04/12/07 医療用医薬品の流通の改善に関する懇談会第4回議事録                       ┌―――――――――――――――┐                       │照会先:医政局経済課     │                       │(担当・内線)村松(2524)│                       │  代表:5253−1111 │                       │  直通:3595−2421 │                       └―――――――――――――――┘          医薬用医療品の流通改善に関する懇談会(第4回)           日時:平成16年12月7日(月)10:00〜11:30           場所:厚生労働省 7階 専用第15会議室 1.開会 ○事務局  それでは定刻でございまして、御出席という御連絡をいただいております方で、まだ お二方がお見えになっておりませんが、ただいまから「第4回医薬用医療品の流通改善 に関する懇談会」を開催させていただきます。本日、日本歯科医師会の奥村様と全国自 治体病院協議会の宮川様は御出席のはずですが、まだ遅れていらっしゃるようでござい ます。また、明治大学大学院の上原教授は御欠席という連絡をいただいております。日 本保険薬局協会の今川様の代理として柏木様に、また日本薬剤師会の漆畑様の代理で井 上様に御出席いただいていることを、まず御報告を申し上げます。それでは以降の議事 進行につきましては、嶋口座長にお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいた します。 2.議事 ○嶋口座長  それでは早速これから議事に入らせていただこうと思います。前回まで非常に活発な 御意見をメンバーの皆様方にいただきましたが、それを反映するかたちで中間的なまと め案として、皆様方のお手元にあります案を準備いたしましたので、これから事務局に 説明していただきまして、その後、全体のディスカッションをしたいと思っておりま す。それでは早速事務局のほうでよろしくお願いいたします。 ○事務局  それでは資料として提出させていただいております医薬用医療品の流通改善について 「中間とりまとめ」(案)につきまして、御説明を申し上げます。まず今回の懇談会の 開催の経緯というところが柱書きのところにございますように、医薬用医療品の取引に ついては、流通当事者間における自由かつ公正な競争の確保といった観点から、かつて 平成7年2月に医薬品流通近代化協議会が提言いたしました「医薬用医療品の流通近代 化の推進について」という提言を踏まえて、従来より様々な努力が重ねられてきたとこ ろで、当時は総価山買いですとか未妥結・仮納入、さらに文書契約の一層の推進といっ たこと、卸売業者さんの主体性のある取引といったものを提言されてきたところでござ います。  その一方で、近年、医薬分業の進展、卸売業の業界再編、IT化の進展といった流通 環境の変化が見られる状態にあるということで、このあたりの環境変化につきまして は、第1回目の流通懇談会が6月でございますが、このときに事務局からどのような変 化が起きているのかといったことをいくつかの資料に基づきまして、御説明申し上げて きたところでございます。  こうした状況を踏まえまして、今般、当懇談会が開催をされたところでございます。 この懇談会におきましては、医薬用医療品の流通過程の現状の分析をした上で、公的医 療保険制度の下での不適切な取引慣行の是正といったことについて検討を行うことによ って、今後の流通改善の方策を検討するというものでございます。なお、検討に当たり というところに書いてございますように、第1回目の懇談会におきまして、医薬用医療 品というものがそもそもどういうものであって、その流通のあり方を検討するに当たっ ては、もう少し理論的理想な考え方を整理することが必要ではないのかという指摘もな されたところであり、検討の視点ということで御確認をいただいた事項でございます。 医薬用医療品が医療を支える基盤であるということ。それを踏まえた上で、国民・患者 がより良い医療を受けられるように、(1)として生命関連製品としての医薬用医療品の 特性に即した流通過程における品質管理及び安定供給を確保すること。さらに(2)とし て、公的医療保険制度の下、市場メカニズムが効率的かつ適切に機能するような自由か つ公正な競争を確保することが必要であることという2点を確認をさせていただいたと ころでございます。  こうした検討の視点を踏まえて、これまで数次に亘る懇談会、さらには非公開の場で の準備作業会合というものを持たせていただいてきたわけでございまして、最後のパラ グラフでございますが、当面、平成16年末を目途に一定の結論を得ることとしていうこ とで始めさせていただいております。この意図するところと申し上げますと、通常、年 度当初に契約更新というものが行われるということを考えれば、平成17年度の契約更新 に当たって、今般、懇談会でとりまとめるものを踏まえて、新たなる決意をもって流通 当事者の方々において契約交渉、価格交渉といったものをお願いしたいというところで ございます。そういう方針の下に検討を重ねてきた結果といたしまして、本日、中間的 なとりまとめというもので御報告、御審議をいただきたいと考えてございます。  なお、当懇談会は今般の中間とりまとめでその役割を終えるというものではなく、引 き続き残された検討事項を、具体的には後ほど申し上げますが、診療報酬制度、薬価制 度のあり方といったようなことも議論がなされたわけでございます。その他、今後新た に生ずるであろう課題といったものについて、適宜必要に応じた検討というものを続け ていくこととしたいというふうに考えております。  具体的に中間とりまとめの「記」以下でございますけれども、まず1つ目の○で、医 薬用医療品の取引において、どういう指摘がなされたかというところでございます。ま ずメーカーと卸売業者との取引においてでございます。1つ目のポツはこれは事実関係 でございますが、卸売業者の売上総利益に占める割戻し・アローアンスの比率は拡大傾 向にあるということで、資料として出されておりましたものは、いわゆる一次売差、一 次仕切価と医療機関/調剤薬局への卸値との間の差ですけれども、一次売差は平均的に ゼロになっていると。その一方で割戻し・アローアンスというのが8%強ということ で、そちらの比率が拡大しているという事実でございます。  2つ目のポツでございますが、割戻し・アローアンスの支払基準として、これにつき ましては、冒頭申し上げた平成7年2月の提言におきましても、その簡素化・合理化と いうものが指摘されてきたところでございまして、この指摘に対しましては簡素化・合 理化は概ね進展しているという理解をさせていただいております。しかしながら同時に 指摘をされておりました卸売業者が、適切な利益管理の下、主体性をもって医療機関/ 調剤薬局との価格交渉を行うという指摘については、まだ不十分な部分があるのではな いかと。そのために個々の契約当事者間の交渉によって、特にアローアンスの内で支払 基準の不明確なものについては、可能な限り基準を明確にするといったことで、卸売業 者がみずからの仕入値を把握した上で、医療機関/調剤薬局との価格交渉ができるよう な仕組みにすることが望まれるということでございます。なお、注として、割戻しとい うものは通常、売上高の修正として経理処理されるもの、いわゆる仕切価修正といった ようなものでございます。アローアンスは通常、販促費として経理処理されるものとい うことで、報償費的な位置づけというところでございます。  次のページでございますが、卸売業者と医療機関/調剤薬局との取引でございます。 まず1つ目のポツは、やはりこれも事実関係でございますが、かつて医療品流通近代化 協議会、流近協で流通改善が叫ばれておりましたときに問題とされておりましたのが、 過大な薬価差ということでございまして、この薬価差を縮小するために流通改善を行う 必要があるというところでございました。この数字につきましては、薬価調査における 推定乖離率をみると、平成3年度の23.1%から、平成15年度には6.3%にまで縮小して きているということで、かなり過大な薬価差というものは解消されてきているのではな いかというふうに考えております。  2つ目のポツでございますが、卸売業者と医療機関/調剤薬局との価格交渉のあり方 と基本的な発想でございますけれども、これは個々の契約当事者間において経済合理的 に行われるべきであるということでございます。この場合、価格形成の条件として配慮 すべき事項として、購入量や配送コスト、さらに支払い条件として支払いまでにどの程 度の期日がかかるのか。さらにはその企業としての信用状況といったようなものが挙げ られますが、これらを考慮した上で、経済合理的な価格交渉というものが行われるべき であるという指摘でございます。  3つ目のポツでございますが、グループやチェーンによる一括購入というものが近年 見られているところでございますけれども、こうした取引というものはいわゆる本部と いったところが価格交渉を一括して行うといったことで、個々の医療機関/調剤薬局が それぞれで価格交渉を行うということと比べまして、取引に伴う費用の低減効果が見込 まれるわけでございますけれども、個々の取引に当たっては、その契約当事者間におい て、購入量としてのボリュームの多寡、具体的にこれについて申し上げれば、医薬品と いうものはかつてのように、この医薬品を1,000箱買うとか2,000箱買うとかというもの ではなくて、価格を決定した上で、必要な医薬品を必要なときに必要なだけ卸売業者か ら仕入れるといったようなかたちをとっておりますので、一時点で事前にどれだけのボ リューム、量を購入するのかということは、なかなか判然としないという事実があるわ けでございまして、そうしたことを踏まえた上で、購入量としてのボリュームがどの程 度になるかということを考えることが必要ではないかという点。また、本部が価格交渉 を一括して行うとしても、個別の医療機関/調剤薬局に対して配送を求められる場合が ほとんどであると聞いておりまして、そうした費用等を考慮した上で、経済合理的にど の程度の費用低減効果があるのかといったことを踏まえた価格交渉が行われることが望 まれるというふうにしております。  次のポツでございますけれども、いいわゆる総価取引というものでございます。購入 量の多い医療機関/調剤薬局の多くで総価取引といったかたちで、個々の医薬品の価格 交渉をするのではなくて、全体として何%引きといったような交渉、取引が行われてい るのが実態でございます。総価取引というのは1品ごとに価格交渉を行う取引と比べ、 取引に伴う費用の低減効果があるということでございます。実際、医薬用医療品12,000 と言われておりますけれども、その内、小さなところでも1,000、2,000という数の医薬 品を取り扱っているわけで、それを1つ1つ交渉していくということは、なかなか手間 ・労力もかかりますし、いずれにしても費用が生ずるということから、それと比べれば 総価取引といったかたちでの交渉というものは合理性があるわけでございまして、こう した取引は否定されるものではないと考えております。ただしということで書いてござ いますが、本来的には、理想的には、医薬品を採用するに当たっては、医薬品の価値と 価格を考慮した上で、採否を決定することが望ましいという指摘をしてございます。  次のポツでございますが、総価取引につきましては、これ自体を否定するものではご ざいませんけれども、結果的に医療機関/調剤薬局に対して、品目ごとの価格が明示さ れない取引というものがあるとすれば、それは薬価調査により把握されない取引でござ います。薬価調査によって市場実勢価格を把握した上で、それに基づいて薬価を決定す るという現行の薬価制度におきましては、その信頼性を損なう取引であるということか ら、公的医療保険制度というものの中で医薬用医療品というものが取り扱われる以上、 個々の取引において品目ごとの価格を明示するということが望まれるというふうに考え ております。  次のポツでございますが、購入量の大きい医療機関/調剤薬局を中心に、長期に亘っ て未妥結・仮納入を継続する事例が見られるという事実でございます。医薬用医療品に 関して、買った翌日にすぐに妥結するというわけにもまいりませんのが事実でございま して、しかしながら一定程度、それがさすがに1年を超えるといったような長期に亘る 未妥結というものも実態としてあるというふうに聞いております。こうした取引という ものは結果的に薬価調査による把握されない取引であるということから、先ほど申し上 げた価格が明示されない取引と同様に、現行の薬価制度の信頼性を損なう取引であると いうことから、やはり公的医療保険制度の下、個々の契約当事者間の交渉によって交渉 取引を是正することが望まれるものでございます。  最後のポツでございますけれども、かつてより指摘されております文書契約につきま しては、一定の進展というものが見られてございますけれども、未だ不十分な部分も残 されているということでございます。こうした部分につきましては、医療機関等の理解 と協力を得ながら、その契約率の一層の向上というものが望まれるものでございます。 また契約の内容につきましても、その契約の条項に反して、契約期間中に他の業者への 一方的な業者変更といったものが行われるとすれば、それは契約不履行ということにな りますので、そうしたことのないよう契約当事者間において契約に基づいた取引が行わ れるべきであるとしてございます。  最後のページでございますけれども、1つ目の○として、医薬分業の進展、共同購入 ・一括購入に対応した情報提供のあり方でございます。まず1つ目のポツでございます けれども、医薬分業の進展に伴い、従来納入されていた医薬品の納入がなされなくなる 診療所が増加しております。診療所で医薬分業をした場合には、ベッドがない限り医薬 品を現実に取り扱わないということになります。その結果、お医者さんは医薬品の処方 はするわけですけれども、その有効性・安全性に関する事項等、適正使用のために必要 な情報といったものが、メーカーまたは卸売業者から十分に提供されないというケース があるという指摘がございます。また、調剤薬局につきましても、医療機関内の薬局に 対してはメーカー・卸売業者が十分に情報提供を行っているのに比して、なかなか四万 数千という調剤薬局すべてに対して、十分な情報提供というものはなされないケースが あるという指摘があるわけでございます。  そもそも薬事法に基づきまして、メーカー及び卸売業者には、「医療機関/調剤薬局 に対し適正使用情報を提供するよう努めなければならない」という義務がございます。 このため、当該医薬品を処方する可能性のある医療機関やこれを扱う調剤薬局に対し て、みずからの責務としてインターネットを活用するなどの様々な手段を講じて、必要 な情報を効率よく提供することが求められているというふうに考えております。  次のポツでございますが、共同購入・一括購入といったかたちで本部が一括して購入 する。そして本部に納入された上で、それぞれの医療機関/調剤薬局にこれが本部から 配送されるといった場合につきましては、なかなか個々の調剤薬局に対して、メーカー ・卸売業者が情報提供を行うことが難しいということも考えられるわけでございます。 そうしたことのないように、納入先の調剤薬局、いわゆる本部薬局さんのほうがメーカ ー・卸売業者さんに対して、最終的にどこに納入したのかを通知するといったようなか たちで、最終納入された調剤薬局が適切に情報提供を受けられるようにすることが望ま しいというふうに考えております。  次の○で、返品の取扱でございます。返品につきましては現行モデル契約といったも ので、これは昭和62年の医薬品流通近代化協議会で策定されたものでございますけれど も、この中で瑕疵あるもの及び回収命令の掛けられたものについては、返品をするがで きるというような定めがございますけれども、それ以外の事例というものは想定をして いないところでございます。返品に関しましては前回の流通懇談会の場でも様々議論が ございまして、その実態をよく把握する必要があるのではないかという指摘がなされた ところでございます。  それにつきましては、今後、その実態把握に努めることとしたいと考えておりますけ れども、いずれにしてもあらかじめ返品に関するルールというものを定めていないとい うことが、現実に問題となっているのではないかというふうに考えておりまして、医療 安全または資源の有効利用の観点から、その実態把握に努め、モデル契約においてどの ような位置づけができるのかということを検討するとともに、そもそもできる限り返品 を生じさせない取引というものを推進すると。そうしたことによって返品に関する流通 改善に向けた取組みが求められるとしております。  最後にその他でございますけれども、医療安全の観点から、医薬品のトレーサビリテ ィの確保というものがいま求められているわけでございまして、メーカーさん、卸売業 者さんを中心として、現在、医薬品の流通コードの標準化、IT化というものを進めて おられるところでございます。今後ともこうした流通コードの標準化、統一化を含め て、医薬品メーカー・卸売業界、さらに医療機関/調剤薬局さんといった医薬品を取り 扱う様々な当事者、業界全体として、IT化に向けて引き続き取組みを推進することが 求められるということで、これには厚生労働省も併せて参画していくということを指摘 してございます。  最後のポツでございますけれども、医療機関/調剤薬局における薬剤管理費用や調整 幅の位置づけ等の課題について、引き続き本懇談会において検討を続けることといるこ とで、冒頭のほうで申し上げましたように、今後とも懇談会におきまして、こうした議 論について継続的に議論をしていくこととしたいというふうに考えております。以上で ございます。 ○嶋口座長  ありがとうございました。いま事務局から、今回の中間とりまとめ案についての御説 明をいただきました。これだけの14、15の各利害を代表する方々との懇談会でございま すので、なかなかキッパリとしたこれだというものを出しにくい状況ではあるのです が、その中で少なくともこういうところが問題である。それからこういうかたちが望ま しいのであるだろう。それからここについてはこうすべきである。こういうものについ てはいくつかの提言のようなかたちのものが、中間とりまとめ案としてここに示された わけでございますが、委員の皆様方にはすでに事務局から個別に、御相談されたと聞い ております。一応現時点の中間的なまとめとして、これを当懇談会として基本的なかた ちとしては承認していきたいと思っているわけですが、内容について、いろいろまた御 意見、御感想があると思いますので、早速これからその審議に入りたいと思います。ど んな立場でも結構でございますが、今回の中間とりまとめ案についての質問とか、ある いは御意見、あるいは感想、何でも結構でございますので、お出しいただければありが たいと思います。お願いいたします。 ○大塚委員  2ページの上のほうでございます。かつて過大な薬価差の問題が指摘されたが、薬価 調査における推定乖離率をみると、平成3年度の23.1%から平成15年には6.3%にまで 縮小してきていると。この6.3という数字でございます。流近協の提言で薬価差が不当 に高いということが提言されて、薬価差を少なくするようにという提言があったのでご ざいますが、そのことが少し効き過ぎたのではないだろうかと私は思うわけです。この 6.3という数字をどのように認識するかでございますが、消費税5%、調整幅1.3と私は 理解いたしました。ということは現在、調整幅2%でございます。現在の薬価よりも不 当に高いコストで薬剤を購入しているということになるのではないでしょうか。このこ とはもしメーカーが価格形成に参入されておられるならば、再販価格制度、ひいては公 取の公取違反になるのじゃないでしょうか。この6.3というのが非常に私は気になりま して、御検討をお願いしたいと思います。 ○嶋口座長  ありがとうございました。2ページの上のほうの卸売業者と医療機関/調剤薬局との 取引の最初のところの、事実関係のところでございますが、事実はこうなったというこ とを示しているのが最初の丸ポチのところでございますが、それについて6.3%はちょ っと効き過ぎたという、こういう御意見でございますが、何かこのあたりについて。 ○三上委員  これは大塚先生と同じ立場なのですけれど、6.3というのは11.3ということです。で すから要は薬価は次は4.3%下がるという意味合いですので、これは消費税を入れて6.3 ではなくて、消費税を抜いた話ですから、別にこれは問題ないと思うのです。ただ、私 が気になりますのは、ここの議論が本来行政がありメーカーがあり調剤薬局がありドッ キングがあるという流れの中で、ここの答申全体が川下の議論がものすごく多い。本来 行政の問題点あるいはメーカーの問題点といったものがあまり指摘されていないという 感じがいたします。  特に1枚目の最初の「メーカーと卸売業者との取引」のところですが、卸売業者の売 上総利益に占める割戻し・アローアンスの比率が拡大傾向にある。一次歩合差がゼロに なったという話がございますが、この原因についての言及がなく、要はこういった中で も卸売業者が適切な利益関係にもっと主体性を持って交渉できるようにしなさいという ことは、どういうことなのかということなのですが、私自身はこの書き方とすれば、割 戻し・アローアンスの支払基準の簡素化・合理化は概ね進展してきているものの、売上 総利益に占める割戻し・アローアンスの支払基準の比率は拡大傾向にあって、その原因 が何かということですが、その原因はアローアンス幅縮小による仕切価の上昇にあるの だということで、「適切な利益管理の下に主体性を持って卸売業者が価格交渉は行なえ るように、適切な仕切価の設定を望む」というふうに書いていただくほうが、メーカー に対する要望としてはいいのではないかと思います。  ただし、そういった個々の当事者間の交渉は、不明確なものは明確にすることも必要 であるというようなことは当然付け加えるべきですけれども、実際には卸売業者が仕切 価が高くなったことによって、余裕がなくなったと。医療機関も先ほどありましたよう に23.1から6.3に薬価差が縮小したということは、経常利益にしますと4%近くが減っ たということですから、医療機関も苦しくなって価格交渉自身もやっぱりかなり厳しく 交渉しますので、間に入っている業者は非常に苦しいと。メーカーからは仕切価を上げ られ、医療機関からは厳しく迫られるということで、一歩合差がゼロになったと。これ を直せということであれば、やはりメーカーに対して我々のところに来る会員の要望は やはり「メーカーの一人勝ちというのはけしからん」という話がいちばん多いわけです から、その辺のところに対する要望を書いていただくほうがいいのではないかというふ うに思っています。 ○嶋口座長  それでは最初のほうのまず6.3%まで薬価差が縮小した。これについてはいろいろな 事情もあるし、消費税はここに含まれていないということで、御意見としては1つあっ たというふうにしておき、2つ目の今の三上先生からの問題でございますが、取引のほ うの問題については、その原因の究明がはっきりここには示されていないと。川上に近 いところの仕切価の問題。ここあたりを少し入れたほうがよいという、そういう御提言 と見たほうがいいわけでしょうかね。そういう御意見をいただきましたが、何かそのあ たりについて。では事務局のほうからちょっとお願いいたします。 ○事務局  先ほど冒頭の御説明のときに申し上げるべきだったのですが、そもそもこの流通改善 懇談会での議論のとりまとめに当たりまして、私ども公正取引委員会さんと相談をさせ ていただきました。その意図するところを申し上げますと、1回目の懇談会のときにも 議論がございましたけれども、結局利益の分捕り合戦のような話になってはいけない し、結果としてこの懇談会の成果が、いわゆる自由な競争というものを制限するような 行為につながるようなものであってはならないということから、公正取引委員会さんの ほうと御相談をさせていただいて、価格形成のあり方といったようなことで御議論をい ただいておりましたけれども、その価格形成自体はそもそも流通当事者間の個々の契約 当事者間で決定すべき問題であるということでございますので、そういう個別の契約に おいて判断されるべき事項というものは、極力私どものほうで直接の言及は避けるよう なかたちで、私どもの思いというものをそれぞれの当事者が御理解いただくというよう な記載に留めているところでございます。 ○嶋口座長  ありがとうございました。 ○柿田委員  柿田でございます。私もこれを見せていただいたときに思ったのですが、今の三上先 生のお話と同じで、この流れの中でキーワードになる割戻しであれ、アローアンスであ れ、私どもの大病院の契約の問題であれ、ほとんどこれは川の流れの一連の問題でござ いまして、川下の議論と川上の議論が進んで連携していないために次の対策に話が進ま ないのであろうと思います。どうしてこのような状況かというのは当事者間はそれぞれ お分かりになっているのだろうと思うのですね。例えば一次売差がなくなったというこ とはどうしてかというのは、その両者間でお分かりだと思いますし、私どもとしてもな ぜ契約が1年遅れるのか、文書契約ができないのかというのも、多分当事者双方は理解 していると思うのです。それはどういうことかというと、やはり川の流れのいちばん上 のところから話が始まって非常に不明朗で、しかも一年ずれになるので、川下ではどう しても遅れてくるのだという結果になるのだと思うのですね。  例えば割戻しはある商取引の後で起こる結果でございますし、取引がそれだけが頼り になるとすると、当然、医療機関現場の契約というのは、いくら入札でやっても遅れま す。こういった問題が一方では生命にかかわる薬品であるということも考えると、止め るわけにはいきません。その辺のギャップがこの薬品の流れの中で、不具合な感じにな るのであろうと思います。次回、もしこの検討が続くとすれば、やはりなぜだというと ころの議論をもう少ししてみる必要が本来あるのではないかと思います。今まで自然の 流れで今日の流通の実態があったわけでこれが不具合であるとするとその辺の現実との ギャップをもう少しさらけ出して議論しませんと、とても解決しないのではないかなと 感じております。以上です。 ○嶋口座長  ありがとうございました。それではもうお一方の御意見です。 ○江口委員  ジェネリック医薬品販社協会の江口でございます。ただいまは制度そのものが私ども にとってはおかしいと。薬価改正と薬価の決定。これが我々としてはどうも不審に思う わけですね。と申しますのは、この前のときから申し上げておりますが、先ほどの総価 価格と未妥結のやつ。ああいうふうな大量に買われるところの安いものに対しては、調 査に入っていないと。最終的に私どもは価格をそのときそのとき、例えば4月の薬価改 正がありましたら、その時点で本当の価格に変えるわけですね。そうしますと、どうし ても先発品との差が出てまいります。そうしますといよいよジェネリック医薬品の価格 が下がりまして、もうこれ以上は商売ができないのではないかなと思われるほどに、薬 価が現在下がっているわけなのですね。世界的に見てジェネリックは普及させるべきだ と。健康保険制度そのものの維持。薬剤費用を減少させる。そういうふうな立場からす ると、もう少しジェネリックに対する配慮をお願いいただけないかなという気がするわ けです。  と申しますのは、この6.3%に5%で11.3%ということですけれども、同じ11.3%で も、100円の11.3%と10円の11.3%では、全然グロス面で違ってまいります。今回の薬 価改正で相当に開きが出まして、現実に以前と比べるとジェネリックの伸びが少ないと も、逆に考えると減少しているのではないかなと思われるようなふしがあるわけです ね。そういう面ではぜひ健康保険制度と薬剤費の減少というそういうふうな立場から も、乖離に対しては、ある程度ジェネリックに対しては認めていただきたいなという気 がいたすわけでございますけれども、いかがでしょうか。 ○嶋口座長  ではそれについてよろしいですか。課長からお願いします。 ○経済課長  直接のお答えというのはちょっと難しいのですけれども、今回もこのいちばん最初 に、また前回も出ておりましたけれども、今の保険制度あるいは薬価制度といったもの の中で、そういったものを前提に皆さん方で御議論をいただいて、どこがおかしいか、 あるいは他の業界と比べると、こういったところがちょっと異常だとか正常じゃないと かそういったことがある。あるいは公的保険制度の下で見ると、結果的にはあまり目指 しているものと違うと。そういったところは現行の仕組みを基に、どこがおかしいかと いうことは御指摘いただければということで、年内を目途に御議論いただいたというこ とでございます。さらにそもそもの流通のあり方として、どうかといったようなことも 本当は議論をしたい。こういったような御要望は前回もあったと、こういうふうに理解 しております。  あるいは薬価の付け方はそもそもどうなっているのだといったことも、御議論がある のかもわかりません。あるいは薬剤管理費用とか調整幅というのは、こういうふうに変 わってきているわけですけれども、今後、それをどういうふうにしていくのだといった あたりも、ここでの最終的な権限ということではないのでしょうけれども、こういった 流通の立場からのかたちでの御議論があってもおかしくはないと、こういうふうに私ど もは認識しております。そういった意味できょういただいた御意見に、直接こうだとい うふうなことはなかなかお答えしにくいのですけれども、そういったことにつきまし て、今後も御議論いただくのは、大変結構なことではないかというふうに思っておりま す。  それからあと三上先生がおっしゃいました、メーカーと卸との間の個々の取引の仕切 価が高いか低いか、こういったところまでいわば個々の当事者間の契約内容にまで踏み 込むというのは、なかなか難しいと思います。ただ、そこで行われる取引が正常じゃな いような何か慣行があったりするのであれば、そのことについては御指摘をいただかな ければならないだろうと、こうえいうふうに理解をしておりまして、その点に関しまし て、この半年の間に出てきて内容ということで申し上げますと、ここにありますように 割戻し・アローアンスのうちの不明確なものは、どうも他の業界と比べてもおかしいの ではなかろうかと、このような御指摘があったと、こういうふうに認識してございま す。  そもそもの今の仕組みの下で、自然にこういうふうになっていったのだと、こういっ たこともあるかと思います。そういう意味で、逆に仕組みのほうを議論しなければいけ ないといったような御意見として、私どもとしては承らせていただきたいと、こういう ふうに思います。 ○江口委員  ジェネリックの市場を高めていくというような気持で、我々はジェネリック使用促進 運動というような格好での販社の方向があったわけなのですね。現実に薬剤費を少なく するということには、ジェネリックを使えばいいじゃないかということになると思うの ですが、ただ、その使用促進を促しているのは我々販社じゃないかと思うのです。広域 卸の皆さんも確かにジェネリックをお使いでございますけれども、まず率先してジェネ リックを使おう、販売しようとおっしゃるところは、割合少ないのじゃないか。私ども としてはそういうジェネリックを普及させることによって、健康保険制度に何か貢献す るのじゃないかなという気持でいるわけですけれども、そういう意味ではジェネリック に対するこの乖離の問題を、少し検討いただければいいのじゃないかなという気がする のですけれども。 ○嶋口座長  どうもありがとうございました。ジェネリックのお立場と同時に、もう1つ、製薬協 のお立場があると思いますので、そちらのほうの今回の中間とりまとめに対する御意見 なり御感想がございましたら、まず。 ○仲谷委員  日本製薬工業協会の仲谷です。全体の中間とりまとめに対するコメントといたしまし ては、こういうかたちは、ずいぶん私たちがこれまで議論してきた中身から比べます と、表現的にはマイルドになっていますけれども、先ほど事務局のほうからのお話もあ りましたように、独禁法の絡みとかそういうことをいろいろ考慮しましたら、やはりこ ういう表現にならざるをえないのかなという、全体に対する印象としてはそんなことを 感じております。  それから1点、私たちの立場から。これは制度的な問題でということではなくて、む しろ研究開発型のメーカーの立場ということでの要望になるわけですけれども、2枚目 の4つ目と5つ目の黒ポツにあります総価取引についてでございます。すでに前回の会 合の折に大来委員のほうから御理解を求めたところではございますが、今回、中間とり まとめにあたりまして、再度お願いさせていただきたいというふうに思います。  すでに何度も御紹介させていただいているところではありますが、薬価そのものが当 該製品を販売しているメーカーにとりましては、大変重要な財産であると、再三に亘っ て述べさせていただいてきております。また、その薬価の改定ということになります と、卸と医療機関の取引慣行の下に行われておりますので、メーカーの関与できる余地 がないという状況にあります。そこでぜひお願いなのですが、例えば一律に薬価の何% 引きといったような総価取引につきましては、本中間とりまとめにありますように、薬 価制度の信頼性という観点からだけでなくて、その製品の価値をまったく無視した取引 であるという点からも、その卸さん、あるいは医療機関の皆様方に対して、ぜひその是 正について強くお願いをさせていただきたいと、そんなふうに印象として、またお願い として持っております。以上です。 ○嶋口座長  最終のユーザーである医療機関あるいは薬剤協会その他、それからジェネリックのお 立場、それから今メーカーさんのお立場があったのですが、この改善懇の中での中核を 占める卸のお立場がまだまったく声がないので、ここでよろしくお願いいたします。 ○松谷委員  卸連の松谷でございます。今回の中間まとめにつきましては、平成9年の流通近代化 協議会の廃止後、流通当時者間の話し合いの場がずっと持たれなかったので、これをぜ ひ持って欲しいということで、私どもがこのような懇談会の開催をお願いをし、それが かなったという意味で、大変感謝致しております。また、中間とりまとめということ で、今回の議論はその中間的なものであり、積み残したもの、また大きな制度的なもの 等については、今後まだ議論をするというふうに言っていただいたことについて、大変 感謝をしております。そんな中で若干それぞれの項目について、私どものコメントを最 初にさせていただきたいと思っております。  メーカー・卸間の取引について、アローアンスについてということで医療用の医薬品 の取引項目で、割戻し・アローアンスについて言及されておりますが、御高承のように 市場は常に変化していますので、メーカーの方々には市場の変化に対応した利益大綱の 変更を、やはり薬価が決まって次の薬価が決まるまでの間でも、柔軟に対応していただ くように要望をいたします。  我々と医療機関/調剤薬局等で決まっていく価格そのものが、また次の薬価に影響す ることも十分承知しておりますけれども、私ども卸は絶えず利益率がずっと減っており ます。制度の上で言えば前にあったR幅の15から2になったときのその狭まった幅につ いては、基本的には診療報酬に振り替わっていると中医協の中では理解しておりますの で、その意味で言うと、取り分が本当に減ったのは、流通のほうであるというふうな被 害意識をある意味では持っているということを、ちょっと申し上げておきます。  それから総価取引についてですけれども、現行の薬価基準制度は銘柄別収載ですの で、取引のあり方として医薬品の価値と価格を考慮した上で、採否を決定することが望 ましいと記述されていますように、個別の品目の価格交渉がなされずに、全取引対象品 目の薬価総額から一律に値引きをする全品総価契約は不適当であるというふうに、私ど もは考えております。このような全品総価契約は、個別の価格が決まらないために、こ れが薬価調査の対象として報告されていないということもやはり問題でありますし、こ の部分が増えるということになると薬価調査に対する信頼性が失われてくるのではない かというふうに思っています。  それから未妥結・仮納入につきましては、是正の必要性が指摘されているのは当然だ と思いますが、未妥結・仮納入は要求される価格条件が厳しすぎて、価格交渉の場がな かなか持たれないようなケースが多いので、そういう意味では価格交渉の場というもの を早く持っていただければ、それだけ価格妥結は早くなると思うのです。ここ何年間、 価格交渉そのものが1年経ってからという状況になっていることについては、薬価が変 わってすぐ価格が決まるとは思いませんが、もっと早く交渉を始めていただきたいとい うことをお願いしておきます。  文書契約についてですけれども、文書契約の推進が指摘されていますし、卸としても 医療機関/調剤薬局との理解協力を得て、契約率の向上を図っていきたいと考えており ます。中間とりまとめ案では、契約の内容について不平等な片務的な状況の是正は当然 のこととされましたので、卸として適正化に努めていきたいと考えています。また、モ デル契約書というのが昭和62年の流通近代化協議会の中で決まって、それがモデル契約 書として存在しているわけですけれども、その後、商法の改正等いろいろありましたの で、もう一度このモデル契約書は返品条項も含めて、医療機関と我々、我々とメーカー さんとの間の取引契約について、再度この場でいろいろ意見を申し上げ、議論をする場 にしていただければなとこんなふうに思っております。  それから今後の検討課題として、トレーサビリティの確保と医薬品の安全の観点か ら、IT化の推進等について議論をする。また薬剤の管理費用等を含めて、調整幅のこ とについても議論をしていくというふうに指摘されていることについては歓迎をしてお りますし、その意味については、我々も積極的に議論に参加していきたいというふうに 思っています。  最後にちょっと卸の立場として申し上げたいのは、本年はもう大変災害が多くて台風 や地震等がございましたけれども、こういうときになると、医薬品の適切な流通また在 庫確保が社会的にも非常に問題になります。今回も新潟の震災、台風の被害に対して、 組合員全員がきちんと対処したという意味で、社会的に評価を受けられるだけの機能を 我々は持っているというふうに思っております。また将来の医薬品の安全性等も含め て、質の高い流通のために投資を続けながら、今後とも医薬品の流通で社会に貢献して いきたいというふうに考えているということを、最後に付け加えさせていただきます。 ありがとうございました。 ○嶋口座長  どうもありがとうございました。いま一通りではまだないのですけれども、そのお立 場の御意見をいただきましたが、では関連的に。 ○大塚委員  ただいまの松谷委員の発言の中に、平成2年、羽田医師会長の時代に中医協で薬価差 益をゼロにする。その代わりに診療報酬に転化するという日本医師会の議事録がござい ます。しかしその後、そのような診療報酬にその分を転化したという記録はまったくご ざいません。もしございましたら、教えていただきたいのです。 ○松谷委員  平成7年の流近協の提言の中に、診療報酬に振り替えるのを見えるかたちで振り替え て欲しいと要望されております。要するに薬剤管理に関わる部分として振り替えたとい うふうに見えるようにして欲しいと言っているのですけれども、我々にも振り替わった 部分がどっちに振り替わったのか判らない。ただ数字的に薬価の引き下げ部分がこれ で、その分の診療報酬振り替えはこうなったという説明だけが中医協でされていて、そ の中身として薬価の部分がどうなったか判らない。我々も流近協の中では薬剤管理に関 わる形として振り替えてもらわないと、医療機関との交渉で非常にやりにくいのだとい うことは、何回か申し上げております。現実的にはそれは総括的なものに振り替えられ ていたのではないかと、理解しているのですけれども、医療機関さんからはそれは振り 替わっていないと、価格交渉をする度に言われているわけですけれども、トータルとし て中医協では「振り替わった、振り替わった」と言われているのも事実でございます。 ○嶋口座長  このあたりの問題はちょっとまた今回のこの懇談会の中で議論すべき問題か、ちょっ と別のマターになりますので、もうちょっと中心的な「中間とりまとめ案」に関連した ところで、御意見をいただければありがたいと思います。はい、井上さん。 ○井上委員  ジェネリックのメーカーとしましては、先ほど販社協会さんのほうからはこの薬価程 度あるとかいうような御意見も合ったようなのですけれども、医薬工業協議会、ジェネ リックメーカーといたしましては、中間とりまとめとしてはこれで結構ではないかなと いうふうに思います。それから現行薬価制度の下ですので、安く売れば薬価が下がる と。これも当然のことでございました。それによって率がどうとかいうようなことは、 後発のメーカー側としては一切考えておりませんので。 ○嶋口座長  他には御意見ございますか。 ○関口委員  日本病院薬剤師会の関口でございます。2ページ目の4つ目のポツと5つ目のポツの ところですけれども、ここは総価山買いの制度の話について一応書かれていて、こうし た取引は否定されるものではないと。ただ、5つ目のポツのところへ行って、基本的に は個々の品目の価格が明示されない取引が多いので、信頼性を損なう取引なので、品目 ごとに価格を明示しなさいというのが主旨だろうと思うのですが、そこの4つ目のポツ のところの、「本来的に」というところで、「医薬品を採用するに当たり、医薬品の価 値と価格を考慮した上で採否を決定することが望ましい」というところの文言なのです けれども、医療機関としては、例えば医薬品の採否を決定するに当たっては、もちろん 医薬品の有効性ですとか安全性等々を考慮した上で、病院として医薬品が必要かどうか ということを検討した上で採否を決定するのであって、結果的にそれが採用された後、 その取引として総価になるのか単価契約になるのかというようなところの部分なので、 ここにいきなり医薬品の採否の話がポッと入ってくるのは、何となくちょっと違和感を 覚えたのが一ヶ所あります。 ○嶋口座長  どうもありがとうございました。そこは事務局から何か御意見はございますか。 ○事務局  私どもの思いとしては、価値と価格を評価するということは、それが品目ごとに価格 が決定されるということを意図しております。そういう主旨でこれを書いていただけれ ば、ありがたいと思っています。 ○関口委員  価格をどうするかということが前提で、医薬品の採用を決定するということではなく て、病院としてこの薬を使いたいので、採用を決めましょうと。その後、価格をどうす るかというような交渉に入ってくる部分が、普通の医療機関としては多いケースなので すね。もともと総価の山買いをやりますということが前提で、そのうちのこの品目をど うしようかというのは、採用の負プロセスにはなっていないというのはあると思うので す。 ○嶋口座長  ありがとうございました。それは貴重な1つの御意見として伺っておきたいと思いま す。ありがとうございました。三上先生。 ○三上委員  今の総価の問題ですが、ここの4つ目のポツと5つ目のポツというのは本来矛盾した もので、総価を認めながら個々の品目にしろというのは、本来どちらかにしないと無理 だと思うのですね。それと先ほど製薬協のほうから、総価が非常に問題だというのは、 薬価基準が非常に大事な財産であって、メーカーが価格形成にタッチできないために、 総価は非常に問題があるという発言でしたけれども、確かに製薬メーカーが直接価格形 成にタッチできないということは、我々医療機関にとっても非常に大きな問題だと思っ ています。  実際はいろいろな製薬メーカーのいろいろな医薬品を使用する際に当たって、病院の 立場からすると、製薬メーカーと価格交渉したい。Aという会社のものを使うか、Bと いう会社のものを使うか、同種同高品位の場合にはそこで価格交渉をしたいわけです が、今のこの流通の中でいちばん問題は仕切価制度に入って、メーカーが価格形成にタ ッチしないと。一応タッチしないという建て前になったことが、いろいろな問題を起こ している。総価の問題もそうですし、仕切価が上がってR幅が非常に少なくなって売差 がなくなったということも、すべてそこに原因があるので、この制度自体を何とかしな いと、ずっとこの問題は続く。  そして我々は会員から責められるのは、非常に医薬品が高くなった、薬価差が非常に 少なくなった、メーカーの一人勝ちというのは許せないというようなことが、非常に強 く講義されてくるわけですけれども、これはやっぱり建値のというか、仕切価制度の問 題がありますので、流通の問題の根本はここにあるのじゃないかと、私は思っているの ですけれども。 ○嶋口座長  どうもありがとうございました。このあたりは先ほど二川課長からもちょっと御説明 があったと思いますが、この4月から始まって、実質的に半年間で前提としての制度の 問題まで切り込むのは、ちょっと過大なテーマかなということで、それはむしろ省とし て流通の改善に対する問題を議論しようとなって、そしてこの1つの中間とりまとめ案 だと思います。ですからいま三上先生にいただいた御意見は非常に貴重な意見でござい まして、それは今後課題として考えなければならないけれど、とりあえずここの中間の とりまとめの中では、流通についての改善の問題として、確認したいという、そういう 意図で事務局がつくっていただいたてと思います。それでよろしゅうございますか。し かしいま三上先生のおっしゃった根本的な問題は、もっと他の分野との調整が非常に必 要なテーマにかかってくる重要な問題だと思います。ありがとうございました。 ○柏木委員(今川委員代理)  保険薬局協会の柏木でございます。このとりまとめ案につきましては、協会としては 一定の評価をさせていただきたいと思っております。しかしながら今までも個々の当事 者間において、経済的、合理的に行われてこなかったわけではなくて、そういったかた ちを進めてきながらも、今日のようになってしまったということをもう少し踏まえてい きますと、例えば今も三上先生から御指摘がございましたように、総価取引は否定しな いが品目ごとに価格を明示するという、ある意味では評価矛盾点として玉虫色の部分が ないこともないと思うのですが、価格交渉のあり方と価格形成のあり方をもう少しバル セパレートして、例えば総価取引を否定しないというのは、これはある意味では価格交 渉のあり方だと思いますし、品目ごとに単価を設定するというのは、ある意味では価格 形成だと思います。  その価格形成について卸しさん側からしますと、いわゆる原価計算上のため品目ごと の単価が必要ではないかなと思いますが、このとりまとめ案の中では「正確な薬価調査 が行なえないので」という理由になっているわけで、だとすれば、現行の薬価基準制度 は変えなくても、薬価調査のあり方を変えることによって、そういったことがクリアで きるならば、あながちそれも否定できないのではないかという感じがしないでもないと いうことでございます。 ○嶋口座長  どうもありがとうございました。ではメーカーのお立場からどうぞ。 ○仲谷委員  製薬協の仲谷ですが、先ほど来、仕切価の川上のほうの問題だとかそれから高仕切価 ですというふうな、いろいろな御指摘をいただいております。そのことについて本当に どうあるべきかという御議論をするべきだという御指摘をいくつかいただいております し、私もそういうことについての御議論をしていただく、あるいはさせていただくこと については、まったくやぶさかではありません。ただ、今の薬価制度を前提としたとき に、薬価改定というのは市場の購入価格に薬価を合わせるというのが前提で薬価改定が 行われているわけで、薬価が変わったからといってメーカーが仕切価を変えなければい けない話でも、購入価格を変えなければいけないという話でもまったくない。そういう 前提が今の薬価制度として基本にあるのだということについて、もう皆様は十分に御理 解いただいているところだと思いますが、あえて述べさせておいていただきたいという 気がしました。以上です。 ○嶋口座長  ありがとうございました。三村先生からちょっと第三者的なお立場で、御意見をいた だきたいと思いますが。今回の中間的なとりまとめ案についてのお考えということで。 ○三村委員  そうですね。しばらくこういった流通改善に関してまったく話し合いの場がなかっ た。そしてようやくこういう場が設けられたということで、これについて大変意義は深 かったというふうに思います。またちょうど事務局のほうから何度も御説明がございま したように、やはり時代の流れの中で、やはり独禁政策そのものも大きく変わってきて いるということもありますし、またこういうところで個々の企業の取引そのものを、あ あするべきだ、こうするべきだというべきではないというお立場でありますので、こう いったようなかたちで一応中間まとめ、あるいは中間のあり方ということでとりまとめ をされたことについては、私は評価したいというふうに思います。  ただ、それに関しまして、これから今後これについて、例えば業界の立場、あるいは 相互にメーカー、卸、あるいは医療機関との間で、やはりどういうふうに改善をしてい くかということが、やはり話し合いとかいろいろな具体的な工夫をしていくことが評価 大事だろうと。また先ほど制度という話をしました。これは評価大きい話でありますの で、やはり日本の医療制度そのものをどうするかということも当然出てまいります。  そうするとこの場でその議論をするというのは、先ほどの大塚先生のお話にありまし たように、やはり持ち込まれた問題が流通の問題として大きすぎるという話もあるだろ う。そうするとやはりそのことを少し皆が、やはり現在やるべき流通の具体的問題とい ちばん深刻な問題についてだけは、相互にやはり共通の理解ができたということについ て、きちんと認識をしておく。また現在、ある意味ではやはり過剰であるとか、どう考 えても非合理的であるというふうに考えるものについての歯止めをやっていくというこ との意思表示を、この中間とりまとめがやったのだということを明示すれば、私はいい のではないかという感じはいたします。私自身も皆様と同じように不満はあるわけなの ですが、そういう感じがいたします。  そういう中でやはりどうしても第三者的に見ても、例えば先ほどの総価山買いそのも のも、現状の中では確かにこれはビジネスの論理からすると、どうしても否定できない ものもあるという話もございます。しかしやはり全品総価といったような考え方とかあ り方は、やはりどうもおかしいということもありますし、それから医薬品というのが将 来日本を支えるやはり重要な産業であるという意味で考えると、価値というものを基準 にして価格設定は行われるべきであるというこの共通の考え方にもう一度帰るべきだと いうこともあるだろうと思います。  それから返品の問題につきましても、確かに契約をもう少し標準的に契約書で整理す べきだというのは、これは今度これから逆に製薬協とか医薬品卸さんの間で、いろいろ お話し合いがされるべきだというふうに思いますし、また、今の医薬品流通の最大の問 題は、やはり欠品を起こしてはいけないし、絶対に安定調達、安定供給が必要であると いうことを前提にすると、もう少し流通在庫をクリアにできるという方法論はないのだ ろうかという感じもしております。どこかで過剰であって、どこかで欠品が起こるとい うような状況そのものが、少し放置され続けている。だから言い方としては、非常にお 互いの利益を、お互いの立場を言い合う場が必要であるとともに、今度は相互にどうい うふうにして共同で問題解決をする仕組みをどうつくるかという場をもう1つ、今度は おそらく企業同士とかあるいは業界の関係の中でつくっていただくという流れを、こう いうものを前提としてやっていただくのが、いいのではないかというふうに私自身は思 いました。 ○嶋口座長  どうもありがとうございました。それではどうぞ。 ○大塚委員 具体的なことではございますが、ただいまちょうど卸売業者に厚労省医政 局経済課の方々が実態調査に入っておられます。調査を受けている卸の方に話を聞いた のですが、「薬品の売買価格については調査がございますが、割戻し・アローアンスに ついては調査がございますか?」と言ったら、「ございません」ということでございま した。したがって適正な薬価調査を行うと言いながらそういう状態で、ちょっと私はお かしいなと思いましたので、あえて発言させていただきました。 ○嶋口座長  はい、それについてちょっと事務局サイドから。 ○事務局  今の大塚先生の御発言に関して事実関係を申し上げたいと思います。確かに現在、卸 さんにいわゆる実態調査ということで、私どもは他計調査という言葉で申し上げている のですけれども、その中で実際に卸さんと医療機関、卸さんと調剤薬局さんの取引価格 について実際の伝票まで立ち入って、実際どういう価格で取引されているのかを実地で 調べてくるということの調査を、全国のブロックを分けて、手分けしていま行っている ところでございます。私どもが調べているその価格というのは、あくまで卸さんと医療 機関、卸さんと調剤薬局さんの取引でございまして、これが最終的にはまた将来は薬価 調査というかたちになって、それがいわゆる薬価基準の算定の根拠になるわけでござい ますけれども、私どもその調査の際には、メーカーさんと卸さんとの取引は調べており ません。ですから結局、最終的に薬価調査するものは、あくまてでメーカーさんと卸さ んの価格を調べて、それで薬価を決めるのではなくて、卸さんと医療機関、卸さんと調 剤薬局さんとの取引を基に算定をいたしますので、そこでの取引ですから、当然割戻し ですとかアローアンスは基本的にない取引でございますので、その取引価格を調べさせ ていただいているということでございます。それが事実でございます。 ○大塚委員  と言いますと、メーカーから卸に割戻しあるいはアローアンスが渡るということは、 薬価が下がるのを防ぐための手段であると。高い仕切価格でメーカーから卸に医薬品が 流通して、それが医療機関にその価格で売られているということは、高い薬価を維持し たいがための1つの手段に過ぎないというふうになります。これは適切な流通とはどう しても考えられません。 ○嶋口座長  では関連的な御意見で。 ○高見医員  製薬協から申し上げますと、卸さんの売上総利益と申しますのは、たまたまいま売差 ゼロとなっていますが、一次差益+割戻し+アローアンスと、これが卸さんのいわゆる グロスマージンと申しましょうか、売上総利益なのですね。その中から卸さんのコス ト、いわゆる販売管理費、一般管理費を差し引いたもの。これが卸さんの利益という形 で出てきますので、おっしゃる薬価云々を下げないようにしているだとか、そういう問 題とはちょっと違うと思うのですね。現在、卸さんは割戻しというのはいわゆる正味仕 切価格でございますから、それ+アローアンスを勘案して、みずからの販管費をそこか ら差っ引いて、どれくらい利益が出るかということで、販売価を決めておられるわけで ございますので、そういう意味では価格はまったく卸さんが自由に決めておられるとい う、こういう現状でございます。 ○嶋口座長  ちょっとここの議論でその問題はあまり深くやっても、今回は中間とりまとめ案につ いてのもので、もちろん今のテーマは非常に関連はあるのですが、このとりまとめ案そ のものについてとはちょっと外れますので、それは1つの貴重な御意見としてあったと いうことを、事務局サイドのほうでぜひこれはメモをさせていただくというふうに留め たいと思います。どうもありがとうございました。あと何か、その他にこの中間とりま とめ案のことに関連して、直接御意見がございましたらどうぞ。 ○関口委員  3ページの最初の○ですけれども、「医薬分業の進展に伴って、医薬品が納入されな くなる診療所が増加している」という書き方でありますけれども、ここは病院の中でも 院内処方だけの品目に限定して採用する機関等がかなり増えていまして、むしろここは 診療所というよりは、医療機関というかたちで訂正していただいたほうがいいのかなと いう気がひとつしております。それから2つ目のポツの共同購入・一括購入も、調剤薬 局の他にチェーンの病院ですとか大きい病院での一括共同購入というのもありますの で、ここも医療機関という言葉を1つ追加したほうがいいのかなと思っています。 ○嶋口座長  これについて、事務局サイドからお願いします。 ○事務局  1つ目のポツの診療所を医療機関に直すということは了解いたします。2つ目のポツ の共同購入、一括購入の医療機関の場合は、医療機関は相互に融通するということはで きませんので、それは個別に配送をされているということを前提としております。ここ は調剤薬局とさせていただきたいと思います。 ○嶋口座長  ありがとうございました。それではまだいろいろ議論があるかもしれませんが、私も 座長として、いろいろそのお立場から見ると極めてもっともな御意見がたくさんあった と思います。ここで難しいのはおのおのの立場からの総合的な中で1つの案をつくる。 これが今回の中間とりまとめ案でございますので、先ほど委員の方から御指摘がござい ましたように、やや玉虫色的かなというところはこれは否めない事実かもしれません。 しかし、自由かつ公正な競争を促進するけれども、ここに大きな公的な医療保険制度と いうものが被さっているわけで、その中で制度そのものが基本的にある程度決まってい ると。  そこの中での自由かつ公正ということで、そうしますと厚生労働省的な大きな枠組み と同時に、もう1つは公正取引委員会との関係がございます。事務局サイドでは先ほど 冒頭で事務局側からお話しいただきましたように、相当いろいろな議論を重ねているよ うでございます。実際に踏み込みたいということに対しては、公正取引のほうでは、そ れは厚生労働省として、あるいはここの流通改善懇談会として、踏み込むべきかどうか ということについては、非常にいろいろな制約を受ける結果になると思います。したが ってここでは、これはやりたいけれども「望ましい」という表現になっていたり、ある いは少なくとも契約については「これはすべきである」とか、表現については微妙なニ ュアンスが含まれていると思います。  そういう意味で事務局では、相当このあたりは苦労されて表現をつくって、その結果 がすべての利害者の方々に対しては、ちょっと自分たちの意見が反映していないとい う、そういう御意見もあるでしょうし、またどうしてここはもうちょっと踏み込んだと ころまで入ってくれないのかという御意見もあると思いますが、そのあたりはこのわず か6ヶ月弱の中で出る結論でない部分が多々ございますので、それは座長ないしは事務 局の預かりテーマとしていただきまして、このは範囲の中でできるだけ、もう少し改善 すべきことを改善した上で、最終的な中間とりまとめ案として出したいなと思っており ます。  冒頭でもございましたように、これについてはさらにいろいろな議論を引き続き続け ていくというふうに予定されているようでございますので、こんなかたちでひとついか がでしょうかということが、今回のお願いであり、また皆さん方の御意見をお聞きした かったところでございますが、いかがでございましょうか。一応こういうかたちで、今 回までの中では今後審議事項がたくさんあるけれども、1つの方向を示したと。少なく とも平成7年に出された旧流近協の中での問題に対して、新しい時代の流れの中でどう いう問題がいろいろ出てきたかということで、これがひとつ明確にされて、それに対す る柔らかい方向付けというか、方向付けではないのですが、柔らかい1つの考え方とい うのが何となく出て、しかしあとはこれはもう当時者間で自由にやってくださいとい う、これが基本的立場です。  今回大きかったのは、特にかつて総価山買いと言われて、今は総価取引と言われてい ますが、今まではこれはちょっとダメだよという感じが、これがもう当事者間に任せる しかないなというあたりは出た。これについてご不満当然出ると思います。変化という のは当然、従来もいたりする各利害者の中にご不満が出ると思いますが、しかし公正取 引の関係から行っても、ここはダメですとは言い切れないというこの苦しさも当然ある わけでございます。ですからこれについては否定できない。しかし、この制度の下で は、ある程度ここは当事者間で十分に考慮してやってください。それから見妥結・仮納 入なんかについても、本来ならばこれは問題であると言いたいところですが、しかしそ れもなかなか言えない問題がございます。これは当事者がそうやって納得してやってい るのなら、これはもう仕方がない。これが公正な取引ではないかという、そういう見解 もあるわけですね。  ですからそういうことを多々踏まえますと、結局玉虫色にやや近いものになると思い ますが、しかし私はこういう現実の問題のなかで、唯一絶対の正解というのはありえな いわけですから、1つの懇談会のこのわずか6ヶ月くらいの中で出た大きな中間的なと りまとめ案としては、こんなかたちなのかなと。それについて、まあこれでいいのじゃ ないかとおっしゃってくださる先生方もたくさんいらっしゃいますので、こういうかた ちで進めさせていただいて、あとそれに応じて、いくらかきょうの御意見を踏まえたと ころで、改善すべきところを入れて出してみたいなと、そんなふうに考えております が、ぜひ御了承願いたいと思いますが、いかがでございましょうか。 ○関口委員  すみません。いま嶋口先生がおっしゃられた「事務局の表現の苦労の跡がよく判る」 というところの文言の言い回しなのですが、「望ましい」というのと「望まれる」とい うのと「求められる」というのとの、そのニュアンスの違いというのはどの辺にあるの でしょうか。 ○事務局  なかなかはっきり言うのは難しいのですけれども、「望ましい」と書いているところ は、そこには実はもう1つ修飾語が入っていまして、「本来的には」というのが入って いたりします。ですからこれは「理想なのだよ」ということで書いております。あと 「望まれる」とか「求められる」というのがあるのですけれども、「望まれる」という のは「本当はすべきであると書きたいところなのだけれども、そこまでちょっとなかな か言いにくい」ということでありまして、「理想というよりは現実にそうして欲しいの だ」ということを表現しているという、こういうつもりでございます。 ○井上委員(漆畑委員代理)  大変な御苦労の跡が推察される文章でありまして、この難しい問題は公正取引委員会 の問題も含めて、規制条件が多々ある中で御苦労されてまとめられたというふうに考え ております。中間とりまとめとしては大変よくできた文章だと思いますし、あまり最後 の書きっぷりのところを追求すると、また話がややこしくなってまいりますので、そう いったところではよくまとまった報告書だというふうに考えております。ただ、さっき 三上先生がおっしゃられた問題も含めまして、川下の議論はこれでかなり整理がついた ような気がいたしますが、川上の部分の整理がまだもう1つついていないような印象も 受けますので、このいちばん最後のページの最後の2行にあります「薬剤管理費用とか 調整幅の位置付け」は、中医協の議論ともリンクしていく話ですので、その辺も御配慮 をいただきながら、これから先は川上の議論を多少やっていく方向で、実施をされてい かれたらどうかなという感想を持っています。 ○嶋口座長  どうもありがとうございました。では最後になるかもしれません。よろしくお願いい たします。 ○河ア委員  今の御発言の意味でも、今回のこの中間とりまとめの中に、先ほどの三上先生の御指 摘の部分も含めて、こういうような指摘もあったというようなものを、やはりこの中間 とりまとめに入れておくことが、この後のやはり懇談会の方向性もしくは議論を鮮明に していくという意味でも必要ではないかなと思うのですが、いかがでございましょう か。 ○嶋口座長  そのあたり、事務局から何か案がございますか。 ○事務局  私ども、最後の2行で書いてございますのは、まさに三上先生なり本日御議論いただ いていることを踏まえて、書かせていただいているところでございますけれども、現実 に今後、この先どうやっていくのかということについては、近々に座長と御相談をさせ ていただきながら、今後の懇談会の持ち方については決めたいと思っておりますが、ま だ果たしてどのようなかたちでこの懇談会において議論ができるのかということについ て、今ひとつ私ども実は整理ができていない部分がございまして、そこのところはもう 少し幅を持たせていただければ、我々としてはありがたいというふうに考えておりま す。 ○嶋口座長  大変貴重な意見がたくさん出たのですが、それに対しては誤解の部分も一部あります し、また別の委員から反論もありますし、それを全部ここに記述しますとちょっと大変 な膨大量になってしまうので、それはいま事務局サイドからお話がございましたよう に、今後の引き続きの懇談会の中で、そのあたりはぜひ取り上げるというかたちにでき たらいいかなという感じは持っておりますが、いかがでございましょう。よろしゅうご ざいますでしょうか。ということで、最後の間ところでもございましたように、薬剤管 理費用の問題、それから調整幅の位置付け、その他も非常に重要なテーマでございます が、今回はこのあたりについてあまり触れる機会がございません。しかしこの中間とり まとめの中では、それに触れなかったので、今後こういうふうなものもテーマにしてい くと。場合によってはもうちょっと拡大的な流通懇談会以外の問題等の調整がいろいろ あるかなという感じがしますが、そこについて、ここであまり取り上げることは難しい かなという印象を持っておりますので、それはまた引き続きの懇談会の中でいろいろ議 論をしていくというふうにさせていただければと思っております。  それでは非常に貴重な意見をいただきましたが、さらに修正すべせきところについて は、それなりに座長の私のほうと事務局サイドで相談しながら、中間とりまとめの最終 的なかたちを今回のものを軸にしながら、結果として出していくというふうにさせてい ただきたいと思います。どうも本当に貴重な御意見をありがとうございました。それで は本日は医政局長の岩尾さんがいらっしゃっていますので、ちょっとここで御挨拶をい ただきたいと思います。 3.局長挨拶 ○医政局長  先生方には6月以来、熱心な御討議をいただきました。聞くところではこれは7年8 年ぶりでしたか、流近協の後ということで起こしたので、今の医療制度の中で流通がど のように変わってきたかということを、久々に御議論いただいたのだろうと思います。 話を聞いておりまして、また報告書をまとめるに当たって課長からも話を聞きました が、まさに市場経済と公的な医療保険制度との間で起きている話が、ここで議論されて いたのかなと思います。私も規制改革会議の宮内座長の下で何度か呼び出されまして、 医療機関の株式会社の参入を認めろとか、いろいろな話をやっている中で、市場に任せ られるものは市場に任せろということを盛んに言われているのですが、きょう、日本の 国民皆保険制度の中で、いわゆるメーカーと卸、卸と医療機関あるいは薬剤薬局等々の 間の関係というのは、ゲームの理論ではないけれど、「win:winの関係]にやっ ぱりならなければいけないだろうと思うのですね。1つが買ってうちが負けるという、 話を聞いていると、どうもみんな被害者のような印象も受けたのですが、実はみんな市 場メカニズムであれば、そこに適度にそれぞれが潤うようなものに持っていかなけれ ば、医療費は限られているわけですし、やっぱりそこで皆さん、知恵を出していただく というのが、この流通の分野にも言えるのかなというのが、私の感想です。  そうは言っても多分7年前8年前と違うのは、この市場メカニズムというのが日本の 国の中で大きく叫ばれている中で、1人が勝ってあと負けるというような弱肉強食のよ うに思われるけれども、医療というのは結果として国民に等しく還元されていくべきも のですし、その中で特に医薬品は大きく国民のためにきちんと流通していかなければい けないものだと思います。先ほど松谷さんのほうからありましたけれども、この新潟の 地震でもずいぶん流通の方々にはご努力いただきました。この場を借りて御礼いたしま すけれども、特にそういう非常事態のときにきちんと機能するというのは、やはり日本 の医薬品の流通制度がととのっているからだろうと私は思っています。こういう制度を きちんと守っていくためにも、それぞれが勝つのではなくて、皆さんがそこそこに勝て るような「win−winの関係」をこの中で見つけていただければというふうに思い ます。今後の議論でもう少し核心に触れる議論の第2ステージに入っていくのかもしれ ませんが、ここで終わりではございませんので、また先生方の御意見を伺う機会が多い と思いますので、よろしくお願いいたします。今回はありがとうございました。 4.閉会 ○嶋口座長  どうもありがとうございました。それでは今回の中間とりまとめ案というのは、まさ に完全無欠というものでは当然ないわけですが、1つの問題の提起とそれに対する基本 的な流通に関わる諸問題の見方、考え方というものを何となく出せたのかなと、そうい う感じもしております。ただ、きょうもたくさんの議論をいただきましたように、さら にいろいろ考えていかなければならない課題が山積しておりますので、それについては 引き続きこの懇談会は、また継続するかたちをとっているとは事務局サイドから聞いて おります。その意味では今後の運営も含めて、事務局サイドのほうで御意見あるいは何 か問題がありましたら、御説明願いたいと思います。 ○事務局  先ほど申し上げましたとおり、現時点においては、今後の懇談会の持ち方ということ については、まだ明確なお答はできておりません。本日皆様にいただきました御意見で すとか、従前から積み残した課題といったものにつきまして、どういうかたちで議論を 進めていくのかということも含めて、座長と今後御相談をさせていただきたいと思って おります。その上で皆様方に「このようなかたちで懇談会を行います」ということで、 またしかるべく御連絡を申し上げたいと思っておりますので、引き続きよろしくお願い 申し上げます。 ○嶋口座長  それではきょうは1時間半で大体終わろうという、ちょうど今はぴったり1時間半に なりましたので、またこれからいろいろ委員の皆さん方同士の議論、それから事務局サ イドのいろいろな議論があると思いますが、1つのかたちは今回終わったということで 閉めにしたいと思います。本当に長い間、活発な御意見、それから大変貴重な示唆をい ただきまして、座長としても大変うれしく思っております。不慣れな座長でございまし たが、一応今回をもってこの中間とりまとめのかたちをつくったということで閉めにし たいと思います。どうもありがとうございました。                                     <了>