04/11/30 第11回社会保障審議会医療保険部会議事録            社会保障審議会医療保険部会(第11回)                    議事録          日時 : 平成16年11月30日(火) 10:00〜12:00          場所 : 第一ホテル東京 ラ・ローズI 星野部会長  おはようございます。定刻になりましたので、これより第11回医療保険部会を開催い たします。委員の皆様には、本日はご多忙の折お集まりいただき、御礼申し上げます。 なお、上野委員におかれましては、9月13日にご退任されて、同日付けで、日本経団連 の齊藤正憲さんが任命されております。本日ご出席いただいておりますのでご紹介申し 上げたいと思います。 齊藤委員  日本経団連の齊藤でございます。よろしくお願いします。前回、所要で出席できず、 今日が初めてですが今後ともよろしくお願いいたします。 星野部会長  どうもありがとうございました。まず本日の委員の出欠状況についてご報告いたしま す。本日は、井伊委員、磯部委員、清家委員、西村委員より、欠席の連絡をいただいて おります。  それでは本題に移りたいと存じます。まず、本日の議論の進め方についてご相談した いと思います。本日は、まず前回ご審議いただいた三位一体改革、国保関係について、 その後の経過について事務局から報告を求めることとしたいと思います。また、いわゆ る混合診療の問題につきましては、現在、中央社会保険医療協議会、診療報酬基本問題 小委員会において特定療養費制度の在り方についての議論が進められているところでご ざいます。  前回の時に、久保田委員が閉会の直前にご発言があったり、それから松原委員からも 医療保険制度体系にも関わる問題であることから、当部会においてもご審議いただきた いとのご提案がありました。私としても、この問題についてはこの対処方針如何によっ ては医療保険制度の在り方にも関わる問題であるので、当部会でもご議論いただきたい と考えております。  あわせて来年、制度改正が予定されております介護保険の検討状況についてもご紹介 いただきたいと考えております。このような進め方で議論を進めたいと思いますがよろ しゅうございましょうか。 委員一同  はい。 星野部会長  それでは、そのような方向でやらさせていただきたいと思います。  それでは三位一体改革、国保関係の経過報告について議題としたいと思います。事務 局から説明願います。 唐沢課長  おはようございます。国保課長でございます。それでは、お手元の資料1−(1)とい うものをご覧いただきたいと思います。  「三位一体」につきましては新聞などでも委員の方ご承知のとおりでございますけれ ども、政府・与党部内で調整が進められてまいりまして11月26日に政府・与党の合意が 行われたところでございます。これがここにございます資料1−(1)の文書でございま す。  その中で、まず全体としてどのような枠組みになったかということでございますけれ ども、2頁をお開きいただきたいと思います。  国庫補助負担金の改革につきましては、平成17年度予算、平成18年度予算におきまし て、地方向け国庫補助金負担金について3兆円程度の廃止・縮減等の改革を別紙2のと おり行うということになっております。別紙2をご覧いただきたいと思います。7頁と いう表になっているところでございます。ここに内閣本府、10億程度。総務省、90億円 程度。文部科学省、義務教育費国庫負担金、8,500億円程度減額(暫定)(うち17年度 分(暫定)4,250億円)というような事柄になっておりまして、厚生労働省の関係にお きましては9,340億円程度。内訳といたしましては、右のほうにございますが、国民健 康保険国庫負担、養護老人ホーム等保護費負担金、児童保護費等補助金(産休代替保育 士費等補助金等)を合わせまして9,340億円程度という金額になっているところでござ います。  合計をいたしまして、一番下の欄にございますけれども2兆8,380億円程度という合 計額でございます。  2頁に戻っていただきますと、文教のところにつきましては大変議論がございました けれども、義務教育制度については、その根幹を維持し、国の責任を引き続き堅持す る。その方針の下、費用負担についての地方案を活かす方策を検討し、また教育水準の 維持向上を含む義務教育の在り方について幅広く検討する。ということ以下が取り決め らたわけでございます。  社会保障でございますけれども、社会保障につきましては3頁のところにございます ように、国民健康保険については、地方への権限移譲を前提に都道府県負担を導入す る、ということが取り決められているところでございます。  公共事業等につきましては、次にございますような形になっております。  次の4頁をお開きをいただきたいと思います。4頁は、この補助負担金の廃止・縮減 に関連をいたします税源移譲の関係でございますけれども、税源移譲につきましては、 別紙1のとおりということで、後ほどご覧をいただきたいと思いますけれども、平成16 年度に所得譲与税及び税源移譲予定特例交付金として措置した額を含め、概ね3兆円規 模を目指す、ということでございます。この税源移譲は、所得税から個人住民税への移 譲によって行うものとし、個人住民税所得割の税率をフラット化することを基本として 実施をする。あわせて、国・地方を通じた個人所得課税の抜本的見直しを行う。また、 地域間の財政力格差の拡大について確実な対応を図る、ということでございます。  6頁の別紙1をお開きをいただきたいと思います。1といたしましては、概ね3兆円 規模の税源移譲を目指す。2といたしまして、概ね3兆円規模の税源移譲のうち、その 8割方について次のとおりとする、ということでございまして、その義務教育費の下の ところに国民健康保険7,000億円程度という金額となったわけでございます。一番下の ところに合計をいたしまして、2兆4,160億円程度となっております。それから国民健 康保険以外の社会保障でございますけれども、ポツのついております4つ目のところに 社会保障(国民健康保険を除く)ということで、850億円程度の対象額となっていると ころでございます。  それから3といたしまして、平成17年中に、以下について検討を行い、結論を得る、 ということになっておりまして、これも大きな議論になっておりましたけれども、生活 保護・児童扶養手当に関する負担金の改革。それから公立文教施設等の取扱い。その 他。ということでございます。(注)といたしまして、生活保護負担金及び児童扶養手 当の補助率の見直しについては、地方団体関係者が参加する協議機関を設置して検討を 行い、平成17年秋までに結論を得て、平成18年度から実施する、ということが書き添え られているところでございます。  この11月26日の資料1−(1)をご覧いただきますと、国民健康保険につきましては 7,000億円程度の金額となっておりまして、その内容につきましては3頁にございます ように、国民健康保険については、地方への権限委譲を前提に都道府県負担を導入す る、ということが合意をされているところでございます。  参考といたしまして、資料1−(2)をご覧いただきたいと思います。こちらは私ども のほうで用意をさせていただきました参考資料でございますので、簡潔にお話をさせて いただきたいと思います。  医療保険制度改革を進めるに当たりまして1頁のところをご覧いただきたいと思いま す。国保制度の基盤・体力を強化し、その上で高齢者医療制度等の創設等の改革を順次 進め、将来にわたり安定した制度を構築することが必要だと考えているわけでございま す。  そのためには、国保制度の保険運営の広域化、医療費の適正化を進めることが必要だ と考えておりまして、既に委員の方ご承知のとおりでございますけれども、広域化の必 要の現状に照らしまして保険財政が非常に厳しい状況にある。それから高齢化の進展や 無所得世帯の増加、あるいは所得水準が低いと、小規模な保険者が増加している、これ はどうしても農業従事者の方でありますとか、自営業の方が減少していくということが ございますので、こうした事柄があわせまして国保制度の基盤を強化をするということ が求められているところでございます。  次の2頁をお開きいただきたいと思います。2頁も医療費の適正化の現状でございま すので、ご承知のとおりだと思いますけれども非常に医療費が増加をしている。また、 他方で地域間に大きな格差がある。これは右側の表にあるとおりでございますけれど も、こうした課題を解決していくために、医療費の適正化のための様々な取り組みをし ていく必要があると考えております。  具体的にはもちろんこれは財政面からの対策も講ずるわけでございますが、次の3頁 の右下の表にございますが、健康増進計画、健康増進法に基づく生活習慣病対策、そし て医療法に基づく医療計画、効率的な医療提供体制の整備、そして介護保険事業支援計 画ということで高齢者の自立を尊重した介護の充実と、こうしたものを一体的に取り組 んでいただく対策というものが必要であろうというふうに考えているわけでございま す。  それから下のところで、今回の国民健康保険の関係でございますけれども、新たに都 道府県において財政調整を実施をしていただきまして、広域化や適正化を促すような取 り組みを進めていただきたいと考えているところでございます。これは参考資料でござ いますが、以上のようなことでございます。  この具体的なさらに細かい内容につきましては、現在まだ政府内で調整を進めている ところでございますので、年末に向けましてさらに鋭意取り組んでまいりたいと考えて いるところでございます。以上でございます。 星野部会長  どうもありがとうございました。それでは、ただ今の説明につきましてご意見、ご質 問等がありましたらお願いいたします。どうぞ、浅野委員。 浅野委員  当然これは、たくさん言わなくてはいけないわけですが、始めに知事としての立場で 内容についての大きな疑義というのを申し上げたいと思います。それからもう一つは、 この医療保険部会の委員の一人として申し上げたい。これは今日ご出席の委員の方も皆 さん同じ問題意識を持ってしかるべきではないかという意味で申し上げたいと思いま す。  始めに知事としてということで申し上げれば、今回のこの措置、内容がまだ不明であ りますけれども、いずれにしても7,000億円程度のいわゆる税源移譲を行うと、新たに 県にこういった負担をさせるということになっております。これは、今回の三位一体改 革は小泉首相から請われ、我々地方が一体となって案を出してみろと、それを真摯に受 け止めるからということで我々一致団結して、山本委員は町村会の会長として地方6団 体、小異を捨て大同について出しました。その地方案、8月24日に小泉首相に提出をい たしましたが、その時にこの国民健康保険7,000億円は一切入っておりません。のみな らず、こういうことはやめなさいと、つまり単なる補助率、負担率の引き下げのような ものはやるべきではないということを禁じ手ということで、わざわざ書かせてもらって 提案したものです。これを入れてくるというのは一体どういうことなのか、これは前か ら、途中段階でも言っていますが「場」が違うと、三位一体改革の中で出すべき問題で はないということです。  今、資料1−(2)で都道府県としての役割も持つべきだとありますが、これは聞く耳 があります。医療保険、なかんずく国民健康保険というのをどういうふうにやっていく べきか、その中で都道府県の役割をどう考えるべきかということは、真摯に議論しなけ ればならないという思いはあります。それで私もここに出ているわけです。それが三位 一体改革ということで出てきて、これに唐突に入ってくる。閣議決定では、この問題は 平成20年度に改革をする。平成18年度までに、改革案を出すということでいわば我々は 議論のプラットホームの中で、20時発の電車に乗ろうと思ったら、突然16時発の列車が 来て飛び乗ってしまった。どういう中身か知らないけれど乗ってしまったというふうに しか見えません。場が違うということなのです。  内容的に言っても、まさに、今回の内容もそうですが、ちょっと私にとって気持ちを 逆なでするような部分とは、「県にとってもいいでしょ」と書いてあるのです。権限が もらえるからいいでしょと。我々地方としてこの文脈の中で、県としてぜひ権限を欲し いと、口も出したいから金もだしたいからというようなことは言った覚えがありませ ん。それが、権限がいくからいいでしょうというような形で、その理由付けでいわれて いる。内容もさることながら、その理由付けが非常にわかりやすい言葉で、どぎつく言 えば御為倒し的に言われているというのは、二重に望むところではありません。内容に ついては、一応そういうことで知事としてはそのぐらいにしておきます。  ただ、今もご説明で案の内容というのがよくわかりません。2つだけ確認させていた だきたいと思います。  1つは、この位置づけというのはつなぎ、「暫定的な案」なのでしょうか。それとも ある程度「恒久的な案」として考えられているのでしょうか。つまり、平成20年度に改 革をするというふうに言われているのは、これまで生きているわけですけれども、それ をこれは前倒しという形で受け止めるのか、それともつなぎ・暫定ということで例えば 踊り場的に平成20年度に本格的な改革をするということを念頭に置いたものなのかどう かというのが1つです。  それからもう1つは、実はこの三位一体改革という最後の段階に出てきたとき、厚生 労働省案に対して総務省案というのが対案的に出されています。定率ではなくて定額の 負担だみたいな言われ方をしていますが、端的に、これは総務省案が土台なのですか、 厚生労働省案が土台なのですか、それともまだ決まってなくてこれからということなの ですかということを確認をさせていただきたいと思います。  まだ続きで知事としての意見を言えば、実はこの三位一体改革の中で7,000億円ださ れたということの裏側をぜひ認識する必要がある。地方案で厚生労働省関係の数々の補 助金つきの施策について廃止リストにずらずら挙げてあります。この国民健康保険 7,000億円というのは案に入っておりませんので、どういうことになったかというと、 この7,000億円を今回入れてきたということによって救われた、廃止リストに挙げられ ていたけれどもそこから除かれたというのは数多くあるということなのです。これは、 我々から言わせると今回の政府案という全体像といわれるものに、地方分権ということ の大義がないということの所以です。この7,000億円を入れたその内容だけを見るので はなく、それによって我々の言い方からいうと、救われた厚生労働省関係の、つまり温 存された補助金つきの事業リストというのがずらずらある。7,000億円というのはなに しろものすごい額ですから、それによって救われたものがたくさんあるということは、 分権改革という観点から大きな問題点です。  次に、審議会委員としてこれはぜひ部会長はじめ、居並ぶ委員の皆さんにもご賛同い ただきたい、考えていただきたいのですが、私は結論としてこれは、この医療保険部会 として「遺憾の意を表するべき」ではないかと思います。それは、手続き論としてで す。つまり我々はずっとこの問題について、ある程度工程表みたいなものを頭に入れて 審議をしてきました。そういう中で一つ一つ片付けていっているわけです。審議が結論 部分において佳境に入ったとはとても思えない状況です。そういう中でこれがだされた ということは、審議会の議論の方向としてもこれに規定づけられるわけです。我々、我 々といったのはこの審議会として医療保険部会として、ここまでのものというものを言 った覚えは私ではなく皆さんにもないと思うのです。それがこの段階でこういう形で出 されたとすれば、この審議会というのは一体何なのでしょうか。医療保険部会というの は一体誰に何を頼まれて、いつまでにどういうことを審議しろということを言われたの でしょうか。それはこういうふうに変えるからよろしくということを言われた覚えもな いとすれば、ぜひこれは部会長名で相手方は誰なのかわかりません。厚生労働大臣なの か、内閣総理大臣なのかわかりませんが、任命権者に対してこういったことで医療保険 部会を軽視されてはやってられないという遺憾の意を表するべきだというふうに思いま す。  一応原案も書いてきました。「審議会の意見を聞くことなく、唐突かつ一方的にださ れたものでありきわめて遺憾であるといわざるを得ない。」というのが結論部分です。 この段階でそのぐらいやっておかないと、審議会は全く形式的なものになって、追認も いいところになってしまうのではないかと、これは非常にこの医療保険部会として重要 な内容を含んだものです。以上、知事としての立場を前段に申し上げ、後段は一委員と しての立場で申し上げましたが、後段の部分はこの場での提案です。医療保険部会とし て遺憾の意を表するなんらかのアピールを、できれば今日この場ですべきではないかと いうことを申し上げたいと思います。 星野部会長  どうぞ、河内山委員。 河内山委員  関連がありますので、私からも発言をしたいと思います。まず浅野委員が後段でお話 になったこと、これにつきましては政府・与党の先ほど御説明のありました資料の6頁 に、義務教育費の問題については、中教審の議論を踏まえて対応する。こうふうに明記 をされているわけです。義務教育費については、世間一般大きな騒ぎになったからそう いうふうな取扱いにするということであるならば非常に慎重に、平成20年ということを 目標に真剣に議論をしておる審議会の部会として、浅野委員がお話になりましたよう に、本当に出来上がりの予想図なのか途中の暫定的なものなのかわからない、そういう 中でこの国保の国庫補助金の問題だけが取り上げられるというのは、手続的には非常に おかしいことだなと思っております。  浅野委員は20時発の電車を待っていたら16時に電車が来たという例えをされました が、私的に申し上げますと、私的というのは誤った日本語らしいですけれど、違う例え でいいますと、忠臣蔵の芝居を見ていたら弁慶がでてきたということなのかもしれませ んが、それは例え話で物事を矮小化することになってしまいますので、もっと重要な話 なんだというふうにぜひ委員各位にもご認識いただければというふうに思います。  それから、三位一体のことでやはり地方6団体として色々な議論を踏まえてやってき ている中で、どうも別のものがでてくるというそのことがこれは厚生労働省がというよ りも、やはり総理のリーダーシップにおいていかがなものかということについて、これ は審議会でお話しすることではないかもしれませんが、市長会の一員としては感じてお ります。今朝の朝日新聞に論説委員の坪井ゆづるさんが、極めてわかりやすいたとえ話 を書いておられますので、ご覧になった方もおいでになるかもしれませんが、ご参考ま でにその部分を申し上げたいと思います。『食堂の主人が団体客に「何が食べたいか」 と聞いた。客たちは相談を重ねて「すし」に決めた。マグロやイカなど具体的に注文し た。主人は「真摯に受け止める」といった。だが、コックたちは「ラーメンならある」 「牛丼でいいだろう」「余り物でも腹に入れば同じ」とごねた。主人は黙り込んでしま った』とこう書いてあるのですが、そういう感じの三位一体のまだ途中段階だと思いま すけれど、そういうことについては、やはり地方6団体としては本当にこれは残念な部 分がたくさんあるのだということについて、厚生労働省の皆さん方にもご認識をいただ きたいと思います。  そして最後、中身の話ですが、これは浅野委員がご質問されましたのでそのお答えを 聞けばわかることで、その点は私はお伺いをしませんが、やはり従来から都道府県がど ういうふうに医療保険制度の中でとりわけ国保の中で役割を担っていただくか、これに ついてはやはり保険者である市や町や村、市町村国保の立場からしますと大きな期待を 持っております。  それで、今回の結論がまだまだはっきりでておりませんけれども、ぜひ資料1−(2) の3頁で、先ほど唐澤国保課長がお話になりました国保における、都道府県の財政調整 の実施と云々というところの中で、まさしく最後にありますように、保険運営の健全 化、安定化というものにどういうふうにこれが機能するのか、このことが非常に大事で ございまして、ここに大きな矢印で2つ書いてありますが、この矢印の中身というもの が本当にこの審議会、部会でしっかり議論されませんと、保険者にとっては何がどう変 化したのか全く意味合いがわからないままに制度改革が進められるということになりか ねません。したがいまして、ぜひこのことについては保険者の意見を踏まえた改革をし ていただきたい。これは当然ですけれども、この中身、この矢印の中身については慎重 に、なおかつ本当に大事な部分でありますのできちんと時間をかけて、手順を踏んで議 論をしていただくようにお願いをしたいというふうに思います。長くなりましたけれど も、以上申し上げたいと思います。 星野部会長  ここで、議事の進めた方についてちょっと整理したいと思います。1つは、今浅野委 員から質問が2つでまして、それから提案が1つでました。これをちゃんと答えてもら いたいし、提案について他の委員のご意見も聞きたいと思います。ただ、今河内山委員 が、浅野委員のサポート演説をしてくれたような感じはするのですが、ご趣旨はほぼ同 じようなことだと思います。他の委員が、今の件以外にもご意見があるのではないかと 思いますので、まず他の委員から他の意見についてお伺いした後、今の質問2つを答え ていただいたあと、提案について皆さんのご意見を伺うと、こういう手順でいきたいと 思いますのでどうぞご意見のある方よろしく。どうぞ、齊藤委員。 齊藤委員  少し、今の両委員の方とは違うのですけれども、保険者の再編・統合議論には関わり なく、国レベル、都道府県レベル、市町村レベルでいずれの段階におきましても医療費 の適正化は必要であると考えております。これは早めに取り組まなければならないと考 えております。とりわけ医療計画を作成されております都道府県にありましては、より 積極的にその役割が求められると考えておりまして、そのためにも国民健康保険におい て、一定の負担を負うということは妥当ではないかと考えております。 星野部会長  ありがとうございました。どうぞ、他の方。岩本委員。 岩本委員  都道府県負担につきまして、私は前回のこの部会で、これは反対であるというふうに 申し上げまして今でもその考えは変わりません。責任の所在という点では、今よりも悪 くなると思っております。しかしながら政府・与党で決定されたということもありまし て、まだこれから肉付けのところがあると思いますので、悪くなるにしてもできるだけ 悪くなるのが最小限で済むようにということでちょっと質問させていただきたいと思い ます。  都道府県の役割の強化を果たしていくというところで、財政調整を実施すると言って おられますが、そうしますとこのやり方は都道府県に任せられるのでしょうか、すなわ ち各県がそれぞれのやり方で財政調整をすることによってA県とB県では違うやり方に するということがあり得るのでしょうか。あまりにも裁量的にやるというのは問題があ るでしょうからルールとして、A県とB県で違うルールというものが考えられるのかと いうことです。国保というのは、自治事務というふうに言われていますので、おそらく 都道府県がこれに絡むと、やはり自治事務に分類されてくると思いますので、そういう 裁量の余地です。そういうものが果たして与えられるのかということが1点です。  それから、この部分に関しては、おそらく交付税の扱いとしては基準財政需要に入っ てくると思いますが、その基準財政需要をどのように設計するかということがやはりこ の責任にも大きな影響を与えてくると思います。すなわち、前年度の国庫負担額がその まま次の交付税で賄えるというふうになってしまえば、都道府県としてはこの負担の痛 みを感じなくなるということになるわけで、結局国が責任を負っていることと同じこと になるというわけです。ですから補正係数をどのようにするのか、ちょっと専門的にな りますけれども補正係数を導入するのかというふうな問題です。こういったところ非常 に細かいところで、制度がどういうふうに機能するかというところで大事なところがあ りまして、このまま行きますとこの場でも議論する時間がなく、もしこれ来年度の予算 で導入されるということになれば、すぐ制度設計しなければいけないという話です。で すから今の段階でどのくらいわかっているのかということに関して聞きたいということ であります。 星野部会長  ありがとうございました。他にございますか。どうぞ、久保田委員。 久保田委員  この三位一体改革の問題と医療保険制度の将来の在り方、抜本改革については本気で 答えをだしていかなければならないわけであり、絡み合いながらも基本的にはそれぞれ 別の問題として粛々としてやらなければならないものが、こういうふうになっていると いうことについて、どこが問題なのかということをさかのぼってしっかり解明しなけれ ばならないのではないかと思います。例えば、今浅野委員から言われた廃止リストと呼 ばれるもので問題がないのかという観点は、前回の部会で申し上げましたが、基本的に は労働組合としてきわめて問題があるという指摘もさせていただきました。  ただし、大きな方向としては、明治以来の中央集権型のこういう国家から地方分権型 にどうやって移行するかということは大きな時代の方向性であると思ってますので、そ の中で一体社会保障をどう位置づけるのかということを含めて徹底した議論が実は要る のだと思います。  また社会保障の中で国の役割、都道府県の役割、そして市町村の役割、その市町村も 現在の規模なのか、もう少し広域化したものなのかというしっかりとした骨太の方向性 や戦略性、役割分担をしっかり議論してやらなければならない課題であるにも関わらず 丸投げをして、そして最後は数字合わせということの混乱が結局こうなっているのでは ないか。浅野委員のおっしゃられる感情もわかりますが、しかし問題は、最後は小泉首 相にあるのかもしれないと思っています。  ただ、従来同様ではすまないという意味からすれば、やはり基本的な在り方はどうな のかということにつきまして、損得やあるいは当面の財政ということをどう回避をする のか、あるいはかなり重荷は背負いたくないという判断の中で、結局国民や例えば患 者、そういうところが一体何が一番幸せなのか、あるいは何が一番安いコストでしかも プラスの方向でこれから設計できるのかという一番肝心な国民の視点といいますか、そ ういうことを真ん中に置いてしっかり議論をした上で方向性をだしていかないと、また 来年も同様に結論がでない、あるいは非常に疲れる議論になってしまうのではないかと いう危惧をいたします。ちょっと中途半端な意見かもしれませんが、廃止リストで全部 オーケーというわけではないということにつきまして、もう一度表明させていただきた いと思います。以上です。 星野部会長  ありがとうございました。普段の久保田さんにしては、ちょっと歯切れが悪かったと いう印象がありますが、そういう難しい問題ですね。他にございますか。どうぞ山本委 員。 山本委員  今浅野委員から質問があって、その質問に先答えたらいかがでしょうか。そうすると 皆さんの判断がしやすいのではないですか。 星野部会長  皆さんに、平等の機会を与えようと思ったからこういう手順を踏みましたので、皆さ んから特になければ質問のほうへ移ります。 山本委員  質問の答えを受けたあとに、意見を出したほうが出しやすいと思います。 星野部会長  はい、結構です。質問に答えてもらいますが、浅野委員の質問の1というのは非常に 重い質問だと私思うのです。2番目は、私どもよくうかがい知らない話の、総務省との やり取りの話ですから、私どもはよくわかりませんけれど、1番目というのは20時―16 時問題ですから、これは非常に重いのでその点を踏まえた上で事務局もよくお答えいた だきたと思います。まず、質問にお答えください。 唐澤課長  まず、ご質問のいくつかたくさんの項目がございましたが、浅野委員からご質問の第 1点は、暫定的なものにするのかどうかというお尋ねでございました。私ども、この国 民健康保険の大きな制度でございますので、これは基本的には恒久的なものとして設計 をすべきではないかと考えております。ただ、この医療保険改革、それからこれまでの 長い歴史というものを見れば、実施をしたものを後になって施行後の状況等を踏まえ て、そして色々検討されるということは何回も繰り返されてきておりますので、制度の 設計としてはそうした形で恒久的な制度として設計をさせていただいて、そしてまたこ の部会なり、また色々なものがあると思いますけれども、施行後の状況を見ていろいろ ご議論をいただくということになるのではないかと思っているところでございます。  それから第2点目の、ちょっと技術的なところでございますけれども、細かなところ は最初にお話を申しましたように、まだ政府内で調整をしている段階でございます。総 務省のほうの提案といわれておりますのは、あまり詳しく中のことを申し上げられませ んけれども、基本的には財政調整の調整を行う負担というものを都道府県にもしていた だいて、そして一部保険料の部分に関連する部分についても、負担をその中に取り入れ てはどうかという、このようなご指摘があったわけでございますけれども、私どもは厚 生労働省案か総務省案かということではなくて、政府部内の案として調整をして成案を 得たいというふうに考えているところでございます。 星野部会長  どうぞ、今のお答えに対して浅野委員。 浅野委員  実は今の私の質問の2つは関連があるのです。とういうのは、総務省案は、明確にこ れは抜本的な医療保険改革までのつなぎであるという位置づけをしているのです。総務 省案はつなぎなのです。なので、まだ決まっていませんといっても我々ここで審議をす るときに、これをどう見るかというのはまさにこの審議会として、つなぎならいいやと いうわけにもいかないかもしれませんけれども、そこはどういうふうに判断するかあり ますが、たまたま私の知るところにおいては総務省案はつなぎです。明確に言っていま す。これをまず我々は認識する必要があると思っています。  そうなると、仮に総務省案で何か国のほうに近くまとまれば16時から20時までの間、 実際は平成17年度ですけれども、2ヵ年度なり3ヵ年度のもので、本格的なものは後か ら来るということを認識しつつこれに対処するということになります。  それから中身に入りますけれども、例えば厚生労働省案で調整交付金5%県に持たせ るとありますが、これは三位一体改革ということの対応として出されています。だとす ると、実はその分は税源移譲されているわけです。税源移譲されているのは色のついて いない財源としてくるわけです。そうすると、都道府県は5%持てといってもダメなの です。ダメというのは、つまり5%持てということを言うのは分権になるのかどうか、 5%の中で適当に遊びなさいというのは分権の感覚とはちょっと違って、単なる交付金 みたいなものです。そうではなくて、今回あくまでも三位一体改革の答えとしてだして こられました。そうすると、実は今調整交付金10%国が持っている、そのうち5%を県 に持たせる、それで国庫負担の分が縮むということですが、縮む意味しかないのです。 これはたぶん。これは法律をどう書くのでしょうか、これができたときに。県が調整交 付金というのは。  私の地方分権改革だということの文脈的に言えば、これはいくら出すか出さないとい うのは県は自由、調整交付をするかどうかも自由というふうに理解するしかないのでは ないでしょうか。もちろんやり方も自由です。ということは、仮に、これ県が調整交付 金というのを出さないと「お咎めあり」という法律の制度にするのでしょうか、そこも ちょっと基本的なところで「分権」というところで聞きたいのです。私はそうならない と思うのです。 唐澤課長  技術的なところに関わってくることになりましたけれど、とても大事なお尋ねでござ いますのでお話をさせていただきます。  調整交付金の部分でございますが、例えば介護保険の費用負担の構造というものをお 考えいただくとわかりますけれども、これは公費負担、その公費のうちの国が2分の1 を持っておりまして、そして都道府県、市町村がそれぞれ4分の1を負担をしていただ いている。残りは保険料で負担をしていただいている。これは、もちろんそれぞれの県 から市町村から出していただいているわけでございますけれども、法律でその負担とい うのは決められているわけでございます。国民健康保険のほうも公費負担というものを 都道府県に調整交付金ということでお願いをするわけでございますので、当然その分は きちんと法律でご負担をしていただくということにいたしませんと、市町村のほうにお 金が足りなくなってしまいますので、これは必ず負担をしていただくということを法律 に規定をするということを考えているところでございます。 浅野委員  私のは意見になりますが、定率負担分の5%は法律に書くのです。それは請求書が来 て5%分を負担する。これは介護保険の都道府県負担と同じです。だけど調整交付金分 の5%持つというのは、もちろん考え方はあるでしょうがあくまでも今回は分権の代案 として出されているということの筋を外しては遺憾です。16時の列車は「分権号」なん です。20時の列車は「医療保険改革号」なんです。今回、16時の列車に乗ったというこ との意味は小さくないのです。そうなると、今法律で県が5%持つことでやるのですと いうのは、どこでそれが「分権号」の列車になるのだということ、これは意見です。色 々議論はあるのでしょうが意見です。言いっぱなしでもいいのですが、そこをぜひ意識 をしてくださいということです。 唐澤課長  今、浅野委員5%といわれましたが、そこはちょっと例として、そのパーセントとか 表記の割合というのは、成案として得てまとめなければいけませんので検討中でござい ます。これは、国民健康保険の負担金でございますので、義務負担金というような構造 で奨励補助金ではございませんので、市町村の国保財政の安定ということを考えていく 必要があるのではないかと思っているところでございます。 浅野委員  そういう位置づけだとすると、それは分権号に乗る話ではないといっているのです。 水田局長  ただ今のところは、まったくこれが意見の問題という側面があろうかと思いますけれ ど、もう一つ質問ございました「暫定か」「恒久か」ということでありますけれども、 これはまさに税源移譲を伴うものでありますので、暫定的な措置であればそれについて 税源移譲がなされるというふうには理解しておりません。したがいまして、先ほど、国 保課長が言いましたように、あとで必要に応じて見直しがあるかもしれませんが、位置 づけとしては恒久措置という形でなければできないものであると、こういうふうに認識 をしてございます。  それから先ほど来20時発、16時発という言葉がございますけれども20時を待つと、16 時の電車にしか税源という荷物が乗っていない、20時では必ずしもそれがあるかどうか わからないという時点で問題が提起された。それが想定外の形で提起されたわけであり ますので、私ども基本的に国保制度の体力を基盤強化するという立場からするための第 一歩であって、この機会を逃すと次のチャンスがわからないというときにはやはりこの 制度を守る立場として、それは乗るという決断をしたということでございます。ちょっ と補足をさせていただきました。 星野部会長  どうぞ、対馬委員。 対馬委員  浅野委員が大変わかりやすい20時発もしくは17時発ですかね、ということを言われ て、今局長がまた言われましたのでちょっと気になりますので1点申し上げておきたい と思います。  改革については、概ね2年後に改革に順次着手していくのだと。20年度に完成を目指 すということでありますので、18時発の電車ということを置き去りにしてもらっては大 変困る。20時発というのは、あくまで最終的にきっちり電車が整々と動いていくという ことで、まずは18時発と、私どもとしては改革の早期実現と着実に実施していくという ことを申し上げていますので、その点申し上げておきたいというふうに思います。 星野部会長  ありがとうございました。他にどうぞ。山本委員どうぞ。 山本委員  浅野委員のお話ですが、地方から見るとまさにそのとおりだと思います。ところがこ の厚労省案は、私ども地方が出した案と全く別個のものがでたわけです。だけどそれが 悪いという理由はないのです。なぜかといいますと、協議の場ではじめから代替案を各 省庁に求めるということになっているわけです。ですから代替案として、この厚労省は 国保と生保という代替案を出してきたのです。その出す根拠については我々説明があり ませんからわかりませんけれども、代替案として出されたものであって、それが政府と 与党との協議の結果、国民健康保険についてはこういうふうにしていこうということで なったわけです。  さっきのお話のように総務省と厚労省の案がございます。それは確かにそのとおりで すが、課長の説明はそういうことを言わなかったですけれども、私どもから見るとどう やら総務省と厚労省の案を折衷したようなものになっていると思います。例えば、厚労 省としては医療費の負担についていくらかでも地方は負担すべきであるという考えで す。片方は、そういう直接なものを負担するのでなくて、助成的な補助的なもののいわ ゆる負担をしていくというやり方のほうが望ましいと、そういう意見の相互の考えの違 いがあったのですが、この2つを折衷したのが今言われている改革の案だと思います。  いまのところ、では具体的にどういうふうにしますかということが決まっていないの です。私どももわかりません。ただ、このようにしますということだけを言われたもの で、今日出されているようなきわめて大雑把なものです。私は、そのときには協議の場 で質問もしましたのですが、あるいは要望もしました。これではわからないと、中央で これを実施をしていく上でどうしたらいいのか、どうなるのかというのがまったくわか らない。ですから、できるだけ早く、今日出されたこの政府案について、こういうふう にやっていきますよという具体化したものを地方に示すべきであると、これを早くやっ てくださいとこういうことを要望しておきましたが、当然それはやるべきだということ で向こうの返事は返ってきました。  ですから今ここで先ほど言われておりますように、国保というのはきわめて大事な制 度の一つでございますから、質問あるいは意見がでるのは当然だと思いますけれども、 案そのものに対しては厚労省として代替案として出されたものであるから、ルールに間 違っているということはいえないと思います。ただ、その代替案を出すときにどういう 根拠で出したかということについて、やはりある程度説明をしておく必要があるのでは ないでしょうか。私どもはもちろん知りません。どういうことでこういう案を出したの かということがわかりませんので、そういう説明はすべきではないかとそのように思い ます。  同時にまた、いずれこの予算化をしていくことになるわけでしょうから、具体的なも のがこれから予算の上で乗っていくわけですから、いずれにしてももう今頃はだいたい 具体的にわかっていなければならないと思いますので、説明を拒む必要はないような気 もしますのでどうぞそういうつもりで説明をしてくださるよう、私からも要望しておき たいと思います。  ただ国保については、私どもいつも思うのですが、市町村が保険者になって今日まで 来ました。確かに市町村だけでは、保険者としては披瀝なところがたくさんでてきてい ます。課題も多いのです。だから私は同じ中央なら県もこの中に入るべきである、介入 すべきであるというのが私の見方です。ですから、今度の一つのきっかけとして、県も 保険者の側に立つべきであるというふうに考えておりますので、これを理解をすること こそ大事ではないだろうかと思います。そのためには、厚労省側がどうしてこういう案 を提案したのだという説明を十分することが必要ではないかと思います。  もう一つ申し上げるならば、これは行政的に事務的に出された最終的な案ではないと 思うのです。これは政治決着なんです。だから政府と与党との間で合意をして、そして 出されたものでありますから、事務的に処理をしてそしてこのように出したのだという ものではなく、言うならば政治的な決着で出されたものであると。これが今の日本の国 の在り方とするならば、我々としてはやむを得ないという考えでこれらを受け止めてい るところでございます。そこらあたりも含めて御検討いただければなというふうに思い ます。以上です。 星野部会長  ありがとうございました。他に御意見ございませんか。それでは、質問の事項につき ましてはこのへんで打ち切りまして、次に残りました提案の問題はいかが取り計らいま すか、今、山本委員が政治決着だから別に提案まで行かなくていいというニュアンスが かなり響いて私には聞こえたのですが、それから対馬委員も20時とおっしゃるけれど18 時、さらにできれば促進という形からいけば促進の一里塚かもしれないというふうに取 れるようなご発言のように思えたのです。久保田委員のは、ちょっと私非常にお悩みに なっていて、どちらを向いていたのかよくわからないのですけれど、もし補足があれば どうぞ。 久保田委員  お気持ちはよくわかりますが、この中で決をとるようなことはしたくないと思いま す。 星野部会長  今度はすっきりしました。他ございますか。どうぞ。 浅野委員  また改めてもう1回認識をしていただきたいのです。山本委員が非常に物分りのいい ご発言をされて、今までの元気さからいうとちょっと奇異ですけれど、まず案の内容は いいです。私もこの審議会委員として、国民健康保険がどうあるべきかという中で県の 役割といったら今までのように「知らない、全部市町村がやればいいんだ」というので は済まないでしょうというのは十分認識をしております。だから委員に加わって、国民 健康保険制度を財政負担も含めどういうふうにしていこうかということを真摯に検討し ていたと自分自身も認識していました。まだ3合目ぐらいです。そこから急にヘリコプ ターでポーンと上に上げられたようなものなのです。内容というのは一応、ものすごく 不満ですけれども、一応置いといて、ただ置いておくときに今回やっぱり16時発も18時 発もいいのですが、ぜひそれは忘れてはならないのは「地方分権号」と書いた列車なの です。「国民健康保険抜本改正号」ではないのです。  それからもう一つ、今保険局長が明確におっしゃった、これ恒久案だと。これは重大 なことです。恒久案だとすれば、それを政府与党決着でずっと上のほうで決められた と、それでこの恒久案でいくのだとなると、この審議会はなんでしょうか、私も含め皆 さんなぜここに座っているのですか。17年度予算はこれで行ってしまうのです。それ は、私は結論としてそれをひっくり返せるかどうかは別としても、黙っていては審議会 一般としてこの部会に限らずこれはなんなのですかと、これからもこういうことをやる のですかと、本当は席を立って帰るべきです。ちょっと激しく言えば、こういうことが あるのだとすれば、そうじゃないですか、とういうことでちょっとお諮りをして、今回 の国保改革の方向どうのこうのって、これそういうことを今ここでいう場ではありませ ん。これは私は列車の本当に正しい列車が来るまで待ってそこに何を入れるかというこ とを、ここで真摯に議論すべきなのです。そのことを言っているので、サブスタンス、 中身については言いません。手続きです。手続きとしてこの審議会は、医療保険部会は やはり一言遺憾の意を表すべきではないでしょうか。そうでなければこれはやっていら れないです。部会長どうでしょうか。 星野部会長  山本委員どうぞ。 山本委員  審議会のルールの中で、今のようなことは書いてあるのですか、要綱か何かあるでし ょう。この審議会の、こういうことでやりましたと、その中にどういうことが書いてあ るのですか、今のようなことが書いてあるのですか。決めてあるのですか。 星野部会長  はい、どうぞ事務方。 間杉課長  この審議会は、昨年3月に閣議決定をいたしました基本方針に沿って、今後の医療保 険制度改革をどう進めていくか。それは、一つは保険者の再編・統合の問題、それから もう一つは高齢者医療制度の問題。そこを中心にご議論をいただくというふうな設定で お願いしてございます。 星野部会長  どうぞ、河内山委員。 河内山委員  浅野委員がご発言になったことについて、再度私も意見を申し上げます。私も厚生労 働省の方々にこういう案を出すのはけしからんという意味合いのことは全然思っており ませんし、申し上げるつもりもございません。同じく、尾辻大臣がそういうふうに国・ 地方の協議の場で、山本会長がご出席になったのだろうと思いますが、逆に提案をされ た。それも別に尾辻大臣のやり方がおかしい、こういう意味合いでもありません。浅野 委員が、この審議会として、どうこのことを受け止めるかというお話を問題提起をされ て、私はそのことについては同感なのですが、どうも審議会でこのことを物申しまして も本丸であるやはり総理が地方案はまとめてきなさいよといわれて始まったことですか ら、そこへ伝わっていかないことには、なんらこの分権の推進についての政府・与党の 一番トップリーダーがその気にならなければこれはうまくいかないことなのです。です から審議会や部会としてこのことを云々してもどういう効力があるのだろうかなという のは、別の意味合いで思っています。  しかし浅野委員が言われたように、審議会としては審議中で、真摯に議論しているの にちょっと全然別のやり方で物事が進んでいくということについては、委員の方はやは り決議をされるかどうかは別としまして、残念だと思われる部分がゼロということでは ないのではないかなと思うのです。その取扱いについては、やはり最終的には部会長に お任せをする以外にありませんけれども、そういうふうに色々なところで同じことが起 こっているかもしれませんけれども、政府一体となってこれをやっていこうといったと きに、そういう若干のずれが色々なところで起こっていることについては、幹部の方、 最終的には総理によくご承知おきをいただきたいなという思いでございます。 星野部会長  ありがとうございました。それでは、私の感じを申し述べさせていただきたいと思い ます。  河内山委員が第1番目の発言で言われましたように、この部会というのは全体を検討 して、その中で今回の問題もはじめて位置づけがすっきりするのだということを言われ ましたが、私もまったくそのご意見に基本的には賛同するのです。片や対馬委員が言わ れたように、まあ早くできる話ならいいんじゃないかと、これは内容にもちろん関わり ます。関わりますが、というのも一つの形式のようにも思える。この改革を進めるにつ いてです。そういう意味では、浅野委員のお気持ちというか、さることながらむしろき ちんとしたお立場だと思うのです。それもまた非常に尊重されるべきものだと思いま す。私のは感情がこもっているのですけれど。  したがいまして、ここのところはこのような裁きをさせていただきたいと思います。 ただ、当然これ議事録にきちんと載り公開されますから、どなたも見ていただければわ かります。今日のご議論、浅野委員のかなり詳しいご説明もわかるわけであります。同 時に局長にお願いしたいのですが、浅野委員からかくかくしかじかのご意見がありまし たと、正確に大臣に伝えていただきたい。大臣にこういう意見があって、それからもち ろん他の委員からの発言も平等でございますから、こういう意見もありましたと。浅野 委員のご報告については、かなり細かくご報告は責任を持ってしていただきたいと、こ ういう裁きにさせていただきたいと思いますが、これはよろしゅうございますかという よりはそのように黙認していただきたいと思います。よろしくお願いいたします。  それではありがとうございました。次の議題がございますので、次にまいりたいと思 います。いわゆる混合診療の問題について議題としたいと思います。それでは事務局か ら説明を願います。 麦谷課長  医療課長でございます。それでは、お手元の資料2−(1)、2−(2)という2つの資 料、主に2−(1)という3枚紙でご説明を申し上げます。資料2−(2)は、参考資料でご ざいますので、適宜その中にこういうものは入っているということを申し述べますの で、あとでお時間があるときにご覧いただければと思います。  それでは資料2−(1)、いわゆる「混合診療」問題についてという3枚紙のものをご 覧いただきたいと思います。  我が国の医療保険制度の基本的な理念というのが書いてございますが、これは現状で ございます。  現状は、「保険証」わかりやすく保険証と書きましたが、「被保険者証を持っていき さえすれば、基本的に一定の患者負担のみで必要かつ適切な医療が受けられるようにな っている。」というのが現状でございまして、これをさらに詳しく説明いたしますと、 必要かつ適切な医療は、基本的に保険診療により確保。要するに被保険者証を1枚持っ ていけば、訪れた医療機関で治療が完結する。余計なことを考えなくてもいいというこ とでございます。もちろん医療機関によっては、さらにその大きな病院へという紹介と いうことはございますが、基本的には被保険者証でその疾病がすべて治るというような ことを想定して保険診療というのは仕組まれているということでございます。  それからその中での費用負担でございますが、これが健康保険法で一定の患者負担、 現在であれば3割負担、これ以外のいわゆるキャッシュによる負担は禁止されておりま すので、これが俗にいう「混合診療の禁止」といわれているものでございます。また、 健康保険法で規定する患者負担以外の負担をとってはいけないといった法的な構成につ いては判決がございまして、それでいいという判決がございますので、現行法は全く問 題ございません。ただ、こういうことでは、日進月歩する医療技術になかなか対応でき ないのではないかというご指摘がございまして、昭和59年に例外を2つ設けさせていた だきました。それが特定療養費ということで、その下に保険のほかに追加的な費用を負 担して高度な医療を受けたいと、技術を含めてです。さらにその下に、保険のほかに、 追加的な費用を負担して個室に入りたい。これは1つの例でございますが、それぞれ2 つ昭和59年に設けさせていただきました。上のほうが、高度先進医療という名前で新し い技術を行うもの。それから下のほうが、いわゆる選定療養と呼ばれているもので、こ こにも書いてございます個室あるいは歯科の合金のようなものをこれで設定いたしてお ります。高度先進医療につきましては、参考資料の4頁、選定療養につきまして参考資 料の5頁に掲げてございますのであとでご覧いただきたいと思います。  このような特定療養費制度によって、患者から一定程度の負担を取ってかつ保険診療 を行うというのが昭和59年にできたわけでございますが、これが保険診療と保険外診療 のミックスということで、これをさらに拡大しようというのが今のご議論でございま す。  それを3つ絵にしたものが1頁の下に書いてございます。一番左が今の保険診療の原 則で、これは一部負担金以外の患者負担はございません。それから一番右がいわゆる美 容整形ですとか、全く根っこからの自由診療ということで全額自己負担になります。た だ、保険といいますか、診療行為全体のシェアからいきますと、保険で行われるものが 31兆円、自由診療自体が1兆円程度ということでございますので、圧倒的に診療という ことあるいは疾病の治療ということであれば保険ですべて賄われているといっても過言 ではございません。そしてその真ん中にある特定療養費制度で、一部自己負担を含む保 険での給付に少しお金を上乗せして新しい技術あるいは差額ベッド、個室といったもの が入っているというのが現状の説明でございます。  1頁めくって、それでは何を世の中で騒いでいるのかということでございます。規制 改革・民間開放推進会議の主張が書いてございます。これはまとめでございますので、 規制改革・民間開放推進会議が主張している文言そのものは、参考資料の7頁とそれか ら事例につきまして、このようなものを解禁するのだという事例につきましては参考資 料の8頁にa、b、c、d、と掲げてございますので、あとでご覧いただきたいと思い ます。  それをまとめますと、保険診療と保険外診療を全面解禁しようとこれが今世の中で言 われていることでございます。全面解禁というのは、要するにサービスを限定しないで 解禁しろということでございます。先ほどご説明申し上げましたように、今の特定療養 費ではサービスは限定しておりますので、そこを解禁しろという説明でございます。し かし、これを無条件で解禁すると、併用されるサービスに全く限定がなくなりますので 患者の負担が不当に増大する。それから安全性、有効性についてあらかじめ確認されて いませんので、そこを誰がどう担保するのかといった問題がございます。それから(3) の、保険からのお金が保険者の了解していない医療にまで支払われる。これはちょっと 難しいのですが、要するに今の健康保険法というのは、国民から等しく保険料の形で集 めてそれで保険給付が行われているわけでございますが、そこに例えば日本の一部でし か使うことのできない技術が入って、それを使うためにその人がお金を払えばいいので すが、その残りのものについてはそのサービスを使うことのできないエリアにいる方 々、例えば東京と大阪でしかその技術がないということでありますと、そこにアクセス できない人も保険料で残りの医療を賄うといったことが生じるということが、ちょっと わかりにくいことですが、保険からのお金が保険者の了解していない医療にまで支払わ れるという説明でございます。  したがってこういうような条件といいますか、問題が生じるので適正なルールが不可 欠であるというのが私どもの認識でございます。それを絵にしましたのが左側「混合診 療」の無条件解禁、サービスの無条件で医療機関まで無条件とは言っておりません。サ ービスの無条件解禁左側にございます。それから今の特定療養費制度は先ほどご説明を 申し上げたとおりでございます。  そういったものを論点としてまとめたのが3頁でございます。これは敢えて表にして ありますので、多少わかりにくい面がございますが、四角で囲ったマトリックスのとこ ろに法定外の患者負担、有効性・安全性、主要サービスに係る保険者等の関与というこ とで、上のほうが規制改革・民間開放推進会議が主張しているサービスの制限のない項 目でございます。それで法定外の患者負担も上限がない。私ども現行は今使用サービス に限定がございます。有効性・安全性は、上のほうは事後でいいと、患者と医師の相対 で納得して行ってダメなものは後からチェックしていけばいいという事後検証。それか ら私どもでは、それは有効性・安全性は事前にチェックさせてくださいというふうに考 えております。  こういったことについて法定外の患者負担で、例えば今保険診療と保険外診療で、保 険外診療を一部でも行ったら根っこから払えといわれて、それは行き過ぎではないかと いう話がございます。それに対しましては、そういったプラスαの診療というのはそも そもそれほど頻繁に起こるはずがない、例外的な事例であってそういったものに保険診 療全体で負担するのはいかがなものかという主張がそこに書いてございます。  それから有効性・安全性も、事前にやはり有効性・安全性を確保したものでない限り サービスの提供で患者から負担金を取るというのは、やはりなかなか国民の納得が得ら れないだろうということで、例えばそうは言っても海外で承認されている医薬品の使 用、それを国内で承認されていない医薬品のことですが、不合理ではないかというよう なご指摘がございましたが、これは既に現行の特定療養費制度で十分に対応しておりま すので、個別のケースおそらく色々なケースがあると思いますが、基本的には今の制度 で対応できております。  それから規制改革・民間開放推進会議が主張されている一定水準以上の医療機関であ れば、サービスを制限する必要がないのではないかと、自分たちで管理して無制限なサ ービスを行うはずがないという前提でございますが、その一定水準の医療機関をどこで 線引きするのだというのはなかなか難しいと私どもでは思っておりまして、例えば一定 水準以上の医療機関の典型である大学病院も、今事故が多いとか色々な事例がございま すので、必ずしも線引きは簡単ではないとこのように考えておりまして、特定療養費制 度充実あるいはさらに発展させて編成替えをすれば十分対応できるのではないかという ことで私ども主張しています。以上が、今いわゆる「混合診療」にまつわる議論でござ います。 星野部会長  どうもありがとうございました。それでは、ただ今のご説明に対しまして、ご意見、 ご質問等ありましたらお願いいたします。どなたからでも結構でございます。どうぞ、 山本委員。 山本委員  お尋ねしますが、混合診療をやるからという意味でこれを提案しているのですね。ど っちですか、今から考えてくださいと言っているのですか、それともこれをやりたいか らということで提案しているのですか。どっちですか。 麦谷課長  私どもは、いわゆる「混合診療」につきましては、総理から年内までに結論を出すよ うにといわれておりますので、ぜひこの部会で御議論いただいて方向性を示していただ きたいと思っております。 山本委員  国民皆保険といって保険をみな作っていった。これが国保の生い立ちなのです。なぜ そういうふうにしたかというと、医療を受けられない人がたくさんその当時はいたわけ です。誰もが平等に医療を受けられるようにしようという考えですから、これはずっと 国民の間に広がっていったことはご承知のとおりです。そして、いまだに医療そのもの はどんどん進歩していきました。医学も技術も進歩したことは誰もが認めるところで す。ところが医療保険だけは、あまり進歩しないのです。だからさっきのような保険に ついては、いまだに大きな課題を抱えたまま今日に来ているわけです。だから、私はこ ういう混合診療をやるという、何を根拠でそういうのを言い出したのか全く理解できま せんが、それよりももっと保険制度をかちっと磐石なものにすることが先決だと思いま す。それを混合診療にするというのは、例えば薬でも医療機械器具でも全部認可をされ ないと使えない。この場合混合診療をやりますと、自分が独自でこしらえた機械があ り、器具があり、薬があったとしますね、こちらには届けていないもちろん認可もいた だいていないと、そういうものまで使えるようになってくるのですよ、こういうことを やると。これが私の独自の、いうならば保険外の治療です。最も優れた治療でこういう 患者には最大の効果を現しますとこういうふうに言えば、その通り筋がとおるじゃない ですか。だから混合診療なんてどこからでてきたのか、全く理解できません。 それかといってここに書いてあるように、総理もやれ、前の大臣も今の大臣もやれやれ というのですから、自分たちが病気をしないからこんなことを言うのです。病気になっ ている人がそんなこといわれて、みんなお金持ちが、例えばこの前の医療保険部会で私 は申し上げた。東京で透析をやると60万かかるというのです。これは高度障害の人たち も認めました。なんで透析をやるのに60万も金を払わなくてはならないのですか、でし ょ。ところがそういうことをやるものですから、透析をするそこの医院は数が少ないと しますから、結局お金のない60万円払えない人たちは行けないのです。治療が受けられ ない、そういうことを現実に去年までやっておったのではないですか。そういうことを 考えていけばまだまだ課題はたくさん抱えているということです。もう少し、医療その ものが国民の中にきちんと定着し浸透していく。そしてこういうことが新たに考えるが どうかというならわかるけれども、不安定なときにこんな新たなものを出してきたのは いかなる根拠かまったくわかりません。お前も一緒に賛成したじゃないかといわれた ら、たまったものではありませんから。私は反対です。 星野部会長  松原委員。 松原委員  山本委員のご意見もごもっともでございまして、この混合診療は国民皆保険にとって 不要なものでございます。そのとおりでございます。  国民皆保険制度ができたこれまでの生い立ちを考えれば、国民みんなが平等に最高の 医療が受けられるというこの世界に冠たるシステムは、絶対に維持すべきだと考えま す。この維持すべきというのは、必要でかつ十分な制度を維持するということでござい ます。今回規制改革会議は、この中でいくつかの問題点を持ち出して、そして全体つま り国民皆保険制度の崩壊をさせるような手段をとるべく主張をしております。  例えば、高度先進医療につきましても自由にさせろとおっしゃいますが、現時点にお きましても特定療養費で高度先進医療は安全性、有効性がほぼ確立されて、一般にまだ 普及されていないのをきちっと行える制度がございますし、また保険の中で回数制限が あるピロリの問題、腫瘍マーカーの問題など実際のところは議論をすれば問題なく保険 で適応できる可能性もあるわけでございます。さらに新薬につきましては、新しい抗が ん剤、安全性・有効性が確立されれば厚生労働省も今申し上げていますように、速やか に治験というシステムをとおして必要とする患者が使えるような方法があるわけでござ います。ただ問題はそのスピードが、非常に審査に時間がかかるという点におきまして は、改定する余地があると私どもも考えますし厚生労働省も考えているようでございま す。  そのような全て解決できるようなものであるにもかかわらず、なぜ混合診療を導入す るのかということを考えますと、どう考えても規制改革・民間開放推進会議は私的な保 険を作ってそこのところでこれから増える医療の分を利益に結び付けたいと考えている としか思えません。今、山本委員がおっしゃいましたように、やはりこの国民皆保険制 度の成り立ちから考えれば、それを守っていくべきではないでしょうか。以上でござい ます。 星野部会長  事務方どうぞ。 間杉課長  私どもが、今日ご議論をお願いした趣旨をお話をしなければならなかったのでござい ますけれども、実はこういうふうなものを無条件で解禁しろといっているのは、私ども ではなくて規制改革・民間開放推進会議側でございます。私どもは、やはり日本の医療 制度というのは公的な保険を中心にきちんとサービスを確保していくべきだという立場 から考えますと、無条件にこういったものを解禁していくということに対しては、私ど もは率直に申し上げれば反対だというふうなことでございます。  この問題、今中医協で特定療養費の在り方というふうなことで一生懸命ご議論いただ いていますけれども、裏を返しますとこの問題は公的な医療保障としてどういうふうな サービスを確保していくべきかというふうな問題かとも思いますので、非常に今ホット な議論になっておりますので、ぜひ今日機会をいただいて当部会の委員の方のご意見を 聞いてみたいということでお願いしたわけでございます。 星野部会長  久保田委員、どうぞ。 久保田委員  ありがとうございます。この医療保険問題だけではなくて、規制改革・民間開放推進 会議発の様々の問題が、私ども労働組合の立場からすれば大変に問題があると思いま す。今のマスコミの取り上げられ方や報道のされ方等々、また報道で伝わってくる小泉 首相の指示等々から大変懸念をしておりまして、前回のこの部会の最後でも医療保険そ のものの在り方に関連をするので、ただ見過ごしておいて、後回しにならない議論を、 やはり釘をさしておく必要があるのではないかという意味で発言をさせていただきまし た。したがいまして、結論的に言えば私どもは混合診療の解禁については反対でありま すし、現在の特定療養費制度の運用については、もちろんその中にはより迅速化した り、患者の声にしっかり耳を傾けたりという必要な部分はあるかもしれませんが、あく までそれは現在の特定療養費制度の運用で対応できるし、対応すべきであるというふう に考えています。  患者の安全性の問題、あるいは医師の裁量が無制限に拡大するおそれはないのかと か、あるいは結果として患者が負担する費用は増大するおそれがあるというふうに考え ていますし、いつでも、どこでも、誰でも、安心して医療を受けられる国民皆保険制度 をしっかり堅持していかなければならないのではないかと思っています。  ただ、混合診療の定義とかイメージとかいうことについて大変混乱をしている、普通 の患者といいますか市民といいますか我々でいえば組合員がマスコミを通じて知る情報 というのが、かなりイメージの混乱を招いているのではないかという感じがいたしま す。本来、保険医療とは関係のない行為をはっきりさせて、混合診療とならない範囲を しっかり示す必要があるのではないかと思いますし、そういう意味では、「情報公開と 周知」を改めてやる必要があるのではないかと思います。これは一例ですが、現在の特 定療養費制度の運用についても例えば差額ベッド代の料金について、緊急の場合は治療 上の必要性から個室に入った場合は差額ベッド料金は請求してはならないということに なっているにも関わらず、実は取られたという相談があったりしたこともあります。こ れはもうレアケースかもしれませんが、やはり現在決められたルールが必ずしも周知徹 底されていない、あるいはイメージが混乱しているということの中で断片だけとらまえ て、世論が作られていくということについてはしっかり歯止めをかけておく必要がある のではないかと思います。  特定療養費制度の運用にあたって、患者が理解できるような情報公開と安全性の確保 が何よりも重要であると思っていますので、そのことを確実に実行することも含めて申 し上げておきたいと思います。以上です。 星野部会長  齊藤委員どうぞ、お待たせしました。 齊藤委員  今、久保田委員がおっしゃいました混合診療についてのイメージを正しく周知すると いうことについては、我々、日本経団連も一緒ですが、ただ我々は規制改革要望の中で いわゆる今議論されております混合診療の容認を求めてまいっております。その理由と いたしましては、一つは我々のライフスタイルの変化などによりまして、医療に対する 国民のニーズの多様化、高度化しているにも関わらず、今の医療に関する諸制度は、そ れに対応しきれていないというふうに考えております。そこで国民の医療に対するニー ズが満たされる、あるいは医師の方や医療機関がもっと積極的に質の高い医療を提供で きるような環境に変えていくべきだと考えています。  その際には、今の日本の高度な情報化社会におきまして、国民が様々な手段で情報を 得られるという状況を勘案すべきであると考えております。このような社会の状況にお いて、さらに医師の方とか医療機関によります情報の公開が進めば、そして透明性を確 保した上で、患者のいわゆる自己責任による自分自身の医療の選択の自由を実現すると いう視点を大事にすべきではなかろうかと考えております。また、今の日本の平均寿命 等が世界一というのを考えますと、国民全員の保険制度というのは、ある一定のレベル に来ているのではなかろうかと考えております。ぜひ進めていただきたい。 星野部会長  ありがとうございました。漆畑委員、それから河内山委員、順に行ってください。 漆畑委員  混合診療に関しては松原委員、久保田委員のお話でたぶん言い尽くされていると思う のですが、齊藤委員のほうから混合診療を進めるようにしてほしいということでお話が ありましたので、もう少し深堀りしたいと思います。  概念的なお話で、今の保険医療制度が進んだ医療の仕組みに追いついていないとか、 あるいは国民や患者さんのニーズが多様化しているという概念的なお話は必ずしも否定 するのではなくて理解できなくはないのですが、その上でたぶん混合診療を容認という 言葉をおっしゃいましたが、容認をしたいというその規制改革・民間開放推進会議など の具体例というのが、お手元の資料2−(2)の8頁にご提案をされたのだと思います。 abcd、要するに今のここに載っているものが齊藤委員のお話を具体化するとこうい う内容というふうに私ども理解をしているのですが、具体的に提案していただいたもの を見る限りは混合診療というそういう仕組みを新たに導入するというか、あるいは今の 保険制度を変革するようなことをしなくても、患者、あるいはこの医療を必要とする方 に全部提供できるものばかりで総論で一般的に言われているようなことと、それからこ の各論は全く私はマッチしないと思っております。  専門家がいらっしゃいますので、私から言うのはちょっと恐縮ですが、例えば話がわ かりやすいように一例お話しさせていただきます。cの患者の価値観により左右される 診療行為というのがございます。そのポツの2つ目でありますけれども、舌癌摘出後の 形成術ということで、舌癌に罹患された患者さんの患部を外科的に摘出して舌の形が元 通りでなくなると、食べられない、喋れない、味覚もなくなるとか、長く放置すること がもしあるとすれば顔面神経の影響で顔の形も変わってくるようなこともあり得るわけ であります。例えばこれを混合診療でということでご提案があったと思うのですが、た ぶん松原先生もそうだと思うのですが、私から言わせていただければ、これは混合診療 でなくて保険診療の中で、癌というその病気にかかられてそこを外科的に処置したわけ ですから、元の舌の形にするまで保険で診療しないのがおかしいわけです。なぜこの部 分だけが、患者の価値観とかあるいは患者の希望によってするということは全く理解で きない話だと思います。  そういうことで、ここに並んでいるものを見てもどれをとっても、総論でお話が今一 般的で言われているような混合診療を言われている方がおっしゃるようなこととこの各 論は全く結びついていないわけであります。ただ1点、松原先生がおっしゃるように、 そういう高度先進的な医療とか新しい医薬品を保険で適応できるようにスピードを上げ るということであれば、それは今の制度を議論すればいいことであって、十分解決可能 だと思いますのでいずれにしてもそれをもってして混合診療容認という議論では、私は ありえないと思っております。 星野部会長  それでは河内山委員、そのあと岡谷委員。 河内山委員  私は今、山口県の国保連合会の理事長という仕事をしております。審査、支払いをや っている機関です。時々、高額療養費というよりも、超高額療養費というものについ て、これはもちろん非常にたくさんレセプトがあるのですが、一体全体どんなものが超 高額療養費なのかということを参考までに教えてもらうことがあります。そうすると、 被保険者というか診療を受けている方も年齢もさまざまです。若い方もおいでになれば 年配の方も熟年の方もおいでになります。先ほど、情報が十分に公開をされみんなよく わかるようになれば選択が可能ではないかというお話ですが、やはり医療の分野という のは情報の非対称性といわれることがよくありますが、そのとおりのことが現在の保険 医療の中でも、保険診療の中でもありえるわけです。そうしますと、どんなことを色々 と選んで自由にやれますよということが本当に患者の利益につながるのかどうか、そう いうことを本当に考えていくことは現実の問題としてレセプトなどを見ていますと思い ます。  わかりにくい話ですけれど、すぐさま混合診療、これを解禁するという時代にまで私 は来ていないのではないかというふうに思っています。 星野部会長  岡谷委員、お待たせしました。 岡谷委員  私もこの混合診療の議論の中で非常に気になる部分が1点ございました。看護の立場 から述べたいと思います。国の基準を超える医師とか看護師等の手厚い配置に対して、 そこを混合診療でということですけれども、私たちはやはりこれが診療行為に付帯する サービスという形で人員の配置が考えられているということについては非常に懸念を覚 えます。まさに、医療とか看護というのはやはり人の手があって始めて質も高くいいも のが提供できるという部分がありますので、こういう人員配置を付帯サービスとして位 置づけることの不自然さといいますか、そういうものが非常にあると思います。  アメリカの研究などでも看護師の配置と入院患者の病院内での死亡率や術後合併症の 発生率には関係があるという結果が出ております。常時4対1の場合を100とすると、 常時8対1になりますと31%ぐらい患者の死亡率が上がるという報告がありますので、 私はやはり看護の配置というのは、患者の安全ですとかあるいは速やかな回復、生命を 守るといった入院患者の安全、安楽ということの基盤になっているというふうに思いま すので、基準以上の配置に対して患者がお金を払うというような、そういう考え方につ いては不公平感がでてくるということで容認できないと思います。 松原委員  今、齊藤委員から情報の高度化また公開、透明性が大事であると、私ども全くそのと おりだと思っています。これからの時代はとにかく情報を開示して国民の皆さんにそれ を判断していただけるような形にしていかなければならないという点は全く同じ意見で ございます。ただ、一定のレベルの状態、トップレベルの状態であるから、だから様々 な他のこととおっしゃいますが、私どもは現在この混合診療を導入するとどうなるかと いうことを考えたわけです。なぜ日本の国が世界でトップレベルの状態にあるのかとい うところに戻って考えますと、やはり国民皆保険制度によって誰でもが最高の医療を受 けられるからこそトップレベルにあるのだと考えています。したがいまして、混合診療 導入してお金のある人しか一部の医療が受けられないような形にしたときには、当然今 の我々の持っている世界に冠たるシステムの長所が失われてまいります。したがって一 定のレベルにあるから混合診療を認めて自由度を増やせ、そしてそれを行うべしという 考え方は私どもは同意できません。一定のレベルにあるのは、あくまでも今のこの制度 があるからこそ一定のレベルにあるのだと思っております。  具体的な例でいえば、英国のように非常に先進国でございますが、種々の医療制度の 改革によって手術なども6ヶ月も待たなければならないような状態になっております。 中には癌の手術が手遅れになっている例もあると聞いております。そのような形にして 良いのか、また先ほど申しましたように、みんなが平等に受けられる制度をやはり維持 すべきと思います。例えばあるものを取るのに台を使って取るわけですが、その台が公 的な保険といたしましょう。ある一つのものをお金がある人たちだけがその目的に、そ の台の上に乗って手に入れることが本当にこれが平等なのかと考えます。ある地方だけ の一定の例えば大阪とか東京といった人たちがそれを受けられて、他の地域の人たちが 受けられないような制度が正しいのかどうかという今議論がございました。そのような ことまで考えますと助け合いの精神に基づいて作っているこの冠たる制度を一部の人 の、つまりお金をだすことができる人たちだけが特別な医療ができるような制度に変え ることはやはり間違っているのではないでしょうか。以上です。 星野部会長  齊藤委員どうぞ。 齊藤委員  我々が今思っていますのは、先ほど言いましたように医師の方とか医療機関の方は当 然患者のことを考えて、適切な指導をしていただけるというのが大前提になっておりま す。先ほど漆畑委員からおっしゃいましたように、色々それは営利を目的とする人たち もいるかもわかりませんけれど、そういうことを言い出すときりがないので、我々は今 の医師や医療機関が性善説に立って、さらに色々な自由なことがあってもいいのではな かろうかと考えているわけです。医師の医療制度が規制されているので、もっと規制を 緩和し、もう少し競争原理が働くようにして、病院も色々そういう中で選ぶことができ るようにすべきです。今でも有名な医者にかかろうと思えばなかなかかかれないという 現状もあるわけですから、果たして、松原委員からおっしゃったことについてもある程 度現状だってそうですよというようなところはあろうかと思います。 星野部会長  ありがとうございました。北郷委員。 北郷委員  医療課長にお伺いしたいと思います。通訳というのは、頼むと混合診療になるのです か、予防接種も同じですか。 麦谷課長  個々のケースによって違うかと思いますが、まず通訳は基本的には保険診療と保険外 診療のミックスの対象にはならないと考えております。要するに通訳というのは、診療 行為ではないということでこういう議論の対象にならないものと、外にあるものと、つ まり患者から払ってもらっていいと考えております。 北郷委員  この資料は、誰が作ったものですか。 麦谷課長  これは規制改革・民間開放推進会議の紙を誰が作ったかは、私どもにはわかりませ ん。 北郷委員  これが当たるのかどうかというのは、もう少し明確にすべきだと思います。 麦谷課長  はい、ご指摘の8頁の混合診療が容認される具体例というのは、これは規制改革・民 間開放推進会議が作ってきた例でございます。 北郷委員  通訳などが混合診療になるとは思えないのですが、違うのですか。 麦谷課長  通訳が混合診療の対象になった事例が、過去においてはあったということでございま す。 北郷委員  およそ保険給付の対象ではないものです。それからこの前、西村委員がおっしゃって いましたが、予防事業というのは保険給付の対象に今なっていないということがはっき りしているのではないでしょうか。 麦谷課長  おっしゃるとおりです。いわゆる健康診断とか集団予防接種などもちろん混合診療の 対象になっておりません。 北郷委員  それからさっきおっしゃっていた看護師の手厚い配置とか、こういうものも関係ない 話でしょう。サービスがよければ競争が許されるのです。ただ、請求ができないだけで すね。 麦谷課長  看護師の配置につきましては、私どももこれは医療の範囲内のことであっていわゆる 保険診療、保険外診療の併用の議論の対象ではないと思っております。 北郷委員  私が申し上げたいのは、さっき河内山委員がおっしゃったように何か議論がはっきり しない、もう少し明確にすることが必要なのだと思います。今、中医協で議論されてい るのは、ちょうどそういう話がでているのじゃないでしょうか。 星野部会長  おっしゃるとおりです。それでは、この件について議論をしだすという議論があろう かと思いますが、ご意見としては十分色々と承った気がいたしますので、次に移りたい と思います。  次に、介護保険制度改革の検討状況について議題にしたいと思います。本日は、老健 局にも御出席いただいておりますので、老健局から説明をお願いいたします。 渡辺企画官  老健局の企画官の渡辺でございます。それではお手元の資料3−(1)に沿いまして、 時間も押しておりますのでできるだけ手身近にポイントを絞って御説明をしたいと思い ます。  まず1枚目をおめくりいただきたいと思います。介護保険制度改革全体のスケジュー ルでございますが、ご案内のとおり介護保険制度は平成9年に成立をしまして、平成12 年4月からスタートをしておりますが、法律の附則の中に施行後5年後に制度全般にわ たる見直しをするということが宿題として規定をされております。来年平成17年は、そ の5年後の見直しの年ということで、この制度改正についての議論を進めているところ でございます。具体的には、社会保障審議会介護保険部会を昨年の5月に設置をいたし まして、ここで議論をしております。今年の7月30日にこの部会としての報告を取りま とめまして、今日お手元に配布をしてございますけれども大きな方向性については介護 保険部会として方向性をお出しいただいております。  ただ1点、被保険者・受給者の範囲という、これも施行時からの大変大きな問題でご ざいますが、これについては7月の時点では結論がでておりませんで現在も審議を継続 しているという状況でございます。全体としましては、こうしたことを受けまして平成 17年の通常国会に法案を提出するということで、具体的な作業を進めております。介護 保険は3年1期のスケジュールで動いておりますので、平成18年4月から各市町村にお いて事業計画の見直しや1号保険料の見直しが行われるというようなスケジュールにな ってございます。  2頁からは、簡単に介護保険制度の実施状況をご紹介いたします。まず介護保険制度 がスタートいたしましてから要介護認定を受ける方というのが大変増えております。こ の右のグラフをご覧いただいてもわかりますように、施行後4年間で80%増ということ で隣にございます被保険者数よりもはるかに上回っているということで、スタート時に は概ね10人に1人が要介護認定を受けていらっしゃるという状況でございましたけれど も、現在は6〜7人に1人が要介護というような状況になってございます。  また次の3頁でございますが、こうした要介護認定を受けた方の今7〜8割がサービ スを実際に使っていらっしゃいますけれども、このサービス利用というのも大変に増え てございます。そこにございますように施行後4年で倍増ということでございまして、 特にご覧いただきますとおり、在宅サービスというのが大変伸びております。在宅サー ビスは2.4倍ということでございまして、介護保険制度施行時には「保険あってサービ スなし」というような状況ではないかということが言われておりましたが、そういう状 況にはないという状況でございます。  次の4頁でございますが、要介護認定者が大変増えておると申し上げましたが、特に そのグラフにございますように、要支援や要介護1といった大変軽度の方の伸びが著し くて、現在では利用者の半数近くになってございます。  また次の5頁でございますが、利用者の状況というのを要介護度別に見たものでござ います。在宅サービス、かなり在宅の利用者が伸びておりますけれどもご覧いただいて もわかりますように、介護度が重くなるほど施設での生活の割合が高くなっているとい うことで、量的には増えたもののまだまだ重度を支える状況にはなっていないという状 況でございます。  次の6頁でございます。サービスの利用に伴いまして、介護保険の費用も大変伸びて おります。スタート時には3.6兆円でございましたけれども、今年度の予算では既に6 兆円を超えておりまして7兆円に達する勢いということでございます。また、各市町村 が3年ごとに見直しております保険料も現在、全国平均3,300円ぐらいでございますが、 現状のままでいくと次の第3期には4,000円を超えるというような勢いでございます。  7頁でございますが、こうした介護給付費の伸びの要因というものを構造分析したも のでございまして、大きく在宅・施設というふうに分けてございます。縦軸が単価で横 軸が人数ということでございますが、平成12年度と平成15年度全体を比較しますと伸び ているポイントとしては大きく2つございます。1つは、在宅の要支援、要介護2あた りのいわゆる軽度の部分でございまして、ここは在宅サービスそのものが伸びていると いうこともございますが、特に左のほうご覧いただいてもわかりますように人数増が非 常に著しいというところがございます。それからもう1つは、施設の部分でございまし てこれも右のほうをご覧いただきますと、例えば同じ要介護度、比較的中重度の要介護 度でありましても、施設と在宅を比較するとやはり単価差が非常に大きいというところ がございます。今回の改革ではこうした施設給付のところの見直し、さらに軽度のとこ ろにつきましてはむしろ介護予防ということに重点化をしていくことによって、全体と しての重点化、効率化を図っていこうということを考えております。  次の8頁でございますが、こうした観点からの今回の見直しの基本的視点ということ で3つ掲げております。まず、なによりも制度の「持続可能性」ということでございま して、このためには今の段階から給付の効率化、重点化、メリハリの利いた形での重点 化を行っていくということが1点でございます。それからもう1点は先ほど申しました 特に軽度の部分につきましては、むしろ介護予防ということで予防を重視していくとい うそういう予防重視型システムへ転換していくということがございます。さらにもう1 つの視点としましては、社会保障の総合化という視点でございます。特に先ほどの施設 との関係で申しますと、そこにもございますように、これはかねてより言われておりま す年金と介護給付費との調整の問題というのがございます。  次の9頁でございます。以上のような基本的な視点に沿いまして、大きく柱としては そこにございます予防重視型システムへの転換、給付の効率化・重点化、新たなサービ スの体系の確立、被保険者・受給者の範囲、といった4点掲げてございますが、本日は 時間の関係もございますのでこの1、2を中心にご説明したいと思います。  次の10頁目でございます。1点目の介護予防の推進ということでございます。先ほど 予防重視型と申し上げましたが、今回の改革ではその左のほうにポンチ絵が載ってござ いますが、大きく2つの視点で予防を進めていこうと思っております。1つは、今の軽 度の方々でございまして、介護保険は今の仕組みの中に予防給付というものがございま すけれども、ただこれが必ずしもサービス内容としても、またマネジメントとしてもう まく機能していないというところがありまして、こういった内容を抜本的に見直しまし てできるだけ重度化を防いでいくというのが1つの柱でございます。それからもう1つ は、こうした要介護状態になる前の方々につきましても、できるだけ早期の段階からこ の予防を進めていくということによりまして、いわば水際の予防をしていこうというこ の2つを重視していこうということでございます。  11頁はそういった予防システムの体系というものを整理をしたものでございます。時 間の関係もございますので割愛させていただきます。  12頁でございます。こちらが2つめの柱でございます。施設給付の見直しということ でございまして、これにつきましては大きく2つの観点から見直しを考えております。 1つは、在宅と施設のバランスという問題でございまして、そこにございますように今 同じ要介護度の方でも特別養護老人ホームに入った場合には、一部負担は食費の材料費 の負担なども含めまして5万円程度でございますが、在宅の場合は保険の一部負担は少 ないですが、食費や居住費用というのは全額自己負担ということで、総体的に利用者負 担ということで見ますと、むしろ施設のほうがある意味では割安感があるということ で、これが施設指向のある意味一因にもなっているのではないかということも指摘され ております。  また、もう一方は先ほど申し上げました介護保険と年金との調整ということでござい まして、在宅の方々はこういった食費、居住費用というものは年金で賄っているわけで ございますが、施設に入りますとこういったものが介護保険からもいわばダブルに出る ということで、これにつきましてはこれまでの社会保障審議会などでもご指摘をいただ いているところでございまして、こういったことも受け、基本的にはこの食費、居住費 用については保険外に出していくということで考えております。  ちなみに13頁でございますが、諸外国におきましても社会保険方式でやっております ドイツあるいは税方式でやっておりますところ様々ございますが、基本的には介護施設 におきますこういった食費、居住費用は自己負担というものが原則で、ただこういった ことを負担できない低所得の方々には、補足的な給付を行っているというのが現状でご ざいます。  次の14頁でございますが、この施設につきましては量の部分でも少し見直しを図って いこうというふうに考えておりまして、基本的には施設から在宅へという流れの中で施 設サービスなどの利用者の割合は現行よりも10年後の目標としては1割程度引き下げ、 その分多様な住いの普及をしていく。それから施設におきましても、できるだけ在宅と 同じような環境の下でということで、現在まだ個室の割合非常に少ないですけれども個 室ユニット化を進めていきたいというふうに思っております。  以上のような改革で次の15頁でございますが、全体としての今回の改革の財政試算と いうことでお示しをしてございます。現在、介護給付費第2期5.5兆円でございますが、 この現行制度のまま移行していきますと第5期、10年後でございますが、10.6兆円程度 に達する。ただ今回、今申し上げました予防の推進あるいは施設給付の見直しという中 で効率化・重点化を図っていけば、予防の進展によってケースI、ケースIIと分けてご ざいますが、1兆円から2兆円程度の減ということになるのではないかと見込んでおり ます。  また次の17頁をご覧いただきたいと思います。これは各市町村の1号保険料の全国平 均でございます。これももちろん各市町村によってそれぞれ水準が異なりますが、全国 平均で見ますと現行の3,300円が、自然体のままで行きますと第5期には6,000円に達す るということでございます。今申し上げましたような改革を図っていく中で、非常に利 いたケースとしましては、全国平均では5,000円以内に収まるぐらいのものではないか ということでございます。以上、大変駆け足でございましたが概要につきましてご説明 をさせていただきました。 星野部会長  どうもありがとうございました。それでは、ただ今の説明に対してご質問等ありまし たらどうぞ。久保田委員、どうぞ。 久保田委員  2つございます。1つは社会的入院についての問題、2つ目にはこのホテルコストの 問題でございます。  社会的入院につきましては、介護保険制度導入の時、当時そういう措置をとれば老健 拠出金も減り、医療保険料も減少するという説明もあったと思うのですが、結果として そうはなっていないのではないかと感じております。連合が今把握をしていますのは、 医療経済研究機構が行った療養型病床群における患者の実態調査で、2001年のものを持 っておりますけれども、その時では医療保険適応患者のうちの42.7%が社会的入院とい うデータになっておりました。2001年ですから、介護保険が発足した当初ということで す。要は、それが現在一体どういうデータになっているのか、そして当初の政策課題は 解決をしているのか、もしそうでなければその理由や背景は一体何か、そして対策はど うすれば良いのかというようなことについて介護保険制度の5年目の改革のときに、し っかりとした対応策を講じるべきではないかと思っております。  これは保険局と老健局の両局に関わる課題ですが、どこで検討され、どのようにその データも含めて提示をしていただけるのか、ぜひとも関係局を含めて検討のお願いをし たいと思います。  2つ目にホテルコストの問題でございますが、ある意味で居住費、食費の徴収は原則 としてはやむを得ないのかなと考えております。しかし、最近の新潟の地震の問題等々 を見ていますと、やはり最終的に住いの問題というのは大変個人差があるわけで、そう いう部分で行き場のない方々が本当に出やしないかという恐れも一部は持っています。 原則やむを得ないと思っております。ただ、施設入所者の自己負担を在宅との比較で言 うというのであれば、居住費の徴収は在宅と同様の環境が確保される個室入所者に限定 すべきではないかという考え方を持っております。  それから4人部屋、6人部屋、連合の調査では8人部屋という方もいたのですが、こ れらのところに入所している人たちから、まさか高熱、水道費、今1人1万ぐらいです か、というのを同じように取るということがないように検討すべきではないかと思って おります。以上です。 星野部会長  最初のは、ご質問だったのですか。 久保田委員  まあそうです。 星野部会長  第1番目。どうぞ、お答えください。 間杉課長  この部会でも、以前、介護保険と医療保険とのかかわりのご議論をいただきましたと きに、必ずしも当初意図していたようなボリュームで社会的入院といいますか、医療保 険から介護保険への移行というのは必ずしも十分には進んでいないのではないかという ような実態、それから今まさにご指摘ありましたけれども介護型あるいは医療型の病床 の中でも、他に生活の場があれば必ずしもここでなくてもいいという患者の方もいらっ しゃるのではないかという実態もお示しをさせていただいたところでございますけれど も、どの程度解消が進んでいくかというのは、これは老健局も保険局も共通の課題でご ざいますので、また機会をいただきまして改めて資料を精査してみたいと思います。 星野部会長  よろしくお願いします。他にございませんか、どうぞ岩本委員。 岩本委員  こちらの医療保険部会のほうでも、医療費用の抑制ということが課題になってくると 思うのですが、介護のほうでは予防による介護費用の抑制というのが実際に数値を入れ て出されているわけです。これは科学的なエビデンスに基づいてこのような推計が行わ れたのかということも簡単に教えていただければと思います。あと、詳細な資料があり ましたらいただきたいということです。 星野部会長  どうぞお答えください。 渡辺企画官  今ご指摘のありましたのは、10頁の数字ではないかと思います。これにつきまして は、現在市区町村でのモデル事業等々も色々ございまして、こういった市町村ベースで のエビデンスの積み上げ、あるいは今具体的にどういったものを予防サービスとして取 り入れていくかということを専門家の方々にお集まりいただいて検討しております。そ の中でさらにエビデンスの収集というようなものも進めております。私どもそういった エビデンスからみても、ここで見積もっております数値というのは、安全率も見込んで 低めに見積もっている率であるというふうに考えております。 星野部会長  他にございませんか。それでは、他に特にございませんでしたら、予定の時間にほぼ なりましたので、本日はこれまでとさせていただきたいと思います。  次回開催につきましては、事務局より追ってご連絡することとしたいと思います。特 に事務局ありますか。  本日はご多忙のおり、お集まりいただきましてありがとうございました。ご協力あり がとうございました。                                      以上 (照会先)  厚生労働省保険局総務課企画調査係 (代)03−5253−1111 (内線)3218