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平成16年12月14日
照会先:厚生労働省医政局経済課
担当 課長補佐 村松達也(内2524)
電話 (代表) 03-5253-1111
(直通) 03-3595-2421


医療用医薬品の流通改善について「中間とりまとめ」



 平成16年12月7日、医政局長主催の懇談会である医療用医薬品の流通改善に関する懇談会において、「医療用医薬品の流通改善について「中間とりまとめ」」がとりまとめられましたので、別添のとおり、掲載いたします。



(別添)

平成16年12月7日


医療用医薬品の流通改善について「中間とりまとめ」

医療用医薬品の流通改善に関する懇談会

 医療用医薬品の取引については、流通当事者間における自由かつ公正な競争の確保等の観点から、平成7年2月に医薬品流通近代化協議会(厚生省薬務局長(当時)が開催)が提言した「医療用医薬品の流通近代化の推進について」などを踏まえ、従来より、様々な努力が重ねられてきたところである。
 一方、近年、医薬分業の進展や卸売業の業界再編、IT化の進展など、医療用医薬品の流通に関する状況の変化がみられる。
 こうした状況を踏まえ、今般、当懇談会が開催され、医療用医薬品の流通過程の現状を分析し、公的医療保険制度の下での不適切な取引慣行の是正等について検討を行うことにより、今後の医療用医薬品の流通改善の方策を検討することとされた。なお、検討に当たり、医療用医薬品が医療を支える基盤であり、国民・患者がより良い医療を受けられるよう、(1)生命関連製品としての医療用医薬品の特性に即した流通過程における品質管理及び安定供給を確保すること、(2)公的医療保険制度の下、市場メカニズムが効率的かつ適切に機能するような自由かつ公正な競争を確保することが必要であることを確認した。
 当面、平成16年末を目途に一定の結論を得ることとし、平成16年6月より検討を重ねた結果、下記のとおり中間的なとりまとめを行った。なお、当懇談会は、今般の「中間とりまとめ」で検討を終了するのではなく、引き続き、残された検討事項や新たに生じた課題について検討を続けることとする。


 医療用医薬品の取引
(メーカーと卸売業者との取引)
卸売業者の売上総利益に占める割戻し・アローアンスの比率は拡大傾向にある。

割戻し・アローアンスの支払基準の簡素化・合理化は概ね進展しているものの、卸売業者が適切な利益管理の下、主体性をもって医療機関/調剤薬局との価格交渉を行えるよう、個々の契約当事者間の交渉により、アローアンスのうち支払基準の不明確なものについては可能な限り基準を明確にすることが望まれる。
割戻し:通常、売上高の修正として経理処理されるもの
アローアンス:通常、販促費として経理処理されるもの

(卸売業者と医療機関/調剤薬局との取引)
かつて過大な薬価差の問題が指摘されたが、薬価調査における推定乖離率をみると、平成3年度の23.1%から、平成15年度には 6.3%にまで縮小してきている。

卸売業者と医療機関/調剤薬局との価格交渉は、個々の契約当事者間において経済合理的に行われるべきであり、この場合の価格形成の条件としては、例えば、購入量、配送コスト、支払い条件(支払いサイト等)、信用状況等が挙げられる。

グループやチェーンによる一括購入は、価格交渉を一括して行うことにより、取引に伴う費用の低減効果が見込まれるが、個々の取引に当たっては、契約当事者間で、購入量としてのボリュームの多寡、個別の医療機関/調剤薬局への配送費用等を考慮し、経済合理的な価格交渉が行われることが望まれる。

購入量の大きい医療機関/調剤薬局の多くで総価取引が行われている。総価取引は、1品ごとに価格交渉を行う取引と比べ、取引に伴う費用の低減効果はあることから、こうした取引は否定されるものではない。ただし、本来的には、医薬品を採用するに当たり、医薬品の価値と価格を考慮した上で採否を決定することが望ましい。

総価取引のうち、医療機関/調剤薬局に対して品目ごとの価格が明示されない取引は、薬価調査により把握されない取引であり、現行の薬価制度の信頼性を損なう取引であることから、公的医療保険制度の下では、個々の取引において、品目ごとの価格を明示することが望まれる。

購入量の大きい医療機関/調剤薬局を中心に、長期に渡って未妥結・仮納入を継続する事例がみられる。これは、薬価調査により把握されない取引であり、現行の薬価制度の信頼性を損なう取引であることから、公的医療保険制度の下では、個々の契約当事者間の交渉により、こうした取引を是正することが望まれる。

卸売業者と医療機関/調剤薬局との間の文書契約は浸透しつつあるが未だ不十分であり、医療機関等の理解と協力を得て、契約率の一層の向上が望まれる。契約の内容についても、契約に反して契約期間中の他の業者への一方的な業者変更などをすれば、契約不履行に該当することから、契約当事者間において、契約に基づいた取引が行われるべきである。

 医薬分業の進展、共同購入・一括購入に対応した情報提供のあり方
医薬分業の進展に伴い、従来納入されていた医薬品の納入がなされなくなる医療機関が増加し、その結果、医薬品の有効性及び安全性に関する事項その他医薬品の適正な使用のために必要な情報が適切に提供されないケースがあるとの指摘がある。また、調剤薬局に対しては、院内薬局への情報提供に比して、十分な適正使用情報が提供されていないケースがあるとの指摘もある。メーカー及び卸売業者は、医療機関/調剤薬局に対し、適正使用情報を提供するよう努めなければならないとされており、当該医薬品を処方する可能性のある医療機関や調剤薬局に対しては、自らの責務としてインターネットを活用する等の様々な手段を講じ、医療機関又は調剤薬局が必要とする情報を効率よく提供することが求められる。

共同購入や一括購入が行われた際には、納入先の調剤薬局がメーカー・卸売業者に対し最終納入先を通知することにより、最終納入先が適切に情報提供を受けられるようにすることが望ましい。

 返品の取扱い
卸売業者と医療機関/調剤薬局、メーカーと卸売業者の間で、あらかじめ返品に関するルールを定めていないケースが多いが、医療安全又は資源の有効利用の観点から、今後、返品が求められるケースの実態把握に努め、モデル契約(昭和62年9月、医薬品流通近代化協議会策定)における明確な位置付け、できる限り返品を生じさせない取引の推進など改善に向けた取組が求められる。

 その他
医療安全の観点から、医薬品のトレーサビリティの確保に資する医薬品流通コードの標準化等を含め、医薬品・医療業界全体のIT化への基盤整備に向け、引き続き、厚生労働省及び流通当事者による取組を推進することが求められる。

医療機関/調剤薬局における薬剤管理費用や調整幅の位置付け等の課題については、引き続き、本懇談会において検討を続けることとする。


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