05/01/17 医薬品のリスクの程度の評価と情報提供の内容等に関する専門委員会の 第5回議事録 厚生科学審議会医薬品販売制度改正検討部会     第5回 医薬品のリスクの程度の評価と情報提供の内容等に関する専門委員会      日時 : 平成17年1月17日(月)10:00〜12:00      場所 : 東海大学校友会館 阿蘇の間      出席者: 安部 好弘 委員  井村 伸正 委員           高橋 孝雄 委員  埜中 征哉 委員           望月 眞弓 委員      議題 : 1.医薬品販売制度改正検討部会における議論について           2.医薬品のリスクの程度の評価と情報提供の内容等に関する             作業について           3.リスクの評価について   4.その他 事務局  定刻になりましたので、ただいまから第5回の専門委員会を開催させていただきま す。本年最初の委員会になりますが、先生方、本年もよろしくお願いいたします。  本日検討していただく事項ですが、前回までの本委員会の作業状況を年末に開催され ました販売部会に報告しておりますので、そのとき出されました意見などをご紹介させ ていただきたいと思っております。次に、これまで望月委員を中心に基礎情報の抽出作 業を行っていただきましたが、概ねすべての製品群についてシートが整理されましたの で、その内容をご確認いただき、いろいろな視点からご意見をいただきたいと思ってお ります。そのあと、ワークシートに整理された情報をもとに、今後、リスク評価に関す る検討を行っていくことになりますが、評価方法等に関してご意見をいただければと思 っております。その関係の資料も用意しております。  それでは委員長、よろしくお願いいたします。 埜中委員長  おはようございます。本日はお忙しい中、お集まりいただきましてありがとうござい ます。まず最初に、委員およびオブザーバーの出欠状況と、厚生労働省に人事異動があ ったようですので、その報告をお願いします。 事務局  まず専門委員の出欠状況ですが、荻原委員、林委員、細谷委員、松本委員、溝口委員 から欠席との連絡をいただいております。  オブザーバーの部会委員につきましては、鎌田委員、増山委員は既にお見えですが、 のちほど大山委員、森委員、安田委員がお見えになる予定です。  厚生労働省に人事異動がございまして、1月1日付で総務課長に着任いたしました本 田総務課長をご紹介させていただきます。 本田総務課長  本田でございます。よろしくお願いいたします。 埜中委員長  それでは、さっそく議事に入りたいと思います。  まず最初に、12月22日に部会がありまして、今まで委員会で討議したことを部会に報 告して、そこでいろいろとディスカッションされましたことを事務局から説明していた だきたいと思います。 事務局  資料2をご覧いただきたいと思います。1ページは「第8回医薬品販売制度改正検討 部会で出された意見」というタイトルがついておりますが、部会で出された意見を整理 した資料になっています。  2ページから6ページまでは参考として、第8回部会以前に本委員会で検討された事 項に関して部会の先生方からいただいた意見を整理したもので、これまでもお配りして いる資料です。  7ページ、8ページに別添として「第4回専門委員会における検討の状況」という資 料がありますが、これが販売部会に報告する際に説明に使わせていただいた資料です。 この報告について部会から出された意見が1ページにまとめられているということで す。  1ページに戻ります。部会から出された意見を●で示していますが、次の4点にまと められると思います。  まず1つ目は、長期使用を前提とした薬と対症療法的な使用をする薬とは明確に分け られるのか。長期使用による特別なリスクが考えられるのかどうか。  これに対して専門委員の意見を◇で書いています。一般用医薬品は、基本的に急性の 症状を軽減するために用いるものであって、長期服用しないものが多いが、中にはみず むし薬や栄養補給を目的としたビタミン剤の使用のように、ある程度の期間使用しない と効果が出ないものもある。そのようなものには、長期使用に関する注意が必要なもの もある。  また、通常、急性症状を軽減するために使用するものであっても、患者が常備するこ とで、繰り返し連用されるケースもある。したがって、ワークシートの「G 使用方法 」として抽出した情報が重要であるというコメントをいただきました。  2つ目は、リスクを考えるときに「頻度」がついてまわるので、「頻度」の扱いにつ いて、再度委員会で検討してほしい。頻度が高くなくても重くみるものもあり、「頻度 」なしにはリスク評価はできないのではないか。  これについて専門委員から、部会での意見を踏まえ、添付文書で確認できるものにつ いてワークシートに入れることとし、評価に反映できるようにしたいという答えをして います。  3つ目は、リスク評価に関する作業は、薬理作用に着目した評価を行うとともに、定 量化できないリスクを加味していくと理解しているという発言がありました。  これは物性に着目した部分ではなくて、誤使用など使い方も含めて総合的に考えてい くべきだというご意見だと思います。  4つ目は、リスクの問題は重要な問題であるので、作業は慎重に十分な議論をしなが ら進めてもらいたいというご意見がありました。以上です。 埜中委員長  ありがとうございました。前回、部会に出されたこちらからの報告に対して部会から 今ご説明があったようなご指摘を受けたわけですが、原則的には委員会から出しました ワークシートに沿って仕事を進める、その時に誤使用などの問題を考慮してほしいとい うご意見があって、それに対してお答えしたという経緯だと思います。  これにつきまして何かご意見はございますか。部会の先生方から付け加えることはご ざいませんか。委員会の報告は部会で承認され、これからリスクの評価と情報提供を行 っていくということを了承されたと理解しております。よろしいでしょうか。  それでは次の検討項目に移りたいと思います。ワークシートを整理する作業を行って きたわけですが、これを作成していただいたのは望月委員ですので、望月委員から説明 していただきましょうか。 望月委員  ひと通り作業を終えましたが、私どものほうで判断した事項で不十分な点もあるかと 思いますので、報告させていただいて、ご意見をいただきたいと思います。  公衆衛生用薬と一般検査薬、口臭の除去薬は今回は作業対象にしておりません。生薬 関係の成分、漢方薬、新医薬部外品に移行したものに関しても対象になっておりませ ん。  今まで既に報告させていただいたもの以外の部分で今回作業を進めたものに関して、 いくつか先生方のご意見を伺いたい点がありますので、説明させていただきます。  まず資料4−21、製品群No.27と書いてある含嗽薬という区分ですが、これをご覧い ただきたいと思います。これはうがい薬ということになるんですが、医療用でうがい薬 というのがありませんで、実際にはトローチを代用として用いているものがいくつかあ ります。トローチですので副作用としては似たようなものが生じると思うんですが、 「過量使用・誤使用のおそれ」のところはトローチとしての注意事項をそのまま書いて あります。トローチとしての注意事項だよという但し書きはしてありますが、このワー クシートを使ってリスクの評価をする時に、ただ単にそこに記述があるなしで評価をし ていただきたくない部分がここに一つあります。  次に資料4−23、製品群No.30ですが、外用痔疾用薬です。これは塗るタイプの軟膏 型と坐薬があります。痔疾用薬として医療用になかった場合、軟膏を使うか、あるいは 全身吸収されるという前提で内服薬を使うか判断に悩んだところなんですが、内服薬が ある場合は坐薬として投与した時に吸収される可能性もあるだろうから、吸収された時 の副作用について評価をしておいたほうがいいだろうという意味で内服薬を使用してい ます。その点、ご留意いただきたいと思います。  次は資料4−24、製品群No.32〜42、ビタミン主薬製剤です。ビタミンA、B1、 B2、B6、B12という分類の中で様々な一般名のものが存在しますが、その中の代表 的なものだけを使っていますので、ビタミンB1だったら塩酸チアミンという形で、一 つだけ取り上げています。その点、ご注意いただきたいと思います。  次は資料4−33、製品群No.54、殺菌消毒薬です。殺菌消毒薬の場合は様々な濃度で 使用されます。使用する瘡面によって濃度を変えなければなりません。医療用医薬品と しては高濃度のものを取り上げて情報を整理しています。右から2つ目に「用法・用量 」という欄がありますが、一番上のアクリノールの場合は0.05〜0.2%に希釈して使用 すると書かれています。  資料4−36、製品群No.57、鎮痛・鎮痒・収れん・消炎薬です。痛みに対して塗るタ イプ、ソリューションの外用液のタイプ、貼付薬のタイプなどいろいろありますので、 同じ成分であっても、それぞれの剤型別に情報を整理してあります。  資料4−40、製品群No.62〜67、眼科用薬です。一般用医薬品に配合されている成分 が医療用では眼科用としてない場合が多くありまして、こういう使い方はしてはいけな いとは思ったんですが、あまりにもない場合は経口剤を使って代用しているものがあり ます。そういうものについては、左から3つ目の欄に商品名が書いてありますが、そこ に経口剤を使ったということを明記しておりますので、評価にあたっては、その点を考 慮していただいた上で、この情報を取り扱っていただきたいと思います。  以上、今回の作業で、こちらで判断をした部分も含めて説明させていただきました が、先生方のご意見も含めてお聞きしたいのは、外用の痔疾薬に関して医療用がなかっ た場合、坐薬として使って吸収された時のことを評価できるのではないかということで 経口のものを用いたという点と、眼科用薬で経口剤を用いている点です。これはあまり 適切ではないかもしれないと思っていますので、先生方にご意見をいただいて、修正を 加えるべきであれば修正させていただきたいと思います。以上です。 埜中委員長  ありがとうございました。前回に比べますと非常にたくさんの項目についてワークシ ートを作っていただきましたが、個々の質問に入る前に、ただいまの説明について何か ご意見がありましたら伺いたいと思います。  最初にあげた85項目はほとんど網羅して、終わったということですね。 望月委員  資料3の2ページ、公衆衛生用薬の81、82、一般用検査薬の83、84、85、このあたり は今回は対象にしておりません。各薬物群の中に生薬成分が入っている場合がけっこう あるんですが、生薬成分については対象にしておりません。漢方薬についても対象にい たしませんでした。 事務局  資料4のワークシートと資料3の関係を説明させていただきます。資料3をご覧いた だきますと、真ん中にナンバーが1から85までありますが、この番号がワークシートの 製品群のナンバーとなっています。対象としてないものだけ紹介させていただきます。  1ページの7番、小児鎮静薬は生薬からなる製剤ということで、ワークシートの中で は取り上げておりません。  消化器官用薬の20番、その他の消化器官はいろいろなものが入っていますので、個別 に見ていかなければならないと思います。  21番、22番も生薬からなる製剤ですので、対象外ということで、今後、生薬という切 り口で検討していくことになるかと思います。25番、28番、31番もその他ですので対象 外になります。  2ページにいきまして、46、47は生薬から構成されていますので、のちほど生薬とい う切り口で整理することになります。48番もその他になります。  その他でも51番と53番については、それぞれワークシートの中で4−30、4−32とい う形で整理されています。  61番、68番、72番、76番がその他になります。78、79は漢方、80は生薬ということ で、このあたりはまとめてということになります。その下は望月委員から紹介していた だいたとおりだと思います。  この番号の中で一つの群としてくくっている部分もあります。先ほどご紹介のあった ビタミン剤のようなものは32から42までまとめて、ワークシートでは4−24として整理 されています。そういった観点で整理しますと、いま申し上げた以外のものは除いて、 全部が本日のワークシートとして整理されているということになります。 埜中委員長  望月委員から提案された件ですが、坐薬の時は内用薬として同じようにしていいかど うかということについては、いかがでしょうか。小児科の場合は坐薬を入れるとすぐに 血中濃度が上がって、内服薬と同じですよね。 高橋委員  血中濃度が高くなった場合に出やすい副作用がある場合は注意したほうがいいと思い ます。点眼は逆ですよね。治験のような場合、血中にわずかながら吸収されるけど、副 作用の点では問題にならないことが多い。副作用を考慮する場合には共通でいいと思う んですが、血中濃度の点において坐薬は早く高くなる、点眼の場合は低いながらも血中 に吸収される場合があるという2点を考慮したほうがいいかもしれません。 埜中委員長  坐薬の場合は内服薬より血中濃度が上がるので副作用が強く出る可能性があるけど、 眼科のほうは吸収がほとんどないので、そこは考慮したほうがいいということです。そ れに沿ってワークシートで検討していきたいと思います。  これだけ膨大なワークシートを作っていただきましたが、これについて何かご意見は ございませんでしょうか。これで化学物質順に検討していくことになりますが、何かご ざいませんか。望月先生、先ほどお話しいただいた以外に、小さな製品で、ここはちょ っと困ったということはないですか。 望月委員  先ほどお話ししたことと重なるんですが、外用剤関係になりますと、その製品の剤型 と一致する医薬品がない場合が多いものですから、なんとかこじつけで、外用痔疾の場 合は経口剤の添付文書を用いて情報を整理したところがかなりあります。とりわけ外用 薬に関して使用方法のGの情報のところで、専門家の先生方がリスク分類にこの情報を 使う時に、そのあたりの点にご留意いただければと思います。先ほどのトローチなどで も実際には外瘡剤なんだけど、トローチの情報を用いていますので、口の中で徐々に溶 かしてくださいというものも取り上げてあります。そのあたりをご注意いただきながら お使いいただければと思っています。  もう1点は、昨年末に、ある医薬品で自動車事故を起こすという報告がありました関 係で、一般の方が過敏になっているところがあります。眠気を催すとか、目の障害が起 こる場合、車の運転等に注意するという情報に関しては、C′の「重篤ではないが注意 すべき副作用のおそれ」の中の薬理・毒性に基づくものの最後のほうに入れる形で整理 をしています。  例えば4−1のかぜ薬(内用)の3/6ページの一番上が塩酸ジフェンヒドラミンと いう抗ヒスタミン薬ですが、この場合、C′の薬理・毒性に基づくものの一番最後に 「自動車の運転等危険を伴う機械の操作」とあります。「C′重篤ではないが注意すべ き副作用のおそれ」の中にそれを整理してありますので、リスクの評価をする時にそこ も注意して見ていただいたほうがよろしいのではないかと思います。 埜中委員長  これから具体的な作業を進めていくわけですが、このワークシートについてご質問、 ご意見はございませんでしょうか。よろしいですか。  それでは、今日はリスクの評価方法を議論していただきたいということで資料5を用 意していただいておりますので、事務局から説明をお願いします。 事務局  資料5「リスクの評価方法を議論するための論点(案)」をご覧ください。これから リスク評価を行っていく上で方法論を議論する必要がありますが、これまで部会や本委 員会でまとめました意見も含めて解決していく点がいくつかあろうと思いまして、8つ の論点を掲げております。  まず論点1ですが、評価にあたり重要なファクターとして、B、C、Eという3つの 項目がありました。そういったものとして抽出された情報について、一般用医薬品の販 売に置き換えた場合に、その全てを重要なものとして評価に用いるのか。それとも、そ の中の特に販売時又は使用時に留意すべきものを厳選して、評価に用いるのか。  ワークシートをご覧いただきますと、医療用医薬品の添付文書からいろいろな情報を 抽出していますが、各欄に書いてある情報のすべてを捉えるのか、あるいは、その中で 特に際立ったものを厳選して、評価の際に重要視して考えていくのかということです。  論点2、各成分の特性(物性)に着目した評価を、「B」、「C」、「E」をもとに 行ったうえで、誤使用や過量使用等のおそれを前提とした評価として「G 使用方法」 に関する情報をどのように加味するか。B、C、E、Gを同列で取り扱うのか、あるい はB、C、Eという評価を行ったうえで、2次元的な評価としてGを加えていくのかと いうことです。  論点3、数値化による評価を行うことは可能かということで、次の3つの例を示して います。  例1は、AからHまでの項目を単純に数値により差別化し、それらの数値の和又は積 で比較する。  例2は、AからHまでの項目のうち、特に重要視すべき項目を選定し、各項目の情報 に基づいて、その中身を2段階、3段階、5段階などにスコア化し、その和または積で 比較する。  例3は、AからHまでの項目のうち特に重要視すべき項目を選定し、情報の有無をス コア化し、その組み合わせで比較する。  そのほか理論上の方法は多々ありますが、ほかの方法も含めて数値化による評価を行 うことは可能かということに関する論点です。  論点4、頻度に関する情報をどのように考慮するか。  添付文書における「重大な副作用」欄が頻度を加味した取り扱いとなっているという 考え方を活用できるかどうか。  添付文書の「重大な副作用」欄においては頻度等を加味した形で副作用を捉えてお り、個々の副作用の重篤性とは別の取り扱いになっていますので、そのあたりを使える かどうかということです。そのほか頻度に関する情報をどのように考慮するかという総 論的な議論も必要だと思っています。  論点5、頻度が低い等の理由により、添付文書上「重大な副作用」とされていないケ ースがありまして、そういうものはワークシート上「C′重篤ではないが注意すべき副 作用のおそれ」の欄に情報が抽出されていますが、それらの情報のうち、どのような情 報を特に評価にあたって考慮する必要があるかということです。  論点6は、使用量の違い等に起因する情報量の格差を是正するため、一般用医薬品と して販売されているものであることを念頭に置いて、同等なものとして取り扱うことが できる成分をグルーピングする必要があるのではないか。  グルーピングは、薬理作用や化学構造式等に基づくほか、どのような点を考慮する必 要があるか。  論点7、リスク評価にあたっては、あらかじめ一般用医薬品を販売する際に提供する 必要がある情報か否かという視点で行う必要があるか。  論点8、一般用医薬品の添付文書には、消費者自らが使用することを想定して、医療 用医薬品の添付文書には記載されていない情報が記載されている場合がある。リスク評 価を行うにあたり、そのような情報をどのように取り扱うか。  これ以外にも作業をしていく上で先生方がお考えのことがあるかと思いますので、い ろいろご議論いただければと思います。以上です。 埜中委員長  ありがとうございました。  それでは、一つずつ検討していきたいと思います。論点1は、医療用医薬品の添付文 書に副作用がいっぱい書いてありますが、すべてを重要なものとして評価に用いるかど うかということですね。医薬品でも特殊なものもいっぱいあって、取捨選択せざるをえ ないだろうと思うんですが、いかがでしょうか。例えばアスピリンですと、B、C、E の中に恐ろしい副作用がいっぱい書いてありますが、実際にはそれほど問題になりませ んので、特に起こりうるものを重点的にあげればいいのではないかと思います。実際に はそうせざるをえないですよね。非常に稀なものもあるわけで、それをいちいち取り上 げて評価に用いるというのは作業を進める上でスムーズにいかないのではないかと思い ますが、いかがですか。 高橋委員  重大な副作用というのは大変重要なものだと思うんですが、その中のほとんどにアナ フィラキシーとかショックとか顔を見せていますよね。ほとんどの薬剤において顔を見 せる副作用についてはよけておいて、それぞれの薬剤に特異的な副作用の記載が入って いると思うんですが、その点についてまず情報提供の必要性、重要性を検討すればいい かなという気がします。 安部委員  以前から議論があったように、B、C、Eはそれぞれ重要なリスクファクターである というのは間違いないと思うんですが、それを全部一緒に考えることはできないと思う んですね。BとEは併用禁忌、適応禁忌ですので、販売方法とか事前の確認があれば、 その有害作用が起きることが予測でき、予防できるリスクかと思いますが、重得な副作 用で稀なものというのは、どんなに注意をしても、医療用医薬品の場合は医師が判断し て薬剤師が調剤をしても有害作用は起こる時には起きてしまう。その対策としては、起 きた時に早く気づくような情報提供をするということしかないわけです。  それぞれの性質が違いながらもとても重要だと思いますので、販売時または使用時に 留意すべきものを厳選する前に、情報があるかどうかについて一定の評価をして、抜い ていいかどうかという評価を慎重にする。抜くんだったら、その根拠をきちんとして抜 くことが必要になるかと思います。 井村委員  安部委員に質問したいんですが、抜くということは、情報を提供することを考えた時 に、提供する情報としては抜くという意味ですか。 安部委員  抜く理由はいろいろあると思うんですが、一般用医薬品ではここまでの量は使わない だろうから必要ないだろうとか、用量依存的に起きるようなものは、用量が少ないか ら、ここまでは情報提供は必要ないかもしれない。これは一例でして、どれの時にどう だということはないんですが。ほとんどの薬で起きるアナフィラキシーショックという ものを入れてしまうと、すべて危ない薬になってしまう。その評価の時に除外するかど うかという評価が必要になってくるかなという気がします。 埜中委員長  「C 重篤な副作用のおそれ」というのはすべての項目にわたって慎重に検討しなく てはいけないと思いますし、併用禁忌というのは、稀な場合には点数を低く考えるとい うことになると思うんですね。いずれにしてもB、C、Eというものを見て、その中で 重篤な副作用については重点的に考慮して、ある程度評価をしていくということになる と思います。それでよろしいですか。 事務局  先ほど高橋委員が言われた特異的なものに着目するというのが論点1に当てはまるん ですが、各成分ごとにワークシートで整理している情報というのは、副作用の種類、数 でいうと一つ二つ記載があったりなかったりというのが出てきます。そうすると全部の ものが違う個別のものという形になってしまうので、どれを特異なものとして捉えるか ということを見極める必要があるというご意見でしょうか。 高橋委員  副作用の種類を類型化するというか、同じ種類の副作用でくくって、あるところで数 値化する必要が出てくると思いますので、そういうことだと思います。 望月委員  B、C、Eに関して先ほど安部委員がおっしゃったことに関連するんですが、「C  重篤な副作用のおそれ」というところで、薬理・毒性に基づくものと考えられるものに ついては、物としてのリスクを一番反映しているところではないかと思うんですね。  BとEに関しては、安部委員がおっしゃったように、BとEの対象となる人たちに何 らかの情報提供をすることによって除外できれば、そのリスクはかなり低くすることが できますので、BとEはCのように物としてのリスクを直接的には反映していない。た だし、BとEの対象になる患者さんにこういう薬物を使った時にはリスクがかなり高く なる。そういう薬理・毒性に関連する面をもっているという意味で、B、Eもリスクを 評価する上では重要な部分だと思います。  物そのもののリスクとしてはCが一番反映しているんだけど、どんな情報を提供でき るかという仕組みのところは別にして、薬としての物のリスクを評価する時には、Cが 最優先で、次いでB、Eを評価しておくべきだと思っています。  荻原委員が、使用頻度によって報告数が違ってくるから、ここに書かれていない情報 もあるだろうと言われました。ということは、同じ薬理作用があり、同じような毒性を もっているものを類型化することが必要になるだろう。Cに書いてある書いてないとい うことだけではなくて、それと同じような薬理作用のある薬物群を類型化して評価をし ておいてもいいだろう。  その時に、BとEは若干個別になる部分があるんですね。Bの部分は薬物代謝酵素が 何で代謝されるかが反映されるケースがあります。それはH2受容体拮抗薬などのとこ ろで特徴的に出てくるんですが、ここは類型化できない部分も出てくるかもしれませ ん。  あとの話になるんですが、ある薬物群としてどうまとめて評価をするかということを 考えていく時に、そこまで個別化する必要があるかどうかは議論して、まとめてしまっ てもいい。そこに一つ情報があっても、BとCとEを総合的に判断して、この薬物は右 寄りなのか左寄りなのかという意味で影響がそれほど出なければ、そこはあってもなく てもいいという形になるのではないかと思います。 埜中委員長  貴重なご意見をいただきました。論点1についてはCを一番重要視するけど、眠気が 強くなって運転をして事故になるとか、そういう薬特有の副作用もあるので、C′も注 視すべきである。ここに書いてなくても、アスピリンに類したものなど同じような薬で あれば同じような副作用があるかもしれないので、頻度は書いてなくても重要視してい く。BとEについては情報提供をしっかりするように検討する。そのようなことで論点 1は進めさせていただくことになると思いますが、それでよろしいですか。 井村委員  どんな情報を提供すべきかということを抜きにして、最初に物で分けるというご意見 を伺ったのではないかと思います。 埜中委員長  B、Eの情報提供のところは評価には入れないということですね。 井村委員  先生はアナフィラキシー等々に言及されましたが、薬理作用が同じようなものであれ ば、薬理・毒性に基づくものという項目に何も書いてない場合があっても…。そういう 意味ですね。 埜中委員長  そういう意味です。それでは、論点1はそういうことで進めさせていただきます。  論点2ですが、これも前から専門委員や部会委員からご指摘があって、誤使用のおそ れというのを評価の時にどこまで加味するかという問題がありました。この委員会で は、評価の点数に入れるかどうかは別として、「G 使用方法」を重要視して一緒に検 討していこうとことでまとまっていましたが、これについていかがでしょうか。これは B、C、Eとは同列で扱わないということで委員会ではまとまっていたと思うんですけ どね。ただ、討論の時には十分に考慮して一緒にやるということだったと思うんです が、それでよろしいですね。 井村委員  2次元的というのはそういう意味ですか。 埜中委員長  「2次元的な評価とするか」というのは、論点1の評価の中には入れないけど、検討 するという意味でしたよね。 事務局  資料5の言葉が不適切だったかもしれませんが、2段構えでという意味合いです。 B、C、Eというもので評価がなされて、その後にGを加えますと、2次元のマトリッ クスのような形での組み合わせができあがっていく。そんなイメージの2次元という意 味で、2段階ということになるかと思います。 望月委員  今の点に関して、作業をしていて感じた点があるんですが、みずむしの薬だったと思 います。リスクは比較的少なく、重篤な副作用のB、C、Eに相当する部分があまり出 てこない薬物群なんですが、びらんのひどい状態に使うとかえって増悪してしまうと か、適応を間違えて、本当のみずむしじゃないのに使ってしまうと悪化する。みずむし 用薬というのは長く使われるケースがありますので、GとかFに関連する情報を少し加 味しなくてはいけない。B、C、Eだけでリスクを評価してしまうと、実際に使用の場 でセルフメディケーションで使う時に独特に生じるリスクを評価しそびれる可能性があ るかなと作業をしていて思いました。  2次元的というのをどういう形で加味するのか。掛け算にするのか、累乗みたいな形 にしていくのかわかりませんが、そういった形の方策をとっていただくことで、FとG のところで、どうしてもこれは評価を高めにしたいという薬物が出てきた場合、よろし いのではないかと思いました。 埜中委員長  みずむし・たむし用薬を眼科用として角膜、結膜に使用すると大変なことになってし まう。そういうようなことですね。その薬品を正しく使用した時の危険度を評価するこ とがこの委員会の目的ですが、その薬品の成分そのものよりもっと危険度が高いという ことであれば検討するということでいいですよね。今からこれをどういうふうに入れて いくかというのは難しいと思うので、具体例があった時に皆さん方で検討することにし たいと思います。それでよろしいですか。  それでは次に論点3、数値化による評価を行うことは可能か。数値化はしないという ことなんですが、評価となるとランクづけということが避けられない。点数をつけて、 掛け算をしたり足したりするというのは不可能だと思うんですが、ランクづけをどうす るか。事務局から例1、例2、例3というのを出していただいたんですが、どのように して評価していきましょうか。何かご意見はございますか。 事務局  念のために申し上げておきますが、例1、例2、例3は事務局のお勧めということで はなくて、議論が活発になればいいと思いまして掲げただけですので、どういう方法が あるかということもご議論いただければと思います。 埜中委員長  B、C、Eを見て、危険度が高いもの、それほど高くないもの、安全なものと3段階 に分けるという方法もあると思います。その中でグループ化して、A群の中で評価をし て、そこからランクをつけていくという方法もあると思います。実際にはそういう方法 でしか評価はできないんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。 安部委員  評価については、どれだけの時間をかけられるかにもよると思うんですが、一つの薬 品を評価するにも大変な時間とコストがかかります。事務局から例1、例2、例3を提 示していただきましたが、一つ一つを1段階から5段階まで分けるというのは、段階に 分けるための理屈づけが必要ですので、それは短時間の作業の中では難しいのかなと思 います。B、C、EにC′を入れてもよろしいですし、その情報があるかないかを整理 して、整理できないところがあれば、その段階で考えるのかなというイメージがあるん ですが、催奇形成の評価のように時期と薬品の掛け算をして点数化するというのは一般 薬の中では今の段階では難しいのではないかという気がします。 埜中委員長  これからの評価の方法ですが、作業部会のようなものを作って、みんなで集まって検 討して、ここにかけるのか、あるいは一つ一つここの公開の場でやっていくのか、事務 局として何かお考えはありますか。 事務局  この委員会自体がワーキンググループのような形で、それを公開でやってきたわけで すので、基本的にはこの場でご意見をいただいて、それを整理していく形になると思い ます。委員会を開催するまでの間に先生方のお考えをいただいて、それを事務局で整理 して、それを委員会に紹介させていただくことになるかと思います。 埜中委員長  あらかじめ先生方の意見を聞いて、試案のようなものは作ったとしても、基本的には ここでやるということだそうです。 増山部会委員  今までの議論の中で、リスク段階に応じてA、B、Cというグループを作るという話 も出ていたと思うんですね。リスク評価をするためには数値化というか、リスクが大き いか小さいかというのを何らかの形で表せるようにしないといけないと思うんですが、 これだけたくさんの医薬品を並べていくのは難しい。今まで何回か議論にのぼりました けど、AグループとかBグループとか、リスクの強さに応じてグループに分けるという のを最後にやるというイメージでいいんでしょうか。それとも、例えば100あったら、 ワーッと並べてみるということをまず目指すんでしょうか。 埜中委員長  かぜ薬のアスピリンはリスクとしてはA群に入れるとか、それぞれ割り振っていく。 何段階に分けるかというのは皆さんのご意見を聞かなくてはいけないと思うんですが、 A群、B群、C群と3つぐらいに分けるか、あるいは4つに分けて検討していくつもり にはしています。 増山部会委員  B、C、Eというリスク評価の項目に、こういうことに気をつけなくてはいけないと いうことが載っているわけですが、最終的にはそれが情報提供のあり方に結びついてい くようなリスク評価にならなければいけないと思うんですね。Aはよく使われる薬で、 誤使用があった場合、すごく問題になるとか、薬理作用というか、薬そのもので評価し てきたものに、一般用医薬品として使うことを想定したリスク区分で3つとか4つに分 かれていくんだろうなというイメージですね。  先ほどいろいろ議論が出ていて、例えばCの場合、頻度が違うとか、すごく稀なケー スでしか使用されないという評価についていろいろ議論がありましたけど、最後に集約 する時に、消費者が使うということを前提に個別にそこは見るだけで、ちょっとの差で AかBに分かれるものではないのかなと思ってるんです。  大きな副作用はないけど、3つも4つも気をつけなければならない薬もあるわけで す。保管の仕方に気をつけないものもあるかもしれないし、誤使用に気をつけなければ いけない薬もあると思うんですね。ちょっとの差でランクが変わるようなことはないと 思うんですが、とりあえず並べてから、いくつかに分けるというイメージでよろしいん でしょうか。あまりにも漠然としていて、わからなかったんですが。 高橋委員  増山委員の気持ちはよくわかるんですが、それがうまく表現できないというのは皆さ ん同じだと思うんですね。やりたいことは漠然とわかってるんだけど、どう数値化した らいいのかわからない。リスク分類をする時に、最終的には情報提供にどう役立てるか ということを考えなくてはいけない。ここではできないにしても、そういう時に役立つ ようなリスク分類をしないと、結局は役に立たなくなるということですね。  リスク分類をする時に1から100点満点のリスクがあって、80点の薬と60点の薬では80 点のほうが怖い薬なんだろうという情報というのはあまり意味がないと思うんですね。 どう気をつけなくてはいけないのかがわからないと、点数が高くても意味がない。ある いは、どういう人が気をつけなければいけないのか。80点でも、ある人にとっては気を つけなくてはいけないけど、ある人にとっては安全な薬かもしれないので、単純な数値 化はあまり意味がないと思うんですね。まずB、C、Eについて個別に評価をして、G に含まれる項目を評価していくというのが一つの解決策になるのではないかと思いま す。  私どもは研究室で実験をしますが、研究室のリスク分類というのがあります。放射線 を使っているかとか、危険な化学物質を扱っているとか、危険な細菌を扱っていると か、いずれも気をつけなければいけないことですが、放射線を使っている研究室に出入 りする場合と危険な生物を使っている研究室に出入りする場合では心構えが違う。それ は別の種類のリスクに対する対応なんですね。  ワークシートのB、C、Eというのは、よく注意して、誰がどういうふうに使うのか を考えれば予防可能なものと、薬剤そのものが持っていて、たくさん飲めば必ず起こる 副作用に分けられると思うんですね。そういう意味で、B、C、Eとその他に分けてリ スクを考えていくというのは一つの答えになっているのではないかと思います。 増山部会委員  私が申し上げたかったのはそういうことです。最終的なイメージとしては、A、B、 C、Dとあって、Aがリスクが一番強いというグループ分けになった時に、Aは必ずO TCで売ってほしいとか、必ず薬剤師さんなり医薬品のことをよくわかった人が説明を する。Bであれば添付文書で十分説明してもらうとか、何段階かに分けることによっ て、どこに一番気をつけなくてはいけないかというのを、服用する側がそれを目安に判 断できるというか、それが基準になるようなリスク評価になればなというのが私の考え 方です。 埜中委員長  作業を進める上で、まずB、C、Eというもので分類しますね。それから誤使用のと ころを評価して、それが非常に高くて、誤使用のほうで危険であれば、総合的な危険度 が高くなっていくとか、リスクを高くするとか、最終的にはいろんなことを加味したも のが評価になっていくと思います。検討しているうちに、副作用が大きいものであれば 情報提供をしたらいいのではないかとか、そういう意見も出てくると思うんですね。そ ういう形でやらせていただきたいということですが、よろしいでしょうか。 増山部会委員  現在の制度にのっとってリスクをどう見るかという評価されていると思うんですが、 ちょっとシステムが変わることによってリスクが軽減化できるものもあると思うんです ね。今は箱を開かないと添付文書が見られないんですが、インターネットで検索すると 添付文書が見られるようになっているとか、薬そのもののリスク評価の程度を外箱に表 記できないかとか、具体的にはそのようなことです。また、副作用に対する対応策とい うか、この企業の中でこうなればもうちょっとリスクは軽減できるのにということがあ りましたら、評価にプラスアルファして、こういうことは改善できないかという意見を 添えていただけたらなと思います。 埜中委員長  リスク評価の時に、そういうことも考慮したいと思います。  スコア化ということですが、どうしますかね。何段階かというのは、やってみないと わからないですね。B、C、Eでやるとすると、3段階ぐらいにラフに分けたほうがい いですか。 望月委員  今の段階では発想が浮かばないのですが、先ほどからの議論ですと、大多数の先生方 が、まず物としてのリスクを評価して、プラス情報提供のあるべき姿のところで、必要 なものを加味した時のリスクを評価するという2段階の評価を考えておられるようで す。第1段階ではどの程度細かくするかというのがあるんですが、あまり細かく細分化 する必要はないのではないか。3段階か4段階にして、誤使用などの情報も含めて評価 をした時に細かくなる部分が出てくるかもしれないんですが、その程度でよろしいので はないかと思います。  先ほど安部委員がリスクを下げるという話をされたと思うんですが、同じ成分が入っ ている薬物であっても、長期使用を避けるために、3回分だけのパッケージにすると か、それによってリスクを軽減できる部分もあるかもしれないので、今回、区分をして いく時に、そこを考慮してもいいのではないかと思います。 埜中委員長  あまり細かく分けてもどうかというお話がありましたので、最初は3段階ぐらいで、 リスクの高いもの、それほどでないもの、リスクのないものぐらいに分けてやってみ て、もう少し詳しくやったほうがいいということになったら4段階にするというプロセ スでやってみましょうか。 高橋委員  記載がないというのはリスクがないという扱いになるんですか。記載があってリスク があるものを1、2、3とした場合、記載なしを入れると4段階になると思うんです。 埜中委員長  それでもいいですね。記載があるものでは、リスクが非常に高いもの、リスクのある もの、リスクのないもの、それから記載のないものという4つに分けて検討する。誤使 用のファクターも考慮してほしいという意見が強かったので、それも加味しなくてはい けないと思います。誤使用では危険がある、なしで分けるぐらいでよいですか。3段階 でもいいですけど、どうですか。 高橋委員  「G 使用方法」で問題になるのは過量投与か長期投与かどちらかですよね。1カ月 と3カ月ではリスクも違うと思うんですが、分類ということからいうと長く使いやすい 薬ですよね。連用しがちな薬とか、思わずたくさん飲んでしまうとか、子ども用のシロ ップなどは子どもが開けられるような包装にすると、甘くておいしいシロップなので過 量に飲んでしまう危険があります。細かく分けていくといろんなことがありますけど、 結局は長期、過量の2つに集約されるような気もします。 望月委員  長期と過量で整理できる部分があるんですが、資料4−1のかぜ薬に関して、かぜ以 外のもっと重篤な感染症があって発熱していて、かぜだろうと思って使った場合、その 感染症を不顕性化しまうとか、効能効果に関連する「症状の悪化につながるおそれ」と か、「適応対象の症状の判断に注意を要する」という項目がある製品群があります。そ んなにたくさんないんですが、先ほどのみずむしもここに関連する部分が出てくる薬物 群なんですね。ここに関しては単純に「ある」「なし」だけで整理できない部分もある ので、そこは考慮していただきたいと思います。  先ほどから誤使用ということでGばかりになってしまうんですが、Fの部分もあわせ て評価をしていただいて、Gのところは「ある」「なし」、Fのところも「ある」「な し」で評価していくと、両方評価できるかなと思います。 埜中委員長  それではGとFは「ある」「なし」の2段階評価をしていく。リスクのほうは3段階 評価で作業を進めるということでよろしいですね。  次の論点4は頻度に関することですが、頻度というのはわかりにくいてすね。添付文 書には市販後調査とか治験の時の何%というのが書いてありますが、実際には難しいと 思います。高いものはわかるんですが、どういうふうに扱っていくか。何かご意見はご ざいますか。 井村委員  論点4のところに「重大な副作用」欄が頻度を加味した取り扱いとなっているという 言葉がありますが、これを説明していただきたいと思います。 事務局  添付文書上の区分では重大な副作用とその他の副作用という2段構えになっていまし て、重大という欄に記載するものはどういうものかというと、頻度が低くても重篤なも のが含まれているケースもありますし、一定以上の頻度があって、重篤度はないにして も相応の頻度があるようなものを重大なものとして書かれてくることもあります。一概 に重篤か否かというだけの切り口ではなくて、頻度も考慮に入れた上で、重大かどうか というところで取り扱っているものが重大な副作用の欄に書かれてくるということにな るかと思います。あらかじめ重大な副作用の欄に記載があるということは、情報の種類 によっては頻度も加味した上で重大な副作用の記載欄に記載させているケースがあるの で、それをうまく使えないかという意味です。 埜中委員長  医療用の添付文書で重大な副作用と書いてあって、例えば間質性肺炎が現れることが あると書いてありますよね。そういう重大な副作用を加える時には何人かの患者さんが 出ていて、必ず因果関係があって、注意を喚起したほうがいいというものが添付文書に 書かれるわけです。非常にたくさん出たから添付文書に書くこともあるし、わずか5例 か6例かもしれないけど、死に至るような非常に重篤なものが出た場合にも書くことが ある。重大な副作用という添付文書を見ただけでは頻度はわからないのです。  論点4で「重大な副作用」というのが出てきたんですが、頻度をどのように扱うかと いうのが問題なんですよ。それはなかなか難しいことだと思うんですが、頻度がわかれ ば評価の指標にはなると思います。 井村委員  ここの議論を部会に持ち込んだ時に、部会の委員の方々がどういう反応をするかとい うことを考えながら伺ってたもんですから。頻度を加味しなければリスクは考えられな いんじゃないかという強い意見が、このあいだも出ましたので、それに対する説明を考 えなくてはいけないわけです。重篤な副作用というのを重くみた時には、その中には頻 度というものもファクターとしては入ってるんですよということですよね。そういう説 明をすればいい。 埜中委員長  頻度も入っていますが、少ない頻度の場合は重篤である。重篤でなくても頻度が高い 場合は重大な副作用に入ってきます。 井村委員  そういう主張をなさる方々というのは、頻度を数値として、重篤度と頻度を掛け合わ せてリスクをという議論が一番最初にあったもんですから、そういう格好でリスクを考 えながらリスク、リスクとおっしゃってるんだろうと思うんです。それは到底できない ことなら、できないという説明をしなくてはいけない。そういうことです。 埜中委員長  どうしても頻度が知りたいとなると、製薬会社に聞けば、販売数と副作用報告という のが出てきていますので、ある程度の頻度は出すことができると思います。頻度という ことを強く考えなくてはいけない時には可能なものもありますよね。 事務局  先ほど論点3をご議論いただいた時に、特にCをとらえる時に何段階かに分けて評価 をするということだったと思いますが、その中で上位にあたるものが頻度も加味して上 位の評価がなされたものという扱いがされるのかなと思いました。ワークシートの中に 頻度が数値で書いてあるものがあれば、何段階かに分けた中の上位にあたるものを付す 時に参考になる情報として使えるのではないかと思いますので、頻度がわかっているも のであれば、論点3で議論したような内容の中で使えるものとして考慮していけるので はないかと感じました。 安部委員  医療用の添付文書における「重大な副作用」欄が頻度を加味した取扱いとなっている ということなんですが、抗ヒスタミン剤は眠気というものが頻度が高く起きるはずなの に、それは「重大な副作用」の中には入ってないように思えるんですね。ある一定の副 作用の重篤さと頻度の掛け算で重大な副作用という分類に入れるとすれば、その基準を 教えていただければ考えやすいと思うんです。医療用では掛け算なり足し算なりの計算 式によって重大なところに入れるんだ、もしくは重大ではないけど注意すべきところに 入れるんだということがわかると、頻度をどういうふうに加味するかというのも考えや すくなると思うんです。 事務局  個別の品目の添付文書を作っていく時に、その情報が重大がどうかというのはなかな か分けられないと思いますので、一律には難しいと思います。言葉足らずだったかもし れませんが、重大な副作用の情報のすべてが頻度も加味したものかというと、そうでは なくて、頻度も加味した情報も書いてあり、その製剤を使う時に重大と思われる情報も 頻度とは関係なく入ってきていますので、そういったものもあるということで、説明を 訂正させていただきたいと思います。 埜中委員長  残り時間が少なくなってきましたので、次にいきたいと思います。論点5ですが、望 月委員も強調されましたように、C′というのは重要な項目であるということですし、 先ほどから考慮して検討しようということになっていますので、これはよろしいです ね。 望月委員  かぜ薬の中の解熱鎮痛成分というのをざっと見ていただきますと、「重篤な副作用の おそれ」のところは肝障害とか喘息発作の誘発というのがずっと書かれてまして、次の ページのイブフロフェンで初めて消化性潰瘍、胃腸出血、潰瘍性大腸炎というのが出て きます。かぜ薬を長期にわたって使うことはないんですが、解熱鎮痛薬の場合は鎮痛と いう意味で長期に使う場合があるんですね。その場合には消化性潰瘍の発現するリスク というのはイブプロフェンのところでないと評価できないんですね。  C′のところを見ていきますと、それぞれの薬物群で、アセトアミノフェン以外は胃 痛とか消化官出血も出ているものもありますし、C′消化性潰瘍につながるところが評 価できるところもあるんですね。C′で評価をして、リスクの区分として反映しなけれ ばいけないものとしては、こういうものが該当するのではないかと思います。  アスピリン、イソプロピルアンチピリン、イブプロフェン等々を類型化してしまう と、イブプロフェンのところでそれが引っかかってくる形になるんですが、個別にやっ ていった場合には、そのあたりのことをC′で評価しなければいけないというのが出て くると思います。  先ほど安部委員がおっしゃった眠気に関してなんですが、眠気というのはリスクとし てはどの程度になるのか。消化性潰瘍までいってしまうようなリスクと眠気というリス クではレベルがかなり違う。眠気をリスクとして強く評価しなければならないのは、自 動車の運転等の操作のところにつながる場合だと思うんですね。それはC′のところに 書いてありますので、それもC′で評価していただければと思います。 埜中委員長  論点5について、ほかに何かご意見はございませんか。いま望月委員がおっしゃった ようにC′というのは非常に重要なものであるので、それにも配慮しながら評価をして いくことになると思います。  次の論点6ですが、グルーピング化というのは高橋委員と望月委員が既に言われたこ となので、よろしいですね。ある程度のものはグルーピング化して検討するということ です。薬理作用とか化学構造でグルーピング化するということですよね。それでグルー ピング化して検討するということでよろしいですか。  それでは論点7、リスク評価にあたっては、あらかじめ一般用医薬品を販売する際に 提供する必要がある情報か否かという視点で行う必要があるか。  これは先ほどから増山委員もぜひこういう論点で検討してほしいと言われたので、我 々もこういうことを考えながらリスク評価をしていきたいと思っておりますが、これに ついていかがですか。そういうことで増山委員、よろしゅうございますか。そのように させていただきたいと思います。  最後に論点8、一般用医薬品の添付文書には、消費者自らが使用することを想定し て、医療用医薬品の添付文書には記載されていない情報が記載されている場合がある。 リスク評価を行うにあたり、そのような情報をどのように取り扱うか。  医療用医薬品の添付文書には記載されてなくて一般用に記載されているものはという のは、どういうものがありますか。 安部委員  もともと医療用の添付文書は消費者に行きませんので、記載内容も違うわけですね。 保存の方法にしても、医療従事者が取り扱う時には子どもの届かないところに置きなさ いという記載はないわけですが、一般用医薬品の添付文書にはそういう記載があるとい うことだと思います。 望月委員  今の安部委員のご指摘以外に、医療従事者だったら当然しないだろうということは書 かれてないケースがあるんですね。かぜ薬に解熱鎮痛消炎薬を併用するとか、咳止めを 併用するとか。医療用の添付文書の場合、アスピリンの最後に「他の消炎鎮痛薬は併用 注意」というのが出てくるんですが、これは特別な例で、一般的には類似の成分が入っ ているものの併用については医療用には書かれておりません。一般用のほうは配合剤が 多いですから、名前はかぜ薬と鎮咳去痰薬と違っていても、成分が共通の場合は一般用 のほうに情報が入っていろケースが多くあります。  医療用のほうは医師が診断して使いますので適応を間違うリスクはほとんどないの で、自身で判断して使ってほしいという情報は書かれていないケースが多いんですが、 一般用ではスタートラインを間違えてしまうと副作用等々が問題になるケースについ て、それが書いてある場合もあります。医療用のほうの情報だけで判断してしまいます と、セルフメディケーションというシチュエーションの中でのリスクを十分に評価しき れないところがありますので、増山委員もおっしゃっていたように、一般用医薬品の情 報源の中に入っていて、医療用では反映しきれていない部分はどこかの段階で評価をし なければいけないと思っています。 埜中委員長  ありがとうございました。よくわかりました。そのような情報をどのように取り扱う かということですが、添付文書に書いてあるころを検討するとか、表箱に書かねばなら ないことを決めていくとか、そういう作業でよろしいですね。今日の皆さん方のご意見 にしたがって次回から実際の作業に入っていきたいと思いますが、今日のところで何か ご意見はございませんでしょうか。 鎌田部会委員  先ほど増山委員が述べられたような観点から、私ども店頭に立っている者の立場とし てお願いしておきたいんですが、医療用医薬品の添付文書と一般用医薬品の添付文書は 当然違っています。一般用の添付文書は消費者に対するメッセージですから、まず最初 に、してはいけないことから入っていまして、保存方法まで記載されている。ヒマシ油 なんかの場合は、医療用では「慎重投与」となっています。一般用では「飲んではいけ ない」となっていまして、表現が全く違ってる部分があるんですよ。そのへんを踏まえ て、一般用医薬品の添付文書の注意事項とか表現を検討していただきたいと思います。  先ほどからリスクの話が出ていますが、医療用医薬品の場合は長期連用も認めた上で 期限設定がないと思われます。一般用医薬品の場合はかぜ薬にしろ何にしろ3日から5 日で、それだけ飲んでも症状の変化がなかったら医師または薬剤師に相談するようにと 書かれています。一般用医薬品の包装というのは消費者に渡す量になりますが、そうい うものを含めてリスクの評価をお願いしたいと考えております。  制酸剤の場合、一般用の添付文書では、アルミニウムやマグネシウムを含有するもの は人工透析の患者は服用してはいけないことになっています。医療用のほうは医師の指 導により慎重投与となっています。  具体的な例を2つあげましたが、市場に出ている一般用医薬品の添付文書と医療用医 薬品の添付文書はメッセージの伝え方が違うということが1点と、市販の一般用医薬品 は大きな包装というよりも、かぜ薬にしろ胃薬にしろ3日から5日で、症状の変化がみ られない場合は医師・薬剤師に相談することと明記されています。重篤な副作用を含め て、連用すると出るものなのか、飲んだらすぐに出るものなのかということを踏まえて ご検討をお願いしたいと思っております。 埜中委員長  そういうことを踏まえて検討させていただきます。ほかに何かご意見はございません でしょうか。今日のご意見を踏まえて、次回から具体的な作業に入っていきたいと思い ます。  事務局から何か伝達することがありましたらお願いします。 事務局  次回の委員会ですが、先生方のご予定を確認したところ、2月4日が多くの委員に集 まっていただけるということですので、2月4日を予定しております。準備が整いまし たら改めて正式なご案内をさしあげたいと思います。 埜中委員長  それでは、以上をもちまして本日の委員会を終了させていただきます。どうもありが とうございました。                                     (了)                         (照会先)                         厚生労働省医薬食品局審査管理課                            TEL:03-5253-1111(代表)                           担当:紀平、山脇(2743)