第9回厚生科学審議会
医薬品販売制度改正検討部会
平成17年2月10日
資料


諸外国における
医薬品販売制度等について


1. 諸外国における医薬品販売制度等の概要(比較表)
(1)  医薬品の分類等
(2)  医薬品の販売方法等
2. 各国ごとの医薬品販売制度等の概要
(1)  フランス
(2)  ドイツ
(3)  オーストラリア
(4)  イギリス
(5)  アメリカ
3. 調査方法

(参考)日本の医薬品販売制度の概要

平成17年2月



諸外国における医薬品販売制度等の概要(比較表)

(1) 医薬品の分類等
  医薬品等分類 販売業態 分類の考え方等 各分類における具体的薬効群名等
フランス 処方せん医薬品 薬局
処方せん任意医薬品 良性の初期症状を処置することを目的としたもの うち医療保険償還のないものが一般用医薬品に近く、解熱鎮痛薬、鎮咳薬、かぜ薬、胃腸薬、皮膚治療薬、ビタミン・ミネラル、禁煙補助剤など
ドイツ 処方せん医薬品 薬局
薬局販売医薬品 副作用が少なく、安全性が確認されたもの 解熱鎮痛剤、鎮咳薬、かぜ薬、胃腸薬、皮膚治療薬、ビタミン・ミネラル、リウマチ薬、膀胱・利尿・性機能障害改善薬、鎮静・睡眠剤など
自由販売医薬品 薬局・薬店 強壮、健康状態の改善等を目的としたもの 植物由来医薬品、ビタミン誘導体など
オーストラリア 処方せん医薬品 薬局 以下の観点から分類
(1) 医薬品の毒性と安全性
(2) 医薬品の剤型、容量、包装量
(3) 医薬品が利用される目的
(4) 医薬品の乱用される可能性 等
薬局薬剤師販売医薬品 抗ヒスタミン薬、喘息薬、解熱鎮痛薬など
薬局販売医薬品 解熱鎮痛薬、抗真菌薬など
自由販売医薬品 一般小売店 ビタミン、ミネラル、ハーブや少容量の解熱鎮痛薬など
イギリス 処方せん医薬品 薬局 治療域の狭い医薬品、新医薬品その他の安全性が確立されていない医薬品など
薬局販売医薬品 一定の安全性が確立されているが、作用、包装量からみて、薬剤師が販売を監督する必要があるもの 解熱鎮痛薬など
自由販売医薬品 一般小売店 安全性が広範に確立されており、薬剤師が販売を監督する必要がないもの 少包装の解熱鎮痛剤、鎮咳薬、胃腸薬、禁煙補助剤、消毒薬、のど飴など
アメリカ 処方せん医薬品 薬局 処方せん医薬品から非処方せん医薬品への移行は、十分な使用経験、自己使用が可能かどうか等が要件となる。
非処方せん医薬品 一般小売店 解熱鎮痛薬、鎮咳薬、かぜ薬、胃腸薬、止潟薬、制吐薬、抗アレルギー薬、喘息薬、睡眠薬、目薬、皮膚治療薬、禁煙補助剤など
日本 医療用医薬品 薬局
一般用医薬品 薬局・薬店・配置販売 医療用医薬品以外の医薬品であり、一般の購入者が、薬局等で購入し、自らの判断で使用する医薬品 解熱鎮痛薬、鎮咳薬、かぜ薬、消化薬、外皮用薬、ビタミン主薬製剤、禁煙補助剤など
医薬部外品 一般小売店 人体に対する作用が緩和なもの 薬用歯磨き、浴用剤、ビタミン含有保健剤など




(2) 医薬品の販売方法等
  医薬品等分類 販売業態 薬剤師等の配置 情報提供等の販売方法
フランス 処方せん医薬品 薬局 薬剤師の常時配置(また、販売額に応じた配置も必要) 薬剤師による対面販売(医薬品の交付は調剤助手も行う)
処方せん任意医薬品
ドイツ 処方せん医薬品 薬局 薬剤師の常時配置(さらに管理薬剤師の常時対応も必要) 薬剤師による対面販売
薬局販売医薬品 薬剤師又は薬剤師の監督下での薬剤助手の対面販売
自由販売医薬品 薬局・薬店 管理者の常時対応 規制なし
オーストラリア 処方せん医薬品 薬局 薬剤師の常時配置 薬剤師又は薬剤師の監督下での調剤助手による対面販売
薬局薬剤師販売医薬品 薬剤師による対面販売
薬局販売医薬品 薬剤師、調剤助手又は薬局助手による対面販売
自由販売医薬品 一般小売店
イギリス 処方せん医薬品 薬局 薬剤師の常時配置 薬剤師又は薬剤師の監督下での薬剤技師による対面販売
薬局販売医薬品 薬剤師又は薬局助手による対面販売(購入者が妊婦等の場合は薬剤師の対面販売)
自由販売医薬品 一般小売店
アメリカ 処方せん医薬品 薬局 薬剤師の常時配置 薬剤師による対面販売
非処方せん医薬品 一般小売店
日本 医療用医薬品 薬局 薬剤師の常時配置(また、処方せん数に応じた配置も必要) 薬剤師による対面販売
一般用医薬品 薬局・薬店
(※)
薬剤師又は薬種商の常時配置 薬剤師又は薬種商による対面販売
医薬部外品 一般小売店
 このほか、一般用医薬品について配置販売業、特例販売業がある。



国名 フランス

1.医薬品の分類等について
  処方せん医薬品 処方せん任意医薬品
どのような分類があるか 医師の処方せんに基づいて使用できる医薬品 医師の処方せんがなくても薬局で販売が可能な医薬品(さらに医師の処方せん等があれば医療保険から償還可能な準処方せん医薬品と償還の対象とならない医薬品に分類される。)
取扱いが可能な業態 薬局
分類の考え方等 安全性が基準となる。処方せん任意医薬品は、良性の初期症状を処置することを目的とした医薬品である。
各医薬品分類における具体的薬効群名等(それぞれの年間販売額) 処方せん任意医薬品のうち医療保険の償還の対象とならない医薬品は、一般用医薬品に近いものであり、解熱鎮痛薬、鎮咳薬、かぜ薬、消化器・整腸薬、皮膚治療薬、ビタミン・ミネラル、強壮薬、禁煙補助剤などがある。
(15億9700万箱) (処方せん任意医薬品は13億5300万箱。うち、保険償還のないものは2億8200万箱。)


2.医薬品の販売方法等について
  処方せん医薬品 処方せん任意医薬品
販売に携わる者 薬剤師、調剤助手
各販売に携わる者の資質等
薬剤師 6年間大学で薬学教育を受け、国家試験に合格した者
調剤助手 薬局において2年間の実務実習を受け、800時間の実習又は継続教育を経て免許を取得した者
販売に携わる者の配置方法 薬剤師の常時配置が必要。販売額が年間980,000ユーロを超えるごとに薬剤師を1名配置するなど、販売額に応じた人数の薬剤師の配置が必要。
情報提供等の販売方法 薬剤師による対面販売が必要(調剤助手は、薬剤師の監督下で医薬品の調合、交付等を行うのみ)。薬剤師は、助言、調剤拒否、受診勧奨が必要な場合、これを行う義務がある。これには、処方せん任意医薬品については患者が求める医薬品に変更を勧める助言も含まれる。
副作用報告制度の有無 製薬企業、薬局等が当局に副作用を報告する制度がある。
各業態ごとの管理者の要件等 開設者又は開設者に含まれる薬剤師を1店舗に1人設置。他の薬局との兼務は不可。
管理業務の内容 従業員の監督、構造設備の管理、医薬品その他の物品の管理など
医薬品の陳列方法 患者が自由に手に取ることができない場所(カウンター越し等)に陳列することが必要。
販売に携わる者の識別方法(名札、着衣等) 薬剤師、調剤助手はそれぞれを示すバッジの着用義務がある(具体的には、薬剤師は蛇マークの名札、調剤助手は乳鉢マークの名札を着用)。


3.医薬品の販売業態等について
  薬局
業態の数
(人口10万人当たりの店舗数)
22,691店(2004年)
(人口10万人当たり約38店)
各業態ごとの開設者の要件(営業時間、営業日数を含む)
個人 薬剤師に限る。
法人 法人に薬剤師が含まれることが必要。
また、一の個人又は法人が複数の薬局を開設することはできない。
 人口は『世界の統計2004』(総務省統計局)の最新のデータによる。



国名 ドイツ

1.医薬品の分類等について
  処方せん医薬品 薬局販売医薬品 自由販売医薬品
どのような分類があるか 医師の処方せんに基づいて使用できる医薬品 医師の処方せんがなくても薬局で販売が可能な医薬品 薬局及び一定の要件を満たす販売店(ドロゲリー)で販売が可能な医薬品
取扱いが可能な業態 薬局 薬局 薬局及びドロゲリー
分類の考え方等 副作用が少なく安全性が確認されたもの 以下を目的とする医薬品であり、具体的な効能や明白な治療効果が無いもの
(1) 強壮
(2) 健康状態の改善
(3) 内臓諸器官の機能保護
(4) 疾病の予防
各医薬品分類における具体的薬効群名等(それぞれの品目数) 解熱鎮痛剤、鎮咳薬、かぜ薬、胃腸薬、皮膚治療薬、ビタミン・ミネラル、血管治療薬、リウマチ薬、膀胱・利尿・性機能障害改善薬、鎮静・睡眠剤など 植物由来医薬品、ビタミン誘導体など
(27,095品目) (6,371品目) (514品目)


2.医薬品の販売方法等について
  処方せん医薬品 薬局販売医薬品 自由販売医薬品
販売に携わる者 薬剤師、薬剤助手 管理者(ドロジスト)
販売に携わる者の資質等
薬剤師 4年間大学で薬学教育を受け(その間に2段階の国家試験あり)、1年の実務実習を経て、国家試験に合格した者
薬剤助手 3年間職業学校(うち1年間は実務実習)で教育を受け、商工会議所の試験に合格した者。軟膏の混合、薬局販売医薬品の販売を行う。
管理者 3年間職業学校(うち1年間は実務実習)で教育を受け、ドイツドロゲリー協会の試験に合格した者
販売に携わる者の配置方法 薬剤師の常時配置が必要。
さらに、管理者の常時対応(※)が求められる。
専門家の常時配置はなし。
ただし、管理者の常時対応(※)が求められる。
※ 常時対応 薬局・ドロゲリーより7km以内の、電話等で連絡が取れるところに待機し、自動車等で10分以内に駆けつけることができることが必要。
情報提供等の販売方法 薬剤師による対面販売が必要。 薬剤師又は薬剤師の監督下での薬剤助手による対面販売が必要。 規制なし
副作用報告制度の有無 製薬企業や医師、薬剤師が当局に副作用を報告する制度がある。なお、医師、薬剤師は医師会、薬剤師会に報告後、当局に報告することとされている。
各業態ごとの管理者の要件等 開設者又は薬局に勤務する薬剤師の中から指名された者を1店舗に1人設置。他の薬局との兼務は不可。 十分な知識を持つ管理者
管理業務の内容 業務管理、医薬品の品質・設備の管理など全ての管理 医薬品の品質・設備の管理
医薬品の陳列方法 患者の目に付かないところに貯蔵・保管することが必要。 患者が自由に手に取ることができない場所(カウンター越し等)に陳列することが必要。 消費者が自由に手に取ることができる場所に陳列することが可能(他の物と区別して陳列することは必要)。
販売に携わる者の識別方法(名札、着衣等) 規制なし。 規制なし


3.医薬品の販売業態等について
  薬局 ドロゲリー
業態の数
(人口10万人当たりの店舗数)
21,305店(2003年)
(人口10万人当たり約26店)
5,400軒(2003年)
(人口10万人当たり約7軒)
各業態ごとの開設者の要件(営業時間、営業日数を含む) 薬剤師に限る(法人による開設は不可)。
また、1人の薬剤師は一定地域内に4薬局までしか開設できない。
なし
営業時間は、平日の場合9時〜20時のみに制限されている一方で、薬局の輪番制として周辺10km以内に24時間体制の薬局が1か所営業することが必要。 営業時間は、平日の場合9時〜20時のみに制限されている。
 人口は『世界の統計2004』(総務省統計局)の最新のデータによる。



国名 オーストラリア(ビクトリア州)

1.医薬品の分類等について
  処方せん医薬品 薬局薬剤師販売医薬品 薬局販売医薬品 自由販売医薬品
どのような分類があるか 医師の処方せんに基づいて使用できる医薬品 医師の処方せんがなくても、薬剤師が直接販売すれば薬局で販売が可能な医薬品 医師の処方せんがなくても、薬局で販売が可能な医薬品 一般小売店でも販売が可能な医薬品
取扱いが可能な業態 薬局 薬局 薬局 一般小売店
分類の考え方等  以下の観点から分類。
(1) 医薬品の毒性と安全性
(2) 医薬品の剤型と容量
(3) 医薬品が利用される目的
(4) 医薬品の乱用される可能性 等
※1  同じ成分でも、配合の仕方、剤型、1剤に含まれる含有量、包装単位などによって複数の区分に分類される。例えば、パラセタモール(解熱鎮痛薬)は、基本的には薬局販売医薬品に分類されるが、含量665mg以上の場合は処方せん医薬品に分類され、含量500mg以下で、子供が簡単に開けられない包装、25錠入り以下等の条件を満たす場合は自由販売医薬品に分類される。また、ジクロフェナクカリウム(消炎鎮痛薬)は、25mgの内用剤は薬剤師販売医薬品に分類され、10mgの外用剤は自由販売医薬品に分類される。
※2  なお、自由販売医薬品のうちビタミン、ミネラル、ハーブ等は、安全性と品質のみ保証され、有効性は保証されない。
各医薬品分類における具体的薬効群名等 抗ヒスタミン薬、喘息薬、解熱鎮痛薬、消炎鎮痛薬など 解熱鎮痛薬、抗真菌薬など ビタミン、ミネラル、ハーブや少容量の解熱鎮痛薬(アセトアミノフェン、アスピリン等)、消炎鎮痛薬など


2.医薬品の販売方法等について
  処方せん医薬品 薬剤師販売医薬品 薬局販売医薬品 自由販売医薬品
販売に携わる者 薬剤師、調剤助手 薬剤師 薬剤師、調剤助手、薬局助手 規制なし
販売に携わる者の資質等
薬剤師: 4年間大学で薬学教育を受け、薬剤師会が認定する実務実習等を経て、薬剤師会が実施する試験に合格した者
調剤助手、薬局助手: 薬局経営者の団体が行う、商品知識、販売手法、顧客との関係の構築等のカリキュラムからなる研修を受講。
規制なし
販売に携わる者の配置方法 薬剤師の常時配置が必要。 規制なし
情報提供等の販売方法 薬剤師又は薬剤師の監督下による調剤助手による対面販売が必要。 薬剤師による対面販売が必要。 薬剤師、調剤助手又は薬局助手による対面販売が必要。 規制なし
副作用報告制度の有無 製薬企業、薬剤師等が当局に副作用を報告する制度がある。
各業態ごとの管理者の要件等 開設者又は薬局に勤務する薬剤師の中から指名された者を1店舗に1人設置。他の薬局との兼務は不可。 規制なし
管理業務の内容
薬剤師: 文献・機材の管理、調剤等の記録の管理、従業員の監督など
調剤助手: 医薬品の有効期限の確認、在庫調査など
規制なし
医薬品の陳列方法 患者が自由に手に取ることができない場所(カウンター越し等)に陳列することが必要。 規制なし(消費者が自由に手に取ることができる場所に陳列が可能)。
販売に携わる者の識別方法(名札、着衣等) 規制なし 規制なし


3.医薬品の販売業態等について
  薬局 一般小売店
業態の数
(人口10万人当たりの店舗数)
4,926店(2002年)
(人口10万人当たり約25店)
各業態ごとの開設者の要件(営業時間、営業日数を含む) 薬剤師に限る(法人による開設は不可)。 なし
 人口は『世界の統計2004』(総務省統計局)の最新のデータによる。



国名 イギリス

1.医薬品の分類等について
  処方せん医薬品(POM) 薬局販売医薬品(P) 自由販売医薬品(GSL)
どのような分類があるか 医師の処方せんに基づいて使用できる医薬品 医師の処方せんがなくても薬剤師の監督の下、薬局で販売が可能な医薬品 一般小売店でも販売できる医薬品
取扱いが可能な業態 薬局 薬局 一般小売店
分類の考え方等
(1) 医学的管理なしに使用された場合、正しく使用されたとしても、人の健康に直接・間接的な危険が存在するもの
(2) しばしば人の健康に直接・間接的な危険を及ぼす可能性のある不適正使用がされるもの
(3) 効能や副作用についてさらなる調査が必要なもの
(4) 非経口的に投与される、通常医師によって処方されるもの
 一定の安全性が確立されているが、作用の強さ、使用方法について指示を行う必要性、包装量の多さ(※)から、薬剤師が販売を監督する必要がある医薬品。  実際には、POMにもGSLにも該当しないものが分類されている。  安全性が広範に確立されており、薬剤師が販売を監督する必要がないもの。具体的には、以下の基準を満たすもの。
(1) 人の健康への影響や誤使用によるリスクが小さいもの
(2) 取扱いの際に特別な注意が必要でないもの
(3) (1)かつ(2)に該当するもののうち、購入者の利便の程度が販売時における専門家の助言から得られる利益を上回るもの
 なお、少量包装のものに限られている(※)。
各医薬品分類における具体的薬効群名等 治療域の狭い医薬品、新医薬品その他の安全性が確立されていない医薬品など 解熱鎮痛薬等  解熱鎮痛剤、鎮咳剤(粉末)、胃腸薬、止潟薬、禁煙補助剤、消毒薬、のど飴など(駆虫薬、非経口投与薬、目薬、眼軟膏、浣腸、傷・膀胱等洗浄薬、小児用のアスピリンやアロキシプリンは含まれない。)
 例えば、イブプロフェン200mg錠の場合、12錠入りがGSLに分類され、24錠入りはPに分類。


2.医薬品の販売方法等について
  処方せん医薬品(POM) 薬局販売医薬品(P) 自由販売医薬品(GSL)
販売に携わる者 薬剤師、薬剤技師、調剤助手、薬局助手(カウンターアシスタント) 規制なし
販売に携わる者の資質等
薬剤師 4年間大学で薬学教育を受け、1年の実務実習を経て、国家試験に合格した者
薬剤技師 簡単な医薬品の使用方法等の説明、調剤、医薬品の品質・在庫管理を行う
調剤助手 医薬品の有効期限の確認、棚からの取り出し、洗浄等のごく簡単な調剤補助作業のみ。
薬局助手 薬剤師の監督下で薬局販売医薬品の対面販売を行う。
規制なし
販売に携わる者の配置方法 薬剤師の常時配置が必要。 規制なし
情報提供等の販売方法 薬剤師又は薬剤師の監督下での薬剤技師による調剤が必要。 薬剤師又は薬剤師の監督下での薬局助手による対面販売が必要。ただし、購入者が妊婦等の場合は薬剤師の対面販売が必要。 規制なし
副作用報告制度の有無 製薬企業や薬局、医薬関係者が当局に副作用を報告する制度がある。
各業態ごとの管理者の要件等 開設者又は薬局に勤務する薬剤師の中から1店舗に1人設置。他の薬局との兼務は不可。 規制なし
管理業務の内容 仕入時の品目、納品先チェック、要冷蔵医薬品の保存等 規制なし
医薬品の陳列方法 患者が自由に手に取ることができない場所(カウンター越し等)に陳列することが必要。 規制なし
販売に携わる者の識別方法(名札、着衣等) 規制なし 規制なし


3.医薬品の販売業態等について
  薬局 一般小売店
業態の数
(人口10万人当たりの店舗数)
12,250店(2002年)
(人口10万人当たり約21店)
各業態ごとの開設者の要件(営業時間、営業日数を含む)
個人 薬剤師に限る。
法人 各店舗に薬剤師を配置し、1人の管理薬剤師を1店舗に配置することが必要。
なし
営業時間は、1週間(平日)のうち、最低30時間(本年4月からは40時間)営業することが必要。
 人口は『世界の統計2004』(総務省統計局)の最新のデータによる。



国名 アメリカ(アラバマ州)

1.医薬品の分類等について
  処方せん医薬品 非処方せん医薬品
どのような分類があるか 医師の処方せんに基づいて使用できる医薬品 一般小売店でも販売できる医薬品
取扱いが可能な業態 薬局 一般小売店
分類の考え方等 処方せん医薬品から非処方せん医薬品への移行は、
(1) 処方せん薬として十分な使用経験があるか
(2) 自己管理、自己使用が可能かどうか
(3) 依存性はないか
(4) 薬物相互作用が調べられているかどうか
等が要件となる。
各医薬品分類における具体的薬効群名等 解熱鎮痛薬、鎮咳薬、かぜ薬、胃腸薬、止潟薬、制吐薬、抗アレルギー薬、喘息薬、睡眠薬、目薬、皮膚治療薬、禁煙補助剤など


2.医薬品の販売方法等について
  処方せん医薬品 非処方せん医薬品
販売に携わる者 薬剤師 規制なし
各販売に携わる者の資質等
薬剤師 薬剤師国家試験に合格した者。また、毎年、年間15時間以上の講習を受け、免許を更新することが必要。
販売に携わる者の配置方法 薬剤師の常時配置が必要。 規制なし
情報提供等の販売方法 薬剤師による対面販売が必要。 規制なし(ただし、薬剤師以外の者は、販売に際して、指導、相談対応等の薬剤師類似行為を行ってはならない。)
副作用報告制度の有無 製薬企業や薬剤師等が当局に副作用を報告する制度がある。
各業態ごとの管理者の要件等 管理者が、開設許可を受ける薬剤師。他の薬局との兼務は不可。
管理業務の内容 帳簿の記載、従業員の監督、構造設備の管理、医薬品その他の物品の管理など
医薬品の陳列方法 患者が自由に手に取ることができない場所(カウンター越し等)に陳列。 食品等と区分して陳列。禁煙補助剤及びプソイドエフェドリンの成分を含むかぜ薬は患者が自由に手に取ることができない場所(カウンター越し等)に陳列。
販売に携わる者の識別方法(名札、着衣等) 薬剤師は、写真付きの名札に薬剤師と明示。


3.医薬品の販売業態等について
  薬局
業態の数 1,430店(他の医療機関を含む)(アラバマ州:2004年)
各業態ごとの開設者の要件(営業時間、営業日数を含む) 開設許可は管理薬剤師に与えられる。 規制なし



調査方法等

1. 調査対象国
 
 調査対象国は、フランス、ドイツ、オ−ストラリア、イギリス、アメリカの5ヶ国とした。

2. 調査手法
 
 調査手法は、次のとおりとした。

(1) フランス
竹中 祐典 氏(日仏薬学会副会長)による現地調査
(2) ドイツ
永田 稔 氏(スイショー薬局取締役社長)による現地調査
(3) オーストラリア
韓 大健 氏(薬剤師、医学博士、ブリスベン在住)による現地調査
(4) イギリス
村瀬 健史 氏(明治製菓ロンドン所長、ロンドン在住)による現地調査
(5) アメリカ
亀井 浩行 氏(名城大学薬学部助教授)による現地調査

3. 調査期間
 
 調査期間は、次のとおりとした

(1) フランス
12月 4日(土)
〜12月11日(土)  (現地時間)
(2) ドイツ
12月 1日(水)
〜12月11日(土)  (現地調査)
(3) オーストラリア
12月19日(木)
〜12月21日(土)  (現地調査) *ビクトリア州
(4) イギリス
12月 3日(金)
〜12月22日(水)  (現地調査)
(5) アメリカ
12月 2日(水)
〜12月 9日(水)  (現地調査) *アラバマ州

4. 留意点
 
 各国の一般用医薬品販売制度は、それぞれの国の医療保険制度、医療提供体制、歴史的沿革、自己責任についての考え方等の社会経済状況を反映して、様々な規制になっており、さらにアメリカ等は特定の州を調査したものであるが、州によっても制度に違いがある。
 また、各国の薬剤師会、薬局等において短期間で聴取調査を行ったものであることから、その内容は一定程度確実な情報であるものの、完全に正確ではない可能性がある。
 なお、本調査内容における諸外国の規制については、法律に基づかない行政指導事項が含まれている。



(参考)

国名 日本

1.医薬品の分類等について
  医療用医薬品 一般用医薬品 医薬部外品
指定
医薬品
  配置販売品目
  特例販売品目
どのような分類があるか 医師の処方せんに基づいて使用されることを目的とする医薬品 医療用医薬品以外の医薬品であり、薬局等で販売が可能な医薬品 一般小売店でも販売が可能
取扱いが可能な業態 薬局 薬局・薬店・配置販売 一般小売店
分類の考え方等 医師の処方せんに基づいて使用されることを目的とする医薬品 医療用医薬品以外の医薬品であり、一般の購入者が、薬局等で購入し、自らの判断で使用する医薬品(※) 口臭やあせもの防止、胃の不快感の改善等を目的とする人体に対する作用が緩和なもの
各医薬品分類における具体的薬効群名等 解熱鎮痛薬、鎮咳去痰薬、かぜ薬、消化薬、止潟薬、外皮用薬、ビタミン主薬製剤、禁煙補助剤など 薬用歯磨き、浴用剤、育毛剤、ビタミン含有保健剤など
※1  指定医薬品は、取扱いに高度な薬学の知識を必要とする医薬品であり、その性質等を十分知らなければ危険性の大きい等薬剤師以外の者に取り扱わせることによって保健衛生上の気芸のおそれのあるもの。スイッチOTCは、一定期間必ず指定医薬品となる。
※2  配置販売品目は、薬理作用、蓄積性、習慣性、用法、用量等に関する基準の範囲内で、都道府県知事が指定したもの。
※3  特例販売品目は、緩和な内容剤等の基準の範囲内で、都道府県知事が必要と認める最小限度のもの。


2.医薬品の販売方法等について
  医療用医薬品 一般用医薬品 医薬部外品
指定
医薬品
  配置販売品目
  特例販売品目
販売に携わる者 薬剤師 薬剤師 薬剤師、薬種商、配置販売業者等 規制なし
販売に携わる者の資質等
薬剤師 6年間の薬学教育等を受け、国家試験に合格した者
(6年制導入前は4年間の薬学教育)
薬種商 高校、3年間の実務経験を経て、都道府県知事の試験に合格した者等
配置販売業者 5年間の実務経験を経て、都道府県知事が認めた者等
規制なし
販売に携わる者の配置方法 薬剤師の常時配置が必要。また、取扱処方せん数に応じた配置が必要。 薬局、一般販売業は薬剤師、薬種商販売業は薬種商の常時配置が必要。 規制なし
情報提供等の販売方法 薬剤師による対面販売が必要。 薬局、一般販売業は薬剤師、薬種商販売業は薬種商の対面販売が必要。配置販売業は配置による販売。 規制なし
副作用報告制度の有無 製薬企業、医師、薬剤師等が当局に副作用を報告する制度がある。 製薬企業による研究報告制度がある。
各業態ごとの管理者の要件等 薬局、一般販売業は、勤務する薬剤師の中から1店舗に1人、薬種商販売業は、薬種商を1店舗に1人。他の薬局等との兼務は不可。 規制なし
管理業務の内容 従業員の監督、医薬品や構造設備等の管理。 薬局、一般販売業は左と同じ。薬種商販売業は医薬品や構造設備等の管理。配置販売業は、配置員の指導監督。 規制なし
医薬品の陳列方法 薬局、一般販売業、薬種商販売業は、医薬品を他の薬品と区分して陳列する必要がある。 規制なし
販売に携わる者の識別方法(名札、着衣等) 規制なし 規制なし


3.医薬品の販売業態等について
  薬局 一般販売業 薬種商販売業 配置販売業 特例販売業 一般小売店
業態の数(2003年度) 49,956
(※)
12,080 14,393 11,075 9,405
各業態ごとの開設者の要件(営業時間、営業日数を含む) 薬局、一般販売業、特例販売業はなし。薬種商販売業は、都道府県知事の試験に合格した者等。配置販売業は都道府県知事が認めた者等。 規制なし
※1  人口10万人あたりの薬局・一般販売業・薬種商販売業の店舗数の合計は約60店。
※2  人口は『世界の統計2004』(総務省統計局)の最新のデータによる。

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