05/01/14 雇用政策研究会第5回議事録             平成16年度第5回雇用政策研究会                        日時 平成17年1月14日(金)                           15:30〜                        場所 厚生労働省専用第21会議室 ○小野座長  ただいまから雇用政策研究会を開会いたします。佐藤委員は本日は所用のため遅れて 来られるという連絡をいただいております。  お手元の議事次第にありますように、本日は労働力率を高める政策を中心的に議論し ていただきたいと思います。まず事務局から資料の説明をよろしくお願いします。 ○中井雇用政策課長補佐  お手元の、資料No.1のほうは、これまでも提出させていただいていた、この研究会 で議論をしていただく論点ですが、今日はこのうち3頁の(3)の(1)「労働力率に関 する政策」ということで、ご議論をお願いしたいと思っていますので、よろしくお願い いたします。  資料No.2の説明をさせていただきます。1頁からですが、労働力率等についての現 状の資料です。1〜9頁は性、年齢別の労働力率を長期にみたものです。あとでご議論 をいただく際の参考にしていただければと思っています。  10〜12頁は年齢別の労働力率を性別に、この10年間で比較したものです。これも後で 参照していただければと思っています。  13〜15頁については、年齢別の労働力率について、性別も含めて国際比較したもので す。  16〜18頁にかけては、年齢別の就業率、それぞれ各年齢層の人口に占める就業者の割 合をこの10年で比較したものです。  19〜21頁は、年齢別就業率と平均週間就業時間の変化ですが、マンアワーベースの労 働力供給をみるという観点から、各年齢別の就業率と就業時間のこの10年間についての 変動をみたものです。全体として、女性の労働力率への影響等もありまして、25〜34歳 層では就業率が上がっています。一方、ほかの層では下がっているという状況がありま す。20頁が男性、21頁が女性ですが、男性では全体的に就業率が低下しています。一方 で、35〜44歳層については、週の平均労働時間が増加をしている状況になっています。 21頁の女性については、25〜34歳層の所で就業率が上がり、30〜34歳層では併せて、若 干ですが労働時間も増えています。  22〜24頁、これは就業者の労働時間の分布をこの10年でみたものです。全般的に労働 時間の制度の要因なども考えられますが、43〜48時間のところで労働時間の割合が低下 するとともに、短時間のところ、特に23頁の男性のところで60時間以上の割合が高まっ ているといった、労働時間の分布になっています。  25〜27頁、これは年齢別の短時間就業者比率のこの10年の推移をみたものです。特に 若年層と高齢層で割合が高まっている姿がみられます。  28〜31頁、これは「パートタイム労働者総合実態調査」によりまして、性、年齢別に パートを選んだ理由の割合を1990年と2001年についてみたものです。これをみますと、 男女とも「自分の都合の良い時間に働きたい」という割合が最も高いのですが、その割 合が低下してきている。一方で、男女とも「正社員として働ける会社がない」、「仕事 の内容に興味が持てた」項目の割合が上がっています。なお、男性では「仕事の内容に 興味が持てた」、女性では「勤務時間・日数が短い」の割合が高くなっていますが、こ れを若年、壮年、高齢について29〜31頁に付けています。特に29頁の女性の25〜34歳層 では、「家事・育児の事情で正社員として働けない」という割合が高くなっています が、この10年で比較すると下がってきている状況もみられます。  30頁、男性の35〜44歳層で、特に「正社員として働ける会社がない」という割合が上 昇しているという特徴がみられます。  31頁、男性ではやはり「正社員として働ける会社がない」という割合が上昇していま す。65歳以上では「自分の都合の良い時間に働きたい」とか、「体力的に正社員として 働けない」という割合が低下している状況がみられます。  次からは高齢層についての資料になります。32頁は「高齢者雇用の概況」で、定年年 齢60歳以上の企業の割合などの推移をみたものになっています。  33頁、企業が定年引き上げを行う場合の課題についてみたもので、給与体系であると か、処遇であるとかいったものが、大きな課題になっているという現状があります。  34・35頁は、高齢者の希望する就業形態について、それぞれ性別にみたもので、年齢 層が上がると普通勤務より短時間勤務を志向するという姿が男女とも、概ねみられるの ではないかと考えています。  36・37頁は、前回、高齢者における人口に占める雇用者数の推移について、資料を提 出したわけですが、その際に諏訪委員から、人口ではなくて労働力人口を分母にした数 字にしてはどうかというご指摘をいただきました。それを受けて計算し直した結果で す。36頁は60〜64歳層、37頁は65〜69歳層ですが、全般的に高齢雇用者数の割合が上昇 しています。まだこの層それぞれについて5割を超えているという話で、一方で自営な どについては、少し数字のレベルは変わっていますけれども低下しているという結果に なっています。  38頁は、この10年間で就業者数に占める自営業主の比率がどう変化したか、というも のを年齢別にみた結果です。特に40〜64歳層の低下が大きいという結果になっていま す。  39頁、開業年齢の割合を1995年と2003年で比較をしたものですが、全般的に開業年齢 の高齢化が進んでいるという結果になっています。  40頁、コミュニティ・ビジネスについて、高齢者雇用との関係で、そういったビジネ スで働く人の中の内訳、あるいは高齢者に雇用の場を提供することについての考え方を みたということで、高齢者雇用の場として期待できるコミュニティ・ビジネスの状況を 示しています。  41頁からは若年層についての資料になります。41〜43頁は進学率の推移です。また、 44〜46頁については、学卒就職者、中卒から大卒までですが、その学歴別に割合の推移 をみたものです。だんだん高学歴にシフトしていっている姿を示しているものです。  47〜49頁は、フリーターに関する資料です。  50・51頁については、若年無業者に関する資料になります。特に51頁には、小杉委員 も分類されています、職業への移行が困難な若者パターンについて、資料として出して います。  52頁からは女性についての資料になります。52頁は女性が働いていない理由につい て、年齢別にみたもので、育児の話、家事の話、「配偶者や子どもなど家族が望まない から」というものが30代を中心に高くなっています。  53頁、仕事と育児の両立が難しかった理由についてみたものです。  54頁、これは女性の就業率のうち正規の職員の割合を年齢別にみたものです。  55・56頁、これはパートの就業調整についてみたものです。55頁は2001年の調査結果 ですが、税や社会保険との関係で、全体の45%が就業調整を行っています。事業所のパ ートに対する社会保険適用については、すべてのパートに適用されないようにしている 事業所が2割強などの結果になっています。  56頁は、就業調整の際に考慮するものとして、いわゆる年収103万とか、130万といっ たものの割合が高くなっているという姿を示しています。  57頁からは、生活保護世帯、障害者についての資料です。近年、生活保護世帯が増え ているなどの姿が出ています。  また、59頁からは障害者の資料ということで、障害者の雇用について現状としてはな かなか厳しくなっています。  また60頁では、障害者の求職者が増加傾向となっています。ここまでが現状などを含 めた統計資料で、次からが労働力についての政策に関する資料です。  61頁、これまでの雇用政策研究会における労働力率に関する主な議論、ご指摘などを 整理したものです。かいつまんで申し上げますと、高齢者については、定年後の創業 や、今後の労働力率の低下を抑えることが重要ではないか、というご指摘がありまし た。  若年層については、就業の範囲を幅広く捉え、考えることが重要ではないか。あるい は、学校と学校以外の能力形成が接続していくことが重要ではないかという指摘があり ました。  女性については、今後のパートとしての労働力供給をどうみていくのか、あるいは均 等政策の重要性といったものについてご指摘がありました。  雇用政策の目標としての就業率について、重要であるというご指摘もいただいていま す。  62・63頁については、労働力率に関する各種意見の概要を示したものです。全般的に 申し上げると、労働力率、言い換えれば労働参加ということになるかと思いますが、そ れが重要である。それが促進されると、将来、労働力不足には陥らない。あるいはその 逆であると、経済成長にマイナスという意見が各方面からみられているということで す。これまでの当研究会での議論、世間でいろいろ指摘されていることなどを含めます と、今後については、労働力率、厳密に言えば各年齢層ごとの労働力率になるかもしれ ませんが、そういったものを高めていくことが重要である、ということには異論がない のではないかと考えています。  64頁、これは労働力率に影響を与えると考えられている主な要因について列挙してい ます。高齢者については、年齢であるとか自営業が入っています。若年については、若 年者対策を強化していくこと、進学率の動向。また、女性については、男性の家事参 加、均等政策、育児・介護等支援、短時間就業者比率といったものが入っています。そ の他、労働条件の向上であるとか、NPO等の多様な就業機会の増加、あるいは健康と いった要因について、影響を与えるものとして挙げています。  留意すべき社会環境の変化としては、年金、核家族などの家族形態の変化、所得格 差、実質賃金、貯蓄率といったものがあるのではないかということで挙げています。  65〜73頁については、高齢者、若年者、女性、各々の労働に関するこれまでの主な施 策について、時系列に示しました。  65〜67頁については高齢者ですが、これまで60歳定年の義務化に関する流れが、資料 の最初のほうで長期的な労働力率の推移についてグラフを提出していますが、特に1980 年代後半からの55〜59歳層の労働力率の上昇に反映されていると考えています。現在に おいては、雇用と年金の接続とか、それに関連して65歳までの雇用機会の確保が重要な 課題であるということで、昨年成立した改正高年齢者雇用安定法に基づく施策を展開し ていくこととしています。  68〜70頁、若年者ですが、こちらのほうは高度成長期から安定成長期以降にかけて、 労働力不足から次第に就職環境が厳しくなっていった中で、学生職業センターの設置を はじめとして、各種就職支援の施策を講じる、あるいは職業意識の問題が指摘される中 で、インターンシップなどの事業にも取り組んでいますが、若年者の問題は近年非常に 大きな問題として取り上げられています。こういった中で2003年(平成15年)には「若 者自立・挑戦プラン」を策定して、これに基づいて政府全体で取り組んでいます。  71〜73頁、女性についてですが、1986年に男女雇用機会均等法が施行されまして、そ の後パートタイム労働、あるいは育児・介護休業、「エンゼルプラン」などの施策の流 れがあるところです。最近は少子化との関連で、2003年には「次世代育成支援対策推進 法」が成立していますし、昨年の年末には「子ども・子育て応援プラン」が決定される という状況になっています。駆け足で恐縮でしたが資料の説明については以上です。  併せてお手元に前回までの資料を項目別にまとめて、参考資料として置かせていただ いていますので、議論に当たりまして、適宜参照していただければと思います。よろし くお願いいたします。 ○小野座長  ご説明をいただいた資料につきまして、ご意見あるいは質問等がございましたらご自 由にお出しいただきたいと思います。委員の先生方に良い質問を考えていただくまで に、私が質問をいたします。いずれも簡単なことばかりです。29頁、これは性、年齢階 級別にパートを選んだ理由ということで、これが年齢別にずっと入っています。この中 で比率としてはそんなに高くはないのですが、1990年と比べて2001年が増えているとこ ろは、ほかにもありますが、「正社員として働ける会社がない」というところが増えて います。  特に女性の場合、正社員として働ける会社がないからパートを選んだというわけです ね。その時に、とりわけ女性の場合には、自分が世帯の生計の主な担い手かどうかとい うことによって、正社員として働けないということを理由として掲げる場合が非常に重 要になってきます。夫が働いていて自分がちょっとお小遣いを稼げばいいという場合に は、おそらくほかの理由を指摘するでしょうけれども、もし、自分が子どもを持ってい て世帯を維持していかなければならない、夫も病気だなんていう場合には、やはりフル タイマーで働いて所得を得なければならない。そういうときに、そういう仕事がないと いうことは、その人たちにとっては大変苦痛になるわけです。これは世帯のバックグラ ウンドまで下りてデータが取れるのかどうか、それをお伺いしたいのです。  もう1つは、これは後にも関係するのですが、39頁、年齢別の開業の割合です。これ は高齢者の割合が増えている。61頁を見ると、「定年後の創業などを支援する環境作り が必要ではないか」という議論と関連してくるわけです。ただ、若い人だと1つの事業 を始めて失敗しても、またやり返しということができると思うのですが、特に年をとっ て退職金で仕事を始めたけれどもうまくいかなかったとなると、もう取り返しがつかな くなってしまいます。こういう高齢者が自分で開業をした場合の成功の率というか、何 年間続いている場合に成功したというのかもまた問題ですが、成功している割合という のはどの程度なのかというのが、もし何か資料みたいなものがあったら教えてくださ い。  最後は61頁の真ん中より少し下の女性のところです。佐藤さんがまだ見えていないけ れども「均等政策」と書いてありますが、こういう議論をするときに、特に処遇などに 関して「均等」と「均衡」というのを分けているのですが、まずはパートと正社員の間 の「均等」と「均衡」という概念上の区別を与えていただけると、我々にとって大変助 かるということです。ここの所は「均等政策」と書いてあるけれども、「均等政策」で よろしいのですかという質問が同時に付くわけです。お答えにくい点があるかもしれま せんが、そうしたらそれで結構です。 ○中井雇用政策課長補佐  29頁の関連で、世帯で女性が家計の主な担い手かどうかという話については、「パー トタイム労働者総合実態調査」の質問項目で、「生活は主に何によっていますか」とい う話があって、「主に自分の収入」とか、「主に配偶者の収入」とかいう項目があるの で、クロスでみることになってくるかと思います。後で確認したいと思います。  開業の話は、特に日本における開業というのが、これまでも議論をされてきて、なか なか開業率が上がらないという話の中で、開業のリスクが大きいのではないかと議論が されてきているわけでして、前回の研究会でも、若いうちに開業をしたほうがいいとい うようなご議論があったかな、と記憶しています。成功率は年齢別も含めて取れるかど うかはわかりませんが、確かに開業に際してそういうことを見せていかないと、尻込み するという状況なのではないかと考えております。 ○小野座長  「均等」と「均衡」の定義は。 ○勝田雇用政策課長  ここで書いております「均等政策」のほうは、どちらかといいますと、男女間の性別 の均等の話がここに書いてあって、もう1つ多様な就業形態の均衡処遇の話も出ていま したが、ここではまだそこまでは書いてございません。こちらはどちらかといいます と、本当の機会均等法の均等の話が書いてあるとご理解いただければと思っています。 ○樋口委員  45頁に学歴別の新卒者の就業者講成比が出ているわけですが、これを見ていつも不思 議に思うのは、中卒、高卒、短大卒、大卒と合わせて100%になるように構成比が書いて いますね。専門学校はどこにいってしまったのかなというのがいつも疑問です。例えば 高校を出て専門学校に行っている人たちの扱いは、こういった統計ではどうなっている のか。これは「学校基本調査」なのですが、厚労省のやっている統計においても学歴と いうとこういうのが出てきて、専門学校というのはなかなか登場してこないのです。と ころがいま、かなり実感としては数が多いのではないか。そうなってくると、若い人た ちの行動を考える上で、やはり大卒と高卒の間に専門学校はあるのですが、比較をする とき、大卒、高卒だけの比較ではなくて、専門学校の位置づけというのが重要になって くるのではないかと思うので、そこはどうなっているかを教えていただけたらというの が1点です。  50頁に無業者の増加で若者の増加。1993年の40万人から、2003年は64万人と書いてあ るのですが、これをよく見ると2001年から2002年にジャンプアップしているのです。何 があったのですか。49万が64万なのです。実はこのときに労調の調査方法が変わってい るのですが、そういったものが影響している可能性はないのか。実態としてこれだけ増 えていると考えていいのか、そうではなく統計方法・調査方法の変更といったものも左 右していますというようなことなのか。従来、労調特別で別計推計をしていたのを、た しかここから統一して、労調の中に労調特別の質問項目を織り込んでいくというような 変更があったのではないかと思うのですが、そういうことの影響があるのだとすると、 急に24万人増えていますと言っていいのか、それとも01年と02年の間は線で結び付けな いほうがいいのか、というのが2点目の質問です。  3点目の質問は55頁のパートの就業調整の話です。左側は労働者についての調査です からあれなのですが、右側の事業所調査の中に、「適用されないようにしている」、こ こまではわかるのですが、「パートタイム労働者に選択させている」というのがあるの です。これは社会保険関係を調査しているわけでしょう。すると選択の問題ではなくて 強制力をもっている話ではないのか。ここのところはどういうことなのでしょうか。例 えば130万円の年収とか、あるいは労働時間4分の3の話とか、そういうことで一応、 誰は入らなくてはいけない、誰は入る必要はないとかいう区分けをしているのだろうと 思うのですが、それ、選べるようにというのは、どういうことなのでしょうかという質 問をしたいと思います。 ○中井雇用政策課長補佐  45頁の話につきましては、確かに専門学校の話は無視できない分類だと思っていま す。専門学校を入れた形というのは考えさせていただければと思っています。 ○樋口委員  専門学校の学生の数は把握できるのですか。 ○中井雇用政策課長補佐  専修学校専門課程ということでやっているはずですので、数は把握できるはずです。 ○樋口委員  かなり多いのではないですか。 ○小杉委員  大体、短大卒の倍ぐらいです。 ○中井雇用政策課長補佐  そこは専門学校についても考慮したものを、お見せできればと思っています。  50頁の無業者についてですが、確かに言われるとおり、2001年から2002年にかけて労 働力調査の調査方法について見直し、大改定が行われたということで、そのときの影響 があったかどうかについては、再度確認をさせていただこうとは思っています。ただ、 フリーターは5年おきにしか過去は出していないということもあるのですが、この辺り で雇用環境が非常に悪化したという時期とも重なっていまして、失業率が大幅に上昇し た時期にも重なっていますので、そういった影響というのはある程度はあったのではな いか。この間、就業意欲喪失者の増加による労働力率の低下も言われていた時期なの で、全て調査方法がどの程度かというのはここでは申し上げられませんが、その影響だ けではないと考えているところです。  55頁のパートの就業調整ということで言えば、これはやはり選ばせるというのは、次 頁の103万とか、130万とかという話を、年末とかぎりぎりになって、それに引っかから ないように労働時間を調整して被扶養者から外れないということを、労働者がやりたい というときに、それを認めるということではないかと理解しています。 ○樋口委員  社会保険料を払うかどうかの選択ではなくて、これは労働時間についての選択という 意味ですか。 ○中井雇用政策課長補佐  労働時間とか年収とかで調整をして、被扶養者から外れる外れないという話があるの で、それを労働者に任せている。 ○樋口委員  上のほうに「全てのパートタイム労働者に適用」とか、あるいは「適用されない」と いうふうになっていて、適用というのが社会保険に適用されるという意味だろうと私は 思ったのですが、これはそうではないのですか。「適用状況割合」となっているから。 ○勝田雇用政策課長  適用されるような働かせ方といいますが、コースを設定しているのか、パートあるい は「適用されないようにしている」というのは、そうならないようなコースしか設定し ていないというふうに理解することになると思います。ですからパートの方はみんな 100万以内に納まるような働き方、あるいは週20時間程度以下になるようなコースに全 部してしまうと、「適用されないようにしている」と。 ○樋口委員  逆に、全員適用になるというのは、これは。 ○勝田雇用政策課長  30時間以上にしていますとかいうことだと思います。 ○中井雇用政策課長補佐  たぶん、労働時間管理の中で、パートと言っても、一定時間ということで管理されて いて、必ずその会社でその時間働くと適用されるというのが、たぶん「全て」の18.8% だと思います。パートタイムでも相対的に長いのと短いのと、どちらで働くかを選ばせ ているというのが、47.5%であるということだと。 ○小野座長  2番目のジャンプしているということですが、これ中井さんもちょっと言われました が、47頁のフリーターは「就調」なので、データが違うのですが、これはつながってい るのかな。1997年から2002年を比べると、前からずっと上がっていると見るか、ちょっ と難しいのですが、2002年はこれで見ると増えていますね。 ○中井雇用政策課長補佐  フリーターの場合は若干定義を変えて、厳密には接続しないということになっていま す。 ○小野座長  なるほど、定義の違いがある。 ○小杉委員  就調の個表をお借りして分析しているのですが、やはり1997年と2002年を比べると、 無業者の増加は明らかです。 ○小野座長  同じような定義で。 ○小杉委員  同じような定義です。1992年から1997年の増加はわずかなのですが、1997年から2002 年というのは明らかな増加が、そちらでも見られています。2001年のここ、というタイ ミングかどうかはわかりませんが、少なくとも1997年から2002年の5年間には増加して いるのは間違いないのではないかと思います。 ○樋口委員  その施策として考えたときに、労働需要の影響が非常に強いのだということであると すれば、雇用機会をどういうふうに作れという政策になりますね。そうではなくて、む しろ働くほうの意識の問題であるとかということであれば、別の施策になるわけです。 ここのところは施策を立てる上でポイントになってくるのではないか。特に昨日だか今 朝の新聞でしたか、新卒者の求人が増えていますよということになってくれば、これは ある意味ではフリーター問題にしろ、無業者問題にとっては非常に明るくて、これによ って減るだろうという予測が成り立つのですが、どっちだというのをやはり見極めをつ けないと、ある意味ではいま実験をやっているわけで、1年経てば結果が出るわけです ね。雇用政策研究会を1年待ってくれというわけにもいきませんが。 ○青木職業安定局長  4月、5月ぐらいに、今年の求人環境がよくなって、就職がどうのというのは、わか るのではないですか。 ○樋口委員  やっている間にそういう結論が出るかもしれない。 ○勝田雇用政策課長  学卒の求人の場合、今年学校を出る方ですので、例えば1年、2年前に出た方には影 響がどこまでくるかという問題はありますので、この年、ピンポイントの年齢層の所に は影響があるかもしれませんが、既卒者のところまで、どこまでいくかどうかという問 題は、また別になってくるかもしれません。そこは一般の労働市場というか、一般の求 人の状況の改善がどこまでいくかということがあろうかと思います。 ○樋口委員  大体こういう議論をするときには、いつもターニングポイントに差しかかったところ で、景気のターニングポイントで議論をしている場合が経済企画庁にしろ、ずっと多か ったわけですが、やはり求人についてはかなり明るさは出てきているわけでしょう。 ○勝田雇用政策課長  はい。 ○樋口委員  すると、それの影響が、例えばいまの労働力率であるとか、無業率というのがどうな っているかという長期的なトレンドも重要なのですが、今の足元の動きですよね。瞬間 風速的な動きというのがどうなっているかを見るのは、今後を見通す上で非常に重要な ポイントになってくるのではないかと思います。 ○小野座長  いま50頁を見ているのですが、毎年の無業者の数を見ると、やはり波を打っています ね。2002年は飛び抜けて増えているのだけれども、その前の1998年、1999年に少し増え ますね。これは失業率が高まった時期です。1997年でしたか橋本内閣で財政構造改革法 か何かを通して、景気が少し後退した時期です。そういうときに少し増えるというので すが、やはり需要の変化というのは影響があるのでしょうね。もう1つ意識の変化が他 方ではあると思うのです。考え方としては2つあるのですが、どちらが大きいか。この 根っこのところは40万人ぐらいずっとあって、動いている部分が景気変動の影響と見る と、最近は別だけど、2001年ぐらいまでは景気の動きで上のほうが少し動いている。そ して40万人ぐらいのところは意識の変化と見るのかな。さらに2002年、2003年になると かなり増えますから、不況の影響が大きいかなという判断もできます。 ○樋口委員  人数で見るより、やはり率ですよね。要するに第二次ベビーブーマーがどこに位置し ているかとか、何歳にいるかとかで、その年齢層は相当に人口自身が変わりますから。 ○大橋委員  データの読み方についてですが、今日は労働力率に関する政策についてということ で、政策的な観点から、今日出されたデータをどう読んだらいいのかということを考え たときに、経済学者は、基本的には需要と供給で決まるのだから、例えば国際比較で日 本の女性の労働力率と海外の女性の労働力率を比較したときに、日本はまだM字型を招 いている。これは良いのか悪いのか。高齢者は相対的に高くなっている。これも良いの か悪いのか。これは判断できないと思うのです。結局、政策を考えるときに基本は、労 働者とか企業の自発的な行動が阻害されているかどうかというのが非常に大事な視点に なってくる。そういう視点から見ると、例えば先ほど小野座長がご指摘されました、正 社員としての仕事がないからフリーターあるいはパートになっているというのは、非常 に大事な視点だと思うのです。これはうまく市場が機能していないというふうに判断で きますから。こういった問題を、こういったデータから読み込むための資料というのは どれぐらいあるのか。  例えば先ほど指摘されました、パートが103万円とか130万円のところで時間調整をし ていると。これも、大体自分は135時間働きたいのだけれども、130時間でいいというの だったら比較的マイナーな調整なのです。その辺のところがある程度わからないと、な かなか難しいということです。  もう1つは、例えば高齢者の定年延長がなぜ難しいかということを企業に聞いていま す。その比率自体、私は高年齢者雇用開発協会が出してきたデータとかなり比率が違う と思っているのです。高齢者の問題点の指摘が33頁にありますが、雇用開発協会の比率 を見ますと、例えば「給与体系の見直し」というのは断トツに高くなっています。だけ ど、これはそんなに高くないのです。ほかの設問が多いのです。そういう意味では、問 題点を調査するときにかなり気をつけなければいけないと思うのです。それが基本的に 政策的な問題を非常に含んでいると思われます。  もう1つこのデータの読み方で、いま私が不思議に思っていることは、こういうもの は比率が多いとその効果が大きいということではないのです。リグレッションをかけ て、こういう回答の多い問題点が、企業間の高齢者雇用の比率に有意にきいているかど うかと見ますと、実はあまりきいていないとか。そういう点では、こういう比率が多い とこれは非常に深刻だという問題の捉え方は、ちょっとできないところがあるのです。 そういう点では、こういう基本的な問題のところを、どういうふうに政策に結びつけて いくか。基本的には、例えば「給与体系の見直し」というのはかなり進んでいると思う のです。55歳から60歳になるところで、これはかなりやっているはずなのですが、これ が非常に高いのでびっくりしているのです。こういった問題点をどうしたらいいのかと いうのが、いろいろ悩んでいるところなのです。  まず市場メカニズムがうまく機能していないところを洗い出して、その後で全体の労 働力率と動き等々を見ていくということになるかと思うのです。私のほうも、政策と結 びつけてどういうふうにこういうデータを見たらいいのかというのが、考え方がまとま っていませんので難しいです。 ○小野座長  大橋委員、この33頁で、回帰分析したらというお話でしたが、被説明変数は何になる のですか。 ○大橋委員  被説明変数は、例えば各企業の高齢者の雇用比率です。高齢者の雇用比率を被説明変 数にして、こういう問題を指摘した企業が実際に雇用率に影響しているかどうかを見ま すと、ただ、非常に難しい問題があって、企業間の差は説明していないのですが、例え ば給与体系の見直しというのは、本当にみんな必要であって、それが事実としてあるか もしれないけれども、ただ、それが企業間の差には表われていないということかもしれ ないですね。だから、こういう問題点の読み方というのは難しいし、それがうまく読め ないと、単にこの比率が高いからということで政策に結びつけて考えるのは、ちょっと 危ないと思うのです。 ○樋口委員  今日の議題は労働力率ということですが、労働力率ということは人員単位、マンター ムでの労働供給を考えたい、というテーマ設定になっているわけですね。もう1つの労 働供給というのは、時間×人数、マンアワータームでの労働供給で、労働時間短縮とい ったものがおそらく労働力率を引き上げる、人数を引き上げるわけですが、問題は弾力 性、時間を1%短縮したときに、労働力率のほうが1%以上あがるのかどうか。これで その影響というのは全然違ってくるわけです。だから人数は増えるけれども、みんな短 時間労働者ですといった場合に、一国全体で考えるとマンアワータームの労働供給は減 るということが出てきます。いま起こっている高齢者の動きとか若年の動きというの は、人数、労働力率も下がってきているし、また働いている人たちをみても、短時間労 働者が増えているということですから、両方の、時間も人数も共に労働供給が減ってい る形になっているわけです。  これが経済需給の影響でそうなっているのかどうか。例えば非労働力化、就業意欲の 喪失が起こっていますというようなことであれば、これは景気が悪いために求職活動を やめて、人数ベースでの労働力人口が減っているということになるわけです。そうだと すると、やはり需要を逼迫しなくてはいけないし、将来的に少子高齢化で労働需給が逼 迫してくるというような見通しであれば、そこのところは逆に解決するはずだというこ とになるわけです。  時間についても、短時間雇用者が増えているというのが、本人たちの希望によって短 時間が増えているのではなくて、正社員あるいはフルタイマーの雇用機会がないため に、需要が不足しているためになっているのだということであれば、時間の短くなって いるというのも同じ理由になって、これはやはり見極めないと政策の議論が始まらない のではないかと思うのです。  申し上げたいのは、その見極めは非常に難しいのですが、労働力率だけの需給の議 論、人数ベースでの需給、需要が何万人出て、供給が何万人、失業者はその結果として 何万人になりますという話ではなくて、時間を考慮しないと、少子高齢化の議論ではな かなか乗りきれないのではないかと思うのです。延べ時間でよく労調あたりだと出てい ますが、それを見たときに最近どういうふうに変化してきているのか。延べ労働時間、 人数×平均時間で見たものを教えていただくと議論がしやすいと思うのです。 ○中井雇用政策課長補佐  時間に関しても考慮するというのはおっしゃるとおりで、今回もまだ検討を続けてい ますが、労働力需給の関係でもマンアワーで考えましょうという話になっていたかと思 います。あと労働時間の短縮は、短時間比率が上がることによっていま進んでいる。そ れぞれの層では実は労働時間は伸びていますという話もあるわけです。そういったとこ ろも含めて見ていこうということは考えています。今日は労働力率ということでテーマ を挙げましたが、もう少し大きく言えば労働力供給をどう上げていくかという、マンア ワーベースでの議論は視野に入っています。資料の中に就業率と労働時間の伸びをそれ ぞれ併せてみた資料をお付けしたのも、そういう趣旨もあります。 ○樋口委員  そうでしょうね。就業調整の議論というのは時間の調整の話ですから、そういう意識 があるのだろうと思うのですが、それを中心に議論をしたほうが。外に発表するときに は何万人の雇用があって、何万人失業者が出てというのが、社会にはインパクトを与え るかもしれませんが、本当に経済として需給がどうかといったときには、マンアワータ ームというのが無視できないし重要になってくるのだろうと思うのです。 ○大橋委員  マンアワータームにすると、時間を上げるという選択肢も出てくるでしょう。 ○樋口委員  時間を伸ばすという意味も出てくるでしょうね。 ○大橋委員  基本的な立場は、時間は増やさなくて労働力率で対応するということなのか、短い時 間の人はもう少し長くということなのか、その辺もはっきりしないと。 ○中井雇用政策課長補佐  労働時間はたぶんまだ議論はあると思いますし、厚生労働省としても、いま中で検討 を進めている面もありますが、長時間労働の問題が1つあるのと、先ほど言った短いと ころをどうするか。現実に今、短いところだけを見ているという話の中で、どう考える かという視点はあるかなと思います。 ○小野座長  ここでは労働供給関数を年齢別に推計していますね。その中でいま樋口委員が言われ た就業意欲の喪失効果は検証できましたか。失業率は入れていましたね。 ○中井雇用政策課長補佐  それを最終的に需要と供給の調整定数として使いますので、そこで見ていくのかな と。 ○小野座長  その中に入っているわけですね。男性と女性に分けて、全ての年齢層に失業率が入っ ていましたか。 ○中井雇用政策課長補佐  大きなところには入れていたかと思います。 ○小野座長  だからそういうところでは就業意欲の喪失効果は考慮されている、というふうに考え てよろしいでしょうね。 ○樋口委員  重要なポイントを言い忘れていたのですが、平均労働時間では語れない社会になった ということだろうと思うのです。いくつか出てきた統計を見ると、労働時間についても 明らかに二極分化がある。片方で短時間雇用者が増えながら、片方で60時間以上の労働 者が増えているということで、平均値を見れば、これはそう変わっていないのかもしれ ないけれども、国民政策にとっての意味は、非常にバランスが悪くなっている。だから 所得格差の議論と同時に時間差みたいな話を考慮していかなければならない。その上で のマンアワータームということで、これが生産性の議論に非常に影響してくるのではな いかと思います。 ○小野座長  いま言った時間に関する二極分化という話は、このデータには。 ○中井雇用政策課長補佐  資料では22頁から24頁で、それぞれ労働時間が週何十時間の割合が何割あるか、それ が過去10年間でどう変わってきたかということが見えると思います。 ○諏訪委員  いまの樋口委員のご指摘に全く賛成です。私も以前、需要のほうでも同じようなこと を言ったのですが、産業によって必要時間が長めな所とそうでない所がある。例えばパ ートが圧倒的に多いような流通業などの場合ですと、実は時間のほうで見ると総必要時 間はそんなに大きくない可能性だってあるわけです。そういう意味ではこれからの時 代、時間でやれるかぎりやってみて、最終的には平均時間で割って人数を出すというふ うにせざるを得ないのではないかというのが1点目です。  もう1点は、労働時間が長くなるのと短い部分で二極分化をしていくと言うのです が、実は欧米のパートタイマーなどと比較してみると、日本は短い労働時間の部分があ まり短くないのです。向こうのほうはずっと短くて、パートって15時間とかです。日本 はパートと言っても30時間ぐらいのところです。こういうような問題が今後どのように 動いていくのだろうか。例えば高齢者が65歳を過ぎても15時間とか10時間ぐらいならば 労働市場に出てきて、何らかの社会的な、経済的に意味のある仕事をしたいというふう になるかどうかというときに、この問題はずいぶんあるような気がしています。  気をつけなければいけないのは、スウェーデンなどの女性統計なども、今でもそうか どうかはわかりませんが、昔調べたときはパートの比率とか、短時間の部分がかなりあ りまして、実は国際比較をそういう時間の面からやれるのだろうか、やれないのだろう かと昔考えたことがありますが、結論から言うとできません。国によってみなし時間と かいろいろなものを使ってやっているものですから、本当のところはわからないので す。アメリカのエグゼンプトみたいのが有名ですが、全く集計を取っていないから、み なし時間などの部分は全くわからないのです。一応いくつとみなしてやっていますが、 実態とは違うのです。  その点からしますと、長いほうの問題点にも、やむを得ない部分と、あまり好ましく ない部分があるわけです。やむを得ないのはどういうのかというと、専門職化で最前線 で競争をするとか、これも長くなってしようがないのです。例えばピアニストだとかい う人たちだって、雇用労働者ではありませんが本当に長いです。そうやっていかないと 競争に対応できない。同じように専門職にいくとき、大体35ぐらいまでが勝負ですか ら、長い時間勉強をしたり仕事をする。そういうものまで抑制してしまいますと、日本 の競争力を下げてしまいます。しかしながら、他方やりたくもないのにだらだら残業だ とか、以前も出ましたような、ああいうサービス残業的なものを含めて、60時間がすご く増えているとなりますと、これは実は長い目で見ると、あまり好ましくない傾向であ りまして、こういうものもどういうふうに切り分けるか、質的な問題なのでものすごく 難しいのですが、問題点としては、やはり持っていないと、ただともかく長いのをみな 叩けばいいんだというわけではないのではないかという感じがします。 ○樋口委員  それはエグゼンプトの話につながるのですか。 ○諏訪委員  エグゼンプトもあるでしょうし、どう考えていくかということでしょう。つまり生産 性を上げるために、人的資源の質を上げていくという中には、やはりある一定の長い時 間働かざるを得ない部分があるのです。行き過ぎてはいけないのですが。 ○大橋委員  いまの労働時間の問題ですが、先日、卒業生が私の部屋に来まして、毎日12時まで会 社にいると。営業をやっていて、昼間は飛び回っていると。上司はノルマを課して、こ れだけ頑張ってこいという話で、もう馬鹿らしくてやっておれないと。上司が、こうい うやり方だったら業績が上がるよというアイディアも何も出さないで、ただ闇雲にノル マを達成せよと、こういうスタイルでやってくるから馬鹿らしくて、「もう先生、会社 辞めます」というふうに言ってきた学生がいます。  やはり異常な事態がかなり出ていまして、そういう点で、長い所は短くして、短い人 たちで働ける人はもっと働いてもらう。これはワークシェアリングの考え方とちょっと 違うと思うのですが、そういう意味で、労働力率と労働時間の関係を少し整理する必要 があると思うのです。  これを先ほどのデータで見ると、長くなっている所は長くなっていて、短くなってい る所は下に下がっているわけだから、こういうバランスの悪さはやはり是正していく必 要があるのではないか。 ○小杉委員  労働時間の長さの話では、若年期の話にも似たようなものがあるのではないかと思う のです。若年期は能力形成という面もあるわけです。短くしか働いていなくても、残り の時間をむしろ能力形成に当てていれば、全体としてはプラスになる。能力形成と能力 発揮の働き方とのバランスの問題だと思います。ということは、学校在学、あるいは学 校以外の所で能力形成の時間と、労働に参加している時間と、その全体を見なければい けないのではないかと思います。  というのは人が育っていくということと、能力を発揮するということで、労働力率の 話、これは在学ということがこの中のケースに入っていないのですが、在学という部分 も入れて、在学中の就業という部分と、就業しながら能力形成を行っている部分と、そ れをトータルで見られないか。その辺のバランスがいいのがいいのであって、フリータ ーの問題というのは結局何かというと、労働時間が短くて、能力形成のほうにも穴があ るとか、そういうことだと思います。  働いている時間が短くても、その部分が何らかの形で能力形成のほうにプラスに回っ ていれば、それはトータルとしてはいいのではないかと思います。働いている時間と、 能力を形成する時間とを一緒に、全体として高ければいいというような形にうまく作れ ないかと思います。 ○樋口委員  いまおっしゃったのは、アクティビティで行動を記述していくといったときに、いま 就労というのと、例えば能力開発なり通学というアクティビティがあって、実はそれを 1人が1つのアクティビティをやっているのではなくて、同時にいくつか選択している 場合があるわけです。学校に通いながら、能力開発もし、就業もしている。この就業率 のときにそのアクティビティで問題になってくるのは、副業の問題なのです。  人数でといったときに、実は統計でいうと、国民経済計算の場合には人数が出ていま すが、あれは副業をしている場合には2人とカウントしているわけです。仕事がいくつ あるかという数え方です。ところが労調とかほかのだと、副業していたって、それは1 人という数え方です。実は副業の問題というのは、今後の雇用管理の柔軟性であるとか というときに、非常に重要な問題になってきて、特に兼業禁止規定の問題を、高齢者と は限りませんが、そこをどう考えていくのかというのは、例えば柔軟な移行過程を考え たときに、いままで60歳までは1つの企業でずっと働いていますと。それで、ある日か ら、今度は別の経営体に動くという形になって、中にはワークシェアリングの議論じゃ ないですが、パートを2つやるとか、あるいは自営業で開業しながら勤めもしますと か、いくつかの企業で、高齢者活用等の面でもう既に始まっているところがあります。 そういったところを模索する動きがあります。  兼業の問題をどうするかというのは、この労働力率を考える上では、重要なポイント になってくるだろうと思います。だから、時間という話もそこから出てくるのではない かと思います。 ○佐藤委員  兼業ということで、例えば、転職とか開業のときに、副業から入って本業にシフトす るというのはすごく大事だと思いますが、実態を見ると、就調で副業者の比率が出ます が、雇用者の本業でというと全体で落ちてきているのです。  背景を見ると、1つはやはり長時間労働です。本業が長時間化しているから、副業が できなくなっているということと、もう1つは企業の就業規則の兼業規定の調査をする と、10年前と比べて、兼業禁止を入れている所が増えているのです。どういうことかと いうと、情報管理です。セキュリティで、社員の副業の管理が以前よりもきつくなって いる。これはまだ厳密に分析していないのですが、世の中は副業、副業と言っているの ですが、実態としても減っているし、企業も副業についての管理をきつくしているとい うのが実態です。そこは樋口委員が言われるように、きちっと議論したほうがいいかな ということが1つです。  あと2つあるのですが、1つは能力や意欲がある人に、できるだけ働いて社会につな がりを持ってもらうというふうにすると、雇用セクターだけではなくて、自営業セクタ ーでの働き方があると思うのですが、全体としても、まだまだ雇用分野を想定して議論 しているのかなということがあります。開業支援とか、その辺のところをどうするか。 それは雇用創出にもつながるので。それだけではなくて、高齢者の働き方を見ると、高 齢者の就業率は高いですけど、60歳代後半になってくると、ほとんど自営業でしょう。 残っている人は自営業なんですよ。  ですから、自営業セクターが減るということは雇用創出の問題もありますが、高齢期 の就業機会を減らすことになるので、ただ、定年を終わってから開業なんかできないの で、普通30代、40代で自営化した人は60代も働き続けられるということなので、労働力 率を高めるということは就業率を高めることだから、自営業セクターも含めて、少し議 論したほうがいいかなというのが2つ目です。  3つ目は、先ほど小杉委員が言われた若年者やパートのところなのですが、これはボ ランティアなど書かれていますが、学校を卒業してからアルバイト等をやっている人た ちは、そんなに減らないだろうと。そうすると、基本的にはその先です。先ほどの能力 開発にも関わるわけですが、アルバイトでも能力開発になるような仕事もあるし、そう いう仕事をちゃんとすれば、アルバイトの職業能力をちゃんと評価してあげて、例えば 社員登用とか、あるいはほかに正社員にエントリーしたときにアルバイトの期間をちゃ んと評価してあげるというように、その次の就業形態につながるところをどう作ってい くのかという政策がすごく大事なのかなと思います。若年者がアルバイトに就くのを減 らすという、入口で減らすのは無理だと思うので、入った後、その先どうフルタイムの 仕事につなげていくかというところだと思います  アルバイトでも、次のフルタイムの仕事につながるような仕事を企業に用意してもら わないといけないですし、それをちゃんと評価して、フルタイムに移っていくように支 援するというのは、すごく大事だと思います。これはパートも同じです。高学歴非労働 力層がたくさんいるのですが、これはパートで入職しないからです。まずはパートでい いのですが、パートで入って、大卒女性など、次にいく仕事を作っていくと。そういう 意味で、次のキャリアをどう作っていくか。パートなりアルバイトを次のキャリアにつ なげる支援をどうするのかというのがすごく大事だと思いました。 ○樋口委員  いちばんいいことは次の仕事をという、今日黒澤委員が来ていればいちばんいいと思 ったのですが、高齢者が、例えば50歳のときにやっていた職種で、60歳以降の就業率が 全く違うというのが出てくるわけです。やはり専門的・技術的な職業で、技能を身に付 けている人というのは、これは需要なのか供給なのかわからないのですが、ともかく働 く人が多い。それに対して、ゼネラリスト的な人というのは、60歳で辞めていく傾向が やはりあるわけで、50代、あるいは60歳以前のキャリア形成ですか、これは諏訪委員に お話いただいたほうがいいかもしれませんが、そこのところが非常に重要なポイントで す。例えば、いままでの雇用管理というのはどちらかというと、やはり60歳で辞めても らうということを前提にした雇用管理だったわけで、60歳以降もといったら、給与体系 の変更だけではなくて、こういったキャリア管理をどうするかというポイントを入れて いかないと、難しいのではないですか。どうでしょう。 ○諏訪委員  全くそのとおりだと思います。ですから、今日ここで出ている話は、私なりに理解し ますと、労働力率の昔ながらの議論に比べて、実はもっと質的な側面をどう捉えるか。 そうすると、今度は質的な面を捉えるための指標をどういうふうに作るかという提言な のだと思います。例えば、小杉委員がおっしゃったのは、非常に重要な部分であって、 長時間労働をしている人は副業もできませんけれども、勉強もできないのです。勉強を している人は、今度は長時間労働はできないのです。  最近、同じように大学改革のために、ある調査をしました。面白いことを見つけたの です。それは何かというと、大学の授業に非常に真面目に出て、そして一生懸命聴いて いるという人は、実は自宅で勉強しているという時間は短いのです。自宅で一生懸命勉 強しているという人は、あまり授業に出ていない。1つは資格の勉強との関わりがある のだろうと思いますが、それはそうだねと我々は思ったのです。トータルでどれぐらい 勉強しているかであって、だとすると、勉強などを社会的に積極的というふうに定義し ますと、ボランティアなども含めて、こういうアクティビティをやれる時間は、可処分 時間ですから、可処分時間というのは限られているわけです、1年間8,760時間のうち の。そうしますと、これをどういうふうに配分していくかという中で、我々は就業率を 考えたり、いろいろなことをして、ある部分をこういう生産労働に使ってください、あ る部分を社会維持するようないろいろな活動に使ってくださいと、このような国のあり 方を考えていって政策をやらないと駄目です。  そうすると、1つ大事なのは指標です。経済学的にも何か意味があるし、あるいは社 会学的にも意味があるような指標をどうやって作り出していくか、ということではない かという感じがします。  今日これを見ていて、おやっと思ったのは、別に足りないなら次にやっていただけれ ばいいのですが、1つは、失業率の問題は今でも重要は重要でありまして、そのうちで 女性の均等政策などを考えるときには、日本の女性の高学歴の失業率は、ご存じのとお り、国際的に非常におかしな動きをずっと示してきたわけです。  それは何かというと、男でも女でも高学歴のほうが一般的に失業率が低いというのが 先進国の動きです。しかし日本は、女性がついこの間まで、高学歴のほうが失業率が高 かったのです。結局女性に、まさに適切な雇用機会が与えられていなかった、活用され ていなかったということです。これが均等法以降、少しずつ改正されてきていますが、 でも今、諸外国に見られるほどの差ではないのです。別に学歴が高くない人たちが失業 率が高くていいなんて言っているわけでは全くありませんが、日本の場合には、やはり こういう需要の側において、きちんと質がうまくいろんな意味で考慮されていないとい う問題の1つの例だろうと思います。高齢者の活用とか、そのほか若者の活用とか、い ろんな部分にきっとたくさんあるのだろうと思います。  この部分に関しても、我々は切り込んでいきませんと、少子化で、全体に絶対的な労 働力が減っていかざるを得ない。そうなりますと、それをカバーするためにはどうして も全体の生産性を上げなければいけないというときに、こうした部分を言わなければい けない。私などできませんから、総論でこう言うだけですので、これを具体的に何か指 標で示してやっていきませんと、政策目標も立たないのではないか、また政策効果も判 定できないのではないかという気がいたしております。 ○大橋委員  指標というのは、すべての年齢階層、あるいは性について作るのは難しいと思いま す。だから、かなり年齢別とか性別にならざるを得ないと思います。そこで、例えば高 齢者の場合には、まだ働きたいという人がどれぐらいいるかというのは1つの指標にな ると思います。年齢、あるいは性ごとにそういう指標をきちっと捉えるという作業が必 要なのです。いままでの議論でも、それに似た指標は出ていると思うのです。ただ、そ れを体系的に整理するところまでは、まだ行っていないと思います。 ○樋口委員  1つは時間配分を、国民生活基礎調査とか時間調査を使って、アクティビティ別に平 均的な、こういう年齢層の、これをやっている人はどれぐらいいるとか、1週間の時間 配分が24×7時間のうち、何時間が仕事に使われて、何時間が能力開発に使われて、と いう調査はありますから、それから出してくるとかいうことはあるかもしれないです ね。それで、積極的社会との関連指標とかいうようなものを示すという形で。大変かも しれないけど。 ○大橋委員  そういう指標がないと、たしかに労働力率を高めようとか、低めようとかって言いづ らいですよね。 ○樋口委員  そうなんですね。 ○諏訪委員  就業率を高めても、社会的活動を誰もやらなくなってしまってということになった ら、社会全体としては不幸になってしまうので。 ○小野座長  先ほど、樋口委員が50歳代の職種が60歳代の就業率に影響するということでしたが、 そのものではないのですが、35頁に「就業形態別就業希望者割合」というのがあるので す。60〜64歳、65〜69歳で、これは男性と女性に分かれています。例えば、女性の65〜 69歳というのは「普通勤務で雇われたい」とか、「短時間勤務で雇われたい」とか、こ ういうふうになっていますが、普通勤務というのは19.9%でしょう。これは高齢者就業 実態調査で出てくるのだけれど、こういうことを言っている人たちの職業というか、産 業、あるいは職種、そんなのはわかるのですか。 ○大橋委員  わかります。 ○小野座長  そういうので見ていけば、どういう職業の人が60歳代後半層になっても、まだ普通勤 務で働きたいと言っているか、そんなようなことはわかりますね。  この資料に関して、ほかに何かご意見ございますか。また、この問題に戻って結構な のですが、前回までいろいろ先生方から問題点をご指摘いただきました。事務局がその ための資料を用意なさっています。 ○中井雇用政策課長補佐  それでは、資料2の74頁以降を簡単にご説明します。  前回のときに、高齢者の自営、家族従業者を産業別に大分類で見たわけなのですが、 それを細かく見るとどういう産業に就いているのかという、これは樋口委員からご指摘 があったことだと思います。全体としては74頁で1995年から2000年にかけて、農林漁業 の低下幅が割合としては大きいという話をした一方で、卸売・小売、サービスなどの割 合が上がっているという話だったかと思いますが、それをやや細かく75頁以降から見て います。これは「国勢調査」でございますが、農林漁業については、農業、林業、漁 業、水産、養殖ということでしか分けられなくて、素直に農業は減っているということ かと思います。  76頁では、卸売・小売業、飲食店の自営、家族従業者の構成比割合ということです と、60〜64歳、65歳以上、いずれも一般飲食店の上昇幅が大きい。60代前半について は、その他卸売・小売なども入ってまいりますが、そういったものが上昇しているとい うことかなと考えています。  77頁ですが、サービス業ということですと、その内訳で特に洗濯・理容・浴場業、ク リーニング屋さんなどもイメージしていただくのかと。あるいは理美容ということでし ょうか。あとは、その他の事業サービス業ということで、その内訳は派遣とか、警備業 なども入ってくるのですが、そういった所の上昇の幅が大きくなっているという結果に なっています。  最後に78頁ですが、これは前回の資料の中で、共働き世代の割合が下がっているとい うご報告をしたのですが、今日はご欠席ですが、八代委員のほうから、働いている世代 を母数とすべきではないかというお話がありまして、それで計算し直してみますと、働 いている世帯に占める共働き世帯は上がっているというような数字になっています。 ○小野座長  働いている世帯を分母にしたのですね。 ○中井雇用政策課長補佐  はい。前回は全世帯ということでしたので、前回の資料をまた後でご覧になっていた だければと思いますが、それを見ると、例えば90年に48.1%という数字だったのです が、2003年には44.2%ということで、低下しているという姿になっています。逆にいう と、働いていない世帯が増えているということになろうかとも思うのですが、働いてい る世帯のうちの共働き割合は上がってきているというような数字になっています。  あと、推計がらみでいくつか、まだ宿題をいただいていたと思いますが、推計作業の 中で整理をさせていただくということで、以上でございます。 ○小野座長  この追加的な説明も含めて、前の議題に戻っても結構ですが、また引き続きご議論を お願いしたいと思います。 ○樋口委員  どうもありがとうございました。要求ばかりしまして。これで60歳代前半の自営業の 減少というのは、農業が非常に大きいということがわかったわけです。50歳代後半から 60歳代に移行する過程で、産業転換、あるいは就業形態の転換が非常に大きく起こりま す。これをそのまま文字どおり、例えば60歳になれば自営業を始めます、あるいは農業 はいままでは始めていましたというふうに考えていいのかですね。それとも統計上のト リックがあると考えるか。  それは何かというと、産業分類を主たる就業形態、仕事で分けていく。そのために本 来50代後半でも、農業をやりながら勤めていましたと。勤めのほうが主たる仕事でした と。そのときは雇用者でしたというわけですね。ところが、60歳で定年を迎えて、その 主たる仕事がなくなったので、残ったのを見たら、いままで副業だった農業が残った。 そうすると農業従事者です、というようなことであって、どうも私はそちらのほうが強 いのであって、60歳になってから突然農業を始めますとか、自営業を始めます、開業し ましたという人はそんなに多くはないのではないかと思います。  そうすると、50代後半の、要するに兼業という捉え方で考えると、その流れというの はスムーズに移行してきているというようなことになるわけで、このことはやはり60歳 になったから何か始めるということではなくて、その前から、やはりいろいろなものを やっているということが大切なのではないかというふうに思うということで、これは非 常にありがたいデータでした。 ○佐藤委員  兼業の場合は60歳から農業をするというのもあると思うのですが、自営業の場合は普 通、開業年齢というのは40歳前後です。30代後半から45歳ぐらいまでで、50以上の開業 というのはほとんどないから、基本的には60を過ぎると、雇用者がリタイヤして自営業 の比重が増えるということで、自営業の人はもともと自営業だった。50、60で自営業に なっている人は例外的だと考えたらいいと思います。農業はちょっと兼業の問題がある から別ですが。 ○樋口委員  そのときにも、実は兼業で、50代前半、農業と勤め人。 ○佐藤委員  それはあると思います。 ○樋口委員  勤め人がなくなってしまったために、書くのは農業という書き方になる。 ○佐藤委員  それはあるかもしれません。 ○大橋委員  雇用と自営業の間にボランティアというのは非常に近いのではないかと思います。と いうのは60で定年して、それで自分たち仲間が集まって何かやり出したと。これは、か なり儲からないのですよ。彼らはボランティアだと言っているのです。でも、少しです が、一応お金は取っているのです。そういうボランティアは結構あるので、自営業と雇 用の間にボランティアを少し入れてみてもいいかもしれませんね。自営業プラスボラン ティア。 ○樋口委員  日本では統計がないのでやったことがないのですが、アメリカに行ってやったことが あって、アメリカの企業は63歳で自発的に辞める人が多いわけです。年金の支給開始年 齢は、公的年金は65歳、企業年金は63歳からです。63、64と何をやっているのかという と、アクティビティ・ベースで調べると、やはりボランティアとか、あるいは今おっし ゃったようなものに近いような、今までやってきた経験を生かしながら、ちょっとやる と。ただ、フルにはやりませんよという人たちが多いのです。その人たちがときどき労 働力率としては、カウントされていないのです。ですから、ガタンと落ちるように見え るのですが、そういうことがあるみたいです。 ○佐藤委員  やはり樋口委員や諏訪委員が言われたように、時間配分がわかるといいです。働いて いる時間と勉強している時間とか、それ以外の活動みたいなものを合わせると、「社会 制度基本調査」で年齢階層別に時間配分がどうなっているかというのは、すごく大事か もしれないですね。特に60代を含めて。意外なのは、本当は勉強しなければいけない層 が忙しくて勉強できなくて、暇な人が勉強していると出るかもしれないですね。ちょっ とそれは見たほうがいいかもしれませんね。 ○大橋委員  雇用政策研究会としては、やはり労働力率は高ければ高いほどいいのですか。労働時 間は短ければ短いほうがいいでしょうか。というのは、基本的に労働者が考えて、働く かどうかは自分で決めるわけですから、そういう点では労働力率が高まれば、それだけ 自分の選択肢が増えるわけだからいいというふうに割り切らないと、議論できないなと いう気がするのです。 ○樋口委員  希望というのは、ある制度の中とか、制約の中での希望なわけです。だから、ときに は制度・制約があるが故に、例えば130万円の壁があるという形で、個人の希望を変え ている可能性があって、それはちょっと希望に沿っているとは言えないだろうという。 ○大橋委員  そこが大変気になったのですけれども、どうもその議論をしていると、全体にマクロ の議論ができないので、もういっそ立場として、労働力率は高ければいいと。例えば、 高齢者の就業率は国際的に見て高いと。文句言うなと。高齢者が自分で選択している結 果なのだからと。ただ、それは生活が大変低いレベルで、どうしても不均衡で働かなき ゃいけないという人が多ければ、これは問題だと思うのですね。だから、その辺の立場 をはっきりさせてしまって、高ければ高いほうがいいよと。 ○小野座長  それは事務局がお答えになる問題ですが、ただ労働力率が高ければ高いほどいいとは 一概には言えないですよね。失業率が高いのでは困るわけです。だから、ここでは就業 率なのです。就業率を高めてもらいたい。もちろん、ほかにいろいろ問題もあるわけで すが。就業率を高めるということでいいですか。そういうことを基本に考えて、議論を するということでいいですよね。 ○青木職業安定局長  いまのご議論なのですが、かなり前からいろいろな機会がありまして、政治家の勉強 会で聞かれたことがあります。当時は、ヨーロッパやアメリカではコア失業者というの がいて、今も、たぶんたくさんいると思います。日本でそういうものを作ったらおしま いだと。生産性が高いといっても、思いっきり生産性の高い立派な働き手がいる。片方 で、一生、お父さんも、おじいさんも、お母さんも働いているのを見たことがないとい うのがある。そういうのと、みんなが細々ながらも何かして生活しているという社会が ある。どちらがいいのかねと政治家の方に聞かれたわけです。  やむなく、我々は役人だから、どちらがいいとは決められません、それはまさに政治 が判断するお話じゃないでしょうか、というようにお答えをしました。そのときは与党 の先生方でしたが、やはりみんな少しずつ稼ぐのかね、というので一致したような記憶 がございます。要するに結果は同じでも、どれだけの人が手をかけたかで、世の中の活 力が違うのではないかと思っている方が多かったように思いました。 ○樋口委員  選択肢が多いのがいいのではないですか。 ○大橋委員  選択肢というのは、データ的に把握しにくいでしょう。 ○樋口委員  ただ、例えば長期的に考えたときに少子化問題をどう考えるかといったときには、や はり就業よりは子どもを持ちたいという人もいるとかですね。だから、就業率一辺倒が いいかどうかというよりも、選択肢を拡大するという、そのための指標というのは難し いですが。自分の希望どおり生きているかとか、そういう話になってくるわけです。 ○佐藤委員  社会とのつながりという点では、もちろん働くというのもあるけど、勉強するという のもあるし、社会活動もあるから。どれもやっていないというのはやはり問題です。人 と人とのつながりがないような状況がいいということではない。だから、働かなくて も、勉強したり、何か外とのつながりを持てていればいいのだと思います、選択の結果 として。 ○小野座長  私もそう思います。青木さんがプロダクティビティのお話をなさったが、プロダクテ ィビティのほかに、やはりみんな何らかの活動をしていて、社会のいろいろな活動に、 その結果関わりを持っているほうが望ましいですね。もちろん、プロダクティビティも 大変重要ですけど、社会とのつながりが維持できているということは、大変重要だと思 います。 ○樋口委員  つながり率のほうがいいですね。 ○小野座長  そうそう。 ○樋口委員  例えば、専業主婦だって、就業という意味ではしていないわけですが、いろいろなア クティビティをやっている人もたくさんいるし、子育てというアクティビティもある し、ボランティアもあるし、つながっているということもあるわけです。 ○諏訪委員  こういうふうに、これから質を考えなければいけないというのが非常に大変で、困っ た部分ですね。今までは一緒くたに、しかも平均値でやって、それで何とかなったので すが、これからはそうはいかないというのが厄介ですね。 ○小野座長  事務局のほうから何か、委員の方々にお聞きしておきたいことはございますか。 ○勝田雇用政策課長  社会とのつながりみたいな話が出て、1つはいろいろな形での勉強とかがあるのでし ょうが、実はいま拝聴していまして、大学生とか、大学院性の一部でも、仕事が見付け られないからとか、モラトリアム型の者も結構多いのではないかとか、そういったこと も含めて考えたときに、質を評価するために、もっと難しくなるなということを思って いました。雇用政策ないし仕事という面で考えれば、1つは、やはり労働力率だけでな く、就業率の考え方をもう少し前面に押し出していくことになるのだろうと。  あとは、質の問題の中で、選択肢の話の中にまさに労働時間の選択も含めて、個別の 対応みたいなものをどう入れていくかとか、あるいは就業率だけではなくて、マンパワ ーとしての就業率のようなものをどう考えていくか、という方向で少し考えるのかなと 思います。そうしますと、パートの130万円の話ですとか、そういったものを含めて、 政策的な対応をこの研究会でさらにご議論していただくという方向になるのかなと、ち ょっと思ったところです。 ○小杉委員  社会参加だけでは、やはり駄目だと思うのです。特に若い人の問題などを見ている と、やはりそうじゃないのです。やはり就労に参加するという目標のところまで引き上 げられる人は引き上げなければいけないと思うので、それはたぶん年齢などで違ってく るのだと思いますが、社会参加していればいいという問題ではまずないと思います。こ の中でやることは、多くの人に労働に参加するという意味での労働力率という考え方 も、社会参加だけでは駄目で、それも絶対に必要なことだと思います。 ○樋口委員  別の話ですが、就業率といったときの分母ですが、例えばEU、OECDでは15歳か ら65歳という人口を取っているという話ですが、65歳でいいのかということです。下の ほうはたぶん15歳だろうと思います。上のほうは、今まではたぶん、この間も申し上げ たのですが、厚生労働省のスタンスというのは65歳までの雇用をターゲットに施策を取 ってきた。どうなんでしょうか、そこのところは。 ○諏訪委員  私は前から、それは健康寿命だと言っているのです。だから、男女で違ってくるので す。平均値ですが、男は72歳で女は78歳です。そうなってくると、これを分母にしてや ってみれば、事実上、仮に国民総動員法みたいなものがあったら、総動員できる部分の うちのある比率なのです。非常に誤解を招く発言で、あとで切りますが。 ○佐藤委員  下のほうも15歳でいいかというのがあります。 ○樋口委員  15歳か18歳か。 ○佐藤委員  みんな高校に行っているものね。 ○諏訪委員  義務教育で切るか、やはり高校までにするほうが実態に合っているのかもしれない。 実験的にいくつかの指標を作ってみるということなのかな。伝統的なもの、また他方、 国際比較できないといけませんから。それから、もう少し本当に雇用政策を考えるとき に現実的にありうるような。男女で年齢を別にするというのは問題になるのかもしれま せんけど。 ○勝田雇用政策課長  いまのお話ですが、私どもよく作っている資料は、やはり15〜64で国際比較に耐える ものと、健康年齢というのはあまり作ったことがないものですからあれですが、15以上 すべてで作っている場合と、やはり両様で考えています。それで今回の資料も、年齢別 の就業率という形で、15以上で刻みで、65歳以上まで含めた年齢別を出させていただい たという状況です。 ○諏訪委員  ただ、65歳以上は、これからは言うまでもなく後期高齢者があんなに増えていきます から、やはりそれは健康寿命みたいなものを。これはちゃんと厚生労働省が他方で出し ているわけですから、あれを使えば、ごく簡単に出ますので、1つの参考例としていい のではないかと思います。 ○小野座長  健康寿命というのは平均寿命ではないわけですね。 ○諏訪委員  元気に社会的活動に参加できるような年齢というと、男性は72歳で、女性は78歳ぐら いらしいですね。 ○青木職業安定局長  その間ずっと仕事をしていただくのか、人生を仕事以外の社会的な活動を行っていた だくのか。 ○諏訪委員  そこで、先ほどの社会的な有意義な活動をしたり、いろいろなものを含めてなので す。 ○大橋委員  若年層について、フリーターをやっていて、私のいろいろ教えていた学生の経験で は、モラトリアムをやっていて、留年していて、一応自分が就職すると決めたときには 素晴らしい働き方をする者も結構いるのです。いま問題になっているのは、それができ るかどうかというのが非常に問題で、気持の整理というのは、特に高校生ぐらいには要 ると思うのです。自分の同期が大学に行って、面白そうに遊んでいると。そうなったと きに自分が働けるのは生産現場とかね。そういう状況に直面した学生が、自分の気持を 整理して、後をちゃんとやってくれたらいいと思うのです。その後の、ちゃんとやれる かどうかというところは、調査はあるのですか。 ○小杉委員  気持を整理できた学生は、その後うまくいくかどうかということですか。 ○大橋委員  いや、できたかどうかはデータが取れませんので、モラトリアムのような形でやった 学生はその後どうなっているのか。意外にちゃんと就職しているのではないかというの が私の印象なのです。 ○小杉委員  フリーターの調査で、モラトリアム的なもので入った人たちが、辞めて正社員になっ た比率とか、そういうのは大抵取っているのですが、フリーターになって2年以内に脱 した人は結構うまくいっている。 ○大橋委員  モラトリアムも2、3年までと。わかりました。 ○樋口委員  慶応のほうで、21世紀COEで調査をやっていたのですが、卒業して2年後にフリー ターになった人と正社員になった人の、5年後、10年後の所得、雇用形態がどうなって いるかをみたのですが、これは明らかに差がありました。婚姻率にも差がありました。 ○中井雇用政策課長補佐  49頁で、少しフリーターの企業の見方みたいなものがあって、やはり年齢が上がれば 上がるほど厳しくなるというのは、先ほどご指摘があったとおりだと思います。 ○小野座長  企業のフリーターに対する評価ですね。 ○中井雇用政策課長補佐  よく言われるのは、25歳より上にいくと、だんだん見方が厳しくなるということで す。 ○小野座長  年齢の上限があるということですね。そろそろ予定した時間がまいりました。事務局 から何かアナウンスがありましたら、どうぞ。 ○中井雇用政策課長補佐  本日、またいろいろご指摘いただきましたので、こちらで整理させていただきます。 次回の第6回につきましては、2月1日(火)の18時から20時ということで、場所は本 日と同じく5号館17階、専用第21会議室で開催させていただきます。よろしくお願いい たします。 ○小野座長  これで終わります。どうもありがとうございました。 照会先 厚生労働省職業安定局雇用政策課雇用政策係 TEL:03−5253−1111(内線:5732) FAX:03−3502−2278