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資料3

○医療計画の記載事項及び評価の導入等について


 医療計画の見直し等に関する検討会ワーキンググループ報告書では、医療計画に記載すべき事項、医療計画の評価の導入等が提言されているが、これらの課題についてどう考えるか。

【医療計画の見直し等に関する検討会ワーキンググループ報告書】
(抜粋)

III 当面取り組むべき課題

2.記載事項関係

(1) 記載事項として追加することが期待される事項
 後述(2)の評価方式の導入を考慮し、評価可能な形で盛り込むことが期待される事項をあげれば以下のとおりである。
(1) 公的病院等の位置づけ及び公私の役割分担の明確化
 地域における医療機関の機能分担と連携の確保については、医療計画作成指針において、公的病院等と民間の医療機関との役割分担を含め、医療に関する施設相互の機能分担及び業務の連携を踏まえたものを記載することとされているが、これまでは医療機関の提供する医療サービスの内容や患者構造について十分に検討が行われてこなかった。都道府県が医療計画の見直しをする際には、どのような医療サービスを提供しているかに基づいて公的病院等の位置づけや公的病院等と民間の医療機関との役割分担をさらに明確化する方策を検討する必要がある。
(2) 政策的に推進すべき医療や機能との関連
 新たに政策的に推進すべき医療施策や医療を取り巻く最近の情勢を踏まえ、当面次の事項を医療計画に位置づける必要があると考える。
 医療安全支援センターの位置づけ
 医療安全支援センターについては、身近な地域において医療に関する患者の苦情や相談等に迅速に対応する相談体制を整備し、患者・家族等と医療人・医療機関との信頼関係の構築に取り組んでいくため、都道府県並びに二次医療圏ごと、並びに保健所設置市及び特別区において設置することとされているが、医療安全対策は、医療政策上、重要な課題となっていることを踏まえ、医療安全支援センターについては医療計画に位置づける必要がある。
 医師等の医療従事者の確保等
 へき地を含む地域における医療提供体制の確保は、医療政策における重要課題となっている。特に医師の地域偏在は依然として大きな問題であることから、厚生労働省、総務省及び文部科学省で構成された「地域医療に関する関係省庁連絡会議」により、「へき地を含む地域における医師の確保等の推進について」が取りまとめられ、医師等の医療従事者の確保のため、地域における医療対策協議会の開催が推奨されているところである。一方で、医師等の医療従事者の確保については、既に医療法に基づき、医療計画に記載することとされているが、今後は、医療対策協議会の開催等を含め、より具体的な数値目標について医療計画に記載する必要がある。
 また、歯科医師、薬剤師、看護師その他の医療従事者の確保についても、より具体的な数値目標について医療計画に記載する必要がある。
 小児医療・小児救急医療の推進
 近年、小児医療の確保が課題となっている。小児科医の絶対数は減少していないが、小児医療の高度化、患者ニーズの変化等に伴い、小児科医の相対的な不足が指摘されている。地域において小児医療体制を確保するためには、小児科医の数的な確保に留まらず、24時間体制の小児救急医療等、高度な医療の集約化と、初期救急等の分散化を図るとともに、これらの小児医療施設の有機的連携が図れるようネットワーク化を進めるなど、総合的な対策が必要とされることから、これを医療計画に位置づけ、国においても都道府県による計画的な整備を促す必要がある。
 周産期医療の推進
 妊産婦死亡、周産期死亡等の改善により安心して出産できる体制を整備するため、新エンゼルプランにより、各都道府県において総合周産期母子医療センターを中核とした周産期医療ネットワーク(システム)を整備することが求められている。今後も地域における周産期医療体制の構築を図るため、周産期医療ネットワーク(システム)の整備を医療計画に位置づける必要がある。
 地域がん診療拠点病院の位置づけ
 わが国において、がんによる死亡は1981年以降死亡の第1位を占め、がん患者数は毎年増加傾向を示している。このような状況から質の高いがん医療の全国的な均てん化を図るため、地域がん診療拠点病院を二次医療圏に1か所程度整備することとされている。今後も地域がん診療拠点病院の設置を推進するため医療計画に位置づける必要がある。
 重症難病患者に係る入院施設の確保対策の推進
 ALS(筋萎縮性側索硬化症)等における人工呼吸器装着患者のように看護や介護に多大の労力を要する患者が存在すること等の状況から、病状の悪化等により居宅での療養が極めて困難となった重症難病患者に対し、適時に適切な入院施設を確保等できるよう、地域の医療機関の連携による難病医療提供体制の整備を医療計画に位置づける必要がある。
 エイズ治療拠点病院の整備推進
 エイズ診療については、住民に身近な医療機関において一般的な診療を行い、地域の拠点病院において重症患者に対する総合的、専門的医療を提供する等、その機能に応じて診療することが必要であることから、これらエイズ治療拠点病院の整備について医療計画に位置づける必要がある。
 病院前救護のメディカルコントロール体制
 病院前救護体制の充実を図るためには、メディカルコントロール体制を構築することが必要であり、都道府県メディカルコントロール協議会及び地域メディカルコントロール協議会の適切な運用と、常時指示体制、事後検証体制及び再教育体制等の充実が必要である。救急救命士の業務の高度化と処置範囲の拡大が図られている中で、適切な病院前救護体制を確保するためメディカルコントロール体制の充実が課題となっていることから、その整備について、医療計画に位置づける必要がある。
 在宅医療の推進
 わが国は、欧米諸国と比較しても少子高齢化のスピードが速く、介護を必要とする高齢者は、既に約390万人にのぼっている。患者のQOLの向上を図るため、できるだけ地域・家庭において日常生活を送ることができるよう在宅医療の推進が求められている。在宅での療養を可能とするためには、患者の病態に応じた医療と介護の両面からの支援が必要であることから、2000年度から介護保険の制度が開始されているが、今後、医療と介護の連携を図る上で、医療計画に明確に位置づける必要がある。

(2) 医療計画の評価の導入
1) 現状
 医療計画は、医療提供施設の整備の目標を記載することになっているが、具体的な目標の記載が乏しく、評価体制がある都道府県はほとんどみられない。
2) 当面取り組むべき方策
 医療計画の実効を上げるため、ライフコースアプローチを用いた評価方法等について、早期に導入することが望まれる。その評価の手法、着眼点等については、あらかじめこれを明らかにしておくことが期待される。その際、医療機能調査の充実が有効である。

(3) 医療機能調査の活用
1) 現状
 都道府県においては、医療機関の施設、設備、症例数、平均在院日数、紹介先とその件数及び専門職員数等に関する調査(医療機能調査)を行い、調査に基づき医療機能の整備の必要性を検証し、不足している医療機能については、その整備の方法及び整備の目標等について医療計画に記載している。また、調査により得られた医療機関の医療機能に関する情報を各医療機関に提供している。
2) 当面取り組むべき方策
 医療機関の機能分化と連携、患者の選択を通じた医療の質の向上を推進するため、医療機能調査結果の地域住民への公表等を積極的に進めるとともに、ライフコースアプローチを用いた医療計画の目標設定と評価を行う際の基礎資料として、当該調査を充実し、有効に活用すべきである。

(4) 医療情報の整備と活用
 都道府県においては、各医療機関が設備、提供する医療サービスの内容、症例数、平均在院日数、専門職員数などの情報整備・公開を促し、利用者、その他の関係者が情報を活用できるよう環境整備に取り組むべきである。


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