社保審−介護保険部会 | |
第21回(H16.12.10) | 資料 |
1.はじめに |
○ | 介護保険制度における被保険者・受給者の範囲の拡大については、本部会が本年7月30日にとりまとめた「介護保険制度の見直しに関する意見」において、これまでの経緯及び問題の所在について次のように整理したところである。 |
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○ | 本部会では、こうした「これまでの経緯」と「問題の所在」を踏まえ、また、その後これまでの間に公表・提出された「給付の重点化・効率化を行った場合の給付費及び第1号保険料の見通しに関する試算」や「被保険者・受給者の範囲の拡大を行った場合の保険料の見通しに関する試算」等の資料も参考に、本年9月以降、5回(第17回〜第21回)にわたり議論を重ねてきた。 |
○ | 議論の中では、(1)介護保険制度を要介護となった理由や年齢の如何を問わず介護サービスを提供する普遍的な制度へと見直すことについてどう考えるかという点と、(2)制度の普遍化に向けて被保険者・受給者の対象年齢を引き下げるとした場合にどのような制度設計上の検討事項があるかという点が、大きな論点となった。 以下、この整理に沿って本部会での検討結果をとりまとめる。 |
2.本部会での検討結果 |
(1) | 介護保険制度を普遍的な制度へと見直すことについて |
○ | 現行の介護保険制度では、40歳未満の者についてはそもそも制度の対象外であるが、40歳から64歳までの者についても、保険料負担を高齢者と同等の水準で行いながら、給付は「老化に起因する疾病(特定疾病)」を原因とする場合に限定されており、65歳以上の者と比べて受給要件に差が設けられている。 したがって、現行の制度は、給付面から見れば、65歳以上の介護ニーズと40歳から64歳までの老化に伴う介護ニーズに対応するものであり、実質的には「高齢者の介護保険」であると言える。 | ||||||
○ | こうした現行制度に対し、介護保険制度の将来的な在り方としては、要介護となった理由や年齢の如何に関わらず介護を必要とする全ての人にサービスの給付を行い、併せて保険料を負担する層を拡大していくことにより、制度の普遍化の方向を目指すべきであるという意見が多数であった。 | ||||||
○ | 普遍化の方向を目指すべきとする理由は、以下のとおりである。
(なお、こうした理由や考え方については、7月30日の「介護保険制度の見直しに関する意見」においても整理しており、別紙1に再掲。) | ||||||
○ | 一方、被保険者・受給者の範囲の拡大については、極めて慎重に対処すべきであるという意見があった。 | ||||||
○ | 極めて慎重に対処すべきとする理由は、以下のとおりである。
(なお、こうした理由や考え方については、7月30日の「介護保険制度の見直しに関する意見」においても整理しており、別紙2に再掲。) |
(2) | 被保険者・受給者の対象年齢を引き下げるとした場合に制度設計上検討すべき事項について |
○ | 制度の普遍化に向けて被保険者・受給者の対象年齢を引き下げることとした場合に、今後検討すべき事項として、 (給付に関する論点)
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○ | これらについて、別紙3の「被保険者・受給者の範囲の拡大に関する制度設計上の論点」に基づいて論議を行った。各論点に関する意見は、概ね以下のとおりであった。
(給付に関する論点)
(負担に関する論点)
(施行方法・時期に関する論点)
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3.今後の進め方 |
○ | 本年9月以降、被保険者・受給者の範囲の拡大を巡り、本部会においては、精力的に審議を行ってきたが、その検討結果については、前述のとおりである。 |
○ | 今後、被保険者・受給者の範囲の拡大に関連した制度改正を実施するとした場合には、相当な準備が必要である。また、制度の持続可能性を維持する観点から、現行の介護保険制度下においても給付の効率化・重点化などの改革に早急に取り組む必要がある。 |
○ | 一方、政府の基本方針(「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2004」)においては、社会保障制度全般について一体的な見直しを開始し、平成17年度及び平成18年度の2年間を目途に結論を得ることとされているところであり、介護保険制度の普遍化については、こうした動向も十分に踏まえる必要がある。 |
○ | したがって、介護保険制度の普遍化に関しては、これらの状況を踏まえ、円滑な制度改革を図ることが重要であり、社会保障制度の一体的見直しの中で、その可否を含め国民的な合意形成や具体的な制度改革案についてできる限り速やかに検討を進め、結論を得ることが求められる。 |
(「介護ニーズの普遍性」の観点から)
(「地域ケアの展開」の観点から)
(「介護保険財政の安定化」の観点から)
(「障害者施策の推進」の観点から)
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(「保険システムに馴染むのか疑問」との観点から)
(「保険料負担の増大」の観点から)
(「現行サービス水準の低下不安」の観点から)
(「時期尚早である」との観点から)
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