┌――――――┬――――――――┬―――――┐                 |確定拠出年金|  第12回  | 資料5 |                 | 連絡会議 |平成16年12月14日|     |                 └――――――┴――――――――┴―――――┘                確定拠出年金連絡会議                   (第11回)                    議事録                平成16年10月28日             確定拠出年連絡会議(第11回)議事録 日時:平成16年10月28日(木)10:00〜11:58 場所:厚生労働省専用第18〜20会議室(17階) 議事:(1)米国401(k)プランの最新動向    (2)投資教育について    (3)その他 出席委員:加子座長、伊藤委員、太田委員、田中委員、秦委員、松田委員、光谷委員      渡邉委員、中井川委員 オブザーバー:      田村正雄(社団法人生活福祉研究機構理事)      石田成則(山口大学経済学部教授) 関係団体等:      松井博志(日本経済団体連合会国民生活本部本部長)      小島 茂(日本労働組合総連合会総合政策局生活福祉局長)      小野 明(日本商工会議所新規プロジェクト担当付副部長)      片山龍雄(金融庁総務企画局政策課金融企画管理官)代理:寺門補佐 事務局:厚生労働省年金局企業年金国民年金基金課 ○ 加子座長  ただいまから、第11回「確定拠出年金連絡会議」を開催いたします。  本日は、大変お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。  本日は、厚生労働省の大谷審議官にご出席いただいておりますので、一言ごあいさつ をいただきたいと思います。 ○ 大谷審議官  おはようございます。ただいまご紹介いただきました、7月23日に年金担当の大臣官 房審議官を拝命いたしました大谷でございます。どうぞよろしくお願いします。会議の 開催に当たりまして一言ごあいさつを申し上げます。  本連絡会議は、平成14年6月から開催されておりまして、今回の会議が11回目になる と聞いております。ここにお集まりいただいております皆様方の間で活発なご議論が展 開されまして、また、多くの方々が傍聴に来られております。この連絡会議はそういう 意味で企業にとっても非常に関心の高い会議になっているのではないかと考えておりま す。  ご案内のとおり、本年、年金制度の改正が行われまして、確定拠出年金制度について も改正が行われました。その一部はこの10月に既に施行されており、手続の簡素化等が 図られていること、また、来年の10月からは、脱退一時金の要件緩和等が施行されると いうことで、この改正により確定拠出年金制度がより使い勝手のよい制度に切り替わっ ていくのではないかと考えております。  メンバーの皆様方から率直なご意見をいただきますことを改めてお願い申し上げまし て、開会に当たりましてのごあいさつにかえさていただきます。どうぞよろしくお願い します。 ○ 加子座長  ありがとうございました。  それでは、本日の会議の出欠状況を事務局より報告についてお願いいたします。 ○ 神田課長  それでは、最初に、メンバーの変更がございますのでご紹介をさせていただきます。 お手元の資料1の2枚目に、連絡会議の参集者の一覧表がございます。ご覧いただけれ ばと思いますが、メンバーの方では国民年金基金連合会の吉野様が中井川様に、関係団 体等の方では、金融庁の仁木様が片山様にかわられております。  本日の出席状況についてでございますが、本日は新日鉄の徳住様、三越の福原様、東 日本旅客鉄道株式会社の山根様、日本アイ・ビー・エムの吉田様がご欠席ということで ございます。また、金融庁の片山様の代理として寺門補佐が出席が出席されております。  本日はアメリカの401(k)プランの最新動向ということで、ご説明いただくため に、JETROニューヨークセンターの年金福祉部長の三石様にご出席をいただいてお ります。  また、本日も確定拠出年金を実施されている企業の方々が傍聴でお越しになっている ことを併せてご報告させていただきます。 ○ 加子座長  それでは、議事に入りたいと思います。まず資料2の「確定拠出年金の施行状況につ いて」、事務局から説明をお願いします。 ○ 神田課長  それでは、お手元の資料2をご覧いただければと思います。これは地方厚生局あるい は国民年金基金連合会等からのデータを集計しているものでございます。9月末現在で 企業型年金の規約数は、お手元の資料の1ページでありますけれども、規約数で1,068 となっており、先月の987から81増えまして、規約数で初めて1,000を超えたという状 況になっております。  それから、加入者数につきましては、1カ月古い8月末ということになりますけれど も、101万2,000人となっており、これは7月末の段階で100万人を超えております。  実施企業数については、先月が2,881ということですので、253増えまして、3,000 事業主を超えたという状況でございます。  個人型の加入者につきましてでありますけれども、1カ月で約1,100人増えまして、 3万5,711人ということになっております。  後の説明は省略をさせていただきます。  以上でございます。 ○ 加子座長  ありがとうございました。  それでは、続きまして、次の議題であります資料3の「米国の401(k)プランの 最新動向」に移らせていただきたいと思います。先ほども事務局からご紹介がございま したが、本日は米国の401(k)プランの最新動向についてご説明いただくというこ とで、JETROニューヨークセンター年金福祉部長の三石様にご出席いただいており ます。それでは、三石様、よろしくお願いいたします。 ○ 三石JETROニューヨークセンター年金福祉部長  厚生労働省からJETROニューヨークに出向しております三石と申します。よろし くお願いいたします。  私の方から、資料にございますように、「米国401(k)プランの最新動向」とい うことでお話しをさせていただきたいと思いますが、お時間は大体30分ほどと伺ってお りますが、よろしゅうございますでしょうか。 ○ 加子座長  はい。 ○ 三石年金福祉部長  実は、私自身は米国の年金基金の特に運用の動向、あるいはDBプランについて専ら リサーチ等を行っておりまして、こちらの401(k)プランにつきましては、実は外 部のリサーチ機関と協力をしてたまたま報告書をこの春にまとめまして、それをちょう どよい機会なので、厚生労働省のほうに報告をいたしましたところ、このような機会を 与えていただきまして、ご報告をさせていただくという次第でございます。  それでは、早速、本日お話しをさせていただきます内容でございますけれども、2ペ ージ目のアジェンダのところをご覧いただきたいと思いますが、話の流れといたしまし ては、401(k)をとりまく  加入者、資産の推移等を幅広く含めまして401(k)マーケットの状況についてお 話しをさせていただきまして、その後、加入者の実態、意識についてお話しをさせてい ただきたいと思います。  また、2001年に、皆様ご案内かと思いますけれども、世界最大手のエネルギー会社で ございますエンロンの破綻、あるいはこれは昨年の秋でございますけれども、投資信託 のスキャンダルと相次いで米国におきましても、こういった不祥事といいますか、スキ ャンダルが起こりまして、これが米国の401(k)に関しましても多大な影響を与え たということでございまして、この点についての動向についてもお話しをさせていただ きたいと思います。  そして最後に、こういった米国の動向から、我が国に与えます示唆、インプリケーシ ョンについて、私なりの感想を述べさせていただきたいと思います。  それでは早速内容に入らせていただきますが、3枚目をご覧いただきたいと思います。 そもそもアメリカの高齢者の退職後所得の源泉につきましては、これも皆様方、ご案内 かと思いますけれども、よく米国の退職後の所得保障につきましては、「三本脚の椅子」 にたとえられます。この脚が一本でも欠けますと椅子が倒れるというようなことで、こ の三本脚の椅子にたとえられるわけでございますけれども、1つは、日本でいう公的年 金、アメリカの場合には「社会保障年金」と言われておりますけれども、それが1つ目。 それから、職域年金、これにはDB、いわゆる確定給付、とDCといわれる確定拠出のよ うな職域年金、これが二本目の脚ということになります。  3番目が、各個人個人の自助努力ということになるわけでございますけれども、実際 に数字を見てみますと、右と左でそれぞれリソースは違うわけでございますけれども、 それぞれの高齢者の方々の年間の収入源の内訳がどういうふうになっているかというこ とを示しております。  いずれをご覧いただきましても、いわゆる公的年金・社会保障年金の占める割合が非 常に高うございまして、多少、統計によって数字は異なっておりますけれども、4割を 超えるような部分が公的年金に依存をしており、その次に職域の年金、その他というよ うな形になっております。  こちらの3ページ目の右の棒グラフをご覧いただきますと、401(k)その他、い わゆる確定拠出年金の占める割合といたしましては、7%程度ということでございまし て、これは2002年の数字でございますけれども、高齢者の退職後所得の収入源に占める 割合としては確定拠出の比重はまだ小さいということでございます。  このようなまず状況にあるということからお話しを進めさせていただきたいと思いま す。  続きまして4枚目でございますけれども、一方で、最近の動向といたしましては401 (k)プラン、これは特にアメリカの確定拠出年金(DCプラン)の中の主流を占める わけでございますけれども、この401(k)プランの加入者というのは非常な勢いで 増えてきております。こちらの折れ線グラフにございますように、2002年のこれは推計 値でございますが、1984年を基準にいたしますと、84年の5倍に加入者は増えてきてお ります。また、DCプラン全体に占める401(k)プラン加入者の割合も、そちらに 数字がございますが、84年の23%に対して2002年は67%を占めるというような形になっ ております。特にこのように401(k)プランの加入者数が伸びた理由といたしまし ては、1998年にいわゆる"ネガティブ・エレクション"と言われます新しいやり方といい ますか、方法が、日本の国税局に対応いたします内国歳入庁によって認められたという ような事情がございます。このネガティブ・エレクションといいますものは、企業側が 新入社員につきまして自動的に401(k)に加入させて、給与の一定額をプランに拠 出することができるという仕組みを内国歳入庁が認めたということでございまして、こ れによって401(k)加入者が98年以降大幅に増えてきたというような事情がござい ます。  続きまして資産についてご覧いただきたいと思いますけれども、401(k)プラン 全体の資産量の推移でございますが、やはり80年代から90年代にかけまして大きく伸び ていったわけでございますが、99年にピークを達成しまして、2000年以降はその後微減 しているという状況でございます。これは皆様ご案内のように、いわゆる90年代のマー ケットが、特に株式のマーケットが非常に好調で、毎年、毎年株価が上がっていったと いうような状況から、2000年以降、米国の株式マーケットが低迷いたしまして、資産が 目減りをするというようなことから、2000年以降、この401(k)プランの、いわゆ る時価で計る資産量につきましても減っていったという状況にございます。  続きまして6ページでございますが、では、具体的に401(k)の資産がどのよう なところに投資をされているのかという数字でございます。こちらは2002年におきます 数字でございます。左の縦軸に各投資先、横に伸びますのが加入者数別のプラン規模、 一番右側に全体の平均値というようなことで投資先の割合を示しております。いわゆる 投資商品としては投資信託が最も一般的な形でございますけれども、平均投資先のオプ ション数、投資先を選定するオプションの数の平均を見ますと、2002年におきまして、 15.3種類ということになっております。ですから15あるいは16の中から加入者が投資先 を選ぶというようなのが平均的な姿ということが言えようかと思います。  特に投資先といたしましては、一番右側の平均値をご覧いただきますとおわかりのよ うに、一番大きな割合が国内のエクイティー、国内株式でございまして、これが28.1% を占めるという形になっております。  それに続きまして、一番上にありますバランス型のファンドが10.3%、あるいは下の 方にございますステーブル・バリューという商品、これはいわゆる保険会社でございま すとか、あるいは銀行など特定業種に投資される商品でございますが、俗に株式や債券 よりもリスクが低いと言われているものでございまして、こういったバランス型ファン ド、あるいはステーブル・バリューといったようなものが国内株式に次いで比重が高い ということでございます。  続きまして、今後、この401(k)のいわゆるネットのフローがどのようになって いくのかという点でございます。当然、拠出に従って、拠出金額が積み立てられていく わけでございますけれども、一方で退職する等になりますと、あるいは一定の年齢に達 しますと、そこから引き出しがされると。それの差引きたるネットのフローがどのよう に推移をしていくのかという点でございますけれども、これは労働省が推計しておりま す数字でございますが、純フロー額は今後も増加するという予測がされております。  その理由といたしましては、2つございまして、1つは、現在のブッシュ政権におき まして、拠出限度額の引上げとキャッチ・アップ拠出といわれるものが承認されたとい うことがあります。詳しい内容につきましては後ほど述べたいと思いますが、要は加入 者の拠出する限度額が今後引上げられていくということが法律上明確化されたというこ とでございます。  それから、2番目の理由といたしましては、拠出額に占めます給付額の割合というも のが、特に401(k)プランはDC全体に比較いたしましても相対的に低いのですが、 これは加入者の平均年齢がDC全体に比べましても低いということから言えるわけでご ざいますけれども、ちなみに数字を申し上げますと、この拠出額に占める給付額の割合 がDC全体ですと90%、それから401(k)プランですと、83%ということで、まだ まだ加入者の平均年齢が低いことに伴いまして、給付額の割合も低いわけでございます ので、こういったことからも将来的にネットフローが伸びていくということが推計され るわけでございます。  続きまして8ページでございますが、これは現時点におけますいわゆる拠出額の上限 でございますが、拠出額につきましては大きく分けまして3つの上限がございます。1 つは、従業員が拠出できる額の上限。2つ目が従業員と企業の拠出分を合わせた全体と しての拠出額の上限。そして3番目が企業がいわゆる従業員に支払う給与額に占める比 率の上限といった3つの上限があるわけでございますが、これは毎年、毎年上限額は変 わってまいります。  まず最初の従業員による年間の拠出額、これは2004年1月1日時点でございますけれ ども、これが現在は1万3,000ドルということになっております。先ほど申し上げまし たブッシュ政権による大幅減税法によりまして、これは2006年には1万5,000ドルに引 上げられることが既に決まっております。  それから、2番目の企業による拠出分も合わせた年間全体の拠出額でございますけれ ども、これは現在4万1,000ドルになっております。また、企業が従業員に支払う給与 額に占める401(k)拠出額の割合について、これが給与額全体の25%というものが 上限になっておりますけれども、ちょっとやや技術的でございますが、その場合の給与 額には一定年収以上の個人の給与は含まないということになっておりまして、その一定 年収以上という年収の金額が現在20万5,000ドルということになっております。  それから、一番下でございますけれども、従業員による年間拠出の中で、やはりブッ シュ政権下で新たに認められた制度としてキャッチ・アップ拠出というものがございま す。これはいわゆるシニアの層、この場合には、50歳以上の方でございますが、50歳以 上の方については、さらに1万3,000ドルに加えまして、追加の拠出というものが認めら れております。これがキャッチ・アップ拠出と呼ばれておりますけれども、現在は3,000 ドルが上限でございますが、これも先ほどの大幅減税法によりまして、2006年度は5,000 ドルに引上げられるということが既に認められております。  続きまして、9ページでございますが、米国の401(k)につきましては、いわゆ る借入金・ローンも認められております。これは企業の義務ではございませんが、実態 を見ますと大抵のケース、401(k)プランにはローンの機能がついております。た だ、借入れを必要とする理由については、ほとんどの企業が条件をつけておりまして、 例えば教育費でありますとか、住宅資金でございますとか、あるいは医療費の不足分を 賄うとか、そういった条件をつけているケースがほとんどでございます。基本的には5 年以内の返済ということになっておりますけれども、例えば家の購入についてはこの5 年を延長することが認められているというような形でございます。  実態を見ますと、一番右側の2002年のところでございますが、このローンを実際に利 用している加入者の割合が23.1%、平均的なローン金額が約6,800ドル、70万円強とい うことになろうかと思いますけれども、そのような形になっております。また、ローン が401(k)プラン資金全体に占めます割合が2.2%という数字になっております。  続きまして、10ページでございますが、基本的には401(k)をとります関係者は 3者あるわけでございます。そちらにございますように、プロバイダー、いわゆる受託 機関、それから、事業主たるスポンサー、それからプランの加入者ということでござい ますけれども、ここに羅列しておりますような項目をそれぞれ分担をするということに なっております。  ただし、このプロバイダーが行いますサービスにつきましても、いわゆるフルサービ スを提供するようなプロバイダーもあれば、あるいはプロバイダーとスポンサーとの間 である程度事務を分担し合うというような一部のサービスだけを実施するというような 形態があり、どこまでプロバイダーにサービスを委ねるかというのはスポンサー、すな わち事業主の意思決定次第でございますけれども、様々な形態があるということでござ います。  そして、プロバイダーの手数料でございますけれども、次のページをご覧いただきた いと思いますが、手数料の上限等に関する、特に法的な規制は存在しませんけれども、 1998年に連邦の労働省がガイドラインを示しております。ガイドラインの対象になって おります手数料が、ここに挙げられております(1)から(8)までございますけれども、実 態といたしまして、この手数料すべてが必ずかかっているというわけではございません で、およそ考えられる手数料が羅列されているとご理解いただければと思います。特に 2番目の投資管理手数料、これが全体のプロバイダーに支払われます手数料の80%を占 めると言われております。  続きましては、401(k)加入者の実態と意識の面について話を移させていただき たいと思います。12ページをご覧いただきたいと思いますが、401(k)プラン加入 者の投資先の内訳が96年から2000年にかけてどのように変化してきたかという数字でご ざいます。ご覧いただきますとおわかりのように、やはり株式投資が高いシェアを示し ております。特に90年代に全体からしますと5割を超えるようなシェアを示しておりま すけれども、特に2000年以降、いわゆる株式の市況が悪くなってくる。あるいはエンロ ン等のスキャンダルが発覚すると、こういったようなことから、株式のシェアが多少落 ちてまいりまして、逆に増えてきますのが、先ほども申し上げましたステーブル・バリ ュー、いわゆる銀行とか保険会社といった特定の業種のみに投資をすると。そして国債 や株式よりもリスクの低い投資を行うというような商品でございますが、それから国債 のファンド、大変申し訳ございませんが、ちょっと誤植がございまして、「国債」の 「債」の字(「誤:際」)が違っております。ボンドの方の「国債」でございますので、 恐縮でございますが、訂正させていただきたいと思います。国債のファンド、これが逆 に微増をしているというような状況にございます。それでも、2002年をご覧いただきま すと、エクイティー、いわゆる株式の占めるシェアが40%を占めているというような状 況でございます。  一方で今度は年齢階層別に投資先内訳をご覧いただきますと、13ページでございます が、20代から60代、そして一番右側に全体の平均値をとっておりますが、これをご覧い ただきますと、退職年齢に近い世代ほど株式のシェアが減少してまいりまして、逆にそ れよりもリスクの低いステーブル・バリューなどのシェアが増えていくということがお わかりいただけるかと思います。また、最近のアメリカの動向といたしましては、年齢 階層に合わせて自動的にこういった株式のシェアを減らしていき、逆にリスクの低い商 品を増やしていくような、そういった年齢階層に合わせて自動的にアセット・アロケー ションを変えていくような商品といったようなものを最近は出つつあるという状況でご ざいます。  続きまして、14ページでございますが、実際に一定年齢に達しまして、401(k) の資産から支払いを受ける、給付を受けるという段階で各個人が何を選択をするかとい うことでございますが、ここでは401(k)プランの資産額の規模に応じてそれぞれ の加入者がどう選択をしているかという点について示したものでございますけれども、 これをご覧いただきますとおわかりのように、保有額が低いような場合につきましては、 多くが一括払いを選択しているということでございます。  また、グラフの右側の方、こちらは保有額が高い場合でございますけれども、この場 合には一括払いというよりも、むしろIRA(米国個人対象勘定)に移管、ロールオー バーと言われておりますけれども、IRAに移管をする傾向が強いということでござい ます。そしてIRAに移管をした場合でも、年金として毎月決まった額を受け取るとい うような設定よりも、むしろIRAから必要な生活費などを引き出すというような柔軟 な方法を好む傾向にございます。こういった資産規模にかかわらず、平均といたしまし ては、57%の方々が一括払いを選択しているというような状況にございます。  続きまして、先ほど来、申し上げておりますエンロン等の事件、投資信託のスキャン ダルといったようなことから、政府あるいは議会を挙げてどのような取組みをしている のかという点に話を移らせていただきたいと思います。  1つは、これはスキャンダルとは関係ないわけでございますけれども、先ほど来、申 し上げましたブッシュ政権、これは2001年6月にできた法律でございますが、俗称、大 幅減税法と言われている法律がございます。これによって年間拠出金額の引上げ、ある いは50歳以上の方々の追加拠出を認めるというキャッチ・アップ拠出、こういったもの が新たに承認をされました。これによって、今後加入者の拠出します上限額というもの が毎年引上げられていくということが法律上確定されているわけでございます。ちなみ に年間拠出金額につきましては、繰り返しになりますが、2006年までは、毎年1,000ド ルずつ増加をしてまいります。それ以降につきましては、インフレ率に合わせて引上げ られていくという形になっております。  また、キャッチ・アップ拠出につきましては、やはり2006年まで、毎年1,000ドルず つ増加をしてまいります。その後は一定の指数によって引上げられていくというような 形をとっております。このようなことから、先ほどご覧いただきましたように、401 (k)プランのネットのフローは今後も増えていくということが予想されているわけで ございます。それから、エンロン事件、そういった企業の不祥事に関しましての対策と いたしましては、日本でも話題になりましたけれども、米国企業改革法、これは実際に イニシアチブをとりました議員の名前を使いまして、"サーベンス・オックスレー法"と 呼ばれておりますけれども、こちらの法律によりまして、各企業の監査等の強化が図ら れたわけでございますが、実際に401(k)プランについて、この法律で取り組まれ た事項といたしましては、いわゆるブラック・アウト期間の通知と制限という項目と、 それから、情報公開という項目がございます。  まず、ブラック・アウト期間の通知とその制限につきましては、プランの管理担当者、 アドミニストレーターが変更される間に加入者の投資先変更などが制限される期間をブ ラック・アウト期間と呼んでおりますけれども、この期間における企業役員による、い わゆるインサイダー取引というものを禁止をするということになりました。実際エンロ ン等の場合には、企業役員が企業破綻が発覚する前に、自らインサイダー取引を行って 私腹を肥やす、あるいは自らの損失を回避をするというような行動があったわけでござ いますが、そういったことをブラック・アウト期間については一切禁止をするというよ うな措置をとっておりますし、また、情報公開という意味では、このブラック・アウト 期間に入る30日前には、加入者・受給者にその旨を通知しなければいけないというよう な措置をこの法律で講じております。このようなことから、企業役員が自ら有利な形で インサイダー取引等による自己の損失を招くというような行動が禁止される、あるいは 制約されるという形になっております。  もう一つは、2003年の年金保障法案、これはまだ法案でございまして、下院を通過し ただけでございまして、現在、上院で審議中でございますけれども、エンロン等の場合 には過度な自社株投資というものが行われておりまして、実際に従業員にとりましては、 企業が倒産するだけではなくて、自分の老後をあずけていた401(k)プランにつき ましても、自社株のウエイトが高かったために、プランの資産についても損失を受ける というような形になってしまったわけでございますが、そういった過度な自社株投資の 抑制、あるいは投資に関する専門的なアドバイスの提供について、この法案では規定を しておりますが、現在まだ審議中ということでございます。  投資アドバイスについては、後ほどもう少し詳しく述べたいと思います。  現在、議会が特にこの401(k)プランについて懸念をしている事項といたしまし ては3つございます。2003年の数字でございますが、現在、自社株投資、これは401 (k)プランの38%が自社株投資に充てられているという統計がございますが、こうい った集中投資からリスクを分散するという意味で分散投資を図る。また、そのための方 法をどうしたらいいのかという点についての懸念が1つございます。その1つの対策と して、今申し上げた2003年年金保障法案のようなものも提案されているということでご ざいます。  2つ目といたしましては、DCプラン、あるいは401(k)プラン自身の加入者が 増えている、あるいは資産も増えてはおりますけれども、いわゆる確定給付を全部やめ て確定拠出だけで賄うというのはなかなか現在の資産規模からいたしましても難しい。 それだけで老後の所得保障が十分ではないということから、この401(k)プランと 既存の確定給付(DBプラン)との両制度に並行して加入をする、その促進をいかに進 めるかという点についても2つ目の懸念ということになっております。  また、3番目といたしましては、日本でも課題になっておりますけれども、従業員に 対する投資教育をいかに進めるのかという点がございます。この3番目の点につきまし ては、その次の資料、16ページをご覧いただきたいと思いますが、これは投資教育を提 供するプロバイダーについて取り上げたものでございますけれども、現在、受託機関、 いわゆるプロバイダーの96%が投資教育を提供しています。上の表の中ほどにブロック 体で書かれているものが従業員教育で、これが2003年で96%を占めております。  そして、また、今度、その下の表でございますけれども、いわゆる投資アドバイス、 一般的な単なる投資とは何なのかというような教育のほかにもう少し運用商品などに絞 った投資アドバイスを提供している企業、これが約半分(50.6%)ございます。特に加 入者数の少ないDCプランにつきましてはその割合が高くなる傾向にあります。  ただ、一方で、現在のERISA法では利益相反の関係がございますので、商品を提 供しているプロバイダーが投資アドバイスをするということは禁止されているわけでご ざいますけれども、そういった投資商品を提供していないような独立系のプロバイダー などが、こういった投資アドバイスを提供するというような傾向がございます。  そして、この投資教育について、アメリカ自身もいろいろ試行錯誤をしているわけで ございますが、今後のキーワードとしては、識者に言わせますと2つほどの傾向がある ということでございます。1つが、「カスタマイズ」、そしてもう一つが、「シンプル」 ということでございます。カスタマイズと言いますのは、いろんな従業員、401(k) 加入者の方々がいらっしゃるわけでございまして、一般的な情報提供、教育、これはか えって、物事の本質をわかりづらくする、あるいはあまり役に立たないということが言 われておりまして、個々の加入者の置かれている状況、あるいはニーズに対応してカス タマイズされたような教育を行う。そのためには多少コストも高くなるわけでございま すが、実際の加入者のニーズに応えるために、個別のニーズに対応した投資教育を行う というような傾向がございます。  また、投資教育ということになりますと、非常に難解な用語が並べられたり、その内 容も非常に複雑多岐にわたるという傾向がございますけれども、できるだけシンプルな ものにして、だれもが取りつきやすいものにするという「シンプル化」ということも今 後のキーワードに挙げられております。  続きまして、17ページでございますけれども、昨年の秋以降、いわゆる投資信託につ きましてのスキャンダルが発覚をいたしました。詳細は述べませんけれども、いわゆる マーケットタイミングでございますとか、時間外取引といったような、実際に投資信託 に投資をしている加入者が知らないところでいろいろ不正、あるいは不適正な取引が行 われていたということでございますけれども、実際に401(k)加入者のほとんどが 投資信託という商品を使って投資を行っていることから、このスキャンダル後にどのよ うに各界が反応したかという点でございます。  まず、プロバイダーの方でございますけれども、結局この事件の後、米国の証券取引 委員会(SEC)と、それから実際に不正行為を行った金融機関(運用機関)との間で 和解が成立いたしまして、多額の和解金、賠償とは正式には言っておりませんけれども、 和解金を支払うということになりました。これに伴いまして、結局事件に関与してい る、いないにかかわらず、これを契機にプロバイダーの手数料が大幅に引き下げられる というような現象が起きております。  また、今度、事業主・スポンサーの方でございますけれども、実際に不正行為等に関 わった運用機関が発覚したわけでございますけれども、そのためにファンドのモニタリ ング、いわゆるウオッチ・リストにのせて、一定期間、実際にそこの運用機関の成績な どがおかしなことになっていないかどうかというような評価を行う、こういったスポン サーはかなりの数出てきておりますけれども、その結果、特定のファンドの取扱いを停 止をしたというような例は結果的にはわずかでございました。  また、加入者の方でございますけれども、これによって加入者が投資信託の投資をや めて、別の商品の方に一斉に動いたかといいますと、加入者につきましては、ほとんど 行動に変化は見られなかったということで、加入者の懸念はそれほど深刻ではなかった ということが言えます。  ただ、いわゆる議会、政府に関しましては、これを契機にいろいろな取組みを行って おります。1つは、ことし議会に提出されております投資信託改正法案というものがご ざいます。これは先ほどの投資信託のスキャンダルが、もともと投資家のあずかり知ら ないところで、いろいろな手数料の分配や収益の分配が行われているというようなこと から、収益の分配、陰で行われているいろんな手数料等について、より外に明らかにし ていくというような法案が現在議論をされております。ここで「ソフトダラー」と申し ますのは、皆様ご案内のように、例えばいろんな調査・情報サービスといったようなも のに対して現金で支払うのではなくて、その調査・情報サービスを提供する証券会社を 取引上有利に扱うことで情報料の支払いに充てるといったような行為でございますけれ ども、これが結局手数料等をどこに払っているのか、払ってないのかという点を不明確 にいたしますので、こういったものを基本的には禁止をする。あるいはもし、そういっ た陰でいろいろなされている手数料、あるいは収益の分配についてはより透明にすると いう形で法案化作業が現在なされております。  それから、もう一つは、投資信託の会社のガバナンスについて、独立した取締役を設 置するとか、アメリカではコーポレート・ガバナンスの議論がいろいろなされておりま すけれども、特に投資信託会社のガバナンスの強化について、SEC(証券取引委員会) も新しいルールを設けるといったような動きがございます。  時間になりましたので、最後に簡単にこういったようなことから、我が国にとっての インプリケーションがどのような点にあるのかという点について、口頭で恐縮でござい ますが、申し上げたいと思います。  1つは、先ほど来、申し上げておりますように、アメリカの場合には、特にブッシュ 政権下におきます大幅減税法、この影響もございまして、401(k)の資産規模は今 後も増えていく、これが法律上保障されているということが挙げられるかと思います。 したがって、株式市場の低迷等が2000年から2002年にかけてございましたが、401 (k)プランの資産規模、あるいはネットフローといったものは今後も増えていくとい うことが言えようかと思います。  一方で、先ほど議会の3つの懸念ということを申し上げましたけれども、立法府では、 そういった資産規模が増えていく401(k)について、3つの懸念からそれぞれの対 策を講じようという動きがございます。繰り返しになりますが、15ページにお示ししま したように、自社株集中投資から分散投資をいかに進めていくか、あるいはいわゆる確 定拠出だけではなくて、確定給付も含めて全体として老後の所得保障にある程度足り得 る給付をどのように確保していくのかといったような点がございます。また、3番目と いたしましては投資教育、特に効果的な投資教育をいかに進めていくのかという点がご ざいます。そして一番最近の動きとして強調しておきたい項目といたしましては、一番 最後にふれましたような、401(k)プランの加入者が預かり知らないところで、例 えば受託機関と投資信託会社との間の手数料、あるいは収益分配のやりとりがなされて いますが、その点についてより透明化を図っていくため、先ほどのソフトダラーの禁止 でございますとか、より情報を開示していくというようなことが2004年投資信託改正法 案には入ってくるわけでございますけれども、こういった動きは日本にとっても参考に なるのではなかろうかと思います。  特に日本の場合には、アメリカとは違いまして、運営管理機関が商品の選定を行うと いうような実態があろうかと思います。そういう点で、特に内部で行われております手 数料の透明化といったような点については、今後、アメリカの動向にもいろいろ参考に なる点があるのではなかろうかと思います。  ちょっと時間が超過してしまいまして恐縮でございますが、以上で私の報告を終わら せていただきたいと思います。 ○ 加子座長  三石様、大変興味深い発表をどうもありがとうございました。  それでは、ただいまの発表に関しまして、ご質問等お受けしたいと思います。 ○ 光谷委員  ジューテックの光谷と申します。3つほど、ちょっとお伺いしたい。  1つ目は、いわゆる上限額がキャッチ・アップということでだんだん増えていくよう ですけれども、例えば個人だけで現在1万3000ドル、あるいは企業と合わせまして4万 1,000ドルと8ページのご説明にありましたけれども、しかし、一方で、高齢者の資産 の状況、収入の状況を見ると、DCによる収入は7%と極めて少ないですね。そうしま すと、上限までいっているということは実際にはなく、かなり低い額にしかなっていな いのではないかなと。もし仮に上限近いところになっていたら、あっという間に1,000 万円、2,000万円になり、それがその後の収入なり、資産に占める割合は非常に大きく なってしまいます。実際には上限まではほど遠い額なのか、あるいは実際には日本のよ うに老後に使うということではなく、儲けたものは高齢者になるまでにどんどん使って しまうということなのか、その辺のことをお伺いしたい。  2つ目、自社株が非常に多いという点です。これでもまだ抑制されているというお話 でしたけれども、日本では401(k)に加入している企業で、自社株を入れている会 社というのはかなり少ないと思うのです。当社も自社株は入れておりません。米国では 抑制されているに拘わらず、これだけ多いということは、例えば企業が、従業員に対し てある程度自社株を入れなさいというふうな誘導をしているのか、あるいはそ或いは、 従業員が企業に対してロイヤリティーを持っている、また自分の働いている会社はどん どん伸びると考えているためなのか、その辺どうなのかということ。これが2つ目です。  最後に手数料の件についてですが、日本もそれほど透明性があるとはいえませんが、 しかし、上から下までの差というのはそんなに大きくなくて、まあまあのところになっ ていると思うのです。米国では例えば、16ページに記載されているように、加入者数別 投資アドバイスを提供しているプランが大体半分ぐらいあるとのことですね。そういう ことまでやっているプロバイダーの場合で、裏があるのかもしれませんけれども、おお よそ、どれくらいの手数料を取っているのか。それは基本的には企業、つまり事業主・ スポンサーが支払う仕組みになっているのか。あるいは加入者個人が、内容によって手 数料とを支払うというケースもあるのか、その辺もちょっと教えていただきたい。この 3点でございます。 ○ 三石JETROニューヨーク年金福祉部長  ありがとうございます。ちょっと今、具体的な数字は、たしか私も報告書を書くとき に書いたような記憶があるので、ちょっと探してみますので、後でもしかしたらお答え することになると思いますけれども、定性的なところを最初にお答えをさせていただき たいと思います。  まず、いわゆる高齢者の収入源泉の割合がDCについて低く。一方で上限額がかなり 上がってきていると、その関係がどうなっているのかという点でございますけれども、 先ほどのDCについては7%程度というのは、あくまで現在の高齢者の方々でございま すので、むしろこれから上限額がどんどん引き上がっていきますと、上限額が引き上が った後に、実際に退職をして高齢者になる方々、特にベビーブーマー以降の世代につき ましては、これは当然7%ということでなくて、もっと収入源泉に占めるDCの割合は 増えていくと思います。  その上限額のうち、どの程度が実際に拠出されているかという点については、ちょっ と今具体的な数字を探してみますので、多少お時間いただきたいと思いますが、私のた しか記憶では、企業により様々ですが、この上限額に近い拠出をしている企業も多いと 記憶をしております。それから、自社株についてでございますけれども、アメリカの場 合には、基本的に事業主が商品設定を行う。運営管理機関あるいは受託機関ではなくて、 事業主が商品選定を行うということになっておりまして、そうしますと実際に事業主は 自社株をオプションの中に含めるというケースがほとんどでございます。実際に誘導は してなかろうかと思いますけれども、結果的に従業員が自社株の比重を増やしていると いう実態がございまして、ここはいろいろな見方があろうかと思いますけれども、やは り従業員といたしましては、その企業が今後も伸びていくということから、そこの企業 に属しているわけでございますので、当然自分の投資先としても、自社株に投資するに それなりの合理的な理由があると考えて投資をしているのではなかろうかと思います。  それから、3番目の手数料でございますけれども、ご指摘ございましたように、通常 の手数料とは別に、もし投資アドバイスを受ける場合には、別途追加の手数料を取って いるというのが実態でございます。この点もたしか数字があったかと思いますので、ち ょっと今探してみますので、ちょっとお時間をいただきたいと思いますが、基本的には 通常の手数料プラス投資アドバイスを受ける場合には、そのための別途の手数料を請求 しているという実態でございます。 ○ 光谷委員  ありがとうございます。非常にいろんな意味で、貴重な、大変役に立つ資料をいただ きまして、本当にありがとうございました。 ○ 加子座長  ほかにございますでしょうか。どうぞ。 ○ 秦委員  サンデンの秦でございます。きょうは本当に有益な発表していただきましてありがと うございました。  私の方から、2点に絞ってお話を伺いたいと思います。1つは、今も光谷さんから出 ていましたけれども、手数料の関係、アドバイスの手数料は外枠だということなわけで すけれども、教育関係の手数料がどういう位置づけになり、かつそれがどのように法的 にプロバイダーのリスクになっているのか、又は、導入している企業のリスクになって いるのか。かつ、そのコストはどういう形で実際上は償わなければならないのか。アメ リカの場合、このあたりのところがもう少し明確になると大変ありがたいのでご説明を お願いしたい点です。  手数料の内、主に従業員の教育に関わる部分について質問させていただきましたが、 2番目のポイントは、まさに教育のやり方そのものでございまして、私も先月アメリカ の子会社に行ってきたのですけれども、その子会社はアメリカで401(k)を入れて いるわけですが、教育をどうやっているか、ということについて随分アメリカ国内で訴 訟問題が起きているという話です。  選択的教育というのでしょうか、受けた人と受けない人の間で不公平が出たとか、出 ないとか、その手の訴訟というのはかなり頻発しているということで、導入している企 業はかなり教育問題についてセンシティブになっているのではないのかなという感じが します。だからこそ法制化の問題が当然出てきているのだと思うのですが、アメリカの 場合に、今1つ、三石さんからお話がありましたのは、オプションで、加入者のレベル に合わせた教育をするというのが大変いい1つのアイディアではないかというお話が出 ていたと思うのですけれども、それ以外に訴訟との絡みも踏まえて、どのようなところ を注意していった方が日本にとってもいいのか、という点がございましたら、それを教 えていただきたいと思います。 ○ 三石JETROニューヨーク年金福祉部長  ありがとうございます。2点、ご質問いただきましたけれども、1点目の投資教育に ついてでございますが、まず手数料につきましては、先ほど労働省が出しておりますガ イドラインのお話をさせていただきましたけれども、労働省がこのガイドラインの中で コミュニケーション手数料を取り上げておりますが、いわゆる教育を行うケースでござ いますけれども、この労働省が出している例によりますと、例えば、フルサービスのプ ロバイダーの場合には、このコミュニケーション手数料としてスポンサー企業が初期設 定料で500ドル、そして加入者一人につき6ドル程度で提供するという例を出しており ます。ただ、これは数字が、もともとこのガイドラインが98年で、その後、変更されて おりませんので、かなり古いものになりますけれども、ちなみに労働省が出している例 ではそのような数字を挙げております。  そして、基本的には投資教育につきましては、事業主の責任で行うわけでございます が、先ほどご指摘もございましたように、実は投資アドバイスにつきましては、加入者 の方からは一般的な教育のみならず、もう少し突っ込んだ、要はどの商品を選んだらい いのかというようなアドバイスをもらいたいという希望が多いようでございますが、一 方で事業主、あるいはプロバイダーもそうですが、そこまで突っ込んだ情報提供、アド バイスをした場合に、もし仮にそこで何か問題が起こったときに、自らの責任を問われ るという意味で、現時点におきましても事業主あるいはプロバイダーが具体的な商品選 定について、利益相反の問題は抜きにしても、商品選定について踏み込んでアドバイス をする、情報提供するということについては非常に躊躇しているというように聞いてお ります。  それから、具体的な投資教育、特にカスタマイズされた投資教育の中身としてどうい うものが考えられるのかという2番目のご質問でございますが、これもアメリカではい ろいろな議論もございます。各企業によっていろいろな工夫をしております。いくつか 例をお示ししたいと思いますけれども、例えば、これはちょっとカスタマイズしたサー ビスというよりも、より実践的なサービスという意味での例になってしまうのですが、 これはちなみに金融サービス会社のマグローヒル社の例でございますが、ここではワー クブックを使った教育を実施しています。このワークブックには給与額と拠出額を示す スライド式の計算機やワークシート、リスク評価のエクササイズといった中身が含まれ ておりまして、よく高校受験、大学受験などでこういったワークブックというのは、い わばローテクではあるのですけれども、結構練習問題を解いたりするのに役立つという ことが言われます。それと同じように、こういったワークブックを使いまして、加入者 がワークブックを1冊こなすことによって、自然に投資に対する理解を深めてもらう、 あるいは自分自身にとっての実際のる給与、拠出、あるいはリスクがどの程度あるのか ということを具体的な数字で示すことができるというような工夫をしているようでござ います。  実際にこのマグローヒル社では、このワークブックを取り入れた教育サービスの結果、 社内でプラン未加入にあった従業員のうち23.5%(約4分の1)の方々が、わずか3カ 月の間に401(k)プランに新たに加入をした、あるいは既に加入していた従業員も 拠出額を増やしたということで、総合的に見て、この3カ月の間に81%、資産額が増加 したというような実績があったようでございます。  今の点、お答えになっておりますでしょうか。 ○ 太田委員  アプライドバイオシステムズの太田と申します。先ほどの三石部長の説明の中で、上 限金額、こちらは今個人と会社の方を合わせて約4万ドルであると、これを1,000ドル ずつ伸ばしていくと、そういうお話がありました。かつ、かなり上限に達しているもの も見受けられると。でも、一方で、3ページ目なのですけれども、高齢者の収入源トッ プというところで、いわゆるDBのところと、それからDCのところの比率、27%、7 %、こういうような形になってございます。401(k)自体の制度というのはかなり 昔からあったはずなんですね。  それを考え合わせると、マクロ的に見るとこうなんでしょうけれども、特定の企業で 見ていくと、DCにかなり重きを置いている企業、それから、DBの方にかなり重きを 置いている企業と、そういう形に構図としてはなってくるのではないかと思うんです。 その辺の企業による使い分けというのか、キャラクターというのでしょうか、その辺の ところをもしご存じでしたら、どうなっているのか説明していただきたいと思います。 ○ 三石JETROニューヨーク年金副支部長  まさにおっしゃるとおりでございまして、ここでは本当に平均値だけ、あるいはマク ロでしか数字を挙げておりませんけれども、やはり業種・業態によってかなり大きな差 がございます。やはりDB(確定給付)に重点を置いている企業といいますのは、アメ リカでも伝統的な重厚長大型の産業でございまして、具体的な業種といたしましては航 空会社でございますとか、鉄鋼、自動車というようなところであります。  一方で、DCに重きを置いている、あるいはDCしかないというのはむしろ新興成長 型の企業、例えばIT関連の企業などはむしろDCがほとんど、あるいはDCに重点を 置いているというような状況がございますので、それぞれの産業、業種ごとに見れば、 必ずしもこの全体のマクロの数字とはかなり違った姿になっていようかと思います。  実際にDBを抱えております、重厚長大型産業につきましては、これはまさに2000年 から2002年にかけての株式の低迷によりまして、現在も積立不足ということで、大きな 社会問題にアメリカでもなっているという状況でございます。 ○ 加子座長  ありがとうございました。まだ、ご質問があるかもしれませんが、全体の進行の都合 上、質問はこの辺で終わりにさせていただきまして次に移らせていただきたいと思いま す。三石様、どうもありがとうございました。  それでは、続きまして、次の議題であります、資料4の「確定拠出年金制度の実態調 査の実施状況について」に移らせていただきます。この議題につきましては、生活福祉 研究機構の田村理事からご説明いただきます。それでは、田村理事よろしくお願いいた します。 ○ 田村理事  田村でございます。お手元の資料4をご覧ください。  一昨年と昨年は、ここに書いてありますように、企業に調査票を送り記入してもらう というアンケート調査を行ってまいりましたけれども、今年は少し方法を変えてみよう ということで、直接企業の方に出向いて、投資教育を中心に話を聞いてみることにいた しました。  資料の4ページ、5ページをご覧いただきたいのですけれども、私どもが選びました 企業は、一昨年及び昨年の調査票の記入状況などを見まして、比較的によく書いてある 企業から39社を選びまして、その中からさらに15社を選び出しました。その結果が4ペ ージ、5ページの表でございます。表には社名が書いてございませんけれども、業種、 従業員規模などはご覧のとおりでございまして、比較的規模の小さい企業から中堅企業、 従業員が1万人以上という大企業までが含まれるようになっています。  地域的には関東地方が9社、関西が6社ということになっております。予定としては 15社を調査することになっておりますけれども、1社は企業の方の都合がございまして、 まだ調査は済んでおりません。そのほかに、5ページの下に書いてございますように、 運営管理機関の状況についても、生保系、証券系、銀行系それぞれ1社ずつ選びまして、 ヒアリングを行いました。  その結果が、1ページからの概要にまとめてございますけれども、これはまだ完全な ものではございません。ごく簡単にまとめてございますので、必ずしも正確でないとこ ろがございます。  まず、どんなことを調べたかということなのですが、大きく区分すると5項目ござい ます。1つ目が、投資教育の内容でございます。2番目が情報提供の具体的な方法がど んなことになっているか、3番目は2ページに書いてありますけれども、情報提供をし ていく場合、どんなことを工夫しているかということ、4番目が事業主サイドでどんな 協力をしてくれているか、5番目が投資教育をしたのだけれど、加入者がどこまで理解 しているかということをどういうふうに測定しているか、この5項目でございます。  そのほかに労働組合があるところにつきましては、労働組合からも意見聞いておりま すけれども、これは5社しかございません。  1ページに戻っていただきますと、まず「投資教育の内容」についてでございます。 ここに「大部分の企業で」と書いてございますが、例外なくと申してもいいと思うので すが、確定拠出年金を導入した背景とか、どんな趣旨で導入したか、制度の仕組みとい ったことは、一通りどの企業でも説明をしております。その一方で、この制度では自己 責任とか自助努力というものが大切だということの説明も、例外なく行なわれていまし た。  それから、2番目でございますけれども、確定拠出年金を全く新たに導入したという ところはございませんで、多くのところは税制適格年金が10年後に廃止になりますので、 適格年金を確定拠出年金に切り替えたというか、移行したという場合がほとんどでござ います。従いまして、適格年金と確定拠出年金との関係を説明するということは、どの 企業でも行っております。そのときにどういうことが行われているかといいますと、適 格年金は一時金で、退職手当金として支給される場合が多いのですけれども、その金額 がどういう考え方で設定されているかということの説明は行われています。これを確保 するには、どれだけの運用収益を確保しなければいけないかということの一通りの説明 も行われております。  資料には想定利回りと書いておきましたけれども、どれくらいの利回りが確保できれ ば、これまでの適格年金の給付と同じ額が確保できるかということの説明も行われてお ります。その想定利回りでございますけれども、ここには数字を書いてございませんが、 ごく大ざっぱに言いまして、2%から3%という場合が多いようです。なかには1%と いうケースもありました。この場合についていろいろ聞いてみますと、労働組合の同意 を取り付けるには、なるたけ低い方がいいという話でした。このような配慮もあるよう でございますけれども、この辺は会社によって随分取り組み方に違いがあるかなという 感じがいたしました。  そのほか、一般的な資産運用に関する基礎知識、リスク・リターンの関係といったよ うなことについても、一応の説明は行われておりますけれども、その説明は運営管理機 関がつくっております資料がベースになっておりまして、大体どこも似たような資料を 使って説明されているということだったと思います。これが投資教育の主な内容でござ います。  それでは、「どんな方法で情報を提供しているか」ということなのですけれども、こ れも例外なく、行われていますのが、量の多い、少ないということはありますけれども、 一応紙ベースといいましょうか、印刷物をつくって配布しているということです。  それから、制度導入時には、大体一人当たりにして、2時間程度の説明会というもの をどこでもやっております。これに漏れるという場合も当然あるわけですけれども、そ の場合にはまた別の対策をとっている場合が多くて、その1つが、例えばビデオを配布 するというようなことでございます。そのほか、コールセンター、Webというものも 使われておりますけれども、コールセンター、Webというのは、導入後の継続教育の 主な手段になっているという感じでございました。  2ページに移っていただきますけれども、「情報提供をやっていく場合の工夫」どん なことをしているかということなのですけれども、説明会は例外なく行われているので すけれども、必ずしも開催の方法はどこも同じではないようです。事業所が全国的に散 らばっているということになりますと、場所や回数が多くなり大変なようでございまし て、事業主側の協力も得なければいけないわけですけが、その辺についてはいろいろ工 夫をしているところが多いようです。  それから、企業自体で資料を用意していくというのは大変でございまして、自社だけ で資料をつくっているというわけではなくて、例外なく運営管理機関が持っております ノウハウを取り込んでいるというか、使っているということでございます。もっと言え ば、運営管理機関が持っております資料の一部を、カスタマイズするというか、その企 業の実態に合った形に少し修正したものを使っている場合が多いということでございま す。  これには、いま一般的になっているようでございますけれども、絵だとか漫画だとか というようなものを入れて、なるだけわかりやすくしているという工夫は行われており ます。ただ、それでどれだけ理解されたかということになりますと、やや疑問がござい ますが、そのようなことになっています。  4番目の「事業主の協力の内容」でございますけれども、制度導入に当たって、事業 主サイドとしても相当の協力をしているようでございまして、会場の設営だとか、機材 の提供が行われています。また、説明会は就業時間内に行うというところが大部分でご ざいまして、就業時間外に行っているところはございませんでした。  それから、海外勤務者への情報提供をどういうふうにやっているかということを聞い てみましたが、これは会社によって随分違うのですけれども、多くの場合はビデオをつ くって、それを提供しているという場合が多いようです。  新入社員の教育については、企業が行う一般的な新人研修の中に、確定拠出年金の内 容や資産運用についてのプログラムを組み込んでいるという場合が多いということでご ざいます。  5番目が「加入者の理解度」についてです。これだけ費用をかけ、時間もかけて投資 教育をやっているのですけれども、どれだけの効果があったかということなのですが、 これは企業によって随分違います。なかには大変高く評価しておりまして、例えば2ペ ージの(5)の2番目の「○」に書いてありますように、8割程度の従業員は理解して いるのではないか、あるいは9割程度の従業員は理解していると、評価しているところ があるかと思いますと、その下の「○」に書いてありますように、どうも理解されてい るとは思えないというようなところもございまして、これは企業によって随分とらえ方 が違うなという感じがいたします。  それから、次に移っていただきますと、どれだけ理解されたかということを測定する のは大変難しいのですが、いろいろな方法で測定しているようです。コールセンターを どれだけ利用しているかということで測っているところもありますし、資産運用でどう いう商品を選んでいるかということ、あるいはスイッチングがどれだけ行われているか というような投資行動から判断しているというようなところがございます。こういうと ころから判断する限りでは、あまり理解度が高くなっているとは思えないというところ が多かったように思います。  その結果としてどうなっているかということですが、運用商品の種類を見てみますと、 圧倒的に多いのは元本確保型商品です。これは昨年までの調査でもわかっておりますけ れども、これで適格年金から移行した場合の従前の退職手当金の額が確保できるのかと いうと、大変疑問なところが多いようです。ということで、せっかく投資教育したのだ けれども、効果は運用には活用されてないというか、生きてないというふうに思ってい るところがかなりあるというようなことでございます。  投資教育に関する問題点というか、これからのことにつきましては、まだ確定拠出年 金というものが、公的年金や退職一時金といった退職給付全体の中でどのような位置を 占めているかということが、必ずしも十分理解されてないという感じがするということ でした。まず、これを認識させることが第一だと言っているところもございましたし、 さらにもっと広く老後のライフプラン全体の中でどういう位置を占めているかというこ とも考えてもらう必要があるのではないかということを言っております企業もありまし た。  理解度が必ずしも十分でないと申し上げましたけれども、かなり個人差がございます ので、それをどういうふうにフォローしていくかということが課題であると言っていた 企業もありました。先ほどアメリカの話がありましたけれども、カスタマイズというこ とで、理解度に差がある部分をどういうふうにしていくかということが問題になってい るようでございますが、我が国でも似たようなことがこれから起きるのかなという感じ がいたしました。以上のようなことが問題点として指摘されておりました。  それから、労働組合からは、5社ぐらいのところで聞いたのですけれども、一般的に いいまして、労働組合の確定拠出年金に対する理解度は必ずしも高くないというのが私 どもの印象でございました。それではどうして確定拠出年金の導入に同意したのですか 聞いてみますと、1つは、退職給付債務が今までの制度だと大きくなって企業が大変困 っているようで、そういうのを見ていると、同意せざるを得ないかなということになっ た、というようなことを言っているところもございました。  投資教育の中で、一生懸命、自己責任であるとかというようなことが言われるけれど も、従業員にはレベルの差がありますので、なかなか理解することができないというよ うなことを言っておりました。また、労働組合としても何かやらなければいけないとは 思うけれども、労働組合自体としてはなかなかそういう知識がないので難しいというよ うなことを言っているところもありました。  以上が中間報告の内容でございまして、まだ完全な形になっておりませんけれども、 今まで調べました中から主な点をご紹介させていただきました。  以上でございます。 ○ 加子座長  ありがとうございました。只今の報告につきまして、ご質問等ございますでしょうか。 ○ 伊藤委員  どうもありがとうございました。私どもでも加入者の理解度をどうやって上げていく かというのが非常に大きな課題だと思っていまして、そういう意味でわかればお教え願 いたいのですけれども、加入者の理解度にかなり差があったということでございました けれども、ヒアリングされる中で、加入者の理解度の差と相関関係といいますか、傾向 として何が関係があったのだろうと。例えば継続教育の充実度ですとか、あるいは会社 さんの人数規模とか、あるいは業態で何か傾向があるのかとか、そういった点がもしあ ればお教えいただきたいのですが。 ○ 田村理事  私どもが聞いた限りでは、これは企業側の担当者の話を聞いているわけですから、ど れだけ正確かどうかわからないのですけれども、投資教育を一生懸命やったから理解度 が高まったということではなさそうです。その辺はよくわからないのですが、企業の方 でも、必ずしもそれを定量的に把握しているというわけではなくて、かなり個人差があ るなという感じをもっているようです。一生懸命投資教育をしても、わかってくれない 人はわかってくれない、わかる人はわかるということで、二極分化するというか、そん な傾向にあるのではないか、ということを言うところが多かったように思います。  したがって、これから投資教育をどういうふうにやっていくかというときに、全員が 同じレベルまで理解してもらうようにもっていくというのは大変難しいのではないかな という感じがしました。大部分の者がある程度のところまで理解するというところまで いけば、本当に上出来で、そこまでいくのもかなり難しいかなという感じがいたしまし たけれども、企業側としてはそこまでぐらいはやりたいとは思っているようです。けれ ども、具体的にどこまでやるかということになると、まだ、私ども聞いた限りではよい 情報は得られませんでした。 ○ 伊藤委員  ありがとうございました。 ○ 秦委員  今のことに関連してなのですけれども、サンデンの場合、一部マスコミにも出してい ますが、今、まさに、継続教育を就業時間内で実施している最中で、それは先ほど三石 部長からお話ありましたような、一応選択型・オプション型で、A、B、Cという3つ のコースに分けてやってみています。Aコースとの対象は、言葉はよくないですが、初 心者というか、本当に関心のない人。この層は、いろいろ教えてみても、そもそも土壌 がないわけですから、吸い込まれないわけなので、知識以前に、まず、関心持ってもら わなければいけないということで、一種のマネーゲームみたいな、お遊びですよね。そ ういうものを取り入れた、それに終始した形なのですけれども、それに対してBコース、 Cコースはそれぞれのレベルに従って設定したわけです。今、伊藤さんからもお話あり ましたけど、具体的にA、B、Cをどういうふうに選択したかというのは、一応データ が出ています。  サンデンというのは小さいながらも、技術開発・製造・販売が揃っていて、技能工さ んというか、工員さんから営業の第一線で働く人まで、それも海外、国内混ぜているわ けなのですけれども、選択率は、Aコースが50%で、Bコース(中級コース)が38%、 Cコース(上級コース)が12%となっています。それでは、それが生産工場と本部関係 とで差が出たかというと、実はそれほど有意差がないのですね。例えばAコースで言う と、本部事業部関係はAコースが45%の選択率に対して生産工場は52%ということで非 常に差があるというわけでもないのです。ですから、社員のどこの職種や地域はよくわ かっているけど、どこはほとんどわかってないだろうというわけでも必ずしもないので はないか。だから先入観は持たないでやらざるを得ないだろうと思うのですね。  そういう意味からすると、本部の人間だから、経済のことぐらいよくわかっているだ ろうと思うと存外、そうでもない、あの人がこのコースに出ているのか、というような 驚きが頻繁に起こるわけですね。逆に、私もちょっと感じたのは、例えば技術系の人と いうのは結構難しいコースの方に出てくる人が多いのですね。だからもっとも401 (k)に遠いと思う人たちが実は逆だったり、いろいろそういうのは現実に今回の継続 教育をやってみてまたはっきりしてきているところはあるのだろうと思います。ですか ら一般的傾向というのは本当に難しいのかなという感じは非常にします。 ○ 田村理事  継続教育についても聞いてみたのですけれども、まだ制度を導入してからの期間が短 いということもありまして、どんなふうにしていったらいいかということをまだ決めか ねているというか、どういった方針でやっていったらいいかなということをまだよく考 えてないというか、決めてないところが大部分でございました。  今、お話のようなことまでおっしゃってくれているところは、実はこの15社の中では どこもございませんでした。 ○ 石田教授  今のご質問に対して、ちょっと補足的にお答えをさせていただきたいと思います。私 自身が、ヒアリングの調査を行いました結果といたしましても、今の秦様と同じように、 企業ですとか、個人の属性によって選択程度ですとか、投資教育に対する理解度、こう いったものにあまり大きな差はありませんでした。また、例えば投資経験ということが ございますが、投資経験につきましても、運用商品、個々については理解しているけれ ども、運用の、例えば分散投資ですとか、長期投資の考えなどについては十分理解もし ないまま、今まで実際に投資を行ってきたという状況もあるようでして、必ずしも投資 経験というのも、投資教育のクラスといいましょうか、それを分ける1つのファクター にはならないという気もいたしました。  それから、個別の企業につきましては、例えば説明会の後の質問、コールセンターな どに対する問い合わせ、そういったことによって理解度を図って、そしてさらにはWe bとコールセンターの問い合わせを連携しながら、大体従業員全体がどういう理解度に あるかということを図っている事業主さん、導入企業がございました。補足的にご説明 申し上げます。 ○松井本部長  日本経団連の松井です。恐らく投資教育をいくらやっても、最終的にどうするのかと いうのは、いくら知識があっても、そこに踏み切るにはもう一つインセンティブがない とできないと思います。企業として、本当にそこまでやるかどうか、疑問な点がありま すが、2ページの事業主の協力の内容の一番下に、「運用結果の分析等を社内報に掲載 している」とありますか、だれだれさんはうまくいったようだとか、そのようなことを すると、少し興味を持って、じゃあ、安定的なものだけでなく、ちょっと自分もやって みようかなという、何かそういう仕組みをいろいろ工夫をされている企業の具体的な例 はございましたでしょうか。その点についてご説明願えればと思います。 ○ 田村理事  社内報にということだけではなくて、例えば比較的小さな企業で社内報をつくってい ないので、事業所の掲示の場所に、今月はこういうような運用成績でしたというような 張り紙を掲示板に貼って広報するということをやっている事例はございました。それが どれだけ各従業員の商品選択に活用されているかというところまでは何ともいえないよ うですが、こういう取り組みはしているようです。  商品選択につきましては、一般的な投資教育だけでは満足してもらえなくて、最終的 には一体どの商品がいいのだというようなことを聞かれる場合が多くて困る、というよ うなことを言っている企業もありました。 ○松田委員  今のお話に関してですけれども、役に立つかどうかわかりませんけど、私ども双日株 式会社でございますが、3カ月に一度、その商品ごとの騰落率、それから、どのぐらい の割合で、そこへ社員が投資をしているかというのを社員全員にメールをしております。 これが1つ参考になるのではないかと。それがきっかけで、夜、お酒を飲みながら、 おまえはどうやっているのだとか、どのぐらいプラスになったとか、意外とそういうこ とが、本当の意味の教育とは関係ないかもしれませんけれども、運用をしていく、投資 をしていくということに対する興味が確実に増すのではないかと考えております。 ○ 加子座長  どうもありがとうございました。 ○ 太田委員  アプライドバイオシステムズの太田ですけれど、今の双日さんと極めて近いことは、 私どもやっぱりWeb上の掲示板なんですけれども、そこに定期的に投入した資金の額、 それから現在の残高、あるいは拠出の商品別の割合だとか、そういう全体としての個 々人の数字ではないですけれど、全体の数字を出すことで、とにかく社員の興味を引き 出そうと。とにかく興味がなければ何事も始まらないというのが、私どもの信念で、そ ういうやり方でやっております。 ○ 光谷委員  ジューテックの光谷ですけれども、私のところでも、去年の10月頃から今年の6月頃 まで、ほとんど毎週継続してメールを社員全員に配信していたんですね。401(k) に関して、いろいろな角度から情報を提供したのですけれども、700人ぐらいの社員の 内、ほとんど読んでいたという人は2割ぐらいでしたけれども、自分に興味のあるとこ ろは読んだという人は6割乃至7割でした。つまり、ほとんど読まなかったという人は 1割ぐらいだったんですね。  そのことが実際に役に立ったか、あるいは将来これから役に立つかということも、実 はつい最近アンケートをとったのですけれども、その結果は、「非常に役に立った」と いう人が2〜3割、「部分的に役に立った」、あるいは「これから役に立ちそうだ」と 答えた人が全体で6割ぐらいおり、ほとんど役に立たなかったと答えた人は2割に満た ないんですね。皆を一度にどこかに集めての説明会、勉強会というのは、半年に一遍と か、短くても3カ月に一遍とか、場合によっては年に一遍しかできないと思うんですけ れども、メールなどの手段を使って継続教育をやっていけば、少しは何とかなるかなと いう感じを持っております。 ○ 加子座長  どうもありがとうございました。多くの貴重な事例をご報告いただき感謝申し上げま す。これは事務局へのお問い合わせですが、今回の中間報告を踏まえて、今後はどのよ うに進めていくかご報告いただきたいと思います。 ○ 神田課長  今年度におきましては投資教育の事例集を作成したいというふうに考えております。 今、ご報告ありましたけれども、特徴的なものもあるとお聞きしておりますけれども、 必ずしもそうでない部分もあるというふうにお聞きしておりますので、前回メンバーの 皆様方から、調査という形で出していただいたアンケートに加筆していただくような形 で、それも含めまして、事例集の取りまとめをしていきたいと考えております。その際 に若干加筆をお願いすることもあろうかと思いますが、改めてご協力をお願いしたいと 思っております。  それから、また、単に事例を取りまとめるということだけではなくて、個別の導入さ れた企業において、検討する際に参考にしていただくという意味で、投資教育について、 どのような点を留意したらいいかというようなことについてもご議論いただいて、それ と併せて事例集として取りまとめをしたいと考えております。もし、ご意見があれば、 お伺いしていただければと思います。 ○ 加子座長  先ほどのような議論が、まさにそれに相当すると思うのですが、具体的には、いつ行 う計画になってございますか。 ○ 神田課長  これもご相談ですけど、可能であれば、例えば次回とか、テーマを出していただいて、 課題などについて議論をしまして、その議論の内容についても、その事例集と併せて 導入されている企業の方々が検討する際の参考としていただくということで提供させて いただきたい。事例が並んでいるだけよりは、どのような観点に配慮したらよいのかと か、実際に導入されている企業ではどのように考えておられるのかというような点につ いて、より理解が深まるのではないかなというふうに考えております。 ○ 加子座長  只今の事務局のご提案に関しまして、何かご意見等ございますか。  よろしゅうございますでしょうか。それでは次回ということで、進めさせていただき たいと思います。 ○ 松井本部長  今の進め方で結構ですが、今回のヒアリングをした企業と、ここに参加されている企 業とではやはりちょっと経験の年数が違うと思います。もし、双日さんとか、太田さん のところでご説明くださったような、我が社はこうやっているという簡単なものを、も しご協力いただける企業があるならば、そのようなものもまとめの段階でうまく組み入 れていくとか、もしお差し支えなければやっていただけると大変ありがたいのですが。 ○ 神田課長  実は、前回の投資教育の事例集ということで、資料として、6月の会議に出させてい ただいたのですが、それは、例えば導入時教育ではどうかとか、情報提供の方法ではど うか、テーマごとに書いてありますので、1つの企業の事例を通して理解するのがちょ っと難しいものですから、実はそのベースとしまして、個別のメンバーの方々にお願い をしまして、投資教育のアンケート調査をさせていただいておりますので、そのもとの 調査に若干加筆をしていただいて自分の企業ではこういう考え方でやっていますよとい うことが通して理解できるような形で事例に加えさせていただければというふうに考え ておりますけれども。 ○ 加子座長  それでは、事務局におかれましては、今のご意見を踏まえながら、今後の投資教育の 事例の取りまとめをお進めいただきたいというふうに思います。  それでは、続きまして、次の議題に移らせていただきます。資料5、資料6及び資料 8につきまして、事務局からご説明をお願いいたします。 ○ 神田課長  それでは、限られた時間ではありますけれども、お手元の資料5、6、8について、 私から説明をさせていただきます。  資料5は、10月14日から募集しております17年10月施行分のパブリック・コメントの もとになります制度改正の概要ということでございます。確定拠出の関係ですと、大き く2点ございまして、中途脱退の要件緩和ということと、給付建ての制度からのポータ ビリティーの付与という内容でございます。もともとこのポータビリティーにつきまし ては、今もお手元の資料の5の1ページ目にありますけれども、権利義務の移転という ことでは、星取り表のようなものがついておりますけれども、個人単位で確定給付企業 年金から厚生年金基金ですとか、確定給付企業年金同士で権利義務を移転するというよ うなことはできるということになっております。また、中途脱退した場合に、厚生年金 基金から個人単位で厚生年金基金連合会へ基本部分の現価相当額を移換する。その際に 併せて加算部分の脱退一時金相当額を移換するというようなことがあるわけですけれど も、今のスキームというのは、基本的には、今申し上げた厚生年金基金からの中途脱退 を除きますと、基本的には権利義務承継というスキームになっておりまして、要は前の ところで保障していた義務をそのまま引き継ぐという極めて重いことになっております ので、お互いの制度同士で規約で定めておくことのほかに、その都度、代議員定数の4 分の3以上の多数決を求めるといった非常に重いスキームになっていて、個人の転・退 職に伴いますポータビリティーに必ずしも十分に対応できないということで、基本的な 考え方としては、転・退職の際には、移った先の企業側の規約で決めておけば、あとは 本人の申し出だけで年金の資産が移せるようにしようというのが大きなポータビリティ ーについてのスキームでございます。  特に確定拠出年金の部分で申しますと、お手元の資料の7ページ目の6.というとこ ろが、確定給付企業年金又は厚生年金基金から確定拠出年金への移行ということでござ います。ここに書いてございますように、まず基本的な考え方として、脱退一時金相当 額の算定基礎期間ですとか、厚生年金基金の加算加入員期間という前のところで持って いた期間というのはそのまま引き継ぐということになっております。これは通算加入者 等期間というのは、要は支給要件に絡んで、例えば60歳段階で10年加入期間がないとも らえませんよという、そのときに使うということでございます。額に関係があるわけで はありませんので、そういう意味で、これは合算をするということにしております。  移換の申し出としましては、給付建ての資格を喪失してから1年以内、それから、新 しいところの確定拠出の資格を取得してから3カ月以内に申し出をしていただくという ことになっております。  引継事項としては、そこにございます、氏名・性別・生年月日・住所の4情報のほか に、脱退一時金相当額ですとか、引き継ぎます期間を情報として引き継ぐというような ことになっております。ここで給付建ての制度間の移換と若干違いますのは、DCの場 合には、規約で期間合算について定めていただくということはありますけれども、基本 的には本人申し出があれば、いちいち規約で定めておかなくても、移換元の厚生年金基 金とか確定給付企業年金も脱退一時金相当額を移換することが義務になりますし、1年 以内に就職できないということで、とりあえず企業年金連合会、今でいいます厚生年金 基金連合会の方に脱退一時金相当額を移しておいて、就職できた段階でまた転職先にそ れを移すということもできるわけですけれども、この際も連合会も移すことが義務にな りますので、いちいち規約で定める必要がないということと、受取側も原則義務であり ますので、申し出があれば受け取っていただくというところで、給付建ての制度と比べ るとさらにポータビリティーが高まるような仕組みになっております。  それから、8ページのところにちょっと書いてございますけれども、税制の取扱いに ついてでございますけれども、基本的には持ち込んだ先の税制に従っていただくという のが基本的な考え方になっております。一番議論がございますのは、確定給付企業年金 については、原則、今、拠出段階ですと、本人拠出分については、生命保険料控除分だ けの税制上の控除ということで、給付時は非課税になるということでありますが、脱退 一時金を例えば転職しまして、確定給付企業年金から確定拠出に持ち込みますと、全体 として事業主拠出の扱いになるということで、給付時課税に転換をするということにな ります。  したがいまして、今、出しておりますパブリック・コメントの中でも書いております けれども、今、申し上げたような税制の取扱いですとか、移換の手続漏れを防ぐという ことから、移換元、移換先両方で、資産移換の可否ですとか、いつまでに申し出をすれ ばよいかとか、制度の内容等を本人に十分説明していただくということを政令上原則と して義務づけるということにしております。  それから、脱退一時金の要件緩和についてですけれども、こちらの方はお手元の資料 の14ページ以降になっております。時間が限られておりますので詳しい説明は省きます けれども、現在、企業型を脱退しまして、専業主婦であります国民年金の3号被保険者 になったとか、あるいは公務員になった場合、3年以内の加入者期間であれば脱退一時 金がもらえるというのが、来年10月に制度改正がございまして、3年超えていても、50 万円以下の資産であれば引き出しができると。年々手数料を取られてしまうということ ですので、手数料が払えないような額の場合にはお支払いをするということになってお りますが、その基本的な判断の仕方というのが14ページに出ております。基本的には脱 退一時金請求日の前月末における個人別管理資産の評価額で判断をしますと。掛金は資 格喪失月の前月分までは払っていただくということになっておりますので、その分も加 えるというようなことですとか、制度間の資産移換等がある場合には、移換日が請求日 より先になっているか、後になっているかによって加えるかどうかを判断するというよ うなことにしております。それから、15ページの三のところに書いてありますけれども、 今、申しましたように、この要件については、17年10月の段階で資格喪失しても、それ から2年以内であれば、要件を満たせば引き出しができるということで、施行日以後で あれば、資格喪失がそれより前であった場合にも、2年以内であれば請求ができるとい うことで、実態的には弾力的な運用ができるような配慮をいたしております。  資料5の関係は以上でございます。  それから、資料6でございますけれども、確定拠出年金関係の15年度実績についてで ございます。これは企業型年金規約につきましては、15年4月から16年3月までに年度 末を迎えた企業について実績を報告していただいたものを取りまとめたということでご ざいます。したがいまして、単一時点での前年度末というような数字ではございません が、そういう意味では、先ほど冒頭に申しましたものより若干数字が前の段階になって おりますが、年度単位で取りまとめるものとしてはこの資料ということになっておりま す。  加入者の状況等はそこに書いてあるとおりでございますが、掛金資産の状況について は、正式な報告としてはこの報告でとっているということでございますが、そこで見て いただきますと、その年度中に拠出された掛金額ということで、1ページの真ん中ほど にございますけれども、597億、ほかの制度からの移換金等を含めました資産総額は 5,204億、事業主への返還金は7,800万というようなことになっております。  それから、次のページに運営管理機関からご報告をいただいたものが出ております。 運営管理機関のうち、4社は3月が事業年度終了ということでございますが、1社、12 月のところがありますので、揃っておりませんが、概ね16年3月の段階の統計というこ とになっています。そういう意味で、前のページと若干数字が異なっておりますのは、 今、申し上げましたような、事業年度の終了時点が前の企業型の報告の場合には、年度 終了時点がばらけているというのと、運営管理機関からのものについては、個人型の数 字も加わっているということで、人数ですとか資産について数字が違っているのはその ようなことでございます。  続きまして、お手元の資料8でございますけれども、厚生労働省としまして、きょう、 ご出席の関係省庁と一緒に財務省に対しまして、来年度の税制改正要望ということで、 特別法人税の撤廃の要望をさせていただいております。財務省の方からは、運用時の課 税を撤廃するというのであれば、給付時課税をさらに徹底しろということを言われてお りまして、交渉としては非常に厳しい交渉になっておりますけれども、そのような要望 を出させていただいているということでご紹介をさせていただきます。  私の方からは以上です。 ○ 加子座長  ありがとうございました。  それでは、引き続きまして、資料7の「平成15年度個人型確定拠出年金の業務状況」 ということで、国民年金基金連合会の中井川部長からご説明をお願いしたいと思います。 ○ 中井川委員  資料7でございまして、基本的に状況につきましては、お手元の資料の方で数字等を 記載させていただいておりますので、これをご参照いただければと思っております。私 の方からは、現在の加入者の状況等について、若干コメントという形で申し上げたいと 思います。  2ページ目を中心にご覧いただきたいわけでございますが、加入者の状況で見てみま すと、2号加入者、いわゆる従業者の方が若干1号加入者(自営業者)の方よりも多い 状況になっているということでございます。昨年度は1号、2号ほぼ同数でございまし たが、ここに来て2号加入者のウエイトが増えてきているということでございまして、 これは1つの要因としては、企業型からの移換が非常に増えてきているということでご ざいます。関連数字は3ページ目の方に出ております。  それで、最近の私どもの1つの問題意識としてございますのは、いわゆる企業型から の移換と関係いたしまして、私どもの用語で自動受換と申しておりますが、いわゆる企 業型の資格を喪失した後、手続をとられないで私どもの方に自動的に入ってくるという 制度があるわけでございますが、その数が非常に急増しているということでございまし て、お手元の資料4ページでございますが、その状況が出ております。  平成16年の3月末の段階で9,325人(32億円)ということでございます。この9,325 人という人数、非常に1号加入者等々の数字から見ても非常に多くなっていると。直近 の数字で申し上げますと、9月末現在で1万5,109人と1万5,000人という数字はほぼ 1号加入者の数と匹敵するぐらいの数字になってきているという状況があるわけでござ います。それで、これはいろいろ原因は指摘されているわけでございますが、私どもの 電話照会で、やはり一番多いのは、自動受換の通知が送られてきて、自分がそういう状 態になったということを初めて知るというようなケースが非常に多いということでござ います。私どもとしては、事業主の方々、運営管理機関の方々にぜひ退職時等の手続を 加入者ご本人にとっていただくよう、ぜひ徹底していただきたいということをご要望と して申し上げたいと思います。  私からは以上でございます。 ○ 加子座長  ありがとうございました。それでは、只今の資料5から資料8までのご説明につきま して、またはそれ以外のことでも結構でございますので、ご質問、ご意見等ございまし たら、よろしくお願いいたします。 ○ 神田課長  今、中井川さんの方からあった最後の点についてでありますけれども、先ほど申し上 げましたように、自動移換が起こってしまって、移換元の制度で必ずしも移換手続につ いて、十分な制度説明がされていないというような話もお聞きしましたので、先ほど申 し上げましたように、税制の取扱いですとか、手続漏れを防ぐという意味で、資産の移 換の可否ですとか、申し出の期間ですとか、そういった移換に必要な事項について説明 をしなければならないということを移換元の制度にも課すということで、政令上義務づ けるということにしておりますので、そういう意味では、説明もされずに自動移換され るというケースは少なからず減っていくのではないかというふうに考えております。 ○ 加子座長  ありがとうございました。  まだご質問があるかと思いますが、時間の関係もございますので、この辺りでここの 議論は終わりにしたいと思います。  最後になりましたが、傍聴にお越しいただいている方々で、本日の議事内容に関しま して、ご意見、ご質問があれば挙手をお願いしたいと思います。私のほうから指名させ ていただきますので、よろしくお願いいたします。ございますでしょうか。よろしゅう ございますか。  それでは、そろそろ時間も参りましたので、今後の連絡会議の進め方につきまして、 事務局よりお願いいたします。 ○ 神田課長  今年度の連絡会議につきまして、あと2回程度の開催ということで予定をいたしてお ります。先ほど申しましたように、次回は投資教育の課題についてご議論をいただく機 会を設けたいと考えております。次回の連絡会議の開催時期としましては、12月の中旬 を予定いたしておりますが、日程等については別途調整させていただければというふう に考えております。  つきましては、会議日程調整表にご記入いただきまして、非常に短時間で申し訳ござ いませんけれども、できればあすぐらいまでにFAXしていただけるか、メールでお送 りいただければと考えております。また、日時、場所等、調整が整い次第追ってご連絡 をさせていただきたいと考えております。よろしくお願いいたします。 ○ 加子座長  それでは、本日の連絡会議はこれで終了にさせていただきます。  ご多忙の中をお集まりいただきまして、大変ありがとうございました。