第29回職業安定分科会 議事録


1 日時 平成17年1月14日(金)17:30〜18:00
2 場所 厚生労働省職業安定局第1会議室
3 出席者
 委員 (公益代表)
  諏訪分科会長、大橋委員、椎谷委員、清家委員、林委員
(雇用主代表)
  石原委員、紀陸委員、成宮委員、尾崎委員代理(深澤氏)
(労働者代表)
  市川委員、須賀委員、堀委員、

 事務局 青木職業安定局長、大石職業安定局次長、大槻審議官、
 岡崎総務課長、生田雇用保険課長、内田雇用開発課長

 議題
(1) 雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱について
(2) 新潟県中越地震に係る雇用調整助成金の特例措置について

 議事内容

○諏訪分科会長
 定刻となりましたので開会させていただきます。最初に、議事に先立ちまして、職業安定分科会の委員に交替がありましたので、ご報告をさせていただきます。公益代表委員で樋口さんがご退任されまして、このたび清家篤さん、慶應義塾大学商学部教授がご就任されました。また、樋口さんは、労働力需給制度部会委員にも就任されていましたので、当該部会でも交替が必要となりました。そこで、部会委員につきましては分科会長である私の指名によることとなっていますので、これに基づき、後任として清家委員を指名させていただくことにしたいと思います。それでは清家委員から一言お願いしたいと思います。

○清家委員
 慶應大学の清家です。よろしくお願いいたします。

○諏訪分科会長
 よろしくお願いいたします。
(出欠状況報告)

○諏訪分科会長
 それでは、早速議事に入ります。最初の議題は、「雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱について」です。昨年1月23日、当分科会の答申を受けまして国会に提出されました「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律等の一部を改正する法律」、これが去る12月1日に成立し、8日に公布されたところです。そこで、本日付けでこの法律の施行を行うため、厚生労働大臣から「雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱」について諮問を受けております。本件につきましては、関係者等への周知期間を考慮いたしますと、できるだけ早い時期に検討結果を省令等に反映する必要があります。このため、一昨日の1月12日と、本日の午前中に雇用保険部会を開催いたしまして、あらかじめご検討をいただきました。そして、同部会におきましては、厚生労働省作成の省令案要綱について部会としての了承が得られたところです。したがいまして、本来その報告を、まず部会長である私から行うということになりますが、何分にも分科会長と兼務いたしておりますので、その審議経過につきましては、事務局から代わってご報告をいただきたいと思います。また、併せて今回の諮問案件のご説明もお願いしたいと思います。

○雇用保険課長
 それではご説明させていただきます。雇用保険課長の生田です。よろしくお願いします。まず最初に、本日の諮問案件についてご説明をいたします。お手元の資料1を御覧下さい。資料1の1頁目は諮問文です。諮問対象になっているのは、2頁目と3頁目にある雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱です。この縦書きの内容を見やすく横書きにしたものを用いましてご説明をしたいと思っておりまして、その後ろに資料2というのが付いております。資料2の1頁目と2頁目を用いましてご説明をいたします。
 資料2の1頁目は、大きく2つに分かれております。1つは育児休業給付の給付期間の延長の問題です。それからもう1つが、期間雇用者の取扱いの問題です。この2つが省令事項なのですが、この省令事項の内容を定めるに当たっては、資料が飛んで恐縮ですが、資料3の1頁目のところにありますこの内容に従いまして、整理をさせていただいたということです。この資料3の1頁目というのは、当分科会におきまして雇用保険部会の報告書をご報告し、ご了承いただいたもの、その報告書の内容をまとめたものです。今回の省令事項についての諮問の前提といたしまして、育児・介護休業法の改正と、併せて雇用保険法の改正をしているのですが、その内容につきましてのご議論をいただいているところです。その内容に沿った省令の見直しということです。この頁のポイントだけ抜き出してご説明いたしますと、まず見直しの必要性のところでは、育児・介護休業制度の見直しに合わせて、休業給付についても見直すべきだということが最初の○に書いてあります。2番目の○に、この改正に当たりましては「雇用継続を援助・促進する」という、雇用保険制度の一環として制度化された趣旨を踏まえるとともに、財政中立になるように配慮するというご指摘があります。
 それから見直しの方向ですが、(1)にありますように、育児休業給付期間の延長につきましては、育児・介護休業法の改正による育児休業期間の延長に合わせて最大1歳半まで延長するということで、延長に合わせた内容で対応するということにされています。今回の育児休業給付期間の延長軸につきましても同様の考え方で整理をしております。 (2)の介護休業給付の受給回数の見直し、これにつきましては、介護休業の取得回数の制限が緩和されておりますが、それに合わせて回数を見直すこととされています。これにつきましては法律レベルで決着がついており、今日の諮問案件には載っておりません。それから(3)の期間雇用者の適切な取扱いの部分ですが、これにつきましては、期間雇用者に休業の権利が付与されることになるわけですが、これに対応しまして、そのような者のうち、「雇用継続を援助・促進する」という、雇用保険制度として制度化された制度本来の趣旨に適う者について給付が行われるよう必要な措置を講ずる、というご指摘をいただいているところです。これが今回の諮問案件に対応しております。 (4)端数期間の処理の見直し、これは休業給付の支給につきまして月単位で出すわけですが、最終月につきましては、月単位ではなく、実際に休業した日割りで出すようにするものです。これも法律レベルで決着がついています。
 恐縮ですが、資料2の1頁目に戻ってください。資料2の1頁目の1、給付期間の延長の部分です。これにつきましては、育児・介護休業法の改正に伴いまして、育児・介護休業法施行規則の方でも、1歳から1歳半まで休業期間を延ばすケースについて列記をするということになっております。その育児・介護休業法施行規則で記載する内容と同様の内容を雇用保険法施行規則でも書くということです。この内容につきましては、先日開かれた均等分科会でご了解をいただいている内容のままです。まず(1)「保育所における保育の実施を希望し、申込みを行っているが、当該子が一歳に達する日後の期間について、当面その実施が行われない場合」ということで、保育の場所が見つからないというものです。それから、(2)ですが「常態として子の養育を行っている配偶者であって当該子が1歳に達する日後の期間について常態として当該子の養育を行う予定であったものが次のいずれかに該当した場合」ということで、この養育を行う予定だった配偶者の方につきまして、1から4のいずれかの事態が発生したというケースです。1が、死亡したとき、2が、負傷、疾病等が起きたとき、3が、婚姻の解消等の事情が起きたとき、4が、六週間以内に出産する予定ができた、あるいは、産後八週間を経過しないといったような事情がある場合、こういった場合につきましては、休業期間を1歳から1歳半まで延ばすのに合わせまして、給付期間も1歳から1歳半に延ばすということができるようにしようというものです。
 それから、2つ目の2です。期間雇用者の取扱いですが、この内容につきましては、先ほどの法律につきまして当分科会でご議論いただきましたときに報告された内容に沿ったものです。その○のところを読み上げます。「労働契約の期間、期間の定めのある労働契約の更新の見込み、被保険者がその事業主に引き続き雇用された期間等からみて、休業終了後相当期間の雇用の継続が認められるものであること」ということを内容といたしております。次の2頁、別紙に期間雇用者の具体的な要件ということで記述があります。この具体的な内容につきましては、雇用保険の業務取扱要領の中で明記するということです。局長通達のレベルです。2つのケースを想定しております。まず1ですが、休業終了後同一事業主の下で労働契約が更新され、3年以上雇用が継続することが見込まれており、かつ、休業開始時において同一事業主の下で1年以上雇用継続の実績があること、というものです。それから、2が休業開始時において同一事業主の下で労働契約が更新され、3年以上雇用が継続しており、かつ、休業終了後同一事業主の下で1年以上雇用が継続することが見込まれること、というものです。
 1のほうは、過去1年の雇用実績がある方について、休業終了後3年の雇用見込みがあるというものでありまして、2のほうは、過去3年の雇用実績がある方につきまして、休業終了後1年の雇用見込みがあるというケースです。このいずれかに該当した場合につきましては、期間雇用者の方につきましても、休業を取得された方につきまして給付を出すというように整理をしたものです。以上のような省令事項のご提案をさせていただきまして、雇用保険部会で、12日、それから、本日の11時からご議論をいただきました。その結果をご報告させていただきたいと思います。
 資料4に「雇用保険部会審議経緯」ということで、整理をさせていただいております。この雇用保険部会審議経緯は、雇用保険部会でさまざまなご意見が出たわけですが、本日の雇用保険部会の最後の段階で、諏訪部会長に、議論の中で、分科会のほうにご報告すべきだということで、とりまとめていただいた事項を文章化したものです。これは正確に申し上げたほうがいいと思いますので、読み上げをさせていただきます。
 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律等の一部を改正する法律の施行に伴う雇用保険法施行規則の一部改正については、本年1月12日及び同月14日の当部会での審議の結果、省令案要綱として別添の厚生労働省案がおおむね妥当であるとの結論を得た」。
 「別添」というのは、この後ろに付けてあります。先ほど諮問の対象になっているということでご報告をさせていただきました、資料1の2頁、3頁と全く同文です。
 「また、当部会としては、育児休業期間中等の所得保障の在り方について、雇用保険制度以外の制度で対応することも含め、関係部局において検討することが適当であるということで意見の一致を見た。なお、質疑において、事務局回答により、以下の事項が確認された」ということです。
 最初の○ですが「本来育児休業給付の支給を受けることができる育児休業取得者について、その支給が阻害されることにならないよう、支給申請に係る様式等の関係手続について工夫するとともに、その周知徹底を図る」ということ。それから2つ目の○ですが、「期間雇用者に係る育児・介護休業給付の施行状況に的確に把握するとともに、これに基づき速やかに必要な見直しの検討を行う」という、以上2点が確認されたところです。
 それから、経緯の中で最初申し上げたまた書きの「当部会としては、育児休業期間中等の所得保障の在り方について」という部分につきましては、公、労、使の委員の方のご意見が一致した部分でありまして、労働政策審議会の他の分科会にも関わりがあり、諏訪部会長は分科会長も兼ねておられますので、諏訪部会長・分科会長から、西川労働政策審議会長にこういうことがあったということをご報告いただくことになっております。以上です。

○諏訪分科会長
 ありがとうございました。それでは以上の報告につきましてご質問、ご意見がありましたらお願いしたいと思います。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
(異議なし)

○諏訪分科会長
 それでは、これは雇用保険部会でもすでに議論を行って了承されたところでありますので、これを受けまして、当分科会として「雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱」について、厚生労働省案はおおむね妥当と認めるということといたしまして、その旨の報告を私から労働政策審議会長あて行うこととさせていただきたいと思います。よろしいでしょうか。
(異議なし)

○諏訪分科会長
 ありがとうございました。それでは事務局に報告文案を用意してもらっています。配付をお願いいたします。ただいまお手元に配付されました報告文ですが、この案のとおりとさせていただいてよろしいでしょうか。
(異議なし)

○諏訪分科会長
 ありがとうございました。それではそのように取り扱わせていただきます。
 次の議題に移ります。次の議題は、新潟県中越地震に係る雇用調整助成金の特例措置についてのご報告です。本件につきましては、昨年の10月23日以降、断続的に発生した新潟県中越地震による災害の被災地の事業主等が、経済上の理由により、事業活動の縮小を余儀なくされ、労働者を休業等させる場合に、当該事業主等に対して支給する雇用調整助成金につきまして特例措置を講じたというものですが、この内容について事務局から報告をお願いしたいと思います。

○雇用開発課長
 雇用開発課です。資料5であります。雇用調整助成金の内容は、ただいま分科会長からお話があったとおりであります。それで、この助成金ですが、大きな災害が起こった際に、災害が長期化したりして、その地域に経済的な疲弊が起こるといった場合について、特例措置としてその地域を指定して助成金の対象にするということをやってきたところです。1頁目の過去の事例にありますように、これまで噴火や地震の大きなものということで、5つほど特例措置として発動してきております。今回の新潟県の中越地震でありますが、例えば全村避難という地域が生じていることとか、あるいは新幹線等が不通になり、かなり大きな経済的な打撃も受けているということもありまして、そうしたことから、復旧も長期化するであろうということで、11月19日に特例措置を講じたところです。
 その内容次の頁でありますが、まず対象事業主につきましては、新潟県中越地震に係る災害救助法の適用地域。これは次の頁に、一応黒塗りで地域をわかるようにしております。それからもう1つ、災害救助法の適用地域外でありましても、地震に伴う例えば新幹線等の交通の遮断等によりまして、利用者が減少し、深刻な影響を受けている事業主、この2つを支給対象としております。
 指定期間につきましては、先ほど申し上げた、平成16年11月19日から1年間。助成率は、ほかの場合と同様に2分の1、中小企業は3分の2であります。それから、対象被保険者の範囲ですが、通常は休業する方の対象要件が被保険者として継続された期間、継続して雇用された期間が6か月以上ということになっておりますが、今回学卒内定の取消しを防止したいという観点から、新規学卒者も含め、継続して雇用された期間が6か月未満の方も対象にするという形にしております。それから、事業活動の縮小を余儀なくされるという場合につきまして、一応生産量と雇用量について見ておりますが、通常は、最近6か月の平均と、前年の同じ時期の平均と比較して判断をするということになっております。地震という急激な事象によって事業活動の縮小が生じるということに鑑みまして、計画も含めまして、災害後向こう3か月間の平均と、災害前の3か月間を平均して、生産等が落ちていればいいという形で要件を組んでおります。この特例措置の内容につきまして、現在の状況ですが、タイムラグが若干あると思いますが、相談件数が、現在までに360件、計画書を交付したのが91件、実際に計画書を出していただいたのが33件、こういった状況になっております。今後またこれは増えてくると思います。以上、ご報告申し上げます。

○諏訪分科会長
 ありがとうございました。それでは本件につきましてご質問なりご意見等ありますでしょうか。

○成宮委員
 いまの雇用調整助成金の説明で、最後の事業活動の縮小等というのは、これはどの対象で見ていくわけですか。個々の事業者ですか。

○雇用開発課長
 事業所ごとに、生産量、サービス業の場合は販売量になりますが、そこの指標で見てまいります。

○成宮委員
 なるほど。

○須賀委員
 先ほどこの特例を適用させる基準として、地域における経済的な疲弊とか打撃の影響ということをおっしゃいましたが、見ていただいたらわかりますように、激甚災害のところが中心なのですが、兵庫県の豊岡、ここはご承知のように革製品の全体のシェアでいったら、バッグとかの何か7割ぐらいを生産されているような、そんな状況があるというように聞いているのです。あるいは、あそこの郷土品のような織物、特産品があるのですが、今年の台風の異常な上陸が、相当に町の経済に影響を与えているというような話を聞いて、ここで、その雇用調整助成金の適用が受けられないのかというようなことを、実は連合でも相談を受けているのですが、それとこれが、地域の経済的疲弊、打撃という意味でどう違うのか、ちょっと説明してもらえませんか。

○雇用開発課長
 この雇用調整助成金というのは、基本的に経済的な事情ということになっておりますので、直接に、災害、天災を起因として、例えば事業所が壊れるとかいう場合には、適用できないという形になっています。ということで、災害が非常に長期化する、それによっていろいろな経済的な事情が生じてくるという場合、特にそのそうした経済的な事情を生じることによって、本当に休業を余儀なくされるという場合に、かなり特例的にいま発動しております。そういったことで、先ほどちょっと申し上げたように、いままでの事例は、基本的に噴火とか、噴火の場合もこの噴火した地域については、大体全部避難という状況になっています。そうしたかなり厳しい状況に陥ったときに限定した形でやっています。雨の場合についてはこれまでやっていないわけですが、その理由としては、災害が大規模というのは確かにあるのですが、例えば水が引いてしまうとすぐに復旧のために作業が始まるということがありまして、そういった意味でいうと、休業という形ではなくて、むしろ復旧のために働く人が多いという状況もありますので、そこのところは地震でバーンと全部やられてしまった場合とちょっと違うということで、これまでも発動していないという状況であります。

○須賀委員
 復旧のために雇用状況は悪くならないということをおっしゃいましたね。それをもう少し説明していただきたいというのが1つと、もう1つは、災害が長期化する、確かにこういう噴火とか地震というのは、災害がいまでも続いているような状況があるわけですが、経済的な疲弊という意味では、地域にとってはものすごい打撃で、確かに雨ですから、水が引けば簡単に復旧工事はできるのでしょうけども、それによって経済的な打撃を受けてしまって失業状態に追い込まれるということは、あまり変わらないのではないかと思うのですが、水害だからやらないという、何かあまりにも限定的すぎるような気がするのですが、見解があったらお伺いしたいと思います。

○雇用開発課長
 雇用調整助成金につきましては、具体的には各個別の事業所について対象にすることができます。この特例措置については、地域全体が本当に長期間にわたって疲弊する場合に、その地域ごとに対象にしていくという考え方です。水害の場合、もちろん豊岡は非常に厳しかったと思いますが、通常、災害が地震とか噴火の場合は、もう何年という形になる。ここも最低1年指定するという形になっていますが、そこまでは長期化しないということと、それから、復旧まで比較的短時間でいけるということもあって、特例措置の適用まではしていない。ただ、それであっても、通常の事業所の単位で、例えば雨によって鞄がやられてしまって、それによって例えば原材料が入らなくなり、その事業所自体がどうしても雇用調整をやらなければいけないという場合については、個別の事業所として当然枠組みがありますので、そちらのほうで適用させていきたいということになってます。

○須賀委員
 わかりました。ありがとうございました。

○諏訪分科会長
 ほかにご質問やご意見ありますか。

○大橋委員
 災害後の向こう3か月間の平均と、災害前の3か月の平均という数値がありますね。通常のケースはどういうようになっていましたでしょうか。前年同月比何とか。

○雇用開発課長
 通常はその雇用調整をする直前の6か月の実績。それと、前年のその6か月です。今回の特例の場合につきましては、地震が起こってから、見込みも含めて3か月間、それと、地震が起こる前の直前の3か月間、この比較で生産が落ちていればいいとか、そういう形で判断をいたします。

○大橋委員
 この差が1つあるということですね。

○雇用開発課長
 はい。弾力的に機動的にできるということになります。

○紀陸委員
 大変素朴な疑問で、こういうのがあるのを知らなかったのですが、雇用調整助成金というのは、本来経済的な状況によって、三事業のお金から補填をするというような趣旨だと思うのですね。確かに、こういう噴火、地震、それから今言われた大きな台風とか、こういう天災というのと、その経済変動による事情というのと分けて考えた場合に、こういう天災というのは本来三事業からやるべきものなのか、助成のスキームをどういうように考えるかというのは、本来違うのではないかという感じがするのです。確かにそういう地域において、非常に困っている事業所なり従業員の方々を救う必要性というのは大いに理解できるのですが、いかに特例とはいえ、これは雇用保険の制度を使ってやるものなのかどうか。特例の場合に、今の大きな台風とどちらがと言ってもあまりわかりませんよね。だから、何かわかったようなわからないような話ですね。この必要性というのは大いにわかりますが。

○雇用開発課長
 この資料5の1頁目にある特例の考え方にも書いてありますが、おっしゃるように、雇用保険の場合については、その枠組みではなかなか天災を直接助けることはできないということで、私ども、こうした災害が起こることによって、また、その復旧が長期化することによって、ここの1から4までに書いてあるようなこういった状況がやはり起こっただろうということを判断いたしまして、それで特例措置の対象と、一応そういう考え方を取っております。

○紀陸委員
 法律上特例的なことをやるというのは、こういうのは何か規定があるのですか。

○雇用開発課長
 雇用保険の省令を改正することにより、こうした特例措置を設けるという枠組みになっておりまして、最初から特例措置をやるというような規定があるわけではありません。

○紀陸委員
 省令で設けられているわけですか。

○雇用開発課長
 はい。経済的な事情ということで読み込めるものについては省令改正で行っております。

○紀陸委員
 経済的な事情。

○須賀委員
 やはり私も紀陸委員と同じような疑問を持つのですね。天災の種類というのは色々あって、経済的な打撃も結果において長い短いはあるにしても、事業を遂行していく上で、特に雇用問題という視点で考えていくと、どういう災害であろうとあまり変わらないという気がするのですね。雇用保険事業も一時的な手助けは必要ですが、やはりこれは一般財源できちんと手当をするというのが本来の筋ではないかと私なんかは思うのですが、あまりここできつく言ってもしょうがないですよね。何か考えておられることがあったら教えてください。

○職業安定局長
 雇用調整助成金が経済上の理由というのは、もう両委員おっしゃるとおりで、その原因たるや、何でもその経済に及ぼすんですね。あのSARSのときにも、実はSARSが起きたのは、中国だとか東南アジアだったので、随分旅行がキャンセルになって、日本国内の中小旅行業者の営業がものすごく悪くなったのです。だから、それをSARSが犯人だからというのか、それとも、そういう地球上の色々なところで起きた事象が、個々の事業者の人たちの事業活動に影響を与えたものを取るのか、いわばその辺の境目みたいなところがあるだろうと思います。その自由な経済活動というのが阻害される事情というのは、いろいろな理由があると思うのですね。経済学的にすごく解明できることがあれば、あるいはどこかで大災害が発生してある産物が入らなくなって動かなくなることから経済の問題になってくるなど、その辺りの割切りの問題で経済的事情による事業活動の縮小というように言える時点が出てくるのではなかろうかと。もちろん雇用保険というのは、事業者の拠出に基づいてやっている仕組みですから、自ずと限界がありますし、こういった事業主の皆さんからの拠出のものを、その大災害に本当にやるかやらないかということになれば、それはもっと大きい政治的決断がいるのだろうと思います。ただ現実問題としては、阪神・淡路大震災のときにも現地の製鉄所その他、様々な大きい工業地帯だったのですが、厳しい事態の中での対応が必要ということで拠出をしたことも事実であり、いずれにしろそこのところは、さじ加減というか、やはり雇用保険でやれる範囲がどこかに限界があるということはおっしゃるとおりだと思います。

○諏訪分科会長
 これも先ほど、すぐ前にご審議いただきました休業給付と同じような問題がありまして、論理、原理から考えれば、どうも雇用保険で対応するのは少ししっくりいかないところがあるのですが、では雇用保険がやっていけないかというと、そんなことはないですし、また他に適切に対応できないものがある場合には、やらざるを得ないだろうということもあるという、そこら辺のところだと思いますので、これも今後とも必要に応じて議論をさせていただくということで、ご了解をいただければと思っております。ほかにご質問等ありますでしょうか。
(質問等なし)
 ないようでしたら、本日の分科会は以上をもちまして終了させていただきます。
(議事録署名委員の指名)
 夕方の遅い時間にお集まりいただきまして大変ありがとうございました。本日は以上をもちまして終わりにさせていただきます。

(照会窓口)
  厚生労働省職業安定局総務課総務係
TEL 03(5253)1111 内線(5711)

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