05/02/02 第5回社会保障審議会医療部会議事録について           第5回社会保障審議会医療部会 議事録(案)                    日時 平成17年2月2日(水)                       15:30〜                    場所 厚生労働省専用第15会議室 ○企画官  ただいまから、第5回社会保障審議会医療部会を開会します。委員の皆様におかれま してはお忙しい中、ご出席いただきましてありがとうございます。初めに本日の委員の 出欠状況についてご報告申し上げます。本日は佐々委員、野呂委員、箱崎委員、堀田委 員、山本文男委員からご欠席の連絡をいただいています。なお佐々委員の代理として、 全日本病院協会副会長西澤寛俊参考人にご出席いただいています。また辻本委員からは 遅れるとの連絡をいただいています。ご出席いただいている委員の皆様方は定足数を超 えていますので、会議は成立しています。  次にお手元の資料を確認させていただきます。座席表、議事次第のほか、資料1〜5 まで5つの資料と、参考資料ということで、年末に出ました医療機関等における個人情 報の保護についての関係資料を配布しています。以上です。乱丁、落丁等がございまし たらご指摘いただければと思います。それでは以降の進行については部会長、よろしく お願いします。 ○部会長(鴨下)  本日はお集まりをいただきまして、ありがとうございます。2月になりましたけれど も、今年初めてでございますので、よろしくお願いいたします。議事に入ります前に、 本日、欠席の佐々委員の代理としてご出席いただいております西澤寛俊参考人の出席に つきましては、ご異議ございませんでしょうか。                  (異議なし) ○部会長  ありがとうございます。それでは議事に入らせていただきます。本日の議題は「平成 17年度医政局関係予算等について」及び「医療提供体制改革の論点案について」となり ますが、各議題ごとに資料が分かれていますので、資料1から順番に議論を進めてまい りたいと思います。まず最初の議題である平成17年度医政局関係予算等について、約30 分程度ご議論をいただきたいと思います。では事務局から資料1「平成17年度予算案関 係資料」及び資料2「規制改革・民間開放の推進に関する第1次答申関係資料」につい て、ご説明をお願いします。 ○総務課長  私から資料を説明させていただきます。資料1をご覧ください。これは医政局に係る 平成17年度予算(案)の概要です。1頁ですが、平成17年度予算額2,098億600万円、対 前年度差引増として71億1,100万円の減、伸び率で96.7%という状況になっています。  これについて後ほど申し上げますが、三位一体改革として45億円ほどの補助金の削減 を行っていますので、そうしたことも加味すると厳しい予算編成方針のもとで、必要な 予算額は確保できたのではないかと考えています。また内容としても、個々の施策につ いては概算要求で新規で計上したものについては、ほとんど認めていただいていますの で、そういう意味でも一応の対応はできているのではないかと考えています。個々の内 容については3頁以降に、私ども局のPR資料という形で説明資料がありますので、後 ほどご覧いただければと存じます。  2頁に「三位一体改革について」とあります。当部会においても昨年、この問題が出 てきたときに熱心にご議論いただきました。結果についてご報告申し上げたいと思いま す。省全体の対応が、この資料の11頁に一覧という形で載っています。いちばん左側の 枠の所に地方6団体の提案という形で、9,440億円の補助金の削減案の提案があったわ けです。これに対して結果的に厚生労働省としては、真ん中の政府・与党合意という欄 ですが、税源移譲するものとして国保を除く移譲負担金が850億円程度、また国民健康 保険の国庫負担の見直し、都道府県負担の導入で7,000億円程度、合わせて7,850億円程 度を税源移譲することになりました。なお生活保護、児童扶養手当についてはさらに検 討して、平成18年度から実施する整理になったところです。  施設整備費の関係については、交付金化を図ることも併せて決まりました。私ども厚 生労働省としては、施設整備費以外の事業費関係の補助金についても、いちばん右側の 真ん中の欄にあるような形で、都道府県、地方団体が使い勝手のいいような補助金改革 をしていきたいと考えているところです。  厚労省全体としてはこんな形で決着したわけですが、真ん中の欄の税源移譲のところ のいちばん上にある、国保以外の移譲補助負担金850億円程度の内訳として、2頁、1 にありますように医政局としては輪番制にかかる補助金、看護師養成所の学生の修学資 金の貸与事業の原資の補助金の2つを、税源移譲対象事項として計上したところです。 850億円の一部という形になります。  併せて私どもの関係の補助金についても、健康局所管の補助金と一本化し、交付金化 あるいは統合補助金化の改革を平成18年度から実施したいということです。したがって 補助金の見直しについては、平成18年度からの実施ということですので、本年のできる だけ早いうちに都道府県に新しい補助金要綱等を示すことが必要になります。医療計画 制度の見直しとも関連してくる事項ですので早急に成案を作り、当部会にもご説明をし ていきたいと考えていますので、よろしくお願いしたいと思います。以上が予算の関係 です。  資料2をご覧ください。これは昨年12月24日に、規制改革・民間開放推進会議から政 府に対して出された第1次答申の抜粋です。この第1次答申の中には私ども医政局の関 係、特に当部会でご議論いただいている事項とも関係の深いものがありますので、その 点についてご紹介させていただきます。  1頁で、1点目は医療法人を通じた株式会社等の医療機関経営への参入という事項で す。3頁に具体的施策というのがあります。この最初の5行ぐらいに、この問題に対す る規制改革会議の基本的な考え方が書いてあります。株式会社の医療機関経営参入によ って透明性の向上、あるいは複数の医療法人にまたがるグループ経営の実現、規模の経 済性の追求によるコスト抑制等により、経営の近代化が進められるのではないかという 考え方に立って、いくつかの事項が提言されています。  (1)は株式会社による医療機関経営への参入等医療機関経営の多様化ですが、次の 4頁のいちばん上の(2)に、医療法人から医療法人への出資等の容認とあります。現在、 医療法人は医療法人に出資することはできないとなっていますが、医療法人制度改革を この部会でも議論していただいています。こうした改革の一環としてこれを可能とする とともに、社員としての地位を与え、円滑なグループ経営やネットワーク化を実現し、 効率的な医療提供体制を構築するという提言です。  (2)は持分のない新たな医療法人の創設です。これは現在、私ども医政局の検討会 で検討が進められている、いわゆる認定医療法人と呼んでいますけれども、こうした新 しい医療法人の創設について、ほぼその内容に近い提案が行われているところです。  5頁で4の医療計画の見直しの事項です。(1)がいわゆる病床規制の見直しで、こ れについても最初の問題意識のところに、規制改革会議としては、いわゆる病床規制制 度が新規参入を阻んで、競争を阻害しているという基本的な認識を掲げています。そう した認識のもとに具体的施策という形で(1)の3行目あたりから書いていますが、医療 計画制度における都道府県の役割も踏まえながら、質が低く、都道府県の改善命令に従 わない医療機関に対する開設許可の取り消し等実効的な手段によって退出を促すことに より、地域が真に必要とする質の高い医療サービスを提供する医療機関の参入を阻害す ることのないような方策を検討するべきである、としています。また「なお」書きです が、いわゆる病床規制を撤廃するためには、どのような条件の整備が必要かについても 検討すべきであるといったことが提言されています。  (2)で当面の措置としては、一般病床及び療養病床のいわゆる病床規制について、基 準病床数の算定基準を公正に設定した上で、適正な病床数に管理されるようにすべきで はないかと指摘しています。  6頁の(2)は、医療資源の集中・地域連携医療の推進です。具体的施策の(1)に書 いていますように、限られた医療資源が最適・有効に活用されるよう、医療機関の機能 分化、医療人材も含めた地域内の施設・設備の共同利用促進による地域連携等、各都道 府県が実効性のある医療計画を策定する上で必要な措置を講ずるべきである、としてい ます。あるいは(2)から(4)まで書いているようなことがあります。こうした事項につい ては、実は現在、が医政局の検討会で検討されている医療計画制度の見直しにおける論 点と、ほぼ同じような内容になっていると理解していて、こういったことも指摘を受け ているということです。  少し飛びまして13頁です。こうした規制改革会議からの答申を受けて、昨年12月24日 に、この答申の「具体的施策」の部分ですけれども、現状認識ではなくて「具体的施策 」の部分を最大限に尊重し、所要の施策に速やかに取り組むとともに、平成16年度末ま でに「規制改革・民間開放推進3か年計画」を改定する。いわゆる私どもが俗に「答申 尊重の閣議決定」と言っていますが、これを政府として決定しているところです。  先ほどいろいろご説明した規制改革会議の指摘事項ですが、当部会における今後の審 議事項にもなっているわけです。したがって、本来ならば当部会での審議を経て、政府 としてこの答申を尊重するという閣議決定に臨むべきであると考えていますが、年末の 非常に限られた時間の中で、政府として規制改革会議からの答申に対して、対応を決め ざるを得なかったという事情があること。また、これまでの当部会等における議論の状 況等から判断して、今回の規制改革会議の先ほどの答申というものは、大きな方向とし てはそんなに違っていないのではないかと私ども判断し、今回、こうした閣議決定を行 うに至ったものです。委員の先生方におかれましては、どうかこうした事情をご理解い ただき、今後、この指摘事項の具体化に向け、さらにご議論を深めていただければ大変 ありがたいと思います。よろしくお願い申し上げます。以上で説明を終わります。 ○部会長  ありがとうございました。ただいまの説明、あるいは資料1、2に関する質問も含 め、ご自由に意見交換をお願いできればと思います。 ○松井委員  資料1の三位一体改革のところの平成18年度実施予定の交付金化のところですが、先 ほど医療提供体制等を決めていくために、早めにこの提案を作らなければいけないとい うご説明がありました。それもこの部会で検討する事項になるのかと思いますが、いつ くらいということになるのか、もう少し具体的なイメージをお持ちだったら教えていた だきたいと思います。 ○総務課長  平成18年度からの補助金改革ということになると都道府県は、当然、その前に自分で 予算を計上しなければいけなくなるわけです。ですから、そういうことを考えると、お そらく県はこの夏以降、来年度の予算の編成に向けて議論を始めますので、その前に国 として県に、どういう形で来年度は補助金を出すのかを要綱として示してあげなければ いけない、こういう趣旨です。  一方で現在、医療計画制度の見直しも議論されていて、いま検討会で検討を進めてお られます。それがいまのところ初夏というのでしょうか、連休明け前後ぐらいまでには ある程度、一定の方向をまとめたいという気持がありますので、そこでの議論を受け て、こちらの部会での議論も踏まえ、夏前ぐらいには当部会でご了承を得たいと思って います。大ざっぱな見通しですけれども、そんな腹づもりをしています。 ○渡辺委員  いま説明のあった規制改革会議の第1次答申では、要するに医療法人のあり方として 株式会社か社会福祉法人のような非営利化と、その2つの方法という言い方をしていま す。それがいま課長からもお話があったように、それを尊重するという閣議決定が昨年 末になされた。そうなると医療法人のあり方としてはその2つに縛られるのか、第三と いうことはなかなか考えにくいのか、私自身はちょっとわからないのです。いかにも規 制改革会議の答申というと、徹底した非営利の法人なのか、株式会社なのかと受け止め るのですが、それについてはどのように解釈すればよろしいのでしょうか。 ○総務課長  渡辺委員がご指摘になっているところは、資料2の1頁の問題意識のところで、2頁 の「以上のように」から始まる段落の最後に「2つの対応が考えられる」とあります。 この辺を指しておっしゃっているのだと思います。先ほど言いましたように、この答申 を尊重する閣議決定というのは、いちばん最後の閣議決定の文章を見てもらうとわかり ますが、「具体的施策」のところについて尊重するということで、現状認識、問題意識 のところまで含めて尊重するということではありません。それは閣議決定の文章をよく ご覧いただくとわかると思います。  私たちはこの問題意識については、もちろん賛同する部分もありますけれども反論す るところも実はあります。時間がなくて説明を飛ばしましたが、この資料の9頁に資料 2−2というのがあります。ここに「『第1次答申』に対する厚生労働省の考え方」と あり、これは答申尊重の閣議決定をした日と同じ日付で厚生労働省のホームページに公 表したものです。私たちとしては問題意識に書かれていることについてまで、すべてを アクセプトしているわけではなくて、やはり私たちとして受け入れられないところはあ りますから、特にその点で誤解がないように是非主張したいところは、あえてこういう 形で公表しています。  渡辺委員が言われた2つの対応のところは、我々としては別に2つしかないと思って いるわけではありませんが、ここではあえてそこは反論していません。問題意識の部分 はそういうような位置づけだということでご理解いただきたいということです。決して 公益性の高い医療法人に行かなければ、あとは株式会社の選択肢に進むのだとか、そう いうようなことではない。先方はそういう考え方を持っている方がいるかもしれません が、私たちとしてはそうは考えていないということです。 ○古橋委員  資料2の7頁に記載のある「外国人医師・看護師の円滑な受入れ等」の行で、意見と 質問をさせていただきます。看護職の2国間の自由貿易協定により、このテーマが進ん でいるわけですが、当初、この課題は経済界、財界から話が進んで、日本から輸出する さまざまな機材等と人がある意味でカード、道具になったということに関して、看護界 はある種の違和感と言いますか、不納得感があることは確かでございます。  ただ、時の動きとかいろいろなグローバル化の中で看護界も、これに対してはきちっ と正面を向いて、取り組まなければいけないという思いにはなってきつつあるわけです が、やはりひとつの懸念は、看護労働市場がこういうことをきっかけに荒れていかない のだろうか。あるいは労働環境が劣化していくことはないのだろうかということを、一 様に現場人間の感覚で危惧がございます。  もう1つは、日本人が、実際に看護補助業務とは違い看護本来の業務を担うという点 で、こうした外国人の方を感覚的に受け入れていくことには、ハードルもあろうかと思 っています。そういう点で準備も要りますし、国民への啓蒙や啓発も要ると思うのです が、そういう点についての準備期間とか丁寧なこうしたことへの議論は、どのように国 のほうでは考えているのか。  さらにもう1つは、ここは医政局の会議で、介護職も同じ土俵に乗っているというこ とは承知しているわけですが、それらについても含めて、どんなふうな今後の方策とい うか構想というか、そういう点について伺っておきたいと思っています。そういう点で もう1つは、この人たちが職場に適応していくための現在の看護現場は、そのためのエ ネルギーも大層要ると思います。ただし、現場の労働密度は大変に過密で、こうしたこ とに割けるエネルギーが果たしてあるかも懸念しているところです。そのあたりについ て心配の意見と、厚労省等がそのあたりどんな構想がおありかを、まずは伺っておきた いと思います。 ○総務課長  7頁の人材の国際間移動については、この部会の具体的な審議事項からは遠いかなと 思い説明を省きまして、大変失礼しました。実はここで言っているのは外国人ではある のですが、我が国の養成学校なり大学の医学部を出て、我が国の国家試験に合格した外 国人の方々の日本における就業の問題です。これが今までは制限を受けていたわけです が、日本の医学部を出て、日本の国家試験に日本語で受かっているわけですから、これ を制限をする理由はないのではないかという指摘があり、これは規制改革していこうと いうことで措置するものです。  ただ、この文章の中にもありますが、FTA構想では少し事情が違っています。FT Aの場合には日本の学校を出るわけではなくて、フィリピンの看護大学などを出た人が 日本の国家試験を受けるためにこちらにやって来てということで、ちょっとこのケース とはまた違うと思います。  さらに言えば、日本の資格はないけれども研修を受けに来るとか、外国人と言っても いろいろなケースがあろうかと思います。そういうことを含めて考えると委員が言われ ているように、サービスを受ける患者さんの立場、あるいはチーム医療ということも言 われていますから、そういったこともいろいろ考えていくと、関係者がきちんと理解し 合ってやっていくことが大事だろうと思います。国民の方々にもそこをよく理解してい ただくことが必要だと思いますから、十分な準備は当然必要だろうと思います。具体的 にどういうことをやっていくかというのは、それぞれのケースにおいていろいろな対応 が出てくると思いますから、一律に申し上げることは難しいですが、総論としてはそん なふうに考えています。 ○部会長  看護課長、いかがですか。 ○看護課長  FTAに絡んだフィリピン人看護師の受入れについては、第4回の本部会でも資料31 頁に基づいて説明させていただきました。現在、受入れ組織をどのようにするかという ことで、正式な受入れの組織と、そこで看護師国家試験を受けるにふさわしい準備を、 看護助手としての就労をしながら準備していくことに、どのような医療機関が望ましい か。それに向けたさまざまな入管との関係、そうしたことの準備会合を昨年の暮れに第 1回目を開きました。今後、順次、関係する団体の皆様と協議をしながら、その部分を 詰めていきたいと考えているところです。 ○松井委員  いま経済界からと言われたので、若干それについてコメントさせていただきたいと思 います。フィリピンからは、いわゆるFTAという考え方以前から労働力を送りたいと いうのがありまして、その中の1つが看護師であったと私どもは認識しています。現実 的に今回取られようとしている措置は、私から見るとほとんど日本人と変わらないよう な人たちになっていますので、おそらくフィリピン側から見ると、あまり満足いくもの になっていないと感じています。ですから、あまりご懸念はされないほうがいいのでは ないかという意見です。それが一点です。  もう1点、実は株式会社の参入の問題で質問と意見を申し上げたいと思います。資料 2の11頁で、いま現在、特区でなおかつ自由診療でしか株式会社は認められないとなっ ていると思いますが、現実にまだ参入がなされていないという記述があります。それに ついて厚生労働省として、どうして参入していないのかを十分検討したのかどうか、そ の点を教えていただきたいということ。  もう1つは、高度で自由診療という限定を外して医療へ株式会社の参入を認めると、 医療費の高騰を招くといちばん最初に書いてありますが、株式会社だからすべて高くす るということについて、もうひとつ説明が必要なのではないかと思います。と申します のは、要するに医療というものが提供されるときに、どこまでの情報開示があるのか。 いわゆる情報の非対象性ということですべて物事が処理されて、株式会社だと高いもの を売り付けてしまうというのが、ここの論理だと思います。そういうことであるなら ば、株式会社が提供する航空サービスは非常に高くて不安全なのか。株式会社が提供す る食品は危なっかしくて食べられないのか。株式会社が提供している運輸サービスは使 えないのか。もともと、そういうことまでも本当は立ち入って考えていただきたいとい うのが、経済界としてのお願いです。  もう1点、医療の分野ではなぜそういう議論が起こるのか、その辺はこの部会で十分 議論する必要があるのではないか。医療の分野は、違うなら違うで結構です。違いを明 らかにして、では違うというのは本来あるべき姿なのか。もう少し正常な方向、普通の 方向が打ち出せないのか、そういうものも議論していただければ幸いです。 ○総務課長  前段の質問の部分ですが、昨年10月から高度で自由な診療について、特区制度によっ て株式会社が病院もしくは診療所の経営ができることになっています。これについては 先般、1月の募集がありましたが、ここでも具体的な申請は出てきませんでした。これ について私どもとしてどういう要因分析をして、原因は何だと考えているかということ ですが、昨年10月からですからまだ準備がかかります。これは特区制度ですので自治体 を通さないと申請できないことになっていますので、株式会社のほうがいくらやろうと 思っても、これを担いでくれる自治体がないと申請までいかないということで、自治体 との調整といった問題もあり、いましばらく時間がかかるということです。ただ、実際 には私どものほうにも数件、いろいろご相談はきていますので、いずれ特区の申請とい う形で上がっていくものと期待しているところです。  後段については、いまご議論が必要ということでしょうか。ご意見としてお聞きして おけばよろしいですか。 ○松井委員  医療費の高騰を招く恐れがあるというところの論理を、もう少し説明していただきた いのです。 ○総務課長  私どもとしては株式会社というのは利潤を最大に上げて、それを株主に対して還元す るというのが株式会社の本質と考えています。そうしますと懸念しているのは、そうい う利潤最大化動機というものがある限り、やはり儲かるところの医療をやる。例えば救 急や小児医療など地域にとっては当然必要なものでも、不採算と言われているものにつ いてはそこから撤退していき、担っていただけない恐れが強いのではないか。これはも ちろん、我が国においてまだ株式会社による本格的な医療参入というのは実現を見てい ませんから、我が国において絶対にそうなるかというのは、前例もないわけですから断 定はできませんけれども、そういった株式会社の本質を考えれば、十分そういう恐れが ある。不採算医療をやっていて病院が赤字になれば、当然株主総会で経営側は批判を受 けるわけです。  またアメリカなどではいわゆる株式会社病院が結構あるわけですが、大手のチェーン 病院などにおいて不採算医療からの撤退の事例もあるやに側聞しています。そんなこと を考えて私どもとしては、ここにあるような医療費の高騰、要するに儲かるところだけ をどんどんやることになってしまうのではないかということを懸念しています。 ○杉町委員  いま株式会社のお話がありましたが、消費者と会社を考えた場合に、医療というのは 特殊だと思います。例えば、いま飛行機の会社のお話とか他の会社のお話がありました が、普通の場合には消費者が選んで、例えば日本航空に乗るとか全日空に乗るとか決め られる。あるいはこの品物を買うとか買わないと決めるわけですが、医療の場合にはど ちらかというと、消費者がどうこう決めるということではない。もちろん最終的に手術 を受けるとか受けない、どの病院を選ぶというのは自分で決めるわけですが、その内容 については病院側が、ああしましょう、こうしましょうということで患者さんは納得す るわけです。  具体的に先月の新聞にもかなり大きく載ったのですが、アメリカのチェーン大手のテ ネットという会社が経営している病院で、心臓の手術をしなくてもいいのに経営をよく するために何百例も手術をしたのです。その中で78人の方は、しなくてもいい手術をし て亡くなったということでFBIの捜査が入り、いまかなりアメリカでも問題になって います。このように会社というのは、あくまでも利益を追求するための組織ですから、 医療という現場にあまり馴染まないように私は思っています。 ○部会長  ありがとうございました。それでは次の医療供給体制改革の論点案の議題に入りま す。今日はこれが主なところだと思いますが、こちらに移りたいと思います。本議題に 関しては、資料3「医療提供体制の改革に関する主な論点整理案」及び資料4「委員か ら文書で提出された御意見」があります。これまでの部会でのご議論や委員から文書で 提出された意見などをもとに事務局で論点を整理したということです。一括しての議論 にしますと説明も長くなり、また意見交換も論点があちこちに飛びますので、全体を3 つに区切って議論いただきたいと思います。まず資料3に基づいて主な論点の「1.医 療提供体制の改革の基本的考え方」から「3.医療安全対策の総合的推進」までについ て、事務局から説明をお願いします。 ○企画官  資料3について、1から3についてご報告します。この論点整理案の表の構造です が、1頁の「1.医療提供体制の改革の基本的な考え方」以降、最終頁の「11.その他 」まで事項を柱立てした上で、各事項について主な論点を表の左側半分ぐらいのところ に記載しています。この主な論点のところに書いている内容については、昨年中に開催 した4回の部会で委員の皆様方からいただいたご意見、またその後に文書でいただいた ご意見、さらに、例えば昨年1月末の医療分野規制改革の検討会報告書など、これまで に開催したさまざまな検討会等で「検討すべき」と指摘されていた論点、加えて、これ までの部会では時間の不足などもあって指摘がなかったものの、医政局として次期制度 改正に向け、是非この部会で議論いただきたいという論点も挙げています。その上で右 側半分の欄に、これまでの部会あるいは頂戴した文書意見等を適宜抜粋して掲載してい ます。  なお資料4として別枠で、いただいた文書意見を配布していますが、このうち大橋委 員と杉町委員からのご意見については、いただいたのが直前だったものですから、申し 訳ありませんが資料3の右欄には反映していません。  資料3に戻って資料3の表の構造ですが、いちばん右端の欄には従前の検討会での指 摘と、審議の参考となる情報を記載しています。  資料3の1頁から順次説明します。1.「医療提供体制の改革の基本的考え方」につ いて、主な論点として、「患者の視点に立った、患者のための医療提供体制の改革を基 本的考え方とすべきではないか」とあります。一昨年8月の改革のビジョンにおいて、 患者と医療人の信頼関係のもとに、患者が健康に対する自覚を高め、医療への参加意識 を持つとともに、予防から治療までのニーズに応じた医療サービスが提供される、患者 本位の医療を確立することを基本として進めるべき、という文章が基本にありました。 これをまとめて表現したようなものです。これまでの委員の皆様からのご発言も、おお むねそういう方向ではないかと理解し、原案としてこのように短く書いているところで す。  2頁ですが、2.「患者・国民の選択の支援」ということで、(1)医療機関等につ いての患者・国民の選択の支援で、広告の問題や情報提供の問題等です。(1)の広告規 制については、いちばん右欄になりますが、この医療部会の意見書(平成14年3月)に おいて、その時点ではポジティブリストを前提として大きな拡大を行いつつ、医療部会 の意見書でも、論点のいちばん上にあるように虚偽、誇大など、患者にとって有害とな るもの以外は規制を原則撤廃すべき、ネガティブリスト方式という意見もあったと部会 で言われているところです。これが1つ目の○です。  2つ目に、その場合には何を禁止されるべきとするか。一方、現行のポジティプリス トを維持する場合の拡充として6つ例を挙げています。これはいちばん右の欄にある平 成16年1月の医療分野規制改革検討会報告書において、この6つを例としてその時点で 挙げていたということで、その6つをここでは挙げています。今後、ポジティブリスト 方式の拡大とした場合は、ほかに何があるかという論点が出てくるかと思います。  併せて、この頁のいちばん下になりますが、選択に資する情報ということでなければ なりませんので、そのアウトカム指標の設定ということを1つの論点として挙げるとと もに、次の3頁の上ですが、現在、病院や診療所の名称について、広告の一環ですので 例えばレーザー治療病院とか、そういった治療法を掲げた病院名は禁止されているわけ ですけれども、この広告規制との関係で、こういったものをどう考えていくかも事務局 から挙げているところです。  (2)は医療機関等による医療情報の積極的な提供で、広告してもしなくてもいいとい う仕組みでなく、情報提供すべき事項というものを位置づけて、それをやっていくこと についてどう考えるか。またその場合、何が情報提供すべき事項となるのか。また情報 提供の具体的方策としては、どういうやり方があるかを2つ目の○にしています。  (3)はインターネットによる情報提供です。現在は医療法上の広告に当たらないとい う位置づけですが、今後の規制の在り方はどうあるべきか。以前の検討会等では、民間 団体での信頼性確保の実質的な取組を、やっていただきたいということを書いていまし たが、どういうやり方が考えられるかです。  (4)は公的機関等による医療に関する情報提供です。ある程度整理して情報提供を公 的機関がやることが大事ではないかということで、現在、福祉医療機構のWAM-NE Tや医療機能評価機構での取組がありますが、さらにどのようなことが考えられるかを 掲げています。この関係では、4頁のいちばん上の箱の右下にありますが、政府のほう で国民・患者の欲している情報をちゃんと把握していく必要があることが、問題提起と して部会であったところです。  4頁の(5)は医療分野の情報化等、IT化ということで、これをどのようにさらに推 進していくかがあります。  (2)は診療情報の提供の推進と患者の選択の尊重で、(1)は診療情報の提供です。 ここは本年4月から個人情報保護法が施行され、いわゆるカルテ、レセプトなどについ ての原則開示と定める法が施行されるわけです。またその実施のためのガイドラインが できたわけですが、これの周知・徹底、定着をしっかり図っていくことが、このタイミ ングにおいて必要ではないか。さらに充実した診療情報の提供を推進していくために、 どのような取組が考えられるかを挙げています。  5頁ですが、診療情報の提供推進の関係で、EBMの推進ということでデータベース の充実、診療ガイドラインの整備を進めて定着を図っていくことが重要ではないか。 (3)でこのグループの総括的な話になりますが、インフォームドコンセントの内容の充 実、推進の方策、セカンドオピニオン等の患者の自己決定を支援する仕組み、医療の質 の向上の仕組み、その他患者本位の医療提供を図るための制度的対応、環境整備として どういうことが考えられるかを論点として挙げています。以上が2.の患者・国民の選 択の支援です。  6頁の3.「医療安全対策の総合的推進」については、別途、医療安全対策検討会議 でも細かい検討は行われているようです。医療安全対策の総合的推進については大きく 6つの括弧に分けていますが、(1)は国、地方の役割を明確にしていくべきではない かということ。(2)は医療機関における安全管理体制で、(1)は医療安全管理体制で す。特定機能病院や臨床研修病院にはリスクマネジャーや安全管理部門があるが、ほか の病院についてはそういうのがない。診療所についても有床の診療所、無床の診療所が ありますが、それぞれの規模、機能に応じた、実効ある体制の実現のための方策が必要 ではないかということがあります。  また医療安全管理体制と近い関係にある、院内感染についての管理体制の整備の推 進、集団の院内感染発生時の対応検討の必要、(3)で放射線防護対策についても必要な 体制の整備推進を論点として挙げています。  7頁は医療安全の(3)苦情や相談への対応体制で、(1)は医療機関における苦情・ 相談体制です。(2)が地域での体制で医療安全支援センターの法的な位置づけを明確化 するとか、二次医療圏ごと等への設置拡大等の充実の必要を掲げています。  (4)は医療事故や医療関連死の報告・届出に関する制度で、(1)は事故事例の報告 ・届出です。現在、事例収集を行っていますが、今後の収集後の分析、還元のあり方は どうあるべきか。また今後、医療事故等の報告を法律上義務づけるべきとの意見につい て、どう考えるか。(2)は原因究明や紛争処理で、医療関連での死亡があった場合の届 出や、中立的専門機関での原因究明制度の検討、あるいは裁判外紛争処理制度について 検討が必要ではないか。これに関連しては、平成17年度に診療行為に関連した死亡の調 査分析モデル事業を行う予定にしています。  (5)は医療事故をおこした医師等への対応で、行政処分を受けた医師、歯科医師、 看護師、薬剤師等についての再教育の位置づけや仕組み等、あるいは行政処分を的確に 行うための組織体制、調査権限の強化といったことを掲げています。なお、これについ ては現在、「行政処分を受けた医師に対する再教育に関する検討会」での検討も並行し て行われていることを、8頁の上の四角に書いています。  医療安全対策の最後の(6)その他で、歯科医療における安全確保の強化、また医薬 品に関連する医療安全の確保、また医療機器の適正な利用や保守管理といったことを掲 げています。3.までについては以上です。 ○部会長  ありがとうございました。ただいまの説明や資料に関する質問も含め、ご自由に意見 交換をお願いできればと思います。 ○小山田委員  2の情報提供と報告のことについてですが、インターネットであれば何でも情報提供 してよろしい。しかし、広告のほうはある程度規制をしなければならない。原則的に言 えば、これは診療を受ける患者さんの立場に立ってみても、診療する側に立ってみても おかしい話で、できればこれは、なるべく近いほうが情報提供というか、国民の知る権 利というものであるべきだと思います。無秩序に何でもインターネットならよろしいと なると、何のための広告かということになる。しかもそれは個々の医療機関、あるいは 医療側のモラルに関わることですが、せっかくこういう部会があり、その他もあるの で、せめてこの壁を少なくするような、ガイドライン的なものでもいいから作って、あ まりひどい情報提供の場合には、これに対して何らかの自浄作用があるようなことをし ないと、おかしいのではないかと考えるわけです。この件については前の部会のときに も大方のご賛成を得たと思います。というのは、反対意見がなかったようですので、ど うかこの点について確認をお願いしたいと思います。 ○企画官  10月の第2回の部会のときに同じようなご指摘をいただき、大方の委員の方から同様 な意見がありました。ただ、一方で広告規制自体には一定のルールが要るのではないか というご意見もあったところです。いまご指摘のような形でガイドライン化なり、一定 のルール化という形でやっていくべきだということであれば、そういった方向で今後、 各論点についての議論の場もありますので、そのときに「こういう形でどうでしょうか 」という話をご提示する形になろうかと思います。そういうことでよろしいかどうか、 またご意見をいただければと思っています。 ○小山田委員  この件について確認というのは、今日出ておられる委員の先生方で、もし私がいまお 話したことについて反対のご意見があったら出してもらいたいし、なければそういう方 向で、何でも情報提供ならいいんだよという姿勢はやめてほしいという形での、この部 会としての意見をはっきりと示していただきたいという考え方です。 ○総務課長  今日は、論点の立て方がこれでいいのかどうか。何か大事な論点が落ちていないか、 そういうことでひととおりご議論いただきたいと思っています。今日の論点整理を踏ま えて、それぞれ項目ごとに次回から、それこそ今度は方向を決めてもらうための議論を してまいります。最後に申し上げるつもりでしたが、次回3月4日はこの広告規制のと ころ、インターネットの問題を含めて、集中的に議論していただきたいと思っていま す。いまの小山田委員からのご提案は、まさにそういう形で問題提起という形で資料と して作り、そのときに先生方のほうからご意見をいただいて、そこで結論を出していた だくと、こういう運びにしたいと思います。現時点でどうしても意見を言っておきたい という方がいらっしゃれば、是非お聞きしておきたいと思います。おおむねそういう方 向でよろしければ、次回、集中的な議論をさせていただきたいと思いますが、いかがで すか。 ○小山田委員  結構です。 ○松井委員  私はたまたまこのとき欠席していましたのが、インターネット上と通常の広告規制に ついて、なぜ違うのかということについて、やはりおかしいという問題意識は持ってい ました。もう1つは、同じように規制がかけられるかというと、おそらくそんなことは あり得ないだろうと思っています。やるとしたら、患者側から見て診療の程度がどのよ うな内容になっているか、その指標のさまざまな仕組みの例示をすることはあり得たと しても、これしかやってはいけないということでしたら、私は違うと思います。あくま でも全く同じということではなくて、広告規制そのものが本当に何を広告してはいけな いのかということを、本来議論した上で考えるべきであって、インターネットと広告の 扱いを「まず合わせるべきだ」ではないのではないか。これは私の意見です。 ○福島委員  広告規制については、いまの小山田委員の話とは関連はしませんけれども、従来から ネガティブリストか、あるいはポジティブリストかという論議がずっとありました。今 度の課題の中では、ネガティブリストにすることについてどう考えるかということが、 いちばん最初にテーマとして取り上げてあります。そのことについては全く賛成です。 いろいろな状況、その他の背景から見て、ポジティブリストでいくこと自身、こういう 時代には全く検討にも値しないところまできているのではないかという気がします。こ こで検討していくことは、いまの小山田委員のお話にも関連があるのですが、むしろネ ガティブリストにするときに、どういうところに注意をし、規制をしていくかというこ とになる。ポジティブリストかネガティブリストかではなくて、当然ネガティブリスト にしていく中で、何を注意しなければならないかという点を中心に、ご論議いただけれ ばありがたいというのが希望です。 ○大橋委員  1頁目ですが、患者の視点に立った患者のための医療提供体制の改革を基本的に考え るべきだということですね。先ほど株式会社のお話で、誰だかわからなかったのです が、医療に関して株式会社というのはよくないのではないかというご意見がありました ね。私もそういう考えです。先ほど課長からは、これが決まった場合、行政が許認可を 与えると言われましたが、そうすると基準はどういうところで決めるのですか。もし申 請がきたら、どういうようにして行政を通じて許可を下ろすのですか。行政を通して許 可を出すというように聞こえてしまったのですが。 ○総務課長  特区ですか。 ○大橋委員  特区です。 ○総務課長  高度で自由診療を行う場合は、特区であれば認めています。美容整形外科などの保険 が効かない自由な診療、自主診療の高度な場合に限って、株式会社が特区の中で行われ るようになっていますが、その申請の話ですか。 ○大橋委員  はい。 ○総務課長  これは自治体にしか申請できません。おそらくそういうことをやりたい事業者が、自 治体の首長の所へ行って、こういうことをやりたいけれど、是非お願いしたいと相談に いくのだと思います。そして自治体の首長の判断で、これは是非我が市としてやろうで はないかということであれば、内閣府の特区室に自治体として申請書を出していただき ます。これはほとんど形式的な要件だけをチェックしています。内容がよほど基本的な 基準にズレていれば別ですが、特区室では形式的な要件が揃っていれば認めると言って おります。 ○大橋委員  首長としては責任があるから大変ですね。それでは特区で許可を出しましょうという ことで、行政を通して出すわけですよね。非常に責任が重いですね。 ○総務課長  責任があると言われれば、そうですね。 ○部会長代理(北村委員)  診療・医療提供体制の多くの項目が、最近の時勢に合わせて、病院機能あるいは医療 機能評価機構のバージョンをどんどん、どんどん上げてこられた中の評価や審査項目 に、ほとんど全部含まれているという気もするわけです。こういう診療・医療提供体制 を考える上で、医療機能評価機構の受審に対し、厚生労働省は、関係のある組織で、誘 導策が認められる部分はごくわずかにありますが、積極的に受審、あるいは勧誘する施 策は、将来考えているのか。そういうところで病院の評価を、かなりたくさんの受審を されていますが、おそらくまだ2割ぐらいで、8割ぐらいは受けるか受けないかでしょ う。もちろん結構高いというお金の問題もありますが、そういう外部評価を受けさせる ことで、この多くの項目が改善され得る可能性について、医政局としては何か考えてお られるのかどうかを、お聞きしたいと思います。 ○総務課長  何かまたいいアイデアがあれば、先生方からご助言をいただきたいと思います。現段 階で何か具体的なことを考えているかというと考えておりません。確かこの会議にも資 料を出しましたが、病院機能評価機構の評価を広告の対象にしていいということで、平 成14年に追加をしたところ、それを機に随分と評価を受ける病院が増えてまいりまし た。お手元の資料の中にも、それを示した資料が入っております。大きなファイルの第 2回目の18頁です。平成14年から広告規制の緩和をしたところ、棒グラフにありますよ うに、急にワーッと増えてきています。そういう意味でもやはり広告規制緩和は、非常 に大きなインセンティブになったのではないかと考えております。さらなる機能評価の 推進というのは、大事なことだと思いますから、もしほかにもいい方策があれば考えた いと思います。 ○部会長代理  新たな病院、あるいは開設後5年以内には、必ず評価を受けさせるということをやら せていけば、厚生労働省自身がやらなくても、ある程度。実際に見ますと、あの新しい バージョンはよくできています。ですから、それを義務づける代わりにインセンティブ を与えることで、厚生労働省の仕事が減るような気がするのです。  広告のほうですが、これはもうネガティブリストでいいでしょう。ネガティブリスト は何か。嘘だけです。事実はもう全部公表してもらっていいと、私は思っているので す。インターネットのほうの広告も必要なので、何とか厚生労働省や総務省とも対応し ていただいて、医療広告に関する部分の意見を述べていただきたいと思います。 ○三上委員  広告についての意見がいろいろ出ていて、ポジティブリストはもう時代遅れだという 意見がありましたが、私は生命にかかわる医療に関するものが、広告の形で、外に情報 提供される場合、情報の精度は、担保されていなくてはならないと思っております。イ ンターネットの場合は見たい人だけが見ますが、広告の場合は見たくない人まで強制的 に目に入ってくるものですから、ある程度精度が担保されていなくてはならない。小泉 さんは、「事前規制から事後規制社会へ」というキーワードを出しています。医療に関 しては事前に安全性を確認しておく必要があるので、やはりポジティブリストを外すこ とはできません。ネガティブリストで駄目なものを順番に削っていくというのは、きり がない。一旦事故が起こってから、有害な事象が起こってから規制をするというのは、 医療に関しては望ましい形ではないのではないかと考えています。 ○佐伯委員  また広告に関連することですが、病院機能評価をとっていますというところで、コミ ュニケーションの研修会を何回かさせていただいたことがあります。そこの患者さんは この説明には決して満足していらっしゃらないだろうなと実感するものが、多々ありま したので、我々は患者の立場として、そのお墨付きはあくまでも一つの指標にしかすぎ ないと思っております。ただ、それは一つのきっかけとして、いろいろな角度からいろ いろな評価が出てくるので、是非積極的に進めていただきたいと思います。  それが病院に限らず、診療所でもそのようなきちんとした広告と言いましょうか、情 報提供をしていただきたい。またインターネットを使える人だけとおっしゃいますが、 むしろ今は使わない人のほうが少なくなってきています。携帯の端末でも見ることがで きます。画面の面積としてはこれぐらいの小さい所で、非常に大きな情報も得られま す。広告はその病院の前に行かないと見ることができないので、やはり入手しやすい情 報をどんどん出していただきたいと思います。 ○土屋委員  医療機能評価機構の件ですが、確かに先ほどご意見があったように、いい面もあると 思います。問題は、これを受けるのにインセンティブを働かせようと診療報酬とリンク させている部分があるのです。佐伯委員のご意見のように、純粋にいい医療機関にし て、いい医療を提供しようと言うだけでなく、ちょっと不純なものが入るおそれがあり ます。ですから厚生労働省のほうも、全面的にお任せして、手を抜くというか、少し負 担が軽くなるなどとお考えにならないほうがいいと思います。 ○三上委員  インターネットは、情報の精度が担保されていないことが分かって見るもので、広告 で出されたものは、ある一定の基準で精度が担保されている正しい情報であるというこ とで、ポジティブリストなのです。インターネットの場合、有害なものについては駄目 だというように、その都度書替えも可能ですから、ネガティブリストの形でいいと思う のですが、広告については、やはりポジティブリストでないと駄目です。特に医療は駄 目だと、私は考えています。 ○渡辺委員  簡単に2点ほど申し上げます。いまのポジティブリストかネガティブリストかという 問題ですが、前回の医療部会ではポジティブリストを採用したわけで、そのとき私も委 員をやっておりました。やはり原則は、ネガティブリストに移行していくことが望まし いのではないかと、私も思っております。先ほど福島委員がおっしゃったように、何を 具体的なネガティブリストにしていくかという作業が、私は望ましいと思っておりま す。  もう1点ですが、先ほど北村委員もおっしゃった医療機能評価機構バージョン5は、 私も非常によくできている、ブラッシュアップしてきていると思います。1つだけ言う と、むしろサーベーヤーの質の問題があります。やはりサーベーヤーの質をもっと上げ てほしい。 ○松井委員  いま 奇しくも同じ意見がありましたので、別のことだけ申し上げます。私どもとし ては、やはりもうネガティブリストで対応してほしいのです。なぜなら今の広告のポジ ティブリスト方式ですと、患者側が知りたい情報が十分リストアップされていないとい う問題があります。それから部会長代理には申し訳ないかもしれませんが、医療評価機 構で評価している項目が、患者側から見て知りたい項目を全部調査しているかという と、必ずしもそうでない部分もあると私は思っております。その意味で医療機関が、自 分たちの医療はこういうところがいいのだという売りを、積極的に出せる仕組みが必要 です。その中で考えられることは、本当にやってはいけないことだけを規制する。それ はおそらく刑法で決められている、詐欺や虚偽の広告だけしかないのではないかと私は 思っております。 ○三上委員  ちょっと誤解があるようです。いわゆる知りたい情報と知らせたい情報というのは、 全く違います。広告というのは知らせたい情報です。知りたい情報はインターネットで 調べられますので、私もネガティブリストで構わないと思いますが、知らせたい情報と いうのは、医療機関側からのものですから、やはり精度はある程度担保されていない と、アンフェアな形になる可能性が高いと思っております。広告と情報というのは、ま た違った意味合いがあるのではないかと思います。 ○辻本委員  この表題そのものの中で、「患者・国民の選択の支援」というのがありますね。選択 の支援というのは、情報を提供することだけが支援ではないと思います。私も前回ネガ ティブリスト、言ってみれば死亡率までちゃんと出してほしいと申し上げました。それ は出せる体制を整えてほしいという思いを込めて、そんな意見を申し上げたのです。い ま患者たちは、やはり知りたいのです。ただ情報がありさえすれば、それで幸せになる のか。そうではないのです。いまは情報があり過ぎて、その中からどうしたらいいの か、本当の支援というのは、やはりそこを支援することです。例えば一緒に考えるよう な仕組みをつくるとか、そういうサービスを提供するとか、そのあたりの議論がここで は欠落しているように感じているのです。それを是非議論していただきたいと思ってお ります。  私どもは電話相談を日常的に行って15年になります。特に最近、若い方たちという一 般的な言い方でいいかどうかはわからないのですが、相談ではないのです。答を求めて いらっしゃる。相談というのは一緒に考えながら、じゃあ、あなたはどうしたいんです かというような、心の奥に潜んだ、自分でも意識化、言語化していないようなものを一 緒に見つけ出していくのが相談だと思うのです。しかし若い方たちは、私はどうしたら いいんですか、これは正しいんですか、間違っているんですかというように、答を求め ていらっしゃる。そういう世代による価値観というか、ニーズの違いのようなこともあ りますので、患者と一括りに語っても非常に危険だなという状況を、一方で感じており ます。いままで依存で来た患者たちですから、急に自立しなさい、成熟しなさいと言っ ても、ある日突然は難しいです。緒に就いたいまは、そこをどうサポートするか、その あたりを社会的な保障ということで、是非とも考えていっていただきたいということ を、お願いしたいと思います。 ○豊田委員  患者に対する情報提供ということで、広告かインターネットかという限られた話だけ しておりますが、いちばんの情報源は、私は医療を受けたい人に対するかかりつけ医を どうするか、身近にいる先生方をどういうように利用するかだと思います。そのことを 抜きにして、ただ広告、メディアだけに頼るというのは、こういうところで議論をする には、ちょっと足りないのではないかと思います。やはりかかりつけ医が要ります。  また、どんなに勉強をしても、医師と患者が全く同じ情報というのは難しいのです。 そこには当然解説なり、説明なり、いろいろなことが必要になってくるわけです。単に 書かれたものを見て、すべて分かるなどということはあり得ない。したがって情報提供 の中で、インターネットか広告かなどという、極めて限られた議論だけでは不十分で す。 ○辻本委員  是非ともかかりつけ医であるお医者さんたちが、患者の相談相手になっていただける ような日ごろの勉強をしていただきたいということを、患者の立場から、あえて申し上 げておきたいと思います。 ○部会長  いろいろなご意見をありがとうございました。次に4の「小児をはじめとした救急医 療体制等の在り方」から、8の「在宅医療の推進」まで、事務局からご説明をお願いし ます。 ○企画官  資料の9頁です。4.「小児をはじめとした救急医療体制等の在り方」の論点につい ては、これまでの部会でも特に多くのご意見を頂戴しているところです。救急医療体制 の確保ということで、これをどう図っていくか、特に休日夜間の初期、2次、3次の体 制整備を、次世代育成支援や医療安全の観点からも、特にすべきではないか、地域での 集約化を図るべきではないか、診療所と病院の連携をさらに強化すべきではないか、休 日、夜間等の電話相談体制の整備が必要ではないか、ということを書いております。  10頁の(2)ではマンパワーの確保等ということで、小児科、産科の医師をはじめ、必 要なマンパワーをどう確保していくか、(3)では国民への啓発ということで、救急医療 についてのAEDの普及も含めて、国民への啓発・教育を重視することが重要ではない か、(4)では災害医療提供体制ということで、自然災害やテロ等での災害時に、迅速に 対応できるような体制の構築ということを書いております。  11頁は5.「医療計画制度」です。医療計画制度の見直しについては現在、「医療計 画の見直し等に関する検討会」が、並行して行われているところです。(1)では医療計 画制度の在り方ということで、都道府県の役割、または国の基本方針の策定など政策的 な役割という立場の明確化が必要ではないか、作成、執行、政策評価、次期医療計画に 反映といった流れが構築できるようにする。疾病ごとの指標の作成、都道府県医療審議 会の機能強化等での住民への情報量の増大、医療圏の現在の考え方や範囲の見直しが必 要ではないか。医療機器についても医療機能として把握していくようにしてはどうか、 ということを書いております。  (2)の基準病床数制度については現在、いろいろな指摘がありますが、12頁のいちば ん上にありますように、基準病床数制度の役割ないし在り方を、どう考えるかといった ことを書いております。  (3)ですが、後ほど15頁以下でも、医療機能の分化・連携の推進というのが出てきま すが、そういったことを医療計画を通じた形で推進していくことが必要ではないかとい うことで、原則二次医療圏内で一定の流れが完結するような体制確保を目指す、それを 医療計画の中でやっていく必要があるのではないか。また医療計画自体の量的管理から 質的管理への転換が必要ではないか、ということを書いております。  (4)は医療計画で明らかにすべき事項です。医療計画をつくる中でどういったことを 盛り込んでいくかということで、いろいろご意見のあったものを、縷々書き上げている ところです。  (5)は先ほど予算の説明でも、三位一体の改革との関係でのご紹介がありましたが、 補助金制度改革と医療計画制度の在り方ということで、都道府県の自主性・裁量性を発 揮していきやすい医療計画、またそれを補助金とどう絡めていくかということが書いて あります。  (6)のその他は、大学の医学部や臨床研修病院も視野に入れた医療計画制度を、地域 でつくっていくということを構築してはどうか、ということを書いております。  14頁は6.「へき地医療提供体制の確保」です。これについても平成18年度からの第 10次へき地医療計画の策定に向けて、へき地保健医療対策検討会で、並行して検討をや っているところです。具体的な論点としては、(1)ではへき地医療・離島医療について、 どういった内容が求められるか、(2)では医師等の確保ということで、医師、看護師、 薬剤師等の確保をどう図っていくか、都道府県単位での協議会などが必要ではないか、 また医師需給見通しの見直しといったことを書いております。ここは後半の27頁でも出 てきます。(3)ではITの有効利用ということで、へき地の関係ではITの有効な利用 を進めていく必要があるのではないかということを記載しております。  15頁は、7.「医療機能の分化・連携、医療施設体系及び医療施設に係る規制の在り 方」ということで、いくつか盛り込んでおります。(1)では医療機能の分化・連携の 推進ということで、先ほど医療計画のところでもありましたが、急性期から在宅への流 れを、二次医療圏内で完結するような体制を、地域地域でどう確保していくか、その際 の入院診療計画等々、さまざまな連携方策がありますが、これを具体的にどのような仕 組みで実現していくかということを、長い文章ですが、2つ目の○に書いております。 この辺りもいろいろなご意見を、たくさん頂戴しているところです。  16頁は、中ほどに1つ書いております。医療機能の分化、連携を推進する観点から、 医療法第4条の2に特定機能病院、第4条に地域医療支援病院という制度がありますの で、これらの在り方、要件等について、機能の分化・連携の中でどう図っていくかと。 特に地域医療支援病院の要件については、これまでもいろいろなご意見を頂戴したとこ ろです。  17頁の(2)の薬局等医薬品の供給体制というのも、医療提供体制の中に位置づけてい く必要があるのではないかということで書いております。(2)の(1)では医療機能の 分化ということで、総論的に医療機能の分化の明確化が必要ではないかと。前回の医療 法の改正の際に、病床をその他療養と一般というように分けたわけですが、医療法上の 施設類型・病床区分として、さらなる区分の見直しや細分化を行う必要性があるかどう か、療養病床については現在、医療保険適用と介護保険適用がありますが、その機能の 明確化、在り方をどう考えていくか、また他の介護保険施設との役割の明確化、在り方 をどう考えていくかという2通りの総合的な検討が要るだろうということを書いており ます。  18頁はちょっと角度が変わります。公的病院と民間との関係で、その在り方や役割に ついてどのように考えるべきかということを、医療提供施設の機能分化のグループに書 いております。  (3)は人員配置標準の在り方です。これも前回の改正の際、一般と療養とを分け て、それぞれの人員配置標準を定めたわけですが、医療機関における人員の配置標準の 在り方については、昨今の医療に関する環境の変化等を踏まえ、どのように見直してい くべきか、その際病院における薬剤師の人員配置基準の検討会報告で、平成13年の3年 後に検討開始というのがありましたが、これについてどう考えるかということを1つ掲 げております。また3つ目の○で、医療法の基準というのは、医療機関が守るべき標準 であるということの考慮、またへき地等の地域性をどう考慮するかということを書いて おります。ここについても、これまでさまざまなご意見を頂戴しているところで、右欄 に紹介しております。  20頁に飛んで、(4)はその他医療施設に係る規制の在り方です。(1)は有床診療所、 助産所で、1つ目の○が有床診療所の在り方についてです。これは昨年1月の医療分野 の規制改革検討会報告書において、現行の医療法では病院と診療所の種々の規制の違い があるが、多様なニーズに柔軟に対応するとの観点から、有床診療所の在り方を含め、 これを見直すことも考えられるというようにまとめられたところです。また医療安全の 観点等から、有床診療所、特に産科、産婦人科の有床診療所や助産所の規制について、 人員配置の話なども、どう考えるかといったことを掲げております。  (2)の施設の共同利用については、同じく昨年1月の検討会報告において、当面取り 組むべき規制改革の1つとして、同一建物内の複数の診療所が、相互に診療に直接提供 されない場所、例えば待合室などを共用することの可否について、検討を行うというこ とでしたが、今後そういったことについてどのように考えていくかということを、論点 として挙げております。  このグループの最後、21頁は在宅医療の推進です。先ほどかかりつけ医のお話もあり ましたが、在宅医療の一層の推進が必要ではないか、またそれを実際にやっていくに当 たっては、どのような方策を考えていく必要があるかということを、在宅医療の推進と いうことで、論点として挙げているところです。 ○部会長  ただいまのご説明や資料に関するご質問も含めて、ご自由に意見交換をしたいと思い ます。 ○佐々委員代理(西澤参考人)  18頁の人員配置標準の在り方ですが、本部会において是非、病院における外来の医師 のカウントについて、議論していただければありがたいと思っています。いま外来は 2.5人を入院1名と見るということになっておりますが、これが全国的に病院において、 医師の数が少ないという原因になっておりますので、このあたりの見直しを是非お願い したいと思っております。 ○辻本委員  薬学部がいよいよ6年制になって、臨床での指導が厳しく現場に問われる時代になり ます。そうするといまの70人の入院患者、75枚の外来処方箋に対して1人という配置 で、これから増えるであろう薬学生を、果たしてきちんと臨床指導できるのかどうか。 そのあたりがこの議論の中に欠けているのではないかと思っています。ただお金のかか ることです。国家予算となったときに私は薬剤師に、本当に患者さんが、この人が必要 だと思うような仕事を、ちゃんとしていただきたいということを前提にお願いするので すが、臨床の医科の義務化においても、結局何が問われたか。現場のあり様というのが 厳しく問われております。それと同じ轍を踏まないためにも、6年制を踏まえての薬剤 師の人員配置を、ご再考いただきたいと思います。 ○古橋委員  医療計画を通じた医療機能の分化等の12頁については、医療計画に関する検討会でも 議論が進んでいるわけですが、ここに上がっている療養病床の在り方に関しては、純粋 な医療という切り口ばかりではなく、背景には暮らすということが数多くあります。入 院患者の中にも住宅の問題、介護の問題、一部必要な医療の提供の問題等々が複合的に 絡んでおります。ですから療養病床の考え方については、介護保険の問題、したがって 老健局、あとは保険局とも是非とも医政局が横断的な議論を進めませんと、国民にもわ かりにくいし、結果として必要なサービス提供というところに、一つの傾きが出るので はないかと思っております。  もう1つ。看護職としては訪問看護、在宅医療の推進というのが、大変大きなテーマ です。これが必要が謳われるわりには、なかなか部厚く広がっていかないという問題が あります。是非とも国の施策的な視点で、在宅医療の数値目標や在り方を、国民への啓 蒙、啓発も兼ねて進めていただきたいと思っております。  もちろん看護界も、努力がまだ十分ではないという自己批判もしながらですが、訪問 看護に携わる者たちは医師の指示という点で、時に葛藤を持っております。もちろん訪 問・在宅医療の中での診療の部分、処置や与薬、検査等々に関しては、医師の指示がな ければできないことは十分承知しておりますが、療養上の世話という切り口で看護職の 裁量権を、よりお認めいただくような柔軟な実効性の高いことも、是非検討していただ きたいのです。  訪問介護職たちは、そういうところから解放されておりますので、さまざまなアイデ アと取組でサービスを広げていけます。もちろん看護職も医師と共同しながら、そうし た責任でやっていってもいいはずなのですが、指示を頂戴するドクターの中には、そう いう点で非常に厳密、厳格なドクターもおられますし、診療というレベル以外はやるな というご意向をいただくこともあるようです。そういう点で訪問看護師が担う責務と裁 量についても、是非この課題の中でテーマにしていただくことを、お願いしたいと思っ ております。 ○土屋委員  医療法上の施設類型病床区分として、さらなる区分の見直し、細分化を行う必要があ るかということから始まって、療養病床については、医療保険適用と介護保険適用があ る。そこで療養病床と他の介護保険施設の役割の明確化、在り方をどう考えていくかと いうことですが、ここではっきりさせておきたいことがあります。  病床区分としては現在、一般病床と療養病床しかないわけです。介護保険のほうから 見ますと、介護療養型医療施設、要するに介護保険適用の療養病床を含めて、介護老人 保健施設、介護老人福祉施設、介護保険3施設と一括りにされておりますが、介護報酬 上の区分にすぎません。この療養病床から介護療養型医療施設として指定を受けた病床 は、言うまでもなく医療病床です。  では老人保健施設はいかがか。実は老人保健施設も、一部は既存病床数の中にカウン トされているということからすれば、これは間違いなく医療病床なのです。ただ医療の ほうから見ると、それは明らかにはっきりしているのですが、介護保険制度から見ます と、この3施設は似たようなものではないかというわけです。食費住居費をどうするか が、いま課題になって議論されておりますが、間違いなく、そこまでは医療病床なので す。これを前提として区分し、考えていく必要があるでしょう。介護老人福祉施設は、 もともと福祉施設で、これとは一緒にならない。この3施設それじれは、拠ってきたる 法律も違います。介護型療養病床と老健は医療病床だということを前提に、今後議論し ていく必要があるのではないかということを、まず申し上げておきます。 ○村上委員  16頁の医療機能分化、連携を推進するという観点から、特定機能病院と地域支援病院 の在り方という分け方ですが、これから地域医療は、特定機能病院と地域医療支援病院 しかない形でやっていこうというものなのですか。救急などを担っている地域中核病院 が地域支援病院になれないというのは、ここにも書いてありますが、別にこれ以外のも のがあってもいいのではないですか。もともと地域支援病院の発生は、ちょっと違って いたと思うのです。それがいまは地域の中核病院もそこに巻き込もうとしているところ がありますので、この点の振分けをもう1回ちゃんとすべきだと思っております。 ○山本(信)委員  先ほど辻本委員から薬剤師に関するご指摘がありましたが、私どもは単に6年になっ たからということではなく、ご指摘のように臨床実習の必要性があるから年限を6年に 延ばしたと考えています。薬学生に対する臨床実習ができるような体制を、現在つくっ ております。今後、臨床実習を経験した薬剤師が社会に出てくることを踏まえて、18頁 の(3)にあります医療安全の視点に立って薬剤師の配置の議論等も、是非進めて頂き たいと考えております。 ○龍井委員  中身と言うより、課題の整理の仕方について、どうも腑に落ちないところがありま す。例示すると、21頁のかかりつけ医のことです。我々患者からすれば、最初から大き な病院に行く例もないわけではありませんが、まず身近なところから相談していきま す。その場合にこの分類は、在宅医療というものとは、また違う性格だと思うのです。 種類と言いますか、重度に応じて有床診療で済むものもあるだろうし、そこからさらに 紹介状を持って大きな所、あるいは専門医という所に振り分けられていくという流れ が、どうもこの分類からは見えにくいのです。やはりどうしても提供側の分類になって いるのではないかということで、少しその辺の問題の整理の仕方の工夫をしていただけ れば、あまりにも各論に振り分けられてしまっているものが、流れとしてもっと有機的 に結び付くのではないかと思いますし、いまご指摘になった地域の何が、我々から見て どういう所に位置づけられていくのかということも、もう少し整理できると思いますの で、その辺の工夫をしていただきたいという要望です。 ○佐伯委員  まさにそれに関連すると言いましょうか。1人の人が具合が悪くなったときに、まず どうするか。広告を出してくださるということでしたが、往診をしてくださるかどうか というのは、すごく大きなことだと思うのです。しかし「お医者さんを呼ぶ」という言 葉が、日本語からは死語になってしまった。これは非常に貧しいことだと私は思うので す。イタリアに5年間暮らしておりましたが、往診をしていただけたので、私は子供を 育ててこられたという確信があるのですが、日本にはそれが全くない。どうしてそうな ってしまったのだろう。患者や一般の人のニーズは、どこにどのように抹消されてしま ったのかという気がしております。  もし往診というものがあれば、まず来て診てもらう。そこで最初の処方箋が出て、薬 剤師さん、来てください。あるいは看護師さんに、派遣で来てくださいという形もある かもしれません。それで在宅では無理だから、病院へ行ってくださいという図式で病院 へ行く。そこで濃厚な医療でも何でもやっていただいて、また自宅に帰りましょうとい うところで、また連携して診ていただく。そんないい流れを、ちゃんとここで構築して いただきたいと言いましょうか、是非そんな文化を残していきたいと思っております。 ○松井委員  療養病床について申し上げますと、第3回の資料1の8頁に、介護保険と医療の療養 病床との比較が出ていると思います。ここを見ると、明らかに医療保険でカバーされて いる療養病床のほうが、医療の必要性が低いという実態が出ています。したがって先ほ ど古橋委員がご指摘されたように、こういう部分は本来介護保険も含めた形で連携を取 って、どうあるべきかという議論をしていく必要があります。保険という形だけで見る と、医療保険だからというのがあるのかもしれませんが、それを患者という立場からす ると、たまたまどちらが空いているかということでいくケースもあると思うのです。本 来どういうものがあるべき姿かというときは、似たようなものについては併せて検討し ていくべきではないかと思っております。  在宅看護の問題では、先ほど古橋委員がご指摘されたように、もう少し現場でいろい ろな工夫ができるものがあるならば、それは出していただくと。私どもは医師ではあり ませんので、本当にそういうことが可能なのかどうかというのは、十分議論をしていた だいて、可能なものはどんどん進めてもらえればいいのではないかと思っております。  3点目はあまり議論が行われておりませんが、18頁の公的病院の所で、公的病院の役 割の在り方が指摘されております。これは議論を突き詰めていくと、もしかして株式会 社の参入と同じことなのではないかと思います。なぜならば公的病院は、場合によって は不採算なものも引き受けて、医療を担っていくという整理がなされるのか。おそらく 今まではそういう形であったと思うのです。場合によっては公的でなくても、純粋民間 病院、私はあえて「株式会社」と言うつもりはありませんが、現行の医療法人であって も、公的な役割を担って、地域医療を支えていく方式もあると思います。こういう分野 の役割や機能分化は、既存の枠にとらわれず、あり得べき姿を是非議論していただきた いと思います。 ○見城委員  在宅医療についてですが、現実にいろいろな方が在宅医療をされています。しかし、 そういった情報がほとんど一般には届いていないのです。今後、在宅医療をどうしてい くかというときに、できれば何らかの形で情報収集と言うのでしょうか、なさっている 医療機関の医師でもいいのですが、ヒアリングできればと思います。私も現実に何件 か、まさに在宅医療で死を迎えられた、全うされた方を拝見して、こういうことができ るのだなと思ったのです。ただ、その情報があまりにも一般的ではありませんので、今 後在宅医療をどうするかというときに、できる限り情報収集をしていただきたい。もし 医療システムとしても経済的にも、本当に成り立っている所があるならば、ヒアリング 等もしていただきたい。できるだけいい例をいただくことによって、より現実的な制度 をつくることができるのではないかと思います。よろしくお願いいたします。  小児の救急についてですが、小児科でない所でも電話で相談して行ける所があればい いと、よくお母様方がおっしゃっています。いまの流れを全部見ていますと、とにかく 自助努力というか、個人がしっかり情報を把握して、個人の意思で個人が選択して、よ りよい医療を受けるようにという方向にきていますが、やはり現実を見ますと、どれだ け情報が氾濫していても、子供を産んだばかりのお母さんであれば、何をしていいかわ からないということがあります。ですから公的な中間的な情報サービスと言うのでしょ うか、そういうものをより充実していただけたらと思います。急に救急医療になったか ら相談するのではなく、日ごろから相談できるサービスを、もう少し充実してほしいと 思います。特に、これからは先ほどから出ています株式会社などの民間の参入の仕方で すが、宣伝になる情報というのはたくさん来ますが、本当の情報は、なかなか見えない というのが現実だと思います。そういった、より公的な、公平な情報を常に出してくれ る所というのが、サポートシステムとして非常に重要だと思います。 ○鮫島委員  いくつか論点の追加をお願いしたいと思います。まず救急医療に関連して、10頁にな ると思いますが、精神科救急医療体制というのを、(5)ぐらいで追加していただければ と思います。精神科医療は今後大きく変わろうとしていますし、全体の救急医療の実態 や災害医療との関連もあります。精神科救急というのは、これから非常に重要になって くると思いますので、是非追加として挙げていただきたい。  12頁の医療計画についても同じです。明らかにすべき事項、いわゆる記載事項の所に も、この点を書き加えてほしい。  18頁は先ほど西澤参考人が提案されたように、医療機関における人員の配置基準の在 り方に関しても、当然医療法の施行規則の見直しということになるかと思いますが、も う少し柔軟に見直すという視点で、検討すべきではないかと思っておりますので、よろ しくお願いしたいと思います。 ○土屋委員  「在宅」に関して、意見を申し上げておきたいと思います。確かに在宅療養なり在宅 医療が推進できるということは、大変結構だと思いますが、現実は1人のお年寄りが在 宅だとしますと、それを介護なり看護なりする人は、1人では済まないわけです。複数 の人間が必要になりますし、24時間在宅しているわけですから、大変手もかかります。 したがって在宅医療にしても療養にしても、その背景をもう少しきちんと把握した上 で、議論していくべきだと思います。  働きに行ける人が働かないで、お母さん、お父さんの面倒を見ているとするなら、そ の収入分相当額だけ金がかかっているわけです。その上にいろいろな資源を投入してい くことになりますと、試算ですが、介護保険の介護報酬の単価に当てはめて計算します と、在宅は最低でも大体入所の倍以上かかっているといわれます。これが事実です。現 実です。ママが小さい子供を抱えていて、そのお手伝いとして、来て見てくれるという ならまだよろしいのでしょうけれども、大変手もかかる。したがって金もかかるのだと いうことを、やはり認識した上で在宅議論をすべきだと思います。  在宅で介・看護を受けれる人は大変恵まれた一部の人です。いちばん金のかからない のは、施設に入れて面倒をみてもらうことです。極論すれば、国の施策として、財源逼 迫が理由いうのだったら、本当は在宅が希望でお幸せなのでしょうが、施設をつくり、 そこで面倒をみるのが実際的にはいちばんいいかもしれない、しかし、「在宅」を推進 するためには、それなりの環境整備を抜きには論ずることはできないということを念頭 に置いておかなければいけないと思います。  もう1点ですが、一般病床での在院日数は、確かに近年どんどん短縮化されてきてい ます。これは、診療報酬で誘導されているわけです。本来は、もうしばらく入院してい たいという人たちも家へ帰りなさいと。すぐに帰れなかったら、一般病床の次は療養病 床へということになります。療養病床は、介護適用のものと医療適用のものと差がある ようなお話がありましたけれども、療養病床はいずれも、そういうものの受け皿として 医学的管理に大きな役割をになっているわけです。例えば、術後の患者を面倒みてい る、まだ医療を必要とする者をそこで継続して治療して帰すという状況です。ここに出 ている数字は、そういう背景を踏まえて読まないと誤解をします。  「病態急変の可能性は低く、福祉施設や在宅によって対応できる」ということです が、そういう実情があるのだということを頭に置いて、その方向で議論を進めていくべ きではないかと思います。 ○部会長  本日は、小児の問題は皆さんから発言がないようです。これは、私もある程度整理に かかわったのですけれども、これでいいとお認めであれば、それはまだまだ問題がある と申し上げておきたいのです。卓袱台をひっくり返すようで申し訳ないのですけれど も、医療の基本計画で小児という枠をがっちりつくっていただきたい。  いまの医療計画というのは、当然数が多いからですけれども、成人一般医療が中心で す。しかし、子供は国の宝だという委員のご発言もありました。小児救急の問題という のは、マスコミ等でいろいろ騒がれるのですけれども、これを救急医療の中で解決しよ うとしても絶対に無理だと思います。一般の大学病院の救急などでは、子供はただ数が 多くて放っておいてもいいというか、そういう捉え方で解決にならない。本当の第一線 の小児医療の中でどうするか、ということを別に考えていただかないといけないのでは ないかということを、私は小児科医ですので子供に代わって申し上げたいです。  特にこれを作るに当たって、私は少子化対策という言葉は非常によくないと思ってい ます。後ろ向きの言葉でありますので、せめてこの部会では使わないで「次世代育成」 という前向きの言葉に置き換えていただきたいです。少子化対策というのはあくまでも 大人の視点であって、子供の視点ではありません。そのことだけは申し上げておきま す。 ○小山田委員  小児医療で、特に救急でいちばん困っているのは私ども地域条件の悪い所に置かれて いる自治体病院です。こういう所で、いま24時間365日を民間も含めていくらしようと しても、半数以下の二次医療圏で完成することができないのです。これは何かという と、小児科医自身が足りなくなっているというか減っています。そして、地域の偏在と いうのがあります。  今後、これは国の供給体制として議論をしていただきたいと思います。私どもの所か ら、厚生労働省、総務省その他に、行政的なあるいは財政的な面での指針をということ を強くお願いしてあります。そのことをこの部会でも見直してもらいたいと思います。 その原因となっているものはどうか、対策はどうかということを是非お聞かせ願いたい ということが1つです。  もう1つは、病院における医師、その他の人員ということがありましたが、この検討 のときに診療科の在り方、診療科の定員についてもご議論いただきたい。医師がどんど ん増えているにもかかわらず、小児科や産婦人科の数が減っています。そういうことに 対する対応として、今後厚生労働省の中に、医師需給に対する検討委員会が立ち上げら れますのでその場でも申し上げますが、この部会でも時間を割いて皆さんからのご意見 を是非聞かせていただきたいし、これに向けた施策を国に要望していきたいと思ってお ります。 ○古橋委員  先ほど、土屋委員がおっしゃったことにお言葉を返すようで恐縮なのですが、在宅医 療と施設利用という点での財源やお金のかかり具合のことでお話がありました。大きい 視点でいけば、社会保障とはなんぞやという議論がよぎります。  もちろん、在宅ケアというのはまだ十分に整備がされていない、国の保障の制度につ いてもやや手厚さに欠けるところがあります。お金がかかると、公費がそこに注がれな ければならないということもあるでしょうけれども、国民の選択ということもあるし、 地域の住み慣れた所で暮らしたいという意思があれば、そこに添っていくという発想が あってもいいのではないか。在院日数が短縮している中で、在宅医療の観点は、もっと 奥深く議論されていく必要が国民の視点からあるように思えてなりません。そういう点 では、情報の提供もあれば、国民にわかりやすい方法ということへの啓蒙と啓発は要る のではないか。  もう1つ議論が出ませんでしたが、医師と看護師は、急性期治療の中では疲れており ます、大変多忙です。だから増やせという議論よりも、安全の視点からもう一度医療法 の観点からも、必要要員数の議論は、情報をたくさん集めながら是非とも大事なテーマ にしていただきたいと思います。 ○土屋委員  私が申し上げたのは、在院日数の短縮であるとか、施設の基盤整備が不十分なもの を、在宅という言葉で隠してはいけませんよ、実態はそうではないんだから、というこ とを申し上げたかったわけです。  在宅といえば、すべてそれで解決するわけではないです。在宅に追いやっても、在宅 で面倒をみてくれる人がいなかったら現実には不可能です。介護保険が典型ですけれど も、老老介護もいいところで、本当に在宅で幸せな生活を送っているお年寄りはほんの 一部です。特に高齢化の進んだ地方では。  大きな家に、おばあちゃんが1人で、ほとんど寝たきりのような状況で、ときどき訪 問看護師さんが来てくれる。この実態を見て、知っている我々としては、見て見ぬふり をすることはできないわけです。表向きの立派な施策も結構ですけれども、在宅に追い やることによって、それで、良しとはいえないのだ、ということを申し上げたかったわ けです。 ○部会長  9番「医療法人制度の見直し」から、11番「その他」までについて事務局から説明を お願いします。 ○企画官  22頁、9.「医療法人制度の見直し」ですが、この医療法人については、現在、医業 経営の非営利性等に関する検討会で検討を進めているところです。論点としては、(1) 医療法人制度の改革の柱ということで制度創設50年ですけれども、非営利性・公益性の 徹底による国民の信頼の確立。効率的で透明な医業経営の実現による医療の安定的な提 供を柱にするべきではないか。(2)非営利性の徹底と株式会社参入についてを掲げてお ります。右の欄の意見を見ますと、非営利とはなんぞやという話、良質で効率的な医療 提供体制の構築という観点から、医療法人の在り方、株式会社というものを考えるべき という意見をいただいており、先ほど来この辺りの議論も出ているところです。(3)認 定医療法人制度の創設ということで、全体に抜本的な改革を通じて新たな持分なし医療 法人制度をつくってはどうかを論点として掲げております。  24頁の(2)公益性の確立等についてということで(1)から(4)まであります。これ は、現在、非営利性の検討会で論点を順次やっていくということで掲げて議論されてい るものを書いております。(1)公益性の確立では、医療計画に位置づける、公益医療機 関がやっているものを医療法人がやるようなことも考えられるのではないか。(2)効率 性の向上については、1つ目の○で、経営管理機能の強化、ガバナンスの強化を図るべ きではないか。2つ目の○で、公益法人制度改革のほうに代表訴訟制度がありますけれ ども、同様のことを考えてはどうか。  (3)透明性の確保というのは、事業内容や財務状況の公開、地域住民の意見等々の参 加ということを検討してはどうかを掲げております。(4)安定した医業経営の実現とい うことで、公募債の発行や税制の措置等々の一定の支援を通じた安定した医業経営の実 現を図ってはどうかを論点として掲げております。  27頁の10.「医療を担う人材の確保と資質の向上」ということで、(1)医師、歯科医 師、看護師の需給の見直しについては、別途これからスタートする検討会での検討とい うことです。(2)医師の診療科、地域による偏在については、偏在の解消に向けてどの ような対策を講じていくか。薬剤師の問題も記載してあります。  (3)専門医の充実ということですが、専門医については、現在各学会等で進められて おります。制度としては、広告規制制度の中で、一定の専門医は広告できるという位置 付けがありますけれども、さらに専門医の在り方について、制度的な検討が必要ではな いか。(4)生涯教育、免許更新制ということで、生涯教育の充実の在り方、事故等を起 こした医師等への対策として、医師等の免許更新制を導入すべきということをどう考え るか。(5)は医療安全のところでも書いてありましたが、医師等の行政処分、再教育に ついての論点で同じものを掲げております。  (6)看護関係資格の資質の向上等ということで、看護関係の資格者の資質の向上、専 門性の確保について、制度的な取組としてどういうものが考えられるか。医療安全の観 点から、看護師、薬剤師の卒後の臨床研修の検討。さまざまな医療関係職種の資質の向 上については養成施設があります。そのようなものを含めてどのような検討をいかに図 っていくか。(7)看護関係資格に係る規制の合理化が必要ではないかという議論が前回 ありましたので、それを論点として掲げております。  (8)医療提供体制を担う人材としての薬剤師の位置づけを論点として挙げました。  (9)その他のところは、左側に論点として記載しておりませんけれども、これまでの 部会において人材の関係で、FTAの関係、労働条件等々の関係の発言がありましたの で右の欄に記載しております。  32頁「その他」ということで、(1)終末期医療について、現在ガイドラインづくりと いうことですが、さらなる国民的な合意形成をどうしていくか。(2)医薬品や医療機器 の開発をどうするか。(3)医療提供体制の政策誘導を挙げて、医療提供体制の政策誘導 をどう進めていくか、特に診療所との密接な連携が必要ではないか。以上です。 ○部会長  ただいまの説明や資料に関する質問も含め、自由なご意見を伺います。 ○佐伯委員  先ほど部会長がおっしゃいました「次世代育成医療」を、最後の頁のその他の終末期 の手前に入れておいていただくべきではないかと思います。本日の午後1時ごろに国会 答弁を聞いておりましたら、妊娠・出産・分娩に関しても全部医療保険で賄ってはどう か、ということを公明党の方がおっしゃっておりました。首相が、平成18年度の医療制 度見直しのところで是非検討したいとおっしゃっておりました。子供を産むだけで50万 円かかるということで、かなり歯止めもかかっていますので、是非これは前向きに検討 していただきたいと思います。 ○松井委員  麻酔科医が足りないというのが、小児でも出ております。医学部の学生に聞くと、よ り厳しい所にはあまり行かなくなってきている。具体的には外科医などは、手術も長く かかり勉強もしなくてはいけない。そして、現実に働く場は大変である。需給見通し を、今後いろいろな形でされると思いますが、どうしてそういう所が減ってしまってい るのかということも、根本の原因を見つけて、それで対策を打つことをやっていただか ないと、なんとなく見通しをつくったところでうまくいくのかどうか、ちょっと疑問に 感じております。  特に、医療提供側の皆様方がここにはたくさんいらっしゃいますので、どういう知恵 があり得るのかを是非出していただいて、いま足りない所をどのような形で埋めていく のか、という議論をしていただければと思います。  麻酔科医が足りないということであるが、アメリカでは看護師行うケースもある。私 は、実際の医療の現場ことはよくわかりませんが、もしかすると医師でなくて看護師 が、もう少しいろいろな形でやることで、医師は医師としての本当の専門性により特化 していただいて、そこで医療の供給、医療提供を行っていくというものも是非考えてい ただければ大変ありがたいと思います。 ○尾形委員  25頁で、医療法人の効率性の向上ということで、最初の○印の黒ポツに経営管理部門 の設置が掲げられているのは大変結構なことだと思います。これを実効性あるものにす るためには、経営管理部門を担い得る人材の育成が非常に大事ではないかと思います。 そういう意味で、これは別に事務とか医療職を問わず、「経営管理部門を担い得るよう な人材の育成」をどこかで触れていただければと思います。 ○龍井委員  この項目の追加という意味ではなくて要望があります。一連の論点を整理していただ いて改めて痛感いたしますのは、患者、提供側、いま話題になったこれから医師になろ うとする人たちの実態がよくわからない。それはニーズ調査になるのか、意識調査にな るのか、役所のほうからするといろいろな課に跨がるので大変なことかもしれません が、いままでお示しいただいた膨大な調査もさることながら、そこについてきちんと定 点観測に耐えられるものは、大事業かもしれませんけれどもしておくことがとても大事 なのではないか。  これは、我々も含めてなのですけれども、それぞれの皆さんがそれぞれのイメージで 語っているところでは、医師、患者、看護師といっても、それぞれ自分がいる所の地域 や、病院の在り方、診療所の在り方というところで、本当にマトリックスが描けないぐ らい違う実態があると思うのです。それを、我々がその都度その都度的確に把握した上 で検討していく。ここにも、現場で携わっている方が参加しているわけですから、それ はあえて必要ないとおっしゃるかもしれませんけれども、これだけ複雑化している、あ るいはニーズが多様化している中では、とても重要ではないかと思っております。  この中で位置づけるというよりは、全体の進め方の中で、どういう調査をするかとい うこと自体が大変なことは承知しております。そういう意味で、この部会としての検討 事項に是非加えていただきたいというのが要望です。 ○大橋委員  公的病院の在り方で、松井委員からありました。確かに公的病院と同じ役目を一般の 病院へやるというのは、行く行くはそうなるかもしれないけれども、現実はそんな簡単 にはいかないと思います。都会と田舎の大きな違いというのは、これがいちばんの違い だと思っています。都会ならできるかもしれないけれども、田舎ではできません。  堀田委員は本日は欠席ですけれども、26頁に書いてありますが、病院をつくったらし ゃにむに借金を返さなければなりませんので、検査と薬漬けというのが見られます。現 実はそうではないかと思います。このことは、いいことを言ってくれたと思います。地 域が発展していくような所ならばいいかもしれませんけれども。  病院を経営していて、小児の救急が来たとしても、小児科が1人だったら、開業医が 1つ増えたのと同じで変わりはしないです。現実には、救急などできないです。内科が 3人、外科……科はいるけれども、実際に小児科はいまもいないです。医者が1人でし たら救急などできないです。小児科医をいっぱい置くことが大事ではないか。委員から 提出されたご意見というのがありますから、そこを読んでいただければありがたいと思 います。そこで、個人的にもお話をしたいと思います。 ○福島委員  先ほど、佐伯委員から分娩費の保険での適用という問題がありましたが、このこと自 体大きな社会的背景として論議していくことは大変大事なことだということが前提です が、保険での取扱いをどうするかということだと、医療部会の主たるテーマというより も、保険の部会が別にありますので、そちらでの検討が主要な土俵になるのではないか と思います。そのことを検討すること自身は大変重要なことで賛成ですけれども、ここ の会議での主要テーマではないのかなと、医療保険部会でのテーマかと思います。主要 なテーマとして、ここでは真正面からは取り上げにくいという感じがいたします。内容 に異議があるわけではありません。 ○松井委員  大橋委員のご指摘について、私はもともと理解しているつもりです。もし小児の問題 を救急体制を維持するというならば、常に1つの病院がやるのではなく、ある程度医療 圏の中で、病院が連携してこの病院は週2日、この病院は週3日という対応の仕方も工 夫して行うという方式もあるのではないかと思います。大橋委員の地区でできるかどう かまで私はわかりかねますけれども、そういう工夫をしている地域もあることを理解し てほしいと思います。やり方はいろいろな方式があり得ると思いますので、今後議論し ていけばいいのだと思います。 ○大橋委員  大事なことだと思います。 ○部会長  本日の議論は、この辺で終わりにさせていただきたいと思いますが、事務局から連絡 がありましたらお願いいたします。 ○企画官  本日ご議論いただきました、医療提供体制の改革の論点案については、非常に多くの 論点の追加やご指摘がございましたので、これに基づいた修正をさせていただきます。 修正については表形式ではなくて、見出しと左側の主な論点というところだけを拾った 形で、論点案ということで整理させていただき、それを皆様にお送りして見ていただき たいと思っております。  資料5として、論点案にかかる意見募集についてという2枚の紙を付けております。 この2枚目に付いておりますのは、現在内閣府、あるいは厚生労働省でモニター制度を 実施し、広く一般の方からさまざまなご意見を募集しているものの一例を付けておりま す。医療提供体制の改革の論点について、この論点を見ていただき整理できた段階で、 皆様方にお送りした後になるかと思いますけれども、厚生労働省のホームページに論点 案を掲載し、一般の方からの意見募集をやりたいと思っております。一般の方からお寄 せいただきました意見については、適宜今後の部会で報告させていただき、今後の議論 にも活かしていただけるのではないかと思っております。  次回以降の部会の進め方ですが、本日お示しいたしました1から11までの各論点につ いて順次ご議論いただき、夏ごろを目途に中間的な取りまとめをお願いしたいと思いま す。月2回程度の開催のペースになるかと思いますけれども、6月ぐらいまでの開催日 程について再度調整をさせていただきますのでよろしくお願いいたします。  次回は、3月4日(金)の16時30分からお願いいたします。議題は、論点のうち2番 の「患者・国民の選択の支援」と、「医療計画」ということで、今後の作業の段取り等 もありますのでその2点をお願いたします。その後の議題については、日程とともにま た調整させていただき、次回にスケジュール全体をお示ししたいと思っております。3 月4日の会場等については、後日文書にて正式な開催のご案内をさせていただきます。 ○部会長  本日は、これで閉会とさせていただきます。長時間熱心なご討議をいただきましてあ りがとうございました。