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資料1

療養病床及び一般病床における基準病床数について


1 療養病床及び一般病床の区分

 平成12年の第4次医療法改正において、病床区分の見直しが行われ、患者の病態にふさわしい医療を提供するため、従来の「その他病床」が「療養病床」及び「一般病床」に区分された。(医療法第7条第2項)

【療養病床】
 ・ 病院又は診療所の病床のうち、精神病床、感染症病床及び結核病床以外の病床であって、主として長期にわたり療養を必要とする患者を入院させるためのものをいう。

【一般病床】
 ・ 病院の病床のうち、精神病床、感染症病床、結核病床及び療養病床以外のものをいう。

 病院の開設者は、平成13年3月1日から平成15年8月31日(日曜日であることから、9月1日まで届出可)までに従来の「その他病床」を「療養病床」又は「一般病床」のいずれかを選択して届け出ることとされた。(医療法等の一部を改正する法律附則第2条)

【平成15年9月1日現在の病院の一般病床、療養病床の数(全国計)】
   一般病床 923,047床( 72.7%)
   療養病床 346,045床( 27.3%)
   合計 1,269,092床(100.0%)
[参考:診療所の療養病床 25,210床]
*厚生労働省医政局調べ


【参考】
 医療法等の一部を改正する法律附則第2条

 この法律の施行の際現に第1条の規定による改正前の医療法(以下「旧医療法」という。)第7条第1項の許可を受けて病院を開設している者(同条第2項に規定するその他の病床(以下「旧その他の病床」という。)を有する病院を開設している者に限る。)は、この法律の施行の日から2年6月を経過する日までの間に、厚生労働省令で定めるところにより、当該病院の旧その他の病床について、第1条の規定による改正後の医療法(以下「新医療法」という。)第7条第2項第4号又は第5号に規定する病床の種別ごとの病床数その他の厚生労働省令で定める事項を届け出なければならない。


2 療養病床及び一般病床の算定式

 平成12年の第4次医療法改正における療養病床及び一般病床の基準 病床数の算定式は、二次医療圏ごとに別紙1の算定式により療養病床及 び一般病床の総数に関し算定した数となっている。
(医療法第30条の30第1号)

 また、平成15年8月31日以後政令で定める日からは、療養病床及び一般病床に係る基準病床数は、それぞれの病床の種別に応じ算定した数の合計数とするとされている。
(医療法等の一部を改正する法律附則第7条)


【参考】
医療法等の一部を改正する法律附則第7条
 この法律の施行の日から2年6月を経過する日までの間は、新医療法第30条の3第4項中「それぞれの病床の種別に応じ算定した数の合計数を基にした」とあるのは、「医療法等の一部を改正する法律(平成12年法律第141号)附則第二条第三項第四号に規定する経過的旧その他の病床、療養病床及び一般病床の総数に関する」とする。
 この法律の施行の日から2年6月を経過した日以後政令で定める日までの間は、新医療法第30条の3第4項中「それぞれの病床の種別に応じ算定した数の合計数を基にした」とあるのは、「療養病床及び一般病床の総数に関する」とする。

医療計画作成指針(抜粋)
第4 医療計画作成の手順等
3 基準病床数の算定方法
(1) 基準病床数の算定方法
 基準病床数の算定は、次に掲げる方式による。
(ア) 療養病床及び一般病床に係る基準病床数は、二次医療圏ごとに、新しい病床区分が定着するまでの間(平成15年8月31日以後の政令で定める日までの間)は、次の算定式により算出した数を標準とする。(別紙1参照)
 なお、新たな病床区分が定着した後は、療養病床、一般病床の病床の種別に応じて算定した数の合計数を標準とする。


別紙1

基準病床数の算定


療養病床及び一般病床 → 二次医療圏の区域ごとに算定

(1) 基準病床数の基本部分

[ 算定式 ]
ΣAB’+C’−D’
 ──────────
  × F = 基準病床数(基本部分)

  ┌
  |
  |
  |
  |
  |
  └
当該区域の性別及び年齢階級別人口(5歳毎)
B’当該区域の性別及び年齢階級別入院率(5歳毎)(注)
C’0〜他区域からの流入入院患者数の範囲で知事が定める数
D’0〜他区域への流出入院患者数の範囲で知事が定める数
病床利用率
平均在院日数推移率






 ただし、二次医療圏ごとに設定した基準病床数の都道府県における合計数は、次の式により二次医療圏ごとに計算した都道府県における合計数を超えることができない。
 つまり、
  二次医療圏ごとに設定した
  基準病床数の都道府県に
  おける合計数
 ≦  Σ( ΣAB’
─────
× F )

(注)入院率の設定については、
 都道府県率 > 全国基準率 → 全国基準率
 都道府県率 < 全国基準率 → 全国基準率を上限として都道府県率と
 地方ブロック率の範囲内で都道府県知
 事が設定



(2) 基準病床数の加算部分(都道府県ごとに設定)
 都道府県外への流出患者 > 都道府県内への流入患者 の場合、都道府県知事は次の式で得た数(流出超過加算数)を限度として、適当と認める数を各二次医療圏の基準病床数に加えることができる。
 ただし、各二次医療圏に加えた数の合計数は、流出超過加算数を超えることができない。

 [ 算定式 ]
  (都道府県外への流出患者−都道府県内への流入患者)
  ────────────────────────
×F×
──
= 流出超過加算数


 療養病床及び一般病床の「定着」について
 次の状況から療養病床及び一般病床はある程度「定着」していると言えるのではないか。

 療養病床及び一般病床の届出が終了した平成15年9月から平成16年8月までの病院における両方の病床の月毎の種別変更状況(増数・減数)は、次の数の範囲に収まっている。[別紙2参照]

(医療施設動態調査(概数)による)
 (1) 療養病床の増数 272床(0.02%)〜1,342床(0.11%)
 (2) 一般病床の減数318床(0.03%)〜1,477床(0.12%)
 (3) 療養病床の減数20床(0.002%)〜495床(0.04%)
 (4) 一般病床の増数20床(0.002%)〜331床(0.03%)
    ※療養病床348,376床(平成16年8月末総数)
一般病床912,601床(平成16年8月末総数)
合計1,260,977床
[参考:診療所の療養病床24,404床(平成16年8月末総数)]

 また、病院数の増減状況は、次の数の範囲に収まっている。
 (医療施設動態調査(概数)による)[別紙2参照]

 (1)一般病床から療養病床へ移行した増数 7病院(0.09%)〜32病院(0.40%)
 (2)療養病床から一般病床へ移行した増数 3病院(0.04%)〜10病院(0.12%)
    ※一般病院数8,001病院(平成16年8月末総数)

 療養病床の推移や増減状況は、別紙3のとおりとなっている。
 療養病床の推移は、平成15年9月以降は横ばいで安定しており、増減状況は、平成16年1月以降増減が低値に収斂し、増減も安定している。

 さらに、平成16年9月にとりまとめられたワーキンググループの報 告書では、別紙4のとおり、「新たな病床区分は、ある程度定着したものと考えられることから、一般病床と療養病床の新たな算定式を作成する必要がある。」とされている。


別紙2

一般病床から療養病床、療養病床から一般病床への変更(増床、減少を含む)<病院数・病床数・月別>

  病院数 病床数
一般病床から
療養病床へ
療養病床から
一般病床へ

療養病床増 A

療養病床減 B
療養病床増減
E(A-B)

一般病床増 C

一般病床減 D
一般病床増減
F(C-D)

増減計G(E+F)
H15.9 32 10 1,342 143 1,199 108 1,477 -1,369 -170
H15.10 25 7 835 173 662 167 891 -724 -62
H15.11 18 6 523 142 381 122 512 -390 -9
H15.12 19 4 832 33 799 81 884 -803 -4
H16.1 12 3 354 118 236 117 384 -267 -31
H16.2 16 3 434 39 395 25 444 -419 -24
H16.3 16 10 511 495 16 331 566 -235 -219
H16.4 18 5 682 72 610 90 696 -606 4
H16.5 12 10 396 143 253 182 481 -299 -46
H16.6 7 3 366 70 296 70 372 -302 -6
H16.7 8 3 332 20 312 20 332 -312 0
H16.8 11 5 272 66 206 66 318 -252 -46
医療施設動態調査(概数)月報


一般病床から療養病床、療養病床から一般病床への変更(増床、減少を含む)<病床数・月別>
医療施設動態調査(概数)月報


一般病床から療養病床、療養病床から一般病床への変更(増床、減少を含む)<病院数、月別>
医療施設動態調査(概数)月報


別紙3

報告

1.長期トレンド
 療養病床数の絶対数の推移を見ると、1996年2月から2004年5月までの間の月別の変遷を見ると、1996年2月から2003年8月までは病床数は一貫して増加していたことが観察される。しかし、2003年9月からはその絶対数は横ばいとなり、安定していると観察されうる。

療養病床数の推移

2.療養病床数の増減
 療養病床の増加ならびに減少数の推移を見ると、絶対数が少ないせいか推移は平滑ではない。しかし、全体の傾向としては2004年に入って増減ともに安定した傾向を示している。これを四ヶ月の移動平均で見ると、瞬間的なばらつきを除いた全体的な傾向として、2004年1月ころから増減が低値に収斂し、増加もあまり認められず、増減も安定してきていると認められる。(図2)

図


別紙4

「医療計画の見直し等に関する検討会」
ワーキンググループ報告書(抜粋)


平成16年9月24日


III 当面取り組むべき課題

1.基準病床数その他病床関係

(1)基準病床数の算定式
 2)当面取り組むべき方策
  (1) 一般病床・療養病床
 一般病床及び療養病床について、2003年9月末から2004年5月末までの医療施設動態調査(概数)により、一般病床と療養病床の間の移行状況をみると、一般病床から療養病床へ移行する傾向は継続してみられているものの、大きな変動はなく、新たな病床区分は、ある程度定着したものと考えられることから、一般病床と療養病床の新たな算定式を作成する必要がある。
 一般病床は、近年の医療の進歩に伴い平均在院日数の短縮が著しいが、一方、高齢化により入院回数が増加することが予測される。年齢階級別の入院の発生率は、近年あまり大きな変化はなく、大きな地域差も認められない。そこで一般病床の算定式は、平均在院日数×入院回数/病床利用率で求められる。
 平均在院日数は、現状追認による地域格差を是正する上では、全国一律の数値を使用することが望ましい。今後、平均在院日数の短縮を見込むための平均在院日数推移率についても全国一律の数値を使用すべきとの考え方と、各地域が目標を設定し、目標管理を行うことについても検討すべきとの意見もある。入院回数は全国または9ブロックでの年齢階級別・性別の入院回数割合を基礎に算出できる。また、病床利用率についても全国値を使用すべきである。
 高齢者等が生活する場としては在宅が望ましく、病状やニーズに応じて在宅、次いで保健施設や福祉施設、そして医療施設であると考えられるが、現状は必ずしもニーズに応じた振り分けになっていない。長期療養を提供する医療施設の病床数については、地域において長期療養に係る医療又は介護を必要とする入院・入所需要から介護施設(介護療養型医療施設を除く。)において対応可能なケースを差し引いた数となる。


4 基準病床数の算定式を定めるに当たっての主な検討事項(案)

基準病床数について

 基本的な考え方

 ○ 現行の一般病床及び療養病床に係る基準病床数は、両方の病床全体で一つの基準病床数算定式により算出した数が標準となっているが、医療計画の見直し等に関する検討会ワーキンググループ(以下「WG」という。)においてとりまとめられた報告書(以下、「報告書」という。)では、別紙4のとおり、一般病床及び療養病床の新たな算定式を作成する必要があると提言されているところ。

(1)一般病床について

 基本的な考え方

 ○ 報告書で示された別紙5のとおり、平均在院日数と入院回数を乗じたものを病床利用率で除した算定式を検討する。

(1) 「平均在院日数」の考え方について(別紙5・6参照)
 「平均在院日数」については、一般病床における平均在院日数を用い、全国平均値、地方ブロック平均値、地方ブロック別平均値で最も低い値又は都道府県平均値で最も低い値、あるいは、これらいずれかの値を上限として各都道府県が目標平均在院日数を定めるものとする。

(2) 「入院回数」の考え方について(別紙5・6参照)
 「入院回数」については、一般病床における退院患者数を使用することとし、全国あるいは地方ブロック別の性・年齢階級別の割合とし、当該区域の人口を基に算定する。

(3) 病床利用率の考え方について(別紙7参照)
 現行の基準病床数の算定式に使用している病床利用率の数値は、0.84(昭和61年厚生省告示第165号)となっている。
 また、平成15年医療施設(動態)調査・病院報告における一般病床の病床利用率は0.80となっている。

(2)療養病床について

 基本的な考え方

 ○ 報告書で示された別紙5のとおり、「長期療養に係る医療又は介護を必要とする入院・入所需要」から「介護施設(介護療養型医療施設を除く)において対応可能なケース」を減ずる算定式を検討する。

(1) 「長期療養に係る医療又は介護を必要とする入院・入所需要」の考え方について(別紙5・6参照)
 医療機関に入院している者、介護施設に入所している者及び在宅にいる者のうち、長期療養に係る医療又は介護を必要とする入院・入所需要のある者(病状は安定しているが一定の医療が必要であり自立度が低い者等)の合計数を全国あるいは地方ブロック別の性・年齢階級別の率とし、当該区域の人口を基に算定する。

(2) 「介護施設(介護療養型医療施設を除く)において対応可能なケース」の考え方について(別紙5・6参照)
 長期療養に係る医療又は介護を必要とする入院・入所需要のある者のうち、当該区域において在宅及び介護施設(介護療養型医療施設を除く)で介護サービス等により対応可能な者の実数とする。

(3) 病床利用率の考え方について(別紙7参照)
 現行の基準病床数の算定式に使用している病床利用率の数値は、0.84(昭和61年厚生省告示第165号)となっている。
 また、平成15年医療施設(動態)調査・病院報告における療養病床の病床利用率は0.93となっている。

 WGで検討された算定式案(別紙5・6参照)

 ○ 報告書に示された「長期療養に係る医療又は介護を必要とする入院・入所需要」から「介護施設(介護療養型医療施設を除く)において対応可能なケース」を減じる方法で求められる値は、全国あるいは地方ブロック別でみた場合、療養病床の入院患者と合致する者と考えられる。
 「入院率」については、全国あるいは地方ブロック別の性・年齢階級別のものとする。

(3)その他

 ○ 流入入院患者数・流出入院患者数の取扱いについては現行どおりとする。


別紙5

ワーキンググループ報告書における算定式の考え方


一般病床数= 平均在院日数 × 入院回数
―――――――――――――
病床利用率


療養病床数=



長期療養に係る医療
又は介護を必要と
する入院・入所需要






介護施設(介護療養型
医療施設を除く)におい
て対応可能なケース






【報告書からの抜粋】23ページ

 一般病床は、近年の医療の進歩に伴い平均在院日数の短縮が著しいが、一方、高齢化により入院回数が増加することが予測される。年齢階級別の入院の発生率は、近年あまり大きな変化はなく、大きな地域差も認められない。そこで一般病床の算定式は、平均在院日数×入院回数/病床利用率で求められる。
 平均在院日数は、現状追認による地域格差を是正する上では、全国一律の数値を使用することが望ましい。今後、平均在院日数の短縮を見込むための平均在院日数推移率についても全国一律の数値を使用すべきとの考え方と、各地域が目標を設定し、目標管理を行うことについても検討すべきとの意見もある。入院回数は全国または9ブロックでの年齢階級別・性別の入院回数割合を基礎に算出できる。また、病床利用率についても全国値を使用すべきである。

 高齢者等が生活する場としては在宅が望ましく、病状やニーズに応じて在宅、次いで保健施設や福祉施設、そして医療施設であると考えられるが、現状は必ずしもニーズに応じた振り分けになっていない。長期療養を提供する医療施設の病床数については、地域において長期療養に係る医療又は介護を必要とする入院・入所需要から介護施設(介護療養型医療施設を除く。)において対応可能なケースを差し引いた数となる。


別紙6

○一般病床及び療養病床


I 一般病床数

 一般病床数 = 平均在院日数×(人口×退院患者率)
―――――――――――――
病床利用率



II 療養病床数




 療養病床数=
 人口×


長期療養に係る医療
又は介護を必要とする
入院・入所需要の率






介護施設(介護療養型医療
施設を除く)において対応
可能なケース



 ―――――――――――――――――――――――――――――
病床利用率


・WGで検討された算定式案
  療養病床数 = 人口×入院率
―――――――
病床利用率


別紙7

病床利用率


現行の一般病床及び療養病床
(昭和61年8月30日厚生省告示第165号)

 0.84

現状

一般病床 0.80

療養病床 0.93

一般病床及び療養病床 0.83



(平成15年医療施設(動態)調査・病院報告)


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