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第6回社会保障の在り方に関する懇談会
(平成17年2月16日)提出資料
社保審―医療保険部会 資料2
第13回(H17.3.4)


医療制度改革について
―特に医療費適正化に関連して―


平成17年2月16日

厚生労働省



1.医療費の動向

要点
 制度改正等を行わなければ、医療費は毎年約1兆円(3〜4%程度)ずつ伸びる傾向にあり、医療費の伸びをいかに適正化するかが重要



医療費の動向

我が国の国民医療費は国民所得を上回る伸びを示しており、近年、制度改正等がなければ、毎年約1兆円ずつ伸びている
特に老人医療費の伸びが著しい

医療費の動向のグラフ
国民医療費等の対前年度伸び率(%)
  60 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14
国民医療費 6.1 7.6 3.8 5.9 4.5 5.8 1.9 2.6 3.7 ▲1.9 3.2 ▲0.6
老人医療費 12.7 8.2 7.4 9.5 9.3 9.1 5.7 6.0 8.4 ▲5.1 4.1 0.6
国民所得 7.4 ▲0.5 ▲0.1 1.4 0.0 3.3 0.9 ▲3.0 ▲1.5 1.5 ▲2.8 ▲1.3
 注: 国民所得は、内閣府発表の国民経済計算(2003年12月発表)による



国民医療費の見通し

医療費は経済成長を上回る3〜4%程度の伸びであり、このまま推移すれば、国民医療費の対国民所得比は現在の8.8%(給付費ベース7%)から2025年には13.2%(給付費べース11%)に上昇

国民医療費の見通しのグラフ

注1: 老人医療は2007年まで対象年齢の引き上げが行われていることに注意が必要
注2: 2010年度及び2025年度は「社会保障の給付と負担の見通し」(平成16年5月)ベースの推計値



OECD加盟国の医療費の状況(2001年)

国際的に見ると、我が国の一人当たり医療費は比較的高水準にあるものの、総医療費の対GDP比はさほど高水準にあるとは言えない

国名 一人当たり
医療費
(円)
総医療費の
対GDP比
(%)
備考   国名 一人当たり
医療費
(円)
総医療費の
対GDP比
(%)
備考
  順位   順位   順位   順位
アメリカ 591,730 1 13.9 1   オーストリア 219,362 16 7.6 18  
スイス 458,654 2 10.9 2   オーストラリア 211,341 17 9.1 9  
ノルウェー 368,357 3 8.1 15   フィンランド 197,851 18 7.0 23  
デンマーク 312,089 4 8.6 12   イタリア 189,830 19 8.3 14  
日本 310,874 5 7.8 17   スペイン 129,186 20 7.5 19  
アイスランド 301,151 6 9.2 8   ニュージーランド 128,336 21 8.0 16  
ドイツ 293,860 7 10.8 3   ギリシャ 126,877 22 9.4 4  
ルクセンブルク 281,819 8 5.9 27   ポルトガル 120,801 23 9.3 7  
スウェーデン 263,963 9 8.8 11   韓国 56,903 24 5.9 27  
カナダ 258,130 10 9.4 4   チェコ 49,584 25 7.3 22  
フランス 255,578 11 9.4 4   ハンガリー 45,574 26 7.4 21  
オランダ 247,800 12 8.5 13   メキシコ 44,845 27 6.0 25  
ベルギー 240,994 13 9.0 10   ポーランド 35,122 28 6.0 25  
アイルランド 223,494 14 6.9 24   スロバキア 26,250 29 5.6 29  
イギリス 223,251 15 7.5 19   トルコ 21,123   6.6   ※2000年データ
出典:OECD「HEALTH DATA 2004」
注1) ※印は2001年データなし
注2) 上記各項目の順位は、OECD加入国間におけるもの
注3) 医療費については、現地通貨で発表の統計数値を該当する年の年間平均為替レートで換算



2.医療保険制度の財政状況

要点
 医療費の伸び(年間3〜4%程度)は賃金・所得の伸びを上回る基調であり、各医療保険制度の財政状況は構造的な赤字基調にある



市町村国保の財政状況

国民健康保険の財政状況は、単年度収支差引額で赤字が継続しており、引き続き厳しい状態にある

(単位:億円)
市町村国保の財政状況の表

注1: 単年度収支差引額は、平成14年度以降、歳入、歳出より、基金繰入(取崩)額、前年度からの繰越額、基金積立金及び前年度繰上充用(欠損補填)金等を除いている。
注2: 単年度収支が赤字の保険者数は2,289(全保険者数3,144)(平成15年度速報値)
注3: 平成14年度は、会計区分の変更に伴う11ヵ月分の実績である。



政府管掌健康保険の財政状況

政管健保の財政状況は、平成15年度に総報酬制の導入や3割負担の導入等を背景に改善しているものの、依然として厳しい状況が続いている

(単位:億円)
  区分 平成12年度 平成13年度 平成14年度 平成15年度 平成16年度
補正予算
歳入 保険料収入(医療分) 58,851 58,214 56,636 60,167 60,106
国庫負担(医療分) 8,878 9,057 9,091 8,321 7,792
その他 170 173 181 206 204
67,899 67,444 65,909 68,695 68,101
歳出 保険給付費 42,290 42,524 41,008 38,534 39,343
老人保健拠出金 20,568 21,836 23,288 21,579 18,993
退職拠出金 5,068 5,816 6,539 6,693 6,896
その他 1,524 1,499 1,242 1,185 1,147
予備費 400
69,468 71,675 72,077 67,991 66,779
単年度収支差 ▲ 1,569 ▲ 4,231 ▲ 6,169 704 1,322
(注)  端数整理のため、計数が整合しない場合がある。



政府管掌健康保険の財政見通し

平成17年度概算要求時点の基礎係数等をベースに試算した5年収支の見通しは、以下のとおり
この試算によれば、今の保険料率のままでは、この先制度改正等による医療費適正化の措置が講じられなければ、平成20年度には事業運営安定資金が枯渇する
いずれにせよ、経済状況等により変動が生じうることに留意が必要

賃金の伸び:  「社会保障の給付と負担の見通し」(平成16年5月)ベース
 (18年度2.0%,19年度2.3%,20年度2.7%,21年度2.1%)
保険料率 82 ‰  (単位:億円)
歳入 区分 平成17年度 平成18年度 平成19年度 平成20年度 平成21年度
保険料収入(医療分) 60,100 61,300 62,500 64,000 65,100
国庫負担(医療分) 7,900 8,100 8,200 8,500 8,800
その他 200 200 200 200 200
68,200 69,600 70,900 72,700 74,100
歳出 保険給付費 41,100 42,600 44,100 45,200 46,100
老人保健拠出金 17,800 17,000 16,500 17,400 18,500
退職拠出金 7,800 8,600 9,900 10,600 11,300
その他 1,100 1,100 1,100 1,100 1,100
67,800 69,500 71,700 74,400 77,100
収支差 400 100 ▲ 700 ▲ 1,700 ▲ 3,000
事業運営安定資金
(▲累積赤字)
1,600 1,700 1,000 ▲ 700 ▲ 3,700
注 この試算においては、予備費は計上していない



組合管掌健康保険の財政状況

健保組合の財政状況は、平成15年度に総報酬制の導入や3割負担の導入等を背景に改善が見込まれているが、依然として厳しい状況が続いている

(単位:億円)
組合管掌健康保険の財政状況の表
注: 収支差が赤字の組合数は54.0%(864/1,599)(平成16年度予算)



3.医療費適正化の構図

要点
 医療費の伸びの最大の要因は老人医療費の増加であり、その背景には生活習慣病の増大がある
 国民の受療動向をみると、
 ・ 現役期には、壮年期以降、主として生活習慣病に分類される疾患を中心に、加齢に伴って、外来の受療率が増加
 ・ 老年期に入ると、主として生活習慣病に分類される疾患に起因する入院の受療率が、おおむね75歳を境に顕著に増加
 医療費の伸びを適正化させるためには、ライフサイクルを通じて、
 ・ 生活習慣病対策の推進
 ・ 医療機能の分化・連携の推進、平均在院日数の短縮
 ・ 地域における高齢者の生活機能の重視
を一体的かつ計画的に行うことが不可欠



外来・入院の受療率(平成14年患者調査)

現役期には、壮年期以降、主として生活習慣病に分類される疾患を中心に、加齢に伴って、外来の受療率が増加
老年期に入ると、主として生活習慣病に分類される疾患に起因する入院の受療率が、おおむね75歳を境に顕著に増加

外来・入院の受療率(平成14年患者調査)のグラフ

(注) 受療率:推計患者数を人口で除して人口10万対で表した数。年齢別の受療率は年齢別人口を用いて算出。



年齢階級別受療率(主として生活習慣病に分類される疾患について)

年齢階級別受療率(主として生活習慣病に分類される疾患について)のグラフ



医療費適正化の構図

構造的な医療費適正化の取組を進める上では、生活習慣病対策の推進や医療機能の分化・連携の推進、平均在院日数の短縮、地域における高齢者の生活機能の重視がポイント

医療費適正化の構図



(参考)
1人当たり老人医療費の診療種別内訳(全国平均との差)
〜平成14年度〜

1人当たり老人医療費は、最大(福岡県)と最小(長野県)で約30万円(約1.5倍)の格差が存在しており、都道府県格差の約7割は入院医療費が寄与している

1人当たり老人医療費の診療種別内訳(全国平均との差)のグラフ



(参考)
都道府県別平均在院日数と人口10万対病床数

平均在院日数の最高(高知県・46.5日)と最低(長野県・20.9日)の格差は2.2倍
人口10万対病床数の最高(高知県・2337床)と最低(神奈川県・878床)の格差は2.7倍
平均在院日数、病床数とも老人医療費の地域差と相関関係がある
  平均在院日数:0.72  病床数:0.75

都道府県別平均在院日数と人口10万対病床数のグラフ
(出所) 平均在院日数:厚生労働省大臣官房統計情報部「病院報告」(平成14年)
人口10万対病床数:厚生労働省大臣官房統計情報部「医療施設調査」(平成14年)、「介護サービス施設・事業所調査」(平成14年)



(参考)
生活習慣病受療率の地域差

老人の生活習慣病受療率には2倍以上の地域差が存在している
 糖尿病 2.7倍  心疾患 2.6倍  脳血管疾患2.4倍  悪性新生物 2.3倍
老人の生活習慣病受療率と老人医療費の地域差には相関関係がある
 糖尿病 0.65  心疾患 0.75  脳血管疾患 0.66  悪性新生物 0.44

生活習慣病受療率の地域差のグラフ

資料出所: 厚生労働省大臣官房統計情報部「患者調査」(平成14年)



保険料の上限や経済の伸びなどに合わせて、
自動的に医療費の伸びを調整することは可能か

平成14年改正時の案(医療制度改革試案:平成13年9月25日)
 高齢者医療制度の持続可能性を確保するため、老人医療費の伸びが経済の動向と大きく乖離しないよう、その伸び率を抑制する仕組みの新たな導入を検討したが、様々な意見があり導入に至らず
 当時の案は全国一律で以下のような仕組みを導入することであった。
(1) 老人医療費の伸び率の目標値の設定
(2) 目標値を踏まえた診療報酬の合理化、保健事業の推進等による医療の効率化等の推進
(3) 目標を超過した場合の措置(診療報酬の調整)

留意点
給付費の伸び率をGDPの伸び率以下に抑制することについては、人口の高齢化や技術進歩等による伸びが避けられないため、GDPの大幅な上昇がなければ、困難。
(1) 仮に給付費そのものを抑制する場合、単純に推計すれば、2025年までに約4割の給付削減(59兆円→38兆円)を行わなければならず、限界を超えた利用者負担を求めることになる(仮に給付削減分を自己負担の引き上げのみで賄うとした場合、現在実質15%の自己負担率を2.5倍〜3倍程度引き上げることになる。)
また、仮に給付削減分の医療費を何らかの形で抑え込んだ場合、国民の健康水準が低下する恐れがある。
(2) 仮に診療報酬の単価引き下げにより対応する場合、
(1) 医療費抑制のための粗診疎療もしくは収入最大化のための乱診濫療を招くおそれ(医療の質の低下)
(2) 良質な医療を効率的に供給する医療機関も乱診濫療を行った医療機関と同様に診療報酬が引き下げられ、不公平感を生む(一律に調整することは不平等) 等
(参考) 1. 病院の予算上限をあらかじめ定めてその枠内で支出を管理する方策をとったイギリスでは、入院待機患者の増、年度末の病院閉鎖の弊害が生じたために、見直しを実施。近年は医療予算を拡大する方向に政策を転換(2002年に、今後5年間、医療予算を毎年実質7.4%ずつ増加させ、2001年時点で対GDP比7.5%の医療費を 2007年度には9.4%に引き上げる計画を発表。)
2. フランスにおいては、目標超過時の開業医に対する一律の医療費返還義務に違憲判決が出たために、実際に返還されず、開業医の医療費抑制に対して事実上拘束力なし。



諸外国においてもさまざまな医療費適正化の取組が行われてきているが、短期的な取組のみならず、医療費の伸び自体を適正化する中長期的な取組が必要になっている。
【長期的に効果の現れる取組】
生活習慣病対策の推進

【中期的に効果の現れる取組】
医療機能の分化・連携の推進、平均在院日数の短縮
地域における高齢者の生活機能の重視

【短期的に効果の現れる取組】
公的保険給付の範囲の在り方の検討等

(参考) これまで議論されてきた医療費の適正化対策
日本型参照価格制度、OTC(一般用医薬品)類似薬(ビタミン剤等)の扱いや免責制など公的保険給付の内容及び範囲の見直し、老人医療費の伸び率管理制度



OECD諸国における医療費適正化の取組
(OECD報告書『世界の医療制度改革』(2004年)等)


<報告書による結論>

 医療費適正化は、各国共通の喫緊の課題
 医療費の増大は、90年代にほとんどのOECD諸国において、平均的な経済成長の水準を上回っている
 各国においては、価格、供給等に関する予算上・行政上のさまざまな措置を組み合わせる形で対処
 これらの取組は、医療費増大のペースを緩やかにする短期的効果はあったが、一般的には医療費増大に対する根本的な解決策となっていない

主な取組 採用国の例 報告書等で指摘されている主な問題点
公定価格による規制 各国
 過剰投与・診療を誘発する可能性
 高価格サービスや価格規制対象外に移行する可能性
 長期的には医療提供体制の水準を損う可能性
 こうした影響に対する慎重な監視を併せて行っている国では、価格規制は一定の成果
医療従事者の賃金抑制 医療従事者の大部分が公的部門職員の国(北欧諸国、ギリシア、伊、ポルトガル等)
総枠予算制等 英、独、仏、デンマーク、ニュージーランド、カナダ等
 過度の受診抑制・患者選別の恐れ
 予算上限一杯までの支出を誘発し、非効率な医療提供を招く可能性
 目標値を上回った場合に合理的な調整が困難
患者一部負担引き上げ 各国
 費用のかかる患者や低所得者に対する対策が必要なため、医療費全体への影響は限定的



4.医療保険制度改革の方向性

要点
 医療費の適正化に資する取組に対応した医療保険制度改革が必要
 特に、
 ・  医療の地域特性を踏まえた医療費適正化の取組の推進
 ・  地域の医療費水準に見合った保険料の設定
 ・  保険財政運営の安定化のための保険者の再編・統合
が必要



医療保険制度改革の方向性

医療保険制度改革の基本的考え方
 (1) 地域の関係者(保険者、医療関係者、地方公共団体等)が協力して、医療の地域特性を踏まえた医療費適正化の取組を推進する
 (2) 保険料の水準をそれぞれの地域の医療費水準に見合ったものとする
 (3) 保険財政の運営を適切な単位(規模)で行い、財政運営の安定化を図る

平成18年医療保険制度改革の全体像:今後の取組みの方向性
平成18年医療保険制度改革の全体像:今後の取組みの方向性の図
今回の国保改革の趣旨の図



医療費適正化のための地域における取組と保険者の再編・統合

A県 B県 C県 D県
入院医療費が高い
入院期間が長い
病床数が多い
入院受療率が高い(特に高血圧、糖尿病)
入院・外来医療費ともに低い
入院期間が短く、外来の受診頻度が低い
病床数が少ない
入院、外来とも受療率が低い
(特に入院では高血圧、糖尿病、外来では糖尿病、虚血性心疾患)
外来医療費が高い
外来の受診頻度が高い
病床数は全国平均並み
外来受療率が高い(特に虚血性心疾患)
入院医療費が高く、外来医療費が低い
入院期間が長く、外来の受診頻度が低い
病床数がやや多い
入院受療率が高く(特に高血圧・糖尿病)、外来受療率が低い
(特に虚血性心疾患、高血圧)
医療の地域特性(病床数・平均在院日数等の医療提供体制の状況、生活習慣病等の患者の受診動向等)を反映して、都道府県ごとの医療費の格差も大きい
地域における取組の図



保険者の再編・統合(1) −市町村国保の再編・統合のイメージ

保険者の再編・統合(1) −市町村国保の再編・統合のイメージ



基本的な考え方

 (1) 医療費水準(保険料)の平準化に応じた再編・統合
 (2) 都道府県単位の医療費水準の適正化の推進

基本的な考え方の図



保険者の再編・統合(2)
−政管健保の財政運営の都道府県単位化

ねらい
  保険者機能の発揮(地域に応じた医療費適正化や保健事業の展開)
  受益と負担の公平性の確保
  被保険者等の意見を反映した自主性・自律性のある保険運営

イメージ
政管健保

年齢構成・所得水準の格差に着目した調整の図



政管健保の財政運営を都道府県単位化した後のイメージ:保険料率
平成13年度実績に基づく都道府県別保険料率の機械的試算
(平成16年2月医療保険部会提出資料より)

  保険料率   保険料率   保険料率
  順位   順位   順位
  全国計 80 - 16 富山 82 16 32 島根 81 22
1 北海道 87 1 17 石川  82 12 33 岡山  81 19
2 青森  82 14 18 福井  80 27 34 広島  82 11
3 岩手  81 17 19 山梨  77 45 35 山口  81 20
4 宮城  79 30 20 長野  75 47 36 徳島  86 2
5 秋田  82 9 21 岐阜  79 31 37 香川  83 5
6 山形  78 39 22 静岡  78 40 38 愛媛  81 21
7 福島  80 29 23 愛知  79 33 39 高知  83 8
8 茨城  78 41 24 三重  79 34 40 福岡  84 4
9 栃木  79 36 25 滋賀  79 37 41 佐賀  84 3
10 群馬  78 42 26 京都  80 25 42 長崎  83 6
11 埼玉  77 46 27 大阪  81 18 43 熊本  82 10
12 千葉  77 44 28 兵庫  80 26 44 大分  83 7
13 東京  78 38 29 奈良  80 28 45 宮崎  81 24
14 神奈川 79 35 30 和歌山 82 15 46 鹿児島 82 13
15 新潟  78 43 31 鳥取  81 23 47 沖縄  79 32
 老健拠出金、退職拠出金、傷病手当金等の現金給付、保健事業に係る費用等の所要保険料率を各都道府県で同一の料率とした上で、若人医療給付費分の保険料率(年齢・所得調整後)に加えている。
(老健拠出金分約23‰、退職拠出金分約7‰、傷病手当金等現金給付分約4‰、保健事業に係る費用等分約2‰)
注1. 事業所所在地に着目して都道府県を区分している。
注2. 保険料率は総報酬ベースである。
注3. 四捨五入の関係で合計が合わない場合がある。



5.医療費適正化に関連した都道府県の
取組の具体的内容


要点
 生活習慣病対策の推進、医療機能の分化・連携の推進、平均在院日数の短縮、地域における高齢者の生活機能の重視を一体的に地域ごとに実現するため、各都道府県において策定する
健康増進計画
医療計画
介護保険事業支援計画
と整合性を持って医療費適正化計画(仮称)を策定し、中長期的に医療費適正化を進める



(1)生活習慣病対策の推進

(1)高齢期の医療を踏まえた若年期からの保健事業の必要性
1) 生活習慣病の発症−重症化・合併症−要介護状態という経過をたどるが、予防により発症を抑え、重症化や要介護状態となることを防ぐことができる
2) 若年期からの保健事業(食生活の改善や適切な運動を促すさまざまな活動)を行う必要があり、地域の実情に応じ、このための健康増進計画を策定し、推進することが必要
3) 生活習慣病対策は介護予防の効果も有する

高齢期の医療を踏まえた若年期からの保健事業の必要性の図




1次予防:生活習慣を改善して健康を増進し、生活習慣病等の発病を予防すること
2次予防:健康診査等による疾病の早期発見及び早期治療のこと
「国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的な方針」(H15.4.30厚生労働省告示第195号)に基づく定義







(2)若年期からの健康増進を通じた老人医療費の適正化(イメージ)

若年期からの健康増進を通じた老人医療費の適正化(イメージ)のグラフ
1. 若年期から行う保健事業は、短期的に医療費に与える影響は必ずしも大きくないが、中長期的には老人医療費を含め医療費適正化に効果がある
2. このためには、医療保険と地域保健が連携していくことが必要



(参考)
糖尿病有病者の増加
○「糖尿病が強く疑われる人」と「糖尿病の可能性が否定できない人」との合計は、平成14年度は約1,620万人
(平成9年度の約1,370万人と比べると5年間で約250万人増加
糖尿病有病者の増加のグラフ


糖尿病による合併症

腎不全(糖尿病性腎症)
心筋梗塞
脳卒中
失明(網膜症)
足切断(壊疽)等
糖尿病発症の抑制
耐糖能異常者(糖尿病予備軍)を対象とした
アメリカにおける調査研究の一つでは、

内服薬の使用
  →  糖尿病発症を31%抑制
ライフスタイルの改善
(食生活改善、適切な運動)
  →  糖尿病発症を58%抑制
との報告。

(出典 N Engl J Med 2002;346:393-406)


糖尿病医療費の削減イメージ
糖尿病医療費の削減イメージのグラフ



(2)質の高い効率的な医療提供体制の構築
−医療機能の分化・連携/在宅医療の推進等による平均在院日数の短縮−
医療計画や関連する補助金等の医療提供制度改革を行うことにより、質の高い効率的な医療提供体制の実現に向け、都道府県による実効性の高い施策展開を推進し、これを国が支援することとする。

国による基本方針の提示 (新設)
 国は、都道府県が作成する医療計画に関し、国としての基本方針を示し、あるべき医療提供体制のビジョンを提示するとともに、都道府県の目標値設定の基となる指標を提示
医療計画の役割・作成手法の見直し(案)
 (1)  主要な疾患や医療機能ごとに定められた指標に基づいた都道府県による医療提供体制の具体的数値目標の設定
・地域の疾病構造の特徴、住民ニーズを踏まえた目標値の設定
 (2)  目標達成に向けた具体的な実施計画として医療計画を位置付け
 (3)  国の提示する政策評価項目による都道府県の定量的評価の実施とそれに基づく医療計画の見直し
住民にとって、現状、目標、整備手順等が数値でもって客観的に明らかになる(都道府県ごとの状況が容易に把握できる。)
具体的で実効性のある計画的な医療提供体制の構築が可能になる。
医療計画の内容の見直し(案)
 (1)  患者・住民の生活の質(QOL)向上の観点から、医療機能の分化・連携(病院間、病院・診療所間、福祉サービスとの間の連携)を推進する内容に見直し
「急性期→亜急性期・回復期→かかりつけ医の下で在宅(多様な居住の場)での療養」といった流れを、原則2次医療圏内で完結する医療提供体制の確保
 (2)  医療安全、小児医療・小児救急、在宅医療等、今後政策的に重点的に推進すべき内容を医療計画の記載事項として位置付け
 (3)  介護保険事業支援計画や健康増進計画と連携した医療提供体制の位置付け



(3)地域における高齢者の生活機能の重視

 急性期の入院から、回復期(亜急性期)等を経て、在宅(多様な居住の場)での療養に至る患者の流れを促進
 在宅(多様な居住の場)における介護サービスと連携した医療サービスの充実を図ることにより、患者の生活の質(QOL)の向上を図るとともに、入院から在宅への患者の流れを促進し、社会的入院の解消を図る。

地域における高齢者の生活機能の重視の図



参考資料



医療保険制度改革に関する基本方針の策定

経緯
 ・  平成14年に成立した健康保険法等の一部を改正する法律附則第2条において、今後の医療保険制度の改革等について規定

 ・  同条に基づき、平成15年3月28日に「基本方針(医療保険制度体系及び診療 報酬体系に関する基本方針)」を閣議決定

 (参考) 平成14年健康保険法等改正法附則第2条 (抄)

 政府は、将来にわたって医療保険制度の安定的運営を図るため、平成14年度中に、次に掲げる事項について、その具体的内容、手順及び年次計画を明らかにした基本方針を策定するものとする。政府は、当該基本方針に基づいて、できるだけ速やかに(第2号に掲げる事項についてはおおむね2年を目途に)、所要の措置を講ずるものとする。
 保険者の統合及び再編を含む医療保険制度の体系の在り方
 新しい高齢者医療制度の創設
 診療報酬の体系の見直し

 基本方針の内容 − (1)保険者の再編・統合
 ・  被用者保険、国保それぞれについて、都道府県単位を軸に再編・統合を推進。

 ・  市町村国保については、都道府県と市町村が連携しつつ、保険者の再編・統合を計画的に進め、広域連合等の活用により、都道府県においてより安定した保険運営を目指す。

 ・  政管健保については、事業運営の効率性等を考慮しつつ、財政運営は、基本的には都道府県単位とする。

 ・  健保組合については、規制緩和等による小規模・財政窮迫組合の再編・統合を推進するとともに、受け皿として都道府県単位の地域型健保組合の設立を認める。

 基本方針の内容 − (2)高齢者医療制度
 ・  65歳以上の者を対象に、後期高齢者(75歳以上)と前期高齢者(65歳以上75歳未満)のそれぞれの特性に応じた新たな制度を創設。

 ・  後期高齢者については、加入者の保険料、国保及び被用者保険からの支援並びに公費により賄う新たな制度に加入する。

 ・  前期高齢者については、引き続き国保、被用者保険に加入することとするが、前期高齢者の偏在による医療費負担の不均衡を制度間で調整し、制度の安定性と公平性を確保する。

 基本方針の内容 − (3)地域における取組
 ・  保険者、医療機関、地方公共団体等の関係者が、都道府県単位で連携して地域の住民に対し質の高い効率的な医療を提供できるような取組を推進。

 ・  保険者・医療機関・地方公共団体が協議する場を設け、医療の地域特性の調査・分析を行うとともに、医療計画、介護保険事業支援計画及び健康増進計画との整合性を図りつつ、医療費の適正化に向けて取り組むための計画を策定。

 ・  医療の地域特性に起因して生ずる医療費の地域差部分については、地域における適正化努力を促すような仕組みを導入する。

 基本方針の内容 − (4)診療報酬体系
 ・  診療報酬の評価に係る基準・尺度の明確化を図り、国民に分かりやすい体系とする。

 ・  (1)医療技術の適正な評価(ドクターフィー的要素)、(2)医療機関のコストや機能等を適切に反映した総合的な評価(ホスピタルフィー的要素)、(3)患者の視点の重視等の基本的な考え方に立って見直しを進める。

 基本方針の内容 − (5)改革の手順・時期
 ・  医療保険制度体系に関する改革は、平成20年度に向けて実現を目指す。法律 改正を伴うものは、概ね2年を目途に順次制度改正に着手(※)
(※) 平成18年通常国会に法案提出予定。

 ・  診療報酬体系に関する改革については、次期診療報酬改定(※)より、逐次、実施を図る。
(※) この「次期診療報酬改定」とは平成16年度改定を指す。



社会保障審議会医療保険部会の開催経緯

第 1回 (平成15年 7月16日)
「基本方針」、基礎的資料の説明
フリートーキング(1)
第 2回 (平成15年10月 6日)
フリートーキング(2)
第 3回 (平成15年11月10日)
受療動向や生活習慣病の現状等の説明
高齢者医療の在り方について意見交換
第 4回 (平成15年12月 3日)
都道府県単位で保険者を再編・統合する意義、考え方について説明、意見交換
医療提供、健康増進、介護等における都道府県の役割を踏まえた地域での取組について意見交換(1)
第 5回 (平成16年 2月 9日)
国保、政管健保、組合健保の再編・統合のイメージについて説明、意見交換
地域での取組について意見交換(2)
第 6回 (平成16年 3月22日)
老人保健制度及び退職者医療制度の説明
高齢者医療制度の論点案の提示
第 7回 (平成16年 5月13日)
高齢者医療制度(特に、基本的な考え方、保険料・社会連帯的な保険料、医療費適正化)について意見交換
 
第 8回 (平成16年 6月23日)
新たな高齢者医療制度(特に、保険者、財政方式、心身の状況にふさわしいサービスのあり方)について意見交換
第 9回 (平成16年 7月28日)
これまでの審議の整理(論点整理メモ)
第10回 (平成16年10月22日)
今後の議論の進め方について
三位一体改革の動向について
医療費適正化について
第11回 (平成16年11月30日)
三位一体改革・国保関係の経過報告
いわゆる「混合診療」の問題について
介護保険制度改革の検討状況について
第12回 (平成17年 1月26日)
三位一体改革・国保関係の経過報告
保険者の再編・統合(政管健保)
いわゆる「混合診療」の問題について
(今後の予定)
平成17年
 2〜3月   保険者再編(政管健保・健保組合)

 4〜6月 高齢者医療制度

 7〜8月 医療保険制度改革の全体像


国民健康保険法における都道府県負担の導入について
(都道府県調整交付金の創設、保険基盤安定制度の国庫負担廃止)

1 趣旨
 ○  国民健康保険制度の医療費の適正化と保険運営の広域化を進め、その安定的運営を図るため、税源移譲による確実な財政措置が図られる三位一体の改革に併せて、都道府県に財政調整権限を移譲するとともに、都道府県負担を導入する。

2 内容

〔国保給付費の財源構成〕
【現行】
【現行】の図
【平成18年度以降】
【平成18年度以降】の図

3 施行時期
  平成17年4月1日


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