要望、コメント等ありましたら是非、本日は出しっぱなしでありますので、どうぞ発言 ください。よろしゅうございますか。  事務局、気の付く点、追加等特にございませんか。 ○事務局  今の段階ではございません。 ○井上(達)部会長  それでは、特に御意見もないようでございますので、本日部会の審議はここまでとさ せていただこうと思います。各委員の御意見を踏まえ、事務局で作業を進め、次回の部 会では個別の基準に対する意見などについて審議を進めさせていただくことになりま す。  それでは、議題3の「その他」については、いかがですか。 ○事務局  「その他」でございますが、参考資料が若干付いております。参考資料3というのが 付いていまして、こちらで現在の諮問状況とか評価結果がございますが、それは参考ま でに見ていただければと思います。  それ以外は特にございません。 ○井上(達)部会長  それでは、次回の開催日程について、お願いいたします。 ○事務局  既に先生方には今月の御予定などをお伺いしているところでございまして、事務局と いたしまして、3月28日の午前中に開催をさせていただけたらと思っております。追っ てまた正式に御案内を申し上げることにいたしたいと思います。よろしくお願いいたし ます。 ○井上(達)部会長  それでは、事務局から連絡があると思いますので、また万障お繰り合わせの上よろし くお願いいたします。  本日は、以上をもちまして部会を終了いたします。御協力ありがとうございました。 照会先:医薬食品局食品安全部基準審査課乳肉水産基準係、残留農薬係 (03−5253−1111 内線2489、2487)