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第2章  ネットワークによる臓器あっせん業務の状況の検証結果


(注) 枠内は、ネットワークから聴取した事項及びネットワークから提出された資料等により、本検証会議として認識している事実経過の概要である。


 初動体制並びに家族への脳死判定等の説明及び承諾
 平成15年10月16日午前中に透析治療を行う。18:00頃、自宅でテレビを見ていたところ右半身の脱力あり、呂律障害をきたしたため、透析医院を受診。脳血管障害疑いにて主治医付き添いのもと、救急車で臓器提供施設に搬送される。
 同日19:25病院到着。脳出血を認めるも意識は清明で、血圧210/108、心拍数83。その後、意識障害、呼吸障害が急速に進行し、手術適応外と判断され、主治医より家族へ病状説明を行った。
 10月17日1:10、家族より意思表示カードの提示あり。
 同日17:20、病院は臨床的に脳死と診断。家族がコーディネーターの話を聞く意思があることを確認し、同日17:33、病院は西日本支部に連絡。
 同日18:08、ネットワークのコーディネーター1名と都道府県コーディネーター1名が病院に到着し、院内体制等を確認するとともに、医学的情報を収集し一次評価等を行っている。
 同日20:00に、ネットワークのコーディネーター1名と都道府県コーディネーター1名が家族(患者の妻、長女、次女、実父)に面談し、看護師同席の下、脳死判定、臓器提供の内容、手続き等につき文書を用いて説明。その際、家族構成等を十分に確認している。
 同日21:15に患者の妻が代表して脳死判定承諾書、および臓器摘出承諾書に署名捺印。家族の総意であることを確認し、コーディネーターがこれらを受理している。

【評価】
 コーディネーターは、病院から家族への臓器提供に関する説明依頼を受けた後、院内体制等の確認や一次評価等を迅速かつ適切に行っている。
 家族への説明についても、コーディネーターは、脳死判定、臓器提供等の内容、手続きを記載した文書を手渡してその内容を説明し、家族から承諾書を受理している等、コーディネーターの家族への説明等は適正に行われたものと評価できる。


 ドナーの医学的検査及びレシピエントの選択等
 10月17日22:21より、心臓、肺、肝臓のレシピエント候補者の選定を開始。膵臓についてはHLAの検査後、同日22:34よりレシピエント候補者の選定を開始している。また、法的脳死判定が終了した後、10月18日16:50より各臓器別にレシピエント候補者の意思確認が開始された。
 心臓については、第1候補者、第2候補者、第3候補者、第4候補者、第5候補者、第6候補者の移植実施施設側がドナーの心機能低下を理由に心臓の移植を辞退し、医学的理由により心臓の移植が見送られることになった。
 肺については、第1候補者、第2候補者、第3候補者、第4候補者の移植実施施設側がドナーの肺機能不良を理由に両肺の移植を辞退し、医学的理由により肺の移植が見送られることになった。
 肝臓については、第1候補者は、候補者が肺炎に罹患しており移植実施施設側が肝臓の移植を辞退。第2候補者は、候補者の状態が安定しているとの理由にて移植実施施設側が肝臓の移植を辞退。第3候補者、第4候補者、第5候補者は、ドナーに80%の嚢胞肝を認めたため移植実施施設側が肝臓の移植を辞退し、医学的理由により肝臓の移植が見送られることになった。
 膵臓については、第1候補者の移植実施施設側が膵臓の移植を受諾。第2候補者は、ドナーの医学的理由により移植実施施設側が膵臓の移植を辞退。第3候補者は、候補者が風邪の症状あり移植実施施設側が膵臓の移植を辞退。第4候補者の移植実施施設側が膵臓の移植を受諾し、順位通り第1候補者に膵臓の移植が実施されている。
 また、感染症検査やHLAの検査等については、ネットワーク本部において適宜検査を検査施設に依頼し、特に問題はないことが確認されている。

【評価】
 今回の事例においては、適正にレシピエントの選択手続きが行われたものと評価できる。
 ドナーの医学的検査等は適正に行われている。


 脳死判定終了後の家族への説明、摘出手術の支援等
 10月18日16:28に脳死判定を終了し、主治医は脳死判定の結果を家族に説明。その後、ネットワークのコーディネーターより、情報公開の内容等について家族の確認を得ている。
 また、同日、ネットワークのコーディネーターより家族に対して、心臓、肺、肝臓移植については医学的理由にて移植が見送られることとなった旨を報告している。

【評価】
 法的脳死判定終了後の家族への説明等に特に問題はなかった。


 臓器の搬送
 10月18日にコーディネーターによる臓器搬送の準備が開始され、参考資料2のとおり搬送が行われた。

【評価】
 臓器の搬送は適正に行われた。


5. 臓器摘出後の家族への支援
 臓器摘出手術終了後、コーディネーターは手術が終了した旨を家族に報告し、摘出チームや病院関係者等とともにご遺体をお見送りしている。
 10月19日、家族よりネットワークのコーディネーターへ電話。マスコミが自宅を訪れたり、葬儀場に問い合わせをしているとのこと。コーディネーターより当該マスコミに対し、家族への配慮を依頼した。また、コーディネーターが通夜に参列した。
 10月20日、ネットワークのコーディネーター1名と都道府県コーディネーター1名が葬儀に参列。
 11月24日、ネットワークのコーディネーター1名と都道府県コーディネーター1名がご自宅を訪問。厚生労働大臣の感謝状を手渡し移植後の経過報告を行う。
 前記した連絡、報告以外にレシピエントの退院状況や近況報告等、ネットワークのコーディネーターが適宜対応と報告等を行っている。

【評価】
 コーディネーターにより、ご遺体のお見送り、家族への報告やサンクスレターの送付等適切な対応がとられている。


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