戻る

社会保障審議会−福祉部会
第14回(H17.2.9) 資料3


社会福祉施設職員等退職手当共済制度の改正(案)について
〔介護保険法等の一部を改正する法律案〕<平成18年4月施行予定>


I  公的助成の見直し

II  給付水準の見直し

III  被共済職員期間の通算制度の改善

(備考)  制度の概要等



I 公的助成の在り方の見直しについて

 介護保険制度の対象となる高齢者関係の施設・事業については、社会福祉法人以外の経営者が多数参入している状況や閣議決定等の指摘を踏まえ、公的助成を廃止。(児童・障害等の施設・事業については、従来通り、公的助成を行う。)

 ○  特殊法人等整理合理化計画(平成13年12月19日閣議決定)(抄)

【社会福祉施設退職手当共済】

 平成17年を目途に行われる介護保険制度の見直しに合わせ、介護保険における民間とのイコールフッティングの観点から、助成の在り方を見直す。

 ※  独立行政法人福祉医療機構法案等に対しても、同様の附帯決議(参議院)あり。(平成14年12月5日)

 経営者の期待利益の保護、掛金負担の激変緩和の観点から、既加入職員については、退職時まで現在の助成を継続するといった、十分な経過措置を講じる。

グラフ

 ※  養護老人ホーム(措置施設)については、従来どおり公的助成を行う。



(参考1) 介護施設等に対する助成の経過措置

 制度改正時の既加入職員について退職時まで公的助成を継続する経過措置を講じる。

グラフ

 制度改正時の既加入職員については、改正時の勤務場所に関わらず、改正法施  行(平成18年4月)後に介護施設等に勤務している間は公的助成対象とする。

<改正前> (平成18年4月) <改正後>  
介護施設等(例:特養)に勤務している被共済職員
 
────┼ ───→
 
(引き続き、介護施設等に勤務)
公的助成対象
他の施設等(例 老健施設)に勤務している被共済職員
 
────┼ ───→
 
同一法人の介護施設等に異動



(参考2)  加入、脱退(契約の解除)の見直しについて

【加入】
 介護施設等については公的助成を廃止し、経営者が新規加入者については3/3の掛金を負担することとなることから、施設・事業ごとの任意加入を可能とする。
 既加入職員のみの継続加入(改正以後の新規採用職員は加入しない)も経過措置として認める。
【脱退(契約の解除)】
 介護施設等及び申出施設等については、施設・事業所ごとの部分的脱退を可能とする。
 また、介護施設等については、公的助成のない制度改正後の新規加入職員については、その新規加入職員全員について部分的脱退を可能とする。
 いずれの場合にも、脱退の対象となる職員全員の同意が必要。

加入及び脱退の取扱(現行との比較)
  加入 脱退(契約の解除)
  現行 改正後 【掛金】 現行 改正後
社会福祉施設等 共済に加入する場合には、包括加入が必要 1/3 共済から脱退する場合は、包括脱退のみ可能。(被共済職員全員の同意を必要とする。)
介護施設等 同上 施設・事業所ごとに任意加入
申出施設等と異なり、社会福祉施設等がなくとも共済加入は可能。
経過措置として、既加入職員のみの継続加入も可能
3/3(既加入職員については、経過措置として1/3) 同上
施設・事業所単位での部分的脱退を可能とする。
経過措置として、制度改正後の新規加入者全員での部分的脱退を可能とする。
(※脱退対象となる職員全員の同意を必要とする。)
申出施設等 施設・事業所ごとに任意加入
社会福祉施設等又は介護施設等がなければ、申出施設等だけで共済に加入することはできない。
3/3 同上
施設・事業所単位での部分的脱退を可能とする。
(※脱退対象となる職員全員の同意を必要とする。)
 なお、制度改正後の新規採用職員は加入しないこととした場合や改正後の新規採用職員全員での部分的脱退をした場合において、これらの職員について中小企業退職金共済制度に加入できるように改正する(中退制度の包括加入の適用除外として定める)方向で担当部局に検討を依頼中。



(参考3)  介護施設等に係る改正時における手続

 制度改正時に加入している施設・事業については、特に手続を必要とせず、引き続き制度に加入。(→既加入職員、改正後の新規採用職員とも、被共済職員となる。)

 制度改正後の新規採用職員について制度に加入せず、既加入職員のみ継続加入させる場合については、改正前にあらかじめ福祉医療機構に届け出るものとする。

図
届出の方法、期間等については、厚生労働省令において定める予定である。(期間は、平成17年12月〜18年3月とする方向で検討中)

届出を行わなかった場合には、改正後の新規採用職員についても自動的に被共済職員となる。(公的助成なし)

施行日以降においても、改正後の新規採用職員全員での部分的脱退は可能である。但し、脱退の対象となる職員全員の同意が必要である。



(参考4) 介護保険制度の対象となる高齢者関係の居宅介護サービスと障害者関係の居宅介護サービスのどちらも提供する事業所の取扱いについて

 今回の見直しで、介護保険制度の対象となる高齢者関係の施設・事業(社会福祉事業)についての公的助成を廃止することとするが、主として障害者関係の事業を行うものについては公的助成を継続して行う。
このため、両方のサービスを提供する事業所については、
 二つの事業について、組織的に切り分けられる場合には、各事業毎に適用関係(任意包括加入とするか、公的助成を行うか)を区分することとする。
 二つの事業について組織的にも一つの業務単位で行っている場合には、両方の業務量によって、適用関係や公的助成の有無を区分することとする。また、業務量の変動により掛金の負担額が一挙に変動しないことが望ましいため、業務量の比率に応じた職員数の分について公的助成を行うこととする。

二つの事業について、組織的に一つの業務単位で行っている事業所、職員の取扱い

障害者関係の業務の比率 施設類型の分類 適用関係 公的助成
2/3以上 社会福祉施設等 任意包括加入 有(2/3)
2/3〜1/3 介護施設等 申出により加入、脱退 業務量の比率に応じた職員数の分について公的助成を行う。
1/3未満 なし
注) 業務量については、原則として、前年度実績を用いる予定。



II 給付の在り方の見直しについて

 現行の国家公務員準拠の給付水準を見直し、掛金負担の増加が見込まれる中で、制度の安定化を図る等の観点から、給付水準について、1割の抑制を行う。






 退職者の増加等により、掛金は、現行の給付水準を維持した場合、
現在年額42,300円→2025年(推計)58,900円。(高齢者関係の施設・
事業については、将来的には公的助成がなくなることからこの3倍の金額)
 公的助成のなくなる高齢者関係の施設・事業の新規採用職員に
ついて、新規加入の抑制が考えられ、さらなる掛金額の増加につながる
可能性。







 経過措置として、既加入職員については、改正時点での退職金の水準(支給乗率)を確保。

支給乗率と平均退職金額(現行と1割抑制の場合の比較)

  現行 1割抑制の場合
在籍期間(年) 支給乗率 平均退職手当金額(円) 支給乗率 平均退職手当金額(円)
1 0.6 96,000 0.54 86,400
3 1.8 315,000 1.62 283,500
5 3 570,000 2.70 513,000
10 7.5 1,650,000 6.75 1,485,000
15 12.4 3,100,000 11.16 2,790,000
20 21 5,880,000 18.90 5,292,000
25 33.75 10,800,000 30.38 9,720,000
(注) 退職金額は退職前6か月間の平均本俸月額をもとに設定された計算基礎額に支給乗率をかける。上表は平成15年度退職者の平均本俸月額をもとに算出。

 なお、業務上の死亡や傷病による退職の場合の退職手当金については、当分の間の措置である調整率(10%加算)を廃止する。

既加入職員の給付水準に関する経過措置のイメージ

既加入職員の給付水準に関する経過措置のイメージのグラフ



III 被共済職員期間の通算制度の改善

 働き方の多様化等現在の雇用慣行を踏まえ、現行の取扱に加え、法人の同意や期間の継続といった要件を満たさない場合であっても、退職後2年以内に再び被共済職員になる等一定の要件を満たす場合には、前後の期間を通算する。

(現行)  法人間の合意に基づく異動であって、被共済職員としての期間が継続する場合のみ、退職扱いとせずに異動前後の加入期間を通算(運用)。
プラス
(改正案) 現行の取扱に加え、一度退職をして被共済職員としての期間が継続しない場合であっても、
 (1)  被共済職員である期間が1年以上であること
 (2)  退職手当金の請求を行っていないこと
 (3)  退職後2年以内に再び被共済職員になること
等の要件を満たす場合は、職員の申請により前後の期間を通算。(法律改正)

図
 当該措置については、平成18年4月以降に退職した者について適用する。



(備考) 現行の社会福祉施設職員等退職手当共済制度の概要

 社会福祉法人の経営する社会福祉施設等の職員の退職について退職手当を支給し、その待遇改善により、社会福祉事業の振興に寄与することを目的に創設。(昭和36年度)
 退職手当の給付水準は国家公務員準拠となっており、その財源については国及び都 道府県から高率の補助。

制度のポイント

制度加入対象は、社会福祉法人(経営者)の経営する社会福祉施設等の職員。(経営者ごとの任意・包括加入)
給付水準は国家公務員に準拠。
財源方法は賦課方式。
給付費については、国、都道府県、及び経営者(社会福祉法人)が3分の1ずつ負担。

社会福祉施設等以外の介護老人保健施設等の施設・事業についても、経営者の任意の申し出により制度加入可能(申出施設等)。但し、公費補助は行われない。(経営者が3分の3負担)

制度のポイントの図


トップへ
戻る