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参考資料 2

医療情報ネットワーク基盤検討会 最終報告の概要について

平成16年9月30日

【検討の経緯】
1.医療分野の情報化の沿革
 ○医師法等に規定する診療録等について、一定の要件下で電子媒体での保存を容認(平成11年4月)。
 ○「保健医療分野の情報化にむけてのグランドデザイン」(平成13年12月)において、平成14年度から概ね5年間の情報化の到達目標や推進方策を提示。
 ○診療録等をオンラインで他の医療施設等に電子保存することを容認(平成14年3月)。
 ○電子署名及び認証業務に関する法律(電子署名法)、行政手続オンライン化三法の制定等により、オンラインで電子情報を取り扱うための社会環境が整備。
 ○患者の同意を前提として、実際の診療情報を地域の関連する医療施設や患者等の間で、専用回線等を通じて電子的に交換や共有する事業等がモデル的・先進的に実施。

2.検討状況と最終報告の位置づけ
 ○近年の情報通信技術に基づく医療施設間のネットワーク化への関心の高まりを踏まえ、平成15年6月30日より、医政局長の私的検討会「医療情報ネットワーク基盤検討会」を設置。
 ○国民の医療を受ける際の利便性の向上や医療の質の向上等の観点から、今後の望ましい医療情報ネットワークの構築に向けた制度基盤等について検討。公開鍵基盤、書類の電子化及び診療録等の電子保存の主要検討課題を中心に、最終報告。
 ○ 本最終報告の考え方に基づき、今後の医療分野における個人情報保護ガイドラインの検討状況等を踏まえつつ、関係者、関係機関の合意の下、必要な措置や制度の整備を推進。

【最終報告の要点】
1.医療における公開鍵基盤(PKI)のあり方について
 ○医療に係る書類の電子保存等のさらなる推進、ネットワーク上の情報の改ざん、なりすまし等を防止する観点から、医師等の個人が電子署名を活用するための公開鍵基盤のあり方を優先的に検討。
 ○様々な公的資格を有する医療従事者が勤務する医療現場では、署名自体に公的資格の確認機能を有する保健医療福祉分野の公開鍵基盤(ヘルスケアPKI)の整備を目指すことが必要。
 ○ヘルスケアPKI全体として整合性を確保するために、認証局が準拠すべき証明書共通ポリシを早期に作成し公表すべき。また、認証局の共通ポリシへの準拠性を審査する仕組みの設定が必要。
 ○医療の公的資格保有の確認には、免許に関する電子化された台帳(医籍登録情報データベースなど)等の整備が将来的に不可欠。免許台帳への登録時に電子証明書を発行することも考慮。
 ○公的個人認証サービスや電子署名法の認定特定認証業務の適切な利用により、医師等の自然人としての個人認証を行うことは可能だが、資格等の確認は紙媒体での運用と同様の負担が必要。

2.医療に係る文書の電子化について
 ○臨床修練外国医師の診療録、様々な制度で必要な診断書等は、電子署名法に適合した電子署名がなされることにより、署名または記名押印された文書とみなして電子化を容認。
 ○一方、処方せんは、法令上の交付者(医師又は歯科医師)、交付を受ける者(患者等)、調剤者及び保存義務者(薬局又は病院)が異なること、無診察治療を防止する必要があること、保険医による特定保険薬局への誘導禁止等の制度運用上の特性がある。
 ○このため、処方せんの電子的作成については、医師や薬剤師等の国家資格の認証機能を含む電子署名の実施を前提とすべきであり、上記制度運用上の特性を満たしつつ、偽造や再利用等の防止を担保することが必要であり、現状では困難。
 ○患者等の要望や医療安全の視点から、処方せんの記載情報を電子的に共有すること等を進め、将来的に処方せん電子化と制度運用が可能な環境の整備を期待。

3.医療に係る文書の電子保存について
(1)適切な電子保存の推進
 ○技術の進展を踏まえた電子保存の適切かつ円滑な実施に資するため、現在の診療録等の電子保存ガイドラインに本検討会の検討結果を反映させ、適切な電子保存を支援するためのガイドライン等を作成することが必要。
 ○医療施設の電子保存の技術仕様や運用体制の適切性を担保するため、ガイドラインに安全基準を示すとともに、プライバシーマーク制度やその基礎となるJIS Q 15001等の活用を今後推進すべき。また、電子保存の技術、運用面での適切さに係る監査あるいは評価制度の構築を検討。
 ○e-文書法通則法案については、電子保存の対象範囲、容認の要件等を整理して適切に対応。紙媒体で作成された処方せん等は、一定の要件下でスキャナ読込みによる電子保存を容認。
(2)診療録等の医療機関等以外の場所での電子保存(外部保存)
 ○診療録等のオンラインによる医療機関等以外の場所での外部保存は、セキュリティ対策の向上や保存負担の低減等により、電子保存の推進が期待できる一方、個人情報が瞬時に大量漏洩する危険性や蓄積された情報を外部保存受託機関等が独自に利活用することへの国民等の危惧が存在。
 ○このため、オンライン外部保存については、保存主体の医療機関等が、電子保存された診療情報等を安全に管理し、医療サービスの提供に利活用するための責任を果たせる体制の確保を前提。
 ○診療録等のオンライン外部保存については、目的を明確化するとともに、情報管理体制の確保のための一定の要件を満たす場合において、行政機関等が開設したデータセンター等及び医療機関等が震災対策等の危機管理上の目的で確保した安全な場所については、オンラインによる外部保存を容認。
 ○適切な外部保存のための技術及び運用管理の基準は、今後作成するガイドラインで提示。


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