(1) | 東北大学病院において、X−SCIDに対しレトロウイルスベクターによりγc遺伝子を造血幹細胞に導入する遺伝子治療臨床研究(フランスで実施された遺伝子治療臨床研究のベクターを用いたもの)は現在保留中としており、フランスの第3症例の遺伝子組み込み部位の解析結果等が明らかになり次第、対応を検討するとの施設からの報告について、委員会としては妥当と判断するが、さらに、今般のフランスの有害事象を踏まえ、実施計画の再点検を行うべきとの意見。
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(2) | 免疫不全を引き起こすADA欠損症に対し、レトロウイルスベクターを
用いてADA遺伝子を造血幹細胞に導入する北海道大学病院の遺伝子治療
臨床研究に関し、委員会としては、現在までに行われた2症例の臨床状況
等を調査分析して報告を行うとともに、それを踏まえ、今後の実施計画を
検討すべきとの意見。
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(3) | 進行再発乳癌に対し、レトロウイルスベクターを用いてMDR1遺伝子を造血幹細胞に導入する財団法人癌研究会付属病院の遺伝子治療臨床研究に関し、現在までに行われた3症例の臨床状況等の報告を行った後に4症例以降の検討を行う予定との施設からの報告を受け、委員会としては、その報告内容を検討した上で、さらに議論すべきとの意見。
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(4) | 再発白血病に対し、レトロウイルスベクターを用いてHSV−TK遺伝子をドナー末梢血Tリンパ球に導入する筑波大学付属病院の遺伝子治療臨床研究に関し、第1症例の投与後の遺伝子導入部位検索を行っているとの施設からの報告を受け、委員会としては、今後その状況を報告するとともに、将来、第2症例についても、患者への導入前に遺伝子導入部位の検索を行うべきとの意見。更に、第1症例の臨床経過や今回のフランスの有害事象を踏まえ、リスク・ベネフィットを考慮して取り扱うべきとの意見。
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(5) | このほか、フランスの有害事象等について、引き続き情報収集を行うべきとの意見。 |