05/01/20 がん医療水準均てん化の推進に関する検討会第4回議事録           がん医療水準均てん化の推進に関する検討会                  第4回議事録              日時  平成17年1月20日(木)                  10:00〜11:51              場所  厚生労働省 9階 省議室                          ┌――――――――――――┐                          │(照会先)       │                          │ 厚生労働省健康局総務課│                          │    生活習慣病対策室│                          │       奥田、中山│                          │(内線)2397,2339    │                          └――――――――――――┘           がん医療水準均てん化の推進に関する検討会                  第4回議事録              日時  平成17年1月20日(木)                  10:00〜11:51              場所  厚生労働省 9階 省議室  大臣官房参事官  おはようございます。定刻となりましたので、「第4回 がん医療水準均てん化の推 進に関する検討会」を開催させていただきたいと存じます。皆様方にはお忙しいとこ ろ、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。しばらくの間、議事の進行を 務めさせていただきます。  初めに、尾辻厚生労働大臣から御挨拶を申し上げます。  尾辻厚生労働大臣  おはようございます。本日は、皆様方におかれましては御多忙中にもかかわらず当検 討会に御出席をいただきまして、心より御礼を申し上げます。ありがとうございます。 これまで国会等の所用のために、残念ながら私がこの会への出席がかないませんで、前 々回にはメッセージをお伝えしたところでございますが、今回、出席させていただくこ とができましたので、改めまして御挨拶を申し上げさせていただきたいと存じます。  我が国のがん対策は、昭和59年度から「対がん10ヵ年総合戦略」を、そして平成6年 度からは「がん克服新10か年戦略」をもとに推進をしてまいりました。その結果、胃が ん、子宮がんを初め、治療成績は向上いたしまして、がんによる死亡率が低減するな ど、着実な成果を上げることができました。しかし一方では、がんは依然として我が国 における死亡原因の第1位を占めておりまして、年間約30万人の方が亡くなっておられ ます。  このような状況を踏まえまして、今年度から「第3次対がん10か年総合戦略」をスタ ートさせまして、がんの罹患率と死亡率の激減を目指した一層のがん対策を推進してお ります。こうした中で、がん医療の地域格差の是正は、日本のどこに住んでいても適切 ながん医療を受けたいという国民の皆様方の切実な願いでございまして、私といたしま しても、がん医療の均てん化はがん対策の中で極めて重要であると認識をしておりま す。  また、平成17年度からは、国民一人一人が生涯にわたり元気で活動的に生活できる社 会の構築のため、国民の健康寿命を2年程度延ばすことを基本目標に置きました「健康 フロンティア戦略」を10年間推進していくこととしておりますけれども、その中でがん 対策につきましては、5年生存率の20%改善という戦略目標を掲げまして、がん医療の 均てん化を中心にいっそう推進していくことといたしております。  この検討会は、がん医療の均てん化を推進する上で、その具体的な方策を提言してい ただくことを目的として御論議をいただいておるところでございます。そして、これま でさまざまな御意見をいただいております。当初、予定されておりました年度内報告書 の取りまとめに向けて、大詰めの段階に来ておると伺っております。先生方の専門的か つ大局的見地からの貴重な御意見をいただきますようお願い申し上げまして、挨拶とさ せていただきます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。  大臣官房参事官  ここでカメラ撮りは終了させていただきたいと存じます。御協力のほど、よろしくお 願いいたします。  なお、尾辻厚生労働大臣は所用のためここで退席させていただきたいと存じます。  尾辻厚生労働大臣  申しわけございませんが、お許しください。  大臣官房参事官  ありがとうございました。本日の出席状況でございますが、山口直人委員が御都合に より御欠席との連絡を受けております。なお健康局長は他の公務のため、10時半ごろ退 席させていただく予定でございます。よろしくお願いします。  それでは、以後の議事進行を垣添座長にお願いいたします。  垣添座長  皆さん、おはようございます。本日も全国から早朝よりお集まりいただきまして、ま ことにありがとうございます。本日は第4回ということで、お手元の議事次第がありま すように、ネットワーク化と、それからがん専門医の議論の続きを御議論いただき、3 番目として「均てん化の検討会」の報告書の起草委員会をつくりたいと思いますので、 その3点に関して十分な御議論をいただければと思います。どうぞよろしくお願い申し 上げます。  まず事務局から、資料の確認をお願い申し上げます。  大臣官房参事官  お配りしております資料は、議事次第の下段に書いてございますが、議事次第と座席 表のほか、  資料1が、地域がん診療拠点病院制度についての取りまとめたもの。  参考1−1と1−2が、全国がんセンターセンター協議会及びがん政策医療ネットワ ークについて説明したもの。  資料2として、がん専門医等に係る前回における主な論点。  資料3として、「がん医療水準均てん化の推進に関する検討会」の報告書起草委員会 のメンバー案。  これをお配りさせていただいております。  なお、そのほかに1枚、ピラミッドの図がかいてあるものがございます。これは後ほ ど、座長からご発言がある際にお使いになるものと理解しております。  もう1つ、前回のがんの専門医等に関するいろいろな御意見を聴取した際のお配りし た説明資料を、改めてお配りしております。 議事 (1)がん専門医療機関のネットワークについて  垣添座長  ありがとうございました。資料等、不足がありましたらお知らせください。  それでは早速、議事に入りたいと思います。まず1番の「がん専門医療機関のネット ワークについて」ということで、地域がん診療拠点病院制度について、まず事務局から ご説明をお願いします。  健康局生活習慣病対策室長補佐  事務局から資料の説明をさせていただきます。座って失礼いたします。お手元の資料 でございますけれども、資料1「地域がん診療拠点病院制度について」という資料をご らんください。この中には、地域がん診療拠点病院制度の概要(現状)、それに伴いま して整備に関する指針、拠点病院の指定等一覧、それから制度に関する主な論点という ことでまとめた資料がございます。  まず1ページをごらんください。地域がん診療拠点病院制度の概要、現状でございま すが、国、都道府県、それから地域がん診療拠点を結んでおります図でございますけれ ども、国としては国立がんセンター、都道府県のほうから推薦、大臣のほうから指定を 受けました地域がん診療拠点病院におきまして、地域の医療機関と連携を図りながら、 患者さんに対して質の高いがん医療を提供するという制度でございます。この中で、地 方中核がんセンター等というものがございますけれども、例えばこれは特定機能病院の ようなものを想定しております。こちらの図は第3次がん戦略が策定されたときに、現 状の内容ということで示させていただいた図でございます。  次の2ページをごらんください。平成13年8月30日に健康局長通知として発出されま した「地域がん診療拠点病院の整備について」というものでございます。平成13年8月 でございますけれども、がん医療の全国的な均てん化をはかることを目的としまして、 「地域がん診療拠点病院のあり方に関する検討会」を設置し、審議を進めまして、本指 針を出させていただいたところでございます。この指針におきまして、我が国に多い肺 がん、胃がん、肝がん、大腸がん、乳がん等につきまして、日常の生活圏域の中で、い わゆる2次医療圏でございますけれども、質の高いがん医療を受けることができる体制 を確保する観点から、拠点病院を整備するという趣旨でございます。  2ページ右側を見ていただきますと、指針の内容が出てございます。都道府県知事が 推薦する医療機関につきまして、厚生労働大臣が指定するものでございます。都道府県 におきましては、医療計画等の整合性をはかりつつ、2次医療圏に1か所程度を目安に 指定するということになっております。  大きなローマ数字のIIが、指定要件でございまして、大きく3つございます。診療体 制と研修体制、3つ目が情報提供体制でございます。  1つ目の診療体制につきましてはさらに細かく、5つほど分かれまして、例えば診療 機能につきましては、専門的医療体制を有することということで、例示としまして、緩 和医療ですとか、他の医療機関との連携協力ということをあげてございます。  3ページをごらんください。診療従事者についての内容が記載してございます。専門 的医療を行うということで、医師ですとかコメディカルが配置されていることというこ とで、医師については「配置されていること」、コメディカルについては「配置されて いることが望ましい」ということになっております。  医療施設につきましても、医療相談室の設置、また集中治療室や無菌室については 「望ましい」という規程になってございます。  (4)ですが、医療機器につきましては、高度な医療機器の設置ということが書かれ てございます。  (5)が、院内がん登録システムでございまして、すでに「確立している、もしくは 当該システムを確立する見込みが確実である」ということでございます。  3ページ右側の研修体制でございますが、「医療従事者に対して、研修の実施に積極 的に取り組んでいること」ということがございます。  それから最後の情報提供体制ですけれども、「がん診療に関する情報をホームページ 等を通じて適切に公開すること」と。その他、「診療に関する相談に応じ必要な情報を 提供すること」等がございます。  以上の要件を踏まえて、今まで指定してきた病院でございますが、4ページに全体が 出ております。全病院で135の病院が指定されているところでございますが、図の中で 3つほどマークをつけてございます。白い1つの丸が地域がん診療拠点病院、白い二重 丸が地域がん診療病院かつ全国がんセンター協議会加盟施設、黒い塗りつぶしてある丸 が全がん協加盟施設でございます。全国各地にさまざまな病院が指定されているという 様子がごらんいただけるかと思います。  なお、各病院の県別の配置状況につきましては、次の5ページ以降に一覧表がござい ますので、こちらも併せてごらんいただければと思っております。次の7ページにござ いますけれども、平成14年からスタートしました指定でございますが、17年の1月17 日、48か所の指定を終わりまして、計135か所ということでございます。  8ページ、最後のところでございますけれども、ここは詳しく説明させていただきた いと思います。今までこの検討会で出された指摘、意見等も含めまして、拠点病院制度 に関する主な論点、それから今後の方向性を取りまとめたものでございます。  現状を踏まえまして、2の「課題」のところでございますが、「地域がん診療拠点病 院の運営に関する検討会」の審査によって、当該病院の一定な水準が担保されているわ けでございますけれども、指定要因の言葉が定性的で不明確な点もあるということが、 1つあろうかと思います。(2)ですけれども、拠点病院制度に対するインセンティブ が乏しいという点がございます。(3)で、特定機能病院は基本的には指定されていな いというのが現状でございます。(4)でございますが、拠点病院は診療等機能にばら つきがあって、それらの間の役割分担、連携についてのことでございます。  この課題に対応する形で、今後の方向性の進め方として、(1)としまして、指定要 件をできる限り、数値を含めて明確化することを検討してはどうかという点。それから (2)でございますけれども、課題として出されましたインセンティブが働くような仕 組みを検討してはどうかということでございます。(3)ですけれども、指定の対象と して特定機能病院を含めてはどうかということ。それから(4)。こうした拠点病院制 度でございますが、診療、それから教育、研究に関しまして階層化し、役割分担を明確 化していく中で、診療連携、情報交換等のネットワークを構築するよう見直してはどう かという点でございます。  なお、一番下にございますけれども、拠点病院制度につきましては、見直しを行った 上で、医療計画の見直しに合わせて計画に位置づけることを検討するという点も1つご ざいます。以上が、地域がん診療拠点病院制度に関する資料の説明でございます。  垣添座長  ありがとうございました。現在までに135施設が指定されていて、全国に展開してい ます。地図でごらんただけると思いますが、まだ指定のない県もあるということでござ います。具体的に個々の条件を見ますと、医療機関ごとにやはりいろんなばらつきがあ りますけれども、とにかく地域がん診療拠点病院が、このような経緯によりできてきた ということを確認いただけたと思います。  続きまして、全国がん(成人病)センター協議会、略して「全がん協」と言われてお りますが、全がん協につきまして、説明をお願いします。  野村委員  説明させていただきます。参考1−1をごらんください。  1枚開いていただきまして1ページに、「全国がんセンター協議会について」という 場がございます。  全国がんセンター協議会では、最初は昭和40年、「全国がんセンター連絡懇談会」と いうことで発足いたしまして、がんの診療、これを連携をとりながら発展させようとい うことで進んできたわけですが、構成施設、の緊密な協力によって進め、さらに資格認 定をしながら施設をふやしていくという形で、昭和48年にこの協議会が設立されたとい うことであります。  目的については、2のところに書いてございますが、がん予防、診断及び治療等の向 上に必要な諸問題の調査及び研究、施設運営上の諸問題に関する調査及び研究、必要な 出版物の刊行並びに講演会等の開催、その他目的達成の事業、というようなことで。現 在、こういう目的に沿ってやっているわけですが、主なこととしては、年にいっぺん、 がん臨床フォーラムを開きまして、そこで新しいがん医療、あるいは課題となっている がん医療、それらを解決する意味でディスカッションを行っておるということでありま す。それから、多施設に合同カンファレンスを行っている。これはハイビジョンを使っ て、現在17施設、ここの全国がんセンター協議会に入っている施設の方々と、診療、治 療に関する討論を行って進めているというような活動がされております。  加盟の条件については、ここにがんの患者さんが30%以上であること等、こういった ことを条件に、審査をして加盟をしていただくというふうにしています。現在、加盟施 設数は、4月1日において国立で2施設、国立病院機構6施設、公立が22施設と、合計 30施設でございます。  次のページに資料がございますが、協議会の名簿でございます。30施設がここに記さ れているというところであります。  次のページにその加盟施設の分布、これが記されております。全国に散っているわけ でございますが、47都道府県中、現在この加盟施設があるのが25施設ということで、53 %であるということであります。以上であります。  垣添座長  ありがとうございました。全がん協というのは、今紹介がありましたように、昭和48 年からですから、かなり古い歴史を持っているわけです。それから、日本は北から南ま で大体3,000キロメートルの島国でありますけれど、それを北から南までカバーして、 現在30施設が加盟して、そのうち17施設がコンピューターネットワークでつながって、 リアルタイムの情報のやり取りをしながら毎週いろんな勉強を続けています。それから 年いっぺんの勉強会と総会を開いて活動を維持していっているということであります が、設立の背景は、いってみれば任意団体であります。そういう限界と、それから特徴 があるという説明をいただきました。  続きまして、がん政策医療ネットワークについて、事務局から説明をお願いいたしま す。  医政局国立病院課長(代)  参考1−2と書いてあります資料につきまして、御説明を申し上げます。  国立病院は国立の医療機関としてふさわしい役割を果たすべく、従来より政策医療に 取り組んできたところでございます。平成8年の国立病院、療養所の再編成、合理化の 基本指針というものがございますが、その中で国立病院はその時代において国の医療政 策として担うべき医療、すなわち政策医療を実施するとされておりまして、その後、平 成10年の中央省庁等開発基本法におきましても、国の医療施策として行うこととされて きた医療について、「真に国の担うべきものについて特化すること」ということが言わ れております。  これを受けまして、平成11年3月の国立病院、療養所の再編成計画の見直しにおきま して、政策医療として19の分野を定めておるわけでございます。この19分野というの は、1ページ目にございますけれども、左から、災害医療から始まって、右下、内分泌 ・代謝疾患まで19分野ございます。大きく分けて3つのカテゴリーになりますが、危機 管理、国際貢献に関するもの。あるいは、国立病院・療養所がいわゆる最後の砦となる ような疾患。それから、がんを含めました戦略的な医療の分野といったものがございま す。現在ございます各国立病院機構施設が、それぞれの得意分野に参加をするという形 で、このネットワークを運用しているわけでございます。  政策医療には4本の柱がございまして、右側、上から順に診療、臨床研究、教育研 修、情報発信ということでございます。こういった4つの柱につきまして、それぞれの 政策医療ネットワークが取り組んでおるというようなことでございます。そういったこ とで、実際にがんのこのネットワークにつきましては、2枚目にございますように、国 立がんセンターを頂点といたしまして、各ブロックごとに基幹の医療施設としての国立 病院、これは現在は独立行政法人に移行いたしました国立病院機構の病院でございます が、それを指定してございます。また、各地域ごとに専門医療施設というものを配置し ているわけでございます。これらの病院がネットワークを形成いたしまして、ただいま 申し上げました診療、臨床研究、教育研修、あるいは情報発信といったことをやってい るという考え方でございます。  政策医療ネットワークには協議会というのがつくってございまして、がんであれば 「がん政策医療ネットワーク協議会」ということになりますが、そういったものも事務 局を国立がんセンターにお願いしてやっていただいておるという現状でございます。以 上です。  垣添座長  ありがとうございました。現在、がん医療にかかわるネットワークは、地域がん診療 拠点病院と、全がん協と、それから政策医療ネットワーク、この3つがあり、各々につ いて御説明いただきました。がん医療の均てん化を考える場合には、こういう日本中を カバーするネットワーク化ということは避けて通れない、極めて重要な課題であると思 いますので、しばらくこの点に関して御議論をいただければと思います。  御承知のように、例えば米国ではNCIを頂点にして、コンプリヘンシブ・キャンサ ー・センターというのが、全米を覆う形で10数施設がネットワーク化されているという ことがありますし、フランスでもドイツでも、あるいは韓国でも同じような構想で、国 立の中心機関を中心にして、国中をカバーするネットワークが進んでいます。そのこと によって、どこでがんになっても一定以上の水準のがん医療が受けられるというような 体制を実現しようと、それぞれ努力しているわけです。我が国でもそれをいかに実現し ていくかということが、この検討会の課題でありますけれども、今のネットワーク化に 関して、3つの資料に基づき、あるいはそれを離れても結構ですが、自由に御討論いた だければと思います。西條委員。  西條委員  国立がんセンター東病院の西條であります。まずこのネットワークにつきましては、 今御説明されましたように、非常にいろいろなものがあると思います。したがいまし て、この従来のものをうまく活用していきながら、1つのものを、統一したものをつく っていくというような過程が必要ではないかと思います。  それから、御指摘のように、大学病院、特定機能病院があまり入っていないことは問 題と思います。5施設が入っているのでありますけれども、エデュケーションという点 からいたしますと、これがやはりエッセンシャルなように思いますので、このピラミッ ドの図がありますけれども、このどこに位置づけするかということを、はっきりとさせ ないといけないと思います。  それからインセンティブの問題につきましては、これは非常に重要な点ですが、学問 的なインセンティブにつきましては、我々の問題と思います。それ以外のものにつきま しては行政側で考えていただくと。学問的なインセンティブでありますが、やはり系統 的なカリキュラムに基づいた研修を具体的にどう定量的に行うと。それをどういうよう に定量的に評価するか。すなわち、米国で行われているようなCME、コンテイニアス ・メディカル・エデュケーションですか、それをいかにこういう組織で診療研究してい る人たちに適用していくか、そういうようなことを今後、具体化していく必要があるの ではないかというように感じました。以上です。  垣添座長  ありがとうございました。3つのネットワークを説明いただきましたが、例えば全が ん協に関して私、先ほど任意団体と申し上げました。これは全がん協の総会その他今後 でいろいろ議論しなければいけませんけれど、この地域がん診療拠点病院がきちっと整 備されていくと、現在新たに全がん協に加盟する施設は地域がん診療拠点病院の指定を 条件にしておりますから、場合によると地域がん診療拠点病院に一元化するようなこと も考えられるのではないかと思っています。  これはもちろん、全がん協の中でいろいろ議論しなくてはいけない話ではあります。 ただ、整理をするという意味では、そういうことも考えられるのではないかと思ってお ります。ほかに御意見ありましょうか。どうぞ、千村委員。  千村委員  事務局に御質問も含めて意見ですけれども、資料1の地域がん診療拠点病院制度につ いて、この8ページの論点の部分ですが、この中で2の「課題」のところで、この課題 の(1)の「指定の要件の文言が定性的で不明確である」と。これを課題というふうに 認識をされているというふうに思いますけれども、例えば現状について見ますと、全国 で、この4ページにございますような、かなりたくさんの施設が指定をされているとい う状況の中で、今、例えばこの要件をもう少し明確化するというときに、今指定されて いる医療機関が、例えば明確化することによってかなりの部分、落ちてくるところがあ るのか。あるいは、定性的な不明確な部分を明確化して、例えば今指定されている医療 機関はすべて条件をクリアーできるというような方向にもっていくのか。そのどちらを お考えになっているのかということを、ちょっとお聞きしたいのですけれど。  健康局生活習慣病対策室長補佐  では、今の質問についてお答えさせていただきます。この定性的ということにつきま しては、例えば指針のほうを見ていただきますと、3ページでございますが、医療従事 者の項目がございます。これは専門的医療を行うような医師が配置されているというこ とでございますが、専門的な医療を行えるお医者さんはいるのですが、どれくらいの規 模でということですとか、そういったところが現在はこういう定性的な表現になってい るわけでございます。  今後は、やはり指定された病院を見ていただきますと、非常に専門医が多いような病 院と、地域で何とか頑張っているような病院が混在しておりますので、そうした病院 の、課題の(4)のところにもつながってくるのですけれども役割分担をして、より機 能的にがんの診療拠点病院の目的を達していくということが必要かなということが考え られているわけでございまして。  そうしたことを踏まえますと、今、質問の最後のほうにありました、今後、より入り 口を狭くしていくのか、それとも既存のものをうまく活用していくのかということにも なろうかと思いますが、やはり今まで指定された病院をベースにして、それを階層化し ていくということが1つあろうかと思いますし、2次医療圏に1か所程度ということが ございますので、そこを踏まえた上で、指定の際にきちっとその指定を行っていて、そ の指定の中でさらに、いわゆる高次に位置する病院とそうでない病院の役割分担をして いくということがあろうと思います。  垣添座長  千村委員の御質問に関連して、私、その地域がん診療拠点病院の指定をする委員会の 座長をしている立場から発言させてもらいます。ご指摘のように、定性的であるという のは例えば施設にしても人に関しても、「望ましい」とか、かなり定性的な表現があり ます。これは立ち上げるときに多少ゆるやかにして、動かないとどうにもならないので はないかということで、割合ゆるやかな条件にしています。ただし結果的には、現在135 施設が指定されていますが、その中身はかなり、ばらつきがあるということで、これを いかに全体をレベルアップし均てん化していくかというのが大きな課題です。  それからもう1つ。これは当初から、地域がん診療拠点病院全体を括る協議会が必要 であるという議論がありましたが、これまで十分動いてこなかった。事務局を国立がん センターが務めるということで、今年度中にそれを動かしだす予定でいます。一旦指定 されたら、それがずっと続くというものでは必ずしもないのではないかというふうに、 私、これは個人的な立場での考えですが、そう思っています。  だから、例えば指定を受けるときに、院内がん登録をいついつまでに実現しますとい うことで、まだスタートしていないけれども、その条件をのんで指定しているわけで す。例えば見直しをかけて全然約束したことが動いていないということであれば、場合 によったら一旦指定からはずれていただくというようなこともあっていいのではない か。常にがん診療にきっちり、活発に取り組んでいる医療機関をこの中に取り込んでい くというようなことが必要なのではないかと、私は考えています。  ほかにいかがでしょうか。どうぞ、北島委員。  北島委員  まず1つは、先ほども特定機能病院のお話が西條委員から出ましたが、やはり将来的 に長期の展望を見たときに、日本でこのようながん治療の専門制度が確立できないのは に、臨床腫瘍学等々の教育がないことが大きな問題とされているわけであります。した がいまして、やはり腫瘍医の底辺を広げるためには、いわゆる早期から教育ということ も観点に入れた検討が必要であると思います。そのために、腫瘍医の教育を担っている 特定機能病院を論点に入れて、今後、組織を構築していく必要があると思います。これ はまず1つ、意見として述べさせていただきたいと思います。  それから、先ほど御説明いただきました政策医療ネットワークですが非常に重要なこ とと思います。ですが、組織的に国立がんセンターを頂点として8つの基幹医療施設が あり、その下に専門医療施設がいくつかありますけれども、この縦横の連携の現状とい うのが今、現時点ではどうなっているのでしょうか。組織の構築と同時に、やはりその 中の機能の質、これの維持とか分析が必要だと思いますが、その辺いかがでしょうか。  垣添座長 ありがとうございます。では、後半の政策医療ネットワークに関して、事 務局から何かありますか。  医政局国立病院課長(代)  政策医療ネットワークにつきましては、ただいま御説明させていただきましたとおり で、国立病院の中のネットワークを拡張してやっておるわけですけれども、この中で多 施設共同の研究であるとか、あるいは国立病院特別会計で持っております研究委託だと かいったものを、現在やっておるところでございます。  垣添委員  これは共同研究とか、いろいろ努力をしておりますが、先ほど御説明のとおり、基幹 医療施設と専門医療施設との間にやっぱり大分ばらつきがあります。有機性という観点 からすると、まだまだ検討しなくてはいけない問題が多いのではないかと思っておりま す。  それから前段、北島委員から御指摘のその臨床腫瘍学の話は、これまでのこの検討会 でたびたびいろんな委員から御指摘のとおりです。我が国の大学に臨床腫瘍学の講座が ないということが、がん医療の混乱をきたしている大きな原因の1つであるということ で、これは将来的な意味からすると、やはり特定機能病院もこの地域がん診療拠点病院 に積極的に加わっていただいて、教育の観点から制度を強化していくということは非常 に重要だと、私も考えています。  それから、その地域がん診療拠点病院構想では、これまで特定機能病院は排除はしな い、というようなちょっとネガティブな立場でした。これを整理していくと、私は特定 機能病院にも積極的に入っていただく必要があると。その際に、大学におけるがん医療 は、場合によると教室で、教授が代ると診療内容ががらりと変わるということもないわ けではなかった。こういう地域がん診療拠点病院の指定を受ける施設に関して言うと、 がん医療に関する一貫性ということからすれば、大学の中に例えばがんセンターのよう な施設があると、そういう一貫性が確保されるのではないかと、私は考えております。  はい、どうぞ。  北島委員  大学の中における、いわゆるクリニカルオンコロジーセンターという認識が、大分い ろいろな大学病院に起こっておりますので、そういうこともよく情報を集積しながら、 御勘案いただければと思います。  垣添座長  もう1つ、きょうの2番目の議題であります、がん専門医と言いましょうか、あるい は人材の育成という観点からすると、地域がん診療拠点病院と、例えば基幹施設との間 で人事交流をするときに、人を派遣した空席をどうやって埋めていくかという問題があ ります。この場合、やはり特定機能病院との連携はどうしても避けて通れない話だと思 いますので、これも非常に重要なポイントではないかと思います。  ほかに御意見はありましょうか。はい、どうぞ、内田委員。  内田委員  先ほどの資料を見ますと、各県でその拠点病院の数に非常にばらつきがありますね。 これは認可といいますか、その制度に問題があって、これはむしろ各県にその権限が任 されているといいますか。ですから、県によっては、がん拠点病院の指定がなかなか取 れないという県がありますね。この表をごらんになったらわかると思いますが、非常に ばらつきがありますね。それが1つの大きな問題だと思いますから、もう少し積極的に そういう指定病院を、もちろん認定条件がありますけれども、指定を進めていただきた いというのが1つ。  それから特定機能病院のお話が出ましたが、それは教育という観点から非常に大事だ と思いますが、地域によっては第2次医療圏ということになりますと、一般病院との競 合ということが起こります。ですから、どれぐらいの数を拠点病院として認定されるお つもりなのか、その辺も伺いたい。  垣添座長  ありがとうございます。最初の、県によるばらつきと言いましょうか、それに関して 事務局から何かありましょうか。  健康局生活習慣病対策室長補佐  はい。今、委員より御指摘いただいた点でございますけれども、厚生労働省で行って おります各種会合の場におきましても、本拠点病院については御案内をしているところ でございまして、我々としても積極的に情報提供しつつ、申請に関する機会の提供をし ているところでございます。ただし、本拠点病院につきましては、それぞれの県の申請 によるところが大きいものですから、そういった申請をしていただいて、そこから認定 に関する手続きに入っていくというシステムでございますが、引き続き、拠点病院につ いては、県の担当者にも御連絡して、積極的に申請をしていただくという方向で進めた いというふうに思います。  垣添座長  結局、県知事の推薦で上がってきますので、これまで確かに医療機関の指定がゼロの 県がいくつかあります。そういう県に対して積極的に情報提供していくということと、 そういう推薦が上がってきたときに、実際問題としては比較的ゆるい条件で指定をして まいりました。従って、県から上がってきた病院でこれまで指定されなかったというの は、非常に少なかったと思います。ですから、申請が上がってくるほうが、ばらつきを 減らす上では非常に重要ではないかと、私は考えています。  関連してですか。  千村委員  関連です。  垣添座長  では、関連してどうぞ、お願いします。  千村委員  ただいま、都道府県によるばらつきという御発言がございましたが、私、鹿児島県か ら来ておりますが、地図を見ていただきますと、鹿児島県は今、ゼロでございまして。 そういう意味では、「もっと積極的にやらにゃいかん」という県だろうというふうに思 っております。そこで、先ほどもちょっと申し上げましたように、今後いろんなことを 検討する上でも、できるだけ入り口は広くしていただいて、座長が御発言のように、そ のあとで例えば評価をし直すとかですね。そのようなことで、できるだけ……。これを 広げていくという観点からすれば、入り口は広くしていただいたほうがいいのかなとい うふうには思っております。  垣添座長  どうぞ、土屋委員。  土屋委員  すでに指定済みの135施設は、座長が先ほどからおっしゃっていますように、相当ばら つきがあるということです。「大体どのような中身の程度の施設が、指定されています 」と指定申請されなかったと、施設に情報提供してあげれば「ああ、この程度でいいの だったら、うちも申請してみるか」という施設が一挙に出てくるだろうと思います。  皆さんのほうから、そういうお気持ちがおありなら、この135施設の中身を分析した データをお示しするということが、非常に具体的な方策であろうかと思いますが。  垣添座長  はい、どうぞ。  丸木委員  それに関連してですけれども、ばらつきというのが、医療を受ける側にはわからな い。インセンティブが足りないということもあったのですけれど、単なる金の話だけで はなくて、地域がん診療拠点病院ではどういう治療が行われているのかというのが、受 ける側にわからないと、やっぱりその拠点病院の指定を受けようというインセンティブ が働かないのではないかというので、ぜひ、さっき土屋委員がおっしゃったものをです ね。全部、公開するというのは無理かもしれませんけれども、それに類するものは1つ 必要なのではないかと。  それからもう1つ、間口を広く募集するというのは僕は賛成ですけれども、ある程度 質の担保がないと、看板が泣くことではやっぱり賛同は得られないのではないかという 気がしますので。いくつかのハードルを設けるということは、それと医師の養成という のは次の課題なので、ここでは言いませんけれども、やっぱり空白県がこれだけあっ て、あと大阪なんかものすごくいっぱいある、このばらつきは、やっぱり全体的に眺め た感じでは、「何でだろうな」という疑問を感じざるを得ないんです。例えばインセン ティブという面でいったら、お金だけの問題なのか、それとも人材の問題なのかと、も し教えられたら教えていただきたいんですけれど。  垣添座長  ありがとうございました。いずれも大変重要な御指摘だと思いますが、何か事務局で お答えいただくことはありますか。  健康局生活習慣病室長補佐  情報提供に関しましては、今後もまた引き続き、いろんな場を通じまして、土屋委員 からも御指摘がありましたような、その具体的な情報も併せて提供していければという ふうに思っております。  あと、丸木委員から御指摘もありましたように、間口が広くということと、それから やはり質の担保ということは、両方とも重要であると思いますので、そういった点も踏 まえて、また今後指定をしていくということに取り組んでいきたいと思います。  垣添座長  ありがとうございました。それから、先ほど内田委員が御発言の後段の特定機能病院 の問題ですけれど、場合によると地域医療機関との競合関係が心配であるという御指摘 もっともですが、これは県によって事情が全然違いますね。ですから、1県で強力な医 療機関がたくさんあるような地域と、必ずしもそうでなくて、特定機能病院が中心にな っていかなくてはいけないところがあるということで、その辺のこともよく考えながら 進めていくということが必要ではないかと、私は考えております。では、野村委員。  野村委員 特定機能病院を指定するということは、要するにこれはがんの均てん化の ためにレベルアップを図るという意味ですね。そうしますと、特定機能病院の自発的指 定を待っているということではなくて、ある程度の保証を与えること。1回目ぐらいに 私、発言させてもらったんですが。そういうものがないと、やはり県の負担になったり 何かしたら、これは県ではとてもやっていけないというようなことになりますから。そ の辺のところを考慮して、推進をしていかないといけないのではないかと思います。  垣添座長  ありがとうございました。後委員。  後委員  では、短く申し上げます。私は位置づけのことを申し上げたいのですけれど、かなり 質の担保をしていくとか、あるいは行政のほうで都道府県知事の推薦を促進するという ために、やはり今のところ、この地域がん診療拠点病院制度、立ち上がったばかりで位 置づけがあまり高いところにはないというようなことも1つ、課題かと思います。  お願いのような話もありますけれども、医療提供体制の見直しが今、厚生労働省で行 われている中で、いずれ医療法の改正といった時期も来ると思いますけれども、そこに 向けていろんな審議会とか検討会が動いているというふうに私、存じておりますけれ ど、そういったところでもこの地域がん診療拠点病院を含めて、全がん協の病院とか政 策医療ネットワークの病院とかを全部括って、どのような位置づけがこのがんについて できるのかと。そういった位置づけができれば、病院としてもインセンティブが、お金 の面でなくてもありましょうし、一方で、そういった位置づけを与えられる病院には、 世の中から求められていることはかなりやってもらうというような形の方向で進んでい ただければというのが、私のお願いでございます。  垣添座長  ありがとうございました。それではここで、座長の私のほうから、がん専門医療機関 の役割分担について、皆さんに御提案をしたいと思います。  本日、追加で配付をお願いしました1枚のカラー刷りの紙をごらんください。これは がん専門医療機関の役割分担のイメージ、いってみればネットワークをどんなふうに考 えるかということでありますが。国立がんセンターが一番上に来ておりますが、これは 国立であるということと、それから例えば地域がん登録、そういう情報を集約して管理 して、行政にも、医療機関にも、一般の方にも利用していただくといった、そういう情 報提供の指摘とかいう、そういういろんなことの、いってみれば世話役というような立 場で、この一番上に位置づけさせていただきました。内容的には、そこにあります1、 2、3、4、5というようなことを行うと。特に教育・研修の実施とか院内がん登録の 整備といったことが、非常に重要かと思っております。  それから都道府県のがん拠点病院というのを仮に考えて、都道府県に1か所程度、こ れで全国をカバーするというふうにする。我が国に多いがんに関する標準的治療に重点 を置き、集学的治療の提供とか、地域がん診療拠点病院に対する教育・研修の実施、臨 床試験の実施、特に第II相・III相の試験、それから院内がん登録の実施といったことを 中心的に取り組んでいく。  それからもう1つ、先ほど来御議論いただいております2次医療圏に1か所程度の地 域がん診療拠点病院を置いて、我が国に多いがん、特にこの地域がん診療拠点病院で は、肺がん、胃がん、肝がん、大腸がん、乳がんの5つのがん、これを最も主要ながん と考えておりますが、それに関して診断、治療、緩和医療、教育・研修、臨床試験に協 力、特に第III相試験に協力するとか、院内がん登録の実施ということを行っていく。 こういうようなネットワーク化をすることによって、いってみれば各県に1つずつ基幹 になる施設があって、それからその下にいくつかの、それぞれの県における地域がん診 療拠点病院がぶら下がるような形にして、日本中をカバーする。  風呂敷理論というような言葉がありますけれど、風呂敷の1か所をつまんで持ち上げ ると全体がワッと上がってくるというような形で、頂点を高めると日本中のがん医療が 均てん化されるということを目指すのはいかがだろうかというふうに考えています。こ れに関して、少し御議論をいただければと思いますが。はい、丸木委員。  丸木委員  これを眺めたときに、今、その特定機能病院というのは、国立がんセンターは別にし まして、そうするとがん拠点病院になり得るし、もしくはその下の地域がん拠点病院に なると、こういうふうな理解でよろしいのでしょうか。  垣添座長  そこのところはもう少し議論しないといけないのですが、そのどちらにもなり得ると いうふうに考えています。はい、どうぞ、内田委員。  内田委員  先日、読売新聞でしたか、胃がんの手術件数の統計が出ておりましたが、あれを見ま すと、各県で主要病院の手術数というのはもう本当に接近しているんですね。ですか ら、ここで座長がお示しになった都道府県に1か所程度の機能が、一番は標準的治療に 重点を置くということ。それから地域がん拠点の場合は、むしろ診断に重点を置くと、 あるいは緩和治療に重点を置くということになっていますが、こういう機能分担はちょ っと問題があると思います。県によりますけれどもう少し、都道府県のがん拠点病院が 複数あっていいですし、それから先ほどどなたか御指摘になった特定機能病院をどう位 置づけるかということも、これは別個に考えたほうがいいように思いますが、いかがで しょうか。  垣添座長  ありがとうございます。特定機能病院に関しては、今の御指摘ももっともだと思いま す。それから私も今、ちょっと文言をいくつか拾って御説明している間で、ちょっとこ れは具合が悪いと思った項目がすでにあります。今御指摘のように、例えば地域がん診 療拠点病院、早期診断に重点というのは、診断であると同時に治療に取り組むわけです から、こういう書き方はやっぱり具合が悪いと思います。この中身に関しては、もっと きちんと整理させていただきたいと思います。御意見等ありましたら、どうぞ事務局の ほうにお寄せください。ありがとうございました。  ほかにいかがでしょうか。はい、どうぞ、土屋委員。  土屋委員  すでに特定機能病院でいくつかこれに入っていらっしゃるようですので、現在それが どういう役割を果しているかということは、1つの参考になろうかと思いますが、いか がでしょうか。  垣添座長  これは事務局から何かありますか。  健康局生活習慣病対策室長補佐  はい。特定機能病院、現在、地域がん診療拠点病院に入っている病院というのは、原 則としてその地域に密着したがん医療を行っているというところでございまして、いわ ゆる大学の付属病院というよりも、地域におけるがん診療の拠点となっているような、 そういった病院でございます。  垣添座長  確か私の記憶では、一番最初に久留米医大が指定されています。それからいくつか、 やはり医療機関が比較的少ないところで、特定機能病院が指定されていったというとこ ろが多かったかと思いますが。  土屋委員  そうすると、それらは、地域のがん診療拠点病院としての役割を、現状では十分果た しておると、いうことですか。  健康局生活習慣病対策室長  はい。そういったことでございます。今、準備してございますので。  後委員  1点補足で。  垣添座長  どうぞ、後委員。  後委員  久留米大学のときは、報道もありましたけれども、一時保留になって、その地域に本 当に根ざしてやっているかというのを、福岡県の医師会さんとも話をしてみてというこ とで、確かにそのとおりということで指定されたということになっております。だと思 います。  垣添委員  そのとおりでした。ありがとうございます。お願いします。  健康局生活習慣病室長補佐  よろしいでしょうか。5つでございまして、資料1の5ページをごらんください。診 療拠点病院一覧表のところでございます。よろしいでしょうか。  まず番号で申し上げますと30番、埼玉県埼玉医科大学病院でございます。それから右 側に移りまして41番、東京都の日本大学医学部の付属板橋病院。それから次のページ、 6ページでございますけれども90番、奈良県奈良県立医科大学付属病院。それから96 番、島根県島根大学医学部付属病院。それから最後が117番、今ほど御紹介がありまし た久留米大学病院でございます。  垣添座長  ありがとうございました。もちろん、文言その他に関してはいろいろ注意深く検討を させていただきますが、基本的にこのような役割分担のイメージで、この均てん化の作 業を進めていってよろしゅうございましょうか。  はい、高嶋委員。それから津熊委員。  高嶋委員  この階層につきましてはいいと思うのですが、この2番目の都道府県別にしますと、 やはり都道府県は40数か所ありますが、そこに拠点病院というのは非常にばらつきが出 てくる可能性があります。そうしますとやはり、都道府県別というよりも、ある程度の ブロックでこういった拠点病院というほうがいいかなと。アメリカのコンプリヘンシブ ・キャンサー・センターでも、そんなにたくさんあるわけではありませんので、そうい った形の位置づけというのに、この2番のところを私は思っています。  垣添座長  ありがとうございました。実は私もこれ、非常に悩んでおりまして。47では多過ぎる と思います。当然、またばらつきが出てくることになりますから、そのブロックの基幹 病院みたいなものを入れるか入れないか。あるいはそれをどう考えるべきかというの は、引き続き考えてまいりたいと思います。どうもありがとうございました。  津熊委員、どうぞ。  津熊委員  座長からご提案のありました役割分担のイメージとしまして、国立がんセンター、都 道府県がん拠点病院、地域がん診療拠点病院と、こういう3層の構造を設ける考え方を というのは共通していると思いますけれども、この例えば大阪府は比較的大人口規模の 県でございますし、全がん協施設としての大阪府立の成人病センターというのがござい ます。こういう施設は、意気込みといたしましてはむしろ、まれながんの診療もやらな ければいけない。あるいは高度先進医療の提供にも積極的にならなければならない。こ ういうことを打ち出さなければ、存在意義が問われるわけでございます。  ですから、府県の状況にもよると思いますけれども、国立がんセンターだけがその機 能の中で1、2、3あたり、述べておられますけれども、やはり先ほどブロックという 発想もございましたけれども、もう少し国立がんセンターの機能を果たせるような施設 を各ブロックにも設置していくという、こういう姿勢のほうがより積極的でよろしいの ではないかと思います。  垣添座長  ありがとうございました。それも大変重要な御指摘だと思います。私、この説明を申 し上げたときに、国立がんセンターは世話役というような位置づけというふうに御説明 申し上げましたけれど、国立がんセンターだけ、例えば高度な医療をやるなどというこ とは毛頭考えておりません。今御指摘の点、特にブロックの基幹病院というような考え 方を入れて、この右側の説明部分はもう少し検討するということで、基本的ないくつか の階層で日本中をカバーするという構想を進めてよろしいか、いかがでしょうか。  よろしゅうございますか。どうぞ、北島委員。それから山田委員。  北島委員  この役割分担は、非常に結構なのですが、これを見てすぐ気がつくことは、いわゆる 地域がん診療拠点病院において、特に各都道府県で、標準的治療が行われ、国立がんセ ンターが高度技術を要する治療を行う。これはよろしいのですが、地域がん診療拠点病 院、で初診医師として患者さんを診るのはやはり地域のがん医療従事者だと思います。  ですから、さきほども言いましたように、のいわゆる基盤的腫瘍学、こういうもの を、徹底的に地域の医療従事者に教育し、将来、近づけることが必要です。都道府県を ステップアップさせて国立がんセンターの、高度先進医療にとこのように考えますと一 番重要なことはの地域のがん医療従事者に対する教育・研修の実施、がポイントである と考えます。  垣添座長  どうも大変貴重な御指摘、ありがとうございました。取り入れさせていただきます。  山田委員、どうぞ。  山田委員  先ほど話がありましたように、やはりこの右側に記載されているほう、実際にはいろ いろ問題があろうかと思います。おそらく違うのは、臨床試験の内容程度で、あとはど の区分でも同じだろうと思います。  ただ、これはこれでよろしいのですが、もう1つ、前回の議論の中で出てきたと思い ますが、がん治療の均てん化を考えたときに、地域による5年生存率の差を何とかした いという話が出たと思いますが、そうするとやっぱりがんの治療だけでなく、おそらく 検診のところまで入り込まないと不十分ではないかという気がします。  それで、ネットワークというのを考えるのであれば、大きな意味でそこら辺も含めた ネットワークも別に考えたほうがいいのではないかという気がします。  垣添座長  ありがとうございます。がんによる死亡率の激減という、第3次対がん10か年戦略の そのキャッチフレーズを実現する上では、検診のことは避けて通れない、もう1つ、こ の均てん化と並ぶような重要な課題かと思いますが、とりあえずはここは地域医療の格 差ということに集中させていただいて、検診のことに関してはまた別な検討会も進んで おりますので、そちらでも議論させていただきたいと思います。はい、どうぞ、岡本委 員。  岡本委員  全がん協の調査を通じていろいろ感じたことですけれども、2点ちょっとお話しした いと思います。  1点は、医療スタッフをどうやって配置するかという。こういうシステムは、つくる のは構造上机の上で書ければいいのですけれども、実際にタッチする人事権がやっぱり ばらばらでございますので、その医療スタッフをどういうふうに配置するかということ は非常に問題だろうと思います。その点がちょっと抜けているというのと。  それから、がんの患者さんがどういうふうに受療すればいいのかという部分が抜けて いるのではないかという。がんの患者さんですね。例えば地域がん診療拠点病院に行っ て、それからがん拠点病院へ行って、国立がんセンターに行くのかということがありま すので。例えば今の医療状況ですと、国立がんセンターへ直接がん患者さんは受診して もよろしいわけですので、そういったがん患者さんの動きというのでしょうか、そうい うことも、どういうふうにこれからこのシステムの中に入れ込んでいかれるのかという ことも、検討が必要ではないかと思います。  垣添座長  ありがとうございました。いずれも、スタッフの配置の件も、それからがん患者さん の流れを取り入れた考え方をしなくてはいけないという点も、非常に重要なポイント で、ありがとうございます。  それでは時間の関係もありますので、一応右側の説明部分は御指摘いただきました御 意見を取り入れて再検討させていただくことにして、基本的に3つが、あるいはいくつ かの組が階層構造でがん医療の均てん化を進めていくということを御了承いただいたこ とにさせていただきます。ありがとうございます。 (2)がん専門医等について(続)  垣添座長  続きまして、2番目のがん専門医について、前回、11月30日に議論いただきましたけ れども、あまり時間がありませんでしたので、まだ議論が十分尽くされなかった部分が あると思いますので、お手元の資料で前回議論を思い出していただきながら、もう少し 議論をいただければというふうに思います。参考資料の2をごらんいただきながら、御 議論ください。お願いいたします。  この資料の2の、ページ数が打ってないですが、ここに「がん専門医等に係る前回に おける主な論点」ということで、治療領域における専門医制度についてということで、 化学療法の専門家が少ない。それで、がん治療領域における専門医の育成が必要ではな いかといった議論がありました。  2番目として、がん専門医の育成について、レジデントや専門修練医の育成とか、そ れを全国にどういうふうに配置していくかといった話がありました。  それからがん医療を支える専門家について、病理の専門家も少ないし、がん看護の専 門家も少ない。放射線治療の専門家も少ないといった御議論をいただきました。これだ けでは不十分、あるいはこの議論をもっとふくらませるべきであるといった御意見があ りましたら、承りたいと思いますが。  いかがでしょうか。どうぞ、西條委員。  西條委員  先ほどのがん専門医療機関の役割分担のところで、少し戻りますけれども、国立がん センター、がん拠点病院、地域がん拠点病院というように階層化するというのはいいの ですが、現在の地域がん拠点病院というのは、やはりアクティビティーがほとんどな い。したがって、こういうように位置づけしても、今のままでは何ら改善がないという ことはおのずから明らかと思います。  何を考えないといけないかというと、きちっとした教育を持った人を、それを定量的 に評価できるような形での、そのレベルをクリアーした人たちを配備していかないとい けないということになります。そういう観点から、がん専門医というのが非常に重要で あるというように思います。この論点の整理のところで少し抜けていると思いますが、 国立がんセンターではというより、厚生労働省の果たす役割でありますが、私の立場 上、JCOGの代表者として考えるとJCOGでも各グループごとに、150人から200人 ぐらい研究者がおります。これの教育に果たしてきた役割というのは非常に大きなもの があると。だからトータルで1,000人から1,500人ぐらい、そういう素養を持った人がい るわけです。したがって、均てん化のためにはそういうところも非常に力を入れている 必要があるのではないかという気がいたします。  専門医については、何回も申し上げておりますように、きちんとしたカリキュラムに 基づいて、それを具体的に研修セミナー等できちんと教育すると、そういう場を持つ。 地域がん拠点病院、あるいはがん拠点病院、国立がんセンター等はその中でどういう役 割を果たすかということを考えますと、やはり実技の研修であります。これは手術療 法、あるいは放射線療法、あるいは病理、化学療法について、実技の研修をするところ というように位置づけております。教育、エデュケーションにつきましては、いろんな 場で、例えば会とか、あるいは国立がんセンター、あるいは地域、都道府県のがん拠点 病院でやるところがありますけれども、それに対して厚生労働省あるいは文部科学省か ら十分な補助をいただければ、我々は存分にやっていきたいというように思っておりま す。以上です。  垣添座長  ありがとうございました。JCOGの話が出ましたけれど、この間私、厚労省がん研 究助成金の中間発表会を聞いておりましたら、JCOGの消化管の化学療法について、 1997年にJCOGに加入している消化管のがんの専門家が30名ぐらいでした。現在、若 手の会もできてきて、170人くらいに増えてきた。こういう調子で行くと、あと5年く らいのうちに日本中で必要とされる、胃がんとか大腸がんとかそういう消化管がんの化 学療法に、かなり専門的に立ち向かえる人が出てくるのではないかという報告がありま した。  「そういう人数が急激にふえてきている理由は何ですか」と、私、質問しましたら、 消化管がんが少し、今まで歯が立たなかった胃がんや大腸がんに抗がん剤が効き始めた と。それで若い人がぐっと興味を持って、ぜひ一緒にやりたいという形になってきてい るということでした。これはもちろんJCOGの努力もありましょうけれど、若い人た ちにアピールする学問的達成があったというふうに考えたほうがいいということです。 ですからそういう形で、日本人がかかる多くのがんをカバーするように人が育っていく というのは非常に大事ですが、自然発生的でなくて、今、西條委員から御指摘のよう に、いろんな仕組みを作って、そういう人たちを育てていくということも必要ではない か、というふうに考えておりました。  ほかに御意見いかがでしょうか。どうぞ、原田委員。  原田委員  この委員会に参加することによって、私どものところはどういう教育を受けたらいい かというようなことでちょっとお伺いしたいと思います。いろいろ病院の状況を調べて みますと、一定のことをやっておりますけれども、やはり内容については、マンパワ ー、特に専門医が少ないということがはっきりいたしました。その点で、先回でも私、 質問いたしましたけれども、いろいろこのレジデントに関しましては、がんセンターを 中心にしていろいろいい制度があるということでお伺いいたしましたけれども、実際、 例えば私どものところから、希望者がいて研修を出すという場合についても、ちょっと 御質問させていただきたいのですけれど。  3か月とか半年とか1年とか、長期の場合と、それから私どもの意見の中ではもっと 短期間で、1週間ぐらいでもとりあえず研修をさせていただけないかという意見が出て おります。長期にわたることにつきましては、大学から派遣されている……、私どもは 医師は派遣されておりますので、その研修期間のマンパワーの補充ということが一番大 きなことでありますし。まだかつて、その研修をする場合にも、この大学の教室側の意 向ということがやはり無視できないという現状を踏まえますと、長期のことは希望者が いれば可能な状況でありますけれども、もっと短期間の研修についても門戸を開いてい ただける可能性があるかどうか。がんセンターの方にお伺いしたいと思いますけれど。 その辺についてちょっとお伺いしたいと思います。  垣添座長  野村委員。  野村委員  お答えします。短期においても、これは研修は引き受けます。しかし、1週間とかで 本当に研修の効果が上がるかと言うと、限られた部分しかないのではないかというふう に思われますけれど。  原田委員  よろしいでしょうか。ある程度でき上がった、がんの治療が全く素人のそういう研修 ではなくて、ある程度の者をやるということについては、そういう短期の研修も、私は 決して無意味ではないと思っていましたものですから、お伺いをしたんです。  垣添座長  私もある程度でき上がった方に、例えば1週間、例えば手術ですと、相当経験のある 方が何回か同じような手術に加わることによって、全然違ってくるということもあり得 るでしょうし、それから抗がん剤にしても、ある目標を定めて来られると、非常に短期 でも成果が上がる。だから、状況によるところはありますね。ただ、野村委員のご指摘 は一般論だと思いますけれど、特に若手の人が研修を受けたいというようなことになる と、やっぱり1週間ではかなり厳しいというところはあります。状況によって1週間か ら、場合によると1年まで、もっと長い方もあります。いろいろ状況があるということ でしょうか。  どうぞ、野村委員。そのあと、土屋委員。  野村委員  短期に関しては、例えばシステムづくりとかそういったことでがんセンターなりにい らっしゃって、どんなシステムで治療するのかというような、そういうちょっとレベル の上の人が来られてやるような方向づけはないものかと。今、検討しているのですが、 それが3週間ぐらいは必要かなと今は思っているんですけれど。  垣添座長  土屋委員。  土屋委員  先ほどの役割分担にもちょっと関係するのですけれども、前回のときに高嶋先生か ら、四国のがんセンターの研修の模様を伺うことができました。その中で、四国の各大 学からこの先生のセンターのほうへ研修に行っているのだろうなと思いました。したが って、同じ地域がん診療拠点病院といいましても、国立がんセンターのサブセンターぐ らいになり得る役割を果たしておるということから、この階層の中に、やはりブロック のセンターとしての位置づけが必要かと考えます。  それから、大学からある程度そういうことを専門とする者が研修に来てしまうと、大 学に穴があいてしまうのも1つの課題であるというお話を伺いました。国立がんセンタ ーといえども余裕がないかもしれませんが、研修に来るのを待っておるというよりも、 研修センターの専門家が、もっと積極的にがん診療拠点病院にならんとしているような ところに出向いていって指導していただくことができないでしょうか。  その間に、研修の必要な者が国立がんセンターなり、あるいは四国のがんセンターに 行って、それなりの研修を受けるこれをエクスチェンジプログラムと言っているんです けれども。それが、本来のナショナルセンター、あるいはそれに次ぐセンターの役割の 1つであるという具合にも考えるのですが、いかがでしょうか。  垣添座長  ありがとうございました。人材育成という観点からすると、国立がんセンターで全部 受けるなどということは到底考えられないことですから、やはり日本中をカバーすると いう意味で、ブロックごとにそういう研修を受け入れるような施設がなくてはいけませ んし、それがお互いに連携をしているということが非常に大事だろうと思います。それ は御指摘のとおりだろうというふうに考えます。  それから、国立がんセンターで育てた人を、求められる地方の医療機関へというのは 御指摘のとおりです。がんセンターで一生懸命育っていますけれども、せいぜい年間に レジデントとして30人、それからチーフレジデントが約20人。今後それをさらに進めて いくためには、地方の医療機関にどういう要望があるかということを調査し、かつレジ デントやチーフレジデントの人たちがそういう意向を持っているか、いわゆるマッチン グを進めていくということは考えております。  はい、どうぞ。手をあげておられましたね。まず野村委員。それから山口委員。  野村委員  この階層化というのも、1つはがんセンターですべて引き受けてやることはできない ので、こういうのを考えられたらいいのではないかという議長の提案だろうと思いま す。それにしても、例えばある施設からほかの施設に行って指導をするとか、あるいは 一緒に診療して、こういうテクニックがあるというのを示す場合にも、実はがんセンタ ーにおいてさえも人手が足りないんです。  だから、そういったところがきちっと整理されてないと、なかなか交流を活発にでき ないというところはあるんですね。私どもも積極的に、一緒に協力してそういう体制を つくろうとは思うのですが、まだ考えなければいけないところがあるということだと思 います。  垣添座長  山口委員、どうぞ。  山口委員  先ほど来、お話を聞いておりますが、がんの専門病院でいろいろ交流しながら、がん の専門医を養成していくということでしょうが、一番ベーシックなことで、がんの専門 医というものは、どの程度のところからがんの専門医にするか。あるいはそれぞれ、私 は外科ですが、科によって全く治療方法その他が違うという。何をもって専門医にする かという基本的な考え方はいかがでしょうか。  垣添座長  実はその議論は、この検討会では避けているところがあります。いろいろと難しい問 題が今ありますので。一般的に申せば、がんの診療に携わる人は、御自分の専門がたと え外科であれ、内科であれ、手術療法と放射線療法と化学療法の3つに対して十分な知 識があって、選択肢として提示できるような状況のもとで、しかもさらに画像診断とか 病理診断のこともある程度わかるということが求められているのだと、そのくらいのぼ んやりした形で、ここでは議論していただければ大変ありがたいと思います。  一方で、本当に専門医という話になってくると、そのあり方に関して今、非常に議論 が盛んなところでありますので、ここではできたらその議論は避けさせていただきたい と思っています。はい、西條委員。  西條委員  簡単に。先ほどから、研修期間がどれぐらいかとかいうようなお話がありますけれど も、例えば外科系と内科系というのは全然条件が違います。例えば外科系というのは、 外科学会なんか4つほどのカテゴリーに分かれていて、心臓血管系以外はほとんどがん をやっておられます。したがって、ある技術を習得するという目的で来れば、その期間 がどれぐらいかということはおのずから決まってくると思われます。  内科系といった場合は、大学にオンコロジーがありませんので、ポストがありませ ん。したがって、大学を出た場合はもう出っぱなしになります。要は、今の状態だった ら大学に帰れないわけですから、将来のポストも含め考えてやらないといけない。した がって、オンコロジーに非常に熱意を持つ人を養成する必要もあります。言葉は悪いで すけれどもオンコロジーに興味をもってもらうための洗脳のためには最低6か月はかか ります。1年たったら完全に洗脳できます。ただ、1か月ほど化学療法を見て、これが できるようになると考えるとすれば、とんでもなく危ない話だというように思います。  だから本当にあるポイントを定めて、そこだけというようなこと。あるいは垣添先生 がおっしゃったように、でき上がった方が1週間ほど来てある特別な知識を身につける というのだったら、短期だったらいけると思いますけれども、今の状況はそういうよう な状況ですので、やはり我々としてはある程度中長期研修が必要と思います。  北島委員  よろしいですか。  垣添座長  はい、どうぞ、北島委員。  北島委員  はい。論点を多少変えたいのですが、ここで専門医を育成するということ、総論的な ところですが、3番目の論点で、がんの医療を支える専門家について、専門家が少ない といういくつかの提案が前回あったと思います。最終的には腫瘍薬剤師、腫瘍ナース、 腫神科医によるチーム医療が必要と思われます。現在のがん医療というのは、もう個々 の知識、技術をはるかに超えた医療だと思うんです。  ですから、個々の専門家を育成すると同時に、最終的にはチーム医療というものをど う考えていくか。ここを最終的に構築するということが、ここの専門医を育成する場合 のゴールだと、そのように考えています。  垣添座長  ありがとうございました。これも大変重要な御指摘だと思います。やはり主な治療手 段だけでなくて、ほかの領域の治療手段のこともよくわかっているし、それから、診断 が確かでなければきちんとした成果が得られませんから、診断のこともわかると。それ に加えて、緩和医療だとか、あるいは薬剤師とか看護師とかで、それでチームをつくっ て1人の患者さんを診る。患者さんごとに違いますから、それに対応していく柔軟な組 織というのは、やはり各医療機関の中のチームで進めていく。そのチームをつくり上げ ていくことが、日本のがん医療が全体としてレベルアップしていく究極の目標ではない かと、私も考えています。ありがとうございました。  ほかにいかがでしょうか。はい、どうぞ、丸木委員。  丸木委員  ちょっと繰り返しになるかもしれませんけれども、前回のときに私も、地域のがん診 療基点病院の質を上げるためには、やっぱり研修は欠かせないと。ただ、出したいのだ けれども、それを出してしまうと穴があいてしまってできない。それをどうするかとい うので、きょうお話を伺っていますと、確かに研修をがんセンターに出して、そのかわ り、だれか来てもらうというふうな、エクスチェンジプログラムがうまく進めばいいの ですけれども、なかなかそれが進まない。  そうした場合に、ここにこれだけの方がいらっしゃれば、それのインセンティブをつ けるにはもう少し何かこう、お金なり何なりというのはできないものなのでしょうか。 というのをちょっとお聞きしたかったんですけれど。  垣添座長  やはりこういう、いってみれば制度をつくり上げていこうとするときには、最終的に はやっぱりお金の問題と人の問題が必ず絡んでまいります。それにどこまで踏み込むか ということでありますけれども、今御指摘の点、人事交流をきちんと動かそうとした ら、やはりインセンティブの中に、先ほど土屋委員は患者さんのほうの立場という発言 がありました。それももちろん重要ですが、もう一方でやはりお金とか。つまり、研修 に出した人のあきポストを埋めるための人件費とか、そういったことをやっぱり最終的 には考えていく必要があるのだろうと、私自身は考えています。  ほかにいかがでしょうか。はい、後委員。  後委員 私がおります九州大学の医療ネットワーク学講座というところでは、論点の 3に関係するようなことをしておりまして。といいますのは、ここに書いてある3つの ポツとは関係ないのですけれども、医師とかあるいは看護師もそうですけれども、それ でも今は現場のがん医療というのは精いっぱいですので、それ以外のような方でも、あ いた隙間を埋めるような、例えば患者さんがちょっと不満を持ったらそれを聞いてあげ るとか、あるいは専門用語がわからないことがあれば、それを教えてあげるだとかです ね。  どのような形ができるか、まだわからないのですけれども、そういったコーディネー ター的な人を育成するというようなことを1つの研究課題としてあげて、まだ研究途上 ではあるんですけれども、そういうことをやっておりまして。そういったまだ専門家が 考えてあがるような論点以外にもいろんな隙間があいていると思いますので、そういっ たところにも今後眼を向けていく必要があると。ただ、私の意見ですけれども、そうい うふうに思っております。  垣添座長  ありがとうございました。やはり究極の目標であるチーム医療を円滑に進めていく上 では、そういうコーディネーターのような方がおられると非常にスムーズにいくという ことは、御指摘のとおりだろうと思います。ありがとうございました。 (3)「がん医療水準均てん化の推進に関する検討会」報告書起草委員会(仮称)の設 置について  垣添座長  時間の関係もありますので、それでは次に議事の3番目、「がん医療水準の均てん化 の推進に関する検討会」の報告書起草委員会(仮称)、それの設置についてということ で、事務局から説明をお願いします。  健康局生活習慣病対策室長補佐  では起草委員会につきまして、資料の3に基づきまして説明をさせていただきたいと 思います。今まで、本日を含めまして4回にわたり御議論いただいたわけでございます けれども、第1回の検討会に出させていただいた開催要項の中に、検討事項として6つ ほどございます。この6つの事項について、今まで4回を通じて、1巡目の議論が終わ ったというふうに考えております。  その6つを紹介させていただきますと、  まず1つ目が、がん医療における地域の実態と格差を生み出している要因。  2つ目が、がん専門医等の育成。  3つ目が、がん専門医療機関の役割分担を踏まえたネットワーク体制の整備。  4つ目が、人材交流。  5つ目が、専門医等の確保。  6つ目が、きょう御議論いただきました、地域がん診療拠点病院制度のあり方でござ います。  こうした御議論いただいた点を踏まえまして、報告書を作成していくわけでございま すけれども、本日、冒頭に大臣からも御挨拶がありましたように、本年度内の報告書作 成を目指しているところでございます。そのためには、取りまとめに関しまして、時間 を効率よく使っていくということと、機動的に取りまとめ作業を進めるという観点か ら、起草委員会を今回提案させていただいたわけでございます。  メンバーを御紹介させていただきたいと思います。本委員会のメンバーの中から、後 委員、垣添委員、高嶋委員、千村委員、津熊委員、野村委員の、以上6名でございま す。なお座長につきましては、起草委員会と全体の取りまとめを行います本委員会の整 合性を確保する観点から、引き続き垣添委員にお願いしたいというのが、このメンバー の案となっております。以上、資料3の説明、簡単ではございますが、終わります。  垣添座長  ありがとうございました。これ、タイムスケジュールとしてはどういうふうに考えれ ばいいですか。  健康局生活習慣病対策室長補佐  すみません。タイムスケジュールについては、1ないし2回の検討を数回、2月中に 行いまして、遠い方もいらっしゃいますのでインターネットも通じまして進めたいとい うふうに考えているのですけれども。3月の上旬ぐらいをめどに報告書案をつくりたい というふうに考えております。  垣添座長  わかりました。そうすると、2月中に今御紹介いただいた6つの課題を中心にして、 これまで4回、この検討会で御議論いただいた内容を起草委員会で取りまとめると。そ れで文章化したものを、そうすると3月に入ってからもう1回、この検討会が開かれ て、それでよろしいかどうかということになるのでしょうか。  健康局生活習慣病対策室長補佐  3月の、開く予定でございます本委員会にその報告書案を御議論いただきまして、そ れで最終的に報告書作成という作業を考えております。  垣添座長  わかりました。そうすると、スケジュール的にかなり厳しいのと、特に患者さんがこ の検討会の報告書を注視しておられると思いますが、どういうふうに動くのだという、 方向性は間違いなく出せると思います。しかし、具体的にどうかとなりますと、場合に よると積み残しが出てまいりますね。それはどういうふうになりますか。瀬上参事官。  大臣官房参事官  これまでの御意見をかんがみますと、1つとして、「第3次対がん10か年総合戦略」 を進めていく上での均てん化という視点から長期的に取り組んでいくべき課題、そうい った問題点。第2に、その中で高い優先順位を与えて部分的でも当面取り組んでいくべ きこと。そして第3に、また将来に向かっての大きな課題と、このような3つの分類に おおむねできるのかなというふうにお話を承ってきたところでございます。  これまで、座長からも御発言いただいていたと思いますが、こうした論点につきまし て、できればそのあたりを明確にしながら、報告書案を起草していただければよろしい のではなかろうかと。今、先生のおっしゃった課題にもお答えになるのではないかと、 このように考えています。  垣添座長  ありがとうございました。という背景で、こういう起草委員会をつくることに関し て、いかがでしょうか。よろしゅうございますか。では、津熊委員。  津熊委員  今、起草委員の1人に選んでいただきまして、ありがとうございます。メンバーにつ きまして、もし可能であれば要望させていただきたいのですが。第2回検討会で参考人 として、がんの実態把握、あるいは今後均てん化を進める上で院内がん登録資料をどの ように考えていったらいいかという、そういう説明を参考人として述べていただきまし た国立がんセンターがん情報研究部の祖父江部長を、この検討会のメンバーではありま せんが、何らかの形で加わっていただければというふうに思いますが、いかがでしょう か。  垣添座長  それは当然、御知恵を借りながらまとめなくてはいけませんので、それは努力いたし ます。検討会としてはこのように、もし認めていただければ、参考人のような形で加わ っていただくということを考えたいと思います。  よろしゅうございましょうか。それでは、こういうような起草委員会立ち上げること を御了承いただいたことにさせていただきます。  もう少し時間がありますので、この検討会の御議論を吸い上げて文章化するわけです から、これまで発言がまだ十分でないという委員がおられましたらどうぞ、御発言を受 けたいと思いますが。内田委員、お願いします。  内田委員  第2回の検討会だったと思いますが、厚労省の瀬上委員から、参考資料として平成10 年から12年の悪性腫瘍の死亡率の地域差という参考資料を出されましたが、時間がなく て御質問できなかったのですけれども。それを、確かワースト16と。11の腫瘍について ワースト16の都市名、あるいは府県名が出ていたと思います。  それを見ますと、例えば60歳代の、60〜69歳の死亡率ですね。それの60位が最低とい うことなんです。60位から45位までの主要都市の出現率。これを見ますと、一番高いの が名古屋市と神戸市なんです。64%。その次が何と東京と京都です。55%。その次が福 岡と北九州、45%。仙台と広島がそれに続きまして27。そして札幌、横浜、川崎が18% と、こういう極めて予想外の結果が出ていると思います。要するに大都市の、主要都市 の死亡率が非常に高いという状況です。  これはもちろん、人口の問題とか、あるいは予防とか、発生率の違いとか、あるいは 場合によっては医療水準とか、そういうものが、さまざまの要因が関係していると思い ますけれども、こういう数字をもう少ししっかり検討しないとですね。どうもこれまで の話を聞いておりますと、均てん化という視点がだんだんぼやけてきてしまっている。 もちろん、がんの治療、診断治療の水準を上げるということ、これはもう皆さんが御討 議になったすべてのことが関連するわけですけれども、この検討会は均てん化というこ とを中心に話を進めてきたわけですから、そのことを、要するに均てん化に必要な要因 という、まず第一の問題ですね。そこをやはり重点的に、この起草委員会としてはまと めをしていただきたいというふうに思います。  これは非常に不思議なことですけれども、実態が厚生省から出ているわけですから、 大都市圏のほうが死亡率が高いというこの事実を、ではどう分析し理解するのかという ことですね。またほかの委員の方で、これについて御意見があれば承りたいと思いま す。  垣添座長  ありがとうございました。瀬上参事官、何かありますか。  大臣官房参事官  はい。第2回の本検討会の参考資料の3として、悪性腫瘍の死亡率の地域差というこ とで、平成10年から12年の3年間の死亡数を、都道府県別及び東京23区、12指定都市、 合わせて60のそれなりの人口規模のある程度ある地域での比較をした、そういうもので ございます。年齢を10歳階級別に分けて、肺がん、胃がん、大腸がん、肝がん、それに ついて男女別に年齢別での死亡率がどうなっているかという実態を分析していただきた いということで、お示しした資料です。  今、先生が御指摘いただきましたように、私もこの資料をつくりました際に、意外と 大都市で上位のほうに来ているというのはなぜかということで、まず第1に死亡した方 々の住所なのか、それとも死亡した場所なのかという問題ですが確実にこれは死亡した 方の住所地での死亡だということ。施設があるから、そこで亡くなったからということ ではないということを、まず1つは申し上げておきたいということ。  とすると2つあって、1つは診断が確実について、それによっての死亡診断書が出て いるという文化的な問題があるのかどうかということ。これは常に私ども、考えておか なければならない部分だと思います。肝がんですとか卵巣腫瘍ですとか、そういう複雑 な問題になってきますと、ときには亡くなる時点でがんというのを消して別の疾患でや る場合もあり得るわけでありますけれども、肺がんあたりになってきますと、もう肺が んとして出てくるものが逆に多いわけでございまして、そういう点で見てもやはりいく つかの大都市が上のほうに出てきております。そういう点で、文化的な問題というの は、もしかしたら消して見ることができるのかなと。そうすると、やはりこれは、それ なりに実態ではなかろうかと、死亡率で見ております。  大事なことは、やっぱり発生率がどうなっているかということでありますが、その発 生率に関しては、国としてのデータは今のところない。地域がん登録、あるいは院内が ん登録に頼るしかないわけでございますが、そちらのほうでの実態、発生率がやはりこ ういうふうになっているのかどうかということは、今の段階では推して知るべしものが ありません。  垣添座長  津熊委員、内田委員の御質問に関して、大阪府の御経験から何か御意見ありますでし ょうか。  津熊委員  都市部に多いがんというのは、大阪の発生のデータで言いますと、やはり肺がんとか 肝がんというのは多いわけでありまして。おそらく乳がんも多いと思います。ですから 今、瀬上先生も御指摘がありましたように、死亡率だけではなくて発生率がどうなって いるのかということと、それと一番の懸念であります受けられる医療についての、都市 部であってもなかなか行きわたっていないのかどうかといったあたり。このあたり、す ぐに答えを出すようにというような御発言もあったかと思いますが、やはりこういった 点をきちっと分析してモニタリングしていける、こういう組織をつくっていくというこ とが、この検討会の方向性として書けることで、実際に要因が何だというのは、現段階 ではなかなかまだ書きにくいところがございます。  垣添座長  ありがとうございました。内田委員。  内田委員  地域格差と言いますけれども、私はがんの専門医ではありませんから、間違っている かもしれませんけれども、やはり病院間の格差、要するに医療機関間の格差、その医療 機関の主任部長の治療方針、それからそれを支えるいろいろな、コメディカルを含めた 医療体制と、そういうものがやはりがんの治療成績に大きく影響しているのではないか というふうに思います。ですから、そういう観点からの調査とが必要ですね。単に地域 の格差という点で見ていきますと、大分間違うのではないかと思います。  これは大学によっても、治療の方針が違うところがありますので、その標準化が非常 に大切なことではないか思いますので。その点も1つの方向として考えていただきたい と思っております。  垣添座長  ありがとうございます。この均てん化の長期的な課題としては、御指摘のとおりだと 思います。それから、主任教授なり主任部長の方針とか何かによって医療機関の格差が あるということも、これはこれまで特にマスコミからたびたび指摘されているとおり で、これは均てん化ということを考えるときには、地域間格差と同時に医療機関格差と いうことも、やはり避けて通れない問題だと思います。  それで、このまとめを書いていく上では、先ほど瀬上参事官から御提案がありました ように、直ちにやれることと、それから少し中期的にやること、それから将来的に考え ること、それを分けて取り扱ってまいりたいと思います。その中にぜひ、今の御意見も 取り入れさせていただきたいと思います。  ほかに、全体にわたって何か御発言? どうぞ、丸木委員。  丸木委員  先ほど岡本委員から、「今回、この検討会の中で、患者の立場から見てその受療をど うすればいいのかというのに対して十分な議論をされたのか」という意見があったと思 います。私も同じ意見で、いったいこの均てん化とは何のため、だれのための均てん化 なのか。要するに患者の側から見ての均てん化であるべきです。  そうすると、今回こういう形で地域拠点病院なり何を整備すると、当然それは患者の 要望でもあるのですけれども、それを整備したときに、その情報のアウトカムをきっち り出してもらわないと、「何かこう組織だけは整備されたようだけれども、実際、では 病院選びのときにどれだけ参考になるのか」という、ぜひ患者の立場といいますか、が ん患者が受療するときの視点を忘れずに、検討会なりでまとめていただきたい。これを 読むことによって、「あっ、ちょっとがん医療は変わったな」というふうな印象を受け るぐらいの、それは長期計画でも短期で実現可能なことも、ぜひその視点でやっていた だきたいという要望でございます。  垣添座長  ありがとうございます。すべてのがん診療、あるいはがん研究は患者さんがあっての ことですので、一番根源的な御指摘をいただいたと思います。ですから、報告書をまと める段階で、もちろんそのことを常に意識しながら作業を進めさせていただきたいと思 います。ありがとうございます。  ほかにいかがでしょうか。どうぞ、山田委員。  山田委員  起草の中で2つお願いしたいのですが。1つは、放射線治療医が少ないのは危機的な 状況にありまして、このまま行くと均てん化どころか、日本全体の放射線治療も欧米に 比べてかなり差がでる可能性があります。今すぐ治療医をふやすということは不可能で すので、それを支える物理士とか、そういったものを手当てしていただけることを、起 草の中にぜひ含めていただきたいということ、  もう1つは、先ほどから問題になっている特定機能病院がこのがんの均てん化にどう いうふうにかかわるのかについて、具体的な議論がなされていません。これは非常に大 事なことだと思いますので、仮にがん拠点病院の中に入れられないのであれば、例えば 特定機能病院の中に別の、ネットワークをつくってこのがん医療の均てん化にどう関わ るのかという議論ができる場をつくるというようなところまででも、起草の中に入れて いただきたいと思います。  垣添座長  起草の中に入れられるかどうか、ちょっと私も自信がないのですが、先生御自身は例 えばその特定機能病院、先生の大学のことを頭に置かれながら、どうあるべきだとお考 えですか。  山田委員  このがん拠点病院とか、全国がん登録機構の中に我々は全然入っていないんですね。 だから、全国の流れが、どうなっているのか、また大学病院としてどう関わるのか、あ るいは教育はどうするのかとか、医師の派遣でどういうように関与できるのかというよ うに、我々にできることはかなりあると思思います。特定機能病院は、がんに対して、 かなり指導的な役割で地域に貢献していると思うのですが、それが評価もされていない し、実際に関われるところに関わってきていないというもどかしさがあります。  それから先程、地域によって拠点病院の指定数がばらばらだという議論がありました が、大学病院とか特定機能病院でがんの治療を行っているところを指定すれば、一気に その差はなくなるわけです。特定機能病院を含めた形で、均てん化というのを考えない と、かなり難しいのではないかと思います。  垣添座長  わかりました。その点は私も十分認識しておりますので。よくわかりました。  ほかにいかがでしょうすか。どうぞ、北島委員。  北島委員  部長が違えば治療方針も違うという御意見があったのですが、やはりそういうことは 適切ではないということで、今、厚労省もEBMに基づいたガイドライン、それから学 会もEBMに基づいたガイドラインを作成し、このガイドラインに基づいたスタンダー ドの治療をやっていこうという、そういう動きもあるわけですね。ですから、部長によ って違うとか、そういうことが取り込まれると、これは国民の皆さんが非常に動揺する と思います。ガイドラインはこういう状況で進んで、それに基づいたスタンダードな治 療が今、施行されているというようなことも勘案していただきたいと思います。  垣添座長  ありがとうございました。ガイドラインづくりの作業がどんどん進んでいますが、問 題は、日本発のエビデンスが必ずしも十分でないというのが一番悩みどころでありま す。それをつくるための努力がさまざまされていることは御承知のとおりだと思いま す。  私、国立がんセンターの中央病院の院長をやっていたころ、よく冗談で言っていたん ですけれど、国立がんセンターは金太郎あめとか言いましてね。胃がんなら胃がんのグ ループ、昔は4人スタッフがいたら4人、手術手技が違ったり、あるいは極端に言うと 手術の道具まで違うとかいうようなことがあったのですが、今は基本的には同じ診療方 針で臨んで、どの医師が担当しても基本的なところは同じ。人間ですから多少はバラエ ティーがありますが、それを称して金太郎あめと申しました。ガイドラインをつくると いうのは基本的にはそういうことだと、私は思っています、それに基づいた均てん化と いうことも、当然頭の端に置いておかなくてはいけないことだと思います。  ほかにいかがでしょうか。どうぞ、後委員。  後委員  先ほど垣添座長のほうから、この委員会ではちょっと議論は避けると言われていた、 化学療法の専門家とかそういった話ですけれども、もちろん3月末でそれがきれいな形 になってスタートできるという状況ではなくて。私もがん関係の学会に属しております からそう思うのですけれども、この均てん化というところで、しかも論点にもあがって いることですから、こういうことを求めたいとか、こういうふうにあるべきだとかいう ことを一言ぐらい書いて、この報告書を見ていらっしゃる方にも全くこの委員会では何 も後押しもしなかったというようなことのないように、私、起草委員に選んでいただい てもおりますので、できればそうしたいというふうに思っておりますけれども。  垣添座長  ありがとうございました。ぜひ、積極的に御発言ください。  もう少し、5分ぐらい時間がありますが、いかがでしょうか。はい、どうぞ、山田委 員。  山田委員  この会ではやっぱり死亡率とかがメインに議論されたと思うのですが、やはりがんの 治療を考える時、クオリティーも問題になります。例えば地域によっては乳がんの温存 手術の比率もかなり差があります。今この会でどうこうということではないのですが、 この延長線上ではやっぱりクオリティーも含めた均てん化というのも議論すべきではな いかというように感じます。  垣添座長  ありがとうございます。指摘のとおりだと思います。 (4)その他  垣添座長  では、本日は皆様から大変貴重な御意見を承りました。ありがとうございます。そろ そろ時間がまいりますので閉会にしたいと思いますが、事務局のほうから何かございま したらお願いいたします。  健康局生活習慣病対策室長補佐  では、次回の検討会ですけれども、先ほども御紹介させていただきましたように、3 月に開催し、起草委員会で作成していただく予定のその報告書案に基づきまして、最終 的な議論をしていただきたいというふうに思っております。なお、日程、開催場所等に つきましては、改めまして御連絡申し上げたいと存じます。本日はまことにありがとう ございました。  垣添座長  どうもありがとうございました。                                    (終了)