平成17年3月24日
(照会先)
医薬食品局安全対策課
森口(内線2755)
渡邊(内線2748)
TEL 5253-1111(代表) |
ゲフィチニブ検討会における検討の結果について
本日、開催された標記会議における検討結果について、別紙のとおり、お知らせします。
ゲフィチニブISEL試験結果の評価と
ゲフィチニブ使用に関する当面の対応についての意見
本検討会は、1月20日に「ゲフィチニブISEL試験の初回解析結果に関する意見」をとりまとめた。その意見においては、本試験結果の日本におけるゲフィチニブの臨床的有用性に対する影響を判断するためには、詳細な解析結果を待つ必要があるとしていた。
その後、3月に、企業から詳細な解析結果が提出されたことから、本検討会において、ISEL試験の詳細解析結果、EGFR遺伝子変異に関する知見及び日本肺癌学会作成の「ゲフィチニブ使用に関するガイドライン」について、3回にわたり検討し、次のような結論を得た。
1 |
ISEL試験結果について
企業から提出された資料を評価した結果、ISEL試験は、well-controlled trialであることを確認した。その上で、詳細な解析結果を検討し、ISEL試験について次のとおり確認した。
(1) |
全症例を対象とした場合、ゲフィチニブ投与群とプラセボ投与群との比較で腫瘍縮小効果(奏効率)では統計学的に有意な差が認められたが、主要評価項目である生存期間について、プロトコールに記載された解析手法により解析した結果、統計学的に有意な差は認められなかった。 |
(2) |
東洋人を対象としたサブグループ解析において、ゲフィチニブの投与が生存期間の延長に寄与することが示唆された。このサブグループ解析の結果は、頑健性が認められた。 |
|
2 |
EGFR遺伝子変異の臨床応用について
1月の検討会において指摘のあったEGFR遺伝子変異とゲフィチニブの有効性に関する最近の知見について検討し、次のとおり確認した。
(1) |
EGFR遺伝子変異は、ゲフィチニブの有効性(腫瘍縮小効果)を予測しうる重要な因子であること。 |
(2) |
EGFR遺伝子変異検査については、
(1) |
標準的な測定・評価方法が確立していないことや、EGFR遺伝子変異検査の結果に偽陰性がありうること、 |
(2) |
EGFR遺伝子変異が確認されない症例においても、奏効する症例が少数ながら存在すること |
から、現在の測定・評価方法において、EGFR遺伝子変異が確認されていない場合でも、その結果がゲフィチニブの投与を行わないこととするだけの決定的な根拠とはなり得ないこと。 |
|
3 |
ゲフィチニブ使用に関する当面の対応について
本検討会は、上記1、2及び本年3月に改訂された日本肺癌学会の「ゲフィチニブ使用に関するガイドライン」について、検討を行った。
その結果、1月20日の本検討会の意見に述べたように、従来の安全対策を引き続き実施するとともに、国及び企業は、当面、次のとおり対応することが適当であると考える。
(1) |
国は、ゲフィチニブの適正使用を進めるため、以下のような方法により、本ガイドラインの医薬関係者及び患者に対する周知を図ること。
(1) |
企業に対し、ゲフィチニブを使用するに当たって、本ガイドラインを参考とする旨を添付文書に記載することを指示すること。 |
(2) |
企業に対し、企業の行う情報提供活動において医薬関係者に本ガイドラインを配布し、関係者に周知することを指導すること。 |
(3) |
関係学会・団体等を通じて、医薬関係者に対して、本ガイドラインを周知するとともに、医薬品医療機器情報提供ホームページ等を通じて、患者に対しても本ガイドラインの情報提供を行うこと。 |
|
(2) |
企業は、患者情報の把握に一層努めるとともに、関係学会と協力するなどして、ゲフィチニブの有効性と関係する変異の解明、EGFR遺伝子変異検査方法の確立等に向けて努力し、得られた成果については積極的に公表し、医薬関係者及び患者に対して情報提供すること。 |
(3) |
ゲフィチニブの日本人における生存期間に対する有効性を評価するためには、現在実施中のドセタキセルを対照とした非盲検無作為化群間比較試験の結果が必要であり、企業は早急な試験の完了に向けて努力すること。 |
(4) |
企業は、急性肺障害、間質性肺炎発症原因の解明や回避方法の策定に向けて努力し、得られた成果については積極的に公表し、医薬関係者及び患者に対して情報提供すること。 |
|