05/01/31 労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会第13回議事録         第13回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会 1 日時 平成17年1月31日(月)16:00〜 2 場所 厚生労働省 専用第17会議室(16階) 3 出席者  〔委員〕    公益代表  保原委員(会長)、石岡委員、稲葉委員、岩村委員、          金城委員    労働者代表 佐藤委員、須賀委員、寺田委員、内藤委員、真島委員    使用者代表 杏委員、下永吉委員 4 議題  (1) 労災かくし対策について  (2) 労働安全衛生法等の一部を改正する法律案要綱(労働者災害補償保険法及び労    働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部改正関係)について 5 議事 ○保原部会長  ただいまから第13回労災保険部会を開催いたします。本日は岸委員、高松委員、川合 委員、紀陸委員、早川委員がご欠席です。  では、本日の議事に入ります。本日の議題は2つあり、1つは「労災かくし対策につ いて」、もう1つは「労働安全衛生法等の一部を改正する法律案要綱(労働者災害補償 保険法及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部改正関係)について」です。 まず、1つ目の「労災かくし対策について」を事務局からご説明をお願いします。 ○労災管理課長  説明をさせていただきます。前回、部会長から労災かくし事案について把握している 状況と、これまで講じてきた対策の状況について事務局に報告を求められておりますの で、報告をさせていただきます。資料1−1は、労災かくし事案に対する措置状況等で す。この資料は平成11年から12年の2年間、全国の労働局及び監督署において、労災か くし事案として対処したものを報告してもらい、本省で把握した421件について分析し たものです。回答の中には重複回答や、確認できなかったものも含まれておりますの で、合計数は421に一致しておりません。  順番にご紹介をさせていただくと、まず、労災かくしの発覚の端緒ですが、被災者か らの申告がいちばん多く231件、続いて第三者(被災者の家族、同僚等)の方からの情 報提供が136件、事業主・元請からの申出が55件、また、監督署の職員の調査等によっ て発覚したものが35件です。  次に労災かくしの動機ですが、元請への配慮が120件、元請からの指示・圧力が18件 です。そのほかに、監督署の調査を嫌うというものが45件、今後の受注への影響の懸念 が25件、法違反の作業内容の発覚をおそれるというものが10件あります。ただし、ここ で掲げられている動機については、多くの場合、複合的なものではないかと考えられま す。これより、特に建設業については、元請への配慮といった要因が大きな比重を占め ていると考えられます。  次に措置状況です。措置の内容として、司法処分が195件、警告が195件となっており ますが、これは司法処分を行ったもの以外に、是正勧告書や指導票によって警告をした ものなどの件数です。以上が措置状況等です。  資料1−2は、行政において、労災かくし対策としてこれまで基本通達等に基づいて 取り組んできた主な内容を掲げております。まず、指導の徹底及び周知・啓発というこ とで、事業主の方々に行政として、あらゆる機会を通じて指導の徹底をしています。特 にポスターやリーフレットの活用で広く周知・啓発を行ってきております。また、事業 主団体等を通じて周知の要請を行っています。  次に事案の把握及び調査です。監督指導時における点検のほか、行政の内部で労災部 門と監督部門が連携をして関係書類の突合を行い、虚偽の報告がないか点検をするとい った取組を行っております。  事案を発見した場合の措置です。司法処分について厳正に対処することを行いつつ、 そのほかに警告、あるいは再発防止対策を講じさせるといった措置、また、無災害表彰 状の返還を求めるといった対応を行っています。  そのほかに関係行政機関との連携ということで、国土交通省との通報制度等に基づく 対応などを行っているところです。  次の頁に労災かくし事案の送検状況を(注)という形で表を付けております。送検総 件数、そのうち建設業の件数は記載のとおりです。直近の平成15年の数字で見ると、送 検総件数132件、このうち建設業が100件です。  行政として把握している状況についてポイントのみ説明をさせていただきました。本 日の報告の中でも、建設業において労災かくし事案が多いという状況です。背景とし て、建設業における固有の問題があると考えられます。そういったことも踏まえ、前回 の議論の中でも申し上げたのですが、私どもとしては関係の方々から意見を聞き、対策 の検証をするなどして、労災かくし対策の一層の推進を図っていきたいと考えていま す。以上です。 ○保原部会長  ありがとうございました。ただいまの説明にご意見、ご質問がありましたらお願いし ます。 ○佐藤委員  前回の部会で申し上げるべきことはほとんど申し上げました。行政としても十分なご 努力をいただき、とりわけ労災かくしは犯罪であるという認識で、労災かくしの発生を 防止する努力をお願いしたいし、そういうことをするということが明らかにされてい る。名前を挙げて悪いのですが、この業界を代表される形で、下永吉委員は労働安全衛 生について万全を期すと。労災かくしについても、そのようなことがないように徹底を 図るという趣旨のご発言をされたので、是非ともそのようにやっていただきたい。これ はお願いです。  私の手元に、朝日新聞の中部本社が昨年の12月14日から「好況の陰で多発する労災事 故」というシリーズを4回連載したものがあります。その中で看過できない記事が載っ ておりました。このことについて調べろとは言いませんが、その第2回(12月15日)に 掲載されたものに「救急車は勝手に呼ばないように」というポスターの貼ってある写真 が写っています。  私は前回もいろいろな立場から申し上げたのですが、建設業の実態というのはそんな 生やさしいものではありません。この取材はかなり突っ込んでやられているし、今日は 毎日新聞の論説委員の方もお見えになっていますが、『なくせ!労災隠し』という本が 出されている。それほど社会問題化している状況を、通り一遍と言っては悪いけれど も、一生懸命やってはいるのだろうけれども、今ひとつ響いてこない。  それで、そのような記事が公然と新聞に出る。こういう状況について誰を責めるとい うつもりはありませんけれども、この実態を十分考えるのならば、メリット制の引き上 げと、労災かくしの間には相当因果関係があるという元々の考えは変わらないわけで す。朝日新聞、毎日新聞と言えば日本を代表する新聞です。そういったところが社会的 に問題視されているという意味です。そういうことを考えた上で、これから具体的に労 災かくしの委員会等も持たれると聞いておりますが、十分な対策をやっていただきたい と思います。それから、現場の監督官方のご努力もあると思いますが、非常に人数が少 ない。そういった問題もこういうことを生むのではないか。もう一度言うと元請有利な 業界の中で、口先だけで労働安全を叫び、あるいは労災かくしは犯罪だと叫んでいるだ けでは、少しも改善されていない。  今日示された資料でも「送検される」という意味合いは、努力をされ、そういった事 実を捕まえたということですから、評価すべきだとは思いますが、依然として建設業が 圧倒的に多いという現状は、強く訴えておきたいと思います。その上で答申・建議され ると思いますけれども、お願いをしたいと思います。以上です。 ○下永吉委員  ただいま佐藤委員からお話がありましたが、事務局からご説明いただいた資料を厳粛 に受け止め、今後の安全対策、なかんずく労災かくし、こちらのほうで委員会が設置さ れるということですので、それに積極的に参加をし、多くの人に頑張ってもらいたいと 考えております。以上です。 ○労災管理課長  佐藤委員からご指摘がありましたが、前回申し上げたとおり、私ども行政にとって労 災かくしの問題は、大変深刻な大きな問題だと考えております。対策について通り一遍 ではないかというお話もありましたが、これまで行政として、いろいろな形で考えられ る対策については手を打ち、総合的にいろいろな連携を図りながらやってきています。 労災かくしについては繰り返し繰り返しやっていくことが必要であり、また、対策の状 況についても常に点検をしながらやっていく姿勢が必要ではないかと考えています。  今回、メリット制の議論の中で、労災かくしについて懸念、ご意見があったことを受 け止め、労災かくし対策について関係者から意見を聞き、点検をし、対応していきたい と思っております。 ○保原部会長  ありがとうございました。大体、認識は一致していると思いますが、そのほかにご意 見、ご質問がありましたらお願いします。 ○金城委員  こういう数字が出ているのですが、暗数はすごく多いのではないですか。これは、た またま発覚したものであって、発覚せずに終わっている数字がかなり多いのではないか と思います。  もう1つなのですが、いま、これだけここで問題になって、単に一層の推進と言うの はちょっと問題ではないか。決め手になるものはないのかもしれませんが、何か具体的 に、こんなことがあるということがありましたらそれをお話いただきたいのです。以上 2点です。 ○労災管理課長  労災かくしの件数、暗数があるのではないかというご指摘ですが、確かにかくしてい るものについて、その全体像についてどのぐらいと把握するのは、なかなか難しいもの があります。司法処分に付した以外に、かなりの件数があるのではないかということ は、そういう実態があるのではないかと受け止めております。ですから、私どもの行政 としては、特に悪質な事案について、そういったものがきちんと処罰できるように、い ろいろなアンテナなり、連携も張りながらやっていくということが一つです。処罰以前 に、基本的な周知を通じて予防を図っていくことがいちばん大事だと思っています。  一層の推進というだけではというご指摘もありましたが、もちろん、これまで考えら れること、いろいろな形でいろいろな方と連携をして取り組んできているわけですが、 その中でかなり、まだ労災かくしがあるということについて、もう一度関係の方々と意 見交換をさせていただき、点検をし、その上でどうしていくかについて整理して取り組 んでいきたいと思っています。答えにならなくて大変恐縮でございますが、そういった ステップを踏んだ上で、努力していきたいと考えております。 ○保原部会長  そのほか何かありますか。労災かくし対策が重要であるという認識は皆様お持ちだと 思いますので、厚生労働省においては、本日の議論を踏まえ、労災かくし対策に適切に 対応していただきたいと思います。  続いて、2つ目の議題「労働安全衛生法等の一部を改正する法律案要綱(労働者災害 補償保険法及び労災保険の保険料の徴収等に関する法律の一部改正関係)について」で す。本件は、厚生労働大臣から労働政策審議会会長あての諮問案件です。まず、事務局 からご説明をお願いします。 ○労災補償部長  資料2−1、資料2−2の諮問案件である法律案要綱について説明をさせていただき ます。特に資料2−2をご覧いただきたいと思います。  まず、「労働安全衛生法等の一部を改正する法律案要綱」として、ここに労働安全衛 生法、労働者災害補償保険法、労働保険の保険料の徴収等に関する法律、労働時間の短 縮の促進に関する臨時措置法の4つの法律を一括して改正するという形で、この労働政 策審議会に諮問いたしました経緯についてご説明させていただきます。  昨年の12月に、労働政策審議会において3つの建議、「今後の労働安全衛生対策につ いて」「労働者災害補償保険制度の改善について」「今後の労働時間対策について」の 建議がなされました。また、1月14日に「労災保険料率の設定に関する検討会」の報告 書が取りまとめられ、その内容のうち、有期事業におけるメリット増減幅の拡大につい ては、その方向性について1月17日にこの部会でご了承いただいたところです。  これらの建議及び報告書は、いずれも近年急速に深刻化している労働者の生命、生活 にかかわる問題に対処する方策についてのご提言であるという点で、その趣旨を同じく していることから、厚生労働省においては関係する4つの法律を一括して改正すること とし、「労働安全衛生法等の一部を改正する法律案要綱」を作成させていただいたもの です。  次に法律案要綱の調査審議についてご説明させていただきます。労働政策審議会にお ける法律案要綱の調査審議については、各分科会、部会の所掌事務に応じ、労働安全衛 生法の一部改正については安全衛生分科会において、労働者災害補償保険法、労働保険 の保険料の徴収等に関する法律についてはこの部会において、労働時間の短縮の促進に 関する臨時措置法については労働条件分科会においてそれぞれ行っていただくことにな っております。  このため、この部会においては労働安全衛生法等の一部を改正する法律案要綱のう ち、労働者災害補償保険法、労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部改正につい て調査審議をお願いする次第です。それでは、詳細については担当のほうからご説明さ せていただきますので、よろしくご審議のほどをお願いしたいと思います。 ○事務局  資料2−1の関連部分について読み上げます。  労働安全衛生法等の一部を改正する法律案要綱(労働者災害補償保険法及び労働保険 の保険料徴収等に関する法律の一部改正関係) 第二 労働者災害補償保険法の一部改 正 一 通勤災害保護制度における通勤の範囲の見直し 就業の場所から他の就業の場 所への移動及び住居と就業の場所との間の往復に先行し、又は後続する住居間の移動 (厚生労働省令で定める要件に該当するものに限る。)を通勤災害保護制度における通 勤に含めることとすること。第三 労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部改正  一 有期事業に係るメリット制(事業場ごとの災害率による保険料の調整)の見直し  事業場ごとの災害率による保険料の調整幅の最高限度を有期事業について40%(現行 35%)に拡大すること。第五 その他 一 施行期日 この法律は平成18年4月1日か ら施行するものとすること。  ただし書以降は労働安全衛生法及び施行の関係ですので、省略します。  二 経過措置の(一)については労働安全衛生法の関係ですので省略します。  (二)(一)に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置を定めるこ と。三 関係法律の整備 その他関係法律について所要の規定の整備を行うこととす る。  以上です。 ○労災管理課長  内容はいま読み上げたとおりです。このうち、第二の労災保険法の一部改正について は、去る12月21日に建議をいただいた通勤災害保護制度の見直しに係るものです。複数 就業者の事業場間の移動と、単身赴任者の赴任先住居と帰省先住居間の移動を通勤災害 保護制度の対象となる通勤の範囲に含めることとするものです。なお、単身赴任者の要 件の限定については、厚生労働省令で定めることを予定しています。  第三については、前回1月17日の部会でご審議いただいた有期事業に係るメリット制 の見直しに係るものです。保険料の調整幅の最高限度を現行の35%から40%に拡大する ものです。なお、施行期日については、第二、第三いずれも平成18年4月1日を予定し ています。説明は以上です。 ○保原部会長  いま関係法律案要綱の説明をしていただいたのですが、ご意見、ご質問がありました らお願いします。特にございませんでしょうか。 ○須賀委員  第二の「労働者災害補償保険法の一部改正」の中に、括弧して、厚生労働省で定める 要件に該当するものに限るとあるのですが、これはどういう形で定めるのですか。 ○労災管理課長  ここの部分は、いわゆる単身赴任者の帰省先と赴任先の住居間の移動について対象に 含めるものです。法文の形で書いた場合、住居と就業の場所間の往復に先行し、又は後 続する住居間の移動ということで、厚生労働省令で定める要件に該当するものに限ると いう形を考えておりますが、厚生労働省令で定める際、これは単身赴任者についての限 定を決めることを考えております。例えば単身赴任者、通常業務上の異動に伴い、転居 を余儀なくされ、配偶者と別居する方とか、国家公務員の給与法や所得税法の特定扶養 控除制度の例など、そういったことを参考にしながら、労災保険制度についても検討す ることを考えています。 ○稲葉委員  いまおっしゃった第二の一の文中に「先行し、又は後続する住居間の移動」とありま すが、この先行し、後続するという概念が非常に難しいのです。これは時間的なものな どが勘案されていると思いますが、どういう解釈ですか。 ○労災管理課長  通勤災害保護制度について部会でご議論いただいたとき、論点としてご議論があった ことだと承知しております。あくまでも通勤の範囲に含めるとき、就業に関連した移動 であることから、時間的な範囲についても、一定の範囲に限定して見ていくべきではな いかということが、研究会においても議論が行われました。  したがって、例えば帰省先から戻るとき、就業の日の何日も前に戻る形を想定するの ではなく、就業に関する要件、あるいは多くの単身赴任者の方々が実際に前日、翌日に 移動していることを踏まえ、就業の前日ないし翌日という時間的なものについては、そ ういったものを基本的に単身赴任に係る住居間の移動として、通勤災害に含めていこう という考え方は、研究会でも議論を踏まえた考え方です。具体的な運用は、ルールとし て決めていく必要がありますので、法律段階ではありませんが、省令等の中で検討を し、制度化していくと考えております。 ○岩村委員  いまのに関連した質問なのですが、多分これは厚生労働省令で定めるということにな っていますので、省令はこの部会に後ほどかけられるという理解でよろしいですね。そ れが1点です。  それから、いちばん最後の「関係法律の整備」というところで、その他関係法律につ いて整備を行うとありますが、当部会に係っている問題について、関係する法律を教え ていただきたいのですが。 ○労災管理課長  特に現在具体的に想定しているものはなく、精査しているところです。  先ほどの稲葉委員のご質問に関してもう1つ補足させていただきます。住居間の移動 ということで、1つの時間的な要件については先ほど考え方を申し上げましたが、場所 的な考え方について、従来から私どもの労災における実務上の運用としては、単身赴任 者の方が帰省先住居から直行直帰の形で、就業の場所へ向かうケースについては一定の 考え方のもとに、帰省先住居も労災保険法でいう住居だとする解釈のもとに、直行直帰 型については、通勤災害保護制度の対象になる通勤範囲に含めています。  しかしながら、問題になったケースは直行直帰ではなく、帰省先の住居から一旦赴任 先の住居に寄り、その上で会社に出勤するというケースで、この2つの住居間の移動。 あるいは、会社から一旦単身赴任先の住居に戻り、そこから帰省先に向かう場合の複数 住居間の移動は、従来の労災保険法の条文の住居と就業所間の往復では、どうしても読 めないということで、通勤の範囲には含まれていなかったということです。  そこについてどうするかがあり方研究会での検討の主眼点で、そういったものも対象 にしていくという意味で、これを法文的な形で書くと「住居と就業の場所間の往復に先 行し、又は後続する住居間の移動」と、ちょっと難しい表現かもしれませんが、そうい う形で表現しているということです。 ○保原部会長  組織的には三角の移動もいいよという、全部が全部ではありませんが、基本的に三角 の移動は結構ですと。そのほか何かありますか。 ○須賀委員  検討の段階で、補償のあり方について速やかに実態を調べ、結論を出すというのがあ ったと思うのですが、補償はどういう形に、どういうふうに反映されるのですか。 ○保原部会長  補償のあり方とは何ですか。 ○須賀委員  どういう補償をするのか。 ○保原部会長  給付基礎日額については後からいたします。そのほか何かありますか。よろしいです か。本日の2つ目の議題である法律案要綱は妥当であると意見が一致したと見なしてよ ろしいでしょうか。                  (異議なし) ○保原部会長  次に、1番目の建設業における労災かくしの増加を懸念する意見があったことを踏ま え、「労災かくし対策の一層の推進を図るべきである」と報告書に盛り込むことにした いと思いますが、よろしいですか。                  (異議なし) ○保原部会長  ありがとうございました。このことを踏まえ、事務局と私で報告書の原案を作成し、 次回の部会にお諮りしたいと思います。今日予定していた議題は以上ですが、よろしい ですか。 ○杏委員  本日の議題には入っていないのですが、折角の機会なので本日配付された資料2−2 の労災保険料率の設定問題について若干の質問と、お願いをしたいと思うのですが、よ ろしいですか。 ○保原部会長  給付基礎日額ですか。保険料率ですか。 ○杏委員  保険料率です。この場でも議論される機会があるのではないかと思いますので。 ○保原部会長  まだ時間もありますのでどうぞ。 ○杏委員  予め質問とお願いをしておきます。今日、日本経団連の紀陸委員がご欠席で、使用者 側からこういうことを言ったほうがいいのではないかという打合わせをしており、正直 言ってその中身になるわけですけれども。 ○保原部会長  それではどうぞ。 ○杏委員  第1点目は質問なのですが、今年の3月末までに策定され、公表される予定だと伺っ ている労災保険率の改定に関する基本的なルールと、厚生労働省としての方針について お尋ねします。  いま申し上げた基本的なルール・方針というのは、平成18年度、来年度の次期、労災 保険率改定時だけではなく、その先、つまり次々回以降、次々回の改定は平成21年度に なりますかね、それに際しても適用されるルール・方針をイメージされているのかどう かが第1点目の質問です。つまり、次々回となるとかなり時間が先になるので、中長期 的なルール・方針の妥当性が、いいのか悪いのかが判断になると思いますが、先になる と見通しが難しいのではないかと思っておりますので、そういう質問をさせていただき ます。先のことだからまだ決まっていないことであれば、それでもよろしいのですが。 ○労災補償部長  その件は前にご説明いたしましたように、前回のご意見等を踏まえ、厚生労働省とし て基本方針をどうしていくかということで、3月ぐらいにこの場にお諮りしたいと考え ております。  その中で、今回ご質問いただいたことを踏まえ、私どもの考え方を説明し、基本方針 についてご議論いただき、それを踏まえて私どもの考え方にしたいと考えております。 ○杏委員  ありがとうございました。それから、これはお願いなのですが、いまおっしゃったと おり、今年の3月に具体的にどういう方向になるのかという説明があり、若干の議論が あるのではないかと思っております。いままでの話の内容を踏まえ、4月以降に業種区 分ごとに改定作業が行われ、多分、今年の秋口以降、具体的な業種区分ごとの料率改定 案が示されるのではないかと考えておりますが、そうなったとき、多分、各業種の反論 意見というのは続出するのではないかと、使用者側としては予想しております。とりわ け、今回は新たなルールで業種区分の見直しが行われることになると、この種の見直し は最初になるわけで、さまざまな意見が出てくるのではないかと、使用者側としては想 定をしています。  ちょっとくどくなって恐縮ですが、したがって厚生労働省におかれましては、従来に も増して、各業種団体の意見を幅広くお聞きいただきたいと、フォローしていただきた いと、これがお願いでございます。 ○労災補償部長  ご覧いただいたように、これは基本的に枠組の考えであり、具体的にはいまおっしゃ ったように、秋口以降から具体的な業種ごとの料率で見てまいります。これは毎回審議 会にお諮りをしておりますが、具体的な各業種区分ごとの料率となりますと、これでよ ろしいでしょうかというのはお諮りしておりますので、当然、平成18年度の改正に向け てやらなくてはならないと思っております。これは原理・原則です。それは、いわゆる 3月のものではなく、おっしゃったように秋口以降でございますが、この報告書に基づ いた今のご意見を踏まえ、十分検討をしていきます。 ○杏委員  是非フォローしていただきたいと思います。ついでにあと1点お願いをしておきま す。労働福祉事業のあり方についてですが、これは、何度もこの場でいろいろな議論が 飛び交っていると記憶していますが、労働福祉事業のあり方については検討会で検討は 行われず、審議会のほうで議論すべき事項であると整理されたと、たしかこの報告書の 3枚目に書かれていたと認識しております。 ○保原部会長  検討会ではやっていません。 ○杏委員  労災保険率の構成要素を見ると、労災保険率全体が、平均料率で7.4/1,000と伺って おりますが、そのうち、労働福祉事業分は全業種一律で1.5/1,000ということで、かな り大きなウェートを占めていると我々は判断しております。  したがって、使用者側としては、労働福祉事業の問題を、この労災保険部会における 重要な検討テーマとして取り上げていただきたいということを、改めてお願いと言いま すか、要望を出しておきたいと、このように思います。以上です。 ○労災管理課長  労働福祉事業の問題については、ご指摘のとおり検討会においては別途の場で、政策 的な観点も踏まえて検討することが望ましいとされたところであり、日程を考えており ますので、いずれご案内させていただきます。3月に労災保険部会を開き、そこで来年 度予算案の報告と合わせ、労働福祉事業の問題についても報告をし、その場で議論をい ただきたいと思っております。私どもとしては、そういった議論を踏まえながら、行政 として労働福祉事業の効率化に向けた見直しの作業を進めていきたいと思っておりま す。そういった手順を踏んだ上で、秋口から始まる保険料率の設定、作業に努めていき たいと考えております。 ○杏委員  ありがとうございました。 ○保原部会長  杏委員、それでよろしいですか。 ○杏委員  結構です。 ○保原部会長  そのほか何かありますか。それでは、本日の審議はこれで終わります。次回の日程に ついて事務局から説明をお願いします。 ○労災管理課長  次回の第14回労災保険部会は2月3日(木)午後5時から、場所は厚生労働省5階共 用第7会議室で開催いたしますので、よろしくお願いいたします。 ○保原部会長  それでは、本日はこれで終了とさせていただきます。なお、本日の議事録の署名委員 は労働者側代表として寺田委員、使用者側代表として下永吉委員にお願いしたいと思い ます。本日はどうもありがとうございました。                照会先:労働基準局労災補償部労災管理課企画調整係                    電話03-5253-1111(内線5436)