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資料2

平成18年の医療制度改革を念頭においた医療計画の見直しの方向性


(1)住民・患者に分かりやすい保健医療提供体制の実現(住民や患者の視点を尊重した医療制度改革)

   主要な疾病又は事業(がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病、小児救急を含む小児医療と周産期医療、災害医療、へき地医療など)について、どのような対策が講じられているか、住民・患者に分かりやすいものとしてその内容を医療計画に明示するとともに、医療サービスの提供者・住民(患者)双方が情報を共有し、客観的に評価できるような方法を検討。あわせて、都道府県が主要な疾病ごとに診療ネットワークを構築できるように改革。


(2)質が高く効率的で検証可能な保健医療提供体制の構築(数値目標と評価の導入による実効性ある医療計画)

   医療計画の作成から実施に至る一連の政策の流れを、主要な疾病ごとの医療機能の把握、適切な保健医療提供体制の明示(数値目標の設定)、数値目標を達成するための活動計画としての医療計画の立案とそれに基づく事業の実施及び事業実施後の客観的な政策評価による医療計画の見直しという実効性のあるものに改革。


(3)都道府県が自主性・裁量性を発揮することによる地域に適した保健医療提供体制の確立

   日常医療圏における医療機能の把握や各医療機関の医療機能の内容に関する住民への情報提供など医療計画の作成・実施に当たっての都道府県の役割を強化。国は都道府県の役割を支援するために制度上や財政上の支援を実施。

 ◇基準病床数制度(いわゆる病床規制)については、医療費への影響の観点、救急医療やへき地医療など採算に乗らない医療の確保・入院治療の必要性を客観的に検証する仕組みの未確立等から引き続き存続させる方向。


国が示す保健医療提供体制のビジョンの実現


【 国の役割と責務:保健医療提供体制のビジョンの実現 】

がんについて → 研究、予防及び医療を総合的に推進し、がんの罹患率と死亡率を激減させること
脳卒中について → 健康増進、予防及び入院治療から在宅復帰までの医療を日常医療圏に構築すること
小児救急を含む小児医療について →
 (1)子どもがいつでも適切な医療を受けられるよう小児救急医療体制をすべての日常医療圏に構築すること
 (2)小児医療施設の役割分担と連携を推進し、小児科医師の適正な配置を図ること   など
↑
【 国が担うべき事務:全国共通した主要な疾病ごとの指標の提示 】

都道府県が当該日常医療圏の適切な医療資源を把握しやすいよう、国が患者の疾病動向等に関する全国共通の指標を提示
→



全国共通の指標によって都道府県の医療機能、患者の疾病動向等が明確になることにより、質の高い医療提供体制の構築に向けた実効性のある都道府県の政策が期待
客観的な基準による各種支援(交付金・補助金・政策融資など)による政策の透明性の向上
政策評価による翌年度につながる都道府県の医療計画の見直し
↑
【 国による調査の実施:全国規模の主要な疾病ごとの医療機能調査の実施 】

全国規模の医療機能調査を実施し、主要な疾病ごとに必要な医療機能を明らかにする



全国規模の医療機能調査によって把握したデータの公表
すべての国民が当該情報を活用できるような環境の整備



 →客観的なデータに基づく保健医療提供体制の構築
日常の生活において、原則として、主要な疾病ごとに患者が必要とする外来医療及び入院医療が完結する圏域を「日常医療圏」という。


医療計画によって都道府県が推進する質の高い効率的な保健医療提供体制の構築


【 都道府県の役割と責務:質の高い効率的な保健医療提供体制の構築 】

がんについて(例) → がんの死亡率を○○%改善
脳卒中について(例) → 脳卒中患者の在宅復帰率を○○%増加
小児救急を含む小児医療について(例) → すべての日常医療圏で24時間いつでも初期救急医療を含む小児医療を受診できる体制を構築 など
↑
【 都道府県が担うべき事務:主要な疾病ごとの診療ネットワークを構築し医療計画に明示すること 】

都道府県が当該日常医療圏に必要な医療資源を把握し、主要な疾病ごとの診療ネットワークを構築すること。
→



都道府県が全国共通の指標によって医療機能、患者の疾病動向等を明確にし、その結果を住民に公表
主要な疾病ごとに明確になった結果を踏まえ、あるべき保健医療提供体制の構築について各種支援(診療の拠点となる医療機関の指定・交付金・補助金・政策融資など)を実施
政策評価の実施による翌年度につながる医療計画の見直し
↑
【 都道府県による医療機能調査の実施:主要な疾病ごとの医療機能調査の結果を公表すること 】

国が示す全国共通の指標に沿って医療機能調査を実施し、主要な疾病ごとの適切な医療機能を明らかにする



都道府県の医療機能調査によって把握したデータの公表
すべての住民が当該情報を活用できるような環境の整備



 →客観的なデータに基づく保健医療提供体制の構築


数値目標によって住民・患者に分かりやすい医療計画制度の推進による医療の質の向上










(1) 国として将来のあるべき保健医療提供体制のビジョンを提示するとともに、都道府県が当該日常医療圏に必要な医療資源を把握できるよう、患者の疾病動向等に関する全国共通の指標を提示。
(2) 都道府県は、国の提示する指標を基に医療ニーズと既に有する医療資源を把握し、その状況を公表。あわせて、今後あるべき医療を推進するための数値目標を医療計画に明示。
(3) 都道府県は数値目標の達成に向けた具体的な方策を医療計画で立案し、住民に公表。
(4) 国は数値目標が明示された都道府県の医療計画や現状の都道府県の医療資源、患者の疾病動向等を勘案し、客観的な基準に沿って各種支援を実施。
(5) 国が示す全国共通の政策評価項目に従って、都道府県は数値目標と現況を比較し、新たな医療計画を立案(見直し)。











図


医療計画の作成に係る国と都道府県の役割の見直しに伴う新しい保健医療行政の姿(イメージ)

〜 都道府県の裁量性の向上と望ましい保健医療提供体制の構築に向けた国による支援との両立(共働) 〜


現行の国と都道府県の関係
療法第30条の4:厚生労働大臣は、医療計画の作成の手法その他医療計画の作成上重要な技術的事項について、都道府県に対し、必要な助言をすることができる。

現行の国の医療政策に関する役割についての課題
医療法が定める良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保に関する国の責務に対する具体的な役割が不明確。
今後、量だけでなく質を重視した効率的な医療提供体制に重点化する中で、質の高い効率的な医療提供体制に関する国の基本的な政策を法律上明確にする必要性が高まっていること。
法令上の明確な位置づけの下、透明性の高い客観的な政策誘導を行うことが求められていること。

医療計画制度をめぐる課題
(1)主な疾病ごとに医療機能が明示されていないこと
(2)都道府県が住民に対し中長期的な医療提供体制の目標と手順を示したものではないこと
(3)都道府県が具体的な数値目標を設定しそれを住民が評価ができるものとなっていないこと

→
新しい国と都道府県の関係
 厚生労働大臣は、国民に対し良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を図るための基本的な方針(基本方針)を定める。
 都道府県は、基本方針に基づき、当該都道府県における医療計画を定める。

今後特に求められる都道府県の役割
(1)具体的な数値目標の設定と政策評価による実効性・透明性の高い医療提供体制の構築
(2)医療機能の分化・連携を通じた効率的で良質な保健医療提供体制の構築
(3)自由度の高い交付金・補助金による都道府県の裁量性の発揮
国は法律に基づいて都道府県の保健医療提供体制を情報面と財政面で強力に支援。

医療計画の策定及びその実施状況の政策評価に関する基本的な事項(案)
都道府県に対し以下の内容を要請。
(1)主要な疾病ごとの医療機能についての状況把握
(2)保健医療提供体制の量的・質的な数値目標の設定
(3)数値目標に関する達成状況に係る政策評価の実施


「がん」に係る保健医療提供体制の実現に関する国と都道府県の役割 <イメージ>


図


平成18年医療制度改革を念頭においたA県による保健医療提供体制の構築(「がん」の場合)<イメージ>


住民(患者)が求める
保健医療提供体制

予防と早期発見の推進
地域の医療機能が主要な疾病ごとに分かりやすく把握できること
A県における「がん」に関する
保健医療提供体制の推進方策


1.医療法に基づく制度的な支援(第5次医療法改正)

(1)がん診療の拠点となる医療機関を日常医療圏ごとに指定する方策の検討
(2)医療計画によるがんの検診・診療・介護ネットワーク(在宅医療を含む。)の明示
(3)都道府県が認定する医療法人(民間)を中心とした保健医療福祉の提供グループの構築


2.交付金・補助金等による財政的な支援(平成18年度実施)

国が示す指標に基づいた質の高い保健医療提供体制の構築
指標に基づいた透明性の高い基準による各種支援(補助金・政策融資など)
政策評価による翌年度につながる行政施策の見直し

A県の保健医療提供体制に係る数値目標「がん」(例)

死亡率を ○○%改善





医療機関に今後
求められる役割

連携による切れ目のない保健・医療・介護の提供
患者に提供できる医療機能の明確な説明
国が目指すべき
がん保健医療提供体制

がんのり患率と死亡率の激減
がん医療水準の「均てん化」の推進
5年生存率の20%改善
がん患者等のQOLの改善


都道府県別にみた悪性新生物による死亡率(人口10万対)
参考:平成15年 人口動態調査


「脳卒中」に係る保健医療提供体制の実現に関する国と都道府県の役割 <イメージ>


図


平成18年医療制度改革を念頭においたB県による保健医療提供体制の構築(脳卒中)の場合)<イメージ>


住民(患者)が求める
保健医療提供体制

予防と早期発見の推進
地域の医療機能が主要な疾病ごとに分かりやすく把握できること
B県における「脳卒中」に関する
保健医療提供体制の推進方策


1.医療法に基づく制度的な支援(第5次医療法改正)

(1)脳卒中に係る診療の拠点となる医療機関を日常医療圏ごとに指定する方策の検討
(2)医療計画による脳卒中の検診・診療・介護ネットワーク(在宅医療を含む。)の明示
(3)都道府県が認定する医療法人(民間)を中心とした保健医療福祉の提供グループの構築


2.交付金・補助金等による財政的な支援(平成18年度実施)

国が示す指標に基づいた質の高い保健医療提供体制の構築
指標に基づいた透明性の高い基準による各種支援(補助金・政策融資など)
政策評価による翌年度につながる行政施策の見直し

B県の保健医療提供体制に係る数値目標「脳卒中」(例)


(1)脳卒中患者の在宅復帰率○○%増


(2)脳卒中の死亡率を ○○%改善
医療機関に今後
求められる役割

連携による切れ目のない保健・医療・介護の提供
患者に提供できる医療機能の明確な説明
国が目指すべき
脳卒中保健医療提供体制

脳卒中の死亡率を25%改善
切れ目のないリハビリテーションの推進,脳卒中を原因とする要介護認定者数の減少


都道府県別にみた高血圧疾患の患者率(人口10万対)
参考:平成14年患者調査


「急性心筋梗塞」に係る保健医療提供体制の実現に関する国と都道府県の役割 <イメージ>


図


平成18年医療制度改革を念頭においたC県による保健医療提供体制の構築(「急性心筋梗塞」の場合)<イメージ>


住民(患者)が求める
保健医療提供体制

予防と早期発見の推進
地域の医療機能が主要な疾病ごとに分かりやすく把握できること
C県における「急性心筋梗塞」に関する
保健医療提供体制の推進方策


1.医療法に基づく制度的な支援(第5次医療法改正)

(1)急性心筋梗塞に係る診療の拠点となる医療機関を日常医療圏ごとに指定する方策の検討
(2)医療計画による急性心筋梗塞の検診・診療・介護ネットワーク(在宅医療を含む。)の明示
(3)都道府県が認定する医療法人(民間)を中心とした保健医療福祉の提供グループの構築


2.交付金・補助金等による財政的な支援(平成18年度実施)

国が示す指標に基づいた質の高い保健医療提供体制の構築
指標に基づいた透明性の高い基準による各種支援(補助金・政策融資など)
政策評価による翌年度につながる行政施策の見直し

C県の保健医療提供体制に係る数値目標「急性心筋梗塞」(例)


(1)死亡率を○○%改善


(2)救命率の○○%向上
医療機関に今後
求められる役割

連携による切れ目のない保健・医療・介護の提供
患者に提供できる医療機能の明確な説明
国が目指すべき
急性心筋梗塞保健医療提供体制

死亡率を25%改善
循環器病診療施設情報ネットワークによる体制を構築


都道府県別にみた急性心筋梗塞による死亡率(人口10万対)
参考:平成15年 人口動態調査


「糖尿病」に係る保健医療提供体制の実現に関する国と都道府県の役割 <イメージ>


図


平成18年医療制度改革を念頭においたD県による保健医療提供体制の構築(糖尿病)の場合)<イメージ>


住民(患者)が求める
保健医療提供体制
予防と早期発見の推進
地域の医療機能が主要な疾病ごとに分かりやすく把握できること
D県における「糖尿病」に関する
保健医療提供体制の推進方策


1.医療法に基づく制度的な支援(第5次医療法改正)

(1)重度糖尿病患者に係る診療の拠点となる医療機関を日常医療圏ごとに指定する方策の検討
(2)医療計画による糖尿病の検診・診療・介護ネットワーク(在宅医療を含む。)の明示
(3)都道府県が認定する医療法人(民間)を中心とした保健医療福祉の提供グループの構築


2.交付金・補助金等による財政的な支援(平成18年度実施)

国が示す指標に基づいた質の高い保健医療提供体制の構築
指標に基づいた透明性の高い基準による各種支援(補助金・政策融資など)
政策評価による翌年度につながる行政施策の見直し

D県の保健医療提供体制に係る数値目標「糖尿病」(例)


(1)糖尿病の発生率を○○%改善


(2)合併症患者数の○○%改善
医療機関に今後
求められる役割

連携による切れ目のない保健・医療・介護の提供
患者に提供できる医療機能の明確な説明
国が目指すべき
糖尿病保健医療提供体制

合併症の予防によるQOL向上
糖尿病の発生率を20%改善


都道府県別にみた糖尿病の患者率(人口10万対)
参考:平成14年患者調査


「小児救急を含む小児医療」に係る保健医療提供体制の実現に関する国と都道府県の役割 <イメージ>


図


平成18年医療制度改革を念頭においたE県による保健医療提供体制の構築(「小児救急を含む小児医療」の場合)<イメージ>


住民(患者)が求める
保健医療提供体制
24時間安心してかかれる医療機関の把握
医療機関の機能が分かりやすく把握できること
E県における「小児救急を含む小児医療」に関する
保健医療提供体制の推進方策


1.医療法に基づく制度的な支援(第5次医療法改正)

(1)小児救急を含む小児医療の拠点となる医療機関を日常医療圏ごとに指定できる方策の検討
(2)医療計画による小児救急医療ネットワーク(初期救急医療を含む。)の明示
(3)都道府県が認定する医療法人(民間)を中心とした保健医療福祉の提供グループの構築


2.交付金・補助金等による財政的な支援(平成18年度実施)

国が示す指標に基づいた質の高い保健医療提供体制の構築
指標に基づいた透明性の高い基準による各種支援(補助金・政策融資など)
政策評価による翌年度につながる行政施策の見直し

E県の保健医療提供体制に係る数値目標「小児救急を含む小児医療」(例)

(1)すべての日常医療圏内に二次小児救急医療の拠点構築

(2)24時間いつでも初期救急医療を受診できる体制構築
医療機関に今後
求められる役割

連携による切れ目のない保健・医療・福祉の提供
患者に提供できる医療機能の明確な説明
国が目指すべき
小児救急を含む小児医療提供体制

小児救急医療体制をすべての日常医療圏に整備
すべての地域をカバーした切れ目のない小児救急医療の構築
小児医療施設の役割分担と連携を推進し、小児科医師の適正な配置を図ること


各都道府県の小児救急医療圏における二次小児救急医療体制の整備状況 (平成16年3月31日現在)


都道府県が構築する診療ネットワーク(イメージ)


図


日常医療圏の診療ネットワークのイメージ(「脳卒中」の場合)


図


日常医療圏の診療ネットワークのイメージ(「小児救急」の場合)


図


保健医療提供体制交付金(仮称)と保健医療提供体制推進事業補助金(仮称)の流れ(スキーム)


I.都道府県による保健医療提供体制事業計画(※)の作成
都道府県は、国が示す医療機能、患者の疾病動向等の全国共通の指標に沿って、地域のニーズを把握し、あるべき保健医療提供体制の目標(数値目標)を「保健医療提供体制事業計画」に明示。同時に、当該計画を達成するために必要な施設整備や事業に係る金額を算出。
「医療計画」、「健康増進計画」及び「地域保健計画」に基づくものをいう。
↓
II.国による交付額・補助額の算定
国は都道府県の作成した「保健医療提供体制事業計画」について、客観的な基準(病床利用の効率化、療養環境の状況など)によって優先順位を確認。交付額・補助額は都道府県が算出した金額を基に、一定の算出方法により算出した金額を交付。
↓
III.都道府県による保健医療提供体制事業計画の実施
保健医療提供体制事業計画に基づいて交付された交付金・補助金により、都道府県において地域の保健医療提供体制を構築(交付金については、国による細かな指導や関与はなく、「保健医療提供体制事業計画」の範囲内であれば使途に裁量がある。統合補助金についても補助事業の執行・事務手続きなどについて簡素化を図り、都道府県の自由度を高める。)。
↓
IV.都道府県による政策評価の実施(計画の見直し)
都道府県は、国が示す政策評価項目に沿って、地域の保健医療提供体制を個別に政策評価し、次年度以降の施設整備や事業に係る見直しを実施。


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