05/02/23 労働政策審議会職業能力開発分科会第18回議事録           第18回労働政策審議会職業能力開発分科会 日時: 平成17年2月23日(水)14:00〜 場所: 厚生労働省第5号館別館専用第21会議室 議題(1)平成17年度職業能力開発局重点施策と予算について   (2)雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱について(諮問)   (3)職業訓練実施計画(平成17年度)(案)について   (4)新潟県中越地震への対応について   (5)その他 配付資料  No.1  平成17年度職業能力開発局重点施策と予算について  No.2  雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱について(諮問文)  No.3  雇用保険法施行規則の一部を改正する省令の概要  No.4  職業訓練実施計画(平成17年度)(案)について  No.5  新潟県中越地震への対応について 〔参考資料〕  参考1 厚生労働省設置法(抄)  参考2 労働政策審議会令  参考3 労働政策審議会運営規程  参考4 労働政策審議会職業能力開発分科会運営規程  参考5 労働政策審議会委員名簿  参考6 労働政策審議会職業能力開発分科会委員名簿 出席委員 公益代表   江上 節子             黒澤 昌子             若菜 允子      労働者代表  井上 久美枝             大江 拓実             小栗 啓豊             中村 正武             西原 浩一郎      使用者代表  宇佐美 聰             小嶋 隆善             鈴木 正人             中村 紀子             水戸 靖之          第18回労働政策審議会職業能力開発分科会                    日時 平成17年2月23日(水)                       14:00〜                    場所 厚生労働省第5号館専用第21会議室 ○若菜分科会長  定刻となりましたので、ただいまから「第18回労働政策審議会職業能力開発分科会」 を開催いたします。定足数を満たしておりますので、始めさせていただきます。本日 は、お忙しい中お集まりいただきましてありがとうございます。  本日の議題は、議事次第にありますように、1つ目が「平成17年度職業能力開発局重 点施策と予算について」、2つ目が「雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱 について」、3つ目が「職業訓練実施計画(平成17年度)(案)について」、4つ目が 「新潟中越地震への対応について」です。なお、上村職業能力開発局長は、国会の業務 のために途中退席されます。よろしくお願いします。  それでは、議事に入ります。まず、議題(1)「平成17年度職業能力開発局重点施策 と予算について」です。最初に、事務局から内容についてご説明をお願いいたします。 ○総務課長  資料1です。平成17年度の職業能力開発局の重点的な予算についてご説明します。  平成17年度の予算の予定額につきましては、合計で1,687億円という規模になってお ります。前年度が1,729億円でした。なお、1,687億円のうち、一般会計が162億円です。 およそ1対9の関係で一般会計と特別会計の比率になっております。1,687億円の内訳 の主なものですが、資料にありますように、大きく6点の柱立てで分けております。順 次説明してまいりますが、最初の2本が若年者関係です。  まず、I「若者人間力強化プロジェクトの推進」です。順番が後先になりますが、II の「若者自立・挑戦プランの推進」を平成16年度から実施しております。この若者自立 ・挑戦プランをさらに推し進めるということで、平成17年度、新たに取り組むものの中 心が「若者人間力強化プロジェクト」の位置づけとご理解いただければと思います。 「若者人間力強化プロジェクト」につきましては28億円です。  その中で、1は、特に最近増えておりますフリーター、あるいはニートに対する働く 意欲の涵養なり向上策ということで、(1)は、若者自立塾の創設を予定しておりま す。これは、主にニート、働いてもいない、教育も訓練も受けていない人について、合 宿形式で働くことの理解を深めてもらおう、あるいは労働体験などを通じて就労への道 を持ってもらおうと、20箇所の塾を創設していこうという予算です。これが9億8,000 万円です。  (2)は、ヤングジョブスポットの見直しです。現在、ヤングジョブスポットは全国 の大都市を中心に16箇所設置しておりますが、これについて見直しをしていきたい。特 に、若者が多くいる場所にこちらから出かけていき、若者に対して情報提供なり働きか けをしていこうと考えているものです。  (3)は、就職基礎能力速成講座の実施、新規です。これは表題のとおりなのです が、基礎的な能力が欠けているがために、企業に採用してもらえない人が多いという現 状に鑑み、職場でのコミュニケーション能力やビジネスマナーなどの習得をしてもらう ための、10日間程度の講座を開設しようというものです。2億3,000万ですが、一般会 計で2,300万、雇用保険特会で約2億という予算を立てております。  2は、ものづくり立国の推進です。ご承知のとおり、最近若年者のものづくり離れ、 製造業離れが言われております。2007年の団塊の世代の引退の時期を間近に控え、特に 若者や親御さん、あるいはもう少し小さな子供まで含めて、ものづくり技能に対する理 解を深めてもらおうと、工場や民間の訓練施設などの開放の推進、あるいはシンポジウ ムの開催、ものづくり技能競技大会の実施などを通じて理解を深めてもらおうという政 策を用意しております。  II「若者自立・挑戦プランの推進」です。これは先ほども申しましたように、平成16 年度からの事業をより進めていこうというものです。124億円の予算を予定しておりま す。一般会計が18億、雇用勘定で106億の予算です。  この中心になりますのは日本版デュアルシステムの拡充で、実務とデスクでの教育と を組み合わせた実践的な教育訓練を行うということで、本年度から進めているもので す。来年度も、引き続き進めていきたいと考えております。ちなみに、このデュアルシ ステムにつきましては、去年の4月以降今年の1月までに、例えば5カ月程度の短期的 な訓練のコースで、2万3,000人ほどの方がすでに訓練を始めております。1年あるい は2年程度の長期的なものについても、28都道府県で訓練コースを開講、あるいは開講 予定です。  このような訓練を経た方の就職の状況ですが、実数は少ないですが、約4,000名の方 について調べたところ、就職率が71%を超えているということで、従来の訓練と比べて 大幅に良好な実績を挙げているところです。非常に有効な政策ですので、来年度も引き 続き拡充していきたいと考えております。  2は、若年者向けキャリア・コンサルタントの養成・普及の推進です。キャリア・コ ンサルタントが能力開発を行う際に、企業にとっても個人にとっても重要であることは 論をまたないところですが、特に若年者を対象としたコンサルティングの能力を高めて いただこうという趣旨で、若年者向けキャリア・コンサルタントの養成を進めようと考 えているものです。  3は、学卒、若年者向けの実践的能力評価・公証の仕組みの整備です。これはYES −プログラムと言っておりますが、若年者の就職基礎能力を公証あるいは評価する仕組 みの整備を引き続き行うもの、それに加えて3級の技能検定職種の拡大を行っていこう と考えているものです。  III「企業ニーズに対応した能力開発の推進」ですが、228億を用意しております。こ れは、全額雇用保険勘定からの支出を予定しております。能力開発は、当然企業のニー ズに合ったものであることが必須ですが、それをより進めようということです。  1は、専修学校等の民間教育訓練機関を活用して、より社会のニーズに合った訓練を 実施しようというものです。  2は、個別企業の要望に即した訓練の充実です。特に求職者に対する訓練は、個別企 業がどういう人が欲しいかという人材ニーズに応じて、それに適合する出来上がりを目 指した訓練を行う。訓練が終わった暁には、その企業に就職していただくのが効率がい いだろうと、そのような要望に応じた訓練の充実を図っていきたい。オーダーメイド型 訓練と呼んでおりますが、そういうものを進めたいと考えております。  3が、地域における創業を支援する実践的な訓練の推進です。個々の地域で創業や新 分野展開をしたいと、そのための相談援助、人材育成等を推進しようというものです。 都道府県に委託する形で行いたいと考えております。  IV「キャリア形成支援のための条件整備の推進」で、49億円を用意しております。キ ャリア・コンサルティング実施体制の整備ですが、キャリア・コンサルティングの養成 を民間の養成機関、職業能力開発大学校での養成を進め、育っていったキャリア・コン サルタントに民間企業の中、あるいは公共職業安定所での仕事に就いていただこうとい うものです。  2が、幅広い職種を対象とした職業能力評価制度の整備です。能力評価制度がキャリ ア形成なり企業の中での労働者の安定した地位の確立に不可欠であるわけですが、その ために能力評価制度の整備を進めようというものです。「幅広い職種を対象とした職業 能力評価基準の策定」と書いてありますが、職業能力評価基準を業界ごとに関係団体と 協力をして策定を進めている。策定されたものについては、当然ご協力いただいた業界 団体などを通じて普及に努めていくものです。  3が、民間におけるeラーニングの活用の促進です。インターネットの普及に伴っ て、能力開発の面でもeラーニングを利用する場面が増えてきております。eラーニン グを使った能力開発について情報を提供していこうというもので、情報提供することに よって、個人がeラーニングによる教育に容易にアプローチできるようにしていこうと するものです。  V「母子家庭等自立支援対策の推進」です。13億円を用意しておりますが、これは厚 生労働省の中での厚生サイドとの連携施策の1つでもあります。児童扶養手当などを受 給しておられる母子家庭の母、あるいは生活保護を受給しておられる方、従来ですと福 祉施策の対象であった方々の就労を促進しようとするものです。就労によって自立を助 けていこうという趣旨で、いま言いましたような母子家庭の母などに対して、個別個別 の「自立支援プログラム」を厚生サイドと協力して作っていこうということにしており ます。その「自立支援プログラム」の中で、教育訓練が大きなウエイトを占めておりま す。個々の方に応じた訓練を提供し、それによって就労の場面に出ていただこうと、福 祉から就労へという大きな流れの中の位置づけを持っている事業です。  VIは、「障害者に対する職業能力開発の推進」です。障害者も福祉から就労へという 流れの一環で、特に障害者の職場進出を大幅に支援していく必要があると、平成16年度 から行っている事業メニューです。  1は、公共職業能力開発施設における障害者訓練の推進で、障害者職業能力開発校が 設置されていない県の能力開発施設の中で、障害者の訓練をいかにうまくやっていく か、そのための事業です。今年は15県で実施しておりますが、来年度は23県で実施しよ うというものです。  2が、事業主や社会福祉法人等の民間を活用した訓練の推進です。障害者について も、事業所での訓練あるいは社会福祉法人等での訓練を委託する形で、就職に結びつく 能力開発を行っていただこうというものです。本年度は5,000人分の予算を用意してお りましたが、来年度は6,000人分に拡充して行っていきたいと考えております。以上、 平成17年度予算の概要をご説明させていただきました。よろしくお願いします。 ○若菜分科会長  それでは、ただいまのご説明についてご質問、ご意見がございましたらお願いしま す。 ○長谷川委員代理(久保様)  1頁にあります「就職基礎能力速成講座」だけではないのですが、そういう若年者対 象の能力開発のさまざまな情報は、ハローワークやジョブ・カフェや、ある意味限られ た場所でしか入手できないという印象がありまして、例えばハローワークに行きまして も、自分で情報コーナーなどに行かなければ取りに行けないような印象もあります。も ちろんそれは若い人だけではないと思うのですが、インターネットはいま当然のように ありますが、駅頭や電車の中吊り、タウン紙など、より多くの人の目につく所で広報し て、地域に根ざす情報が必要ではないかと感じております。  もう1つ、ヤングジョブスポット、ジョブ・カフェなどを活用してということでこの 中にも入っているのですが、どうしてもいまでは設置箇所が少ない現状がありますの で、活用できることが少なくなってしまうと思うのです。なので、全国約600箇所以上 あるハローワークは、やはりもう少し有効に活用できないかなと考えております。実際 ハローワークに行ってみますと、仕事検索の場になってしまっているような雰囲気もあ りますし、キャリア・カウンセリングが容易に気軽に受けられる雰囲気があまりないと いう疑問を持っております。ここで質問なのですが、全国のハローワークの中にいらっ しゃるキャリア・カウンセラーの数は十分なのか、そして、そのキャリア・カウンセラ ーが、ニートやフリーターの方がいらしたときに、そういう立場でカウンセリングでき るのか。ヤングジョブスポットにいるようなカウンセラーの方々が、どれぐらい駐在し ているのかがわからなかったものですから、その辺りを教えていただければと思いま す。 ○総務課長  1点目のいろいろな施策のPRですが、インターネットなどでは、厚生労働省のホー ムページや雇用・能力開発機構のホームページでもそのようなものは用意しております が、ご指摘の点はもっともです。予算にも限りがありますので、大々的なPRは限界が ありますが、なるべくのことはしたいと思っております。  ここに書いてありませんが、若者対策について国民的な機運をもっと盛り上げていく 予算を、厚生労働省全体の中でも来年度行っていくことにしております。国民運動を行 う中で、当然いろいろな施策のPRは行いたいと思っておりますし、ヤングジョブスポ ットの見直しも、まさに今ご指摘がありました、待っているのではなく、こちらから若 者のところへ出かけていって情報提供をしようという発想がありますので、ご指摘の趣 旨に沿っているのかなと思います。 ○キャリア形成支援室長  公的なキャリア・コンサルタントの配置としましては、雇用・能力開発機構に約900 名置いております。このうち約600名をハローワークに、約100名をジョブ・カフェに配 置しております。必ずしも若年者だけに特化しているわけではありませんが、昨年4月 28日にいまの若年者向けのキャリア・コンサルティングの実施に必要な能力を明確にし ていただき、さらに導入レベルのキャリア・コンサルティングセミナーなども、今年の つい先だってから始めているところです。こういったセミナーにも、ハローワークやジ ョブ・カフェの皆さんにも受講できる機会を提供してやっており、ご指摘を踏まえてそ ういった点を強化していきたいと思っております。 ○西原委員  1点お聞きしたいのですが、日本版のデュアルシステムの関連で、先ほどのご説明で 実績としての受講者数と就職率について、通常の状況よりはかなりいいという話だった のですが、いままでの実績では、例えば受講者あるいは就職数も含めて、産業分野なり 職種的な部分など特徴的なものがあるかどうか。つまり期待される効果が拡大している 産業分野、あるいは業種分野が何か特徴的にあるのかどうか、それともかなり網羅的な もので、まだ特徴的な部分を捕まえるまでには至っていないのか、その辺りを教えてい ただければと思います。 ○能力開発課長  日本版デュアルシステムの公共訓練でやっている部分の特徴として、訓練校でやって いる部分は普通課程が強まったり専門課程が強まったりありますが、中身について具体 的にどういう科目でやっているか申し上げますと、まず施設内で、いわゆるJAVAな どIT系の応用技術科、あるいは機械加工関係、機械設計の関係、いわゆる従来型の製 造業関係のもの、電気工事や電気通信、電気技術、電気設備など電気関係の科目、それ から最近流行りですが、住宅環境の関係のもの、メカトロニクスの関係。施設内で行う ものは、比較的従来型の訓練が多いのではないかと思っております。  一方、2万5,000人分で民間の教育訓練施設を活用して委託でやっている部分があり ますが、こちらはやはりIT系と、最近は介護等の福祉関係の学科が多いということが あります。それから、やはり労働市場の関係で、住宅関係などが中身的には多いと言え るのではないかと思います。特に委託訓練の場合は、4カ月ないし5カ月と比較的短期 間で、労働市場に合った訓練をできるだけ設定するようにしており、特に企業での実習 なり雇用を重視してまいりますので、その中での実践的な勉強もしていただき、結果と して先ほどありましたように、一般の民間への委託訓練は平成15年度で就職率が52%程 度ですが、デュアルでやっている部分は、全体はまだ出ておりませんが、速報で71%程 度です。そういう意味では、就職に結びつきやすい仕組みになっていると言えるのでは ないかと思っております。 ○西原委員  いずれにしても、産業構造もどんどん変化していますし、あるいは労働市場のニーズ も確かに変化はあるのですが、少し先取りしながらその辺りの状況の評価と、それをど う活用しながら、この制度をより効果ある形にしていくかというPRを含めて、できれ ば情報公開的なものを評価しながら、できるだけ積極的に先取りで拡張を図るような対 応が必要かなと思っておりますので、そういった対応をお願いしたいと思います。 ○能力開発課長  追加的にデータで申し上げますと、委託している分野で言いますと、いちばん多いの がやはり事務系で、医療事務や経理などが41.6%です。その次がIT系で、32.6%。そ の次が介護など福祉系で、8.1%。営業や販売が7.3%と、大体このような感じです。ご 指摘の点を踏まえまして、できるだけ努力していきたいと思います。 ○小栗委員  1項の最初の「若者自立塾の創設」について少しお聞きしたいのですが、ニート対策 は非常に難しいと思いますし、新しい試みという意味では私は評価したいと思うのです が、職業能力開発、いわゆる一般的な生活訓練や勤労観の問題を、行政としてどうとら えていくのか。文科省で人をどう育成するかという観点でもあるでしょうし、必ずしも 職業能力開発にストレートに結びつくとも思えない。その辺りはどう考えているのか。  併せて、20箇所と話を伺いましたが、対象者はどのようにして選ばれるのか。あるい はどのような場所で行われ、誰が指導されるのか、もう少しイメージの湧く説明をいた だければありがたいと思います。 ○キャリア形成支援室長  ご指摘の点は、まず簡単に申し上げれば、塾が、能力開発対策の範囲かというお話か と思いますが、いまの能力開発行政の中でもキャリア支援を大きく取り上げてきており ます。この中でキャリアといった場合に、ライフ・キャリアもありますが、いちばん大 きな部分はやはり仕事に関する部分だと思っております。そこにつなげていくことを考 えたときに、従来の狭義の職業訓練、あるいは学校教育のどちらにも属さない境界領域 的な部分だと思いますが、最終的にキャリア支援ということを考えたときには、ただい ま申し上げましたように、「職業につなげていくこと」が非常に重要だと考えておりま すので、そういう意味では広い意味での能力開発行政・キャリア行政の範囲内でとらえ ていいのかなと考えております。  20箇所の全体の構造ですが、まず大きく塾支援団体を1つどこかにお願いしようと考 えております。この支援団体の指導の下に、ただいま申し上げた20箇所の塾が運営され ていくというイメージを持っております。この20箇所の塾につきましては、候補の方 に、私どもはこういう計画で、こういう企画でやっていきます、という企画書を出して いただき、それを審査して20箇所を選定していくと考えております。実際的なやり方と しては、その候補者になる方々からいろいろお話を聞かせていただいておりますが、例 えばインターンシップ、アルバイト的な職業を実際に体験してもらうことで、職業意識 を高めていこうとする所もありますし、ボランティア活動を通じてやっていこうという 所もあります。あるいは、農山村体験を通じて育てていこうと考えている所もありまし て、まさに民間のいろいろな工夫があると考えておりますが、こういった所を拝見し て、20箇所を目処として選定してやっていただきたいということです。その全体は、塾 支援団体の全般的な指導の下に、できるだけ一体的に運営していきたいと考えておりま す。 ○小栗委員  実際に参加される方は、どのようにして選ばれていくのでしょうか。 ○キャリア形成支援課長  塾生ですね。いろいろなやり方があると思いますが、これも実際には塾実施者にお任 せしようと思っておりますが、私どもが考えているいちばん効果的なものは、たぶん親 御さんや周りの方々からの働きかけだろうと思います。やや似たところで、引きこもり の方々の支援をやっている団体が、すでにいくつか存在しておりますが、こういった所 のお話を伺っていると、大体において親御さんが困っていて、うちの子供を何とかして もらえないだろうかとご相談に見えるそうです。今回、こういった塾構想を発表したと きにも、もちろん塾実施者からの問合せもありましたが、やはりニートのお子様を抱え ている親御さんからの問合せもありまして、その辺りからのアプローチがいちばん実際 的なのではなかろうかと考えております。 ○鈴木委員  若者の人間力を強化する、また、若者自立・挑戦プランは国家的なプロジェクトとし て進めていくと承っていますが、それにしては一般会計からの予算が少ない印象を持ち ました。特にフリーターやニートの層は、どちらかというとまだ実際に就職していな い、雇用保険の対象外の人間であることを考えるときに、その辺のバランスが欠けてい る印象を持っていますが、実態はいかがでしょうか。 ○能力開発課長  1つの事例として、就職基礎能力速成講座について申し上げますと、一般会計雇用勘 定、特別会計雇用勘定の予算割合は1対9としているところです。一般会計は1割で す。これについては、どういうことでそうしているかというと、一般会計で措置すべき 者ということで30歳未満の完全失業者のうち、企業に雇用されたことがない方たちとい うことで学卒未就職者の割合がデータ的に1割程度であるということで、その部分を一 般会計で見るという考え方でやっています。職業安定局の若年対策関係のものについて も、同じような考え方でやられていて、私どもは予算要求のときにその辺を踏襲してや っているということです。 ○江上委員  いまお話があったIの1の(1)の若者自立塾の対象者のことですが、実際に職業訓 練にも就いていなくて就職もしていない人たちは、いろいろな層に分かれると思いま す。家庭の中に引きこもって、親御さんからどうにかしてほしいといった層をメインタ ーゲットにするとなると、かなり精神的なカウンセリングとか、そういう領域にまで踏 み込んでいく印象があるわけですが、そこはどの辺で線引きをするのか。やはり職業能 力開発ということで、あくまで就職をさせるということを1つの目的とする政策として は、そこのところをきちんとある程度概念を固めておかないと、現実の運用になってい くと相当変質してしまう可能性があるのではないかという気がします。 ○キャリア形成支援室長  最近、人間力という言葉をよく使っていますが、そういう言い方でご説明しますと、 人間力の低いほうから高いほうまでいらっしゃるわけで、今回想定しているのは3カ月 程度の合宿生活で、就労もしくは就労に近いところ、学校に復帰することも含めて、ニ ート状態から脱却してもらうことを想定しています。そういう意味では、上のほうでも 下のほうでもないということになります。下のほうというのはどういうことになるかと いうと、結局先ほども申し上げかけていましたが、強度の引きこもりやメンタル系との 境界領域もかかってくるのだろうと思います。この部分はこういった若者支援の実践者 の方々にいろいろとお話を聞いたところ、長年の経験から、「この人は医療関係に行っ たほうがいい。この人は塾に入らなくても、もう少し職業体験みたいなことを重ねてい けば、かなり早期に就労に繋げられるだろう。」といった判定は、十分可能であるとい うことを言っています。そういったところで、私どもとしていちばん肝心なのは、塾実 施者が私どもの事業の意図をよくご理解いただいて、実際にそういったことができるか どうか。つまり、実績をお持ちかどうかというところで判断していくことで、先生のご 指摘のありました、「適当な層を選んでいく」ことは、十分可能ではないかと考えてい ます。 ○総務課長  少し補足をします。塾に入っていただく対象者を選定する際には当然キャリア・コン サルティングなどを十分に行い、その方のそれまでのキャリアや生活状態などから判断 して、塾に入っていただいて3カ月程度の生活訓練や職業訓練を受けていただければ効 果が現れる人を是非選びたいと思います。ですから、言い方が悪いかもしれませんが3 カ月の訓練を受けても、ちょっと駄目そうな人は、また別のメンタル的なカウンセリン グをちゃんと受けていただくなど、そういう進路に進んでいただくことになるだろうと 思います。 ○江上委員  今回のこの政策での自立塾のプログラムや方法論は、実験的な意味でそのあとプロト タイプを作っていくのだったらいいと思いますが、大学で教えている先生はほかにもい らっしゃると思いますが、高校や大学を中退したり卒業しても就職をしなかった学生 で、何らか働きたいと思っているけれどもなかなか接点がない、自分がどういう仕事を したいのかがわからない、きっかけがないという学生は、結構大学や高校の先生の所に また遊びに来たり、なんとなくキャンパスに顔を覗かせる。あるいは、理工学部の建築 などでも卒業しても就職していない、研究者になるという明確な目的意識も持っていな いけれども、先生たちが個人的に保証して、100人ぐらいの学生が研究室になんとなく いる状態があるわけです。ある意味では、今後大学や高校がそういう受け皿にするよう な仕組みをきちんと作っていかないと、多分塾といっても民間の株式会社やNPOなど 多様な機関がやられると思います。実験的にはいいと思いますが、向上的な仕組みに変 えていくことを考えていかないと、一過性で常に労働集約的にこういう試みをして、僅 か少数の人が3カ月の塾を体験することにしかならないのではないかという懸念があり ますが、その辺の将来構想はどのようにお考えですか。 ○総務課長  2つあると思います。1つは、塾の事業は確かに江上委員がおっしゃったように、こ れはモデル的な位置づけと考えています。20箇所で総数にしても1,000人単位ぐらいの 塾生しか受け入れられませんので、これで50万人や200万人と言われるフリーター問題 やニート問題全部が解消されるわけでは当然ないですが、我々の意図としては、塾のこ の事業を通じてそういう人に対するノウハウを蓄積し、それを社会に還元することによ って、民間の間でもこういう取組みがもっと広まっていくことを期待したいと思いま す。  もう1つは、学校との連携、協力です。大学にしろ高校にしろ、学生である状態から 労働市場に円滑に移行していただくことは非常に重要だろうと思います。いまご紹介し ているこの予算は能力開発局の予算ですので、そういう点の記述がないですが、職業安 定局の事業としては大学や高校の先生に対する若者問題の理解を深めていただく働きか けなど、そういうメニューの用意をしています。そういうものも引っくるめて、もっと 大きく言えば厚生労働省だけではなくて文科省や経産省や内閣府も含めて、関係省庁が 連携しながら取り組んでいますので、そういう中でいまご指摘の点も踏まえて対応した いと思います。 ○若菜分科会長  ほかにご意見はありますか。特にないようでしたら、次の議題に移ります。  議題(2)「雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱について」です。この 省令案要綱については本日、厚生労働大臣から諮問を得たところです。最初に、事務局 から内容の説明をお願いします。 ○育成支援課長  資料2と資料3です。資料2は省令の諮問にかかる文書と、その省令案です。説明は 資料3でします。  資料3「雇用保険法施行規則の一部改正(案)について」。まずは、キャリア形成促 進助成金についてです。今回の改正の趣旨は、労働者の能力開発を効果的に行うために 実施する相談援助、いわゆるキャリア・コンサルティングの外部委託費用については、 その費用の一部を助成し、キャリア・コンサルティングの実施促進を図ってきたところ です。この制度は平成13年10月から実施しています。今回、これに加えてさらに多くの 者が専門的なキャリア・コンサルティングを受ける機会を確保できるようにするため に、企業内において専門性の高いキャリア・コンサルティングの実施を支援する必要が あり、このために事業主が、企業内においてキャリア・コンサルティングを実施した場 合も、キャリア形成促進助成金のうちのキャリア・コンサルティング推進給付金の助成 対象とするものです。  改正の内容は、事業主が、企業内キャリア・コンサルタントを雇用し、当該事業所内 に配置するとともに、その雇用する被保険者に対して当該企業内キャリア・コンサルタ ントが実施するキャリア・コンサルティングを受けさせた場合には、1事業所1回に限 り15万円を支給するというものです。これによって、キャリア・コンサルティングの実 施体制を整備することを推奨し、制度の導入を奨励するものです。※の企業内キャリア ・コンサルタントですが、企業内においてキャリア・コンサルティングを行う者であっ て、厚生労働大臣が定める者に該当する者を考えているところです。  これは一定程度の専門性に基づくキャリア・コンサルティングが実施されることを推 奨するのが適切ではないかという考えに基づくものです。以上、簡単ですが、キャリア 形成促進助成金について説明させていただきました。 ○能力開発課長  続いて、就職基礎能力速成講座についてです。これも先般来お話が出ていますが、高 い失業率、フリーターやニートが増加して、若年者の雇用環境が悪化しているというこ とがありまして、昨年の12月に関係5大臣によって「若者の自立・挑戦のためのアクシ ョンプラン」が取りまとめられたところです。その中で、総合的な対策を講ずるとされ たところですが、今回の施策は、フリーター等の若者を就職させることを目的として、 その中でも働くことの意義や目的の理解が十分できていない方、職場におけるコミュニ ケーション能力が不足している方、基礎的なビジネスマナーが習得できていない方、こ ういう基礎能力の習得が不十分なために就職が困難になっている若者を対象として、10 日間程度の基礎能力を付与するための講座を実施することとしています。これは都道府 県に委託して実施する事業と考えていて、ジョブ・カフェ、ハローワーク等を通じて若 者が参加していただけるような仕組みを取っていきたいと思います。  今回の法令改正の内容として、雇用保険法の中に職業講習に関する規定があって、そ の中身に能力開発事業として、就職基礎能力速成講座を実施できるように省令を改正し て、追加をするという内容の改正です。施行日は、平成17年4月1日を予定していま す。以上です。 ○若菜分科会長  ただいまのご説明について、ご質問あるいはご意見がありましたらどうぞ。 ○長谷川委員代理(久保様)  この雇用保険の施行規則の一部改正については助成金の拡大ということですので、是 非どんどん拡大していただいて、広報なども含めて周知徹底などお願いできればと思い ます。  それと関係することで、実際にキャリア・コンサルタントの養成講座を覗いて実感し たことですが、講座の受講者というのは必ずしも企業内からの要請で来ている方ばかり ではない印象を受けています。5万人のキャリア・コンサルタントを養成をするという ことですので、是非この5万人の方々ができるならば全員有資格者が活動できる場を確 保することが必要ではないかと思います。各養成機関での資格取得者、それぞれの機関 にどれぐらいいらっしゃるかはわかりませんが、その方々がハローワークや必要な場所 で活動できるような養成機関との連携はどうなっているかがわかれば教えてください。 ○キャリア形成支援室長  一言で申し上げると、養成されたキャリア・コンサルタントの活動の場を拡大してい くべく政策展開をせよということだと存じます。そういう観点で申しますと、いくつか の政策を既に実施してきており、またこれからもやっていこうとしているところです が、1つはキャリア・コンサルタントの良さを皆さん方にもっと知っていただく必要が あるだろうと思います。そういったことで、先ほどの重点施策にも入っていますが、キ ャリア・コンサルティングを実際にいろいろなところで実践していただいている例を集 める。企業の中でキャリア・コンサルティングを導入すると働いている皆さんがいきい きと働けます、あるいは、学校であれば就職率が高くなっていきますといった事例を集 めていこうと考えています。平成16年度も、既にそういったことに取り組んでいるとこ ろです。  公的な機関等に関しては、養成講座の試験を受けた方々をできるだけご活用いただき たいということで、私どもからああしなさい、こうしなさいということは言えないので すが、同じ省内ですが労働局などでのキャリア・コンサルタントの雇用あるいは都道府 県の雇用に当たっても、こういった講座で養成が進んでいますということをお知らせし て、ご活用をお願いしたいということを申し上げています。  根源的というのと違うかもしれませんが、先ほどの久保様のご指摘のありました養成 機関、試験機関のネットワーク、協議会が昨年3月に発足しています。長くなりますの で通常は「キャリア協議会」と称していますが、このキャリア協議会が中心になってこ ういったキャリア・コンサルティングの普及や品質の確保、品質の確保の中には将来的 にスーパービジョンの実践といったことも入ってくるだろうと考えていますが、それに ついても民間の養成機関、試験機関が連携して取り組んでいこうという仕組みができつ つあります。そういったところとも十分に連携しながら、ご指摘の趣旨を踏まえながら 取り組んでいきたいと考えています。 ○黒澤委員  教えていただきたいのですが、このキャリア形成促進助成金は企業内キャリア・コン サルタントにも適応すると素晴らしいことだと思いますが、この支給条件として配置し てキャリア・コンサルティングを受けさせた場合に支給するということですが、その内 容はどういった状況をもって配置されて受けさせたと見なすかについて、もう少し詳し く教えていただければ幸いです。 ○調査官  今回の制度については、企業内でキャリア・コンサルティングを受けられるようにす る、言ってみれば体制整備にかかる省令です。しかし、体制を整備しましたというだけ で終わりではなくて、整備して実際に働く方々が受けましたと。体制を整備し、受けた ところをもって助成対象としていこうということです。そういうことで、実際に受けた ことを条件として付けています。 ○宇佐見委員  関連質問で、その前に「雇用し」という言葉もありますが、これは「新たに雇用し」 という意味ですか。それとも、キャリア・コンサルタントとして企業内では配置転換と いいましょうか、そういうことも含まれているのでしょうか。 ○調査官  結論から申し上げると、両方が対象と考えています。ですから、資料3の1の(2) の1、2行目辺りですが、新たに雇用して配置をされる場合も対象ですし、現に企業内 にいま雇われている方に対して勉強して資格を取りなさいといって資格を取って、「君 が担当としてやっていきなさい」と配置をした場合にも、対象とすることを考えていま す。 ○黒澤委員  コンサルティングを受けた人がいればそれでOKということですが、それは1人でも 受ければOKなのですか。それとも、継続的な活動状況みたいなものも担保されるわけ でしょうか。 ○調査官  基本的には制度を設けることを奨励するということで、もちろん制度を設けることを 継続的にやっていただくことを期待してはいますが、助成の条件としてはそういう制度 を設けて、1人でもお受けになった段階で助成金を支給することで考えています。 ○若菜分科会長  ほかにありますか。特にご意見がないようですので、本省令案要綱については妥当で あるということで報告をしたいと思いますが、よろしいですか。                  (異議なし) ○若菜分科会長  それでは、事務局から報告文(案)を配ってください。                (報告文(案)配付) ○育成支援課長  それでは、報告文(案)を朗読します。雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案 要綱について。平成17年2月23日付厚生労働省発能第0223001号をもって、労働政策審 議会に諮問のあった標記について、本分科会は審議の結果、下記のとおり結論を得たの で報告する。  記。標記については妥当と認める。以上です。 ○若菜分科会長  ただいま読み上げました報告文(案)のとおりでよろしいですか。                  (異議なし) ○若菜分科会長  賛成いただきましたので、ただいまの内容で労働政策審議会長宛に本日付で報告をし たいと思います。どうもありがとうございました。  議題(3)「職業訓練実施計画(平成17年度)(案)について」、事務局から説明を お願いします。 ○能力開発課長  資料4です。初めに、この職業訓練実施計画の性格について説明します。参考に根拠 法令の職業能力開発促進法第15条の7という規定がありますが、昨年の3月1日に雇用 ・能力開発機構が独立行政法人になりました。独立行政法人は、国から直接的にああし ろ、こうしろと指導や命令をする仕組みになっていなくて、独立的に自分の判断で一定 の業務運営ができるとなっています。国からは、中期目標というものを提示して、それ に対して機構サイドで中期計画というものを立てて、それに則って業務を進めていくわ けです。この計画の期間が原則として5年となっていて、今回の場合は11カ月ほど短く なっていますが、そういう長期間にわたる計画であることから、機構法の成立に合わせ て能開法を改正して、この条項を新たに規定しました。これによって、国が行う施設内 あるいは委託訓練の実施計画について、国が行う訓練の年度ごとの目標を定めて実施を していこうという性格のものです。  平成16年度分が初めて作成されたということで、この審議会にもお諮りしたところで すが、本年度は2年目ですので一定の修正を図るということで、その概要を資料4に掲 げていますので、いまからご説明したいと思います。計画の目的にアンダーラインが引 いてあるように、平成17年4月1日から平成18年3月31日までの期間の計画であること を明記しています。  2「労働市場の動向」です。この辺は、昨年と比べて若干の情勢変化が見られるわけ で、雇用情勢は厳しさが残るものの完全失業率の低下や有効求人倍率の上昇傾向など、 引き続き改善している。しかしながら、現在施策の重点になっている若年者を中心に、 ミスマッチは依然として大きいという状況があります。特に若年者については離職率が 高いということもあって、失業率も低下傾向ではあるけれども相変わらず高水準である ということがあります。そういう中で、不安定就労や無業者が増えていることもデータ 的に示されていて、職業能力の蓄積がないままに放置されるとなると、今後の社会不安 の増大といった社会的に深刻な問題になりかねない状況であることを記述したいと思い ます。  経済のグローバル化、IT技術の進歩等、こういう大きな状況変化に的確に対応して いくこと。障害者については、「障害者基本計画」に基づく障害者の社会参加への支 援、特に職業的自立を支援していこうということで、施策の拡充も図っているところで す。  新たな条項として、母子世帯の増加という状況を踏まえて、生活保護制度における被 保護者等の急増、先ほどの予算のところでも若干ご説明しましたが、こういうものにも 対応して訓練を充実していきたいと思います。  3「実施する職業訓練の対象者数及び主な取組」です。離職者訓練については、対象 者数19万2,300人で、うち委託訓練が15万800人ということで、委託訓練の割合は78.4% です。委託訓練のうち、3,000人分は、母子家庭の母及び被保護者等を対象としたプレ 訓練付きの職業訓練として実施する予定です。ちなみに平成16年度の計画が出ています が、委託訓練の割合が昨年は78.2%ですので、若干上昇しています。民間委託を促進す るという感覚です。  次の頁は、主な取組です。いま申し上げたように、民間教育訓練機関を活用した多様 な職業能力開発機会を提供していこうということが第一です。効果的な公共職業訓練の 実施のための取組として、職業紹介機関との連携を強化していく、綿密なキャリア・コ ンサルティングを実施していく、計画的な就職支援を行っていくことをやっていきたい と思います。就職率を重視することから、実績に応じた委託費の支給も引き続きやって いきたいと思います。アンダーラインで2つほど挙げていますが、新規として、求人企 業の具体的ニーズを業界団体と連携する中で把握をして、そのニーズを踏まえたオーダ ーメイド型の訓練を新たにやっていきたいと思います。  委託訓練活用型デュアルシステムについては、従来ハローワークを経由する者に限っ ていましたが、若年者のためのワンストップサービスセンター、ジョブ・カフェにおい ても受講申込みの受付をしていきたいと思っています。  (2)在職者訓練については12万3,800人、対前年同の計画としています。この中で は、産業構造の変化や、特に高度な技術技能及び知識の習得に重点を置き、在職者訓練 なので、受講者及び事業主の方の評価あるいは地域のニーズを踏まえ、訓練科の設定、 実施方法等の見直しを行っていきたい。特に雇用・能開機構では、毎年かなりな部分の 科目についてスクラップ・アンド・ビルドを行って、実施しています。そういう意味 で、地域のニーズあるいは情勢に合った訓練を実施していけるように努めていきたいと 思います。  学卒者訓練の対象者数は8,300人です。平成16年度計画の8,500人から若干減少してい ます。学卒者訓練はその下にあるように、高度な部分に限ってやることになっていま す。特にものづくり系を中心とした若年技能労働者の育成に力点を置いていきたい。所 要の科目の再編等を行い若干定数減しています。長期の訓練なので、中長期的な産業動 向や人材ニーズを把握し、内容についても常に見直しを行っています。  (4)障害者に対する職業訓練の対象者数は9,900人で、うち委託訓練は6,000人で す。昨年に比べて委託訓練が1,000人分増で、ほぼ1万人規模の訓練の実施ができるよ うになっています。都道府県分の施設内訓練が入ってないので、それを含めると1万人 を超え、障害者の訓練機会1万人を1つの目標としてやってきましたので、1つの大枠 が整ったと考えています。今後は、この中身について更に良いものにしていく必要があ ると思っています。  主な取組としては、2番目の・のように、特に施設を作ってそこで訓練するというの は、なかなかいまの情勢では難しく、時代に合ってないということもあります。既存の 福祉サイドの人たち、社会福祉法人や教育訓練機間の資産を活用し、委託先として委託 訓練を充実させてやっていきたい。特に最近は知的障害者や精神障害者、今回の法改正 も障害者の雇用促進が行われるよう、国会に提出しているところです。障害者の態様の 変化に沿った訓練やその受け皿も機動的にできるよう、委託訓練を充実していきたいと 思います。  なお、◎では、若年者に対する(1)及び(3)の職業訓練の一部について、日本版 デュアルシステムとして実施するものです。(1)における実施数は2万8,000人で、昨 年は2万5,000人でした。都道府県経由の3,000人を新規に要求し、プラスしました。 (3)の学卒者訓練で行うのは1,900人ですが、収容の実績等を勘案し、若干減にしま した。  次頁は全容です。平成17年度、右側です。離職者訓練については、経済情勢の変化等 を踏まえ、全体的に減じています。デュアルシステムや母子家庭の母等の対策に重点化 しています。在宅者訓練は、ほぼ前同です。学卒者訓練についてもほぼ前同ですが、一 部専門課程のデュアルシステムを拡充するという形でのメリハリをつけています。障害 者訓練については、現在の福祉から雇用、就労への流れを踏まえ、拡充を図っていま す。説明は以上です。 ○若菜分科会長  ただいまの説明について、質問あるいはご意見がありましたら、どうぞお願いしま す。 ○中村紀子委員  母子家庭の母に対する教育訓練には約3,000人ということですが、母子家庭の親を特 に抽出して訓練を考えるのは、今回初めてでしょう。母子家庭の親の訓練のあり方、あ るいは生活保護世帯の方々への職業訓練のシステムについて、具体的にどのような形 で、どれくらいの期間か。そして現在おられる方々は、何カ月ぐらいで、その手当など の打ち切りをして自立していけるのか。その辺りはどう考えていますか。 ○特別訓練対策室長  児童法の母子世帯といったものが非常に急増している現状で、ちなみに平成15年度は 120万世帯、5年前の平成10年では95万世帯ですから、約26%の急増です。旧厚生サイ ドとの連携政策として、児童扶養手当の受給者や生活保護の受給者が、福祉から就労へ 移行する中で、自立に至るお手伝いといいますか、そのための職業訓練が必要である。 そのために、平成17年度から就労経験のない、または就労経験の乏しい母子家庭の母、 または連携政策の自立支援プログラムに基づいた福祉事務所等を通じて、受講を希望す る児童扶養手当の受給者、それから生活保護受給者で、公共職業安定所に求職申込みを された方について、新たに就職のための準備段階としてのプレ訓練を行います。4日か ら5日程度で、ビジネスマナーや自己の職業適性の理解とか、そういったものも含めた 講習を事前に行います。それから実際に必要な技能、知識の習得のための職業訓練を、 委託訓練として3カ月から6カ月の期間実施します。プレ訓練付き職業訓練を行うとい うことで、枠としては3,000人を予定しています。 ○中村紀子委員  プレ訓練期間中の3、4カ月の間は、無給という形になるのですか。 ○特別訓練対策室長  これは安定所の所長が自己指示をした場合に、訓練手当を出すことが可能で、プレ訓 練期間中も、自己指示されたものについては訓練手当が出ます。 ○中村紀子委員  母子家庭の母親たちは、どちらでそういう訓練を受けるのですか。その場はかなり頻 繁に、どこでもあるのですか。 ○特別訓練対策室長  今回の新たな委託訓練というのは、民間教育訓練機関で、ご本人の希望する訓練がで きるように、県などに委託してやっていただきます。そこで対象者をある程度集め、キ ャリア・コンサルタントがいろいろご本人の希望、どういった訓練科目を希望されるの か等を聞き、民間教育訓練機関でやっている所にお願いして、訓練していただく形にな ります。 ○中村紀子委員  こういう新しい試みは、女性も男性も経済的にも精神的にも自立して生きられる社会 をつくるために、是非必要だと思うのです。母子家庭には、必ずそこにお子さまがいる わけですが、いま都心部は、認可保育所はほとんど待機児童の状況になっています。そ うすると訓練を受けている期間、あるいはプレ何とかをしている期間の3、4カ月の本 当に必要なときに、お子さまを保育所に預けられるかどうか。これと大変重要なリンク がなされなければいけないと思う。したがって、こういうシステム制度を順調に遂行す るためには、職業訓練を受けたいという母親の意思と同時に、子どもをすぐ預けられる という、両方について設置する必要があります。そこまで考えをきちっと検討したほう がいいのではないかと思います。この辺は大丈夫ですか。 ○特別訓練対策室長  能力開発局では、この訓練をやるときに児童家庭局と連携でやっています。こちらか ら、こういった訓練をやるということでは話していますが、その方に、何といいます か、保育所の手当がなされているかどうかまでは、ちょっといまは。 ○中村紀子委員  13億円の予算を取ってやるということは、1人当たり約400万かけてやろうとしてい るわけですから、やはり効果のある結果を出す必要があるのではないかと思います。実 施できる環境まで考えて、こういう政策を推進していくことが必要かと思いました。以 上です。 ○江上委員  いまの母子家庭についての話ですが、この施策が出来る前の段階で、母子家庭の自立 に関する研究会があったのです。たぶんそれがつながっていると思うのですが、私もそ の研究会の委員でした。そのときいろいろ調査しまして、母子家庭の経済力は二極化し て、非常に経済力があって離婚をされている方と、全く就労の機会にも恵まれず、それ 以前の、夫の暴力を受けたり、いろいろな問題を抱えながら、小さい子どもを抱えてと いう、非常に厳しい母子家庭というのはかなりある。母子寮があるのですが、母子寮に もなかなか入れない、非常に厳しい状況にある人たちの実態が明らかになったのです。  先ほど、120万世帯の母子家庭と紹介がありましたが、3,000人対象というので、何か 焼け石に水のような感じもするのですが、この3,000人という数字はどこから今回対象 として設定した数字の根拠なのですか。 ○特別訓練対策室長  母子家庭の対象者については、安定所に求職申込みをしている中からです。これは一 般会計でするものですから、一般会計の求職者の対象者で、その中で職業訓練の必要性 を希望されている方を調査したものがあり、その中から算出したもので出しています。 ○江上委員  希望している方が、大体3,000名相当だということですか。 ○特別訓練対策室長  母子、母は1,500人、生活保護の対象者は1,500人という割合で、トータル3,000人で す。 ○総務課長  補足ですが、今回の母子家庭の母などの就労支援のプログラムですが、先ほどの説明 のように、旧厚生サイドとの連携事業ということで行っています。全体像で申します と、いちばん地元の公的機関としての福祉事務所で、母子家庭の母、生活保護受給者の 方も含めて相談を受けます。自立に対する意欲がある、なおかつ公的サポートが必要で あるというような方と、福祉事務所の担当者、コーディネーターが十分に面接を行いま す。その面接を経て、例えば母子家庭のAさんという特定の母の方について、どういう 支援が必要かというメニュー作りを、個別の方について行っていく。「自立支援プログ ラム」と呼んでいますが、そういうプログラムをまず作ります。そのプログラムの中身 としては、例えば、ある人はすぐハローワークに行って、面接を受けて紹介を受けられ る、就職できるような方もいる。また、すぐには就職できないが、トライアル雇用と言 っていますが、お試しの雇用のようなチャンネルを経ればうまくいくような方もいる。 場合によっては、いま説明しているような職業訓練を5カ月なり、6カ月なり受ける必 要のあるような方もいる。自立支援プログラムの中で、こう振り分けをします。その振 り分けた結果、訓練が必要であるという方については、生活保護受給者も含めて、合計 で3,000名の予算枠があるということです。  確かに母子家庭の母、全世帯数に比べて3,000人は少ないと言えば少ないですが、そ こは予算の関係でそういう枠で設定しています。母子家庭の母は3,000人しか職業訓練 を受けられないのかと言うと、そういうことはなく、いま説明した自立支援プログラム 経由ではなくても、ハローワークに直接おいでいただき、相談なりをしていただけれ ば、それは従来からある訓練の枠の中で、そのニーズなり必要に応じた訓練を適用させ ていただくことは当然出来ます。個別のメニューを作り、親身に相談を行う。福祉事務 所との連携の中で対応させていただくのが、今回の眼目です。 ○江上委員  とりあえず第1段階3,000人枠ということで予算設定されたと思うのですが、先ほど 若者人間力の若者自立塾など、非常に手厚い。大変手厚い予算を1人当たり投入してい ます。そういうバランスを考えますと、母子家庭の教育支援も、是非今後少し長期的 に、十分に現場でそういった門戸を開くよう力を入れていただきたいと思います。 ○若菜分科会長  ほかにご意見、ご質問をどうぞ。 ○井上委員  職業訓練後の就職率について、もし分かれば教えていただきたい。機構がやっている 部分と民間に委託している部分と、両方あると思うのですが、この離職者訓練あるいは 在職者訓練という所が、機構と民間委託と両方やっていると思います。全体のものでも 構いませんし、それぞれでもし分かるのであれば、教えていただきたい。 ○能力開発課長  職業訓練の就職率の関係について、就職率なので、離職者訓練という対象になるわけ です。施設内訓練、訓練校でやっている訓練と、民間に委託してやる委託訓練と、大き く2つのカテゴリーに分かれています。平成15年度の数字では、施設内は69.8%の就職 率です。委託訓練の就職率は52.5%です。平成16年度から、就職率を向上させるための インセンティブによる委託費の支給も導入しました。私どもとしては平成16年度、かな り上昇するようにということを期待しているところです。 ○江上委員  これは政策評価として、やはり有効求人倍率が上がっていますから、当然就職率は高 くなっていると思うのです。その辺をきちっと差し引きしながら、施策の評価をまた考 えていただければと思います。 ○若菜分科会長  ほかにございますか。特にご意見もないようですので、最後の議題に移ります。  議題(4)「新潟県中越地震への対応について」、事務局から説明をお願いします。 ○総務課長  資料5は「新潟県中越地震に対する職業能力開発行政の対応」についてです。昨年10 月23日に発生した中越地震に対して、行政全体として各般の援助を行っていますが、能 力開発行政としても以下のような施策を順次、時系列に行ったところです。なお、いま から説明する内容は、阪神淡路大震災のときに取られた対策をほぼ踏襲しています。  まず第1段階として、昨年11月5日に通達を出しています。その通達の内容は、資料 の・で書いてますが、大きく分けて2つあります。1つ目の技能者育成資金は奨学資金 のようなもので、その貸付対象者について本来は所得制限があるわけですが、所得制限 の撤廃、あるいは貸し付けた奨学金の返済について猶予したというものです。2つ目 は、雇用・能力開発機構の能力開発施設が、たまたま被災地域の小千谷市にありました ので、避難場所に提供する、あるいは仮設住宅の敷地として提供するというものです。  なお、前者の奨学金・育成資金についての実績としては、貸付は1名、猶予が2名で す。避難場所にも使っていただきましたが、仮設住宅の敷地として56戸分の仮設住宅と 集会所が1棟、能力開発機構の敷地に現在設置されています。  12月27日に、職業訓練の受講に関する支援措置として、1つにはハローワークと連携 したうえで、被災者に係る訓練ニーズに応じた訓練科目の設定と、その訓練の実施をせ よという通知を発しています。それから被災労働者、あるいは被災地域の事業所につい て、在職者訓練に係る訓練経費を、本来は料金をいただくわけですが無料にしていま す。学卒者訓練の受講者について、授業料免除の措置を行っています。  なお、この実績は平成17年1月開校の長岡市の訓練施設、7コース、88名の分で行っ ていますが、うち被災地対象者の方は88名のうちの86名です。それから在職者訓練の無 料化については、9名の方から申請があり、手続中です。学卒者訓練の授業料免除は、 平成16年度在籍の12名から免除申請がありました。平成17年度の入校希望者4名の方か ら、受験手数料の免除の申請があります。  次に、平成17年1月21日、新潟県内の認定職業訓練校、これは事業主なり訓練法人が 設置する訓練校ですが、被害を受けたこの訓練校の施設について、その修復に要する費 用に対する補助率、国から県を経由しての補助ですので、県への補助率とあります。ご 覧のとおり、負担限度割合を1/3から1/2に引き上げる措置を取っています。対象 となる訓練校1校は長岡市にあり、修繕費にこの措置が適用されます。  最後ですが、平成17年1月31日付で、今回の地震により被災した特定の地域を激甚災 害地域と定め、その地域内の自営業者の方の訓練についても、訓練手当の支給対象とす る措置を取っています。自営業者の方は、本来対象にならないのですが、今回の場合は 特例ということで措置しました。これについては、まだ実績はありません。以上、4段 階にわたり対策を取りました。 ○若菜分科会長  ただいまの説明についてご質問、あるいはご意見はいかがですか。 ○西原委員  印象として、例えば災害救助法とか激甚災害指定の発動時期と比べて、対応がちょっ と全体として遅いような感じを持っています。先ほど阪神淡路のノウハウということで やる、いわゆる対応マニュアル的なものがある。当然現地ニーズの関係とか、地域の状 況によっての調整は入るにしても、できればこういうものはもうちょっと機動的に、迅 速に発動できるのではと思うのですが、そういうことについて、何かあれば。 ○総務課長  ご指摘はごもっともな点あるかもしれません。1つには、どうしても能力開発に関す る部分ですので、震災が起きた直後の、ライフラインの復旧や避難などそういうものか らはワンテンポずれることはあります。そういう性質の事業内容ということはご理解い ただいた上で、なおかつ、補助率の引上げや復旧に要する費用の補助などについては、 実際にそのニーズがどの程度あるのかを把握した上で、つまり予算の目処、どのくらい かかるかの目処を立てた上で財務当局との協議という手続もあり、そこら辺で若干時間 がかかっていることはあります。  次の機会はないほうがいいのですが、タイムリーに手が打てるようにまた努力はして まいりたいと思います。 ○若菜分科会長  ほかにありませんか。それでは本日の議事はこれで終わりにしたいと思います。  署名委員は、井上委員と中村紀子委員にお願いします。最後に事務局から何かござい ますか。 ○総務課長  本日はどうもありがとうございました。一言ご挨拶させていただきたいと思います。 本来ですと私どもの上村局長なり、皆川審議官から申し上げるべきですが、所用で外し ておりますので、私が代わってご挨拶申し上げます。  ご挨拶の中身は、本審議会の委員の皆様の任期がこの3月末で終了ということになっ ています。労働政策審議会全体の委員の方について同様ですが、来4月からまた新たな 任期が始まるということです。本日、ある意味節目ですので、本審議会にご参画いただ き、貴重なご意見を賜りましたことについて、一言御礼を申し上げたいとお時間を頂戴 いたしました。本当にどうもありがとうございました。また、引き続きよろしくお願い を申し上げます。 ○若菜分科会長  それでは本日はこれで終了いたします。どうもお忙しい中、ありがとうございまし た。 紹介先  厚生労働省職業能力開発局 総務課 総括係 内線(5738)