05/01/08 第1回発達障害者支援に係る検討会議事録            第1回「発達障害者支援に係る検討会」           日時:平成17年1月18日(火)18:00〜20:00           場所:厚生労働省4F社会援護局第2会議室  事務局  ただいまから第1回「発達障害者支援に係る検討会」を開会させていただきます。私 は本日の司会進行を努めさせていただきます障害保健福祉部企画課課長補佐をしており ます山崎と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。検討会の開催にあたりまし て、まず最初に塩田障害保健福祉部長より御挨拶を申し上げます。  塩田部長  障害保健福祉部長の塩田と申します。お忙しい中をお集まりいただきましてありがと うございます。  昨年の12月3日に超党派の議員立法で発達障害者支援法が成立いたしました。  これまで発達障害というのはややもすると制度の谷間で十分な施策が講じられてこな かったということがあったと思いますし、文科省ではかなりいろんな取組みが始まって ましたが、厚生労働省サイドでは自閉症、発達障害センターの整備は始まっておりまし たが、十分な対策がとれてないということとか、両省の連携が中央レベルでも地域レベ ルでもなかったということで、いろんな問題があったと思っております。  こういう中で昨年の2月に、今日来られている大勢の先生にも加わっていただいて、 文部科学省と一緒の勉強会を開き、かつそれには国会の先生にも入っていただいて、そ の結果、勉強会としても一定の方向づけの議論の整理をしたということでございます。 一方、与野党の各党もそれぞれいろんな勉強会をされていまして、そういう中で超党派 でこの問題に取り組んで法律を作ってみようではないかという、超党派の議員連盟がで きまして、昨年の臨時国会で全会一致で成立をみたということでございます。  法律の中身はあとで御説明しますが、一つの障害にスポットライトをかけて、生れて からその方のライフステージに応じて施策の方向を示していくという意味で、画期的な 法律ではないかと思っております。理念法ではありますが、それぞれのライフステージ における施策の方向を示しているということでありまして、これからの課題はその法律 の中で示された方向性を具体化していく作業が必要であると思っております。文部科学 省と連携をして肉付け作業をしたいと思っております。  後ほど御説明しますが、この法律の中で対象範囲について法律で例示はされているの ですが、さらに政令で対象範囲をきちんと書くということになっていまして、この検討 会では主として政令で定めなければいけない対象範囲の議論をしていただきたいと思っ ております。法律の施行が今年の4月からですので、できれば3月の早い段階までにま とめてもらって政令を交付したいと思っております。  後ほど御説明しますが、国会の審議の中で1カ月程度のパブリックコメントをいただ くということもしなければいけないと思っておりますので、この検討会では3回程度御 議論をいただいて、政令案をまず固めていただきたいと思っております。それからあわ せてせっかく専門家の方に集まっていただいておりますので、発達障害の専門機関の整 備のあり方とか、人材の確保のあり方などについても議論をしていただければと思って おります。  それから去年から始めている勉強会との関係で、ほとんどの先生方がその勉強会と重 なっておられますので、勉強会は引き続き並行してやっていただきたいと思っておりま して、その勉強会ではこの法律の際に国会で議論になったいろんな諸課題がございます ので、幅広く議論をしていただきたいと思っております。  この検討会は主として政令の定義についての議論をしていただこうと思っております ので、勉強会はそれを前提にしていろんな施策のあり方について議論をしていただきた いということでございます。また、この検討会は多分3月中には政令が交付されれば役 割は終えますので、そのあとまた勉強会の方に合流というか、一体化していただいて、 4月以降はもう少し幅広く入っていただいて、これまでの勉強会の形で作業を続けてい きたいと思っているところでございます。  この法律は試行錯誤というか、これからどう肉付けしていくかという法律だと思いま すので、先生方の御指導を得ながら文科省とも協力して頑張っていきたいと思っており ますので、よろしくお願い申し上げます。簡単ですが御挨拶とさせていただきます。  事務局  どうもありがとうございました。それでは続きまして事務局の方から各委員の御紹介 をさせていただきたいと存じます。お手許の資料の中に発達障害者支援に係る検討会の 委員名簿ということで1枚資料をつけさせていただいております。こちらに基づきまし て御紹介させていただきます。  東京都梅ケ丘病院院長の市川委員でございます。  大妻女子大学人間関係学部助教授の内山委員でございます。  明治学院大学心理学部教授の緒方委員でございます。  国立特殊教育総合研究所・教育支援研究部総合研究官の小塩委員でございます。  国立精神・神経センター精神保健研究所知的障害部長の加我委員でございます。  東京大学大学院医学系研究科精神保健学分野教授の栗田委員でございます。  鳥取大学地域学部教授の小枝委員でございます。  あいち小児保健医療総合センター心療科部長の杉山委員でございます。  社会福祉法人林檎の里あおぞら施設長の藤村委員でございます。  東洋大学文学部教授の宮崎委員でございます。委員の先生方は以上でございます。  次に私ども障害保健福祉部の方で事務局を務めさせていただきます事務局の御紹介を させていただきます。先程御挨拶をさせていただきました障害保健福祉部長の塩田部長 でございます。精神保健福祉課の矢島課長でございます。国立施設管理室の金井室長で ございます。企画課の大塚専門官でございます。障害福祉課の関口補佐でございます。  あとは行政でございますけれども、本日この検討会のオブザーバーといたしまして何 人か臨席させていただいております。文部科学省特別支援教育課の石塚補佐でございま す。厚生労働省雇用安定局障害雇用対策課の小島専門官でございます。雇用均等児童家 庭局育成環境課の青木専門官でございます。同じく雇用均等児童家庭局母子保健局の柏 木主査でございますが少し遅れております。また本日は国立秩父学園の西脇医長にお出 でいただいております。  それでは本検討会につきましては、先程部長からも御挨拶をさせていただきましたよ うに、委員の皆様に発達障害者支援法施行に向けた課題について検討をしていただきた いと考えております。この検討会では活発な御議論をいただければと存じますけれど も、より皆様の発言がスムーズに議事の運営がなされますように、もし皆様の御賛同が 得られましたから、事務局といたしましてはこの分野にもお詳しい東京大学の栗田委員 に本検討会の座長をお願いしたいと存じますが、委員の皆様はいかがでございましょう か。  委員全員  拍手  事務局  ありがとうございます。それでは以下の議事につきまして、栗田委員どうぞよろしく お願いいたします。  栗田座長  ただいま紹介いただきました栗田でございます。私は30数年ぐらいずっと発達障害の 人たちと関わっておりまして、ここにいらっしゃる委員の先生方も多くの方が昔からの 顔見知りです、上手な座長ができるかどうかはわかりませんけれども、非常に重要なこ とを短時間でしなければいけないという会でございますので、御協力をよろしくお願い いたしたいと思います。それでは事務局より本日の資料について御説明をお願いいたし ます。  事務局  皆様のお手許に資料を配布させていただいております。一番上が「発達障害者支援に 係る検討会」ということで議事次第を書いた紙がございまして、委員名簿、座席表等が ございまして、資料1から資料を御用意させていただいております。  資料1がこの検討会について、資料2が法律の関係、資料3に法律の施行に関するス ケジュール、資料4に予算の関係の資料をつけております。また資料5としまして先の 臨時国会におけますこの法律の法案審議の議事録を添付させていただいております。ま た、本日の議論の主題でございます発達障害の定義ということに関しまして、参考資料 として資料6を添付させていただいております。その他、参考資料として障害保健福祉 関係予算の概要と、あとは内山委員から提供のありました資料がお手許にあるかと存じ ます。もしお手許に不足の資料等がございましたらお教えいただければ御用意いたしま す。  それでは資料1から簡単に御説明をさせていただきたいと思います。まず資料1は本 検討会についてということでございます。目的につきましてはこちらに書かせていただ きまた通りでございますが、発達障害者支援法が昨年の12月3日に成立いたしまして、 この法律は本年の4月1日の施行ということになっております。冒頭に部長からも御挨 拶でお話をさせていただきましたように、政令で定める発達障害の定義等につきまして 御検討をいただき、円滑な実施を目的としたいということでございます。  検討の内容でございますが、1番目といたしまして、政令で定める発達障害の定義に ついて、2番目につきまして、法律の中で専門的な医療機関の確保というのが出てまい ります。その医療機関の要件といいますか、そういった確保に関することや、専門家の 養成についても御議論を賜れればと考えております。委員の構成につきましては、別添 のメンバー表を先程御紹介させていただいた通りでございます。  この検討会の開催スケジュールでございますが、あとで施行のスケジュールを御説明 申し上げますが、大変タイトなスケジュールでございます。今月、来月にかけまして3 回程度の検討会を集中的に開催させていただきまして、2番の二つの課題について御意 見を賜れればと考えております。  その他ということでは、本検討会は障害保健福祉部長の諮問機関という位置づけでご ざいまして、検討会は本日のように公開の形であと2回行わせていただきたいと考えて おります。  資料1に関しましては何か御質問等はございますでしょうか。もしございましたらば 後ほど一括して御質問等御意見を頂戴できればと思います。  資料2につきましては、発達障害者支援法、この成立しました法案につきましての概 要、要項ということと、発達障害者支援法の法律そのものをつけさせていただいており ます。時間の関係もございますので、かいつまんで簡単に御紹介をさせていただきたい と思います。  第1章は総則ということで、第1条の目的がございます。発達障害者の心理機能の適 切な発達及び円滑な社会生活の促進のためということで、早期の発達支援が特に重要で あるということに鑑みて、発達障害を早期に発見し、発達支援を行うことに関する国及 び地方公共団体の責務を明らかにするということと、学校教育における発達障害者の支 援、発達障害者の就労の支援、発達障害者支援センターの指定等について定めることに より、発達障害者の自立及び社会参加に資するよう、その生活全般にわたる支援を図 り、もってその福祉の増進に寄与することを目的とするという、こういう法律の目的に なっております。  第2条が本検討会での主要な議題の一つである定義についてでございまして、法律に おきましては第1項ですが、この法律について「発達障害」とは、自閉症、アスペルガ ー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する 脳機能の障害であって、その症状が通常低年齢において発現するものとして、政令で定 めるものをいうというふうに定義をされておりまして、まさにこの政令で定めるという ところの内容につきまして御検討をいただければと考えております。  3条には国及び地方公共団体の責務ということで書いてございまして、1項に早期発 見、2項に就学前の発達支援、学校における発達支援、就労、地域における生活等に関 する支援、また発達障害者の御家族に対する支援というふうに、ライフステージを通じ た支援について必要な措置を講じるということを書いてございます。  第3項におきましては、特に発達障害者及び御家族の意思尊重ということで、発達障 害者の支援等の施策が講じられるにあたっては、発達障害者及び発達障害児の保護者の 意思ができる限り尊重されなければならないものとするということで定められておりま す。また、この障害者当人の意思の尊重ということに関しましては、このあとも折りに ふれて法律の中でも記載されているところでございます。  4項につきましては、部局の相互の緊密な連携を確保するとともに、犯罪等による発 達障害者が被害を受けること等を防止するため、これらの部局、または消費生活に関す る業務を担当する部局、その他関係機関との必要な協力体制の整備ということになって おります。  第4条は国民の責務として、発達障害者の福祉についての理解を深めるとともに、発 達障害者が社会経済活動に参加しようとする努力に対し、協力するように務めなければ いけないというふうに定めております。  第2章が児童の発達障害の早期発見及び発達障害者の支援のための施策ということ で、個々の施策について書いておりまして、第5条は児童の発達障害者の早期発見等と いうことで書いております。  第6条では早期の発達支援、第7条では保育、第8条におきましては教育ということ で、国及び地方公共団体は発達障害児がその障害の状態に応じ十分な教育を受けられる ようにするため、適切な教育的支援体制の整備その他必要な措置を講じるものとすると 定められております。  第9条は放課後児童健全育成事業の利用、第10条には就労の支援が定められておりま す。  第11条には地域での生活支援といたしまして、社会生活への適応のための必要な訓練 ですとか、共同生活を営むべき住居、その他の地域において生活を営むべき住居の確 保、その他必要な支援ということで定められております。  第12条には権利擁護ということを定めておりまして、第13条では発達障害者の家族へ の支援を定められております。  第3章は発達障害者支援センター等ということで、まず第14条におきまして、都道府 県知事は次に掲げる業務を適正かつ確実に行うことができると認めて指定したものに行 わせることができるということで、発達障害者支援センターを定義しております。業務 の内容が、四つ書いてございまして、早期発見、早期の発達支援に資するような相談に 応じ助言を行うこと、2番目としまして専門的な発達支援及び就労の支援を行う、3番 目といたしまして情報提供及び研修、4番目としまして関係機関との連絡調整というこ とが記載されております。  以降、発達障害者支援センター関係の事項が続きまして、19条に専門的な医療機関の 確保等ということで、都道府県は専門的に発達障害の診断及び発達支援を行うことがで きると認める病院または診療所を確保しなければならないということが定められており まして、2項では国及び地方公共団体は同項の医療機関に対し、発達支援等に関する情 報の提供その他必要な援助を行うものとすると定めております。またこちらについても もう一つの検討会の議題として御検討をいただければと思います。  以下、第4章は補足といたしまして、民間団体への支援、国民に対する普及及び啓 発、医療保健の業務の専門家に対します知識の普及及び啓発、専門的知識を有する人材 の確保、第24条に調査研究ということで定めております。施行期日は先程申し上げまし たように、本年の4月1日からということでございます。また、この法律の施行後3年 を経過した場合において、施行の状況について検討を加え、必要な見直しを行うという 見直し規定も定められておるところでございます。  以下、次の頁から参議院の内閣委員会で審議されました時の附帯決議がついておりま して、こちらについて資料として添付をさせていただいているところでございます。以 上、発達障害者支援法の説明でございます。  次に発達障害者支援法の施行のスケジュールについて御説明を申し上げたいと思いま すが、まず本検討会で御議論いただきます発達障害の定義につきましてでございます が、資料5、この間の国会の審議の資料を御覧いただきたいと思います。平成16年11月 24日に衆議院の内閣委員会、同じく12月1日に参議院の内閣委員会ということで、集中 的な審議が行われまして、議事録にいたしますと両面でこのボリュームということで集 中的な審議が行われたところでございます。  この中で一点だけ本検討会の議題に関しますこととして御紹介を申し上げたいと思い ます。5頁おめくりいただきますと、石毛委員ということで、「民主党の石毛えい子で ございます」というところで始まるパラブラフが出てまいるかと思いますが、ここは発 達障害の定義に関しまして議論が何回か行われておりますが、そのうちの一つでござい まして、かいつまんで御説明申し上げたいと思います。  まず石毛委員の御質問の中で、「発達障害という概括的な障害概念は、私はまだ未確 立なのではないかというふうに受け止めているものでございます」いう議員の認識がご ざいまして、次の頁にいきまして御意見がありました後に、石毛委員の発言の最後のと ころですが、「そこで、この政令で定めるということ、恐らく、検討会ですとか場合に よっては審議会とか、様々な最終的にここに法定化てしいる具体的な障害以外の障害を 定めていく場合に手順を踏むのだと思いますが、その手順についてどのような透明性、 公開性が図られるのかということも受け止めていただきつつ、御答弁をお願いしたいと 思います」ということで、そのプロセスについても御質問をされているところでござい ます。  私どもの障害保健福祉部長が政府参考人として答弁をさせていただいております。二 つ目のパラグラフの後段でありますが、上からいいますと7行目ぐらいの真ん中のとこ ろですが、「今回の発達障害者支援法の考え方というのは、現時点で緊急性を要する制 度の谷間にある方々をいかに支援していくかという観点からまとめていただいたものと 理解をしているところでございます」ということでありまして、続きましてその二つ下 のパラグラフ、「政令の要件は、一つは自閉症などとの類似性があるということ、それ から脳機能の障害であるということ、それから通常早期に発現する、こういったことが その法律上で規定されている、こうした法律上の要件だろうと思いますが、どういう方 々を対象にするかについては、これからの障害者福祉法制をどうしていくかということ も念頭に置きつつ、今後、専門家をはじめ関係の方々、広く多くの方々の意見を聞きま して、対象範囲については丁寧な手続きを追って公明なもとで政令を定めていきたいと 考えているところでございます」というお答えをしております。  これに続きまして石毛委員が、「内閣で確定される前に、例えば公にされて、私ども がそのことについて意見を言っていくというような、公開性、透明性ということを担保 されるか」という重ねての質問がございまして、塩田部長の方から、「いろいろな機会 を通じて御意見を伺う場を設定していく、それから政府でいろんな政令を定める際には パブリックコメントという手続きがございます。この定義の政令についてもパブリック コメントにかけて、いろいろな方々の御意見を聞いた上で整理を定めていきたいと考え ております」という、こういった議論を前回の国会でさせていただいているところでご ざいます。  こうした議論の経緯を踏まえまして、資料3のスケジュールでございますが、平成16 年12月に発達障害者支援法が成立をしております。それで本日がこの第1回の発達障害 者支援に係る検討会でございます。非常にタイトなスケジュールでありますが、できま すれば今月中を目途に第2回目を開いていただきまして,パブリックコメントにかける 案というようなものについて、もしおまとめをいただければと考えております。  パブリックコメントは1カ月という期間を定められておりまして、これは2月末から パブリックコメントということで募集をしてまいりたいと思います。募集して寄せられ た意見に対しまして私どもは回答を作成するわけですが、その寄せられた意見等もふま えまして、2月中旬以降に第3回のこの検討会を開いていただきまして、特にこの政 令、定義の案ということにつきまして案を固めていただければというふうに考えており ます。その後、政令につきましては3月の初めのところに書いてございますが、閣議決 定というプロセスを経まして4月1日に法令等の施行と、大体こういうスケジュールに なっているところでございます。以上、政令関係について資料3まで御説明申し上げた ところでございます。  それでは続きまして、発達障害者支援に対します予算について簡単に御説明申し上げ たいと思います。資料4を御覧いただきたいと思います。資料4につきましては、私ど も厚生労働省関係の発達障害者に関する支援の平成17年度予算の概要について書いたも のでございまして、○新と書いたのは新規事業という意味でございます。新規事業の一 つとして発達障害者支援体制整備事業ということで、予算的には2億4,700万円という ことで、これは発達障害者の乳幼児期から成人期まで、ライフステージに一貫した支援 を行うために、都道府県、政令市に発達障害の検討委員会を設置して、モデル的に選ん だ圏域において発達障害者の方に対します個別支援計画を作成する等、支援の体制整備 をモデル的に実施するというものでございまして、後ほど御説明いただけると思います が、文部科学省さんの実施している特別支援教育体制推進事業と協働しての実施を考え ております。  実施都道府県等の支援体制の整備ということでは、実施箇所数60カ所ということで、 全都道府県と政令市を想定して60カ所ということを考えております。それぞれの都道府 県ないし政令市の中で圏域を指定していただいてモデル事業を実施していただくことを 考えております。  また、この中で専門的な相談支援等とかという、障害児施設等におきます地域生活支 援のモデル事業をこの中の10カ所で実施していただければというふうに考えているとこ ろでございます。また、詳細については今後4月までの間に私ども関係の通知等を用意 してまいりたいと思っております。  (2)ですが、法律の中では発達障害者支援センターと定められております。予算上は 平成14年度から自閉症、発達障害者支援センターということで運営事業を実施しており ます。平成16年度までに予算上20カ所になっております。これを17年度については16カ 所増ということで、36カ所分の予算を確保させていただいたところでございまして、額 的にも16年度は2億4,500万円から、17年度は4億4,300万円ということでございます。  (3)には研修及び普及啓発ということで、普及啓発または研修会の開催経費というも のを確保しておりまして、トータルいたしますと17年度は7億600万円というところを 予定しております。  2枚目は発達障害者の支援体制を簡単な絵にしたものですが、青字で記しました文部 科学省さんの特別支援教育体制と緊密な連携のもとで進めていきたいというふうに考え ているところでございます。  以上が厚生労働省関係でございますが、引き続きまして文部科学省さんの特別支援教 育体制につきまして石塚補佐からお願いいたします。  石塚補佐  2頁めくっていただければと思います。特別支援教育体制推進事業のペーパーがござ います。平成15年度から小・中学校の通常の学級に在籍しております学習障害、注意欠 陥多動性障害、高機能自閉症のお子さん方の総合的な体制整備を図るためにモデル事業 を実施してきたところでございます。15年度が予算額でいきますと9,900万円、16年度 が1億4,600万円、来年度の予算案が2億280万円を計上しているところでございます。  この事業の中で学校の体制整備ということで、校内委員会を作ってもらったり、その 学校の中で中核となる特別支援教育コーディネーターを指名してもらったり、教育委員 会においては専門家チームを組織してもらったり、巡回相談を実施したりとか、こうい った取組を行ってきたわけでございます。  これらの取組を15年度から行ってきたわけでございますが、16年度からはそれらに付 け加えまして、例えば都道府県や地域での行政部局のネットワークとして特別支援連携 協議会を設けていただいたりですとか、個別の教育支援計画を作ってもらったり、また 盲ろう養護学校が小・中学校に対する支援を行うセンター的機能を発揮してもらったり などの研究を実施してきたわけでございます。  なお、17年度におきましては予算が約5,000万増えているわけでございますが、さらに 厚生労働省の事業との連携を強化いたしまして、発達障害者支援法の成立もふまえまし て、乳幼児期から就労に至るまでの一貫した支援体制を整備していこうということを考 えております。従来、小・中学校を対象にした支援を行ってきたわけでございますが、 その事業の対象を幼稚園、それから高等学校にも広げまして実施して行きたいというふ うに考えているところでございます。  具体的な内容が2のところに書いております。これらの事業を47都道府県に委嘱して 実施していきたいというふうに考えているところでございます。  1枚めくっていただいたきますと、それを図表にしたものです。厚生労働省におい て、新規事業として17年度から発達障害者支援体制整備事業を開始するということでご ざいますので、この事業の関連をはかって実施していくという予定にしているところで ございます。以上でございます。  栗田座長  どうもありがとうございました。いろいろ御説明をいただきましたが、続きまして今 回のこの検討会の一番大きな目的であります定義の問題でございますが、それに関して 政令で定める範囲について説明をしていただきたいと思います。先程資料5については 部分的にお触れいただいたのですが。  事務局  政令の内容につきましては、特に本検討会は専門家の先生方のお集まりでございます ので、この後いろいろ広い範囲からの御議論を賜れればと考えておりますが、先程の御 説明を申し上げたことの繰り返しになりますが、政令の要件といたしまして、その法律 で定められているところが、先程御紹介しました答弁の中にもございましたように、一 つは自閉症、ADHD、LD等との類似性があるということ、あとは脳機能の障害であ るということ、三つ目が通常早期に発現するということ、これらが法律で規定をしてい るところでございますので、この範囲の中であとは政令でどういった範囲を定めていく かということになってくるものと考えておりますので、そういった形で御審議をいただ ければと思います。  栗田座長  どうもありがとうございます。それでは発達障害の定義の議論ということで、これか らいろいろ意見をお出しいただきたいのですが、その前にいくつか資料を用意していた だいておりますので、特にWHOのICD−10と、アメリカ精神医学会のDSM−IV、 それからあとは内山先生の方からも自閉症の理解についての資料をいただいております ので、それらについて少し御説明をいただけないでしょうか。  事務局  それではまず事務局の方から資料6を簡単に御説明させていただきます。今、座長か ら御紹介をいただきましたように、ICD−10とDSM−IVということで、法律に書い てございます三つの障害、それの含まれる範囲のところを基本的にはそのまま列挙させ ていただいたという資料でございます。  表紙をおめくりいただきますと、最初の方がICD−10の関連なんですが、我が国で ICD−10に準拠する形で「疾病・傷害及び死因分類」ということで整理をしておりま す。その中のこちらには心理的発達の障害ということで、コードでいいますとF80から F89、次の頁に小児あるいは児童期、及び青年期に通常発症する行動及び情緒の障害と いうのがF90からF98という範囲がございまして、この中に例えばF84のところに広汎 性発達障害というのが出てまいっております。またF81については学習能力の特異的発 達障害というふうに出てまいっております。F90の方にはF90として多動性障害という ようなことがICD−10では定義をされております。  3枚目もF90のグループということで、F95からF99まで記載しております。  次の頁では精神疾患の診断・統計マニュアル第4版ということで、DSM−IVという ことでございます。こちらにつきましては通常、幼児期、小児期または青年期に初めて 診断される障害という一群のところを2頁にわたりまして列記しておりまして、学習障 害、広汎性発達障害、注意欠陥及び破壊的行動障害のような形で列記をされておりま す。  こちらは今後御議論いただきます時の御参考の資料ということで、既存のICDある いはDSM−IVということで出させていただきましたものでございまして,必ずしも政 令等で定めるのにここの限定列記という形でなければいけないということでお出しした ものではございませんので、このあとまた広い範囲から御議論をしていただければと存 じます。私の方は以上でございます。  栗田座長  それでは内山先生から御説明をいただけますか。  内山委員  厚生労働省の係の方から基本的な病名をあげるというよりも、むしろ機能の障害とし てどういう分類があるかということについて意見を寄せていただいたので、いろんな本 を見て、一応この分類が比較的わかりやすいかなと思って今日は持ってきました。  詳しいことはあとで中身を見ていただきたいのですが、表紙を見てもらうと、言語と 認知の障害ということの中に、言語能力が入っておる。これは自閉症もアスペルガーも もちろんですし、LDの一部の子も当然言語能力の問題もある。  情動の表出と理解、これも自閉症の子供たちが情動の理解が悪い、あるいは表出が難 しい、それでコミュニケーションの障害がある、非言語性のコミュニケーションの問題 に絡んできます。  記憶の問題、これも発達障害の多くの障害、自閉症、ADHDの子供たち、あと一部 のLDの子供たちにあると思います。  注意の問題は、これはADHDは当然ですが、LDやアスペルガー、自閉症の子にも ある。  心の理論障害というのは、人の気持ちを読む能力の障害を指しますが、自閉症スペク トラムの子どもや成人の特徴の一つと考えられます。実行機能はADHDと自閉症スペ クトルムが中心になると思うのですが、あとは統合失調症、その他の精神障害でもいわ れています。そういうことで一応能力、認知機能の障害という意味では、こういうふう に分けて考えると比較的カバーしやすいのかなと思ったんですね。ただ、書字障害とか 読字障害という、狭い範囲のLDの子に関してはこの範囲には入って来ないので、少し つけ加える、書字、読字、計算の障害というのは別に付け加える必要があるのかなと思 います。  栗田座長  どうもありがとうございました。それでは今までいろいろ資料について御説明をいた だいたことを含めまして、これから政令で定めるべき発達障害について、皆様方の御意 見をお聞きしたいと思います。とりあえず今日はフリートーキングということで、いろ いろな観点からいろいろな意見を出していただいて、法令の2条に書いてあるようなこ とをもう少し具体化するとか明確にするという作業ですが、どなたか御発言をいただけ ないでしょうか。杉山先生、いかがですか。  杉山委員  まず前の勉強会で議論になっていた高次脳機能障害をどこまで入れるかという問題が 一つありますね。法律の中に謳われている問題に関してはおそらく異論はないんだと思 いますが、それから僕自身がちょっと気になっているのは、文科省の独自の定義があり ますよね。例えば学習障害です。それとすり合わせをしなくていいのかということなん ですが、おそらくこれから特別支援教育が推進されていって、そしてそれにこの発達障 害者支援法の幼児期から一貫した支援というのがいる時に、学校だけ違う定義を使うと いうのはすごく問題になるんだと思うんですね。その二点が非常に気になっておりま す。  栗田座長  ありがとうございました。その高次脳機能障害のことについて、もうちょっと具体的 にお話いただけますか。  杉山委員  小児の高次脳機能障害とは何かという議論があったと記憶しております。それで例え ば交通外傷なんかで、いわゆる小児の神経心理学的なローカルサインを出すようなグル ープがどのぐらい現実的にいるのかとか、それから結局学習障害の範疇にかかってくる んですが、学習障害としてそれを全部カバーできるかどうかということですね。  それからこれも僕自身学校との絡みで気になっている部分があって、今、学校でやる やり方が学習障害がなぜチェックされないのかというのを考えてみると、一斉知能検査 をやった場合には、あそこで読字書字機能がそこで評価されてしまうので、学習障害も 知的障害になってしまう可能性があるんですね。これは少し違う議論ですが。  加我委員  高次脳機能障害については、今おっしゃったような小児期の交通外傷とか後遺症は、 かなり改善はしますが、学齢期に学習面で相当な問題を残してらっしゃる方がたくさん おられます。前歴をあまり御存知ない状態で,私どもの外来に学習障害ですという紹介 で受診なさる方がかなりあります。絶対数が多いとは思いませんが、そういう方たちに は対応としては似たようなケアをして差し上げないといけないと思っています。支援法 の対象としてそういった方々を考えておかなければいけないかなと思っています。  発達障害の定義自体は、もちろん通常の知的障害や脳性麻痺を含んでいますが、今回 の法律では今現実に困っている方たちをどう援助できるかという立場からの定義が必要 だということで巣ので、そのつもりで考えたいと思います。ただ発達障害ということば がこの法律での定義として外に出て行った時に誤解を招かないかという心配はありま す。  栗田座長  ありがとうございます。あとはもう一つ、たしかに文科省でお作りになった定義は少 し幅広いのはよく知られています。少なくともICDとかDSMで定義されている面も かなり幅広くカバーされていますが、その辺の関係について何か御意見がありません か。  緒方委員  幅広く定義をされているグループは,やはりその必要性があってそうされたんだと思 うんですね。やはり発達障害者支援法が支援法であるということを考えると、やはりあ まり漏れないように、支援を必要としているのが漏れないような方向で定義を決めてい くというのは、今とても大事なことじゃないかなというふうに思います。  栗田座長  ありがとうございます。  市川委員  基本的に教育界で使っている学習障害は神経心理学から入ってきた学習障害を使って いるわけですから、医学の方の学習障害の定義とずれていると思います。学習障害に関 する協力者会議の最終報告を見てみますと、かなり整理されてきて、基本的に神経心理 学の方の言語性の学習障害が医学の方の学習障害にほぼ一致しているように思います。 非言語性の学習障害を含めて、教育では全部学習障害ととってたんですが、平成11年の 7月からは文部科学省もADHDの存在を認めるようになってきて、変わってきている と思います。そのあたりは比較的整理をしやすいと思いますが、高次機能障害の方はや やこしいという気がします。  栗田座長  ありがとうございます。いかがですか。今のこと、あるいはそれ以外の観点で、どう かできるだけ活発に御意見をいただければと思います。今日はいろいろ意見を出してい ただいて、その上で事務局に御苦労をいただいてまとめて、また次回というふうな、大 体そういう流れになっておりますので。  藤村委員  これは定義で参考になるかどうかわからないんですが、アメリカのノースカロライナ の、皆さんも御存知のTEACCHというところがどういうふうに支援の手立てを定め ているかというと、TEACHHの名前にもありますように、自閉症及び周辺のコミュ ニケーション障害に対してと、この周辺のコミュニケーション障害というのは大変曖昧 な言い方なんですが、周辺のコミュニケーション障害という言い方をわざわざ定めたと いうのは、今も緒方委員が言われたように、やっぱり厳密に線を引くとどうしても抜け 落ちちゃうとか、あるいは場合によっては支援をした方がいいかもしれないんだけれど も、厳密な定義でいうと支援ができないというものをなるべくなくしていこうという考 え方です。支援法の意味もそうですが、やっぱりその支援を必要としている人になるべ く広くカバーできるような定義の作り方というのが望ましいんじゃないかというふうに 私も思います。  栗田座長  ありがとうございました。いかがでしょうか。  内山委員  この自閉症の理解の言語と認知のところにもってきたのは、結局LDであれ、高次脳 機能障害であれ、言語能力とか記憶とか注意の障害とか、あるいは高次脳障害、実行機 能障害と、そういうふうに機能で定義すれば、高次脳障害もLDも文科省のLDも医学 のLDも、あるいはアスペルガーも全部入ってくるんですね。  そういう意味で広くカバーするという意味では具体的な診断名をあげるよりは、こう いう脳機能の障害で注意や記憶やコミュニケーションの障害があるものというふうな形 で、包括的に定義した方があとあと使い易いんじゃないかなと思うんです。文科省のL Dが、医学用語ではアスペルガー症候群の定義と重なるといったことはあってもいいわ けで、支援の対象とする場合に、脳機能の障害があって、言語や認知や記憶の障害があ るというふうに定義した方がやりやすいのかなと思います。  今、議論が出てないのは、ちょっとトゥレットとか、それをどう考えるかというのは ちょっと気になっているのですが、そこまで広げすぎないのがいいのか、どうかという 問題がちょっとあるかなと思います。  栗田座長  そのトゥレット症候群については、どういうふうなお考えですか。  内山委員  発達障害の定義を考えて、生来性であって脳機能の障害であって、完全に治癒するこ とは難しい、生涯に渡る障害だと考えれば、トゥレットは入ってきてもいいのかなと私 個人的には思っているんですが、ただ、そこらへんは今は議論がなかったのでちょっと 気になっているところですが、少し問題提起ということで。  栗田座長  ありがとうございます。いかがでしょうか。いろいろな点から御意見をいただくとあ りがたいんですが。それではちょっと御意見を伺いたいのですが、緒方委員に少し教え ていただければと思います。境界知能の問題というのは、どういうふうに考えられてお りますでしょうか。  と申しますのは、この発達障害支援法が出てきたもともとの理由というのは、高機能 の自閉症や広汎性発達障害の人たちに何とか対応したいというところがかなり強い動機 だったと思うんです。高機能という場合にIQが70以上というふうに一般的、世界的に 今、定義がされていますね。要するに知的障害、あるいは精神遅滞と診断がつかないレ ベルであるということで、ただIQ70以上というのは、残念ながら正常に機能できる知 的能力ではないですね。  高機能の自閉的な障害の方は、境界知能、つまりIQ70は超えるから知的障害ではな いけれども、IQ85を超えないので正常範囲ではないというところにある人たちが実際 には多いのです。理論的には境界知能というのは子供の中に10数%存在しますので、自 閉的な障害ではないADHDの子供も一部は境界知能を持ってますね。また自閉的でも ないし、ADHDでもなくて、学習障害と言われるお子さんの中にも、やっぱり境界レ ベルの子はいます。学習障害でもない、ニコニコしてすごく自然で、誰が見てもごく普 通の子供で、ただ勉強だけ非常に大変という境界知能の子供がいますね。  境界知能は、あまり精神遅滞的なラベルを使わないようにしようということで、DS MとかICDでは精神障害のカテゴリーとしては除かれているわけですね。きちんとし た診断がされなくて、普通学級の中で学習の困難な子供たちとして存在しているんです が、そのような人たちはこの法律でカバーされるんでしょうか。  緒方委員  ぜひカバーしていただきたいと思います。今先生が言われたように本当に通常の学級 にいて人数的には一番多いのがそういうお子さんたちで、普通の授業の普通の進み方、 内容では絶対無理なんですよね。ぜひそこらへんも含めてとっていただいたら嬉しいで す。  小塩委員  相当前の文科省の調査なんですが、知的障害、その時は精神薄弱ですが、2.06%とい う数字を出した時がありますね。その時に境界線の子供たちの生徒たちも含めているん ですが、境界線の中にどうやって区分したのかちょっとわからないところがあるんです が、特殊教育が必要な境界線の子供と通常の学級でやっていける境界線の子供に分け て、実際には境界線の子供を含めればもっと数が多くなるわけですが、それを合わせて 2.06でしたか、そんなパーセントで出しています。そのあたりのところはその当時の調 査官に聞かないとわからない点もございますが、だからまあ全て境界線の方たちを、た しかに困っている子どももいるし、困ってない子どもたちもいらっしゃいますので、そ のあたりは支援を必要とする文科の方はニーズをと捉えていますけれども、こちらで支 援ニーズといいますか、それに合わせて、法律の狭間にあるものを救っていくという、 そういうスタンスで定義をしていくのか、それともかなり学問的にきっちりとしたもの を定義していくのか、そのスタンスによってかなり変わってくるかなと思うんです。あ まりカッチリしますと、診断を受けてからじゃないとサービスが始まらないとか、支援 が始まらないとか、半年も1年もかかってしまうようでは実効が伴いませんので、どう いうスタンスをとっていくのかがかなり重要な問題だと思っております。  栗田座長  ありがとうございます。いかがでしょうか。すでにおっしゃったことをもう一回深め ていただくような御意見でも結構です。  杉山委員  境界線知能の問題は、臨床で追っていきますと、学校教育が一番影響を与えるグルー プのように思うんですね。端的な言い方をすると、小学校低学年から中学年でよい出会 いがあるとIQも上がってくるんですよね。そうじゃない場合にはむしろ遅滞レベルに なってしまうとか、そういう変動があるということと、それから知的の能力で分ける意 味というのが、知的の遅滞レベルの子の場合には、IQが50ということと70ということ や30というのはすごく大きな差が出てくるわけで、その個々の認知能力のバラツキより も、全体にフルIQが非常に大きい問題をもってくるものだから、今までの発達障害の 知的障害の上ではIQが全てだったんですね。境界線知能の場合にはそうじゃなくて、 個々の認知のコンポートメントが、どこがどうなっているのかということがむしろ大事 な情報になってくるので、ちょっと対応が変わってくるんですね。  もう一つ、虐待現象でつくづく思うのは、被虐待児で正常知能を出す子はほとんどい ないですね。ことごとく境界線知能を出してくる。一つ僕自身気になっているのは、こ ういう議論をするとゴチャゴチャにするかもしれませんが、重度の情緒障害というのは 実は発達障害にひっくり返ってくるという問題があって、脳にかなり被可逆的な変化を 作って来るものですから、そこまで入れてもいいのかどうかですね。ただ現実的には、 例えば被虐待児を通常学級でやっていくのは非常に困難があるんです。今まできちっと 救えなかった子たちを拾っていくというスタンスでやるのだらとしたら、こういう問題 も本当は議論したいところなんですが。  栗田座長  ありがとうございました。加我先生、先程御紹介いただいた国会審議の中でも議員さ んの方から出されていましたが、脳性麻痺というのはかなり幅広い概念ですね。それで 明確な肢体不自由のような状態であれば別の法律があるからいいんですが、どういうふ うにお考えになりますか。  加我委員  この中に入れるかどうかということですか。身体障害者福祉法では脳性麻痺(cerebral palsy, CP)の方はもちろん運動障害の程度により等級認定されて社会福祉的対応を 受けられます。一方で学術用語としていいのかどうかわかりませんが、マイナーシーピ ー(minor CP)といわれる方たちがあります。このマイナーCPは中枢性協調運動障害 という診断が大体あてはまるのではないかと思います。教育の中で考えていくのであれ ば、そういう方たちを支援の対象に含めることは可能だと思います。ただ、運動機能障 害だけだと、この法律で包含するのは厳しいかなという気がします。運動機能だけが問 題で、認知障害のない児は支援の対象には入れにくいですが入れてしまってもよいかど うかという議論になるのではないかと思います。  栗田座長  非常に不器用とか、運動神経が鈍い、それのために適応上かなり困難があるとか、心 理的にかなりストレスを感じているような子供がいますね。  加我委員  一昔前にMBD微細脳機能障害といわれたのは中枢性協調運動障害のある子どもたち あるいは大人たちだと思います。この状態を説明をするのには、非常によい概念だと思 います。それが発達障害の支援の対象として考えられれば救われる子どもたちもいらっ しゃると思います。  栗田座長  ありがとうございました。小枝先生、何か御意見はございませんか。  小枝委員  たくさんお話ししたいことはあるんですが。政令で定めるところにということで議論 を収束させていかなければいけないですから、一つはやっぱり今特別支援教育というの がずいぶんと動いていますので、そこで定義されてきているものの判断のものと、それ からいわゆる疾患として、病名として出てきているものと、それからこの福祉、支援法 というもので判断していこうというものが食い違わないようにというのが肝心ではない かというふうに思っています。  それから先程内山先生がおっしゃった病名みたいなものが括っていくと、いろんなそ ういう食い違いみたいなものが起きるので、機能障害で括ってみたらいいんじゃないか という御提案は、今日は来てよかったなと思う収穫でした。  僕自身は長いこと障害児の就学指導委員会に関わらせていただいていて、基本的にこ の子供の学籍を判断するには三段論法だなというふうに思ってきたんですね。疾患名が あって、教育的障害名があって、教育的措置をするという三段論法だったんだけれど も、特別支援教育というのはそれをさにあらずといったことをやり始めたんだなという ふうに実は思うんです。ですから診断からスタートせずその子の不都合というか、不適 応というか、そういったものから、スタートしようということで始まったんだなという ふうに気づきました。  それでここで何か提案しなきゃあいけないなと思ってずっと考えていましたのは、病 名とか障害名とかいうのがあってもいいと思うんですが、時と場合によってその子が非 常に調子のいい時と悪い時があるので、診断名それプラス不適応の状態にあるというよ うなものを付け加えると、非常に政令としては動きやすいのかなと思いました。例えば アスペルガー症候群で今不適応の状態にあるもの、あるいはLDの子で今不適応の状態 にあるもの、あるいはADHDで今不適応の状態にあるものみたいな形でいくと、割と コンセンサスが得られるのかなというふうに思ってまいりました。  それと杉山先生がおっしゃった被虐待の子も実はなかなか心から離れていかない問題 で、そうなった時に本人の病的素因と、あとは育ってきた環境と、それから現時点での 不適応という、その三つでいった時に、被虐待児ってやっぱり環境の方が大きいので、 それまで含めるのかどうかというのはやっぱりこの3月までのタイムスケジュールでは ちょっと難しいですから、あとに残す問題としてちょっとやっぱりよけておいた方がい いのかというふうに考えます。以上です。  栗田座長  ありがとうございました。  緒方委員  今の小枝先生のお話の不適応の状態というのは、とても子どもの状態像が目に浮かぶ ようないい言葉だと思うんですが、ただ、いつの時期でということが問題にならないん でしょうか。例えば学校にいる間は結構適応がよくて、回りの対応との相互関係で適応 がよくても、職場に出た途端に不適応を起こすというような子どもたちもいますね。そ うするとその時期その時期で判断していくということですよね。  小枝委員  そうですね。だからそういう病名がついても、適応が良くなければ外来には来なくな って、患者さんではなくなっていくので、これも同じようにそういう発達障害というこ とであっても、適応が良くなっていけば、この法律の外に出た人ということで、いいの ではないかなと思うんです。  ですからいわゆるこれの発端は知的な障害がないにも関わらずというところがメイン なので、その知的な障害というのが、いわゆるIQで括っているから問題なので、将来 的に知能とは何ぞや聞かれた時に、適応する能力であろうという世の中で来て欲しいな と思っています。適応している時にはそんなに呼ぶ必要はなくて、青年期に不適応を起 こすかもしれない、じゃあその時にそういった支援をすればいいというふうにもってい ったらいかがかなと考えているところです。  内山委員  それは学童期は問題はないと思うんですが、早期発見、1歳半とか3歳児検診での支 援を考えた場合、不適応は何も起こってないんですね。ですからその年齢で区切って、 乳幼児は別にしないと支援の対象が狭まっちゃうんじゃないかという気がします。  小枝委員  不適応をどう定義するかということにもよるんですね。お母さんが育てづらいと考え ているのも実は支援の対象であったりするので、早期に関わるべき問題については、そ の不適応をわりと幅広くとってもいいのかなとは思います。  市川委員  医学における精神遅滞は、教育では知的障害と読みかえていますが、精神遅滞の定義 はIQだけで決まっていません。自動的に社会不適応をきたしていると書いてあります から、そのことが大前提になっていると思います。  例えば知的障害者の福祉施設といっても、知的障害だけを抱える人は圧倒的に少ない わけで、同時にもっている自閉症の問題とか、もう少し器質的な問題とかを抱えている 人が圧倒的に多いわけです。IQだけで考えるというのは、僕はあまり感心しません。 これを根拠に今まで療育手帳などを支給してきましたが、現場では「それだけでははか り知れない」などの問題が出てきたのはそこに問題があると思います。  小枝委員  それで例えばアスペルガーであるとか、ADHDであるとか、LDであるとかという 状態の判断か診断かわからないんですが、ついたとして、プラス適応障害というので、 この法律の適応範囲というふうにしていけばいいのではないかなという気がするんです ね。  市川委員  ・・・・とすれば、その年齢の問題もあるとおっしゃってましたが、「その年齢の子 供さんとして考えて」というしか言いようがないんではないでしょうか  小枝委員  それは暗黙の了解で議論が進んでいるんですか。  市川委員  そうふうにした方がよいと思ったんですが。  栗田座長  ありがとうございます。市川先生と同じ精神科医の立場でちょっと申し上げたいこと があるんですが。少なくとも精神科領域で診断名を使う場合には、不適応があるという ことが診断基準の中に書いてなくても、基本的にはそれを見た上で診断を我々はしてい るわけです。だから精神科的な病名がついているということは、基本的には不適応状態 にあるということと同じなんですね。  ですから例えば統合失調症のような幻覚とか妄想があっても、適応がそんなに悪くな ければ、その人は統合失調症の診断は受けないということになるかもしれない。だから むしろ不適応ということよりも、いわゆる支援ニーズという、それが大事なんじゃない か。つまり何らかの問題をもっていて、しかもその親御さん、あるいは本人自身が支援 を求めてくるという時に、その法律が対応できるということです。不適応となるとむし ろ判断するのは本人よりも他の人という形になって、やはり本人とか御家族の希望があ って、とにかく何とかしてほしいという時に救えるかどうかということで、ですから不 適応というよりは、支援ニーズみたいな考え方の方が大事なんじゃないかなと思いま す。  藤村委員  僕も今の支援ニーズということは大変大事な視点だと思うんですね。知的障害もアメ リカで1992年に変わったAAMRの新しい定義では、必ずしもその定義だけをするわけ ではなくて、どんなサポートを必要としているかということを明らかにしようというふ うに変わってきているのがいい例だと思うんですが、知的障害もやっぱり適応行動が出 るか出ないかということを見るのと同じように、この障害の定義も、政令では発達障害 そのものを定義しなければいけないのかもしれないのですが、発達障害者支援法の対象 とする人が誰であるかということを明らかにするという考えであれば、その支援ニーズ を持っている人、困っているかどうかということを一つの基準にしてもいいんじゃない かなというふうに思います。  栗田座長  いかがでしょうか。  杉山委員  疾病論から離れてということは、一つ大事な視点ではあると思うんですが、例えばこ の内山先生が持って来られた言語コミュニケーション、これは比較的わかりやすいから いいですよね。後ろに行くにしたがって、例えば心の理論とか実行機能の問題とかにな ってくると、そんなに簡単にはわからないでしょう。例えば自閉症ケンの方々の体験世 界がかなり違うらしいということがわかってきたのがごくごく最近のことで、ああいう 問題というのは本人は全然、その中にいる人間というのは逆に気づかないわけで、すり 合わせをしてみて、あらこんなに違ったんだということが改めて出てくると思うんです よね。そういうことを考えてみると、疾病概念というのから完全に離れるというのは、 僕はちょっとやっぱりまずいかなと思うんですが。  栗山座長  内山先生、特に心の理論だけとか、そういうことについては?  内山委員  そうですね。多分疾病概念で括ると、例えばDSM−IVがVになるとまたちょっと変 わるとか、そういう可能性があると思うんですね。もちろん基本的には疾病概念はある と思うので、今回の対象はやっぱり自閉症のスペクトラムとADHDとLDだと思うん ですね。それはみんな暗黙の了解なんだと思うんですが、もし疾病概念を定義をする と、先生もおっしゃっていたLDが文科省と厚労省で全然違うとか、文科省のLDの時 だと要するにすごく広いですから、そういった細かい議論が何か生産的でない議論がど んどん起きちゃうんじゃないかなという気がちょっとするんですね。もちろん心の理論 とか実行機能というのは一般の人にはかなりわかりにくい概念ではあるんでしょうけ ど、そういう機能から見ていかないと何か診断概念をめぐるややこしい議論がどんどん 進んでいくような気がして、ちょっと心配があるという感じがします。  加我委員  ちょっと諸刃の剣のようなところがあって、発達障害そのものについて、いろいろな 考え方があるということでしょう。医学的な診断プラス何らかの問題がある方たちが、 主な対象になるということですね。実際にどんな方をどう援助するかと考えた時に、例 えば医者が診断書を書いて、この方はこういう病気です、あるいはこういう機能障害が あるから援助の対象にして欲しいという形で出した場合は理解し易いあるいは納得して いただきやすいと思うのですが学校の先生方がこのお子さんはこういう援助が必要だか ら、法律の対象にしてくださいといった状態を考えると、場合によっては数が多くなり すぎたり、LDなどの発達障害の状態像の考え方の違いによって、ばらつきが大きくな りすぎて、援助の対象にすべきかどうかの判断にかなり困る事態が起こらないかとの心 配もあります。  身体障害者福祉法にしても、知的障害者福祉法にしても、今のところは医師の診断書 が必要です。この法律が具体的に実施されるときにはどのような形で発達障害が診断さ れるのかが問題になるのではないでしょうか。  宮崎委員  今加我先生がおっしゃったことに私も賛成なんですが、審議経過を見ている中で、や っぱり公明性、透明性を担保するということが求められるわけですね。そうするとやっ ぱり診断基準等は念頭におかないとなかなか難しいのではないか。  ただし、これまで教育の場で進めてきた特別支援教育の流れですとか、それ以前のL Dについては、協力者会議で定義を少し幅広くしたわけですが、共通にコンセンサスが できあがっているものについてはそこを援用していくという、そういう取り組み方で進 めていくかしかないのではないのかな。そうしないと先程内山先生がおっしゃった機能 で括ってというやり方でできなくはないと思うんですが、他の関連性が広くなってくる というようなことはどうなのかというのが、ちょっと気になったんですね。  栗田座長  内山先生いかがですか。  内山委員  難しいですね。その折衷案みたいですが、例えば自閉症スペクトラムでADHDとL D及びその関連障害で脳機能の、例えば注意や記憶や心の理論障害があるものというふ うな定義をしておくというのはどうなんでしょうかね。それからあとは広く捉えて、な おかつ支援を必要とするもの、それとそんなに混乱は起きないかもしれないけれど、ど こまで広げるかという問題は多分大きいと思います。文科省は6.何%でしたか、それを 全部特別支援教育の対象とするんですよね。それと同じパーセントを厚労省も対象にす るのかということになると、ものすごく確かに多い感じがしますが。ただ、出発点とし ては多少その狭間にいる人も含めて広くとっていくということで、あとは支援ニーズに よってそのサービスの中身を決めていくということが現実的なんじゃないかと思いま す。  市川委員  6.3%というのは文部科学省が初めて出した数字ですが、あくまでも教育的に見て 対応が必要な人ということなので、それがイコール他の分野の援助を必要というのは別 だと思います。圧倒的にそれより少ないと思いますので、6.3%全部を対象にすると いうことではないと思います。  加我先生もおっしゃったんですが、ニーズだとか不適応だとか、誰が判断するのかと いう時に、客観的に判断できるようにしておかないと行政が対応できないだろうと思い ます。関係する人がみんな主観でつけていったら、無茶苦茶になってしまうでしょうか ら、ある程度公明性との兼ね合いで言えば、何かバックボーンがないとまずいでしょう ね。  栗田座長  たしかにできるだけ従来の法律で援助できなかった人たちをカバーしようという趣旨 ですから、診断は大事だとは思いますが、それ以外でも明確な定義があって、現場で使 えるようなものであれば、機能的な視点からカバーしていくということになると思いま す。そういう意味では折衷案的なことは重要かなと思うんですね。  それからこれは私見ですが、学習障害はたしかにDSMとかICDでも結構有病率は 高いんですが、そこに書いてあるだけが学習障害かというと、何かすごく極端に狭いな というのはありますよね。ですからこの法律の趣旨から言えば幅広い定義を使ってい る、もうすでに先行しているものがあるのであれば、それをそういうふうに読み替えれ ばいいというふうに私は個人的には考えていて、そうするとすり合わせという、先程杉 山先生が言っていたことがそんなに多分必要はなくなるかなというふうには思いますけ どね。  藤村委員  皆さんのおっしゃることはすごくよくわかるんですが、逆に僕が心配しているのは、 診断や基準にあてはめていただくのが、このレベルの方たちが日本全国に何千人といら っしゃったらいいんですが、実際に自閉症の診断をするとか、あるいは発達障害の診断 をするといった時に、まだまだきちんと診断ができるお医者さんが少ないというのが勉 強会でも出た話題だと思うんですね。その時に見過ごされている、抜け落ちていく人た ちというのがやっぱりいるんじゃないかなというふうに思うんですが、そういう人たち をこの支援法がカバーするために、ちょっと何らかの措置は必要なんじゃないかなとい うふうに思うんですが、いかがでしょうか。  栗田座長  法律の条項の中には専門家養成の必要性とか、そういうことはきちっと書かれてあり ますが、たしかにそう簡単に専門家が増えるわけではないですから、大きな問題だと思 います。多分一番大変な問題なのかもしれません。  あとは小枝先生と加我先生にちょっとお伺いしたいんですが、てんかんをお持ちの方 についてはどんなふうに、これまで特に勉強会その他でどういう点があったんでしょう か。てんかんでも例えば自閉的な発達障害でてんかんを発症する人の率は非常に高いで すから、そういう人であればこの法律の中にそのまま入ってきますし、それ以外の知的 障害でてんかんをお持ちの方は知的障害とのつながりかなと思うんですが、別に自閉的 でもない、かといって知的な障害があるわけでもないけれども、てんかんでかなり苦労 されている方がいらっしゃいますよね。  加我委員  てんかん自体は純粋に医学的な疾患で、診断や外来での治療に関しての福祉的援助は すでに法律によるサービスがあります。それ以外の問題としてはひとつは世の中の考え 方というのがありますけれど、あとは合併している知的障害や自閉症の問題がメインに なってきます。ここでこの法律の対象に加えてもよいのかもしれませんが当初の範囲で はあまり考えられていなかったことのように思います。数が多い病気ですし、てんかん の種類や状態によっては認知障害が起こることがありますので、そうなった時は支援の 対象として考えられるようになったのはよいことだと思います。  小枝委員  例えばてんかんの患者さんだと、外来の通院費なんかは法律でも援助がありますの で、ただ、本当に数は少ないんですが、ランドクリフナー症候群という、てんかん失語 の子供たちとか、そこまでははっきり定義できなくても、脳波異常が睡眠時にもずっと 続くようなタイプの人というのは、やっぱり聴覚認知が弱かったり、逆に視覚認知が弱 かったりという、その認知障害としてはかなり特異なものを示すことがあります。そう いったものはてんかんプラス何かそういう認知障害がありそうですので、そんなものな んかはその他類似する発達障害というあたりに含めていただくと漏れる人が少なくなる って良いと思います。  加我委員  高次脳機能障害をもっているてんかんのお子さんという考え方ができるようになるの は有り難いと思います。  小枝委員  てんかんだけに限らなくて、脳炎後遺症の人なんかもそうなんですね。外傷、てんか んの特殊なタイプ、それからあとは脳炎の後遺症、その三つぐらいでしょうか。そうい ったものはやっぱりこういう発達障害、この中に書かれてある以外のその他に類似する 発達障害として含まれてくると思います。  杉山委員  レックリングハウゼンなんかでもそういう?  加我委員  言われてはいます。知的にはあまり問題がない方で、認知障害は起こりうる、特に脳 の局在症状がる場合には支援の対象に含められればもちろん有り難いことだとは思いま す。レックリングハウゼンに高次脳機能障害の頻度が特に高いわけではないと思います のでレックリングハウゼンだからといってこの法律の支援の対象ということではないと 思いますけど。  小枝委員  それに関連していきますと、レックリングハウゼンの人はあまり認知障害で歪みがあ るという感じはしないんですが、ウイリアムス症候群の人はあるんですよね。IQを測 ると70以上あって、だけど計算のあたりが弱かったり、非常に社会的なところでの問題 が逆にあったりとかがありますので、そういったものなんかが含まれてくると、ウイリ アムスって結構いますので、含めていただけるといいかなと思います。  宮崎委員  今学校にいる子のLDなんかでは特徴的に出てきますよね。ウイリアムス症候群なん かはね。  小枝委員  認知の歪みということだけで、顔を見ずに認知の所見だけ見るとLDという診断をし てもいいかなというぐらいの子がいます。  宮崎委員  というぐらい学校現場では苦労している症候群の一つですよね。レックリングハウゼ ン症候群の場合には私は何人か見たんですが、そんなに偏りとかなくて、まあ順調な生 育をしているケースの方が多いんじゃないかなというふうに思いますけど。  栗田座長  ウイリアムス症候群の場合は、そのLD的な状態があれば、もともと発達障害に入り ますので、カバーできるんでしょうけど、そうでなくてもやっぱり必要になりますか。  小枝委員  状況認知が悪いんですね。  加我委員  独特の視覚認知障害がありますので…  小枝委員  言葉は比較的達者なんだけど、非常に…  宮崎委員  言語感覚は優れているんですが、図形認知とかがすごい悪いですよね。  加我委員  詳しく調べていただけると認知障害の様相がよくわかると思いますが。ウイリアムズ 症候群では命にかかわる問題である心疾患がメインで、当然心疾患のケアが優先されま すので、細かい認知機能を調べないと、心疾患を合併したちょっと変わった知的障害の お子さんという形で見られてしまうのではないでしょうか。こういう法律もきっかけに なって、ウイリアムズ症候群のお子さんたちの認知機能をもっと調べて差し上げられる ようになればいいんじゃないかなと思います。  栗田座長  どのぐらいの有病率なんでしょうか。  小枝委員  ダウン症が1000人に一人ですから、4〜5000人ぐらいから10,000人に一人ぐら いじゃないですか。1万人に一人、もしくは2万から5万人に一人という文献がありま す。  加我委員  ウイリアムズ症候群の方がいらっしゃないかと思って、外来診療でもずっと気にして みていたのですが、発達障害の外来に直接お越しになる方はそんなにはいらっしゃらな いようです。でも心疾患の専門の先生にお聞きすると、ウイリアムズ症候群の方はずい ぶんみていらっしゃるようです。実際私も小児心臓疾患病棟でたくさんの患者さんがい らっしゃるという経験もいたしました。  栗田座長  まだ御意見をいただいてない方もいらっしゃいますので、第1回ですので、いろいろ な御意見を出しきっていただければ思います。  市川委員  この第2条の定義からいくと、これに類する脳機能の障害というのは、脳機能の障害 の部分をどういうふうに定義していくかを決めていけばよいのではないでしょうか。そ こにいろいろ入れていくしかないでしょう。  栗田座長  そうですね。そこで今までいろいろ御意見をいただいたような部分が加わって、もう ちょっと細かくというか、そういうことだろうと思うんですが。  加我委員  脳機能の障害というと、やっぱり医学的なことをきちんと見ざるを得ないと思いま す。  内山委員  客観性とか透明性というと、結局脳機能の障害といっても、脳波の異常がない、MR Iも異常がない、でも脳機能の障害と言わざるを得ないわけですよね。すると客観性・ 透明性をどういうふうにとるかによると思うんですが、やっぱりある程度臨床的な判断 が入ってこざるを得ないと思うんですね。  ですから例えば強度行動障害のチェックリストみたいに、○をつけていくみたいな、 あれをすると一見客観的に見えるかもしれないけど、実はそれは全然客観的じゃないの で、透明性の担保という意味では、発達障害というのは医学そのものがまだ限界がある ので、その透明性の担保とか客観性ということを強く言い過ぎるとすごく狭くなっちゃ うと思うんですね。そこはある程度臨床的な判断に頼らざるを得ないと思うんです。  その時に、診断できる医者かどれだけいるのかという話になってくるんだけど、それ を言っちゃうといたちごっこで、診断できる医者がいないから、じゃあ脳機能障害とは 言えない、そうするとまたすごく狭くなっちゃうので、ある程度そこは客観性や透明性 は強調しすぎない方がいいのかなという気がするんですけどね。脳機能の障害に対し て、これは定義が甘いのか、証拠がないじゃないかみたいな批判はあるかもしれないん ですが、そこはそれぞれの医師の判断でというしかないんじゃないのかな。  栗田座長  要するに脳機能の障害というのは、たしかに医学の世界ではわりと自然に使われてい るのですが、それ以外のところ、特に一般の方からいうと何かわかりにくい言葉ではあ るんですね。先生、脳機能の障害といった場合、もうちょっと易しく言うとどうなりま すか。  内山委員  要するに認知機能の障害というのとほとんど同じ意味なんだけど、その方がまだいい のかなという気がしますね。それは心理学的に。  栗田座長  認知だけですか。  内山委員  認知をどこまで広げるかによると思うんですけどね。コミュニケーションとか心の理 論も認知だと考えれば、発達障害の部分も認知の障害ですよね。だから認知機能もちょ っと心理学的な概念かもしれないけど、認知機能の障害があって、そのために適応上の 問題が想定される、LDの定義みたいな定義になってくるんじゃないかと思います。  栗田座長  ちょっと本題からズレちゃうかもしれないですが、脳機能障害というと、何か本当に 脳がどこか明確に、まさに障害されている、細胞の数が少ないとか、あるいは破壊され ているかとか、そういうニュアンスで受け止める方もいらっしゃいます。つまり器質的 な脳障害というのとほとんど同じようにとられてしまうところがあって、しかしそれは 脳機脳障害という用語への疑問の大事なかなりな部分ではないかと思うんですが。  加我委員  脳機能の障害あるからといって脳に器質的な障害があるわけではないということをわ かっていただくむしろ良いチャンスなんじゃないでしょうか。脳波に異常がなくても、 絶対これはてんかんであると診断することはよくありますし、てんかんでない人も脳波 に異常があれば何かの機能障害があるのではないかと思うことはしばしばあるわけで す。形態の異常が見つかってなくても、将来見つかるかもしれませんし、見つかってい った方がいいんだろうとは思いますけれど、いますぐは見つからないことは十分ありま す。脳波異常があっても別に脳に傷がついているわけではないということをむしろ分か っていただける方が増える方が大事なんじゃないでしょうか。  藤村委員  これは基本的に、例えば自閉症や、ここにあげられている発達障害というのは、脳機 能の障害を疑っているからそういう診断をつけるわけですね。ここでいう、これに類す る脳機能の障害ということも、そういう疑いがあるかないか、自閉症やアスペルガーと いうふうにはっきり名前がつけられないような状態であるかもしれないけれども、そん なようなものを疑っているんだという意味なんだというふうに僕は思ったんですけれど も。それでいいんですよね。  加我委員  両方あるんじゃないでしょうか。例えば脳血管障害のような病気が実際脳にあって起 こっている症状と、今の診断技術では脳の病気が見つからないけれど、共通の症状があ る方を両方を支援の方向で考えるということですね。脳に何かの原因がありそうだ、あ るいはあると確信できる場合は器質的な病変の有無に関わらず支援の対象とするという ことではないでしょうか。  栗田座長  ありがとうございました。とにかく第1回ですのでできるだけいろんな御意見をいた だいて、事務局は大変だろうなと思いますが、それをうまくまとめていただいて、第2 回の議論をさらに深化させたいということですので、ちょっと先生方はお疲れだと思い ますが、この際、言いたいことは全部言っていただいた方がよろしいんじゃないかと思 います。脳機能の障害って、例えば説明される場合にどういうふうになさいますか。  市川委員  難しいですよね。内山先生が言ったように、脳波の異常が見つかった上での器質的な 障害なんでしょうね。器質的な障害というのは、目に見えるということになるでしょ う。認知の問題は、脳機能の障害と考えるべきじゃないかなと思います。あとは感覚的 な問題とかは脳機能の障害というふうに広くとらえてしまえばいいと思います。社会的 ニーズが必要になるような脳機能の障害を持っているということでしょう。  藤村委員  医学的には概念形成というのは話題にはならないんですか。認知の問題が概念に影響 を及ぼしているという考え方では、頭の中でその概念を作り出すという作業がうまくで きないという、そういう捉えられ方ではないんでしょうか。  杉田委員  脳の器質的な障害じゃなくて、脳の機能でしょう?  ファンクションでしょう?  そういうややこしい議論になるのは、子供の高い代償性と、それから教育とか、そう いう働きかけの修飾が加わるとずいぶん変わってくるものだから、それが一概に器質と だけで括れないような高い変化というのを引き起こすものだから、議論がややこしくな るんだと思いますけどね。  発達という軸を考えた場合、例えば不器用さの問題も、極端な不器用さというのは小 学校高学年に大多数が自然に軽減していきますよね。もちろんそれまでに手当をしなく ていいのかというと、それはそうしないと情緒的な二次的な問題が起きてくるわけだけ れども、何かそういうファンクションというのは大人の高次脳機能障害みたいにある程 度固まってくるんじゃないという部分はすごく議論がややこしくなるところだと思うん ですが。例えば逆に明確な後頭葉症候群みたいなものも、今までカバーできてないんで すよね。  栗田座長  ファンクションとおっしゃって、ある程度概念が共有できる人たちはいいんですが、 ファンクションでそれを機能でしょうと言われても、それは何だというのが、法律用語 を見る一般の人たちなので。脳機能障害というのは、専門家はわかって使っているとい うこともあるんですが、本当にわかっているのかといいますと、いやあ難しいですね。  たしかに加我先生がおっしゃるように、これが一つのきっかけで、その器質的な疾患 というか、はっきり脳が壊れているという言い方がありますが、そういうものとは違っ たレベルの障害のされ方だという理解が深まるきっかけになるだろうとは思うんです が。でも脳機能障害という文言を、多分専門家の理解とは違うレベルで理解されている 方もいらっしゃるわけなので、もうちょっと何かわかりやすくならないかなと思うんで すね。  小枝委員  ここで言っている機能というのは、医学的に言うオーガニックな、器質的なに相対す る意味での機能だけに限定しない方がいいのかなと思うんですよね。やっぱり何か画像 で見えるとか、脳波で出てくるようなやつで、非常に特異的な認知の問題か出てきたと かということもあるわけで、例えば我々の医学的な診断方法とかが進んでいくと、その 当時はファンクショナルに見えていたものが、実は非常にオーガニックなものでしたな んていう結論は今後出てくるわけで、またそれを目指さなければいけないわけですか ら、やっぱり医学的なオーガニックに対するファンクショナルという対比の中ではとら えておかない方がいいのではないか。  市川委員  脳器質的なものは当然のことという前提で、考えた方がいい。  小枝委員  やっぱりまた暗黙の前提があったんですか。  市川委員  その方が広く解釈できるのではないですか。器質と言うと非常に狭まってしまうの で。  小枝委員  あえて器質という必要はないんですが、ここでは要するにオーガニックに対するファ ンクショナルという意味で捉えておく必要はないのかな。それからあとは僕が不適応が 起きているということを一つ概念として持ち込んだらどうかという提案で、今栗田先生 から、それよりも支援ニーズが大事なんだよということは非常に勉強させられたなと思 ったんですが、気づきの段階では本人も保護者もニーズがないことがありますから、そ れを前面に何か特別支援ニーズがという観点だけでいくと、ちょっとやっぱり発見はで きなくなってくるのかなと思いますので、やっぱりうまくいかない、適応障害がある、 あるいは適応障害の恐れがある人の何か発見の中では、ちょっと積極的に関わっていけ たらと思うので、支援ニーズもだし、やっぱり適応がうまくいかないというあたりも政 令で決める時には、あるいはその恐れがあるというのも残しておいていただけたらと思 いますので。  小塩委員  今名前が変わって、特別支援教育体制推進事業になっていますが、前はLD事業とか モデル事業と言ってましたが、最初その事業が始まった時にLD探しをやるのかという のがありまして、本人は別に思ってないけど、LD、LD、どこかにいないかというこ とでやっていったんですが、そうではなくて、むしろ現場では気がかりな子供であった り、困り感のある子供も、そんな子供を見つけていく。そうすると担任が気づいたり、 保護者が申し出たり、それがやっぱりスタートになっていく。それで校内委員会ができ て、その都度あがってきますから、上がってきた段階でもし違ったとしたとしても、そ こで手を打つわけですね。何らかの方策をやってみて、それが効けばこの子はそれで救 えたわけですから、特別専門家チームまであげてLDの判断を仰ぐ必要はない。そうい うプロセスとして最終的に本物が残っていく。そんな長い、ある程度の期間をかけてや っているわけですね。  ですので先程小枝先生がおっしゃったように、診断がなくてもサービスはもうすでに 行われている。診断プロセスそのものもかなり長い。そんなことを考えていくと、やっ ぱりスタートは支援ニーズかなと思います。あまり厳密にしてある状態にあって、別に 困り感をもってないところに出かけていくと、ちょっと迷惑かなと。総トータルでとい うと非常にいいのかもしれないんですが、そのあたりはどうしょうかなという気がしま したが。  栗田座長  ありがとうございました。先程藤村先生がおっしゃったのは、ちょっとここの話題と はズレますが、アメリカの精神遅滞学会のことですね。あれは1992年ぐらいだったです が、精神遅滞の定義の第9版というのが出て、それまでのどっちかというと医学モデル から、かなり違った形になって、精神遅滞の定義自体はIQが明確に低いということ、 適応障害があるということ、発達期に生じるということで、これはそのあと10版が2年 ほど前に出ていますが、それでも同じですが、9版からIQによる重症度は全部廃止し たんですね。それで支援ニーズでもってサービスを決めていく。しかも、障害を持って いる人の、もともと持っているその人なりの強さ、それからどれだけ支援が得られるか によって、その人の適応が決まっていくという、かなり動的な考え方で作られていま す。結局、支援ニーズはサービスにつながりますので、それで困難度を見ようというか なり画期的な変化だったんですね。  医学領域ではまだあまり受け入れられていないみたいですが、そういう意味で支援と いうことは、すごく大事かなと私も思っています。特にこういう領域のものというの は、もちろん中には早期診断とか早期発見という条項がありますから、そこをどうする んだということはあるんですが、幼児の場合、本人が何とかしてということはあり得な いんで、親御さんとか、あるいは年齢が高くなれば御本人がということになって、何か 助けを求める人たちがいて、それがちゃんと法律で対処できるということが多分この法 律の趣旨だろうと思います。だから積極的に見つけるという法律ではないんじゃないか というふうに思います。でも早期に対応することに意味があるというエビデンスはいく つかありますので、その辺になるとたしかに単純にそのニードだけでいいのかというの はあります。  加我委員  そういうふうに診断やケアができる医者が足りないということで、いろいろな領域で 教育が始まっていると思います。ちょっと宣伝活動ですが、国立精神・神経センター、 精神保健研究所の医学課程研修でも今年から医師に対する研修を始めさせていただきま す。厚生労働省後援かと思うんですが、支援事業としての予算化はされていないようで す。今日ご出席の先生方にもお講義をいただけるようにお願いしています。この研修は 毎年実施することになりますので多くの先生方に御協力をいただたけるようにお願いす ることになると思います。その時はまたよろしくお願いします。今年は7月6日から8日 までの予定にしております。身近なところだけには非公式の御案内を差し上げたのです が、すでにかなりの反響を頂いています。こういう研修を通じて学んでいかれる先生方 が全国でふえてその先生方に地域の核になっていただけるようになればいいと思いま す。  栗田座長  この政令で定める定義というところがこの会の趣旨ですので、早期発見は一番の議論 の対象ではないんですが、最初ですので、それも含めていろんな御意見をいただきたい と思います。先生、早期に見つけ出すということをずっと長く手掛けてこられましたよ ね。  小枝委員  勉強会の方でちょっと発言したんですが、早期発見ではなくて、今は適正発見が大事 だと思っていまして、早く始めても、たまたま気づいたということではなくて、やはり 気づくべき時期に気づいてあげたらいいだろうというのがありますので、ただ、幼児の 場合本人が気づかないというのはあるんでしょうけれど、やがてそれは学齢期に入った ら不適応で周囲が気づくので、それはやっぱり遅きに失するでしょうね。  ですから不適応の前に気づいてあげたいなという思いがあるものですから、早期発見 ではなくて、適正発見ということで気づきを学齢期の前に前倒しできないかなというこ とをやっているんですが、それが先生がおっしゃったように、やはり本人あるいは保護 者の支援ニーズに基づいたというところまで待つという姿勢でいくのか、少しちょっと お節介ながらというふうにして言っていくのがいいのか、やはりもう少しいろんな経験 を積みながらやっていかなければいけないなと思うんです。  杉山委員  虐待統計をとりますと、うちの小児センターの虐待児の57%に発達障害の診断がつく んです。25%がPTDなんですよ。だからこのグループというのはもうちょっと積極的 な診断をしていかないとやっぱりいけないんだと思います。  栗田座長  できるだけ早くということも含めて。その場合に、親御さんの方は自分の子供が自閉 的な発達障害でないと思っていて、わからないから、何か自分の言うことをよく聞かな いとか、ちょっと行動上問題があるというので躾けるとか、悪循環という感じになるん ですね。  藤村委員  僕がその発達障害に関して、お医者さんの皆さんが医学的に、例えばその診断をきち んとしていくということは、それはそれで大事なことだと思いますし、公衆衛生の視点 から疫学的にどのぐらいの数が出てくるということもきちっと測っていかなければいけ ないことだとは思うんですが、やっぱり今回の支援法の趣旨を考えると、そこからちょ っとはずれて考えていただいて、やっぱり困っているとか支援を必要としているという 人と、それから個人の尊厳とか、法律の中にも歌われていますが、やっぱりその人が何 を求めているだろうかとか、その人がどういうことでこの法律に期待をしているかとい うことに主眼をあてていただいて、政令で定める定義というのに臨んでいただければ有 り難いと思うんですが。  栗田座長  どうもありがとうございました。それでは非常に貴重な御意見をいただきましたの で、多分事務局の方でおまとめいただき、次回、それをふまえてまた議論を深化させ て、できるだけ明確な定義、誰が見てもわかりやすい、法律を施行するのにふさわしい ものができればと思っております。今日は本当にありがとうございました。  事務局  どうもありがとうございました。本日いただいた御議論は座長とも御相談をさせてい ただきながら、また場合によっては委員の先生方に直接伺ったり教えていただきなが ら、資料を整理して、次回に御議論を賜れればと思っております。  若干の御議論を承っておりまして、次回御議論をいただくにあたりまして、法律の説 明のところでちょっと追加ということでもないのですが、一つはもともとやはり法律が できた趣旨は緊急性を要する今制度の谷間にあって助けが必要な人にということで、こ の法律が作られました。それで広汎性発達障害、ADHD、LD、この方たちはやはり 支援が必要ということで、法律の本則に入っておりまして、この政令の中で御議論いた だきたいところはこの三つに類する障害で、やはり支援が必要な人々の範囲というのを どう決めていったらいいかというようなことで御議論をいただいていると存じます。  あとはこの法律の制度の中では、ちょっとそういう御説明を申し上げなかったんです が、従来の身体障害者福祉法等と違いますのは、いわゆる個人に対する認定の仕組みと いうようなところはこの法律の中には入っておりませんで、何か手帳を発行するとか、 この人を厳密に該当するかしないか認定するという仕組みではございません。  多分実際の支援の運用におきましても、保健の場面、福祉の場面、教育の場面、就労 支援の場面、いろんな場面があると思うのですが、やはりその場面場面でその支援の必 要性といいますか、対象するかというのを判断して、支援が行われていくようなことが 想定されるのかなと思っております。そういう意味ではそういう現場でもそういう判断 ができるようなそういう範囲といいますか、提供をお考えいただくというようなこと で、大変難しい注文とは思いますが、次回はまた本日の御意見をまとめて資料を出させ ていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。  栗田座長  一応これで予定しておりました議事は終了したことになりますので、これで閉会とさ せていただきます。どうもありがとうございました。 (問い合わせ先)   厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部     企画課障害認定係 西澤  TEL 03−5253−1111(内3022)  FAX 03−3502−0892