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「女性の坑内労働禁止」に関するアンケート調査結果」(抜粋)


【調査概要】
(1)調査の実施:社団法人日本土木工業協会
(2)調査時期:平成16年7〜8月
(3)調査対象:土工協会員165社
(4)回答社数  75社
 ※回答を得ていない90社については、これまでトンネル工事を受注していない会員であるため、集計から除外している。



1 男性および女性の技術管理者の数(全社/土木・建築計 設計部門含む。以下同様。)

人数 会社数
499人以下 39
500〜999人 17
1,000〜4,999人 15
5,000人以上 4
  割合図



2.女性技術管理者の数

人数 会社数
0人 24
0〜9人 41
10〜29人 7
30〜49人 2
50人以上 1
  割合図



3.女性技術管理者のうち、現場勤務者の数

人数 会社数
0人 52
0〜9人 21
10人以上 2
  割合図



4.現場勤務の女性技術者のうち、トンネル工事の坑外業務に携わっている者の数

人数 会社数
0人 73
1人 1
2人以上 1
  割合図



5.将来、女性の技術管理者が増加すると考える会社の割合

はい いいえ
52 23
  割合図



6.女性の坑内労働について開放の必要ありとする会社の割合

開放の必要あり 開放の必要なし
45 30
  割合図



7.女性の坑内労働について開放の必要ありとした理由(複数回答可)

男女雇用均等法
にそぐわない
35
トンネル現場
への進出阻害
12
その他 5
  割合図



8.女性の坑内労働について開放の必要なしとした理由(複数回答可)

母性健康保護 14
トンネル現場
の慣習
2
リスクがまだ多い 21
その他 2
  割合図



9.女性の坑内労働について開放の必要がある対象工事の範囲

シールド、山岳とも
対象にすべき
40
シールドのみ
対象にすべき
5
山岳のみ
対象にすべき
0
  割合図



10.女性の坑内労働について開放の必要がある対象職種の範囲

【シールドトンネル工事の場合】

女性技術者と
作業員の両方
22
女性技術者のみ 23
作業員のみ 0
  割合図



【山岳トンネル工事の場合】

女性技術者と
作業員の両方
21
女性技術者のみ 24
作業員のみ 0
  割合図



11.自由意見
※積極的意見、消極的意見、中立的意見その他は事務局による分類
(1)積極的意見
(1).当社においては、女性技術者のシールドトンネルの設計、施工計画や技術開発、解析等の業務が拡大の方向にある。
(2).シールド・山岳トンネル工事の坑内環境は、法制定当時に比し大きく改善が進んでいる。
 以上のことから早晩「開放」の必要性が高まることと思う。
 1986年に「臨時の必要のため坑内で行われる業務」について例外を設けているが、これでは、トンネル工事に従事しようとする女性技術者は、トンネル内に入れない状況にあり、女性技術者の就業の障害になっている。一方、国際労働条約(ILO)では、鉱山の坑内作業における条約(第45号)において女子の坑内作業を禁止しているが、管理の地位にあって筋肉労働をしない女子、保健および福祉の業務に使用される女子、実習の過程において坑内で訓練を受けている女子、その他、筋肉労働の性格を有しない職業のため随時に坑内に入る必要がある女子、について除外規定を設けている。
 日本は、1956年にこの第45号条約を批准しているが、除外規定が労働基準法に十分に反映されているとは言いがたい。女性技術者は近年増加しており、女性技術者が様々な工事に従事する機会が生じている。男女雇用機会均等法における女性の雇用機会均等と職域拡大の観点から、意欲のある女性技術者の就業に制限を設けることは望ましくない。
坑内作業は過酷な作業でも重労働でもなくなってきている。
坑内での作業は他よりも労働災害に対するリスクは高いが、男女機会均等法の精神を尊重し、性別による労働場所の制限を行い、選択の範囲を制限すべきでないと考える。選択するのはあくまでも個人であり、また個人が選択できる環境にすべきと考える。
 また、諸外国の例をとってみても、女性技術者の坑内作業を可能としている国は多いと思われる。
今後、トンネル工事・シールド工事に於いても、女性技術者、作業員として従事させる事に賛同します。
今日の作業環境(作業の機械化)からして、「女性の坑内労働禁止」を法で拘束する必要はないと思われる。
女性技術者がトンネルやシールドを希望しても、現状は配置できない。本人はもちろん、会社や土木界にとってもマイナスである。
権利制限の目的である母性保護については、他の手段(男性同様の安全・衛生措置)にて代替できるのではないか?
男女雇用均等法施行以降、優秀な女性土木技術者の入社が増加しているが、本来の主旨を逸脱した法律の運用により、志ある人間の可能性の芽を摘むことは大きな問題である。
 女性の土木技術者の坑内労働禁止からの解放に関しては、業界を挙げて早急に取り組むべきである。

(2)消極的意見
 技術の進歩とともに、トンネル工事の安全性は向上してきているものの、トンネル工事の労災保険料率は一般土木工事に比較し6倍以上となっている。それだけ危険度が高い工事であり、実際に事故や災害が多いと言うことに他ならない。測量や機械運転などの作業および技術管理など女性へ解放可能な職種もあると考えられるが、現時点での状況を考慮すると環境が整うまで待つべきではないかと考える。
トンネル工夫にはまだ女性の入坑を嫌う者もいると聞きます。また、坑内作業の環境が良くなったとはいえ、まだ作業の激務はそう変わらない。女性の作業員の入坑は時期早々と思われる。
異常事態が発生した場合の対応に、作業員による人力施工が強いられる場合があるので、出来るだけ男の作業員が望ましい。(本音は女性をトンネル工事に従事させるのは、反対です)
山岳トンネル工事の場合、作業環境が母性健康保護の面から、不適当な場合もある。
女性の進出は進んでくると思いますが、坑内労働については、作業環境、労働時間帯、現労働者である男性への影響を考えると、現状では難しいのではないでしょうか。
この先、作業環境等が整備され、男性坑内労働者の意識が変われば、女性の労働者も出てくるのではないでしょうか。

(3)中立的意見・その他
トンネル工事における坑内作業は、作業環境面及び安全面において他の工種に比べて危険度が高い。この点を十分に教育・訓練した上での入坑が必須である。
坑内労働の女性職員開放は、現在までの慣習もありますので実現は厳しいものと思います。実現のためには、技術管理者・作業員の教育が必要だと考えます。
 また、最終的には女性現場技術管理者と作業員両方を開放したほうが良いと思いますが、技術管理者の開放を行った後、作業員の開放へと段階的に進んだほうが良いと思います。
私的な意見ですが、基本的には女性の進出を阻害してはいけないと思っています。ただ、特に山岳トンネルの施工状態を考慮すると、現実的には現場技術管理のみが実際的ではないかと判断します。実際の作業状態、作業内容、重機関係の輻輳、作業時間等から、女性作業員は困難であると思われます。
女性が出来る作業内容に応じて、入坑、就労を認めても良いと思います。国際労働条約や、労働基準法でも基本的に坑内での就労が禁止されています。ただ、女性の坑内労働が最初から無理であると決め付けるのではなく、坑内労働の中身を検討して、女性でも就労可能な業務が本当にあるのか、無いのかを議論することが必要であると考えます。基本的には、男女平等に就労する門戸を拡げるべきであると思います。
女性技術者が山岳・シールドの現場で、どれだけ活躍できるのかは未知の領域だと思います。現場環境が整備・改善されてきたとは言え、配置する側の意思が整っていないのが現状です。JV工事で幹事会社へ女性技術者を推薦しても、技量・経験を確認する以前に女性だからという理由で、拒まれてしまう事が少なくは無いのが現実です。
トンネル現場の慣習については、考え方は様々だと思います。しかし、判断する以前に女性に対する門が閉ざされている現実は、改善されるべきではないか?と思います。
法的なところはわかりませんが、山岳トンネルについては、作業の役割で技術管理者のみということがあるように思います。
山岳トンネル工事の場合機械化も進み坑内環境も改善されているので女性現場技術管理者の進出は可能と思われるが、女性作業員の場合は男性作業員に比較すると体力的な問題もあり安全管理上難しい。女性の坑内作業は、会社及び個人の判断で労働できる選択の余地を残しておくべきであり、女性が進出すればトンネル工事に対する社会の認識も変わってくると考えられる。


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