04/12/27薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会議事録(平成16年12月27日開催分)            薬事・食品衛生審議会 食品衛生分科会              平成16年12月27日(月)                医薬食品局食品安全部          薬事・食品衛生審議会 食品衛生分科会 議事録 日時 平成16年12月27日(月) 14:00 〜16:10 場所 厚生労働省 5階 第7会議室 出席者 吉倉分科会長、柳川分科会長代理、井上委員、小沢委員、垣添委員、     熊谷委員、澤田委員、品川(邦)委員、品川(森)委員、清水委員、     田中委員、土屋委員、長尾(拓)委員、長尾(美)委員、村上委員     外口部長、松本参事官、中垣課長、高原課長、阿部室長、南課長、     梅田調整官、桑崎室長 1.開会 2.挨拶 3.審議     (1) 食品中に残留する動物用医薬品の残留基準の設定について     (2) 食品中に残留する農薬の残留基準の設定について     (3) 食品添加物としての指定の可否について     (4) 『健康食品』に係る制度の見直しについて 4.報告     (1) 食品中に残留する動物用医薬品の残留基準の設定について     (2) アレルギー物質を含む食品に関する表示について     (3) BSEに関する報告事項について     (4) 平成15年度食品からのダイオキシン類一日摂取量調査等の調査結果について 5.その他 6.閉会 ○事務局(鈴木補佐)  それでは、定刻となりましたので、ただいまから薬事・食品衛生審議会食品衛生分科 会を開催いたします。  本日は、御多忙のところ御参集をいただき、厚く御礼を申し上げます。  本日は、神田委員、児玉委員、斉藤委員、篠崎委員、正田委員、丸井委員、豊田委員 から欠席との連絡を事前に受けております。また、垣添委員が少し遅れておりますが、 本日出席の御予定ですので御報告いたします。  現在の分科会委員総数22名のうち15名の御出席をいただくことになっておりますの で、本日の分科会が成立いたしますことを御報告申し上げます。  それでは、開催に当たりまして、食品安全部の外口部長から御挨拶申し上げます。 ○外口部長  本日は、年末の大変お忙しいところを御参集いただきまして、誠にありがとうござい ます。  先生方におかれましては、それぞれのお立場から食品安全行政の推進に御支援いただ いております。この場をお借りいたしまして、改めて厚く御礼申し上げる次第でござい ます。  さて、本年も食品を取り巻く環境といたしましては、BSEをはじめとして、残留農 薬や輸入食品、表示や健康食品など様々な問題がございましたが、今後も国民の健康の 保護を図るために取り組んでまいりたいと思いますので、皆様方の一層の御支援、御協 力を賜りますようよろしくお願い申し上げます。  さて、本日は、食品中に残留する動物用医薬品の残留基準の設定についての御審議を はじめとして、4項目の御審議をお願いしたいと考えております。また、報告事項とい たしまして、動物用医薬品に係る食品中の残留基準の設定についてなどを予定しており ます。本日の分科会におきましても、委員の先生方から貴重な御意見等を賜り、食品安 全行政のさらなる推進を図りたいと考えておりますので、十分な審議をお願い申し上げ ます。 ○事務局  続きまして、議事次第につきましてはお手元のとおりでございます。御審議いただく 内容といたしましては、「食品中に残留する動物用医薬品の残留基準の設定について 」、「食品中に残留する農薬の残留基準の設定について」、「食品添加物としての指定 の可否について」、「『健康食品』に係る制度の見直しについて」を予定しておりま す。具体的には、動物用医薬品に関しましては、「塩酸ラクトパミンの食品中への残留 基準の設定について」、続きまして「農薬シアゾファミドの食品中への残留基準の設定 について」、食品添加物といたしましては「イソプロパノール及び亜酸化窒素の食品添 加物としての指定の可否について」、最後になりますが、健康食品に関しましては「条 件付き特定保健用食品及び栄養機能食品の表示について」、それぞれ御審議をお願いし たいと考えております。  また、そのほか4項目について御報告させていただきたいと考えております。  それでは、以後の進行につきましては、吉倉分科会長にお願いいたします。 ○吉倉分科会長  早速始めたいと思います。  まず、ここに「平成17年度予算案の概要」という資料がありますが、これはいつやり ますか。 ○事務局  予算の関係につきましては、一応参考資料ということでつけさせていただいておりま すので、報告等はございません。 ○吉倉分科会長  わかりました。  それでは、議事次第に沿って、動物用医薬品の残留基準の設定、塩酸ラクトパミンの 残留基準の設定について、事務局からお願いいたします。 ○中垣課長  基準課長の中垣でございます。よろしくお願いいたします。  資料2に沿って御説明をしたいと思います。資料2−1が厚生労働大臣から審議会に 対する諮問書でございまして、食品中に残留する動物用医薬品といたしまして、塩酸ラ クトパミンの基準設定についてお願いをしたものでございます。  1枚めくっていただきますと、資料2−2がございます。食品安全委員会の委員長か ら大臣あての食品健康影響評価の結果の通知でございまして、結論としては、一日摂取 許容量を0.001mg /kg体重/日と設定するということでございます。  その内容につきまして、3ページから概要を御説明したいと思います。3ページの物 質名、構造式等については、ここに書いてあるとおりでございまして、 (2)に「効能・ 効果」がございます。β−作動薬であって、ウシ、もしくはブタの仕上げ期に飼料に添 加投与して用いられ、増体重、飼料効率の改善、赤身肉割合の向上等の効果を有すると いうものでございます。  諸外国における使用状況といたしましては、4ページ目の中ほど、「塩酸ラクトパミ ン」から始まる段落ですけれども、米国で1999年にブタ用に承認されて以後、米国、オ ーストラリアをはじめ20か国で使用されております。ウシへの適用についても2003年に 米国で承認され、使用が開始されております。一方、EUでは、β−作動薬を成長促進 の目的で使用することを認めていない。また、我が国においては使用されていないもの でございます。  この件につきましては、昨年のこの分科会で御審議いただきました、国外で使用され る農薬あるいは動物用医薬品に関する基準設定に対する指針をつくらせていただきまし たけれども、その指針に基づいて基準設定の要望があったものでございます。  どういうことかと申し上げますと、国外で認められ使われる農薬あるいは動物用医薬 品について、それらが食品の中に残留し、日本に輸入される。そのための基準設定をど うするかということでございまして、ポジティブリストの施行と相まってこのような指 針をつくったもので、今回、このラクトパミンについて基準設定の要請があったもので ございます。  4ページの中ほどから下、2の「毒性試験の概要」がございまして、動物を用いた試 験、ヒトのボランティアの試験あるいは有効性に関する試験等々の詳細が載っておりま すけれども、23ページにまとめがございますので、23ページで御説明申し上げます。  23ページの3の「食品健康影響評価について」でございます。まず、「対象動物に対 する影響について」ということで、ウシ、ブタへの安全性について、亜急性毒性試験の 結果がまとめられております。  また、次が「催奇形性について」ということで、ラットを用いた2世代繁殖試験を兼 ねた試験が実施されたということで、催奇形性はないと報告されております。  24ページに入りまして、「遺伝毒性について」ということで、in vitro試験管内での 試験、あるいは、in vivo 動物体内での試験が種々行われておりますけれども、結論と いたしましては、24ページの最終の行にございますように、「以上のように、塩酸ラク トパミンは、in vitroで染色体異常を誘発することが示唆されたが、in vivo における 3種の試験ではいずれも陰性を示した。これらを総合的に考慮した結果、塩酸ラクトパ ミンは生体にとって問題となるような遺伝毒性はないと判断された。」という結論でご ざいます。  また、25ページの上から5行目でございますが、「発がん性について」ということ で、慢性毒性試験と発がん性毒性試験について、ここでまとめられております。イヌで 1年間、マウスで21か月、ラットで2年間、サルで1年間の慢性毒性試験が行われ、発 がん性については、マウスとラットで調べられております。  また、この塩酸ラクトパミンがβ−作動薬ということで、循環器系への影響につい て、サル、イヌ、さらにはヒトのボランティア試験が実施されております。  26ページでございますけれども、上から3行目、「エンドポイントの選択について」 ということで、エンドポイント評価をする項目について議論がされておりまして、遺伝 毒性の発がん性を示さないことからADIを設定することが可能であることが述べられ た後、感受性が一番高いのは循環器系への影響であり、それに基づいて行っていくとい うことが述べられております。  その結果といたしまして、「一日摂取許容量(ADI)の設定について」のところで すが、サルの1年間の慢性毒性試験のNOELに種差10、個体差10の安全係数 100を考 慮して、 0.00125mg/kg体重/日ということで、なお書きですが、6名のヒトボランテ ィア試験から考えたADIが0.00132 と基本的に同じような数字になることが述べられ た上で、最終的に、国際的な慣行も考慮して0.001 とすることが述べられているわけで ございます。  これが安全委員会での評価結果でございます。  これに基づきまして、農薬・動物用医薬品部会で議論がされております。35ページを 御覧いただきたいと思います。35ページの資料2−3が、農薬・動物用医薬品部会から 分科会長に対する報告書でございます。  1枚めくっていただいて36ページに、品目名、用途、化学名、構造式が述べられてお ります。下から5〜6行目の (5)「適用方法及び用量」でございますけれども、ブタ、 ウシとも飼料に添加して用いることが述べられております。  37ページ、2番が「対象動物における吸収、分布、代謝、排泄」でございまして、3 番が「残留試験結果」でございます。 (1)として「牛における残留試験」ということ で、(1)から(3)まで、3つの試験結果がまとめられております。  38ページの (2)が「豚における残留試験」でございまして、これも(1)から(6)まで6 つの試験が行われております。  39ページの下から3行目、 (3)「まとめ」といたしまして、この残留試験のまとめが なされております。(1)として、ウシ、ブタの肝臓及び腎臓における総残留、これは放 射線同位元素を用いておりましたので、その総残留の結果と、さらには塩酸ラクトパミ ンそのものの結果を分析しているわけでございますが、40ページにございますように、 ウシの肝臓ですと11.5%から22.1%、腎臓ですと13.4%から22.5%。ブタについても、 14%あるいは27%程度というような、総残留とラクトパミンの間の比率がまとめられて おります。また、(2)といたまして、最大残留として投与後12時間の残留試験結果がこ こにまとめられておりまして、ウシの筋肉で0.02ppm 程度、ブタの筋肉で0.005ppm程度 でございます。  4番の「許容一日摂取量(ADI)の評価」は、先ほども御説明しました安全委員会 の評価結果でございますので省略させていただきます。  41ページでございます。主な国として、アメリカとオーストラリアで基準がありまし て、41ページの下の表がアメリカとオーストラリアの基準、さらには、JECFAで評 価が終わり、JECFAから提案がされております。また、コーデックスで、今ステッ プ4の段階ですけれども、議論がなされている段階でございまして、その数字がここに まとめられたものでございます。一番右にございます「暫定基準(第2次案)」という のは、ポジティブリスト制の発足に向けて検討していただいております暫定基準の第2 次案でございまして、この案は、アメリカと豪州の平均の数字になっているかと思いま す。  これらを踏まえまして、42ページが、この部会での結論でございますが、残留基準値 としては、部会として、 (2)の「残留基準値(案)」を御覧いただきますと、「JEC FAの提案を踏まえ、残留基準値(案)は以下のとおりである。」ということで、ウシ の筋肉からブタの腎臓まで、JECFAの提案どおりの数字が並んでおります。  ADIと比べたものが (3)の「ADI比」でございます。ウシ、ブタにおける主代謝 物はグルクロン酸抱合体でございます。したがいまして、筋肉中に残留したその抱合体 が、人間の胃や腸で分解する、特に腸内細菌で分解してラクトパミンとして取り込まれ る可能性もあることから、先ほど御覧いただきましたラクトパミンとすべての残留の放 射活性の比を用いて、すべてがラクトパミンとして取り込まれるという仮定にたってA DI比を試算した数字が出ております。過剰な見積になるだろうとは思いますけれど も、そのような試算をしたところで、残留基準値の案の理論的最大摂取量、すなわち基 準値の案と摂食量を掛けた数字は、ADIの 7.6%から14.4%程度であるというのがこ の試算結果でございまして、このようなことから、先ほど申し上げましたJECFAの 提案である基準値の案でよろしいのではないかというのが、この部会における結論でご ざいます。  パブリックコメント、WTO通報はこれから実施するところでございます。  以上、説明を終わらせていただきますけれども、この分科会における結論は、42ペー ジの6の (2)にある「残留基準値(案)」が、分科会におけるディスカッションの対象 になるのではないかと思います。よろしく御審議をお願いいたします。 ○吉倉分科会長  何か御質問あるいは御意見がありますか。 ○長尾(拓)委員  数字をずっと追わせてもらいました。計算上はよろしいと思うのですが、このβ−受 容体刺激薬というか、作動薬で、問題は催不整脈作用です。これが動物ではなかなか難 しいです。ヒトでやらないと、それもかなりポピュレーションにやらないとわからない という最も難しい類の副作用が懸念されます。そこら辺について、これまでに何か議論 されたことがあるかということ。  もう一つは、EUの値がまだ決まっていませんね。その理由とか、そういうものがあ りましたらよろしくお願いします。 ○中垣課長  資料の17ページを御覧いただきたいと思います。上から3分の1程度のところに、 (6)として「心臓血管系に対する特殊毒性試験」という項目がございまして、今、長尾 委員から御指摘の点を踏まえて、この塩酸ラクトパミンにつきましては、通常実施され る毒性試験に加えていろいろな試験が実施されております。  まず、(1)が麻酔下のイヌを用いた試験。18ページが、同じくイヌを用いたものです が、覚醒下のイヌへの試験、(3)が麻酔下のサルにおける試験、19ページに(4)として覚 醒及び麻酔下のサルにおける試験、(5)がヒトボランティアにおける試験、これらの試 験が実施されてきております。これで十分か不十分かという議論があるのだろうと思い ますけれども、JECFAにおいても、基本的に問題はないとして同じようなADIが 設定されておりますし、安全委員会におきましても、 0.001というADIが設定された ところでございます。  EUの問題でございます。EUは、この種のβ−作動薬を成長促進の目的で使うこと 自体をグループとして認めておりません。その理由の詳細については明らかではござい ませんが、推測いたしますに、ホルモンの成長目的の使用もEUは認めていませんの で、同じような理由ではなかろうかと推測いたしております。 ○長尾(拓)委員  EUの方はドーピング絡みのこともあるでしょうか。ドーピング問題は知らないです か。 ○中垣課長  申し訳ございません。存じません。 ○長尾(拓)委員  薬でもこういうものを経口投与でということが1980年代に世界中で結構やったんです が、最終的には催不整脈作用の予測がつかなくて、個人差が非常に大きくて、余り長く 使うのはやめにした経緯があって、急性に近い形でしか残らなかったと記憶していま す。  しかし、いろいろなことを勘案されてやられたと思うので、データもないということ なので、一応そういう懸念があることは申し上げておきたいと思います。  もう一つですが、これは肉にする直前まで飼料に投与する形になっていると思います けれども、これを数日前にストップするとか、そういうことは実際はあるのか、ないの か。多分、いろいろな濃度がずうっと下がっていきますので、何か御意見があればお願 いします。 ○中垣課長  使用自体は、外国において行われますので、その使用方法自体の制限と申し上げるよ りは、基準値という面で、下がることを見込んだ基準値を設定することになるだろうと 思います。具体的に御覧いただきますと、41ページがアメリカと豪州における基準値と JECFAの提案を比較したものでございます。今回、部会におきます御提案は、JE CFAの提案と同一の数字ですから、今、米国、豪州、JECFAの提案となっていま すけれども、これが今議論されている部会の案と御覧いただければいいだろうと思いま す。この案は、先生御指摘の点から申し上げますと、米国、豪州に比べて、かなり厳し い数字が並んでいるのかなとは思いますけれども、これで先生の御趣旨にのっとってい るかどうかは、私が判断することではないだろうと思っております。 ○吉倉分科会長  今の41ページの暫定基準は、どこでやった暫定基準ですか。 ○中垣課長  暫定基準につきましては、ポジティブリストを施行するのは18年5月に行うわけです が、ポジティブリストというのは、基準がない農薬・動物用医薬品については、基本的 に、その農薬等が残留する食品の流通を止めてしまう制度でございます。  一方、今基準があるものは、農薬であれば約 200、動物用医薬品では30程度に限られ ているわけでございまして、主要先進国だけで考えてみましても 600から 700ぐらいの 農薬あるいは動物用医薬品が使われている現状において、 200程度しか基準がないまま では、ポジティブリストへの移行ができないだろうということから、健康の確保と不要 な貿易の阻害を招かないように、アメリカ、ヨーロッパ、オーストラリアなど、科学的 な評価をして基準値を決めていると考えられる国々については、暫定的に基準をつくろ うということで部会において御審議を賜り、今、二次案まで来ているわけですが、二次 案について今年の夏に公表し、11月末日までその意見を募集していたところでございま して、その意見も踏まえて最終的な案の取りまとめを、また部会で御審議を願うという 予定にさせていただいております。 ○吉倉分科会長  わからないのは、今、この42ページの残留基準値を認めるとすると、それとこの暫定 基準はどういう関係にありますか。 ○中垣課長  申し訳ございません。説明を忘れたのですが、43ページの最後の (4)を御覧いただき ますと、今申し上げましたような状況から、暫定基準の案の中に含まれているわけでご ざいますが、残留基準に移行しますので、暫定基準の対象からは外してしまう形になり ます。 ○吉倉分科会長  結局、暫定基準はなくなるわけですね。わかりました。  ほかに何か御質問その他ありますか。  長尾先生、よろしいですか。 ○長尾(拓)委員  大変難しいんですよね。だから、何か懸念があるとしたらそういうことで、薬の経験 からいくとその可能性がゼロではないということだと思います。 ○吉倉分科会長  個人差がかなり大きいとおっしゃいましたが。 ○長尾(拓)委員  そこらわからないんですよ。状態の悪い人とか、刺激に対して反応が強い人とか、ま さに個人差が大きくて、動物実験とか普通の健常者からは推測できない、しかし、ある 確率では起こるということが薬の場合あった、そういう経験があるということです。 ○吉倉分科会長  この数字だと、一応、動物の 100倍掛けて、なおかつADIで 7.6という係数がかか っているわけですけど、その辺を考慮してもやはり懸念があるというお考えでしょう か。 ○長尾(拓)委員  そこは何とも言えなくて、だから難しいわけです。むちゃくちゃ大量摂取しなければ いいのかなとは思いますけど。  薬の場合は、ある量が規定されてしまいますので、それで問題を起こす。こういうも のは毎日食べるわけでもないので、そこは状況が違うとは思いますけど。 ○吉倉分科会長  肉だから、煮たり焼いたりして食べると思いますが、その辺の安定性はどうですか。 ○長尾(拓)委員  安定性は比較的いいと思います。カテコール体だとあれですけど。  これはデータがあるわけではないし。  ヨーロッパが別の理由で許可していないのかもしれないけれども、動物試験からずっ と追っていたデータの数字そのものは、やり方としてはリーズナブルだろうと考えま す。 ○吉倉分科会長  もう一つ。EUではこれを使っていないという話ですが、EUは、輸入はどうしてい るのでしょうか。 ○中垣課長  EUには、ラクトパミンのようなβ−作動薬が残留する食肉の輸入を禁止していると 聞いております。また、先ほど長尾委員から議論がありました点については、安全委員 会といたしましては、26ページの中ほどよりちょっと下、「ADIの設定について」と いうことで、まずサルについて述べた後、なお書きでヒトのボランティア試験に移っ て、今御指摘のようなβ−作動薬の副作用として、動悸、頻脈、虚血、不整脈、心拍数 増加等が知られていて、冠動脈疾患、心房細動等の心疾患に対してはこの作用が強くあ らわれるということから、通常のヒト試験に基づく個人差10ではなくて、個人差10の上 に追加の5の合計50を用いた場合のADIが0.00132 ということで、サルよりも若干大 きな数字になることを述べております。 ○吉倉分科会長  ほかにございませんか。  一応、食品安全委員会でも今のような議論も多分あったのだろうと思いますが、そう いうことを踏まえてこのADI量が決まって、それに基づいて豊田先生の部会で、42ペ ージの残留基準値を決めたということですか。 ○中垣課長  はい。 ○吉倉分科会長  これはラクトパミンを動物用医薬品の残留基準の品目に入れることが一つと、42ペー ジの基準と、この2つと考えればいいわけですね。 ○中垣課長  はい。 ○吉倉分科会長  一応こういうことで、42ページの残留基準値案のもとにこのラクトパミ ンを動物用医薬品の項目のリストの中に入れるということです。よろしくお願いしま す。  これは答申案か何か書く形でしたか。 ○中垣課長  このものにつきましては、これから国民への意見の募集、さらにはWTO通報をさせ ていただく予定とさせていただいておりますので、それらの意見及びそれに対する事務 局の考え方をまとめた資料を先生方にお送りさせていただいて、最終的に分科会として どうなのか。すなわち、分科会で再度審議を行う必要があるのか、それとも、今日の議 論を基に御答申をいただけるのかという判断をし、さらには、再度審議する必要はない と御判断いただきました場合には、分科会報告と答申をいただきたいと考えておりま す。答申の内容は、42ページのこの基準値の案が並んだものでございます。よろしくお 願いを申し上げます。 ○吉倉分科会長  よろしいでしょうか。                  (異議なし) ○吉倉分科会長  それでは、そういうことで、次の議題に進みたいと思います。  次は、農薬の残留基準設定についてお願いします。 ○中垣課長  資料3−1を御覧いただきたいと思います。7月29日付で大臣から審議会に対して諮 問させていただいたものでございまして、シアゾファミドという農薬の基準をつくろう というものでございます。  1枚めくっていただきまして、資料3−2が、11月4日付で食品安全委員会の委員長 から大臣あてに食品健康影響評価の結果が通知されたものでございまして、シアゾファ ミドの一日摂取許容量を0.17mg/kg体重/日と設定するということでございます。  具体的には6ページを御覧いただきたいと思います。このシアゾファミドというの は、Iの1の「用途」にありますように、殺菌剤でありまして、化学名、構造式等はこ こにあるとおりでございます。  7の「開発の経緯」でございますが、シアゾファミドは、87年に国内の会社によって 発見されたものでございまして、2001年4月に初めて我が国で登録されております。ま た、既にフランス、ドイツ、イギリスなどでばれいしょなどを対象に登録もされており ます。  7ページから、いろいろな試験の結果が出てまいるわけでございますが、21ページに まとめられておりますので、そこで御説明したいと思います。  21ページを御覧いただきますと、IIIの「総合評価」がございます。まず、代謝の試 験ですけれども、シアゾファミドのベンゼン環を同位元素で標識したものが用いられた ということで、ラットを用いた試験も実施されております。  その次のパラグラフが、トマト、ばれいしょ、ブドウを用いた植物体内運命試験、土 壌中運命試験、光分解試験などが実施されておりますし、キュウリ、メロン、トマトな どを用いた作物残留試験あるいは土壌残留試験などが実施されております。  中ほどよりちょっと下、3分の1程度のところからは毒性試験に移りまして、急性の 毒性試験、亜急性毒性試験、慢性毒性、発がん性試験、2世代繁殖試験、22ページに参 りまして、発生毒性試験、さらに遺伝毒性試験の結果などが述べられているところでご ざいます。  これらをまとめたものが23ページの表6でございまして、いろいろな試験の動物種、 試験の種類、そこにおける無毒性量、最後は備考として発がん性あるいは繁殖の催奇形 性に関する影響は認められないということでございます。  その結果といたしましてADIがつくられているわけですけれども、無毒性量の中で 一番小さい数字が慢性毒性/発がん性併合試験のラットを用いた24か月の試験でござい まして、この無毒性量17.07 に 100の安全係数を掛けて0.17mg/kg体重/日という数字 が安全委員会として提案されたところでございます。  これを用いまして、28ページが、その結果を踏まえて、農薬・動物用医薬品部会で議 論していただいた結果を分科会長あてに御報告いただいたものでございます。  29ページを御覧いただきますと、品目名、用途、化学名、構造式などはここに書いて あるとおりでございまして、5の「適用病害虫の範囲及び使用方法」ですが、 9.4%水 溶剤と、後で34.5%水溶剤の2つがあるようですけれども、小麦から、31ページに移り まして、ばれいしょ、ハクサイ、キャベツ等々が適用作物としてあるわけでございま す。  このうち四角で囲まれたコマツナとホウレンソウが、今回、適用拡大しようとして申 請がなされたもの、すなわち、このものは国内で使用するということで申請が上がって きたものでございます。  31ページに作物残留試験の結果がございますけれども、32ページの表にまとまってお りますので、こちらを御覧いただきたいと思います。  表3として、小麦、ばれいしょ、33ページに、ハクサイ、キャベツ、コマツナ等々の 作物残留試験の結果とその最大残留量がまとめられております。  34ページでございますけれども、ADIについては先ほど御説明申し上げましたので 省略させていただきまして、8番の「諸外国における使用状況」でございます。EUに おいて、トマト、キュウリ、メロンなどについて暫定的な基準が設定されているとなっ ております。この暫定的な基準というのは、いうなれば案が示されている段階でござい まして、まだ施行されていないものでございます。  このようなことを踏まえまして、この部会としましては、9の「基準値案」ですけれ ども、規制の対象としてシアゾファミド本体を挙げた上で、35ページを御覧いただきた いのですけれども、国内で適用が認められている作物についてそれぞれ基準値をつくっ ていくことにして、その基準値につきましては、いずれもこの35ページの表の右から2 番目、「作物残留試験成績」に基づいて基準値案が設けられているところでございま す。  これも暫定基準二次案がございまして、この暫定基準の二次案は、今既にある登録保 留基準と同じ数字が並んでいるかと思います。しかしながら、正式なADIが安全委員 会で決められ、作物残留試験結果が提出されましたので、その作物残留試験結果に基づ いて基準値の案をつくることにして、暫定基準の二次案は先ほどと同様に削除する、な いものとしてしまうことにさせていただこうと考えております。  したがいまして、分科会における審議は、35ページの表で申し上げますと、一番左の 食品名欄と、その次の欄の基準値の案、この2つが分科会における決定事項になってま いるわけでございます。  なお、34ページに戻らせていただいて恐縮でございます。ADIに対する推定摂取量 の比を、TMDI(理論最大摂取量)の方式で試算しておりますけれども、 6.3%から 17.1%程度であって基本的に問題はないという評価をいただいております。  また、37ページを御覧いただきたいと思います。これにつきましてはパブリックコメ ントが既に終わっておりまして、 (1)として、寄せられたコメントはありませんでし た。 (2)のWTO通報ですが、今、1月26日まで実施中でございます。  以上でございます。よろしくお願いします。 ○吉倉分科会長  何か御意見をお願いします。  30ページの表でよくわからなかったのですが、コマツナとホウレンソウを四角く囲っ てありますね。その話と、35ページの表の関係はどうなのでしょうか。もう一回お願い します。 ○中垣課長  29ページの末尾からある表、30ページにあるものがございますけれども、これは、農 薬取締法における登録の状況を示しております。すなわち、四角で囲まれたものは、今 回、追加の申請が上がった。四角で囲まれていないものは、農薬取締法上は既に登録が なされていて、国内で既に使用ができるものを示しております。  一方、35ページの表は、食品衛生法に基づく残留基準の案を示そうとしております。 残留基準自体は今は設定されておりません。今はどういう状況かと申し上げますと、小 麦、ばれいしょ、ハクサイなどについて、農薬取締法上使用はできるけれども、その残 留を取り締まるための食品中の基準は食品衛生法に基づいてつくられていないというの が今の状況でございます。したがいまして、今回、コマツナとホウレンソウについて追 加の申請が上がった段階で、今まで基準をつくってこなかった小麦、ばれいしょなどに ついても、食品衛生法上の基準をつくってしまおうという御提案でございます。 ○吉倉分科会長  いきさつは大体おわかりになりましたでしょうか。  それでは、こういうことで、これを機会に残留の基準値を決めてしまおうという話で すが、よろしいですか。 ○品川(邦)委員  コマツナとかホウレンソウという登録申請中のものの基準値案は、ほかのものに比べ て高いですよね。これは何か理由がありますか。 ○吉倉分科会長  葉が大きい植物ばかりですが、お願いします。 ○中垣課長  今、分科会長がおっしゃいましたように、表面積と重量の問題であると聞いておりま す。すなわち、基準値はppm でやりますが、重量は重いけれども表面積は小さいものが キュウリでございます。それに比べまして、コマツナやホウレンソウは重量が軽い上に 表面積が大きい。表面積が大きいと、どうしてもそれだけ残留があるわけですので、そ ういう類の問題だろうと解釈しておりまして、実際上の数字が35ページの作物残留試験 結果を御覧いただいても、これは各地の農業試験場等で実施された数字でございます が、コマツナであれば 9.1、3.76、ホウレンソウでも16.2、7.17という数字ですので、 そういう意味から申し上げますと、こういう基準値でやむを得ないのだろうと思いま す。また、こういう基準値にしたところで、摂取量としてはADIを大幅に下回ってい るということだろうと思っております。 ○吉倉分科会長  今の話は、35ページに載っている野菜に限るわけですよね。 ○中垣課長  そのとおりでございます。 ○吉倉分科会長  カリフラワーなどは表面積は大きいものですが、この表には入れてないわけですね。 ○中垣課長  はい。 ○吉倉分科会長  よろしいでしょうか。                  (異議なし) ○吉倉分科会長  そうした、ここにあるシアゾファミドというものを食品衛生法の規格基準に項目とし て入れて、なおかつ、残留基準が35ページにあり、それが案。  WTO通報は終わっていましたか。 ○中垣課長  WTO通報は今実施中です。 ○吉倉分科会長  パブリックコメントはもう終わったから、WTO通報のコメントが何か上がってきた 段階で、先ほどと同じような手続きに入るわけですね。 ○中垣課長  そのようにさせていただきたいと思います。ファックス等で、WTO通報でどのよう な意見があったのか、それに対して事務局はどのように考えるのかをお示しした上で、 再度御審議いただくのか、答申をいただくのかを御判断いただきたいと考えておりま す。よろしくお願いいたします。 ○吉倉分科会長  そうしましたら、次は食品添加物の件です。お願いします。 ○中垣課長  資料4−1を御覧いただきたいと存じます。10月19日付で大臣から審議会あての諮問 書でございまして、イソプロパノールという香料を食品添加物として指定するかどうか を御審議賜りたいということでございます。  1ページめくっていただいて、資料4−2でございますが、12月9日付で安全委員会 から大臣あての食品健康影響評価の結果でございまして、「イソプロパノールを食品の 着香の目的で使用する場合、安全性に懸念はないと考えられる。」という評価結果でご ざいます。  その内容につきまして、3ページ以下で御説明申し上げます。  1の「はじめに」でございますが、イソプロパノールは、特異な香気を有し、果実、 野菜、乳製品等の食品に天然に含まれており、欧米では、清涼飲料、キャンディー等様 々な加工食品に香りを再現するために添加されております。  2番の「背景等」でございますけれども、平成14年7月の分科会の御意見に基づきま す、いわゆる国際的に汎用されている添加物の取扱いに関して国が主体的に進めている ところでございます。  3の「名称等」については、ここにあるとおりでございます。  4の「安全性」については、 (1)「遺伝毒性」については、細菌を用いた復帰突然変 異試験、チャイニーズハムスター卵巣CHO細胞を用いた前進突然変異試験、または、 マウスを用いたin vivo の骨髄小核試験等が実施されておりますけれども、結論として は、4ページの1行目の最後の部分で、「特段問題となる遺伝毒性はない」と考えられ ております。 (2)が「反復投与」でございまして、ラットの12週間反復投与毒性試験の 結果がここに書かれております。 (3)の「発がん性」でございますが、発がん性につい ては評価されていないということでございます。 (4)「繁殖毒性及び催奇形性試験」で ございますが、ラットの2世代の繁殖試験、またラットとウサギを用いた催奇形性試験 の結果が書かれております。  5の「摂取量の推定」でございますけれども、JECFAの方法に則ってアメリカと ヨーロッパの摂取量が推定されておりまして、国内でも大体これと同じくらいの程度で はなかろうかということが述べられておりますし、アメリカで考えると、食品中にもと もと存在する成分としての摂取量は、意図的に添加された本物質の摂取量の 0.7倍程度 という報告があるということでございます。  6番の「安全マージンの算出」でございますけれども、2世代繁殖試験の無毒性量と 推定摂取量を比べると、安全マージンが 457という数字が得られておりますし、また、 8番の「JECFAにおける評価」で、JECFAにおいては香料としての安全性の問 題はないということでございます。  結論が6ページの11番「評価結果」にあります。生体内において特段問題となる遺伝 毒性はないと考えられる。推定摂取量はクラスIという一番安全性が高いところの許容 摂取量を超えているけれども、適切な安全マージンを上回っている。さらに、生体成分 に代謝され、そのレベルは生理的範囲を著しく超えることはないと予測されるようなこ とから、着香の目的で使用する場合にあって安全性に懸念がないと考えられるという評 価結果でございます。  この評価結果を受けまして、9ページでございますが、食品添加物部会において御議 論いただいた結果がまとめられております。  10ページを御覧いただきますと、品目名としてイソプロパノール、2の構造式は、こ こに書いておりますように非常に簡単な構造でございます。  4ですが、使用状況として、欧米では、清涼飲料、キャンディー等、いろいろな加工 食品に使われております。  5の「食品安全委員会における評価結果(案)」、6の「摂取量の推定」は、先ほど 御説明申し上げましたので省略させていただきます。  11ページでございます。これらの結果としまして、新規指定について、添加物として 指定することは差し支えない。ただし、使用基準と成分規格を定めることが適当である ということで、使用基準の案としては、「着香の目的以外に使用してはならない。」、 成分規格の案としては、「別紙1のとおり」ということで、別紙1を御覧いただきます と、12ページに成分規格の案が述べられております。  この設定根拠につきましては、14ページにございますけれども、JECFAの規格と FCCという、アメリカのナショナルアカデミーがつくっております規格と、この2つ を参考にして案がまとめられました。  なお、パブリックコメント等につきましては、本日まで国民からの意見募集をしたと ころでございますけれども、御意見はいただいておりません。WTO通報につきまして は、3月4日まで実施するということで、現在進行中でございます。  したがいまして、分科会において御議論願いますのは、11ページの、このイソプロパ ノールを添加物として指定することの適否、並びに、使用基準と成分規格の案がここに 述べられておりますが、この案の適否について御審議いただければありがたいと考えて おります。  よろしくお願いいたします。 ○吉倉分科会長  これは、添加物として指定するか、しないかという問題と、あと、その場合に、着香 の目的以外に使用してはいけないという条件の下に、添加物として指定してはどうかと いう提案ですけれども、いかがでしょうか。  イソプロパノールをジャバジャバとお菓子に入れて、少し酔うぐらいにすると、これ は着香の目的からは外れるわけですよね。 ○中垣課長  はい。当然、外れるものと考えております。 ○吉倉分科会長  そんなことですが、いかがでしょうか。                  (異議なし) ○吉倉分科会長  それでは、そういうことで、添加物として、着香の目的として添加物のリストの中に 入れるということでございます。  それでは、次をお願いします。 ○中垣課長  資料5−1を御覧いただきたいと存じます。資料5−1が、11月12日付で大臣から審 議会あてに諮問させていただいたものでございまして、亜酸化窒素の食品添加物として の指定の可否についてということでございます。  資料5−2でございますが、12月9日付で安全委員会から大臣あてに食品健康影響評 価結果の通知が出ておりまして、その内容は、「酸化窒素を乳脂肪及び/又は植物性脂 肪のエアゾール缶入り加工食品に添加物として適正に使用する限りにおいては、安全性 に懸念がないと考えられ、ADIを設定する必要はない。なお、亜酸化窒素の薬理作用 を考慮すると、通常の使用方法によらない本物質の直接摂取等、本物質の過剰な摂取に は注意が必要と考えられる。」というものでございます。  このホイップクリーム缶でございますが、口で説明してもなかなかわかりづらいの で、実物を御覧いただきたいと思います。  これが、いわゆるホイップクリーム缶と言われているものでございまして、ここを押 すと、ホイップクリームが出ます。この中に、ホイップクリームの原材料となる乳脂肪 あるいは植物性脂肪を含む原材料と亜酸化窒素が入っていて、亜酸化窒素の気体で出て くるときにはホイップ状態で出てくるというものでございます。  食品健康影響評価の概要を御説明いたします。3ページを御覧いただきたいと思いま す。1の「はじめに」でございますが、亜酸化窒素は無色のガスで、20か国以上で添加 物として用いられております。アメリカでは、加圧容器入りの乳脂肪等の噴射剤とし て、GRAS(generally recognized as safe)ということで使用が認められており、 EUにおいては、幅広い食品に一般に使用可能な添加物とされているところでございま す。医療分野におきましては、国内外で古くから吸入麻酔剤として使われてきたところ でございます。  JECFAにおいては数回にわたって審議されておりますが、噴射剤として亜酸化窒 素の使用はAcceptable。Acceptableというのは、3ページの一番下にございますが、現 在の特定用途での使用は毒性学的に問題がないという結論でございます。  3の「添加物指定の概要」でございます。先ほど申し上げましたとおり、用途を限定 して認めようとするものでございます。  4ページの「物理化学的性質等」でございます。名称、分子量、性状等は、ここにあ るとおりでございます。  5の「安全性に関する検討」、1)の「経口投与毒性試験」でございますが、先ほど、 麻酔薬として用いられていると申し上げたとおり、吸入の試験は多数報告されておりま すが、経口投与の試験報告は調べたところなくて、5日間と28日間の反復投与毒性試験 が実施されたということでございます。  その結果が4ページ、5ページに詳述されております。  6ページの中ほどよりちょっと下に、「経口投与以外の曝露による毒性試験」という ことで、吸入曝露の試験が、参考データとして取り扱うということで幾つか載せられて おります。  8ページの中ほどには、4)として薬理作用について述べられておりますし、9ページ には体内動態がまとめられております。  10ページでございます。7)の「ヒトにおける使用経験等」ということで、(1)「臨床 における使用経験」とございまして、亜酸化窒素が吸入麻酔剤として古くから使用され ている。その副作用として造血機能障害、嘔吐、末梢神経障害などが挙げられておりま す。また、(2)として「乱用に関する報告」というものがございまして、「亜酸化窒素 の乱用に関し、死亡例も海外では報告されているが、乱用による死亡は窒息によるもの が多く、それらの事例は亜酸化窒素ガスボンベ及びホイップクリーム用チャージャーを 用いたものであり、市販ホイップクリーム缶による乱用の事例は見当たらないとのこと である。」と書かれております。  このチャージャーというものですが、生ビールのサーバーを考えていただくとありが たいのですが、生ビールの場合には、あれは炭酸ガスが入っているのだと思いますが、 家庭用のカセットコンロみたいな形で、この場合には亜酸化窒素がガチャッと入ること になって、レストランとか家庭で、亜酸化窒素のボンベ、小さなカセットのボンベを買 ってきて入れて、そこにクリームを入れてホイップクリームをつくろうとするものでご ざいまして、この亜酸化窒素の小さなガスボンベというか、カートリッジというか、カ セットというか、これを用いた乱用の事例が幾つかあるようでございます。  6の「国際機関等における評価」でございますが、JECFAは、先ほど申し上げま したように、Acceptableという形になっております。  11ページ。「米国FDAにおける評価」でございますが、FDAにおいても問題はな いということでございます。  7の「一日摂取量の推計等」でございます。アメリカにおきます亜酸化窒素を用いた ホイップクリームの使用量から推定がされております。  12ページ。これが安全委員会の最終的な評価結果でございまして、経口で摂取した場 合、消化管を通して生体内に吸収されることはほとんどないと考えられる。ラットの試 験でも、安全性を懸念するような影響はない。さらに、遺伝毒性も問題となるようなも のはない、発がん性もないということが述べられております。  さらに、推定摂取量はわずかであって、吸入曝露による試験等々、あるいは、医薬品 分野での使用経験等において影響が認められている量とは大きく乖離していることが述 べられた上で、最初に申し上げましたとおり、添加物として適切に使用する限りにおい ては安全性に懸念がないと考えられ、ADIを設定する必要はない。なお、亜酸化窒素 の薬理作用を考慮すると、通常の使用方法によらない本物質の直接摂取等、本物質の過 剰な摂取には注意が必要ということでございます。  この評価結果を踏まえまして、19ページでございますが、添加物部会において御審議 を願った結果を、部会長から分科会長に報告したペーパーでございます。  20ページを御覧いただきたいと存じます。品目名、分子量、用途、諸外国での使用状 況については、ここにあるとおりでございます。  5の「有効性」について、 (1)「食品添加物としての有効性」ということで、(1) 「食品への亜酸化窒素の使用」、ホイップクリームの噴射剤として使用される亜酸化窒 素が、その気体の圧力によって亜酸化窒素と製品の混合物としてバルブから放出されて 発泡すると考えられます。(2)が、乳製品等への亜酸化窒素の溶解性のデータでござい ます。  21ページ。「同種の添加物との比較」ということで、二酸化炭素あるいは窒素との比 較が書かれておりまして、亜酸化窒素を用いたホイップクリームの比重が二酸化炭素と 同程度、窒素を用いたものに比べて低いことが示されております。  また、(2)が「味覚」でございますが、甘味、舌を刺すような刺激、酸味、そのよう なものはないようでございます。  22ページ。6番が「食品安全委員会における評価結果について」、7番が「一日摂取 量の推計等」で、先ほど御説明したとおりでございます。  その結果といたしまして、部会としては、8番の「亜酸化窒素の指定等について」の ところでございますが、添加物として指定することは差し支えない。ただし、次のとお り使用基準と成分規格を定めることが適当であるとして、使用基準の案でございます が、「ホイップクリーム以外の食品に用いてはならない」。成分規格の案は「別紙1の とおり」ということですが、なお書きにございますが、食品安全委員会の評価結果にお いて、「亜酸化窒素の薬理作用を考慮すると、通常の使用方法によらない本物質の直接 摂取等、本物質の過剰な摂取には注意が必要と考えられる。」とされていることを踏ま えまして、一般の消費者に直接販売されるようなカートリッジ式の耐圧金属製密封容器 は、成分規格において対象外とすることが適当であるということでまとめられておりま す。  具体的には23ページでございますが、これが成分規格の案でございまして、上から3 行目ぐらいに「定義」とございまして、本品は亜酸化窒素を成分とする気体であり、カ ートリッジ式のガスボンベ以外のボンベに入れたものである。すなわち、カートリッジ 式のガスボンベは指定の対象外であることを言おうとしているわけでございます。  その他、ここに成分規格の案がございますが、その策定の根拠については25ページを 御覧いただきますと、「亜酸化窒素規格設定の根拠」ということで、「基本的な考え方 」として、JECFAやアメリカのFCC、EUの規格、並びに、医薬品としても用い られておりますので、薬局方の規格を参考としてまとめられたということが記述されて おります。  以上でございまして、パブリックコメントあるいはWTO通報はこれからですので、 また御報告させていただきたいと思いますが、1点、28ページを御覧いただきたいと思 います。28ページの資料は、食品安全委員会がリスク評価についてパブリックコメント をしたときに寄せられた意見でございます。  意見としては4通ございまして、1番と2番が、このようなホイップクリームではな くてカートリッジを認めてくださいという御意見でございます。29ページに入りまし て、3番目は、ホイップクリームではなくてチョコレートにも使用を認めてください。 30ページでございますが、これは違う論理で、カートリッジのことをここでは「小ボン ベ」と書いてありますけれども、小ボンベを認めないことが適切であるというものでご ざいまして、いずれも文面からして業者の方々が出されたのだろうと個人的に推測いた しておりますが、カートリッジを認めてくれという方々と、カートリッジを認めるなと いう方々と両者おられることが御理解いただけるだろうと思います。  この辺について、部会にも提出しました我々の考え方をまとめているわけでございま すが、第2パラグラフ、「しかしながら」から始まる段落で、今回の指定の検討は事業 者からの要請に基づく。さらに、その申請に限ってリスク評価も実施されている。した がって、他の食品への使用については、改めて指針に基づいて要請を出してください。  「また、」のところですが、カートリッジ式のガスボンベについては、繰り返しにな りますけれども、安全委員会の評価結果も踏まえて対象外としたところである。このカ ートリッジ式のガスボンベを認めてほしいのであれば、安全委員会の懸念に答えられる ようなデータを出して、指針に沿って改めて申請をしてくださいというような形で我々 としては考えているところでございます。  以上でございますけれども、分科会として具体的に御審議いただく事項は、22ページ の8「亜酸化窒素の指定等について」という、添加物としての指定、さらには、使用基 準、成分規格の設定についてでございます。  よろしくお願いいたします。 ○吉倉分科会長  いかがでしょうか。  22ページの、添加物としての指定と、使用基準案として、ホイップクリーム以外の食 用に用いてはならないということですが、よろしいですか。  今、ボンベというか、缶をつくるところでは、やはりボンベを使うわけですよね。 ○中垣課長  はい。 ○吉倉分科会長  そこら辺、食品の定義というか、その辺を整理してもらっていいですか。 ○中垣課長  食品工場でホイップクリームをつくるのだろうと考えておりますけれども、その食品 工場には、病棟で使われるような亜酸化窒素の大きなボンベの形で運ばれていくのだろ うと考えております。このボンベは、食品衛生法以外の高圧ガス取締法であるとかいろ いろな法規制の下で規制がされておりますし、実態的にはレンタルで、すなわちボンベ 自体はガス屋さんが所有している形態になっております。そういう意味から申し上げま すと、懸念されるような乱用であるとか、そういう点は基本的に考えられないだろうと 考えているところでございます。 ○吉倉分科会長  今の話は、工場でやることは、この食品衛生法の中に入るものですか、外ですか。 ○中垣課長  食品衛生法の中でございます。すなわち、22ページの「使用基準案」で申し上げます と、ホイップクリーム以外の食品に用いてはならないということですが、ホイップクリ ームをつくるための亜酸化窒素の使用は当然認められているわけですので、ガスボンベ を使って、食品工場で、今御覧いただいたような耐圧容器入りのホイップクリームをつ くるために使われるのだろうと考えております。 ○吉倉分科会長  よろしいでしょうか。                  (異議なし) ○吉倉分科会長  それでは、一応、こういうことで。  この件は、パブリックコメントその他はどうでしたか。 ○中垣課長  パブリックコメント並びにWTO通報もこれから行うところでございますので、それ らの意見並びに事務局の考え方をまたお示しをし、再度審議をするか、答申をするか、 また御判断いただこうと考えております。よろしくお願いいたします。 ○吉倉分科会長  わかりました。  それでは、「健康食品」に係る制度の見直しということで、お願いします。 ○阿部室長  資料1−1からでございます。「健康食品」の関係につきまして御審議をお願いした いと思っております。  資料1−1、11月12日付で審議会の方に、健康食品の制度に関連しまして見直しの諮 問をさせていただいたところでございます。  諮問書自体では文章だけですのでなかなかわかりにくいと思いますので、次ページ以 降の資料を用いて内容について御報告させていただきたいと思います。  1枚めくっていただきまして、資料1−2でございます。「『健康食品』に係る今後 の制度のあり方について(提言)のポイント」という1枚紙でございます。健康食品の 関係につきましては、一昨年の夏に中国製のダイエット用食品などでの健康被害の事例 が発生したり、インターネットで氾濫している虚偽・誇大広告の表示を取り締まってい かなければいけないといったようなこととか、やはり国民の健康への関心の高まりを踏 まえて、健康づくりを図っていく上で健康食品を適切に選択していただくといったよう なことでの表示制度の改善、普及啓発といったものを通じて、国民に対する適切な情報 提供を進めていくことが重要な課題となっているところでございます。  そのうちの錠剤やカプセルなど特殊な方法により摂取する食品等の暫定流通禁止措置 などにつきましては、昨年、食品衛生法を改正しまして暫定基準の措置などを設けてま いりましたし、また、不適切な情報というか、虚偽・誇大広告の禁止につきましても、 昨年の健康増進法の改正におきまして、そういったことを図って対応してきたところで ございます。  あと、国民への適切な情報提供を図っていくという観点から、昨年4月から、13回に わたりまして、「『健康食品』に係る制度の今後のあり方について」ということで検討 会を開催してきて、その提言ということでまとめていただいたものが、この資料1−2 のペーパーでございます。  これの大きなポイントとしましては、上に囲っておりますように、「国民が健やかで 心豊かな生活を送るためには、1人1人がバランスの取れた食生活を送ることが重要で あるとともに、国民が日常の生活で不足する栄養素を補給する食品や特定の保健の効果 を有する食品を適切に利用することができる環境整備を行うことが重要」であるという ことが、今回のまとめの中のポイントとなっております。  現状などにつきましては、先ほど申し上げたようなことを踏まえていろいろ整理し て、左側のところに書いてございますけれども、見直し内容として、具体的に右側に囲 っておりますように、表示内容の充実、表示の適正化、安全性の確保、普及啓発などに つきまして御指摘をいただいたところでございます。こういった提言を6月にいただき まして、私どもでまた専門家での検討も踏まえたところで、今回の「健康食品」に係る 今後の制度の見直しについて検討してまいったところでございます。  1枚めくっていただきまして、資料1−3から、その内容について御説明させていた だきたいと思います。「『健康食品』に係る制度の見直しについて」ということで、大 きく3つの項目が今回の検討をお願いする事項として整理されております。  1点目が「表示内容の充実」ということで、「特定保健用食品制度の見直し」のとこ ろでございます。1つ目の○印ですが、現行の特保の審査で要求している有効性の科学 的根拠のレベルには届かないものの、一定の有効性が確認される食品につきましては、 条件付きで特定保健用食品として許可することを考えてはどうかということでございま す。2点目としましては、特保としての許可実績が十分であるなど、科学的根拠が蓄積 されているものについて、事務局審査可能なものについて、規格基準を定めて許可して いこうといったようなこと。3つ目の○印ですが、関与成分の疾病リスク低減効果が医 学的・栄養学的に確立されている場合については、特定保健用食品の許可において表示 を認めていこうといったようなことを考えてまいりました。  大きく2つ目のくくりでございますが、「表示の適正化」ということでございまし て、特定保健用食品・栄養機能食品における表示規制の強化ということで考えておりま す。1つ目の○印ですが、特保・栄養機能食品におきまして、「食生活は、主食、主 菜、副菜を基本に、食事のバランスを。」という表示を義務づけていこうということで ございます。2つ目としましては、栄養機能食品制度の悪用を防ぐために、定義規定の 見直し、表示禁止規定の創設を行っていこうと考えております。3つ目の○印ですが、 栄養機能食品について、「栄養機能食品(栄養素○○)」ということで栄養素の表示を 義務づけまして、食品中の他の成分、物質による機能表示ではない。栄養素による機能 表示であることを明確にしたいと考えております。  3つ目の大きなくくりで、「安全性の確保」ということで、錠剤・カプセル状等の食 品の製造者などに対しまして、適正製造規範、原材料の安全性確認のための自己点検ガ イドラインを通知していきたいということで考えているところでございます。  以降、少し細かく御説明申し上げたいと思います。1枚めくっていただきまして、2 ページとなっているところでございます。「条件付き特定保健用食品について」でござ います。提言の中で、現行の特定保健用食品制度では、身体の構造機能表示を十分に認 めていることができていないということで、消費者にとっては表示を増加させている状 況があるということで、国民への食品機能の性格で十分な情報提供を確保していこうと いうことから、現行の特保の審査で要求している有効性の科学的根拠のレベルには届か ないものの、一定の有効性が確認されるものについては、限定的な科学的根拠である旨 の表示をすることを条件として、許可対象として認めるということで提言をいただき、 これについて内容を検討してまいりました。  真ん中にございますように、科学的根拠ですが、現行の特保に比べて、この表の縦方 向である「作用機序」の方向性、右方向の「有効性を確認する試験の方法」、こういっ た方向性から審査基準を緩和して、条件付き特保としてはどうかということで、現行特 保については作用機序が明確で、無作為化比較試験、RCTで危険率5%以下のものに ついて、原則、現行特保で認めておりますけれども、作用機序が不明確な場合であって も有効性が確認されるものについては条件付きで認めていく。また、RCTの比較試験 について10%以下のものについて認めていく。それから、非無作為化試験でも比較試験 において確認ができるようであれば、条件付きで認めていこうと考えております。  なお、これにつきましては、下に※印で書いておりますが、試験の質の担保、安全性 についてのヒトや動物試験、国立健康・栄養研究所等による試験等につきましては、従 来どおり行っていただくことを考えております。  表示許可につきましては、下の方にございますが、「○○を含んでおり、根拠は必ず しも確立されていませんが、△△に適している可能性がある食品です。」といったよう な形で表示をしていただこうと思っております。マークにつきましては、後ほど御報告 させていただきますが、先般、表示部会と新開発食品調査部会の合同部会で御審議いた だいた際に、委員からの御指摘もあったところですが、右側にありますように、「条件 付き」を、大きくわかるような形で現行特保のマークに重ねる形のマークを考えていき たいと思っております。  なお、条件付き特定保健用食品につきましては、一番下に書いておりますが、後ほど 御説明申し上げます疾病リスク低減表示については対象外にしたいと考えております。  1枚おめくりいただきまして、3ページでございます。規格基準型特定保健用食品に つきましては、現行の特保において許可されているものについて、許可実績が十分であ るといったようなことで、科学的根拠が蓄積されているものについては事務局審査で可 否ができるように規格基準を定めてみてはどうかということでございまして、真ん中の 「規格基準型特保について」の1つ目の○印ですが、既に許可されている特保のうち、 下の3つのスクリーニング基準を満たすものについて、順次研究班で規格基準の作成を 検討することとしてはどうかと。規格基準については審議会で審議をしていただいて決 めたいと思っております。  3つの基準というのは、1つ目が保健の用途の許可件数ということで、おなかの調子 に効くとか、血圧に効きます、血糖に効きます、みたいな、大きなくくりの保健用途の 許可件数として 100件を超えている。いわゆる数がたくさんあること。それから、2つ 目に、関与成分の最初の許可から6年を経過しているものということで、先行企業につ いての保護を考えたい。3つ目として、複数の企業が当該保健の用途を持つ関与成分に 対して許可を取得しているということで、いわゆる試験実績がたくさんあるといったよ うなことでの確認が取れるもの、基準を満たすものについて考えていきたいと思ってお ります。  今回、3つを満たして研究班で現在規格基準の作成を検討しておりますものが、現 在、 475件を特定保健用食品として許可しておりますけれども、そのうち約 200件を超 えたものが「おなかの調子を整える」というものになっておりまして、こちらがまず1 つ目の要件を超えているということで、あと2、3の要件を満たすものがこちらに例示 しております10個の成分ということで、現在、これについて検討しているところでござ います。  なお、規格基準型特保については、1つ目の○印の最後の方に書いてありますが、疾 病リスク低減表示については対象外として考えたいと思っております。  次の「疾病リスク低減表示について」でございます。「提言の概要」の中ですが、特 保の許可として、関与成分と疾病リスク低減効果の関係が医学的・栄養学的に確立され ていることが示された場合には、疾病リスク低減表示を認めるということで御指摘をい ただいたところでございます。これについて専門家の方を交えて検討したところ、現在 においては、科学的根拠が確立されているものとしては、「カルシウムと骨粗鬆症」、 「葉酸と神経管閉鎖障害」の2つの関係であろうということで、カルシウム、葉酸につ いて、疾病リスク低減効果を発揮する目安量として、カルシウムについては 300〜700 mg、葉酸については 400〜 1,000μgの目安量とするということで考えたいと思ってお ります。  これらの規格基準型、疾病リスク低減表示についても、いずれもヒトの摂取試験、許 可試験については従来どおりお願いしたいと考えております。  4ページでございます。「表示の適正化について」でございます。こちらについて も、バランスのとれた食生活を推進していく観点から、特定保健用食品、栄養機能食品 については、「食生活は、主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを。」という、 食生活指針にのっとった文言の表示をお願いしていきたいと考えております。  また、その他の健康食品ということで、法令に基づく制度になっていないものにつき ましても、摂取を偏重する傾向については、特保、栄養機能食品以外についても当然当 てはまるものであるということで、同様の表示について努力義務ということでお願いし ていきたいと考えているところでございます。  続いて5ページでございます。「表示の適正化について」の2つ目でございます。栄 養機能食品制度でございます。こちらにつきましては、ダイエット用食品の栄養機能食 品としての表示の禁止、栄養素名の表示の義務づけなどについて提言をいただいたとこ ろでございまして、まず、「栄養機能食品における表示の禁止事項について」というこ とで、消費者が本来、栄養機能食品ということで認識してはいけない物質などを、それ が栄養機能食品のもとであるような誤認するような表示を禁止していこうということ で、例えば、ダイエット等の痩身効果を表示する場合とか、認められていない他の物質 の機能を包裝の前面に出してより大きく表示するような場合については禁止していきた いと考えております。  また、栄養素について、これまで明確に記述させていなかったということもありまし て、そういった紛らわしい表示が出ているということもありますので、栄養機能食品の 中で、栄養素はこれですということを明確にしていただくということと、現在の定義規 定が栄養機能食品制度の趣旨を十分にあらわしていないのではないかということで、定 義規定におきましての改正をしたいと思っておりまして、「栄養機能食品は、食生活に おいて特定の栄養成分の補給を主たる目的として摂取をする者に対して表示をするもの である」ということで定義を改めていきたいと考えております。  6ページでございます。「表示の適正化について」の3つ目で、栄養機能食品の成分 追加を考えてはどうかということでいただきました。消費者に対しても適切な情報提供 を行うという観点で、平成13年に、審議会で、栄養機能食品については、ビタミン・ミ ネラルの25成分についてまず検討していきましょうという話でしたが、現在、17成分に ついて栄養機能食品として対応しているところでございます。残り8成分についても規 格基準が設定できるかどうか検討するようにということでしたが、現在の調査結果など を含めますと、ビタミンK、リン、カリウムにつきましては必要量を満たしているこ と。ヨウ素、マンガンなどにつきましては、国民栄養調査での調査が行われていないこ とから、現時点での設定がなかなか困難な部分もあるということでした。そうはいって も、やはり国民にきちんと情報提供していかなければいけないという観点から、当面、 消費者への適切な情報提供ということで、国立健康・栄養研究所の「健康食品の安全性 ・有効性のデータベース」を活用して情報提供を進めていきたいと考えております。  続きまして、7ページでございます。「安全性の確保について」ということで、錠剤 ・カプセル状食品につきましては、成分が濃縮された形であったり、錠剤・カプセルと いう意味での過剰摂取が起きやすいといった観点から、製品の均質化を図り、また、過 剰摂取による健康被害を防止する観点で、まずGMPということで適正製造規範を設け て、ハード面、それからソフト面からの工程管理を推進していただく。また、原材料の 安全性の自主点検ということで、下にありますが、ポイントとして2点、原材料の製造 に用いられる原料について、せめて文献での安全性・毒性情報等の収集を行っていただ くことと、食経験に基づいて安全性の担保ができない場合についての毒性試験を行うと いったようなことについて、事業主の方々に取り組んでいただきたいと考えておりま す。  ここまでのところが今回の見直しの中の部分でございまして、あわせて普及啓発など も行っていきたいと考えております。  1枚めくっていただきまして8ページですが、試験研究などを行うに当たりましての ことでございます。特定保健用食品の審査に当たりましても、当然、事業者の方にヒト 試験を実施していただいている観点から、平成13年の制度施行の際の通知でも、ヘルシ ンキ宣言の精神にのっとって被験者の人権に配慮してやってくださいということを通知 していました。これにつきましては、来年4月から個人情報保護法が施行されること で、疫学研究に関する倫理指針という、平成14年につくった指針の見直しが現在されて おりまして、間もなく見直したものが公布される予定と聞いております。食品分野にお きましても、当然これについては該当するものですので、改めて被験者の人権面に配慮 したヒト試験の実施について、今回の新しい制度の施行にあわせて通知していきたいと 考えているところでございます。  1枚めくっていただきまして、資料1−4でございます。今回、諮問事項につきまし て、11月16日と12月20日に、表示部会、新開発食品調査部会の合同部会を2回開催して いただきました。そちらの方での報告書でございまして、諮問内容のとおり了承すると いうことでの報告をいただいております。ただ、審議の場において、条件付き特定保健 用食品の名称と許可商標(マーク)について御議論いただいたところでございますが、 名称につきましては了承いただいたということ。それから、なお書きのところにござい ますように、許可商標については、「条件付き特定保健用食品」であることが容易に識 別できるようなものとするということで、先ほど、2ページのところにあったようなマ ークの案にしていきたいということと、いわゆる普及啓発をきっちりやってくださいと いう非常に強かったこともございますので、あわせて保健機能食品制度の周知及び普及 啓発に努めるべきであることを改めて要請するということで部会の報告になっていると ころでございます。御紹介させていただきます。  1ページめくっていただきまして、資料1−5でございます。合同部会で御審議をし ていただいている期間中に、11月19日から12月17日までにパブリックコメントを募集し ました。その際に、67件の御意見をいただいたところでございます。以下、概要をつけ ておりますけれども、制度を見直している部分それぞれについて御意見をいただいたと ころでございます。時間の関係もありますので、簡単に御紹介させていただきたいと思 います。  めくっていただきまして、1ページになっているところでございます。下から3番目 ですが、条件付き特定保健用食品制度につきましては、科学的に検証できていることと か、新しい機能など、そういったものについて認めるように。また、消費者の選択の幅 を広げて適切な食品選びの環境整備を行うことが重要であるといったような意見をいた だいたところでございます。厚生労働省の回答につきましては、右側ですが、これまで 許可を受けていない保健の用途、効果、身体器官名であっても、現行の特保または条件 付き特保で必要な科学的根拠を備えた申請があれば受け付けるようにしていきたいとい うこと。また、指標についても、科学的に判断するため客観的な指標が望ましいと考え ますといったような回答をしております。  4ページですが、上から6番目の規格基準型特保のところで、対象となる関与成分の 見直しなどについては明確にやってほしいということと、許可実績のカウント方法は公 表されている品目数と数えればよいかといったようなことですが、そのスクリーニング 基準に照らしてどのような状況にあるかについては、ホームページなどで情報提供を行 っていくことを検討していますと答えております。また、カウント方法については、そ のとおりでございます。  6ページの下から2つ目のところでございます。疾病リスク低減表示のところで、 「疾病リスク低減表示」と言いながら、はっきり「低減します」と言い切れないものに ついて許可するのは理解できないという意見もございました。ただ、一般に疾病が発生 する原因には、食生活だけではなくて多くの要因があるために、ある栄養成分を摂取す ることにより、食生活が部分的に改善されることをもって疾病リスクを低減するとまで は言い切れないということでございますけれども、科学的根拠が、医学的・栄養学的に 確立されているものについて許可表示として認めることとしているといったようなこと で整理しております。  あと幾つかありますけれども、時間の関係もございますので、簡単な紹介にさせてい ただきたいと思います。  もとに戻っていただきまして、諮問事項としては、資料1−3の枠の中で、アンダー ラインが引いてあるところが諮問事項でございまして、これを、いわゆる諮問書の形で 文書にしたものが1枚目の諮問書本体の部分でございます。  ということで御審議をよろしくお願いいたします。 ○吉倉分科会長  だいぶ長く説明をもらったので頭の方を忘れてしまいそうですが、御意見をお願いし ます。  要するに、資料1−1の「特定保健用食品について」の1、2、それから、「栄養機 能食品について」の1、2、3、4、こういうことで御意見はいかがかということで す。  私から簡単な質問ですが、資料1−3の3ページ目、「規格基準型特定保健用食品・ 疾病リスク低減表示について」の中で、「規格基準型特保について」の(1)に「保健の 用途の許可数」と書いてありますが、「保健の用途の許可」とは何ですか。 ○阿部室長  さっきははしょったのですが、「おなかの調子に効きます」とか「血圧に効きます 」、「血糖に効きます」みたいな形でのグルーピング、どういったものに効くかという グルーピングしたものとして、いわゆる特定の保健の用途に効くと言っておりますもの を、そのグルーピングの整理で 100件と。要するに、たくさん出ているということで整 理したいと。 ○吉倉分科会長  簡単に言うと、「おなかの調子がよくなります」という表示をしていいかという、そ ういう件数が 100件という話ですね。  いかがでしょうか。 ○柳川分科会長代理 資料1−3の1ページ、一番上の四角のところに、「現行の特保 の審査で要求している有効性の科学的根拠のレベルには届かないものの、一定の有効性 が確認される」と書いてありまして、その「一定の有効性」をどう判断するかは大変難 しいと思いますが、その次のページの無作為化比較試験のところで、例えば危険率5% から10%というところは、「条件付き」でオーケーだと。要するに、一定の有効性が確 認されているのではなかろうかという判断をしたわけですね。これを10%にしたのは、 何か理由がありますか。 ○中垣課長  柳川委員からの御質問にどう答えていいのか、御専門中の御専門ですのであれでござ いますが。  最近の統計学では余り使わない、あるいは、使ってはいけないのだろうと思いますけ れども、昔で言うと、有意傾向があるものとして一応10%を一つの目安にされてきた経 緯があるだろうと考えております。我々といたしましても、今回の「一定の科学的根拠 」のところは、「作用機序」、「明確」、「不明確」ということと、5%、10%という ところで、一応割り切って御提案を研究班からいただいているわけですが、研究班にお いても、恐らくはそういう歴史的な経緯を基に御判断になったのだろうと考えておりま す。 ○柳川分科会長代理 ある段階で申請が出てきてオーケーになったというときに、さら にこういう科学的な評価を続けていって、例えば5%以下になったとか、10%ではなく て、これはもう余り関係ないよとなったときには、再審査とか審査を遠慮するという、 そういうことをやるのでしょうか。 ○阿部室長  研究が進んで、例えば「条件付き」で、10%以下のデータしか取れないのでまず「条 件付き」で許可を取りたいということで申請があったものが、研究が進んで、さらに5 %以下の実験結果も得られるということになれば、いわゆる「条件付き」ではない、通 常の特保の申請をしていただければ、改めて審査をさせていただきまして、そちらでま た許可をすることは十分にあり得ます。 ○吉倉分科会長  ほかにいかがでしょうか。                  (異議なし) ○吉倉分科会長  時間もだんだん迫ってきたので、この辺でよければ、次に移りたいと思います。 ○阿部室長  資料1−1の綴りの次に、「参考」ということで3枚紙の資料がついていたかと思い ます。食品衛生分科会における確認事項の関係で3枚の資料がありますでしょうか。横 長のペーパーでございます。  平成15年4月に食品衛生分科会で、確認事項ということで、特定保健用食品の審査に 関しまして確認事項を決めていただいたところでございます。改正をお願いしたいと思 っているのですが、まず現行では、食品衛生分科会における確認事項の新開発食品調査 部会の表の5というところに、特定の保健の目的に資する栄養成分と特定の保健の用途 の組み合わせが同じだけれども、目的に資する栄養成分の一日当たりの摂取目安量、食 品の形態、原材料の配合が大きく異なるものについては、諮問して、部会の審議、分科 会の報告をすることが決まっておりまして、「大きく異ならないもの」というのが、実 はまた別紙がついていたというところでございます。そちらが現行のところにあるとこ ろでございまして、大きく異ならないものについては、審議会において、安全性、効果 の審査を経ているものとして取り扱うことになっていたのですが、そこに改めて追加を させていただきまして、今回、規格基準型の特定保健用食品、これは既に許可を受けて いるものの中で、その成分の目安量の内側の数字とかそういったものですので、そうい うものについては、規格基準は審議会で議論していただくのですが、それを審査する際 には、事務局で、適合しているものと確認したものは、審議会での審査を経ているもの として部会に報告する形にさせていただきたいということが1点でございます。  それから、第2項ですけれども、これまで、商品名または申請者名だけが違うものに つきましては、既にそれだけで審議会の審査を経ているものとして扱うということでし たが、これにつきましては、1枚めくっていただきまして、食品安全委員会の扱いのと ころで、下の方にあります(2)のところで、風味ということで、香料、着色料等の添加 物が異なるものについては、既に健康影響評価は終わったものとして扱うことになって おりますので、こちらにつきまして、医薬・食品の審議につきましても同じように、審 査が終わっているものとさせていただきたいと思います。  なお、この添加物については、当然、使用が認められているものを使っていることが 大前提ですが、風味についてはそういう扱いにさせていただきたいということで、確認 事項の改正をお願いしたいということでございます。  もう1点は、この資料の3枚目で、特保の許可審査の手続きでございます。これまで は、申請をいただいたときに、内閣府の食品安全委員会の方で、安全性についての評価 を先にしていただいた上で、薬食審の調査会、部会、分科会での審査をお願いしていた ところでございます。  今回、新たな制度を始める際には、まず有効性の確認を調査会でさせていただきまし て、その上で、食品安全委員会での安全性に関する評価をしていただき、その上で、両 方の結果を踏まえたところで、部会、分科会での審査をお願いする形での手続きを、順 番だけですけれども、変えさせていただきたいと思います。  この2点につきまして御了解いただければと思います。よろしくお願いいたします。 ○吉倉分科会長  これは、まず1ページ目の対照表の件は審議事項ですよね。先ほどの説明で皆さん大 体合意されたのでこのとおりになると思いますが。  あと、最後の3枚目で順序を変えるというのは、これでよろしいかという話でした。  いかがでしょうか。  ちょっと理屈の話ですが、3枚目の資料で、新開発食品評価調査会のところで、これ は効能の話でしたよね。効果というのは、安全委員会ではなくて厚生省の管轄になるわ けですね。 ○阿部室長  はい。 ○吉倉分科会長  それでは、そういうことでお認めいただいたということでよろしいですか。                  (異議なし) ○吉倉分科会長  それでは、審議は以上で終わります。  報告事項に移ります。時間がなくなってきましたが、手短にどんどん進めてくださ い。 ○中垣課長  報告資料1に基づいて、動物用医薬品である不活化ワクチン等にかかわります農薬・ 動物用医薬品部会の審議結果について御報告いたします。  まず、1として「個別品目について」でございます。(1)から(5)にありますそれぞれ の品目について、これはいずれも不活化ワクチン、あるいは、魚の卵の段階での消毒剤 で、食品安全委員会においても問題がないということですし、部会におきましても、残 留基準を設定しないという御結論を得ております。  2番が不活化ワクチン全体の取扱いについてでございます。(1)から(3)に書いており ますとおり、病原体等が不活化されている、アジュバント等の添加剤が既にリスク評価 されているものと同じもの、アジュバント等の添加剤の含有量が既にあるものと同程度 またはそれより少ないという3つ、そのすべてに該当するものにつきましては、安全委 員会においては健康影響評価を行うことが必要ではないということでございますし、部 会におきましては、残留のおそれがあって人の健康を損なうおそれがあるというところ には該当しないという御結論をいただいたところでございます。  以上でございます。 ○吉倉分科会長  一応報告ですが、質問があればどうぞ。  なければ、次の報告に移りたいと思います。 ○中垣課長  報告資料2を御覧いただきたいと思います。アレルギー物質を含む食品の表示の関係 でございます。  アレルギー物質の表示につきましては、平成13年4月から、卵、乳、小麦等5品目に ついては特定原材料としてその表示を義務づけ、エビ、カニ、大豆などの19品目につい ては、これらに準ずるものとして表示を推奨してきたところでございますが、その実施 から3年が経過したこと、さらに、その3年の間に疫学調査等も行ったことから、農林 水産省の審議会と共同で行っている共同会議において議論していただいたところでござ います。  その結果、報告書を取りまとめていただいて、パブリックコメントを実施する、さら には表示部会で審議をするという手続きを踏んで、別添にありますような通知を12月24 日付で出させていただいたところでございます。  その内容でございますが、四角で囲んでいるところでございまして、推奨品目とい う、特定原材料として表示を義務づけるまではいかないけれども、表示してもらった方 がいいという品目にバナナを追加しようということでございます。2番目が、特定原材 料などを使用していない旨の表示を促進しよう。すなわち、この推奨表示をしていると ころは義務がついていませんので、表示をしていないのか、それとも使っていないのか ということがわからないことから、使っていない場合には「使っていない」という表示 をやっていただいてはどうか。3番目が、文字の大きさや色を変えることによって強調 しようということでございまして、この3つを主な内容といたします通知を24日付で出 させていただいたところでございます。  以上でございます。 ○吉倉分科会長  要するに、この四角の中の話ですが、よろしいでしょうか。  それでは、次をお願いします。 ○南課長  BSEに関連する報告事項として、2件御報告いたします。  一つは、10月15日付の文書で、厚生労働大臣及び農林水産大臣から、食品安全委員会 の委員長に対しまして、BSEの国内措置の見直しについて評価を依頼した件でござい ます。もう一つは、同じく10月21日から23日にかけまして、日本政府、アメリカ政府の 牛肉貿易再開についての局長協議がございました。これにつきまして、それぞれ概要を 報告資料3に基づいて御報告します。  まず、「国内措置の見直しについて」とありますが、本文を基に御説明いたします。  めくっていただきまして、これが評価を依頼した表紙でございまして、評価は、下に ある (1)から (4)までの4つの事項について評価を依頼してございます。  めくっていただきまして、1点目の「と畜場におけるBSE検査について」でござい ます。検査の現状につきましては、と殺前に生体検査を行います。これは目視検査にな りますが、BSE症状を呈するなどBSEが疑われるウシについては、と殺解体が禁止 されるということでございます。また、と殺後の検査のうち、BSE検査の対象はすべ ての月齢のウシと定められております。BSEのスクリーニング検査で陽性になった場 合には、国立感染症研究所等におきまして確認検査を実施いたしまして、厚生労働省に 設置した専門家会議において検査結果に基づく確定診断を行っているというのが現状で ございます。  3ページの2、「課題と今後の措置」でございます。2点ございまして、食品安全委 員会からの通知でございます「中間とりまとめ」において、検出限界以下のウシを検査 対象から除外するとしても、現在の全月齢のウシを対象としたSRM除去装置を変更し なければ、それによりvCJDのリスクが増加することはないと考えられる。しかしな がら、この検出限界というのは、現在のところ、断片的な事実しか得られていない。  また、我が国における約 350万頭における検査において確認された事実を勘案する と、21か月齢以上のウシについては、現在の検査法によりBSEプリオンの存在が確認 される可能性がある。次のパラグラフの最後の方ですが、 350万頭に及ぶ検査により、 20か月齢以下のBSE感染牛を確認することができなかったことは、今後の我が国のB SE対策を検討する上で十分考慮に入れるべき事実である。こういった旨の指摘がなさ れました。  これを踏まえまして、と畜場におけるBSE検査の検査対象を21か月齢以上とする。 また、見直しに当たっては必要な経過措置を講ずることとする。この点について評価を お願いしたわけでございます。  また、「BSEの検査法の開発」ですが、「中間とりまとめ」により検出限界の改 善、生前検査法の開発等を含め、研究が進められるべきであるという御指摘を踏まえま して、厚生労働省としては、引き続き、これらの異常プリオン蛋白質検出技術の高度化 について検討するということとしております。  めくっていただきまして、「特定危険部位(SRM)の除去について」でございま す。現状では、舌と頬肉を除く牛の頭の部分、脊髄、回腸遠位部は盲腸との接続部分か ら2mの部分までについて、枝肉、食用に供する内臓の汚染を防ぐよう処理することが 義務づけられております。その詳細は通知により示されているわけでございます。ま た、このSRMは、専用の廃棄物容器に収納し、焼却することが義務づけられておりま す。さらに、と畜場の外で処理される脊柱については、食肉加工業者等による食用への しようが禁止されているという現状がございます。  こういったものの処理についての監督体制ですが、と畜場においては、と畜検査員。 また、食肉処理施設等においては、食品衛生監視員がこの遵守状況の確認を行っている ところでございます。  「課題と今後の措置」ですが、「中間とりまとめ」におきまして、と畜場等における 適切なと畜解体の実施を通じて交差汚染を防止することは、人のBSE感染のリスクを 低減する上で重要である。このため、引き続き適正なSRM除去、交差汚染防止の指導 を行うとともに、その実施状況を定期的に検証するなど、適正な実施が保証される仕組 みを構築するべきであるという指摘を受けました。  めくっていただきまして、(1)と(2)ですが、一つは、SRM管理に関する法令及び関 係通知の遵守状況を確認するため、と畜場におけるSRM管理の実態調査を、これまで は不定期に調査していたわけですが、今後、調査項目をより詳細にし、また、定期的に 調査を行い、その結果を公表するとしております。また、(2)ですが、と畜処理工程に おける枝肉等のSRM汚染防止措置の評価方法を開発し、実用化を進める。この2点に ついて評価をお願いしております。  また、ピッシングにつきましても、「中間とりまとめ」において、今後はその廃止も 含め、さらに検討の必要があるという指摘を受けましたので、これを踏まえ、既にピッ シングを注視したと畜場での事例を整理して、都道府県等に対して情報提供を行い、ピ ッシング中止への取組みの指導を推進するということで、引き続き中止の方針で検討を 進めるということで評価をお願いしております。  また1枚目に戻っていただきまして、3と4は、農林水産省所管の措置ですが、「飼 料規制の実効性確保の強化」、「調査研究の推進」につきましては、先ほど、厚生労働 省の部分については御説明しましたが、農林水産省においては、ウシなどの摂取実験な ど、調査研究の一層の推進を図ると。この4つについて、10月15日に評価の依頼をした ということでございます。  次に、日本政府とアメリカ政府による牛肉及び牛肉製品の貿易の再開に関する局長協 議が行われまして、その結果が最後のページに載っております。  協議の結果、2つ目のパラグラフになりますが、3点について認識を共通としており ます。1点目は、AからGまでの条件枠組みの下で行う。それから、それぞれの国内の 承認手続きを条件とする。これは、特に我が国では食品安全委員会における審議でござ います。それから、科学に基づいて双方の牛肉貿易を再開するということで認識を協議 したということでございます。また、詳細については専門家及び実務担当者によってさ らに詰めることとしております。  まずAでございます。これは、日本産の牛肉の輸出についても同時に再開するという ことでございます。  Bは、アメリカ産牛肉の日本への輸出に当たっては、アメリカ政府は日本の基準に合 わせるため、日本向けの暫定的な貿易プログラム、これは牛肉輸出証明プログラムを設 けるということで、この中でSRMの除去、20か月齢以下のウシの確認等を行うことに しております。  Cは、可能な限り速やかに、両国の国内の承認手続きに着手するということでござい ます。  Dは、BSEに関し、今後とも日米の専門家による共同の科学的協議を継続する。  Eは、牛肉輸出証明プログラムにつきましては、来年7月をめどに日米両国により検 証がされます。  Fは、少数の追加的な発生が確認されても、科学的根拠がなければ輸入停止にはつな がらない。これはどういうことかと申しますと、既にある科学的知見の範囲において は、例えば60か月齢とか70か月齢のウシで、新たな感染牛が見つかったとしても、そう いったことで輸入が停止されることはないということでございます。  Gは、査察システムについては、日米両国は、相手国の輸出関連施設に定期的な査察 を双方で行うということでございます。  現在、BSEにつきましては、国内措置の見直しについて、現在、食品安全委員会で 審議中でございます。また、米国との関係では、米国におけるSRMの除去、月齢確認 方法について、専門家及び実務者担当者の間で検討が進められております。  以上でございます。 ○吉倉分科会長  前半は、安全委員会の報告と考えていいですね。 ○南課長  安全委員会に対し、厚生労働省、農林水産省が安全評価を依頼した内容でございま す。 ○吉倉分科会長  依頼した内容ですね。そうすると、この別紙は何ですか。 ○南課長  これが内容でございます。その前のページのものが表紙となっております。 ○吉倉分科会長  そうすると、この別紙をつけて、この4つの事項について安全委員会に聞いて、安全 委員会はそれについて何をしたかということは、まだわからない、今からの話というこ とですか。 ○南課長  現在、審議をしていただいているところでございます。 ○吉倉分科会長  一番最後の紙は単なる共同記者発表で、あと、参考として、リスコミの開催地の表が あるということですね。 ○南課長  はい。 ○吉倉分科会長  物事はまだ始まっていないのですが、よろしいでしょうか。一応このような諮問が出 たということのようです。  それでは、最後に、ダイオキシンについてお願いします。 ○南課長  平成15年度の食品からのダイオキシン類一日摂取量調査結果が取りまとめられました ので御報告いたします。報告飼料4をお願いいたします。「ダイオキシンの汚染実態把 握及び摂取低減化に関する研究」において実施されたものでございます。  汚染実態調査は、2つの目的を持って行われております。一つは、平均的な食生活に おける食品からのダイオキシン類の摂取量を推計する。もう一つは、個別の食品のダイ オキシン類の汚染実態を把握する。そういったことでございまして、調査方法として、 平均的な食生活における食品からの摂取量推計に当たっては、全国7つの地域の11機関 においてそれぞれ 120品目の食品を購入しまして、そのままの状態または調理後に、13 群に大別して、混合して均一化したものを試料としております。また、水も加えており ます。  それから、この調査において、ダイオキシンの摂取量への寄与が大きい食品群、魚介 類と肉類・卵類、乳・乳製品の3つの群については、各機関が3セットずつ試料を調製 して測定しております。  次に、個別食品化のダイオキシン類の濃度ですが、これは国内産、輸入食品、合計 170試料について分析をしております。調査項目は従来どおりでございまして、PCD D7種類、PCDF10種類、コプラナーPCB12種類の計29種類でございました。  調査の結果ですが、食品からのダイオキシン類の体重1kg当たりの一日摂取量は1.33 ±0.59pgTEQ と推定されております。この数字は、平成14年度の調査結果とほとんど同 じレベルでありまして、日本における耐容一日摂取量4pgTEQ より低かったということ でございます。  また、先ほど、魚介類等については3セットずつ試料を調製して検査したということ でしたが、採取した食品の種類、産地等の差によって、ダイオキシン類の摂取量は約 1.4〜3.9 倍の差が生ずることがわかりました。  表1は、一日摂取量の全国平均の年次推移でございます。ここ数年は横ばいで推移し ていることが確認できると思います。  次のページの表2は、地域別年次推移でございます。平成14年度より3セットずつ調 査している分があるということでございます。  個別の食品中のダイオキシン類濃度調査は、4ページからでございます。5ページを 御覧いただきたいと思います。「鯨肉」の下から3行目に非常に高い数値が載っており ます。これはクジラの脂肪の部分を分析したものでございまして、その1段上の2.353 という数値が出ているものと同じ個体のものでございまして、ダイオキシン類が脂肪に 蓄積されることが調査結果からも出ているといったところでございます。  あとの御説明については割愛させていただきます。  この調査の結果につきましては、本日、当食品衛生分科会において報告をいたしまし たということ、もう一つは、この調査結果につきまして、コメントとして、「一部の食 品を過度に摂取するのではなく、バランスの取れた食生活が重要であることが示唆され ました」という、このコメントをつけて本日公表したいと考えておりますので、御了解 をいただきたいと思います。  以上でございます。 ○吉倉分科会長  そのコメントというのは、このダイオキシンの結果からということですか。 ○南課長  はい。 ○吉倉分科会長  それはどの辺からになりますか。表を見てもよくわからないのですが。クジラの脂に 多いというのはわかるところもあるでしょうが。 ○南課長  試料の分析にかなり数値のバラつきがありまして、特定の食品を偏食すると、TDI の4pgを超えてしまうおそれがありますので、こういうコメントをつけさせていただき たいと考えております。 ○吉倉分科会長  今のコメントも含めて、よろしいでしょうか。  それでは、報告事項については終わります。  あとここにあるものは参考資料で、前回の分科会で質問があって、そのときにわから なかったものが資料として配ってあります。これは御覧いただければよろしいかと思い ます。  それでは、10分ぐらい超過してしまいましたが、ほかに何かなければ終わりたいと思 います。  事務局から何かありますか。 ○事務局  特にございません。 ○吉倉分科会長  それでは、年末のお忙しい中、どうもありがとうございました。以上で閉会といたし ます。                                       了                 照会先:                   厚生労働省医薬食品局食品安全部企画情報課                   TEL:03−5253−1111(2449)