04/12/06 薬事・食品衛生審議会医療機器・体外診断薬部会/医療材料部会合同開催 平成16年12月6日議事録 薬事・食品衛生審議会 医療機器・体外診断薬部会/医療材料部会 議事録 1.日時及び場所   平成16年12月6日(月) 14:00〜   厚生労働省専用第18〜20会議室 2.出席委員 各部会ごと五十音順(両部会とも所属の委員あり) (医療機器・体外診断薬部会:11名)    池 田 研 二、 小 野 哲 章、 鎌 倉 史 郎、 許   俊 鋭、   ◎桜 井 靖 久、 澤     充、 田 島 知 行、 土 屋 利 江、    富 田 基 郎、○中 原 一 彦、 橋 本 信 夫   (医療材料部会:12名)    小 田   豊、 川 田 志 明、 北 畠   顕、 勝 呂   徹、    武 谷 雄 二、 田 島 知 行、 田 野 保 雄、◎土 屋 利 江、    橋 本 信 夫、 橋 本 久 邦、○長谷川 紘 司、 松 田 武 久、 (注) ◎部会長 ○部会長代理 他参考人1名 欠席委員 各部会ごと五十音順 (医療機器・体外診断薬部会:4名)    岡 部 信 彦、 仁 田 新 一、 村 田   啓、 山 口 照 英 (医療材料部会:5名)    北 村 惣一郎、 倉 田   毅、 新 田 澄 郎、 松 村 英 雄、    山 口 照 英 3.行政機関出席者   黒 川 達 夫(大臣官房審議官)、   山 本 弘 史(医療機器審査管理室長)、    豊 島   聰(医薬品医療機器総合機構審査センター長)   揚 松 龍 治(医薬品医療機器総合機構審議役) 他 4.備  考   本部会は、両部会合同案件は公開で、各部会個別案件は、企業の知的財産保護の観   点等から非公開で開催された。 ○医療機器審査管理室長 定刻となりましたので、ただいまから医療機器・体外診断薬 部会及び医療材料部会の合同部会を開催いたします。委員の先生方におかれましては御 多忙中の御出席ありがとうございます。  本日はまだ遅れておられる先生が若干いらっしゃいますが、医療機器・体外診断薬部 会委員数15名のうち現時点においては9名の方に御出席いただいております。それから 医療材料部会委員数17名のうち10名の先生に御出席いただいておりますので、両部会 とも薬事・食品衛生審議会令第九条第3項に基づき、定足数に達していることを御報告 いたします。  本日の会議のうち、合同開催案件については平成13年1月23日の薬事・食品衛生審 議会決議に基づき会議を公開とさせていただきます。合同開催案件終了後、引き続き医 療機器・体外診断薬部会、その後医療材料部会案件に移らせていただきますが、こちら の方は個別品目の審議でございますので非公開でございます。  本日は両部会長いらっしゃいますけれども、合同開催案件は桜井先生に座長をお願い いたします。桜井先生、以後の議事進行をよろしくお願いいたします。 ○桜井座長 では僭越ですが、司会を務めさせていただきます。最初に資料の確認をし ていただきます。今日はたくさん資料がございますので、お間違いのないように。 ○事務局 それでは本日の資料を確認させていただきます。合同部会関係資料について は参考資料1-4、1-5、3-3、4-1以外はあらかじめお送りしております。参考資料1-4 は各基準において引用する日本工業規格(案)となっておりまして、こちらについては傍 聴者の方にはお配りしておりません。そちらの方は御理解いただきたいと思います。そ れから参考資料1-5は本日の配付資料でございますが、「JIS基準案-新旧対比表」で ございます。こちらの方も個別のJISの中身に関することでございますので、委員限 りとなっております。それから本日参考資料4-1の「平成16年度中に制定(改正)予定J IS一覧」をお配りさせていただいておりますので、御確認ください。 ○桜井座長 よろしいでしょうか。何か不足のものがあればお申し付けください。それ では本日は審議事項が3件ございます。最初に「医療機器の適合性認証基準案について」 ということで、資料1-1と参考資料1-1〜1-5まででございます。お手元に御用意いただ けましたでしょうか。よろしゅうございますか。それでは事務局から御説明をお願いい たします。 ○事務局 それでは議題1の「医療機器の適合性認証基準案について」の方を御説明申 し上げます。お手元の資料は資料1-1と参考資料1-1〜1-5を御用意いただければと思い ます。まず始めに医療機器の適合性認証基準案についての概略を参考資料1-1をもって 簡単に説明させていただきますので、資料を御用意いただきたいと思います。1ページ を御覧ください。改正薬事法において医療機器をリスクに応じて分類いたしまして、リ スクの低いものからクラスI〜IVという形で四つに分類させていただきます。そのうち 極めてリスクの低いものとして分類される医療機器については法律上「一般医療機器」、 そしてリスクの低いものとして定義されるクラスIIについては法律上「管理医療機器」、 そしてリスクの高いもの若しくは極めて高いものであるクラスIII、IVについて「高度管 理医療機器」という形で定義させていただくことになっております。その中で、先ほど 申し上げましたクラスIIの管理医療機器として指定されるもののうち厚生労働大臣が基 準を定めたものについて、厚生労働大臣の承認制度から第三者認証機関の認証という制 度に変わることとなっております。今日御審議いただくものは、この管理医療機器の第 三者認証機関における審査の基準になる適合性認証基準案でございます。  次の2ページですが、その第三者認証制度における医療機器の制度についての大まか な概念を示したものになっております。改正後医療機器の製造販売業者からその品目に 係る認証申請を出していただくことになります。その認証申請を受けた第三者認証機関 においては、医療機器の基本要件基準への適合性と適合性認証基準への適合性、そして いわゆるGMP、品質保証基準への適合性、この三つの基準に対する適合性審査を行っ ていただくということになります。この適合性認証基準について今日御審議いただくこ とになっております。  続きまして3ページですけれども、医療機器の製品に対する認証基準のイメージです が、製品に関する基準といたしましては医療機器の基本要件、いわゆる医療機器すべて に対する基準と適合性認証基準を組み合わせて、医療機器の製品としての品質や有効性、 安全性を担保してまいりたいと考えております。適合性認証基準についてはJISに使 用目的、効能又は効果を加えた形で作成させていただきます。そのJISについてはF DAやEUが採用している基準を優先的にJISとして整備して採用させていただくこ とを予定しております。  続きまして4ページに移りますが、適合性認証基準への適合性の判断方法ですけれど も、まず適合性認証基準といたしましては対象となる一般的名称を定めることとしてお ります。その一般的名称の定義に合致するかということが一つのポイントになるかと思 っております。その次に認証基準においてJIS規格を引用いたしますが、そのJIS に適合するかということが次のポイントになるかと思います。そしてその認証基準にお いて使用目的、効能又は効果を定めますが、その範囲を逸脱しないかと。この三つのポ イントを満足するものが第三者認証の対象となっております。  そして5ページですが、認証基準におけるJIS規格についてどのような概念で採用 していくかということを取りまとめたのがこちらの図になっております。基本的にはそ れぞれの品目ごとの個別製品規格があるものについてはそれを採用させていただくとい うふうに考えております。その個別製品規格のうち、製品全体をシステムとして担保す る規格についてはそのJIS規格だけを引用するというふうになりますが、そうではな くて本来組み合わせて効能又は効果等を発揮するもので、その組合せ部品ごとにJIS がある場合については、基本的にその部品ごとのJISを引用させていただくという形 になっております。そういったことで一番下の例の左から二番目の「歯科用ユニット装 置基準」のように、歯科用ユニットの本体と患者用のいすと組み合わせた形で認証基準 を作るということの例になるかと思います。そういった個別規格がないものについては、 製品群の通則規格や一般要求事項として定められるJIST0601-1などを基準として採用 させていただくというふうに考えております。  最後の6ページですが、その概念をもう少し違う観点でまとめたものになっておりま す。基準の構成として4パターン示させていただきましたが、個別の製品規格があるも のについては基本的にそのJISを採用させていただき、製品群の規格があるものにつ いてはそれを採用させていただくと。それらがないものについては一般要求事項として の規格を採用させていただくことになっております。なお、これらについて当然基本要 件基準に対する適合性は求められることになっておりますが、一般要求事項としての規 格等を認証基準と定めたものについては個別の性能を担保する内容がありませんので、 このような個別の性能を担保するものとしては基本要件基準への適合性を証明する方法 をこちらから示すことによって、その基本要件基準への適合性の中で個別性能を担保し てまいりたいと考えております。このような概念で基準を作成してまいったわけであり ます。その内容について今回御審議いただく122の基準という形で示させていただいて いるものが資料1-1になります。  資料1-1を御用意いただきたいと思います。122の基準という形で取りまとめたもの になっておりますが、まず1ページを御覧いただきたいと思います。基準といたしまし ては最終的に厚生労働大臣が告示で示すという形になりますが、これについてはこの1 ページに示したような文章にさせていただきまして、あとの一般的名称と引用するJI S規格と使用目的、効能又は効果の範囲については基本的に別表で定めることを予定し ております。完全な形ではありませんが、別表のイメージとして見ていただきたいのが 2ページ以降になります。例えば2ページの一番最初の「1.磁気共鳴画像診断装置基準」 ですが、こちらのいわゆるMRIの基準といたしましては一般的名称がここで示すよう な12のものになりますが、これについては「JIS Z 4951 磁気共鳴画像診断装置-安全」 というJIS規格を引用させていただく。そして認められる使用目的、効能又は効果の 範囲といたしましては、「患者に関する磁気共鳴信号をコンピュータ処理し、再構成画 像を診療のために提供すること」という内容で示させていただきます。このような概念 で一般的名称と適用となるJIS、そして認められる使用目的、効能又は効果の範囲を 該当するものについて一覧で示させていただいております。申し訳ありませんが、細か な内容については一部省略させていただきますけれども、幾つかポイントになるものだ け説明させていただきたいと思います。  まず一番最初のいわゆるMRIの関係ですが、認証基準としてJIS Z 4951というJI S規格を引用させていただきますが、認証の対象とさせていただくものについてはこの JIS Z 4951の中で第一次水準管理モード及び第二次水準管理モードに係る規定を除いた 形、いわゆる標準モードに対する規格に適合するものについて認証製品という形で限ら せていただくことを考えております。こちらについて、現在日本におけるMRIは数品 目を除きましていわゆる標準モードに相当するものしか承認を取っておりません。ごく 一部の製品のみが第一次水準管理モードに適用するものになっております。これらにつ いてまだ承認実績等が十分ではないということで、認証ものについてはその標準モード のみに限らせていただくというふうに考えております。なお、認証に対しては標準モー ドに限るという形で考えておりますが、この第一次水準管理モードに適用される品目に ついては今後別途承認基準を定めさせていただきまして、いわゆる承認において基準適 合性審査を行いたいと考えております。このような形でMRIは現状の承認実績に合わ せまして、認証については標準モードのみという取扱いにさせていただきたいと思って おります。  続きまして、しばらく飛んで8ページに移らせていただきたいと思います。ここから 「39.一般内視鏡基準」という形で示させていただいておりますが、このように約110 ぐらいの大量の一般的名称について一つの適合性認証基準、いわゆる引用するJISが 一通りと予定しております。これについては特に下のJIS T 0601-2-18というIECの 翻訳JISに相当するものと、JIS T 1553という以前から日本独自に作られている内視 鏡関係のJISを組み合わせて、双方に適合することという形で引用するJISを定め させていただきたいと考えております。そして大量の一般的名称の範囲になっておりま すので、認められる使用目的、効能又は効果については「体内、管腔、体腔、又は体内 腔に挿入し、体内、管腔、体腔、又は体内腔の観察、診断、撮影、又は治療のための画 像を提供することであること」という形で、内視鏡そのものの認められる使用目的、効 能又は効果を定めたいと思っております。このような形でほぼすべての一般的な内視鏡 については引用するJIS規格はこの二つと。そして認められる効能又は効果はあくま で体腔等の治療のための画像を提供するものと限らせていただきたいと考えておりま す。  最後の方の22ページに移らせていただきたいと思います。113から家庭用のものにつ いて基準案を定めさせていただいております。こちらは前回の合同部会に御審議いただ く形で提出させていただいたものについて、再度内容の一部に修正等を図って提出させ ていただいているものであります。今申し上げました一部訂正についてですが、認めら れる使用目的、効能又は効果の範囲について内容をより明確化しております。例えばマ ッサージ効果等について「118.家庭用治療浴装置基準」等ですが、前回御審議いただく ときに認められる効能又は効果についてはマッサージ効果、そしてその中の一部として 温熱効果、洗浄効果という形のみで出させていただきましたが、「温水流や気泡による」 という表現を付けてより明確にさせていただいております。このような内容の一部修正 ほか基準案について一部より明確化しております。  併せまして参考資料1-5の方を御用意ください。前回それぞれの家庭用の基準で引用 させていただいたJIS規格の中で、いわゆる家庭用医療機器を指定するというものに なっておりますけれども、その適用範囲においてJIS自体が「主として医師の指導に よって使用する家庭用」治療機器という形になっておりましたが、ここについて一部の 委員の先生からJISの表現として不適切ではないかという御指摘を受けたことについ てです。この内容については日本工業標準調査会の方でJISを審議していただいてお りますが、その審議過程においてこの内容を削除させていただく方向になっております。 その適用範囲については、「この規格は、病院及び診療所以外で使用する家庭用○○○ について規定する」という形で、「医師の指導によって使用する」という表現は削除さ せていただいております。このような形で修正させていただきまして、今回家庭用の基 準について審議にかけさせていただいているという内容になっております。審議事項の 議題1の説明は以上でございます。 ── 説明中、川田委員、松田委員着席 ── ○桜井座長 どうもありがとうございました。それでは最初に小委員長を務められた土 屋先生からコメントを頂きたいと思います。 ○土屋部会長 今御説明のありました事務局案について、小委員会として了承いたして おります。 ○桜井座長 それから家庭用の治療機器について、家庭用医療機器JIS原案作成委員 会委員長の小野先生から何かコメントをちょうだいできればと思います。 ○小野委員 前回ここで御指摘いただいたものを踏まえまして、今事務局から御説明が ありましたような形で見直しを図り適用をより明確にしたことと、ここにありますよう なJISの文言について、「医師の指導」という文言は現実的でないというお話があり ましたので、これを削除するという方向で検討しまして現在ここに提出いたしました。 ○桜井座長 ありがとうございました。それでは何か御質問、御意見をちょうだいでき ますでしょうか。家庭用の機器は10の各アイテムについてそれぞれ御検討いただいたの ですか。 ○小野委員 これ全体について検討して、基本的には横並びで考えましょうということ にいたしました。 ○桜井座長 いかがでしょうか。よろしゅうございますでしょうか。各科のものがある と。この適合性基準は全部で幾つぐらい決めないと間に合わないわけですか。 ○事務局 対象となるクラスIIの品目については、今日の議題3で上がっている追加も 含めまして約1,500の一般的名称を定める予定になっております。その中でも特に申請 数等が極めて少ないものを除きまして、申請数がある程度あるものについては基準を定 めることにしており、今のところ約3分の2について対象とするように予定しておりま す。そのカバーする品目のために基準として、平成17年4月施行分で現在約250〜300 ぐらいを予定しております。今回の審議にかけさせていただくもので約150ぐらいとな っておりますので、委員の先生には大変恐縮ですが、4月までにあと残りの100程度に ついて御審議いただくことを予定しております。 ○桜井座長 ありがとうございました。どうぞ。 ○澤委員 大変瑣末な問題で申し訳ないのですけれども、資料1-1の3ページの新一般 的名称で「超音波式角膜厚さ」というものなのですが、ここに「さ」を入れる必要…、 「角膜厚」というだけでは駄目なのでしょうか。単なる名称の問題で、今ここで言うの も申し訳ないのですけれども、「角膜厚・眼軸長測定装置」でよろしいのかなという気 がするのですが。 ○事務局 先生が御指摘の点なのですけれども、確かに「さ」が浮いているようにも思 えるのですが、これはもともと一般的名称の中で「角膜厚さ」と定めてしまっていると ころがありますので、現時点ではそれにそろえた形で考えております。大変恐縮なので すけれども、今までの7月20日付けで告示を出させていただいたものの中で、一般的名 称では一応「厚さ」という形で使ってしまっておりますので、現時点ではそれはやむを 得ないと思っておりますが、場合によってもし修正等ができるタイミングがありました らちょっと検討させていただくということでよろしいでしょうか。 ○澤委員 分かりました。 ○桜井座長 ほかに何か御意見ございますでしょうか。それでは本合同部会としてはこ の件は御了承いただいたとしてよろしゅうございますでしょうか。ありがとうございま した。それでは二番目の「体外診断用医薬品の適合性認証基準案について」ですが、御 説明をお願いいたします。 ○事務局 議題2の「体外診断用医薬品の適合性認証基準案について」を御審議いただ きたいと思います。お手元に資料2-1、2-2、参考資料2-1、2-2を御用意いただければ と思います。まず、体外診断用医薬品の改正薬事法における位置付けについて、参考資 料2-1を使用して概略を御説明したいと思います。お手元にA4横の参考資料2-1を御 用意ください。まず1枚めくっていただいて、体外診断用医薬品の改正薬事法における 位置付けについて概念を取りまとめたのがこちらの図になっております。改正薬事法に おいては基本的に低リスクの体外診断用医薬品とその他、いわゆる診断リスクが高い体 外診断用医薬品という形でまず大きく二つに分類させていただきます。そのうち低リス クの体外診断用医薬品については、較正用標準物質があって自己点検が容易なものと、 較正用標準物質等がないもの、若しくは自己点検に少し技術が必要なものと、そのよう に二つに分けることによりまして、最終的に三つの分類とさせていただくことになって おります。その三つの分類のうち較正用標準物質があって自己点検が容易なものについ ては、改正薬事法では承認も認証も不要という取扱いをさせていただくことを予定して おります。そしていわゆる低リスクで較正用標準物質等がないもの、若しくは自己点検 が容易でないものについて、第三者認証機関における認証制度に移行するということを 予定しております。最後に診断リスクが比較的高いものについては現行と同じ形で大臣 承認制度というふうに予定しております。このような形になっておりまして、今日御審 議いただくのは先ほど申し上げた低リスクであって標準物質がないもの、若しくは自己 点検が容易でないものについての第三者認証品目における認証基準になります。  2ページの方は体外診断用医薬品の基準の関係を簡単に図示したものになりますが、 改正薬事法において医療機器と同様に、すべての体外診断用医薬品を対象とした基本要 件基準を定めさせていただくことを予定しております。こちらについては医療機器の基 本要件と基本的には同等なものになりまして、それは法第42条第1項に基づく基準とし て定めさせていただくこととなります。そしてクラスIIのもの、先ほど申し上げた低リ スクであって標準物質がないもの等については相関性基準というものを定めさせていた だきまして、その基準と共に対象となる体外診断用医薬品を定めさせていただくことを 予定しております。なお、先ほど申し上げた低リスクで標準品がある自己認証のものに ついては、標準品の管理に関する基準と併せましてその品目を指定することとしており ます。  3ページになりますけれども、体外診断用医薬品の第三者認証基準のイメージを記し ておりますが、基本的に図を見ていただければ医療機器とほぼ横並びということがお分 かりいただけると思います。まず、先ほど申し上げたとおり体外診断用医薬品は基本要 件への適合性と併せまして、適合性認証基準として定める相関性基準に適合することを 求めるというふうに考えております。医療機器についてはこの適合性認証基準は個別に JISを定めたり、既にあるJISについて引用させていただくことを予定しておりま すが、体外診断用医薬品については国際的に品目ごとの規格が存在しておりません。そ ういう形になっておりますので、体外診断用医薬品については性能を担保する個別規格 がないために、既存で流通している製品と相関性があるものについて認めるという形で その性能を担保するということを考えております。  4ページに移りますけれども、適合性認証基準への適合性の判断方法(体外診断用医薬 品)についてですが、まずその対象となるものの測定項目が先ほど申し上げたクラスIIと して定められる体外診断用医薬品に該当するのかという判断になります。そして測定原 理等に新規性がある場合については第三者認証の対象とはしないと考えております。最 後に既存品と同等であるかということで相関性基準に適合するかと。これら三つに適合 するものが基本的には第三者認証制度の適用を受ける製品になると考えております。  5ページに移りますけれども、体外診断用医薬品の方の認証フローという形で示した ものになりますが、改正薬事法において申請者は体外診断用医薬品も認証対象品目につ いては第三者認証機関の方に認証申請をしていただくことになります。その認証申請を 受けた機関は基本要件基準といわゆる相関性基準である適合性認証基準、そして体外診 断用医薬品のGMP、この三つの基準への適合性を審査して、それぞれに適合している 場合について認証を与えるというふうになっております。なお、先ほど桜井先生から医 療機器の基準の数について御質問いただきましたが、今まで御説明申し上げているとお り体外診断用医薬品は個別の規格がありませんので、体外診断用医薬品の認証基準は認 証の対象となるすべての品目についての基準として、相関性に関する基準というものを 1基準作らせていただくことを考えております。そういう形で実際の認証基準は相関性 基準一つとなりますので、それについて今日御審議いただくことになっております。そ の案が資料2-1に用意させていただいております。  お手元に資料2-1を御用意いただきたいと思います。体外診断用医薬品の認証基準に ついては、まず別表に示す体外診断用医薬品について基準を定めるということで、別表 という形で付けさせていただいております。それについては5ページからになっており まして、対象となる体外診断用医薬品が一番最後の29ページまでずらずらとあります が、これらの測定項目の体外診断用医薬品が対象になっております。基準といたしまし ては検出用試薬と測定用試薬で基本的に違う考え方をとらせていただいております。検 出用試薬においては、別紙1で定める試験方法により別紙2に示す条件に適合する対照 体外診断用医薬品若しくは検出方法と比較した際、その判定結果について統計処理を行 ったときの一致率が90%以上であることと。認証基準において定める試験方法及び対照 体外診断用医薬品を比較したときに、その一致率が90%以上であることという基準を定 めさせていただきたいと考えております。  そして測定用試薬については、また認証基準で定める試験方法により対照となる体外 診断用医薬品若しくは測定方法と比較した際に、その判定結果についていわゆる一次回 帰式を求めていただくという統計処理を行い、そのときの相関係数が0.9以上であり、 かつ回帰直線式の傾きが0.9〜1.1であることという内容で定めさせていただきたいと 考えております。なお、測定原理、検出感度等が既存の体外診断用医薬品と明らかに異 なる場合については、本基準に適合しないものとするというただし書を付けさせていた だきたいと思っております。特に測定原理のほか検出感度等ですが、検出感度が急激に 向上することにより、新たな臨床的意義が発生した場合等についてはこのただし書に該 当するという取扱いをしたいと考えております。それから測定用試薬の相関係数0.9と いう取扱いについて、参考資料2-2を付けさせていただいております。現状の体外診断 用医薬品の承認審査において、先発品があるものについては既存品との相関性をもって 承認審査をしている品目があります。その際における相関係数の取扱いについてですが、 現状このような中で0.9以上という取扱いをしておりますので、認証基準においても同 様な取扱いをするという形でこの数値を定めさせていただいております。  それから別紙1における試験方法等についてですが、対照となる体外診断用医薬品と 比較する際の検体数と選択方法について基本的に定めさせていただいているという内容 になっております。特にパブリックコメント等から書いているものについてですが、検 出用試薬について「原則として、陽性若しくは陰性となるもののうち少ない方の検体数 が25検体以上とするとともに」ということで、原則50検体の中で基本的には陰性若し くは陽性となるものを25検体以上確保するという形で、いわゆる陽性とか陰性という片 方に偏ることを認めないと。ある程度どちらかの方の検体数が確保できるような形で検 体を確保していただきたいと考えております。なお、パブリックコメントにも付けさせ ていただきましたが、対象となる測定項目によっては検体の確保は極めて難しいものが あります。こういったものについてはただし書として、対象となる疾患数等が極めて少 ない場合については例外的な取扱いをさせていただくというふうに考えております。  あと別紙2の方ですが、体外診断用医薬品についていわゆる相関で求めるわけですの で、対照となる体外診断用医薬品が適切なものでなければならないということが重要に なるかと思っております。それについて基本的には単数ではなくて複数のものを対照と していただきたいという概念を一つ入れております。なお、標準的な検出測定方法があ る場合については基本的にそちらの方を優先して採用してくださいという内容になって おります。体外診断用医薬品と比較するのではなくて、確立した測定方法がある場合に ついては基本的にその測定方法と相関をとっていただきたいと考えております。  それから別紙3の統計処理の方法についてですが、検出用試薬はいわゆる表形式で記 載しまして、一致率を算出していただく。そして測定試薬については一次回帰式を求め るという形になっております。  なお、小委員会の中で一部の委員の先生から、体外診断用医薬品の測定結果の再現性 を担保することについて、この認証基準の中で明示しなくていいのかという御指摘を受 けております。これについては基本的に認証申請の中で再現性に係る資料を別途要求す る形になっております。この中で明らかに再現性がないものについては、認証審査の中 でそれは不適切という取扱いを示したいと考えております。その再現性の取扱いに関す るものについては、別途何らかの形で厚生労働省から認証機関の方に示したいと考えて おります。説明は以上になります。 ○桜井座長 どうもありがとうございました。それではクラス分類の小委員長の土屋先 生、お願いします。 ○土屋部会長 体外診断薬について様々なコメントが出てまいりました。まず第一に相 関性、この一致率90%とか相関係数はどのようにして出てきたのかということについて は、今実際に行われていてそれで現状問題がないというコメントでございました。それ から第二に検体数ですが、50検体の内容で場合によっては集まらないのではないかとい うことについては、対象によっては必ずしもこの限りではないということ。さらに事務 局の方では陽性対象だけに偏ることなく陰性、陽性両方とも最低20検体以上とより厳し い条件が出されておりますので、これは了承できるものと思います。それから第三に再 現性ですが、これについては別途認証基準の中に認証の段階で見ていただくということ でありますので、以上の事務局からの説明に対してクラス分類検討小委員会としては了 承しております。以上です。 ○桜井座長 どうもありがとうございました。相関性基準ということなのですが、中原 先生は御専門の立場からいかがでしょうか。 ○中原部会長代理 今土屋先生の方からお話がありましたように、大体相関性90%以上 あるいは0.9ないし1.1という形できておりますので、もしこれが満たされれば認証承 認範囲であろうと思っております。それからついでに恐縮なのですが、文言のことで資 料2-1の3ページの別紙2でありますけれども、本文中の上から5行目とさらにその2 行下に「対照とする選定すること」という、日本語的にちょっとおかしな文言がありま す。恐らくこれは対照となるようにというようなことだと思いますので…。 ○事務局 「対照品目として選定すること」です。大変申し訳ありません。誤植になっ ております。こちらの方で適切に修正させていただきます。 ○中原部会長代理 以上です。 ○桜井座長 ありがとうございました。ほかは何か御意見ございますか。診断薬という のはやはりロットとかそういう考え方はないのですか。 ○中原部会長代理 それは当然あります。ロットによる差というのはありますから、新 しいロットを使うときには必ず従来のロットの相関性をきちんと検定した上で使わなけ ればいけないということです。 ○桜井座長 いかがでしょうか。よろしゅうございますか。それでは一応この合同部会 としてはただいまの御提案を御了承いただいたということでよろしゅうございますでし ょうか。ありがとうございました。それでは審議事項の三番目でありますが、「医療機 器の一般的名称の追加、そのクラス分類及び特定保守管理医療機器等の指定案について」 ということで、御説明をお願いいたします。 ○事務局 それでは審議事項の議題3、「医療機器の一般的名称の追加、そのクラス分 類及び特定保守管理医療機器等の指定案について」に移らせていただきたいと思います。 資料は資料3-1、参考資料3-1、3-2を御用意いただきたいと思います。まず今回御審議 いただく内容について、一般的名称の追加という議題にしておりますとおり、医療機器 の一般的名称については平成16年7月20日付けの告示において定めさせていただいて おりました。その後告示において採用させていただいた医療機器の一般的名称について は、ISO TC210の中の医療機器の国際的な一般的名称を定めるGMDNプロジェクトに おいて議論されているものを基本的に採用させていただくという概念で進めさせていた だいておりました。そのTC210の中の議論において今年度新たに幾つかの名称が追加さ れたことに伴いまして、追加する必要が出てきたということがまず一つの概念になって おります。そのほか7月20日の告示において一部の既承認の品目について、その一般的 名称がどこに入るのか明確でないものが幾つか散見されておりました。それらについて より明確化を図るために一般的名称を追加するという形になっております。  まず、その一般的名称の概念についてですが、参考資料3-1をもって簡単に御説明し たいと思いますので、資料を御用意いただきたいと思います。1ページの医療機器の分 類ですが、先ほどから何度か出ておりますけれども、国際的に医療機器のクラス分類に 分けられるものについて、クラスIV、IIIは高度管理医療機器、クラスIIは管理医療機器、 クラスIは一般医療機器に分類されるという形になっております。これらの一般的名称 については先ほど申し上げましたとおり、基本的にISO TC210で議論されているGMD Nに定められる名称に準拠して定めていくことになっております。その一般的名称ごと にGHTF(医療機器規制国際整合化会議)において議論されているクラス分類ルールを 適用しまして、それぞれの一般的名称ごとにそのルールでクラス分類を行うというふう になっております。そのクラス分類を行った結果、クラスIV、IIIについては高度管理医 療機器、クラスIIが管理医療機器、クラスIが一般医療機器になるという概念を示した 図になっております。  続きまして2ページに移りますが、本日御審議いただく項目といたしましてクラス分 類のほか、特定保守管理医療機器の指定及び設置管理医療機器の指定についても、その 一般的名称の追加に合わせてそれぞれの案を付けさせていただいております。特定保守 管理医療機器については高度管理医療機器、管理医療機器、一般医療機器の別にかかわ らず、医療機器のうち保守点検、修理その他の管理に専門的な知識、技能を必要とする ことから、その適正な管理が行われなければ疾病の診断、治療、予防に重大な影響を及 ぼすおそれがあるものという形で指定されるものになっております。そして特定保守管 理医療機器のうち設置に当たって組立てが必要なもので、その設置が適切でなければ保 健衛生上の危害が発生するおそれがあるものについて設置管理医療機器と指定する形に なっております。これらの医療機器の別を定めるものが今回の審議の項目内容でござい ます。  3ページは先ほど御説明申し上げましたので飛ばさせていただきまして、4ページの 方ですけれども、先ほど申し上げたことになりますが、この一般的名称については7月 20日の厚生労働省告示において3,086の一般的名称及び高度管理医療機器、管理医療機 器、一般医療機器の別を示させていただいたところであります。これについて先ほど申 し上げたとおりGMDNの追加及び対象となる一般的名称の明確化を図るために、一部 の一般的名称を追加するという作業を行うことになっております。これについて今日の 資料に記載しておりませんが、今回追加の品目数といたしましては1,046の一般的名称 を追加させていただくことになっております。そういう形で最終的には4,132の一般的 名称として定めることとしております。  その実際の追加する品目についてですが、B4縦の資料3-1を御覧いただきたいと思 います。こちらにおいて一般的名称等をずらずらと記載させていただいている中で網か けがしてある場所があるかと思いますが、こちらのものについて今回の審議の中で追加 させていただくという内容になっております。このような形でトータルといたしまして 1,046の数が追加になります。その追加になる一般的名称の細かな定義の内容について ですが、参考資料3-3の方で示させていただいております。こちらは定義の精査が遅れ ておりまして当日配付となって大変恐縮ですが、このような形でそれぞれの品目の定義 を定めさせていただくこととしております。  その表紙に書いてあるとおり、追加の理由といたしまして先ほど申し上げたGMDN の追加のほか、「基準作成上、必要な名称」と書かせていただいておりますが、認証基 準を作成するに当たって適用となるJIS規格における医療機器の対象範囲の定義と一 般的名称の定義が一部異なるということで、例えば一般的名称の中で二つのJIS規格 が適用されるというケースがあるために、その一般的名称をより詳細に分けるという作 業をした結果出てきたのが2になります。そして3については、基本的には単回使用・ 再使用可能といういわゆる使用形態に基づきまして、例えば生物安全等といった部分の 基準の適用の仕方が一部異なる場合がありますので、それに応じた形で名称を分割する ということで考えさせていただくものになっております。そのほか医療機器用の一部部 品等が流通するケースがありますので、その部品たるものとかセット・キットで販売す るものについて、その一般的名称を明確化するために必要となるもので付けさせていた だくこととなっております。5といたしまして既承認・許可品の定義の中でどうしても 読み込みにくく、一般的名称を別途新たに作った方がその医療機器についてより特定が しやすいものについて追加するものとなっております。6についてですが、前回の作成 作業の中で一部GMDNの誤訳がありまして、それを訂正するために一部の名称を追加 させていただくという内容になっております。このような形でトータルで1,046の品目 について一般的名称を追加させていただいております。説明は以上になります。 ○桜井座長 どうもありがとうございました。土屋先生、何かございますか。 ○土屋部会長 これだけ数が多いものですから、それぞれ御専門の先生からクラス分類 と保守管理等についていろいろコメントを寄せられてきているところでございます。 ○桜井座長 ありがとうございました。4,000というのはこの中にまた各メーカーによ っていろいろ違う種類があるわけですね。 ○事務局 これはあくまで一般的名称ですので、その中で一般的名称に入る品目として 各申請者においてそれぞれの品目があるというふうになっております。なお、今後の法 改正の施行に向けてなのですが、このような一般的名称と定義だけを示した形ではどこ の一般的名称に入るかという定義が一般の方々に非常に分かりにくいということになり ますので、今後この一般的名称に相当する医療機器はどういったものがあるのかという 例示を随時作成していきたいと考えております。そういったことで、実際にどの医療機 器がどの一般的名称になるのかという例示集を作ることによって、より円滑な一般的名 称の制度の運用を図っていきたいと考えております。 ○桜井座長 これは検索をする場合はあらかじめ何かきちんとそういう筋道を想定して いらっしゃるのですか。一番末端と言うと変ですけれども、現物からずっとたどってい くわけですね。恐らく4,000の中で10個ぐらいずつとしても4万になってしまいますね。 ○事務局 まず現物の関係ですが、今後独立行政法人の方で添付文書のデータベースを 作成することを予定しております。その中で登録されたものについて一般的名称でソー トをかけられるような形になっておりますので、どの一般的名称に属するものがどうい った品目であるかというのは独立行政法人医薬品医療機器総合機構のホームページのデ ータベースである程度のものについて見られるような形を考えております。 ○桜井座長 これは大変な労作だと思うのですが、年次的にこの一般的名称がどのくら い増えてきたか、あるいはあるときから急に増えたとかというデータはございますか。 ○事務局 まず現在の一般的名称の取扱いについてなのですが、平成11年だったと思い ますけれども、一般的名称という形で通知で運用させていただいております。その一般 的名称については現在中分類ごとにその他という項目を設けさせていただいておりまし て、いわゆる定めの明確化できないものを取りあえずその他に入れておいて運用してい るという形になっております。今回はその他というものを基本的に設定せずに個別に細 かく分類したものになっておりますので、今までの一般的名称の数に比べると5倍程度 ということではるかに増えております。なお、先ほどから申し上げているGMDNの取 扱いについてなのですが、やはり世界中の規制にかかわる部分がありまして、日本で医 療機器として規制を受けていないものについても海外で規制を受けているものもありま すので、GMDNの名称はこれよりもはるかに多くなっております。今後そういったも のが日本の規制範囲が変わった場合とか、日本の規制範囲に入る品目で日本国内に流通 していないものが日本に入ってくるということがあれば、それぞれに応じて一般的名称 を追加していくと。また、新医療機器等今までにないものが出てきたときにはその一般 的名称を今後また追加していくという作業が出てくると考えております。 ○桜井座長 資料3-1でGHTFルールの1や10というのはこのルールにのっとってこ ういうクラス分けをしたという、よって来るルールなわけですか。 ○事務局 その形になっております。基本的にGHTFのルールに基づいてすべてクラ シフィケーションさせていただいております。 ○桜井座長 そうすると国際的な整合性というのはその時点で担保されているというこ とですか。 ── 許委員着席 ── ○事務局 基本的には各国がGHTFのルールに基づいてクラシフィケーションすると いうふうになれば、これで国際整合はとれますが、例えばアメリカ等においてはまだこ のような考え方が導入されておりません。こういった形で今後GHTFで議論されてい る中で、各国規制においてそのルールを採用した段階で国際的にも統一されたものにな っていくだろうと考えております。 ○桜井座長 どうぞ、北畠先生。 ○北畠委員 各論で申し訳ないのですけれども、前も何度か申し上げたことがあると思 うのですが、資料3-1の2ページの37895000の「血管内超音波診断用プローブ」は、ル ールとしては7-(6)にも入るというふうに…。これは10-(4)ということになっています ね。冠血管内用プローブは別に項目があるのですか。 ○事務局 先生の御質問は血管系のほか、肝臓の血管ですか。 ○北畠委員 心臓の冠血管です。 ○事務局 冠血管ですね。 ○北畠委員 冠動脈は解剖学的に心臓の近くにあるのですけれども。 ○事務局 そちらの方について確かに血管系超音波プローブはIIIになっていますが、そ の下に「中枢神経・中心循環系手術向け」という形で作らせていただいて、よりリスク が高いと思いますので基本的にクラスIVに入るものと考えております。 ○北畠委員 そうしたら今の新分類の一般的名称の中ではこれはいわゆる冠血管以外の 大動脈、太い血管に対してのものであると解釈するということですか。 ○事務局 太いというよりもよりリスクが高いということです。 ○北畠委員 心臓に近接するものは特別に扱うわけですね。 ○事務局 はい。そういう形で単純な血管系というのは比較的末梢のことを想定してお ります。ですからこれはクラスIIIになりますので、心臓に近いもの等についてはよりハ イリスクのものという取扱いになりますので、一つ下と考えていただければと思います。 ○北畠委員 冠血管用プローブは必ずしも手術向けとは限らず、診断目的でも使用され ます。 ○事務局 ここら辺は確かに手術向けとか、用途によって一般的名称が適切でないケー スがほかにもたくさんあります。例えば一般的名称から少し外れてしまうような用途が 想定されるもので、どうしても一般的名称がこのような形になってしまうものが多少散 見されます。仮に先生のおっしゃったところを一つ一つ作っていったとしたら、これは 名称が余りにもたくさんになると。承認の際にこの一般的名称ごとに承認され、品目が 特定されますので、逆に言うと医師の使用の範囲と申請者がうたえる効能・効果の範囲 がある程度限定されてしまうおそれがあることから、この一般的名称が余り細か過ぎる のも適切ではないと思います。 ○北畠委員 それらをどちらに分類するか判断される方がきちんといてそのようにされ たら、それはそれでいいことだと思いますが。 ○事務局 こういった細かな点については申請時等に個別に判断していきたいと考えて おります。 ○桜井座長 ほかはよろしいでしょうか。では特段の御意見がなければ、本合同部会と してただいまの案件は御承認いただいたとしてよろしいでしょうか。ありがとうござい ました。それでは審議事項は以上でございます。次は報告ということで、医療用具関係 のJISについて事務局からお願いします。 ○事務局 報告の前に今日の審議事項の議題1、2、3を皆様方から御了解いただきま したので、こちらは今月24日に開催される薬事分科会に報告させていただきますが、よ ろしいでしょうか。 ○桜井座長 薬事分科会に上程するということでよろしゅうございますでしょうか。あ りがとうございました。御了承を得ましたので。 ○事務局 ありがとうございました。この議題3だけは薬事・食品衛生審議会上新しい 名称の設定として審議事項となりますので、その点は御了解ください。それでは資料4 に移らせていただきます。 ○事務局 報告事項の議題1に移らせていただきます。医療用具のJISの関係につい ての報告になります。前回の合同部会から新たに一つのJISが制定されております。 その内容について記させていただいたのが資料4-2になりますので、そちらを御用意い ただきたいと思います。こちらで概略を説明させていただいておりますが、医療機器の ラベリング及び供給される情報に用いる図記号、いわゆる医療機器の表示に関する図記 号のJISになっております。こちらのJISについてですが、ISO 15223の2000年版 と2002年にAMENDMENTとして追加されている内容を包含した形の国際規格をそのまま翻 訳したJISになっております。具体的にどのような図記号が定められているかという 代表的なものを裏側の2ページに示させていただいておりますが、例えば「再使用不可」 についてはいわゆる2バツといった形で図記号が規格として定められております。薬事 法における表示事項という形で、薬事法の施行規則等で定められている項目の表示をこ の図記号でするということは、現時点ではちょっと時期尚早とは思っておりますが、こ の規格等については国際的にいわゆる言語の壁等を解消するために図記号が広く使われ ております。図記号は医療機器の使用の際により分かりやすい方に十分寄与するものと 考えております。こういった点でこのJISの内容で定められる図記号の特に代表的な ものについては、今後普及を図ってまいりたいと考えております。併せまして資料4-1 に示させていただいている一覧が現時点で医療用具関係のJISとなっております。  それから当日配付の形で大変恐縮ですが、参考資料4-1を御用意いただきたいと思い ます。平成16年中に制定(改正)する予定のJIS一覧になっております。先ほど審議事 項の議題1で御説明申し上げました認証基準の作成に当たって、その認証基準で引用す るJIS等を新たに制定若しくは国際情勢や現状に即した形で改正する作業を現在行っ ております。電気機器等については厚生労働省、経済産業省共管のJISとして、そし て医療材料等については厚生労働省専管のJISとして、現在作成作業を行っておりま す。これらのJISについては現在日本工業標準調査会(JISC)の方で審議をしてい る途中になっております。これらのJISについては今後3月下旬に公示される予定と いうことで、現在その審議の過程にあります。このようなJISが認証基準の作成とと もに一気に作成される予定になっておりますので、御参考までに示させていただきまし た。報告事項の説明は以上になります。 ○桜井座長 どうもありがとうございました。何か御質問ございますか。最初の図記号 のことはISOでいろいろ議論があるわけですが、なかなか我々日本人にとって分かり やすいものばかりではない場合もあるのです。ここに書いてあるのは割合分かりやすい 例をわざわざピックアップされたのかと思いますが。こういうものが輸出あるいは輸入 に関してラベリングとして必要になってくるということだろうと思います。それから予 定JISの一覧は随分数が多いのですが、ちょっと伺いたいのですけれども、規格番号 のトップに書いてあるT、C、L、Zなどはどういう意味合いがあるのですか。 ○事務局 規格番号の前に付いているアルファベットについてはJIS上で分類を設け ておりまして、Tが一部の衛生材料を含む医療用具関係を示すものになります。中でZ が出てまいりますが、これについてはJIS上の分類はその他という形になります。X 線管等のその他となっているものについては一部事情がありまして、医療目的以外に使 う場合もありますので医療のみに限らないということで、歴史的にX線関係はすべてそ の他の取扱いになっております。それから一部Qというもの等があるかと思いますが、 それらは品質システムを示すもの、そしてCは一般的な電気器械等を示しております。 ○桜井座長 ただいまの御報告に関して何か御質問ございますか。よろしいでしょうか。 どうもありがとうございました。それでは本日の審議と報告事項はこれで全部終わった わけですが、何か事務的な連絡がございますでしょうか。 ○事務局 本日の議題1でも多少出てきましたが、認証基準は4月1日に間に合うよう に更なる審議が必要になっております。この部会は大体3か月に1回ということで行っ ていますが、今度臨時的に1月に合同部会を開催させていただきたいと考えております。 皆様方年始のお忙しい中恐縮でございますけれども、1月7〜19日の間で日程調整をさ せていただきたいと思いますので、御協力いただければ幸いでございます。 ○桜井座長 ありがとうございました。以上で終わりでしょうか。 ○医療機器審査管理室長 それでは以上で医療機器・体外診断薬部会と医療材料部会の 合同部会は終了といたします。以後医療機器・体外診断薬部会、医療材料部会がそれぞ れございますが、こちらの審議は非公開となっておりますので、傍聴の皆様方は退席を よろしくお願いいたします。 ○桜井座長 どうもありがとうございました。 ── これより医療機器・体外診断薬部会 ── ○事務局 それでは医療機器・体外診断薬部会に入らせていただきたいと思います。医 療材料部会の委員の皆様におかれましてはこのまま御着席いただくか、あるいは席を外 していただいて結構でございます。大体4時を目途に次の医療材料部会を開催させてい ただく予定でございますので、医療材料部会の皆様におかれてはよろしくお願いいたし ます。  本日は医療機器・体外診断薬部会委員15名のうち11名に御出席いただいております。 薬事・食品衛生審議会令第九条第3項に基づき定足数に達していることを御報告させて いただきます。それから本日の審議品目に関しまして関与する委員がいないことを併せ て御報告させていただきます。それでは桜井部会長、以後の議事進行をよろしくお願い いたします。 ○桜井部会長 それでは最初に資料の確認からお願いいたします。 ○事務局 資料でございますけれども、既に皆様方にお送りさせていただいているのが 資料5-1でございます。本日配付の資料といたしまして資料5-2、本日のプレゼンの資 料でございます。それから資料6-1といたしまして、この部会の中での報告品目につい て資料をお配りしております。 ○桜井部会長 ありがとうございました。それでは本日は医療用の粒子線治療装置とい うことです。御説明をお願いいたします。 ○事務局 プレゼンの関係上、スクリーンの近くの先生方におかれましては非常に申し 訳ありません。このプレゼンが終わりましたらまた元に戻りますので、しばらくの間御 協力いただければ幸いでございます。それでは「医療用具粒子線治療装置(炭素イオン/ 陽子タイプ)の生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造承認事項一部変更 承認の可否及び再審査期間の指定について」を御審議いただきます。この品目について は高エネルギーに加速された粒子線を用いまして、固形癌及び脳腫瘍の治療を行う粒子 線治療装置でございます。陽子を粒子線に用いるものについては既に承認を得ておりま す。今回新たに炭素線を追加するために一部変更承認申請がなされたものでございます。 この品目については優先審査の対象となっております。詳細な審査の概要、また委員の 皆様方から事前に頂いたコメントについては、実際に審査を行った医薬品医療機器総合 機構から説明いたします。 ○機構 それでは総合機構より御説明申し上げます。資料5を御覧ください。粒子線治 療装置の審査においては医薬品医療機器総合機構医療機器審査部での審査に当たり、御 覧のように内山委員、小野委員、小嶋委員、平木委員、村田委員の計5名の専門委員の 御意見を頂きました。  本申請品目である粒子線治療施設の一実施例の外観写真をお示しいたします。これは 治験実施施設である兵庫県立粒子線医療センターの写真でございます。本品目は高エネ ルギーに加速された陽子線あるいは炭素イオン線を用いて固形癌及び脳腫瘍の治療を行 う装置であります。  これは本申請品目である粒子線治療施設の一構成例とその主要機器の写真でございま す。このように本医療機器は多数の機器から成る複合装置でございます。  今回の申請品は国内外で重粒子線の臨床研究で優れた治療実績が得られたこと、また 装置としても技術開発が進んできたことから、申請者である三菱電機株式会社により開 発が行われ、既承認で現在臨床使用中である陽子をビーム種とした粒子線治療装置に炭 素イオンビームを追加する一部変更承認申請がなされました。なお、現在炭素イオン線 治療を臨床研究又は臨床使用している施設としては独立行政法人放射線医学総合研究所 (以下「放医研」と略)とドイツの重イオン科学研究所の2施設がございますが、治験で 用いられた兵庫県立粒子線医療センターの装置以外に本装置と同様の仕様の装置を使用 している例は存在せず、海外での承認申請は行っておりません。  本装置は多数の機器で構成されており、現地に据付け配管配線等を完了して初めて完 成状態となり、ビームを使った運転が可能になるため、材料・部品購入から組立て・調 整を経て各構成機器単体の工場試験で性能確認の後、現地据付け、ビーム調整を行い、 装置全体の試験である「医療に必要な性能にかかわる試験」がスライドに示しますよう な項目にて行われました。各試験の規格項目は各設計段階で決定した設計項目に基づく ものであり、装置の品質を確認する上で必要かつ十分であるという申請者の説明であり、 試験結果もすべて規格値内であることを確認しております。  電気的安全性については、今回の一変が既承認の陽子線治療装置に炭素イオンをビー ム種として追加するものであり、加速器及び照射野を形成する機器や治療室の機器はす べて既承認の陽子線治療装置のものを使用しており、電気的安全性については既承認の 申請時に機器の最大負荷状況や最大定格の条件下で既に試験を行っており、ビーム種や エネルギーによらないものとされ、今回の一変申請においては省略されておりました。 総合機構はこの省略理由について妥当であると考え、了承いたしました。  放射線に関する安全性については、「JIS Z4705 医用電子加速装置-安全」の「放射線 安全」に準じて、該当する項目についてこのスライドの(1)に示すような試験が行われ ました。その結果いずれも基準値以下で問題がないとされ、この結果について了承いた しました。また、専門協議においてビーム停止時のタイムラグにおける被曝線量につい ても検討すべきであるという意見がございましたので、追加評価させましたところ、停 止時のタイムラグにおける線量の増加分は治療総線量の□.□%であり、治療の設定線量 に比べ十分小さい値と言えることが確認され、この結果について了承いたしました。  本申請品の治療における炭素イオン線の効能を確認する試験として、炭素線の生物学 的効果比(RBE)の試験及び炭素線の放射線抵抗性癌に対する生物学的特性の試験が行 われました。その結果、マウスの実験から求めたRBEが臨床RBEと一致することが 確認され、さらにX線のような低LET放射線では治療が困難な放射線抵抗性固形癌に 対する治療効果は大きいと考えられることが判明したとの結果を確認いたしました。  臨床試験については国内1施設において放射線抵抗性固形癌30症例の臨床試験が行 われました。本品での有効性に関しては画像診断による判定、腫瘍マーカーによる判定、 PETによる判定が評価されました。ただし、総合的な効果判定は画像診断によること とされ、腫瘍マーカー、PETによる判定は参考とすることとされました。  安全性については自他覚症状の変化の有無、医学所見の異常変動の有無、及び臨床検 査結果などの異常変動の有無、その程度から4段階指標及び判定不能として評価されま した。また、急性有害反応についてはNCI-CTC(National Cancer Institute-Common Toxicity Criteria)を用いて評価がなされました。  有効性については表1のとおりでございます。CRが2例、PRが16例、NCが12 例でありました。また安全性については一過性の急性反応が一部について見られたもの の、いずれも治療後回復しており、30例全例全く問題がないとされておりました。  有効性、安全性を基に評価された有用性については、スライドに示しましたように「極 めて有用」が60%であり、「有用」が23.3%、「やや有用」が16.7%となり、「有用 とはいえない」、あるいは「判定不能」とされた例はありませんでした。  今回の治験においては放射線抵抗性固形癌患者を対象としていたため、申請者の想定 している適応である固形癌及び脳腫瘍に対する有効性、安全性について文献等の資料に より追加評価を求めました。その結果、現在炭素イオン線を治療に臨床使用している施 設である放医研とドイツの重イオン科学研究所の文献から追加評価がなされ、この評価 結果についても専門協議において検討し、固形癌及び脳腫瘍に対しても有用性が認めら れると判断されたため、了承いたしました。  総合機構では提出された申請内容について以上のとおり審査した結果、性能、使用目 的、効能又は効果欄の使用目的をこのとおりとして承認して差し支えないと判断いたし ました。また、再審査に関しましては4年間の調査を実施することが必要であると考え ております。なお、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと考え られます。  また、本日許先生と御欠席の村田先生より事前コメントがございましたが、いずれも 他に治療法のないがんに対し炭素イオンの追加は有効性、安全性に問題はなく、承認し ても差し支えないという御意見を頂いております。以上でございます。御審議よろしく お願いいたします。 ○桜井部会長 どうもありがとうございました。それではコメントをちょうだいしたい と思いますが、いかがでしょうか。ちょっと類例のないような巨大な装置ですね。治療 は1日に何人ぐらいできるのですか。 ○機構 最大で大体40人ぐらいと聞いております。 ○桜井部会長 いかがでしょうか。小野先生は専門委員に入っていらっしゃったので何 かございますか。 ○小野委員 私は電気的安全性というところを見るのですが、これを見ても向こうが試 験をするのは患者の周りの電気的安全性ですよね。それは当然ほかの機械と同じように 十分に担保されていると思うのですけれども、この前のタイプのときにも少しコメント したのですが、これはものすごく巨大なもので、多分例えば原発のように何か定期的な 点検をするとか、故障時に何か点検をするとかということで、ああいう粒子線が回って いるようなところに入らなければいけないというと、その保安員の安全性はどうなって くるかということ。回答は十分に考えられていますということなのですけれども、往々 にしてそういうものに対する特別な基準がないということでは、今後こういう巨大シス テムについてはその辺も議論していかなければいけないのではないかと思いました。 ○桜井部会長 ありがとうございました。許先生、何かコメントを出されたようですが。 ○許委員 これはもう既に陽子でなされていることの炭素の追加にすぎません。対象と なっている患者さんがほかに治療法がないということも重要です。しかも、これだけ大 きな装置を国費で造られたのか何か知りませんけれども、これは有効性が60〜80%とい うことで是非これのうまい使い方を最初の4年間にやっていただいて、患者さんのベネ フィットになるといいと考えます。 ○桜井部会長 ありがとうございました。ほかは何かございますでしょうか。承認を取 ってこれは売れるのかなと心配になりますが。どうぞ。 ○池田委員 一つは膨大な資料5-1でございますけれども、312ページの「2.安全性に 関する試験」で電気的安全性のところがございます。そこで「連続漏れ電流及び患者測 定電流試験」とございますが、この「連続漏れ電流」というのは外装漏れ電流と患者漏 れ電流Iを含んでいるのですか。こういう項目はないように思いますが。JIS TO6O1-1 ですと多分「外装漏れ電流」とか「患者漏れ電流I」という表現ではないかと思うので すが、「連続漏れ電流」という表現がちょっと分かりにくかったものですからお伺いし ました。 ○桜井部会長 何かございますか。小野先生、いかがですか。 ○小野委員 多分JISの項目は書いてありますので、そちらの方ではJISの一番上 のところに「連続漏れ電流及び患者測定電流」という名称の表が書かれていて、それを 今先生がおっしゃった患者漏れ電流I、II、IIIとか患者測定電流及び外装漏れ電流がそ の中に含まれていて、その該当するものをやったということだと思います。 ○池田委員 どうもありがとうございました。 ○桜井部会長 これは連続漏れ電流の中に患者漏れ電流とか外装とか全部入っていると いう解釈ですか。 ○小野委員 そうですね、測定電流というのは漏れ電流という名称ではありませんので、 連続漏れ電流と測定電流を分けてといいますか、文言を変えて一つの表の表題にしてい るわけです。その中に患者漏れ電流も外装漏れ電流も接地漏れ電流も測定電流も入って おります。ですから、それに適合しているということだと思います。 ○桜井部会長 何かございますか。 ○医療機器審査部長 御参考までにですが、先ほどの合同部会のときにございました参 考資料1-4-3にちょうどJIS規格が入っておりまして、今小野先生から御説明いただ いたのがその規格の中の31ページの内容になっております。読み上げますと、ここの中 では連続というのは接地漏れ電流、外挿漏れ電流、患者漏れ電流及び患者測定電流の規 定値が次の条件に…。この中ですべて規定がございます。右上の方にページが書いてあ りまして、19番のところに「連続漏れ電流及び患者測定電流」というのがございまして、 Bのところになりますが、今桜井先生が御指摘の点について記載されております。この 19番の全項目に対して適合するということを彼らが申請の内容として主張していると いうことでございます。具体的な漏れ電流の値については33ページの表4の中に記載が ございまして、これに適合しているということになります。 ○池田委員 どうもありがとうございました。表4の表題がそのまま書いてあったとい うことでございますね。失礼いたしました。それから同じく提出された資料5-1の320 ページなのですが、表4-3-4の「耐電圧試験」のところで「□□□□□□□」と書いて あります。そのほかのところはすべて「□□□□□」と書いてありますが、ここだけA CともDCとも書いていなくて「□□」となっているのは何か理由があるのですか。 ○医療機器審査部長 恐らくこれについては記載漏れでございまして、同じくACでは ないかと思いますので、適切に修正させたいと思います。 ○池田委員 もう既に議論されたことかと存じますが、よろしくお願いいたします。 ○桜井部会長 ほかはいかがでしょうか。これは日本にしかないわけですね。 ○医療機器審査部長 同じ機械については日本にしかございませんが、先ほど説明があ りましたとおりドイツのGSIの方ではもっとエネルギーの高いものですけれども、同 じような炭素線の治療装置が存在しております。あとは放医研にあるものがございます。 ○桜井部会長 例えば脳腫瘍などですとガンマ線、何か昔から言いますね。ああいうも のに比べてやはりこちらの方が相当効果が高いのですか。 ○医療機器審査部長 陽子線の場合もそうだったのですけれども、こちらの方について は腫瘍の周りの組織に放射線のダメージを与えないようにして、目的のところに集中的 に線量を照射するというところが特徴になっておりますので、通常のガンマナイフ等と 比べてこちらの方が画期的に効果があるのだろうと思っております。 ○池田委員 私は余りこの放射線の方に詳しくないので、ちょっと初歩的な質問で恐縮 でございますが、同じく資料5-1の326ページを拝見いたしますと、炭素イオンと陽子 の差といいますか、炭素の有効性に比べ、図3では例えば中性子とかシリコン、アルゴ ンの方が更にいいように見えますけれども、特に炭素ということは何か炭素が非常に実 現しやすいとかという理由があるのですか。 ○機構 ネオンやアルゴンは研究的にはやられているようですが、現在やはり開発しや すかったという理由もあるかと存じますけれども、炭素イオン線ということで承認申請 がなされております。 ○池田委員 全く知識がなかったものですから、初歩的な質問で大変恐縮に存じます。 ありがとうございました。 ○桜井部会長 ほかはいかがでしょうか。何かコメントございますか。もしなければ御 承認いただいたということで…。 ○事務局 こちらは事務局側からの提案でございますけれども、一応先ほどの総合機構 の説明にもあったようにこれは新性能でございますので再審査期間は4年が適当という ことですが、それでよろしいかどうかも併せて御意見をお願いいたします。 ○桜井部会長 いかがでしょうか。よろしゅうございますか。ではそういうことで今月 24日の薬事分科会の方に説明させていただきます。ありがとうございました。私の個人 的な意見ですけれども、最近ナノテクノロジーで放射線…、ここからエレクトロンを出 すという技術があるのです。メディカルテクノロジーというのは三つほど要件があって、 一番目は今までできなかったことができるようになった、不可能が可能になったという こと。これは恐らくそれに相当するのでしょうね。二番目は安全性が高まったというこ とで、これは安全性が高まったかどうか私にはよく分からないのですが。それから三番 目はやはり医療費の削減にコントリビュートすることだと思うのです。例えばPTCA にしても内視鏡手術にしても何にしてもみんなそうで、医療費の削減に役立っているわ けです。しかし、これは医療費の削減に役立つかどうかはよほど考えないとよく分から ない点があるのですが。これは承認とは関係ないのですけれども、例えば研究開発など の方向としてはやはりそういうナノテクを使ったような体内にカテーテルで照射できる とか、そういう方が将来的、未来的なのかなという気持ちも少しするのですが、これは 私の全く個人的な意見でこれを承認するということは別に異議はございません。  それでは報告事項でございますが、よろしくお願いいたします。 ○事務局 それでは報告事項に移らせていただきます。前回から今回の部会の間にかけ て、平成16年8月1日〜平成16年10月31日までに承認された21品目について御報告 させていただきます。詳細については実際に審査を行った総合機構の方から御説明いた します。 ○機構 それでは総合機構の方から報告品目について説明させていただきます。資料 6-1を御覧ください。今御紹介いただいたように医療機器・体外診断薬部会の方へ御報 告させていただくものは21品目ございますが、7ページある資料の1〜6ページまでが 医療機器の20品目でございます。最後の7ページが体外診断薬の1品目でございます。 これらの品目についてはいずれも専門協議を行った上で承認された品目でございます。 それでは医療機器の方から説明させていただきます。  まず最初に、朝日レントゲン工業株式会社より製造承認申請のありました「歯科用パ ノラマX線CT撮影装置 PSR9000Nシリーズ」でございます。本品は歯顎・頭頸部領域 に対してパノラマ断層撮影及びX線CT撮影を行い、パノラマ画像、CT画像、3次元 画像を得る装置です。従来の歯顎・頭頸部領域用のCT装置は、局所の範囲のデータの みあるいは全顎のデータのみ取得可能でしたけれども、本申請品は旋回中心を連続的に 移動させること等により、局所から全顎までのデータを一度の撮影で取得できる装置で ございます。  続きましてシーメンス旭メディテック株式会社よりPET CT装置が3品目申請さ れ、承認されております。これはシリーズ名として「バイオグラフ」という名前が付い ておりますが、「バイオグラフ センセーション16」、次が「バイオグラフ」、2ペー ジへ行きまして「バイオグラフ LSO」でございます。「バイオグラフ センセーショ ン16」の方で品目の概要を説明させていただきます。これは輸入承認申請がなされたも のです。本品は既承認品のPET CT装置とX線CT装置を組み合わせたものでござい まして、両者を併用することによりPET装置を単独で使用する場合に比べて吸収補正 時の誤差が低減されます。また、PET画像とX線CT画像の最大断層数はそれぞれ47 スライス、16スライスというものでございます。  次の「バイオグラフ」と2ページの「バイオグラフ LSO」についても同様の装置で ございますが、撮影できる断層数が異なっておりまして、バイオグラフの方はPETが 63スライス、CT画像が2スライス、次のページのLSOについてはPETが47スラ イス、CTの方が2スライスということでございます。  続きましてペースメーカでございます。2〜3ページにかけて、これは「インシグニ ア」というシリーズ名で6品目承認されております。これは日本ガイダント株式会社よ り輸入承認申請があったものです。それと4〜5ページにかけて、インターメディクス ジャパン株式会社より輸入承認申請があった「ネクサス」というシリーズのものでござ います。これらは同一の機種といいますか、例えば2ページの真ん中にあります「イン シグニア プラス DR」は4ページの「ネクサス プラス DR」と同じものでございま す。また、その他の品目についても対応するもの同士は同一のものでございます。説明 といたしましてはこの日本ガイダント社の品目で説明させていただきたいと思います。  まず2ページの「インシグニア プラス DR」でございますが、これは心室・心房に おいてセンシング及びペーシングを行うデュアルチャンバ型の植え込み型心臓ペースメ ーカです。自己脈をセンシングした場合のペーシングの抑制、自発心房収縮に同期させ た心室ペーシング、及びレート応答機能等を持つDDDR型のペースメーカであり、既 承認品である「バータス プラス II DR/パルサー マックス II DR」の小型・軽量化 を行ったものですけれども、その他の機能といたしましてパルス幅等が変更された品目 でございます。  次に「インシグニア プラス SR」でございますが、これは心房若しくは心室におい てセンシング及びペーシングを行うシングルチャンバ型の植え込み型心臓ペースメーカ でございます。自己脈をセンシングした場合のペーシングの抑制を行う機能及びレート 応答機能等を持ちまして、同時申請中の「インシグニア プラス DR」を上位機種とす るSSIR型のペースメーカでございます。  次に3ページの「インシグニア エントラ DR」でございます。これは同時申請中の 「インシグニア プラス DR」を上位機種とするデュアルチャンバ型(DDDR型)の植 え込み型心臓ペースメーカでございます。  次に「インシグニア エントラ DDD」ですが、これも同時承認申請中の「インシグ ニア プラス DR」を上位機種とするデュアルチャンバ型(DDD型)の植え込み型心臓 ペースメーカでございます。以下も同じでございますが、いずれにしましても「インシ グニア プラス DR」を上位機種とする植え込み型心臓ペースメーカでございます。  続きまして5ページへ移っていただきたいと思います。次もペースメーカでございま すが、4品目ございます。これは株式会社ゲッツ ブラザーズから輸入承認申請がありま した「アイデンティティ」というシリーズが2品目と、フクダ電子株式会社より輸入承 認申請のありました「フィデリティー」というシリーズでございますが、これについて も5ページの「アイデンティティDR」と6ページの「フィデリティー DR」は同一の 機器、6ページへ行きまして「アイデンティティSR」と一番下の「フィデリティー S R」は同一の機種でございます。したがいまして、ゲッツ ブラザーズの「アイデンティ ティ」の方で説明させていただきます。  「アイデンティティDR」でございますが、これは心室・心房においてセンシング及 びペーシングを行うデュアルチャンバ型の植え込み型心臓ペースメーカであり、レート 応答機能を有するDDDR型のペースメーカです。本品は同社の既承認品である「イン テグリティμDR」の基本性能を踏襲しまして、診断機能を中心に機能強化を図ったも のでございます。  次に6ページを御覧ください。「アイデンティティSR」でございます。本品は心房 又は心室のいずれか一方をセンシング及びペーシングする、いわゆるシングルチャンバ 型でございまして、加速度検知式のレート応答機能を有するSSIR型のペースメーカ でございます。本品は同社の既承認品である「インテグリティμSR」の機能を踏襲し て、診断機能を中心に機能強化を図ったものでございます。「フィデリティー」シリー ズは「アイデンティティ」と同一のものでございます。  次に7ページを御覧ください。体外診断薬でございますが、これは合同酒精株式会社 より製造承認申請のありました「ペリオスクリーン『サンスター』」でございます。そ の効能・効果は洗口吐出液中のヘモグロビンの検出ということでございます。品目の概 要は、洗口吐出液中のヘモグロビンを検出するキットでございまして、既承認品として 「サリバスター 潜血用」がございますが、これは唾液中の潜血の検出でありまして、本 品の臨床的意義に関しては新規性はございませんが、検出原理に抗ヒトヘモグロビンマ ウスモノクローナル抗体を用いることで特異性が向上した点、及び検体種として前例の ない洗口吐出液を用いることで利便性が向上したというのが改良点でございます。報告 品目については以上でございます。 ── 審議官退席 ── ○桜井部会長 どうもありがとうございました。何か御意見、御質問ございますでしょ うか。よく分からないのですが、同一のものが2社から別々に申請されているというの はどういうことなのですか。 ○医療機器審査部長 並行輸入でございまして、A社とB社がそれぞれで同じものを売 りたいという申請がされてきたということでございます。 ○桜井部会長 そういう例はたくさんあるわけですか。 ○医療機器審査部長 ペースメーカですとかなりございます。 ○桜井部会長 ほかはございますか。どうぞ。 ○小野委員 一番最後の体外診断薬ですけれども、これは前にも質問していて分かった ような分からないようなことなのですが、こういうものの場合これを測定する機器は一 対で使うものなのでしょうか。それともこれは一般的に何にでも使えるといいますか、 それによってこの審査をするときに本体の方、測定器の方の相性などについてはどのよ うに審査なさるのでしょうか。 ○桜井部会長 先ほどの相関性基準とも少し関係ありますね。 ○機構 お答えします。本品について申し上げますと目視で確認するものなので、特に 機器を使用するものではございません。体外診断薬で機器を使用して検出するものにあ っては、専用の機器の場合には機器を特定して性能を担保するということになっており ます。 ○中原部会長代理 今の体外診断薬の件ですが、つまりこれは例えば口をゆすいでそれ を出した液体とか、吐出液ということはやはり吐物についての潜血を見るためのキット と解してよろしいのですか。 ○機構 本品については口をすすいだ後のすすぎ液の中の潜血反応でございます。 ○中原部会長代理 そうすると吐出液というのは要するに吐物ではないわけですね。口 をゆすいだときの潜血反応にどれくらい医学的意義があるかということについては、申 請時に何か説明があったのでしょうか。 ○機構 その点については実はここに記載してあります「サリバスター 潜血用」という 既承認品がございまして、唾液中の潜血の検出を使用目的として承認されたものがあり ますので、それと同じ目的ということで承認して差し支えないと判断しております。 ○中原部会長代理 唾液とちょっと口をゆすいだものとは少し違うかもしれないと思う のです。ですから、唾液でしたら何か例えば唾液の分泌ルートの中の出血ということが あるかもしれませんが、すすぎ液だと歯ぐきや口腔内のどこかから出血しているときに それを判定するといったことなのでしょうか。 ○機構 本来既承認品の唾液の潜血を検出するという目的自体にそういった歯ぐきの中 の出血等も併せて見たいということがあったのですが、それを簡便に更に確実に見付け 出すという方法で口に精製水を少し含んですすいだものを用いると。ですから順番的に は唾液を直接とって外で薄めたものと口の中で薄めたものと順序が違うと考えて、それ で相関をとった場合非常に良好であったということで、問題はないかと判断しました。 ○中原部会長代理 抗体にヒトモノクローナル抗体を用いたということが恐らく特異性 を高めたと思うのです。分かりました。ありがとうございました。 ○桜井部会長 ほかは何かございますか。よろしゅうございますか。それでは本日の審 議と報告の事項は以上でございます。何か事務局からございますか。 ○事務局 ございません。 ○桜井部会長 それではこれで閉会いたします。どうもありがとうございました。 ○事務局 それでは引き続きまして医療材料部会の方を開催させていただきますので、 医療機器・体外診断薬部会の委員の方々は本日はこれで終わりでございます。 ── これより医療材料部会 ── ○事務局 それでは次に医療材料部会に入らせていただきたいと思います。本日の審議 事項でございます医療用具ジェルパートに関する参考人といたしまして、せんぽ東京高 輪病院の戸田先生に御出席いただいております。本日医療材料部会委員17名のうち12 名に御出席いただいており、薬事・食品衛生審議会令第九条第3項に基づきまして定足 数に達していることを御報告させていただきます。本日の審議品目に関しましては関与 する委員がいないことも併せて御報告させていただきます。それでは土屋部会長、以後 の議事進行をお願いいたします。 ○土屋部会長 それではまず資料の確認をお願いします。 ○事務局 本日の資料でございますが、既に資料7-1、8-1についてはお配りさせていた だいていると思います。本日配付の資料でございますが、資料7-2はこの後行います医 療用具ジェルパートについてのプレゼン用の資料でございます。資料7-3は医療用具ジ ェルパートの添付文書の改訂案でございます。資料8-2が医療用具MULTI-LINK ピクセ ルステントについてのプレゼン用の資料でございます。資料9-1が部会報告品目につい てでございます。お手元に資料がない先生がおられましたら、事務局の方までお伝えく ださい。 ○土屋部会長 それでは審議品目の概要について事務局から説明をお願いします。 ○事務局 それでは「医療用具ジェルパートの生物由来製品又は特定生物由来製品の指 定の要否、製造承認の可否及び再審査期間の指定について」の御審議をお願いいたしま す。この品目は粒径が1mm又は2mmの熱処理を行った多孔性ゼラチン粒をバイアルに充 てんし、それから凍結乾燥を行いゴム栓を用いて密封したものでございます。肝細胞癌 の栄養血管となっている肝動脈を塞栓いたしまして、阻血効果によって腫瘍を壊死させ る治療法である肝動脈塞栓療法の動脈塞栓材として用いるものでございます。詳細な審 査の概要及び委員の皆様方から事前に頂いたコメント等については、実際に審査を行っ た医薬品医療機器総合機構の方から説明させていただきます。 ○機構 それでは医薬品医療機器総合機構よりジェルパートの審査報告をさせていただ きます。資料7でございます。本品目の審査においてスライドにお示ししたとおり、川 西委員、土屋委員、戸田委員、森山委員、与芝委員の計5名の専門委員に御意見を伺い ました。なお、本日は参考人として戸田先生に御同席いただいております。  審査品目の概要について簡単に御説明いたします。本品は熱処理した多孔性ゼラチン 粒で、肝動脈を塞栓し阻血効果により腫瘍を壊死させる肝動脈塞栓療法の動脈塞栓材と して、山之内製薬株式会社より製造承認申請されたものでございます。本品は血管造影 下において造影剤と懸濁し、経血管的にカテーテルを通して標的腫瘍の肝動脈を塞栓す るものでございます。  本品の外観と製材の電子顕微鏡写真をお示ししました。本日見本をお回ししておりま すので、そちらも併せて御覧ください。  このスライドは我が国の肝細胞癌治療についてお示ししたものです。肝細胞癌におい ては外科的な切除術が一般的には治療の第一選択と考えられておりますが、実際の手術 切除率は27.6%程度であり、肝切除不可などの理由で多くの場合は保存療法を行ってお ります。肝動脈塞栓療法は特に肝切除ができない場合の保存療法として、これまで最も 一般的に行われてきた療法でございます。肝動脈塞栓材としてはこれまでに使用された ものとしてこちらにお示ししていますが、微少デンプン球などは塞栓の時間が約1時間 程度であり塞栓効果が期待できないこと、また永久塞栓の金属コイルなどは側副血行路 が発達してしまうなどの治療上の問題点が指摘されております。そのため現在では多く の場合医薬品であるゼラチンスポンジで長期塞栓を行っております。  したがいまして、長期塞栓材として承認されているものは現在ございません。医療現 場で使用されている長期塞栓材は止血、褥瘡潰瘍の効能・効果で承認されている医薬品 のゼラチンスポンジを細片に調製したものであり、動脈塞栓の適応がない、細片の調製 が煩雑である、細菌混入のおそれがあるなどから、本品のような滅菌された動脈塞栓材 の医療現場への導入が現在望まれております。ゼラチンスポンジの動脈塞栓における有 害事象を下に示しました。こちらについてはゼラチンスポンジの物性との関連について の考察はされておりません。一方塞栓領域近傍の臓器の炎症、壊死及び梗塞等の有害事 象については塞栓材の近傍臓器血管への流入により発現する可能性があると推察されて おります。  物理的化学的性質並びに規格及び試験方法についてはお示しした項目の結果が提出さ れております。含量については上限値を規格に追加することで了承いたしました。  安定性についてはこちらにお示ししたガイドラインを参考に過酷試験、長期保存試験 及び加速試験が行われております。審査においては不溶性異物試験において一部不溶性 異物が認められたことから、その原因と申請者の見解を求めました。これに対し申請者 はこのスライドでお示ししましたように、異物混入は外的なものであると推定し、実生 産用設備を用いて製造時における異物混入防止に関する検討を行った上で、製品を4ロ ット分製造し、不溶性異物試験をすべての製品について行いました。その結果すべてが 適合し、異物混入は防止できるということを確認したとの回答を得ております。不溶性 異物の混入防止をより確実にするために、規格及び試験方法に「不溶性異物検査」を設 定することで本回答を了承いたしました。  生物学的安全性については御覧のとおりの試験結果が提出されております。総合機構 は、能動性全身アナフィラキシー試験について対照品のゼラチンスポンジよりやや強い 陽性率であることから、安全性についての見解を求めました。申請者は原材料、製造工 程等を比較した結果、抗原性に大きく影響を及ぼすと考えられる要因はないとした上で、 添付文書の警告、禁忌及び重要な基本的注意において、御覧のとおりの注意を記載する との回答を得ております。また感作性、補体活性への本品の影響については追加で試験 を行い、問題は認められておりません。  本品はウシ骨由来のゼラチンを使用しており、その安全性についてはこのスライドの とおりでございます。  滅菌については熱処理工程までは無菌性をバリデーションで担保しており、それ以降 の工程は無菌操作を行うこととしております。審査においては無菌操作における無菌性 の担保について見解を求めましたところ、実際の製造工程の条件に従って操作した3ロ ットにおける培地充てん試験により無菌性保証が確認できたとしており、これを了承い たしました。  性能についてはカテーテル通過性試験を行っておりましたが、特定の条件の試験であ ったことから実使用を想定して適切に使用するための注意等の有無の検討を行うことを 指示しました。こちらにお示ししたように通過性を確認した結果、組合せによっては通 過が困難なものがあることが確認されましたので、この結果を添付文書に記載すること により、医療現場が適切に使用できる情報を提供することでこの回答を了承いたしまし た。  臨床試験については肝動脈塞栓療法が適応となる肝細胞癌患者を対象として、主要評 価項目を血管造影により判断された「肝動脈の塞栓性」、副次評価項目を日本肝癌研究 会の判定基準を参考に判断した「腫瘍壊死効果」及び塞栓直後と4週間後の血管造影画 像の比較による「再疎通性」、そして医師の主観的評価による「操作性」として、試験 期間4週間で評価しました。  有効性についてこちらにお示ししました。肝動脈塞栓性は全例に認められました。腫 瘍壊死効果は腫瘍が50%以上壊死した症例が56.5%に確認されております。再疎通性は 塞栓後18〜46日の間に肝動脈血管造影を施行した20例において確認したところ、15例 に再疎通性が確認されております。操作性については全例で「取り扱いやすい」という ことでした。  安全性については有害事象は74.6%に発現しております。そのうち塞栓療法との関連 性が否定できないものは71.4%になっております。主な有害事象としては嘔気、腹痛等 の消化器障害、血圧上昇又は低下等の心・血管障害、発熱等の一般全身症状となってお ります。これらの事象はいずれも肝動脈塞栓療法において通常見られるものでございま す。重篤な有害事象としては肝性脳症が1例に発現しておりますが、処置により回復し ており安全性上大きな問題はないと判断されております。  以上の臨床試験結果について審査においては主に次の点について申請者の見解を求め ました。まず、本臨床試験においては63例中62例に抗癌剤の併用があることから、腫 瘍壊死効果が塞栓効果によるものかどうか判断が難しいことについてです。これに対し て治療計画時点で肝動脈塞栓療法において抗癌剤併用が標準的手法として確立していた ことから、塞栓のみの腫瘍壊死効果を評価することが困難であったということと、肝動 脈塞栓性を主要評価項目にしたということ。一方肝動脈塞栓性の壊死効果については、 肝動脈塞栓療法の歴史的経緯を含め文献的に評価できると申請者は見解を述べておりま す。また、本治験における腫瘍壊死効果が臨床上十分な効果かどうかについては、間接 的ではございますが、文献的な比較を行い同等であることを確認したとしております。  本品が手技の過程で塞栓部位から流出し、他の臓器の血管を塞栓することに対する対 応については、警告の記載に追加して、重要な基本的注意において標的血管の血行状態 を確認し、必要最小限の量を透視下で確認しながら慎重に注入する旨を記載することと しました。また、医薬品であるゼラチンスポンジについてはこれまでに肝動脈塞栓以外 にも使用されているという現状を踏まえ、本品について使用目的以外に使用されないた めの対策について見解を求めたところ、禁止事項として肝動脈塞栓療法以外の目的で本 材を使用しないことを記載するとの回答を得ております。  以上の審査を踏まえ、総合機構は本品をここにお示しした使用目的として承認して差 し支えないと判断いたしました。なお、本品は新効能医療用具であり、再審査期間は3 年とするのが妥当であると判断しております。また、本品は生物由来製品又は特定生物 由来製品には該当しないことも併せて御報告いたします。  審査報告は以上でございますが、ここで事前に先生方より頂いたコメントについて御 紹介させていただきたいと思います。まず、橋本久邦委員より二点の御質問を頂いてお ります。一点目は、「添付文書(案)の使用方法において、『原則として本材の取扱いは すべて無菌的に行うこと』とあくまでも原則としているが、無菌的に行うのは必須とさ れないのか」という御質問を頂いております。これについては先生の御指摘のとおりと 考えておりまして、「原則として」を削除し記載整備した資料7-3を本日差し替え資料 として配付させていただいております。また、これに合わせまして資料中のこれに関連 する箇所についても適切に記載の整備をしたいと考えております。  二点目に、「本品の臨床試験では抗癌剤との併用が63例中62例とほぼすべての症例 で行われていることから、実地医療においても本品と抗癌剤との併用が容易に想定され る。したがって、類似医療用具であるスフェレックスの添付文書に記載されているよう に、本品の添付文書においても抗癌剤との併用療法での使用方法に関する記載を設ける 必要はないのか」という御質問を頂いております。これについてはスフェレックスは短 期塞栓材で塞栓時間は約1時間程度でございますので、塞栓のみでの治療効果は期待で きないと考えております。したがって、承認においてもマイトマイシンCとの併用が必 須となっております。一方本品は長期塞栓材であることから、抗癌剤との併用が必須で はございません。しかしながら、医療現場において抗癌剤との併用が想定されますこと から、使用上の注意において抗癌剤との併用の際には抗癌剤の作用が増強するおそれが あること、併用する抗癌剤の添付文書等を熟読し観察を十分にして、有害事象が発現し た際は適切に処置するよう、実際注意喚起をしているところでございます。  次に川田先生から、「本品の類別、一般名称が『医療用品4.整形用品』、『その他の 外科・整形外科用手術材料』とありますが、本品を用いた肝動脈塞栓術は放射線診療科 や肝臓内科で主に実施されるものであり、外科や整形外科での実施はまれですので、現 在の治療体系に合致した類別名称に改めるべきであると考えます」との御質問を頂いて おります。これについては先生の御指摘のとおり、現在の治療体系に合致した名称にな っておりません。しかしながら、現在の類別、一般的名称には放射線診療科や肝臓内科 で使用する材料に関する名称が存在しないこと、そして類似の医療用具においてもこの 類別、一般名称で承認されていることから、本品については現段階においてはこの類別、 一般名称で御了承いただければと考えております。今後は現在検討されている一般名称 において名称がより適切な形に整備できるものと考えておりますので、その際には適切 に処理したいと考えております。  続きまして、「『使用方法』の中で『本手技はX線透視下で行うこと』とありますが、 前文に『肝動脈内に挿入されたカテーテルを通じて、慎重に手圧にて注入する』などが あり、冗長に過ぎるか不要か、挿入箇所の検討が必要と考えます」という御意見を頂い ております。これについては、本品の使用においては本品を他の血管に流出させないと いうことが大変重要な手技上の問題になってきます。したがって、その内容については 「使用方法」の一番前に記載しております。すなわち一番目として、他血管に流出させ ないためにはカテーテルを使用して圧力をかけ過ぎないように手圧で行うこと。それか ら二番目として、できるだけ腫瘍の近くまでカテーテルを持っていくこと。そして三番 目として、本品はX線造影剤の助けが必ず必要なのでX線透視下で確認しながら行うと。 審査においてはこの三点が大変重要なことと考えておりますので、この内容を「使用方 法」の前文に記載することで御了承いただければと考えております。  次に、「『有害事象』の『3)重篤な血小板減少(頻度不明)』とあり、重篤な血小板減 少を起こした例があるとありますが、1例のみの報告であれば『頻度まれ』などの表現 にできないでしょうか。『頻度不明』ではいたずらに重大性や有害性をあおる表現に思 われます」という御意見を頂いております。これについては添付文書の記載においては 医薬品も含めまして、現在は頻度が算出できるものにあっては頻度で記載するというこ とにしております。また、使用数等が不明であって発症頻度の算出ができないものにあ っては「頻度不明」との表現を用いております。本件についてはスポンゼルの文献調査 において確認されたものであり、使用数が不明であることから「頻度不明」との表現を 用いております。本品において血小板減少が今後どの程度の頻度で発症するかについて は市販後調査において確認できることと思いますので、頻度が確認でき次第適切な表現 等をさせていただきたいと考えております。  山口先生から、「ゼラチンは高度精製品であり、ジェルパートは生物由来製品、特定 生物由来製品には該当しないと考えます」というコメントを頂いております。以上でご ざいます。御審議のほどよろしくお願いいたします。 ○土屋部会長 ありがとうございました。それでは本日参考人として来ていただいてお ります戸田先生、本品目についての御意見をお願いいたします。 ○戸田参考人 私はこの肝細胞癌治療全体についてということと、ジェルパートの使用 の必要性についてお話ししたいと思います。まず、日本の肝細胞癌治療の現況ですけれ ども、これは日本肝癌研究会の2001年の報告でございますが、日本における肝癌治療の 現状についてお話しいたしますと手術が31.3%、後で説明いたしますが局所療法が26.8 %、塞栓療法が36.4%となっております。ですから一番多いのが塞栓療法、次いで手術、 そして局所療法という順番になっておりまして、ほぼ30%前後でそれほど大きな差はあ りません。化学療法は4.6%と非常に少なくなっております。  まず手術療法ですが、手術というとファーストチョイスになっておりますけれども、 これは施設によって随分差がありまして、手術療法はほとんどやらないところから手術 をどんどんやるところといろいろございます。全国的に見てみますと手術療法の対象と なりますのは5cm以下で個数が1個、存在範囲が左葉か右葉どちらかの一葉に限局して いる場合に限られております。  局所療法についてはエタノール注入療法とかマイクロ波熱凝固壊死療法、ラジオ波焼 灼療法がございます。全国集計によりますと、エタノール注入療法というのは超音波下 でカテーテルを挿入しエタノールを注入して肝癌を壊死に陥らせる治療法ですが、41.2 %、そしてラジオ波焼灼療法が40.2%でほぼ同じ程度、マイクロ波熱凝固壊死療法が 17.7%ということで、現在ではエタノール注入療法とラジオ波焼灼療法が主に行われて おります。これについても80%近くは腫瘍径が3cm以下でやられているわけです。個数 が2個以下というのが90%ということで、腫瘍径が3cm以下で個数が2個以下という症 例に対して局所療法が行われております。手術療法をほとんど行わない施設では大体局 所療法が行われているということで、後でお話しいたしますが、有効性については手術 療法とほとんど差がございません。  次に塞栓療法についてはTranscatheter Arterial Embolization(TAE)と言ってお りますが、これはゼラチンスポンジを詰めるのですけれども、TAE単独ともう一つは 抗癌剤を一緒に入れるというのがございます。これはTranscatheter Arterial Chemoembolization(TACE)と言っております。これはリピオドールと抗癌薬を混ぜて リピオドールエマルジョンを作り、それを肝動脈から注入した後塞栓材を入れて塞栓を 行うというものです。この塞栓療法の原理というのは、大部分の肝細胞癌が肝動脈だけ で栄養されているということを利用して行われているわけでございます。ところが、一 方で正常な肝組織は門脈に乗って栄養されているということを利用して肝動脈を塞栓し てやりますと、肝癌だけが壊死に陥るということです。  TAEとTACEがあるわけですが、抗癌剤を使わないでTAE単独というのはほと んど行われておりません。全国集計では塞栓療法の2.2%が単独と。そのほかは、リピ オドールのみというのもほとんど抗癌剤を混ぜたエマルジョンを注入しておりまして 24.3%。リピオドールとEmbolization、いわゆるTACEですが、リピオドールと抗癌 薬とのエマルジョンを作って入れておいてその後塞栓を行うというのが72.7%です。先 ほど問題点としてこの治験においてほとんどの症例が抗癌剤を併用しているのはおかし いではないかという御指摘がございましたが、現状においてはEmbolization単独という のは2.2%しか行われておりませんで、実際問題として患者さんにこういったほとんど 行われていない治療をコントロールとして行うというのは倫理的に非常に問題があって できないということです。全体を見てみますと抗癌薬を併用しているのは92%というこ とで、塞栓療法のほぼ90%以上が抗癌薬を併用しているということです。  手術療法、局所療法については個数にかなり制限がございましたが、この塞栓療法に ついては余り制限がございません。また、手術療法においては区域や存在範囲が一葉に 限局しているなどという条件がございましたが、塞栓療法では特にございませんで、実 際行われておりますのは1区域以上で一葉未満が41.9%ですが、一葉以上に塞栓療法が 行われているのが20%ございますし、全肝塞栓が9.4%ということで、手術療法、局所 療法いずれも行い得ない症例に対して塞栓療法を行うことが多いと。ただ施設によって 違いまして、この塞栓療法が非常にうまい放射線科のドクターがいるところでは本来は 局所療法で済むところも塞栓療法でやっているというのが現状です。  最後に化学療法ですが、これは肝動脈を経由して入れるというのがほとんでで、化学 療法単独というのは余りやられておりませんが、91.2%が肝動脈経由で抗癌薬を入れて おります。抗癌薬の種類として一番多いのが5FU、その次がシスプラチン、そしてア ドリアマイシン、マイトマイシンCという四つが最も多く使われておりまして、最近イ ンターフェロンが時々使われているという程度です。  肝切除の手術はもう取ってしまうわけですから著効ということになりますが、こうい った局所療法、塞栓療法、化学療法の有効性について検討してございまして、局所療法 では50%以上の医師が有効以上と見られたのが93.9%です。塞栓療法は50%以上の医 師が見られて68.9%で有効以上の効果を得ておりますが、著効、完全壊死に陥ったのは 27.2%ということです。化学療法ではこれは落ちまして50.1%ということです。最後に 局所療法についてはエタノール注入療法、マイクロウェーブ、ラジオ波が大体90%前後 の有効性で、著効率についてはマイクロウェーブ、ラジオ波がエタノール注入療法より はやや良いかということでございます。  専門協議での論点については先ほど機構の方で御報告されたので省略いたしますが、 ジェルパートの治療上の必要性についても先ほど御報告されましたけれども、現在スポ ンゼルをシリンジに入れてパンピングによって細かくするとか、あるいは1mm角に切る といったことをやっているわけです。その操作の過程でバクテリアのコンタミネーショ ンが非常に考えられ、しかも操作が面倒であるといったことで、このジェルパートにつ いては大きな期待が集まっているというのが現状であると思っております。以上です。 ○土屋部会長 どうもありがとうございました。それでは本品目の使用目的は肝細胞癌 患者に対する肝動脈塞栓療法ということで、現在手術の場でスポンゼルで行っていたも のを今回出されたもので手術すると非常にやりやすいということでございます。いかが でしょうか。 ○北畠委員 本品が生物由来製品又は特定生物由来製品でないという根拠がよく理解で きなかったので、もう一度お願いします。 ○土屋部会長 それは多分高度精製品というものは外しているということだと思います が、追加で機構の方から御説明をお願いします。 ○機構 部会長のおっしゃったとおり、本品ゼラチンについては高度精製品ということ で生物由来製品から外しております。これについては通知で発出されておりまして、ど ういうものが高度精製品に当たるかというのはそれでしっかり規定しております。ゼラ チンはそれから外れているということでございます。 ○北畠委員 各製品ごとにそのように細かく決まっているのですね。 ○機構 はい。 ○北畠委員 分かりました。 ○土屋部会長 やはり生物由来製品とか特定生物由来製品に指定されますとそれなりに お金が掛かるものですから、ウイルス、バクテリア等の汚染を精製過程できちんとされ ているものはなるべく外すということは、コストを下げる上では重要だと思います。 ○北畠委員 重ねて聞きますと、ゼラチンがどうしてその指定から外れたかというのは …。 ○土屋部会長 ゼラチンに限らず各個別のものにすべて精製過程を提出させて、滅菌バ リデーションがきちんと行われているかを評価して、それは高度精製品として該当する というふうになされています。 ○北畠委員 例えばアルブミンのようなものは駄目ですよね。幾らリコンビナントであ っても駄目というのが何かありましたね。そういうものとは全然違うわけですね。そこ の違いについて再度詳しく説明願えませんか。 ○事務局 生物由来製品の通知の検討の際に、ゼラチンほか例えばステアリン酸等精製 過程においてウイルス、BSEの問題、たんぱくの変性等といった形で、精製ができる ものについて基本的に外しております。そういうものが例えばゼラチンでアルカリ処理 等を行うに当たって、通常は存在するウイルス等がアルカリ処理で破壊されるというこ とになりますので、これについては一応外すと。個別の品目ごとにそのような精製過程 を検討させていただいて、ウイルスの混入等のリスクを除外できるだろうというものに ついて指定を外させていただいております。 ○土屋部会長 どうぞ。 ○長谷川部会長代理 オーストラリアのウシということがどの程度この承認あるいは安 全性に効いているのでしょうか。例えばオーストラリアで現在BSEが発生していない という状況の中での話だろうと思うのですけれども、もし発生したらこれは取消しにな るのでしょうか。仮定の話で大変恐縮なのですけれども、例えばこれが仮にアメリカの ウシから精製されたものであったとしたらこれはどうなっていたのでしょうか。 ○事務局 お答えいたします。まず、BSE対応についての話でございますが、実はこ れはどこの国から入ってくるのかというウシの原産国について、例えばそれぞれ告示に よって安全性があるところとそうでないところを決めまして、それに基づいて個別の品 目ごとにどこまで許容するかということを作らせていただいております。ですから、今 現在オーストラリアは先生がおっしゃいますとおり危険国というわけではないのです が、そちらの方に入っておりません。例えば米国などの例をとりますと、一般的な話で BSE対応を行う場合その品目ごとに一変を行うのか、それとも原料を替えることはで きないか、あるいは工程で何かできないかとか、そういうところで安全性を求めること としております。ですから、個別の品目ごとにそのやり方が変わっていくのでございま すが、もしこの品目についても例えばオーストラリアでBSEが出たとなった場合には、 過去に行ってきているカナダ、ヨーロッパ、アメリカなどと同じようなやり方の中で推 移していくことになると思われます。 ○長谷川部会長代理 どうもありがとうございました。 ○土屋部会長 それではもし反対意見がございませんでしたら、半数以上賛成というこ とで承認としてよろしゅうございますか。それでは12月24日行われる薬事分科会に報 告させていただきます。ありがとうございました。戸田先生、どうもありがとうござい ました。  それでは次に二つ目の審議に入ります。審議品目の概要について事務局から説明をお 願いします。 ○事務局 それでは二つ目の品目でございます。「医療用具MULTI-LINK ピクセルステ ントの生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、輸入承認の可否及び再審査期 間の指定について」を御審議いただきます。この品目は経皮的冠動脈ステント留置術を 実施するに際し、血管内腔確保を目的に病変部に挿入留置して使用するステント、直径 が2.25mm及び2.5mmを病変部位に留置させるためのデリバリーカテーテルから構成され ています。2.5mm径以下の小血管に使用するものとしては初めての品目でございます。 詳細な審査の概要及び委員の皆様方から事前に頂いたコメントの説明については、実際 に審査を行った総合機構の方から説明いたします。 ○機構 それでは医薬品医療機器総合機構より御説明申し上げます。資料8を御覧くだ さい。本品の審査においては医薬品医療機器審査センター及び医薬品医療機器総合機構 での審査に当たり、こちらにお示しします小田委員、佐藤委員、茅野委員、野々木委員、 山口委員、米山委員の計6名の専門委員の御意見を頂きました。  本申請品目の外観写真をお示しいたします。本日は見本を御用意いたしましたので御 覧ください。本品は経皮的冠動脈ステント留置術を実施するに際し、血管内腔確保及び 再狭窄抑制を目的に病変部に挿入留置して使用するステントセットでございます。拡張 時の図を御覧いただきますとお分かりのように、通常の冠動脈ステントと同じような構 造を有しております。  本品の開発の経緯をお示しいたします。経皮的冠動脈血行再建術、いわゆるPTCA を行いますとバルーン若しくはステントで血管壁を押し広げる際に傷が付き、その傷が 原因で血管壁がはがれるなどして冠動脈解離が生じることがございます。その場合迅速 に血管を開存し血流を確保しなければ心筋に深刻なダメージを与えてしまい、時によっ ては死に至ることがございますので、多くの場合は冠動脈ステントを留置し血流の確保 を行います。しかし、現在承認されている冠動脈ステントは最小径が2.5mmのため、2.5 mmより小さい血管に解離が生じた場合には適応できる冠動脈ステントシステムがござい ません。したがいまして、2.5mm未満の血管にも適応できる冠動脈ステントシステムの 開発が必要となってまいりました。そのために本品が開発されております。  本品の2004年8月現在の承認・販売状況をお示しいたします。EUでは2000年10 月に、まず対照血管径2.25〜2.5mmの血管に待機的症例についての承認を取得し、その 後2.0〜2.5mmの血管においてPTCA後の急性冠閉塞、切迫閉塞の承認を取得し、約 12万本が販売されております。一方米国では対照血管径2.0〜2.5mm、病変長25mm以下 の新規及び再狭窄冠動脈病変の急性冠閉塞及び切迫閉塞の治療の適応で承認されてお り、これまでに約24万本が販売されております。  海外においてこちらにお示ししますような不具合が報告されておりますが、いずれの 不具合も既存のステントにおいても発生するものであり、未知の不具合は発生しており ません。  ステントにかかわる物理的化学的試験として米国FDAのガイダンスに基づきこちら に示す試験が行われました。総合機構は提出された成績を審査し、妥当なものとして了 承いたしました。デリバリーシステムにかかわる物理的化学的試験についても同様、米 国FDAのガイダンスに基づきこちらに示す試験が行われました。総合機構は提出され た成績を審査し、妥当なものとして了承いたしました。  本品には御覧のとおりの規格・試験が設定されており、すべての試験に適合すること を確認し、了承しております。  本品の安定性はこちらにお示しします実時間保存検体を用いた長期保存試験及び加速 試験が行われ、これらの成績から滅菌後の有効期間を2年とすることを了承いたしまし た。  性能試験としてステント留置3日後、28日後の評価を行った慢性期in vivo動物試験、 及び留置手技中のステント性能を評価する急性期in vivo動物試験が行われました。い ずれの試験においても本ステントの留置による異常は認められませんでした。  本ステントの臨床的有効性、安全性を確認する目的でPIXEL試験が行われました。本 臨床試験ではPTCA後の急性冠閉塞及び急性切迫閉塞を発症した患者に限定して臨床 試験が行われました。この臨床試験がPTCA後の急性冠閉塞等緊急避難的使用に限定 しておりますことから、主要評価項目は短期的な再血行再建と心筋梗塞を指標とした手 技後30日の標的血管不全(TVF)となっております。また、副次的評価項目は御覧のと おりでございます。  こちらのスライドは臨床試験の成績を示し図にしたものでございます。参考として挙 げさせていただいたRECREATE群といいますのは、同社の既承認の冠動脈ステントである ACS MULTI-LINKステントを用いて、今回の臨床試験と同様にPTCA後の急性冠閉塞、 切迫閉塞を対象として行ったRECREATE試験の成績でございます。本臨床試験のエンドポ イントの設定や有効性の判断材料として本申請の中で用いられていることから、こちら に挙げさせていただきました。主要評価項目である手技後30日のTVF、副次評価項目 であるこれらの成績を見ますと、本ステントよりも太い血管に対して実施したRECREATE 試験の成績よりも若干良いところもございますが、ほぼ同程度の試験成績でした。  本ステントは緊急避難的に使用されることから、主要評価項目は30日のTVFとなっ ておりました。とはいいましても、該当病変の治療計画を立てる際にはそもそも当該病 変にPTCAを選択する妥当性もそうですが、PTCAにより解離が生じた場合の対応、 さらにはその場合の予後についても考察する必要があると考えますことから、病変径に 分けた評価を行いました。血管径が予後に大きな影響を及ぼす因子として知られている ことからある程度予想の付く現象と言えますが、2.0mm径の成績が突出して悪いことが 御覧いただけるかと思います。  さきのスライドでお示ししましたように、本臨床試験の全体的な成績は既承認ステン トと同程度以上であると考えられるものの、2.0mm径のステントについて考えますと幾 つかの問題が内在していると考えております。この点について本ステントの専門委員と して議論に参加していただいた野々木先生からコメントを頂いておりますので、この場 で御紹介させていただきます。「総合機構の決定を支持いたします。2.0mm径のステン トは以下のような問題点を内在しているため、今回承認しないことでよいと考えます。 このステントは急性冠閉塞や解離で末梢側に生じるという理由で申請したものと推察し ます。しかし、二つの問題点があります。一つ目は、2.0mm径の血管を標的とする待機 的PTCAを容認することにつながります。ベイルアウトという理由は容易にクリアで きる理由で、介在不十分となれば臨床医は使用すると思われます。再狭窄が高いこと、 DESでないことから考えて適切ではないと考えます。臨床的には2.25mmで十分である と考えます。二つ目は、2.0mm径のステントにTVFが生じて冠動脈バイパス術を施行 する際に、ステントの存在が吻合適用の制限になる可能性があります。特に長いステン トで解離部を覆う形で入れるとベスの吻合部が失われ、やむを得ずかなり末梢に吻合す ることになります。血管径が細い場合には多枝病変であればバイパス術であり、一枝病 変であれば薬物治療を選択するべきです。細い血管径を標的にするにはそれなりの予後 悪化も考えるべきです。頻回のPTCAや冠動脈造影は避けるべきです」。このような コメントを頂いております。  総合機構としましては専門協議での議論を踏まえ、こちらに示したような2.0mm径の ステントの成績が悪いことに加え、このようなバイパス手術時の弊害になる可能性があ るというような問題点もありますことから、総合的に見て臨床的有用性が明確ではない と考え、2.0mm径ステントを削除して承認することが妥当であると判断いたしました。  本申請においては日本における臨床試験の成績が添付されておらず、海外臨床試験の みで評価しております。海外臨床試験のみで評価する際に懸念された事項について、こ ちらにまとめさせていただきました。まず、抗血小板剤であるクロピドグレルの件につ いてですが、抗血栓性といった有効性の面では代替薬である塩酸チクロピジンがクロピ ドグレルと同等であると報告されていることから、対応可能であると考えております。 また、薬物溶出ステントの際に問題となった塩酸チクロピジンの投与期間についてです が、本ステントはコーティングされていない金属ステントであることから、本邦でこれ までに多く使用されてきた金属ステントと同じ抗血小板療法で十分対応ができると考え ております。また、同じく我が国では使用できないIIbIIIa拮抗薬についても、本治験 において使用・不使用による臨床試験成績の差が認められなかったことから、受入れ可 能であると考えております。  まとめますと、本品は当初の申請から2.0mm径の部分を削除した上で、こちらにお示 ししますような使用目的で承認することが妥当であると総合機構は判断いたしました。 また、本品は新性能医療用具であることから再審査期間は3年が適当であると考えます。 なお、生物由来製品又は特定生物由来製品の該当性については非該当と考えております。  ここで本品目に対し事前に頂いたコメントを紹介させていただきます。まず、川田先 生から頂いたコメントを御紹介させていただきます。「我が国で使用されていない2.5 mmを下回る内径のステントの臨床導入により変化する臨床使用上の有効性、安全性をど のように判断するかは重要な問題であります。この点総合機構が最小の2.0mm内径のス テントの臨床導入に有効性を認めず、ステント径2.0mmの製品を削除した上で対照血管 径が2.25〜2.5mmの範囲にあり、新規又は再狭窄冠動脈病変に対するインターベンショ ン治療の不成功に伴う急性又は切迫閉塞病変(病変長25mm以下)の治療に限定して使用 するとしたことは妥当と考えます」。  次に北畠先生から頂いた御意見を御紹介させていただきます。「基本的に総合機構審 査部の審査結果に同意する。特に2.0mm径ステントの適応についてはAHAがガイドラ インでクラスIIIとあるように、実際の臨床現場においてその使用を積極的に考える医師 は少ないと思われる。血管径が2.0mm以下の病変の場合にその灌流液や長期的な内腔開 存率などをかんがみると、多くの大規模試験の結果からもカテーテルインターベンショ ン治療の有用性、安全性は確立していない。つまり、本来治療対象とはならない径2.0 mm以下の小血管に対する本ステントの適応は矛盾している。また、径2.0mmのステント の使用を認めた場合、総合機構審査部が危惧するように小血管へのカテーテルインター ベンション適応拡大と誤解する医師が増加し、バイパス術などのほかの適切な治療選択 を見落としてしまう可能性もあり、結局は受療者の不利益につながるおそれがある」。  続きまして橋本久邦先生から頂いた御意見を御紹介いたします。こちらは質問事項も 入っていますが、そちらについては回答と併せて御紹介させていただきます。「本品の 本邦での承認申請(平成13年4月13日)から既に3年半が経過しているが、なぜそのよ うに長期の審査期間を要したのか」。これについて確かに審査期間が延びたことは総合 機構としては非常に問題であると認識しています。しかし、3年半といいましても2年 以上は実は申請者の方の回答に使用した時間であることも事実でございます。特に本品 に関しましては日本ガイダント社のほかの申請品目の申請内容で誤記載が散見され、そ のために二度にわたり審査が中断しております。本品の資料の中に誤記が見付かって、 その度ごとに申請資料の再転記を行い差し替えをしております。最初から十分に信頼性 のある資料を添付して申請していれば、おそらくこのように長い審査期間になることは なかったものと考えておりますので、総合機構としましては申請者に申請資料の信頼性 の確保を地道にお願いしていくことといたします。  二番目としましては、「本品の海外米国臨床試験では抗血栓療法剤として本邦未承認 のクロピドグレルが主に用いられていること、並びに外国人と日本人とでは血液凝固能 に差異があると言われていることを考え合わせると、米国臨床試験の成績のみにより日 本人における本品の有効性及び安全性を担保することは妥当性に欠けるのではないかと 考えるが、いかがか」。こちらについてはさきのスライドでも御説明させていただきま したが、非常に大きな問題点として認識しております。本臨床試験もそうなのですが、 海外の臨床試験においては通常抗血小板薬としてクロピドグレルを使っております。本 臨床試験では塩酸チクロピジンを使用した症例が数例しかありませんので直接的な比較 はできませんが、文献的には多くの比較した報告がございます。それらの報告によりま すと、塩酸チクロピジンとクロピドグレルの間にはステント血栓症などといった亜急性 血栓症に対する予防効果に関しては効果の面で差がないとされていることから、クロピ ドグレルを使用できない我が国においても通常の金属ステントと同様に使用できるもの と考えております。また、このステントは薬物溶出型のステントではございませんで、 動物試験においても内膜化の遅延は見られておりません。したがいまして、薬物溶出ス テントのときに問題になった塩酸チクロピジンの投与期間についても、既存の金属ステ ントと同様2週間〜1か月程度で良いと考えられることから、既に多数の投与経験があ る医療現場において殊更混乱することは考えにくいと思います。  三番目といたしまして、「原材料又は成分及び分量において規格が設定されていない 原材料が散見されるが、妥当なのか」というコメントを頂きました。こちらについては 規格が設定されていない原材料はすべて血液、体液に直接的あるいは間接的にも接触し ない部分に使用されている原材料でございます。そのため血液、体液に直接的にも間接 的にも接触しない部分の原材料については生物学的安全性のリスクが少ないことから、 原材料の特定は求めておりません。しかし、性能については影響を及ぼすことが予想さ れますので、カテーテルの引っ張り試験、規格及び試験方法又は仕様に設定することに より、カテーテルの引っ張り強度として担保しております。したがいまして、このよう な原材料の記載でも本品の有効性、安全性、品質は十分に担保できていると考えており ますが、この考えの根本にありますものが原材料の特定ということでございますので、 その観点で再度申請書の内容を精査し、適切な対応を採らせていただきたいと考えます。  四番目に、「本品の外観写真が不鮮明である」というコメントを頂きまして、こちら については本日は現品をお回ししておりますので、そちらを御覧くださいとしか申し上 げられないのですけれども、今後は適切に対応させていただきます。  最後に山口先生から御意見を頂いております。そちらについては、「本品は生物由来 製品には該当しないということでよろしいかと思います」というコメントでございます。 以上でございます。御審議のほどよろしくお願いいたします。 ○土屋部会長 ありがとうございました。今の御説明にありましたように対照血管径 2.25〜2.5mmの範囲にあり、新規又は再狭窄冠動脈病変に対するインターベンション不 成功に伴う急性又は切迫閉塞病変の治療に限定して使用する、従来にないステントであ るということでございます。いかがでございますでしょうか。お願いします。 ○長谷川部会長代理 ちょっとまた見当外れの質問になるかと思うのですけれども、も ちろんこのステントは専門医の方がお使いになるのだろうと思いますが、やはりこうい う非常に高度のスキルあるいは適応道具や手技の選択その他で多くの経験が求められて いるものに対して、先ほどの橋本先生の御指摘にもありますとおり、医療環境の違いは 当然のこととして、それ以外に国内で全く使用された先生がおられない、あるいはこれ から新しく承認された後使おうとされる先生がちょっと聞きたいことがあるときに輸入 代理店にしか聞けないということが…。医薬品等ではデータの上で判断できることがか なり多いと思うのですけれども、このように非常に高いスキルが必要なもの、あるいは 非常に高度な判断が必要なものに対して、国内に全く使用経験者がおられないというこ とについては若干不安を感じるのです。ルール上はよろしいのでしょうけれども、何か そういうことに対する配慮が必要なのではないかと感じた次第です。承認に直接は関係 しないのですけれども、せっかく3年あったものですから、何かその辺で手を打つこと が可能であったのではなかろうかと思っているのですが、いかがでしょうか。 ○土屋部会長 では総合機構の方からお願いします。 ○機構 本品については、これまでにかなりの数が日本でも使われている既存の冠動脈 ステントと手技自体は全く同じ方法で留置ができるというものです。ですので本品に関 して申し上げますと、現場の方ではこれまで承認されているステントと同じ手技、同じ 道具、同じ環境で使うことは可能なのですけれども、今回違うところはこれまでには使 用しなかった細い血管なので、冠動脈の場合ですと末梢に限定して使用するといったと ころで、ふだんより少し奥の方にカテーテルを入れるということが新しい部分になって きます。本品に関しましては特に施設ですとか、今回は海外臨床試験データだけなので すけれども、それで対応は可能だと考えています。ただ、一般論の部分があるかと思う のですけれども、そちらについては臨床試験の受入れに関して通知がございまして、日 本でのそういう臨床使用経験が全くないものといった場合は、多くはやはり日本の臨床 試験が必要ということで、日本で臨床試験をしてもらうことが通常でございます。例え ば人工心臓弁などの場合ですと、高度なスキルが要求される場合には事前に講習会を受 講するなどの処置を採って対応しておりますので、この場合はそうですけれども、一般 的にはそのように対応していければと考えております。 ○事務局 長谷川先生が御質問された一般的なところについて、こちらの方から御説明 させていただきます。先生がおっしゃるとおり、例えば日本国内で使われたことがない と言われている医療機器が将来的に日本国内に入ってくる可能性は十分ございます。実 際そういうものについてはその販売を行うところが例えばスキルを向上させるための講 習会や説明会を開いたり、そういう中でそれぞれ日本国内で使うお医者さんの層に対し て情報提供するとともに、その技術の向上もパックで行うことが多いようでございます。 一度そういう形で世の中に広がっていきますと、後はそれぞれ関係する学会の中でまた それを採用していって、例えばその学会の認定医制度の中でどう考えていくかなどとい うことと連携していくことになりますので、そういう中で例えばこのように新しく入っ てくるものについての整備が図られていくのではないかと思っております。ただ、これ だけが唯一のやり方というわけではございませんで、今まではそのようなやり方をする ことが多かったのでございますが、今後そういう方法で十分できないというものが出て きた場合には、それぞれ行政側としても何らかの方策を考えていくことは必要であろう と思っています。 ○長谷川部会長代理 ありがとうございました。 ○土屋部会長 ほかにございますか。どうぞ。 ○勝呂委員 全く素人なので教えていただきたいのですけれども、臨床結果のところで 180日までの出血性合併症は参考のものから比べて約2%高いわけです。これは中身を 見てもずらずらと書いてあるだけで、2%というのは結構高いですね。ですから、これ は何が問題でこうなっているのか、分かっていれば教えていただきたいと思います。 ○土屋部会長 お願いします。 ○機構 こちらは資料の201ページを見ていただきますと、今回の出血合併症6例の詳 細が書かれております。一部はアスピリンによる胃腸出血を疑われる症状が出ている場 合ですとか、あと消化管出血が幾つか書かれているかと思うのですけれども、実際 RECREATE試験のときより増えたのですが、原因は申請者の方でもつかめていないという のが現状でございます。ただ、申請者の見解としましてはこのステントに起因するもの ではないだろうということで、大きな問題ではないと考えておりまして、そういったこ とからこちらとしてはこの出血性合併症が少し増えたことについては了解できるのでは ないかと判断しております。 ○土屋部会長 よろしいでしょうか。そのほか御意見でございますでしょうか。どうぞ。 ○松田委員 3ページなのですけれども、「海外における承認・販売状況」というとこ ろで、EUでは最初はやはり2.25〜2.5mmでしばらくしてから2.0mmまで拡大しており ます。それで約12万本ですか。米国では2.0〜2.5mmで24万本と。これの不具合の割合 とか適応の割合というのはどういう形になっているか分かるのでしょうか。 ○土屋部会長 総合機構の方からお願いします。 ○機構 今回有害事象の方で詳細に報告をしていただけたのはやはり米国の方が中心に なってきましたので、実際EUと米国の比較というのは厳密にはできておりません。で すので、先生のお答えにはなかなかその部分でつながらないのかもしれないのですが、 EUの場合は承認形態が我が国とも米国とも異なっておりまして、最初2.25〜2.5mmで 認められたのは限局性新規狭窄冠動脈病変を有する症候性虚血性心疾患患者ということ で、実はいわゆる待機的症例といいまして、狭心症を持っておられる患者さんのふだん の安静時には少し共通はあるのですけれども、そういったすぐに今回のようなPTCA などをした場合の解離に基づく使い方ではないような臨床試験をまず最初にヨーロッパ の方で行いまして、それで承認を取っております。その後米国で行われた今回の申請と 同じPTCAをやった後の解離によって起こった急性冠閉塞、切迫閉塞の治療に対する 2.0〜2.5mmの臨床試験が報告されまして、その成績をもってEUの方は2.0〜2.5mmの 急性冠閉塞の承認を取っているというところで状況が少し変わってくるということで す。 ○土屋部会長 よろしいでしょうか。では川田先生、お願いします。 ○川田委員 本論から少しずれるかもしれないのですが、要するに今回のこういう非常 に細い径のステントを認める、認めないというのは、実は背景として我が国ではいわば 冠動脈の治療に当たっては、もちろん歴史的には冠動脈バイパスが先行してきたわけで すけれども、途中からカテーテル、インターベンション、そしてステントと来て、現在 我が国では年間冠動脈バイパス2万例に対して約10倍のインターベンションがなされ ています。一方ヨーロッパ、アメリカ中心ではイーブンか、アメリカは年間で大体10 万ちょっとやっているわけですが、せいぜい2倍程度ということです。そうすると、日 本は世界的に見るとかなり圧倒的多数がインターベンション、PTCA、ステントでや られているわけです。もちろん細かな適応というのはありますけれども、そこへ更にこ の最小径が2.5mmを超えて2.0mmまでもっていくと、要するにそういうものを助長する といいますか、更にやってもいいのだというような…。もちろんこれは恐らく救急的な、 一度何かをやってうまくいかなかったものを救うために使うというものなのです。しか し、今までの歴史を見てもそうですけれども、いったん市場に出てしまうとどんどん細 いもの、ということは今の比率よりもっとたくさんのステント、インターベンション例 が増えてくるということが恐らく言外にあって、それともちろんデータ的にも180日の いろいろな再閉塞率や不具合事象があって今回2.0mmを落としたわけですが、多分にそ ういうソーシャルあるいはメディカル両方を兼ねたそういうものも加味されている。た だ、本当に医学的に言ってこれはあくまで救急避難的なものだと考えると、本来なら2.0 mmも置いておかないと。ちょっと現場に立った人にとってみれば何となく…、それは長 期のものではなくてまず短期の救命的な何かあるのでしょうから、そういう言い方もで きます。一方では少し本論から外れるかもしれませんが、そういういろいろな問題を含 めてちょっと複雑な要素があって、しかしそうは言いながら今日の総合機構の審査の段 階でいたずらにそれを助長するというような表現がありましたね。ですから、恐らく審 査の過程でそういう要因も加味されていると思ったのですけれども、これは恐らく参考 人か何かの方が言うべきことかと思ったのですが、ちょっとそのように感じましたので 先ほどの長谷川先生の質問とも併せて申し上げました。 ○土屋部会長 どうもありがとうございました。そのほかにございませんでしょうか。 どうぞ。 ○橋本(久)委員 私の質問は資料8-2の9ページで出していただいた外国臨床試験デー タに関することです。IIbIIIa拮抗薬を併用しても顕著な差が認められなかったという ことですが、このIIbIIIaの使い方について質問致します。アスピリンとクロピドグレ ル、それにIIbIIIaを併用したのか、あるいはアスピリンとIIbIIIaを併用したのか、 この部分をご説明お願いします。 ── 田島委員退席 ── ○土屋部会長 総合機構の方からお願いします。 ○機構 こちらについて詳しくは今回お配りした資料の204〜205ページにかけて書い てあるのですけれども、今回はアスピリン+チクロピジン若しくはクロピドグレルとい うのは必須の臨床試験です。それに加えてIIbIIIa拮抗薬を併用したと。ですので、II bIIIaを使った場合には3剤併用という形になっております。 ○橋本(久)委員 差が出ないということが意外に思いましたので質問致しました。今の ご説明で理解できました。 ── 北畠委員退席 ── ○土屋部会長 それではそのほか反対の御意見はないようでございますので、承認とい う方向でよろしいでしょうか。どうもありがとうございました。それでは本品目は12 月24日の薬事分科会に報告させていただきます。まだ今後報告事項がございますので、 よろしくお願いします。 ○事務局 次は報告事項でございます。平成16年8月1日〜平成16年10月31日まで に承認された9品目について御報告させていただきます。詳細については実際に審査を 行った総合機構の方より説明いたします。 ○機構 それでは報告をさせていただきます。資料9-1を御覧ください。医療材料部会 の報告品目として、平成16年8月1日〜平成16年10月31日までの間に専門協議を行 い承認された品目の一覧でございます。まず「D901 リリプット フィジオ」、これはソ ーリン株式会社から輸入承認申請されたものでございます。簡単に品目概要の説明をい たします。本品は人工肺部、静脈リザーバー、サンプリングセットから構成される膜型 人工肺でございます。本品の血液接触部には新規原材料である□□□がコーティングさ れております。なお、このコーティング以外の点については既承認品である「リリプッ ト」と同一でございます。  次に「O2 オプティクス、他10販売名」、これはチバビジョン株式会社から輸入承認 申請されたものでございます。本品は終日装用、これは通常のコンタクトレンズの装用 方法と同じで、朝装着して夜外すものとなっております。これに対して連続装用という のは夜もずっと24時間連続して装用するものです。本品は終日装用の1か月交換のコン タクトレンズでございます。新規原材料としてマクロマーと重合開始剤が使用されてお ります。  次に「キチンドレス」、これは三栄工業株式会社から製造承認申請されたものでござ います。本品は甲殻類の外骨格から得られたキチン繊維からなる綿状シートの創傷被覆 保護材であり、原材料について既承認品との同一性が確認できなかったことから改良医 療用具として審査されたものでございます。  次のページにまいります。「HOYA エイエフ-1(UY)、他5販売名」、これはH OYAヘルスケア株式会社から製造承認申請されたものでございます。本品は光学部が 折り曲げ可能な眼内レンズでございます。こちらにお示ししておりますが、光学部に紫 外線吸収性の新規原材料である黄色着色剤を使用しております。  次が「メダリスト II(MedalistII)、他7販売名」、これはボシュロム・ジャパン株式 会社から輸入承認申請されたコンタクトレンズでございます。本品は終日装用による2 週間交換用のソフトコンタクトレンズでございます。レンズの原材料に高含水・非イオ ン性を目的としてこちらにお示しした新規原材料を使用しております。  次が「SJM リージェント人工心臓弁」、これは株式会社 ゲッツ ブラザーズより輸 入承認申請されたものでございます。本品は機械的人工心臓弁であり、同社既承認品の 機械的人工弁であるSJM人工心臓弁と基本的な構造、原理、原材料は同一でございま すが、弁口面積を拡大するために縫合カフ、弁口リング、弁葉の形状を改良したもので ございます。  次が「セラボ」、九耐デントセラム株式会社より製造承認申請されたものでございま す。本品はリン酸カルシウム系結晶化ガラスの歯科切削加工用セラミックスでございま す。従来品はマイカ系セラミックスや歯科陶材を用いており、その組成や構造の点で天 然歯のエナメル質と大きく異なるため透明性に乏しく、また加工時に辺縁が欠けやすか ったという欠点がございましたが、この欠点を改良するために本品では製造工程におい てガラスブロックの新しい結晶化方法が用いられているというものでございます。  次の3ページにまいります。「Nex-Acri ネックス アクリ、他8販売名」、これは株 式会社ニデックより製造承認申請されたものでございます。本品は光学部が折り曲げ可 能であり、紫外線吸収剤を含有した製品でございます。挿入時の操作性向上のために反 発力の低減を目的として、レンズには□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ □を主成分とする新規原材料の疎水性軟質アクリル樹脂を使用しているものでございま す。  最後になりますが、「アフレックスUV-1Pイントラオキュラーレンズ、他7販売 名」、これはHOYAヘルスケア株式会社より製造承認申請されたものでございます。 品目概要としましては、既承認品は1ピースの眼内レンズであり、光学部形状が両凸で ございましたが、今回光学部形状がメニスカスであるタイプが追加されたものでござい ます。以上でございます。 ○土屋部会長 どうもありがとうございました。何か御意見ございますでしょうか。ご ざいませんでしたら、審議事項、報告事項は以上で終わりです。事務局から何か追加で ありますか。 ○事務局 ございません。 ○土屋部会長 それでは本日は長い時間ありがとうございました。                                    ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 医療機器審査管理室 室長補佐 束野(内線2912) - 1 -