厚生労働省設置法第9条第1項第1号の規定に基づき、別紙「障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案要綱」について、貴会の意見を求める。
平成17年1月21日
厚生労働大臣 尾辻 秀久
| 障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案要綱 |
一 | 精神障害者の雇用の促進
(一) | 雇用義務等に関する規定の適用に当たっては、精神障害者のうち精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている者((二)及び(三)並びに二において「精神障害者」という。)である労働者等を雇用しているときにはその数に相当する身体障害者又は知的障害者である労働者等を雇い入れたものとみなすものとすること。 |
(二) | 納付金関係業務に関する規定の適用に当たっては、精神障害者である労働者はその数に相当する身体障害者又は知的障害者である労働者とみなすものとすること。 |
(三) | 雇用義務等及び納付金関係業務に関する規定の適用に当たっては、精神障害者である短時間労働者等を雇用しているときには、これを厚生労働省令で定める数(注)に相当する身体障害者又は知的障害者である労働者等とみなすものとすること。 (注)二分の一とする。 |
|
二 | 障害者雇用納付金制度における障害者の在宅就業に関する特例
(一) | 在宅就業障害者(自宅その他厚生労働省令で定める場所において業務を自ら行う身体障害者、知的障害者又は精神障害者をいう。以下同じ。)との間で在宅就業契約(物品の製造、役務の提供その他これらに類する業務を行う旨の契約をいう。以下同じ。)を締結し、当該在宅就業障害者に当該在宅就業契約に基づく業務の対価を支払った事業主に対して、在宅就業障害者特例調整金又は在宅就業障害者特例報奨金(報奨金支給対象事業主に限る。(二)において同じ。)を支給するものとし、在宅就業障害者特例調整金を障害者雇用納付金の額の減額に充てることができるものとすること。 |
(二) | 在宅就業支援団体(在宅就業障害者に対する援助の業務に係る厚生労働省令で定める基準等に適合する旨の厚生労働大臣の認定を受けた民法第三十四条の法人等をいう。以下同じ。)との間で締結した物品の製造、役務の提供その他これらに類する業務に係る契約に基づき当該在宅就業支援団体に対して対価を支払った事業主に対しても、当該契約の履行に当たり在宅就業支援団体が在宅就業障害者との間で締結した在宅就業契約に基づく業務の対価として支払った部分の金額に相当する金額について、在宅就業障害者特例調整金又は在宅就業障害者特例報奨金を支給するものとすること。 |
(三) | 在宅就業障害者特例調整金の額は、調整額(障害者雇用調整金の単価以下の額で政令で定める在宅就業単位調整額に評価基準月数を乗じて得た額をいう。)に、事業主が当該年度に支払った対価の総額を評価額(障害者である労働者の平均的な給与の状況その他の状況を勘案して政令で定める額に評価基準月数を乗じて得た額をいう。)で除して得た数(その数に一未満の端数があるときは、その端数は切り捨てる。)を乗じて得た額(各月における当該事業主の雇用する身体障害者等である労働者の数の合計数に在宅就業単位調整額を乗じて得た額を限度とする。)とするほか、在宅就業障害者特例調整金等に関し必要な事項は、政令及び厚生労働省令で定めるものとすること。 |
|
三 | 障害者雇用促進施策と障害者福祉施策との有機的な連携等
(一) | 国及び地方公共団体は、障害者の雇用の促進及びその職業の安定を図るために必要な施策を、障害者の福祉に関する施策との有機的な連携を図りつつ総合的かつ効果的に推進するように努めなければならないものとすること。 |
(二) | 障害者職業センターは、精神障害者について職業評価等の業務を行うに当たっては、医師その他の医療関係者との連携に努めるものとすること。 |
|
四 | その他
(一) | 特例子会社制度(子会社が雇用する労働者をその親事業主が雇用する労働者とみなすことができる特例をいう。)に基づき親事業主に対して支給する障害者雇用調整金、報奨金等については、高齢・障害者雇用支援機構は、当該親事業主又は当該子会社のうちのいずれかに対して支給することができるものとすること。 |
(二) | 助成金等に関し、職場適応援助者による援助に係る助成金の新設、障害者となった労働者の雇用の継続のため講ずる措置に係る給付金の統合等を行うとともに、助成金の支給業務の対象に厚生労働省令で定める障害者を加えるものとすること。 |
(三) | 納付金関係業務として、障害者の技能に関する競技大会に係る業務を行うものとすること。 |
(四) | 罰金額の引上げその他所要の規定の整備を行うものとすること。 |
|
五 | 施行期日等
(一) | この法律は、平成十八年四月一日から施行するものとすること。ただし、三並びに四(一)、(二)及び(四)については、平成十七年十月一日から施行するものとすること。 |
(二) | その他所要の規定の整備を行うものとすること。 |
|
障害者の雇用の促進等に関する法律の
一部を改正する法律案要綱の主な内容
(1)障害者雇用率制度の適用
○ | 雇用率制度の適用に当たって、精神障害者(精神障害者保健福祉手帳所持者)である労働者及び短時間労働者を各事業主の雇用率の算定対象とする(短時間労働者は1人をもって0.5人分)(法定雇用率(1.8%)は現行どおり)。 |
(2)障害者雇用納付金制度の適用
○ | 納付金の徴収額、調整金・報奨金の支給額の算定に当たって、上記(1)と同様に取り扱う。 |
|
○ | 在宅就業障害者(自宅等において就業する障害者)に仕事を発注する事業主については、障害者雇用納付金制度において、特例調整金・特例報奨金の支給を行う。 |
○ | 事業主が、在宅就業支援団体(在宅就業障害者に対する支援を行う団体として厚生労働大臣の認定を受けた民法第34条の法人等)を通じて在宅就業障害者に仕事を発注する場合についても、同様に取り扱う。 |
|
(1)有機的な連携
○ | 国及び地方公共団体は、障害者の雇用促進施策を推進するに当たって障害者福祉施策との有機的な連携を図るものとする。 |
(2)その他
○ | 職場適応援助者(ジョブコーチ)による援助を行うことに対する助成金の創設、特例子会社に係る調整金・報奨金の支給先の範囲拡大その他所要の改正を行う。 |
|
【施行期日】
平成18年4月1日(ただし、(3)(1)及び(3)(2)の一部については平成17年10月1日)
精神障害者に対する雇用率の特例適用について
○ | 現行の実雇用率の算定式
実雇用率 = |
雇用する身体障害者及び知的障害者の数 ―――――――――――――――――― 雇用する常用労働者の数 |
|
|
○ | 精神障害者保健福祉手帳所持者を各企業における実雇用率に算定
実雇用率 = |
雇用する身体障害者及び知的障害者の数 + 雇用する精神障害者の数 | ―――――――――――――――――― 雇用する常用労働者の数 |
|
|
○ | 短時間労働の精神障害者についても0.5とカウントし、実雇用率に算定
週所定労働時間が20時間以上30時間未満の短時間労働者である精神障害者について、0.5とカウントし、実雇用率を適用する。
|
|
(参考)法定雇用率は現行(1.8%)のまま
障害者雇用率 (法定雇用率) |
= |
身体障害者及び知的障害者である常用労働者の数 + 失業している身体障害者及び知的障害者の数 | ―――――――――――――――――――――― 常用労働者数 + 失業者数 |
|
※ 精神障害者・・・精神障害者保健福祉手帳所持者
在宅就業障害者特例調整金等の算定式
|
= |
|
× |
事業主が当該年度に支払った対価の総額 ―――――――――――――――――― 評価額#2
|
|
|
(注) | 1未満の端数は、切り捨てる。 次ページにおいて「N」と表しているもの。 |
|
#1: | 在宅就業単位調整額(障害者雇用調整金の単価以下の額で政令で定める額)× 評価基準月数 |
#2: | 障害者である労働者の平均的な給与の状況その他の状況を勘案して政令で定める額 × 評価基準月数 |
※ | ただし、在宅就業障害者特例調整金の額は、「各月における当該事業主の雇用する身体障害者等である労働者の数の合計数 × 在宅就業単位調整額」を限度とする。
|
※ | 報奨金支給対象事業主に支給される在宅就業障害者特例報奨金も、上記と同様に算定。 |
在宅就業障害者に関する特例の適用イメージ
(1) | 事業主が当該年度に支払った対価の総額(ある企業の年間の在宅就業障害者への発注総額) ÷ 評価額 = N |
(2) | Nの数に乗じて得た額を、在宅就業障害者特例調整金として当該発注企業に支給 |
注)報奨金支給対象事業主に支給される在宅就業障害者特例報奨金も、同様に算定。
<雇用率達成状況とパターン(イメージ)>
|