戻る

第4回
資料1

最低賃金制度のあり方に関する研究会発言メモ
2004年12月7日、於厚生労働省
「最低賃金制度について」
清家篤(慶應義塾大学)


〔I〕雇用・労働市場規制の根拠
(1)原則は市場決定→雇い主の都合と労働者の都合を市場で調整する
(2)労働市場機能(市場均衡成立条件)の担保
完全競争(交渉上の地歩:辻村江太郎『経済政策論』(筑摩書房、1977年))
完全情報(現在情報、将来予見可能性)
(3)具体的ルール(どんな社会にも雇用・労働市場規制は存在)
集団的労使関係(交渉上の地歩の均等化)、最低労働基準(交渉上の地歩の差によるコーナーソリューション防止)、安全衛生(情報不完全下で完全にリスクを織り込んだ契約困難)、長期雇用保障の担保(将来予測不完全下でのホールドアップ問題解決)、公的職業紹介(情報探索資源の供与)、差別禁止(情報の不完全性による統計上の差別防止)、紛争処理(市場決定の履行担保)、等々。

〔II〕最低賃金制度の意義
(1)右下がりの労働供給曲線の危険性
結果としてのコーナーソリューション、経験的事実
(2)内点均衡成立の条件としての最低賃金制度の存在意義
供給側の賃金の受諾条件の下支え、とくに弱い立場の労働者に必要

〔III〕最低賃金制度について考える際のいくつかの論点
(1)水準の問題
水準を決める際に企業の支払い能力を考慮すべきかどうか
(2)罰則の問題
現行の罰金で効果的な抑止力になり得るかどうか
(3)産業別最低賃金の問題
産業別の賃金格差を最低賃金制度で担保すべきかどうか

〔IV〕産業別最低賃金について
(1)産業別最低賃金制度の果たした歴史的な役割
産業別労働条件の向上に果たした意義は大きい、労使合意の意義
(2)供給側の受諾賃金の下支えとしての最低賃金制度になじむかの検討は必要
請負・派遣労働への対応、産業別労働協約の拡張適用ルール化での代替可能性


トップへ
戻る