05/01/20 第22回社会保障審議会児童部会              第22回社会保障審議会児童部会                    議事録              厚生労働省雇用均等・児童家庭局            第22回社会保障審議会児童部会 議事録                  日時 平成17年1月20日(木)15:30〜17:37                  場所 霞が関ビル東京會館シルバースタールーム                   議事次第 1.開会 2.就学前の教育・保育を一体として捉えた一貫した総合施設について 3.少年非行法制の見直しについて 4.三位一体の改革について 5.平成17年度予算案について 6.子ども・子育て応援プランについて 7.その他 8.閉会 ○岩男部会長  定刻となりましたので、ただいまから第22回社会保障審議会児童部会を開催させてい ただきます。本日は大変お忙しい中を御出席いただきましてありがとうございます。  まず、本日の出席状況につきまして事務局から御説明をお願いをいたします。 ○高井総務課長  本日は欠席が網野委員、小笠原委員、服部委員、松原委員、山崎委員が所用により御 欠席とお聞きしております。渡辺委員は少し遅れるという御連絡がございました。大日 向委員は間もなくお見えになると思います。  すいません、私の方からでございますが、事務局を代表いたしまして、雇用均等・児 童家庭局長の伍藤よりごあいさつを申し上げたいと思います。 ○伍藤雇用均等・児童家庭局長  本年初めての児童部会でございますが、昨年いろんな形でこの審議会にお諮りして審 議を進めてまいりまして、そういった中で、私どもも後ほどまた御説明いたしますが、 児童福祉法の改正、児童手当法の改正、育児・介護休業法の改正、こういった法律改正 に取り組んでまいりました。それから、年末には、これもきょうの資料に入っておりま すが、新しい新エンゼルプランに次ぐ今後の5カ年計画というものを決定をさせていた だきまして、「子ども・子育て応援プラン」とこういう名称にさせていただいておりま すが、こういった非常に多岐にわたる課題に取り組んでまいりまして、その都度、先生 方・委員の皆様方に審議を通じていろいろ御示唆、お教えをいただきながら進めてまい ったところでございます。  きょうは、現段階の問題、ちょうど今進んでおります少年非行法制の問題、こういっ た問題も抱えておりますので、こういったことを一括して御報告させていただいて、こ れからまたいろいろ御協力を賜りたいということでございますので、本年も何卒よろし くお願いいたします。 ○岩男部会長  こちらこそよろしくお願いいたします。  それでは、議事に移りたいと思います。これまで6回にわたって行われてきました中 央教育審議会初等中等教育分科会幼児部会と当部会との合同の検討会議における議論を 受けて、12月24日に「就学前の教育・保育を一体として捉えた一貫した総合施設につい て」、審議の最終報告が取りまとめられました。本日は、まずその内容について事務局 から御説明をお願いいたします。 ○尾崎保育課長  保育課長でございます。  お手元の資料で、今、部会長からお話のございました総合施設の審議のまとめでござ いますけど、資料が2つございます。資料1−1、(審議のまとめのポイント)の色刷 りの2枚紙が1つございます。もう一つは、審議のまとめの本体でございますけれど も、資料1−2ということで、表、裏印刷になっておりますけれども、全部で8ページ ということでお手元に用意をさせていただいております。御説明は資料1−1の(審議 のまとめのポイント)の方で要点を御説明させていただきたいと存じます。  昨年の8月に中間まとめがなされまして、審議のまとめでは、中間まとめ以後の検討 を踏まえまして、中間まとめに加筆をするという格好でまとめられたわけでございます けれども、特に加えられた部分を中心にご説明をさせていただきたいとは思いますが、 御覧いただきます審議のまとめのポイントのうち、1枚目が総論、2枚目が各論と、概 ねそういう位置付けになってございます。  1枚目の総論につきましては、中間まとめの段階で概ね骨格はできておりまして、御 覧いただきますとおり、意義・理念につきましては、幼児教育の観点と次世代育成支援 の観点から検討する。教育・保育を一体的に実施するための新たなサービス提供の枠組 みを考えると。既存施設からの転換等を可能にする柔軟な制度とするといったようなこ とは中間まとめの段階で方向性が示されてございました。  次の基本的機能についても同じでございまして、親の就労事情等に関わらず、幼児教 育・保育の機会を提供することが基本ということで、共働きの家庭、専業主婦として育 児をなさっている家庭、そういう親の働き方を超えてすべての子育て家庭を視野に入れ たサービスの提供を考えるということでございます。これも中間まとめの段階で示され ているということでございます。加えまして、子育て家庭への相談、助言、支援、親子 の交流の場合を提供することが重要ということでございます。  その下、対象者の部分でございますけれども、この部分が最終まとめの段階でやや詳 しく書き込まれたところでございますが、御覧いただきますとおり、利用対象者として 想定をしますものとして、3〜5歳児につきましては、幼稚園と同様に4時間程度利用 する子ども、保育所と同様に8時間程度利用する子ども。0〜2歳児につきましては、 親子登園、親子の交流の場の参加といった形で利用する子ども、あるいは保育所と同様 に8時間程度利用する子どもが典型的には想定をされると。  また、親につきましても、その下でございますが、子育て相談・助言といった形で利 用する親が想定をされるということでございますが、その右にございますとおり、「○ 」に書いてございますが、4時間と8時間というふうに二分する考え方ではなくて、多 様な利用形態を可能にする考え方でいくべきであるということで、週に数日程度の利 用、一時的な利用。時間面につきましても、短時間の利用、延長利用といったような形 でニーズに応じた多様な利用の形態を可能とすることを考えるべきであるというご指摘 がまとめられております。  以上が総論でございます。  1枚おめくりをいただきまして、そこの黄色く塗られている部分、これが概ね各論の 部分でございますけれども、教育・保育の内容から始まりまして、全部で7つの分類に してございます。それぞれに議論の進捗したところを要点を記してございます。例えば 一番上の教育・保育の内容を御覧いただきますと、幼稚園教育要領、保育所保育指針を 踏まえ、モデル事業、これは来年度公・私立合わせて30カ所でモデル事業を1年間に限 りやることにしてございますけれども、そのモデル事業も含めて引き続き検討するこ と。3〜5歳児の4時間の共通時間、これは概ね午前中を中心に考えることになろうか と思いますが、これは幼稚園教育に相当するものと位置付けるように考えようというよ うなことがまとめられてございます。  次の職員配置・施設設備につきましては、2つ目、3つ目の「・」のところを御覧い ただきますと、例えば3〜5歳児については、幼稚園と異なり4時間利用のほか、8時 間利用の子どもがいることを前提とした検討をすべきである。0〜2歳児については、 保育所と同様に、子どもが8時間利用することを前提とした検討をすべきである。これ はちょっと言い換えますと、幼稚園の場合には35人学級という考え方がとられておりま すし、保育所の場合には3歳児が20人に1人、4〜5歳児につきましては30人に1人と いう考え方がとられているわけですが、保育所のように、8時間利用する子どもがいる というふうに考えると、35人学級というよりはもう少し手厚い方向で考えるべきである といったような方向性が示されているものと理解しております。0〜2歳児につきまし ては、保育所と同様に基本的には考えることになるのではないかということでございま す。  また、その下でございますが、食事の提供方法については、子どもの年齢構成や地域 の実情を踏まえて方策を検討していくべきであるということでございます。  職員資格等につきましては、保育士資格、幼稚園教諭免許のいずれかの資格で従事可 能。これを基本的な考え方としようと。ただし、3〜5歳児の4時間の教育は幼稚園教 諭免許、0〜2歳児の保育は保育士資格中心に検討するのが適当ではないかということ でございました。  その下の設置主体・管理運営のところは、8月の中間まとめの段階からさほどの進展 がなかったところでございますけれども、御覧いただきますとおり、安定性・継続性、 質の確保の仕組みを整えた上で、可能な限り弾力的になるように配慮すべきである。子 どもの視点を踏まえた自己点検・評価や第三者評価、情報提供が重要であるということ が示されております。  次の利用料・保育料ですけれども、応益負担・応能負担という考え方が1つ目で中間 まとめのときから既に示されてございますが、その下、利用料の設定は、直接契約とい う契約形態を踏まえて、各総合施設で行うことが適当であるということが示されており ます。  その下の財政措置等については、最終まとめの段階では中間まとめから記述の変化は ございませんでした。  その下、地方公共団体における認可・監督等の体制につきましては、地方公共団体の 実情に応じて、設置等の認可等を行う部署を実情を踏まえて決定してもらえばよいとい う考え方は既に示されておりましたが、それに加え、小学校を所管する教育委員会や 保健・福祉関係機関を所管する部署と総合施設、これは総合施設だけではなくて、保育 所・幼稚園も含めてということでございますけれども、その連携が重要であると。  また、そこにはまとめとしては記してございませんけれども、教育委員会と福祉部局 の行政相互の連携も重要であるといったようなことが示されてございます。  以上、各論の部分では時間的な制約もございまして、必ずしも最終的なところまで詰 めきれなかった点もございます。その点につきましては、最終まとめの審議のまとめの 中で、先ほど申し上げましたような、次年度行われますモデル事業、その検討も含めて 併せて検討を進めていくべきであるといったようなことが示されているところでござい ます。  そのモデル事業につきましては、今後のスケジュールとしては、今申し上げましたと おり、17年度においてそのモデル事業を実施し、その具体的な制度設計をその中から成 果としてくみ取っていくと。その上で18年度からの本格実施、これが閣議決定で示され ておりますスケジュールでございますが、その本格実施に間に合うように法案を国会に 提出するという方向で考えたいと思っておるところでございます。  とりあえず、取り急ぎでございますが、以上で審議のまとめの御報告でございます。 ○岩男部会長  ありがとうございました。それでは、ただいまの御報告・御説明につきまして、何か 御意見、あるいは御質問等ございましたら、どうぞ御発言いただきたいと思います。  先ほどのスケジュールのことで伺うのですけれども、17年度は30カ所の試行事業をす るわけですね。一応1年間とりあえず実際にやってみて、いろいろな問題点その他出て くるだろうと。それを見守るということだと思うのですけど、18年度から本格実施とい うことは、18年度には法律ができていないといけないわけですよね。そうすると、17年 度1年間実施して、それから法律を準備するというと、法律は途中で既に準備をしない と間に合わないのではないかと思いますけど、そのあたりはどういうふうになるのでし ょうか。 ○尾崎保育課長  御指摘のとおりでございます。モデル事業の期間が1年間しかないということで、ス ケジュールとしてはかなり気ぜわしいスケジュールになってございます。そういう意味 では、他の事業等以上にモデル事業に取りかかっていただくための準備を早くやってい ただいて、そして、また途中で成果をまとめていただくものも中間的に何段階かで集約 をしていって、なるべくその成果を我々が吸収しやすいようなことをまず考えるべきで あると思っておりますし、また、今、部会長から御指摘のありました法案の提出時期で すけれども、18年度、なるべく4月1日に間に合うようにということが理想でございま すけれども、仮に4月1日に間に合わないとしても、もともと閣議決定で私どもの受け ております指示は18年度本格実施ということですので、18年度のなるべく早いうちに本 格実施に入れるように、その法案の準備をしていく必要があると思っております。  国会にどの段階で提出することになるのか、モデル事業の成果のくみ取りですとか、 まさに臨時国会その他の開催状況等をにらみ合わせながら、その段階で決めていかざる を得ないというふうに思っておるところでございます。一番遅いケースですと、今から ちょうど1年後の来年の通常国会にはご提出して法案を認めていただかなければ18年度 中の実施、なるべく早いうちの実施はなかなか難しくなるのではないかと思っておると ころでございます。 ○岩男部会長  その関連ですけれども、現在1月でこの30カ所の募集というのでしょうか、実際にモ デル事業をやりたいという人が手を挙げる期間や当然準備の期間なり何なり必要だと思 うんですが、そのあたりのスケジュールはどういうふうに考えているのでしょうか。 ○尾崎保育課長  今、大急ぎでこの実施要綱を準備をしているところでございまして、できれば月内に もまとめてお示しをするようなことをやりたいと思っております。また、2月の段階 で、正規の募集をかけるということになるだろうと思いますけれども、既にいろいろな 形で、まだ実施要綱を定めているわけではございませんけれども、かなりの数の下相談 といいましょうか、そういった形では文部科学省、厚生労働省それぞれ、例えば幼稚園 サイドの希望、保育所サイドの希望というものを内々にはいろいろ聞いてございますけ れども、正規の話としては、2月のなるべく早い時期に皆さんに呼びかけていくと、施 設の側に募集をするということになろうと思っております。そして、また、なるべくこ の年度内の早い時期に予算案審議と並行ではありますけれども、施設をやっていただく 予定候補者といいましょうか、そこを決めまして、なるべく4月の早い段階で実のある モデル事業ができますように下準備をしていきたいというふうに思っているところでご ざいます。 ○岩男部会長  私ばかり聞いて恐縮ですが、あと一つだけ関連で伺うのは、例えば、今のお話です と、既に何件か下相談というか、ご希望を寄せられた方があると理解いたしましたけれ ども、例えば全部で30カ所ですから、非常に大ざっぱに言えば、厚労省関係で半分ぐら いということなのかどうか、そこはよくわかりませんけれども、いずれにしても希望者 の方が多かったときに何らかの形で選ばれるわけですね。その何か基準とか、あるいは 選ぶのはどういうふうにして選ばれるのか、そのあたりは既にお決まりなのでしょう か。 ○尾崎保育課長  それを含めて実施要綱の中でお示しをしたいと思っておりますけれども、希望が多い ことも想定されます。その場合に限られた30カ所という実験の個所ですので、なるべく 1つの施設で多様な幅広い実験をやっていただくところを当然ながら優先的に考えてい きたいと思っております。また、地域バランスですとか、保育所が例えば幼稚園的な機 能を加える場合、幼稚園が保育所的な機能を加える場合、その辺をバランスよく考えて いくことになるだろうと思っております。 ○岩男部会長  どうぞ、御質問ください。吉田委員、お願いします。 ○吉田委員  関連でございますが、法改正と漠然としているのですけれども、具体的には幼稚園・ 保育所を考えれば、児童福祉法と学校教育法、あるいは幼稚園設置基準と児童福祉最低 基準、保育所保育指針等、幼稚園教育要領といったいろんなレベルで法律とか省令と か、1つの目安、ガイドラインみたいなものとか、通知とかいろんな段階が考えられる のですけど、あるいは場合によっては新しい法律ということもあり得るのでしょうけれ ども、今の時点でどの程度までそういうレベルの問題は想定されるのでしょうか。 ○尾崎保育課長  今、吉田委員の御指摘のあった中でいいますと、もともとの本体といいましょうか、 本体保育所、本体幼稚園との関係で、新しいこの総合施設というものをどういうふうに 位置付けるのかという意味では児童福祉法との関係、学校教育法との関係というものの 整理が要るだろう。これも最低線として必要なことだろうと思いますし、また、総合施 設としての施設のあり方、基本的な枠組みというものを考えるときに、既存の学校教育 法なり、児童福祉法の一部改正で済むのか、あるいは総合施設を位置付けるための新規 の総合施設新法のようなものが必要なのではないかという感じもいたしますが、今のと ころはざっくりとそういう考え方でいるところです。  そのほか、今、例えば保育指針、教育要領の関係の御指摘ありましたけど、これは法 律事項ではございませんので、その辺の基本的な枠組みを受けた後で、その下位の法レ ベルとして総合施設の教育内容、保育内容を支えるものをどういうふうに整理するのか ということになるのではないかと思っております。 ○山縣委員  5番の予算とちょっと関連してしまうのですけれども、現段階でもしおわかりのこと があれば教えていただきたいのですが、来年度予算からソフト交付金とハード交付金と いう概念で出てくると。そのときに総合施設については、ソフト交付金の中で対応する と、そういう構造になっていますね。  今の吉田委員の説明にも若干絡むのですが、ハード交付金に入ってないというのは、 これは施設という名称は使っているけれども、いわゆる事業的なものを相当現段階では イメージしておるのかというふうに思って予算を見ておったのですが、その辺につい て、例えば児童福祉施設として、学校教育施設として、もしくは新しい新規施設として という、施設として今後整備というイメージを持っておられるのかどうか。  続けて、ソフト交付金という考え方になったときに、ソフト交付金というのはかなり 包括型のものになっていますよね。特定事業についていくらいくらという、そうなった ときに総合施設の予算は、国としてはあくまでも個別に、例えば定員とか年齢構成等を 考えていくらいくらという構造を考えていかれるというよりも次世代育成支援の行動計 画の包括の中で地方が裁量を発揮すべきだというふうにお考えなのか、そこがもしおわ かりであればお教え願いたい。 ○尾崎保育課長  ハード・ソフトそれぞれの御質問かと思いますが、実験の期間が1年間と非常に限ら れているということがございまして、基本的にはまだ今申し上げましたとおり、総合施 設というものが制度的な裏づけをもってこの世の中にあるわけでもございませんので、 既存の保育所に、例えば幼稚園教育的な機能をプラスアルファしてモデル事業をやって いただく、あるいは既存の幼稚園に保育所的な機能をプラスアルファしてモデル事業を やっていただくということになりますので、それぞれハードとしては既存の保育所・幼 稚園があるということを基本的な枠組みとして考えているということでございますの で、総合施設そのものを意識した施設整備助成といったようなことを予定しているわけ ではございません。ですから、例えば、それでもまだ保育所・幼稚園としては認可を受 けていないのだけれども、新しいもので考えることを全く門戸を閉ざしているわけでは ございませんので、その場合には既存の保育所、既存の幼稚園としての整備の枠組みの 中でハード交付金の中で採択できるのかどうかということを考えていく話になるだろう と思います。  それから、ソフト、総合施設のモデル事業のソフト交付金といいましょうか、そちら との関係で申し上げますと、たびたび申し上げておりますとおり、この総合施設のモデ ル事業は単年度限りの事業でございますし、もともと国の方から、国の必要性に応じて モデル事業をお願いするという立場なものでございますので、いわゆる次世代育成支援 対策の交付金全体の構造の中ではやや異質の、ある意味ではソフト交付金のかさの中で 間借りをしているような、そういうイメージでお考えいただければおわかりいただけや すいかと思います。  そういう意味では、計画の中でどう位置付けるかということで、計画全体の中で、市 町村計画を採択することによって総合施設をどうこうするというよりは、総合施設の30 カ所はそこの分だけ取り出して、モデル事業としてふさしいかどうかを判断して、こち らとしてはお願いする場所を決めていくことになるのではないかと思っております。 ○岩男部会長  ほかに何かご質問、ご意見ございますか。よろしゅうございますか。  それでは、次の議題に進ませていただきます。現在、法務省少年法部会で行われてい る少年法制の見直しの議論の状況について、事務局からまず御報告をお願いいたしま す。 ○山田家庭福祉課長  家庭福祉課長の山田でございます。資料2をお開きいただきたいと思います。  少年法等改正案についてということで、1枚目に今回諮問されました要綱案(骨子) のポイントが書いてございます。これは前回、9月30日の児童部会のときに法務省の方 から関係の方が見えて説明をしていただいたものと同じ資料でございます。  それから、2ページ、3ページでございますけれども、これは9月30日に児童部会 で、昨年10月21日に、社会的養護のあり方に関する専門委員会で関連するところで多い ということで御議論をいただいて、その議論のときに、その議論の内容につきまして法 制審の方に意見として出させていただくということで部会長、委員長の一任をいただい た上で、この議論要旨というものを昨年10月29日の法制審の少年法部会に席上配布をさ せていただいた上で、私、関係官として出ておりますけれども、読み上げさせていただ いたものでございます。これまで法制審の議論で、児童福祉行政とかなり関わりのある 問題でございます。そこのところを中心に議論の内容をご紹介したいというふうに考え ています。  なお、法制審の審議でございますけれども、あした21日が最終回ということで、この 要綱案(骨子)がそこで取りまとめられるということになっております。  まず、1ページ目のところでございますが、1番目の触法少年及び虞犯少年に係る事 件の調査というところでございます。これは前回もご説明がありましたように、この趣 旨といたしましては、昨今の社会情勢の変化の中で、こういった非行に関わる事実解明 というものの重要性、あるいは被害者への対応の必要性ということで、これまでも警察 の方で運用の中では、こういった問題についての調査が行われてきたわけですけれど も、これを法律に規定をするという考え方で趣旨が考えられております。この内容につ きまして、前回、児童部会、社会的養護専門委員会で御議論いただいて議論要旨として 提出いたしましたのが、この2ページのところでございます。  1番目の「○」のところが、心身共に幼い14歳未満の児童は、被暗示性も高く、面接 等は特に慎重に行う必要がある。警察機関が14歳未満の児童を対象に調査するというこ とであれば、様々なことを十分留意をして、児童に不適切な負担等をかけないように配 慮する必要がある、ということを意見として出させていただいております。  これに関わる法制審での議論ですが、まず肯定的な意見としては、この法制審には家 裁の方も委員として入っておられますけれども、家裁審判の際にこういった非行事件に ついて証拠が不十分で事実認定に苦慮するといった現状も踏まえると、事実解明の面か ら今回のこの改正の方向については肯定的に考えると、こういう意見があった一方で、 年少者に対する調査というのは基本的に児童相談所が行うべきではないか。あるいは警 察の調査について、まさにこの児童部会の意見でも出ておりますように、被暗示性もあ る児童について十分配慮する必要があるのではないかというようなこの児童部会の意見 に賛成するといった、どちらかというと否定的な意見があったということでございま す。  厚生労働省から申し上げておりますのは、先ほど年少者に対する調査は児童相談所が 行うべきである、こういう御意見もあったと申し上げましたけれども、その関係につき ましては、児童相談所の調査ももちろん事実解明といった要素を含むわけですが、非行 事実の裏づけをとるといった面では、確かに児相の調査は難しいところもあると。おの ずから主体、機関の性格によって、調査についての役割分担、調整というものは可能な のではないだろうか。ただ、警察が行う調査に当たっては、児童部会の意見にもあるよ うに、年少者に対する配慮が不可欠であって、ぜひ、このことが表に出るような形で規 定されることが重要ではないか、こういう問題提起をさせていただいております。  要は、この調査権限というものを法定化するということとの関わりの中で、年少者に 対する配慮規定というものを法律において、規定するかどうかということが1つ議論の 焦点になったわけでございます。当然今まで運用でやっていたこととはいえ、調査権限 を新たに明文化するわけですので、それとのバランスでいって、配慮規定というものを 置くべきであるという意見もございました。  これに対して法務省の事務局の方からは、こういう御説明がございました。配慮規定 を置くとすれば、それは触法、虞犯少年に限らず犯罪少年も含めたものとすべきではな いか。全体ということになると、警察官ではなくて検察官、裁判所、付添人と全体に及 んでくると。そういった趣旨については、少年法第1条目的規定の中に書いてあるの で、これを改めて書くような法律の条文というのはなかなか難しいのではないかと。た だ、警察を対象とする行政規則の中で対応するということは十分考えられるので、そう いった方向でやることが適切ではないか、こういったお答えが事務局の方からはござい ました。  配慮規定の関係はそういった議論があったということでございます。  それから、この調査の関係から見まして、前回の児童部会でも津崎委員から問題提起 をされたことですけれども、重大事件などの場合に児相で十分な時間、保護することが なかなか今後処遇等の問題から難しいのではないかと。したがって、警察への一時保護 委託の拡充なども含めて関係機関の協力というものを得ていく必要があるのではないか と、こういう御指摘がございました。こういった児童部会での御議論も踏まえまして、 厚生労働省として法制審の中で申し上げたことを申し上げますと、非行事件に対する児 相の一時保護、調査の重要性を改めて現場に周知をすると。一時保護所の施設整備予算 の確保に努力するといったような児相としての機能をできる限り果たしていくというこ とをこれからきちんとやっていくということは前提ではあるけれども、例えばマスコミ が取り囲んでしまうといった重大事件の場合に十分に対応できるかどうかという不安は あると。例えば少年鑑別所への一時保護委託など関係機関の協力をいただけないかとい う御提案をさせていただいたということでございますが、ただ、議論の流れといたしま しては、例えば鑑別所というのは収容施設であって、一時保護ということをやる委託先 としては問題が大きいのではないかという意見が大勢でございました。基本的には一時 保護という形の中で行うということであれば、児相の機能の充実ということで考えてい くべきではないかという議論でございました。  それから、先ほどの資料の1ページ目に戻っていただきまして、2番目の14歳未満の 少年の保護処分の見直しということでございます。具体的には14歳未満の少年を少年院 に送致するという可能性を出すということでございます。この趣旨ということでござい ますけれども、あくまでも非行を行った児童の育て直しという観点から見て少年院送致 が有効と考えられるなど、特に必要と認める場合に限り、14歳未満でも少年院送致がで きるようにするというのがこの趣旨でございます。  これに対する児童部会の意見でございますが、2ページ目を見ていただきまして、2 番目の「○」のところですが、これまでも14歳未満の児童については保護育成を大事に してきたと。今のままの少年院の矯正教育では低年齢の児童にふさわしいものにならな らい場合もあり得るのではないか。もし仮に少年院の入所年齢を引き下げるということ にするのであれば、家庭的な雰囲気の中での愛着関係等々様々な検討をしていただく必 要があるのではないか。  さらに3ページのところに行きますと、少年院の入所年齢の引下げというものが、厳 罰主義を中心となるようなことになってはならないということを指摘した上で、同時 に、児童福祉の分野も非行の問題に十分に対応してきたとはいえないと。児童相談所、 児童自立支援施設の処遇能力の向上ということに引き続き努める必要がある。少年司法 分野との連携を強化していくことが重要である。こういった意見を出しております。  議論でございますが、法務省の出された案に対しまして、育て直しの選択肢を増やす という観点から賛成論が展開される一方で、新たに少年院に年少者を送致するというこ とは、それは今の自立支援施設では十分に対応できていないと、こういう実態があるの かどうかといったようなお尋ねもございました。  厚生労働省からは、これは武蔵野のケースでございますけれども、これまでの重大事 犯に関わる児童について見ると、かなり予後がいいと。重大事犯も含めて社会的自立に 向けての一定の成果を上げてきているということは事実でございます。ただ、施設関係 者のお話を伺いますと、開放処遇の中で無断外出を繰り返してなかなか安定的な生活環 境を確保するという点で、むしろ開放処遇の下での処遇がその子どもの育て直しという 観点から見てマイナスになっているというようなケースもあるというようなこともお聞 きをしていると。ですからあくまでも育て直しのための処遇選択の選択肢を広げるとい う意味で、今回の改正案を見るならば、一定の意義を見出せるのではないか。ただ、児 童部会の意見にもありますように、厳罰化という文脈でこのことを捉えられるようなこ とがあってはならないし、年少者を少年院に置いて処遇する場合には、これまでの延長 線上ということではなくて、年少者に応じた処遇上の配慮が当然必要になるということ を申し上げております。  そういった我が方からの意見に対しましては、自立支援施設の方も処遇の充実に努め ていく必要があるのではないか。これからはどちらが少年に合わせた処遇プログラムを 組めているか、いわば競争状態になるのではないかと、こういう意見も出ていた次第で ございます。  それから、最後にまた1ページ目に戻っていただいて、3点目の保護観察における指 導を一層効果的にするための措置等ということでございますが、児童福祉の関係で、特 に関係が強いのは(2)だと思いますけれども、少年院又は保護観察所の長は、必要が あると認めるときは保護者に対して、指導、助言等の措置をとることができるものとす るということでございます。  これについては、児童部会でも非常にいいことであるというような御意見が多かった ということでございまして、もう一度、3ページのところに戻っていただいて、一番最 後の「○」のところでございますけれども、児童自立支援施設に入所している児童の約 6割は虐待を受けた経験があると、こういう調査結果もあると。子どもたちの非行の前 段階として虐待が存在する場合が少なくない。少年非行というのは実は子どもたちの問 題ではなくて、保護者の問題であると捉えることもできる。その意味で、今回の見直し において、保護者に対する指導の充実が盛り込まれているということは評価されるべき であって、今後とも、よりよい保護者の指導のあり方を検討することが必要である。  こういったことで議論の要旨を出させていただいているということでございます。  法制審におけます議論は以上のような状況でございますけれども、これまでの児童部 会等の議論を踏まえさせていただきますと、厚生労働省としては、先ほど1番目に議論 の紹介をさせていただいた警察の調査権限、これを規定することとのバランスで、配慮 規定というものを条文化の際に入れることが必要ではないかと、そういうことが今後の 課題ではないかというふうに考えておりまして、その点も含めて御議論をいただければ と考えております。 ○岩男部会長  それでは、ただいまの御説明に関連しまして御意見、御質問等がございましたら、ど うぞ御発言いただきたいと思います。それでは津崎委員、まずお願いいたします。それ から前田委員お願いします。 ○津崎委員  今、御説明いただいたところですが、1つ、調査権限の拡大という部分、それに対し て配慮規定を新たに設けることは触法、虞犯に限らず全体の問題に及ぶ、したがって、 改めてそういう規定が要らないのではないかというふうな法務省サイドからの意見もあ ったという御紹介がありましたが、理屈からいいますと、そのとおりだと思うのです が、しかし年齢が小さいということで影響度が極めて違うということへも配慮が要るの ではないかと考えるところです。  特に14歳未満等の児童の場合、複数の例えば警察官が来て事情聴取等になったとき に、雰囲気そのものに相当影響され、聞かれる内容等に対しても的確に応答できない、 言われるままに、はい、はいという返事になってしまったりというふうになりがちで す。大阪の方で具体的な事案があるのですが、それは警察の方が調査に関わって、向こ うのスケジュール等がありますから、時間が長時間に及ぶとか、あるいは毎日のように 事情聴取に及ぶというふうなことがあったようです。  児童相談所の職員がそれに当初立ち会ったようですが、時間が長くなったり、頻度が 増したときに十分立ち会いきれなかったというふうなことがどうもあったようで、子ど もが調査の雰囲気、時間、頻度等に十分対応できたのかどうかという疑義があって弁護 士サイドからクレームが出たということがあったようです。  最近、例えば保護された子どもに対して警察が改めて調査ということの協力要請を受 けることもあるわけですが、一般論で言うと、児童相談所は虐待等に対して、今度は警 察に協力をお願いしないといけないという、そういう貸し借りの条件等もありまして、 一定協力できるものは協力するということになりがちなのですが、少年の特に被暗示 性、置かれた状況についての十分な理解が行き渡らないということに対しては、特に年 齢の低い子どもに対する配慮ということが調査の権限の拡大とバランスをとるという意 味で要るのではないかと思いますので、改めてその点についての、現場の実情を踏まえ た形での意見を申し上げておきたいと思います。  もう一つ、先般のここの場でも、重大事件の子どもの一時保護が今の一時保護所の現 状の中で非常に難しいということを提起させていただきました。そのことについて、他 の機関の委託という形での活用もできないかということで協議いただいたようですけ ど、どうも省庁をまたがると難しいということのようです。したがって、既存の児童相 談所の中で対応するということが基本ということですけれども、単に重大事件だけでは なくて、今の一時保護所の状況は、相当多様な子ども、特に被虐待を中心とするかなり の混乱状態が起きています。親の事情によって任意であずかる幼児等もいます。そこへ 場合によっては、非行の子どもが複数一度に補導されて一時保護の要請を受けるという ふうなこともあります。そういう子どもは、必ずしも一時保護所に入るということにつ いて納得をしていませんから、入った後、混乱状態になることも実務的にはしばしばあ ります。職員に対して非常に反抗的な態度をとったり、あるいはほかの子を巻き込んで トラブルが拡大するということもあります。単にこれは重大事件ではなくて、一般的に 子どもの特性によっては保護所で対応できないということが、各児童相談所の一時保護 所で時どき生じます。そのときは緊急避難として警察の一時保護委託を要請したりする こともあるのですが、一般傾向として、最近警察の方が一時保護委託を受けるというの を嫌がることが多いようです。そうなってくると子どもを緊急避難させる場所がないと いうことで、混乱の収拾がつかないということもありますので、これもなかなか一挙に 難しいと思うのですが、今の保護所の状況を踏まえた新たなしかるべき保護の手だてと いうものも引き続き検討課題にしていただけないかというのが、現場を踏まえての意見 と要望ということでございます。以上でございます。 ○岩男部会長  それでは、前田委員、お願いします。 ○前田委員  私の方からは2つ質問がございまして、1つは、今既に津崎委員が1つ御指摘があっ た点です。そこにいらっしゃる山田課長などは現在の一時保護所の状況はよく御存じの はずで、既に津崎委員の御説明ありましたけれども、虐待を受けたり、何らかの形で一 時保護所に来た子たちは安心して過ごせる穏やかな場所の確保が必要なわけですが、実 際には、定員いっぱい入れておりますし、難しいわけですね。そこに重大事犯を起こし た子どもたちが来ると、どういう状況になるかということは火を見るより明らかです。 保護されるべき子どもたちがさらに混乱状況のところに落ち込まれることになります し、14、15、16ぐらいになりますと体力もありますので施設の破壊とかも起こります。 確かに少年院や少年鑑別所、一時保護する施設ではなくて、本来、青少年を保護する場 所が一時保護所であれば、現在の一時保護所の現状の中で、それでは触法少年や重大事 犯を起こした少年を適切に処遇するのはどうしたらいいか。かつ虐待や被虐待を受けた ような状態で保護されている子どもたちが落ちついて処遇されるのにどうしたらいいか ということを常に考えていただかないと、とても私としては保護所の運営をする者とし てはとても容認できない。さらに子どもたちがひどい状況になることを受け入れがたい ので、一時保護所で引き受けざるを得ないという方向であれば、どうすればいいかとい うことを次に考えていただかないとできないということが実情でございます。  おわかりのとおり、一時保護所、子どもを取り戻したい親も来るわけですし、親に対 する対応でも職員は非常に混乱しておりますし、その上にさらにマスコミが来れば、中 にいる子どもたちの状況はどうなるかということは簡単に想像できるわけで、ぜひお考 えいただきたいと思います。  それから、2番目は、御説明がありました「少年院又は保護観察所の長は、必要があ ると認めるときは、保護者に対し、指導、助言等の措置をとることができるものとする 」で、私も一歩前進だと思います。ここでも何回も話題になっておりますように、児相 に虐待などを受けて入って来た子どもたちの家族再統合というのも非常に手間暇かかり まして、私の方の市役所では家族再統合専門の係長なり職員を配置するということも考 えております。要するに無理やり子どもを引き離したケースワーカーがまたその家族の 再統合を担当するのは難しいですので、試みですけれども、やってみようと思っていま す。保護司の方などとも意見交換するときがあるのですが、「必要があると認めるとき は、指導、助言の措置をとることができるものもとする」というのは一歩前進だと思い ます。しかし、具体的にそれは少年院に入っている間、それ以降も継続的に、それでは 親をだれがケアするのかというシステムができ上がっているのかというと心もとないで すね。そこまで考えないと絵にかいた餅になりますので、今後の可能性としてはいかが なのでしょうかということを御質問させていただきたいと思います。 ○岩男部会長  関連でしたら、先に渡辺委員から御質問いただき、それから、お答えいただきたいと 思います。 ○渡辺委員  少年を扱う場合の1つの原則に関する現場からのリアリティだと思うのですけれど も、今の議論に関して、私は小児科病棟で思春期の荒れ狂う子どもたちを受けとめる状 況をもっとひどしたことが児童相談所で起きていると思います。少年の非行や行動障害 を扱うときには、必ず治療的な構造化のできる専門性の高い構造化機能を持つ大人集団 が必要であると思うのです。それはどこでもそうだと思います。学校の思春期の子が今 荒れているのも、学校自体が子どもを社会化していく父性機能を発揮できていないから であると思います。リミットセッティングを明確にすることで、子どもがリミットにぶ つかりながら社会はルールあるということを実感していく。それが思春期の大切な課題 だと思うのです。今リミットセッティングの明確にできる大人集団がどこにもない。  そのときに、それぞれが不十分なときのやり方としては、お互いの機関の持っている リミットセッティング機能を使いあうことだと思います。例えば私ども小児科にも十分 な権限がなければ、児童相談所の委託で、私たちはあなたを診ているから、この範囲の ことを超えたら、児童相談所の保護で次の段階の対応を示してもらうという形である子 にリミットセッティングをしていきます。現に例えば家庭内暴力で家に放火した女の子 のケースがありました。これは分かりやすい例です。弁護士さんが、「その子は現在警 察に保護されているけれども、心の病気だから、家庭内暴力で拒食症だから、病気を理 由に子どもを家に帰して治療機関につなげたい」というふうにおっしゃったのです。け れども、そのときに、私は今現在警察の中で規則正しくすごしています。婦警さんもい ますし、そこで粗食を1日3回たべるという規則正しい枠組みの中にいます。この構造 は、実は摂食障害の治り損なって混乱する子どもには一番いい治療構造だから、これは ともかく警察にお願いして、治療環境としてしばらくおいてもらいなさいといいまし た。その上で専門家と連携してやっていけばよいのです。警察の持つ父性的な機能、つ まりおまわりさんの言ったとおりやらなければいけないという枠組みづけの機能が、実 はこういった思春期の子どもたちの、大人はいいかげんだという不信感を減らしていく のです。大人はちゃんと子どもの成長のために、悪者にもなるし、自分の要求を後回し にして子どもに寄り添えることが伝わります。心の治療には明確な構造化の機能が必要 であることを話しあって、そのケースはそれでうまくいきました。  今のお話を聞いていて、私どもも児童相談所も虐待のひどいケースで警察のお力を借 りなかったらとりくめないと思うのです。思春期の子どもたちだけでなく多くの親も思 春期の延長の20代全般です。虐待していながら否認する父親・母親たちを私たちだけで は指導することはとてもできません。ですから、本人たちが否認しても警察が治療チー ムに加わって下さると、治療的な指導が可能になっていくのです。そういった意味でど っちに押しつけるのでなくて、ある一定限度をこえた行動が児童相談所で発生した場合 には、その子はその時点で警察に行く可能性もあるとはっきり言えるようなリミットセ ッティングの機能が児童相談所に必要です。児童相談所のすべてのスタッフが一致して それが言えると、それ自体が治療的になります。つまり、おまわりさんも応援している 児童相談所なんだと子どもが思うだけで、あわなくなります。  そういうふうにしてないと、十分なトレーニングをうけていない今の児童相談所の人 たちが最も高度の思春期精神医学の専門家しか扱えないような自症の子どもたちを引き 受けている。そして現実に日本の病院ではそういった子どもたちを受け入れうる児童精 神医学の場もなくトレーニングされている人たちもいないんですね。となると日々、経 験を積んでいる児童相談所のスタッフにもう少し構造化の機能を与えていく。具体的に は例えば私は児童の精神科医としていくらでも彼らのブレーンになっていく。警察の方 も、一定の行動を超えた場合には、その子に適した範囲の、警察からの応援が来る。そ のような連係プレーのできる立体的なシステムにする。そうやって何とか児童相談所が 子どもを守り、子どもの社会性を育てる場になれるよう、ブレーンとして警察にはいっ てもらうということは必要だと思うんですね。 ○岩男部会長  どうぞ、お答えいただきたいと思います。 ○山田家庭福祉課長  まず、一時保護所における身柄の確保の関係でございますが、これはお二方の先生お っしゃったとおり、非常に悩ましい問題でございまして、ただ、今回の改正の中で、児 童福祉の中で、この非行の少年の問題を考えるのか、別の枠組みを考えるのかという議 論もあると思うのですが、やはりそこのところは基本的に年少者に対する対応というこ とで、児童福祉の中での枠組みの中でやると、こういうことなのだろうと。そうします と、その枠組みの中では一時保護という枠組みしかないわけでございまして、そうする と、やはり児童相談所の一時保護所というものが主体的に関わると、こういうふうにな ってきてしまうわけですね。  ですから、そういう状況の中で、おっしゃったようないろんな問題をどういうふうに 乗り越えていくのかということは非常に難しい問題ではございますけれども、10月から 厚生労働省の方でも各県の児童相談所におじゃまをして、いろいろ状況などもお伺いを したりしている中で、また、いろいろ御意見も伺いながら、それを乗り越える算段とい うものをさらに研究していく必要があるのかなということを感じております。  それから前田委員からございました家族再統合の問題でございますが、これはおっし ゃるように非常に難しい問題でございまして、私どもも児童養護施設等にファミリーソ ーシャルワーカーというのを配置するということで、これは非常に前進なわけですけれ ども、このファミリーソーシャルワーカーの方々の家族再統合に対するノウハウという ものをどうやって高めていくのか。研修1つやるにしても、どういう方からそういうノ ウハウを聞くのかということがまた大問題でございまして、そういった意味では、これ からまさにこういうことを組み立てていかなければならない、そういう状況ではあるの かなというふうに思っておりまして、恐らく保護司の方々がこういう問題に立ち向かわ れるときも、何もないところから何を打ち立てていくのかという、まさにおっしゃるよ うな難しい課題があると思うのですが、まさに児童福祉の世界も含めて、そこは共通の 課題でございますし、ここのところをうまくやっていかないと、恐らく虐待の問題とい うのは最終的に解決をしないと思いますので、それはまたいろいろとお知恵をいただき ながら進めていかなければいけないと思っております。  渡辺先生の関係も今のようなことでよろしいでしょうか。 ○津崎委員  それでは、今のことに関して、多少つけ加えをさせていただきたいのですが、要は警 察と福祉がいろんな意味で、協力体制をもとめられることが多くなっているように思う のです。1つ、御存じのように、虐待防止法の絡みで安全確認であるとか、子どもの保 護等について、これは法制的に警察と福祉の連携が必要であるということできちんと位 置付けられたわけです。今回いわゆる少年法の法制関係の中では調査も同じような形で 警察の機能ということをうまく活用した形の連携体制が必要だということが新たに明確 化されたと思うのです。  それと同じように、渡辺委員がおっしゃった保護に関して児相のリミットセッティン グ。それに対して、どういうふうな後の体制をとるのかということに対して警察が、そ れは児童福祉の問題であり警察が取ってかわるわけではないけれども、そういう緊急の 危機のときには、こういう協力体制をとりますよという一定の連携体制が要るように思 うんです。ところが実際の実務は逆になっているんです、保護の部分は。保護を依頼し ても、警察の方は最近は消極的になっていまして、これは現在の警察の保護室で子ども を保護することがいかがなものかというふうな考え方もありまして、ある児相に先般実 態調査に行ったときに困って対応できないという事態に対して警察に依頼したら断られ たというんです。そうすると児相が対応をどうしたらいいかわからなくなるという状況 です。そういう一般的な福祉と警察の協力体制の中で、今、いろんな事態に対して対応 していかなければならないという社会的必要性が高まってきていますから、一度できた ら厚労省と警察庁がそういう総合的な協力体制ということについて話し合いの場を持っ ていただくとか、さらなる努力なり調整をしていただくとありがたいかなというふうに 思います。 ○山縣委員  津崎委員と前田委員の意見に同意するものですけれども、加えて1つの意見と1つの お願いということで、意見は1の(3)に関連してなのですけれども、警察や家庭裁判 所との連携は非常に重要だという認識はしておりますけれども、児童福祉法や児童福祉 現場を一定信頼している立場からしますと、いくら条件付きの少年とはいえ、原則とし て家裁送致という考え方については、私は少し懸念をしています。児童相談所の主体的 判断があって、必要に応じて、もしくはとることができると、そういう規定の方が現在 あります27条1項4号の規定の方が望ましいのではないかと考えます。これは意見で す。  それから、1つのお願いといいますのは、少年法とは直接関係のない部分で、少年部 会の方で議論をしておられるところなのですが、先ほど児童福祉現場を一定信頼してい るというふうに言いましたけれども、残念ながら、今、児童自立支援施設の現場を見た ときに、国立施設の効果というのは課長の方からお話がありましたが、一般の地方の設 置しておる児童自立支援施設を見ましたときに、97年の法改正、あるいはこのたびの改 正、これはまだできたばかりですから効果が出てきませんが、97年の改正等に照らし合 わせてみたときに大幅な定員割れをしている地域がかなりあるという実態、それから小 舎制ということを重視してきた歴史を持つ100年の自立支援施設が、逆に最近大舎制化し ており、来年度の予算でも自立支援施設に小規模グループケアの予算をつけないといけ ないような方向になってしまっている現実というのがある。これは児童福祉福祉関係者 としては反省せざるを得ないのだろうと思いまして、お願いといいますのは、現在の児 童自立支援施設がなぜ今そういう状況になっているのかということについての検証とか を、少年部会からの意見としてではなくて、児童部会の方で積極的にやっていくべきで はないかということを考えています。 ○岩男部会長  どうぞ、柏女委員。 ○柏女委員  私も2つ意見を申し上げたいと思います。今まで出ていた議論で、この少年法改正に 係る児童福祉関係から見た論点というのは大きく3つあって、1つは、事実解明のため の調査に当たって児童福祉の視点を導入するという点であると思います。これは課長が おっしゃったとおりでいいと思います。もう一つは、触法少年の処遇に当たって少年院 を活用するかどうかという問題、これはメニューが広がるのでいいだろうという意見が ありまして、私はこれにはそういうことがあるだろうなというふうに思います。これ自 体はいいと思いますが、3点目は要保護性の判断について、児童福祉ができるか否かと いう問題があるわけで、これは今、山縣先生がおっしゃったものだと思います。私はこ れは児童福祉の分野で要保護性の判断をやはりしなければいけないというふうに思って いますし、今、津崎委員がおっしゃっていたように、一時保護ができないから十分な観 察ができないとか、あるいは児童相談所にも及び腰のところがあって、原則家裁送致を していたという事実はありますけれども、これは原則としては児童福祉の分野でやらな ければいけないことだというふうに思いますので、原則家裁送致という方法はおかしい のではないかというふうに思っています。  もちろん児童相談所が主体的に判断をして少年院に入院させる必要があるというふう に判断した場合にその権限を持つ家庭裁判所に送致をすると、これが私は原則なのだろ うというふうに思います。ただ、なかなかそうはならないと思いますので、最低限これ はお願いですけれども、児童相談所が家裁送致をするときに、児童相談所の意見を付し て行うというものをぜひ入れていただきたいと思っております。これが1点目のお願い というか、意見になります。  それから、もう一点は、津崎委員がおっしゃっていたものですけれども、警察と福祉 のユニットで、その単位で援助をしていくということをそろそろ私は考えていいのでは ないかと思っています。それはアメリカなどのいくつかの州では、例えば虐待の問題、 非行の問題が起こったときに、即その場で重大事件の場合は警察と福祉がユニットを持 つと。そのユニットがずっと追っかけて対応していくという仕組みになっているところ もあるように伺っておりますので、そうした警察・福祉ユニットなるものをもう少し検 討していくべき時期に来ているのではないかなというふうに思っております。保健福祉 事務所がもうできていますので、それと同じように、省庁ちょっと仕組みが違うので難 しい点はあるかもしれませんが、警察・福祉ユニットというものを少し考えていく時期 に来ているのではないかと思います。  以上、2点です。 ○岩男部会長  まだ、ほかにも御意見がおありかとも思いますけれども、そろそろ次の議題に移りた いんですね。ただいまのいろいろと御意見、非常に重要な御指摘があったと思うんです が、1つは、医療、福祉と警察がうまく連携を図っていくという、その仕組みについて 実効のあるような仕組みをこれから考えなければいけないという、これはまだいろんな 議論を続けていかなければいけない問題だというふうに思います。  と同時に、当面のこの少年法改正の問題は、先ほどの御説明では、明日が法制審の最 終段階というふうに私は理解をいたしましたけれども、それに対して児童部会として要 望といいますか、もちろん一歩前進の部分もあるのですけれども、併せて、どういうと ころに気をつけてもらわなければいけないかということを関係官として御出席になった ときに、先ほどからの委員の御意見を踏まえて御発言をいただきたいという、こういう ことにしていただくのがよろしいのではないかと思いますけれども、そういうことでお 願いをしてよろしゅうございますか。 ○山田家庭福祉課長  はい。 ○岩男部会長  それでは、次の議題に移らせていただきます。次は「三位一体改革について」と、 「平成17年度予算案について」を一括して議題として事務局から御説明をお願いいたし ます。 ○高井総務課長  資料3で、三位一体の改革の関係を御説明させていただきます。資料3の1ページ目 からは、昨年11月26日に政府・与党で「三位一体の改革」の方向を決めたものでござい ます。1ページ目の真ん中辺でございますけれども、17年度、18年度で3兆円程度の廃 止・縮減等の改革を国庫補助負担金改革について行うというようなこと。税源移譲は、 別紙1というようなことが書いております。おめくりいただきまして、6ページ、7ペ ージがその具体的な内容になっておりまして、6ページで厚生労働省関係では3兆円の うち8割方を税源移譲を行うということで、国民健康保険でありますとか、社会保障 850億円の税源移譲をすると。それから、3にございますけれども、生活保護や児童扶 養手当に関する負担金の改革は、平成17年度中に検討を行うというようなことが決めら れております。  別紙2の7ページでございますけれども、補助負担金の改革の工程表でございます。 わかりにくいので、11ページをちょっとお開きいただければと思います。これはこちら の厚生労働省でつくったものでございます。11ページ、小さくて恐縮でございますけれ ども、地方6団体の提案を受けまして、11ページの右上の方に「政府・与党合意」と書 いていますけれども、税源移譲は850億円、国民保険7,000億円、合計して7,850億円程 度の税源移譲をするとともに、生活保護や児童扶養手当の補助率の見直しを平成17年度 秋までに検討するというような内容と、補助負担金の改革といたしまして、右上に「交 付金化」と書いてございます。児童福祉の分野では施設整備費につきまして次世代育成 支援対策交付金として交付金化をするというようなこと。それから、事業費関係ではそ の下でございますけれども、次世代育成支援対策の交付金をつくったり、あるいは統合 補助金として括弧してございますけれども、児童虐待、DV対策、母子家庭対策、母子 保健医療対策についてこの補助金の改革を行ったというようなことを書いてございま す。  さらに細かく挙げたものが次の12、13ページでございます。12ページが税源移譲とい うことで、補助負担金としては一部廃止をするというようなものが挙げておりまして、 上から4つ目の「○」でございますが、児童保護費等補助金の一部の項目がございます けれども、91億円、その内訳としては保育士等が出産休暇等を取得する場合の代替職員 の雇い上げ経費、これまで補助金としておりましたけれども、これを廃止する。それか ら、公立保育所における延長保育の基本分と書いてございますが、延長保育の中にも11 時間を超える部分と11時間以内の基本的な開所分の補助金がございまして、その基本 分、11時間開所分の中の部分について廃止をするというようなことを今回入れておりま す。  そのほか、母子保健衛生費負担金の一部、6つ目の「○」、1歳6カ月児、3歳児の 健康診査にかかる経費についての国の負担金について廃止をする。ただ、法律上は健診 については義務は残っておりますので、これは市町村は引き続き行っていただくという ことでございます。一番下に、さらに社会福祉法人が設置する保育士養成所に対する補 助を約1億円について税源移譲をするというようなことがこの12ページの内容でありま す。  以上がまとめまして、13ページに一覧のような形で書いてございます。左側が現行の いろいろ要請があったものについて、結果を右側に書いたものですが、上から御覧いた だきますと、私立保育所の運営費でありますとか、児童養護施設等の措置費につきまし ては、右がございますように、現行の補助負担制度を実施するということでございま す。  次の2つ目の箱、特別会計事業につきましては、財源が拠出金ということで税源移譲 の対象にならないということで、これは現行制度の補助を維持するという結論になって おります。  次の3つ目、延長保育、先ほどの税源移譲以外の分でございますが、それとか、子育 て支援対策ということで、つどいの広場等々、後に詳しく御覧いただきますけれども、 そういうものについては新しい交付金をつくるということで、その推進を図っていくと いうことにしております。  それから、保育所等の施設整備費は、もう一つの施設整備に関する交付金をつくると いうことであります。  次の児童虐待とかDV対策、女性保護対策、次の箱の母子家庭の関係、不妊治療対 策、周産期ネットワーク等の母子保健対策、この3つにつきましては、統合補助金化と いうことで、補助金であるわけですけれども、補助金を大括り化にすることによって地 方の自主性、自由度を増すというものに移行するという考えでございます。  一番最後のところは、先ほど御覧いただきましたように、税源移譲するということ で、補助金負担金としては廃止する分野と、こういうふうに大きく分けたものでござい ます。  その次のページに、昨年おまとめいただきました意見が付してございますけれども、 こういう意見をいただきまして、いろいろ議論した上で、このような結論になっている ということでございます。  それから、資料4でございますけれども、平成17年度の予算でございます。2ページ 目が全体の額が書いてございますけれども、6%増の1兆1,170億円の予算となってお りまして、三位一体の関係がその2ページ目の下の方から、3ページ以降に書いてござ います。重複は避けますけれども、3ページ、4ページがそういった事業費関係のソフ ト交付金ということで、4ページに対象となる事業、16年度と17年度の比較を書いてご ざいますけれども、子育て関係の事業をこの交付金の中に入れているというものでござ います。  5ページが施設整備費の関係をひと括りにしているということで、3ページの二重括 弧のところを御覧いただきますと、交付金化することでどう変わるのだろうかというこ とでございますが、基本的に現在市町村の行動計画をつくっていただいておりまして、 その行動計画に定められているいろんな事業、子育て関係の事業について、地域の特 性、創意工夫を活かした形で進めていっていただく、それを支援するような、そういう 交付金にしていこうということでございまして、ひと括りにして一括してお渡しすると いうことで、そして地方の方で、3ページの真ん中辺に書いているような子育て関係の 事業に使っていただくというものでございます。  5ページが施設整備費関係でございます。  7ページが「児童虐待・DV対策等総合支援事業」と書いてございますが、もう一つ の分類でございます統合補助金化というものでございまして、こちらの方は、児童虐待 ・DV関係につきまして、一定の水準は保ちたい一方で、自治体の弾力的な運用も図り たいということでございまして、一括りにすることによって、この児童虐待・DVの中 では、この事業を行う自治体の弾力的な執行が可能になるというような内容を盛り込ん だものであります。  8ページが母子家庭等対策の一括りにしたものですし、9ページが母子保健医療対策 等総合支援事業関係ということであります。  これを分野別に見たものが10ページ以降でございまして、10ページ、11ページが地域 における子育て支援対策の充実ということでございます。10ページにありますように、 これまでつどいの広場でありますとか、ファミリー・サポート・センター、子育て短期 支援事業等々個別の補助金であったものを、これを交付金の中に一括りにいたしまし て、例えば補助基準などにつきましても大変緩和していくということで、あるいはこれ を受けた市町村の方でも受けた後、計画の中であれば自由に使っていけるようにすると いうような弾力化を図っていこうといたしております。  11ページの方でございますけれども、一部特別会計で行っておりましたようなものに つきましては対象にならないということで、このような形で載せております。  12ページが多様な保育サービスの推進ということでございまして、保育関係につきま しては、(1)にございますように、保育所の受入れ児童数の拡大ということで、受入 れ児童数を運営費の中で保育所の受入れを増やすとともに、施設整備につきましても、 このハードの交付金の中で保育所の整備を進めていくという考えでございます。  それから、保育関係では、(2)の1つ目の「○」にありますように、交付金の中で 延長保育でありますとか、先ほど言っていました総合施設などは対応していくというよ うなことでございますし、あと一時保育、特定保育、休日保育、まだまだ伸ばす必要が あるものにつきましては、これは従来型のものとして位置付けて残しているところでご ざいます。  総合施設につきましては、12ページの(3)のところで書いてございますように、交 付金の中で30カ所分を対応するというものでございます。  13ページが「子育て生活に配慮した働き方の改革」ということで、今回のプランに沿 いまして、さらに職場の環境の改善、企業における行動計画の策定の支援。  さらに(3)、緊急サポートネットワーク事業のつくろうということで、突発的な病 気、急な出張等に対応できるような両立支援策を新たに設けているところであります。  14、15ページは児童虐待の関係でございまして、同じく児童虐待・DV対策の支援事 業の創設ということでございまして、児童虐待関係・DV関係を統合して自由度、主体 的な弾力的な運営を可能にしておりますけれども、内容としては、これまで掲げており ましたようないろんな事業が対象になっているということでございます。  それから、14ページは交付金の関係、15ページは児童福祉施設における被虐待児一時 保護委託の促進ということで、一時保護委託を受けた児童福祉施設に加算するという内 容が新しくつけ加わっております。  15ページの(2)がDV関係でございまして、これについて総合支援事業ということ で、統合補助金の中で対応するという内容が入っております。  それから、15ページの一番下でございますけれども、人身取引の関係で、婦人相談所 からの委託ということで、婦人保護施設や民間シェルター等に対して人身取引被害者の 一時保護を実施できるように、範囲を拡大をいたしております。  16、17ページは、子どもの健康の関係、母子保健医療体制の充実ということでござい ますけれども、先ほど紹介いたしましたように、(3)にございます統合補助金をつく りまして、これを進めていくという内容でございます。  18、19ページが母子家庭関係ということでございまして、これも母子家庭関係の統合 補助金を一本にまとめているということでございますけれども、19ページに見えていま すように、新規の事業としてこの自立支援をさらに進めるということで、自立支援プロ グラムを児童扶養手当受給者に対してつくってハローワークとの連携のもとに、就労支 援をしていこうというようなモデル事業を新たにつくろうという内容を盛り込んでおり ます。  また、次の「○」でございますけれども、母子家庭に対する職業訓練を進めようとい うことで、局が異なりますけれども、職業訓練の実施の経費を他局に計上いたしている ところでございます。  そのほか20ページでは、施設整備費の関係、運営費の関係を書いてございます。  21ページが働き方の関係ということで、多様な働き方のための環境整備の関係、均等 関係、21ページから22ページに掲げているところでございます。  以上でございます。 ○岩男部会長  それでは、ただいまの御説明に何か御質問、御意見ございましたらどうぞ御発言くだ さい。堀委員、どうぞ。 ○堀委員  交付金とか統合補助金というのはいま一つわからないのですが、今までのように実施 要綱とか補助要綱というのは残しておいて、そのメニューから選択できますよというの でしょうか。併せて実施要綱とか補助要綱を緩和するということでしょうか。それが1 点です。  2点目としては、ソフト交付金の中で総合施設も行うということなのですが、最初の 質問とも関連するのですが、その内容はこの資料には何も書いてないですね。予算の折 衝では、財政措置、例えば1カ所何百万円にするとか、どういう補助金にするとか、あ るいは利用者負担金をどうするとか、ある程度は決まっているのではないかと思うので すが、これについては実施要綱とか補助要綱で決めるということで、まだ公表できない のかどうか。  3点目ですが、文科省も同じような補助金をとっていると思うのですが、細かい点も 含めて全く同じような形になるのか。多分実施するとすれば、文科省の方は学校法人、 厚労省の方は社会福祉法人となるのではないか。これは先ほど横浜市について聞いたの ですが、そういう形でやるということみたいなのです。文科省との関係でどういうふう になっていくのか、その辺のところをちょっと教えていただきたいと思います。 ○岩男部会長  少し御質問をまとめてお答えいただければと思いますけれども、ほかに、どうぞ、遠 藤委員。 ○遠藤委員  10ページのところでございますが、育児支援家庭訪問事業という事業がございます。 これは16年度も恐らくあったかと思うのですが、思ったほど伸びていかなかった実情が あろうか存じます。この児童部会で最初のころ議論があったように、入り口という話 で、ここでは「出産後間もない時期の養育が困難な家庭」ということですが、養育が困 難というよりも、すべての人に養育の困難性というのは潜んでいるわけで、困難という ふうになってしまいますと、非常に対象者がそこで限られてしまい、恐らく地域の中で なかなか伸びていかないのではないかというふうに考えております。かつて新生児訪 問、低出生体重児の家庭訪問というのが市町村や保健所等県の管轄の中でサポートされ ておりましたけれども、それよりもさらに手厚く育児、家事の援助や技術指導というと ころでは、一回はとにかく訪ねてみるという仕組みをどうしてもつくらないと、例えば 総合施設で0〜2歳児にどうぞ親子でいらしてくださいというふうな、紹介もできませ ん。ぜひ、ここの育児支援家庭訪問事業というのを、市町村は県が方向を決めないとま だ動かないみたいなところもあったり、マンパワーがないとかという状況の中で動いて こないという実情があるのではないかと思うのです。本当に少子化の中で、一人ひとり 生まれてきた子どもを大事に育てるという観点で、ぜひ強力的に予算ついたけど、何十 パーセントしかいかないというようなことがないように、また、ことしは企業がかなり 努力義務も含めて300人未満も以上も含めて具体的な行動計画を持っている中で、父親 がせっかく5日間程度の産休等をとれるのであるならば、そういう人を巻き込んだ形で ちゃんと訪問できる仕組みをつくっていただきたいということです。今、妊娠先行婚と いいますか、要するに子どもができて初めて家庭をつくっていくカップルというのも15 〜20%ぐらい、特に若いところではもっともっと高い率で、これはもっと上がってくる だろうというふうに予想しておりますが、そのような実態を考えて、ぜひ何か浸透する 仕組みを充実させていただきたいなというお願いでございます。 ○大日向委員  1点ですが、子育て生活に配慮した働き方の改革、これは喫緊の問題として非常に求 められていると思います。しかしながら、大手さんもなかなか十分に男性の育休取得と か、育児時間、ストック、労働時間短縮が難しい中で、中小あるいは零細に至っては必 要性はわかっているけど、実行に移せない。育休を取られたらそこで成り立たないとい うような声をよく聞きます。そこをどういうふうに踏み込んで支援をしていくお考えが あるかなということをさらに伺いたいのですが、拝見する限り、広報啓発費ぐらいなん ですね。いくら旗を振ってもやりたいことができないというような実をいかにとってい くかという支援の方に予算化ということをもう少しお考えいただけないかと思いまし た。以上です。 ○阿藤部会長代理  16ページの「子ども家庭総合研究の推進」というのがあるのですけれども、これの中 身を見ますと、大きな括りもそうなんですけれども、要するに健康、母子保健、食育、 育休といいますか、そういうところだけが挙がっているのですけれども、そもそもこれ は厚生科学研究費の一部と考えられているのか、それともそうであるとすると、子ども のまさに家庭総合研究というのは、こういう保健関係だけではなくて、もっとそういう 制度的なものとか、社会関係のものとか、ほかの分野でもあり得ると思うんですが、な ぜ、ここだけにそれが挙がっているのか、ちょっと不思議に思ったものですから伺いた い。 ○前田委員  2点ほどちょっとお聞きしたいことがあるのですが、まず11ページの「地域児童のた めの健全育成事業」で、放課後児童クラブなんですけれども、これは私の子どももお世 話になっていたりするのですが、もともと働いている、御両親共働きの子のためのき児 童クラブだったと思います。しかし、今の現状を言いますと、奈良で事件があったりい ろんなことがございますので、子どもをずっと学校に抱え込むことがいいことかどうか とは別に、お母さんが家におられても、ぜひ放課後の安全な遊び場を用意してほしいと いう要望がすごく多いということと、それから、特にここにも障害児書いてありますけ れども、お母さんやお父さんが働いておられなくても、他動性の障害児の子などは、家 に帰ってくるとかえって交通事故に遭って危ない、外に出ちゃうということがあるの で、やはりお母さんの就労状況に関わらず、障害児の子を預かってほしいという希望が 非常にあります。まさにこの総合施設で親の就労状況で子どもたちを区別せずとありま すように、放課後児童の実態を言うと、親の就労状況で子どもの放課後生活を分断する のは非常に難しい段階になってきておりますので、これが今後どういうのをターゲット に展開していかれる予定かお聞きしたいということです。2番目が今回の予算に係るい よいよ日本の人口減り出すということで、お正月からマスコミ賑やかで、さすがに横浜 などでも、次世代育成いよいよ力を入れなければいけないのではないかという声も上が りつつあるのですが、大きな政策転換みたいなものは今後予想されるのか。やはり今の 枠組みの中で何とか頑張ってやっていくしかないのか、予想みたいなものですけれど も、感触をお聞かせ願えればと思います。 ○岩男部会長  私からも1つ簡単なことを伺いたいと思います。児童虐待とDV対策を統合して、そ れでニーズにより弾力的に使えるようにという、そのこと自体はいいと思うのですけれ ども、恐らくそれぞれの関係者はまた別の方が関わっている場合もあるわけで、お互い にむしろ危機感というか、児童虐待の方たちはもっと児童虐待の予算を増やしてほしい と思っておられる。そうするとDVももちろん大事だし、そちらにお金を使われてしま うと残りは回ってこなくなるというような御心配もあるのではないかと思うんですね。 その両方を統合したときに、パイが大きくなっているのなら大変結構だと思うのです が、ですから、そこが増えたのかどうか、むしろ統合したことによって減っているとい うようなことはないと思いますけれども、そこを御説明いただきたいと思います。  以上、全部併せてお答えをお願いします。 ○高井総務課長  まず、堀先生の交付金と統合補助金の違いということですが、ちょっと口でおわかり いただけるかどうかやってみますけれども、交付金は本当に渡しきりのようなイメージ でとっていただければと思うんですけれども、基本的には各市町村、都道府県もそうで すけれども、計画をつくっていただきまして、それはもちろん行動計画に基づく17年度 の子育て関係の計画をつくっていただいて、その計画を我々はいただいて、それで基準 に沿ってお渡しをして、それで進めていただくということなので、例えば今まででした ら、つどいの広場にいくら、何カ所いくらとか、ファミリー・サポート・センターに何 カ所分いくらと渡したのは、個所付けとかそういうのはなしで一括してお渡しするの で、あとはお金の中で、市町村の方でやっていただく。ですから、もしも計画の後で、 例えば事業費が安くなっても、ほかに安くなった分は、計画の中であれば、ほかの事業 に回していけるという非常に弾力的な運用ができるというものであります。  一方、統合補助金の方は、補助金という名を打ってありますように、範囲は一応こう いうDVであるとか児童虐待というのは決めましょう。ただ、同じく個所付けなどはせ ずに、一定の大括り的に基準に合うものであればお渡しして、その中で弾力的に使って いただこうということです。  最後に岩男先生お話いただきましたけれども、児童虐待とDVと1つにまとめてあり ますけれども、今の考えでは、市町村にお渡しするときは児童虐待の分とDVの方は分 けてお渡ししようと。児童虐待の中ですと、事業間の移動は自由になるのだけれども、 今、想定しているのは虐待には回していただくのはちょっと困るなと。虐待は虐待で1 つ、虐待の中では自由だけれども、DVの関係は1つですけれども、児童虐待とDVと は1つ点線を付けてお渡しをして、その中で事業をしていただく。そういう意味では少 し補助金的なものが残るというようなことで、弾力性、自由性、補助金の手続の簡素化 を図っていくというような内容でございます。 ○堀委員  基準は決めるのか。 ○高井総務課長  今までのように非常に細かいものではなくて、例えば交付金ですと、こういうねらい というか、弾力的にしたいと思っておりますし、統合補助金の方ももう少し基準を緩め てできるのではないかと思っております。  それから、関係課長に回しますので、私の方からは、育児家庭支援事業のお話がござ いました。これから伸ばさないといけないということでございます。本日も全国の都道 府県や政令市・中核市の担当の部局長さんお集まりいただいて会議をやっておりますけ れども、そういう場で、この必要性を説いております。特にことしの4月からは児童福 祉法の改正が施行されまして、去年の児童福祉法の児童虐待の関係の部分、あるいは一 昨年の児童福祉法の改正で、市町村でいろんな子育ての支援をしていくという部分が動 きますので、そういった市町村での役割を踏まえて、こういった事業をより積極的に取 り組んでほしいという要請をしているところでございますけれども、それで、おっしゃ いますように、さらに進むかどうか要請をしておりますけれども、さらにその進みぐあ いを見ていきたいというように思っております。  それから、働き方の関係で、中小ではなかなか難しいというお話をいただいておりま す。この資料の中ではいろいろ取り決めを推進するというようなことでPRとかを書い てございますけれども、予算的には事業主の助成事業というのが雇用保険の特会の方か らございまして、いろいろ育児両立支援の助成金が20億円ほど予定されておりますの で、こういった育児休業をとった場合、あるいはそういう体制をとった場合の助成金で もって進めていきたいと思っておりますし、ここに書いてございますように、行動計画 を、これは301人以上はすべてつくるのですけれども、300人以下は努力義務ということ でありますけれども、後で説明させていただきます新しいプランでも、中小の方でもで きるだけつくっていただこうということで目標値を決めて進めたいと思っています。書 いていただいて、進んでいくようにしたいと思っておるところでございます。  それから、前田先生の次世代のお話でございますが、後ほど新しいプランの説明の時 間がございますので、そこまでまた度山室長から説明させていただきますけれども、大 変大きな経済的な負担の問題等につきましては、今回、今後の課題ということで位置付 けさせていただいております。やはり引き続きこういった経済的負担をはじめ大きな枠 組みの問題については検討していって、少子化に対するいろんな危機感等高まっており ますので、そういう時期を捉えて我々としては取り組んでいきたいと思っておりますけ れども、検討課題として位置付けているというところでございます。 ○岩男部会長  阿藤委員からの御質問。 ○尾崎保育課長  総合施設の関係、先生から御質問いただきましたけれども、厚生労働省の部分が次世 代育成対策支援交付金で衣替えしたこともありまして、交付金の性格上個別の項目ごと にこの部分がいくらですといったような形でお示しすることが難しくなっておるわけで ございますけれども、おわかりいただきやすいように、総合施設のイメージで申し上げ ますと、期間は限られた1年間の実験でございますので、既存の保育所に幼稚園的な機 能をプラスアルファして実験をするとか、既存の幼稚園に保育にかける子どもを受け入 れてもらって実験をするとか、そういった形になりますので、既存の保育所、既存の幼 稚園の部分については現行制度で下支えをした上で、そのプラスアルファの部分を総合 施設のモデル事業代として支えるということを考えているわけでございます。  そういうこともございますので、設置主体につきましては、今まだ純然たる総合施設 というものがこの世にございませんので、設置主体では、例えば幼稚園サイドは学校法 人、保育所サイドは社会福祉法人ということで、まだもちろん本体の性格を引きずって いるわけでございますけれども、本格実施のときには、先ほどの審議のまとめの中でも ふれられておりますけれども、可能な限り弾力的なものとなるように配慮するという方 向性で本格実施のときには制度化をすることになるのだろうと思います。  金額につきまして、そのプラスアルファの運営費といいましょうか、支える部分を典 型的な例で申し上げますと、実際の事業規模にもよりますけれども、例えば幼稚園が保 育にかける子どもを受け入れてもらう場合、例えば60人受け入れてもらうとすると、約 2,400万円ぐらいのプラスアルファのサポート、幼稚園の既存の私学助成などをやった 上で+2,400万円ぐらいの保育的な支えをするということでございますし、保育所で保 育にかけない子どもを60人程度受け入れていただくとしますと、これはもう少し軽くな るわけでございまして、1,300万円程度ということで、これは文部科学省と厚生労働省 で協力してその辺は支えるということでございます。それにプラスアルファして、実際 の調査研究代ということで、これは文部科学省、厚生労働省で出し合いまして、各1カ 所当たり240万円ぐらいの調査代でサポートをすると、そういう考え方でいるわけでご ざいます。 ○苗村母子保健課長  失礼いたします。母子保健課長でございますけれども、子ども家庭総合研究の推進に 関しまして、5番目のところに入っている理由と、それから、また、この中で児童虐待 とか含めまして、社会的な政策的な研究というものが行われているかどうかといったよ うなことでございましたけれども、基本的にこの5番目の中の課題に関しましては、保 健医療分野に関しまして、特に子どもの保健医療の健康の保持、そういった分野に関し ましては、母子保健課が担当しております関係上、また、この5番目のところに関しま しては母子保健課関係の事業を中心に記載させていただくことになっておりまして、そ の中で母子保健課が、子ども家庭総合研究の事業に関しまして所管をしておりますの で、その関係でこの中に記載をさせていただいておるところでございます。  それから、具体的なテーマに関しましては、5つほどテーマがございまして、そのう ちの少なくとも2つにおきましては、御指摘のような分野の研究をさせていただくとい うことで、その中で1つのテーマは、子どもの発育・発達や家庭の機能に深刻な影響を もたらす課題への対応ということで、虐待を受けた子どもの心身の健康影響を評価する 手法や相談支援のシステムの開発、DV被害者の自立支援のためのガイドラインの作 成、そういったものを行っておりますし、もう一つ、大きなテーマとして挙げておりま す新たな社会的ニーズに対応し、子どもの発育・発達を確保できる児童福祉サービスの 実現というテーマの中では、例えば虐待を受けた子どもへの家庭的養護を行うシステム 開発や虐待による重症症例に対する総合的治療システムの開発、そういった形で大きな 5つのテーマの中の2つほどに関しまして、社会的又福祉的、政策的な研究を行ってお るということでございます。 ○岩男部会長  よろしいですか。それでは時間も押しておりますので、次の議題といいますか、次の 御説明、つまり昨年6月に閣議決定された少子化社会対策大綱に基づく重点施策の具体 的実施計画として、昨年12月に策定されました「子ども・子育て応援プラン」につい て、事務局から御説明をお願いいたします。先ほどの前田委員へのお答えもこの中で含 まれると思いますので、よろしくお願いします。 ○度山少子化対策企画室長  少子化対策企画室長の度山でございます。資料5−1、5−2を見ていただいて、 「子ども・子育て応援プラン」、本文は資料の5−3という形になっておると思います が、時間も押しておりますので、この考え方なり構造なり、どういうことをねらった か、あるいは若干御質問のございました今後の展望ということについて御説明を申し上 げたいと思います。  資料5−1ですが、5−2のところで「子ども・子育て応援プランの特徴」と、これ に沿ったなかなか御説明にもならないのですが、見ていただきながらお話聞いていただ ければと思いますが、まず「子ども・子育て応援プラン」は、少子化社会対策大綱、昨 年の6月に閣議決定されましたものを具体的に政府としてどのように進めていくかとい うことの重点施策の具体的実施計画としてつくったものでございます。ちょうど平成16 年度新エンゼルプランの終期ということでございますので、新しい年度、17年度からの 5年間に講ずる具体的な施策内容、目標というものを提示したものでございます。  その際に少子化社会対策大綱は、言ってみればエンゼルプラン、新エンゼルプランと 違いまして、若い方の自立、子どもの育ちというところから地域で支え合う子育て支援 のところまで、今までの取組みに比べましてかなり幅が広がっているということでござ いますので、今回の子ども・子育て応援プランもそのような形で非常に幅広いプランと なったかというふうに思います。  特徴の一番最初の上のところに書いてありますように、保育事業中心から、若者の自 立・教育、働き方の見直しということも含めた幅広いプランになったと。これを少子化 社会対策大綱の掲げます4つの重点課題、「若者の自立とたくましい子どもの育ち」、 「仕事と家庭の両立支援と働き方の見直し」、「生命の大切さ、家庭の役割等について の理解」、「子育ての新たな支え合いと連帯」というこの4つの重点課題に沿って構成 をしております。  これまでも実は新エンゼルプランも6関係大臣の合意でございまして、そういう意味 ではワイドレンジを志向はしておりましたけれども、どちらかというと、具体的な目標 値が設定されていた事業というのは保育関係が中心であったということでございます が、今回のプランにおきましては、資料5−2の3つ目の箱にございますように、「働 き方の見直し」という分野においても積極的な目標設定に心がけましたし、あるいはそ の下、体験学習等を通じた「たくましい子どもの育ち」といった教育分野においても積 極的に目標を掲げられないかということで各省庁とも調整をしてまいりました。  あるいは「子育て」ということに関しましても、保育の「待機児童ゼロ作戦」という のは、総理のお声がかりなのでございますが、それと同時にきめ細かい地域の子育て支 援、例えば地域の子育て支援拠点をつくるということで、地域子育て支援センター、つ どいの広場事業でありますとか、特別保育の中でも一時保育といった取組みは、どちら かというと、保育に欠ける子をあずかる取組みよりは、やや後ろにあったかなと思いま すが、そういったことにも力を入れた。  さらに新エンゼルプランのエリアの外にございました児童虐待の問題なども今回取り 入れまして、そういう意味ではキーコンセプトとしてはすべての子どもと子育てを大切 にするといったことで子育て支援の方についても幅を広げた取組みになっておるという ことが1点目でございます。  2つ目でございますが、2つ目の箱に概ね10年後を展望した「目指すべき社会の姿」 を提示したということがあります。5−1の方を見ていただきますと、4つの重点課題 の箱の右側に「平成21年度までの5年間に講ずる施策と目標」とありまして、そのさら に右側に「目指すべき社会の姿」という構造になっておるわけでございます。わかりや すく例えていいますと、よくいろんなお父さん、お母さんと話をしておりまして、何と かセンターというのが1,000カ所から3,000カ所にどうも増えたらしいけれども、でも私 の生活はほとんど変わっていないというような声をよく聞くわけでございます。そうい った意味では、その施策そのものがどこまで行き届いているかということもございます し、あるいはその施策を講じたことによって、本当にねらったものが実現できたのかど うかなのかということにも気を配るといいますか、そういった観点も持つことが必要だ ろうというふうに考えました。  目指すべき社会の姿、なかなか5年ではこういうふうに一気にステップアップできな いということで、概ね10年後を展望したということにいたしましたけれども、それぞれ の分野において、こういうふうな形で社会が動いていけば、子育て、あるいは子どもに やさしい社会になるのではないかということで、これも1つの目標の考え方ということ で考えたわけですが、同時にこれは実際に講じている施策を評価をする1つの尺度にも なるものではないかというふうに考えておりまして、施策の実施を通じて社会をどのよ うに変えようとしているのか、国民にわかりやすく提示をするというねらいとともに、 実際に講じた施策によって子育て、少子化社会への対策という目から見て、社会が一歩 でも二歩でも前に前進したのかどうかということをこの切り口をもとに評価をしていっ て、それで効果的に施策の展開をしていくことが必要ではないかといったことから、こ ういった構造にいたしました。  もう一つは、この「子ども・子育て応援プラン」というのは、実際に少子化社会対策 大綱に書いた施策につきまして、これを世の中の実際のものとして取組みを進めていく ためのプランということであります。実際に取組みを進めていくということになります と、国がきちんとやらなければいけないことがあることはもちろんでございますが、同 時に例えば全国の地方公共団体による公共政策としての取組み。それから特に働き方の 分野においては、企業の雇用というものを通じた取組みというものがございます。企業 の雇用の方の取組みについては、まだ全国的な行動計画の状況というものはなかなかキ ャッチできないわけでございますが、市町村の公共政策として進められるものにつきま しては、全国の市町村が策定中の次世代育成支援に関する行動計画というものを踏まえ た形といたしました。実際問題まだ策定中なのでございますが、昨年の9月段階で調査 をいたしまして、大体全国の市町村がおおよそどのような目標設定を考えているかとい うことを調査をいたしまして、その数字も御説明をいたしまして、今回その市町村が考 えている目標設定を新しいプランの目標値ということにいたしまして、地方公共団体の 計画とリンクさせた形でプランを策定するということをやったわけでございます。  今までエンゼルプラン、新エンゼルプラン、どちらかというと国が旗を振るというよ うな形のプランでございましたが、今回はこのプラン自体は基本法から大綱を受けた流 れではありますが、同時に成立をいたしました次世代育成支援対策推進法に基づきます 全国の行動計画づくりというものを国としても、その達成を支援をするという位置付け で、今回この「子ども・子育て応援プラン」というものをつくったわけでございます。  以上が大体「子ども・子育て応援プラン」をつくったときのねらいなり、内容の考え 方ということでございます。ちょっと中身についてなかなか立ち入った説明ができない のが申し訳ありませんが、昨年12月に割と集中的に、特に与党の方でこのプランをつく るに当たって御議論をいただきましたが、こういったプランの内容についての御意見が いろいろあったのも確かなのですが、同時にもう少し本格的に大きな枠組みでこの少子 化対策というものを進めていくべきではないかと。特に先ほど総務課長から御説明申し 上げましたように、社会保障全体についての高齢者と児童の配分の問題でありますと か、あるいは諸外国に比べて非常に児童手当の給付が期間、あるいは額が低いといった ような経済的な支援の問題に本格的に取り組まなくては少子化というのは解消できない のではないかといったようないろんな御意見がございました。  ただ、少子化社会対策大綱のフレームの中で、今回このプランをつくったということ で、あるいは今平成16年の12月の時点で、政府部内で合意できる施策というものにはも ちろん限界があって、そういったことを具体的に何か計画として盛り込むということに は至らなかったわけでございますが、すいません、資料5−3の最終の27ページを御覧 いただければと思いますが、そうはいっても、そういった問題にもいろいろ議論してい かなければいけないのではないかということで、ここだけは大綱の枠をはみ出る部分に なるわけですが、「検討課題」ということで、先ほど御説明申し上げましたように、社 会保障給付の中のバランスの問題、あるいは「併せて」という以下ですが、「我が国の 人口が転換期を迎えるこれからの5年間が重要な時期であるとの……」、こういった御 指摘も相次いだわけですが、こういった「……認識のもと、社会全体で次世代の育成を 効果的に支援をしていくため、地域や家族の多様な子育て支援、働き方に関わる施策、 児童手当等の経済的支援など多岐にわたる次世代育成支援対策について、総合的かつ効 率的な視点に立って、その在り方等を幅広く検討する」ということについては、これは 与党との議論の中から、先ほどいろんな出た意見というものを通じまして、政府部内で 改めて協議をいたしまして盛り込んだ検討課題でございます。  政府において、このプランを一歩一歩前に進めるということとともに、この検討課題 についての検討というものも、ちょっとまだやり方なりフレームは決まっておりません けれども、5年間の間に進めていかなければいけないと思っておりますし、同時に与党 の方でも、この議論をしていく中で、政府ばかりには任せておけないというようなこと でしょうか、与党においても検討していかなければいけないのではないかといったよう な声があったということも御紹介をさせていただきたいと思います。  以上で、御説明終わります。 ○岩男部会長  御発言の御希望があると思うのですけれども、もう一つ、御説明をいただくことがご ざいますので、ちょっとすいません、先に進ませていただきます。議題の「その他」と いうところなんですが、昨年行われました児童福祉法、育児・介護休業法の改正につい て、事務局から御説明をお願いいたします。 ○高井総務課長  資料6と資料7でございます。資料6が児童福祉法の改正でも、昨年御審議いただい て提出したものでございますが、成立が長引いておりまして、資料6の2行目にござい ますように、成立したのは11月26日、公布が12月3日でございます。施行日が大きく変 わりまして、大きく児童相談の市町村の体制、ことしの4月から施行ということで改正 をされております。  また、小児慢性特定疾患の関係も、昨年10月施行と書いてございましたけれども、4 月から施行ということに変わっておりまして、今、準備をしているところであります。  2ページ目でございますが、衆議院の方で修正が入っております。今の施行日関係が 3番目でございますけれども、1つは1番にございます強制入所措置の期間更新につい て、考慮すべき事項を明記すべきではないか。(参考)のところにございますように、 今回、強制入所措置の場合、2年超えてはならないと。ただし、保護者が児童を虐待す ると、児童の福祉を害するおそれがあると認めるときは、家庭裁判所の承認を得て、更 新できると書いておったわけでありますが、その「ただし」の次に、かぎ括弧に書いて ございますように、「当該措置に係る保護者に対する指導措置の効果等に照らし」とい うことを入れまして、この更新に際して、保護者に対する指導措置の効果等と書いてご ざいますが、あるいは児童の心身の状況等を考慮して更新を考えるという考慮事項を入 れるというのが1点でございます。  それから、2番目が市町村で児童家庭の相談をするということになるわけであります けれども、4項といたしまして、そこにございますような、「必要な体制の整備に努め る」、要は「人材の確保及び資質の向上のために必要な措置を講じなければならない」 というふうなことがつけ加わっております。  そのほか、3ページ以降に附帯決議がございますので、御覧いただければと思いま す。  資料7が育児休業・介護休業の関係の法律でございます。これも同時期に成立したも ので、去年の12月8日に公布されておりまして、内容は1ページに書いてあるとおり で、ことしの4月に施行されるということでございます。  2ページ目に修正事項がございますけれども、適当な時期に総合的な検討を行って、 必要な措置を講じるというような修正があり、関連の附帯決議が3ページ以降について いるということでございます。  以上でございます。 ○岩男部会長  もうお一方かお二方から御発言いただく時間があると思いますけれども、どうぞ、柏 女委員。 ○柏女委員  すいません、もう時間も迫っておりますので、簡単に伺いたいのですが、今のことと ちょっと関連するのですけれども、実はきょうの議題にはなかった障害者自立支援給付 法の関係なんですけれども、この検討の中で障害児がいわば個人給付の方に入ってい て、それについて今議論がなされているというふうに聞いているのですが、私も今施設 関係者と研究会をしているのですけれども、この中で障害児について、平成18年の10月 から自立支援給付法の中に加えることを検討するという形になっているのですが、これ については、今この中では議論はするのでしょうか。あるいは私としては、あれをずっ と研究していく中で、児童福祉の視点から、自立支援給付法の方にかなり意見を言って いかなければいけないのではないか。別の仕組みをつくっていかなければいけないので はないかと思っているのですが、それについての状況について教えていただいてもよろ しいでしょうか。 ○高井総務課長  この関係は、別の審議会で検討されていまして、我が方でいろいろ意見を言う場面は 今まであまりなかったところでございますので、今、御指摘受けましたので、今かなり 進んでいると思うので、どういう状況かよく聞いてみたいと思っておりますけれども。 ○柏女委員  といいますのは、この障害児の自立支援給付を決定するときに、今回の児童福祉法の 改正の中で出た要保護児童対策地域協議会とか、こういうものを活用していくとかとい うようなことをしていかないと、いわば虐待の問題やパターナリズムの視点か必要なと ころが対応できなくなってしまう、そういう問題点をかなり含んでいる。私は法案自体 に反対しているわけではないのですが、一定の児童福祉法の配慮をしていかないとかな り大きな問題が生ずるのではないかと思っておりますので、ぜひ、そこは両者の検討を していただければなというふうに思うので1点です。  もう一つは、今申し上げたように、障害児の福祉とか、総合施設とか少年非行とか、 三位一体とか、いわば各論のところで児童福祉をめぐる問題が来ている中で、本当の意 味の、きちんと議論をしていかないと何か継ぎはぎ細工になってしまうような気がして おりまして、そういうことをぜひ次のステップとして、この審議会で考えていかなけれ ばならないというふうに思っています。以上でございます。 ○阿藤部会長代理  少子化社会対策大綱に基づく具体的実施計画についての、一番最後におふれになった ところなんですが、要するに少子化社会対策大綱の中に、子育ての経済支援というのが あまり全面的に取り上げられてないということで多分こういう最後のつけ足しみたいな 感じになったと思うんですが、そもそも少子化社会対策大綱そのものを、そういうもの を含めて見直すということはあり得るのかどうか、ちょっと伺いたい。 ○度山少子化対策企画室長  大綱も大体10年ぐらいを念頭に置いてつくられているというふうに言われています が、いろいろ施策の進捗なり、新たな課題などを照らして見直すという位置付けは大綱 の中に記述があります。それで実際大綱に基づいて新しい取組み、あるいはこの実施計 画に基づいて始まるのが17年度ということなんですが、大綱の枠組みの中では、実際の 大綱に基づく施策の効果でありますとか、あるいは内容がこれで十分なのかどうなのか ということについて評価をする有識者の集まりをつくって、それには子育て世代なども 入れてやればいいというようなことが言われていますけれども、そういう中で直してい くということだと思います。ただ、別にいつ大綱を直すということが明示的にされてい るわけではありませんが、大体大綱が10年ぐらいを念頭に置いていて、それでこのプラ ンが5カ年計画ということでつくられていますので、大綱をつくったときには、大体そ の半ばあたりで見直すということがおよそ念頭に置かれていたというふうに思います。  ただ、今回このプランをつくる過程で、このような検討課題が入ってきて、これも5 年間のうちのいつまでに検討しなさいということではありませんが、あと、いろいろ年 明けて以来、少子化のいろんなことが言われてきていますので、そういった状況の中で 新しい展開があったときには、また新しい展開に沿って大綱というものもつくり直して くるという必要性が出てくるのかなというふうに考えます。 ○岩男部会長  まだ、御発言があると思いますが、時間を少し過ぎておりますので、本日はこれでお しまいにさせていただきたいと思いますが、次回以降の日程について、事務局から何か 御発言ございますか。 ○高井総務課長  次回以降でございますけれども、追って連絡させていただきたいと思いますので、よ ろしくお願いいたします。 ○岩男部会長  それでは、本日は大変お忙しい中、ありがとうございました。これで終了させていた だきます。                    (照会先)                    雇用均等・児童家庭局総務課 (担当)水口                    03−5253−1111(内線7823)