05/02/21 厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会第11回議事録                    第11回            厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会           日時:平成17年2月21日(月)13:30〜15:40           場所:厚生労働省17階 専用第21会議室  瀬上参事官  ただいまから第11回厚生科学審議会健康増進栄養部会を開催させていただきます。皆 様方には大変お忙しいところを御参集いただきましてまことにありがとうございます。  はじめに第11回厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会の構成が変わりましたの で、その委員の御紹介をさせていただきます。1月9日付をもちまして前委員の任期満 了に伴いまして委員の改正を行わせていただきました。本日は5名の方が新たなメンバ ーとして御就任いただいておりますが、その余の先生方には今後とも引き続き委員の御 就任をお願いを申し上げたところでございます。どうぞよろしくお願いいたします。  本来でありますれば全委員を御紹介すべきところでございますが、24名と大変多うご ざいます。お手許にございます委員名簿を御覧になっていただきながら、新たに御就任 いただいた方々につきまして御紹介をさせていただきたいと存じます。  はじめに日本女子体育大学学長、加賀谷淳子委員でございます。続いて渋谷いづみ委 員でございます。岡崎市保健所長をなさっておられます。そして本日は御欠席の御通知 をいただいておりますが、その他、愛知県知事の神田真秋委員でございます。高橋滋委 員は一橋大学大学院法学研究科教授でございます。松田晋哉委員には産業医科大学公衆 衛生学教室教授でございます。以上の5名の方々に新たに委員として就任いただいたと ころでございます。  また、部会長につきましては、厚生科学審議会で第6条第3項によりまして、部会に 属する委員の互選により選出することとされております。先程その部会長の選出のため の部会を開催させていただきまして、その場で引き続き久道委員が部会長に選出された ところでございます。この場で御報告申し上げます。  また、本日は「健康日本21」中間評価作業に携わっていただいております各分野の 先生方に御出席いただいております。7名の方々の参考人名簿がございます。そのうち 本日の会議に関しましては、アルコール分野を御担当いただいております樋口進先生で ございます。国立病院機構久里浜アルコール症センター副医院長でございます。また糖 尿病分野の御担当をいただいておりますのは門脇孝先生です。東京大学医学系研究科教 授でいらっしゃいます。循環器病分野の御担当は岡山明先生でございます。国立循環器 病センター予防検診部長でございます。がん分野の御担当は山口直人参考人でございま す。東京女子医科大学衛生学公衆衛生学教授でございます。  また、本日は前回御議論をいただきました三つの領域につきまして発言をいただきま した参考人の先生方にも御出席いただいております。ちなみに栄養・食生活分野は吉池 信男参考人、身体活動・運動分野の御担当は下光輝一参考人、また身体活動・運動分野 のもう一方は田畑泉参考人でございます。以上、委員及び御出席いただいております参 考人の方々の御紹介をさせていただきました。また、健康局長は本日国会のため若干遅 参して出席させていただくことをお許し願いたいと存じます。  それでは委員でございますが、本日の出席状況委員定数24名に対しまして16名の委員 の御出席を得ております。出席委員が過半数に達しておりますので、会議が成立いたし ておりますことを御報告申し上げます。  それでは引き続き配布資料の確認をさせていただきます。議事次第、委員名簿、座席 表の他に、資料1−1、施策の概要、資料1−2は参考資料1としてたばことアルコー ル領域、資料1−3が参考資料2で糖尿病・循環器病・がんの領域、続いて資料2で 「健康日本21」暫定直近実績値に係るデータ分析の概要、3の(1)がデータ分析ア ルコールでございます。  そして3の(2)が糖尿病について、(3)が循環器病について、(4)ががんにつ いて、(5)が関係資料となっております。引き続き資料4として地域保健対策検討会 の設置についての御報告、資料5が公衆衛生医師確保のための環境整備に関する検討会 報告書についての報告となって、別刷りとして同報告書が添えられております。以上、 参考資料の御説明についてリストアップさせていただきました。不足乱丁等ございまし た事務局の方にお申しつけください。  それではただいまから本部会を開催させていただきます。部会の運営につきましては 部会長にお願いいたします。よろしくお願いいたします。  久道部会長  先程参事官から御紹介がありました今回の部会の部会長として選出いただきました久 道でございます。前期に引き続きまして今回もよろしくお願いしたいと思います。  それでは早速議事を進めてまいりたいと思いますが、議題の一次予防施策、「健康日 本21」の中間評価につきまして、大括りの分野ごとに施策の概要について中島室長か ら説明していただき、引き続いて「健康日本21」暫定直近実績値の分析につきまし て、作業チームで分析を行っていただいておりますので、それぞれの担当の先生から御 説明をお願いいたします。まず、たばこ分野とアルコール分野について説明を一括して お願いします。なお、たばこ分野につきましては、直近実績値の解析中でありますの で、分析についての説明はございません。では中島室長、お願いいたします。  中島生活習慣病対策室長  お手許に御用意させていただいております資料1−1と資料1−2の二つを利用いた しまして、たばこ、アルコールについてのこれまで講じてきた施策の概要について御説 明を申し上げます。資料1−1の1頁でございます。たばこ分野でございます。  一番上の欄ですが、「健康日本21」におきましては、たばこについては4本柱の目 標及び施策といったものを提示をしておるところでございます。一つがたばこの健康影 響についての知識の普及、二つ目が未成年者の喫煙防止、三つ目が受動喫煙の防止、四 つ目が禁煙希望者に対する禁煙支援ということでございます。  「健康日本21」は平成12年でございますが、その後、平成14年12月には本厚生科学 審議会の方からたばこ対策につきましては基本的考え方を御提示いただいておりまし て、そこでは喫煙率を引き下げ、たばこの消費を抑制し、国民の健康に与える悪影響を 低減させていくということが必要だということが指摘されているところでございます。  お手許の資料1−2の20頁をお開きいただけますでしょうか。本部会再開後の1回目 に御説明いたしましたが、実はWHOにおきます「たばこ規制枠組条約」といったもの がございまして、これがこの27日に発効するということになっております。この「たば こ枠組条約」の中身につきましてはすでに御説明を申し上げておるところでございます が、24頁でございます。  政府といたしましては、この枠組条約の発効も踏まえまして、たばこ対策関係省庁連 絡会議といったものを設置いたしまして、先月18日には14省庁の局長さんに御出席をい ただきまして、局長級の連絡会議を開催させていただいたところでございます。こうし た関係省庁連絡会議の場で各省庁間で連携を密接にとりながら、たばた対策を推進して いく体制が整ったということでございます。   資料1−1に戻りまして、具体的な施策の概要について御説明を申し上げます。先程 御説明した4本柱にそって整理をしてございます。  一つ目の施策といたしましては、喫煙の健康影響についての知識の普及ということで ございます。一つ目が禁煙週間ということで、WHOにおきましては毎年5月31日を世 界禁煙デーと定めておりまして、部会長の後ろに貼らさせていただいておりますが、そ うしたポスター等も作りまして、この5月31日から始まる1週間を禁煙週間ということ で普及啓発活動に努めているということでございます。  また二つ目の○ですが、厚生労働省のホームページを活用した情報提供、さらには三 つ目でございますが、平成13年には喫煙と健康問題に関する検討会報告書ということ で、いわゆるたばこ白書といったものも作成していただいて、国民の間に知識の普及を しておるということでございます。  また資料1−2の48頁を御覧いただけますでしょうか。たばこのパッケージ表示、さ らにはたばこの広告に関する規制につきましても、平成15年、さらには平成16年に財務 省の方で省令あるいは告示を改正していただいて、たばこ表示、たばこ広告規制の強化 に努めていただいているところでございます。たばこ表示に関しましては、49頁にござ います別表1から一つ、別表2から一つの文言をピックアップして、パッケージの表面 積の30%以上の大きさでパッケージ表示をしていただいて、健康影響というものを周知 させるということでございます。  それからたばこ広告規制につきましては、昨年10月から公共交通機関でのたばこ広告 の禁止、さらには日刊新聞紙における広告掲載の制限といったものを実施しておるとこ ろでございますし、この4月からは屋外広告においても禁止をするということで、告示 なり業界の自主規制といった形で広告規制というものが進んでおるというところを参考 までにお話をさせていただきます。  資料1−1に戻りまして、2として未成年者の喫煙防止でございます。未成年者の喫 煙禁止に関しましては明治33年と古うございますが、未成年者喫煙禁止法というものが 警察庁所管の法律として存在しておりまして、また、現在成人識別機能付きたばこ自動 販売機といったものの設置に向けた準備作業が進んでいる。平成20年からの全国一斉稼 動をめざし、現在種子島の方で試験を実施しておるということが関係業界の共同の取り 組みとして進んでおるというところでございます。  また政府といたしましても、大体2年に一度づつですが、警察、財務及び私ども厚生 労働省の3省の方から連名で未成年者喫煙防止のための適切なたばこの販売方法の取り 組みということで、年齢確認の徹底、さらにはたばこ自販機の適正な管理の徹底等をお 願いしておるところでございます。  また、先程御説明いたしました連絡会議のもとに、未成年者喫煙防止対策ワーキング グループといったものを設置をしまして、内閣府、警察庁、財務省、文部科学省、厚生 労働省の5省庁からなるメンバーで未成年者の喫煙防止対策について検討を進めていく ということにしております。  それから三つ目でございます。いわゆる受動喫煙防止対策でございますが、受動喫煙 防止につきましては、健康増進法25条に規定されておる受動喫煙の防止義務に則りまし て、私どもの局長通知で分煙効果判定基準も提示をし、都道府県等に対しまして受動喫 煙防止の措置を講ずるよう努めていただきたい旨を通知をしております。  また、地方自治体等の庁舎における禁煙、分煙の実施状況の調査というものもさせて いただいておるところでございまして、実は平成12年9月に調査をさせていただいたわ けですが、その後15年5月に健康増進法が施行されたということでございますので、そ の後、どの程度禁煙、分煙施策が進んでおるかということで調査をさせていただいたわ けでございます。  それにつきましては資料1−2の45頁以下に提示をさせていただいているところでご ざいまして、この間、対策が着実に進んでおる、地方自治体の役場等においての禁煙、 分煙の施策が進んでおるということが明らかになってございます。  ただ、38頁を御覧いただければと思いますが、実は先般の関係省庁局長会議でも御提 示を申し上げたわけですが、こうした受動喫煙の防止対策につきましては、どういう形 で取り組みが行われているのかという調査がまず出発点としてあるわけでございます。  地方自治体等の庁舎における調査はいたしましたが、それ以外の健康増進法の対象施 設でどのような取り組みが行われているかということの調査というものをやっていきた いと思っておるわけでございまして、私どもの所管しております医療施設、福祉施設に おいては禁煙、分煙状況の調査といったものをやる方向で今取り組んでおりますが、そ れ以外他省庁におきます公共的な施設について、このような形で調査をお願いしておる ところでございます。今後検討していきたいという答えが多くなっているところでござ いまして、まずはこうした取り組みの状況を把握するというところが第一歩かなと思っ ておるところでございます。  もとの資料にもどりまして、1頁の一番下ですが、たばこ対策につきましては平成17 年度予算で補助事業といたしまして、特に受動喫煙対策に力を入れまして、特に遅れて おる飲食店とか娯楽施設等を対象にした禁煙、分煙指導を徹底する事業に対する補助を 考えておるところでございます。  2頁です。禁煙支援プログラムの普及ということでございます。保健所なり市町村保 健センターで禁煙を希望する方に対する禁煙指導というものでございますが、そうした ものに携わっておられる方に対するたばこ対策の担当者の講習会といったことを私ども では開催させていただいております。本年度からは都道府県、市町村のみならず、医療 保険者の保健事業実施担当者や、労働安全衛生法における安全衛生担当者の御参加もい ただいてやっておるということ、それから来年度予算では禁煙指導プログラムの作成と いうことも考えておるところでございます。  その他のところでございますが、研究等を着実に進めていくとともに、平成17年度か らはたばこ対策の充実強化ということで、私どもの部屋の方に1名、さらには保健医療 科学院に研究員として1名という形で、それぞれ増員が認められておるところでござい ます。たばこについては以上でございます。  続きまして3頁のアルコールでございます。アルコールにつきましては、「健康日本 21」においては、3本柱でございます。一つが多量飲酒者を減らすということ、二つ 目が未成年者の飲酒を防止するということ、三つ目が節度ある適度な飲酒についての知 識を普及させるということでございます。  まず1の多量に飲酒する人の減少ということでございます。ここで多量に飲酒という のは、「健康日本21」では1日に約60グラム以上を飲んでおられるということでござ いまして、60グラムといいますと大体日本酒にして3合、ビールですと中瓶で3本とい う量が標準でございますが、こうしたものを毎日飲んでおられる方の数を減らそうとい うことでございます。こうしたことにつきましては、アルコール対策の担当者の講習会 といったものを開催させていただいてやっておるところでございます。   それから未成年者の飲酒防止につきましては、大正11年の未成年者飲酒禁止法という 法律がございますし、毎年4月を未成年者飲酒防止強調月間ということで定めまして、 アルコールに関係いたします省庁が全国的に啓発活動を行っておるということ、さらに は未成年者飲酒防止に関する取り組みにつきまして、警察庁、国税庁及び厚生労働省の 三省庁が連名で年齢確認の徹底、それから自動販売機の適正な管理の徹底等をお願いす る通知を出しておるというところでございます。  三つ目の節度ある適度な飲酒の知識の普及ということで、節度ある適度な飲酒という のを大体1日に20グラムということでございまして、日本酒1合、ビール中瓶1本とい うことが大体の目安でございますが、こうしたことにつきましてホームページの活用、 さらにはシンポジウム等を開催して、知識の普及啓発に努めておるというところでござ います。  次は4のところでございます。その他、アルコールに関する研究事業を行いますとと もに、実は昨年12月、国税庁の方より酒類の販売業に関する懇談会のとりまとめといっ たものが行われたところでございます。資料1−2の88頁を御覧いただければと思いま す。国税庁のこの懇談会の報告書、いわゆる未成年者飲酒禁止法というものがございま すが、こうしたものについての規制のより強化といったものが一つでございますし、 (1)関係機関が連携した取り組みの推進ということで、後ほど御説明いたします関係省 庁等の連絡協議会を有効活用として関係機関が連携して取り組みを進めていくというこ と、89頁ですが、(2)で広告宣伝、製品販売場所における表示の見直し、(3)として販売 時における身分証等による購入者の年齢確認の徹底ということ、そして自動販売機の撤 廃への取り組みということでございまして、90頁の上から6行目ぐらいですが、酒類の 自販機の完全な撤廃に向けて早急に取り組むべきである、そして成人識別機能のある自 動販売機についても、機能をより実効性のあるものとしていくなどの努力が必要であろ うという形での御提言をいただいているというところでございます。  こうした酒に関する社会的な規制につきましては、酒のダンピング等の防止といった ことと合わせて、関係省庁等の間で連絡協議会がおかれてございます。こうした場を通 じて連携を図ってやっていく。そしてこの連絡協議会で策定いたしました施策大綱とい ったものの確実な実施に努めていくというところでございます。  その他、アルコール教育につきましては、国立病院機構の久里浜療養所のアルコール 症センターが日本においても中心的な役割を果たしていただいているというところでご ざいまして、医療関係者に対する研修等の機会も提供していただいているというところ でございます。私どもの方からは以上でございます。  久道部会長  それでは参考人の樋口先生からアルコールについて御説明をお願いいたします。  樋口参考人  樋口でございます。どうぞよろしくお願いいたします。資料3−1を使って説明をさ せていただきたいと思います。アルコールの場合には先程室長からも説明がございまし た通り、三つの目標値があるのですが、その中で暫定の直近実績値が得られているもの は一つでございますので、多量に飲酒した人の減少というところを説明させていただき たいと思います。  資料3−1にございます通り、策定時のベースライン値でございますが、これは男性 が4.1%、女性が0.3%でございます。目標値が男性は3.2%以下、女性は0.2%以下でご ざいます。平成14年の暫定の直近の実績値は男性が7.1、女性が0.3でございます。それ でこの(1)の現状値と暫定直近実績値の比較ですが、これは図1を参考して見ていただ きながらお話を聞いていただければよろしいかと思います。  平成8年の現状値は4.1、0.3でございます。暫定直近実績値は7.1、0.3で、これを直 接見てみますと、女性は変わらないのですが、男性は73%増加しているというふうなこ とでございます。しかし、この数字の比較に際してはそれぞれの数字が異なる調査方法 から得られたものであるということを考慮しないといけないと思います。  すなわち前者は健康づくりに関する意識調査、それから暫定直近実績値の方は国民栄 養調査からの数値でございます。したがいまして両調査はサンプリングの方法、標本 数、調査表の質問内容等において互いに異なっております。したがって平成8年の基準 値は参考値程度に取り扱われるべきであり、むしろ国民栄養調査結果の追跡を行ない、 評価していくのが妥当だというふうに考えられます。  したがいましてこの結論ですが、策定時のベースライン値と暫定直近実績値は異なる 調査方法でやられているため、比較するのは非常に難しいということです。経年的変化 ですが、図1を参照にしていただければよろしいかと思います。平成7年から10年まで が図1に書かれてございます。この文章は平成5年となっていますが、これは平成7年 の誤りです。大変失礼いたしました。  これを見てみますと、平成8年の国民栄養調査を見ますと、男性が8.7%で女性が0.6 %でございます。全体に見てみますと、小さな波で上がったり下がったりがあります が、全体で見てみますとやや右下がりか、あるいは変わってないかというふうなのが現 状だというふうに考えます。  たまたま平成8年が国民栄養調査の数値が、男性の場合は高うございまして、これが 本当にその時の前後の状況からその数値が比較するのに妥当かどうかという問題もござ いますので、全体の流れから見れば男性も女性も平成8年から平成10年までの間で見る 限りはあまり変動がないか、やや下がっているかというところでございます。  次の図2を見ていただきたいと思います。図2は男性の年齢階級別の大量に飲酒する 人の割合がしめされてございます。まず年齢別を見ますと、20才が赤い線の◇の印で す。70才以上がグリーンの○ですが、20才と70才の割合が全体的に低くて、それ以外の 中年、特に…×…の50代の割合が比較的高うございます。しかし全体的に見てみます と、この平成7年から14年までの間、これは平成5年からも一緒なんですが、年ごとに よって増減はございますが、あまりどの年代を下がっている、あるいは上がっていると いうような一定の傾向は示していないというように思われます。  次に図3を見ていただきたいと思います。図3は女性のデータですが、女性はパーセ ンテージが非常に低うございますので、1人変わるだけでずいぶんパーセンテージが変 わるということがございます。それで男性に比べて増減が激しいように出ていますが、 これはそのようなことが影響していることだと思います。この赤い◇の印が20代です が、他の年代よりもこの20代の割合が高いような傾向がございます。男性と同じように 70代はやはり低い傾向がございますが、ちょっと乱暴な言い方をしますと、年齢が若い 方が多量に飲酒している人の割合が高いような傾向があるということです。年ごとの増 減については一定の傾向はないと思われます。  資料3−1の2頁目の最後のところですが、今後の課題と対策等の抽出というところ でございます。多量に飲酒する人の割合を追跡するのに、今後も国民健康・栄養調査の 結果を使用するのが現実的だと考えます。しかし今後データの分析の方法等については 検討していく必要があるというふうに思われます。  それから女性では若い年代が多量に飲酒する人の割合が高い傾向が認められます。こ の点については注意深いモニタリング、すなわちこういう方々が将来段々高齢化してい くわけですから、この注意深いモニタリングと必要な予防対策等について検討される必 要があるというふうに考えられます。以上でございます。  久道部会長  どうもありがとうございました。たばことアルコールについての説明をいただきまし た。何か皆さんから御質問はございませんでしょうか。  富永委員  最初に中島室長さんから概要の説明がございまして、その中に節度ある飲酒の説明が ございました。これは1日20グラムぐらい、日本酒換算で1合、ビール1本ということ でございますが、国際的な基準ではアルコールは飲まない方がいい、飲むのだったらこ れぐらいということで、節度ある飲酒の基準を定めておりまして、中には私のようにほ とんど飲めない者もございまして、無理して飲むとかえって害がありますので、それ以 上たくさん飲んでいる人はこれぐらいまで下げた方がいいということをはっきり言った 方がいいと思います。  久道部会長  飲まない方がいいという文言を入れた方がいいということですか。  富永委員  いえ、そうじゃないです。飲めない人は無理に飲むことはないということです。  松本委員  たばこ対策について申し上げたいと思います。実は私はたばこを好んで50本ぐらい吸 っていたわけでございます。11月に医者の方から心筋梗塞の恐れがあるからやめなさい ということでストップがかかりました。そういうことで身をもって体験したわけでござ いますが、それで夜中に咳ばかりしていたのが止まりました。それだけ害があるなとい う感じを受けたわけでございます。  また、禁煙・分煙の推進は時代の流れであるのではないかという気がしております。 地方公共団体に対する調査で、市町村レベルでも禁煙・分煙対策は進んでおります。私 の北方町では庁舎内では禁煙ということで、県下もほとんど庁舎内では、たばこは禁煙 だということで取り組みを町村会自体もやっているところでございます。  しかしながら地方公共団体の庁舎以外での公共交通機関、または公共施設については 調査自体が済んでいないということだったわけでございますが、条約の発行を目の前に 控えまして、関係省庁で連携して進めていく説明があったわけでございます。こうした 調査についても関係省庁のより一層の御協力を求めていくべきだと思います。  また、たばこ税について申し上げたいのですが、実は町としてたばこ税関係が大体 3,000万ぐらい入っておりました。恩恵があったわけでございますが、しかしながらた ばこに起因するがんなどの医療費を考えたりいたしますと、例えばたばこ税を外国並に 引き上げたり、税収を健康づくりに集中的に投資していったりすることも関係省庁とよ く連携し、検討する時期が来ているのではないかという感じをもっております。以上で す。  久道部会長  はい、次は笹月委員どうぞ。  笹月委員  多量に飲酒する人の減少というところの目標値が示されておりますが、これはどうい う根拠で社会的、あるいは経済的、何を根拠に設定され、そしてこれが達成されると何 が期待されるのかというのを少し御説明いただくと、その目標に向かっての努力のしが いもあろうかと思いますが、いかがでしょうか。3.2以下と0.2以下にしたという根拠み たいなことは。  樋口参考人  これは策定の時にはあまり関わってないこともありまして、本当の内容についてはあ まり存じあげない部分もあるのですが、3.2と0.2というのは,これはベースライン値の 80%だというふうに認識しております。その付近の詳しい数字についてはあまりはっき りここで申し上げられないのですが、やはりアルコールの場合に大きな問題、先程節度 ある適度な飲酒の話もございましたが、節度ある適度ある飲酒のレベル、すなわち1日 20グラムとか、そういうふうなレベルだと健康被害とか社会的な問題というのはそう大 きくはないのですが、飲酒量が増えればそれにしたがってリスクが高くなっていくとい うことでございまして、このあたりにいる人たちのパーセンテージを減らすということ は、国全体のアルコールに関する問題を減少させるのに非常に大きな意味があるという ふうなことで、この10年で20%をカットするのはとても大事なことだろうというふうな ことだと思います。  久道部会長  他にございませんか。  高橋委員  四点ほど教えていただきたいのですが、一つはアルコールに関してですが、最初の御 説明で節度ある飲酒で適量1合ということですが、お酒が1合、成分にして20グラム、 しかし厳密にいいますとお酒1合飲むと27グラムぐらいになるのですが、その辺はどん なふうに説明したらいいか。私の学生からちょっと聞かれたものですから、厚生労働省 としてどういう御見解をお持ちか教えていただきたいと思います。  それから図1のデータは有意差検定をされているデータなのかどうか、有意差が出て いるかどうか、それを教えていただきたいのと、平成4年が国民栄養調査、平成8年の 健康づくりに関する意識調査とその基準とするデータのソースをなぜこのように違えて いるのか、量は測定しているのですから、ソースを同じにすれば明らかに下がっている わけですね。それをなぜ平成8年は健康づくりに関する意識調査を用い、平成14年は国 民栄養調査を用いているのか、その辺何か根拠がございましたら教えていただきたいと 思います。  それから最後に先程外国ではお酒は飲まない方がいいというふうにいわれているとの ことですが、お酒には少量飲むと健康増進作用があるという、いわゆるJ効果というの が言われているので、その辺をどんなふうに考えたらいいか、樋口先生にお考えがあれ ば教えていただきたいと思います。以上です。  久道部会長  それではまず27グラムの件をお願いします。  中島室長  この20グラムについての設定ですが、「健康日本21」を策定した際の資料を担当者 の方から教えられまして、そこではこの20グラムとした際には当時の我が国における男 性を対象とした研究とともに、欧米人を対象とした研究といったものを集積したんだ、 その結果、男性については1日あたり純アルコールが10〜19グラム、女性では1日あた り9グラムまでで最も死亡率が低い、そしてその1日あたりアルコール量が増加するに 従い死亡率が上昇することが示されているんだということで、したがって節度ある飲酒 としては20グラム程度である旨の知識を普及したいんだという形の記述になってござい ます。  久道部会長  今のは4番の質問にも答えたことになりますね。J効果のやつをね。  高橋委員  それでお酒1合というのは、それでよろしいんですか。  樋口参考人  お酒の場合はすごく紛らわしいのは、Mリットルとグラムというのが二つございまし て、たしかに例えば日本酒180Mリットルが1合でございますが、これが例えば日本酒の 場合平均すると15%程度だと思いますので、計算するとたしか27Mリットルになるんで すが、アルコールの場合には比重をかけて0.8をかけるんですね。そうすると21.6グラ ムぐらいになりまして、日本酒1合は大体今の計算でいくと21.6グラムということなの で、20グラムに近いだろうというふうなことだと思います。  それからJカーブの話でございましたが、今室長の方からも話がございました通り、 有名なものが外国の、特に先進諸国の死亡率と平均飲酒量をメタ分析したデータがござ いまして、それを見ますと今室長がおっしゃった通りのデータが出てございます。その 中には日本のデータが入ってございませんで、日本のデータはその当時参考にしました のは国立がんセンターの津金先生ががんと死亡率と飲酒というような7年か何かのフォ ローアップ調査がございまして、そのデータを見ますとやはり同じところにちょうど最 も死亡率が低いところに落ちていました。  それでやはり日本のデータも諸外国のメタ分析のデータもこのあたりに最も死亡率が 低いところがくる。女性の場合は今室長から説明があった通り、やや低いところに最も 死亡率が低いところがくるというようなことで、節度ある適度な飲酒は20グラム程度、 それから女性の場合にはそれよりも少なく、ただ、女性の場合にはどのぐらい少なくと いうのは、実際の中には記載されてはおりませんが、少なくということが節度ある適度 な飲酒の中に入っていると思います。  久道部会長  それからまた樋口先生なんですが、図1の有意差検定の差がどうかということと、そ れから平成8年のデータをなぜ国民栄養調査の同じレベルでの比較をしないのかとい う、そういう話ですね。  樋口参考人  有意差検定はまだしてございません。これから有意差検定をしていこうというふうに 考えてございます。それから平成8年の数値ですが、私もこれについてはわからなく て、答えることができないのです。見てみますとたしかに国民栄養調査と健康づくりに 関する意識調査の間でずいぶん差があるようですが、その辺についてはわかりません。  土屋委員  日本医師会は今年度は未成年の喫煙防止ということをテーマにいたしておりますが、 喫煙を始めた人はどうしたらいいかということについては、なかなかこれを減らすこと は難しい。喫煙をなさっている方の言い分の一つに、俺達はたばこ税を払って、それな りの貢献をしているのだ、というのがアンケート調査の結果にございます。  先程、町長さんでもあられる松本委員さんがおっしゃっておられましたが、それぞれ の地方自治体にとってはたばこの税収というのは結構あてにしておるものであろうと思 うのです。やはりたばこ税の増税を図る、しかもこれは生活習慣病予防対策費としての 目的税として、ということをきちっと明記したらいかがでしょうか。  松本委員  本当に町にとっては有り難い税収なんですよね。そしてそれを描きながら予算を組ん だり何かするんですが、そういうことでやっていただければいいんじゃないかというよ うな感じがいたします。  木村委員  たばこのことでの要望というか、どうなっているのかということで質問します。今度 の日曜日に条約が発効になりますよね。国としてイベントとかは考えているんですか。  中島室長  特段イベントめいたものは考えてございません。  木村委員  では先程の省庁連絡会議とかで、継続的にいろんな手を打っていくということでいい わけですよね。  中島室長  参考資料の1−2ですが、その26頁でございますが、そこに関係省庁が講じておりま すたばこ対策についての取り組みを整理してございます。こうした情報交換、さらには それぞれの省庁における取り組みをより充実強化をさせていくということをこの1月18 日に確認しておりますので,それをもとに着実にやっていきたいということでございま す。  木村委員  はい、わかりました。お願いですが、世界で初めて保健分野において多国間で条約を 締結され、それを批准して今発効されるわけですが、そのことの意味が全然国民に伝わ らないと全く運動が効果的に出ないと思いますので、やはり世界の各国と同じようなこ とを考えて今進めているということを、国からもマスコミ、一般紙、テレビ、新聞など にメッセージを出してもらいたいと思います。それが一点です。  もう一点は、未成年者のアルコールの問題は十分承知しているのですが、先だって大 学生からこんな質問を受けまして、最初アルコールを飲めなくても、飲めば飲むほど強 くなるんでしょう? と、こんな感じで。それは私は違うということで、その人の体質 があって、アルコールを解毒する酵素を持っている持ってないのがあるんですよと答え たんですが、しかし大学生の中では飲めば飲むほど強くなるんだ、だから飲め、それで 挙げ句の果てに急性アルコール中毒に至ることになるわけですよね。  それで例えばちょっとローカルな話をしますが、私は青森市で仕事をしていますが、 たまたまアルコールの体質チェックというのは簡単にアルコールパッチテストでチェッ クできまして、市が成人式でそれをやり始めました。その人のアルコールの解毒の強さ がそれではっきりわかるかわからないかというよりも、大体の目安が出るわけですが、 さきほどの間違った情報を何か伝説のごとく学生たちがずっと勘違いして、また当然も っと大人になってもそれが当たり前だと思ってガンガン飲んでいくという形になります と、ちょっと違う話になっていくと思いますので、ここにありますホームページの活用 とかシンポジウムとかで、本当に基本的な正しい情報を、国民に対してメッセージをこ の部分から出すべきだと思います。これは提言です。よろしくお願いします。  久道部会長  それでは次にまいります。また何かありましたら後で御質問をしていただきますが、 次は糖尿病分野、循環器病分野、がん分野について一括して説明をお願いします。中島 室長からどうぞ。  中島室長  それではまた資料1−1と資料1−3の二つで御説明を申し上げます。まず糖尿病で ございます。糖尿病につきましては、やはり発症を防止する、早期に発見する、そして 合併症、重篤になっていくことを予防するということが重要でございます。実は平成14 年度に実施いたしました実態調査では、糖尿病が強く疑われる人が740万人、その可能 性が否定できないという人が880万人、合わせますと1,620万人という数字が出ておりま す。  実はその5年前、平成9年にはこの数字は1,370万人でございましたので、約18%増 えておるということでございまして、糖尿病対策の充実強化が急務だということでござ います。そういう意味で「健康日本21」でも生活習慣の改善、糖尿病有病者の早期発 見、そして治療の継続といったことについて目標値を設定しておるということでござい ます。  具体的な取り組みといたしましては、一つがエビデンスに基づく対策の推進というこ とでございまして、一つが調査を実施をして実態を確実に把握する。それは糖尿病実態 調査でございますし、国民健康・栄養調査でございます。また研究を進めていくという ことで、糖尿病につきましてこの平成17年度から大規模戦略研究という形で取り上げさ せていただきまして、具体的な成果目標を設定し、確実な達成に向けた取り組みといっ たものを御研究いただくということで、5カ年計画で大規模戦略研究といったものを予 算要求をさせていただいているところでございます。平成17年度における予算規模が約 8億ということでございます。  また、EBMの手法に基づく診療ガイドラインの作成といったこともやっておるとこ ろでございます。また、糖尿病に関する知識の普及啓発、一次予防ですが、これにつき ましては平成17年度予算で糖尿病予防のための栄養・運動指導マニュアルといったもの の策定も考えておるところでございます。  また、栄養・食生活分野では食事摂取基準といったものを昨年末策定していただきま したし、1日に食べるべき量をビジュアル的にパッと見てわかるようにというフードガ イドといったものの策定も現在取り組んでおるところでございます。運動に関しまして は、平成17年度には運動所要量と運動指針といったものの改定も予定しておるところで ございます。  糖尿病の二次予防につきましては、いわゆる老人保健事業による一般健診と事後指導 といった形で、市町村の行う健診事業の中で血糖検査やヘモグロビンA1c等の検査項 目といったものを取り入れてやらせていただいている。そして国保ヘルスアップ事業と いうことで、市町村が保険者であります国民健康保険においては、平成14年度から16年 度にかけて3年間、個別健康支援プログラムの開発実践といった形でモデル事業を展開 しておりますが、現在その成果を踏まえて、この個別健康支援プログラムの実施マニュ アルの策定にも取り組んでおるというところでございます。  なお参考までですが、そこに書いてございますが、糖尿病対策、厚生労働省としても 17年度以降重点的に対策に努めていきたいということで、種々の予算を要求させていた だいておりますが、大変ありがたいことに、一つには医師会、そして学会、そして社団 法人糖尿病協会、患者さん達の集まりが連携をして、糖尿病対策推進会議といったもの も設置していただいて、この2月9日に設立総会が行われたわけでございますが、全国 的に糖尿病の予防、糖尿病対策に努めていただけるということになっております。  また、栄養士会におかれましても、各都道府県の栄養士会に糖尿病に重点を置いた形 での栄養ケアステーションといったことを設置していただいて、相談、人材育成等に努 めていただけるということでございますので、医療関係者及び行政一丸となって糖尿病 対策を充実強化していきたいと思っておるところでございます。  次は循環器病でございます。循環器病、脳血管疾患と心疾患ということが代表でござ いますが、この二つの疾患、それぞれ我が国における死亡原因の2位及び3位でござい ます。二つ合わせまして全体の死亡の3割を占めているということでございます。ま た、脳卒中は寝たきりの主要な要因となるわけでございまして,介護予防という観点か らも極めてターゲットをおいて取り組みを進めていくべき疾患ということでございま す。  「健康日本21」では生活習慣の改善による予防、さらには循環器病の早期発見とい うことについて目標を設定しておるところでございます。具体的な施策といたしまして は、エビデンスに基づく対策の推進ということで、調査といたしまして循環器疾患の基 礎調査ということで直近は平成12年度に実施いたしまして、またベーシックなところの 項目につきましては健康・栄養調査で実施をさせていただいている。  それから研究につきましては、循環器疾患等の総合研究事業や、二つ目の○ですが、 国立循環器病センターと全国10カ所にございます地方中核循環器病センターをスーパー コンピュータでつないだネットワーク構築ということで連携をしていただいているとこ ろでございます。   二つ目の循環器疾患に対する知識の普及啓発ということで、一次予防ということでご ざいますが、実はそれに止まらないわけですが、ちょっと古くなりますが、平成11年に は脳卒中対策に関する検討会というものを設置いたしまして、予防対策、それから急性 期医療、そしてリハビリテーションという三つの観点から総合的な脳卒中対策の提言を おまとめいただいたところでございます。  循環器疾患対策につきましては、栄養・食生活分野での取り組み、または運動分野で の取り組み、たばこ、アルコール分野でのそれぞれの取り組みといったものが功を奏し ていくということでございます。  循環器疾患の早期発見及び重症予防ということにつきましては、これは糖尿病同様、 老人保健事業による健診及び事後指導、それから国保のヘルスアップ事業等でも取り組 みが行われておるところでございますし、要介護状態になる主要要因ということで、介 護予防、地域支え合い事業ということで、在宅高齢者に対する介護予防施策といったも のを市町村において講じていただくための事業展開をやっておるということでございま す。なお、この事業につきましては、現在国会に提出をさせていただいている介護保険 法の改正法案の中で、地域支援事業として再編充実をすることとなっております。  また、循環器疾患対策については、救急医療の充実という観点で、CCU、SCUの 専用病室整備といったもの、さらにはドクターヘリの導入促進事業といったものにも努 めさせていただいているというところでございます。  最後にがんでございます。がんにつきましては、昭和56年より連続いたしまして我が 国の死亡原因の第1位でございまして、年間30万人もの方々ががんによってお亡くなり になっておられるわけでございます。政府としましては平成16年度から第三次の10カ年 総合戦略といったものを推進しているところでございまして、そこに盛り込まれた施策 を確実に推進しているところでございます。「健康日本21」におきましては、がん予 防という観点から生活習慣の改善とともに、検診受診者の増といったものを目標として 掲げさせていただいておるところでございます。  取り組みにつきましては、がん研究、がん予防、がん医療という形で整理をさせてい ただいております。まず、がん研究でございますが、対がん10カ年戦略、現在は第三次 でございます。59年度からの第一次の10カ年総合戦略においては、がんの本態解明に重 点をおいた戦略でございました。平成6年度からのいわゆる第二次におきましては、が んの本態解明とともに、がんの早期発見法、それから標準的治療法といったものに重点 を置いた取り組み、そして平成16年度、本年度からの第三次10カ年戦略では、がんの罹 患率と死亡率の激減を目標とし、がんの本態解明とともに、これまで蓄積された基礎研 究の成果を幅広く予防、診断、治療に応用していくトランスレーショナルリサーチとい ったものに力点をおいてやっていくということとなっておるところでございます。  次はがん予防の推進です。マンモグラフィ緊急整備事業ということでございます。後 ほど御説明をしますがん検診に関する検討会での御検討をふまえ、乳がんに対する検診 のあり方として、マンモグラフィといったものの緊急整備を補助事業としてやらせてい ただいている、17年度は全国に250台全国に設置するということで、40億弱の予算を要 求させていただいているところでございます。それからがん予防につきましては、日頃 の生活習慣ということでございまして、たばこ、栄養、それからアルコールということ でございます。  それとともにやはりがんについては早期発見、がん検診といったものが大変重要でご ざいます。老人保健事業におけますがん検診というものがございます。実はこれは平成 10年度から一般財源化をしておる事業でございます。いわゆる国の補助がつかない、市 町村の財源で行っていただく事業ということになっておるわけでございます。  ただ、平成14年度の受診率を見ますと、胃がんで13、子宮がんで14.6、肺がんで 22.8、乳がんで12.4、大腸ガンで17.1%ということでございまして、決して必ずしも満 足いく高い受診率にはなっていないという問題がございます。  同じく老人保健事業におけます一般健診につきましては、平成14年度では42.6%の受 診率ということになってございますが、ただ資料1−3の71頁を御覧いただければと思 います。一般財源化した形でのがん検診事業でございますが、全般としてまだまだ受診 率の向上が課題でございますが、それと合わせてここにお示ししたように、都道府県単 位で見ましても受診率に大変地域格差があるということでございます。  これをどのように評価をし、どのように対策をしていくのかということが大変重要で ございまして、実は次回3月に予定しております本部会におきましては、こうした健康 づくりに取り組む際の推進体制について御議論をいただこうと思っておりますが、その 中で国、都道府県、市町村がどういう役割を果たしていくべきなのかということを御議 論をいただければと思っております。  それからがん検診に関する検討会は先程御説明いたしましたが、そこでは現在は大腸 がん検診についての検討が行われているということでございます。  そして次が、がん医療でございます。がん医療につきましては第三次の戦略では、一 つのキーワードががん医療の均てん化ということでございます。全国どこでも最適なが ん医療が受けられ、がんの治療率を向上させていくことを目指すべきだということでご ざいます。  まずその一つとして、やはりがん対策を推進する前提としてきちっとしたがん登録制 度といったものを確立していくということが課題として残されておるということが一つ でございますし、そして地域がん診療拠点病院制度というものがございます。実は都道 府県から御推薦をいただいて、それに基づいて二次医療圏ごとに概ね1カ所程度を目安 に、地域がん診療拠点病院というものを指定させていただくという事業を国としては行 っておるところでございます。こうしたことでがん医療の均てん化の一助としていきた いということでございます。  現在135カ所の医療機関を指定しておるところでございますが、資料1−3の77頁で ございますが、これにつきましても指定済の拠点病院数、都道府県においてまだ御推薦 をいただいていない、御推薦が上がっていないところもございます。二次医療圏ごとに 概ね一つということでございますが、全体370のうち、指定されているのが135というこ とでございますので、この確実な指定に向けて都道府県からぜひとも御推薦をいただき たいと思っているところでございます。  がんにつきましては、循環器同様がんについても情報ネットワーク事業といったもの もやっておりまして、国立がんセンターと全国16カ所の中核がんセンターをスーパーコ ンピュータで結ぶネットワーク構築事業といったものもやってございます。  そしてがん医療水準均てん化の研究会ということでございまして、こうしたがん医療 水準均てん化について、坂口前厚生労働大臣の方から御指示がございまして、専門医の 確保、さらには地域におけるがん専門医療機関の役割分担、さらには先程御説明いたし ました地域がん診療拠点病院制度のあり方みたいなものも含めて検討をしていくように ということで、現在、垣添がんセンター総長を座長に検討をお願いしておるところでご ざいます。これまで4回開催をさせていただいたところでございますが、本年度中を目 途として報告書をとりまとめていただき、今後のがん医療の均てん化に向けた施策の充 実に努めていきたいと考えているところでございます。以上でございます。  久道部会長  それでは引き続いて参考人の門脇先生、岡山先生、山口先生に説明をいただいてか ら、一括して質疑応答をいただきます。  門脇参考人  私は糖尿病を担当しておりますが、資料としては3の(2)と3の(5)の図4から 御参照ください。まず目標項目7.1、成人の肥満者の減少であります。これは栄養食生 活のディスカッションの時にすでに討論していただいものの再掲でありますが、糖尿病 と関連する事項については一部追加をしてあります。  まず目標値ですが、20〜60才代の男性の肥満者、BMI15%以下にするという目標 で、平成9年の減量値24.3に対して暫定直近実績値が29.4%、また女性についてはそこ に掲げている通りでありまして、20〜60才代の男性の肥満者の割合とやや増加、40〜60 才代の女性の肥満者の割合はほぼ横這いというふうに分析しています。  今後の課題につきましては、すでにディスカッションされた部分については、そこに 引用してありますが、その上三つが新たに追加させていただいたものであります。第一 は肥満は糖尿病の最も重要な危険因子であり、肥満者の割合が減少していないことは今 後一層の糖尿病有病者の増加の要因となる可能性があり、中高年男性を意識した肥満対 策をとる必要があります。第二は肥満対策としては運動量の増加とともに適切なエネル ギー摂取が必要と考えられる。このためにはわかりやすい栄養成分表示を通じたエネル ギー摂取に関する国民への情報提供等が必要と考えます。  第三に、また従来通り食習慣の改善に対する対策に加えて、ライフスタイル全般の情 報に基づいて、運動不足の解消を目指した有効な対策が必要であると考えられるという ことであります。  次は7.2、日常生活における歩数の増加であります。これにつきましても身体活動運 動分野ですでにディスカッションされておりますので、アウトラインと追加点のみお話 をさせていただきます。男性成人の日常生活における歩数につきましては、1日9,200 歩以上を目標にしておりまして、ベースライン値8,202歩に対して暫定直近実績値は 7,753歩、女性におきましてはそれぞれ8,300歩以上に対して7,282歩、暫定直近実績値 は7,410歩でありまして、基本的な分析といたしましては平成9年のベースライン値に 対して男性449歩,女性は142歩それぞれ減少している。ここには示していませんが、 男性の減少は有意であり、女性の減少は必ずしも有意ではございませんでした。  図の5、6を参照していただきたいのですが、今申し上げました通り男性における歩 数の減少ということであります。そして今後の課題につきましては、新たに三点を述べ ています。第一に、日常生活における歩数の増加は見られない、歩数は最も身近な運動 習慣であり,歩数増加のための対策を積極的に展開すべきと考えます。第二に、歩数を 増加させるためには運動の重要性を強調するとともに、ウオーキングコースの整備やマ ップの作成などを通じて仲間同士が誘い合って参加でき、歩きやすい環境づくりを行う 必要があると考えます。  第三に、一般的な運動の普及啓発に止まらず、いかにしたら歩数を増加させる生活習 慣に変化するのか、動機づけの手法や運動施設の整備等の具体的な対策についてさらに 検討する必要があると考えます。  次は目標項目7.4、糖尿病検診の受診の促進であります。これは目標値が6,860万人、 策定時のベースライン値は平成9年の健康福祉関連サービス需要実態調査から得られた 参考値4,573万人であります。平成13年の国民栄養生活基礎調査から得られた数字は 5,875万人でありますが、異なった調査であり、調査における質問内容が異なっており、 直接的な比較はできないというふうに分析をしております。  図7を御参照していただきたいのですが、これは性、年齢、階級別の検診受診率を表 しています。ブルーが男性、肌色が女性であります。図7によれば受診率が高いのは男 性40才代から50才代であり、また女性は50才代〜70才代であります。男女を比較すると 男性の受診率の方がやや高いという結果になっています。女性では受診率が最も高い年 齢層でも約6割であり、逆にいいますと約4割が健康診断を受診していないという結果 になっています。  今後の課題及び対策の抽出等でありますが、男性の受診率が高いのは職域における健 康診断によるものと思われ、自営業その他の職種における受診率は低い可能性が考えら れると分析しています。また女性の中高年者での受診率が男性に比較して低いのは、就 業率と関係している可能性が高いと考えられる。受診率を増加させるためには、これら の対象者の受診行動を把握して、未受診者を少なくする対策が必要と考えます。  健康審査、健康診断の受診者増加の目標達成を妨げている要因が、女性の受診率の伸 び悩みにあると考えられ、今後は女性の受診率を向上させるための対策が必要であると 考えます。現状では国民が健康診断を受診したか否かの情報を把握する仕組みはなく、 未受診者を生み出す要因となっており、保険者等による受診情報の適正な管理が必要と 考えます。  目標項目7.5、糖尿病検診受診後の事後指導の促進であります。資料といたしまして は図8、図9を御参照ください。図8は男性でありまして、肌色が平成9年、またブル ーが平成10年でありまして、同様のデータが図9,女性について綴じ込んであります。 まず、事後指導の目標は男性、女性とも100%であり、ベースライン値に比して男性は 66.7から74.2%、また女性は74.6%から75.0%であります。経年的な変化についてです が、男性で増加し、また女性では横這いです。そして図8、9の一番下の全体というグ ラフの数値がほぼ一致しておりまして、男女の事後指導受診率がほぼ同じという結果で した。  詳細なデータの分析についてですが、40才未満ではデータの件数が少ないので比較は 困難ですが、60才以上では男女とも事後指導受診率が約8割となっています。それから 図10を見ながら聞いていただければと思うのですが、これは糖尿病実態調査からのさら に詳細な解析で、糖尿病と診断されたもの、また境界型と診断されたもの等を区分いた しまして、その後の保健指導内容を受けたものの割合等についてのデータであります。  まず糖尿病と指摘された人においては、医療機関への受診勧奨を約7割になされてお り、約5割のものは糖尿病教室を受けています。これに対して検査の結果が境界型等と 指摘された人では約4割しか医療機関への受診勧奨をされておらず、糖尿病教室を受講 したものは約2割、保健指導を何も受けていないものが約4割を占めていました。これ は全てデータの四捨五入であります。  それから今後の課題対策の抽出等でありますが、一定割合で検診は受診するが、事後 指導を受けない人が存在すると考えられ、女性の事後指導受診率が増加しない背景とし て存在する可能性があります。また、高齢者では糖尿病以外の疾病ですでに受診してい る可能性もあり、主治医との連携により適切な指導を実施できる体制を作るべきである と考えます。  男女とも60才以上では事後指導受診率は約8割に達しており、相対的に事後指導受診 率が低い60才未満での事後指導の充実が必要であると考えられます。男性においては年 齢階級における格差が大きく、比較的若い年齢層の事後指導を充実させる必要がありま す。  次は図7.6をお願いします。これは糖尿病有病者の減少ということで、目標値1,000万 人、ベースライン値690万人、暫定直近実績値740万人であります。平成9年のベースラ イン時に糖尿病有病率の増加率は表1を参照しながら聞いていただきたいのですが、5 年間で約7%に止まっており、その増加は予想値に比べて少ないという結果を得ていま す。男女別に検討すると、糖尿病が強く疑われる人、ここでは糖尿病有病者と呼んでい ますが、男性では450万人と推計され、ほぼ予測と同じ増加傾向を示していましたけれ ど、女性では290万人と推計され、平成9年の330万人に比して増加傾向は見られず、こ れは減っているようにみえますが、統計学的には有意ではありませんでした。しかし、 この傾向が続けば女性では目標達成の可能性も考えられます。  詳細なデータの分析ですが、図11、図12、それぞれ男性女性の年齢階級別の糖尿病が 強く疑われる人、いわゆる糖尿病有病者と糖尿病の可能性を否定できない人、俗に予備 軍と呼ぶ場合もありますが、それに分けて値が示してございます。  まず糖尿病が強く疑われる人の割合は女性よりも男性が高いということが今回も認め られました。グラフに数値を示してございますが、例えば平成9年では男性では糖尿病 が強く疑われる方が9.9%、女性が7.1%でしたが、今回は12.8%と6.5%と、男性で有 病者数が多いという傾向は強まっています。  それから糖尿病の可能性を否定できない人は平成9年に対して、男性では7.9%から 11.0%へ、女性でも8.0%から10.0%へと増加していました。特に性年齢階級別でみる と、男性では糖尿病が強く疑われる人の割合は70才以上で増加、また女性におきまして も糖尿病の可能性を否定できない人は60才以上で増加をしているという結果です。  これらを踏まえますと糖尿病が強く疑われる人の割合が増加していた男性の糖尿病発 症予防が特に重要であるということです。先程お話しいたしましたように、男性におい ては中高年で肥満者が増加をしているということでありまして、今後、中高年男性の肥 満対策が更に重要となります。それから880万人といういわゆる糖尿病の可能性を否定 できない予備軍、これは先程室長のお話にもありましたように、5年前に比べて約200 万人増えています。今後糖尿病予防対策を積極的に推進しなければ、糖尿病有病者が予 想以上に増加していく可能性が危惧されるところであり、対策が必要です。   次は目標項目7.7、糖尿病有病者の治療の継続であります。全体で図13、14はそれぞ れ男性、女性について平成9年と14年における治療継続率を示しています。全体で治療 継続率は45.6から50.6%と増加傾向にありますが、目標値の達成に至ってはいません。 詳細なデータ分析のところ、時間の関係で少し端折らせていただきますが、平成14年の 調査結果で見ますと、治療を継続している人の割合は男性の方でやや高くなっていま す。男性では年齢が高くなるほど治療継続率が高くなるのに対して、女性では一定の傾 向は認められません。高齢者の治療継続率は平成9年と14年の間でほとんど変化をして いません。  図15を参考にしていただきたいのですが、糖尿病が強く疑われる人で、現在治療を受 けている方は平成9年では45%でしたが、現在50.6%、受けていない方を見ますと、絶 対的なパーセンテージで、男女とも約7〜8%が以前に治療を受けていたけれども、現 在受けていない中断群、残り40%はもともと治療を受けたことがないという方でありま して、治療継続率が最も高い年齢階級、男性の70才以上でも約60%に止まっており、治 療継続率を増加させる必要があります。以上です。   久道部会長  次は岡山先生お願いします。   岡山参考人  それでは資料3−3、3−5の資料を参照しながら説明させていただきます。まず食 塩摂取量の減少ということで、10グラム未満が目標になっておりますが、これについて はすでに報告済です。これは前回の審議会で0.5グラム程度の摂取量の減少が観察され たということになっております。  高血圧予防にとって食塩摂取の減少というのは大変重要な課題であるということで、 従来の減塩運動に加えて、食塩摂取量を国民が自己管理できるような食環境の整備が重 要であるというふうに考えられます。また、食塩摂取量は以前から地域差があるという ことで、例えば東北地方では12.4グラム、これに対して最も低い四国では10.6グラムと いうことで、「健康日本21」の目標をほぼ達成している地域から、遠く離れている地 域まで大きく分かれているということで、そういう意味で地域の特性を活かした対策と いうのがこれから必要ではないかということを考えます。  次にカリウムの摂取量の増加について説明させていただきます。目標値は3.5グラム 以上ということで目標値を設定しております。2.5グラムから2.5グラムということで、 ほとんど変動はしておりませんが、これについては直接的な比較はできないということ になっております。ベースライン値では成分表の切り替わりによって増えた部分と減っ た部分両方推測されております。その結果として、この差があるかないかということを 議論する直接的なデータは今のところないということになります。   ただし詳細なデータの分析という欄を御覧ください。平成14年度について、図20、21 を御覧ください。男性では60才代でのカリウム摂取は2.9グラムであるのに対して、20 才代では2.2グラムと60才代の約4分の3の摂取量となっています。この世代では特に 魚介類、野菜、果実類、芋類などの摂取が低く、これらの食品群からの摂取量の差が 0.55グラムにも達しております。また、果実類からのカリウム摂取量が低い30代では約 3分の1にしか過ぎないということで、こういった傾向が男女ともに見られているとい うことで、こういった20才代、30才代の男女でのカリウムの摂取量が大きく目標値から はずれているという実態が明らかになりました。  したがってカリウムの摂取量の対策ということで、世代間の差に着目する必要がある というふうに考えられます。カリウム摂取を高めるという目標だけではなくて、「健康 日本21」のその他の関わりも含めて、食事全体としてよい方向に変えていく必要があ ると思います。若い年齢層を含めて、野菜等カリウムを多く含む食品の積極的な摂取を 促す方策が必要である。また高血圧予防のためにカリウムが塩分摂取とともに有効な方 法であることを広く国民に知らせるということも重要であり、それを通じて食品の摂取 を促す必要があるというふうに思います。  肥満者の減少ということについてはもうすでに糖尿病で述べておりますので、循環器 病に関係するところだけ申し上げます。6頁目ですが、肥満者の増加は特に男性で見ら れるということで、男性をターゲットにした対策というのが重要だろうということ、運 動量の増加とエネルギー摂取過多の原因になりやすい脂肪摂取の抑制について、わかり やすい栄養成分表示を通じたエネルギーと脂肪摂取に関する情報提供が必要であるとい うふうに考えております。   身体活動に入らせていただきます。身体活動は運動習慣ありという割合が男性で39% 以上、女性で35%以上ということで解析をしております。これについては身体運動分野 より引用しております。実際にこういった動向を見ますと、大きな改善というのは、や や増加しておりますが、逆に若年層では横這いな状態が続いております。そこで循環器 疾患においては、目標が運動習慣者の増加ということになっておりますが、定期的な運 動を実施している人を増加させるとともに、日常生活での重要な運動要素である歩行を 実施しやすい運動環境を整備することも重要であるというふうに考えております。  次に高血圧の改善というところで8.5に入りたいと思います。平均血圧は男性で132.7 〜132.6、女性では126.2〜125.6ということで、男性で0.1mm、ほとんど変化がありませ んが、女性では0.6mmHg低下しております。このデータの比較はできると思います。平 均血圧は男性では横這い、女性では検定したところ有意に減少しておりました。高血圧 の主要な因子は塩分摂取量、肥満、運動不足、多量飲酒等であります。こういった危険 因子の動向を考慮した上で、生活習慣の変化や危険因子の改善を促すべきと考えられま す。特に女性では少し低下傾向にありますが、男性では変化がないというのは注目すべ き点であります。  また、以前の血圧動向との比較ということなんですが、国民栄養調査の集計の仕方が 平成9年から変わっておりますので、遡って比較ということはできませんが、全体とし て我が国の血圧というのは30年間ぐらいにわたって継続的に低下傾向にあるというのが 示されております。そういう意味では男性については低下傾向が少し鈍ってきたという ふうに見ることもできるかもしれません。  次に高脂血症の減少というところに入りたいと思います。目標値は男性で5.2%、女 性で8.7%です。ベースライン値のデータが10.5%、女性で17.4%ということで、ほと んど変化がなく、減少傾向が見られないということになります。図26、27を御覧くださ い。  26は男性、27は女性ですが、見ていただいてわかりますように、特に大きな変化とい うのは見られていません。各年齢層でバラツキが大きいのはサンプル数の問題だという ふうに考えます。そこで全部を平均してまとめたものが右端につけてあります。  これを見ますと年齢階級別の動向というのは一定の傾向は男性では見られません。平 均値で見ますと40代が最も高い、そして50代、30代となっています。女性では50代60代 で高脂血症の割合が高く、若年及び高齢者で低いということになっております。大きな 変化が見られないことから、我が国の高脂血症者の背景となる肥満や食生活の要因を整 理して、高脂血症減少のために積極的な対策をとる必要があるというふうに考えられま す。  糖尿病有病者の減少ですが、これについては門脇先生の方からお話をいただいており ますが、一点だけ追加させていただきますと、糖尿病の可能性を否定できない人の割合 が男女ともに増加しているというのが大変注目すべき動向であるというふうに考えてお ります。それと言いますのは、循環器疾患の発症リスクは糖尿病に至らない、軽症の耐 糖能異常でも上昇するとされておりますので、循環器疾患のリスクとしての糖尿病対策 はますます重要になっているというふうに考えられます。  糖尿病の有病者は当初の予想と比較して、男性では増加傾向にある、しかし先程申し ましたように、可能性の否定できない人を込めると男女とも増加が見られるということ で、こういった糖尿病の発症予防の対策というのが充実されるべきであるというふうに 考えられます。  そして飲酒対策の充実ということで、多量飲酒者の減少ということで、これについて はすでにお話がありましたので、私の方からは省略させていただきます。  8.10、健康診断を受ける人の増加、これは糖尿病と全く同じ調査をみて記述しており ます。下の方に書いておりますが、やはり男性に比較して女性の受診率が低いというこ と、これについての受診率を上げる工夫として、やはり対象者の受診行動を把握して未 受診者をなくすような対策というのに取り組むべきではないか。この背景として、国民 が健康診断を受診したかどうかの情報を把握する仕組みがない、こういったことを把握 する仕組みを作っていくというのが必要ではないかというふうに考えられます。  以上をまとめて、脳卒中、虚血性心疾患の動向について要約させていただきます。脳 卒中の動向についてですが、データの比較については可能です。死亡率、それから年齢 調整死亡率ともに減少しております。こういった脳卒中の死亡率は持続的に低下傾向に あるというふうに思います。さらに表3(29頁)、2000年の人口で年齢調整した結果、 男性では年間4.3%、女性で5.1%減少しており、減少傾向を持続していると考えられ、 これらの減少は統計的にも有意でした。総死亡率でも減少されますが、このように年齢 調整した結果、さらに明瞭になりました。この減少傾向は女性の方が著明でした。脳卒 中の死亡率は減少しており、循環器疾患死亡の減少に大きく寄与しているものと考えら れます。脳卒中死亡のさらなる減少のためには、少し低下傾向の鈍い男性に重点をおい た高血圧対策、糖尿病対策が重要と考えられます。  最後に虚血性心疾患について報告させていただきます。虚血性心疾患の死亡率につい ては、比較は可能です。総死亡率では虚血性心疾患は減少傾向が明らかではありませ ん。女性では僅かに減少傾向にあります。これは高齢化に伴う死亡率の増加が考慮され ていないからと考えられます。  平成12年度の人口を基準にして、年齢調整しましたところ、男性で年間2.1%、女性 で4.3%減少しておりました。このように高齢化の結果、総死亡率は上昇しております が、年齢調整死亡率は減少しているということが明らかになりました。特にこれらの虚 血性心疾患の死亡率は男性で多いということと、さらに図28を御覧ください。これは大 都市、特に東京都を大阪を別集計したものですが、人口規模によって虚血性心疾患の死 亡率の動向は異なっているということで、そういったところも考慮した対策が必要であ るというふうに考えられます。虚血性心疾患死亡のさらなる減少のためには、特に男性 に重点を置いた高血圧、糖尿病対策とともに、男女共通した積極的な高脂血症対策を実 施する必要があると考えられます。以上です。   久道部会長  どうもありがとうございました。次に山口先生お願いします。  山口参考人  それではがんの発表をいたします。資料3の(4)を御覧いただきたいと思います。 最初のいくかの項目は栄養食生活、それから飲酒と重複しておりますので、重複した説 明は避けて、特にがんという側面から見た時のポイントをお話ししたいと思います。  最初に食塩摂取量の減少、(2)の最初の○のところに書きましたが、食塩摂取量を がん分野に加えた背景ですが、高塩食品、塩辛い食べ物をたくさん食べるということが 胃がんのリスクと関係があるという疫学研究の報告がたくさんあるということで、そう いうふうなことを今後さらに情報提供をする必要があるであろうというふうなことを指 摘したいと思います。  2頁目ですが、野菜の摂取量の増加、これは3頁のやはり(2)の最初のところを御 覧になっていただきたいと思いますが、野菜をたくさんとるということとがんのリスク ということにつきましては、胃がんをはじめ肺がん、口腔咽頭がん、食道がん、たくさ んのがんについて野菜をたくさんとるということががんの予防につながるというか、か なり角度の高いエビデンスが得られております。ただし野菜摂取というものは日本食独 特の漬け物のような形で塩分摂取が増加してしまうという、そういう危険性もあります ので、そういうことを考慮した上で野菜の摂取を多くするような努力を今後続けていく べきだと考えます。  それから350グラムという目標が出されているわけですが、がんの分野では野菜をた くさんとりましょうというふうな、そういう標語はもう何十年も前からやられています が、具体的なメニュー等々で350グラムをいかに達成するかというあたりを今後検討し ていく必要があるだろうというふうに考えております。  次の4頁の脂肪エネルギー比率の減少、これは以前は乳がん、大腸がん等々脂肪摂取 とがんリスクということが多くの研究から指摘されていましたが、最近はエビデンスと いう面では若干トーンダウンをしております。ただし、循環器疾患等々についてもリス クが上がるということで、引き続いて脂肪エネルギー比率が高くならないということは がんの予防にとっても重要だということを考えております。  5頁目の飲酒ですが、アルコールの多量摂取というものが口腔咽頭がん、喉頭がん、 食道ガンのリスクをあげる、しかもそれは喫煙と相乗作用があるというふうなことが明 らかになっております。それから肝臓がんのリスクも上げるということは明らかです。 それから最近の疫学の結果で、大腸がん、乳がんのリスクも上がるんだという報告が増 えておりますので、今後ますます飲酒とがんというふうなことの関連性についても情報 提供が大事だというふうに考えます。  6頁のがん検診受診者の増加という点ですが、ここは他の分野と異なっておりますの で少し丁寧に説明したいと思いますが、最初に資料3の(5)の33頁の表4を御覧にな っていただきたいと思います。二つ目の調査で、平成9年の現状値は健康福祉関連サー ビス事業実態調査というもの、それから平成13年は国民生活基礎調査のデータを比較し てどうかというふうな値が、参考値として出されておりますが、二つの調査を比較しま した結果、受診者数を比較するという意味では調査の中身が若干違っているということ が明らかになりました。  したがいましてこの二つの平成9年と13年の数値で増えている、減っているという、 そういう評価は今回はできないという結論に達しました。その詳細につきましては、 (4)の方の(1)のところに詳細に書いてありますが、時間も押しておりますで省略 いたします。平成16年の国民生活基礎調査の結果がもうじき明らかになってまいります ので、それは13年の調査と比較可能性が十分保たれているというふうなことですので、 その新しいデータを待って時間的な経緯については分析をしていきたいということにな ります。  それから(4)の最後の7頁の(1)と(2)のところに書いたこと、それから(5 )の最後の方の図の31と32を御覧いただきたいのですが、これは平成13年のがん検診受 診率を年齢別にグラフにしたものであります。31が男で32が女性でありますが、対象臓 器によって受診率はもちろん変わるのですが、一般的な傾向としまして、若年のところ と高齢者のところの受診率が低いという、一方性の山を示しているのが大部分でありま して、こういうことから若年者と高齢者の受診率の改善の余地が十分にあるというふう に分析をいたしました。以上です。  久道部会長  どうもありがとうございました。それでは御質問、御意見をいただきます。糖尿病、 循環器、がんということですが。  加賀谷委員  糖尿病と循環器の両方に関わることで、まず要望と質問を一つをさせていただきたい と思います。両疾患とも身体活動が非常に大きな影響がある、効果があるということ で、現在運動所要量があると思うのですが、それは一般的な予防という観点で作られて おりまして、こういう疾患のある人たちがどのように運動したらいいかという、そうい う指針はまだ含まれていないと思います。  今回、大変大きな研究費を使って5カ年計画でエビデンスを出すということでありま すので、ぜひ非常にニーズの高い後期高齢者を含むそういう一般の人々の運動所要量と 同時に、こういう疾患のある人たちがどのようにしたらいいかということもぜひ含めて いただきたいということを要望いたします。  それに関連した質問ですが、糖尿病と循環器のところで、身体活動量のところは予防 という観点では国民全体の歩数で拾われていると思うのですが、疾患のある人、糖尿病 の可能性の強い人というのがありましたが、そういうところでそういう人たちが身体活 動の実態はどうなっているか、そういう分析がありましたら教えていただきたいと思い ます。  久道部会長  それでは門脇先生どうぞ。  門脇参考人  糖尿病と診断されている人がどれぐらい運動しているかということにつきましては、 例えば私が班長をしております厚生労働省多目的コホート班における糖尿病の発症予防 研究等々でデータはございます。ただし、糖尿病と診断されますと、そのことにより1 日の例えば歩数が増えるといった、そういう介入効果なども含まれておりまして、糖尿 病と診断されてない人に比べて必ずしも糖尿病と診断されている人が少ないとか、ある いは特に多いとか、それほどはっきりした傾向が伺われないといったことがございま す。  加賀谷委員  今回出された資料のクロスのデータというのは出せないものなんでしょうか。歩数と の関係というのは…。  門脇参考人  その点につきましても、糖尿病有病者の中にはすでに糖尿病と診断されたものと、そ れから今回の検査ではじめて糖尿病とわかったものとがおりまして、糖尿病実態調査の 中でも、クロスの集計がされているのではないかなというふうに私は思っているのです が、いかがでしょうか。  久道部会長  誰か答えていただけますか。  事務局  14年度の糖尿病実態調査の報告書はこちらでございますが、この中で2,000歩未満か ら2,000歩から4,000歩、それから1,000歩刻みでへモぐラビンAIc5.6%未満と、それ から5.6〜6.1未満、それから6.1以上ということで,クロス表を作成しておりますので、 後ほどこれは皆さんにお配りしたいと思いますが、こういった資料を策定する中で今後 検討を重ねる中で、こうした基礎データについても解析を加えていきたいというふうに 思っております。  久道部会長  他にございませんか。  田中委員  今の御質問の追加というとおこがましいのですが、国民栄養調査は私の研究所でやっ ておるものですから、少し追加させていただきます。国民栄養調査の対象者というの は、比較的健康な人が受診しているんですね。また、採血できている人の受診率は、栄 養調査よりも、さらに低いようです。したがいまして糖尿病患者とそうでない人とどち らがよく受けているかというと、健康な人の方がよく受けています。既に糖尿病になっ ておられて、医師の指導のもとにいろいろ生活習慣の改善なり、あるいは薬なりを飲ん でおられるという方は受けておられないというところが推測されます。クロス集計して も、その結果の解釈が困難になるのではないかと思います。医療機関をベースにした糖 尿病患者の生活習慣改善状況と国民栄養調査との比較ができたら良いと思います。  そういう意味でも血圧は男性はあまり下がらない、女性はよく下がっておる、高脂血 症が増えてきた、肥満は増えてきた、糖尿病は増えてきた、しかし虚血性心疾患、脳卒 中の年齢調整死亡率は顕著に下がっておるということもそういうギャップがあるからだ と思います。ですから国民栄養調査は全国民から抽出されたサンプルでありますが、や や健康者に偏っておるというところを頭に入れておかないと解釈が困難になる場合もあ るのではないかと思います。  久道部会長  他にございませんか。  土屋委員  先程、中島室長の方からこの糖尿病対策推進会議の御紹介がございました。この2月 9日に田中健康局長にもお越しいただきまして設立総会を開催できました。これは私ど も日本医師会、糖尿病学会及び糖尿病協会の3者で糖尿病対策を国民的な運動として推 進しようということでございまして、おかげさまで、スタートできることになりまし た。  本年度の事業としては、国民向けリーフレットの作成、それから医師向けのガイドラ イン、これは既に糖尿病学会と日本医師会が協働して作ったものがございますが、その エッセンスを糖尿病を専門としない、いわゆる主治医、かかりつけ医としていろんな立 場で患者さんを診たり、相談にのっているもの達に参考になるようにと意図して作成中 であります。今年度内にこれだけは終えたいと思っております。  先程、縷々お話がございましたように、糖尿病は、これだけ増えてくるという状況に ございます。その受診勧奨、あるいは事後指導、継続的な管理というものが重要だとい うことは先程門脇先生のお話にもございましたが、門脇先生等の専門家と連携して進め ていこうというものでございまして、国をあげての運動にしたいと、企図いたしており ます。  そこで、協力団体として、「健康日本21」推進全国連絡協議会会長の、加藤先生御 出席でございますが、まずここに入っていただくということになっております。この連 絡協議会は大変大勢の皆さんの団体でもございますので、この人たちとの連携も大事だ と思っております。全国津々浦々、日常の医療に関わっている我々の仲間たちがこれに 当たっていくということで、いわゆるかかりつけ医の役割といいますか、かかりつけ医 機能のさらなる向上も期待いたしております。ここに御出席の皆様方にも御理解いただ きたいと、御報告をかねてお願いいたしておく次第でございます。  久道部会長  どうもありがとうございました。では松本委員どうぞ。  松本委員  お願いでございますが、がん対策なんですが、がんは国民の関心が高いわけです。そ れで高度の医療ということを要望しているわけなんですが、実は資料1−3の77ページ を見たのですが、7府県が拠点の病院が0ということになっているんです。佐賀県の場 合を見たんですが、二次医療圏は五つあって一つなんです。これはたしか県立病院じゃ ないかなという感じをいたします。それで佐賀県の場合が五つ二次医療圏があります。 私の町の方は南部保健医療圏ということになっているので、ここもないわけです。  それで私の子供も久留米大学の医者なんですが、それでよく頼まれてそっちの方に紹 介などもすることもあるのです。近隣の病院からもそっちの方に紹介とか、何かあるわ けです。そういうことで十分な診療体制がないんじゃないか。がんの発見が遅れ、それ から手遅れになるんじゃないかという気がいたします。実は僕の友達もわかった時には もう末期がんだったということで,久留米に連れていったらもうダメだった、1年間し か持ちませんでした。そういうこと等もございますので、やっぱり早く、また正確な診 断、高度な治療関係、これが必要ではないかという感じがいたします。  そういうことでこうした取り組みは市町村単独では考えていくことは困難でございま す。拠点病院の整備ですが、さっき言いましたように7府県0ということになっており ます。今後とも国、あるいは都道府県の一層のリーダーシップを発揮していただくこと が大事じゃないかというような感じをもっておりますので、お願いしたいと思います。    あと一点は国保の問題で、町村も関係がございますので、実は都道府県の役割につい ても申し上げたいと思うんですが、今、市町村にとっては国保の財政というのは非常に 大変なんです。一般財源から繰り入れしております。そういうことで国保に都道府県の 負担を導入することになりましたが、より積極的に医療費の適正化を図るために、増加 してまいります生活習慣病の医療費を押さえていくことが大事じゃないかというような 感じを持っております。そのために都道府県に県内の幅広い関係者を束ねて、計画の策 定並びに事業の推進など、今まで以上にしっかりとした役割を果たしていただきたい、 そういうお願いでございます。よろしくお願いします。  久道部会長  いろいろあろうかと思いますが、時間がだいぶ迫っておりますので、この辺でこの議 題は終わりにしまして、次のその他、報告事項が2件ございますので、これを一括して 横尾室長から簡単にお願いいたします。  横尾地域保健室長  私どもの方から資料4と資料5ついて説明したいと思っております。まず一点目は地 域保健対策検討会の開催要綱というようなことでございます。現在、地域保健対策につ きましては、地域保健法、それから「地域保健対策の推進に関する基本的な指針」によ って地域保健対策を総合的に推進してきているところでございますが、平成6年に地域 保健法ができまして、基本指針も同じですが、すでに10年経過している、このようなこ とから社会的な状況の変化等に伴って、公衆衛生分野において従来にもまして必要性が 大きく認識されるになってきた施策もございます。  これは端的にいいますとSARS、高病原性鳥インフルエンザ、それから昨今の台 風、新潟中部地震というような自然災害、あるいはNBCテロといった健康危機管理事 例への的確な対応というものが新たに求められているというようなことから、新たな施 策を実施するための体制、それから関連制度の整備等についてもあわせて検討する、今 後の地域保健対策のあるべき姿を明らかにするということでございます。  あわせて従来地域保健医療計画というものが、各都道府県でできていたわけですが、 これは地域保健計画につきましては、医療計画の一部として任意的記載事項を、地域保 健の分野を記載してきたといったことがありまして、実態的には一体的に都道府県単位 で作成されております地域保健医療計画といったものがあるわけでございますが、医療 計画につきましては医療法、それから地域保健計画につきましては、局長通知で定めら れるというようなことから、新たに今後の地域保健対策をさらに推進する観点から、都 道府県域における地域保健計画の策定を推進するということから地域保健計画の位置づ けを明確化する、さらには地域保健体制の整備に関する都道府県の役割、裁量を拡充す るということをした、ということ、これは三位一体改革の関係等も受けまして、新たに この検討会において地域保健計画の具体的な策定手続き、あるいはその評価のあり方に ついて検討するといったものでございます。  実際には1月20日に第1回目の検討会を開催しております。新たな施策を実施するた めの体制、関連制度の整備等について検討するというようなことで、そこに書いてござ いますように、地域保健計画についてということと、公衆衛生の新たな潮流に即した体 制及び制度の整備について検討するというようなことでございます。この検討会で中間 的なとりまとめを行うこととしておりますが、さらにこの地域保健健康増進部会におい てもさらに審議を深めていただくということをお願いすることを現在考えているところ でございます。  それから資料5ですが、公衆衛生医師の育成確保のための環境整備に対する検討会の 報告書の概要でございます。これは先程言いましたように、新興・再興感染症等の健康 危機に対する国民の不安の解消、沈静化というのが公衆衛生行政における健康危機管理 の最も重要な課題である、それから熱意のある公衆衛生医師の育成確保が最善の手段で あるというようなことから、第8回のこの部会でも説明いたしましたが、昨年6月から 公衆衛生医師の育成確保のための環境整備に関する検討会を開催しております。  5回にわたって検討した結果、1月18日に国や地方公共団体が取り組むべき施策を示 した報告書をとりまとめております。報告書の概要がそこに書いてあるわけですが、公 衆衛生医師の育成確保のための具体的な方策についてということで、公衆衛生医師の育 成、それから採用確保、それから公衆衛生医師の職務に関する普及啓発といったものが この報告書の中にとりまとめられているわけでございます。  あわせて公衆衛生医師の育成確保のための行動計画の策定、及び評価についても記載 がございまして、国、地方公共団体等は本方策の実現に向けて積極的に取り組むという ことになっておりまして、特に地方公共団体につきましては、必要な公衆衛生医師を適 切に確保するために、チェックシートを用いて現状を把握して、短・中・長期の達成目 標を設定し、さらに公衆衛生医師の育成確保に関する行動計画を策定して、その実施を 確実に行うというようなことになっております。  (3)に国、国立保健医療科学院の実施すべき内容が書かれておりますが、こういっ た地方公共団体の計画策定につきまして,実施状況等を調査して、その進捗状況につい て客観的に評価できるようなものを公表する、こういうふうなことになっております。 以上です。  久道部会長  今二つの報告がありましたが、ここでぜひ聞いておきたいという御質問はございませ んでしょうか。  渋谷委員  意見ということでお願いをしたいと思います。私は今保健所に勤務をしております が、地域の健康危機管理というのは保健所が中核になっておりまして、重要な機関でご ざいます。しかしながら先程の説明にもございましたように、公衆衛生医師を確保する ということが非常に重要な課題になっております。この健康危機管理を責任をもって地 域で行うためには、やはり医師の確保、育成ということが非常に重要だというふうに考 えておりますので、また関係の皆様には御協力をお願いしたいと思っております。  久道部会長  どうもありがとうございます。長時間にわたりまして御審議ありがとうございまし た。最後に今後のスケジュールについて事務局からお願いします。  中島室長  次回につきましては、内々すでに日程調整をさせていただいておるかと存じますが、 3月24日の開催を予定させていただいております。議題につきましては、これまで御議 論いただいた一次予防、二次予防をふまえまして、健康づくり施策を進めていく推進体 制ということで御議論をいただきまして、具体的には国、都道府県、市町村の役割をど う考えていくかということ、それから国民健康・栄養調査といったものの統計調査のあ り方というのをどう考えていくのかといったことなどを、今のところは考えておるとこ ろでございますので、よろしくお願いいたします。  久道部会長  それではこれで本日の会議は終了させていただきます。どうもありがとうございまし た。 ○問合せ先  健康局総務課生活習慣病対策室  調査総務係 主藤・松浦  電話 03−5253−1111     内線2346・2342