04/12/14 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会議事録      薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会議事録 ○日時 :平成16年12月14日 (火)   午前9時57分〜11時50分 ○場所 :経済産業省別館第 827号会議室(8階) ○出席者:   委員   豊田委員(部会長)、大野委員、小沢委員、加藤委員、下田委員、        中澤委員、米谷委員、山添委員、吉池委員   関係省庁 農林水産省消費・安全局農産安全管理課農薬対策室 小峯生産安全専門官        農林水産省消費・安全局農産安全管理課薬事・飼料安全室 嶋崎課長補佐   事務局  外口食品安全部長、中垣基準審査課長、宮川課長補佐、近藤専門官、        田中技官、渥美技官 ○議題:  (1)食品中の残留農薬等に係る基準の設定について     ・ビフェナゼート(農薬)  (2)動物用医薬品の承認申請に係る意見の聴取の取扱いについて  (3)その他     ・ポジティブリスト制導入に係る欧州調査結果について(報告) ○事務局  おはようございます。定刻より若干早いわけでございますが、委員の先生方がおそろ いになりましたので、ただいまから「薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物 用医薬品部会」を開催させていただきます。  本日は、お忙しい中、お集まりいただきありがとうございます。どうぞよろしくお願 いいたします。  まず、開会に当たりまして、私どもの安全部長でございます外口食品安全部長から御 挨拶を申し上げます。 ○食品安全部長  農薬・動物用医薬品部会の開催に当たりまして、一言御挨拶申し上げます。  先生方におかれましては、日頃から食品衛生行政の推進につきまして、御協力いただ いております。改めて厚く御礼申し上げる次第でございます。  さて、本日は、食品中の残留農薬等の基準設定について、農薬のビフェナゼートにつ いて御審議いただくこととしております。このビフェナゼートは、ご存じのように、国 内で既に登録されているものでありますが、今回、新たに適用作物の拡大の申請がござ いまして、食品安全委員会で審議が行われたものであります。また、動物用医薬品の不 活化生物学的製剤、不活化ワクチンでございますけれども、これの薬事法に基づく承認 申請に当たり、農林水産省より意見を求められておりますので御審議いただくこととし ております。  なお、食品中に残留する農薬等に関するポジティブリスト制については、現在、暫定 基準、第2次案でございますが、これに寄せられた御意見、情報について、事務局で現 在、整理をしているところであります。来年早々にも改めて当部会で御検討をお願いす ることとしておりますが、本日は欧州の残留農薬規制や、その運用状況等について、11 月に事務局のほうで調査を行ってまいりましたので、その概要を報告させていただくこ ととしております。  どうぞよろしくお願いいたします。 ○事務局  本日は、青木委員、国立医薬品食品衛生研究所の井上委員、北里大学教授の井上委員 及び岡田委員より欠席の御連絡をいただいております。  農薬・動物用医薬品部会の委員13名中9名の御出席をいただいており、部会委員総数 の過半数に達しておりますので、本日の部会は成立しておりますことを御報告いたしま す。  それでは、豊田部会長に審議の進行をお願いしたいと思います。今後の御審議、よろ しくお願い申し上げます。 ○豊田部会長  委員の方々、おはようございます。朝からありがとうございます。  それでは、議事に入らせていただきたいと思います。  初めに、事務局から配布資料の確認をお願いいたします。 ○事務局  本日配布しております資料につきまして御説明いたします。  まず、議事次第でございます。こちらは3枚ございます。2枚目に配布資料の一覧が 記載されております。また、3枚目には委員名簿及び関係省庁からの出席者名簿という 形となっております。  次に、1枚紙でございますが、本日の座席表。そして、資料1は農薬評価。これはビ フェナゼートに関してでございますが、すべてで1ページから57ページまでございま す。資料1−2は41ページから始まっております。また、資料1−3につきましては、 55ページから始まっているものでございます。  次に、資料2でございます。こちらは動物用医薬品の承認申請に係る意見というもの でございます。こちらは、すべてで1ページから8ページまで。資料2−2が3ページ から、資料2−3が7ページからとなっております。  次に、資料3でございます。こちらは、ポジティブリスト制導入に係る欧州調査結果 についての報告でございます。全ページで1ページから53ページまでございます。  最後に、参考資料でございます。こちらは、食品安全委員会への意見聴取及び食品健 康影響評価の状況を一覧としたものでございます。こちらにつきましては、1ページか ら3ページまでとなっております。  御確認のほどお願いいたします。また、落丁等ございましたら御連絡のほどお願いい たします。 ○豊田部会長  資料に漏れがございませんでしょうか。特になければ始めさせていただきたいと思い ます。審議に入らせていただきます。  今日の議題は、(1)農薬1品目について審議を行うことにいたします。まず、農薬ビ フェナゼートにつきまして、資料1に基づいて事務局からの御説明をお願いいたしま す。この農薬の基準案の作成に当たりましては、関係委員に既に資料等について御検討 いただいているところでございます。では、よろしくお願いいたします。 ○事務局  それでは、資料1−1に基づきまして説明させていただきたいと思います。  資料1−1から1−3まで1つのホッチキスで綴じられておりますけれども、それに つきまして、最初に訂正をさせていただきます。51ページをご覧いただきたいと思いま すけれども、51ページの下の表の「試算の詳細」と書かれたところがありますが、その 一番右側に「ビフェナゼート推定摂取量」とございます。その下のほうに計と書かれた 二重線で囲まれたところがありますが、そこに「 120.2」とあります。それを「 191.7 」に訂正させてください。以上が修正箇所です。  それでは、中身の説明に移らせていただきます。資料1−1は、食品安全委員会の農 薬専門調査会で取りまとめられまして、11月25日に公表されまして、現在、食品安全委 員会のほうでパブリック・コメントを募集している評価書の案でございます。  それから、41ページから資料1−2となっておりますけれども、そちらが本部会にお ける報告書の案。それから、55ページのほうには資料1−3とありますが、これが国民 栄養調査の結果から得られました農産物及び畜産物の摂取量の表になってございます。  それでは、まず4ページをご覧ください。審議の経過ですけれども、厚生労働省には 昨年の9月に農林水産省から農薬の登録申請に係る連絡がございまして、それを受けま して食品安全委員会に対して残留基準設定に係る食品健康影響評価について要請をいた しました。その後、食品安全委員会では、先月の25日に評価書の案が取りまとめられま して、先ほど申しましたように、この評価書に対しまして、今月の22日まで国民からの 意見聴取が行われているところでございます。  5ページのほうに移りまして、要約ですけれども、ビフェナゼートはヒドラジン骨格 を有する殺虫剤でございます。結論を先に申し上げますと、本剤の一日摂取許容量(A DI)は、イヌを用いた慢性毒性試験及びラットを用いた慢性毒性及び発がん性併合試 験における無毒性量1.0mg/kg体重/日を根拠としまして、0.01mg/kg 体重/日をADI として設定されました。3つ目のパラグラフにありますように、試験の結果から、発が ん性、繁殖能に対する影響、それから催奇形性及び遺伝毒性は認められておりません。  7ページ以降ですけれども、試験結果の概要が記載されております。簡単に紹介させ ていただきますが、まず、ラットにおける動物体内運命試験から始まりまして、12ペー ジのほうにいきますと、温州みかん、オレンジ、りんご及びなすを対象としました植物 体内運命試験が実施されております。  そのほかに、14ページから18ページにかけまして、各種環境中における運命試験が実 施されておりまして、それらの概要についても記載がされております。  それから、18ページの下のところから作物残留試験の概要が記載されておりますけれ ども、19ページの表7においては、ビフェナゼートとそのアゾ体であります代謝物Bを 暴露評価対象化合物としまして、国内で栽培される農産物から摂取される推定摂取量が 示されております。  続きまして、20ページ以降になりますが、急性毒性試験や慢性毒性試験、発がん性試 験といった各種毒性試験の結果につきましても、それらの概要がまとめられておりま す。  以上の結果を踏まえまして、評価書の29ページに総合評価という形で全体の概要が記 載されておりますので、そちらをご覧ください。かいつまんで申し上げますと、2行目 以降になりますが、まず、ラットを用いた動物代謝試験においては、主な排泄経路は糞 中となっております。それから、植物体内運命試験におきましては、ビフェナゼートの ほかに代謝物としましてB、C、Dなどが認められております。また、同じページの下 から7行目に記載がありますけれども、ビフェナゼートの急性経口LD50は4,946mg/kg 以上、経皮LD50は5,000mg/kg以上、吸入LC50は 4.4kg/L以上となっております。そ れから、代謝物B及びDについては、急性経口LD50が5,000mg/kg以上となっておりま す。  それから、30ページの2行目以降に記載がありますけれども、今回の各種の毒性試験 で貧血が認められておりましたので、それについてビフェナゼートにおける貧血の機序 を解明することを目的としまして、ハインツ小核確認試験及び貧血確認試験が行われま したけれども、これらの結果より、ビフェナゼートにおける貧血機序は、赤血球に対す る酸化作用に起因する溶血性貧血に関連する変化であると結論づけております。  また、代謝物に関する試験としましては、26ページの表12にまとめられておりますの で、そちらのほうがわかりやすいかと思いますが、代謝物Bにつきましては、復帰突然 変異試験、遺伝子突然変異試験及び小核試験が行われており、代謝物Dにつきまして は、復帰突然変異試験が行われております。その結果が右端の欄に記載されております が、代謝物Bの復帰突然変異試験では弱い陽性反応が認められましたけれども、前の25 ページの2段落目に記載がありますように、遺伝子突然変異試験及び in vivoの小核試 験の結果が陰性であったことを考え併せると、生体において問題となるような遺伝毒性 が発現することはないものと考えられると結論づけられております。  以上の各毒性試験の結果から、31ページをご覧いただきまして、表14にそれぞれの試 験における無毒性量の記載がまとめられております。備考の欄には、発がん性や繁殖能 に対する影響、催奇形性について認められないといった記載がなされております。  最終的には、32ページのほうをご覧いただきますと、農薬専門調査会において行われ た評価の案としまして、イヌの雄を用いた1年間の慢性毒性試験から得られた無毒性量 と、ラットの雄を用いました 104週間の慢性毒性及び発がん性併合試験から得られまし た無毒性量の1.0mg/kg体重/日を採用しておりまして、さらに、それに安全係数とし て 100を掛けまして、ビフェナゼートのADIが 0.01mg/kg体重/日と設定されており ます。  以上が食品安全委員会がまとめました食品健康影響評価でございます。  それに基づきまして、私どものほうで作残試験などから残留基準値の案をまとめさせ ていただいたものが41ページ以降の資料1−2でございます。  41ページの項目5のところに、この農薬の適用範囲、使用方法について記載しており ます。ビフェナゼート20%フロアブル剤としまして、トマト、なす、きゅうり、その次 のページにも幾つかに使用が認められておりまして、それから表2のほうにいきます と、ビフェナゼート15%くん煙剤として、いちごに使用が認められております。今回の 適用拡大の申請の内容としましては、表中の下線部分がそれに当たりますけれども、20 %フロアブル剤及び15%くん煙剤のいちごへの使用回数を1回から2回にすること。そ れから、20%フロアブル剤のいちじくへの適用。具体的には、使用時期として、収穫前 日まで1回の散布という内容となっております。  それから、参考ですけれども、43ページに、今回のいちごへの使用に関しまして農林 水産省さんのほうからコメントをいただいております。まず、いちごへの使用回数を1 回から2回に変更することについてですけれども、本剤の適用害虫であるハダニ類は、 いちごの重要な害虫であり防除が必須となっている。また、いちごの一般的な栽培体系 である促成栽培においては、9月に定植し、11月から5月まで収穫する。収穫期間が7 カ月と長期にわたっており、この間のハダニ類の防除がいちごの安定的な収穫のために 重要である。一般に、ダニ剤の効力の持続期間は30日前後であるため、収穫期間に1回 の散布ではハダニ類を防除することができない。通常は、保温開始時、初発生確認時、 発生増加期に3回以上の防除が必要となる。一方で、本剤は、ハダニ類に効果の高い剤 であるため、生産現場から多数回使用の要望が強いことから、薬剤抵抗性を考慮し、申 請どおり2回使用を認めることとしたものであるということです。  それから、いちごのハダニ類への使用時期として、収穫前日が必要な理由としまして は、いちごは、きゅうり・なす・ピーマンなどの果菜類と同様、収穫を毎日行うため、 収穫前日まで使用できることが必要となるということです。  それでは、その次の6の「作物残留」に移りたいと思います。適用作物について、実 際に農薬を散布した場合にどの程度残留が見られるのかということについて、(1)にお 示ししております分析方法を行いまして、その結果について、44ページの(2)からその 結果を記載しております。  まず、(1)の分析の概要についてですけれども、分析対象の化合物としましては、ビ フェナゼート本体及び残留量の多いD3598(代謝物B)でありまして、この定量方法と しては、これらを別々に定量する方法と、一緒に定量する方法が採用されております。  次のページの図を見ていただきますとわかりやすいかと思いますけれども、まず個別 定量では、ビフェナゼート画分とD3598画分、これは代謝物Bですけれども、これを分 離させた後にそれぞれ定量しまして、D3598画分についてはビフェナゼートの量に換算 して、ビフェナゼートして、その合量値を算出しております。一方で、一括定量におい ては、最初にD3598(代謝物B)をビフェナゼートに変換しまして、ビフェナゼートと して両化合物の合量値を測定しております。なお、ビフェナゼートと代謝物Bは、作物 中の抽出エキス中、あるいは分析操作の段階においても、ビフェナゼートと代謝物Bの 間で相互変換を生じることが確認されたため、いずれの方法もアスコルビン酸の共存化 にてビフェナゼートの形を維持させて、精製の操作が実施されております。  これらの方法を用いまして、作物残留について分析した結果を(2)に示しております けれども、適用される範囲の中で一番たくさん残っている最大残留量についてまとめた ものが47ページの表にまとめてございます。基本的には、最大残留量は、最も多量かつ 最終的な収穫からの期間が最も短い場合、即ち、そこに下線が引いてあります回数、経 過日数が最大の残留量のところに該当しますけれども、一部には申請の範囲内でありま しても、最大使用条件下以外でも高い数値が出ているものがありますので、そちらの経 過を記載してありますものは、作物の名前のところに※をつけております。  今回、申請のあった作物の残留試験の方法とその結果について簡単に御説明させてい ただきますと、48ページの下のほうのいちご、いちじくをご覧ください。いちごについ てですけれども、1回のデータはフロアブル剤を散布させたときのものでありまして、 圃場Aでは1日後のデータ、つまり前日散布したもの、圃場Bでは3日後のデータがそ れぞれ申請の範囲内において最大の値となっております。また、2回の試験につきまし ては、同一の剤を2回、つまりフロアブル剤ならばフロアブル剤、くん煙剤ならばくん 煙剤を2回、7日間の間隔をあけまして散布しておりまして、いずれのデータも前日散 布したものが最大の値となっております。  それから、いちじくにつきましては、フロアブル剤を1回、前日に散布したものがい ずれの圃場においても最大の値となっております。  次に、49ページのほうに移りたいと思いますが、(3)その他としまして、綿副産物等 を飼料として用いた場合の飼料経由による畜産物への残留についての結果を示しており ます。これは米国において行われた試験でございますが、泌乳牛にビフェナゼート(原 体:1、3、10ppm)のそれぞれを28日間経口投与したところ、真ん中の表に示しており ます結果が得られました。右側の残留量は残留物質と書かれたものの総和を示しており ます。投与量ppm の上から2つ目のビフェナゼートとD3598の乳脂肪のところの残留量 が2つ書かれていますけれども、0.01という値は20日後のデータ、0.03は28日後のデー タとなっております。米国では、この実験結果をもとにいたしまして、53、54ページに 今回の基準値案の表がありますけれども、54ページのほうに畜産物の値がございます が、米国におきましては、ビフェナゼート、D3598(代謝物B)、それからA1530、こ れは代謝物Eと呼んでおりまして、また、A1530硫酸抱合体、これを代謝物Uと呼びま すが、この4つを対象としまして、牛、山羊、豚、馬、羊の筋肉及び内臓にそれぞれ 0.02ppm、それから牛、山羊、豚、馬、羊の脂肪に0.1ppm、それから乳に 0.02ppmとい う値を設定しております。  以上が残留試験の結果についてでございます。  それから、50ページのほうにまいります。ADIの評価ですが、この農薬のADIは 先ほど御説明申し上げました食品安全委員会での評価のとおりでございます。  それから、8番目「諸外国における使用状況」ですけれども、アメリカ、カナダ、E U、オーストラリア及びニュージーランドについて調査した結果、米国、オーストラリ アにおいて、りんご、なし、もも等に登録が見られております。また、国際基準は設定 されておらず、米国においては野菜、果物、畜産物等に残留基準が設定されておりま す。  それから、9番「基準値案」についてですけれども、今回、規制の対象となりますの はビフェナゼート本体でございます。ただし、ビフェナゼート本体のほかに、なし、オ レンジ等の農作物で多くの残留が見られ、かつ分析中に容易に変換するD3598(代謝物 B)、それから飼料として用いられる綿副産物を経由して畜産物への残留が認められて いるA1530(代謝物E)及びA1530硫酸抱合体(代謝物U)を含むものとします。具体 的には、代謝物Eと代謝物Uは農産物への残留は認められていないことから、米国の基 準も参考としまして、農産物においてはビフェナゼート及び代謝物Bの2つの化合物、 それから畜産物においては、ビフェナゼート、代謝物B、代謝物E、代謝物Uの4つの 化合物を含めた値とします。  基準値の案は、53、54ページの表に示しております。そちらの表について簡単に説明 させていただきますと、登録の有無という欄に○印のあるものは登録のある作物を示し ておりまして、経過措置として承認がある作物には「経過措置」という記載がありまし て、登録申請のある作物には「登録申請中」と記載をしております。また、今回のビフ ェナゼートについては、アメリカの基準を参考としまして、畜産物と加工食品にも残留 基準の案を設定しております。これらをもとにしまして、作物残留試験の成績の欄に下 線の数値が入っているものについては、その値を用いてEDI試算をしまして、それ以 外の食品についてはTMDI試算を行いました。  前後しましすけれども、もう一度50ページのほうに戻っていただきまして、(3)暴露 評価についてですけれども、ADI比の算出は55ページの資料1−3にあります国民栄 養調査の結果から得られた各食品の摂取量をもとに算出しております。試算の詳細につ いてですけれども、国民平均の摂取量を用いた試算ということで少し詳しく説明させて いただきたいと思いますので、先ほど訂正をしました表をご覧ください。まず、右端の 欄に示すビフェナゼートの推定摂取量ですけれども、各食品ごとに基準値案(A)とい うものと当該食品の摂取量(B)を掛け合わせたもの、もしくは残留試験成績の平均値 (C)、それに当該食品の摂取量(B)を掛けたもののいずれかを行います。例えば、 トマトについては、残留試験成績がございますので、その平均値(C)の欄の0.215ppm にトマトの摂取量24.3gを掛けて、トマトからの推定摂取量が 5.2μgとなります。一 方、ピーマンでは、作物残留試験がありませんので、残留基準値案(A)のところに2 ppm とありますが、これにピーマンの摂取量 4.4gを掛けまして、ピーマンからの推定 摂取量 8.8μgとなります。また、牛・豚・羊・馬・山羊の筋肉、脂肪及びその他の内 臓では、57ページの畜産物摂取量の欄のところに記載してあります牛・豚・羊・馬・山 羊の筋肉及び脂肪の56.2g及び牛・豚・羊・馬・山羊のその他の内臓 1.3gの値を合わ せた57.5gという値に、もう一度51ページのほうに戻っていただきますと、それらの摂 取量に含まれる食品の基準値案のうち最も大きい値、これは説明がややこしくなるかも しれないのですが、54ページの案のうち、筋肉、脂肪、内臓のうち一番大きな値である 牛・豚・羊・馬・山羊のそれぞれの脂肪 0.1とありますが、これを掛け合わせて5.8ppm という値を算出しております。  このようにしまして、各食品から摂取されるビフェナゼートの量を足し合わせます と、食品全体から摂取されると推定されますビフェナゼートの量は合計で 191.7μgと なります。この値は1人当たりの摂取量をあらわしておりますので、ADIと比較する ために、国民平均体重53.3gで割りまして、その値を今回のADIの0.01と比較しまし て、ADI比36.0%という結果になります。  同様にしまして、幼小児・妊婦・高齢者についてもADI比を算出しますと、51ペー ジの上の表に記載してございますように、幼小児では76.1%、妊婦では26.3%、高齢者 では44.0%という結果になりまして、結論としてはADIの範囲におさまっているとい うことになります。  それから、最後に追加的な情報になりますが、今年の8月に公表いたしました暫定基 準第2次案についてですが、このビフェナゼートについて記載しておりますけれども、 今般、農薬取締法に基づきまして登録拡大申請がありましたので、それによって残留基 準を設定するため、暫定基準の案からは削除することにしております。  以上がビフェナゼートに関する資料1の説明でございます。 ○事務局  資料の正確さを期すために、今、中身を確認しまして訂正が3つほどありましたので 訂正をさせていただけたらと思います。  49ページをあけてください。下のほうに四角の表がございまして、その上に牛におい て泌乳中ビフェナゼート(原体:1、3、10ppm)となっています。これは、原体を 10 ppm与えたというのは量的にわかりませんので、もとの資料を確認しましたところ、こ れは飼料質重量当たりということになりますので、「原体」を消して、飼料質重量当た り1、3、 10ppmを添加したものを28日間投与したと。  それから51ページ。これは全くのミステイクですが、先ほど事務局の者が説明をして おりました、大きな下のほうの表の少し上にTMDIの試算、EDIの試算というのが ございますが、TMDIのほうは作物残留試験の平均値×摂取量と書いていますが、こ れは全く逆でして、TMDIのほうが基準値案×摂取量です。ですから、上下を入れ替 えていただくということになります。  それから、「試算の詳細」というのが同じく表のタイトルとして括弧書きとしてつい ておりますが、これは一部抜粋しているものですので、「試算の具体例」という形で訂 正をさせていただけたらと思います。  単純なミスで恐縮ですが、訂正をさせていただけたらと思います。 ○豊田部会長  御説明ありがとうございました。  それでは、この報告案につきまして御質問、御意見等がございますでしょうか。 ○中澤委員  2点ほどお伺いします。1つは、今回、適用を拡大するといういちごに関しては、使 用回数を1回から2回に増やすということで43ページに御説明があります。これを読ん だ感じですと、ほかの作物と比べて、特にいちごに関して2回にしなければいけないと いう理由がわかりにくい点です。薬剤抵抗性の問題を考えますと、回数を増やすことは どうなのでしょうか?44ページの(2)作物残留試験結果というのがあります。そこのと ころの46ページにいちごの話があるのですが、結局、いちごの場合は2回散布した値が こういうふうになりますよということですが、この辺は代謝物のようなものの動態も含 めて、それから、いちごのようにビタミンCがたくさんあるような作物の場合に、ここ で提示されている分析法というのは妥当であるのかどうか。その辺のところを含めて、 もう少し詳しく御説明いただければと思います。 ○豊田部会長  ありがとうございました。最初の御質問は43ページのところだと思いますけれども、 ここに一応説明は書いてございますけれども、確かに薬剤抵抗性を考慮し、2回認める という理解しにくい言葉が書いてあるということのようでございます。そのほか、48ペ ージのことについて、いちごのこの部分につきまして、実際の圃場のデータ等につきま して御質問がございましたけれども。 ○農林水産省  農林水産省でございます。いちごの適用拡大申請についてのコメントの文中がござい ますけれども、薬剤抵抗性を考慮して2回というのは適当ではなかったかもしれません けれども、実際に農家での使用ということを考えますと、やはりハダニというのは1回 の散布で完全に防虫できるというものではなくて、次々と出てきてしまうというような こともございまして、当該剤を含めて、また別の作用機序のハダニに効くような農薬と の組合せを行いまして、抵抗性の発現を抑えながら使用していくという形になろうかと 思います。 ○基準審査課長  中澤先生の御質問でございますが、いちごの中にビタミンCがあるのであって、その 影響ということだろうと思います。ここの分析方法というのは、44ページにメーカーか ら提出された資料が書いておりますけれども、いちごの中のアスコルビン酸が変化して いくものがあるのだろうということも考えられますし、あるいは、ビフェナゼート本体 が代謝されて代謝物になるわけでございますが、それがアスコルビン酸にまたもとに戻 るということもあるのだろうとは思いますけれども、両者とも分析しておりますので、 そういう意味ではいいのかなと思っておりますけれども、いかがでございましょうか。 ○豊田部会長  ただいまのでよろしゅうございますでしょうか。  ほかにございますでしょうか。 ○加藤委員  コメントさせていただいていたことの確認という意味で質問をさせていただきます。  今回、基準値の設定の仕方についてかなり詳しく説明されていますので、それとの関 連で確認ということで質問させていただきます。荒茶の分析といいますか、データの扱 いですが、これはもちろん2つの県で試料を調整しております。1つの県、PHIは14 日ということですし、片方の県では最終散布1日後、それから14日後、21日後に採取。 もう1つの県では、台風のようでして、大雨が天気予報で出たために、収穫の14日目と 21日目に予定するものを、1日前の大雨に遭う前の日に採取して、1日、13日、20日に 採取したということに試料調整のデータを見ていますと書いてあります。それは直接の 理由にはならないとは思うのですが、作物の残留分析の場合、天候の影響を受けて収穫 の日程が変わることはよくあり得ることですが、その場合に、使用基準では14日が最短 のPHIと。それから1日でもズレている場合、これを適用基準から外れているから残 留基準を設定するための基礎データとして見ないかどうかという部分の話です。  当然、1つの考え方としては、14日より短いので残留量は高い可能性があるので、そ れは棄却してとるべきではないという御意見。もう1つは、この部会の基準の設定の仕 方もそれに準じているというふうに理解しているのですが、国際基準をつくるとき、J MPR案の評価の仕方はどうかということでいきますと、基準のPHIから30%以内の 誤差であるということが1点。ただ、それだけではなくて、もう1点、減衰の仕方が1 次反応に従っているというふうに見れるということ。そうであれば、当然、外挿もでき ますので、その場合、基準のPHIに外挿した場合、その数値が実際に観測された数値 から30%以内の誤差であれば、それは採用していいということであります。  御質問したいのは、そういうことが一方では国際基準としてあるのですけれども、こ の部会としては、基準値を設定していく場合に、厳密に適用基準から1日でも外れてい れば採用しないということを原則ということでこれからも考えていくということでしょ うか。それが1つです。 ○基準審査課長  この部会でもそこまで深い議論をしたことはないだろうと思います。54ページの基準 値案と作物残留試験成績を整理した表をご覧いただきますと、こちらは2ppm という基 準値案を御提案申し上げております。その作物残留試験というのは、今、先生が御紹介 いただきましたPHIとして14日の0.82ppmというのを考えて、国際基準でもそうだと 思いますけれども、一定の余裕をとっているというのが通常でございますので、それを 勘案して2ppm というのを提案しているところでございます。  一方、作物残留試験成績だけを評価するという観点から申し上げますと、幾つかの条 件、例えば先生がおっしゃったような30%がいいのか、1次反応というような条件をつ けたらいいのかというのはあるのだろうと思いますが、PHIが1日違ったから、ある いは極論すると1時間違ったから、そのデータはなしとして考えるというのは余りサイ エンティフィックではないのかなというふうに考える次第でございます。ですから、そ の値も含めて、この基準値案というのを総合的に勘案していく。極論すれば、0.82ppm から2ppm を提案しているわけでございますが、そのPHIが若干外れたものを考えて も2ppm でいいのかなというような御検討をいただくことになるのだろうと思います。 ○豊田部会長  ありがとうございました。今、御説明がありましたように、確かにそこの正確な表現 というものはここでは設定をしておりませんので、このデータにつきましては、総合的 に判定をしているというような感じになるのではないか。今までもそういう方針でやっ ているような気がいたします。ですから、もしそういったところで困るようなことがご ざいます場合には、やはりそういったことを今後考える必要があるかもしれないという ことになるのではなかろうかと思いますけれども、そんなところでよろしゅうございま すでしょうか。  ほかに。 ○小沢委員  53ページの基準値案の表の見方と申しますが、いちごが際立って高いというのは別の 農薬でもよくある話で、消費者としては、一般論で言えば非常にいちごが高いというの は前の審議会でも出ておりましたけれども、子どもがよく食べるものということで高い のが気にかかるところでございますが、ここで5というふうに出ているのは、20%のフ ロアブル剤だからというふうなことなのでしょうか。その辺がもう一つよくわからない のと、基準値案の設定の仕方の基本的なルールと申しますか、ポジティブリストのとき は考え方を整理しているのですが、こういった場合に、例えば上から何行目かのしろう りを見ますと、登録の保留基準値が2ppm が基準値案で0.75で、外国基準値はアメリカ の例で0.75と。それで、0.75を取っている。逆にすいかで言うと、登録保留の基準値は 0.2 で、アメリカは0.75だけれども、基準値案としては登録の保留基準値を取るとか、 夏みかん以下のレモンと 0.7が並んでいるところは、登録保留基準値は1だけれども 0.7が全部そろっている。びわも、同じように登録保留値と違ってアメリカを取ってい るとか、その辺の考え方というか、基本的にこういう場合はこういう数値のほうを優先 するというふうなこと、あるいは残留試験値の最大値の関係が私、いつもこんがらがる のですけれども、その辺の設定をするときの基本的な考え方というのはどうなのかお教 え願いたいと思います。 ○豊田部会長  この基本的な考え方については、多分、大よそ決まっているような気がしましたので お願いいたします。 ○事務局  まず、この基準の設定の仕方の基本となるのは、国内の場合ですと、今回は Codexの 基準はございませんので、 Codexの基準はちょっと話がややこしくなるので後ほどにし ますけれども、まず登録の有無を見ていただきまして、そこに○がある、もしくは経過 措置がある、こういうところについて国内の作残データに基づいて基準を決めていくと いうのがまず基本的な形になると思います。したがいまして、しろうりは、私どもが農 水省から聞いているところでは登録がない。したがいまして、まずここは空欄になるの かなと。一方、すいかは登録がございます。すいかについては、作物残留試験がアンダ ーラインで0.03と0.02がございますので、そういう数字から外挿いたしまして0.2 とい う数字をもってきた。マイナー作物の経過措置のある部分は、現在の登録保留基準をそ のまま持っていくという形になります。そうやってまず数字を置いてみるということで すが、1つややこしいのは柑橘の取扱いです。柑橘の場合は、基本的に柑橘として登録 を取るということができますので、したがいまして、夏みかん、レモン、オレンジ、グ レープフルーツ、ライム、その他の柑橘類の果実というのはみんな登録が取れてしまう ということですので、その中の1つ、普通、柑橘であれば大きな柑橘と小さな柑橘をと って、すだち、カボス、それから夏みかんのデータを提出することによって柑橘という ものが取れるということになります。したがって、柑橘の部分は柑橘としての登録を持 っているために、そういう形になっている。数字は、作物残留のデータを見て決めてい るということになります。  そうやって埋めていったところで、どうしても隙間が出てくるわけですから、当然の ことながら、その隙間について海外での使用状況、残留基準の設定状況なども判断をす るわけです。したがいまして、そういう部分でしろうりが、たまたまアメリカはグルー プでの基準がありますので、その部分がはまってきた。まくわうりも同じということに なります。びわなども、そのような扱いになろうということであります。  当然、 Codexの基準がございますれば、 Codexの基準なども見て、国内の基準値を見 るときに国際基準が優先するということですので、国際基準がある場合はそこの数字の 比較といいますか、内容を確認をして決めるというような形になります。以上が基準の 決め方になります。 ○豊田部会長  ありがとうございました。今のところでもう1つ中身があったと思いますが、いちご のところの2回散布しているのが20%フロアブルと書いてございますけれども、私は散 布の仕方がよくわからないのですけれども、20%フロアブルを2回やると濃度が高くな って、15%くん煙剤のほうを2回やってもそれほど高くないような気がするので、その 辺もやり方で何か調整はできないのかというような気もしたのですが、その点はいかが でしょうか。 ○事務局  作物に対しての適用に関しては、先ほど農水省の説明がございましたけれども、適用 拡大の申請があって、その使用の方法というものをお定めになるわけですが、その条件 下において得られた作物残留試験の最大値で従来、基準の設定を考えてきたということ になります。実際にどういう適用が必要であるのかという部分は議論があると思います けれども、従来の決め方で申し上げれば、その申請のあった適用方法によって行われた 作物残留試験の成績に基づいて、それで基準値を決めていくということになります。同 一作物で適用の方法が違う場合が座長御指摘のようなことになるわけですが、この場合 もその中で最大残留のものを選んでいくという形になります。従来やってきた方法は以 上のような形になります。 ○豊田部会長  ありがとうございます。そのほか何かございますでしょうか。 ○大野委員  ミスプリが1つ見つかったので、それを御指摘させていただきたいのですけれども、 資料1−1の10ページと11ページの記載がちょっと食い違っていまして、10ページのほ うの上から8行目に、肝臓において低用量投与群で0.27μg/gと書いてあるのですけ れども、表4のほうのビフェナゼートは、これは多分低用量の結果だと思うのですけれ ども、肝臓で72時間が0.72になっています。これはどちらかが間違っていると思いま す。  それから、53ページの表のところですけれども、全般的に見ると、ほとんどのものに ついての基準案がアメリカの基準案より日本の基準案のほうがずっと多いわけですね。 それで、特にたくさん食べるきゅうりとか、そういうもので多い。ももはアメリカのほ うが多いですけれども、全体として摂取量の推定値がADIに対する比率というのがア メリカと比べて日本のほうがかなり高くなるのではないかと思うのですけれども、アメ リカでこういう低い値にしている理由というのは何か別にあるのでしょうか。類似の農 薬があるとか、そういうものの相互作用とか、そういうものを加味してやっているのか とか、もともとアメリカでは日本の半分ぐらいに設定しているのか。そういう基本的な 考え方に何か違いがあるのでしょうか。 ○事務局  私が答えるのが適当かわからないのですが、農水省の方に補足をしていただければ、 もしくは、どなたか委員の方に補足をいただければと思いますけれども、まず最初の資 料の確認の部分がございましたので、それは安全委員会のほうにも確認をしたいと思い ます。  今回、いちごの基準値の数字がございましたので、私のほうでアメリカの使用の方法 について、ビフェナゼートは CodexのインターリムMRLの対象となっておりまして、 たまたま年末に膨大な資料を私どもいただいた関係がありまして、その資料を参考にす ることができたのですが、それを見ますと、アメリカで 1.5としているいちごの基準 は、アメリカの場合ですとアプリケーションの仕方が2回投与するわけですけれども、 シングルハーベストといって、1回で収穫をしてしまう場合は21日間の間隔をあけて適 用するというようなやり方でおやりになるというようなことのようです。ダニの度合い とか、そういうものがあってということなのかもしれませんけれども、そもそも使い方 がずいぶん違うということになります。うちの作残データは、7日間の間隔で2回投与 していて、作物残留試験はその収穫前日のデータを取っている、そこが一番大きな違い であるのかなというふうに思っております。とりあえず、そういう違いがあるというこ とは承知をしております。 ○豊田部会長  ありがとうございました。 ○吉池委員  51ページで、今回、EDI試算の具体例を挙げていただいてわかりやすくなったと思 います。この表でEDI試算に用いた(C)の数値と、食品安全委員会のほうで出され ている表7が19ページにあり、これも残留値と国民平均の摂取量から推定摂取量を計算 しているわけです。それぞれ若干残留値の取扱いが違うようで、どちらも比較的大きな 値を取ろうとしているようですが、食品安全委員会のほうは、脚注を見ますと、各試験 区の平均残留値のうち最大の値を用いたとなっています。それに対して、51ページの暴 露評価については、各試験区での最大値の平均値であるということの違いから、例えば 51ページですとトマトが 0.215で、19ページですとトマトが0.17となっています。基本 的にそれぞれの考えで試算をしていると思うのですが、どういう理由からそれぞれの数 値が使われているかということを少し整理しておいたほうがいいのかと思っています。  また、51ページの具体例のところで、いちごについては先ほどから議論があるのです が、いちごについての(C)の値というのは、フロアブルで2回の投薬を行った0.42と 1.98の平均を用いたという理解でよろしいのでしょうか。 ○事務局  まず最初のほうの御質問でございますが、私どもとして解説は、49ページの一番上の なお書きのところに数字のとり方を書いてございますが、若干わかりにくい部分もある のかもしれませんので、書き方などは少し工夫をしておきたいと思います。今の段階で も、できるだけわかるようにと思って書いておるのですが、御指摘の点もあろうかと思 いますので工夫したいと思います。  それから、作残試験というか、まず5ppm の根拠として使ったのは、53ページの表の アンダーラインが引いてあるのが1.98でございますので1.98を使っています。それか ら、EDI計算のほうは1.98の数字を使っております。 ○吉池委員  そうしますと、0.42というのは平均ではないわけですね。 ○事務局  平均ではないです。 ○豊田部会長  よろしゅうございますでしょうか。この説明等につきましては、確かに文章をもう少 し書き直してもう少しわかりやすくすればよろしいと思います。  そのほか。 ○米谷委員  いちごにこだわるのですが、今回、2回に増やすということで申請が出ているのです けれども、1つは、今までの1回だと実害がどのぐらいあったのかというのを教えてい ただければと思います。今回の作残のデータのように、先ほどの御説明で7日間隔で収 穫前日にもということですと、当然ながら非常に高い値が出てきますし、それに20%フ ロアブルを使っていますので、それで 1.98ということですが、本当に今までの使い方 でどれぐらいの実害があり、生産者からの希望が出ているので認めることにしたいとい うことでしょうけれども、その辺はいかがでしょうか。 ○農林水産省  先ほども御説明いたしましたように、ダニの発生というのは非常にサイクルが早いと いうのがございまして、特にこの剤はいわゆる卵に対しての効果というのが余りないと いうふうに聞いておりまして、一度まいただけでは、また次の卵から成虫になってきて 害を及ぼすということもありますので、2回ぐらいは使えるようにして、その他の剤と の組合せで防除していくというふうになると思います。 ○米谷委員  頭の中ではわかっているのですが、実際に害が出ているのですか。それで、どうしよ うもないので認めることにされたのか、その辺をちょっとお聞きしたいのですが。 ○農林水産省  ダニ剤の場合は、先ほどから出ておりますように、非常にサイクルが早いので薬剤抵 抗性がつきやすくて、既に登録のあるものでもだんだん効かなくなってきているという ようなこともあって、新しい作用機作を持っている剤というものの要望が使用者のほう から求められているということはあろうかと思います。 ○米谷委員  いちごというのは毎日収穫していかれるので、前日のほうがいいのかもしれませんけ れども、なるべく残留を少なくしたほうが当然ながらいいので、その辺はもう少しうま い使い方がないのかなというふうに思います。回数を2回にするなら、もう少し前に最 終のものを制限できないのか、あるいは、そんなに実害が出ていなかったら1回のまま でいいのではないかと思ったりもするのですけれども。 ○農林水産省  繰り返しになりますけれども、ダニというのは難防除の害虫であるということがござ いまして、使用者側から見れば、やはり収穫前日まで使えるというのが非常に有効であ るということになるのですけれども。 ○豊田部会長  ただいまの点は大変結構で、実際の収穫の話だと思うのです。特にいちごは毎日採っ ているということで、連続的に採っている場合に、その農薬散布との関係をどうするか という話になって、これは非常に難しい話ですので・・・。  理想的な話は幾らでもできると思うのです。例えば、今、米谷委員がお話ししたよう に、1日おいてから採れば少しは下がっているだろうと当然推測できるわけでございま すけれども、果してそれが現実に可能かどうかという話になると、農水省さんのお話で は、そういうことはちょっと不可能だという話でございます。でも、もう1つ、今お答 えがなかったのは、では、実際に1回でどんな被害があったのかという、我々はよく農 薬の使用のメリット・デメリットの話をする場合に、お米に農薬を使わなければこれだ け害があるんだ、これだけ収穫が減るんだというデータを見せられると、やはりこれは 仕方がないのかなと。そういう科学的な話もできるのですけれども、今のお話では余り そういうお話はないような、お答えがなかったような感じがいたしますが。  ほかの委員、何か御意見ございませんか。 ○山添委員  今回は適用拡大なのでちょっと話がズレるかもしれないのですけれども、9ページの 一番下の段落の真ん中辺のところに、血漿中の代謝物の件がありまして、「赤血球成分 に強固に結合していると考えられる」という記載があります。貧血を起こすような化合 薬物というのはしばしばアレルギーを起こすような抗原性を持っているということがあ って、それもタンパクに強固に結合しているというのがあるのですけれども、この農薬 については既に使われているわけですが、アレルギー性ということで問題になったこと はないのかどうか。そういう情報があるのかどうか、ちょっと教えてください。 ○豊田部会長  今の点はいかがでしょうか。 ○事務局  資料そのものがないと思うのですが、つまり調べているかどうかということさえもわ からないですね。 ○山添委員  問題になっていなければそれでいいと思うのですけれども、通常、メカニズム的には 可能な範囲にあるということで、今後、何らかのところで注意をしていただければと思 います。 ○豊田部会長  私のほうからちょっと教えていただきたいことがあったのですけれども、50ページの 「残留の規制対象」というところの9の(1)の最後のところに、「農産物ではビフェナ ゼート及び代謝物B、畜産物ではビフェナゼート、代謝物B、代謝物E及び代謝物Uと する」と書いてございますけれども、先ほど畜産物のほうの御説明をいただいたのです が、畜産物の代謝物と先ほどの御説明ではビフェナゼートと代謝物Bはわかったのです けれども、E、Uというのはどうやってはかるのかというのが急にわからなくなってし まったのですが、その点はどういうふうになっているのでしょうか。 ○事務局  ちょっと確認をいたします。 ○豊田部会長  その点については、事務局のほうで後ほど確認して、皆様に御返事するということに させていただきたいと思います。  大分長くこの剤につきましてディスカッションしておりますけれども、先ほどの一番 の問題になりましたポイントは、いちごのところで2回散布して、このようになって若 干登録の実験を高めているということで、特に皆さんからなければ・・・。 ○加藤委員  49ページの畜産のところで1つだけ質問させていただきたいと思います。今、座長の 豊田先生の御質問されたことと似たようなことですが、アメリカでの畜産物の基準値の 設定の仕方では 10ppm、3ppm 、1ppm で、3ドーズで試験されて、最終的には牛への 暴露量はどれぐらいで、実際に1ppm の数値を取って基準値に設定していたのか。その あたりのところはどうなんでしょうか。 ○事務局  私も正確にお答えできるのかわからないですけれども、このドーズを設定したのは、 結局、牛への負荷の量として、アメリカで試算をしておりまして、1 ppm 相当というの がいわゆる最大の理論的な飼料ドーズといいますか、バーデン(負荷)といいますか、 それの20%ぐらいに相当すると。それで、3ppm のほうはおよそ50%ぐらいに相当す る。 10ppmは 1.7に相当するということで、泌乳中の乳牛ということに関して見ると、 飼料を経由したドーズとしての負荷の割合というのはそれぐらいということになって、 理論的には 1.7の部分で見た数字をベースに基準をつくったということのようです。 ○豊田部会長  ありがとうございました。先ほどの私の話に戻りますけれども、いちごの部分で、例 えばの話ですが、登録保留基準の3をそのまま持ってきたら何か困ることがあるのかど うか。それとも、それはルールに合わなくなるからだめだという話なのか。そこのとこ ろを教えてほしいのですけれども。 ○事務局  私ども事務局のほうでこの基準を設定するに当たって検討してきた経過を御説明する のが一番適当なのかと思います。私ども、ルールに従いますと0.42と1.98の平均をとっ て、それに若干の余裕を見て基準を設定するという従来のやり方で基準を考えたわけで すが、それに対して、登録申請者からのコメントとしては、例えばいちごの栽培条件、 品種、それから果実の肥大率のばらつき等々から勘案して、1.98という最大残留のデー タをベースにして5ppm ということが採用できないかという意見をいただいています。 それで、ADIの計算の中では、76という小児では8割という従来の目安の中におさま ってきたということもございましたので、その案を御提案を申し上げているということ になります。経過とすれば、そういう経過であります。 ○基準審査課長  残留試験のデータが 1.98ppmでございますから、これを考えますと、3ppm という基 準値を仮に設けた場合には、この7日間隔で使用するという使用方法は恐らく認められ ないだろうと思います。と申しますのも、農取法に基づく使用基準に基づいて使用する ということは、食品衛生法の残留基準を適正に守るということがその前提になるわけで ございますが、通常の基準の決め方からして、約2ppm という結果があるのに3ppm と いう基準値というのはあり得ないので、それは農林水産省としての御判断になるだろう とは思いますけれども、2回使用は認めないという判断になるのだろうと思います。  一方、では、そこまでしてADIとの関係から下げなければいけないのかというよう な議論をしていくと、過剰に推定されるこういった試算方法においても、それなりの数 字になっておるというようなことを考えますと、事務局としては、約2ppm という試験 結果を考えると、5ppm というのも仕方ないかなというふうに考えておるわけでござい ますが、先ほど加藤委員のほうから御指摘のあった使用間隔が国内の場合には7日間 で、アメリカのデータというのは21日間のデータである。それに基づいて、アメリカの 基準値ができておるということ。あるいは、日本で使われているのはフロアブル剤で、 アメリカでは水和剤であるというようなことを考えますと、もう少し使用間隔等につい ては将来の検討というのはあるのかなというふうに考えておる次第でございます。した がいまして、もし御了解を得られるのであれば、基準値としてはとりあえずこれでいっ て、将来に向けて、その使用間隔であるとか、試験をやるとしても約1年かかりますの で、試験の実施を含めて少し検討してほしいというような要望を出すというようなこと でいかがかと思っている次第でございます。 ○豊田部会長  私のほうからちょっときつい御意見を申し上げましたけれども、それに対しまして、 この点については今回はとりあえずこういうことにしまして、将来的にこの部分につい ては見直しを農水省のほうにお願いして、実験等もやっていただくというようなことで はどうかというお話でございました。それならば確かに私もある程度は納得できると思 いますけれども、ほかの方の御意見はどうでしょうか。  特にございませんでしょうか。 ○基準審査課長  もしよろしければ、50ページのところに9「基準値案」となって、(1)残留規制対 象、(2)基準値案、(3)暴露評価となっていますので、最後に52ページの末尾に(4)と いうのがありますから、(4)を(5)に下げて、(4)を新たに立てて、今申し上げました ような、本剤のいちごに対する使用方法等をさらに検討してくださいというような部会 としての意思をつけるという形にさせていただいて、文章につきましては部会長に一任 いただければと思いますが、いかがでございましょうか。  それに合わせまして、43ページの一番上から「参考」として農林水産省のコメントを いただいております。しかし、先ほどの農林水産省からのこの議事におきます御発言を 見てておりますと、最初の○の「いちごの使用回数を1回から2回に変更することにつ いて」の5行目のところに「一般に」から始まる文章がありますが、「一般に、ダニ剤 の効力の持続期間は・・・防除することができない」とありますけれども、この文章を 削除する。それで、「一方」から始まるパラグラフがございますが、先ほど御発言があ ったように、「薬剤抵抗性を考慮し」というのは適切ではないということで、ここは 「薬剤抵抗性を考慮し」というのを削除するという変更をお願いしたいと思います。よ ろしくお願いいたします。 ○豊田部会長  わかりました。一部文章の訂正、それから先ほどの項目として、基準値案の中に要望 事項を組み込んで(4)という形にするということで、この文章案については事務局と私 のほうで考えさせていただければというふうに思います。そういう条件付きで特に問題 がなければ、ほかに御意見がなければ、本報告案をもちまして当部会の報告とさせてい ただきたいと思います。あと、いろいろ宿題が事務局のほうにあったと思いますので、 それについてもちゃんと忘れずに回答のほうをよろしくお願いしたいと思います。  それでは、本報告案をもちまして、一部修正付きで当部会の報告とさせていただきた いと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。  それでは、異義が特にございませんようですので、ありがとうございます。それで は、本報告案をもちまして、一部修正の上、当部会の報告書としたいと思います。事務 局から今後の手続につきまして御説明をお願いいたします。 ○事務局  本件につきましては、食品安全部会の正式な通知を受けた上で、食品衛生上の修正が なければ、本報告案を修正をした上で部会報告書としまして、WHO通報及びパブリッ ク・コメントを求めるとともに、食品衛生分科会に諮る予定でございます。 ○豊田部会長  そういうことでございます。  それでは、議題(2)のほうにまいります。「動物用医薬品の承認申請等に係る意見の 聴取の取扱いについて」の審議に移りたいと思います。動物用医薬品の不活化ワクチン につきましては、これまで幾つかの製品について当部会で審議いただいているところで ございますけれども、本日は、一定の条件の製品についてはまとめて御審議いただきた いということのようでございます。それでは、資料2に基づきまして、事務局より説明 をお願いいたします。 ○事務局  それでは、資料2について御説明させていただきます。  こちらにつきましては、今、部会長の御説明にもありましたとおり、厚生労働省に一 定の条件の不活化ワクチンについてまとめて意見聴取がなされているものでございま す。これまで不活化ワクチンについては、個別の製剤の承認ごとに食品安全委員会にお いて食品健康影響評価がなされて、当部会において残留基準の設定について御審議いた だいてきたところです。一方で、不活化ワクチンにつきましては、個別の不活化ワクチ ンの評価の事例も蓄積されてきたということで、今般、不活化ワクチンの取扱いについ て整理するという意味もありまして、こちらの資料2−1にありますような意見聴取が なされたということです。  まず、資料2−1をご覧ください。こちらが、本年12月9日付けで農林水産大臣から 厚生労働大臣へ、動物用医薬品の承認の申請に係る意見の聴取をいただいているもので ございます。  本文になりますけれども、薬事法第83条第2項の規定に基づきまして、動物用医薬品 に係る承認の申請があった場合には、その動物用医薬品の成分である物質が食肉等の食 品に含有してヒトの健康に害を及ぼすおそれがあるかどうかということについて、厚生 労働大臣に意見を聴かなければならないということになっておりますので、意見を求め られているというものであります。動物用医薬品の承認ということで、どのような承認 かということが「記」の下に書かれておりますけれども、動物用医薬品の製造、外国製 造、承認事項の変更や輸入販売の承認の申請があるということが書かれております。  今回は、このように承認の申請がされた疾病の予防を目的とする動物用生物学的製剤 のうち、下の1から3にございますように、まず1で、不活化処理がされていることと ありますので、いわゆる不活化ワクチン。さらに、こちらで使用されているアジュバン ト等の添加剤が既に食品健康影響評価を受けた動物用医薬品と同一であり、適切な使用 方法が規定されているということ。さらに、その含まれる量がこれまで評価されてきた 動物用医薬品と同程度又はそれよりも少ないこと。この三つの条件を満たした不活化ワ クチンについてまとめて意見が聴かれているということになります。こちらはまとめて 聴かれているということですので、今回、意見聴取がありました一定条件の不活化ワク チンについては、逆に言いますと、今後、個別に厚生労働省の意見を聴く必要があるの かどうかということを聴かれているというふうに考えていただければと思います。  続きまして、3ページにまいります。これは資料2−2になりますけれども、こちら にございますものは、厚生労働省への意見聴取に先立って、農林水産省が食品安全委員 会へ同じ内容のものについて照会をしているものでございます。こちらの照会につきま しては、今般、疾病の予防を目的とする動物用生物学的製剤の承認、再審査及び再評価 であって、先ほど厚生労働省に聞かれているものと同じ条件の不活化ワクチンについ て、食品健康影響評価が明らかに必要でないときに該当するかについて農林水産省から 食品安全委員会へ照会がなされているものになります。  こちらの照会に対しまして、次は5ページになりますけれども、こちらに食品安全委 員会の回答がございますけれども、食品安全委員会としては、照会の内容につきまして は、食品健康影響評価が明らかに必要でないときに該当すると認められるとの回答をし ております。また、この照会に対する食品安全委員会の考え方といたしましては、次の 6ページをご覧いただきたいと思うのですが、こちらに参考といたしまして、平成16年1 2月9日の食品安全委員会の資料を添付させていただいております。こちらは、不活化生 物学的製剤、いわゆる不活化ワクチンになりますけれども、食品健康影響評価について ということで、食品安全委員会が取りまとめたものです。食品安全委員会は、こちらの ところで、これまで不活化ワクチンを含む生物学的製剤の評価に当たっては2つの点を 考慮して評価を実施してきたと書いてあります。  まず1点目が、主剤のヒトに対する病原性についてということですけれども、不活化 ワクチンについては不活化されているということで考慮の必要はないということです。  2点目としまして、アジュバント等の添加剤についてですけれども、こちらについて は、海外等の評価も踏まえまして、食品安全委員会においても、国内外における医薬品 や食品添加物としての使用実績、既存の毒性評価、ワクチン接種率などを考慮して、ア ジュバント等の添加剤についても評価を行っているということです。  そして、今回の食品健康影響評価が明らかに必要でないとされるのは、不活化ワクチ ンのうちアジュバント等が委員会においてこれまで評価を行ってきた物質と同等あるい は少量を含むものに限るということとしております。これは、1ページ戻っていただき まして、5ページになりますけれども、こちらの(1)から(3)の条件と同じ範囲という ことになります。食品安全委員会のほうは、この範囲の不活化ワクチンであれば食品健 康影響評価が明らかに必要でないと回答しているということになります。なお、現時点 において、委員会において評価済みのアジュバント等の物質については、6ページの下 に掲げられております。  続きまして、7ページになりますけれども、資料2−3になります。こちらは、当部 会においてこれまで審議が行われてきた不活化ワクチン等の一覧になります。これらに ついては、以下にございますけれども、食品安全委員会において評価がなされて、当部 会において残留基準を設定しないこととするとされた不活化ワクチンということになり ます。既に食品健康影響評価がなされた動物用医薬品に含まれるアジュバント等につき ましては、現段階ではこちらに挙げられているものが該当するということになります。 なお、これらのアジュバント等の添加剤につきましては、不活化ワクチンだけではなく て、8ページの上の表の3つ目にございますように、生ワクチンにおいてもアジュバン ト等の保存剤等が使われておりますけれども、こういったものも食品安全委員会におい て評価されているものでございますので、こちらについても、既に評価されたアジュバ ント等ということになります。  また、2番目になりますけれども、農林水産省から食品安全委員会のほうへ再審査に 係る意見聴取がなされ、食品健康影響評価がなされた不活化ワクチン等というものもご ざいまして、こちらに使われているアジュバント等につきましても、使用実績や既存の 毒性評価等を考慮して、評価が行われてきているということもありますので、今回の意 見聴取においても同様の取扱いをするということでございます。  以上、御説明させていただきましたが、こちらの意見聴取の取扱いといたしまして は、まず、これまで承認のあった個別の不活化ワクチンにつきましては、食品安全委員 会に評価がされ、当部会においても残留基準を設定しないこととしてきたこと。また、 今回の意見聴取の一定の条件の不活化ワクチンについては、食品安全委員会に照会され たものと同じ範囲のものでありまして、食品安全委員会においても、不活化されてお り、添加剤についても、これまで評価されたものと同じ物質を同程度含むものについて は、食品健康影響評価が明らかに必要でないと判断していることなどを踏まえまして、 今回の意見聴取されている一定の条件の不活化ワクチンについては、対象動物について の残留性程度から見て、ヒトの健康を損なうものが生産されるおそれがあることによっ て、医薬品としての使用価値がないと認められる場合に該当しないものということで回 答したいと考えておりますが、その点も含めまして御審議のほどよろしくお願いいたし ます。 ○豊田部会長  ありがとうございました。ただいまの事務局の御説明につきまして、御質問、御意見 等がございますでしょうか。 ○米谷委員  共存物ですと、不活化剤のホルムアルデヒド、保存剤のチメロサールなどが主なとこ ろだと思いますけれども、海外で上限値が設定されている場合はどのぐらいで、これま でに承認された不活化ワクチンの場合にはどのぐらいの量だという、その辺の実情を教 えていただければと思います。 ○農林水産省  農林水産省ですけれども、まず、チメロサールにつきましては、私どもは薬品法の42 条におきまして、動物用生物学的製剤基準というものを持っておりまして、その中でチ メロサールというものの一般試験法というものが規定されてございます。チメロサール はこの中で0.01%以下ということで、これまで承認されているものにつきましても0.01 %以下のものでございます。チメロサールの量はそういうふうに規定されてございま す。また、ホルマリンにつきましては、各製剤によって若干量が違うのですけれども、 例えばウイルス製剤の不活化ワクチンですと、大体 0.1〜 0.2%ぐらい。それから、バ クテリアの製剤ですともう少し幅がありまして、少ないものですと0.03%、多いもので すと 0.5%、こういったもので承認されているものがございます。 ○豊田部会長  ありがとうございました。よろしゅうございますでしょうか。 ○米谷委員  食品安全委員会のほうの資料に、両者につきまして具体的に含有量、使用量を設定し ている場合が多いとありますので、その値はどのぐらいになっているのでしょうか。 ○農林水産省  例えば資料2−3の中で、7ページになりますが、下から3つ目に鳥インフルエンザ の不活化ワクチンがございます。この中で、レイヤーミューンAIVという製品がある のですけれども、これにつきましては、ホルマリンが0.1 %以下。それから、チメロサ ールは0.01%以下という形になってございます。ほかのものも大体それぐらいですけれ ども、全て読み上げたほうがよろしいですか。 ○豊田部会長  米谷委員の御質問は海外の値だと思うのですが。 ○事務局  食品安全委員会の評価書からになりますけれども、欧州医薬品審査庁(EMEA)に おいては、チメロサールにつきましては、ワクチンの保存剤に限り0.02%を超えない濃 度で利用する限りMRLを求める必要はないとしております。ホルムアルデヒドについ ては、ワクチン中の含有量ということでは書いてございませんけれども、WHOの示し ているTDIなどと比較して評価をするということになります。 ○豊田部会長  そういうことだそうでございますけれども、よろしいでしょうか。 ○米谷委員  具体的にはわからないのですか。 ○豊田部会長  具体的にはわからないのでしょうかという御質問でございますけれども。 ○基準審査課長  後日、食品安全委員会からの資料を入手してお届けしたいと思います。 ○豊田部会長  これは安全委員会のほうの話でございますので、そういうことにさせていただきたい と思います。  ほかにございますでしょうか。特にございませんでしょうか。  それでは、特に御意見がなければ、農林水産省から意見を求められております一定の 条件の承認申請につきましては、食品衛生法に基づく残留基準を設定する必要はなく、 したがって、対象動物についての残留性の程度から見まして、ヒトの健康を損なうもの が生産されるおそれがあることにより、医薬品として利用価値がないと認められる場合 に当てはまらないとの結論、先ほどの御説明の最後にございましたけれども、そういう 結論にしたいと思います。よろしゅうございますでしょうか。  ありがとうございました。それでは、事務局から今後の手続につきまして御説明をお 願いいたします。 ○事務局  本件につきましては、農林水産省に回答させていただきます。 ○豊田部会長  それでは、議題(3)その他。本日は、食品安全部長の御挨拶にもございましたけれど も、ポジティブリスト制に関しまして欧州調査の報告があるとのことでございます。事 務局より御説明をお願いいたします。 ○事務局  お手元にございます資料3をご覧ください。先月の11月15日から19日まで、1ページ 目にございます欧州委員会の消費者保護総局、それからドイツの連邦政府の消費者保護 ・食糧農業省のそれぞれ担当課に事前に質問事項を送りまして、私と監視安全課の担当 者の2名で訪問いたしまして聴き取り調査をいたしました。  概要として御報告をするものですが、資料を読んでいただけると御理解いただける部 分もありますので、簡単にポイントだけ説明をしたいと思います。  まず、2ページでございますが、欧州の残留農薬基準に関する欧州規則の案でござい ます。これは、7ページ以降に付いてございます最後の50数ページまでのものが、今年 の7月現在の規則案でございます。これは、欧州理事会、欧州議会で評価が終わって取 りまとめられているバージョンだというふうに理解をしています。ただ、法的な手続の ために、今年中ということも言っていましたけれども、来年初めぐらいに最終的な採択 が行われて、実際に施行されるのは私どものポジティブリスト制と相前後して2006年の 半ばぐらいということになります。これによりまして、欧州全体で統一的な規格、残留 基準が制定をされるということになります。ただ、農薬の使用とか登録というものは各 国の権限で残っているということになります。  2ページ目に戻りまして、1の3つ目のポツのところで、0.01の一律基準という設定 は、これも提案として残ってございます。後ろのほうの資料を見ていただけるといいの ですが、33ページあたりをあけていただきますと、MRLに対するコンプライアンスと いう意味の部分がございまして、まず1番目に、アネックス2と3にそれぞれ残留基準 を定めるのですが、定めない場合についてはBの0.01という数字でやるということであ ります。聴き取りをした範囲では、これは従来から私どもで聞いておる範囲と変わりま せんが、97年のベビーフードの評価に基づくものです。EFSAができ上がっておりま すけれども、EFSAの評価を受けるのかと聞きましたら、EFSAの評価は行わない と。それは、97年に評価した科学委員会はEFSAの前身だから、改めてそういうこと は行わないということのようです。今後は、MRLについてEUレベルの評価の終わっ た剤、それから各国で使用を認めている剤について、まとめてアメックス2として出し ていくということになります。この規則のおもしろいところといいますか、手続を示し ているものが前段についておりまして、基準の申請手続、それから評価手続なども決め られております。基準の評価は、加盟各国が行う。EFSAは助言機関としての役割に とどまっていて、そういう役割分担になります。  それからもう1つは、加盟国及びEUレベルでのモニタリング計画の作成と、その結 果の報告というのを義務づけるという規定になっているというものであります。詳細は 後ろの資料を開いていただきますと、大よそのところはおわかりいただけると思います ので、規則案に関しましてはその程度にさせていただきます。  それから、ドイツの一律基準のほうにつきまして、その設定根拠などを質したところ ですが、これは1968年のずいぶん昔に溯るわけですが、その当時、今回、EUがやった ように、種々バラバラだった残留規制を統合したということのようです。そのときに、 予防的な観点から残留を認めないという観点で分析技術などを勘案した上で0.01という のを設定をした。ただ、その後、技術が進歩したということがあるのですが、見直し案 についてはこれまでのところ提案がなされていない。だから、0.01のままだということ のようです。  併せて、残留農薬のモニタリングと残留動物薬のモニタリングについて、それぞれE Uの担当者、ドイツの担当者とお話をいたしました。参考文献がそれぞれに書いてござ います。これは、いずれもインターネットに出てございまして、今日は分厚い資料でし たので割愛をさせていただきました。基本的には、ここに書いてあるものと聴き取りを した中身も同じでございます。ドイツにおける監視の結果、モニタリングの報告の概要 は5ページに数字なども示しております。簡単に申し上げますと、ドイツの場合ですと モニタリング計画というのはドイツ連邦政府の憲法に基づいて、連邦州政府の権限によ って行われる。16州ございまして、16州それぞれに計画を立てて、連邦政府に報告をし てきたものを連邦政府が取りまとめてEUに報告をしたというようなものでございま す。どこでやっているかといいますと、大体モニタリングの計画は、小売りレベルでサ ンプリングを行って、いわゆる国境上での監視ということは行っていない。およそ6割 ぐらいはドイツ以外の国、EU域内プラスEU域内を越えた第三国ということからく る。それで、大体モニタリングの対象となるのは摂取量の多いもの、それから果実、野 菜が中心になっている。加工食品についてはベビーフードのみ、分析法は一斉分析であ る。あと、一律基準0.01ぐらいの分析成績になると、そのサンプリングとか、分析技術 上の問題から、±60%の不確実係数を乗じた上で適法・不適法という行政的な処分の判 断としているということのようです。  5ページのほうに表がございますので、それを見ていただけると、ドイツで報告のあ ったものが 7,035件。これは2002年のデータです。ドイツの場合は、暴露評価のための サンプリングと、いわゆる違反品を監視するという目的でのモニタリングという2つの 系列がございまして、それぞれ 1,200と 5,700というような感じです。そこにあります ように、国産が約半分ということになります。違反率は 8.7%ということで、監視のた めのモニタリングをやっている関係で恐らく違反率が高いのかもしれません。調べてい る農薬は、大よそ 403でございまして、その結果、 190の農薬は少なくとも1個から検 出されている。そのうちの 123では基準超過という結果が見られているということにな ります。  それから、ヨーロッパでは、EU、ヨーロッパ自由貿易連合、これはノルウェーとか アイスランドとか、リヒテンシュタインなどが入っているものですが、ここで統一的な と申しますか、協調的なサンプリングを行っておりまして、それでは8品目について、 洋なし、バナナ、豆、ばれいしょ、にんじん、オレンジ、ホウレンソウというのをやっ ていまして、1万件ぐらいの検査を行っている。41種類の農薬を対象にやっていて、そ のうち 3.3%が違反だった。全体は4万 6,000件で、やはり野菜、果実が圧倒的多数 で、分析農薬はおよそ 170ぐらい、違反率は 3.4%ということになります。  動物薬のほうは、これは欧州規則に基づいて、汚染物質、それからホルモンなどの使 用禁止物質などのモニタリングをする。それから、単に残留試験だけではなくて、動物 薬の飼料管理などについても監視を行うということをやっています。第三国について は、モニタリング計画とか結果の提出、それから国境における監視の成績、それからF VOといいます欧州委員会の組織による現地査察などを含めた上でやっているというこ とで、それらのことをまとめたものが参考文献、4ページにございます2002年のレポー トのところにまとめられているということになります。  それで、1点、これは今回の調査の余祿というか、いろいろトラブルになっていまし たミニマム・リクアイアメント・パフォーマンス・リミットに関しては、来年1月以降 に、これ以下レベルの残留であれば食品に対する処分は行わないという部分の数字を示 すということを行う予定というふうに説明がありました。ただ、それ以下の検出であっ ても、禁止物質であれば使っていたのでしょうということになりますので、原因究明と 対策は講じてもらいますというふうに担当者はおっしゃっていた。これはプラスαとい うことになります。  以上、簡単ではございますが、こちらの部会でもご質問などがございました関係で調 査を行いましたので御報告を申し上げます。詳細など必要がありますれば、また御説明 をしたいと思います。以上でございます。 ○豊田部会長  ありがとうございました。ただいまの事務局の説明につきまして、御質問、御意見等 ございますでしょうか。特にございませんでしょうか。  多分、詳しいことはまた直接個別に聞いていただければ、むしろそのほうが情報がい ろいろ入るのではないかと思いますので、委員の方々、よろしくお願いしたいと思いま す。  それでは、特になければ、ありがとうございました。ポジティブリスト制につきまし ては、改めて審議ということにしたいと思います。  そのほか事務局から連絡事項等があればお願いいたします。 ○事務局  1点、参考資料についてお願いしたい点がございますので、御連絡いたします。本 日、この部会の冒頭に御説明いたしました食品安全委員会での意見聴取及び食品健康影 響評価についての状況をお示ししております2枚紙でございますけれども、こちらの1 ページ目のカラムで言いますと、1番と2番、こちらに「農薬の残留基準の設定(ポス カリド)」、2番「農薬の残留基準の設定(エチプロール)」というものをお示しして おりますが、この一番右端の「食品安全委員会からの通知を受けて取った措置等」とい う欄で、平成16年12月15日告示予定というふうに1番、2番ともに書いてございます が、これは16日になっておりますので、その点だけ変更をお願いいたします。  なお、次回の部会の開催につきましては、1月中旬を考えておりますが、日程は追っ て事務局から各委員に御連絡申し上げる次第でございます。  以上でございます。 ○豊田部会長  ありがとうございました。  それでは、以上をもちまして、本日の部会を終了いたします。御協力、ありがとうご ざいました。 照会先:医薬食品局食品安全部基準審査課乳肉水産基準係、残留農薬係 (03−5253−1111 内線2489、2487)