戻る

第7回
資料9

最低賃金に関するアンケート調査結果(労働政策研究・研修機構)(概要)


 趣旨
 最低賃金制度について、事業者の認識状況、活用状況、有効性の認識状況、最低賃金の賃金や雇用への影響などを調べること。

 調査の対象
 従業員30人未満(製造業は100人未満)の事業所10,000件(産業別最低賃金の適用事業所と非適用事業所をそれぞれ5,000件無作為抽出)に送付し、回答は2,434件(回収率26.2%)

 調査時期
 平成16年11月17日〜12月3日

 結果の概要
(1) 調査対象事業所の属性
(1) 産業別にみると、「製造業」が45.7%、「卸売・小売業等」が18.8%、「サービス業等」が21.5%、「その他」が13.9%となっている。産業別最低賃金適用事業所では、「製造業」が66.8%、「卸売・小売業等」が13.6%、「サービス業等」が9.5%、「その他」が10.2%、産業別最低賃金非適用事業所では、「製造業」が23.6%、「卸売・小売業等」が24.4%、「サービス業等」が34.2%、「その他」が17.9%となっている。
(2) 事業所規模別にみると、「1〜4人」が37.1%、「10〜29人」が25.7%、「5〜9人」が22.2%、「30人以上」が14.9%となっている。

(2) 地域別最低賃金に関する結果
(1) 地域別最低賃金額を知っているとする事業所は46.6%。産業別では製造業が49.9%、サービス業で41.3%。規模別では「1〜4人」が28.1%に対し、「30人以上」は77.1%。
(2) 地域別最低賃金額を正確に知っていた事業所は、2,434件中590件(24.2%)。産業別では「製造業」が26.3%、「サービス業等」は、20.0%。規模別では「1〜4人」で11.5%に対し、「30人以上」で51.6%。
(3) 地域別最低賃金額の認識経路については、「労働局のホームページやパンフレット等をみて」が最も多く68.8%。規模別には、「1〜4人」で「労働局のホームページやパンフレット等をみて」の割合が43.4%と、他の規模と比べ低く、その他の認識経路の回答割合が高くなっている。
(4) 正社員の賃金決定要素(複数回答)としては、「経験年数に応じて」が63.4%と最も多く、「地域別最低賃金」は12.4%。また、最も重視しているものとして、「経験年数に応じて」が27.0%であるのに対し、「地域別最低賃金」は3.5%。
 産業別最低賃金非適用事業所で見ると、「経験年数に応じて」が58.6%と最も多く、「地域別最低賃金」は15.5%。また、最も重視しているものとして、「経験年数に応じて」が25.6%であるのに対し、「地域別最低賃金」は5.8%。
(5) パートタイム労働者の賃金決定要素(複数回答)としては、「同じ地域・職種のパートの賃金相場」が55.9%と最も多く、「地域別最低賃金」は27.2%で4番目に高い。また、最も重視するものとして、「同じ地域・職種のパートの賃金相場」が36.3%であるのに対し、「地域別最低賃金」は7.3%。
 産業別最低賃金非適用事業所で見ると、「同じ地域・職種のパートの賃金相場」が59.3%と最も多く、「地域別最低賃金」は32.1%で3番目に高い。また、最も重視するものとして、「同じ地域・職種のパートの賃金相場」が35.2%であるのに対し、「地域別最低賃金」は10.4%。
(6) アルバイトの賃金決定要素(複数回答)としては、「同じ地域・職種のアルバイトの賃金相場」が54.2%と最も多く、「地域別最低賃金」は22.5%で4番目に高い。また、最も重視するものとして、「地域別最低賃金」は8.4%。
 産業別最低賃金非適用事業所で見ると、「同じ地域・職種のアルバイトの賃金相場」が54.5%と最も多く、「地域別最低賃金」は26.1%で3番目に高い。また、最も重視するものとして、「地域別最低賃金」は11.8%。
(7) 「正社員の賃金が地域別最低賃金にどのくらい張り付いているか」については、地域別最低賃金の「101%未満の従業員がいない事業所」が92.0%、「101〜105%未満の従業員がいない事業所」が88.4%、「105〜110%未満の従業員がいない事業所」が75.7%であり、正社員の地域別最低賃金への張付きはあまり見られない。なお、全正社員の賃金が地域別最低賃金の101%未満である事業所が2.4%存在。
(8) 「パートタイム労働者の賃金が地域別最低賃金にどのくらい張り付いているか」については、地域別最低賃金の「101%未満の従業員がいない事業所」が86.6%、「101〜105%未満の従業員がいない事業所」が80.0%、「105〜110%未満の従業員がいない事業所」が66.2%であり、正社員ほどではないがそれほど張り付いていない。なお、全パートタイム労働者の賃金が地域別最低賃金の101%未満である事業所が5.9%存在。
(9) 「アルバイトの賃金が地域別最低賃金にどのくらい張り付いているか」については、地域別最低賃金の「101%未満の従業員がいない事業所」が88.8%、「101〜105%未満の従業員がいない事業所」が81.0%、「105〜110%未満の従業員がいない事業所」が72.7%であり、パートタイム労働者とほぼ同様。なお、全アルバイトの賃金が地域別最低賃金の101%未満である事業所が6.2%存在。
(10) これまでに地域別最低賃金が引き上げられたために、「新規雇用を抑制したことがある」事業所は4.2%。産業別では「製造業」においてやや雇用抑制経験がある割合が高い。事業所規模別には、規模が小さい事業所ほど雇用抑制経験がある割合が高い。
(11) 地域別最低賃金が引き上げられた場合、「新規雇用を控えることを考える」事業所は12.6%。それらの事業者が、「最低賃金がどのくらい引き上げられると新規雇用を控えるか」については、「1%以上5%未満」が36.9%で最も多い。さらに、「地域別最低賃金が10%(1時間当たり60〜70円程度)引き上げられた場合、何人くらい新規雇用を抑制するか」については、「1人」と「2人」がそれぞれ27.1%で最も多い。
(12) 地域別最低賃金が役立っていると回答する事業所は24.6%。役立っている理由としては、「パートタイム労働者やアルバイトの賃金を決める上で参考になる」が81.2%で最も多い。逆に、地域別最低賃金が役立たないとする主な理由としては、「最低賃金額が低すぎて参考とすることがないことから」が71.5%で最も多い。
(13) 地域別最低賃金を知らない主な理由としては、「低賃金労働者がいないため、最低賃金について確認する必要がない」が49.8%で最も多い。事業所規模別には、規模が小さい事業所ほど「そもそも最低賃金制度が存在することを知らなかった」とする割合が高く、規模が大きい事業所ほど「低賃金労働者がいないため、最低賃金について確認する必要がない」とする割合が高い。

(3) 産業別最低賃金に関する結果
(1) 産業別最低賃金を知っているとする事業所は40.6%。産業別には、「製造業」で知っている割合が高く(47.9%)、「サービス業等」で低い(31.2%)。規模別には、「1〜4人」で23.8%、「30人以上」で71.9%。産業別最低賃金適用事業所である事業所のうち、自分の事業所を適用事業所であると回答している事業所は44.1%。
(2) 産業別最低賃金適用事業所の認識経路では、地域別最低賃金と同様「労働局のホームページやパンフレット等をみて」が最も多く74.3%。規模別では、地域別最低賃金と同様、「1〜4人」で「労働局のホームページやパンフレット等をみて」の割合が48.4%と、他の規模と比べ低く、その他の認識経路の回答割合が相対的に高くなっている。
(3) 産業別最低賃金適用事業所の正社員の賃金決定要素(複数回答)として、「産業別最低賃金」は14.9%(非適用事業所は8.8%)。また、最も重視しているものとして、「産業別最低賃金」は3.2%(非適用事業者は1.7%)。
(4) 産業別最低賃金適用事業所のパートタイム労働者の賃金決定要素(複数回答)としては、「産業別最低賃金」は18.9%(非適用事業所は12.0%)。また、最も重視するものとして、「産業別最低賃金」は9.8%(非適用事業所は4.0%)。
(5) 産業別最低賃金適用事業所のアルバイトの賃金決定要素(複数回答)としては、「産業別最低賃金」は13.1%(非適用事業所は11.2%)。また、最も重視するものとして、「産業別最低賃金」は7.3%(非適用事業所は2.9%)。
(6) 「正社員の賃金が産業別最低賃金にどのくらい張り付いているか」については、産業別最低賃金の「101%未満の従業員がいない事業所」が87.1%、「101〜105%未満の従業員がいない事業所」が84.3%、「105〜110%未満の従業員がいない事業所」が79.7%であり、地域別最低賃金と同様、正社員の産業別最低賃金への張付きはあまり見られない。なお、全正社員の賃金が産業別最低賃金の101%未満である事業所が2.9%存在。
(7) 「パートタイム労働者の賃金が産業別最低賃金にどのくらい張り付いているか」については、産業別最低賃金の「101%未満の従業員がいない事業所」が81.8%、「101〜105%未満の従業員がいない事業所」が54.4%、「105〜110%未満の従業員がいない事業所」が56.9%。なお、全パートタイム労働者の賃金が産業別最低賃金の101%未満である事業所が5.5%存在。
(8) 「アルバイトの賃金が産業別最低賃金にどのくらい張り付いているか」については、産業別最低賃金の「101%未満の従業員がいない事業所」が81.1%、「101〜105%未満の従業員がいない事業所」が77.1%、「105〜110%未満の従業員がいない事業所」が77.8%。なお、全アルバイトの賃金が産業別最低賃金の101%未満である事業所が10.8%存在。
(9) これまでに産業別最低賃金が引き上げられたために、「新規雇用を抑制したことがある」事業所は4.8%。
(10) 産業別最低賃金が引き上げられた場合、「新規雇用を控えることを考える」事業所は18.4%。それらの事業者が、最低賃金がどのくらい引き上げられると新規雇用を控えるかについては、「5%以上10%未満」が31.4%で最も多い。さらに、「産業別最低賃金が10%(1時間当たり60〜90円程度)引き上げられた場合、何人くらい新規雇用を抑制するか」については、「1人」(31.0%)と「2人」(27.6%)とする場合が多い。
(11) 産業別最低賃金が廃止された場合、「賃金を現状のままとし、雇用量も増やさない」とする事業所が77.2%。賃金を引き下げない理由としては、「現在雇っている従業員のやる気に影響するため」とする割合が52.8%と最も多い。また、「賃金を引き下げる」と回答した事業所が「賃金を引き下げる場合、平均どの程度賃金を引き下げるのか」については、「5%以上〜10%未満」が44.4%と一番多い。
(12) 産業別最低賃金が役立っていると回答する事業所は24.5%。事業所規模別には、「30人以上」36.8%、「1〜4人」19.2%。産業別最低賃金が役立っている理由としては、「パートタイム労働者やアルバイトなどの賃金を決める上で参考になる」が76.6%で最も多い。逆に、産業別最低賃金が役立たないとする主な理由としては、「産業別最低賃金額が低すぎて、参考にしないため」が40.9%で最も多い。
(13) 「自分の産業ではない他産業の産業別最低賃金が自分の事業所に人材確保の観点から影響している」とする割合は21.6%。規模別には、「30人以上」の事業所で「影響している」とする割合が高い(30.9%)。産業別には製造業で25.5%、製造業以外で7.5%。


トップへ
戻る