05/02/24 第1回「健やか親子21」推進検討会議事録           第1回「健やか親子21」推進検討会議事録           日時:平成17年2月24日(木)10:00〜12:00           会場:航空会館501・502号室  苗村課長  おはようございます。委員の先生方におかれましては、朝早くから検討会にご出席い ただきまして、まことにありがとうございます。心から御礼申し上げます。また、この 検討会の開催に当たりまして快く委員をお引き受けいただきまして、ありがとうござい ました。  定刻前でございますけれども、委員の皆様方、お揃いでございますので、検討会を開 催させていただきたいと思います。  司会を務めさせていただきます母子保健課長の苗村でございます。よろしくお願いい たします。  最初に、雇用均等・児童家庭局長より、一言御挨拶を申し上げます。  伍藤局長  おはようございます。雇用均等・児童家庭局長の伍藤でございます。本日は大変お忙 しい中をお集まりいただきまして、ありがとうございます。  ご承知のとおり、この「健やか親子21」は、平成13年にスタートいたしまして、10 年計画でございますが、5年で見直しをするということで、平成17年が中間年でござい ますので、先生方にお集まりをいただきまして、今後どのように取り組んでいったらい いのかということを、ここで見直してみようということでお集まりをいただいた次第で ございます。  日本は少子化がますます進んでおります。これにどう対応していくかということで、 私どもは昨年、「少子化社会対策大綱」を策定いたしまして、それに基づいて「子ども ・子育て応援プラン」という具体的な5年計画を作りました。このプランは、17年度か ら実施していくことになっております。これらの議論の中でも、少子化は日本の社会に 与える影響が大きく、子どもの数が減るということにどう対応していくかということも 大事であるけれども、子どもが育つ環境についても考えていかなければいけないという ことがクローズアップされました。子どもの数が減るという量的な面だけの対策という よりも、それと合わせて、今の日本の子育ち、子どもを育てる環境、こういったことを どう考えていくかということを、今まで以上に強く認識していく必要があると言えま す。  そういう議論がこのプランの策定過程でもなされたわけでありまして、子育てのプラ ンの中でも「健やか親子21」は、母子保健や家庭、子育ての原点という観点から、少 子化対策というものの中の重要な位置を占めるものでございます。ぜひ、少子化社会に おける子どもの育つ環境といった観点からもいろいろご議論をいただければと思ってお ります。  社会の状況を見てみますと、「健やか」とはなかなか言いにくい子どもの問題、いろ いろな事件が発生しておりますし、「健やか」とは言えない家庭、子どもの状況が増え ているのではないかとも思えるわけでございます。行政としてどこまでここに立ち入っ ていくかということはなかなか難しい面もありますが、児童虐待、その他、家庭を巡る 問題、子どもを巡る問題を考えて、従来にもまして、むしろ積極的な介入と言います か、行政がどこまでやるか、社会がどこまでアプローチしていくか、これは時代ととも に変わっていくことだと思いますが、より積極的なアプローチが求められているという のが現状ではないかと思っています。そういう観点から、政策も新しいものを考えて着 手をしているところでございます。  今回、皆さん方に幅広い観点からご議論をしていただければ、大変、ありがたいなと 思っております。今後、1年程度かけて見直し、今後5年間どうやって取組を進めてい ただいたらいいのかということを幅広くご議論をしていただきたいということを申し上 げまして、御挨拶に代えさせていただきます。よろしくお願いいたします。  苗村課長  引き続きまして、検討会の委員の皆様方をご紹介させていただきます。五十音順で御 名前だけご紹介申し上げます。日本歯科医師会常務理事の石井様でございます。  石井委員  石井でございます。よろしくお願いいたします。  苗村課長  日本薬剤師会常務理事の岩月様でございます。  岩月委員  岩月でございます。よろしくお願いいたします。  苗村課長  日本看護協会常任理事の漆崎様です。  漆崎委員  漆崎です。どうぞよろしくお願いいたします。  苗村課長  日本助産師会事務局長の江角様でございます。  江角委員  江角でございます。よろしくお願いします。  苗村課長  東京大学大学院教育学研究科教授の衞藤様でございます。  衞藤委員  衞藤でございます。よろしくお願いします。  苗村課長  国立精神・神経センター精神保健研究所、児童思春期精神保健部の齊藤様でございま す。  齊藤委員  齊藤です。よろしくお願いいたします。  苗村課長  日本こども家庭総合研究所、ソーシャルワーク研究担当の部長の才村様でございま す。  才村委員  才村と申します。よろしくお願いします。  苗村課長  富山県厚生部次長の椎葉様でございます。  椎葉委員  椎葉でございます。よろしくお願いいたします。  苗村課長  育児ジャーナリストで有限会社セレーノ子育て環境研究所、代表取締役の杉山様でご ざいます。  杉山委員  杉山と申します。よろしくお願いいたします。  苗村課長  国立保健医療科学院公衆衛生政策部部長の曽根様でございます。  曽根委員  曽根でございます。よろしくお願いいたします。  苗村課長  バースエデュケーターで特定非営利活動法人いいお産プロジェクト理事の戸田様でご ざいます。  戸田委員  戸田でございます。よろしくお願いいたします。  苗村課長  九州大学副学長の中野様でございます。  中野委員  中野です。よろしくお願いします。  苗村課長  全国保健所長会常任理事の長野様でございます。  長野委員  長野です。よろしくお願いします。  苗村課長  日本栄養士会会長の中村様でございます。  中村委員  中村です。どうぞ、よろしくお願いします。  苗村課長  日本医師会常任理事の伯井様でございます。  伯井委員  伯井でございます。どうぞよろしくお願いします。  苗村課長  全国保健師長会会長の村田様は本日はご欠席でございます。次に産業医科大学教授の 森様でございます。  森委員  森でございます。よろしくお願いいたします。  苗村課長  国立成育医療センター総長の柳澤様でございます。  柳澤委員  柳澤です。どうぞ、よろしくお願いいたします。  苗村課長  山梨大学大学院医学工学総合研究部教授の山縣様でございます。  山縣委員  山縣でございます。よろしくお願いいたします。  苗村課長  独立行政法人国立健康・栄養研究所、研究企画・評価主幹の吉池様でございます。  吉池委員  吉池でございます。どうぞ、よろしくお願いいたします。  苗村課長  以上でございます。次に、事務局を紹介させていただきます。先ほど、御挨拶を申し 上げました伍藤局長でございます。  伍藤局長  伍藤でございます。よろしくお願いいたします。  苗村課長  私は母子保健課長の苗村でございます。そして母子保健課企画官の八神でございま す。  八神企画官  八神でございます。  苗村課長  母子保健課課長補佐の吉田でございます。  吉田課長補佐  吉田でございます。よろしくお願いいたします。  苗村課長  母子保健課、母子保健指導専門官の島田でございます。  島田専門官  島田でございます。よろしくお願いいたします。  苗村課長  母子保健課課長補佐の斎藤でございます。  斎藤課長補佐  斎藤でございます。よろしくお願いいたします。  苗村課長  以上、事務局でございます。よろしくお願いいたします。次に、議事に入る前に座長 の選出をお願いしたいと考えております。どなたか、ご推薦をいただければと思います が、いかがでございましょうか。  中野委員  僭越ですけれども、柳澤先生にお願いしたいと思います。敬愛する御方であると同時 に、「健やか親子21」立ち上げの時からご尽力くださったことによります。どうぞ、 よろしくお願いします。  苗村課長  今、「柳澤先生に」ということでご発言がございましたけれども、いかがでございま しょうか。よろしければ、柳澤委員にお願いしたいと思います。(一同了承)  それでは柳澤委員、座長をよろしくお願いいたします。             (柳澤委員、座長席に移動、着席)  苗村課長  それでは、座長に進行をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。  柳澤座長  今、座長にお選びいただいたわけですが、大変、不慣れで、いろいろと皆さまのご指 導をいただきながら、なんとか務めさせていただければ幸いです。早速、議事に入りた いと存じます。  本日の議題は4題、議事次第にありますように、ございますけれども、限られた時間 ですので、ぜひご協力のほどをお願い申し上げます。では早速、議題の(1)に入りま す。「健やか親子21」推進に向けての検討の進め方となっております。この検討会の 設置の概要と検討会の体制等について、事務局からご説明をお願いできますでしょう か。  苗村課長  それでは検討会の進め方等に関しまして、ご説明申し上げたいと思います。まずは資 料のご確認をお願いします。最初に「議事次第」がございまして、配布資料として6つ の資料を用意させていただいておりまして、資料1から6でございます。  それから参考資料といたしまして、ホチキスの資料を1冊用意させていただいており ます。この中の一部、厚生労働科学研究の部分に関しましては差し替えをお願います。  また、冊子ですが、「健やか親子21」の毎年の活動報告等が4冊ございまして、も う1冊は先ほど局長からご紹介をさせていただいた「子ども・子育て応援プラン」でご ざいます。皆様方のお手許にございますでしょうか。もし足らない資料がありました ら、ご遠慮なくご指示をいただきたいと思います。  それでは1つ目の議題でございます検討会の進め方等に関しまして、ご説明を申し上 げます。  まず、資料1をご覧ください。開催要綱と名簿でございますけれども、この検討会の 開催の目的をご確認いただきたいと思います。21世紀初頭におけます母子保健の国民運 動計画として「健やか親子21」を推進してまいったところでございますけれども、来 年度が中間年でございますので、これまでの実施状況を評価し、2010年の最終評価も視 野に置いた必要な見直しを行いたいということで、この検討会を設置させていただいた ところでございます。  また、前回のプランには入っていなかった部分もございます。現在、「低出生体重児 の割合」が増加しているといったようなこともございまして、胎児期の栄養不良が将来 的には成人後の生活習慣病の発症につながるという医学仮説もございまして、妊娠・出 産期における食生活支援の具体的方策が求められています。食育関係は立ち上げの際の 計画の中には入っていなかったのですが、近年、食育関係は非常に注目されております し、私どもも力を入れていきたいということで、ご検討いただきたいと考えておりま す。  そして検討会の検討体制でございますが、資料2をご覧いただきたいと思います。検 討を進めていただく上で、検討会のメンバーの数が非常に多いということもございまし て、作業グループを2つ作らせていただきたいと考えております。  1つは、新たな指標を含めまして、具体的な評価についての作業をしていただくグル ープ、もう1つは、食を通じた妊産婦の健康支援方策に関しての作業を進めていただく グループです。それぞれのグループでまとめていただいた内容を基にして、検討会でご 議論をいただくといったやり方で進めさせていただこうと考えております。  中間評価と妊産婦の健康支援方策に関しては、それぞれ「研究会」とさせていただ き、メンバーは次の頁にございますような方々にお願いをしたいと考えております。  次に、検討会のスケジュールといたしましては、資料2の3枚目をご覧いただきたい と思います。今回、第1回目の検討会をさせていただきまして、並行して3月ごろから 必要な調査などを行いたいということで、調査の内容に関しましては、いろいろご意見 を先生方から郵送等によりましていただいた上で調査内容等を決めていきたいとは考え ております。一方で調査を行いながら、他方で研究会では検討も進めていただくという ことで進めさせていただいて、この推進検討会はここにございますように、1年間で4 回、あるいはもう1、2回程度、ひょっとすると多くなるかもしれませけれども、この 4回ぐらい開催させていただいて、ご議論をいただきたいと考えておるようなところで ございます。  来年の2月には報告書をとりまとめていただいて、平成18年度からの後半戦を「こう いう方向で行きましょう」と打ち出していきたいと考えておりますので、よろしくお願 いしたいと思います。以上です。  柳澤座長  どうもありがとうございました。ただいま、課長のご説明によりますと、この検討会 では「健やか親子21」の中間評価と、もう1つ、食を通じた妊産婦の健康支援方策。 この2つについて検討することになっているということのようでございます。  この2つについて、それぞれ研究会と言いますか、あるいは作業グループを構成して 細かな検討を行っていくことになろうかと存じます。この検討会それ自体、そしてま た、今、ご説明のあった2つの研究会について何かご質問はございませんでしょうか。  中野委員  ようございますか。推進協議会のとの擦り合わせではありませんけれども、データ交 換とか評価とか、そのへんはどういうふうなことになるのでしょうか。  苗村課長  基本的には作業グループでかなり細かい検討項目などを考えていただきまして、検討 会でその項目を決めていただき、その項目に基づきまして事務局と研究会で実際に作業 を進めていく。その中で、協議会の方々にも、データの収集やご報告を求め、まとめて いきたい。そのまとめをこの検討会に提出させていただいて、ご議論をいただく。そう いう形で考えております。  中野委員  わかりました。  柳澤座長  よろしいでしょうか。協議会との係わりに関しては後ほどまた話が出てくるかと存じ ます。よろしいでしょうか。それではこの検討会の下に2つの研究会、作業グループを 構成することについてもご承認をいただいたということでよろしいでしょうか。どうも ありがとうございました。そしてこの検討スケジュール、課長からご説明のあったよう なスケジュールについては、いかがでしょうか。来年の2月に報告書をまとめることに なるわけですが、これについてもこのようなスケジュールで進めていこうということ で、ご承認をいただいたと存じます。どうもありがとうございました。よろしいでしょ うか。  それでは、早速、議題(2)に移りたいと思います。「健やか親子21」推進の状況 というようにございます。「健やか親子21」の概要も含めて、事務局のほうからご説 明をお願いいたします。  苗村課長  では、資料3をご覧いただきたいと思います。資料3と資料4がこの議題に関連する 資料でございます。  「健やか親子21」ができるまでということで、平成12年2月に児童家庭局長委嘱の 「健やか親子21検討会」を、平山座長の下で発足させていただきました。21世紀の母 子保健のビジョンを示すために、31名の委員で、9回検討会を行っていただきまして、 報告書をとりまとめていただいたところでございまして、その報告書がこの資料集とい うことでまとめたものでございます。  参考資料1がその「健やか親子21」の報告書の概要をまとめたものですので、参考と してご覧いただきたいと思います。  次に、「健やか親子21」の性格ということですが、21世紀の母子保健の主要な取り 組みを提示するビジョンで、かつ関係者や関係機関・団体が一体となって推進する国民 運動計画ということで、行政サイドだけ、あるいは厚生労働省だけがどういうことをす るということではなく、行政関係も頑張るし、また民間の方々にも頑張っていただくと いったようなことで、いろいろ自主的な形で国民運動として取り組みながら、全体とし て協力関係を構築していくといった形になっております。  また、少子化対策、及び「健康日本21」の一翼を担っているという意義を持つとい うことでございます。期間は2001年から10年間ということで、「2005年に計画の見直し をしましょう」ということになっていたところでございます。  この中の基本的な視点といたしましては、20世紀中に達成した母子保健の水準を低下 させないために努力をする。これは母子保健の水準が先進国の中でも、かなり高い水準 にあるということで、世界最高水準に近い状態を維持しているということがございます ので、これはやはり維持していかないといけないということでございます。  それから20世紀中に達成しきれなかった課題がございましたので、そういったものを 早期に克服したい。また、20世紀の中盤から顕在化して、さらに深刻化すると予想され る、子どもの心の問題とかさまざまございますけれども、そういった課題に関して対応 もしたいということです。こういうことから4つの課題を設定しております。  1つは「思春期の保健対策の強化と健康教育の推進」という課題でございまして、十 代の自殺とか人工妊娠中絶とか、そういった主に思春期の方を対象とした対策。  2つ目が「妊娠・出産に関する安全性と快適さの確保と不妊への支援」といったも の。  3つ目に「小児保健医療水準を維持・向上させるための環境整備」を行う。  4つ目に「子どものこころの安らかな発達の促進と育児不安の軽減」。  こういった4つの課題についてそれぞれ目標を掲げ、さまざまな努力によって全体的 に向上させていくということを目指したものとご理解をいただきたいと考えておりま す。  そして次の頁をご覧いただきますと、この「健やか親子21」と各種施策との関連と いうのがございまして、市町村の母子保健計画や「健康日本21」との関係、さらに、 国全体で今、積極的に取り組んでおります少子化対策、次世代育成支援対策といったも のとの関連を一覧に示しております。  簡単にご説明申し上げます。少子化対策、次世代育成支援対策ですが、合計特殊出生 率が1.57に下がった平成2年に「1.57ショック」というのがございまして、少 子化の認識が一般化し始めました。政府としましてもこのころから少子化対策が非常に 重要であるということで、積極的に取り組み始めるようになりまして、出生率の動向を 踏まえた対策ということでエンゼルプランを策定し、そしてまた新エンゼルプランとい った形で子育て支援、次世代の支援を進めてまいったところでございます。  また、「健康日本21」と母子保健計画は両方がタイアップしまして、健康対策とい うことで行政、並びに民間の方々と一緒にさまざまな活動を行うというふうになってお るものでございますが、こういう中で少子化の流れを変えるためのもう一段の対策がや はり必要ということになりました。そこで、2002年には、それまで保育を中心とした次 世代育成支援といったことが中心的でございましたが、このころから働き方の問題と か、幅広い形で総合的な対応を行わないといけないのではないかという考えが深まって まいりまして、昨年には次世代育成支援対策推進法も成立いたしました。  そして、次世代育成支援対策推進法に基づきまして、都道府県や市町村、あるいは 300人を超える雇用をしている企業などにおきましては、行動計画を作っていただい て、少子化対策を行っていただいておるわけでございます。  こういう次世代育成支援対策推進法や少子化社会対策基本法などに基づいて、より積 極的に、かつ強力な形で国全体として少子化対策に取り組むといったことになってまい ったものでございます。  この中で「子ども・子育て応援プラン」は基本的に先ほどの新エンゼルプランよりそ のレベルをアップし、全体的な取り組みを行うということで、保健、医療、福祉、労 働、教育を含めました形での取り組みを全体的なものとして行う。そういったプランを 策定いたしまして、今後、そのプランに基づいた取り組みがさらに進められていくとい うことでございます。  また、「健やか親子21」はプランの中にも取り入れておりますので、国全体として の取り組みの中で「健やか親子21」が進展していくものと考えておるようなところで ございます。  また、次世代の計画、行動計画を作っていただく上で、その一部分として母子保健計 画も一部分となることになっておりまして、市町村でこれまで作られた母子保健計画と 次世代育成支援のための行動計画の整合性を図っていただくということも行っておりま す。いろいろな計画がばらばらではなくて、総合的な形で推進されるというのがこれか らの時代を担ってくるものと考えております。  こういう中で「健やか親子21」自体も国全体の動きの中とタイアップした形で、さ らにより深い形の国民運動として進めてまいりたいということでございまして、そうい った方向での見直し等もお願いをしたい。そういった中での中間評価ということでござ いまして、見直し自体の重要性が大変大きなものとしてあるのではないかと考えており ます。  次に、資料4をご覧いただきまして、「健やか親子21」自体が今までどう進んでま いったかということで、数字的なデータを簡単に概略だけご説明とご紹介をさせていた だきます。  「健やか親子21」は推進協議会を作っておりまして、参加団体数は70から75に徐々 に増えてきております。取り組みとしては、資料の中で冊子を用意させていただいてお りますけれども、それぞれの団体の取り組みの報告を毎年こういった冊子として作成し ております。ですので、詳しい取り組みの状況に関しましては、これらの冊子をご覧い ただきたいと思います。  また、それと同時に、研究班におきましてホームページを創っていただきまして、ホ ームページの中で毎年の活動実績や行動計画などを公開をさせていただいておるところ でございます。ホームページのアクセス件数もかなりの数に上っていると伺っておりま す。  そしてこの活動実績として、各団体がさまざまに取り組んでいただいておるところで ございますけれども、報告された数は、(2)に示したとおりでございまして、当初に 比べますと、若干、数が減少しておりますけれども、取り組み内容自体はいろいろと深 まってきておるところでございます。中間評価を行う中で、さらに取り組みが深まるよ うに、また、取り組み団体の数が上昇していくように考えておるところでございます。  また協議会の開催状況は毎年、大体1回ずつぐらい開催をさせていただいておりまし て、有意義な意見交換をさせていただいておると考えております。  また、協議会の中に幹事会を持っておりまして、第1課題から第4課題まで4つの課 題ごとに幹事団体を決めて、幹事会を開催していただいております。  幹事団体は4つないし5つぐらいの団体に幹事団体としてお願いをしながら、それぞ れの課題ごとにとりまとめを行っていただいております。代表幹事を決めていただい て、幹事会の事務局的な役割も行っていただいております。  その次の頁は、地方公共団体の取組状況ということで掲載させていただいております けれども、「健やか親子21」のホームページにおきましては3,272件の地方公共団体 での取り組みの情報提供がございまして、その課題別の内訳の図でございますが、特に 「子どもの心」関係、また、「健康日本21」関係が比較的多く登録されております。  また、事業の登録のより詳しい中身は(3)でございます。思春期関係は性教育の推進 などが多く、妊娠・出産に関しては「いいお産」の関係、そして小児の医療関係は「小 児医療の充実」、そしてまた「病気や障害のある子どもへの支援」であるとか「子ども の事故防止」。子どもの心の関係では「虐待の予防」、そして「子育て支援の充実」、 こういった項目が登録されております。  そして「食育の推進」「妊娠中の母子歯科保健の推進」といった形での取り組みもか なりの件数に上っているということでございまして、この取組の登録件数の増加に関し ましては、行政サイドの関心がかなり反映しているということが言えるのではないかと 考えておるところでございます。特に伸び率が高いところに関して社会的により必要と されているということで、行政サイドが積極的に取り上げているといったことが影響し ているものと考えております。  次の頁は、市町村で母子保健計画を見直していただいているところでございますが、 その中で「健やか親子21」をどの程度推進していっていただいているかということで ございます。母子保健計画を作っておられる市町村の数が平成9年末の段階で約90%で ございまして、母子保健計画の見直しということで、「健やか親子21」を基にして母 子保健計画を見直していただくということを行っておりますが、14年度末の段階では14 年度までに80%は見直す予定で、それ以降に見直す予定が約10%ということで見直しが 進んでいるということでございます。  ただ、残り、まだ母子保健計画が策定されていないところが10%程度ございますの で、このあたりに関しましては私達のほうも早急に次世代育成支援計画の中で策定して いただくように、働きかけてまいりたいと考えております。  次の頁は国の取組状況ということでご報告をさせていただきたいと思います。参考資 料3が国の取組状況の詳細でございますけれども、国の場合には普及啓発ということで 推進したいということで、全国大会や公開シンポジウムを毎年1回ずつ行わせていただ いております。全国大会は東京からさまざま、佐賀、富山、宮城等、開催をさせていた だいてまいったところでございます。  また、公式ホームページとして、山縣先生の研究班でホームページを開設していただ いておるところでございます。また、ポスターとかリーフレットの作成、配布、並びに シンボルマークの活用の推進ということで、かなり利用していただいておるところでご ざいます。  また、厚生労働科学研究、特に子ども家庭総合研究事業で推進をいたしておりまし て、必要額を確保させていただいております。課題件数が若干減少気味というのは、こ れは意図的に課題を選んでいると言いますか、総合科学技術会議が国全体の科学技術政 策のコントロールをしておりまして、総合科学技術会議からの指摘がございまして、 「小さな研究を幾つも行うのではなくて、集中的に研究班を大型化してより効率的な研 究を行いなさい」ということでございます。その関係で研究班は300万円とか500万円の 小さな研究班を統合し、大きな研究班に1,000万円とか2,000万円の研究班にまとめてい くとか、より効率的なやり方を採らないといけないということがございまして、課題数 に関しては減少させる方向となっています。  従って、1つ1つの研究班が大型化して、より効率的、集中的な研究を行えるように しているため、数に関してはもう少し減少するものとご理解をいただきたいと思いま す。以上でございます。  柳澤座長  どうもありがとうございました。「健やか親子21」の立ち上げから現在までの取り 組みの状況について詳しくご説明をいただきました。ただいまのご説明について何かご 質問はございませんでしょうか。よろしいでしょうか。それでは時間も限られておりま すので、次の議題に移りたいと思います。  議題(3)は「健やか親子21」の中間評価の進め方ということで、これは今日の検 討会の中心的な議題になろうかと思います。それについてまず、また事務局から中間評 価の進め方についての案を提示していただいておりますので、これについてのご説明を お願いいたします。  苗村課長  それでは資料5をご覧いただきたいと思います。中間評価の進め方に関しまして概略 をご説明申し上げまして、詳細な内容に関しましては、これまで課内の私的な検討とし て山縣先生を中心に少しずつ検討を行っていただいておりますので、山縣先生からのご 説明もお願いしたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。  まず、資料5でございますが、中間評価を行っていただく上で2つのポイントがござ います。まず、取組状況を評価、分析していく必要があるだろうということで、推進協 議会、地方公共団体、国の取組状況の分析や評価を行うというのが1つございます。  それから2つ目は、こういった実績を評価をすると同時に、その実績を基にいたしま してさまざまなデータによる評価、指標を評価するということです。資料5−2をご覧 下さい。各指標に関しまして、既に各種調査や研究で直近のデータが収集されている か、あるいはまた新たに調査をする必要があるかを明らかにし、必要なものはデータを とり、それぞれ、そういう数値に関しての分析評価を行う必要があるということでござ います。  そしてもう1つは、新しいニーズに対します指標を新たに設定するものがあるのでは ないか。先ほど申し上げましたような食育の問題とか、そういった新たなテーマに関し ての指標がやはり必要といったようなこともございまして、追加をしたほうがいいよう な指標に関しまして、指標を設定する上でそのデータがあるのかどうかを含めまして、 追加すべきものの検討をする。あるいはこれまで指標としては設定をしてきたけれど も、なかなか実際はデータが取りにくいなど、指標として適切かどうかの検討も必要で す。  あるいはまた今としてはちょっと時代遅れになって、そのデータを目標にしていても 仕方がないのではないかといったものもひょっとしたらあるかもしれないということ で、そういったものは若干削除するものもあってもいいかもしれないということも考え ております。そういった取組の実績の評価と現在あるデータを評価するもの、そして新 たなデータなり何なりを考えるもの。この3つの分析、評価、検討が必要になるのでは ないかと考えております。  そして今後の推進の体制と言いますか、今後の「健やか親子21」の推進体制、方策 等の検討ということで、こういったデータ分析などを基にいたしまして、今後、効果 的、効率的な活動をどう行ったらいいかを検討する必要がある。  かつ、同時に2010年の最終目標に向けまして、経年的に分析評価できるようなデータ を収集したり、システムをどう作るかといった検討を行っていただく必要があるだろう と考えております。こういう検討を踏まえまして今後の推進方策を「こういう方向で頑 張りましょう」と決め、報告書にとりまとめていただくというのが今後の進め方でござ います。  そして次の頁をご覧いただきますと、取組状況の分析や評価に関しての具体的な方法 でございます。まず、推進協議会の取組状況ということで、これまでの5年間の実績を 出していただきたい。そして今後5年間で重点的に取り組む具体的な目標を出していた だきたいと考えております。調査方法としては事務局から推進協議会の参加団体に対し まして報告をいただくように求めたいと考えております。  そして2つ目は、地方自治体の取組状況の分析評価に関してですが、指標に関して1 つ目は目標を立てて実際に取り組んでいるかどうか、そしてまた立てた目標がどのくら い達成できているか、2つ目は次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画の中で実際 に目標を作っているかどうか、また、事業量の目標なども立てているかどうかを尋ねま すと、取組状況がかなり明確にわかってくるのではないかと考えております。これら を、地方公共団体に対しまして調査をかけて報告していただくということを考えておる ところでございます。  資料の次の頁は「健やか親子21」の課題1から4におきまして61の指標を現在立て て取り組んでおりますけれども、この指標に関して、暫定直近値を把握して、目標の数 値に対してどのくらい進んでいるか、進んでいないかを分析する必要があるということ でございます。暫定直近値は既に統計などで明らかになっているものもございますし、 今後、調査が必要なもの、あるいはまた調査予定のものもあるということがございま す。  また、直近の値がとれないといった指標も幾つか出てまいっておりますので、こうい った指標に関して、この指標をそのまま維持するのか、違う指標に替えるのかを含めま して、また調査方法、内容などを検討したいと考えておるところでございます。  そして次の頁をご覧いただきますと、指標を色分けさせていただいておるところでご ざいますが、山縣先生を中心に秋以来いろいろとご検討をいただいておりまして、その 中で白の部分に関しては暫定直近値がある指標でございます。例えば、一番上の10代の 自殺率ですと平成15年の人口動態統計で既に直近の値がとれていますということでござ います。次に薄い青い色のところは、現在、こういったものは何らかの形で調査中の指 標でございます。  それから黄色は調査をすればなんとかできそうな調査予定のあるもの。そして紫色の 指標はどうも比較できるデータが現在存在せず、ベースラインと比較可能な直近値が出 せない指標でございます。例えば10代の性感染症の罹患率ですが、ベースラインは熊本 先生の研究班で平成12年に行った実態調査によるデータでございます。現在、同様の調 査を行う研究班が存在していないということで、比較できる直近値がとれないというこ とでございます。この指標の場合、国で性感染症患者のサーベイランスを行っておりま すので、その定点医療機関の観測に基づく件数が明確に出てまいりますので、このあた りでこの策定時の値に振り替えていくといったことも含めて検討をしたほうがいいので はないかということを考えております。  また、比較するデータがない部分に関しましてはもう少し作業班の中で検討をいただ く。そして調査ができるのかどうか含めて、具体的な提案を出していただこうと考えて おるところでございます。  簡単でございますが、こちらからのご説明を終わらせていただきまして、残りは山縣 先生にお渡ししたいと思います。  柳澤座長  どうもありがとうございました。今、課長から中間評価の進め方についてご説明をい ただきました。大きく分けると3つあるように思います。まずは「健やか親子21」推 進協議会ですとか、地方公共団体、また国の取組状況の分析評価を行う。ですから、先 ほど中野委員からご質問があった推進協議会についてはそれ自体が評価の対象であると いうことと、それから「健やか親子21」に掲げられている非常にたくさんの指標、61 あるわけですが、それについてのベースラインから現在どういう状態になっているかと いう分析評価。  そしてまたさらに新たなニーズに対する指標の設定。そういったものについて検討を 行って、追加する指標ということについても現状と、それからまた2010年の目標を設定 する。こういったことを、今、ご説明をいただいたと思います。  今の課長からのご説明に関連して、山縣委員から追加してご説明いただくところがあ りますでしょうか。  山縣委員  山縣でございます。私は、先ほどご紹介のありました「健やか親子21」の中間評価 研究会、来月、立ち上がることになっておりますが、その会を代表いたしまして少し具 体的なその分析評価についてご説明をさせていただきたいと思います。  資料5−4をご覧ください。立ち上げのときにこの「健やか親子21」に対するその 目標値がそれぞれ設定され、その年、またはその翌年あたりにそのベースラインの調査 等でそのベースラインが決まったわけですが、そういったものを基にしまして今回の中 間評価ではその目標値がどの程度達成しているかということを、まずは把握していこう と考えております。  そしてさらにそれが今どういう状況なのかを分析し、今後、どういうふうにこれを考 えていったらいいのかというものを評価していこうということで、この資料5−4にあ るようなシートを考えさせていただきました。  具体的にはその次の頁、5−5をご覧ください。3つほど例を挙げさせていただきま した。1つ目はこの課題3の小児保健医療水準を維持・向上させるための環境整備の中 で、3−2に全出生中の極低出生体重児の割合、全出生数中の低出生体重児の割合とい う指標がございますが、これが策定時の現状値といたしまして、極低出生体重児が0.7 %、それから低出生体重児が8.6%であったわけです。  これは平成12年の人口動態統計によるものであって、目標といたしまして、これらを 減少傾向へ持っていこうということでありました。今回、その右側にありますように、 平成15年の人口動態統計によりますと極低出生体重児が0.7%、そして低出生体重児が 9.1%ということで、その下のデータ分析の結果にありますように、極低出生体重児に 関しては変化はありませんでしたが、低出生体重児はベースライン時に8.6%だったも のが平成15年は9.1%と増加していました。  分析といたしましては目標である減少傾向を達しておらず、むしろ増加傾向にある。 低出生体重児の要因としては多胎児や先天異常など、胎児の要因のほかに妊娠中の感染 症や妊婦の喫煙、妊娠中の体重増加不良が挙げられている。女性の喫煙率の増加や妊娠 中の過度のダイエットが増加の要因と考えられると分析をし、さらに評価として低出生 体重の危険因子を取り除く取り組みにより、目標の達成は可能と思われる。こういう形 で評価をしていくことはどうであろうかという例でございます。  次が資料5−6です。これは課題1の思春期の保健対策の強化と健康教育の推進であ りまして、その中の指標として10代の性感染症罹患率がございまして、細かくはご説明 いたしませんが、ベースライン時の調査、これは先ほども出てまいりましたが、平成12 年に熊本先生の研究班で調査をされたもので、これらの値を減少傾向に持っていこうと いうことであります。  直近の値といたしまして平成15年の定点医療機関における報告件数を用いております が、結果といたしましてこれは先ほどの色分けの中で、現在、同様の調査なしという分 類でありまして、ないためにこの比較が難しい。ただ、同様の調査で増加傾向にあるこ とが示唆されているということであります。  分析といたしましては国立感染症研究所によると性器クラミジアは漸次増加傾向にあ ったが、2002年以降、横這いであるが、今後再び増加に転じるかどうかは経過を観察す る必要がある。年齢別では男女ともに20歳から40歳が最も多く、女性では15歳から19歳 が20%を占めていることが特徴である。対策としては啓発と予防行動の実践であり、学 校、地域でさまざまな取り組みが行われているが、効果の分析は難しい。  評価としては熊本班の研究は平成15年度で終了しており、平成16年度は同様のデータ を出す研究はない。今後、この指標をどのように追っていくかが大きな課題である。ま た目標を達成するために家庭、学校、地域の連携による質、量ともにさらなる取り組み が必要と思われるということで、この場合はこういった指標を今後どう採っていくかと いうことが課題で、これがないとなかなか評価ができないという例でございます。  それから最後に資料5−7。これは課題2の妊娠・出産に関する安全性と快適さの確 保と不妊への支援で、これは行政のほうの整備の状況で不妊専門相談センターの整備と いうことで、指標でございますが、ベースライン時、平成13年には18カ所の設置であっ たものが2005年までに全都道府県という目標を、現在、51カ所ということで結果のとこ ろを見ていただきますとわかりますように、不妊専門相談センターの整備は順調に進ん でおり、平成16年度には全都道府県に設置された。  分析といたしましては、数値的には目標を達成した。しかしセンターの質についての 評価がなされていないということで、評価といたしまして不妊相談センターの質につい ての評価が必要である。スタッフの状況、利用状況、利用者の満足度など、質の評価方 法に関する検討が必要であろうということで評価を案として出しております。  このように数値的には達成はされているけれども、本当にそういうことでいいのかと いったようなことをこういう形で評価したらどうか。そういうことでございます。  私どもは先ほどご紹介がありましたように、ここの推進検討会での議論に基づきまし て、それをまとめるための作業をするのが役割でありまして、今回の会議の立ち上げに 先立ちまして、今のようなことを少し検討してまいりました。  実際には3月に本格的に研究会が立ち上がりまして、指標についてまずはこのような 各指標ごとの達成度の把握の方法の明確化を図って、それに基づく評価の実施を行う。 それから吉池先生のところでおやりになっています食育の問題のような新たなニーズに 対する指標に関しても検討し、それらの最終評価に向けてのデータ収集方法、及び評価 方法の検討を行うという点。  それから、これらの達成度に応じてこれから最終目標に向かって推進すべき具体的な 方策について検討を行うという作業をしていくことが1つの役割と思っております。  さらにもう1点が、先ほど中野先生からもございましたが、推進協議会の評価も行っ ていくわけですが、その評価を行っていく際にそのサポーターとして私どものこの中間 評価研究会の中から2人ずつ精鋭をサポーターとして付けさせていただいて、スムーズ に評価ができるようにお手伝いをさせていただこうと思っております。以上です。  柳澤座長  どうもありがとうございました。この「健やか親子21」に掲げられている各種の指 標については暫定直近値が出次第、随時、研究会のほうで分析をしていただく。それを 叩き台にしてこの本検討会で評価をするということのように伺いました。  具体的な例も3つほど出してご説明いただいたわけですが、何か委員の皆さまから分 析・評価の方法も含めてご意見をいただけますでしょうか。  中野委員  ようございましょうか。  柳澤座長  はい、どうぞ。  中野委員  最初に発言して大変恐縮ですけれども、理解を深める話として申し上げますが、例え ば資料5−5です。これはのちほど結果もお伺いしたいのですが、分析、この場合は資 料5−5、分析で1つのコメントが書いてありますね。  柳澤座長  資料5−4ですか。  中野委員  5−5。  柳澤座長  5−5。はい、はい。  中野委員  これは食育の新しいプロジェクトを引き出すということにつながっていくと思うし、 介在するものがバーカー仮説のようなものであろうと。その根拠になるのがこの分析結 果だと思いますけれども、例えばこの分析はオーソライズされていると言うか、自信を お持ちのものと考えて、それともこれはexampleで挙げていらっしゃる。  山縣委員  exampleでございます。  中野委員  exampleですね。わかりました。  柳澤座長  これはexampleでしょうね。僕もそう思います。  中野委員  内容を言っているのではありませんけれども、分析をどのような手段でやっていくの かということを確認する意味です。それからもう1つ、その結果ですけれども、先ほど 苗村課長からのご説明がありました青と黄色がありましたでしょう。黄色は手が付いて いないというわけなので、これは逆に言いますと「青は担当者がいるよ」と、こういう 色分けと考えればいいのですか。担当者がいるから作業が進んでいて、いずれ出てくる であろう。黄色は手付かずだから、我々のこの評価という作業の中には入らないであろ うという項目。こう理解したらいいのですか。山縣先生、あるいは苗村課長。  山縣委員  黄色につきましては、例えばこれまでこれの指標の基になっておりましたものが10年 に一度、これまで評価していたようなものでありまして、この2005年にはその調査の予 定がないということで、ただ、これはその直近値を出す必要があるということで、現在 ある子ども家庭総合研究の中のどこかでやっていくということを、今、事務局では考え ていると思います。  中野委員  そういう色分けの。  苗村課長  ええ。黄色のものに関しては調査によりデータが取れるのではないかと考えておりま す。  柳澤座長  はい、どうぞ。  戸田委員  新たな目標値を設定しなければならない場合もあるかと思いますけれども、それから 今まであった目標値が適切ではないという判断とかもあると思います。そういう判断は どちらでなされて、それから新たな目標値の提案などは、この検討会は、次、6月予定 ですが、来年の2月までに結果を出すということになると、一刻も早くそういった意見 はどこかでとりまとめて検討されなければならないし、その出てきた意見が、ほかから 出てきた意見が皆にわかるようにする工夫が必要かと思うのですが、それについてはい かがでしょうか。  柳澤座長  戸田委員のご質問について。  苗村課長  2つあると思いますけれども、1つはこれまでの指標が必ずしも適切でなかったもの とか、なかなか取れそうにないものをどう扱うか。削除するのか、そのままで行くのか ということに関しましては、もう少し研究会のほうでご議論をいただいて、一定の案を 出していただく。それを基にして、この検討会でご議論をいただいて決定していただく ということにしたいと考えております。  それから新しい課題に関しましては、できれば今日、可能でしたら、ご提案をいただ いて、その課題に関しましても作業グループでもう少し煮詰めさせていただいた上でご 検討いただくということで、6月までなかなか待っていられないというのも、そういっ た事情もございますので、会議を開く、開かないは別として、委員の皆様方に「こうい う新しい指標を入れたいけれども、どうか」ということを郵送なり何なりで、お送りい ただき、ご検討をいただく。そういうことで対応させていただくことも考えております し、どうしても会議を開いたほうが、開かないと決まらないという課題になった場合に は、申しわけございませんけれども、もう一度、開催させていただくこともあり得ると いうことで、基本的にはこの検討会で決定していただくことになると考えております。  戸田委員  ありがとうございます。  柳澤座長  よろしいでしょうか。はい、どうぞ。  杉山委員  すみません、ちょっと質問を含むのですが、資料5−1の「地方自治体の取組状況に ついて」ということで、これまでの取り組みについても指標で検討するというのと、も う1つ、「行動計画における今後の取り組みについても調べます」となっていますけれ ども、これは多分、自治体に下りてきたときに両方を個別に対応していくというのは作 業が重なって、「違うところがどこにあって」とか、ご面倒をおかけすることになるの ではないかと思うのです。  そうならないようにするために、できればきっちりこれまでの取り組みの中の行動計 画とどう擦り合わせというか、この項目はこれまでの取り組みに被るし、「これが新た に出た項目なのだ」ということを1つのフォーマットとしてご提案をしていかなけれ ば、「一緒にやっている」と言いながらずれているようなことがあるかと思います。  今度、どこかで資料を出していただくときに、私達のほうにも、その参考資料6にあ りますけれども、こちらの取り組みの中と行動計画の取り組みの枠がわかるような一覧 表を作っていただければありがたいかなと思います。  今、「新たな指標のようなものは、ここで出してみては」というお話でしたので、ち ょっと2つばかり言わせていただけたらなと思うのですが、結構、育児に参加する父親 の割合とか子どもと一緒に遊ぶ父親の割合とか、ゆったりとした気分で子どもと過ごせ る時間のある母親の割合とか、100%になるととても良いのですが、これを今、調べて もあまりどうなのかなというのがあって、それよりは例えば実際にそういった、日常、 親子と出会っている機関があるわけですから、そういった子育て支援関係のセンターで あったり、NPOであったりというところと、いかに、例えば保健師さんとか、小児科 のお医者さんとか、いろんな方達の連携がとれているのかといった別段の指標という か、そういうものもあっていいのかなと思うのです。  何が言いたいかと言いますと、親に対しては、連携と言いますか、保健師さんとか保 育士さんとか、それから地域のボランティアの人とか、いろいろな方達が、1組の親子 に、家庭に関わるわけですが、何か連携体制をとって関わっているといったような、そ ういったものがどうも抜けていると言うか、それをどうやって評価するのか、大変難し いと思いますけれども、できればその配慮をしていただけると嬉しいのかなというこ と。  それから特に、結構、地域で取材などをさせていただきますと、健康福祉センターの ようなところの保健師さんがすごく子育て支援の重要な担い手になっていたり、健康福 祉センターで子育てサロンをやっていたりという事例が物すごく多いのです。健康増進 のような部分も兼ねながら、一方で、子育て支援的なことも現場の方はすごくやってお られると思うのです。そのあたりをどう見て差し上げるかというのは大事かなと思いま す。  もう1点が女性の健康ですね。産前産後のみならず、第2子、第3子と、産む間は3 年とか5年とか空くわけで、あまり妊娠も出産も関係ない時期のその育児期の女性の健 康をみてあげると言うか、そちらもカバーしてほしいなと思います。  特に最近は働いている女性の方も非常に多くなっていますので、そういった部分のこ とも、特に働きながら不妊治療をお続けになっていらっしゃる方は治療と仕事の両立が 非常に難しいという話も聞いておりますので、そのあたりももうちょっと、どういう指 標が良いのか、すぐに出ませんけれども、ご検討いただければと思います。以上です。  柳澤座長  どうもありがとうございました。今、杉山委員からはこの「健やか親子21」の策定 時とは変わった状況もあるということも含めて、大変大事なご指摘もいただいたと思い ますけれども、今の点に関して何か事務局からあるでしょうか。こういった案、このよ うな課題、あるいは指標も新たに設定してはどうかということに関しては、先ほど戸田 委員からもありましたけれども、もちろんここで出していただくのがよろしいですが、 これからあとにしても事務局を通じて作業班、研究会のほうで検討をしていただく。そ れをこちらにまた出して決定していただく。そういう手順でよろしいでしょうか。  苗村課長  基本的にそういった手順でお願いしたいと思います。  柳澤座長  はい、どうぞ。  曽根委員  評価に関して、特に指標のことに関してですが、この各評価指標が「保健水準の指標 」と、「住民自らの行動の指標」と、「行政・関係団体の取り組みの指標」と分かれて おります。策定のときの状況は私はちょっと存じ上げませんが、恐らく行政・関係団体 の取り組みがあって、それによって住民自らの行動の指標が改善し、そして結果的に保 健水準の指標が改善する。そういう論理構造になっているべきだと思います。  けれども、各課題をみてみますと、必ずしもそういう論理構造になっていない面があ ります。そのへんもぜひ評価のところでは検討していただいて、それぞれ評価指標自 体、相互の関係性のようなものもきちんと評価していただきたい。特に実際の事業、取 り組みがその行動にどう結び付くのか、それで行動が指標にどう関連するのかというと ころを科学的根拠に基づいて明らかにしていくような作業が、もう少し必要なのではな いかと思います。  柳澤座長  今のようなご質問、あるいはご指摘に対して、山縣委員から何かございますか。  山縣委員  曽根先生のおっしゃるとおりだと思いますので、そういう検討をしたいと思います。 それからこういう国民健康づくり運動の場合の主体はやはり住民であり、その当事者で すので、例えば行政のサポートがなくてもできることもある。そういうこともあった り、いろいろな関係がございますが、やはりそういうものを明確にすることは今後の推 進、それから目標達成のためには大切だと思いますので、ぜひ、させていただきたいと 思います。  柳澤座長  ほかにご質問、ご意見。はい、どうぞ。  石井委員  よろしいですか。新たな指標と言いますか、新たなニーズに対する指標の設定という ところで、これを見ますと従来の喫煙率は調べておられますが、今、学校で煙草、喫煙 に対するその害というか、そういう教育はかなりされていると思いますが、私ども、歯 科保健の立場ですと防煙教育が非常にわかりやすいのです。  自分の口腔内で確認できますので非常にわかりやすいのですが、そういう歯科保健と 組み合わせて、今、私どものところでは、防煙教育への係わり方をしていますが、そう いう調査はされる予定はないのでしょうか。どれぐらい害を知っているかとか、そうい うことを教育を受けたことがあるかとか、そういう調査はないのでしょうか。  柳澤座長  どうでしょうか。  山縣委員  今回はこの指標をまずは見直しということですので、今のようなご意見を基にして、 さらにどういう指標が適切なのかということを検討したいと考えております。実は、私 は策定のときにも関わっておりましたが、やはり現実的に見て必ずしもこの指標が良か ったかどうかということに関しては疑問があるものもございまして、そういうあたりも ここで検討をしていただいて、それに代わるもの、それよりも良い指標を考えていくこ とが1つだと思っております。  石井委員  ありがとうございます。  柳澤座長  今、ご提案があったような手法で喫煙を捉えるというのも、研究会のほうで改めて検 討していただくことになると思います。はい、どうぞ。  漆崎委員  5−1で地方自治体の取組状況等ということですが、例えば61項目中に市町村で力 を入れている項目の内、「この項目を、母子保健では重点的に取り上げてやる」と決め て計画を立てていると思います。その結果、個々の指標についての評価は市町村ででき ると思いますが、全体としてその力をどの程度、何の指標に力を入れ、その結果はどう であったのかという、そういう分析を加えまして、この5−4及び例示の5,6,7に 評価を付け加えていただけますと、市町村が全体としてどう動いたら全国の指標が変わ ったのかという実感が持てると思いますので、そういう視点も入れていただければと思 います。  山縣委員  まったくそのとおりだと思います。今回、例えば立ち上げのときにもまさにそういう ことで、地域に一番合ったものを重点的にやることが効果的だということもございまし た。そういう意味では、先ほどちょっと紹介がありましたが、ホームページの中で、取 り組みのデータベースがございまして、今、3,200余のものが入っていますが、その中を 具体的に見ていきますと、各市町村なり都道府県がどういう理由で、どういうものに取 り組んでいるかがかなりわかってきております。今回、その中でも特に良いものを選ん で、皆でその情報を共有しようということも準備を進めておりますので、そういった中 からもどういうところに力を入れているかということも少しわかってくるかと思ってお ります。  柳澤座長  はい、どうぞ。  衞藤委員  私は学校保健であるとか、あるいは文部科学省の関係の仕事をいろいろすることが多 いので、そちらの立場から、「健やか親子21」の評価ということをみてみますと、子 どもの体力が低下し、それがずっと後ろの世代まで来ているという観点で見た場合にど うなのだろうかということを考えております。  これは例えば平成14年に中央教育審議会の答申で「子どもの体力向上のための総合的 な方策について」というのが出ておりますが、こういった検討の段階でも、やはりその 根っ子は幼児期からの身体運動の低下ということにあることは明らかでありまして、そ ういった実証的な研究もあるわけであります。  「健やか親子21」の4つの枠組みの中で、どこに一番関連してくるだろうと思いま すと、やはり第4課題、「子どもの心の安らかな発達の促進と育児不安の軽減」、ここ に「心」という文言はありますけれども、子どもの場合には心身の相関と言いますか、 心と体は一体となって発達していくものでありますので、この部分に該当するのではな いかと考えます。例えば、具体的な提案は今はちょっとできませんが、外遊び、例えば 親と外に出て遊ぶ機会があるかとか、あるいは安心して外遊びができるような体制、環 境そういった支援体制があるかとか、そういう視点が必要ではないだろうかということ を考え、ご検討いただきたいと思います。以上です。  柳澤座長  はい、どうぞ。  江角委員  私は助産師ですが、助産の立場からちょっと言わせていただきたいのですが、助産師 は昔は産婆で、本当に子産み子育てのところで専門家として関わっていたわけですが、 現在、施設でお産をされる方が本当に90%以上でして、地域でお産をされる方、診療所 でお産をされる方が46%、助産所が1%ということでお産をされておりますけれども、 診療所の現場に助産師がいるのが17%ぐらいということで、非常に低い率です。  いろいろな場所での子産み子育てのところで、今、助産師がいないという状況が非常 に問題になっていると思いますし、病院においても非常に混合化という問題が進んでお りまして、お産の現場の隣りで呼吸器を付けている患者様がいらっしゃる。そういう環 境の中で子産み子育てが行われていることは非常に問題なのです。  その中でぜひ助産師は本当に昔から妊娠前から係わって、妊娠中ももちろんですが、 子育ての部分まで本当に係わっていく職種なので、その分娩数に対する助産師の定数化 とか、そういうところも指標としてちょっと考えていただければありがたいなと思って おります。  数も今は非常に少なくなってきていると思います。平成14年度から15年度まで、助産 師の養成数はちょっと下がっておりますので、やはりそのへんで下がらないような方策 の中で、ぜひ、出生数に対する助産師の数という定数化ということも指標として入れて いただければありがたいと思っております。  柳澤座長  はい、どうぞ。戸田先生。  戸田委員  ちょうど関連した話ですので、続けさせていただきたいのですが、今の江角先生のお 話はお産の満足度に係わるというところかと思いますが、私は前から、実は策定時点か らこの満足度は非常に曲者と言いますか、誰に訊いても8割は満足してしまうという結 果が出る指標であるので、これには問題があると感じています。  今、助産師の数というお話もありましたが、私は昨年来、お産の現場の調査をしてお りまして、産科医師の不足が非常に深刻な問題ではないかと感じております。ですか ら、そういったお産の環境に関して人員の問題、それから設備やシステムの問題、いろ いろなものがあるかと思いますが、それを満足度という代わりに1つの指標にしてはど うか。  あるいは満足をした女性は、一体、その後、どうなるのか。そのアウトカムを指標と してはどうか。そういうことを提案したいと思います。  中野委員  ようございますか。  柳澤座長  はい、どうぞ。  中野委員  まさしく関連したお話で、発言いたします。鴨下班が今年3年目で、小児科、産科の 医師の話を進めておりますね。  それでこれを考えますときに、私はもう少し強く表現するようにお願いできたはずだ ったのに、こうして見ますと関連した部分は「妊産婦人口10万人に対して何人ぐらい」 という書きぶりで、少しぼやけているのです。このとき既に医師不足の宣言を書いてお くべきであったと後悔しています。  例えば「どれぐらい少ないか」という話ですけれども、今、戸田先生がおっしゃった とおりで、例えば某国立大学法人は来年度から産科医療サービスを止めるとの風聞。つ まり医育機関において産科がなくなるという事態が出現し始めているのではないか。  さらには今年度から発足しました医師研修必修化にあって、来年、2年度から必修産 科ローテーションが始まるのですが、既に産科診療を止めた研修施設がいっぱいあるも のですから、行き先がない研修医が誕生する。  こういう環境の中で、ここに書かれている指標の設定が今や正しいとは言えないとい う問題がというので、第2課題ですけれども、当初考えました測るべき対象と、当時用 意しました物差しが、対象から言いますと、今、幾つかご意見があったように、加えな ければいけないのか、あるいは修正しなければいけないのかという問題と、当時の物差 しがもはや使えなくなっている。鯨尺に変わっているのではないか。  これを中間評価でどういう物差しを持ってきて、それで2010年に適用できるのか。こ れが大変心配になっているのです。それでこれも含めて討論をする。ご担当される山縣 先生は大変だと思いますけれども、やはりそういうスタンスを1つ取り入れていただき たいと思うのです。コンテンツとメジャーのあり方。  柳澤座長  今、多数、それぞれ関連があるご意見をいただきました。先ほど課長がちょっと手を 挙げられましたけれども、何かございますか。  苗村課長  1つは地方自治体との関係の中では次世代の支援対策ということで、行動計画を作る ということで指示が出されておりまして、かつ、こういった「健やか親子21」、ない しは母子保健計画が策定されるということで指示を出しておりますので、その中では次 世代計画の枠組みの中で新たに「健やか親子21」なり何なりをもう一度作り直すとい うことまでは必要がない。  今まで見直した中で作られた母子保健計画なり「健やか親子」なりをそのまま次世代 計画の中でできるだけ活用するようにしたほうが自治体として二度手間にならないの で、その方向で努力をして下さいといったようなことで指導をしておるところでござい ますけれども、自治体に対する調査など、いろいろ検討しながら進めてまいりたいと考 えております。また、さまざまなご意見をいただいたことに関しても、作業グループを 中心に検討をするということでございます。  ただ、非常に大きな課題ではあっても、なかなかこの検討会だけで決めかねるような 指標がどうも幾つか提案されておられるようでございまして、もう少し医政局など他部 局との関係の中で、そちらのほうが検討を今進めているとか、しないといけないような 課題になるとちょっと手が出ない部分もございますので、この検討会でどこまでどうで きるかを作業グループで煮詰めていただきたいと思っております。  それからもう1つは栄養部門と歯科部門に関しましては、最初、この「健やか親子」 を作っていただいたときには「健康日本21」のほうで扱うということに整理をされて いたところでございましたので、それが入っていないということで、今回の場合、1つ は栄養部門を、のちほどまたご説明申し上げますけれども、食育関係で入れたらという ことと、歯科に関しても先ほど石井委員からご提案がございましたけれども、歯科関係 の指標がもし子どもの関係で取り組めるものがあるのであれば、また検討課題としてご 検討させていただくのが今回の場合は良いのではないかと考えております。よろしくお 願いしたいと思います。  柳澤座長  ただいま、課長からご説明があったような方向でこれから進めていくということも含 めて、今回のこの中間評価の指標の分析評価、分析の方法についてご説明をいただき、 またさまざまな意見をいただいたということで、そういった方法で進めさせていただく ということについては承認いただけますでしょうか。  それでは、この件に関してこういった方向で、今、ご説明いただいたような方法で評 価を進めていくということについてはご承認をいただいたものとさせていただきます。  その上でさまざまな意見をいただきました。それについてどのように対応するかとい うことを研究会のほうで検討していただき、こちらに出していただくというようにした いと存じます。  以上でこの第3課題、大分、時間を費やしましたけれども、議論を一応終わらせてい ただいて、第4番目の課題としての「食を通じた妊産婦の健康支援方策に関する検討の 進め方について」ということに移りたいと存じます。  こちらもその検討の背景と検討の方向性について、事務局からご説明をお願いいたし ます。  苗村課長  現在、国会などにおきまして食育基本法の議論などが始まりかけておるようなところ でございまして、食育関係、食を巡る問題に関しまして社会的にどういう形で取り組ん でいくかというのが、ここ数年来、大きな課題になってきているところでございまし て、私どもの「健やか親子21」関係でも2つの課題と言いますか、1つは子どもの食 育の指針をどうするのかということと、それからここの2つ目には妊産婦さんの食を通 じた健康支援の問題という課題がございます。  その中の子どもの食育の指針に関しましては、既に検討会を創らせていただいて、報 告書をまとめていただいたところでございまして、主に保育園等で活用していただける ということで、昨年の春にそういったものを公にさせていただいたところでございます ので、今回、残っておりますもう1つの課題でございます妊産婦の方々の食育に関して の検討を行うということで、研究会の中で、かなりの粗ごなしをしていただいた上で、 この検討会で最終的にご議論をいただくということを考えておるところでございます。  この進め方に関しましては、資料6をご覧いただきたいと思います。検討の背景とい たしまして、詳しいデータ等に関しましては参考資料に載せております。現在、低出生 体重児の割合がかなり増えてきておりまして、これは高齢出産の方が多くなったり、あ るいはまた生殖補助医療ということで不妊治療の中で多胎妊娠が増加しているといった ことなどさまざまな理由がございます。  また、痩せ願望が非常に強いということで、妊娠中にも体重が増えるのがいやだとい うことでダイエットをされるとか、そういった方々もおられたりということがございま して、低出生体重の子どもさんが増えているのが実情でございます。  子どもさんのICUの不足ですとか、そういったことも起こっておるようなところで ございまして、かつ、次にあるような胎児期、ないしは乳幼児期の栄養の状態が大人に なってからいろいろ影響が出るということも言われておりますので、妊娠中の体重の問 題であるとか栄養の問題が非常に重要ではないか。現在、そういう考えを持っておると ころでございます。  特に諸外国、米国におきましては体格区分別と言いますか、こういったもので推奨さ れる体重増加量などが提言されておるようなところもございます。  また、二分脊椎などの神経管閉鎖障害がありますけれども、こういったものには葉酸 の摂取を進めるということで、予防が十分できるといったことがございまして、こうい ったことも、現在、母子保健手帳には既に載せてはおりますけれども、手帳を取りに来 られる時点では、それから葉酸を摂取しても遅いということがございますので、それ以 前に葉酸を摂取していただかないといけない。妊娠初期にもう既に、妊娠されたころか ら必要だということでございますので、このあたり、いろいろな啓発を含めた新しい方 法が必要だということがございます。  それ以外にも必要な栄養量等もございますので、私達としては検討の方向性として挙 げさせていただいておりますけれども、母体の健康及び子どもの健康、健全な発育を確 保するために、妊婦・授乳婦において特に注意すべき食生活上の課題について明確にし ていただき、かつ、具体的でわかりやすい内容の「妊産婦のための食生活指針」を作っ ていただき、これを配布をするといったようなこと。これもまた啓発活動などに使わせ ていただきたい。  それと同時に、低出生体重児の減少とともに妊娠中毒症の予防などにも配慮いたしま して、研究で集めたデータ、これは既に研究中でございますけれども、そういったもの を基にいたしまして「妊娠期の至適体重増加チャート」を作成しまして、こうしたもの を例えば母子手帳の中に組み入れたいと考えておりまして、こうしたことを研究会でご 検討いただいた上で案を作っていただいて、そしてこの場に出していただきたい。そし てこの検討会で最終的な決定をお願いしたいと思っております。さらに詳しい説明が必 要でございましたら、吉池先生からお願いしたいと思います。  柳澤座長  ありがとうございました。ただいま、課長からご説明をいただいた「食を通じた妊産 婦の健康支援方策に関しての検討の進め方」について、具体的な作業と言いますか、研 究会としての作業をやっていただく吉池委員から追加してご説明をお願いします。  吉池委員  国立健康・栄養研究所の吉池でございます。今、課長からご説明がありました研究会 と言うか、実際の作業の部分のとりまとめを仰せつかることになる者でございます。妊 婦の栄養も含め、ちょうど2005年度から使用予定で「日本人の食事摂取基準」、これは かつては「栄養所要量」と言っていたものでございますが、これについて厚生労働省健 康局において、私どもの研究所が中心となり、evidenceの整理をしてきたところです。  そのなかで妊婦についてもエネルギーや栄養素等の必要量についてのかなりデータが 再整理されたところです。そして、その基準を実際の妊婦の食生活・栄養指導等にどの ように活用していくのかというのが、次の課題になろうかと思います。  そうしたときに、マクロには個々の栄養素と言うよりは、体重といった全体の指標を 見ながら、適切な食事量を確保し、エネルギー、たんぱく質等をきちんと摂っていくこ とが目標となります。先ほど、課長からご説明があったような若い女性のダイエット志 向、さらにそれが妊娠中も続き、また医療機関等での妊婦への栄養指導の状況等を考え ると、楽観視できるような状況ではないと認識をしているところでございます。  具体的に言えば、妊娠中の体重増加という単純な指標ではございますが、それを目安 としたとき、妊娠前の体型によってその体重増加の目標量も違ってくるわけですが、ど のような増加量が至適レベルにあるかということについて、今、データベースを構築し ています。その詳細な分析と至適体重のチャートを作るというのがまず1つの目標にな ろうかと思います。  これについては米国のほうでは既にInstitute of Medicine、IOMというところで 出されております。米国のほうも「食事摂取基準」を検討した機関が中心となり、妊婦 栄養の技術的なガイドラインを出しております。そういう意味で、今回、新たに出され た「食事摂取基準」の妊婦への適用・応用という意味での技術的な検討を行ってまいり たいと思っております。以上です。  柳澤座長  どうもありがとうございました。ただいまの課長と吉池委員からのこのテーマについ ての説明について何かご意見、ご質問はございますでしょうか。はい、どうぞ。  杉山委員  すみません、2点あります。1つがここに書いてある妊産婦のための食生活指針を作 って、それで啓発活動とかわかりやすいものを作って啓蒙・啓発をされるというお話で したが、作ったあとはどうするかということはかなり大事なことではないかと私は思っ ていて、どこに届けるものなのかということでその内容は大分変わってくるだろうと思 うのです。  直接、妊娠をされた女性達に配ると言うか、配布するものであるならば、食生活に限 るよりはむしろ妊娠中の生活全般ぐらいの枠組みで捉えたほうがわかりやすいだろうと 思いますし、そうではなくて「全国の産科のお医者様や助産師さんへ」とやるのであれ ば、これで良いと思いますし、何かそのあたりを少しご議論いただいて作成をしていた だいたほうがありがたいなと思います。  もう1点が「妊娠期の至適体重増加チャート」を作成と、ちょっと、私、イメージが よくわからないのですが、母子手帳に今、体重、乳児の体重のグラフがありますよね。 あれの妊産婦版のようなものを作ろうかなというイメージかなと思ったのですが、ずっ と育児雑誌の仕事をさせていただいていて痛切に感じるのは、例えば「赤ちゃんが何グ ラム増えた、増えない」でお母さん達はすごく一喜一憂をされるわけです。  「それが今度、妊娠版が始まるのかな」と思いますと、それが果たして良いことなの かどうなのかという、ちょっと、やや疑問を感じてしまって、体重が増えたこと、ある いは子どもに対してもそうですが、それがすべてになってしまいがちと言うか、近視眼 的になってしまいがちなところがあるのです。  「ここまで行かないとだめなんだ」というような、成績でも何でも、ずっと上がるこ とを強要されて生きてきている世代なものですから、だからそこの部分をさらにやって しまうのか、どうなのかというのを少し吟味していただいたほうが良いのかなと思いま す。以上です。  柳澤座長  はい、どうぞ。  戸田委員  関連したことですけれども、私も、私の世代の人達が、皆、「体重は増やすな」とき つく医療従事者に言われまして、体重を増やさないように非常に注意をした世代なので す。  それを今度、どういうふうに「増やせ」というふうに来るのかと言うと、非常に暗い 気持ちになるというのは杉山先生と同じ気持ちです。ですから、これはハイリスクケー スを弾き出すための基準ということで、ゆとりを持たせていただいて、妊産婦さんを規 制するような要素を含まないような表現等に注意をしていただければと、個人的にもお 願いをいたしたいと思います。  柳澤座長  中村委員。  中村委員  日本栄養士会では「太るも痩せるも栄養が基本」というスローガンを掲げまして、約 5年前からいろいろな啓発活動をやっているわけです。特に、若い女性のダイエット志 向は大変由々しき傾向だと思っております。これが妊産婦にも引きつがれているので、 危機感を持っております。  今度、新しく食事摂取基準ができまして、食生活指針もできるし、至適体重増加も示 されるということなので、これらを基に日本栄養士会としても取り組みたいと思いま す。今までどちらかというと集団的で、マスコミュニケーションを介した教育・啓発活 動が中心でしたが、もう少し個々に対応した、個別の指導をできるような体制を作りた いと考えております。  そのためには都道府県や市町村、あるいは保育所にもっと管理栄養士・栄養士の数を 増やしていただきたいと思い、そのために、関係機関にそういう働きかけをしようと思 っております。  それと同時に私どもの会独自が民間活力を使いまして、都道府県に、栄養のケアステ ーションを創ろうというプランニングを採っております。そうすると地域にもっと栄養 士の顔が出てきて、気楽に相談していただけるような状況ができるのではないかと考え ております。そういう意味でこの新しい取り組みをぜひ進めていきたいと考えておりま す。  柳澤座長  このテーマに関して杉山委員、あるいはまた戸田委員からはこの指針を伝えるその方 法と、それからまたその内容についての考え方、そういったものについてのご意見があ りましたし、栄養士会という立場からもご意見をいただきましたけれども、こういった 点を踏まえて、いいですか。何か。  中野委員  よろしいですか。  柳澤座長  ええ。今、吉池委員から意見をいただこうと思いましたけれども、その前にどうぞ。  中野委員  今日、出てくるにあたりまして「栄養にリスクがある」ということを実は承知して来 ましたけれども、もう少し違う視点から、実は九州大学で食の安全ということに大変関 心をもって、今、政策提案をしております。  それとの関連があるのかな、見たところ、どうもなさそうだなというのが今日の冒頭 のご説明でしたが、吉池先生のお話を聞きまして、実は少し安心したわけです。かつて の国民栄養所要量でしたか、かつては「飢餓から救おう」「肥満を防止しよう」という 政策目標を掲げて、それで定められたという動きがあって、今回もやはり政策目標がど こかにあると、先ほど、先生のお話ぶりからこう理解いたしましたので安心いたしまし た。  その一環として、特殊な状況にある妊産婦という位置付けでお考えいただけることは 大変ありがたいし、そういった位置づけでお考えいただきたいと思うのです。  といいますのは、私は三次病院の現場から考えましたときに、低出生体重児、いろい ろなレベルがありますけれども、その基本を支えるのが栄養であったり行動であった り、エネルギーの出入りということは間違いないのですが、「では、どうなる」という 主要因として「栄養さえ良ければ」という話ではちょっとなさそうに思うのです。です から、それは重要な問題ではあるが、それだけを説明するというのはちょっときつい説 明になっていくであろう。  2つ目は、ここにも引用していらっしゃる、Barker先生が持ってこられた「子宮の中 から成人病が起こるのだ」。これは結構なのです。ただ、これを実証にするには1スパ ンですから、50年ないし70年間のlongitudinal、継続データ収集が必要なのです。それ ができないとは決して思っていません。なされればよろしいのですが、それは何かと言 いますと、日本が持っている一番自慢できる制度は母子手帳なのです。  だから、後方視的に母子手帳を利用して、1世代を超える研究が日本では可能です が、その中にどういう項目を書き込んでいけばよいかというふうに、先ほど、私はメジ ャーのことを言いましたけれども、それまで拡げたことでお考えいただくのが良いのか なと。  戻りますけれども、最初に大きな政策目標に合うものとして、そして位置付けられて 動いて、だから何も「たくさん食べたら、小さい子が少なくなる」ということだけにこ だわらないほうが、何か息がしやすいようなプロダクトになっていくのかなと。以上で す。  柳澤座長  はい。以上、ご意見を承りましたけれども、そういったことに対するお返事も含め て、吉池委員から。  吉池委員  私どもの研究会の立場としては、現状で利用し得るevidenceに基づいて、まず、拠り 所となるような数値を見ていくということです。体重についても、これは一般の人にも 言えることですが、エネルギーのin・outの評価が難しいので、結局は体重の増減等を1 つの目安にしながら、個人差に適切に対応した栄養指導をしていくことが必要となりま す。  妊婦においてもそのことは例外ではないので、1つの指標として体重の増加を見てい くことは不可欠です。短期的な目標としては低出生体重児をなるべく減らしていくとい うことを、1つのポイントと考えています。  また、いろいろな委員からご意見が出たそれをどう適用・活用していくかということ については、私どもの研究会の範囲を越えて、まさにこの検討会等で議論をすることで はないかと思っています。  柳澤座長  ありがとうございました。いろいろ、ご意見はあろうかと思いますけれども、このテ ーマにつきましても、研究会のほうで検討をいただいて、これについては次回、6月に はもう報告書の骨子を検討する予定になっていると伺いました。  それでは予定された議事については以上ですが、そのほかに検討事項がありました ら、一応いただくとして、よろしいでしょうか。それでは、また最後に事務局からお願 いいたします。  苗村課長  委員の先生方におかれましては、長時間にわたりまして大変貴重なご意見をいただき まして、ありがとうございました。特に座長の柳澤先生には司会進行ということでご苦 労さまでございました。  今後の予定といたしましては、2つの研究会に、今、ご議論をいただいた内容を踏ま えまして、中間評価の作業、並びに妊産婦の健康支援方策の内容を進めさせていただく ことになると考えております。  また、本日いただきました課題の中でこの検討会で決めることができるものと、他の 検討会などが決めないといけないようになっているものと、いろいろな課題をたくさん 出していただきましたので、そのあたりをまた事務局のほうで少し整理をさせていただ きたいと考えております。  さらに、指標の調査に関しましては、少し時間的な問題等がございますので、作業グ ループでかなり検討をしていただいたものを基にいたしまして、皆様方に必要に応じま して検討会を追加で開催させていただく場合もございますし、あるいは郵送等を通じま してご意見をいただいて、それで済むものでございましたら、それで済まさせていただ くということで、最終的なその判断に関しましては研究会と座長と事務局にお任せをい ただきたいと考えておるような次第でございます。  次に事務的な連絡でございますけれども、次回以降の検討会はおよそ6月、10月、そ れから来年の2月ということで、先生方、大変お忙しいということで早めに日程調整を させていただきたいと思っておりますので、日程調整につきまして、わかり次第、事務 局にお送りいただきたいと考えておるようなところでございます。よろしくお願いした いと思います。  それでは、これをもちまして第1回目の「健やか親子21」推進検討会を閉会させて いただきます。どうも、皆様方、お忙しいところ、ありがとうございました。  柳澤座長  どうもありがとうございました。                   (終了)                    照会先:雇用均等・児童家庭局 母子保健課                     電話:(代表)03−5253−1111                             斎藤(内線:7933)                             市川(内線:7939)