第4回 |
資料6 |
アメリカ合衆国 |
1 現行制度
(1) | 連邦最低賃金
|
(2) | 州別最低賃金
|
2 | 最近の状況 連邦最低賃金は、1990年以来4.25$/時間であったが、1996年10月から4.75$/時間、1997年9月から5.15$/時間に2段階で引き上げられた。 |
3 | ILO条約批准状況 第26号条約、第131号条約ともに批准せず。 |
イギリス |
1 現行制度
イ | 根拠規定 最低賃金法(1998年) | ||||||||||||||||||||||||
ロ | 適用範囲 原則として | ||||||||||||||||||||||||
ハ | 設定方式及び決定方式
| ||||||||||||||||||||||||
ハ | 最低賃金額 4.85 | ||||||||||||||||||||||||
ホ | 額の改定
| ||||||||||||||||||||||||
ヘ | 減額措置 18歳から21歳まで4.10
| ||||||||||||||||||||||||
ト | 適用除外
| ||||||||||||||||||||||||
チ | 最低賃金に含まれない賃金
| ||||||||||||||||||||||||
リ | 罰則等
|
2. | 経緯 イギリスでは、1909年に賃金委員会法(1945年に賃金審議会法に改正)が制定され、小売業、ホテル業、縫製業など低賃金労働者が多いいくつかの産業において、産業別の最低賃金を設定していた。1979年に保守党が政権を取ることにより、賃金審議会の影響力は徐々に弱められてきた。賃金審議会が設定する最低賃金と平均賃金との比率は1970年代を通じて低下していた。また、賃金審議会や雇い主の賃金を保護するような他の制度も弱められていた。たとえば、1975年雇用保護法(Employment Protection Actof 1975)によると、雇い主は従業員の賃金を決定する際に産業レベルやその地方の市場賃金に沿って決定しなければならなかったが、この規定は1980年雇用法(1980 Employment Act)により無効になった。賃金審議会の数も減少傾向にあった。更に、1986年賃金法(1986 wage act)によって、賃金審議会の権限も制限された。すなわち、それ以前には成人向け労働者向けの最低賃金に加えて、若年者やいくつかの職別の最低賃金を設定していたが、これ以降は成人向けの労働者の最低賃金のみを決定することとなった。さらに、賃金審議会は、1993年に廃止された。廃止時点では、26の賃金審議会が存在し、約250万人の労働者がその影響を受けていた。 これらを受けて労働組合会議(TUC)は全国最低賃金の導入を求め、労働党政権の下で、1997年に低所得委員会(Low Pay Commission)が設立され、1998年に最低賃金法、1999年に最低賃金法施行規則が制定され、1999年4月1日、全国一律最低賃金が導入された。 |
3. | 全国最低賃金の効果 長年にわたる所得分布の拡大、労働党の選挙における勝利などを背景として、イギリスでは1999年4月より全国最低賃金が導入されてきた。現在まで、最低賃金の導入はほぼ順調に行われてきたとの評価がなされてきている。まず、最低賃金の導入に伴う混乱や、違反に関してはいくつか報告されているものの、それほど大きな問題とはなっていないと報告されている。特に、雇用・物価や企業の国際競争力に関しては、心配された悪影響は、それほど大きな問題とはなっていないとされている。また、最低賃金導入のもっとも重要な目的であった、所得分配や賃金格差にあたえる影響に関しては、ある程度、目的が達成されているという報告もされている。特に、所得分配や賃金格差に最低賃金の導入が与えた影響についてはNew Earnings Surveyをもちいて、実際に分析を行った。イギリスにおけるもっとも包括的な賃金調査であるこのデータを用いて、賃金格差を分析したところ、最低賃金の影響をいくつか確認することができた。以上のことから、イギリスにおける最低賃金の導入は概ね成功であったといえよう。 しかしながら、最低賃金に関して問題が存在しないわけではない。今後については、若年者や訓練中の労働者の扱いなどが問題となっている。たとえば、21歳の労働者に対して成人向け最低賃金を導入するかどうか、という問題は1999年の導入以来、議論となっている。また、最低賃金が雇用や賃金格差に与える影響に関しては、今後、長期間にわたる評価が必要となるであろう。 |
4. | ILO条約批准状況 第26号条約、第131号条約ともに批准せず。 (第26号条約は、1985年に脱退している。) |
フランス |
1 現行制度
(1) | SMIC
|
(2) | 労働協約拡張方式に基づく最低賃金
|
2 | 最近の状況 近年フランスでは時短政策が進んでおり、1998年に制定された労働時間の短縮を打ち出した第一オブリ法(「労働時間短縮の方針と指示に関する法」)の推進策の一環として、企業が実施する週39時間から週35時間への労働時間の短縮状況又は短縮実施の時期に応じて政府が差額補填金を支給することとしている(第二オブリ法)。通称「オブリ保証」と呼ばれるこの賃金保証は、労働時間の差によって生じる月額基本賃金の差額を補填することで、労働時間の異なる労働者間の実質的な月額最低賃金を一律にするというもの。(週35時間制の移行時期により5種類の月額最低賃金(GMR)が定められている。) さらに、2002年に成立したフィヨン法(「賃金・労働時間・雇用促進法」)では、週35時間制を緩和するとともに、6種類に分かれている法定最低賃金を2005年度までの今後3年間で低い最低賃金を高い最低賃金に合わせることで一本化する。この措置により、法定最低賃金は11.4%の引上げがなされることになり、これに伴う低賃金労働に係る労働コストの高騰に対応するため、法定最低賃金の1.5〜1.7倍を上限とする低賃金労働者に係る社会保障費の減免を行うこととされている。 |
3 | ILO条約批准状況 第26号条約…1930年9月18日批准 第131号条約…1972年12月28日批准 |
日本 | アメリカ | イギリス | フランス | ドイツ | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
連邦最低賃金 | 州別最低賃金 | SMIC | 労働協約拡張方式 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
根拠規定 | 最低賃金法(1959) | 公正労働基準法(1938) | 各州法 | 最低賃金法(1998) | 労働法典(1950改正) | 労働法典 | 労働協約法(1949) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
設定方式 及び 決定方式 |
審議会方式 | 労働協約拡張方式 | 州際通商等適用産業につき一律最低賃金 法定方式 |
州内一律最低賃金 法定方式 審議会方式、両方式の併用等 |
全国一律最低賃金 審議会方式 |
全国一律最低賃金 審議会方式 |
業種別 労働協約拡張方式 |
地域・業種別最低賃金 労働協約拡張方式 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
地域別 | 産業別 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
最低賃金額 | 665円/時間 (加重平均) (2004) |
756円/時間 (加重平均) (2003) |
868円/時間 (加重平均) (2003) |
5.15$/時間 (1997.9) 〔579円〕 |
2.00$/時間 〔225円〕〜 8.50$/時間 〔956円〕 |
4.85£/時間 (2004.10) 〔975円〕 |
7.61ユーロ/時間 (2004.7) 〔1,027円〕 |
|
各労働協約による | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
改定 | 中賃で目安を示し、地賃で審議のうえ決定 | 労使の申出に基づき必要と認められた場合に、審議のうえ決定 | 労働協約の締結当事者による申請を契機として決定 | 最低賃金改定案を連邦議会、大統領が承認 | 連邦最低賃金額の改定に合わせる、消費者物価指数等で改定する等 | 主管大臣から諮問を受けた低賃金委員会の勧告を受け、決定 | 毎年7月1日に改定。その他、物価スライド制により随時改定。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
減額措置又は適用除外 | ○適用除外
|
○減額措置
|
○適用除外 州によっては、小規模の小売業・サービス業等 |
○減額措置 16〜21歳 ○適用除外
|
○減額措置
○適用除外
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
表示単位 | 時間額 | 時間額、日額 | 時間額、日額 | 時間額 | 時間額 | 時間額 | 時間額 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
最低賃金に含まれない賃金 |
|
|
|
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
罰則等 | 20,000円以下の罰金 | 10,000$以下罰金若しくは6ヶ月以下禁固刑又はその両方 1,000$以下の行政上の制裁金 |
州法により異なる。 | 5,000£の罰金 | 労働者1人につき1,500ユーロの罰金 | 労働者1人につき違警罪の罰金 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
ILO条約批准状況 | 第26号条約(1971批准) 第131号条約(1971批准) |
第26号条約、第131号条約ともに批准せず。 | 第26号条約、第131号条約ともに批准せず。 | 第26号条約(1930批准) 第131号条約(1972批准) |
第26号条約(1929批准)、第131号条約は批准せず。 |