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変異型クロイツフェルト・ヤコブ病の感染ルート
の調査結果を踏まえた献血に係る対応について(案)


1 クロイツフェルト・ヤコブ病等委員会の調査結果を受けた献血時の対応

 1. vCJD患者の欧州滞在歴が1990年に英国24日、フランス3日という調査結果に基づき、2月4日の暫定的な措置(※)を次のように変更する案とし、安全技術調査会において専門家による検討を行う。
 ※ 1980年以降1ヶ月以上の英国滞在歴がある者の献血を制限した暫定措置
(1) 1996年までに英仏に1日以上滞在歴がある者の献血を制限する。(1997年以降はこれまでの6ヶ月以上の滞在歴の制限を継続)
(2) EU諸国(注)において、2005年1月以降の滞在者については献血における滞在歴の制限は行わないこととする。
 注: 2004年5月の拡大前の15カ国
 2. 本措置は安全技術調査会での検討後施行とするが、それまでの間、速やかに措置を実施できる体制を整備するよう、日本赤十字社に対して運営委員会の結果を速やかに伝達し、指導することとする。
 3. 献血後に新措置に不適合な献血者が判明した場合の回収等の対応についても安全技術調査会において検討する。

2 今後のvCJD対策の強化について

 血液製剤によるvCJDの感染を防止するための対策として、次の対策を推進することとする(安全技術調査会において検討)。
 1. 輸血用血液製剤(赤血球、新鮮凍結血漿)の保存前白血球除去の早期導入
(1) 平成16年10月以降、成分採血由来の血小板についてはすべて白血球除去製剤への切り替えを図った。その他の成分採血製剤の実施を平成17年度中に完了させるよう指導する。
(2) 全血採血製剤(全血、血漿)の白血球除去フィルターを組み込んだ全血採血バッグの仕様変更を当初予定の平成18年度よりも前倒しするよう指導。
 2. 血漿分画製剤の製造工程の異常プリオン除去効果の検証の推進
 平成15年度から製剤メーカーに指導してきた異常プリオン除去効果の検証を推進し、異常プリオンに対応した製造工程の改善を指導していく。


vCJDの感染ルートの調査結果を踏まえた献血に係る対応(案)


1 英国・フランス滞在による献血制限について
   現在  改正案
・英国滞在歴  暫定1ヶ月以上  →1日以上
・仏国滞在歴  6ヶ月以上  →1日以上
(80年〜現在の滞在者)  (80年〜96年の滞在者)
 97年以降の滞在は、両国とも6ヶ月以上

 1. vCJD患者の滞在歴が、英国24日間、フランス3日間であるため、予防的に滞在歴1日以上の者の献血を制限する。
 2. 1.の措置を96年までの滞在者に行う理由は、
(1) 両国で肉骨粉の流通禁止、特定危険部位等の対策が確実に行われた1996年以前の滞在者に対して制限を行う。
(2) 欧米等諸外国の献血制限は、96年までに英国等欧州滞在した者(3〜6ヶ月)であり、以降の滞在者の制限を行っていない

2 献血制限の緩和について
 vCJDのリスクが低くなったと考えられる2005年1月以降の欧州滞在者の献血制限(英国を含むEU域内)を解除する。

 1. 英仏等EU諸国のBSE対策の進展等に合わせた対応の選択肢
(1) EU全体の特定危険部位除去、肉骨粉の流通禁止(02年3月)
(2) 2004年10月以降は、と畜時BSE検査月齢(30月齢)以下の牛もすべて肉骨粉禁止後に生まれたものとなる。
 2. 国内における血液製剤の安定供給の確保

3 今後の予定

 (1) 本日夕刻に血液事業部会運営委員会を開催。
 (2) その後、安全技術調査会の意見を聞いた上で施行。施行までの間、速やかに措置を実施できる体制を整備するよう、日本赤十字社に対して指導する。
 なお、本措置は、新たな安全性に係る科学的知見が得られるまでの当面の措置である。


別紙参考

 献血時の制限に関する2月4日の暫定措置
  滞在国 通算滞在歴 滞在期間
(1) 英国 1ヶ月以上 1980年〜
(2) アイルランド、イタリア、オランダ、スイス、スペイン、ドイツ、フランス、ベルギー、ポルトガル 6ヶ月以上
  アイスランド、アルバニア、アンドラ、オーストリア、ギリシャ、クロアチア、サンマリノ、スウェーデン、スロバキア、スロベニア、セルビア・モンテネグロ、チェコ、デンマーク、ノルウェー、バチカン、ハンガリー、フィンランド、ブルガリア、ポーランド、ボスニア・ヘルツェゴビナ、マケドニア、マルタ、モナコ、リヒテンシュタイン、ルーマニア、ルクセンブルグ 5年以上

 今回の変更後の措置案
  滞在国 通算滞在歴 滞在期間
(1) 英国、フランス 1日以上
(96年まで)
6ヶ月以上
(97年から)
1980年〜
2004年
(2) アイルランド、イタリア、オランダ、スペイン、ドイツ、ベルギー、ポルトガル 6ヶ月以上
(3) スイス 6ヶ月以上 1980年〜
(1) オーストリア、ギリシャ、スウェーデン、デンマーク、フィンランド、ルクセンブルグ 5年以上 1980年〜
2004年
(2) アイスランド、アルバニア、アンドラ、クロアチア、サンマリノ、スロバキア、スロベニア、セルビア・モンテネグロ、チェコ、バチカン、ハンガリー、ブルガリア、ポーランド、ボスニア・ヘルツェゴビナ、マケドニア、マルタ、モナコ、ノルウェー、リヒテンシュタイン、ルーマニア 5年以上 1980年〜


別紙参考2

○ 献血時の英国及びフランス滞在者に係る措置の考え方


1.患者の滞在時1990年が確認されたが、当該時期の英国は次の措置(96年)が執られる以前であり、現在よりもvCJDリスクは高かった可能性はある。
(1) 英国での頭肉の販売禁止等の特定危険部位の規制強化措置(1996年3月)
(2) 英国での肉骨粉販売規制強化(1996年3月)及び所持の禁止(8月)
 ※ 1996年以降は英国のBSE発生頭数は減少をたどる。
2.仏国もBSE発生国であり、96年以前は比較的リスクが高い可能性がある。
(1)仏国の特定危険部位除去は96年6月
(2)仏国のBSE駆除計画は96年12月から実施
(3)英国産牛肉の輸出禁止(96年)※ 仏国は96年まで英国輸出牛肉の50%を購入
3.したがって、96年までの仏国滞在者に対しては英国と同様滞在1日以上規制を上乗せする
4.96年以降でも、vCJDのリスクがなくなった訳ではなく、現行6ヶ月の規制を継続。
5.他のvCJD発生国(アイルランド、イタリア)については、目下1人であり、発生数経過をみて追加措置を考慮する。
6.今後のvCJD拡大が供給に及ぼす量的な影響及び献血者に与える不安が大きい


○ 欧州滞在者の滞在時期の制限の変更についての考え方


1.今後のvCJD感染拡大時でも、血液製剤の供給を確保するための方策として、各国のリスクを踏まえて、滞在歴の制限に係る滞在時期を各国がBSE対策として完結した時期までとする。
2.EU加盟国については次の理由により、2005年以降のEU滞在者については、献血時の制限を設けない。
(1) 2002年3月にEUの動物性飼料の使用禁止完全施行。
(2) 現在は各国でのと畜検査が実施され、EU域内滞在者の全般的リスクが減少
(3) 2004年10月以降は未検査月齢牛でも動物性飼料禁止後生まれとなる。(2002年3月+2歳半(30月齢)以上のウシ検査体制の施行による。)


英国等での主なBSEの規制等の動向


時期 事項
1989年8月
1989年11月
1989年12月
1990年3月

1992年

1994年7月

1996年3月

1996年3月
1996年3月
1996年3月
1996年6月
1996年8月
1996年12月
1997年1月
2000年6月

2000年

2000年12月
2002年3月
フランスでの英国産肉骨粉の輸入禁止
英国での特定危険部位の流通禁止
英国での肉骨粉使用禁止命令
英国からの臓物輸出禁止

英国のBSE発生頭数のピーク

英国での特定危険部位流通禁止の回腸・胸腺へ拡大

英国でのvCJDとBSEの関係声明

欧州委員会 英国産の牛肉等の輸出禁止
英国での肉骨粉等の全面的な使用禁止
英国での牛頭部に関して特定危険部位に指定
フランスでの特定危険部位の除去・廃棄実施
英国の畜産農家での肉骨粉の所持禁止
フランスのBSE駆除計画
フランスでの肉骨粉の製造禁止
欧州全域での特定危険部位流通禁止

英国でのvCJD発生傾向のピーク

欧州全域での肉骨粉使用禁止暫定措置
欧州での動物性飼料使用全面禁止の実施


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