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男女雇用機会均等政策研究会報告書(平成16年6月)(抄)


4 間接差別の禁止

(1) 検討の経緯
 平成9年の改正男女雇用機会均等法により雇用の各ステージにおける女性に対する差別が禁止されることにより、男女間で異なる取扱いをすることは、法律上例外として許容されるもの以外は許されなくなった。しかしながら、必ずしも意図的な差別であるとは言えず、一見男女間で異なる取扱いをしていると言えないものの中にも、女性が不利となる制度や運用は存在しており、このようなケースについては現行の規制では対応が困難な場合がある。
 こうした問題の存在は平成9年の改正男女雇用機会均等法を検討した際にも認識され、諸外国の法制の例にあるように間接差別概念を取り入れるべきとの議論もなされたが、その概念自体が必ずしも明確でなく、具体的にどのようなものが該当するのかについての共通理解が必要であったことから法案には盛り込まれず、その後の国会審議において、附帯決議に今後の検討課題として盛り込まれた経過がある。そして間接差別については、昨年夏に、我が国が批准している女子差別撤廃条約に基づき設置された女子差別撤廃委員会の審査において指摘を受けたことから、益々注目されるようになってきた。
 今後、これらの、現行の規制では対応が困難となっている問題に対処していくためには、既に間接差別法理が導入されている諸外国の運用について整理することにより間接差別という概念を明確化するとともに、我が国において、具体的にどのようなものが違法な差別に該当するのかについてのイメージを示すことが必要である。

(2) 間接差別の概念
 一般的に、間接差別とは、外見上は性中立的な規定、基準、慣行等(以下「基準等」という。)が、他の性の構成員と比較して、一方の性の構成員に相当程度の不利益を与え、しかもその基準等が職務と関連性がない等合理性・正当性が認められないものを指すと理解できる。
 ヨーロッパでは、「間接差別(indirect discrimination)」と称されていることが多いが、初めてこの概念が登場したのは、アメリカにおける1971年のGriggs事件連邦最高裁判決であり、1964年公民権法第7編(以下「第7編」という。)の解釈として、「差別的効果(disparate impact)法理」が確立した。この差別的効果法理は、裁判例の蓄積を経て、1991年には第7編に規定が追加されている。
 一方、アメリカにおいて生成、発展した差別的効果法理の概念はヨーロッパに渡り、間接差別と呼ばれるようになった。EUの均等待遇に関する76年指令や各国国内法において規定が設けられ、やはり裁判例の集積を通じて徐々に具体的なイメージが形成されてきたものである(以下、アメリカの「差別的効果法理」を含め、「間接差別」と呼ぶこととする)。
 我が国においては、現在までのところ間接差別法理に立って判断された裁判例は雇用の分野には見出せない。家族手当に関して、男女同一賃金の原則を定めた労働基準法第4条違反が争われた日産自動車家族手当事件、勤務地限定、非限定を基準とした賃金の差について同じく労働基準法第4条違反が争われた三陽物産事件等はあるものの、いずれも間接差別を認めたものと断定することはできない。しかし、雇用の分野ではないものの、平成14年に大阪高裁で判決が下された被災者自立支援金請求事件においては、阪神・淡路大震災の被災者自立支援金の世帯主被災要件が世帯間差別及び男女差別を招来し、かつ、それらの差別に合理的理由を見出すことができず、公序良俗に違反すると判示されており、今まで明白に取り上げられなかった形態の差別を認めたものとして、今後の動向が注目される。

 ■ 日産自動車家族手当事件(平成元年1月26日 東京地裁判決/平成2年8月 東京高裁和解成立)
 親族を実際に扶養している世帯主である従業員に対し家族手当を支給するとし、「世帯主」とは、住民票上の世帯主ではなく、現実・実質的に親族を扶養している者とし、共働き夫婦の場合については、いずれか収入額の多い方とするとの取扱いがなされている家族手当支給規程について問題となった事件。共働き夫婦による分割申請を認めず支給対象者を1人に絞ることはやむを得ず、本件家族手当が生活補助費的性質が強い事実に鑑みると、家族手当を実質的意味の世帯主に支給することやいずれか収入の多い方に支給することは明確かつ一義的な運用であり不合理なものとはいえない。本件規程よりも優れた規程ないし運用もあり得るが、本件規程が不当なものでない以上、本件方式を採用するか否かは会社の裁量に属するものであって、当該会社において妻より夫の方が収入の多い家庭が多数を占め、それがために家族手当の支給対象の多くが夫即ち男性に限られていたとしてもやむを得ない。したがって、本件規程および運用基準は労働基準法4条及び民法90条違反とはならず、女子従業員を不当に差別したものでもないとされた。
 ■ 三陽物産事件(平成6年6月16日 東京地裁判決/平成7年7月 東京高裁和解成立)
 非世帯主及び独身の世帯主か、勤務地域限定の労働者には所定の本人給を支給せずに、26歳の年齢給が適用されるとの賃金規程を定め、男性に対しては全員勤務地域無限定とし、非世帯主及び独身の世帯主である女性に対しては勤務地域限定であるとして給与を据え置いたことが問題となった事件。(1)被告会社が世帯主・非世帯主の基準を設けながら、実際には男子従業員については非世帯主又は独身の世帯主であっても、女子従業員とは扱いを異にし、一貫して実年齢に応じた本人給を支給してきていること、(2)一般論として、勤務地域の限定・無限定の基準の制定及び運用が男女差別といえるものでない限り、何ら違法とすべき理由はないが、被告会社においては、男子従業員には勤務地無限定、女子従業員には勤務地限定と記入した勤務地確認票を送付していたこと、(3)男子従業員であっても必ずしも営業職に就くとはいえず、営業職についても広域配転の割合は微々たるものであると認められることから、当該基準は、真に広域配転の可能性がある故に設けられたものではなく、女子従業員の本人給が男子従業員のそれより一方的に低く抑えられる結果となることを容認して制定され運用されてきたものであるから、労働基準法4条の男女同一賃金の原則に反し、無効とされた。
 ■ 被災者自立支援金請求事件(平成14年7月3日 大阪高裁判決/確定)
 阪神・淡路大震災からの早期復興のための各般の取組を補完することなどを目的とした民法上の財団法人として設立された被告が、被災者自立支援金支給の要件を大震災から3年半経過した基準日時点に世帯主である者が被災していることととする世帯主被災要件を設けたことが問題となった事件。一般に、結婚した男女が世帯を構成する場合、男性が住民票上の世帯主となることが圧倒的に多いという社会的実態においては、当該要件は女性を男性よりも事実上不利益に取り扱う結果となる。また、世帯主自ら大震災に被災しているが、大震災後に同一世帯を構成するに至った他の世帯主構成員は被災していない場合と、世帯主は被災していないが、大震災後に同一世帯を構成するに至った他の世帯構成員が被災している場合とで、生活再建を図る困難さにおいて、後者の場合にのみ、本件自立支援金の受給資格を失わせることを合理的とするだけの差があると認めることは困難である。本件世帯主被災要件は、世帯間差別及び男女間差別を招来するものであり、かつ、それらの差別に合理的理由を見出すことができず、被告が世帯主被災要件を定めたことは、政策的・技術的要請に基づく裁量権を逸脱・濫用したものと考えられ、公序良俗に違反し無効とされた。

 間接差別概念の基本的考え方は各国ほぼ共通であるが、間接差別の概念を他の概念との比較で整理すれば、以下のとおりとなる。
(1)  いわゆる直接差別との関係
 我が国の法律においては男女雇用機会均等法も含め、およそ直接差別と間接差別という切り口で整理・制定されているものはない。しかし、既に法概念として定着している諸外国の法制の例から見れば、いわゆる直接差別は性に基づく取扱いの違いに着目する概念であるのに対し、間接差別は外見上は性中立的な基準等が男女に与える影響の違いに着目し、かつ差別意図の有無は問わないという相違がある。
(2)  いわゆる結果の平等との関係
 間接差別法理導入の目的は、一方の性に対して不利益を与える不必要かつ不合理な障壁を取り除き、実質的に機会の均等を確保することにある。
 間接差別は、格差の存在が前提になるものの、問題となっている基準等に職務との関連性や業務上の必要性などの合理性が認められれば差別とはならないものであり、格差の存在自体を問題とし、労働者の意欲や能力にかかわらず数値上の平等という結果自体を直接の目的とするようないわゆる結果の平等とは明らかに異なる。
(3)  ポジティブ・アクションとの関係
 ポジティブ・アクションには、女性のみを対象とする、あるいは、女性を有利に扱う取組のみならず、男女双方を対象とした取組として、女性が事実上満たしにくい採用・登用基準を見直したり、女性の勤続年数の伸長を図ることを目的として職業生活と家庭生活との両立支援施策を推進する等の取組も含まれるものであるが、後者については、女性という集団に与える不合理な障壁の是正を図るものであるという点で、間接差別法理と同様の目的を有しているという共通点がある。
 しかし、問題となっている基準等が間接差別であるとされた場合は、違法という評価を受けるものであるのに対し、ポジティブ・アクションは違法という評価を受けず、より望ましい状態に向けた雇用管理等の改善を図るというものであり、効果が異なる。また、それゆえ、ポジティブ・アクションの取組の対象は、間接差別におけるよりも広範な内容が含まれる。

(3) 諸外国における間接差別法理の状況
 今回調査を行った諸外国の間接差別に係る規定や適用状況は資料3のとおりである。法律上規定されている違法性の判断方法は、各国ともほぼ同様の手法となっており、原則として、一応どのような事案についても間接差別法理の俎上に載りうる仕組みとなっている。しかしながら、アメリカでは、既存の法律との関係等により、間接差別法理が適用されない事案があったり、また、各国の置かれた状況がそれぞれ異なること等から、実際の間接差別法理の適用状況については、国によってかなりの違いがある。なおフランスでは、法において間接差別法理を導入した時期が2001年であるということもあり、具体的な適用例は把握されていない。
(1)  ある基準等が一方の性に与える不利益の有無の判断基準
(@)  アメリカ
 アメリカにおいては、平等雇用機会委員会(EEOC)の労働者選考手続きに関する統一ガイドラインにおいて、一定の選考手続きにおけるあるグループ(人種・性等)の成功率が最も成功率の高いグループの5分の4を下回る場合は、その選考手続きは、一般的に差別的効果があると判断されることとなっており、裁判所の判断にも影響を与えている。ただし、必ずしも裁判所を拘束するものではない。
(A)  EU
 欧州司法裁判所においては、定まった判断基準はなく、具体的な判断は各国の裁判所に委ねるものとしている。
(B)  イギリス
 イギリスにおいては、定まった判断基準はなく、具体的な判断は労使が参加する個々の雇用(労働)審判所が行い、個別の事案によって不利益の有無の判断が様々である。
(2)  (1)に関し、不利益があると判断された場合の当該基準等の合理性・正当性に関する使用者の抗弁
(@)  アメリカ
 アメリカにおいては、使用者が「当該行為が職務関連性や業務上の必要性に合致していること」を証明しなかった場合には、使用者の行為は、差別的効果に基づく違法な雇用慣行とされる。また、上記を証明した場合であっても、原告がそれに代わる別の方法が存在することを証明したのに対し、使用者がその採用を拒否した場合には、差別的効果に基づく違法な雇用慣行となる。
(A)  EU
 EUにおいては、使用者が「当該規定、基準又は慣行が、正当な目的によって客観的に正当化され、その目的を実現する手段が適切かつ必要であること」を証明しない限り、間接差別が存在しているものとされる。
(B)  イギリス
 イギリスにおいては、使用者が「当該規定、基準又は慣行が性別に関係なく正当であること」を立証できない場合、女性(男性)に対する差別を行ったものとされる。
 なお、上記(1)(B)における不利益の有無の判断と同様、具体的な判断は雇用(労働)審判所が行うこととされているが、使用者の必要性と差別的効果の程度とのバランスで判断される傾向がある。
(3)  取扱い事案の特徴
(@)  アメリカ
 採用・昇進に関する事案が多く、解雇は少ない。
 賃金については、同一賃金法が、男女間の格差が「性別以外の要素」によるものであれば違法でないと定めており、第7編の下でも、同一賃金法により是認されている場合は違法な雇用慣行とならないとされていることから、賃金格差問題への差別的効果法理の適用は事実上否定されている。
 真正な先任権制度(雇用上の様々な権利や利益について勤続年数を基準にして優先順位を決める方法であって、差別的意図がないもの)により生じた雇用条件の差異については、第7編において違法な雇用慣行とならないと規定していることから、適用された例は把握されていない。
 また、パートタイム労働者や家族的責任の有無等に係る事項が間接差別とされた例は把握されていない。
(A)  EU
 各国からEU指令との関係において欧州司法裁判所における先行判断を求められる立場であるが、パートタイム労働者に関する賃金を含めた処遇格差事案が多い。
(B)  イギリス
 シングルマザーやパートタイム労働者など社会的な問題や家族的責任等に関わる事案が多い。

(4) 我が国において間接差別を検討するに当たって留意すべきこと
 我が国において間接差別を検討するに当たっては、以下の点に留意する必要がある。
(1)  今回調査を行った諸外国においては、間接差別について、規定の仕方は異なるが、何らかの形で法規制を行っている状況にあること。
(2)  間接差別法理の理解を徹底する必要があること。間接差別についての関心が高まってきたとはいえ、現状においては同概念については未だ正確な理解がなされていない。例えば、間接差別は結果の平等であるとの指摘や批判である。実際のところ、具体的な事例を引用し、これが間接差別であるとされる記述を見ると、性中立的な基準等について職務関連性や業務上の必要性など合理性・正当性があれば差別にはならないということの説明が欠けているものがある。本来、間接差別法理とは、不必要・不合理な障壁を取り除き、実質的に機会の均等を確保することにその意義があるところ、とりわけ、いわゆる結果の平等とは異なるものであることについての理解が広くなされることが間接差別法理についての冷静な議論を進める上で重要である。
(3)  不必要・不合理な障壁の除去という間接差別法理の効果に鑑みれば、あらかじめどのようなものが間接差別に該当する可能性があるかについて、イメージを示し、予測可能性を高め、法的安定性を高めることが必要であること。間接差別の具体的なイメージは諸外国においては裁判例の集積により徐々に形成されてきたという経過がある。しかし、裁判になってみなければ差別であるかどうか分からないというのでは労働者にとっても使用者にとっても様々な意味で負担が少なくない。違法状態が生じないようあらかじめ見直しが促され、また、早期に是正が図られることが重要であり、実際にどのような場合が間接差別に該当するのかということについて共通理解が得られていることが必要であろう。
(4)  仮に間接差別に該当しない場合であっても機会の均等の実質化のための取組はポジティブ・アクションの積極的な推進により広く行われることが望まれること。間接差別法理導入の意義は、不必要・不合理な障壁を取り除き、実質的に機会の均等を確保することにあるものであり、違法な差別に該当すれば是正が図られるべきこととなるが、違法な差別には該当しない場合においてもポジティブ・アクションの中でこうした見直しが積極的になされることが期待されるものである。

(5) 間接差別として考えられる例
 本研究会では間接差別として考えられる典型的な事例についてイメージを示すため、これまで様々なところで間接差別に該当するのではないかと指摘されたものを中心に、若干追加をした事例について検討を加えた。その結果は次の(1)から(7)に示すとおりである。
 間接差別に該当するかどうかについては、いずれの事例においても、実際には個別具体的な事案ごとに事実認定を行い、判断していくものである。
 また、外見上性中立的な基準等が一方の性に不利益を与えるか否か及び当該基準等の合理性・正当性に関する使用者の抗弁について、総合的に判断を行うものであることに留意すべきである。
 なお、(2)、(4)、(6)、(7)については、女性に不利益を与えることとなる基準等の適用を受けることについては、職業に関する当該女性自らの意思や選択に基づく結果であるという点で他と異なっており、これを差別の俎上に載せることは性別役割分担等現状の固定化につながる懸念もあることから、そもそも間接差別の俎上に載せるべき事案ではないのではないかとの意見も根強かったが、仮に俎上に載せた場合にはどのような場合に間接差別となりうるのかについて整理したものである。


【間接差別として考えられる例】
 (1)  募集・採用に当たって一定の身長・体重・体力を要件としたことにより、女性の採用が男性に比べ相当程度少ない場合において、当該基準等の合理性・正当性に関する以下のような使用者の抗弁が認められない場合。
 従事する職務の遂行に当たって一定の身長・体重又は体力を必要とする等、職務関連性があること
 他の方法によって身長・体重・体力を補うことが困難である、又は機械を購入する等の、より一方の性に不利とならない他の方法を採用すると使用者に過大な負担を生じること 等

 (2)  総合職の募集・採用に当たって全国転勤を要件としたことにより、女性の採用が男性に比べ相当程度少ない場合において、当該基準等の合理性・正当性に関する以下のような使用者の抗弁が認められない場合。
 全国に支店・支社等がある場合であって、異なる地域の支店・支社で管理者としての経験を積むこと、生産現場の業務を経験すること、地域の特殊性を経験すること等が幹部としての職務能力の育成・確保に必要であること
 組織運営上全国転勤を伴う人事ローテーションを行うことが必要である等業務上の必要性があること
 実際の運用に当たっては、転勤をする時点において個々の労働者の状況に配慮する等労働者の不利益を緩和する措置を講じていること、またそのことが労働者に周知されていること 等

 (3)  募集・採用に当たって一定の学歴・学部を要件としたことにより、女性の採用が男性に比べ相当程度少ない場合において、当該基準等の合理性・正当性に関する以下のような使用者の抗弁が認められない場合。
 実際に従事する職務の遂行に当たって一定以上の学歴の者が有すると期待される教養・知識や特定の学部で修得される専門知識を必要とする等の職務関連性があること
 他の方法によってこれらの教養・知識を有しているか否かを判断することが困難である、又はより一方の性に不利とならない他の方法があったとしても当該方法を採用すると使用者に過大な負担が生じること 等

 (4)  昇進に当たって転居を伴う転勤経験を要件としたことにより、昇進できる女性の割合が相当程度男性よりも少ない場合において、当該基準等の合理性・正当性に関する以下のような使用者の抗弁が認められない場合。
 昇進後の職務が、異なる地域の支店・支社での管理者としての経験、生産現場の業務の経験、地域の特殊性の経験等を必要とすること
 当該企業において人事ローテーション上転居を伴う転勤が必要な場合であって、組織運営上、転居を伴う転勤を経験した者に対して、一定の処遇を与えることにより、企業内のモラルを維持することが必要である等の業務上の必要性があること
 実際の運用に当たっては、転勤をする時点において個々の労働者の状況等に配慮する等労働者の不利益を緩和する措置を講じていること、また、そのことが労働者に周知されていること 等

 (5)  福利厚生の適用や家族手当等の支給に当たって住民票上の世帯主(又は主たる生計維持者、被扶養者を有すること)を要件としたことにより、福利厚生の適用や家族手当等の支給を受けられる女性の割合が男性に比べ相当程度少ない場合において、当該基準等の合理性・正当性に関する以下のような使用者の抗弁が認められない場合。
 原資に制約があることから、福利厚生の適用や家族手当等の支給の対象を絞ることが制度の目的や原資の配分上合理的であること
 より一方の性に不利とならない他の方法が存在しない、又はより一方の性に不利とならない方法があったとしても当該方法を採用すると使用者に過大な負担が生じること 等

 (6)  処遇の決定に当たって正社員を有利に扱ったことにより、有利な処遇を受けられる女性の割合が男性に比べ相当程度少ない場合において、当該基準等の合理性・正当性に関する以下のような使用者の抗弁が認められない場合。
 正社員とパートタイム労働者の間で職務の内容や人材活用の仕組みや運用などが実質的に異なること 等
 (※総合職と一般職との間の処遇の違いについても同様。)

 (7)  福利厚生の適用や家族手当等の支給に当たってパートタイム労働者を除外したことにより、福利厚生の適用や家族手当等の支給を受けられる女性の割合が男性に比べ相当程度少ない場合において、当該基準等の合理性・正当性に関する以下のような使用者の抗弁が認められない場合。
 人材活用の仕組みや運用、労働者の定着への期待などが実質的に異なること
 原資に制約があり、当該福利厚生の適用や家族手当等の支給の対象を絞ることが制度の目的や原資の配分上、合理的であり、より一方の性に不利とならない他の方法が存在しない、又はより一方の性に不利とならない方法があったとしても当該方法を採用すると使用者に過大な負担が生じること 等


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