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資料2

○特定病床の特例及び既存病床数の補正について


 特定病床の特例及び既存病床数の補正に関するワーキンググループの報告書の記述では、当面取り組むべき課題として、次のとおりとりまとめられているが、これらの課題についてどう考えるか。

【ワーキンググループ報告書からの抜粋】

III 当面取り組むべき課題

(2) 病床の特例
1) 現状
 特定の病床等については、各区域で整備する必要があるものに限り、各区域で基準病床数を超える病床が存在する等(病床過剰地域)の場合でも必要に応じ例外的に(都道府県知事の勧告が行われることなく)整備できるものとされている。
 特例の取扱いは、基準病床数の見直しの際、大規模な都市開発等により急激な人口の増加が見込まれ、現在人口により病床数を算定することが不適当である場合等、医療計画公示前に基準病床数に含める場合と、医療計画公示後において、がん等の特定の病床に係る特例の対象となる病院の病床等を基準病床数とみなす場合とがある。
 最近の特定の病床等の特例に関する改正としては、構造改革特区に関する地方公共団体等からの第2次提案における要望を踏まえ、国内の治験を推進する観点から患者以外の被験者に対する臨床試験に係る病床を医療法施行規則第30条の32の2第1項に規定する特例の病床等の特例として追加している。
2) 当面取り組むべき方策
 現在の医療技術の進歩や疾病構造の変化を踏まえ、(1)その病床において提供される医療の内容、質に照らし、地域における既存病床数と基準病床数の関係如何を問わず特例的に整備すべきもの、(2)こうした事情が認められなくなっているものに着目し、見直しを検討すべきである。その際、現行の医療法施行規則第30条の32の2第1項に定められている14項目の病床について、例えば次のものについては見直しが必要と考える。
(1) がん及び循環器の病床に係る特例
 第1号関係のがん及び循環器の病床は、1998年以降、特例の病床としての実績がないことから、今後も特例病床として、整備する必要があるかどうかについて検討すべきである
(2) リハビリテーションの病床に係る病床
 第4号関係のリハビリテーションの病床は、発達障害児の早期リハビリテーション、その他の特殊なリハビリテーションに係る病床に限定されている。このため、亜急性期のリハビリテーションを行う病床の整備の必要性について検討すべきである。
(3) 緩和ケアの病床に係る特例
 第8号関係の緩和ケア病床は、全国的に整備されつつある。今後は、緩和ケアに関し地域の中核的、指導的な役割を担うもの、例えば、地域がん診療拠点病院に設置される緩和ケア病床等に限定することについて検討すべきである。
(4) 診療所の病床を転換して設けられた療養病床に係る特例
 第14号関係の診療所の病床を転換して設けられた療養病床は、1998年3月31日に現に存する病床を転換して設けられた療養病床と限定されている。療養病床については、第4次医療法改正により、医療法上も一般病床と区分され、全国的に整備が進んでいることから、診療所の病床を転換して設けられた療養病床を、今後も特例病床として継続する必要があるかどうかについて検討すべきである。

(3) 既存病床数の補正
1) 現状
既存病床数の補正は、次のとおり、医療法施行規則第30条の33で規定されている。
(1) 職域病院等の病床数の補正
 職域病院等の病床(診療所の療養病床に係る病床を含む。)は、一般住民が利用している部分を除いては、職域関係者など本来の目的とされる利用者の利用実態に応じた病床数に限り、既存病床数には算定しないこととなっている。 
(2) ICU病床等の病床数の補正
 ICU病床等のうち、バックベッドが確保されているものは、患者一人で2床を占有する形態となっていることから、ICU病床等を既存病床数として算入しないこととしている。
(3) 介護老人保健施設の入所定員に係る補正
 既存の病床数の補正に関し介護老人保健施設の入所定員の取扱いについては、医療法第7条の2第4項において、当該地域における既存の病床数を算定するに当たっては、介護老人保健施設の入所定員は、厚生労働省令の定めるところにより、既存の療養病床の病床数とみなすとされており、その取扱は次のとおりである。
医療法施行規則第2条の2及び第30条の33第1項第3号の規定により、介護老人保健施設の入所定員数に0.5を乗じて得た数を既存の病床数として算定する。
1991年6月26日以後に開設又は入所定員の増加に係る変更の許可を受けた介護老人保健施設の入所定員は、医療法施行規則第48条第1項の規定により、当分の間、既存病床数として算定しない。
2003年4月1日以後、転換型介護老人保健施設の入所定員は、医療法施行規則第48条第2項の規定により、当分の間、既存病床数として算定する。

2) 当面取り組むべき方策
(1) 職域病院等の病床数の補正
 職域病院等の範囲に指定されている病院の中には、重症心身障害児施設である病院のように入所患者が限定されているものから、一般住民も入院できる病院まであり、現在は、病院ごとに病床の補正の式により算定した数が0.05以下であるときは補正しない(病床数全てについて既存病床数として算定する)こととなっている。今後は、補正対象の病院を原則、重症心身障害児施設である病院、肢体不自由児施設である病院若しくは自閉症児施設である病院のように入所患者が限定されているもの又は法務省が開設する医療刑務所病院、自衛隊駐屯地内の自衛隊病院等地域住民が通常利用しないものに限定すべきである。
(2) ICU病床等の病床数の補正
 ICU病床等の範囲は、放射線治療病室(RI病床)、集中強化治療室(ICU病床)、心疾患強化治療室(CCU病床)及び無菌病室(無菌病床)であるが、実態として、必ずしも後方病床が確保されていない場合があることから、今後は、補正の対象としないこととすべきである。
(3) 介護老人保健施設の入所定員に係る補正
 介護老人保健施設は介護保険法に基づく福祉的な側面が強い施設であること、入所定員の取扱いについて、既存病床数への算定方法が統一されていないことから、既存のものを含めて、病床数の算定対象から除外することも含め、その見直しを検討すべきである。


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