若者の自立・挑戦のためのアクションプラン
「若者の自立・挑戦のためのアクションプラン」のポイント
内閣官房
内閣府
文部科学省
厚生労働省
経済産業省 |
(1) |
学校段階からのキャリア教育を推進し、その効果的な実施のため地域レベルにおける連携を強化する |
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● |
小中高校において、以下のような事業を通じて学校段階からのキャリア教育を推進する。
○ |
中学校を中心に、5日間以上の職場体験等の実施などを通じ、キャリア教育の更なる強化を図る。 |
○ |
ハローワーク、産業界等が連携し、企業人等の学校への派遣、企業での就業体験等により職業意識の形成を支援する。 |
○ |
NPO、企業等の民間の経験やアイデアを活用し、ものづくり等の働くことの面白さを伝える教育をモデル地域(10カ所程度)において実施する。 |
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● |
これらの効果的な実施のため、学校、PTA、教育委員会、労働局、経済産業局、地域の経営者協会や商工会議所等、地域レベルにおける関係者による協議の
場を設置する。また、各省庁から関係機関に対し、具体的な指示・協力依頼を行う。 |
● |
専門高校等の生徒が、地域の伝統産業などの技術・技能を習得できるよう、各地域の産業界等と地域レベルで連携を図る。 |
(2) |
働く意欲が不十分な若年者やニートと呼ばれる無業者などに対して、働く意欲や能力を高める総合的な対策を推進する |
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● |
働く自信を高め、意欲を喚起・向上するため、合宿形式による「若者自立塾(仮称)」を創設する。 |
● |
ボランティア活動など無償の労働体験等を通じて就職力を強化する事業(ジョブパスポート事業)を創設する。 |
● |
工場、訓練施設の親子への開放、ものづくり技能競技大会の実施などにより、子供から大人までものづくりに親しむ社会を形成する(ものづくり立国の推進)。 |
(3) |
企業内人材育成の活性化を促進し、産業競争力の基盤である産業人材の育成・強化を図る |
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● |
人材投資の減少傾向を拡大に転じさせるとともに、企業における戦略的な人材育成への取組を強力に後押しするため、人材投資促進税制を創設する。 |
● |
製造現場の中核人材の育成を促進するため、ものづくりのベテランの有する技術やノウハウを若手人材に継承するための拠点づくりを推進する。 |
● |
コンテンツ・ヘルスケア・集客交流等の戦略サービス分野を支える人材や、IT人材、MOT(技術経営)人材等を育成するため、教育プログラムの開発等を行う。 |
(4) |
ジョブカフェ、日本版デュアルシステム等を推進し、的確な評価に基づき事業成果の向上を図る |
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● |
「若年者のためのワンストップサービスセンター(ジョブカフェ)」のサービスを充実するとともに、第三者による評価結果を踏まえ、事業成果の向上、成功事例の普及・拡大を図る。
【実績】 |
就職者数 約1万人(15のモデル地域の就職者数:約5,600人)(平成16年9月末現在) |
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企業実習と教育・職業訓練を組み合わせて実施する「日本版デュアルシステム」を引き続き推進し、社会的定着を図る。 |
● |
若者が就職・仕事に役立つ知識・ビジネススキルを手軽に学べる機会を提供するため、「草の根eラーニング・システム」を整備する。 |
(5) |
若者問題について国民的な関心を喚起するとともに、国民各層が一体となった取組を推進するため、広報・啓発活動を積極的に実施する |
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● |
国民会議等若者の人間力を高めるための国民運動を推進するとともに、「若者チャレンジキャラバン(仮称)」などのシンポジウムを開催する。 |
● |
女性若年層のキャリア形成のためのキャンペーン等を実施する。 |
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※ |
アクションプランの下、関連施策を実施するため、平成17年度政府予算案において、679億円(前年度526億円)を計上。 |
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若者の自立・挑戦のためのアクションプラン
平成16年12月24日
若者自立・挑戦戦略会議
内閣官房長官
文部科学大臣
厚生労働大臣
経済産業大臣
経済財政政策担当大臣 |
「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2004」(平成16年6月)に基づき、「若者自立・挑戦プラン」(平成15年6月)の実効性・効率性を高めるため、若者の自立・挑戦のためのアクションプランを、次のとおり取りまとめる。
今後、関係府省は、「若者自立・挑戦プラン」の実施終了年度の平成18年度に向けて、本アクションプランの効果的・効率的な実施を図るものとする。
なお、本アクションプランの実施に当たっては、関係府省の緊密な連携・協力を図るとともに、施策の実績を的確に評価することで、効果的な展開を図るものとする。また、地域の自主性と多様性を尊重しながら推進し、民間を活用することが適当なものは民間に委ねていくこととする。
1. |
学校段階からのキャリア教育の強化(ものづくり体験等)、専門的職業人の育成 |
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小中高校において、勤労観、職業意識の形成や職業教育等を行うため、関係府省が密接に連携し、産業界の最大限の協力を得つつ、以下のような事業を通じて、学校段階からのキャリア教育を強力に推進する。
その際、キャリア教育に係る事業の一体的かつ効果的な実施を図るため、学校、PTA、各教育委員会、各労働局・ハローワーク、各経済産業局、地方公共団体、地域の経営者協会や商工会議所等による地域レベルでの協議の場を設けるなど、関係機関等の連携・協力による支援システムづくりに取り組むこととし、本アクションプラン策定後速やかに、各省から関係機関等に対し、具体的な指示・協力依頼を行う。 |
(1) |
中学校を中心に、5日間以上の職場体験やインターンシップの実施など、地域の教育力を最大限活用し、キャリア教育の更なる強化を図る。
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(2) |
企業人等を講師として学校に派遣し、職業や産業の実態、働くことの意義、職業生活等に関して生徒に理解させ、自ら考えさせるキャリア探索プログラム、企業において就業体験をするジュニア・インターンシップ等、ハローワークと産業界が連携して行う職業意識形成支援事業について、事業対象校を拡大する。
また、若年者ジョブサポーター数を拡充し、受入企業の開拓、職場体験活動の企画、実施スケジュール等に関する企業と学校との連絡調整機能等の充実を図る。
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(3) |
NPO、企業等の民間の経験やアイデアを活用し、ものづくり等の働くことの面白さを伝える教育を、モデル地域(10カ所程度)において実施する。 |
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地域産業界等と連携し、先端的な技術・技能等を取り入れた教育や伝統的な産業に関する学習活動を重点的に行うなどの特色ある取組を行う専門高校等を支援する「目指せスペシャリスト(「スーパー専門高校」)」事業の充実を図り、地域社会を担う専門的職業人の育成を推進する。 |
2. |
フリーター・無業者に対する働く意欲の涵養、向上等 |
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(1) |
フリーター・無業者に対する働く自信と意欲の涵養・向上 |
(1) |
合宿形式による集団生活の中で、生活訓練、労働体験等を通じて、職業人、社会人として必要な基本的能力の獲得、勤労観の醸成を図り、働く自信と意欲を付与する「若者自立塾(仮称)」を民間団体のノウハウを活かして創設し、若年無業者の早期の自立を図る。
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(2) |
ヤングジョブスポットについて、拠点を設置して若年者の参集を待つ従来の方法を見直し、若年者が集まりやすい場所に出向き、情報提供、相談等を実施するとともに、インターネットを活用して情報を発信する等により地域における若年者に対する職業的自立への働きかけを強化する。
なお、ヤングジョブスポットの運営については、民間団体の活用を推進する。
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(3) |
民間事業者を活用して、職業意識啓発、職場におけるコミュニケーション能力、基礎的ビジネスマナー等の習得を図るための「就職基礎能力速成講座」を10日間程度で実施し、早期の就職促進を図る。 |
(2) |
学校在学中の職業意識の形成、就職・定着支援等の強化 |
(1) |
ボランティア活動など無償の労働体験機会に関する情報の収集・提供を行い、こうした体験を通じた就業の動機付けを高めるとともに、活動の実績等を記録する「ジョブパスポート」及びその活用を促進するための「ジョブパスポート支援システム(仮称)」を開発し、無償の労働体験等の活動実績が企業の採用選考に反映されるよう普及を図る。
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(2) |
中小企業等における学卒就職者等若年従業員の職場定着促進のため、若年従業員の相互交流、企業人事担当者を対象とした講習等の取組みを促進するとともに、インターネット等を通じて若年従業員から働くことに関わる幅広い相談に身近に応ずる体制を整備する。 |
(3) |
個人の選択を機能させた若年者の能力開発施策の拡充 |
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民間委託による無料の若年者向け実践的職業訓練の枠を拡大するとともに、平成17年4月から、ジョブカフェにおいても受付を開始する。
加えて、職業訓練機関の選定については、本人の選択を尊重することを基本とし、それが有効に行われるようジョブカフェ、ハローワーク等を気軽にかつ積極的に利用できるようにする。 |
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子供から大人まで、ものづくりに親しむ社会の形成と若者のものづくりへの挑戦を支援するため、工場、民間・公共の訓練施設等の親子等への開放を促進する。
また、ものづくり技能に関するシンポジウムの開催、若年者によるものづくり技能競技大会の実施等を通じ、ものづくりに親しむ社会を形成し、その基盤の上に熟練技能の一層の高度化を図る。 |
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短期間(3か月以内)のトライアル雇用(試行雇用)を通じた早期の常用雇用の実現を図るため、学卒未就職者等の職業経験が十分ではない者(35歳未満)を対象に実施している「若年者トライアル雇用事業」を拡充する。 |
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社会経済の多様化・複雑化に対応した高度な専門能力等を持つ人材の育成を推進するため、17年度も引き続き、「キャリア高度化プラン」として各般の取組を総合的に推進する。
(1) |
大学・大学院や専修学校等において、産学官連携によるキャリアアップのための先導的なプログラム開発・講座の提供等を推進する。 |
(2) |
大学における教育内容・方法等充実のための種々の取組の中から、特色ある優れた取組を支援し、専門的・社会的能力の育成機能の充実を推進する。 |
(3) |
各種の専門職大学院における教育内容の開発・充実等に取り組む優れたプロジェクトを選定・支援し、高度専門職業人の養成を推進する。 |
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(1) |
我が国の産業競争力を支える製造現場の中核人材について、産業界と大学等が一体となった新たな人材育成の仕組みとして、ものづくりのベテランの技やノウハウを若い世代に受け継がせていける拠点の整備を進める。
具体的には、金型・鋳造や情報家電等、我が国のものづくりの基盤となる技術について、「生産工程を全体的に把握した上で革新することができる人材」、「生産まで視野に入れて、開発・設計を行うことができる人材」などの育成を図ることとし、そのため、産業界と大学・高等専門学校等の教育機関のコンソーシアムが、製造現場で求められるスキル・ノウハウの体系化、教育プログラムの開発、実証を実施することを、提案公募により採択した全国30箇所程度において支援する。
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(2) |
産学官の関係者で構成する人材育成地域協議会において、地域産業ニーズを踏まえた訓練コースを開発する。
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(3) |
戦略サービス分野についてスキルの明確化や教育プログラムの開発、普及促進等を行う。
具体的には、新産業創造戦略において重点分野とされた、コンテンツ・ヘルスケア・集客交流などの戦略的サービス分野において、その事業革新の担い手として、「経営技術」、「事業実態」の両方に精通する複合的な人材を育成するため、スキル標準の策定や標準的なテキストや教育プログラムを作成するとともに、フォーラム等を開催し、専門人材間でのネットワーク構築を行う。
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(4) |
IT、MOT(技術経営)等の専門分野の人材について、大学等が産業界から求められる能力・スキルの体系化とカリキュラム・教材の開発を行う取組を支援するとともに利用促進のための情報提供を行う。
IT人材育成については、産業界有識者による協議体制を設置することにより大学教育に対する産業界ニーズを明確化し、それを踏まえて公募によりカリキュラムの策定・実行支援を行い、その成果について有効性の評価結果を公表する。
MOT人材育成については、IT・バイオ等の重点4分野に特化した教材・教育プログラム開発を行うとともに、効果の高いMOT教育を実践することのできる教える人材の育成を図る。また、MOT教育プログラムの質の向上を図るため、第三者機関がMOT教育プログラムを評価し、適合性を認定する仕組み(アクレディテーション)の構築を図る。
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(5) |
高度な実践技術と経営資質を有する総合的ものづくり人材を育成するため、職業能力開発総合大学校において訓練コースを開発し、平成17年度中に試行的に実施する。 |
(1) |
事業主が若年者を雇用して日本版デュアルシステムによる訓練を実施した場合の訓練経費等に対し、キャリア形成促進助成金を活用することにより、企業におけるデュアルシステムの導入を促進する。
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(2) |
我が国産業競争力の基盤である産業人材を育成・強化する観点から、人材投資の減少傾向を拡大に転じさせるとともに、企業における戦略的な人材育成への取組を強力に後押しするため、人材育成に積極的に取り組む企業について、人材投資促進税制(教育訓練費の一定割合を法人税額から控除)を創設する。 |
5. |
誰でもいつでも能力向上を行う機会の提供
(草の根eラーニング・システムの導入) |
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(1) |
若者・フリーターや中小企業の従業員等が、就職・仕事に役立つ知識・ビジネススキルを手軽に学べる機会を提供するため、関係府省が連携して、ジョブカフェ、大学等の教育機関、商工会議所等を活用して、「草の根eラーニングサービス」を提供する仕組みの整備を図る。
具体的には、提案公募によりモデル事業を実施し、職業意識の涵養や就業能力の向上に直結するビジネススキル、コミュニケーションスキルなどの学習コンテンツを開発するとともに、利用者の学習を支援するシステムを構築・実証する。
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(2) |
eラーニングに関する情報を提供する仕組みの整備、助成金の活用等を通じ、eラーニング活用促進のための環境整備を図る。 |
6. |
国民各層が一体となって取り組む国民運動の推進 |
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人材育成等の必要性に係る普及・啓発を行うため、「若者フォーラム(仮称)」として、若者向けウェブサイトの構築やシンポジウム「若者チャレンジキャラバン(仮称)」等による普及・啓発を行う。 |
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若年者雇用問題についての国民各層の関心を喚起し、若者に働くことの意義を実感させ、働く意欲・能力を高めるため、経済界、労働界、地域社会、政府等の関係者が一体となった国民運動を推進する。
このため、「若者の人間力を高めるための国民会議(仮称)」を開催し、国民に向けたメッセージを「国民宣言」として取りまとめるとともに、若年者雇用に関する関心の喚起を図り、国民各層の自発的取組を促すため、各種セミナー、若者向けミニイベント等の広報・啓発活動等を展開する。 |
(1) |
女性若年層に対して、女性の進出が遅れている理工系等の分野に関する情報提供・意識啓発キャンペーンを関係府省・機関と連携して実施する。また、独立行政法人国立女性教育会館において、多様なキャリア形成を支援するための情報提供システムを構築する。さらに、地域の女性センターにおいて、雇用、起業、NPO、農林水産等、タイプ別の就業支援・意識啓発セミナー等を実施する。
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(2) |
ジョブカフェとも連携し、講師派遣や女性のチャレンジ支援関連の広報活動を実施する。 |
(1) |
若年者のためのワンストップサービスセンター(ジョブカフェ)の整備 |
(1) |
都道府県の主体的な取組により設置されるジョブカフェについて、都道府県からの要望に応じ、ハローワークの併設を進め、若年者の主体的な企画による就職支援活動や利用困難な者に対するネットカウンセリング等を新たに実施し、就職支援機能の一層の強化を図る。
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(2) |
民間を活用してサービスを提供しているモデル地域における事業(概ね平成16年7月から開始)について、若者の就職促進機能の強化のため、カウンセリングの強化、地域の産業界・教育機関との連携、積極的な広報活動等を促進していく。
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(3) |
若者が利用しやすいサービスを提供するため、第三者による評価委員会において実績・効果を厳格に評価し、本事業の質の向上を図るとともに、地域の特色を生かした成功事例について他の地域に周知していく。 |
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民間活力を活用し、同システムの社会的定着を図るため、
(@) |
進路が決まらない学卒者等に対する体験講習の実施 |
(A) |
専修学校等と受入企業の間の調整を行うデュアルシステム・コーディネーターの増員 |
(B) |
専修学校における先導的モデルカリキュラムの開発 |
等を実施し受講者の拡大を図るとともに、専門高校等においては、デュアルシステムの効果的な導入方法等を探るための多様な取組を推進する。 |
8. |
若者が挑戦し、活躍できる新たな市場・就業機会の創出 |
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(1) |
若者をはじめとする国民各層への起業・独立意識を喚起し、起業家予備層へのインターネットによる起業相談等、総合的な起業支援サービスを実施する「起ちあがれニッポン DREAM GATE」事業について、サービス内容の拡充に取り組み、平成18年度末を目途にサービス提供対象である起業家予備層を50万人に拡大する。
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(2) |
創業に向けて具体的な行動計画を有する者(創業予備軍)を対象に、創業に必要な実践的能力を修得させる創業塾(30時間程度)を引き続き開催する。また、新事業展開等を目指す経営者や若手後継者等を対象に経営戦略等の知識・ノウハウの体得を支援する「第二創業コース」を拡充し、全国約200箇所において実施する。 |
なお、アクションプランの下、上記の取組を含め関連施策を実施するため、平成17年度政府予算案において、679億円(前年度526億円)を計上する。