05/02/24 薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会 平成17年2月24日議事録 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 議事録 1.日時及び場所   平成17年2月24日(木) 14:00〜   厚生労働省専用第18〜20会議室 2.出席委員(9名)五十音順  ◎池 田 康 夫、 折 笠 秀 樹、 田 島 知 行、 土 屋 文 人、  ○堀 内 龍 也、 三 瀬 勝 利、 溝 口 昌 子、 山 口 一 成、   吉 田 茂 昭 (注) ◎部会長 ○部会長代理   欠席委員(7名)   上 原 至 雅、 岡   慎 一、 守 殿 貞 夫、 神 谷   齊、   川 嵜 敏 祐、 後 藤   元、 早 川 堯 夫 3.行政機関出席者   黒 川 達 夫(大臣官房審議官)、 川 原   章(審査管理課長)、    平 山 佳 伸(安全対策課長)、   豊 島   聰(医薬品医療機器総合機構審査センター長)    古 澤 康 秀(医薬品医療機器総合機構審議役)、    森   和 彦(医薬品医療機器総合機構新薬審査第一部長)、   赤 川 治 郎(医薬品医療機器総合機構新薬審査第二部長)、   辻 村 信 正(医薬品医療機器総合機構新薬審査第三部長)、   國 枝   卓(医薬品医療機器総合機構生物系審査部長)、 4.備  考   本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。 ○審査管理課長 それでは定刻を少し過ぎましたが、ただいまから薬事・食品衛生審議 会の医薬品第二部会を開催いたします。本日はお忙しい中お集まりいただきましてあり がとうございます。当部会委員数16名のうち現在8名でございますが、吉田委員が間も なくお越しになる予定でございまして、9名に御出席いただいておりますので、定則数 に達するということで開始させていただきます。それでは池田先生、進行をよろしくお 願いいたします。 ○池田部会長 皆様お忙しいところありがとうございました。年度末でいろいろ御多用 のところ感謝申し上げます。  まず議事を進行する前に、今年の1月に開催されました薬事・食品衛生審議会総会に おいて当部会の委員が再選されました。一応部会長代理を決めさせていただきたいと思 います。審議会のルールによりまして、部会長代理については部会長があらかじめ指名 することになっていますので、私としてはこれまでどおり引き続き堀内委員に部会長代 理をお願いしたいと考えておりますが、いかがでしょうか。よろしゅうございますか。 それでは堀内先生、申し訳ございませんが、こちらの方で引き続き部会長代理をお願い したいと思います。 ── 堀内委員、部会長代理席へ移動 ── ○池田部会長 本日の審議に入りたいと思いますが、その前に事務局から配付資料の確 認と資料作成に関与された委員の報告をお願いいたします。 ○事務局 それでは事務局から資料の確認をさせていただきます。資料1〜6までがあ らかじめお送りした資料です。また本日席上に議事次第、座席表、第二部会の委員名簿。 それから資料1-2としてアムノレイク錠2mgの添付文書案、資料4-2としてエムトリバ カプセル200mgの添付文書案、資料5-2としてツルバタ錠の添付文書案、資料7-1とし て「優先対面助言制度について」、資料7-2が「医薬品優先対面助言品目の指定につい て」。次に資料8として「優先審査品目指定の審査結果について」、資料9が「医薬品 第二部会審議品目の薬事分科会における取扱い、毒薬・劇薬の指定の要否及び生物由来 製品/特定生物由来製品の要否について(案)」、資料10として「アムノレイク錠2mg 専 門委員リスト」、資料11として「ゲフィチニブ検討会における検討の結果について」、 資料11参考として「イレッサR錠250mgの進行非小細胞肺癌におけるISEL試験の結 果についてのお知らせ」というものをお配りしています。それから最後に岡先生からの ファックスを一枚紙で置かせていただております。  平成13年1月23日の薬事分科会申合せに基づきます資料作成に関係された委員の確 認ですが、議題3に岡先生が関与されています。岡先生からは今申し上げました資料に ありますとおり、その関与された品目を除く後の残りは全部承認を可として差し支えな いのではないかという御意見を頂いています。以上です。 ○池田部会長 審議事項は吉田先生がお見えになってからということで、報告事項から お願いいたします。 ○機構 それでは、報告事項の議題1の医療用医薬品の再審査結果について報告いたし ます。資料は6-1がフロモックス原末、フロモックス錠関係、6-2がジダノシンという ことでヴァイデックス錠、ヴァイデックスECカプセル関係、6-3が塩酸テルビナフィ ン、ラミシール錠関係、6-4がイセチオン酸ペンタミジン、ベランバックス300の関係 のものです。  結論から言いますと、この三つにつきまして市販後の使用成績調査、特別調査の成績 等に基づいて再審査申請が行われ、それぞれ審査の結果、いずれの品目についても薬事 法第14条2項各号の承認拒否事由のいずれにも該当しないということです。すなわち効 能・効果、用法・用量等の承認事項については、承認時から変更の必要はないカテゴリ ー1と判定したものです。なお特に6-2を見ていただきますと、御覧のとおりこの製品 はHIV感染症関係のものでございます。9ページにヴァイデックスECカプセル承認 時の承認条件ということで例が示してありますが、本剤には承認時において四つの条件 が付いております。例えば承認条件の(1)に「薬物動態試験を実施」と書いてありますが、 これについては基本的に6ページの「3.市販後臨床試験について」の所に載っている表 のようなデータになっております。6-2のエイズ関係については再審査期間中にこの四 つの条件について適切な対応がなされ、承認条件を満たしたと判断したということを併 せて報告申し上げます。以上でございます。 ○池田部会長 ありがとうございました。何か御質問ありますか。堀内委員、どうぞ。 ○堀内部会長代理 確認をしたいのですが、再審査なので安全性、副作用、有効性等に ついてデータが出ていると思うのですが、それは添付文書にはいつの段階で反映される のですか。と申しますのは、例えばフロモックスで添付文書見本が出ていますが、ここ には承認審査のときのデータしか入っていませんけれども、いつやるわけなのでしょう か。 ○機構 機構より御説明いたします。フロモックスに関しては現行の添付文書ではまだ 使用成績調査の副作用は載せていませんが、現在安全部の方と相談中でございまして、 近々使用成績調査の結果が添付文書に追記される予定です。ほかの成分に関しても現行 の添付文書でまだ未記載のものについて、フロモックスと同様に今後近々追記される予 定でございます。 ○堀内部会長代理 一般的に再審査が行われた場合、どのぐらいの期間内で添付文書の 改訂が行われるのですか。 ○新薬審査第一部長 そもそも添付文書の改訂は再審査の結果が出るまで一切やらない ということではなくて、随時やっています。現在のこの内容は、お付けしているものも 2005年の1月改訂分というところまでアップデートされているものです。したがって、 再審査の審査報告に書いてあるものはそれを網羅的に整理した資料ですが、実を言いま すと再審査申請の時点でのデータになっています。つまり再審査の申請は恐らく2005 年1月よりもっと前なので、そのデータはもう既に大半は盛り込まれている格好になっ ていまして、仕組みとしてどうしてもある程度時間が掛かる作業になるものですから、 副作用の情報はそういうことを待たずに随時改訂して反映されるという、それぞれの流 れになっています。先生御指摘のような再審査の結果全体を包括した形で情報提供をす るのは、この再審査の報告書自身を御覧いただくことしかないのです。したがいまして、 例えば再審査の申請をされたのはある程度前なので、その時点でどういうまとめになっ ていたのかという内容ですから、これを今添付文書に入れると逆に戻ってしまうのです。 ○堀内部会長代理 それは分かるのですが、例えばフロモックスの場合ですと、これは 承認審査のときのデータしか入っていませんね。 ○新薬審査第一部長 そうではなくて、それは随時改訂をしています。特に副作用関係 は承認時のものからはかなり追加されています。改訂は随時やっておりますので、その 点は最初の承認時のままということではありません。 ○堀内部会長代理 分かりました。しかし少なくとも再審査のデータまでは入っていな いといけないということですね。 ○新薬審査第一部長 もちろんそれは再審査の時点で使っているデータよりも更に後の ものもされるようになっています。 ○堀内部会長代理 ですから、少なくとも入っていないといけないと。 ○新薬審査第一部長 そうです。今回の再審査に基づいて、先ほど報告をしているよう な条件が満たされたということでクリアできた品物につきまして、再審査の結果の評価 の完了を受けて、添付文書の中に今書いている承認条件は次の改訂のときに取り払われ る形で反映されると思います。 ○池田部会長 それでは報告事項の議題2、優先対面助言品目指定の審査結果について お願いします。 ○事務局 続きまして議題2、優先対面助言品目指定の審査結果について報告いたしま す。資料の方は7-1と7-2でございます。まず資料7-1、優先対面助言制度について簡 単に御説明いたします。優先対面助言制度というのは、薬事法第14条第5項で規定する、 その他の医療上特に必要性が高いと認められるものに該当することが期待される治験中 の品目に関して、その開発段階の迅速化を図ることを目的として、ほかの品目に優先し て対面助言、いわゆる治験相談を行うというもので、平成16年4月より開始されている 制度です。このものの選定の考え方ですが、これは優先審査品目の選定の考え方に準ず ることとされていまして、具体的には適応疾病の重篤性と医療上の有用性を勘案して評 価をするとされています。  次に資料7-2を御覧ください。今般、優先対面助言品目として抗悪性腫瘍剤1品目を 指定いたしましたので、その旨を御報告いたします。指定申請者は中外製薬株式会社で ございまして、治験薬の一般名はベバシズマブというものです。このものの概要を表の 下の参考に示していますが、これは血管内皮細胞増殖因子のヒト化モノクローナル抗体 で、腫瘍部位での血管新生を阻害するという薬剤です。米国では2004年2月、EUでは 2005年1月に転移性結腸・直腸癌の初回治療剤ということで承認されておりまして、海 外での商品名は「アバスチン」です。このものは単剤ではほとんど効果を期待できない ものなのですが、その作用機序より他の抗悪性腫瘍剤と併用することによってその効果 を増強することが期待されるということで、優先対面助言の対象効能としては、ほかの 抗悪性腫瘍剤との併用による結腸・直腸癌の治療ということで指定しています。以上で ございます。 ○池田部会長 いかがでしょうか。「優先対面助言制度について」ということでこの度 ベバシズマブが候補に挙がったのですが、何か御質問ございますか。よろしいですか。 ありがとうございました。  それでは報告事項の議題3、優先審査品目指定の審査結果について、資料8に基づい てお願いします。 ○事務局 資料8の優先審査品目指定の審査結果についてです。今回対象になるのはシ ナジス筋注用50mgと同100mg。一般名がパリビズマブ(遺伝子組換え)、申請者はアボッ トジャパン株式会社で、申請日は平成16年10月28日でございます。このものは今年の 1月18日に既に優先審査品目の指定を行っております。申請効能は下記の新生児、乳児 及び幼児におけるRSウイルス感染によ重篤な下気道疾患の発症抑制、RSウイルス感 染流行初期においてということで、下に四つポツがありますが、一番下の「24か月齢以 下の血行動態に異常のある先天性心疾患(CHD)の新生児、乳児及び幼児」という部分 だけが今回の優先審査の対象ということで、それ以外の部分についてはもう既に承認を 取得しています。その下に参考として優先審査を行う医薬品等の考え方が述べられてい ますが、今回のものは1の(2)の適応疾病の重篤性と医療上の有用性とを総合的に評価を して選定するというものです。  2.優先審査品目指定の手続きと書いてありますが、(1)として会社の方から優先審査希 望が提出された時点で医薬品機構において担当専門委員を指名し、専門協議を行った上 で適応の可否に関する意見をまとめて、厚生労働省に報告をすることになっています。 審査管理課ではその報告を受けて、薬事法第14条第5項の規定に該当するかどうかの判 断を行い、適応の可否を決定して申請者に通知すると。この通知を非公表で1月18日に 行ったということです。(2)でございますけれども、その判断については事後に当部会に 報告し、御了承を頂きたいと。これも非公表です。  今日報告させていただいた結果、何らかの理由で優先審査が認められないとなった場 合には、先の指定を取り消しまして通常審査とすることになります。優先審査に該当す るということについては、当該医薬品の承認時にその旨を公表する段取りになっていま す。  次ページの優先審査該当性意見報告書というのが機構から医薬食品局の方に出された 報告書でございます。  更に1枚おめくりください。頭のところに「記」と書いたページがあると思いますの で、これに沿って簡単に説明いたします。真ん中の辺りに優先審査の適応の可否に関す る意見とありますが、本申請内容は優先審査に該当すると医薬品機構では考えるという ことです。理由ですが、先ほど申し上げましたように適応疾病の重篤性、医療上の有用 性の二つの観点から機構の方で予備的な検討を行っていただいております。その観点か ら、機構は申請者が提出した優先審査希望理由及び国内外臨床試験結果並びに機構の予 備的検討結果を基に、本品目の優先審査該当性について5名の専門委員に意見を求めま した。  まず1.適応疾病の重篤性についてですが、RSウイルスは乳幼児における気道感染症 の主要原因ウイルスであると。RSウイルスによる下気道感染症は呼吸困難を呈しやす い疾患で、特に早産児や慢性肺疾患又は先天性心疾患を有する患児がRSウイルスに罹 患し重篤化した際には呼吸困難などの呼吸障害が進行し、生命を脅かすこともあるとい うことでございます。それを裏付けるような報告も幾つか出ているということで、今回 申請された内容は生命に重大な影響がある疾患、致死的な疾患に該当すると機構では判 断し、それに対して専門協議の先生方からも機構の判断は妥当であるとの御意見を頂い ております。  2.医療上の有用性についてです。現在、本剤は既にRSウイルス感染による重篤な下 気道疾患の発症抑制の効能・効果を持っているのですが、その投与対象は早産児や気管 支肺異形成症を有する乳幼児に限定されています。海外では、RSウイルス感染児のリ スクが高い患児におけるRSウイルスによって引き起こされる重篤な下気道感染疾患の 予防という効能で承認されていまして、今回優先審査の希望が出されている新疾患、C HDを有する患児についても、その投与対象に既に含まれています。海外で実施された 試験の成績からも、基本的に新疾患に対して有効性が推定できると。  今この新疾患、CHDに対する本邦の治療法としては酸素補充、輸液、気管支拡張剤 投与等といった対症療法しかないということで、この薬については既存の治療法、予防 法若しくは診断法がないというカテゴリーに該当すると機構は判断するということで、 これも専門協議の先生方から妥当な判断であるという御意見を頂いています。  以上を総合して、このシナジスのCHDについて優先的に審査することは妥当である という機構の判断を受けまして、審査管理課としてもシナジスのこの効能について優先 審査指定の通知を申請者の方に行ったところでございます。以上です。 ○池田部会長 ありがとうございました。いかがでしょうか。シナジス筋注について優 先審査品目の指定ということですが、何か御意見がありますか。 ○堀内部会長代理 ちょっと教えてください。この発症予防というのはどういう作用メ カニズムと考えられているのですか。 ○機構 このものはモノクローナル抗体になっていまして、この抗体を投与しておくこ とによって外来から入ってきたウイルスがキャッチされる形になっています。 ○堀内部会長代理 ウイルスの増殖抑制みたいなことですか。ちょっと作用機序がどう なのかなと思ったものですから。結構です。 ○池田部会長 そのほか何かございますか。よろしいでしょうか。それでは報告事項は 以上です。 ○審査管理課長 吉田先生がまだ遅れておられますので、申し訳ございませんが、もう 一つ1月20日にイレッサの関係で検討会を開いていまして、その報告を事務局からさせ ていただいてよろしいですか。 ○池田部会長 お願いします。 ○安全対策課長 御存じのようにイレッサですが、市販後のいろいろな試験が行われて いまして、日本ではないのですがアメリカのFDAの方で延命効果を実証するようにと いう市販後の要求がありまして、それに応える形でアストラゼネカ社がプラセボ比較の 延命効果を実証する試験を海外で行っています。実際に行われたのはヨーロッパ、アジ アの地域の患者が対象でございまして、その結果が12月の中ごろに出てきました。それ は初回解析結果ということで、最初の主要評価項目、延命効果のところだけの結果が提 出されております。  その結果はもう既に報道等で御存じだと思いますが、全例を見る限りは有意差をもっ て延命効果を実証することはできなかったということです。ただサブグループで見てい きますと、東洋人あるいは東洋人かつ非喫煙者というサブグループで延長を示唆するよ うな結果が出ているという、その辺りまでの解析結果が提出されております。それに対 して、不完全ではあるのですが、その内容を至急検討する必要があるだろうということ で関係の先生方を選定いたしまして、1月20日に検討会を設けています。  その検討会の結論については資料11を御覧ください。いろいろ議論はされたのです が、現在提出された解析結果は、内容についてやはりまだ頑健性の確認ができないとか、 副作用の状況についての情報がない、あるいはEGFR遺伝子の変異に関する情報など、 もろもろの詳細解析結果が提出されていない状態ではこの結果を評価することはできな いだろうというのがまず第一点でございます。  しかし当面どうするかということでございますが、一応サブグループの解析から見て 東洋人、これは残念ながら日本人は含まれていないのですが、このグループで生存期間 の延長を示唆するような結果が見られているということ。またこの試験ではなくて、昨 年来このイレッサの作用機序についてEGFR遺伝子の変異が関係するのではないか、 そしてその変異の割合が日本人で多いのではないかという研究レポートも出ていますの で、そういうことも勘案して、当面は現在の安全対策をより徹底するという方向で対応 したらいいのではないかというのが第二点でございます。  それから第三点としては、今回の結果について患者に対するインフォームドコンセン トの中にそういう情報を正確に盛り込んでいただくことを徹底するということでござい ます。  第四点でございますが、現在日本においてはドセタキセルとの間の比較治験が行われ ておりますので、その結果を早く出すようにということでございます。  最後の第五点でございますけれども、最近話題になっているEGFR遺伝子の変異と 本剤との関係について研究を早急に進める必要があるだろうと。この五つの点を指摘し て、検討会は一応終了しております。この後3月の時点で詳細結果を出すということを アストラゼネカ社の方が言っておりますので、その提出を待って詳細解析結果に基づく 検討を継続するということになっています。  資料11参考でございますが、これはアストラゼネカ社で今回の初回解析結果を医療現 場に届けるということで、こういうペーパーを作って配付しております。参考までに今 回の資料に付けました。以上でございます。 ── 説明中、吉田委員着席 ── ○池田部会長 ありがとうございました。このイレッサについてはいろいろと先生方も 御心配いただいていると思いますが、何か御質問ありますか。今後ともイレッサの検討 会はその都度また…。 ○安全対策課長 3月の時点で詳細データが出てきますので、その時点で検討会を継続 いたします。 ○池田部会長 それをまた報告していただくということですね。ありがとうございまし た。  それでは吉田先生がお見えになりましたので審議事項に入らせていただきます。本日 は審議事項が5議題ありますので、早速議題1から始めたいと思います。機構から説明 をお願いします。 ○機構 議題1、資料1、アムノレイク錠2mgの製造承認の可否等について、医薬品医 療機器総合機構より説明いたします。なお諮問書には「タミバロ」錠と記載してありま すが、後に「アムノレイク」錠と販売名の変更がなされています。また本日机上に配付 しました資料1-2がありますが、これは資料発送後に添付文書案の記載整備を行い修正 したものでございます。修正した箇所は資料1-2の9ページの臨床試験の項のみです。  本剤の有効成分であるタミバロテンは国内で開発された新規の合成レチノイド化合物 で、希少疾病用医薬品として審査が行われました。本剤は急性前骨髄球性白血病(以下A PLと略)に対して効果を示すものとして申請されました。本剤の専門委員としては資料 10にありますとおり青柳委員、小椋委員、金井委員、菅野委員、竹内委員、林委員、森 下委員、安原委員の計8名を指名し、御意見を賜りました。  APLは我が国では推定で年間約600人が罹患しています。初発時のAPLの治療は トレチノインを含む治療が標準的な寛解導入療法として確立しており、約9割が完全寛 解します。しかし初発患者の4割程度、すなわち年間250人程度の患者は完全寛解を維 持できない難治性の患者、あるいは再発する患者となります。これら再発又は難治性の APL患者ではトレチノインに対して耐性を有することが多いため、再発又は難治性の APL患者での有効な薬剤は2004年10月に承認された三酸化砒素のみである状況です。  APLの発症メカニズムは、15番と17番の染色体上のレチノイン酸受容体α鎖遺伝 子と、前骨髄球性白血病遺伝子の転座により融合たんぱく質が産生され、これにより前 骨髄球以降の分化、成熟及びアポトーシスが阻害されることが関与していると考えられ ています。本剤の薬効は転座により生じたキメラ遺伝子による阻害機構を解除し、AP L細胞をアポトーシスに誘導して薬効を示していると考えられています。  評価資料は規格、安定性、毒性、一般薬理、薬効薬理、吸収、分布、代謝、排泄、臨 床試験について提出されています。専門協議は資料10にある8名の先生方により行われ ました。  臨床試験については39例のAPL患者を対象に本剤を投与する臨床第II相試験が提 出されています。再発又は難治性のAPLにおいては34例中21例で完全寛解が得られ ており、本臨床試験の結果を踏まえ、機構は本剤の有効性が認められると判断し、効能 ・効果を再発又は難治性の急性前骨髄球性白血病、用法・用量は寛解導入療法として記 載することが適切であると判断いたしました。  安全性については、重篤な副作用としてレチノイン酸症候群やDICなどが見られて おり、また本来は国内のみの開発であって、現在得られている症例が39例のみであるこ とから、安全性に関する情報を市販後に十分確認していく必要があると考えます。した がって承認条件にあるとおり、市販後の全例調査による安全性の確認を行うべきである と考えています。また指示事項として本剤とフィブラート系薬剤との相互作用の検討な ど、市販後に実施が必要と考えられる非臨床試験及び薬物動態試験を施行するよう、申 請者に指示しています。  以上のとおり、機構での審査の結果、本剤の再発又は難治性のAPLに対する有用性 は認められ、承認して差し支えないと判断しました。また本剤は新有効成分含有医薬品、 希少疾病用医薬品であることから再審査期間を10年とし、原体及び製剤は劇薬に該当す ると判断しました。また生物由来製品及び特定生物由来製品には該当しないと判断しま した。御審議のほどよろしくお願いいたします。 ○池田部会長 ありがとうございました。アムノレイク錠ですが、急性前骨髄球性白血 病の再発又は難治例という格好で許可をするというものですけれども、御質問をお願い したいと思います。いかがでしょうか。堀内委員、どうぞ。 ○堀内部会長代理 副作用なのですが、審査報告書の13ページに、この場合には催奇形 性が大変強くて、胎児の大部分は妊娠初期に死亡して出産率は0%だとありまして、そ の出生児においてもいろいろな催奇形性があるということと、無精子症になるというこ とがあると思うのですが、添付文書を見ますと余りそこが明確に書かれていないのでは ないかと思いますので、もう少しそこのことをきちんと書いた方がよろしいのではない かと思っています。  例えば添付文書(案)の3ページ、重要な基本的注意の(1)のところで「本剤には催奇 形性があり」ということになっていますが、この催奇形性というのは大変強いのではな いかと思います。ですからその辺をもう少し強調して、催奇形性が強く低濃度でも副作 用が発現するとか、発現頻度が高いということをよく説明した上で使用すると。少しこ の辺のところを強調したらいかがかなと思います。  それから(3)のところに「精子形成能に異常を起こすことが報告されている」とただ 書かれていますが、これはかなり長期間の無精子症が起こって、それによる不妊症が起 こるということではないかと思います。そういう面での、特に発生の段階での毒性がか なり強い薬剤ではないかと思います。こういうのはただ異常を起こすということではな くて、もう少しきちんと表現した方がよろしいのではないかと。その点はいかがでしょ うか。 ○機構 先生の今の御質問の内容で、まず一点目から答えさせていただきます。記載内 容に関してもう少し詳しく書くべきかというような御質問かと理解しますが、確かに動 物実験におきましてデータが蓄積されているというのが一つあります。ヒューマンで起 こっている話というのが、正確にそれが反映されるかどうかということも一つ難しいと ころかとは思います。他の医薬品も比べましてそれ相当の表現の仕方ということは、こ ちらとしては考えております。例えば先ほどもちょっと出ましたベサノイドのトレチノ イン製剤も類薬ですけれども、同様に動物実験においてデータを出しているわけでござ いまして、それと内容を統一している形で対応しております。そういう点で言いますと、 類薬との比較を考えてこの程度の内容の表現をしていくべきだと機構は判断しておりま した。 ○堀内部会長代理 例えば類薬と比較して強度についてはいかがでしょうか。 ○機構 何しろ動物実験でございまして、正当かどうかはちょっと分かりません。 ○堀内部会長代理 動物実験だけだと言うと、先ほどお話があったようにこの治験全体 は30何例しかないわけですね。そうしたらそこで判断をしなければいけないわけなの で。イレッサの場合でも、たかだか100例の中での議論でもやはり責任は問われるわけ ですから、ヒトのデータがないからこそ動物実験のデータも加味して評価をしないとい けないのではないかと。 ○機構 それは重々理解しているつもりですが、他の医薬品とも比べるというところで 当方ではこのような表現をしているということで、我々としてはこのような表現をさせ ていただいたということです。 ○審査管理課長 資料概要の17、18ページ辺り、一番左のカラムがタミバロテンでござ いまして、真ん中がベサノイド、トレチノイン、右側はAPLの薬剤ではありませんが、 感染の治療薬のビタミンA誘導体のチガソン、エトレチナートでございまして、この17 ページの辺りを見ますと、本剤はラットの0.3mg/kg/dayで化骨の異常などが出ている ようです。デサノイドの方2mg/kg/dayなので、10倍とかそういった開きではないよう でございます。催奇形性、動物実験の条件設定の細かいところまでは、私の方では今す ぐには分かりません。 ○堀内部会長代理 胎児の死亡は0.3mg/kg/dayいっているわけですね。 ○審査管理課長 そうですね。 ○堀内部会長代理 ですからかなり低いのではないですか。 ○審査管理課長 確かにいわゆる催奇形性を見る試験としては、実際には死亡胎児数が 増加するというのは用量設定的にはどうかという問題はあるかとは思います。 ○堀内部会長代理 横並び方式はいいのですが、特にこういうように発生の段階、ある いは精子形成の段階でいろいろな問題が起こる可能性があるということですので、それ を表現としてそういうことがあるというだけでなく、例えば無精子症というのがかなり 長期間続くという表現がこの審査報告書にも出ているわけですね。ですから、そういう ことはできるだけ具体的に書いた方が使用する側は分かりやすいのではないかと思った ものですからお聞きしました。 ○新薬審査第一部長 総合機構の方から一つコメントさせていただきます。相対的な催 奇形性の強弱というのは、一般的には動物実験における発現用量の限度と臨床用量との 関係で考えられています。本剤については直裁的にはベサノイドカブセル、これはAP Lの経口の治療薬でございまして、これと大体似たような薬になります。ベサノイドの 方も催奇形性がはっきりありまして、それの発現用量は0.7mg/kgぐらい、臨床用量は 1日60〜80mgぐらいという量になっています。それに比べますと本剤は発現用量は0.3、 臨床用量は6mgという関係になっておりまして、実はベサノイドの方が臨床用量で見た ときの関係で言うともう少しきつくなるのではないかというような比較も一応はできま す。 添付文書上の記載についてどうなっているかといいますと、ベサノイドの方は警 告の方に催奇形性の記載をしています。それに比べますと、本剤は警告には別のプライ オリティーのものを挙げていまして、現状では非常に治療の危険性が高いということで 入院環境下で使いなさいということをプライオリティーを上げて書いている格好になっ ています。やはりエビデンスが少ない薬であるということにかんがみた記載の書分けに はなっているのです。  確かに先生御指摘のように、催奇形性についてはエトレチナードもベサノイドも全部 警告になっているので、それを踏まえて、むしろ横並びで、本剤についても警告欄の方 に催奇形性について記載をするという対応は考えられるようには思います。相対的な強 度に関しては今申し上げたようなことですので、この薬剤が飛び抜けて強いといった評 価をしているわけではないということは御理解いただきたいと思います。 ○堀内部会長代理 もう一つ副作用で、審査報告書の45ページに症例番号の131-00-01 というのが1例間質性肺炎ということで、これは「否定できない」と判定されたが、本 剤との死亡の因果関係は「なし」と判定されたということなのですが、これの細かいこ とも分かりません。間質性肺炎の発症については因果関係がある可能性があるというこ となのでしょうか。先ほどの話で39例の中の1例というのは一応注目しておかないとい けないのかなという気がしますが、その辺についての評価はいかがでしょうか。 ○機構 この症例についてはCRFの確認及び担当医への調査なども企業の中のやり取 りで行っております。結局こちらの間質性肺炎に関しては本剤の因果関係とは否定でき ないとなっていますが、症例の経過としてはこの前後で細菌性の肺炎を合併していたり、 またレチノイン酸症候群の関係などがいろいろあって、「否定できない」という判断を 担当医の方がしておりました。また死亡原因に関しては企業を通じてCRF及び担当医 への調査を行っていますが、最終的には横紋筋融解症で亡くなったということで、間質 肺炎による死亡ではないというところは、症例経過自体は一応確認しています。 ○堀内部会長代理 発症には可能性があるかもしれない…。 ○機構 因果関係自体は否定はできないということになっています。ただレチノイン酸 症候群を起こすとそれ自体で間質性の映像を撮ることもありますし、恐らく判定は非常 に困難だったのだろうと思いますが、因果関係は否定はせずに「否定できない」という 形で担当医は記載していますので、特に問題はないと思います。 ○池田部会長 これはATRAで寛解導入して、そして再発しますね。もう1回ATR Aを使うと大体2割ぐらいは再寛解導入がありますね。この薬剤は一応60%と非常に効 果があるということで、位置付けがはっきりしていると思うのです。メカニズムという のはどのぐらい検討されているのですか。要するにATRAが効かなくなっていると、 それはどういう耐性機構があるのかということは余りはっきり分かっていないだろうと は思うのですが、それで新規のレチノイドがなぜまた効くのか、その辺のところはどの ぐらいやられているのですか。 ○機構 どれぐらい正確かということは別なのですが、一応申請資料の中ではレチノイ ン酸のバインディングサイトの選択性が高いというアセスメントを申請者はしていま す。 ○池田部会長 薬剤の問題だけですね。ATRAが効かなくなったという耐性の機構は 分かっていない…。 ○機構 ATRAの耐性の機構は、このタミバロテンの議論の中では特に申請者とはや り取りしていません。一般的な内容のお話しかしておりません。 ○池田部会長 そのほかいかがでしょうか。現実には恐らく砒素ももう一つ選択肢にあ るということですから、医師の方は選択肢が増えるということで、慎重に使って寛解導 入の率が高まるということで有用だとは思います。非常に難しい疾患ですので、よろし いですか。 ○審議官 一つ教えていただきたいのですが、先ほど堀内委員から御指摘がありました 強い催奇形性の問題なのですけれども、本疾患は極めて患者の数が少なく、また入院し て投与ということで問題はないかとも思うのですが、例えば通常のPTP包装でそのま ま入院なりで処方された場合に、御家族やいろいろな方が何らかの原因でこの薬にエキ スポーズするような危険性はないわけではないですよね。実際それに似たような議論と いうのは、これは承認された医薬品ではありませんが、別の医薬品で議論されていると ころであります。したがって管理の問題というのもあるわけで、そういったことも含め て警告での注意喚起が一つの方法としてあるということを事務局で申し上げたわけなの ですが、こういった薬が使われるであろう姿から見て管理の問題というのは、何か第一 線の医療の方に注意するべき価値があるかどうか、どうなのでしょうか。 ○池田部会長 この警告の中に「入院環境で医師の管理下に置く」というのをわざわざ 書いたのは、恐らくその点があると思うのです。実は問題になっているサリドマイドも きちんと管理体制をはっきりさせるというステップスという仕組みができています。で すからそういう意味で厳重な管理が望まれるという格好にするのがいいのかなとは思い ます。これは外来では基本的には使わないという考え方ですね。 ○機構 寛解導入療法が対象になっていますので、恐らく実地医療でも入院環境だと思 います。 ○池田部会長 そうですね。大事なところだと思うのです。 ○土屋委員 入院環境ということであった場合は、総合的に医師の管理下なのですが、 具体的には薬剤師の管理をきちんとしておくとか…。また実際に調剤、薬剤部できちん と管理していても、今度病棟に出すときに特別な警告をきちんとしておかないと、与薬 時にほかの人に投与してしまうというヒューマンエラーは結構報告されているので、そ の辺についての配慮を少し考えておかないといけないのかなという気がいたします。 ○池田部会長 そうしましたら「入院環境で医師の管理下に置く」という所を、少し表 現を工夫しますか。 ○新薬審査第一部長 どういう理由で管理下に置くのかということがもう少し分かるよ うな、具体的な理由を書き込むということは一つやり方としてはあると思います。ただ いま審議官から御指摘がありました誤ってというようなことに関しては、製品のパッケ ージ表示の問題といったところに工夫の余地があるのではないかと受け止めています。 この点については、今日の御議論を受けて総合機構の方で申請者とどのような形のパッ ケージにするのかという具体的なものを確認しながら、できるだけ誤りの少ない形態を 目指すというふうに対応させていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 ○池田部会長 通常あるような包装ですよね。 ○新薬審査第一部長 これは製剤見本でございまして、最終包装形態そのものをお見せ しているつもりではありませんので、その点は御理解ください。ただ、確かにこういう 形態で安全を期しますというものをむしろきちんと確認した方がいいという御指摘と受 け止めさせていただきます。 ○池田部会長 今日はこれはよろしいですね。重要なことだと思いますが、よろしいで すか。 ○堀内部会長代理 これは入院している環境下でだけ使うのですか。要するに最大8週 間と書いてありますが、最近はなかなか8週間も入院はさせてくれない所が多いと思う のです。ですからある程度寛解してくれば通院ということは考えられないのですか。 ○新薬審査第一部長 専門協議の場においてその点についての議論もいたしましたが、 薬としては寛解導入をしてしまうと少なくとも投与する必要がないというものなので、 入院管理下で薬を出して退院できるような状態になったら、その後の寛解後療法という のをどういうものにするかというのは改めて考えることになるそうです。したがいまし て、現在のこの申請内容、承認内容では入院環境下で使われるということが絶対の条件 という理解になっております。ただし、今後この薬の治療の成果で更に寛解後療法にも 使えるというようなエビデンスが出てきますと、退院してから御自宅で使われると。し たがって院外処方せんで出るという事態が想定されます。これは確かにあり得ますので、 そのときのためにも安全確保をきちんとやることは大変大事であろうと私どもも考えて います。今回の申請については、寛解後療法はエビデンスがないので認めないというこ とにした関係上、寛解導入までの入院環境下で使うことが大原則ということに現在なっ ています。 ○土屋委員 そうすると、警告のところで「原則として」という言葉を入れる必要性が あるのでしょうか。 ○新薬審査第一部長 その点が議論の論点になりまして、まさしく微妙なところでござ います。寛解導入の最後期になったら家に外泊させるとかいうことがあり得るのではな いかという話が臨床的な現場の話としてはあると。ただし、そのときにこの薬を院外処 方せんで切られてしまうと管理上の問題が出てくる危険がぐんと高まることにはなると 思いますので、現在この薬については承認後は当分の間全例登録をして調査する形をと ります。その場合、やはり基本的には病院に納入され処方されたものをフォローすると いう形を想定しております。院外処方せんになって出ることは基本的にないというふう に企業とは協議をしているところでございます。 ○池田部会長 ということは、全例登録調査ですから一応搬入する医療機関との間でそ ういう面での覚書とか約束事を取り交して、そしてそこに入れて、そこからでないと出 ないという格好ですね。溝口委員、どうぞ。 ○溝口委員 原則でなくて全部入院であれば問題はないのかもしれませんが、皮膚科で は合成レチノイドを外来処方で使っています。そのときは再来で何度来た方でも副作用 が全部書いてある紙を出してもう一度読んでいただいて、合意書を取り交してその1枚 を渡していますので、御参考までに追加させていただきます。 ○池田部会長 ただいま御議論いただいた内容について企業の方ともう一度文書その他 を確認して進めていただきたいと思います。承認を可としてよろしいでしょうか。あり がとうございました。それでは薬事分科会報告とさせていただきたいと思います。  続きまして議題2に入りたいと思います。機構の方から説明をしてください。 ○機構 議題2、資料2、医薬品ルリコン液1%、同クリーム1%ほかの製造承認の可 否等について、医薬品医療機器総合機構より説明いたします。  ルリコナゾールは1995年に日本農薬株式会社により合成されたイミダゾール系抗真 菌剤です。1995年より日本農薬株式会社により非臨床試験が開始され、臨床試験につい ては当初バイエル薬品株式会社が、その後ポーラ化成工業株式会社が実施しています。 本剤の専門委員としては資料10にありますとおり大井委員、奥田委員、奥村委員、折笠 委員、林委員、秀委員、藤田委員、渡邊委員の計8名を指名し、御意見を賜りました。  臨床試験成績としては計11試験が評価資料として提出されています。  第III相試験は1%ビホナゾールクリームを対象として、足白癬に対する有効性及び安 全性を検討する目的で多施設共同無作為化並行群間試験が実施されました。その結果、 本剤群のビホナゾール群に対する非劣性が検証されています。また安全性についてもプ ロファイル、発現率ともビホナゾールと同程度であることが確認されました。以上より、 本剤は既存の外用抗真菌剤と比較し、特段に秀でた点は見受けられないものの、審査結 果の欄に記載のあります適応菌種、適応症に対し有効性が確認され、かつ安全性につい ても特段の問題点が認められないことから、本剤を承認して差し支えないと機構は判断 いたしました。  本申請は新有効成分含有医薬品であることから再審査期間は6年とすることが適当で あると判断しております。なお原体、製剤とも毒薬、劇薬には該当せず、また本剤は生 物由来製品又は特定生物由来製品には該当しないと判断しております。薬事分科会には 報告を予定しております。御審議のほどよろしくお願い申し上げます。 ○池田部会長 ありがとうございました。御質問お願いします。 ○溝口委員 足白癬に対する有効性に関しては問題はないと思うのですが、カンジダと 癜風に関して伺いたいのです。既存の薬剤より有効というためには既存の薬の効果の有 効性を示す必要があると思うのですが、ちょっとそのデータが見当たりませんので、こ れまでの市販薬でMICの高い有効性や動物実験のみで、やっていなくて認めている薬 剤があるかどうかを教えていただきたいのが一点です。  二点目は、45ページに市販後更なる情報収集を継続する必要があると専門委員がおっ しゃっていると書かれていますが、これをどのような方法でやるかお教えいただきたい のです。実は白癬もトリコフートメンタグロファイテスというのを対象にやっていまし て、臨床試験は有効率のパーセントは多いのですが、MICはすごく高いにもかかわら ず対象症例が少ないせいか統計学的な有意差が出ておりません。ヒト対象のin vivoに なるとin vitroの成績とは随分違う可能性がありますので、その点をお聞きしたいので す。 あと三点目は、現在皮膚カンジダ症に関する薬はいっぱいありますので、何か特 徴があったら使いたいと思っています。MICではなくて実際に早く治るとか、そうい う優れた点があるのでしたら宣伝にも使えるのではないかと思います。カンジダや癜風 はそれほどまれな病気ではないので、そこら辺がどうなっているのかちょっと疑問に思 いましてお教えいただきたいと思います。 ○池田部会長 いかがでしょうか。 ○機構 機構の方から御説明申し上げます。御質問のありました皮膚カンジダ症並びに 癜風についてですが、こちらは開発の途中から機構に対する治験相談等も実施しており まして、その当時の議論としては症例数が少なく比較臨床試験はなかなか困難であろう ということで、オープン試験による検討でもやむを得ないのではないかという結論に至 ったと聞いております。その旨も踏まえて、今回専門協議においても皮膚科の先生方の 御意見を賜りました。その結果、確かに外来、入院等で患者を診ている限り著しく少な い疾患ではないけれども、比較臨床試験をある程度の期間で実施しようとするには困難 かもしれないという御意見を頂いております。したがって、症例数が少ない疾患である ことをも踏まえ、私どもとしては組織移行性並びに起炎菌となる菌種に対するこのもの のMIC等から判断して、この薬剤の皮膚カンジダ症並びに癜風に対する有効性は確認 できたと判断しております。しかし先生から御指摘がありましたとおり、in vitroのデ ータ等だけではなかなか推測不可能な部分もあるのではないかという点も懸念がござい ましたので、市販後において更にデータを収集するようにと申し付けました。  具体的な市販後の情報収集の方法ですが、具体的には今後まだ申請者の方と詰めてい かなければならない点はありますけれども、特別調査などを組んでこれらの疾患を対象 とした調査を実施させる方向で指導したいと考えております。 ○溝口委員 最初の質問でございますが、今までに対象薬との優劣をしないで発売した 薬はあるわけですか。癜風は健常人がかかるものなのでどうでもいいのですが、カンジ ダは病人がかかることが多いものですから、安全性も含めてちょっと気になるところが あります。既存の薬剤と優劣を比較しないで許可をして発売した薬がこれまでにあるか どうかという点も併せてお教えいただきたいのですが、いかがでしょうか。 ○池田部会長 機構の方からいかがですか。 ○審査管理課長 私も余りはっきりとした記憶がないのですが、恐らく白癬菌での比較 はしていても、カンジダで比較をしている外用の抗真菌剤はなかったのではないかと思 います。今こういう外用の抗真菌剤のリクワイアメントなどはどうなっているのですか。 恐らくすべての疾患で比較をするというのではなくて、どれか1本は比較してほかはオ ープンでという取扱いだと思いますが。 ○新薬審査第一部長 詳細な過去の外用抗真菌薬でどのような規模での比較試験をやっ ているかというのはもう一度精査をし、後日先生の方に御報告をしたいと思います。一 応この審査報告の37〜38ページに、どういうように既存薬と比較考察をしたかは書いて あります。38ページの中ほどにある「近年承認された7剤(ラノコナゾール、アモロル フィン、テルビナフィン、ネチコナゾール、ケトコナゾール、ブテナフィン、ビホナゾ ール)」の類薬の臨床成績と、オープンラベルですが、今回の第III相試験の成績を比較し た、いわゆるヒストリカルなデータの比較を行って、遜色はないだろうということで評 価をしていると。こういう形でやっていることはやっているのですが、逆にこれら7剤 の中でカンジダについて、例えばビホナゾールとの比較試験をやっているものがあるか どうかということは正確に確認して御報告させていただきます。 ○溝口委員 恐らく効果はあるだろうと思うのですが、今までの薬のことを全部知って いるわけではないのですけれども、MICできちんと有効でも既存の薬に敗れたために 効能・効果にカンジダを書けないでいる薬があることを知っているものですから、今ま でのことと不公平にならないようにということでお伺いしてみましたので、よろしくお 願いします。またこのカンジダに限らず白癬菌全体に言えることなのですが、オープン ラベルの試験というのは非常に微妙で、夏にやられることが多いと思うのですが、湿度 なども関係しましてとても微妙な環境が作用します。私は真菌が専門ではないのですが、 かつてのボスが真菌の専門でいろいろな治験をやっていたものですから、そのときの耳 学問で言っているので申し訳ありませんけれども、よろしくお願いします。 ○新薬審査第一部長 評価をするに当たっては医真菌学会の「外用抗真菌薬の臨床評価 ガイドライン(案)」が公表されていましたので、その考え方を踏襲し、現時点で入手可 能なデータを基礎と臨床併せて評価、整理したものでございます。それと若干追加です が、本剤に関しては旧医薬品機構における治験相談で何度か相談した際には、類薬に比 べて効果の発現が少し早いのではないかという期待を持って開発を進めていたことは事 実でございます。そのために2週間のところを1週間でといった短期の塗布で同じよう な有効性が出るか、あるいは更に上回る有効性が出るかというようなことをこの開発の 過程でやってまいりました。  ただ、その試験成績について皮膚科の専門家の専門協議の際に御意見を伺った限りで は、これだけで効果の発現が早いと確信できるようなデータにはまだなっていないとい うことでした。一応短期塗布でやっても既存のビホナゾールと大体同じぐらいの効き目 が出そうだという手応えはあるものの、それをはっきり示したというほどのデータには なっていないと。開発のコンセプトとしてはそういうことがありましたが、まだ十分な エビデンスに至っていないこともあり、今後さらにデータの蓄積が必要というような御 意見になったというのが先ほどの御指摘の点についてのお答えの一部になると思いま す。 ○池田部会長 よろしいでしょうか、そのほかにはどなたか。折笠委員、どうぞ。 ○折笠委員 これは第III相でビホナゾールとの試験が単盲検になっていますね。こうい うのはどうなのですか。今までも二重盲検ではなくて単盲検で…。 ○新薬審査第一部長 どうしても製剤が違いますので、盲検にかけることには無理でご ざいます。外用剤の場合当然それぞれの製剤の基剤の造りが違っているものですから、 ダブルブラインドにしようと思ってもダブルダミーが使えませんので、実際に二重盲検 と称してやってもそれはなっていないと。ですからむしろ正直に単盲検と書けと、そう いう経緯があります。 ○堀内部会長代理 この抗真菌剤はたくさん出ていて、イミダゾール系のものもたくさ んあるのですが、これの位置付け、先ほどの報告ではほかのものと遜色がない、同程度 ということですが、何か特徴はあるのですか。 ○新薬審査第一部長 最初のプレゼンでも申し上げたように、正直に申しまして変わり はないというところまでしか今のところ出ておりません。ただ開発のコンセプトとして は、効果の発現が少し早いということを期待できるという開発の進め方はしています。 ただそれが実証できるところまで行ったかというと、それにトライできるような実施可 能なデザインの試験をやりましたが、その結果だけで効果の発現が早いと断定できるほ どのものにはなっていないのが現状ですので、私どもとしては、この薬については現時 点で既存の薬剤と同等以上、以上といっても以上の部分は全然分からないのですが、要 するに劣らないということが示された点で承認にはいけるだろうと。ただ医療の現場に おける位置付けは、更に今後のデータの蓄積が必要になると正直に申し上げるしかない という状況です。 ○池田部会長 よろしいですか。そのほかにございますでしょうか。そうしますと、こ の効能・効果、適応も一応今の時点ではこのままにしておいてということになりますで しょうか。溝口委員、白癬、カンジダ、癜風はよろしいですか。 ○溝口委員 よろしいかと思いますが、市販後の調査をやってもし劣っていたらどうす るのですか。変なことを聞いて申し訳ありませんが、特に真菌に関しては結核と同じよ うに専門の皮膚科医がどんどん高齢化していて、本当の専門家の数が減ってきてほとん ど引退していますので、そういうこともあっていろいろ懸念されることが多いのですが、 そういうことは考えられないということでしょうか。 ○審査管理課長 もし市販後に得られたデータで有効性が確認できない場合は、今日頭 の方でやっていただきましたように再審査で効能が削除されるとか、そういうことにな ると思います。 ○溝口委員 有効ではあると思うのですが、最近はダブルでやらないのですか。分かっ てしまうということもあるのですが、昔は何とか似たようなものでダブルをやっていた こともあるのですが。分かりました。もしそうであれば再審査で引っかかってくるとい うことであればよろしいかと思います。 ○池田部会長 ただいまいろいろ御議論いただいて、まだ市販後の調査を具体的にどう 展開するかということについては最終的に煮詰めていないようですので、今日の議論を 踏まえて企業の方と話をしていただきたいと思います。それでは、よろしければこれも 承認を可として、薬事分科会報告とさせていただきたいと思います。  それでは議題3に入りたいと思いますので、機構から説明してください。 ○機構 議題3、資料3、医薬品ブイフェンド錠50mgほかの輸入承認の可否等について、 医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。ボリコナゾールは英国ファイザー社で 合成されたトリアゾール系抗真菌薬であり、既存のフルコナゾール(商品名ジフルカン) 同様、真菌エルゴステロール生合成を阻害することにより抗真菌活性を示す薬剤です。  海外においては1981年より開発が進められ、2005年1月現在69か国において承認さ れています。本邦においては1996年9月より第I相試験が開始され、計8試験が実施さ れています。本剤の専門委員としては資料10にありますとおり、荒川委員、伊藤委員、 上原委員、奥村委員、折笠委員、谷本委員、戸塚委員、林委員、前崎委員、山手委員、 渡邊委員の計11名を指名し、御意見を賜りました。  臨床試験の成績としては、七つの国内第I相試験、一つの国内第III相試験、及び海外 試験の総計68試験が提出されました。国内第III相試験は深在性真菌症に対する本剤の有 効性及び安全性の検討を目的に多施設共同試験として実施され、総合臨床効果で76.9 %、真菌医学的効果で78.6%の結果が得られています。副作用は78.0%に認められ、主 なものは視覚障害、肝機能検査値異常などでした。  提出された試験成績より、本剤は既存の抗真菌薬により有効性が期待できなかったフ サリウム属、スケドスポリウム属等に対し有効性が認められていることから、本剤を承 認して差し支えないと機構は判断いたしました。しかし非臨床試験並びに国内外の臨床 試験成績より、本剤には視覚異常、肝機能障害、痙攣、心リズム系障害などの副作用が 懸念されることから、その使用には慎重を期すべきであり、リスクとベネフィットを熟 考した上で、これらの副作用の発現を念頭に置き十分なモニターを行うなど、細心の注 意を払う必要があると考えています。  なお、肝機能障害等の副作用については血中濃度の上昇に伴いその発現率が上昇する 傾向が認められており、申請者はトラフ血中濃度を4.5μg/mL以下に維持すべきと述べ ていましたが、機構における審査の結果、血中濃度の上昇に伴い肝機能障害発現率が上 昇する傾向は認められるものの、現段階では4.5を閾値とする根拠は乏しいと判断いた しました。また本剤に対するMICは適応菌種間で大きく異なるため、有効性の観点か らブレークポイントMICの設定等も必要であると考えています。よって、本剤の血中 濃度については市販後にさらなる情報収集をすべきと考え、その旨を申請者に指示しま した。申請者よりこれに対して市販後において検討する旨の回答を得ております。  本申請は新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は6年とすることが適切 であると判断しております。なお原体、製剤とも劇薬に該当し、また本剤は生物由来製 品又は特定生物由来製品には該当しないと判断しています。薬事分科会には報告を予定 しております。御審議のほどよろしくお願い申し上げます。 ○池田部会長 ありがとうございました。ボリコナゾールですが、御質問をお願いした いと思います。国内の第III相試験で100例、安全性評価対象100例で一応評価されたと いうことでございますけれども。堀内委員、どうぞ。 ○堀内部会長代理 薬物動態との関連ですが、このボリコナゾールは主としてCYP2 C19で対処されると。それ以外に2C9とか3A4などというような酵素で対処される わけです。添付文書の12ページに表が出ていますが、御存じのように特に2C19のpoor metabolizerの血中濃度は極めて高くなっているわけですね。副作用発現の閾値がどの ぐらいか明確ではないといいますが、一応4.5μgということになるとかなり高い値にな るわけで、この2C19のpoor metabolizerというのは日本人では約20%いるわけです。 ところが、どれを禁忌にするかというデータは外国からのデータだけでやっているので はないかと思います。20%いる2C19のpoor metabolizerをどう考えるか、5分の1 の人がなるのでこれは大事なことではないかと思うのです。したがって、これについて は治験などもpoor metabolizerと分けて組んであるのがあると思うのですが、結果につ いては余りはっきりしたことが書いていないですね。薬物動態や有効性というか副作用 の発現だとか、それについてのデータはきちんとしているのでしょうか。 ○機構 機構における審査の過程においても、日本人において2C19のpoor metabolizerが多いことをどのように安全使用の方から考えていくかという点について 議論を重ねました。その結果、最近では2C19のpoor metabolizerか否かということ が従前よりは比較的簡単に測れるようになってきたことですとか、またこのものにおい てはTDMを推奨していこうということがありますので、TDMという形で異常に血中 濃度が上がっている患者さんについてはすぐに投与量を減量するなどといった形でも調 整をしていくことができるのではないかと考えました。相互作用等については先生御指 摘のとおり海外データに基づくもので、poor metabolizerにおける相互作用については 特にデータは提示されておりません。 ○堀内部会長代理 海外ではpoor metabolizerが少ないですから、2C19に対する相 互作用なるものというのは余り考慮されていないと思うのです。その辺は海外とは違っ て、日本人というか東洋人としての場合ですと、きちんと考えなければいけない問題だ ろうと思います。その辺を今後きちんとしていただきたいということ。  それから、今のお話でTDMを重視してやるということ、これは本当は遺伝子だけ見 ればいいのでしょうが、その前段階としてはいいことだと思いますけれども、添付文書 のその他の注意のところには「必要に応じて投与量を減量する血中濃度モニタリングを 実施した」という治験のやったことが書いてあるような形で、これだとTDMをきちん とやるべきであるという話にはなっていないように思いますが、いかがでしょうか。 ○機構 TDMに関しては、添付文書の5ページの用法・用量に関する使用上の注意の ところにTDMをすることが望ましいという形で記載しています。 ○堀内部会長代理 分かりました。 ○池田部会長 そのほか、いかがでしょうか。 ○堀内部会長代理 最近は遺伝子多型が20%いるわけですから、それについても言及し たらいかがですか。これが測れるところと測れないところがあることは十分分かってい ますが、それをある程度推奨するという形にしていかないと、いつまでたっても進まな いだろうと思いますが。それから外注でも当然測れる…。 ○池田部会長 外注で測れますね。 ○新薬審査第一部長 測れることはもうかなり前から分かっています。例えばSRLと いった大手の検査所で1週間ぐらいで遺伝多型は分かると。ただそこで出てくる遺伝子 レベルでこうだという話と、実際の血中濃度の関係でどれぐらいきれいに対応するのか という部分は、実を言うともう一つクッションがあるということもございます。それで 私どもとしては、この添文の中にPM、EMの具体的な濃度のデータを載せるという形 で現場の、特に薬剤部の専門家に情報が伝わって、適切な服薬指導あるいは処方医との 協議がされるようにということで仕組んだわけでございます。ですから治療に当たって PM、EMの遺伝子型を確認し、それによってアプライオリーに用量を調整するところ までいけるかどうかは今後のデータの蓄積の中で判断をしていきたいというのが今の考 えでございます。  というのは、先ほども言いましたようにトラフ濃度の有効性が出るところと危険性が 出てくるところと、この辺りのメルクマールがまだはっきり分かっていないものですか ら、そこの情報も考え合わせてPM、EMの違いを判別することが臨床的にどれくらい 利益があるのかということにきちんとつながってくるところまでのデータをなるべく集 めてから書きたいと考えている次第です。 ○堀内部会長代理 そうすると12ページの図はどうなりますか。これはかなり高濃度の extensive metabolizerと比べると3倍ぐらい高い血中濃度になりますね。AUCも全 然違う。先ほど報告がありましたように、大体4.5μg/mLぐらいのところで肝障害が現 れる一つの目安になるだろうと。確かに厳密にいったらその辺は明確ではないという話 がありますが、これははるかに超えているのですね。 ○新薬審査第一部長 いえ、トラフ値の話ですので。反復投与した場合にトラフレベル が4.5を超えてくるかどうかというところについては、そういうデータを更にとらない ときちんと分かってこないと。 ○堀内部会長代理 しかしもしそうだとすれば、それは発売の段階でとっておくべきこ とではないのですか。TDMのデータがきちんとしていない、患者がいないわけではな い、20%もいるわけですから、とっておくべきではないかと思いますが、いかがですか。 ○新薬審査第一部長 本剤の特性として、審査報告にもはっきり書いておりますが、毒 性の発現閾がかなり低いところから出るということが分かっていまして、健常人でその ような試験をやることについては少しヘジテイトするところがあります。単回投与のこ の試験をやったところも、かなりよくやったなというところがございまして、実際には 患者さんで計るしかやりようがないのかなというところが実はジレンマなのです。現状 で、本剤を使うような重篤な真菌感染症の患者さんというのはもともと適応も非常に限 定しておりまして、通常の抗真菌薬を使っても駄目なケースのときにだけこれを使いま しょうと絞っているものですから、そのような患者さんの反復投与での血中濃度のデー タをどれぐらいきちんとしたデータとして提示、集積できるかというところが課題にな っているところでございます。できれば承認前にそういうクリアなデータを提示したい ところですが、現状ではこの単回投与のデータが一番きれいなデータとしてありました ので掲載したという事情がございます。 ○堀内部会長代理 しかし、これを逆に臨床の現場で使うと実際上は分からない状態で 使い始めることになるわけですね。ですから、そういう面ではなお危なくなってしまう のではないかと思いますけれども。今後の問題としても、特にCYP2C19とか2D6 などの日本人で比較的多い遺伝子多型を持っているもので、それがメインの代謝酵素に なっているような薬物についてはきちんとチェックをするような方向にしていかない と、やはり20%に副作用が起こる可能性が高いというのは、私は多いと思うのです。で すから今回についてはあれですが、その辺については是非御検討いただきたいと思いま す。 ○池田部会長 重症あるいは難治性真菌感染症というのは一般の病院でもしょっちゅう あるわけではなくて、かなり高度医療をやっているような限られた施設に多いわけです から、その点要求はできますよね。ですからなるべくハードルは高くしてもいいのかな という気は、私もしますけれども。そのほか、いかがですか。溝口委員、どうぞ。 ○溝口委員 非常に重症な難治性の真菌感染症に使われるということで、例数は少ない のかもしれませんが、トリアゾール系抗真菌剤ですので、外国でも使っているのでした ら、フルコナゾールとかイトリゾールとか、いろいろな抗真菌薬がありますが、それで 肝障害やいろいろな副作用があった人に効かないからといってこれを使って、同じよう な障害が出てきたというような報告があるのでしょうか。もしそうだったら、そういう のを起こした人にこれを使うと、真菌には効くかもしれませんが、ほかの副作用が出て きてしまったというようなことがあるかと思うので、そういう注意をするようなことは 外国では言われていないのでしょうか。データがおありでしたら教えていただきたいの ですが。 ○機構 機構より御回答申し上げます。特に他のトリアゾール系抗真菌薬において、肝 機能障害等の副作用が出た患者に対してこれを使用してどうであったかということにつ いては、特に注意喚起等は今のところなされていないようですが、データとしてそうい うものはないかどうかを申請者の方に確認し、データがあれば適切に対応させるように したいと思います。 ○池田部会長 そのほか、いかがですか。このもの自体は海外で非常に幅広く使われて いるものですが、やはり我が国でpoor metabolizerが多いという点が一番のポイントで すので、その点についての配慮を十二分にするほど十二分にしていただきたいというこ とだろうと思います。土屋委員、どうぞ。 ○土屋委員 些末な話なのですが、アメリカの添付文書を見ると、溶解後もし使わなか ったときは2〜8℃で保存していれば24時間はきちんと保証しますということが書い てあります。こちらは速やかにと言って…。実はそのようなケースは余り考えたくない のですが、現場として見るとそれでもう使えないのかなどといった話が結構あるもので すから…。その場合これを見ると普通室温保存となっていますので。我々から見たら常 識ではあっても、病棟などでは必ずしも通じないのが昨今なものですから。余り表に出 したくないというのは、気持ちとしては私どもも実はそうなのですが、こういうことを やれば使えるというときには添付文書になることは親切だという気はするのですけれど も、そういうことについてはいかがでしょうか。 ○新薬審査第一部長 基本的に本剤は海外のいろいろなエビデンスが頼りになるという ところもありまして、大詰めの段階でも米国における添付文書の記載内容とできるだけ 日本の添付文書のフォーマットに合わせた格好ではありますが、内容的には整合をとれ ということで整備をしてまいりました。その結果として今こうなっている状況でござい ます。そういう意味で、こういう処方欄に書いてあるきめ細かな使い方についての情報 を添付文書で書くのがいいかどうかは、ちょっと考えさせていただきたいと思います。 ただ現場への情報提供として個別に対応するようなことを企業に対して依頼したいと思 いますが、いかがでしょうか。 ○土屋委員 今インタビューフォームとかそういう何らかの形で医療機関の方に情報提 供をしておくことはやはり必要かという気がします。 ○池田部会長 ありがとうございます。よろしいですか。もし特になければ、ただいま の議論、特にCYP2C19の問題を含めて対応していただくということを条件に承認を 可として薬事分科会の報告とさせていただきたいと思います。ありがとうございました。  それでは議題4に移ってください。 ○機構 議題4、資料4、医薬品エムトリバカプセル200mgの輸入承認の可否等につい て、医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。本剤については、当部会の資料発 送後にすべての抗HIV薬を対象とした乳酸アシドーシス並びに免疫再構築症候群に関 する記載が整備されたことを受け、本日資料4-2として最新の添付文書案をお示しして います。 本剤は米国ギリアド・サイエンシズ社により合成された核酸系逆転写酵素阻 害剤であり、米国のほか欧州など32か国でHIV-1感染症の治療薬として承認されて おります。本邦においては、日本たばこ産業株式会社が申請を行っています。  本剤は平成10年11月12日医薬審1015号「HIV感染症治療薬の製造又は輸入承認 申請の取扱いについて」に基づいて申請された品目であり、本邦での臨床試験などは実 施されておらず、申請資料としては米国への申請資料と同じものが提出されています。  本剤の専門委員としては、資料10にありますとおり、伊藤委員、上田委員、大野委員、 奥村委員、折笠委員、菅野委員、木村委員、白阪委員、高木委員、根岸委員、能美委員、 広瀬委員、檜山委員の計13名の委員を指名し、御意見を賜りました。  本剤の特徴といたしましては、血中半減期及び細胞内半減期が長いことから1日1回 投与で効果が得られること、他の薬剤と比較して薬物相互作用を起こす可能性が低いこ と、食事の影響を受けないことという点が挙げられています。  機構は提出された資料について審査を行った結果、本剤の有効性、安全性は既存のラ ミブジン製剤と同様であるものの、1日1回投与で効果が得られるなど先に申し上げた 特徴を有することから、日本人における安全性、有効性については市販後調査において 検討が必要であると判断するものの、審査報告書にあります承認条件を付帯した上で本 剤を承認して差し支えないものと判断いたしました。  本剤は希少疾病用医薬品であることから再審査期間は10年とすることが適当である と判断しております。なお本剤は原体、製剤とも劇薬に該当し、生物由来製品又は特定 生物由来製品には該当しないと判断しています。薬事分科会には報告を予定しておりま す。御審議のほどよろしくお願い申し上げます。 ○池田部会長 ありがとうございます。それでは御質問、御審議をお願いしたいと思い ます。逆転写酵素阻害剤で、1日1回経口投与ということで、薬物の相互作用、食事の 影響は多少少ないと…。現在一応は米国、欧州など32か国で使われているという抗HI V薬ですが、いかがでしょうか。  「これら肝疾患を発現する危険因子を有する患者においては注意すること」というの は難しい表現なのですけれども、具体的にはどういうことですか。「これら」と書いて ありますが。要するに、検査値に異常があるような患者さんはという意味ではないので すよね。「肝疾患を発現する危険因子を有する」という表現はどういう書き方ですか。 ○機構 ここのところが先ほど冒頭に申し上げた今回抗HIV薬で追加されたもので、 詳細について確認した上でお答えしたいと思います。 ○池田部会長 そうですね。ちょっと分かりにくい表現で、何を意味するのかと思って しまいました。堀内委員、どうぞ。 ○堀内部会長代理 本剤は、抗ウイルス作用というのはHIVに特異的なのですか。 ○機構 特異的ではございませんで、例えばB型肝炎ウイルス等に対しても抗ウイルス 効果があることが確認されています。したがって、B型肝炎を合併するような患者には これを何らかの理由によって中断した際にB型肝炎の方が悪化する危険性等もあり、注 意喚起を払う必要があるということから、今回警告欄にB型肝炎を合併する患者に対す る警告を記載しております。 ○池田部会長 これもちょっと難しい書き方ですね。こういう薬剤は確かにB型肝炎に も使いたくなることがありまして、実際に臨床では非常に大変な患者に対しては使って いますよね。「本剤はB型慢性肝炎に対する適応を有しておらず、HIV感染症とHB V感染症を合併している患者に対する有効性及び安全性は確立していない。本剤投与中 止後にB型肝炎が重度に急性増悪する恐れがあるので、本剤の投与を中断する場合には」 …。この警告欄のところは何か前半の文章が非常に分かりにくいですね。何を言おうと しているのかというのは推測すれば分かりますが、文章としては非常にまずいです。 ○新薬審査第一部長 苦しい現状がございまして、まだB型肝炎の方の開発をやってい る最中で、正式にB型肝炎に効くとはなかなか言えないところがあるということをまず 言っているものですから、そこからややこしくなっているということだと思います。基 礎的にはB型肝炎ウイルスに対する抗ウイルス作用が明らかにありますので、欧米でも B型肝炎合併の患者に対する注意はワーニングとして書かれているものですから、これ はこちらでも反映させなければならないということで、何らかの記載を入れなければい けないということでやった結果こういう状況になっています。ただ、確かに御指摘のよ うに意味がよく分からないと…。 ○池田部会長 分からないですね。ここで言いたいことはHIV感染症とHBV感染症 を合併している患者で、本剤投与を中止するとB型肝炎が悪化する可能性があるから気 を付けろと。そこだけを言っておけばいいという気がするのですが、どうでしょう。今 説明してくださったのと同じように、そういうことですよね。実際にそういうことはあ りますので。 ○新薬審査第一部長 分かりました。 ○池田部会長 そのほか、いかがですか。土屋委員、どうぞ。 ○土屋委員 次のものもそうなのですが、主要文献が米国添付文書となっているのはち ょっとまずいと…。添付文書は文献とは言わないですね。 ○池田部会長 これはちょっとまずいですね。添付文書は文献と言わないです。 ○機構 文献の部分については、公表文献等がないかを確認した上で適切に対応させま す。ありがとうございます。 ○池田部会長 ちょっとこれは余りにもお粗末ですね。そのほか、いかがですか。これ 自体はこれまでの経緯からいって抗HIV薬という格好で承認するには十分なエビデン スを持っているということですが、ただいまの幾つかの点を指摘して、訂正していただ くということでよろしいですか。それでは承認を可として、これも薬事分科会の報告に させていただきたいと思います。ありがとうございました。  それでは議題5に移りたいと思いますので、お願いします。 ○機構 議題5、資料5、医薬品ツルバタ錠の輸入承認の可否等について、医薬品医療 機器総合機構より御説明申し上げます。本剤についても先ほどと同様の理由により、資 料5-2として改訂添付文書案をお配りしています。本剤は、ただいま御審議いただきま したエムトリシタビンと同じく核酸逆転写酵素阻害剤であるフマル酸テノホビルジソプ ロキシル、こちらは以前この部会で審議いただきましたビリヤード錠になりますが、こ の二つの成分を配合した製剤です。本邦においては先ほどと同様、日本たばこ産業株式 会社が申請を行っております。  本剤は、米国においては米国保健福祉省(DHHS)が公表した抗HIV薬の固定用量 配合剤の迅速審査方針に基づき迅速審査とされ、2004年8月に米国で承認されていま す。なお、審査報告書を確定した段階では欧州における承認は得られておりませんでし たが、今日現在欧州においても承認が得られたことを確認いたしました。  本剤の専門委員としては、資料10にありますように、伊藤委員、上田委員、大野委員、 奥村委員、折笠委員、菅野委員、木村委員、白阪委員、高木委員、根岸委員、能美委員、 広瀬委員、檜山委員の計13名の委員を指名し、御意見を賜りました。  本邦における申請資料としては、先ほどのエムトリバカプセルと同様の通知に基づき 米国への申請資料が提出されています。本剤、すなわち合剤による臨床試験は実施され ておらず、提出された試験はいずれもエムトリシタビン製剤とフマル酸テノホビル製剤 の併用により実施されています。しかしながら審査報告書の6ページ中ほどに記した理 由から、併用による試験成績をもって合剤である本剤の有効性、安全性の評価は可能で あると機構は判断しました。  機構は提出された資料について審査を行った結果、有効性、安全性について問題とな る点は見受けられないこと、合剤とすることにより服用錠数が減少でき、アドヒアラン スの向上が期待できることから、日本人における安全性、有効性については市販後調査 において検討が必要であると判断するものの、審査報告書にあります承認条件を付帯し た上で本剤を承認して差し支えないものと判断いたしました。  本剤は希少疾病用医薬品であることから、再審査期間は10年とすることが適当である と判断しています。なお本剤は劇薬に該当し、生物由来製品又は特定生物由来製品には 該当しないと判断しております。薬事分科会には報告を予定しております。御審議のほ どよろしくお願い申し上げます。 ○池田部会長 ありがとうございます。これは合剤ということですが、先生方に御議論 いただきたいと思います。薬物作用としては相互作用はない、合剤にしてあるのでアド ヒアランスがいいからという、その点でございます。ただしこの合剤での試験はないと。 田島委員、どうぞ。 ○田島委員 素人でよく分からないのですが、議題4のエムトリシタビンも1日1回1 錠で、またツルバダ錠、この合剤が1日1回1錠としますと、これでアドヒアランスが よくなるということは積極的に支持できるような内容ではないように感じますが、その 辺のところはいかがなのでしょうか。つまり、合剤というのが飲む回数も少なくなると いうような利点があることはよくほかの国から頂く文書にも書いてありますけれども、 それと同じようなことが…、これは1日1回、前のも1日1回、そこら辺のところがど うも余りよく理解できない部分がありますので、教えていただきたいと思います。 ○機構 実際に臨床試験等においてアドヒアランスの向上自体は確認されていません が、抗HIV感染の治療の場合薬剤が複数併用されることがHAARTによっても推奨 されておりますので、やはり多数の、しかも抗HIV薬の場合1号カプセルや打錠して ある錠剤でもかなり大きいものが多く、そのまま飲めないという患者もいるような状況 かと存じます。そのような状況においては、投与回数は減らなくても、服用錠数が減る ことによって飲むことに対する負担がかなり軽減されるのではないかと考えています。 ○田島委員 よく分かりました。 ○池田部会長 しかし、これは大きくて飲みにくそうですよね。その辺の議論はあった のですか。 ○機構 抗HIV薬をよく見ていらっしゃる先生方に伺いますと、合剤にするとやはり 個数が減って飲みやすくなると言う患者と、大きさが大きくなるので飲みにくいから個 数は多くても小さい錠剤にしてほしいと言う患者と両方いらっしゃるそうで、そういう 意味では患者のニーズに合ったスタイルで投与できる、チョイスが幾つもあるというの はいいことかと考えざるを得ない状況かと思います。 ○田島委員 ありがとうございます。納得いたしました。 ○池田部会長 そのほか、いかがでしょうか。土屋委員、どうぞ。 ○土屋委員 些末な話なのですが、いつもこの種の薬で海外のものというのは、どうし ても30錠包装と。入れ目を処方するという国と我が国のような保険制度で日数に縛りが あって出す所とは多少違うわけですね。先ほどのものも全般的にそうなのですが、結局 デッドストックの問題などがありますので、恐らくかなり高価な薬価が付くものについ てこういう端数が出るようなことがあり得るものですから、そういったことについて我 が国の制度に合った包装単位を考えてもらえないだろうかという話が薬局等からかなり くるのです。是非そういうことについてお考えいただきたいとメーカーの方にお伝えい ただきたいと思います。 ○審査管理課長 それにつきましては医政局の経済課が流通段階での包装単位等の指導 を行っていますので、そちらの方にも出しておいていただきたいと思います。もちろん 私どもの方からも企業に働きかけはいたしますが、こういう患者の少ない疾患の場合エ クストラの包装単位を作るかどうかというのは企業にとっても腰が重い部分があるかと 思いますが、いろいろなところから働きかけはしてみたいと思っています。 ○土屋委員 私ども薬剤師会の方から、もっと元の所へもいってこいなどという話もあ ります。ただやはりせっかくチャイルドプルーフの容器とかそういうものといっても実 際は…、海外はこのままということがあるのかもしれませんが、日本の場合はそういう ことは余りないので、その辺も含めて難しいところがあるものですから、是非そういう ことも考えていただきたいと思います。 ○堀内部会長代理 今の問題と関連して、薬価算定のときに審査報告書が付いてくるの ですが、薬の資料としては審査報告書と添付文書だけなのです。それでここで議論した 内容は全く入ってこないものですから、それでもってどういう位置付けの薬で薬価をど うするか、加算をするかどうかということまで素人が評価をしなければいけないという ことになるわけです。ですから今のような理由も含めて、ここであった議論なども含め て送っていただければより正確な判断ができるのではないかと思いますので、是非お願 いしたいと思います。 ○審査管理課長 資料が余りにも多くなると、また…。 ○堀内部会長代理 ここでの議論をプラスするだけですから、それほどにはならないと は思いますが。 ○審査管理課長 一応事務局ベースでは、担当の課の方にはこの審議会での資料は渡っ てはおりますが、各先生方の御希望によってはそういう対応も考えてみてはどうかとい うことで伝えておきたいと思いますが。 ○堀内部会長代理 承認審査のときにいろいろな意見が出ていると思うのですけれど も、ここでの議論が全く伝わっていないということは確かなのです。審査報告書しか出 ていない…。 ○審査管理課長 できるだけそういうことがないように心掛けているつもりではありま すが、そういう御指摘を受けないように事務局レベルでの情報伝達等をきちんといたし たいと思います。 ○池田部会長 そのほか、いかがでしょうか。ちなみにこれはFDAで承認されてから 使用量は少し減ったのですか。そういうデータはまだ分からないですか。半年ぐらいで すね。 ○機構 そういうデータはまだ入手できておりません。 ○池田部会長 そのほか、いかがですか。よろしいでしょうか。特にございませんでし たら、このツルバタ錠も承認を可として薬事分科会報告とさせていただきたいと思いま す。ありがとうございました。吉田委員には大変申し訳ないのですが、先生がいらっし ゃる前に既に報告事項はこちらの方で済ませてしまいましたので…。 ○審査管理課長 こちらの報告の前に、先ほど御審議いただいた品目の中で一点だけ確 認させていただきたいと思います。先ほどボリコナゾールについて薬物代謝酵素の活性 の測定で、薬物血中濃度のモニタリングが望ましいというのは書いたのですけれども、 薬物代謝酵素の測定についてもできるだけ反映させるような方向でという御指摘がござ いました。それにつきましては一応中長期的にその方向で少し事務局で検討しろという 御指示だと受け止めてよろしゅうございますか。 ○池田部会長 それでよろしいですよね。中長期的というとどのぐらいのことを言うの か、長期というのが入ってもらっては困るのですが。できるだけ早くそういう体制を整 えることが必要だと思います。 ○審査管理課長 仮に薬物代謝酵素の活性を測定して代謝能を測定した上でないと使え ないという形になりますと、保険診療上そこの検査の部分の話とかそういうものが絡ん でまいりますので、できるだけ急ぎたいとは思いますけれども、短期的に対応できない 場合には混合診療の話とか変な話が出てきてしまいますので、そこについてはできるだ け先生方の御指摘を踏まえて検討はさせていただきます。場合によって検査の方につい ては望ましいという形でまず進めて、検査がその後保険とかにされればやってもらうよ うにするとか…。 ○池田部会長 今の時点では20%もpoor metabolizerがいるという事実と、それから やはりTDMをきちんとやっていただくということで、多型を見ることが望ましいとい うようなそういう書き方にしないと。 ○審査管理課長 多型を見るのも検査が保険では採用されているのかどうかの確認も必 要かと思います。 ○池田部会長 されていないと思います。 ○審査管理課長 そことの関係がありますので。 ○堀内部会長代理 TDMについても同じですね。これ自体は入っていないと思います。 ○審査管理課長 TDMは恐らく入っていませんが、TDM自体は薬剤の追加というこ とでそれほど新しい検査項目という形ではないのかと思いますが、それも保険の部局と の調整は必要かと思いますので。 ○堀内部会長代理 先ほどの報告を見ると、HPLCでやること自体が固相法でやって ディテクターが限られているとか、かえって難しいような話があって、どこでもできる という測定ではないように思いましたが。かえって遺伝子多型をやった方がいろいろな ところでできるのではないですか。 ○審査管理課長 ここでの御議論を踏まえて検討させていただくということで御了解い ただければという趣旨で、その確認でございます。 ○池田部会長 遺伝子多型が臨床的に明らかに意味が出てくるようなものは、それに関 連した格好でやはり常に議論をするということで、その多型を測ったら保険が付くとか 付かないなどという考え方は難しいと思いますね。この状況でこれを測ることが意味が あるとか、どうしてもそういう格好になるでしょう。その多型の検査そのものに。今だ とそうですよね。 ○審査管理課長 恐らくこの薬を使う前にという形になるのだろうと思いますが。 ○池田部会長 そういう格好でしょうね。それをこれからも議論されていかなければい けないだろうと。今この時点でそれを決めるわけにはいかないと思いますが。 ○審査管理課長 そういうことでの検討をさせていただくということで、御了解いただ ければと思います。 ○池田部会長 よろしいですか。それでは最後の説明をお願いします。 ○事務局 最後に当部会で御審議いただきました新薬の承認につきまして報告させてい ただきたいと思います。昨年11月26日と今年の1月21日にこの部会で御審議いただき ました抗がん剤併用療法のいわゆる第1バッチ分ですが、今お配りしたカラーの図の一 番右端の「平成16年11月29日付承認」と書いてある下に水色の部分がありますけれど も、この部分が今年の2月14日付で承認いたしておりますので御報告したいと思いま す。  それから次回のこの部会の日程ですが、4月28日木曜日の午後2時からとなっており ますので、よろしくお願いいたします。以上でございます。 ○池田部会長 ありがとうございました。先生方よろしいでしょうか。特に御質問がな ければ、これをもって本日の部会を終了させていただきたいと思います。それでは遅く までどうもありがとうございました。 ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 審査管理課 課長補佐 佐藤(内線2734) - 1 -