04/12/22 第8回厚生科学審議会医薬品販売制度改正検討部会議事録                    第8回           厚生科学審議会医薬品販売制度改正検討部会                    議事録       日時:  平成16年12月22日(水)17:00〜18:40       場所:  全社協 灘尾ホール       出席者: 井村 信正 委員  上原 明  委員            大山 永昭 委員  鎌田伊佐緒 委員            吉川 肇子 委員  児玉 孝  委員            高橋 孝雄 委員  田島 知之 委員            増山ゆかり 委員  松本 恒雄 委員            三村優美子 委員  宗像 守  委員            望月 眞弓 委員  森  由子 委員            安田 博  委員       議題:  1.委員等からの講義・質疑            2.医薬品のリスクの程度の評価と情報提供の内容等に関する              専門委員会における検討状況の報告・審議  井村部会長  それでは定刻になりましたので、まだいらっしゃる予定で到着されていない方もおら れるのですが、はじめさせていただきたいと思います。 よろしゅうございますでしょうか。  それでは、第8回厚生科学審議会の医薬品販売制度改正検討部会を開催いたします。  非常にお忙しい師走の中をお集まりいただきましてまことにありがとうございまし た。  議事に入ります前に、事務局から本日の出席状況をご報告ください。  事務局  事務局から本日の委員の出席状況をご報告させていただきます。現在委員20名のうち 11名ご出席をいただいております。厚生科学審議会令の規定によりまして定足数に達し ており、会議は成立いたしますことをご報告いたします。  また、青井委員、堀井委員、溝口委員、谷川原委員、神田委員からは、ご欠席とのご 連絡をいただいております。  なお、大山委員、吉川委員、高橋委員、児玉委員からは、少し遅れてご出席とのご連 絡をいただいております。以上でございます。  井村部会長  ありがとうございました。本日の予定でございますが、最初に第7回の部会に引き続 きまして、委員あるいはその他の方々からご講義をいただくことになっております。本 日はまず、増山委員からご推薦のございました財団法人いしずえ(サリドマイド福祉セ ンター)事務局長で、全国薬害被害者団体連絡協議会の副代表世話人でもあられる間宮 清氏に「医薬品によるこれまでの重大な健康被害の分析」についてお伺いします。  次に、大山委員に「情報通信技術の活用」という演題でご講義をいただき、その後、 質疑応答の時間を取らせていただきたいと思っております。  そして、2番目には「医薬品のリスクの程度の評価の情報提供の内容等に関する専門 委員会」、これから「専門委員会」と呼ばせていただきますけれども、における作業状 況を事務局からご報告いただくこととします。というのは専門委員会の委員長と委員長 代理はご都合があって出席していただくことができませんので、事務局からご報告いた だきます。  それでは、間宮事務局長と大山委員にご講義をいただく前に、事務局から配布資料の 確認をお願いします。  事務局  資料を確認させていただきます。お手元にお配りしております本日の資料でございま すが、まず、1番目が議事次第でございます。次が、独立行政法人いしずえ事務局長提 出資料、また、大山委員提出資料をお配りしております。  事務局資料は、議事次第の後に、座席表に続いて、資料1が検討部会委員名簿、資料 2が医薬品販売制度改正に関する論点の整理 資料3が医薬品のリスクの程度の評価と 情報提供の内容等に関する専門委員会委員名簿 資料4が医薬品のリスクの程度の評価 と情報提供の内容等に関する留意事項 資料5が第4回専門委員会における検討状況に ついてでございます。  最後に、前回の部会におきまして、一般用医薬品の副作用報告も参考になるのでは、 という意見をいただきましたので、参考資料として「薬事・食品衛生審議会医薬品等安 全対策部会に報告した製造業者等からの一般用医薬品の副作用報告の報告状況」と題し た資料を付けております。  以上でございます。資料に落丁等ございましたら、事務局までお申し出ください。  井村部会長  資料はよろしゅうございますでしょうか。ありがとうございました。  実は、ギリギリまで待ってみたのですが、先ほど申し上げましたように、今日の予定 はまず、間宮いしずえ事務局長のお話を伺い、それから大山委員のお話を伺うという予 定だったのですが、お二人ともまだ到着されていません。間宮事務局長は渋滞に巻き込 まれたという情報が入っておりまして、大山委員はちょっと遅れるということですの で、この時間にいらっしゃらないので、それでは専門委員会の進行状況につきまして、 事務局からご報告をいただければと思います。よろしくお願いいたします。  事務局  それでは事務局より第4回の専門委員会の報告、説明をさせていただきます。 お手 元の資料で専門委員会関係の資料は資料3、4、5の3種類用意してございます。その うち資料3は委員名簿でございまして、前に何回かお配りしているものでございます。 また資料4はこの部会で整理していただきました関連の資料でございますので、本日は 配布にとどめさせていただきます。  まず、第4回専門委員会における検討状況ということで資料5をご覧いただきたいと 思います。この資料に沿って第4回専門委員会の状況をご説明させていただきます。  1ページですが、今年の12月14日に開催いたしました。検討項目としては、第4回専 門委員会の前に開きました部会において専門委員会からの報告に関する議論がなされて おりますので、その報告をさせていただきました。2つ目として、専門委員会の作業の 関係の議論をさせていただいております。  なお、専門委員会に対していただいた意見に関しましては、同じ資料の3ページ以降 に整理してございますが、この資料が第4回専門委員会に対して部会でのやりとり、部 会で議論された内容でございます。これについては、部会でのご議論でございますの で、説明は省かせていいただきますが、とりあえず資料の見方ということでご説明をさ せていただきます。例えば、3ページをごらんいただきますと、横に3つに区切ってお りまして、左のカラムは「部会に報告した作業の状況」というところは、専門委員会か ら部会に対して説明をした内容です。資料をそのままここに貼り付けた形になっていま す。真ん中の「部会における質問等」の欄、ここの部分が実際に報告した内容に沿って 個別にこの部会の場で部会の委員等からいただいた意見をここに盛り込んでいます。● は部会の委員の発言、◇は専門委員の発言、そして、事務局も少しコメントしておりま すので、その部分は△と、色分けしてございます。そして、部会における質問に対する やりとりは右の「質問等に対する意見など」というところで整理させていただいており ます。  3ページ以降については、そういった見方をしていただきたいと思います。  また今日報告いたします4回目の委員会の報告の関係で必要があればここについても 説明したいと思いますので、ご指摘いただければと思います。  1ページに戻っていただきまして、2.検討の状況 のところをごらんください。 (1)医薬品販売制度改正検討部会における議論について ということで事務局より 「作業状況」に関して、(1)部会における質問等 (2)質問等に対する意見等について、 今説明しました3ページ以降の資料に基づいて紹介させていただいております。  それに対して、個別の内容は3ページ以降でございますが、全体の方向性としては、 今後、基礎情報の抽出、リスクの相対的評価といったことを作業として行っていく中 で、部会でいただきました意見、質問を随時踏まえた検討を引き続き行うという方向で 確認がなされております。  次に(2)として、医薬品のリスクの程度の評価と情報提供の内容に関する作業に関 連したやりとりについてご紹介させていただきます。  第4回専門委員会におきましては、これまでこの部会に報告いたしましたように、解 熱鎮痛薬と胃腸鎮痛鎮けい薬とワークシートを提出させていただいておりますが、それ に加えて新たに11製品群のワークシートが作成され、専門委員会に提出されておりま す。ここには具体的な製品群の名前は書いてございませんが、風邪薬、鎮暈薬(眩暈止 め)、ヒスタミンH2 受容体拮抗薬、制酸薬、健胃薬、消化薬、こういった消化器系の お薬の関連、灌腸薬、鎮咳・去痰薬。そのほか、内服のみならず、外用薬として、化膿 性疾患の塗り薬、水虫関係の薬、そういった製品群のワークシートが4回専門委員会の 基礎情報の抽出作業という中でワークシートが提出されています。  そのシートを見ながらディスカッションしたわけですが、その意見が1ページの下か ら書いてありますので、かいつまんでご紹介させていただきます。  ・ワークシートの中を見ますと、C 重篤な副作用のおそれ、という項目がありまし   て、これに関して、防止することが難しいような特異体質、あるいはアレルギー等   に起因するものと、注意の仕方によっては防ぎ得る「薬理・毒性に基づくもの」の   区分けが難しいのではないか、という意見が出されています。  ・ワークシートの欄に情報のあるものとないもの、これは実際に店頭販売者に情報が   あるかないかということに関係するわけですが、そういったものを見ていく上で市   場規模を勘案した形はできないか、という意見がございました。  ・外用薬について、初めてワークシートが出されていますが、その中の項目として、   ここではB、C、Eとしか書いてありませんが、Bは相互作用、Cは重篤な副作用   のおそれ、Eは患者背景で、こういったものに該当する情報が少ないので、比較的   低い方にランクされる可能性があるが、配合されている成分の中には誤用に注意を   要するものも入っている、というご指摘がございました。  ・長期使用に対しで、専門家の関与があれば適正な機関の使用ができるのはないか、   という意見もございました。  そのほか、「C’重篤ではないが、注意すべき副作用のおそれ」については、全ての 情報を報告した後に、ワークシートを使った評価作業の過程で精査していくことが今後 の作業の方向性として確認されています。  また、委員会の最後に委員長から、ポイントのまとめとして、・部会での意見に今後 も留意していくこと ・今後も委員会の仕事としてワークシートの作成を続けていくこ と ・リスク評価にあたって、細かいランク付けは難しいかもしれないこと。大括りのよう なやり方を考える必要があるかもしれないという意味かと思います。・評価にあたって は、医学の専門家の意見を聞く必要がある ということで、専門委員会の中にも医学の 専門家の先生が入っておられますので、その先生方中心にワークシートが出た段階で意 見を聞きながら作業をしていく、といった意味合いの意見が出されています。  ここまでは、項目立てされたまとまった意見で、その他、販売の方法などに関して、 下のような意見もございました。  ・一般用医薬品である以上、薬のことを知っている人の説明が必要ではないか  ・リスクの大小は、販売の仕方によって変動するもの  ・情報提供だけでなく、買った本人の行動につながるかが大事なので、買った後のフ   ォローアップができるよう、相談窓口のようなものが必要ではないか  ・販売するときだけの情報ではなく、買った後家に置いて使うものであることを念頭   において情報提供の時期と方法を考えていく必要があるのではないか  ・患者さんの対応として、長く使う薬についてはきちんと説明を聞いてくれるのに、   対症療法的に短期に使うものに関する説明は聞いてくれない  ・パッケージを見て、リスクの程度がわかると買うときの目安になるので、リスク評   価の結果がまとまったら外箱に表示してもいいのではないか  等々のご意見がありました。  まだ作業の途中ですので、まとまったご紹介はできませんが、こういったやりとりが あったということで概要をご紹介させていただきました。以上でございます。  井村部会長  ありがとうございました。恐縮ですけど、実際にこのワークシートの作成をご担当い ただいて作業をしていただきました望月委員、何か補足してくださることございます か。  望月委員  特に補足はございませんけれども、今最後に事務局の方がおっしゃっていらしたよう に、まだ全体像がつかめておりませんので、リスクの区分をどのような形に、という具 体的なご報告ができずに大変申し訳なく思っております。今一生懸命でワークシートの 続きを作成しておりますので、それが出来上がりましたら、皆様にまたご議論いただけ ると思います。その中で、一応ここにも書かれておりますけれども、リスクの区分とい うのが、一つひとつの薬品を比較してこちらが上とか下とかいう、そういう区分はなか なか難しいということは専門委員会全体の認識になっておりまして、大枠で情報提供の あり方と重ね合わせながら検討していく、というような議論にいまのところはなってい るという状況です。以上です。  井村部会長  ありがとうございました。それではただいまの事務局の説明、あるいは望月委員から の説明に対してご質問、ご意見ございましたら、どうぞ。いかがでしょうか。 ワーク シートの作成は大変な作業でございます。何かご意見ございますでしょうか。  田島委員  ちょっと教えていただきたいのですが、資料5の2ページ目の一番上の・ですが「ワ ークシートの欄に情報が記入されているものとそうでないものを比較する場合に、市場 規模をみることはできないか」、これはどういう意味なのか、私にはさっぱりわからな いんですが、教えていただけませんでしょうか。  事務局  お手元にワークシートがございませんので、わかりにくいかもしれませんが、資料4 を参考までにごらんいただければと思います。資料4、横の1枚紙ですが、その一番左 側に「リスクの程度の評価」というところがございまして、AからHまで8項目ござい ます。これはワークシートの記載欄に区切った形でこの8種類を並べておりまして、そ れぞれに該当する情報を医療用の添付文書をもちまして、該当する情報をワークシート に書き込んでいくという作業を行っております。その際、成分によっては、A〜Hまで がすべて埋まらないケースもございます。そして、埋まったものと埋まらないものを比 べたときに、化学構造式ですとか、あるいは薬理作用から見て、同じようなものである という情報がある場合とない場合がある、といった現象が実際に起こってくるわけでし て、その背景には、使っている量が多いが故に副作用も実際わかっていて、それが添付 文書の中に反映されているケースがあるということが一つ言えます。逆に、使われてい るシェアが少ないと、なかなかわからない情報があるということで、ワークシートの各 欄が埋まったり、埋まらなかったりということがありまして、そういったところの背景 には、使われている量というところがあるので、そういったところを少し加味した形で 資料を見てみることができないだろうか、そういう趣旨のご意見かと思います。  田島委員  ということは、要するに、たくさん売れてみんなが使う場合に、そこのところでいろ いろな副作用が出た場合にはリスクが高い、というふうに考えるというふうに受け取っ てよろしいんですか。  事務局  その部分は使われて場合には情報量が多くなってきますので、多い情報をもってリス クが大きいととらえていいかどうかというところで、使われている量を加味する必要が あるのではないかという、そういうご意見だと思います。  田島委員  なるほど、そういうことですか。いわゆる、情報の量ということですね。わかりまし た。ありがとうございます。  井村部会長  ほかにございませんでしょうか。  三村委員  あくまで質問ということでお願いいたします。提供している情報の中で、長期服用に 関する注意ということと、長く使用する薬については、という2ページ目にもあるんで すが、長期使用を前提とした薬と、対症療法的使用という言い方をするものと、明確に 分けられるのかどうか。それについて専門的なお立場の方のご意見と、特別なリスクが 考えられるものかどうか。  井村部会長  望月委員、お願いできますか。  望月委員  先生のご質問がよくわかってないかもしれないんですが、一般用の医薬品というの は、基本的に急性の症状を軽減するために用いるというのが基本なので、長期服用をし ないということが先生のお考えのもとにあると思うんですね。たしかに、ほとんどの薬 はそういうお薬なんですが、中にはある程度の期間使わないと効果が出て来ない。例え ば、水虫の薬とか、あるいは、これは薬として使うというよりは、栄養補給がメインに なるようなビタミン剤ですとか、いくつかございます。そういう中に長期使用に関して 注意等がございます。  それから、実は急性の症状をとるために短期間で使っていただきたいお薬なんだけれ ども、患者様が常に持っていると症状をおさえられる、安心だからということで、なん となく連用されるケースというのがありまして、そういうケースについても、問題だろ うということで、そこがたぶん資料4の左の「リスクの程度の評価」の中の下から2つ 目と3つ目のFとG、特にGの「誤使用のおそれ」ということで、本来だったら短期で 使うものを長く使って問題がありそうな場合は、ここで整理をしていこうとしています が、これに対する情報が今かなり集まっていますので、1つの視点としては重要な視点 だと思っています。  井村部会長  ありがとうございました。ほかにご意見、ご質問、いかがでございましょうか。専門 委員会の作業について、よろしゅうございますか。  児玉委員  意見というよりもお願いでありますが、今ありましたように、リスクの問題は大変重 要な問題であって、なおかついろんな要素がある問題であります。先ほど望月委員から も大変なご苦労の一端がありましたが、したがいまして、この作業については、もちろ ん時間の問題もあるでしょうけれども、慎重に十分な議論をしながら進めていただきた い。途中で簡単に詰めるということにしてしまいますと、未完成なままでひとり歩きを しては困りますので、そういった意味で十分慎重な議論をお願いしたい、これはお願い であります。  井村部会長  ほかにいかがでしょう。よろしゅうございますか。  田島委員  大変しつこい質問かと思いますが、前回、リスクというときに頻度という要素はどう なるんだということを伺ったと思います。その頻度に関しまして、添付文書の頻度はあ てにならんという委員長からのお話をいただいたと思います。それに関して、医者だっ たら大体わかるから、というような、ご返事をいただいて、私にとっては納得できない 部分がございます。ここらへんについて、専門委員会で再度ご検討いただきたい。やは り、リスクには頻度というものが当然ついてまわると思います。  例えば、資料4を見ても、Dの濫用のおそれということでも、濫用になりやすい薬と そうでない薬があると思います。そのようなものに対しては頻度がないと片手落ちにな ると私は考えておりますので、できれば、そのへんのところをご考慮いただきたいと思 います。  望月委員  実は、先般の部会で先生から頻度のご指摘をいただきましたので、今回、ワークシー トにはもともと頻度は入れてありませんでしたけれども、添付文書から確認できる分に ついては、入れ込んだ形で評価に反映できるというふうにいたしております。  田島委員  ありがとうございます。  井村部会長  たしかにワークシートの中に、ただしわからないものもたくさんあるんですが、わか るものは入れていただいているようでございます。  田島委員  安心しました、ありがとうございます。  井村部会長  ほかに。  増山委員  確認なんですが、今、専門委員会の中ではある程度薬理作用に着目してリスクを評価 するということを進めていると思うんですけれども、最終的には、いまなかなか定量化 できないリスクについては、すべて薬理的な視点で評価をし終わったあとに、そこでさ らに、なかなか数値化できないものを加味していくという理解でよろしいでしょうか。  井村部会長  そのとおりでございます。よろしゅうございますね、事務局も、そういうことですよ ね。ほかにいかがでしょう。よろしゅうございますでしょうか。  それでは、専門委員会の現在の作業の状況につきましてはご理解いただけたことと思 います。いまいろいろご意見いただきましたが、いただいたご意見を十分勘案させてい ただきながら、専門委員会の作業を進めさせていただくということにしたいと思いま す。  また、今日の部会での質疑につきましては、事務局から専門委員会に報告していただ いて、またそこで議論するというかっこうになると思います。どうもありがとうござい ました。  それでは、講師がいらっしゃいましたので、まず、先ほどご紹介させていただきまし たけれども、財団法人いしずえの間宮事務局長にご講義をお願いいたします。  よろしくお願いいたします。  間宮氏  遅れまして申し訳ございません。今回、薬害についての話を、というお話をいただき まして、趣旨としてOTCの販売についてどうあるべきかということで議論していると ころなのでその参考になるということで今日、話をさせていただきたいと思います。  私は財団法人いしずえの事務局長をしておりますけれども、全国薬害被害者団体連絡協 議会というところで副代表世話人もやらせていただいております。  今日お持ちした資料は、緑の表紙で「第6回薬害根絶フォーラム」という冊子がある と思いますが、それが先日、11月に行われたフォーラムの資料です。その中から抜粋し たものも資料として出しています。  その表紙はチラシのコピーですが、これが本物のチラシです。ここにタイトルとし て、キャッチコピーですが「あなたのそのクスリ、誰から買いましたか?」ということ でテーマにしました。これはどういう意味かといいますと、現在の薬局ですとか、イン ターネットなどの薬の販売というところを見ますと、実際に売っている人が資格のある 人なのかどうなのかわからない。一体どういう資格のある人から買っているのかわから ない、ということと、インターネット等で買う場合は全く顔が見えない状態で買ってい るという意味で、実際にその薬が自分にとって適切なものなのかどうなのか、と判断す る人が誰もいない中で買って使用している。それはやっぱり問題なのではないかという ことで問い掛けということでこういうタイトル、キャッチコピーとさせていただきまし た。  医薬品というものは、我々は専門家が直接かかわって説明をして使用するものだとい うふうに思っておりますが、それでもなおかつ、過去には被害を受けて、薬害という形 になったり、副作用の被害を受けた方がたくさんいらっしゃいます。そしてこういう 「薬害根絶フォーラム」というものが行われるということは、日本にいかに薬害が起こ ってきたかということを示すものであります。  私の提出資料という方の2ページを見ていただきますと、薬害根絶フォーラムの主催 団体は薬被連(全国薬害被害者団体連絡協議会)なんですが、その中には8薬害10団体 が所属しています。その中でOTC、一般市販薬による被害という意味では、サリドマ イド、スモンの薬剤は一般市販薬でした。その発生当時、同じ時期に、昭和40年ぐらい ですが、アンプル入り風邪薬というものもありました。今日はその3つの薬害について 話をさせていただきたいと思います。  まずはサリドマイドですが、サリドマイドは1950年代後半から1960年代の前半、私は 1963年生まれですので、私が出生としては一番遅いグループですが、その時期に日本で は発生しました。  この薬は西ドイツで1957年10月に鎮静・睡眠薬として開発されたといいます。当時 は、子どもにも安心、副作用が少ないということで、子どもにも使用していた。その使 用方法としては、シネマジュースといって子どもに飲ませていた。シネマジュースとは 何かというと、お父さん、お母さんが映画を観に行くために、寝ていれば安心だという ことで、子どもに睡眠薬を飲ませて寝かして出掛ける。そういうものとして使っていた ということであります。  商品名としては、西ドイツではコンテルガンということです。その3ヵ月後1958年1 月に、日本でもサリドマイドがイソミンという名前で睡眠薬として製造・販売されまし た。これは日本でも、妊婦や小児が安心して飲める無害な薬といううたい文句で発売さ れました。この薬というのは、後に問題が出てきてから胃腸薬にも配合されて、これが プロバンMという薬として販売されました。  当時の厚生省は、ヨーロッパやアメリカなどの先進国で販売されている薬は審査を緩 くして、すぐ承認してしまおうという内部規定のようなものがありまして、これによっ て日本では、報道によると1時間半ほどの審査で通ってしまったということです。しか し、この時点ではサリドマイドが外国で使われて、実際に被害が出ていたかというと、 そういうことではなくて、もちろん胎児に影響があるわけですから、少なくとも10ヵ月 はかかるわけです、発生するまでに。10ヵ月かかるんですけれども、実際、それが発売 されていてもわからなかったんですが、ヨーロッパでも市場にはそんなには出ていなか ったという状態でしたので、発売されて、その後、世界各地で手足に奇形を持った子ど もたちが次々に生まれたわけです。  西ドイツの小児科医で人類遺伝学者のレンツ博士が、1961年11月に手足に奇形を持っ て生まれてきた子どもたちとサリドマイド剤との因果関係について学会で発表しまし た。これがいわゆるレンツ警告なんですが、これを受けてヨーロッパ各地でこの薬の製 造、販売が中止されました。  しかし、日本ではどうしたかというと、西ドイツのレンツのもとに人を派遣して話を 聞きに出しましたが、レンツ博士には30分ほどしか会わずに帰ってしまったので、翌 日、レンツはもう一度、日本の担当者を追いかけて会うわけですが、それはドイツの動 物園であったということを裁判でも話をしています。その30分しか会わずに、翌日、動 物園で遊んでいた担当の方は日本に帰ってきて「レンツ警告には科学的根拠はない」と いう報告をしたわけです。  それでそれから10ヵ月間、販売が続けられました。しかし、たくさんの奇形の子ども たちが生まれてきて、ようやく販売停止となりましたが、その10ヵ月間にほぼ倍の被害 が出ているのではないかといわれています。  私ももちろんその後半の方の部類ですので、回収がヨーロッパ並みに行われていれ ば、私も被害を受けていなかったのではないかと思います。  サリドマイドの被害ですが、一般的には、手が短いとかいうふうにいわれています が、実はそれだけではなくて、耳や内臓疾患、それからお尻の穴が空いていない鎖肛と か、そういう内部障害もあらわれました。耳の障害は聴覚障害、耳が聞こえないとか難 聴というだけではなくて、顔面神経という神経がありますけど、その神経が麻痺してし まうという症状が出ます。これは今現在でも聴覚障害がある方々にとってさらに顔面神 経麻痺があるということは、就業においても顔面神経が麻痺していますので表情がな い、気持ちが伝えられないということで、対面の仕事にはつけないとか、会社でもコミ ュニケーション、意思疎通が図れないというような悩みを持っている方もたくさんいま す。  この薬は、もちろん妊婦が飲んだら被害が出るということになっているんですが、当 時のお母さん方は、化学物質である薬を妊娠したら飲まないというのが普通だったとい うことですが、胃薬として販売されたために、妊娠していることがわからず、つわりだ ということに気づかずに、胃の調子が悪いということで服用したという方もたくさんい ます。  そして、回収が進んでいたにもかかわらず、ある被害者の親は、北海道なんですが、 その方が自分の子どもに障害があるということで、その薬がまだ売られているのではな いかということで、札幌の薬局に行きまして、サリドマイドを見つけて、レジに持って いって「この薬で奇形児が生まれるということを知っていますか」ということを店員に 聞いたところ「ちょっとお待ちください」ということで奥に行って戻ってきて「はい、 そういうふうに聞いております」と言ったそうです。その店員が薬剤師だったかどうか わかりませんが、情報としてはなんらかの形で届いていたはずなんですね。それを防げ なかったということは非常に残念でならないということであります。  日本では 309名が認定されましたけれども、重症の障害を持った子どもたちは生まれ 落ちてから命を奪われたという可能性もたくさんあり、そういう事例も実際の話として はあるようで、あとは、生まれずに流産、死産して生を受けられなかったという人も含 めて、推測ではありますが、1200名ぐらいが被害を受けているのはないかといわれてい ます。  今、サリドマイドが復活しているということもありますが、それは別の機会がありま したら、お話させていただきたいと思います。  次は、アンプル入り風邪薬です。これは資料はありません。この被害を受けた方は薬 被連にも入っていませんので、資料はないんですけども、これについてもお話させてい ただきます。アンプル入り風邪薬というのは、解熱剤のアミノピリスルピリンというも のを主成分として、ビタミン剤を加えて水溶液にしたものです。  昭和40年の2月から3月にかけて、千葉、静岡、大阪などでアンプル入り風邪薬が原 因と思われる死亡事故が相次ぎました。ショック死のような状態ですね。数年前からこ のときまでの死亡者数は計38人で、マスコミが連日大々的に取り上げたために厚生省は 製薬企業に対して販売の自粛通知を出しました。  この事故が起こった理由を当時の中央薬事審議会は「使用者にある種の体質異常があ る場合は、風邪薬の服用量が局量以下でも中毒を起こす。アンプル剤は錠剤、粉末に比 べて吸収速度が極めて速いため、血中濃度が急速に高くなって、毒性の発現が著しく強 い」というふうに説明しています。  当初は販売の自粛という軽い措置でありまして、現物が回収されるわけではありませ んでした。中には店にある在庫を販売していた薬局もありまして、その結果、ショック 死が引き続き起こったという事実があります。  この後、厚生省から製薬企業に製品回収要請通知が出されました。一斉回収すること になりましたが、特に中小の製薬会社にとっては大きな痛手でした。というのも、当時 アンプル入り風邪薬というのは 200社で年間約数百万本生産されておりまして、大衆薬 メーカーや薬局の稼ぎ頭だったんです。年間の売上げは推定で約百億円といわれていま す。中小のメーカーにとってはこの売上げが扱う製品の半分を占めるところもありまし て、一斉回収は死活問題となりました。  とにかく、若干の回収不手際はあったものの、すばやい厚生省の対応によって製薬企 業が何十億の損害を出したといわれています。しかし、この直後、厚生省は製薬企業に 対して陳謝しています。なぜかというと、損をさせたということで謝まったという話で す。  ところが、このことがまだ一般には知られていなかったクロロキン網膜症についての 厚生省の対応を遅らせることになったともいわれています。  それからスモン(SMON)です。スモンは資料がありますが、23ページです。  スモンの薬害というのは数十年にわたって広く使用されていた医薬品に重大な副作用 があったという事件であります。  スモンという名称ですが、アンプル入り風邪薬は容器の名前、サリドマイドはその成 分の名前ですが、スモン(SMON)は、亜急性・脊髄・視神経・末梢神経障害という 被害の状態の英語と頭文字をとってSMONと命名されました。  これはどういう薬剤が問題だったかというと、キノホルムです。キノホルムはもとも と殺菌効果のある外用薬でした。それを転用というか、胃腸薬に使うことになっていっ たわけです。1955年頃から神経炎の症状や半身麻痺に悩まされる患者が見られるように なりました。原因は長らく不明でありました。日本国内の被害者数は約1万2千人ほど といわれています。認定者数は約6千人で、北海道の釧路や、埼玉の戸田では集中的に 発生しまして、そのときは釧路病とか戸田奇病と恐れられて、ウイルスでうつるんじゃ ないかとか、そういうことをいわれまして、それによって家族と引き離されたり、村八 分にされたりということで、多くの方が自ら命を絶たれたという話でもあります。  1970年に新潟大学の椿教授がスモンとキノホルムの関係を公表したことから初めて薬 害と認識されました。  症状としては、下痢、腹痛など消化器官に続いて、下肢に激しい知覚障害、しびれ感 が発現し、上行して中枢神経麻痺、末梢神経麻痺、感覚麻痺、視力障害を起こす場合も あります。治療法は現在も確立されていないということです。  先ほどもちょっと触れましたが、キノホルムは1900年にスイスで開発、製造されまし て、はじめは防腐、殺菌剤として使用されていました。1930年前後に急性大腸カタル や、アメーバ赤痢に有効とされて、日本薬局方には1939年に加えられました。もともと 劇薬だったわけです。日本の軍隊が使ったということですが、それもアメーバ赤痢に使 う場合は、3日使ったら4日休むというような薬だったということです。そういう劇薬 だったものが日本でも腸内の殺菌剤として40年近く用いられることになります。安全を うたい文句に、適応症がだんだん、どんどん拡大されて、広く普及しまして、キノホル ムの適応症とされたものは、下痢、消化不良、胃痛、腹痛など30を超えました。キノホ ルムを含む医薬品数は1970年に薬 180種にのぼりました。これは資料の25ページからに ありますが、皆さんもよくご存じの製薬会社、今もおなじみの有名なものもあると思い ます。これだけ身近にあったわけです。  キノホルムは外国でももちろん使われたことは使われたんですけれども、失明などの たくさんの被害者が出まして、スウェーデンのハンソン医師は視力障害を起こした自分 の患者がキノホルム剤を飲んでいたことから、この薬が原因と気づいて、政府やメーカ ーに警告しました。たった1人の患者から薬害を見抜いたことが各国の被害の拡大を防 いだわけです。  ところが日本では1万人以上のスモン患者が増えるまで放置されてしまいました。  日本でなぜ被害が拡大したのかというと、製薬企業は副作用報告を受けていながら、 キノホルムは安全な薬ということで宣伝し、販売し続けたということがまず挙げられる と思います。1935年にアルゼンチンのバロス医師によりまして、キノホルム投与後に重 篤な神経障害が生じたことが製薬会社に報告されています。製薬会社は情報提供に感謝 する。その事実は一般大衆にとって恐るべき結果をもたらすものとしています。  第2に、わが国は安全軽視、企業優先の薬事行政を行ってしまった。キノホルムは日 本では1936年に一度、先ほど言いましたように劇薬指定をしています。しかし、3年後 に普通薬に変更されまして、第2次世界大戦後にはほとんどの製剤が無審査で認められ たという事実があります。  また、キノホルムの適応症の範囲について、アメリカでは1961年にFDAが大幅に規 制したにも関わらず、日本ではその前後に逆に拡大を認めていってしまったということ です。 第3に、一部の医薬研究者、医薬従事者は、製薬企業に追随し、キノホルムの 有効性、安全性を強調しました。1939年にある医師は、製薬企業が副作用のない薬なの で使ってほしいといってきたので使って、大量に投与しても副作用なし、というふうに 報告しています。しかし、後にカルテを精査したところ、スモン様神経症状の記載が発 見されたということがあります。製薬会社に、腹部症状にキノホルムが効果があること を示したいと治験報告の制作を依頼されて、論文にその旨を書いた医師がいました。  また、第4に、一部の医師は、患者の訴えを取り上げず、キノホルムを長期、大量に 投与しました。この薬を飲むと下痢しやすいという患者の訴えを取り上げなかったので す。キノホルムは胃腸疾患に適応されていたため、キノホルムによる腹部症状にキノホ ルムが投与されていたのです。ですから、キノホルムで具合が悪くなったのに、またキ ノホルムを投与され続けていたわけです。治るわけもなく、その症状が止まらず、どん どん悪くなっていったということがあります。  1970年まではスモンの原因はウイルス説が有力だったということもありまして、スモ ン患者にずっとキノホルムを連用していたということです。  その後、サリドマイドもスモンも裁判という形になって、サリドマイドは和解になり ましたが、スモンは一部裁判で判決を見ていますが、スモンの患者さんたちは今でも苦 しんでおりまして、平成13年のスモン研究班による全国スモン患者1,036 名の現状調査 というのがありますが、視力障害、新聞の大見出しが読める程度以上の視力障害の方が 38.4 %、1本杖以上の歩行障害の方が 45.7 %、中等度以上の異常知覚、普通の温度 であっても足がすごく冷たく感じたり、逆にあったかいというような知覚の異常があ る。それから尿失禁が 52.5 %、なんらかの合併症を有する者が 94.2 %、ほとんどと いう状態で、今でも症状で苦しんでおられます。  以上が薬害についての説明ですが、健康被害は薬害だけではなくて、薬害とまた別の 健康被害が出ていて、それはSJSとか、TEN、薬疹ということですけど、これは前 に同じ薬を使用してなんでもなくても、起こる場合ももちろんあります。しかし、これ を重症化させないというためには、専門家がきちんと患者さんの状態を判断できる状態 の人が薬を処方したり、作ったりするということが必要なのではないかなということで す。それによって、受診勧告をしたり、いろいろなケアをしたりということがいえると 思います。  それからもう一つは、スモンの事件の後に、薬事法の第8章、66条から68条のところ で、医薬品等の広告についての規定がありますが、昭和40年代のこれらの事件が発生し た当時は、割と各社、戦前などは自粛もしたりとか、逆に高度経済成長時代は市販薬が それほど売れないというか、医療用の医薬品が主に売られていて、あまり宣伝する必要 もなかったというようなこともあったようですが、当時は割と自粛という形をとってい たようですが、また最近、どうも薬のテレビの宣伝などを見ますと、頭痛薬なんかで も、飲んだとたんにすぐ元気になっちゃうというふうなことを思わせるような広告もま だまだ出ているということもありますし、(誇大広告等)だけではなくて、(特定疾病 用の医薬品の広告の制限)というところの、がんに効くとか、そういったことを書いて ある雑誌等も見受けられますので、そのあたりの規制も必要なのではないかと思いま す。  最後に、我々はとにかく、今後被害者を出さないということももちろんですけれど も、それ以上に専門家の方々に加害者になってほしくないということを願っておりま す。  以上です。どうもありがとうございました。  井村部会長  どうもありがとうございました。ただいまの間宮事務局長のお話につきましてご質問 等ございましたら、いかがでございましょうか。  児玉委員  お話をお聞きして、私ども責任を再確認しましたが、それは今、私どもも心配してい ますが、さらっと言われたんですが、サリドマイドが抗がん剤等として個人輸入で53万 錠も入っているということで懸念しておりますが、そのあたり、当然ご心配だと思うん ですが。  間宮氏  サリドマイドが個人輸入されていることについては、去年の数字で53万錠といわれて いますが、これがたった3年前は15万5600錠だったわけで、3倍になっているわけで す。その15万錠のときも我々は非常に危険だ。何もルールがない形でサリドマイドが使 用されていて、残薬とかもきちっと処理されていない。しかも、個人輸入という形で入 っているので、成分もちゃんとした成分量が入っているかということ、価格も安定して いないし、供給も安定していない。そういう状態の中で実際に患者さんが使用するのが 本当に適当なのか、本当に安全なのか、ということが心配であるし、何よりも新たな日 本での被害ということが発生しないという保証はどこにもない。それについては非常に 心配で、今までに3回ほど要望書を出していますけれども、先日ガイドラインという形 で、これは多発性骨髄腫についてですが、ガイドラインという形でできましたので、こ れをぜひ関係する医療関係者の方々には、多発性骨髄腫の話だけではないということ で、管理の問題等についてもかなり細かく書いてありますので、参考にしていただきた いと思っております。  井村部会長  ありがとうございました。ほかにご質問、ご意見、ございますか。よろしゅうござい ますでしょうか。  それでは、間宮事務局長、どうもありがとうございました。もし、よろしければその まま傍聴していただいても結構ですので。  それでは続きまして、大山委員に「情報通信技術の活用」ということでご講義いただ きたいと思います。よろしくお願いします。  大山委員  東工大の大山でございます。さっきまで厚生労働省で「医療情報ネットワーク基盤検 討会」に参加していました。この検討会は、インターネットを活用したネットワークで 医療情報等を伝送やよりよい医療サービスを提供するための情報共有を実現するための ガイドラインをつくっている会で、私が座長をしている関係から本会への出席が遅れ申 し訳ありませんでした。  今日は「ITの利活用と社会」というタイトルで皆様方に資料を出させていただきま した。もちろん、医薬品の販売に関することもので、わかりやすく言うとテレビ電話等 のIT技術がどういうふうに使えるかということです。詳しい説明をする前に、本人を特 定すること、それから、何のためにITを使っているかということを含めて、少しわか りやすく説明させていただきたいと思います。  2ページに「ITとは?」とあります。日本ではITと呼んでいますが、国連などで は ICT、すなわちInformation Communication Technology と略しています。これ はネットワークで接続された情報システムで、いわゆる、昔のワープロのような、1つ の独立した情報機器ではなくて、ネットワークで相互に接続されたシステムを意味しま す。  なぜ使うかに対する回答は、それぞれの分野でもちろん違いはありますが、我々が想 像していた以上に強力な道具になっていることは間違いありません。すなわち、例え ば、生産性の向上、国際競争力の回復のような既存産業での応用もありますし、人手を かけていたらとてもやりきれないような多岐にわたる消費者ニーズに対応するためにコ ンピュータを使うということもあります。さらに、コンピュータの管理によって安全性 と利便性という、これからの社会に必須となるものを提供するためというのもありま す。人手でやるのではなく、例えば、24時間人が監視するのは大変ですが、コンピュー タで自動監視させることで安全性を守るというようなことも考えられます。  何に使うか、ということでは、例えば、行政分野では電子政府が、医療分野では遠隔 医療が、さらに産業界では電子商取引のようなさまざまな新しい応用が出てきていま す。  次のページには「IT社会とは?」と書いてありますが、将来、我々の生活がどうい うふうに変わるのかを将来像として共通認識する必要があるのではないかと思いこの資 料を出してみました。  我々のふだんの社会活動は現在コンピュータやネットワークなどの、ITにより支援 されています。この状況はさらに進展すると予想されます。家の中にコンピュータが入 ってくるというのはもう既に始まっていますが、どこにでもコンピュータがあるという 環境になると予想されます。しかし、IT革命はそれをはるかに超える環境、すなわ ち、我々がふだん行っている生活自体が電子の世界に入っていくというのが将来像であ ると考えられます。言い方をかえますと、いままでは現実の世界で閉じていた我々の社 会活動が電子空間というもう一つ別の空間でも可能になるということです。どちらで何 をするかは本人が決める。これがIY革命といわれる所以であると思います。  概念的には次のページに書いてあります。  真ん中にいる女性が我々ですが、我々はふだん徒歩や電車でショッピングセンターに 買い物に行く、また、病院へ行ってお医者さんに診てもらう、あるいは役所に行って行 政手続きを行うというようなことを現実の世界で行っています。  これが、インターネットに代表される電子空間になると、次のページですが、ここに 空間内に、ショッピングセンターや病院そして役所ができてきます。ショッピングセン ターとしては、最近野球でよく聞くようになりました楽天がこの1例です。そして、自 分の身代りを電子空間に送って、現実の世界で買うのと同じように買い物ができるとい うことです。また、病院に行ってお医者さんに診てもらうのも、将来可能になると予想 されます。これはまさしく、在宅医療や在宅介護を遠隔で支援することに当たります、 さらには、お医者さんの場合は病院対病院、診療所対病院における遠隔の支援・連携と いうようなことになるかと思います。また、ネット経由で役所の手続きを行うのが、現 在、電子政府、電子自治体でつくられているサービスを国民、住民からみたものです。  この電子空間をなぜつくるのかというと、この空間ではある点からある点へ、ほぼ瞬 間に移動できる特性を持っています。さらに、記憶容量などのキャパシティはほぼ無限 にあります。コンピュータの能力が上がり、メモリーの容量が増える一方で小型になり ます。これらの特徴を活用する、すなわちこれらをうまく使うことで、我々の将来の生 活をより便利で豊かにしようとしています。この電子空間の中では、現在、法的にも制 度的にも有効な手段をつくるためにさまざまな取り組みがされています。言い方をかえ ると、ウェブ内に自分のホームページをつくるというように、法的な規制に全く関係し ない、自由な世界というのが既にあるわけですが、例えば、役所に提出する種類を電子 的に送ることで、紙で送ったのと同じようにしようとすると、法的あるいは制度的な面 の改正や規制緩和を含めたさまざまな取り組みが必要になるということです。  逆の言い方をすると、行政機関はそもそも法律に従って業務を粛々と行うところとい う観点からみますと、法律及び憲法等で保証されている我々の権利を電子空間でどう守 るかということにつながってきます。  われわれの権利は、地方選挙権を考えれば分かるように、人によって違っています。 残念なことに電子空間の中では、他人や架空の人物への成りすましが起きるので、この 電子空間の中でそれぞれの人の権利を守ろうとすると、その方が匿名でサービスを受け ることは不可能になります。この背景が電子空間で行政サービスなどを行うときの難し さになってきます。この問題を解決するために、本人確認や暗号を使ったセキュリティ 技術の利用が必要になります。  今説明したことを6ページ目にまとめてあります。  制度、法律面からいうと、電子空間と現実の世界は整合していく必要があります。す なわち、電子の世界と現実の世界で行うことのどちらも法的、制度的にも有効にしてい くことが必要なのです。  この観点から、個人、組織は責任論で表裏一体で、制度などは両空間で原則同じでな ければならないといえます。  このようなIT社会を構築するための課題は、我々が社会科通津を行うのに必要なもの の機能の電子化です。具体的には、我々がふだんポケットや財布に入れて持って歩いて いるものです。これらが電子空間で使えるからこそ、現実世界と同じような社会活動が 可能になります。形のあるものとしては、お金やクレジットカード、それから、証明書 のようなものが、形の無いものとしては、市民権やライセンスなどになります。  ここでお間違えないようにすべきことは、機能の電子化であることです。すなわち、 磁気カードやICカードを使うのはあくまでも手段で、それをもって電子化といってい るのではありません。電子化すべきは、それぞれの機能の電子化ということです。  形のないものの代表は市民権ですが、現実空間にいる我々は普段あまり意識していま せん。そのためさまざまな誤解を生じましたが、われわれの市民権は住民基本台帳を基 礎にしています。そのために住民基本台帳法の改正が行われたのです。  同じように、ライセンスがあります。例えば、現実空間で医師免許を必要とする医療 サービス等を電子空間で行うには、電子空間でも免許が必要ということです。電子空間 では繰り返しですが、他人や架空の人物のなりすましがあるので、その人の免許の確認 が必要になります。  次のページは、具体的に行う手法を説明しています。電子空間は危険だ、危険だとい うように思われているのが非常に残念ですが、IT技術をしっかりと使えば、現実の世 界よりもはるかに安全な形にすることも可能になります。  このことを理解いただくために、セキュリティ技術について簡単に説明します、従来 のセキュリティ技術は、金融機関等に見られますが、基本的に公開しないのが基本でし た。ちょうど、お城の抜け道をつくるようなもので、公開しないことで安全性を確保し ています。それに対して、オープン系ではセキュリティ技術もオープンになっていま す。すなわち、どういう手法で、どれぐらいのリソースをかけてセキュリティを確保し ているかを公開する手法です。  具体的には、はじめに端と端の相互認証、言い換えると end to end の相互認証を行 います。例えば、私が誰かと話すときには、間の仲介を全く無視して、両端で相手確認 をするということです。ご存知のようにインターネットなどは途中にさまざまなコンピ ュータシステムが中継しています。そして、相手が確認できたら、その後は暗号通信を 行います。これが近い将来、確実に出来上がってくると思います。  用いられる暗号手法は既に公開されていて、それぞれの手法について、客観的な安全 性が評価されています。例えば、今使われている電子署名の技術はスーパーコンピュー タで解読するのに1万年かかるとか5千年かかると言われています。ただ、技術の進歩 は追いかけっこですので、10年後に同じように1万年かかるとはいえません。現時点で はどうか、という話です。  暗号手法とそのアルゴリズムまで全部公開されているにもかかわらず、安全性が確保 できる理由は、用いる暗号鍵を秘密にしているからです。ちょうど自宅の鍵やオフィス の鍵を我々がむやみに人に与えるということが安全性を壊すのはおわかりのように、電 子の鍵も同じで、正当な人しか鍵を渡してはなりません。さらに受け取った人は、鍵を 管理する責任があります。金属の鍵と電子の鍵の最大の違いは、金属の鍵の場合、コピ ーをするのは簡単ではないのに対し、電子の鍵はほぼ瞬間的にコピーできることです。 そのため、パソコンの中に例えば、重要な鍵を入れた場合に、なんらかのウイルス、あ るいはほかの人が悪意を持ってそれをコピーしようと思えば、本人はほとんど気づかな いうちに取られてしまいます。  この重要な問題を解決するために、住民基本台帳カードなどのICカードの中に鍵を入 れ、その鍵は読み出せないようにする手法が使われています、ここが極めて重要なポイ ントです。記録された鍵は、カードから取り出せないようにします。そして記録された 鍵はカードの中にあるコンピュータが必要な処理を行います。そのため、鍵を廃棄する ときはカードごと廃棄するあるいは、鍵を消去することになります。さらに、無理やり 読もうとすると、カード自体が壊れてしまうようにつくられています。このような特徴 を有した手法を用いて、end to endの相互認証を行います。例えば、従来の銀行系で は、ATMなどの端末を確認しています。これもコンピュータ同士が相手を確認できるよ うになっているということです。ただ、応用によっては端末を特定しないで、言い方を かえると、どこで買ってきた端末でも構わないようにすると、端末を信用することがで きなくなるので、最後はカードの中にあるコンピュータと相互認証することになりま す。これが end to end の究極の姿になります。  次のページは、本人確認の説明です。例えば、カードとホストの間は今までどおり、 コンピュータ同士が確認するのに加えて、カードと利用者の間はカードの中に入ってい るパスワードや指紋などの生体情報の確認を行います。この生体情報は、ホストコンピ ュータにおくのではなく、カードの中に入れて、カードとの間で確認するようになって います。このように、2段階で本人を確認するようにつくられています。  10ページは、暗号手法について説明しています。すなわち、暗号手法は、暗号化処理 の左に平文と書いてあるように、例えば「おはよう」という文字を入れますと、暗号文 という形でわからないデータに変換されます。そして、暗号化の鍵と同じような処理を 経て復号化すると平文の「おはよう」に戻ります。このときにこの鍵の長さで暗号結果 の種類は変化します。なぜならば、鍵は一種のパラメータになっているので、1ビッ ト、すなわち0か1を示す場合を考えると、鍵が0のときに出てくる結果と、1のとき に出てくる結果は異なります。同じ平分を入れても、鍵の値によって結果が異なるわけ です。2ビットになると2×2で4種類出てきます。3ビットにすると2×2×2で8 種類出てきます。現在使われている実際の暗号では、例えば1,024 ビットを使っていま す。1,024 ビットというのは、2の1,024 乗なので大きさがわからないかもしれません が、10の何乗かというと、粗い計算をすると、10の300 乗を超えることが分かります。 10の300 乗というのは、10の後に0を書けば実感しますが、300 個0を書くということ ですので、とてつもなく大きい数だということがおわかりになると思います。  したがって、暗号文だけをみて、元の文章を解読するのは、総当たりでやった場合に は最悪10の 300乗回以上行うことになるので、その結果先ほども申し上げたようにスー パーコンピュータでも簡単には解けないと考えられます。したがって、たぶん安全だろ うといわれているわけです。数学の言葉で絶対というのは証明されているものを絶対と いいますので、計算量的に安全というのはたぶんという言葉に変わるということです。  行きと帰りの鍵が同じのと違うのがありまして、違う鍵を使っているのが、現在、公 的個人証サービス等に使われている電子署名という手法で、1つを自治体に登録し、1 つを自分のカードに入れる運用を行っています。これによって記名捺印と同じように署 名ができるようにつくられています。これは既に制度として始まっていますので、そち らを参照いただければと思います。  大事なことは、暗号はあくまでも手段で、目的は相手確認ですので、その説明が11ペ ージに書いてあります。ちょっとわかりにくいかもしれませんが、最初にAさんとBさ んは同じ鍵を持っていると想定します。鍵はカードから出て来ないというのが前提で す。出してしまったらコピーされますから、絶対に出してはいけません。最初にAさん がBさんを確認する場合には、乱数を発生します。これをBさんに渡し、Bさんは暗号 化して結果をAさんに返します。Aさんは自分でも同じ鍵を持っているので、自分のカ ードで暗号化します。すなわち、カードに入れて暗号化をしなさいという命令を出す と、結果が返ってきます。この2つを比べて、もし同じであれば、先ほどの話のとお り、10の 300乗の中から1つ当たるので、まず間違いなくBさんは正しい鍵を持ってい るといえます。ですから、Bさんがこの鍵をほかの人に渡してしまうということがいか に危険かというのが、おわかりいただけると思います。これが今の認証の具体的な手法 です。  あとは、12ページからは「カードに関する基礎知識」ということで、これは時間の関 係で省略しますので、後ほどごらんいただければと思います。  18ページは、e-Japan戦略に書かれている医療に関する内容を示しています。  ITの将来像とITの医療応用などに関する説明は以上で終了します。  次に20ページをごらんください。ここからは、先ほど申し上げたテレビ電話などを用 いて、顔色や血液の色を正しく相手に伝送するための技術について説明します。既にご 案内のとおり、例えば、電気屋さんなどで同じ番組を映しているテレビを見ると、ほと んどの場合、色が異なっていてどれが正しい色かわかりません。なぜそうなっているの かを説明します。  21ページにあるように、今のテレビはより美しく見えるように工夫されています。美 しく映すための仕掛けが入っていて、正しく映すことを目的にしていません。そのた め、既存の映像装置が持つ色再現は、観察装置で物理的な計測装置になっていないとい えます。言い方をかえると、ものさしがより美しくなるように、ゴムか何かでできてい て、延びたり縮んだりしながら測っているのです。  具体的な理由としては、カラーカメラが持つ赤・緑・青の分光感度が、人間の目がも っている赤・緑・青の感度と違っていることがあげられます。このことは、カメラで写 真を撮っている方はご存知のように、フィルムによって写り方が違うため、対象物によ ってフィルムを変えることがあります。  次に、表示する側について説明します。CRTなどの表示デバイスにも色表示特性が あります。例えば、テレビには赤味を増やすなど、色を変えるための調整ボタンがつい ていますが、あれはその人に合うように、好きに変えられるようにつくられています。 本来は色補正が必要ですが、今は行われていません。  以上が、正しい色を再現できない大きな理由ですが、人間が対面で、例えば顔色を判 断する場合に、もう一つ忘れてはならないことがあります。それは、被写体に対する証 明光と観察環境の照明光が違う場合に考慮しなければならない色順応という現象です。 わかりやすく説明すると、例えば白い紙をみると、皆さんは紙の色は「白」と認識する と思います。今は、蛍光灯の下で見ていますが、同じ紙を太陽の下で見ると、物理的な スペクトルが異なるにもかかわらず、我々はやはり「白」と認識することがあります。 人間は自分がいる環境に合わせて白の原点が移動します。この現象が色順応です。  以上のことを考慮して色を正確に表現しようとすると、22ページに示されるように、 2つの場合があります。すなわち自分がその場に行ったときに見えるように表示する場 合と、被写体が自分のところへ来たように表示する場合です。特に後者の場合は、照明 の状況が違うことがるため、照明光を変換しないと正しい色の認識はできないことがあ ります。  そのため例えば、患者さんが白熱灯の下で、お医者さんが蛍光灯の下にいると、白の 原点が違うので赤味の度合も実は違って感じてしまうのです。  どうやるかが次のページにあります。  今のようなことをすべてやろうとすると、当然費用がかかります。技術的には全部で きることも確認されています。ちなみにテストとしてごらんになりたい方は、溜池に装 置がありますのでおいでいただければと思います。具体的には、デジタルカメラの特性 をまず計測する必要があります。残念ながら、一般的に市販されているカメラは、画像 をきれいにするために画像処理のソフトが組み込まれています。画像処理は、被写体に よってその結果が変わってしまうので、元を正しく推定することは困難です。それに対 し、最近のカメラには、この画像処理機能を外すのがついているのがあります。例え ば、一眼レフのデジカメには多くついていますが、ローデータモードで撮っていただく 必要があります。同時に、色票を撮影する必要があります。さまざまな色がついている 小さなものですが、一緒に撮影することで、カメラの特性を測定します。  照明光が同じならば必要ありませんが、患者さんと薬剤師さんのいる場所の照明が違 う場合には、それぞれの照明環境を測定することが必要になります。さらに、表示装置 の特性を計測します。これらの測定は、簡易計測器で簡単にできますが、それぞれの特 性は変化することがあるので、1週間に1回とか、1ヵ月に1回ぐらいは確認すること が望まれます。もちろん、設定されたモニターの色調整を勝手に変更しないようにする ことが不可欠です。  表示も今は、CRT、液晶、プラズマなどがありますので、これらについても配慮し なければなりません。  今説明したことが、医療の現場で実際に意味があるかを確認するために行っている実 験が次の24ページ「皮膚科における実験設備」です。  これは皮膚に疾患をお持ちの方の治りぐあいを時間軸で見られるようにするために、 実際に過去の状態と比較することを目的としています。照明光のランプ、患者さんに撮 影場所などを固定し、さらに分光器も置いて、確実に物理量として正しく再現されるこ とを確認しています。そして、高性能なマルチスペクトルカメラを用いています。これ らの実証実験から、本技術の有効性を確認することができました。今後は、このような 技術の簡易版を開発することが課題になります。  25ページは、テレビ電話等を用いる場合の方式について説明しています。照明光変換 は、前もって送り手側に伝えることで、動画の伝送は3バンドでできることを示してい ます。すなわち、お医者さんがいる側の照明光の分光特性を一度前もって送っておけ ば、患者さん側の照明条件を最初からお医者さんの方に変換して送ることが技術的には 可能であるという意味です。  26ページは、最後のまとめです。  ・IT社会に向かって確実に進展している  ・環境整備がきわめて重要  これは法律の改正、あるいは新しい法律などを作ると   いうこともあります。そうすることで、例えば、既に開発済みの技術を実用化する   ことが可能です。  ・ただ、将来を考えますと、薬品の場合も同じであると思いますが、人や機器、そし   てその人に渡すべき情報に間違えや混同が起こらないようにすることが必要です。  このためにはIT技術を使うのが極めて有効である、というのが私の意見のまとめで す。以上です。  井村部会長  どうもありがとうございました。ちょっと、場合によっては難しい話だったかもしれ ませんが、おわかりになった方と、私のようにあまりよくわからなかった方といるんじ ゃないかと思いますが、いかがでしょうか。何かご質問ご意見ございましたら。どうぞ ご遠慮なく。  だいぶ先のことだと思っていましたけど、先生のお話を伺っておりますと、ニーズが 高まればかなり近い将来にも、というお話でございました。  大山委員  全くそのとおりですが、医薬品の場合の条件に合うかどうかは、テストしたことがな いので、もし本格的に検討するのであれば、専門の先生方にもお入りいただいく必要が あると思います。これを行えば、必要な技術開発の課題、そして商品としての価格など が見えてくるとは思います。  井村部会長  他にいかがでございましょうか。よろしゅうございますか。先生がイメージしておら れる医療への利用ということで、具体的には例えば、皮膚科の例がありましたが。  大山委員  既に遠隔医療の分野で、色が重要になる皮膚科については3年後に実用化と思ってい ます。それから、病理診断については、施設毎に染色の状態が違っていると診断をなさ る専門医の先生方が混乱することがあるので、デジタル技術を使って染色の状態を補正 する試みを行っています。さらに、眼科の遠隔診断に関する研究をこれから開始しよう 考えています。  井村部会長  そうすると、大体が診断ということで。  大山委員  今まではそちら側でした。  井村部会長  よろしゅうございますでしょうか。それでは、大山先生、どうもありがとうございま した。  それではお二人の方に講義をしていただきまして、皆様方からの質疑応答も一応済ん だということになると思います。先に専門委員会の作業状況についてもご説明をいただ きましたし、それについての質疑応答も済んでおりますので、大体きょう予定しており ましたことはこれでおしまいでございます。  予定の時間もかなり近くなってまいりましたので、本日の予定されました審議はこれ で終わりにさせていただきまして、先ほど、児玉先生からご要望がございましたが、あ あいうご要望を十分に踏まえた上で専門委員会で作業をさせていただくということでご ざいます。  最後にだいぶ年も押し詰まってきまして、これがおそらく今年最後の部会になります だろうと思いますが、年明け以降の日程につきまして、今までと同じように、大体部会 は月に1回程度開催するということにいたします。まず部会でどんなことを議論してい くかといいますと、諸外国の制度についての現地調査が進んでおりますし、それから、 国民へのアンケート調査等の結果もまとまってくると思いますので、これらがまとまり 次第、順次部会にご報告をいただくということになると思います。そして、専門委員会 の作業は引き続き、きょうのように部会に報告していただきまして、部会で審議すると いうやり方を継続したいと思います。  このようなスケジュールでいってよろしゅうございますでしょうか、委員の皆様、よ ろしゅうございますか。  それでは、次回以降の具体的な日時等につきまして、事務局からご説明をいただけれ ばと思います。  事務局  次回以降の日程でございますけれども、日程調整を改めて行いまして、具体的な日 時、場所等、事務局より文書で連絡したいと思っております。  井村部会長  はい。なお、先ほど私が申し上げました、これからの日程ということで、何か事務局 の方でつけ加えられることございますか。よろしゅうございますか。  ありがとうございました。それではそのようなことで今後は進んでいきたいと思いま す。本日はこれをもちまして第8回の医薬品販売制度改正検討部会を閉じさせていただ きます。どうもありがとうございました。                                     (了)                   (照会先)                   厚生労働省医薬食品局総務課                     TEL:03-5253-1111(代表)                    担当:金子(2725)、目黒(2710)、石井(2713)