都道府県が構築する診療ネットワーク

〜 住民に安心感を提供する診療ネットワークの明示 〜




階層型構造の医療提供体制から住民・患者の視点に立った診療ネットワークへの転換


〔これまでの医療計画の考え方〕 → 〔新しい医療計画の考え方(イメージ)〕
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“現在の医療計画制度の問題点”
(1) 患者の実際の受療行動とは異なり医療提供サイドの視点でもって構想。
(2) 疾病動向を勘案しない量的な視点でもって構想。
(3) 地域の医療機能に関係なく、結果として大病院重視となった階層型構造を構想。
《新たな医療計画制度での診療ネットワークの考え方》
(1) 患者を中心にした診療ネットワークを構想。
(2) 主要な疾病ごとに柔軟な診療ネットワークを構想。
(3) 病院の規模でなく医療機能を重視した診療ネットワークを構想。



日常医療圏と診療ネットワークの関係〔イメージ〕
「医療機関完結型医療」から「地域完結型医療」へ



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都道府県が構築する診療ネットワーク(イメージ)


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日常医療圏における診療ネットワークの構築に向けたプロセス(イメージ)


<日常医療圏における診療ネットワークの構築に向けたプロセスの考え方>
 都道府県知事が主要な疾病ごとに診療ネットワークを構築するに当たっては、例えば、日常医療圏ごとに都道府県が主催する住民、診療に関する有識者、保健事業を実施する者、市町村(保健・介護・福祉)、医育機関や臨床研修病院の代表などを構成員とした協議会(診療ネットワーク協議会(仮称))の意見を基に検討するなど、都道府県の実情に応じた診療ネットワークの構築方法があるものと考える。
 そういった検討を経た上で都道府県知事は、診療又は調剤に関する学識経験者の団体、健康増進事業実施者、市町村などを構成員とする都道府県医療審議会に主要な疾病ごとの診療ネットワーク及びそのネットワークの核となる医療機関に関し意見を聴き、医療計画を作成するものとする。
 なお、主要な疾病ごとの診療ネットワークと診療ネットワークの核として指定される医療機関については、医療計画の見直しに伴って、少なくとも5年ごとに再検討を加えることとする。

<診療ネットワークの構築に向けたイメージ図>



〜 診療ネットワークの核となる医療機関の役割(案) 〜


 診療ネットワークの核となる医療機関は、(1) 診療ネットワークの構築に当たって患者を中心とした他の医療機関との調整を行う役割、(2) 診療ネットワークを実効あるものとするため自ら他の医療機関と積極的に医療連携をする役割、(3) 地域の医療従事者の研修など人材養成の中心となる役割という3つの役割を担うことが求められる。

 この3つの役割を担うことを客観的に評価するために、(1)住民・患者から見た視点、(2)地域の医療機関から見た視点、(3)核となる医療機関自らの視点として、次の視点を基に都道府県知事が診療ネットワークの核となる医療機関を指定することとしてはどうか。

  都道府県知事が日常医療圏ごとの診療ネットワークの核となる医療機関を指定する場合の参考となる考え方(案)
(1)住民・患者から見た視点
診療情報の提供など住民・患者に対する理解の促進に寄与しているかどうか。
(2)地域の医療機関から見た視点
かかりつけ医や他の機能を有する医療機関との連携を密接に行っているかどうか。
(3)核となる医療機関自らの視点
地域の医療従事者の研修など人材養成について積極的に取り組んでいるかどうか。

上記の考え方を参考にしながら、例えば日常医療圏ごとの診療ネットワーク協議会(仮称)は医療機関の候補を都道府県知事に推薦。
都道府県知事は推薦された医療機関について上記の考え方や都道府県医療審議会の意見を基に判断。



日常医療圏の診療ネットワークを支える高度な医療機能を有する病院の必要性


【質の高い医療サービスを提供する診療ネットワークの構築における3つの課題と対応の方向】
1.以下の3つの課題について対応していくためには、診療ネットワークを支える高度な医療機能を有する病院の確保が必要。
(1)日常医療圏域を越えた高度又は専門的な医療の提供をどのように確保していくのか。
(2)都道府県内に複数ある診療ネットワークの医療水準をどのように向上させていくのか。
(3)人的支援を通じた安定的な医療提供をどのように図っていくのか。
2.上記の病院を適切に確保していく観点から、国及び都道府県がこれらの病院の位置づけに関わる仕組みについて検討。

(課題1)日常医療圏域を越えた高度又は専門的な医療提供の確保
(主な論点)

高度な医療技術や専門性を必要とする治療など日常医療圏域では継続的な対応が困難な医療需要に対し、どのように対応するべきか。
治療後の患者の日常生活への復帰をにらんだ医療連携をどのように構築していくべきか。
日常生活復帰後の再発に備えた医療連携をどのように構築していくべきか。
(課題2)複数ある診療ネットワークの医療の質、水準の向上
(主な論点)

主要な疾病又は事業ごとに都道府県の医療の質、水準の向上、均てん化を図っていくことが必要ではないか。
(課題3)人的支援を通じた安定的な医療提供(主な論点)

診療ネットワークの医療サービスを安定的に提供するため、都道府県や高度な医療機能を有する病院による人的支援を推進していくべきではないか。



診療ネットワークの核となる医療機関と診療ネットワークを支える病院との関係(「がん」の場合)<イメージ>


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