05/02/25 薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会 平成17年2月25日議事録 薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会 議事録 1.日時及び場所   平成17年2月25日(金) 10:00〜   厚生労働省専用第18〜20会議室 2.出席委員(11名)五十音順   青 柳 伸 男、 井 上 和 秀、 岩  崎   学、 首 藤 紘 一、    田 島 知 行、 谷川原 祐 介、 土 屋 文 人、◎永 井 良 三、  ○長 尾   拓、 早 川   浩、 村 勢 敏 郎、 (注) ◎部会長 ○部会長代理   欠席委員(3名) 堺   秀  人、長谷川 紘 司、 樋 口 輝 彦 3.行政機関出席者   黒 川 達 夫(大臣官房審議官)、 川 原   章(審査管理課長)、    平 山 佳 伸(安全対策課長)、   豊 島   聰(医薬品医療機器総合機構審査センター長)    古 澤 康 秀(医薬品医療機器総合機構審議役)、    森   和 彦(医薬品医療機器総合機構新薬審査第一部長)、   坂 本   純(医薬品医療機器総合機構新薬審査第二部長)、   牧 野 ゆり子(医薬品医療機器総合機構新薬審査第三部長)、   國 枝   卓(医薬品医療機器総合機構生物系審査部長)  他 4.備  考   本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。 ○審査管理課長 それでは定刻になりましたので、薬事・食品衛生審議会医薬品第一部 会を開催させていただきます。本日はお忙しい中お集まりいただきましてありがとうご ざいます。当部会委員数14名のうち11名の方に御出席いただいておりますので、定足 数に達しております。欠席の委員は堺委員、長谷川委員、樋口委員の3名でございます。 土屋先生は少し遅れておられますが、間もなくお見えになるということでございます。 では永井先生、以後の進行をよろしくお願いいたします。 ○永井部会長 それでは、まず本年1月に開催されました薬事・食品衛生審議会総会に おいて当部会委員が改選されたことから、部会長代理を決めさせていただきたいと思い ます。部会長代理については審議会のルールによりまして部会長があらかじめ指名する ということになっております。私としてはこれまでどおり引き続き長尾委員に部会長代 理をお願いしたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。ありがとうございます。 では長尾先生、よろしくお願いいたします。 ── 長尾委員、部会長代理席へ移動 ── ○永井部会長 それでは審議に入る前に事務局から配付資料の確認及び資料作成に関与 された委員の報告をお願いいたします。 ○事務局 事務局から資料の確認をさせていただきたいと思います。資料1〜8までを あらかじめお送りしておりまして、本日席上配付資料といたしまして1枚紙の議事次第、 座席表、本部会委員の名簿。それから資料5-2といたしましてアクテムラ原液、アクテ ムラ点滴静注用の「審査報告書(2)」というタイトルのもの、資料5-3といたしまして アクテムラ点滴静注用とアクテムラ原液の医薬品第一部会用資料概要の差し替え、それ から資料5-4といたしましてアクテムラ点滴静注用の添付文書(案)。資料9といたしま して「優先審査品目指定の審査結果について」というタイトルのもの。資料10といたし まして「医薬品第一部会審議品目の薬事分科会における取扱い、毒薬・劇薬の指定の要 否及び生物由来製品/特定生物由来製品の要否について(案)」。資料11といたしまして 「アデノスキャン注60mg、同90mgの専門協議委員名簿」というタイトルの、今日御審 議いただく各品目の専門委員のリストでございます。それから平成13年1月23日の薬 事分科会申合せに基づきます資料作成に関係された委員の確認でございますけれども、 本日の議題については関与された先生はいらっしゃいません。  本日議題3のところで参考人として国立病院機構新潟病院副院長の中島先生にお越し いただいておりますので、よろしくお願いいたします。本日中島先生にお越しいただい ております関係から議題の順番が少し前後しますけれども、議題3を最初に御審議いた だきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。以上でございます。 ○永井部会長 ありがとうございました。本日は審議事項が6議題、報告事項が3議題 でございます。それでは今御説明がありましたように議題3から始めさせていただきま す。総合機構から審査概要の説明をお願いいたします。 ○機構 それでは議題3、資料3、医薬品ギャバロン髄注0.005%、同0.05%、同0.2 %の輸入承認の可否等について、医薬品医療機器総合機構より御説明させていただきま す。本品目については医薬品医療機器審査センターにおいて審査を開始し、機構で引き 続き審査を実施していたものでございます。  先ほども御説明がありましたが、本日は本品目の専門委員をお願いいたしました独立 行政法人国立病院機構新潟病院の副院長でいらっしゃいます中島委員にお越しいただい ております。本申請の専門委員としては、中島委員のほか資料11に記載されております 小野委員、鈴木委員、谷本委員、長岡委員、奈良間委員、林(邦)委員、林(正)委員、星 野委員、松岡委員、溝口委員の11名の委員を指名いたしました。  それでは概略を御説明させていただきます。本剤の有効成分はバクロフェンで、これ を有効成分とする錠剤は既に痙性麻痺に対して承認されております。今般申請者は、重 度の痙性麻痺に対してバクロフェンをより効率的に作用させるため、本剤を髄腔内へ直 接投与し、専用のポンプシステムによって持続的に症状をコントロールするシステムを 本邦へ導入し、既存治療で効果不十分な重度の痙性麻痺を効能・効果とする承認申請を 行いました。  本システムのイメージにつきましては、お手元に配付しております写真といいますか、 イメージがございますので、これを御覧いただければお分かりになるかと思いますが、 ポンプを皮内に埋め込んでそこからカテーテルを通して髄腔内に直接投与するというシ ステムでございます。本剤は米国、欧州等22か国で承認されており、本邦において本適 用は希少疾病用医薬品として指定されております。なお、カテーテル、ポンプシステム 等の本剤投与に関連する医療用具につきましては、別途医療機器部会の方で審議される 予定となっており、本第一部会では薬剤の有効性及び安全性の観点から御審議いただき たいと考えております。  審査内容ですが、規格、安定性につきましては規格の見直し、実使用時における分解 性等について検討しておりますが、最終的に適切に設定されたと考えております。  毒性ですが、髄腔内投与時の毒性所見等について確認し、全身暴露の観点から経口投 与時のリスクを上回るものではないと考えております。  薬理についてですが、固縮モデル等で有効性は確認されており、GABAB受容体を介して 抑制性介在ニューロンを活性化することで筋弛緩作用、鎮痛作用を発現することが示唆 されております。  薬物動態についてですが、本剤を髄腔内に投与した場合の髄液中濃度は患者間で大き な変動が認められたものの、通常用量で70〜350ng/mL程度と考えられ、このときの血中 濃度は髄液中濃度の約1/600、経口投与時の血中濃度の約1/200程度と算定され、全身 暴露量は髄腔内投与により低下するものと考えられました。  臨床成績でございますが、本適用は希少疾病用医薬品として指定されており、症例数 が限定されることから、国内での臨床試験は海外の主要な試験と同様に計画され実施さ れました。まず、本剤50μgを初回に単回投与し、100μgまでの単回投与で有効性を確 認するスクリーニング試験が脳脊髄疾患に由来する重度の痙性麻痺患者を対象として実 施され、平均Ashworth評点は有意に改善されました。スクリーニング試験で有効性が認 められた患者についてはポンプシステムの植え込み手術が実施され、長期持続投与試験 が引き続き行われ、24か月程度までの改善の維持が確認されております。本剤投与時の 主な有害事象といたしましては頭痛、脱力感等のほか、カテーテルの閉塞といった医療 用具に関連する事象も認められております。  海外臨床試験においては同様の患者でプラセボに対する本剤の優越性、長期投与時の 効果の維持等が確認されており、安全性について国内での事象と大きな差はないものと 推察されました。   本剤投与時には離脱症状、過量投与、耐薬性等の発現に十分注意する必要があると考 えており、本システムの特殊性から、本剤及びポンプシステムについての講習を受け、 有効性及び安全性について十分に理解した医師のみが本剤を使用すること、本剤を使用 した全例を登録して使用成績調査を実施することを承認条件とすることが適切と判断し ております。  以上の審査を踏まえ、本剤の重度痙性麻痺に対する適用を承認して差し支えないとの 結論に達し、本第一部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本剤は劇薬 に該当し、新投与経路医薬品で本適用が希少疾病であることから再審査期間は10年間、 生物製剤及び特定生物製剤のいずれにも該当せず、薬事分科会には報告を予定しており ます。よろしく御審議のほどお願いいたします。 ── 説明中、土屋委員着席 ── ○永井部会長 ありがとうございました。それでは中島先生から補足をお願いしたいと 思いますが、よろしいでしょうか。 ○中島参考人 重度の痙性を示す患者さんの治療ということでは非常に効果が限定され てきたのですが、この度既に経口投与で認可されているバクロフェンという薬剤ですけ れども、投与経路、すなわちドラッグデリバリーシステムを変えることによって標的の 臓器に十分に作用させるという方法が臨床評価されたわけです。それによって出た評価 結果からは痙縮を改善して日常生活動作、それから締め付け感や痛みという主観的な不 快感を軽減することに非常に有効であるということが分かったわけです。希少疾病とい うことでこの患者数は非常に少ないと思われますが、この治療で少なくとも痙縮を取る ことによって随意性が高まり、日常生活を有意義に過ごすことができるために非常に有 効な医薬品だと思います。したがって、私としては非常にすばらしいものではないかと 思って、参考人として意見を述べさせていただきます。以上です。 ○永井部会長 ありがとうございました。それでは質疑に移ります。いかがでしょうか。 どなたか御質問、御意見ございませんか。これは患者さんが何かカードを持って登録し ていくということなのですね。 ○機構 御説明させていただきます。この薬で海外の事象等を見ておりますと、やはり 埋め込んだ後に例えばカテーテルが閉塞する、あるいはポンプの故障といったことで、 急激にバクロフェンが投与されなくなると結局離脱症状が起こると。そのときに非常に 緊急な措置が必要になるのでございますが、必ずしも埋め込みをした病院に運ばれるわ けではないということで、恐らくほかの病院の救急治療にかかられることが多いのでは ないかと。そうすると救急医療の現場でこの患者さんがなぜそういう症状を呈している のかというのが分からないことが想定され、それを審査の過程でかなり審議いたしまし た。最終的には患者さんに個別の緊急カードを各自常に携帯していただいて、想定され ることですが、そこに離脱症状時の発現あるいはそれに対する救急処置の簡単なやり方 などを記載すること。それからこのポンプを埋め込んだ医師がだれであるのか、どこの 病院でやったのかという情報が書いてあり、そこの救急医療の先生から直接このポンプ を埋め込んだ担当医に連絡が取れるような仕組みを今考えておりまして、そういうもの を携帯していただくことを指示しております。 ○永井部会長 よろしいでしょうか。岩崎委員、どうぞ。 ○岩崎委員 海外でも使われているということだと思うのですけれども、海外で安全性 の観点からいろいろな事象が起こったと思うのですが、それはやはり日本の医療環境な ども考えまして日本でも大体同様なことが起こり、そして日本でも適切な対応ができる とお考えでしょうか。 ○機構 我々は国内外差についても審査の過程で検討しておりますが、特に国内で臨床 的に何か違うことが起こるというふうには今のところ想定しておりません。ただ、この 特質性からやはり現場に十分に認識していただくということが重要だと思っております ので、講習をきちんと受けていただいて、この薬の使い方であるとか、あるいはどうい うことが埋め込んだ後に想定されるのかを周知するということが一点。それから救急医 学会の方にも、もしかするとこういう患者さんが運ばれるかもしれませんので、そのと きにはどうぞコミュニケーションをとって対応していただきたいということをお願いし たいと考えております。そういう対応をとることで、特に海外よりも日本でリスクが高 くなるということは恐らくないのではないかと思いますが、もし中島先生から何かコメ ントがあればお願いいたします。 ○中島参考人 一つのリスクは離脱症状だと思うのですが、その場合はまず全身状態を 安定させ、そして離脱症状が起きた原因が何であるのか、ポンプの不具合なのか、医薬 品の機序なのかとか、それらを分析して再投与を行うということで解決可能ですので、 それは海外においても日本においても同じですし、日本の医療システムもそれに十分対 応できると思っております。 ○永井部会長 よろしいでしょうか。そのほかいかがでしょうか。ポンプについては医 療機器の方で十分審査をしていらっしゃるということですね。 ○機構 ポンプ及びカテーテル、この薬を投与する関連の医療用具関係については3月 3日に医療機器・体外診断薬部会が開催される予定になっておりまして、そちらの方で 御審議いただくということになっております。 ○永井部会長 よろしいでしょうか。よろしければ承認を可とさせていただきます。あ りがとうございます。中島先生、どうもありがとうございました。では戻りまして議題 1にまいります。総合機構から御説明をお願いいたします。 ── 中島参考人退席 ── ○機構 それでは議題1、資料1、医薬品アデノスキャン60、同90の輸入承認の可否 等について、医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。  アデノスキャンの有効成分であるアデノシンは、生体内に存在するプリンヌクレオシ ドの一つで、アデノシン受容体を介して多様な生理作用を発現する物質であります。冠 動脈に狭窄あるいは閉塞が生じ心筋が虚血状態に陥ると、細胞間隙に内因性のアデノシ ンが増加いたします。アデノシンは冠動脈血管を選択的に拡張させることから、狭窄部 支配領域の血管はこの内因性のアデノシンによって拡張した状態になっております。こ のときに外部からアデノシンを投与すると正常部位の血管は拡張いたしますが、虚血部 位の血管はほとんど拡張しないため、両者の間に顕著な血流量の差を生じます。こうし たアデノシンの薬理作用を利用することで、十分に運動負荷をかけられない患者に対し て虚血性心疾患の診断を可能とする心筋シンチグラフィの負荷誘導剤として本剤は開発 されました。  本申請の専門委員としては資料11にありますとおり、吉岡委員、井上委員、林委員、 中澤委員、安原委員、岩崎委員、久保委員、茅野委員、宮崎委員の計9名が指名されて おります。  各試験成績について説明いたします。  まず非臨床試験成績について、毒性試験で見られた種々の変化のうち、心循環系及び 呼吸器系に見られた急性期の変化は臨床でも起こり得る変化と考えられたことから、臨 床において本剤を投与中及び投与直後には心循環系及び呼吸器系の変化について慎重に 観察することが必要とされました。その他、特に留意すべき所見は認められませんでし た。  臨床試験の成績といたしましては、第I相試験に引き続き第II相試験で、アデノシン 持続静脈内投与により生じる正常及び異常冠動脈の冠血流速度の増加を検討し、負荷用 量を設定いたしました。続いて設定した二つの負荷用量、外国で設定されている用量と 同じ用量である140?/kg/minと120?/kg/minで、労作性狭心症患者での心筋シンチグ ラフィを実施し、より血圧低下に対する影響が小さかった120?/kg/minを至適用量と しました。次に第III相試験として、冠動脈造影を基準とした診断能(感度、特異度及び診 断精度)を検討した試験と運動負荷心筋シンチグラフィとの一致率を検討した2試験を 実施しております。この2試験のうち運動負荷心筋シンチグラフィとの一致率を検討し た試験については、輸入承認申請がされた後、審査において追加実施を求めた試験であ ります。  第III相試験の成績から、冠動脈造影を基準とした診断能では感度76.6%(95/124例)、 特異度46.0%(29/63例)、診断精度66.3%(124/187例)といずれも必ずしも高くなかっ たものの、追加実施された運動負荷心筋シンチグラフィとの一致率が97.3%(36/37例) と高い一致率を示しております。専門協議の際にも複数の委員から本剤の有効性は示さ れていると判断できるとの指摘がありました。また、臨床試験の副作用発現率は61.7% (269/436例)であり、主なものは胸部不快感や胸痛等の胸部症状31.2%、熱感16.7%、 血圧低下11.9%等でありますが、症状は軽度又は中等度で、無処置にて投与終了後10 分以内に回復いたしました。重篤な副作用として血圧低下が2例見られておりますが、 いずれも投与中止により1分後に回復しております。  専門協議においては本剤の有効性を示す臨床試験成績は放射性核種として201Tlを用 いた成績しかありませんが、99mTcも心臓領域の診断に広く使用されており、効能・効果 において放射性核種を規定する必要はないとの意見や、禁忌・警告等の追加設定に対す る意見及び75歳以上の高齢者を対象とした市販後調査等の意見が出され、申請者にその 対応を求めたところ、いずれも適切な対応をとることが回答されました。  以上のような審査の結果、本剤の有効性については第III相臨床試験において運動負荷 試験と同程度の有効性を示したことのほか、国内外の成書、ガイドラインにも広く記載 されているものであることから、十分に運動負荷をかけられない患者への有効性はある ものと判断いたします。また安全性についても、対象患者の選択や有害事象発生時の対 応準備等を慎重に行う必要がありますが、本剤が適切な対象及び環境で使用されるとい う前提下で、申請用法・用量においては承認の可否に影響するような安全性に関する重 大な懸念は認められないと判断し、平成12年9月19日付け医薬発第935号の通知にの っとり、販売名を「アデノスキャン注60mg、アデノスキャン注90mg」と変更した上で、 本品目を承認して差し支えないと判断いたしました。  本剤は新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は6年とすることが適当で あると判断しております。なお、本剤は生物由来製品及び特定生物由来製品には該当せ ず、原体、製剤とも毒薬及び劇薬のいずれにも該当しないと判断しております。薬事分 科会へは報告を予定しております。御審議のほどよろしくお願いいたします。 ○永井部会長 ありがとうございました。運動負荷が行えない心筋虚血が疑われる患者 さんに対して薬物負荷を行うということですが、いかがでしょうか。 ○長尾部会長代理 添付文書のところの書きぶりですけれど、2ページの「2.重要な基 本的注意」の最後の方の8)、9)で、その後の「3.相互作用」とも関係しますが、8) の前半と9)は薬理的に見ると実質的にかなり近い内容だと思うのです。ジピリダモール はどちらかといいますと副作用というか、有害事象を増強するような感じですね。それ は相互作用にも書いてあるのですが、8)の書きぶりが拮抗される方が先に書いてあって 有害事象が後に書いてあるので逆にするとか、あるいは8)の前半と9)は似ているから 独立にするか、要するに12時間以上空けるということが大事なのでしょうけれども、そ の辺の書きぶりはいいのでしょうか。というのは「警告」のところも2)に房室ブロック とかいろいろ、それから「禁忌」のところも不整脈絡みのことを重視して書いてあるわ けですね。その辺、テクニカルなことですけれども、全部きちんと読んでくれれば問題 はないと思いますが。 ○新薬審査第二部長 先生の御指摘がございましたので、8)と9)は内容を変える必要 が特にないのであれば、もう少し有害事象を先に書くような形で記載の整備ということ を検討させていただきます。 ○永井部会長 あとこの薬は実は私の領域に関係するのですけれども、昔は不安定狭心 症あるいは心筋梗塞の患者さんにペルサンチン負荷というのをやっていたのですが、非 常に増悪させることがあるのです。コロナリースティール現象というのが起こって、や っとバランスがとれているところに健康な血管だけ開くと虚血が増悪します。ペルサン チンを飲むと悪くなるという人が結構いたものですから、この辺をどう表現するか、か なり気を付けて使わないといけないということと、そもそも診断薬ですから既に不安定 狭心症と分かっている、あるいは心筋梗塞急性期と分かっている患者さんに本当に使っ ていいかどうかということなのです。禁忌としてしまうと周辺のところの患者さんが対 象にならなくて、かえっていろいろな問題が出てしまうということだったのですが、こ の辺どうでしょうか。既に不安定狭心症と分かっている患者さんに本当に使っていいの かなと。むしろ不安定狭心症が疑われる患者さんの場合には慎重投与しなさいという書 き方の方が実践的かなという気がするのですが。患者さんのお話からするのが狭心症の 診断ですので、それが心筋虚血かどうかというのはきちんと検査をしないといけないわ けです。ただ、不安定狭心症だといった場合には、この診断薬を使って負荷テストを行 うというのが事故が起こってしまったときに本当に大丈夫かなという気がするのです。 書き方の問題なのですが、特に「心筋梗塞急性期」というのが「1.慎重投与」の2)に ございます。これはちょっと気が付かなかったのですけれども、実際に使うのでしょう か。循環器の専門の先生が使うとはちょっと思えないのです。心電図等から急性期の心 筋梗塞が疑われるという確証がない場合は、シンチをやってみようということはあるか もしれませんが。 ○新薬審査第二部長 その関係の記載について、添付文書(案)を御覧いただきたいので すが、まず「警告」の1)の真ん中ぐらいからでございますけれども、「特に、不安定狭 心症患者ではこの危険性が増大するおそれがあるので」という文章で、なお書きとして 「薬物治療によっても安定化しない不安定狭心症の患者には投与しないこと」という形 で書いております。それから「禁忌」の5)では「薬物治療によっても安定化しない不安 定狭心症の患者」と書いてございますが、「警告」の1)にあるものが「禁忌」の5)と いうのは場所的にどうかと、先ほど部会長とお話ししたときにも御指摘がございました ので、この辺の位置の問題は少し再検討した方がいいということがございます。  それから「1.慎重投与」の方で「1)不安定狭心症の患者(薬物治療により安定化しな い患者を除く)」ということで、「『警告』の項参照」となっておりますが、今の御指摘 を踏まえますと「禁忌」の項なども参考にしていただくといったことも、記載の整備関 係として必要と思っております。現在のところは一応薬物治療で安定化しない不安定狭 心症の患者には投与しないという形で整理し、そのほかへの投与は「警告」の欄でも慎 重に行うこととなっておりますので、そういった記載となっております。この辺は海外 の添付文書なども参考にしていたわけでございますが、英国の添付文書などの「禁忌」 でも薬物治療で安定化が不十分な不安定狭心症といった表現がございましたので、御指 摘だと表現にもう少し工夫が要るのかもしれませんが、その辺を参考にしてこういう形 で設定しております。 ○永井部会長 あと今の「1.慎重投与」の1)の「(薬物治療により安定化しない患者を 除く)」というのは「警告」を参照しなさいということなのですね。 ○新薬審査第二部長 そうでございます。ここも「禁忌」の項も見ていただいた方がよ ろしいかという訂正はした方がいいと思っております。 ○永井部会長 うっかりすると慎重投与の注意から外れるみたいに読まれかねないかな という気もするのですが。 ○新薬審査第二部長 「警告」は当然上位概念ですので「警告」の方が目立つように、 必要があればもう少し記載を検討いたします。 ○永井部会長 それから心筋梗塞急性期もやはり使うということなのでしょうか。これ は大丈夫でしょうか。 ○機構 総合機構の方からお答えいたします。専門協議で委員の先生にお伺いしたとこ ろ、心筋梗塞急性期の患者にも使いたい場合があるとお聞きしております。 ○永井部会長 慎重投与と書いてあればよろしいということでしょうか。 ○新薬審査第二部長 もともと本剤は運動ができない人に薬で心臓だけ運動させるよう なものでございますので、「警告」の1)のところにありますように、全般的な意味で、 本剤投与により致死的心停止などがあるので心電図の継続した監視とか、蘇生処置がで きる準備をしておくということが、基本的には大前提で全部にかかるという形での警告 を考えております。ちょっとその辺がうまく伝わっていないようであれば、もう少し記 載の充実は考えたいと思いますが。 ○永井部会長 現場で必要なときに使えなくなってしまうと困るということではありま すが、その辺の記載をもう少し煮詰めて分かりやすくしていただくということで、枠組 みとしてはこういうことでいかがでしょうか。よろしいでしょうか。相当気を付けてや らないといけなくて、極めてまれではありますが、私も何例か経験したことがあります ので、特に不安定狭心症というのは診断の落とし穴のようなところがあって、経験がな いとなかなか見抜けないのです。慣れない人がふっと使ってしまって事故が起こらない ようにするということが大事だと思います。それではその記載を十分気を付けて、分か りやすくして相当慎重に使うと。また救命措置等の対応をそなえてということで承認可 と。土屋先生、どうぞ。 ○土屋委員 ラベルの表示の問題なのですけれども、昨年6月2日の通知でこういう注 射薬について何mg/何mLという書き方がされるというように決まったのだと思うのです が、先ほどのものはきちんと10mg/20mL、これは実は3mg/mLという表示になっている のです。これは販売名に全量が入っているからということでこうなったのか…。私とし てはどちらかといいますとあの通知は一律に何mg/何mLという書き方になると思うので すけれども、同じ販売会社でも書き方が違うということは、あれについての解釈がまた 違ってくると。実はあれはそもそも計算間違いをしないようにという事故防止のために した表記なので、その辺の表記方法をきちんと統一しておかないといけないのかなとい う気がするのですが、いかがでしょうか。 ○永井部会長 全量で書くか「/mL」で書くかということですね。 ○土屋委員 たしか6月2日の通知が出ているのだと思うのですが、あれは全量/何mL という書き方にしているという…、パーセントの計算を間違えることが多いのでという ことがありましたけれども。 ○審査管理課長 それは商品の表示の方でございますか。 ○土屋委員 販売名ではなくてここに。それで販売名の近くに全量/何mLということを 書くという通知だと思っていたのですが、この場合確かに販売名が全量を示していると いうことはあるのですが。 ○審査管理課長 ちょっと確認してきちんと対処いたしたいと思います。 ○永井部会長 よろしいでしょうか。それではそういうことで承認を可とさせていただ きます。ありがとうございました。では議題2にまいります。機構から御説明をお願い いたします。 ○機構 それでは議題2、資料2、医薬品プログラフカプセル0.5mg、同1mgの製造承 認事項一部変更承認申請の可否等について、医薬品医療機器総合機構より御説明いたし ます。本品目についても医薬品医療機器審査センターにおいて審査を開始し、その後機 構で引き続き審査をしていたものでございます。  プログラフカプセルの有効成分はタクロリムスで、本剤は既に移植領域での拒絶反応 の抑制、全身型重症筋無力症に対して承認されております。今般の申請は、既存治療で 効果不十分な関節リウマチに対する効能・効果、用法・用量を追加するものでございま す。本剤は米国、英国、フランス、カナダ等74か国以上で移植領域での効能・効果が承 認されており、関節リウマチについてはカナダで承認されております。  本申請の専門委員としては、資料11に記載されております越前委員、柏原委員、後藤 委員、高岡委員、竹内委員、友保委員、山口委員、吉田委員の8名の委員を指名いたし ました。  審査内容でございますが、薬理については本薬はカルシニューリン阻害作用を有して おり、T細胞の活性化を抑制し、炎症性サイトカイン産生等を抑制することで抗炎症作 用を発揮すると考えられ、各種関節炎モデルにおいて効果が認められており、特に大き な問題はないと考えております。  薬物動態については、本剤の血中濃度と副作用あるいは高齢者、腎障害といった因子 との関係について検討した結果、特に明確な相関性は認められておらず、RAでの臨床 用量は3mgと移植領域で用いる用量よりも低く、血中濃度が20ng/mLを上回る患者は少 ないと考えられ、全患者でTDMを実施する必要性はないと判断いたしました。しかし ながら、高齢者で副作用発現率が高く、本剤による腎機能障害のリスク等が認められる ことから、高齢者において増量する場合にはTDMを実施することが適切であり、また 腎・肝機能障害等を合併する患者についても十分な情報は得られていないことから、こ れらの患者でもTDMを実施することが適切と考えております。  臨床成績でございますが、本申請に関する臨床試験はいずれも国内で実施されており ます。第II相プラセボ対照試験の結果、1日3mgでの有効性が確認され、通常用量は3 mgと設定されました。高齢者のみを対象とした試験では、1.5mg群よりも3mg群で副作 用発現率が高く、1.5mgでの有効性も示唆されたことから、高齢者においては安全性を 考慮して開始用量を1.5mgとし、症状に応じて3mgまで増量すると設定されました。ま た、第III相でミゾリビンを対照とした試験においても本剤の有効性は検証されておりま す。第II、III相試験については、引き続き長期継続投与試験が実施されており、有効性 の維持が確認され、長期投与時(約2年程度)に増加するような副作用は確認されており ません。  安全性については、腎機能障害、耐糖能異常、感染症、心循環器系異常、あるいは悪 性腫瘍等の発現に注意が必要と考えており、重篤な副作用が発現するおそれがある旨、 関節リウマチ治療に十分な知識と経験を持つ医師のみが本剤を使用すべきである旨、患 者に対してもリスクを十分に説明する必要がある旨などを添付文書の警告の項で記載 し、注意を喚起しております。  また、本剤市販後には3,000例程度の使用成績調査と2年以上にわたる長期特別調査 を実施するように指示しており、本剤の安全性について市販後に十分な検討を行うよう 求めております。  以上の審査を踏まえ、本剤の関節リウマチへの適用を承認して差し支えないとの結論 に達し、本第一部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本剤は新効能医 薬品であることから再審査期間は4年間、薬事分科会には報告を予定しております。よ ろしく御審議のほどお願いいたします。 ○永井部会長 ありがとうございました。それでは御審議をお願いいたします。いかが でしょうか。特に問題ございませんか。岩崎先生、お願いします。 ○岩崎委員 本剤は拒絶反応の抑制という記憶があったので、以前拒絶反応の抑制のと きに私は調べたのですけれども、そのときの使用経験といったものが蓄積されていると 思うのですが、それが今回のRAに関して生かされるということはあるのでしょうか。 安全性といった面に関して何か…、もう使っていますよね。全然対象が違うので特に関 係ないのかもしれませんけれども、以前使った経験が…。 ○機構 失礼いたします、何の蓄積ですか。 ○岩崎委員 これはもう既に使われている薬ですね。 ○機構 移植領域等ではもう使われております。 ○岩崎委員 そのときに使ってみて何か起こったといった話はないのですか。 ○機構 移植領域では有害事象は当然かなりの数が起こっておりますが、それは患者背 景等もございまして、そこで起こった事象がリウマチ患者で起こるかといいますと、起 こる可能性もあるし、因果関係が否定できないものというのはかなり多くございますけ れども、やはり移植領域とリウマチの世界では少し違うかなと考えております。それか らリウマチの世界では当然長期に使用することが想定されておりますので、我々として は長期の使用時の安全性等にもう少しフォーカスを置いて検討させていただいたという ことでございます。そういう中で感染症の発現といったものが長期使用時に増加してい ないかといったことについては、海外の成績あるいは国内での長期投与時の成績等から 確認させていただいておりまして、リスクは当然ありますけれども、今のところほかの DMARD等と比べて特に高いものではないと考えているということでございます。 ○永井部会長 谷川原先生、どうぞ。 ○谷川原委員 一つ確認させていただきたいのですけれども、臨床試験の対象症例はい ずれもDMARDで効果不十分なRA患者ということなのですが、そうするとこの薬剤の効 能・効果も既存治療で効果不十分な場合に限るということは、いわゆるMTX等の併用 というものはないと考えるのですか。 ○機構 併用については現場では起こり得るかもしれませんが、我々としては併用治療 の有効性、安全性は確立されていないということで、添付文書にそのような記載をさせ ていただいているということでございます。 ○谷川原委員 すみません、それはちょっと見落としていたのですけれども、そのよう なことが書かれてあるわけですね。併用は特に排除するものではないのですが、併用で の臨床試験は行われていますか。 ○機構 我々は今のところ「10.その他の注意」で、「(2)関節リウマチ患者における本 剤とメトトレキサート、他の抗リウマチ薬あるいは抗TNFα製剤を併用した際の有効 性及び安全性は確立していない」と記載させていただいているということでございます。 ○谷川原委員 なるほど。ここのメーカーの方は市販後に何か臨床試験をしようという 計画はあるのですか。 ○機構 まず一つは市販後の3,000例規模の調査をしていただくということ。もう一つ はタクロリムスということもありまして、やはり最近我々が関節リウマチ治療の領域で いつも求めていることは、本当に関節破壊の進展を抑制できるのかというトゥルーエン ドポイントで何らかのデータを得てほしいということでありまして、このタクロリムス の場合にもそういった試験を市販後にやっていただくことを想定しております。 ○谷川原委員 トゥルーエンドポイントも非常に大事ですが、実際の臨床の実態、使用 下における安全性ということで、臨床試験で行われていなかったシチュエーションで使 われた場合の安全性のモニターが…。 ○機構 併用時の安全性等についてはむしろ調査下のところで当然併用薬あるいは併用 の使用量といったことをすべて調べることにしておりますので、そういったところでシ グナルを出しながら適宜考えていきたいと思います。 ○谷川原委員 ではその辺りを是非システマティックに調査していただきますよう、お 願いいたします。 ○永井部会長 ありがとうございます。そのほかいかがでしょうか。 ○長尾部会長代理 これは代謝がCYP3A4ということでそういう薬物はたくさんあると 思うのですけれども、審査の過程でこの組合せはちょっとどうかなという具体的な議論 をしたものがもしあればお願いします。 ○機構 リウマチ治療の中で使用される薬との相互作用について検討しておりますが、 既にかなり併用注意、併用禁忌といった薬については今相互作用に記載されております。 今回新たに追加させていただいたのが免疫抑制作用を有する薬剤との併用ということ で、むしろ代謝での相互作用ではなくて薬力学的な相互作用の面から、少し過度の免疫 抑制による有害事象あるいは副作用の発現が起こる可能性があるということを追加させ ていただいております。それ以外の点については今までと同様の対応をさせていただけ ればいいのではないかと考えております。 ○長尾部会長代理 結局今までは非常に特殊な使い方をメインにされていたと思うので すけれども、これは今回から一般的な薬になってしまうのですね。ちょっとそういうこ とがあって今質問したのですが。 ○機構 今の併用注意の項については海外の添付文書に書かれているようなことも参考 にしながら考えておりますのと、今実際臨床試験そのものがDMARD、NSAIDやステロイド といったものとの併用の中で行われておりますので、そういった中で何らかのシグナル がないかということは検討しておりますけれども、今のところは特にスペシフィックに 問題がありそうな薬というのは見付けておりません。 ○長尾部会長代理 どうもありがとうございました。 ○永井部会長 そのほかいかがでしょうか。井上先生、どうぞ。 ○井上委員 これはちょっと教えていただきたいのですけれども、この薬を関節リウマ チの患者さんに使うときには他剤で効果がなかったことが前提ですね。そのようなケー スではお医者さんはカルテにそういうことを明記した上で使うようになるのでしょう か。それともそこまでは規定していないといいますか、保証はされていないのでしょう か。分かる方教えてください。 ○永井部会長 それはあらゆる医療行為の結果、評価はカルテに記載するということに なっていますので、この薬に限らず薬を使って効果がなければないと書いてあるはずで す。どうでしょうか。 ○機構 実際の診療上で当然これまでに使っている診療歴は記録されますので、薬剤と 使用量等はカルテに書いてあるかと思います。その中で当然効果についても記載はされ ていると思いますが、我々が今求めているのは市販後調査の中でやはりこれまでにどう いった治療をやってきたのか、そのときの反応はどういうものだったのかということを 調査表の中に記載していただいて、実際は市販後にどういったポピュレーションに対し て使われているか。あるいはMTXが今恐らくDMARDの中では主に使われている薬の代 表だと思いますが、そういった薬とそれ以外のDMARDで治療されてきた患者でどういっ た違いがあるのかということについては検討できるように調査表は作成していただいて おります。 ○土屋委員 今の件なのですが、実際世の中では50%を超えたものが院外処方せんにな っていることからいいますと、実は院内では分かることであっても院外であると保険薬 局にしてみるとタクロリムスが初めて出てきたと。特に前にリウマチの薬などが出てい なかったときにどうするのかという判断は結構現実としては困ることでございますの で、実際はまたその辺はなかなか聞きにくいのです。疑義照会するといっても、この方 は本当にほかで治療されていたのでしょうかとはなかなか現実としては聞きにくいもの ですから、そういうこともあるということは御念頭に置いていただかないと、この時代 ですので、院内は本当に分かると思うのですが、そういったことをどうするかというこ ともこれから考えていかないといけないのかなと思います。 ○機構 調査をする中では、そういった症例が認められた際に何か問題性がないかとい うところについて我々もフォローしていきたいと思いますし、その辺で特に何かシグナ ルがあればまたその時点で適宜対応していきたいと思います。 ○永井部会長 よろしいでしょうか。谷川原先生、どうぞ。 ○谷川原委員 添付文書の書きぶりといいますか、既存治療で効果不十分というのは、 最近関節リウマチで承認される薬剤は意外と同じように既存治療でと書いてあるのです けれども、例えばレミケードや前回のTNFα抗体もこのような書きぶりをしていたと 思うのですが、どちらが既存でどちらが正しいかというのは恐らく医療現場では分から ないと思うのです。そうするとどちらが先なのかというのが非常にあいまいになります ので、もう少し明確に…。 ○機構 確かにおっしゃるとおりなのですが、我々としてもどちらを先にした方がいい のかというエビデンスがまず今のところないということでございまして、それはその患 者さんの背景であって、恐らく我々の使い方としては例えばメソトレキセートをやって 使えない、あるいはそのほかのDMARD、今ですとアラバ錠といったものも出てきていま すので、そういった薬を使うのがまずファーストチョイスになるかと思います。その後 その患者さんでやはりレミケードあるいはエタネルセプトに移行するのかタクロリムス に移行するのかは、その患者さんに感染症が特に懸念されるようであれば恐らくこのタ クロリムスの方に移ってくるだろうと思います。またそういった懸念がない、あるいは 今の状況で患者さんの意向もあると思いますので、生物製剤を使いたいという方であれ ばそちらに動くということで、むしろ効能・効果の中で具体的に書いてしまうとそれを 縛ってしまって、要するに最終的にどちらがいいかという判断は我々として今はできな い状況にありますので。ただACRのガイドラインあるいは国内のリウマチのガイドラ インなどを見てみますと、恐らく今申し上げたような使い方にはなるだろうと思います が、それは市販後の状況等を見て、むしろ添付文書というよりも適正な使用のガイドラ イン等で規定していく方が我々としてはリーズナブルなのかなと思います。 ○谷川原委員 よく分かります。ガイドラインの方がよろしいかと思いますし、基本的 には実際に主治医の裁量等もありますし患者さんの御要望もあると思いますので、それ でよろしいと思うのですけれども、例えば別の考え方は臨床試験はDMARDで効果不十分 なということですから、既存治療を例えばDMARDやMTXで不十分なという書き方もあ ったかと思うのですが、それは今回の場合は余り適切ではないですか。 ○機構 そこは一応効能・効果に関連する使用上の注意の中には今書かせていただいて いるのですが、効能・効果で書くのがいいのか、効能・効果に関連する使用上の注意で 書くのがいいのかというのはレミケードのときに議論いたしております。そこの我々の 判断としてはやはり効能・効果で具体的にDMARDというふうに縛ってしまうと、恐らく 先生がおっしゃったように生物製剤に出てくるような、我々は今の状況を想定しており まして、ではDMARDから生物製剤に行って例えば最後の手段としてこのタクロリムスを 使うというシチュエーションも恐らくあると思うのです。いろいろな流れを見てみます と効能・効果で縛ることが本当に適切かどうかを議論しまして、我々としては効能・効 果では一般的な書き方をしておいて、むしろ効能・効果に関連する使用上の注意で書い て、例えば生物製剤に行く前にやはりタクロリムスを試した方がいいという話になって くるのであれば、そういったものを将来的に改訂するのは我々としては比較的やりやす いということで、今のような記載に落ち着いているということでございます。 ○谷川原委員 よく分かりました。要するにこの書きぶりは最初に使う薬ではないとい う意味なのですね。ありがとうございました。 ○永井部会長 そのほかいかがでしょうか。よろしいでしょうか。よろしければ承認を 可とさせていただきますが。それでは薬事分科会報告とさせていただきます。次に議題 4にまいります。機構から御説明をお願いいたします。 ○機構 続きまして議題4、資料4、トラクリア錠62.5mg、一般名ボセンタン水和物に ついて、医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。  本薬はエンドセリン受容体の拮抗薬であり、当初スイスのロシュ社により開発が進め られましたが、その後アクテリオンファーマシューティカルズ社が全世界における開発 ・販売権を取得し、欧米を中心に肺動脈性肺高血圧症を対象とした臨床試験が実施され ました。現在までに米国、欧州の35か国で承認されています。日本人を対象とした開発 は、ドイツで日本人及び外国人の健康成人を対象とした第I相試験が実施された後、国 内で日本人患者を対象とした一般臨床試験が実施されました。今回の申請では日本人を 対象とした試験のほか、プラセボ対照比較試験を含む海外試験成績が評価資料として提 出されております。なお、本薬は希少疾病用医薬品の指定を受けております。  本申請の専門委員としては資料11に記載されておりますように、本部会委員である岩 崎委員を始め、原田委員、小池委員、野々木委員、是恒委員、安原委員、今泉委員、奥 田委員、江馬委員、林委員、福島委員の11名の委員を指名いたしました。  機構における審査の概略について、臨床試験成績における有効性、安全性の評価を中 心に説明させていただきます。  国内臨床試験は21例の少数例での検討ではあるものの、原発性及び膠原病に伴う肺動 脈性肺高血圧症に対して海外臨床試験と同程度の有効性を示しており、試験対象となっ た肺動脈性肺高血圧症に対する効果は確認されたと判断いたしました。  臨床試験対象外の先天性心疾患など、特定の疾患に伴う肺動脈性肺高血圧症を対象と した臨床試験を疾患ごとに実施することは、患者数の少なさから困難であると考えまし た。さらに疾患自体が重篤で予後が不良であり、本薬は、現在の非常に限られた治療の 選択肢の中で有用性が期待される薬剤であることから、効能・効果を臨床試験対象に限 定することは適切ではないと判断いたしました。ただし重症度に関しては本薬投与によ る副作用の問題などから、治療上の有益性が優先する重症例にのみ投与が考慮されるべ きであると考え、重症度分類であるWHO機能クラスIII及びIVの症例に限定することと しました。  用法・用量については、通常用量は海外と同じく投与開始から4週間は62.5mg1日2 回、5週目から125mg1日2回へ増量することが妥当と判断しました。一方体重40kg未 満の低体重患者については、海外試験において過量投与を避けるため増量目標を通常の 半分にするとの規定がなされていたことから、「用法・用量に関連する使用上の注意」 において、5週目以降も62.5mg1日2回投与の継続を考慮する旨の記載をすることとし ました。さらに小児患者においては、用量の推奨ができるほどのデータの集積はないも のの、海外で小児対象の薬物動態試験が体重別に規定された投与量で実施され、海外市 販後の小児投与例はこの試験の投与量に従っているものが多かったことから、参考情報 として薬物動態試験で用いられた用量を添付文書の臨床成績の項に記載することとしま した。  安全性については、本薬を投与した場合、肝機能障害が発現することがあるため、投 与開始前と投与中においては少なくとも毎月肝機能検査を実施し、検査値異常の程度に よって投与の中止を含む用量調節が必要であることを添付文書の警告欄で注意喚起する こととしました。また本薬は主にCYP2C9及び3A4で代謝を受け、ワルファリンやカルシ ウム拮抗薬など肺動脈性肺高血圧症患者で頻繁に使用される薬剤との相互作用が予想さ れることから、慎重投与欄及び相互作用欄において注意喚起することとしました。  以上のような検討を行った結果、市販後の安全対策として全症例での定期的な肝機能 検査が必要であること、臨床試験対象外の肺動脈性肺高血圧症に対する安全性及び有効 性は確認されていないこと、小児における用法・用量が検討されていないことなどから、 本薬投与全例を対象とした市販後調査を実施する必要があると判断いたしました。  よって承認条件として、「再審査期間中の全投与症例を市販後調査の対象とし、本剤 の安全性及び有効性を調査するとともに、集積された結果については定期的に報告する こと」を付した上で、本申請を承認して差し支えないと判断し、医薬品第一部会におい て御審議いただくことが適当と判断しました。  本薬は希少疾病用医薬品であることから再審査期間は10年、原体及び製剤は劇薬に該 当し、また、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断してお ります。なお、薬事分科会では審議を予定しております。御審議よろしくお願いいたし ます。 ○永井部会長 ありがとうございました。それでは御審議をお願いいたします。いかが でしょうか。谷川原先生、どうぞ。 ○谷川原委員 副作用のことを少し質問させていただきたいのですが、重大な副作用で 貧血があるのですけれども、白血球減少が国内の臨床試験では14%とか結構出ているの です。添付文書の副作用の項で海外の臨床試験においては記載がないのですが、海外で は起こっていないのですか。 ○機構 全く起こっていないというわけではございませんで、臨床検査値の異常変動を どうとらえるかが海外と国内では微妙に違うということもありまして、海外では白血球 減少を臨床上意味があるという異常変動でなければ基本的に有害事象としてとっており ませんので、それで頻度の違いが見られているかと思います。現在、貧血、ヘモグロビ ン減少という形で現れている場合も多いのですが、それの発現機序については分かって いない状態ですので、市販後の調査においては単純に貧血やヘモグロビン減少に注意す るだけではなく、その他白血球数などの検査も重点的に調査して貧血の原因などが明ら かになるようにと考えております。 ○谷川原委員 これは当院でも治験をやっていまして、白血球が恐らく1,200ぐらいま で減ったと思うのですけれども、治験審査委員会で有害な事象として審議をした記憶が ありまして、結構クリアに出ていたのですが、海外のところにその記載がなかったので 副作用の出方に人種差があるのか、それとも評価の仕方が違うのかという辺りが少し気 になったもので質問させていただきました。どうもありがとうございました。 ○永井部会長 ほかにいかがでしょうか。土屋先生、どうぞ。 ○土屋委員 本当に瑣末な話なのですが、この製剤見本の裏を見ますとほとんどその医 薬品名が書いてあることが分からなくて、廃棄マークばかりが目について、しかもここ にアルミニウムというのが名前と同じくらいの比率で出てきてしまうのです。実はプラ マークとあれは6mm角でなくてはいけないという最低の大きさが法律的に決まってしま っているのですが、せっかく医療事故防止をしようということで一生懸命名前を入れた りするわけですから、やはりそれがきちんと分かるような表示にしておかないとちょっ とまずいのではないかということです。このアルミニウムという言葉を外へ出す、普通 は横に書くとか何とか、アルミニウムはプラの下に書いてPPCとかそこら辺を横に書 くとか、そういうことをやっていると思うのですが、その辺は言われておいた方がいい のかなという気がいたします。 ○機構 本薬に関しましては希少疾病用医薬品ということでもともと出るお薬の数が非 常に少ないので、スイスで作られた製剤をそのまま輸入するという形になるかと思いま す。ですので、通常の日本で製剤を作っているような表示などが無理な部分がどうして も出てきてしまうかと思うのですが。 ○土屋委員 ですから、通常そういうときはこちらから版を向こうへ送って、これは日 本語で書いてあるわけですから、これが日本向けにできないということでは全然ないの で、この粒度、この細かさで書けるのであればそういうところをきちんと書きなさいと いうことは言えるのだと思いますが。 ○新薬審査第二部長 今申し上げたような事情もございますので、どうなるかというこ とはございますが、申請者の方にそういう御指摘があったことを伝えてできるだけ分か りやすくするようにこちらの方から話をいたします。 ○青柳委員 一つ教えていただきたいのですけれども、患者さんと健常成人で薬物動態 が倍ぐらい違うという理由は何かあるのでしょうか。 ○機構 今のところ明確には理由が分かっておりません。今回日本と海外とのデータを 比較するということをやっておりますが、海外と日本の患者さんでの薬物動態というの は健常人と患者さんで出たような差は認められておりませんので、患者さんに投与する 分には大体同じような薬物動態をとるというふうに考えております。健康成人との差に ついては明確な原因は分かっておりません。 ○永井部会長 そのほかいかがでしょうか。これは市販後調査ではエコーによる右室圧 の継続的モニターというのは当然必須になっているわけですね。 ○機構 その辺を必須にできるかどうか難しい部分もあるのですが、専門協議の際の議 論の中で、やはり有効性に関してもデータが必要なのではないかという御意見を頂きま して、当初は重症度分類だけの有効性評価となっていたのですけれども、心エコー等で あれば通常肺高血圧症の患者さんが診療を受ける際に定期的に測られるものであるの で、そのデータについてはきちんと集めていくという形にさせていただいています。 ○永井部会長 よろしいでしょうか。それでは承認を可として薬事分科会審議とさせて いただきます。どうもありがとうございました。では次に議題5にまいります。また機 構から御説明をお願いいたします。 ○機構 それでは議題5、資料5、医薬品アクテムラ点滴静注用200、アクテムラ原液(製 剤原料)の製造承認の可否等について医薬品医療機器総合機構より御説明申し上げます。  本品目の専門委員は資料11にあるように淺野委員、岩崎委員、上田委員、川西委員、 菅野委員、紅林委員、後藤委員、松岡委員、森田委員、山口(直)委員、山口(照)委員、 山村委員の12名でございます。  なお追加資料といたしまして資料5-2の審査報告書(2)、資料5-3の資料概要差し替 え版、及び資料5-4の添付文書(案)の差し替えがございますが、これについては後ほど 御説明させていただきます。  製剤原料の販売名についてはアトリズマブ原液として申請されましたが、審査期間中 に本剤中の有効成分の一般名がアトリズマブ(遺伝子組換え)からトシリズマブ(遺伝子 組換え)に変更されましたので、それに伴い原薬の販売名もアトリズマブ原液からアクテ ムラ原液に変更されました。  有効成分のトシリズマブ(遺伝子組換え)はIgG1サブクラスのヒト化抗ヒトIL- 6レセプターモノクローナル抗体で、マウスで作成された抗ヒトIL-6レセプターモノ クローナル抗体を基に、遺伝子組換え技術によりましてCHO細胞を用いて産生された ものでございます。本薬はIL-6レセプターと結合することにより、IL-6とそのレ セプターとの結合を阻害し、IL-6の生物学的作用発現を抑制するものでございます。  このキャッスルマン病はリンパ増殖性の疾患でございまして、1956年にCastlemanに よって胸腺腫類似の縦隔リンパ節過形成を呈する疾患として報告されました。発熱、全 身倦怠感、皮疹、貧血、臨床検査値異常等の症状を呈し、患者のQOLに影響を及ぼす とされております。また肝臓及び脾臓の腫大を伴う患者も認められております。患者の 20〜30%は二次性のアミロイドーシスを合併し、長期経過中に悪性リンパ腫や間質性肺 炎等を合併することも報告されており、患者によって個人差はあるものの一般的に予後 は不良であるとされております。  キャッスルマン病の病因についてはまだ明らかではございませんけれども、キャッス ルマン病患者の腫脹リンパ節の胚中心に存在する活性化B細胞から大量のIL-6が産 生されていたこと、ヒトIL-6トランスジェニックマウスではキャッスルマン病と類似 した病態を発症すること、ヒト化抗ヒトIL-6レセプター抗体をキャッスルマン病患者 に投与したときCRPの減少、貧血の改善等が認められたと臨床研究結果が報告されて いること、これらのことからIL-6による作用を阻害することでキャッスルマン病の病 態が改善される可能性があるとされ、本薬が開発されたものでございます。  キャッスルマン病に関する治療といたしましては、単独のリンパ節が腫脹している限 局型の場合にはリンパ節を摘除することで症状が改善する場合が多いのですが、多発型 の場合には一部のリンパ節を摘除しても症状の改善は認められず、その治療法は限られ ております。高度の貧血や低アルブミン血症、胸腹水などを認める場合には副腎皮質ホ ルモン剤や免疫抑制剤などによる対症療法が数か月から数年単位で実施されるとのこと でございます。現在国内外においてキャッスルマン病の適応を持った治療薬は承認され ておりません。また本邦におけるキャッスルマン病の患者数に関して公式の統計的資料 はございませんが、1990年から10年間の文献検索の結果500〜600例が報告されている とのことでございます。これらのことから本薬は平成12年12月20日に希少疾病用医薬 品に指定されております。  本剤について品質、薬理、吸収・分布・代謝・排泄、及び毒性に関して提出された資 料に大きな問題はないと判断いたしましたので、臨床試験成績について述べさせていた だきます。本申請に当たりキャッスルマン病患者を対象とした臨床試験として、国内第 II相試験及びその継続投与試験の成績が提出されております。第II相試験では7症例を 対象に2、4、8mg/kgを2週間隔で漸増投与する第一段階に引き続いて、28症例に対 し8mg/kgを2週間隔で8回、計16週間投与する非対照被盲検試験が実施され、本薬8 mg/kgの2週間隔投与において主要評価項目であるC反応性蛋白、フィブリノーゲン、赤 血球沈降速度、ヘモグロビン、アルブミン及び全身倦怠感について、投与前と比較して 有意な改善が認められました。また参考評価項目とされた腫脹リンパ節の大きさについ て縮小が認められたとされておりますが、長期的な経過を追う必要があると判断したこ となどから、市販後において更に調査することとしております。さらに合併症である間 質性肺炎及び二次性アミロイドーシスなどにおいても、本薬投与前と比較して改善の認 められる症例が存在していたことから、市販後においても引き続き長期的な観察を行っ ていくこととしております。  安全性については国内第II相試験で高頻度に発現した有害事象は鼻咽頭炎、掻痒症、 腹痛、下痢、皮疹などであり、いずれも軽度又は中等度でした。2004年11月30日まで に他の疾患に対する進行中の試験も含めて報告された死亡例は国内外の全投与症例997 例のうち9例でございまして、そのうちキャッスルマン病を対象とした試験では1例に 認められましたけれども、本剤投与前より見られた合併症の慢性骨髄単球性白血病の悪 化によるもので、本剤との因果関係はなしとされております。また本剤における特徴的 な有害事象といたしまして、肺炎や敗血症などの感染症も認められております。本薬に よりIL-6の作用が阻害され、感染症罹患時の急性期反応が隠ぺいされることにより感 染症の発見が遅延し重篤化する可能性があることから、添付文書の警告欄と重要な基本 的注意の項で注意喚起されております。IL-6の作用を抑制することによる血小板減少 や脂質上昇等については副作用につながるおそれがあることから、定期的に臨床検査を 実施するよう添付文書の重要な基本的注意の項で注意喚起されております。  効能・効果については当初キャッスルマン病として申請されておりましたけれども、 臨床試験の対象患者がリンパ節摘除が困難な患者に限られていたこと、主要評価項目と して改善が確認されたのは本疾患に伴う症状及び検査所見であったことから、本薬の効 能・効果は「キャッスルマン病に伴う諸症状及び検査所見(C反応性蛋白高値、フィブリ ノーゲン高値、赤血球沈降速度亢進、ヘモグロビン低値、アルブミン低値、全身倦怠感) の改善。ただし、リンパ節の摘除が適応とならない患者に限る」に改められました。  用法・用量については8mg/kgを2週間隔で点滴静注することとなりますが、効果不十 分の症例に対してはCRPを指標に投与間隔の短縮(1週に1回)を行うことで対応する こととされています。また本薬投与により抗体の発現が認められており、メカニズムは 必ずしも明確にはなっておりませんが、本剤投与後に血中MRAトラフ濃度が継続的に 定量下限値未満であると抗体産生のリスクが高くなる可能性があるため、投与量の減量 は好ましくないとして、添付文書の用法・用量に関連する使用上の注意で注意喚起する とともに、市販後に抗体産生と血中MRAトラフ濃度、又はCRP値の関係を調査する こととされております。  ここで追加提出させていただいた資料5-2、5-3、5-4について御説明いたします。今 回提出された資料に疑義が生じたため申請者に問い合わせを行いましたところ、全症例 についてマニュアル計測により循環器専門医による再解析を行うよう指示していたにも かかわらず、心電図異常を認めた10症例以外の症例についてはマニュアル計測による循 環器専門医の再解析が実施されないままに、自動計測による結果が資料概要中に記載さ れていたことが判明いたしました。そこで速やかに実施するように求めましたところ新 たな治験が得られましたので、それに伴い資料概要の改訂が行われました。  再解析が実施されていなかった症例のうち症例番号39については、あらかじめお送り させていただいた資料ではQT延長の所見が認められるポイントがあったと記載されて おりますけれども、マニュアル計測による循環器専門医の再解析でその結果が否定され ましたので、資料から記載が削除されました。合わせてQT延長がないと記載されてい た点についてはQTc延長を認めるものの、臨床上特に問題とすべき所見ではないと改 めることとされ、資料中にも適正に反映されました。その内容について精査いたしまし て、審査報告(2)についても一部訂正が必要となりましたので、「審査報告書(2)」を もって訂正を行っております。  軽微ではあるもののQT延長が認められたこと、本疾患については症例数が極めて少 ないということからQT延長の可能性を注意喚起するとともに、適切な心電図検査の実 施について添付文書の重要な基本的注意に記載することとしております。なお申請者よ り市販後の全例調査では心電図検査を調査項目に組み込み定期的に検査を実施すると回 答されておりますけれども、添付文書の2.重要な基本的注意の一番下の(6)では「患者 の状態に応じて心電図検査を実施する」との記載にとどまっております。添付文書にお ける適切な記載について御意見を頂ければと存じます。  以上の通り医薬品医療機器総合機構での審査の結果、リンパ節の摘除が適応とならな いキャッスルマン病患者において、キャッスルマン病に伴う諸症状及び検査所見の改善 に対する有用性が認められ、本剤投与症例全例について長期投与も含めた本薬の安全性 及び有効性について情報を収集することを条件に承認して差し支えないものと判断し、 医薬品第一部会で審議されることが妥当と判断いたしました。なお本剤は再審査期間10 年、生物由来製剤に該当し、原薬及び製剤は劇薬に該当すると判断いたしました。薬事 分科会では審議を予定しております。御審議のほどよろしくお願いいたします。 ○永井部会長 ありがとうございました。それでは御意見、御質問をお願いいたします。 先ほどのQT延長のお話は初め自動計測では延びた症例があったということでしたけれ ども、もう一度専門医が測定したところ1例だけあったということなのですか。 ○機構 実際にその他の症例については問題ないということになっております。 ○永井部会長 1例は少し延びていたと。 ○機構 1例はもともとあったものでございましたけれども、それについてマニュアル 計測を行ったところその出ていた部分については問題ないということになったのです が、逆にその他の部分について確認しますとマニュアルで出たところが若干認められて おりました。ただそれについては臨床上問題のない範囲であったということでございま す。 ○永井部会長 よろしいでしょうか。どうぞ。 ○田島委員 いつもこの種の製造工程は気になるのですけれども、CHOの細胞でウシ 胎児血清を最初に扱っているわけですね。その後でウイルスのフィルトレーションとか いろいろやってはおりますけれども、近ごろいろいろなウイルスの汚染というものも幾 つか聞かれるので、ここら辺のところの品質コントロールはどのようになっているのか、 もう一度教えていただければと思います。 ○機構 本薬の製造用細胞といたしまして初代のマスターセルバンクを確立する際に、 今先生から御指摘がありましたようなウシ血清等が使用されておりました。その後やは り御指摘のような感染性リスクを考慮いたしまして、そのウシ血清等を使用して作製し たマスターセルバンクを基に、そういったものを使用しない無血清の形での培地によっ て新たなマスターセルバンクを作製しております。本薬の場合はその新たに作製された マスターセルバンク、それの基になる部分に関してはウシ血清を使用して作製された部 分もあるのですが、その中から新たに無血清培地によって馴化したもので作製したマス ターセルバンクから更にワーキングセルバンクを使用して製造することによって、そう いった感染性リスクの低減化を図っております。また製造工程においては、培養工程等 からそういった生物由来の感染性リスクを極力排除するために成分からそういったもの が除去されるとともに、製造工程におけるウイルスクリアランス等に関して検討を行い まして、十分なウイルス除去及び不活化の能力を示すということが確認されております。 ○田島委員 それでは実際にその段階で測ってみて心配ないということなのですね。 ○機構 現段階のところではそういった製造工程の経緯、それから精製工程における除 去能力、不活化能力を考慮いたしますと、感染性リスクは極めて小さいものと考えてお ります。しかしながら、やはりそういった哺乳類細胞を使用して製造されているという ことをかんがみまして、本薬の場合は生物由来製品に指定することが妥当であろうと判 断しております。 ○田島委員 ありがとうございました。 ○永井部会長 そのほかいかがでしょうか。谷川原先生、どうぞ。 ○谷川原委員 概要の最初のイントロダクションにも書かれていますけれども、IL- 6というのは非常に多様な生理作用を有していまして、それに対して抑制することによ って一体どういうことが起きると。このような薬剤は初めてですし、こういう場合どの ようにすれば市販後、いわゆるファーマコビジランスという視点で全く新しいクラスの 新しいメカニズムの薬剤で、かつ相手が体内で相当多様な生理作用を有しているものを 抑える、一体何が起こるか分からないという状況下で、安全性の調査に何か特段の工夫 があるのでしょうか。簡単に言えばいわゆる全例調査とかよく言いますけれども、そこ にどのように実効性のある形で想定していなかった大きな安全性のリスクがあるかもし れないというシグナルを早期に見付けたらいいのか、非常に幅広い作用が考えられます ので、その辺り何か特段の工夫があったら教えてください。 ○機構 お答えいたします。本剤については実際IL-6の作用がかなり多様でございま して、どういった反応が現れてくるのか分かりづらいところもあるかとは思うのですが、 症例数が少ないということで、市販後にも情報を十分に収集する必要があると考えてお ります。ここで全例調査を市販後に実施することとされておりますけれども、調査項目 についてもIL-6に関連する事象、何かしら考えられる点についても十分に拾うように ということを申請者の方にも指示しております。現在項目の詳細について説明すること はできないのですけれども、その辺のIL-6、インターロイキンのネットワークについ ても十分考慮して、市販後の調査項目を決めるよう指導しております。 ○谷川原委員 現実には難しいと思うのですけれども、感染症に対しては随分重点的に 見るようには計画しているみたいですが、できる限り幅広く見ていただくと。それから 恐らくほかの適応の治験も同時に動いていると思いますので、そういう情報も相互に利 用して解析していただければと思います。よろしくお願いいたします。 ○永井部会長 ほかの治験というのは今どのようなものが動いているのですか。 ○機構 現在動いている治験は関節リウマチ、クローン病、若年性特発性関節炎でござ います。 ○永井部会長 そのほかいかがでしょうか。岩崎先生、どうぞ。 ○岩崎委員 今市販後の話が出たのですけれども、今度4月1日付けで企業の安全対策 に関しては体制整備するようにという通知か何か、GVPが出るかと思うのですが、あ れは市販直後調査ということがかなり言われていますね。これに限らず今回希少疾病も 多いものですから、すべて市販後調査ということが出ていると思うのですけれども、企 業はどういった体制でこれをするのですか。今度4月1日に出る通知の範囲内でこうい った市販後の安全性を調べるのでしょうか。つまり市販直後調査と市販後調査というの はかなり違うような気もするのですけれども、その辺を教えていただけると。我々は市 販後に調べなさいと言って承認するわけですけれども、その先がどうなるかということ をこの場で教えていただければと思います。 ○安全対策課長 市販後調査と市販直後調査、名前は似ているのですけれども、考え方 が少し違っております。まず市販直後調査というのは、調査とはいいながら基本的には 実際にこの薬を使われるお医者さんに対して事前に十分な情報を伝えるということと、 頻回に訪問してその後の使用状況、特に安全性情報を収集してその結果をすぐに臨床現 場にフィードバックしていくことを目的に、基本的には市販から6か月の間そういうこ とを重点的にやりなさいというものであります。市販後調査の方はここに書かれてあり ますように、例えばこの薬であれば全例を登録してフォローアップしなさいとか、実際 の本当の調査内容を規定して、それに基づいていろいろな調査をしていただくというも のになっております。  GVPがこの4月から許可要件として定められておりまして、GVPの方では市販後 に総括の責任者、安全性対策の責任者、品質管理の責任者という3人の責任者を置きま して、その下に例えば医療用のこういう薬であれば安全対策をする部門も含めて、そう いう組織を作っていただくということ。それから標準的な手順書を決めておりまして、 それに基づいてそれぞれの人に動いていただく。それを更に確認するということを実施 していただく、あるいは記録をすべて残していっていただくとか、そういうやり方につ いて規定しているもので、そのやり方について企業の方は実施をします。要するに組織 を規定していると。その組織にのっとって市販直後調査を6か月間は実施していただき ますし、そのほかに市販後調査の特別な調査が規定されるのであればそれも同時にやっ ていただくというふうになっております。 ○岩崎委員 今おっしゃったようにGVPでかなり体制整備を求めていますね。ですか らそういった市販直後調査をきちんとやられれば非常に安心なわけですけれども、今回 のようなものはその枠組みに入らなくて、企業としては別途こういった全例調査のよう なことを計画し実施する部隊を作るということになりますか。 ○安全対策課長 基本的に市販後6か月の間はこの薬を使われる先生方に対しては情報 を事前に全部伝えていくと。それは全例調査においても医療機関との間で全例について こういう項目で調査をするということも契約しておかないといけないので、それが同時 に行われることになります。このものについては6か月ではなくてかなり長期のフォロ ーになりますので、その後も市販直後調査と同じような状態が長期間続くというふうに なるかと思います。そうすると、企業の方はそれを実施するような組織体制を組んでい ただくということになりますので、どちらかというと全例調査を課されている方が通常 の場合よりもかなり負担が大きくなると思っております。また市販直後調査だけではな くすべての市販後の安全対策を含めてGVPでございまして、実際にこの調査自体が適 切に行われたかどうかというのも事後に調べるというふうになりますので、企業として は重たい方、今回でしたら全例調査をやれる組織体制をきちんと整えて対応していただ くということになるかと思います。 ○永井部会長 長尾先生、どうぞ。 ○長尾部会長代理 今までのデータの中でリバウンドについて何か情報があったかどう かです。添付文書にそのことが具体的にではないのですけれども、可能性ということで 書いてありますが、根本的なところを押さえるわけではなくてずっとIL-6の段階のと ころを一生懸命押さえているわけで、それをとったらどうなるとか、その辺はどのくら い議論されたのですか。 ○機構 お答えいたします。添付文書の使用上の注意の重要な基本的注意で、「(5)本 剤を休薬・中止する際には、IL-6の作用が過剰に発現し病態が悪化する可能性が否定 できないので、必要に応じて副腎皮質ホルモン剤の追加・増量等の適切な処置を考慮す ること」と注意喚起しております。 ○長尾部会長代理 実際の臨床のお医者さんはそこを理解してやっていただけるという ことなのでしょうか。 ○機構 本疾患はかなり特殊なものでございまして、現在のところこの疾患に関して本 薬を使う先生方もかなり限られてくると思います。その辺については申請者の方も市販 後調査において、まず先生方に本薬の特徴等について一通り説明した上で本薬が手に渡 るというふうになっておりますので、それについては十分な説明がなされるものと考え ております。 ○長尾部会長代理 今後いろいろな領域に使い出すともう少し具体的な事例が出てくる のかもしれないですけれども、一応確認です。 ○永井部会長 ほかにいかがでしょうか。 ○機構 今の項目について若干補足させていただきます。本剤の薬理作用がIL-6カス ケードの薬理作用をブロックする形になっていますので、実際に本薬を投与するとIL- 6血中濃度がかなりジャンプしていることもありまして、本薬を抜いた瞬間にそこのカ スケードが一遍にオンになることが懸念されたという観点で、実際に中止例というのは たくさんあるわけではございませんけれども、一応今後やっていく場合にあってはこの シグナルが一斉にオーバーシュートすることがないようにそのような注意喚起をしてい るということです。確固たるエビデンスでこれだけのものが危険だということではない のですが、当然結合を阻害しておりますので実際に投与期間中のIL-6血中濃度がかな り増えている状況がございまして、そういった観点での考察になるかと思います。 ○永井部会長 これは注射をやめたときはうまくステロイドを使って病状をコントロー ルするということになるわけですね。 ── 審議官退室 ── ○機構 離脱状況については細かい情報までは入手していないのです。症例数も非常に 少のうございまして、実際の有害事象でドロップしたのも2症例ということでございま すし、そういった場合には基本的には合併症の重篤化の問題で治療のために離脱してい る状況です。ですので、厳格な管理下においてステロイドあるいは抗菌剤療法となって いるのか、あるいは肺炎が重症化したときの治療であるような形で離脱しておりますの で、細かいそこの治療をどういうふうにすることがベストウェイなのかはまだ分かって はございません。ただ、実際に本効能の副次作用というのでしょうか、ステロイドの減 量もかなりの症例で見られていますし、中には6症例くらいでしたか、完全離脱もでき ているということもありますから、逆にこういったメリットが失われるという観点から すると、ステロイドの増量等を多用しないと原疾患であるキャッスルマン病の臨床所見 が実際にまた再燃してしまうということは考えられると思います。 ○永井部会長 よろしいでしょうか。それでは承認を可ということで薬事分科会審議と させていただきます。では次に議題6にまいります。事務局から御説明をお願いいたし ます。 ○事務局 資料6を御覧いただけますでしょうか。静注用フェノバルビタールを希少疾 病用医薬品として指定することの可否についてという諮問書がカバーに付いている資料 でございます。それに黄色い耳が付いておりますけれども、一番上の事前評価報告書を 御覧いただきたいと思います。この事前評価報告書に沿って説明をさせていただきたい と思います。まず「記」以下のところでございますけれども、名称は治験コードがNP C-03、中身は静注用フェノバルビタールナトリウムでございます。対象疾病は新生児 けいれん、申請者はノーベルファーマ株式会社、申請日は平成17年1月13日というこ とでございます。  事前評価の結果でございますけれども、以下に述べる理由から本品目は希少疾病用医 薬品に該当すると判断するということでございます。まずオーファンドラッグのクライ テリアの一番目、対象者数についてでございますけれども、ここの下2行に書いてござ いますように、本邦における新生児けいれん患者数は国内外の統計データから年間約 4,400〜6,700人と推計されまして、国内外での差異を考慮しても希少疾病用医薬品の指 定要件の5万人以下を満たすだろうと判断しております。  それから2ページでございますけれども、二番目の医療上の必要性についてです。新 生児けいれんは年長児や成人のてんかんとは異なり、微細な発作を主体とする臨床的特 徴を持ち、発達、特に脳の発達において有害であるとされていると。本邦において新生 児けいれんの適応症を有する医薬品は存在しないのですけれども、内外の成書にフェノ バルビタールの静注投与が新生児けいれんに対する最も標準的な治療であるという記載 がございまして、フェノバルビタールの静注が新生児けいれんに有効であったとの海外 の報告もございます。現在本邦においてフェノバルビタールの静注用製剤というのはご ざいませんで、市販されている製剤としては坐剤、筋注・皮下注用製剤がございます。 このうち坐剤では投与量を調節しにくいという問題がございますし、筋注・皮下注用製 剤は新生児に有害とされる添加物が入っているという問題がございます。また静注投与 により主薬が析出するという問題もございました。第二選択薬としてはフェニトイン、 ジアゼパム、ロラゼパムなどがあるのですけれども、これらはそもそも新生児けいれん が適応になっていないとか、有機溶媒を添加物に含む等の問題点がございます。一方本 剤は今開発中の静注用のものは有機溶媒及び添加物を含まない凍結乾燥製剤でございま して、新生児けいれんに適した製剤として医療上の必要性があると考えられます。医療 現場ではこの新生児けいれんに対しては今まで筋注・皮下注用製剤をやむを得ず希釈し て静脈内投与している施設も少なくないという実態がございまして、日本小児科学会か ら厚生労働大臣あてにこの製剤の早期開発促進の要望書が提出されているという現状で ございます。  次に三番目の開発の可能性ですけれども、新生児けいれんに対する本剤の有効性は先 ほども申し上げたように国内外の成書等で示唆されているということ、それから静注用 製剤が今開発中で今後安定性試験等が実施される予定が既にございます。それから本邦 での臨床試験については香川大学医学部が中心となって既に計画されており、医薬品医 療機器総合機構の対面助言を踏まえて今後更に検討が進められる予定がございます。と いうことで、本薬の開発の可能性も十分あると考えられますので、以上を総合的に判断 いたしまして、このものを希少疾病用医薬品に該当するということでございます。以上 でございます。御審議よろしくお願いいたします。 ○永井部会長 ありがとうございます。では御質問、御討議お願いいたします。岩崎委 員、どうぞ。 ○岩崎委員 患者数の推計に関して統計という言葉が出てきて、私は統計家なので興味 があるのですけれども、大体どの種の統計を主に使ってこのような患者数の推計を行う のか、ちょっとお教えいただきたいのですが。 ○事務局 私どもから指導しておりますのは公的な統計、それから厚生労働科学研究な どで調査された結果、そういったものをできるだけ活用して推計を行ってくださいとい うことを言っております。 ○早川委員 この薬は小児科学会から要望があったということでございますが、小児科 医といたしまして非常に緊急かつ必要と感じておりますので、是非御承認をお願い申し 上げます。 ○永井部会長 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは指定を可とい うことで薬事分科会報告とさせていただきます。それでは次に報告事項にまいります。 機構から御説明をお願いいたします。 ○機構 まずは議題1、医薬品エピペン注射液0.15mgの輸入承認及びエピペン注射液 0.3mgの輸入承認事項一部変更承認について報告いたします。資料7を御覧ください。 本剤はメルク株式会社から申請されましたエピネフリンを有効成分とする定量自動注射 剤であり、既に本邦では蜂毒に起因するアナフィラキシー反応に対する補助療法薬とし て承認されているものでございます。今般、蜂毒以外の食物、薬物等に起因するアレル ギー反応の補助療法に対する効能及びいわゆる小児用量の追加について、輸入承認申請 又は輸入承認事項一部変更承認申請がなされたものでございます。本効能及び用量の追 加については、日本アレルギー学会より当該効能追加等に関する要望書が出されたこと を踏まえて申請者において検討が進められ、平成11年2月1日付けの研究開発振興課長 ・審査管理課長の2課長通知である「適応外使用に係る医療用医薬品の取扱いについて」 に基づき、医学薬学上公知であるとして申請がなされたものでございます。総合機構に おける審査の結果、本剤を承認して差し支えないと判断したものでございます。  続きまして報告事項の議題2、医療用医薬品の再審査結果について報告いたします。 資料は資料8-1のペルマックス錠50μg、ペルマックス錠250μg等から、資料8-7のフ エロンまでの七つの医薬品再審査確認等結果通知書になります。これらの品目につきま しては、市販後の使用成績調査・特別調査の成績等に基づいて再審査申請が行われまし て、それぞれ審査の結果、いずれの品目についても薬事法第14条第2項各号である承認 拒否事由のいずれにも該当しないこと、いわゆる効能・効果、用法・用量等の承認事項 について変更の必要はないカテゴリー1と判断したものでございます。  なお、資料8-7を御覧いただきたいのですが、インターフェロン ベータ(フエロン) については、ページをめくっていただきますと3ページの注1)に承認当時「セロタイプ (ジェノタイプ)別、ウイルス量別の治療成績が少ないことから、市販後調査を実施して セロタイプ(ジェノタイプ)別、ウイルス量別の治療成績の収集を速やかに行い、その結 果を遅滞なく適宜添付文書に反映すること」ということが出されております。これにつ いては承認取得者の方で調査がなされまして、またページをめくっていただいて6ペー ジの四角で囲んであるような結果が出たということでございます。総合機構といたしま しては、再審査期間中に付された承認条件については適切な対応がなされ、結果が出さ れたことから承認条件をクリアしたと判断しましたので併せて御報告申し上げます。  なお本通知書、それぞれの資料に付いている添付文書については、いわゆる資料発送 時において最新のものを付けておりまして、例えば先ほどの結果については今後速やか に添付文書等に反映されるということになるものでございます。 ○事務局 引き続きまして優先審査品目指定の審査結果について報告をさせていただき たいと思います。本日机の上に配付いたしました資料9を御覧いただけますでしょうか。 下記品目について専門協議を踏まえ優先審査品目に指定することとしたということで、 対象はゼフィックス錠100、一般名はラミブジン、申請者はグラクソ・スミスクライン 株式会社、申請日と指定日はそれぞれここに書いてあるとおりでございます。今回対象 となります効能は(2)のB型肝硬変の方でございます。(1)のB型慢性肝炎にも下線は付し ておりますけれども、これは記載の整備だけでございまして、今回の対象はB型肝硬変 でございます。その下に参考として「1.優先審査を行う医薬品等」という部分がござい ますけれども、昨年2月にこの優先審査の対象の選定の考え方について検討会の方でお まとめいただきまして、その結果今日御報告するものは1の(2)適応疾病の重篤性と医療 上の有用性とを総合的に評価をして選定するというものでございます。  次に1枚めくっていただきますと、「2.優先審査品目指定の手続」というものがござ います。(1)優先審査希望が提出された時点で、医薬品医療機器総合機構において担当専 門委員を指名し専門協議を行った上で適用の可否に関する意見をまとめ、厚生労働省に 報告するという手順になってございます。それを受けまして審査管理課では薬事法上の 医療上特にその必要性が高いと認められるものに該当するか否かの判断を行いまして、 決定をして申請者に通知すると。これは公表はいたしません。(2)その判断については事 後に薬事・食品衛生審議会の担当部会、ですから今日の場合は第一部会の方に御報告申 し上げて了承を頂くと。これも非公表でございます。なお、今日御意見を頂いてもし優 先審査が認められないということになれば、これは優先審査ではなく通常審査というこ とになります。それから(3)優先審査の事実についてはこの医薬品が承認された暁にその 旨を公表するということでございます。  次をめくっていただきますと、「優先審査該当性意見報告書」という表紙がございま して、その次に一番頭のところに「記」とございますけれども、これに沿って説明させ ていただきたいと思います。真ん中辺りに「優先審査の適用の可否に関する意見」とい うところがあると思いますけれども、機構の方で事前に見てもらった結果、申請された 効能・効果に対する本品目の優先審査該当性は該当と考えるということでございます。 その理由として以下に述べるようなことがございまして、まず機構では3名の専門委員 に本品目の優先審査該当性について意見を求めたということでございます。  第一点目の本疾患の重篤性について、B型肝硬変ですけれども、一番下の3行でござ います。一般に長期にわたり持続的若しくは断続的な肝臓の炎症による肝機能異常を繰 り返して徐々に肝臓の線維化が進行し、最終的には肝硬変、肝癌へと進展していくと。 次のページですが、累積生存率は1年73.3%、5年48.6%と予後が不良、致死的かつ重 篤な疾患であるということでございます。それから次のポツですけれども、HBVによ るものは肝硬変全体の12〜23%あるということでございます。  第二点目の医療上の有用性でございますけれども、まず治療法が限定されていて、代 償性B型肝硬変の段階ではビタミン剤やアミノ酸製剤、強力ネオミノファーゲンシー等 の対症療法が行われていると。それから進展して非代償性になった場合にはアルブミン 補充療法や抗生物質等による対症療法、あるいは血漿交換等の肝補助療法ということに なりますけれども、これもあくまでも対症療法であり血漿交換等は費用の問題も出てく るということでございます。またインターフェロン製剤及びプロパゲルマニウムという 薬が既にB型慢性肝炎の効能を取っていますけれども、これも肝予備能の低下している B型肝硬変患者への使用は注意喚起あるいは禁忌とされており、必ずしも適切な治療法 とはいえないという問題点がございます。それから2004年5月現在でこのラミブジン製 剤は米国、欧州、カナダを始め90か国以上でB型慢性肝硬変を含むB型慢性肝疾患の治 療薬として既に承認されているという事実もございます。次に代償性肝硬変患者29例を 対象とした国内二重盲検試験では本薬群で−2.6、プラセボ群で−0.2というHBV-DNAの ベースラインからの変化量が確認されておりまして、有意差があったと。それから投与 24週時におけるHBV-DNAの陰性化率は本薬群で69.2%、プラセボ群で0%であったとい うこともございます。有害事象は本薬群で92.3%、プラセボ群で81.3%ということでご ざいます。  以上のようなデータを踏まえまして、専門協議では全専門委員の先生方から優先審査 とすることが妥当であるとの御意見を頂きまして、その上でこのものを優先審査の対象 にするということで審査管理課としても判断をしたところでございます。以上でござい ます。 ── 審議官入室 ── ○永井部会長 ありがとうございました。それでは御質問、御討議お願いいたします。 特にございませんでしょうか。それではよろしければ御確認いただいたということにさ せていただきます。議題は以上でございます。事務局から何か連絡等ございますでしょ うか。 ○事務局 最後に当部会で御審議いただいた新薬の承認について報告をさせていただき たいと思います。まず昨年10月18日に当部会で御審議いただいたクレストール錠、ア レジオンドライシロップについて、また11月22日に御審議いただいたエンブレル皮下 注用、キュバールエアゾールの小児適応について、1月19日付けで承認いたしました。 ただクレストール錠は市販後調査の計画の骨子については一応確認した上で承認してお りますけれども、その計画の細部については機構の審査第二部において谷川原先生の御 助言も頂きながら、まだ細部の内容について詰めているところでございますので、それ は特に御報告申し上げたいと思います。  それから次回の本部会の日程でございますけれども、4月14日木曜日午後2時からと させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。以上でございます。 ○永井部会長 よろしいでしょうか。よろしければ本日はこれで終了させていただきま す。どうもありがとうございました。                                    ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 審査管理課 課長補佐 佐藤(内線2734) - 1 -