04/12/24 第14回社会保障審議会年金数理部会議事録                   第14回               社会保障審議会年金数理部会              平成16年12月24日(金)                 厚生労働省年金局 日時  :平成16年12月24日(金)14:00〜15:37 場所  :富国生命ビル28階会議室 出席委員:堀部会長、都村部会長代理、栗林委員、近藤委員、田村委員、林委員、      山ア委員、渡辺委員  議事次第  1.公的年金財政状況報告−平成14年度−について 開会 ○田村首席年金数理官  定時になりましたので、ただいまより、第14回社会保障審議会年金数理部会を開催さ せていただきます。  審議に入ります前に、お手元の資料の確認をさせていただきます。  座席図、議事次第のほかは次のとおりでございます。  資料1−1、1−2、1−3と3つに分けてございますけれども、資料1は、「公的 年金財政状況報告−平成14年度−案」でございます。  資料2は、「公的年金財政状況報告−平成14年度−(要旨)案」でございます。  配布資料は以上でございます。  次に本日の委員の出欠状況について御報告いたします。本日は宮島委員が御都合によ り御欠席とのことでございます。御出席いただいた委員の方が3分の1を超えておりま すので、会議は成立していることを御報告申し上げます。  以降の進行につきましては、堀部会長にお願いします。 ○堀部会長  暮れも押し詰まった中をお集まりいただきましてありがとうございました。本日は平 成14年度の公的年金財政状況報告の取りまとめに関して審議を行いたいと思います。  それでは、早速本日の議題、「公的年金財政状況報告−平成14年度−について」に入 りたいと思います。 議題 1.公的年金財政状況報告−平成14年度−について ○堀部会長  例年どおり、制度所管省から平成14年度の財政状況の報告を受けました。その際に、 昨年同様、報告書を取りまとめることにしたわけでございます。  委員の皆さんには、事前に事務局がつくったものを御覧いただいて、いろいろな御指 摘をいただいて、修正したものがお手元にあると思います。その内容はお読みいただい たと思いますけれども、事務局から最初に説明いただいて、その後で質疑、意見をお願 いしたいと思っております。  それでは、事務局から報告をお願いいたします。 ○田村首席年金数理官  まず資料1に沿ってざっと御説明をしたいと思います。今の部会長のお話にもござい ましたけれども、各委員には、既にある程度お目通しいただいていると思いますので、 前年まとめていただきました平成13年度版からの変更点を主として全体を御説明したい と思います。ただ、御覧いただいてわかりますように、ボリュームがかなりございます のでお時間を大分いただくかもしれませんけれども、そこは御了承いただきたいと思い ます。  表紙がありまして、1枚めくっていただきまして、これは部会の先生方の名簿なの で、それも1枚めくっていただきますと目次がございます。まず、構成でございますけ れども、「はじめに」がありまして、第1章で公的年金の概要をふれまして、これは大 した話ではないのですけれども、第2章で公的年金の現在(平成14年)までの状況につ いて見ております。第3章では、平成11年の財政再計算で平成14年にはこうなると予測 された内容と実際の14年の結果について比較をし、どの辺が違った結果こうなったかと いうことについて分析を加えております。そこの特に第4節、第5節では乖離の要因に ついて分析を行っております。それから、付属資料も後で御説明しますけれども、公的 年金制度の沿革、長期時系列等につきまして拡充をいたしております。特に先ほど申し ました第3章の第4節、第5節につきましては、この部会に設置されております技術作 業委員会でその分析につきまして御検討いただいたという状況でございます。  では、本文の方にまいりたいと思いますが、1ページ、2ページ、3ページ、これは 第1章まででございますけれども、概略的なもので、これまでの動き等々について書い てございますので、説明は省略いたしたいと思います。  以降、4ページからになりますが、第2章の財政状況について御説明をしてまいりま す。全般的な昨年からの動きを御説明いたしますと、1つは、時価ベースでの評価、積 立金、運用収入、収入総額、収支残等につきまして、時価ベースの数字を報告していた だきましたのでそれを載せております。  それから、もう一つは、前回の部会で御議論いただきましたけれども、年金扶養比率 を補完する指標として年金種別費用率というのを採用すべきということになりましたの で、それに関しても若干ふれております。  それから、先ほど目次でも御覧いただきましたけれども、新しい分析、保険料、給付 費、基礎年金拠出金に関してその乖離の要因分析をしているというのがあります。  もう一つ、昨年と大きく変わっているというか、工夫をした点といたしましては、年 次推移をできるだけ載せるようにいたしました。それによって、これまでの動きという のがわかるかと思います。  それから、農林年金が平成14年4月に厚生年金に統合いたしましたので、その扱いと して旧農林ということで一応残した形にしております。その辺が昨年と変わった点で す。  ページを追って御説明していきますけれども、まず4ページ、5ページは公的年金全 体の状況を見たものです。その数字のもととなる統計表は、その次の6ページ、7ペー ジに載っていますけれども、14年の特徴としては、先ほど申しました農林年金の統合と いうのがございまして、移換金が旧農林から厚年へ移っているということで、それにつ いて若干収入のところでコメントをしています。また、これは後々の比較のところでも ちょっと留意をしなければいけないという点になります。  それから、5ページのところでございますけれども、4行目の「なお」書き以下でご ざいますが、「基礎年金拠出金収入」というのがありますけれども、これは受け入れ側 の国民年金の基礎年金勘定との見合いで入ってきて出ていくというものでございまし て、同額が計上されており、公的年金全体で見る際には財政的には相殺すべきてものだ というようなことをコメントいたしております。  1枚めくっていただきまして、6ページ、7ページに表がありますが、図表2-1-1に ついて、ここでは何点か御説明しなければいけないところがございます。1点は、例え ば収入総額のところを御覧いただきますとわかりますけれども、簿価ベースと時価ベー スという2通りのものを載せております。時価の数字も報告いただけるということにな りましたので、わかった部分について載せてございます。ちなみに地共済だけは年度末 の数字、今回は積立金だけをいただきましたので、最後の年度末積立金のところだけ時 価ベースが入っているという形になっております。  それから、新たに基礎年金勘定をそこに追加して、全体で足し上げると給付、収入と もにわかるというような形になってございます。ただ、そうしますと、先ほど申しまし たように、基礎年金交付金とか拠出金関係につきましては中でぐるぐる回りしますの で、それを抜いた、6ページの図表2-1-1でいくと、一番右端の実質というところ、公 的年金全体の実質というところで見たらどうかということで、こういう数字を並べてお ります。  それから、その右側7ページ、これは合計の欄の数字を左右入れ替えて書いてあるだ けで同じ数字が並んでいます。そこで書いてあるのは基礎年金給付費、基礎年金相当給 付費(基礎年金交付金)が合計でどうなるかとか、それから、基礎年金交付金がどうい うふうに動いていくかというようなことがわかるような形で線を引っ張っております。  1枚めくっていただきまして8ページでございますが、保険料収入です。全体的には 減少傾向でございますけれども、私学共済だけは増えています。これは後で御説明しま す。保険料収入の表以降の表は平成14年の数字を入れただけです。ただ、平成14年は先 ほど申しましたように、農林年金が厚生年金に統合されたということで書き方が変わっ ておりまして、そこの図表2-1-4を御覧いただきますと、厚生年金の中に旧3共済と旧 農林年金がありますが、旧農林年金が昨年までは私学共済の右側にあったのですが、厚 生年金の中に入れたというのが1つあります。  それから、その下の伸び率、対前年度増減率ですけれども、平成14年度というのは対 象年度になりますので、前年からの動きというのも分析の対象になります。したがっ て、どういう数字で分析するかということが1つポイントになるわけですけれども、こ こでは数字として2種類出てくるかと思い、その表に書いてございます。1つは厚生年 金だけで伸び率を見たものです。その下の対前年度増減率で1.3というところですけれ ども、右側に括弧で△0.3というのがありますが、1.3というのは厚生年金だけで伸び率 を見たものです。一方、△0.3というのは、13年の旧農林年金を含んだもの、上の方の 実数でいきますと、13年の199,360という数字と3,249という数字を足したものからの伸 び率ということで御覧いただくと△0.3になるというものでございます。伸び率として は、見かけと実質という2種類があろうかと思います。  9ページは保険料(率)の動きです。これは最新年まで載せてあります。  それから、その下の国庫・公経済負担、これは地共済がちょっと減少に動いています が、実際の数字は10ページにございます。  11ページ、追加費用、これはずっと減少してございまして、平成14年も減少している という動きです。  運用収入、これは総じて減少傾向ですけれども、国共済は若干伸びているということ で、それが図表2-1-8、12ページにございます。そこの運用収入、右側の13ページの上 の方の表の運用利回りですけれども、ここはいかんせん運用状況が悪いものですから、 あまりよくないという状況ですが、カギ括弧で下の方、13、14年度あたりに書いてござ いますが、これが時価ベースで見たときの数字です。したがって、説明も時価と簿価の 2つを書いてございますので若干複雑になっております。  13ページの下の方は基礎年金交付金ですけれども、これも各制度とも減少、交付金は 旧法分ですので減少が続いておりますが、これにつきましては次のページにございます が、決算ベースとか確定値ベースというのがあります。お金の流れからいきますと決算 ベースになりますが、実際の分析は確定値ベースでやらなければいけないということで 両方書いてございます。  それから、その次の15ページは給付費の数字です。被用者年金、基礎年金で総じて増 加をしているということですけれども、公的年金全体での給付費、平成14年は39.2兆円 というのが一番最初にありましたけれども、図表2-1-11の一番右のところで、対前年 3.1%の増となっております。国民年金は国民年金勘定が減って、基礎年金がぐっと増 えているということがあります。  その次の基礎年金拠出金ですけれども、拠出金は基礎年金交付金と同じように決算ベ ースと確定値ベースというのがございますので、両方とも載せてあります。  それから、17ページは基礎年金給付費の動きでございます。これも年次を新しくした だけでございます。18ページはそのバックデータ、計算のデータになります。  19ページ、収支残ですけれども、これは時価、簿価ありますので複雑になっています が、簿価ベースだと国年以外はプラスですけれども、時価ベースだと概ねマイナスにな っているということがあるかと思います。  20ページ、積立金、これは各制度ともに時価、簿価が載っております。平成14年は、 この部会でもありましたし、各制度にもいろいろお願いをしたのですけれども、時価ベ ースというのを新しく全制度で入れたということで、それについての説明が21ページに 載せてございまして、すべての公的年金制度で積立金等を時価評価した参考値の報告を してもらっています。その評価の方法ですけれども、下の図表2-1-17のような形になっ ています。これはヒアリングのときに御覧いただいたのと同じ内容になってございま す。  22ページ以降が被保険者の適用の状況になります。被保険者数は図表2-2-1で御覧い ただけるように、被用者年金全体では伸びていますが、各制度は増えているところと減 っているところがあります。ちなみに、平成14年の特徴といたしまして、この被保険者 数、保険料収入もありますし、あとの標準報酬の総額もありますけれども、それを見る ときには、22ページの下から6行目あたりから書いてありますけれども、14年4月から は被保険者の適用拡大がございました。被保険者の年齢の上限を65歳未満から70歳未満 へ引き上げた、ということがありますので、厚年と私学共済については増加をしている という形になります。国共済、地共済は既に上限がなかったものですから、傾向的には それほど変わらないということになります。  23ページがその推移をグラフで見たものです。参考までに旧農林も残してございま す。  24ページは、被保険者の平均年齢と年齢分布を書いています。それをグラフにしたの が25ページの図表2-2-4でございまして、これも昨年とあまり変わりありませんが、地 共済は高い年齢の方が非常に多くて、私学共済は若い年齢のところがちょっと目立って いるということがあるかと思います。また、男女構成も若干違っております。  26、27ページですが、これは新しく追加をしたものです。先ほど平成14年の被保険者 の平均年齢を御覧いただきましたけれども、その推移を載せてございまして、それをグ ラフにしたのが右側の27ページです。男性のところの一番上のぎくしゃくしたグラフ、 これは国年3号ですので、サンプルが少ないという点もあってがたがたしているのかと 思います。あと国年1号については、年齢が少しずつ下がってきているということがわ かるかと思います。それから、青い四角で表している私学共済は、先ほどの年齢の上限 の影響で、特に男性のところでぐっと平均年齢が高くなっているということが言えるか と思います。  その次の28ページからは男女構成になります。女性がどれぐらいいらっしゃるかとい うことで、平成14年度末で見たのが上の表、女性の割合の推移を見たのが下の表です。 各制度とも大小はありますが、概ねプラス、増える方向に動いているのかと思われま す。  29ページは1人当たり標準報酬月額で、これぐらいの状況ですということです。図表 2-2-9で、「男性を100とした女性の水準」というのがあります。現実にはこういう状況 ですけれども、この動きを見たのがその次の30ページの下の図表2-2-11です。これも傾 向的には100に近づくような方向に動きつつあるということがあるかと思います。  31ページ、標準報酬月額総額ですけれども、これは今御覧いただきました1人当たり 標準報酬月額と人数を掛けたものですので、そこの一番上の行にもありますけれども、 私学共済では年齢の上限の変更によって伸びがほかに比べると非常に大きいということ が言えようかと思います。  次の32ページ以降ですけれども、ここからが受給権者、給付の状況です。受給権者の 全体の状況は、32ページの図表2-3-1のようになっておりまして、書き方は伸び率等々 は最初に御説明したような形で書いてございますけれども、全体的に堅実に増加を続け ているということが言えようかと思います。  33ページにはグラフがありますが、地共済、国共済、私学共済は右側の目盛りを見て いただきたいと思います。ですから、地共済が厚生年金よりも受給者が多いということ ではありません。受給権者ベースでは国年と厚年がほぼ並んでいるという状況です。  35ページには年金種別別の構成割合を書いてございます。それから、あと老齢・退年 相当等、年金種別別に14年の状況が書いてありますけれども、その全体の動きを見たの が38、39ページの図表2-3-6と2-3-7の年金種別別に見た受給権者の推移です。38ページ の方は実数ですので、ちょっとよくわからないので、39ページに構成割合を載せまし た。39ページの構成割合を御覧いただきますと、厚生年金では老齢相当というのはほぼ 横ばいからちょっと微減ぐらいの感じですが、通老相当が増加していて、遺族年金が減 少しているということになります。国共、地共では、逆に退年相当が減りまして遺族年 金が増加しているというようなことがわかります。それが人数ベースで見たものです。  その次に年金総額で見たのが40ページ以降でございますが、同じような表が43ページ と44ページにございます。43ページは実数なので、また単位を億円で書いてありますの で見にくいと思いますが、44ページ図表2-3-10を御覧いただきますと、年金額で見たと きの年金種別別の構成割合になります。かなり老齢が占めておりまして、通老がそんな に多くないというのは当然なのですけれども、そういう状況もあります。したがって、 厚生年金でも額ベースで見ますと、遺族年金が増加をしているということがわかるかと 思います。  ここまでは全般的なものでしたけれども、次は老齢・退年相当の受給権者、いわゆる 基礎年金の受給資格期間を満たした者、ただし、当分の間はある制度で加入期間が20年 を超える人についての年金額等々を見たものです。平成14年の状況は45ページの図表 2-3-11のような状況になっております。  そこに平均年齢がありますが、各制度によって若干違っているということで、年齢分 布を見たのが46ページの図表2-3-12になります。これも新しく追加した図ですけれど も、制度によって少しずつ分布が違っております。これは実数でなくて構成割合になっ ていますけれども、60から64歳、60歳前半が一番低いところにあるのが国民年金です。 一方、今の60歳前半が高い方で2つあります。四角いドットと丸いドットがありますけ れども、これが私学共済と厚生年金になります。これは支給開始年齢直後がかなり高い ということになります。あと二つ残っているのが、国共済と地共済ですけれども、これ は70から74歳、70歳前半で一番多いという状況になってございます。  次に、47ページの図表2-3-13は平均年金月額について見たものでございます。これは 昨年もありましたが、数字を14年度にして書いております。男=100とした場合の女性 の年金額にはかなり低い数字が載っておりますけれども、これは加入期間の長短等々も 考慮して見なければいけないなと思ってございます。  それから、48、49ページですけれども、今、公的年金は1階と2階と分かれています けれども、1階部分の支給開始年齢が徐々に引き上げられている途中でございます。し たがって、それがわかるような表ということで、ヒアリング項目でもありますけれど も、そこから抜粋をしたものが図表2-3-14です。平成14年は男のみ61歳から1階が出る ということで、60歳と61歳では年金額がやや違っているということがおわかりになるか と思います。女性は5年遅れになりますので、厚生年金ではほとんどほかと差はない。 それより上の年齢とあまり違いがないということになります。ただ、共済では男女とも 同じように支給開始年齢を動かしていますので、60歳と61歳で段差が出ているというこ とになります。  ちょっと飛びまして53ページに行きたいと思います。今までが財政の実態というので すか、そこを横並びで比較していたものですけれども、今度は財政指標を使いまして比 較をしておるというものです。従来から年金数理部会で使っております5つの財政指 標、それに年金扶養比率を補完するための年金種別費用率というのを追加いたしまし て、これらの指標で比較をしようというのが53ページ以降でございます。ここでは最初 の方は解説文ですけれども、今年は何点かわかりやすくしたいと思いまして追加したの がございます。53ページの年金扶養比率の式がありますけれども、その式の下に年金扶 養比率の意味として、年金扶養比率が大きいということは、1人の老齢・退職年金受給 権者を支える被保険者数が多いということを意味するというような意味合いを。それか ら、その下の「一般に」というパラグラフの一番最後の方では、年金扶養比率は、制度 の成熟状況を人数ベースで表すものだというような説明を追加しております。  独自給付費用率・基礎年金費用率がその次のページにありますけれども、その説明と して、55ページには収支比率の5行ぐらい上の方の「これらは」というところに説明を 追加しております。  それから、収支比率では、式の下にこの比率が100%以下ならこうだよと、100%を超 えると積立金の取り崩し等が必要になりますよということをコメントしております。今 年は100%を超える制度がありましたので、こういうコメントを追加してございます。  55ページの下の方に積立比率というのがありますけれども、もう一つ、下から3行目 にありますが、積立比率に似た概念として積立度合というのがございます。平成16年の 財政再計算では、2095年度の積立度合を1にするというふうにセットされたように聞い ておりますけれども、似たような言葉ですがどこがどう違うのということがそこにちょ っとコメントをしてございます。積立度合の定義はその次のページにありますが、実質 的な支出+追加費用ということで、分母に国庫負担と追加費用が入ってくるというとこ ろが違ってございます。これはどういうことかといいますと、その下にありますよう に、積立比率というのは実質的というか、実際の保険料で見なければいけない、つまり 負担面から見るという指標であるのに対しまして、積立度合というのは、言ってみれば 給付から見るものかと思っております。したがって、ここでは財政を見るという点から 積立比率を使おうということにしております。その下の年金種別費用率ですけれども、 これは前回の部会で御説明して御了解いただきました年金種別費用率についての説明を そのまま載せてございます。  その結果としての平成14年の状況、それまでの推移がどうなっているかというのが57 ページ以降でございますけれども、年金扶養比率は、私学共済は高いのですが、各制度 ともに低くなってきているのがわかるかと思います。それが58ページの下のグラフにな ります。  59ページには、年金種別費用率ということで、これは各制度からは部会のために基礎 資料をいただいて、こちらで計算したもので、その結果を載せてございます。制度ごと に若干違いますけれども、ほぼ同じような構成になっているかと思います。老齢費用 率、障害費用率、遺族費用率を載せてありますが、これに基礎年金拠出金等の拠出金関 係の費用率を足したものが全体の総合費用率になります。  その総合費用率が1枚めくっていただいた60ページです。上に「私学共済は減少」と 書いてありますけれども、下のグラフでも数字でもそうですけれども、総合費用率とい うのは賦課保険料率ですから、ほぼ傾向的には上がるのですけれども、平成14年は先ほ ど御説明いたしました被保険者の適用拡大がありましたので、私学共済は影響が非常に 出まして総合費用率もちょっと下がったということになります。  それから、61ページには文章だけありますが、その次のページにグラフがあります。 共済各制度からは厚生年金相当部分に係る総合費用率というのも報告していただいてお ります。それを比較したのが61、62ページでございまして、62ページを御覧いただきま すと、これは厚年相当の給付費に対してかかるコストですけれども、厚生年金は実績推 計で御覧いただいた方がいいかと思いますが、それと国共済はほぼ似通ってきている。 地共済、私学共済はちょっと下の方にあるということが言えるかと思います。これは各 制度の財政の状況、積立金の状況、標準報酬の状況等々によってこういう差が出てきて いるのかと思います。  それから、64、65ページは独自給付費用率、66ページに基礎年金給付費用率について 推移を載せてございます。傾向的にはこれまでの動きと同じような動きをしているとい うことになります。  67ページには収支比率を載せてございます。単年度の保険料収入と運用収入、それと 給付費の比ですけれども、かなり100に近づいており、厚生年金は100を超えているとい う状況になってございます。  それから、68、69ページは積立比率が載っていますけれども、これは新しく14年を追 加しただけで、そんなに傾向的にも変わりません。  70ページになりますが、各制度の指標、5つの財政指標につきましてレーダーチャー トを昨年と同様載せております。昨年は農林年金がありましたので5つだったのですけ れども、1つ減りまして4つになっています。その代わりということではないのですけ れども、そこに年金種別費用率というのを導入しましたけれども、それの構成割合とい うのですか、百分率比をそこに載せてございます。障害費用率はほとんど見えないぐら いですけれども、老齢と遺族は細かく見ると微妙に違うのですけれども、あまり大きな 差はないという形です。昨年と同じように、レーダーチャートでは、厚生年金と私学共 済は大きさは違うにしてもほぼ同じような傾向の形をしており、国共済と地共済も同じ ような形をしているということが言えるかと思います。一応大きい方がいいというか、 財政面ではプラスというようなイメージでパラメータをセットしております。  以上が第2章でございまして、平成14年までの現状になります。  その次が資料1−2になりますが、第3章で、平成11年財政再計算結果との比較にな ります。平成11年の財政再計算で将来推計をされまして、14年はこうなりますよといっ たものと、実際の14年の結果との比較をしております。ただ、その比較をする際には何 点か留意をしなければいけない点があるので、71ページから73ページまではそれをコメ ントしております。これは昨年も載っておりましたけれども、その中でも71ページのマ ル2ですが、厚生年金では、厚生年金基金がありますので、その辺を加味して、かつ国 庫負担の繰延額などについても加味をして、実績推計というのをつくっていただいてお りまして、それで比較をしているというのが1つあります。  それから、後の方の分析のところでも関係してきますけれども、72ページの真ん中あ たりにマル7がありますが、将来見通しは平成12年度以降の数字のみをいただいており ますが、平成11年の将来見通しの作成の基礎となった数字が各制度とも若干それよりも 前の数字になります。したがって、そのもとの数字から平成12年までの変化というのは よくわからないというので、後の方では、平成11年度末もしくは12年度の中にその影響 が全部入ってくるような形で分析を加えております。  それから、マル8、マル9、マル10は昨年と同じなのですけれども、73ページのマル 11からマル13、これを追加しております。マル11は簿価ベースを基本としておりますけ れども、時価ベースの数字もいただいていますので、それも参考として、括弧書きで書 いているというのが1つあります。したがって、後の方で御覧いただくとわかりますけ れども、やや、見にくい表になってしまいました。  マル12は昨年もそうだったのですけれども、平成12年4月に国共済と地共済の間で地 方事務官が移管されましたので、それが財政再計算には入ってないということには留意 すべきだということが1つ。  それから、旧農林につきましては、14年4月に統合されましたけれども、11年の財政 再計算の厚生年金の財政再計算には入ってないということにも留意をする必要があると いうことです。  結果ですけれども、保険料収入、被保険者標準報酬総額、被保険者数、1人当たり標 準報酬から比較をしておりますけれども、全体的に各制度とも実績が将来見通しを下回 っております。これは経済の動きが再計算で予定したよりも上に上がらなかったという か、逆に標準報酬はマイナスに動いているということでこういうことが起こっているの かなと思っております。乖離の率が増えただけで昨年と傾向はあまり変わらないという のが結果でございます。  それから、77ページは、国庫・公経済負担ですけれども、これは基礎年金拠出金がベ ースになりますので、基礎年金拠出金が減れば当然減るということになります。  78ページは運用収入ですが、これも利回りが低かったものですからそうなっていると いう形です。  80ページには給付が出ております。基礎年金交付金を収入と支出から控除して計上さ れている制度もありましたので、ここでは実質的な支出額で比較をしておりますけれど も、これも経済の動きを反映してか、△が全部立っています。  受給者数は、厚生年金はそうでもないのですけれども、各制度とも実績の方が下回っ ております。  それから、85ページの積立金があります。実際の数字は86ページにありますけれど も、積立金も全体の伸びが少ないものですから再計算に比べると少なくなっているとい うことになります。少ないから悪いという話ではないのですけれども、単純に比較すれ ばそうなるということになります。85ページの(10)の積立金のところの一番下に括弧 書きで書いておきましたけれども、先ほど御説明しましたように、厚生年金の財政再計 算には旧農林部分が入っていない。実績は、平成14年に旧農林から概算で移換された状 況、第6回の部会で検証していただく前の状況ですけれども、1.58兆円が移換されてい ます。それが実績の額としては入っているというコメントをしてございます。  87ページは各制度からいただいた乖離の要因のまとめです。組合員数や賃金上昇率、 運用利回りが低いと、年金改定率も低いので△になっていますよということになってい ます。  88ページは財政指標について見たものでございます。年金扶養比率ですけれども、こ れは私学共済と国民年金は実績の方が高い。年金扶養率は高い方が財政にはいいもので すけれども、私学共済と国民年金以外は下回って、厚生年金、国共済、地共済につきま しては見通しよりも悪くなっているということになります。89ページはその元データに なります。  91ページのグラフですけれども、総合費用率につきましては、国共済以外は実績が将 来見通しを上回っています。総合費用率はコストですから上回るとあまりよくないとい う状況ですけれども、各制度ともちょっとずつ見通しよりも高くなっていると言えま す。  それから、少し飛びまして94ページを御覧いただきたいと思いますけれども、収支比 率です。平成14年度は全制度において急激に悪化したと文章に書いてございますけれど も、例えば利回りというのですか、経済の動きが悪かったものですから悪化しているの で、再計算に比べると差が広がっております。ちょっとグラフはごちゃごちゃします が、その下のようになってございます。  一方、積立比率が97ページにありますけれども、これはほぼ見通しどおりというか、 若干実績の方がいいというような状況です。  次に100ページ以降でございますが、今御覧いただきました乖離についての分析にな ります。100ページの4として保険料収入、給付費、基礎年金拠出金の実績と将来見通 しとの乖離の分析となっておりますが、これは新しく今年度から分析を行ったもので す。まず、平成14年度の保険料収入が見通しと違ったのはどういう要因によって違って いるのかということを分析しております。その状況を見たのが100ページの真ん中より 下にあります図表でございますが、平成14年度の保険料収入は、厚年でいきますと、実 績が21.6兆円であったのに対して、将来見通しだと24.4兆円を見込んでいたということ で、2.8兆円見かけ上は△になっています。国共済しかり、地共済、私学共済しかりで すけれども、さて、どういう要因でこの違いが出たのかを見たのがそれ以下です。  保険料収入というのは、その下にも文章で書いてありますけれども、1人当たりの標 準報酬月額と人数を掛け算したもの。保険料率がありますが、保険料率は変わっていま せんので、それだけです。標準報酬月額というのは、名目の賃金上昇率というのと、そ れから年齢構成が変わったというようなファクターに分けられます。ということで、そ ういうファクターを考えまして、いくつかの要因に分けて分析をしております。その分 けた要因が101ページの真ん中あたりに「○」が9つ並んでいますけれども、そういう ファクターに分けて分析をしております。まず12年度で1人当たり年間標準報酬月額が 将来見通しと異なっていたことと、それから12年度の被保険者数が見通しと異なったと いうことの2つがまずあるだろう。12年をベースにいたしまして、13年では賃金の上昇 率と、年齢構成の変動の影響による標準報酬月額の増減、それから被保険者数の増減と いう3種類が考えられるだろうと思いまして、そういうふうに分けました。14年も同じ ように3種類に分けています。  14年の一番下、賞与支給割合というのがありますけれども、平成15年度からは賞与も 一般的にほかの報酬と同じように徴収しますけれども、14年度までは1%の保険料率で 保険料をいただいていたということで、この賞与支給割合が将来見通しと実績とで異な るというのも若干影響してきていますので、それを入れてあるということです。  そこで、その一番上の平成12年度の数字ですけれども、12年度は13年度以降となぜ違 うような様式にしたかといいますと、再計算での将来見通しも実績ももともとの、先ほ ど御覧いただきました元データ、厚年でいきますと、平成8年ぐらいでしたか、そうい う元データの時点では同じなのですけれども、再計算での伸ばし方と実際の実績の伸び 方が違っていたので差が出てきている。ただ、その間の平成8年から12年までの間の動 きはわかりませんので、それまでの影響が全部12年に入ってきていると考えていただけ ればいいかと思います。  そこで今御説明したとおり、平成14年度の、先ほどその前のページで御覧いただいた 差を9つのファクターに分けますと、102ページのような数字になります。一番上のマ ル0が14年の保険料収入での乖離になります。これを12年で発生した要因によるもの、 13年で発生した要因によるもの、14年で発生した要因によるものというふうに分けます とそのようになります。このままでは見当がつきにくいので、賃金の違いなのか、加入 者数の違いなのですかというふうに2つに分けたのが右側の103ページの図表3-4-3にな ります。御覧いただきますと、図表3-4-3の上の方ですけれども、厚生年金だと2.8兆円 のうちの1.9兆円が被保険者数の動きで効いてきている。一方、国共済、地共済、私学 共済は1人当たり標準報酬月額の動きが効いてきているということがわかりました。  1枚めくっていただきまして、図表がございます。同じような絵が何回か出てきます が、棒グラフというのですか、一番左端の棒とそのすぐ右側にくっついた棒、それと一 番右端の全部で3本あります。一番左端の棒が将来見通し、再計算での保険料収入と考 えていただきたいと思いますけれども、再計算での保険料収入を100としたときに実績 ではどうなったかというのがその右側の棒でございますが、厚生年金だと90より少し下 ぐらいで、国共済だと96〜97ということになっています。実績と書いた上の方に太い矢 印がありますけれども、これが再計算と実績の乖離になります。先ほどの図表3-4-3で いきますと、厚生年金だと△2.8兆円というのがこの太い矢印になりまして、その太い 矢印を、先ほど御覧いただきました9つのファクターに分けたのが、右側の上へ行った り下へ行ったりしている矢印になります。したがって、どういうファクターでどういう ふうに動いているかというのがわかる絵になっています。また、一番右端の棒がありま すけれども、104ページの図表3-4-4では、「平均標準報酬月額のみを実績とした場合の 推計値」となっています。すなわち再計算で見込んだ保険料収入を今100としています けれども、そのうち標準報酬月額を実績との格差がなかったものとした場合、したがっ て、厚年の場合、上向きのマル1と下向きのマル3と下向きのマル6とありますが、こ の3つが平成12、13、14の標準報酬月額が実績と再計算で異なった部分です。それを省 いたものが一番右端の棒になります。したがって、その違いを出すとこれぐらいになり ます。逆に言いますと一番右端の棒と左から2番目の実績との差が出せますけれども、 その差というのは、加入員数が違ったことによる影響ということが言えます。したがっ て、国共済、地共済、私学共済はかなり少ないということになります。  次は105ページですけれども、給付費について見ています。給付費も同じように、105 ページの上の図表3-4-5のような差がありましたけれども、それを1人当たり年金額と 受給者数に分けました。1人当たり年金額につきましても、年金改定率と年金改定率以 外の1人当たり年金額の動き、例えば遺族年金が増えて老齢年金が減りますと当然平均 の額は少なくなります。それから新規裁定が増えますと、最近だと傾向的には過去の人 よりも額は少ないですから、平均年金額は減っていくというような動きを示します。そ れと受給者数の動きというファクターに分けまして見たのが106ページのようなものに なります。これもそれを御覧いただいて、ああ、そうかというぐらいなのですけれど も、乖離の要因は1人当たり年金額と受給者数どちらかですかというふうに分けたのが 107ページの図表3-4-7になります。厚生年金は1人当たり年金額の減が大きかった、国 共済は受給者数の減が大きかったというように若干制度によって違っているということ が見えてきます。  それをグラフにしたのが108ページです。108ページの一番右端は、今度は1人当たり 年金支給額のみを実績した場合ですので、一番右端の棒グラフと実績との差は人数の差 になるということになります。  109ページは基礎年金拠出金について見たものです。基礎年金拠出金につきましても、 同じようなファクターで基礎年金拠出金単価が変わった場合と基礎年金拠出金算定対象 者数が変わった場合について見ています。ちなみにここの基礎年金拠出金では、109ペ ージの上の方にありますけれども、最初の方の決算の状況のところで、実績には確定ベ ースと決算ベースがあるというふうに御説明しましたけれども、ここでは確定ベース、 本当に発生したベースで比較をしております。下の方に要因がいくつか並んでいますけ れども、基礎年金拠出金単価が異なったこと、単価も13年、14年につきましては、年金 改定率と年金改定率以外の状況について分けております。それを分けたのが110ページ であり、また、基礎年金拠出金の単価と対象者数どちらですかというふうに分けたのが 111ページの下の図表になります。それによりますと、要は拠出金の単価が増えたのに 人数が減ったために乖離が生じた。それだけ人数の減りが大きかった。ただ、私学共済 だけは全体の人数が増えているので基礎年金対象者数も増えて、こういうことになりま したということがわかります。それをグラフにしたのが113ページの図表3-4-12です。  それから、もう一つ、114ページ以降で積立金につきまして分析をしております。こ れは昨年も分析が行われております。まず、ここで最初に書いてあるのが実質的な運用 利回りと名目運用利回りというものがあります。ここでは積立金の差を分析しようとい うことなのですけれども、財政への影響を見るには、経済の動きが悪ければ、年金総額 もそんなに増えないということで見かけ上悪くてもそんなに実質的には悪くないですよ というような状況に結論的にはなっているのですけれども、それを見るために実質的な 運用利回りというのをここでは考えております。  115ページの図表3-5-1ですけれども、上の方が実績で、下が財政再計算上の前提にな りますが、名目、要は外から眺めたところの運用利回りだと各制度ともにあまりよくな く、再計算よりも悪い状況になっていますけれども、その下の真ん中あたりにあります 名目賃金上昇率も再計算よりもかなり低くなっています。厚生年金は全部マイナスです し、国共済、地共済でも平成14年はマイナスになっているということになりますので、 名目賃金上昇率で見たときの運用利回りというのを考えますと、実績の方が再計算より も大分よくなっている。これが後々実際には効いてくるということになります。  1枚めくっていただきまして、116ページは実際の状況になりまして、図表3-5-2です けれども、厚生年金は実績推計ですが、積立金が174.1兆円あります。これは厚年特会 の積立金に厚生年金基金の積立金を入れたものになりますが、それと将来見通しを比較 すると厚生年金だと10兆円ぐらい低くなっている。国共済だと394億円ぐらい低くなっ ているということなのですが、それをいろいろな要素、運用収入とそれ以外、運用収入 も先ほど見ていただきましたけれども、賃金が違った点なのか、それとも賃金よりも上 の実績の運用利回りが違った点なのかというようなパターンについて分けていきます。  まず、116ページで分けているのは、運用収入とそれ以外のファクターについて分け ています。それを分けたのが117ページのような表になります。これを御覧いただきま すと、ほとんどが名目運用利回り、要は運用利回りが悪かったためにマイナスになって いるのが大きいということが言えようかと思います。  さらなる分析のために昨年と同じようにいろいろやったのですけれども、そのやり方 を御説明いたしますと、120ページに飛びますが、図表3-5-4を御覧いただきたいと思い ます。四角と矢印が書かれており、一番左端が平成14年度における積立金の将来見通し と実績の乖離ということで、これが全体です。14年度末での違いの全体、それをどう分 けたかといいますと、一番上には11年度末で実際と違ったというのが1つあります。そ れから、12年度に発生する要因で違ったというのがもう一つあります。13年度に発生す る要因というのがもう一つあるだろう。14年度に発生したのももう一つあるだろうとい うことになります。11年度というのは年度末の積立金しかないので、これは11年度まで の要因が全部入ってきているものです。12年度になりますと、上のマル2と下のマル3 に分かれますけれども、運用収入、運用利回りにかかわるものと、それ以外の例えば人 口というか、加入者数とか受給者数が変わった要因によるものと大きく2つに分けまし て、運用の方も実質的な運用利回り、要は賃金上昇を超える分の運用利回りと賃金上昇 率に分けると、そういうファクターに分けました。  そういうふうにファクターに分けて計算をした結果が、121ページになるのですけれ ども、一番上にマル0といたしまして、14年度末の積立金の将来見通しとの乖離が厚生 年金では10.8兆円、そのうち11年度末積立金が0.1兆円ぐらい。12年度発生による寄与 分が3.1兆円、前のページでもそういう数字でしたけれども、それをさらに細かく分け ますと、そこに書いてあるようなものになるということになります。国共済、地共済、 私学共済につきましては、時価、簿価両方載せてあるためにかなり表が細かくなってい ます。厚生年金、国共済につきましては、14年より前から時価の数字もいただいていま したので、両建てで計算できますけれども、地共済は14年度末だけ、私学共済は14年度 の報告ですけれども、13年のキャッシュ・フローもいただきましたので、実質的には13 年度末から推計できたので、そこから以降が時価もわかる形になります。したがって、 簿価から時価への変換的な評価差益が入ってくるのですけれども、それにつきまして は、時価が初めてわかった時点、私学共済でいきますと13年度、地共済でいきますと14 年度に評価損益を入れるという分析にしております。  さて、次の122ページですが、名目賃金上昇率を基準としてちょっと分けましょうと いうことで先ほど分析したのですが、それはなぜかということが書いてあります。公的 年金というのは、大体実質賃金というか、賃金上昇率で全体のパイというのですか、大 きさが変わっていきます。したがって、賃金上昇率が再計算と変わらなければそんなに 影響はないということが長期的には言えるのではないかということで、それを基準とし て、名目賃金上昇率が異なったことは省いてもいいのではないか。それを抜いたのが 123ページのような数字になります。その前の121ページから名目賃金上昇率の差を抜い たものですけれども、そうしますと、図表3-5-6の真ん中よりちょっと上の方に、寄与 分ア、イ、ウ、エ、オの合計とありますけれども、それが全部プラスになっているとい う形になります。したがって、全体的には経済の成長が悪い分、見かけ上は悪かったけ れども、財政的にはそんなにマイナスでもないというような結論になっています。  それを絵にしたのが124ページでございまして、一番右側の棒だけですけれども、名 目賃金上昇率のみを実績とした場合の推計値ということで、名目賃金上昇率は実績と同 じなのだけれども、それ以外は再計算のとおりでしたよということにしますと、例えば 厚生年金でいきますと、実績の方が高くなっているということはその分財政上はいい方 向になっている。再計算に比べますと実績の方がいいということになります。各制度と もにそういう見方をしていただければいいかと思います。  大分長くなりましたけれども、それ以降は、保険料収入、給付費、基礎年金拠出金、 積立金の分析の方法とバックデータでございますので、お時間のあるときにお読みいた だければと思います。  それから、資料1−3の150ページ以降ですけれども、今回つけ加えたのがありまし て、150ページ、151ページは公的年金制度の沿革です。新しい状況も入っています。  152ページは保険者の動きでして、旧年金数理部会ができたころあたりからの保険者 の動き等について図示をしております。  153ページ以降の長期時系列については、平成14年の数字を新しく掲載しております けれども、160ページ以降は、「長期時系列表−2」としまして、各制度ごとの財政の 推移を新たにつけ加えております。  173ページには、最近の経済等の状況について簡単な表を入れてあります。  あと用語解説につきましても、適宜アップデートしております。  資料2はその要旨ですが、ポイントを抜粋したものであり時間の関係もありますので 御説明は省略いたします。  以上です。 ○堀部会長  ありがとうございました。それでは、ただいまの説明に対して質問あるいは御意見が あればお願いいたします。いかがでしょうか。都村委員。 ○都村部会長代理  公的年金制度の各制度の財政状況について、大変的確な把握が行われておりまして、 報告書はとても読みやすいと思いますし、それから、図表も増えて各制度の特徴がよく 示されていると思います。特に第3章では、実績と将来見通しの比較、それから両者の 乖離の分析がかなり精緻に行われておりまして大変興味深く拝読いたしました。それ で、この報告書を多くの人が読めるような形を考えてもいいのではないかと思います。 このまま埋もれるのはもったいないではないかというような気がします。  それから、今後の年金制度との関連について言いますと、例えばですけれども、第1 号被保険者数が増加傾向にあるという点が注目されると思います。その第1号被保険者 ですけれども、前年同様、第1号の3分の1弱を20歳台が占めています。しかも20歳台 の国年1号被保険者というのは女性より男性の方がやや多いということで、収入などは どうなっているのかと気になりました。  近年の厳しい雇用・失業情勢を反映して、第2号から第1号へ移行するものが多いと いうのがこの1号被保険者が増えているという背景にあると思うのです。平成14年度の 第1号資格取得者のうち約6割に当たる323万人が2号から移行しているわけです。そ れに合わせて3号からも移行している人がかなりいます。2号から移行している人の納 付率が52.6%ということなので、この傾向が続くと厚生年金、国民年金両方の財政状況 に影響を及ぼすものではないかと思いました。  それから、もう一つは、御説明がありました65歳から70歳で就労している者が多い私 学共済では、平成14年度から被保険者の適用拡大の影響が出ているということで、やは り制度改革の効果は大きいなという気がいたしました。他の制度では保険料収入の減少 が続いていますけれども、私学共済だけが保険料収入は5.2%と大幅に増加しておりま す。  それから、各制度とも年金扶養比率も少しずつ減少しているのですけれども、その減 少幅も私学共済ではこれまでよりもかなり小さくなっています。高齢者も現役就労世代 とともに年金制度を支える側になるということの重要性を示していると思いました。  それから、もう一つは非常に細かいことですけれども、資料1−2の87ページの乖離 の要因の一番下の国民年金の一番最初の保険料収入のところなのですけれども、「・」 の2つ目のところに、被保険者の増加が要因にあるということで、「(見通しより2.5 割程度増加)」と書いてあるのですけれども、76ページの国民年金の被保険者のところ を見ますと、0.8%ほど実績が将来見通しを上回ったという数字になっているのです。 これは2.5割でいいのでしょうか。2.5割というと相当な数ですけれども、一方、76ペー ジの一番最後の国民年金のところの平成14年度を見ますと、被保険者数は見通しより 0.8%しか増加していないわけです。この違いは何なのでしょうか。  以上です。 ○堀部会長  いくつか御質問、御意見があったと思うのですが、1つは、この報告書の取扱いにつ いてです。2つは、国民年金の2.5割と0.8%の問題ですが、この問題については、首席 年金数理官にお願いしたいと思います。  それから、2号、3号が1号に移ったことと、その保険料の納付率についての問題で す。こういったことが、厚生年金、国民年金の財政状況に影響を及ぼすのではないかと いうことですが、この問題については、年金課長にお伺いした方がよろしいでしょう か。首席年金数理官がお答えになるのなら、それでも結構です。私学共済についてはち ょっと今日お答えする人がいないのですが、要するに制度改正による効果が大きいとい うことですね。それは先ほどの厚生年金、国民年金とも絡む問題でしょうか。ではお願 いします。 ○田村首席年金数理官  この報告書の取扱いですけれども、できるだけ広く出したいという気はありますけれ ども、今のところ考えておりますのは、新聞記者の方々、厚生労働省の記者会にこうい うのができましたよというのをお知らせしようというのが1つあります。それから、厚 生労働省のホームページにこの報告をそのまま載せてダウンロードできるようにしたい と思います。今のところ考えておるのはそんな状況でございます。これを一般に広く印 刷してということになりますと、どこまで需要があるかというのもありますし、昨今い ろいろなことで、社会保険庁の方でもありますので、その辺についてはもうちょっと考 えたいと思います。 ○山崎数理課長  正確な数字は後で御説明申し上げますけれども、87ページのところは再計算との乖離 の分析でございますので、財政再計算で1号被保険者の人数というのは、かなり被用者 化が進むということを前提といたしまして、むしろ減少していくという見通しとなって おりました。その見通しベースの数字に比べて、現実にはかなり被用者の方から逆に1 号になられる方がおられて、1号被保険者の見通しと実績を比べると2.5割ぐらいの乖 離ということでございまして、87ページの数字は前の再計算で見込んだ、かなり1号が 減ると見込んでいたものに対して逆に増えている。その間の乖離が2割5分ということ で、正確な数字は確認いたしまして後ほど申し上げたいと思います。 ○都村部会長代理  1号被保険者だけの乖離要因の説明ということですか。 ○山崎数理課長  これは1号だけということでございます。こちらの財政収支の方が国民年金と書いて いますのは、国民年金勘定の収支ということでございますので、87ページの1.9兆円の 保険料収入というのは、いわゆる13,300円の保険料ベースの収入でございますので、そ ちらの分析をこちらでしているということでございます。 ○都村部会長代理  わかりました。どうもありがとうございました。 ○堀部会長  この87ページの2.5割ですが、これは国民年金の所管省である厚生労働省が報告した ものを写したものですね。この数値は後で確認して、訂正するなら訂正するということ にしたいと思います。よろしいでしょうか。  あと、不景気の影響で、2号、3号が減って1号になると、それが財政に影響を与え るのではないかということなのですが、これは少し制度問題に絡むのでよろしいでしょ うか、年金課長。 ○倉年金課長  今の2号、3号からの1号という点と厚年、国年の財政状況関係という点についてで ございますけれども、手元にその分析がすぐできるような数字を持ち合わせておりませ んので、定性的なコメントにとどまることをお許しいただきたいと存じます。本日のこ の表を見まして、御指摘のように、まさに1号の増加、特に若年層、20代が顕著なので はないか。背景に恐らく雇用の多様化というのでしょうか、いわゆる非正規雇用化、あ るいはそもそも雇用につながらない若年者が増えているのではないか。  つい先ほど、数理課長の方からの説明にもございました見通しで見ていた1号の伸び と比べまして、実際には2号がもっと増えるだろうと思ったのに比べて、むしろ1号の 方に来ているのではないかと、そのことと裏腹な関係にあるのではないかと、このよう に定性的には考えられると思います。  それが、さて財政的にどうかということにつきましては、国民年金について考えます と、いわゆる未納者の所得の分布というのは、実は必ずしも低所得層が未納率が高いと いうわけではないという資料が別途以前あったと思いますけれども、それからします と、そういった雇用の多様化ないし雇用につながらないことを背景として低所得ではな いかと推察される増加している1号の方々が果たしてどれぐらい未納ということなの か、あるいはきちんと納付しておられるのか。場合によっては、また、免除、途中の多 段階免除に該当するかもしれませんし、一律に低所得者が増えれば、いわゆる国民年金 の保険の財政が悪化するかどうかは、これは一概には言えないのではないか。免除者が 仮に増えたとしましても、中長期的にはそれは保険料財源の給付には反映されませんの で、一概には言えないのではないか。  また、それでは減ってきた場合に厚生年金の方はどうかということでございますけれ ども、これも極めて定性的な議論で恐縮ですが、厚生年金保険におきましては、基礎年 金制度の存在を通じまして、結果として、いわゆる所得の再分配が中で行われておりま すので、仮に比較的減っている部分が低賃金・低給与の方であった場合には悪化するの かどうか、そこのところは、これもまた一概には言えないのではないか。そしてまた、 外れた場合に給付には反映されないということから、中長期的には、規模が大きければ 別ですけれども、それほど大きな規模でない場合にはそれ自体で独立した大きな財政的 な問題になることはないのではないかなというふうに考えられるのではないかと思いま す。  ただ、いずれにいたしましても、その内訳としまして、そういった1号になってきて おられる若い方々、あるいは中高年も含めてですけれども、実態としては、実はそれは 自営業ではなくて、被用者と考えるしかないようなグループなのではないかということ も併せて推察されるわけでございまして、そういったいわゆる短時間労働者等の制度的 な対応の在り方につきましては、16年改正法の中でも附則において、5年後を目途に適 用の方向で検討していくというような趣旨の、いろいろな社会経済情勢等を見きわめな がらではありますけれども、大きな検討課題の1つになっています。法律上も明確に検 討課題に位置付けられている課題であると認識しておりまして、今後その点は制度的な 検討も進めていかなければならないと、このように考えていることを申し上げさせてい ただきます。  以上でございます。 ○堀部会長  この問題は、財政再計算とも絡む問題です。ただ、これは2002年度という景気の悪い ときの短期的な状況であって、財政再計算はもっと長期の問題で、必ずしも短期の状況 が長期的に影響するとは限らないと思いますが、今年金課長がおっしゃったことも含め て、数理課長の方から何かコメントすることがあればどうぞ。 ○山崎数理課長  まず、先ほどの数字でございますが、実績の方が2002年度で、第1号被保険者は 2,240万ほどでございますが、それに対しまして、前回の財政再計算では1,790万と見て おりまして、この1,790万を100といたしますと、ちょうど実績の2,240万は2割5分増 しということになりまして、そちらの数字の方を掲げさせていただいております。  ただ、実際のところ納付率の方が、前回の再計算で見込んでいたものより下がってお りますので、保険料収入は増えた分ほど増えてないということがございまして、確かに そういう意味で、2号被保険者から1号被保険者に移ることによりまして、いわゆる納 付率がどうしても低くなるということがございますので、そこのところをいかに的確に 保険料を徴収していくかということが重要というふうに考えております。  あと、足元の状況で申し上げますと、この15年度、途中までの状況で申しますと、ほ ぼ2号から1号へ移る傾向というのは止まったといいますか、下げ止まったというよう な状況でございまして、第1号被保険者で任意加入含んだベースでございますと、14年 度末で2,237万人という数字でございましたのが、平成15年度末で2,240万人ということ で、ほぼ止まっています。  一方で、厚生年金の方の被保険者数につきましても、14年度末3,214万人が15年度末 は3,212万人ということでほぼ底を打った状況ということでございますが、そうは申し ましてもかなり増加いたしました第1号被保険者の方々から、いかに保険料を的確に徴 収していくかということが今後重要な問題だと考えております。 ○堀部会長  先ほどの都村委員の意見にありました、この報告書の今後の取扱いですけれども、こ の数理部会は、制度所管省から報告を聴取して、それを分析するのが基本的な役割だと 思います。ところで、実績と将来見通しの乖離が大きいということは、もちろん制度所 管省も知っておられます。数理部会が、報告を取りまとめて、制度改正なり財政再計算 なりの参考にしてもらうということが一番重要ではないかと思いますが、他方できる限 り多くの人に見てもらえるようにしていただきたい。マスコミ等にはここにある資料の 要旨を配るわけですね。 ○田村首席年金数理官  先ほど、中身は同じなので御説明は省略しましたけれども、本体はちょっと分厚いの で要旨だけ配布しようと思っています。 ○堀部会長  あとはいかがでございましょうか。  それでは、この報告書について修正するところがないことを確認させていただきま す。  それではこれをもちまして、本部会の平成14年度公的年金財政状況報告とさせていた だきたいと思います。よろしいでしょうか。               (「異議なし」の声あり) ○堀部会長  異議がないものと認めます。  それでは、これを本部会の報告とし、この議題については、これで終わりにしたいと 思います。 閉会 ○堀部会長  それでは、本日はこれまでにさせていただきたいと思います。次回の日程等につい て、事務局から御説明をお願いします。 ○田村首席年金数理官  次回、第15回になりますけれども、具体的な日程につきましては、各委員の御都合を 伺いまして調整をさせていただきまして、その後、正式な御案内をお送りいたしたいと 思いますので、よろしくお願いいたします。 ○堀部会長  それでは、本日はこれで終わりたいと思います。ありがとうございました。                                     −了− (照会先)  厚生労働省年金局総務課首席年金数理官室  (代)03-5253-1111(内線3382)