04/11/29 薬事・食品衛生審議会医療用具安全対策部会 平成16年11月29日議事録 薬事・食品衛生審議会 医療用具安全対策部会 議事録 1.日時及び場所   平成16年11月29日(月) 10:00〜   厚生労働省 専用第21会議室 2.出席委員(19名)五十音順    井 部 俊 子、 小 野 哲 章、 笠 貫   宏、 倉 田   毅、    小 柳   仁、 佐 伯 晴 子、 酒 井 順 哉、◎桜 井 靖 久、    佐 藤 道 夫、 澤     充、 勝  呂   徹、 土 屋 利 江、    土 屋 文 人、 長 尾   拓、 中 村 達 夫、 野 中   博、    松 谷 雅 生、 目 黒   勉、 山 口 照 英  (注) ◎部会長     欠席委員(3名)五十音順    天 笠 光 雄、 甲 斐 知恵子、  外  須 美 夫、  3.行政機関出席者   黒 川 達 夫(大臣官房審議官)、 平 山 佳 伸(安全対策課長)、   森 口   裕(安全使用推進室長)、   岸 田 修 一(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)、   伏 見   環(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全部長)  他 4.備  考   本部会は、公開で開催された。 ○事務局 それでは定刻となりましたので、ただいまから平成16年度第2回医療用具安 全対策部会を開催させていただきたいと思います。本日の部会は御覧のとおり公開で開 催させていただいております。マスコミ関係の方々で写真を撮る方がいらっしゃいまし たら、議事の始まる前までとさせていただきますので、よろしくお願いいたします。  本日は御出席の委員の先生方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、 ありがとうございます。事前に本日御欠席の連絡を頂いております先生は、天笠委員、 甲斐委員、外委員の3名でございます。笠貫委員と中村委員におかれましては少し遅れ ているようでございますけれども、現在17名の委員の先生方に出席していただいており ます。本部会の定員が22名でございますので、部会は定足数に達しております。  事務局側に人事異動がございましたので、御紹介させていただきたいと思います。医 薬担当の大臣官房審議官が黒川審議官に替わっております。 ○審議官 黒川でございます。どうぞよろしくお願いいたします。 ○事務局 安全対策課安全使用推進室長が森口室長に替わっております。 ○安全使用推進室長 森口と申します。よろしくお願いいたします。 ○事務局 それと医薬品医療機器総合機構の安全管理監が岸田管理監に替わっておりま す。 ○安全管理監 岸田でございます。よろしくお願いいたします。 ○事務局 それでは議事に入らせていただきたいと思います。桜井部会長、よろしくお 願いいたします。 ○桜井部会長 桜井でございます。司会を務めさせていただきます。それでは最初に資 料の確認をお願いいたします。 ○事務局 資料の確認をさせていただきます。本日はすべて報告事項となっております けれども、まず委員のお手元に医療用具安全対策部会の委員名簿、本日の座席表、それ と一枚紙の議事次第、資料目録が配られていると思います。その次からが表紙の右肩に 資料番号の付いた資料をお配りしてあると思います。資料1-1が「塩酸チクロピジン製 剤及びCypherステントの適正使用について」、資料1-2が「二酸化炭素吸収剤による発 火等に係る自主点検等について」、その次が資料1-3で「自己血回収セット等に係る使 用上の注意等の自主点検等について」、資料1-4が「電気手術器と穿刺用ニードルガイ ド等の併用に係る自主点検等について」、資料1-5が「バイポーラ電極を有する電気手 術器に係る自主点検等について」、資料1-6が「グルコース脱水素酵素(GDH)法を用 いた血糖測定器に係る自主点検等について」、資料1-7が「ブラッドアクセス留置用カ テーテルセット等に係る使用上の注意等の自主点検等について」、資料1-8が「盗難防 止装置等による電波の医用機器への影響(医薬品・医療用具等安全性情報No.203)」、資 料1-9が「塩酸チクロピジン製剤及びCypherステントの市販後安全対策について(医薬 品・医療用具等安全性情報No.205)」でございます。次からが資料2のシリーズになり まして、資料2-1が「薬事法第77条の4の4の規定に基づく薬事・食品衛生審議会への 不具合・感染症報告について」、資料2-2が「医療用具不具合等報告」、資料2-3が「医 療用具外国措置報告」、資料2-4が「医療用具研究報告」。その次からが資料3のシリ ーズになりまして、資料3-1が「感染症定期報告の状況」、資料3-2が「報告文献別一 覧表」。本日の資料は以上でございます。過不足がありましたら、事務局の方までお申 し出いただければと思います。 ── 笠貫委員着席 ── ○桜井部会長 どうもありがとうございました。よろしいでしょうか。本日は報告事項 ということですので、議題1から御説明をお願いいたします。 ── 中村委員着席 ── ○事務局 それでは事務局の方から議題1を説明させていただきたいと思います。資料 1につきましては資料1-1〜1-9までございますが、まず資料1-1の「塩酸チクロピジン 製剤及びCypherステントの適正使用について」でございます。ちょっとめくっていただ きまして、主として0730001号という通知で御説明させていただきたいと思います。本 年3月に薬剤溶出型冠動脈ステントのCypherが承認されました。薬剤溶出型ステントは 国内初のステントになります。一般的にステントを留置いたしますとステント内狭窄が 生じることになるのですが、これはなぜかというと血管の新生内膜が増殖することによ って再狭窄が生じることが知られています。本ステントにつきましては、シロリムスと いう細胞増殖抑制効果を持つ薬剤がコーティングされているために、新生内膜がなかな か増殖してこないということがございまして、再狭窄しにくいステントとなっています。 ただ再狭窄しにくいものの、ステントが少なくとも内皮で覆われる必要があるのですが、 内皮で覆われるまでの間、体の中でステントが異物として認識されてしまうために血栓 が生じる可能性がございます。そのため塩酸チクロピジンの投与が必要になるわけです が、従前の冠動脈ステント治療における標準的な抗血小板療法期間、これはおよそ1か 月程度と言われているのですが、これよりも長い3か月と設定されております。こうい ったことを受けまして、当該ステントの適正使用はもとより、併用される塩酸チクロピ ジン製剤、この塩酸チクロピジン製剤は血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、無顆粒球 症、重篤な肝障害等の副作用が知られているものですから、こういったものの発現防止 のために一層の注意の徹底が必要だということで、これらの通知を発出させていただい たわけです。これはちょっと分厚いのですが、複数のあて先にこういった安全対策を講 じてくださいということでお願い、要請等をそれぞれ実施しております。  まず一つ目でございますが、当該ステントの輸入販売業者のジョンソン・エンド・ジ ョンソン株式会社に対して、どういった安全対策を講じるよう指示をしたかということ でございますけれども、まず「記」の「1.添付文書の記載について」ですが、「警告」 欄に1)〜5)のようなことを記載するよう指示をしております。これは中身をすべて読 むと時間が掛かりますのでかいつまんで御説明いたしますと、まず1)でございますが、 このCypherステントの使用に関して知識のある医師が使用することを徹底してほしい という趣旨が記載してございます。それから2)でございますが、これも長いのですけれ ども、趣旨としては使用患者を慎重に選定してくださいということをここの部分で言っ ております。それから3)でございますが、本品の利点とリスクを患者に十分説明してく ださいということを記載しております。4)でございますが、適切な抗血小板療法を実施 してくださいということを注意喚起しております。5)でございますけれども、バイパス 手術が迅速に行える施設に限定してくださいということを記載しております。  次に「2.患者手帳及び説明同意に関する文書等の整備について」ということで、今申 し上げた警告事項の3)、4)の内容を徹底するために患者手帳及び説明同意文書を整備 して、これらを用いて患者へのインフォームド・コンセントが適切に行われるよう医療 機関への情報提供を徹底するといった指示事項となっております。  それから「3.患者の転院時の情報提供文書等について」ということで、これは留置し た医療機関だけではなくて、患者が転院してもフォローアップができるようにしようと いうことで、このような指示をかけております。  それから「4.講習会及び医局説明会等の実施ついて」ということで、このCypherス テントの適正使用のための講習会及び医局説明会等を実施して、講習会及び医局説明会 等が終了した医療機関のみに販売を限定してくださいというものでございます。  最後になりますけれども、「5.医療機関への注意喚起の徹底について」ということで、 上記の2において整備した文書等をこのCypherステントを販売するすべての医療機関 に配布して、当該文書等が適切に利用されているかどうかを定期的に確認するとともに、 不足のないように管理してくださいと。こういったことをすることで医療機関に対する 啓発ができていくと、そういったことをねらいにしてこのような指示を出しております。 こちらの方が当該ステントを輸入販売しているメーカーに対して出した通知でございま す。  それから次の0730002号の通知でございますけれども、こちらは「別記 代表取締役社 長殿」となってございまして、「別記」はどこかといいますと2枚後ろになりますが、 チクロピジン製造業社全20社に対して出した通知でございます。再度、警告の内容につ いて徹底することを指導したものとなってございます。こちらの通知の「記」の2の部 分になりますけれども、薬局に対する情報提供として、患者が副作用等の自覚症状を認 めた際の主治医への迅速な受診の勧奨等、適切な服薬指導を実施するなどの指示をこち らの方で行っております。  次の通知にまいりますけれども、医師会その他の学会あてに出したものでございます。 「薬食審査発第0730003号」と右肩に書いてあるものでございます。これは今申し上げ た医師会、各学会等に対して、当該ステントの適正使用及び併用される塩酸チクロピジ ン製剤による副作用の発現を防止するため警告の記載内容について留意いただきたい、 それから本医療機器の適正使用の推進についてお願いしたい、そういった文書となって ございます。こちらは実際にCypherステントを埋め込むということでございますので、 こちらの通知の方にはCypherステントの添付文書、審査報告書を添付した形で通知いた しております。  次の通知が社団法人日本病院薬剤師会会長あて、それから社団法人日本薬剤師会会長 あてとなっておりまして、「薬食総発第0730001号」と右肩にあるものでございます。 日本薬剤師会に対しましてもこれと同様の趣旨で注意喚起を図ることに加えまして、1 枚めくっていただきまして「記」の1のところですが、塩酸チクロピジン製剤を処方さ れた患者が次のような自覚症状を認めた際に主治医への迅速な受診の勧奨等を行ってく ださいという通知になっております。薬局や薬剤部等で患者が副作用とおぼしき症状を 訴えた場合、速やかに主治医のところに受診勧奨ができるようにという趣旨で、例えば ここに書いてある発熱、のどの痛み、出血傾向などこういったものが分かるような形で 指示をしております。  最後になりますけれども、後ろから3枚目の「薬食審査発第0730005号」と右肩に書 いてあるものでございますが、医療機関、医療関係者に対しても都道府県を通じて注意 喚起を図るようお願いしたという通知でございます。資料1-1については以上でござい ます。  続きまして資料1-2、「二酸化炭素吸収剤による発火等に係る自主点検について」に 入らせていただきたいと思います。こちらでございますが、閉鎖循環式麻酔器には各種 の二酸化炭素吸着剤が使用されておりますけれども、ある種の乾燥した二酸化炭素吸収 剤と麻酔薬のセボフルランの使用によって、発火又は異常発熱するという外国事例が報 告されました。これは麻酔器及び二酸化炭素吸着剤の製造業者、輸入販売業者等に調査 を依頼しましたところ、当該発熱のリスクは特定の製品だけに限られるものではなく、 こういった二酸化炭素吸収剤を乾燥させて使用することに伴う共通のリスクである可能 性があるという結果が上がってまいりまして、発火等以外にも一酸化炭素の発生、二酸 化炭素吸収能力の低下が考えられるという報告がございました。このため二酸化炭素吸 収剤を用いる閉鎖循環式麻酔器等の製造業者等に対して、適切な措置を速やかに講じる ように都道府県を通じて指導を依頼したものがこの通知でございます。それから都道府 県あてにはこの通知が出ているのですけれども、医療用具製造業者等の団体を通じた関 係企業への周知要請、それから医師会、看護協会等関係者への用具の適切な取扱いの協 力依頼も行ってございます。  これは具体的に何をしたかということは「記」のところにありまして、添付文書を改 訂してください、注意喚起を図ってくださいと。そこの書きぶりとしては、二酸化炭素 吸収剤を乾燥させないことということを記載するように指示をしております。理由とし ては今申し上げたとおり、発火、異常発熱、一酸化炭素の発生、又は二酸化炭素の吸収 能力の低下の可能性があるためということでございます。以上で資料1-2の説明を終わ りにしたいと思います。  次は資料1-3、「自己血回収セット等に係る使用上の注意等の自主点検等について」 でございます。こちらの通知の内容とともに5枚目のところに図が書いてございまして、 図を見ていただくと分かりやすいかと思いますが、自己血回収セットの準備中にアスピ レーションライン(術野側の吸引チューブ)で異物がリザーバー内に混入したとの報告が なされました。このリザーバーというのはここに書いてあるとおり血をためるところで すが、逆流防止フィルターとリザーバーの間にたまった異物が戻ってしまったという事 例でございます。検証した結果、アスピレーションラインを閉塞させて減圧度を保った 状態で吸引源の減圧を下げることによって、自己血回収セットのリザーバーの両側で圧 が逆転しまして、これにより圧に差ができたために異物が戻ってしまったという可能性 が示唆されるものでございます。現在使用されている自己血回収セットの多くに同様の リスクが考えられるため、製造業者等に対してこちらの通知の「記」のとおり、自主点 検等を行い適切な措置を速やかに講ずるよう同じく都道府県を通じて指導を依頼してお ります。こちらについても関係企業、医師会、看護協会等関係者への適切な取扱いのお 願いを行っております。  こちらの通知でどういったことを記載しているかということを見ていきますと、1ペ ージに戻っていただいて1)として、「禁忌」欄に「アスピレーションライン(術野側の 吸引チューブ)を閉塞させた状態で吸引器の減圧操作を行わないこと」。この理由として は圧の逆転現象が発生していること。3)としまして、「吸引源とリザーバーの間に必ず レギュレーター(吸引制御装置)を使用すること。また、レギュレーターとリザーバーの 間に使用する吸引ライン(レギュレーターとリザーバーをつないでいるチューブ)は滅菌 済みのものか単回使用で滅菌が施されているものを使用すること」、こういったことを 書くよう指示をしたものです。要はすべて逆流しないようにということで配慮していく わけですが、5)に行きまして「レギュレーターとリザーバーの設置位置について、リザ ーバーはレギュレーターに比べて高い位置で設定すること」。これは位置的なもので異 物が戻らないようにというものでございます。「また、設定できない場合にはレギュレ ーターとリザーバーの間に使用する吸引ラインをレギュレーターとリザーバーポートの 低い位置でたゆませること」ということになっております。それからさらに圧の開放の 仕方によって逆流を防止するという観点から、7)でございますが、「吸引源とリザーバ ーへの接続ラインは分岐をさせずに、単独のラインとする」。これは分岐が多いと分岐 のところから圧を開放する型が出てくるということで、分岐をさせずに単独のラインと するという注意書きとなっております。資料1-3については以上でございます。  それから資料1-4、「電気手術器と穿刺用ニードルガイド等の併用に係る自主点検等 について」に行かせていただきます。こちらも図を見ていただいた方が分かりやすいか と思いますので、一番後ろにどういったものかという図が付いております。スティック のようなものがありますが、この「ニードルカニューレ」と言われているものの先で腫 瘍部位を焼き殺すような仕組みになっています。それから「超音波プローブ」というも のがありますけれども、この部分で癌の位置を探りながらニードルカニューレで腫瘍部 位を焼くというものです。これはどういった事例かといいますと、術中にこのプローブ を使いながら焼く行為をしているときに、多分先生方はかなり集中されるのだとは思う のですが、超音波プローブのニードルを通す穴、「ニードルガイド」と言っているもの にゆがみ等の圧力が生じまして、ニードルガイドの部分の絶縁コーティングがはがれる といった報告がされたものでございます。これは先生方の方で実際に使うときにそうい うことが起こり得るということで、この取扱いについて慎重にしていただきたいという 措置をこちらの通知で示させていただいております。  こちらの内容の書きぶりはどのような状況になっているかというと、まず「記」の1 の1)の部分でございますが、「警告」の項に「本品使用時に穿刺用ニードルガイド等を 併用する際は、ニードルカニューレの絶縁皮膜を損傷しないよう、ニードルカニューレ の操作を慎重に行うこと」、こういったことを添付文書に記載するよう指示をしており ます。それから3)でございますが、「装着面に破損等がなくスムーズに稼働することを 確認の上、慎重に操作すること」という記載がございます。それから同様に2の方で、 これは超音波プローブ側とニードルガイド側の二つの用具の組合せになっていますの で、金属製又は非金属製の穿刺用ニードルガイド側の注意喚起も行っているというもの でございます。以上で資料1-4については説明を終わらせていただきます。  続きまして資料1-5でございます。これも図が付いてございますので、見ていただき たいと思います。バイポーラ電極を有する電気手術器により止血等の治療が行われてい るところでございますが、バイポーラコードの電極端子には現在固定形として径4mmプ ラグと、二股の4mmプラグが流通しております。このうち二股の4mmプラグについては、 モノポーラ電極の3極出力端子に誤接続できてしまうことが確認されておりまして、こ の誤接続に気付かず使用してしまいますと、バイポーラピンセットの電極先端同士が接 触した際にモノポーラの出力スイッチが押されたのと同じ状態になりまして、通常のバ イポーラ出力の数倍〜10倍程度のモノポーラ出力が生じることが確認されております。 バイポーラは止血をする等の微細なものに使い、モノポーラの方は実際に組織を切ると いったようなものに使うのですけれども、組織を切るほどの出力が微細な止血をすると きに生じてしまうと、そういった事例が生じたものでございます。  こちらの注意喚起としてはどういったことを行っているかということでございます が、こちらの方も添付文書の整備を行っておりますけれども、バイポーラ端子専用のコ ードをモノポーラ端子には接続しないことといった注意喚起を図っております。それか ら本品に指定された附属品、特に固定形4mmプラグ等ですが、こういった附属品のみ使 用していただきたいということで、「指定された附属品(固定形O4mmプラグ)のみ使用 すること」といったような注意喚起を「警告」の項に記載するという指示をしておりま す。  続きまして資料1-6、「グルコース脱水素酵素(GDH)法を用いた血糖測定器に係る 自主点検等について」でございます。これは患者の方で低血糖症状が発現しているにも かかわらず、この機器を使用して血糖値を測定した際に低血糖を示す値が表示されない、 又は逆に高血糖の値を示してしまってインスリン投与量を増加したために結果的に低血 糖症状を呈してしまった事例、こういったものが医療機関から報告されています。こう いうことを受けまして、どういったときに高めの値を示してしまうのかを調べました。 そうしたところ、「記」の部分に行きまして「警告」の欄に「実際の血糖値より高い値 を示すため、以下の患者には使用しないこと」ということで、この四つのケース、「1) マルトースを含む輸液等を投与中の患者」、「2)イコデキストリンを含む透析液を投与 中の患者」、「3)ガラクトース負荷試験を実施中の患者」、「4)キシロース吸収試験 を実施中の患者」、これらのバックグラウンドを持つ患者に対しては使わないこととい う注意喚起を図っております。  続きまして資料1-7、「ブラッドアクセス留置用カテーテルセット等に係る使用上の 注意等の自主点検等について」でございます。こちらも一番最後のページに図がござい ます。人工透析を行うためにブラッドアクセス留置用カテーテルセットを留置している 患者で、分岐管とエクステンションチューブの接合部が緩んでいるという事象が報告さ れました。検証の結果、接合部に消毒用アルコールが浸潤している状態で使用された場 合に、接合部の接着強度が低下して出血等の重篤な不具合が発現する可能性が示唆され たということで、注意喚起を図ることとしたものでございます。  こちらも使用上の注意の「禁忌」欄に、消毒用アルコール、ハイポ液等のアルコール 系消毒剤を本品の連結チューブの接合部に接触させないことという注意書きを入れてご ざいます。接触させることにより強度が低下して、接着部の脱落を起こす可能性がある ためということでございます。それからアルコールであるのだからということで、ほか の有機溶媒はどうなのかということを考えまして、「本品の材質に影響を及ぼすと考え られる有機溶媒等は使用しないこと」と。これは各メーカーの方に調査させまして、こ れについては自主的に書くようにという指示を行っております。以上でございます。  ここからは医薬品・医療用具等安全性情報になりますが、資料1-8は「盗難防止装置 等による電波の医用機器への影響」ということで、三つほど調査をかけております。何 ページかにわたっていますが、この三つの調査は何かというと、盗難防止装置が植え込 み型医用機器に及ぼす影響、RFID機器が植え込み型医用機器に及ぼす影響。これは どういうものかというと、例えばよく図書館の方が書籍などをチップで認識させるよう なもの、それからレジなどでピッピッという形でやっているような電波を行き来させる ことによって値段等を認識させるもの、それをRFID機器と言っております。それか らパソコンやコンピュータの関係でございますが、無線LANが植え込み型医用機器に 及ぼす影響でございます。  これはちょっと長いのでかいつまんで御説明いたしますと、11ページに取りまとめが ございますのでこちらの方を見ていただくとよろしいかと思います。盗難防止装置につ いてはレジで支払わずにゲートを通り過ぎると鳴るというものでございますけれども、 ゲート中央の通過で10%、それからゲート内で身体を回転させてゲートへ近づいた場合 は40%程度、ゲートへ密着するまでの接近で50%近くの盗難防止装置と植え込み型心臓 ペースメーカの組合せで影響が観測されております。こういったことからゲート内から 可能な限り速やかに退去することが重要であろうと。それからゲート内においてはゲー ト間において体をねじるような行為、またゲートに胸と背中を向けていくことにより影 響を受けやすくなるような傾向が見られておりますので、ゲートを横切る際はゲートに 対して真っすぐ正面を向いて横切ることが推奨されるという結論が得られております。 これは植え込み型除細動器についても同じような現象がありまして、ゲートの面に対し て角度90℃の状態では42.5cmの距離で不要除細動ショックが観察されているというこ ともございます。こういったことから、ゲートを通るときは正面から真っすぐ横切るこ とが推奨されるということでございます。それからゲート外であってもゲート内と同様 の距離で影響を受けることが示唆されておりますので、ゲート外であっても可能な限り 盗難防止装置には近づかないように注意する必要があるということです。  次のRFID機器でございますが、RFID機器のゲート型についてはゲートの中央 の通過で1%程度、ゲート中央で向きを変えるようなケースがありますと5%程度、ゲ ートの送信板へ接近していきますと20%近くのRFID機器と植え込み型心臓ペース メーカの組合せで影響が観測されています。密着状態であるものの植え込み型除細動器 において不要除細動ショックが観測されていること、外見上盗難防止装置と判別不能で あることから、先ほどの盗難防止装置と同様の注意が必要であろうという結論になって います。ハンディ型につきましては、たしかペースメーカの方で15〜16cmで影響が出て いるというものがあったのですが、これについても携帯電話と同じように不用意に植え 込み型医用機器の22cm以内にRFID機器を接近させないように注意してくださいと いう注意喚起を図っております。  それから無線LANでございますが、現在流通している無線LANにおいては影響が 観測されたものはすべて同一の植え込み型心臓ペースメーカになっておりまして、既に こちらの機種を利用している患者については当該企業から注意喚起の連絡がなされてお ります。他の植え込み型医用機器については影響を観測されていない状況にあるのです が、不必要に電磁波を発生しているものに植え込み型医用機器を接近させないという一 般的な注意を引き続き払うことが適当ということで注意喚起を図っております。  資料1-9にまいりますが、こちらは一番初めに説明したCypherの通知と同様の内容に なりますので省かせていただきたいと考えております。以上で資料1の説明を終わりに したいと思います。 ○桜井部会長 どうもありがとうございました。市販後の安全対策についてということ で、承認を得て市販されるわけでございますが、市販された後にいろいろ問題が起こっ たというような事例でございます。何か御質問あるいはコメントございますか。いろい ろな内容がありますが、各御専門の先生方…。どうぞ。 ○澤委員 具体的な内容とは違うのですが、この塩酸チクロピジンで「講習を受けた医 師が」という記載がございまして、この場合はステントを入れて術後の薬物療法ですか ら医局説明会等でよいということで、当事者、医師、及び医局説明会というお話ですが、 眼科領域ですと例えばエキシマレーザーでは専門医で講習会を受けた者、それから最近 のフォトダイナミックセラピーでは専門医で講習会を受けて試験に合格した者というよ うな規定があります。一般的に言いまして、こういう高度医療になってきたときに講習 会を義務付ける場合どのような基準があるのか、もしあれば教えていただければと思い ます。 ○安全対策課長 原則的な基準はないと思いますが、それぞれの機器の審査の過程でど のように使い勝手がいいかとかその辺りが審査されまして、やはり講習を受けないと使 い切れないというものについては義務付けているのではないかと思います。このステン トについても、既にベアメタルステントがありまして、使い方についてある程度普及は しているのですが、それよりも更に周知徹底していただくということでお願いするのと 同時に、ステントをされる先生と実際に後のフォローをされる体制の受渡しといいます か、その辺りをきちんとやっていただくということもありまして、ベアメタル以上に更 に徹底したという内容でございます。 ○桜井部会長 笠貫先生、循環器の方で…。 ○笠貫委員 Cypherというドラッグエルーティングステントは再狭窄が少ないため非 常に効果が期待されている器具ですが、一方では先ほど説明がありましたように、シロ リムスを使って新生内膜ができにくくしているため血栓ができやすくなり、血栓による 閉塞が起こることが問題となります。そのため、チクロピジンを通常ですと1か月間で すが、3か月間以上使うことが必要になることが一番の問題だと思います。そこで今チ クロピジンの適正使用について企業サイドへの注意喚起が出されているのですが、その 副作用の診断について、特に血小板減少性紫斑病は非常に病態が早い場合には血漿交換 が必要になりますし、この診断には例えばフォンビルブランド因子分解酵素の活性を図 るとか特殊な検査が必要になります。そういう緊急の特殊な検査と治療に対応できる施 設が必要になってくると思います。そういう意味ではこの薬剤の適正使用についても、 Cypherステントの場合にはより厳しい適正使用が求められ、施設基準の問題が入ってく ると思います。  もう一つは、ステント内の血栓による塞栓が起こった場合に緊急カテーテル治療で対 応できる場合もあるのですが、緊急手術も必要になります。その場合に冠動脈バイパス 手術が緊急にできることと書いてありますが、それをより徹底する必要があるのではな いかと思います。これまでのステントとの違いとして、基準について厳しく注意喚起す る必要があるのかなという感じがいたしました。  それからチクロピジンがもし使えなかった場合どうするかということですが、日本で はチクロピジンの代替薬がないという現状です。欧米では標準薬がクロピドグレルにな っていますが、日本でCypherを使った後にチクロピジンの副作用が出てきたときに、先 ほどの副作用に対する緊急の治療と血栓塞栓に対する治療があるのですが、そこまでい かなくてもチクロピジンを中止せざるを得なかったときに代替薬をどうするのかという 問題も残されていると思います。そういう意味で代替薬をどうするかということを含め て、学会等によるこの対策を考える必要があるのではないかと思います。 ○桜井委員 ありがとうございました。小柳先生、どうぞ。 ○小柳委員 私は笠貫先生と違いまして循環器の外科でございますが、このCypherが材 料の専門組織を通りましたのは7月の半ばぐらいだと思います。そのときもクロピドグ レルはまだ全く審査されていなかったかスタートしたぐらいでして、私どもも現場で始 めましたけれども、もしチクロピジンで何か起きたときに、辛うじてほかの薬で代替で きる余裕がありましたときに代わるものが余りなくて、せいぜいシロスタゾール、プレ タールに替えていくのかなと想像はしています。これも保険に通っておりませんで、壊 疽では通っているのです。ですから末梢血管硬化症というような何か診断を付けて、日 本中現場はプレタールを使っていくようになるのではないかと思っておりまして、余り 褒められた話ではないと思っております。  笠貫先生がおっしゃった緊急閉塞ですが、これは外科が中にいないととても間に合わ ない話でありまして、数分からせいぜい1時間の間に対応できないと間に合いませんの で、ここ20年くらいインターベンションがやられてきましたけれども、エンドポイント なしにインターベンショニストはやっていらっしゃるので、施設基準の縛りというのは、 今眼科の先生がおっしゃいましたけれども、この場合にはもっと厳しくていいのではな いかと思います。  それから薬事でクロピドグレルがなかなか通っておりませんで、次回通りますのは多 分脳神経領域の脳動脈硬化症で通ると思うのですが、心臓ではまだ来年までは通らない と言われておりますので、当分チクロピジンを使い骨髄抑制と相対しながらやっていく のかなと。それからCypherが入った患者さんがいるということで外科のチームにアラー トが飛んで、その患者さんを意識しながらその病院は動いていくということではないか と思っています。材料の進み方と薬事の承認とがちょっとずれているような感じがいた します。以上です。 ○桜井部会長 ありがとうございました。どうぞ。 ○佐伯委員 同じ資料1-1の中に「患者手帳及び説明同意文書を整備し」とありますが、 今回の資料の中にはこの添付文書はありますけれども、患者手帳及び説明同意文書のサ ンプルのようなものはお見せいただけないでしょうか。かなり自覚症状があった場合直 ちに医師に連絡するというか、患者さんが自分の不具合を察知する第一の発見者という ことになるかと思いますので、そこのところがきちんと整備されていることが肝要だと 思います。 ○事務局 分かりました。今手元にございませんが、取りにまいりまして回させていた だきます。 ○笠貫委員 小柳先生の方から補足していただきましたように、私もチクロピジンの副 作用を考えた場合に代替薬としては先ほどシロスタゾールになると思いますけれども、 その効果については欧米での評価ができていないということがあります。そういうこと で現状をかんがみますと、当面はチクロピジンの副作用の早期診断、早期対策、それか ら血栓塞栓に対する緊急治療ということでの施設基準を厳しくすることが必要ではない かと思っています。  また、代替薬としてクロピドグレルは現在冠血管のステント後に関しては臨床試験中 ですけれども、これをいかに早く進めるかということもこれからの大きな課題だと思い ますので、よろしくお願いしたいと思います。 ○桜井部会長 ほかはよろしゅうございますか。どうぞ。 ○安全対策課長 代替薬については、総合機構の方でもかなり苦慮しながら迅速に対応 したいと考えているようでございます。医薬品の開発自体はそれなりに時間が掛かるも のでございますので即というわけにはいかないと思いますけれども、できるだけいろい ろな対応を採っていくようにしておりますので、また臨床現場の方の御協力もお願いし たいと思います。 ○桜井部会長 澤先生のおっしゃったいわゆる基準についての循環器の方の取組はいか がでしょうか。今のところはそれは余り考えていませんか。 ○笠貫委員 循環器領域でいきますと、例えば植え込み型除細動器の医師個人に対する 研修としては、学会での研修セミナーを行うという形を採っていますし、その場合には 専門医であることが条件になっています。しかしCypherの場合には会社による医局説明 会ということで行っていますから、学会主導の講習会とは意味合いが違うと思っていま す。 ○桜井部会長 ほかは何か御意見ございますか。これは情報の流れという意味で各学会 に通達が行くわけですが、その後の流れというのはどのように把握されているのでしょ うか。会長又は理事長あてですよね。実際にお仕事をなさるのはもっと現場の部署とい うことになると思うのですけれども、その辺の流れは…。情報の流れというのはやはり フィードバックをかけないと実効性が伴わないと思うのです。ですから、一方的に出し ましたというだけだとそれで終わりという感じになるので、それがどのように有効に働 いているかというところのフィードバックがやはり必要なのではないでしょうか。 ○安全対策課長 手元にその状況を調べたようなものがございませんので、またこちら の方から各学会の方にどのような状況であるか話を聞くようにしたいと思います。 ○桜井部会長 是非お願いしたいと思います。ほかに何かございますか。どうぞ。 ○笠貫委員 学会のお話が出ましたけれども、小柳先生からも御指摘がございましたが、 緊急CABGができるかをどの程度満たしているかどうかについて、解釈の仕方によっ てかなり違いがあると思います。そういう意味では、Cypherの場合にはその条件を厳し く満たすということを各学会に通知して、それに対してどういう対応をしたかについて フォローされれば、部会長が言われましたことを満たすことができるかなという感じが いたします。 ○桜井部会長 ありがとうございました。どうぞ、土屋委員。 ○土屋(文)委員 同じようなことでございますが、実際以前から医薬品に比べて医療用 具等については、そもそも病院の受け皿の窓口がどこなのか分からないとか、そういう 話が出ましたし、ヒヤリハット事例の報告を聞いていてもいわゆる情報不足ということ がどうもいろいろあるように思います。例えば医療安全のことについて言えば、法改正 までして規則といいますか、そこで各医療機関に安全管理のところのあれを置きなさい ということが制度としてできたのですけれども、やはり医療用具もこれだけ様々な事例 などが出てきたときに、医療機関の受け皿をきちんとしておかないと、せっかくの通知 がどこまで本当に届いているのかということが担保できないのではないかと。やっと添 付文書が出来上がり、恐らく来年ぐらいになると機構のところで添付文書も自由に閲覧 できるようになると思うのですけれども、やはりそういう受け皿の方の仕組みをきちん と作っていかないといけないのではないかという気がするのですが。 ○桜井部会長 おっしゃるとおりだと思います。薬と医療用具との大きな違いというの は、やはり医療用具というのは作るのもさることながら使うところまで一貫してあれし ないと、そんなことを言っては失礼ですが、薬は何か情報が入れば割合簡単に使えると 思うのですけれども、医療用具というのはやはり相当スキルが要ると思うので、その辺 が違うのではないかと思うのですが。ほかはよろしいでしょうか。どうぞ、酒井先生。 ○酒井委員 今土屋先生からお話がありましたことに共通するのですが、今厚生労働省 の方からは医療機器の安全管理室ということで、今年から一部補助をしていただくよう な形になったわけですけれども、やはりそこに配置される専門の臨床工学技師等の方が こういう安全情報をきちんと把握してそれを医療スタッフに伝えない限り、この添付文 書を見てくださいと言われてもなかなか理解できないのではないかと思います。さらに は保守点検の中では、経年変化によってどんどん劣化していくところでの安全なのか安 全でないかという度合いを見るのは非常に難しいわけでありますから、是非施設の大き さによってといいますか、機器の保有台数によってといいましょうか、そういう中で定 員化を何らかの形で検討していただきたいと思っております。 ○桜井部会長 目黒先生、どうぞ。 ○目黒委員 その当事者の臨床工学ですけれども、以前からいろいろな会議の席上で言 っているのですが、実質的にはやはり臨床業務、機械関係の業務等を多忙な中でやって いて、本来は医療器具あるいは医療用具の発信基地になれればいいのですけれども、や はり組織がオーガナイズされていない部分がありますので、その中で動いていきますと、 院内の情報でさえいろいろ回ってこない。この部会でいろいろな情報があるのですが、 それが私のところまで来ているのも結構数が少ないような気がしていますので、そうい う意味ではやはり土屋先生が言われたように、今までもいろいろな先生が言われていま すけれども、そういう情報の受け皿となるところをきちんと医療機関の中に作っていた だくのが一番いいと。今のマンパワーの状況では少なくて、多分それはできないだろう ということですので、できれば現状を少し調べていただいて、今後ともこのたぐいの情 報というのは出てくるのかなと感じますので、行政の側、あるいは部会の方からも少し 答申を出していただいて、現状の調査等をやっていただきたいと考えております。 ○桜井部会長 特に市販後の安全性ということが非常に重視されている時代になってき たので、そういう点が問題だと。どうぞ。 ○佐伯委員 今患者手帳と同意説明文書を見せていただきました。ざっと目を通しまし て、私の印象では「ごくまれに」という表現が何回か出ていまして、とても危険リスク を踏まえた上でというような感じは受けないのです。それからこのような副作用があり ますよというのが、私はちょっと老眼が出ているせいもあると思うのですけれども、文 字が小さくて、またグレーの文字で色が薄いのですね。これが起こったときにはきちん と連絡してくださいという肝心なところが余りピンと来ないなという印象がありまし た。これだけ重篤なといいましょうか、心配していただいていることに見合った内容な のかなということで、もう少し検討の余地があるような気がいたします。 ○桜井部会長 ありがとうございました。今のは情報の与え方といいますか、情報の提 示の仕方の問題だと思うのです。確かに添付文書にしても小さい字で書いてあったり、 並べ方は大分工夫されてきたと思うのですが、やはりそういう大事なことはインパクト があるような書き方、またそれは後ほど御意見を伺っていただければと思いますけれど も、よろしゅうございますか。 ○安全対策課長 今回は主に医療用具でございますけれども、チクロピジンでございま すので、医薬品の方に十分反映できるように対応したいと思います。 ○桜井部会長 ほかはよろしいでしょうか。どうぞ。 ○酒井委員 電気手術器のことで2件あるわけですけれども、一つは穿刺したときのニ ードルについてですが、私がよく分からないのはニードルガイド自体は金属でできてい るのでしょうか。実際にモノポーラでこういう電極を差し込んだときには、仮に絶縁被 覆があったとしても約500キロ〜1.5メガぐらいの周波数であれば、部分的には漏れ電 流が出てしまうのです。さらにはこの絶縁コーティングが外れてきますと、当然ながら 穿刺した部分にもやはり熱傷が発生するということは常識的に明らかなわけです。その ときに私が思ったのは、そういうものを点検することも大切ですけれども、こういう製 品を売る際にニードルガイドを例えばFRPとかテフロンとかそういう摩耗の少ないよ うな構造にできないものかどうかということで、この現状のものがどういう材質ででき ているのか教えていただきたいのですが。 ○事務局 まず材質でございますが、こちらはプローブに付いているものですけれども、 こういった形で金属になっています。一方こちらのニードルの方でございますが、こち らは中の金属の表面にテフロンコーティングしているような形になっておりまして、こ れで実際に腫瘍を焼くという行為をしているときに、この金属部分がこすれて表面がは げるという状況になっております。先生がおっしゃるとおり、ここの構造の部分を何と かできないかという話は当然ありまして、こちらのニードルを作っている業界とニード ルガイドのメーカーの業界をそれぞれ集めまして、ここの部分は構造上何とかならない のかということで今検討中でございます。 ○酒井委員 もう一つは同じ電気手術器なのですが、バイポーラの内容でこの自主点検 の内容の中には医療機関の方に「本品はバイポーラ端子専用のコードであり、モノポー ラ端子には接続しないこと」と言葉では書いているのですけれども、恐らく看護師さん の中でも差し込み口が同じだったら差し込んでしまうだろうと。これは例の経管栄養と 点滴の差し替えと同じような話でありまして、構造的にそういう問題がないようにする ためには、今回ここには固定式の2極のプラグと二股のプラグがありますが、やはりそ の二股のプラグをできるだけ使わないような方向で、それは製品に対してバイアスがか かるかもしれませんけれども、やはり安全のためにそういう方向が必要ではないかと思 います。 ○事務局 今のお話でございますが、こちらのプラグについても現在、規格が策定され る等、この二つを間違って差すことができないような形で分別できないかということで 規格化を図ることを聞いております。 ○桜井部会長 安全性の問題からいえば、ハードで簡単にできることだと私は思います。 ○佐伯委員 ジャックに色を付けておくとかですね。 ○桜井部会長 色にしなくても穴の距離でも何でも、はめようと思ってもはまらないと いうことができるわけですから。どうぞ。 ○松谷委員 当事者の脳外科ですけれども、これは多分使う機器によって違うと思うの で、私どもが使っているのはモノポーラとバイポーラで別のプラグになっていまして、 絶対に間違わないようになっています。ですからこういう心配があるのは、ある特定の メーカーの品ではないかと思います。  それからこれは余り直接ではないですが、この資料の1ページに「脳外科」と書いて ありますけれども、正式には「脳神経外科」です。「脳外科」は通称にすぎませんので。 ○桜井部会長 ほかに何かございますか。 ○笠貫委員 資料1-8の盗難防止装置等による電波の医用機器への影響ですが、これは ファントムを使った実験データの結果だと思いますが、影響として不要除細動ショック が発生したことはかなり重大なことだと思います。先ほど御説明がございましたように、 どのようにこのゲート内を速やかに退去するかということは11ページで十分説明があ ると思います。しかし、この盗難防止装置が実際にどこにあるのかということが必ずし も明示されていない、あるいは分かりにくい場合があるわけです。EASというステッ カーをはることにはなっていると思うのですが、メーカーの方にそれを分かりやすく表 示するということをどこかにうたっていただくように、注意を喚起するか勧告すること が必要かと思います。それから患者様の方に対しても、EASという表示があるかどう かをあらかじめ確認することも必要なのではないかと思います。表示なしで実際に通る ときに分からないところに設置してあるのがどのくらいあるかについては、現状ではつ かめないだろうと思います。それをどういうふうに担保できるかという方法をちょっと 考えていただくことが必要かと思います。これは患者様の方も医療機関の方もEASが 盗難防止装置であることを知らない人もたくさんいるのではないかと思うので、そうい う意味の表示の仕方を指導していただくと有り難いと思います。 ○事務局 患者サイド、医療機関サイドについてはこういった情報ツールを使いまして、 EAS表示も含めましてもう少しその周知を徹底してまいりたいと思います。あともう 一つの、逆にRFID機器側とか盗難防止装置側については、総務省、経済産業省の方 々とも協力した形で対応といいますか、働き掛けを考えてみたいと思います。 ○桜井部会長 酒井先生、いわゆるユビキタス社会とか何とかということになると、ま すますこういう危険といいますか、可能性が増えますか。 ○酒井委員 病院情報システムの中では、今からこういうICタグとか無線LANがど んどん入ってくる可能性があると思うのです。それに伴って入院している患者さんのペ ースメーカの問題もありますが、そのほかに様々な医療機器に対する影響が個々に出て くる可能性もありますので、やはり十分に長期的にまたいろいろなところから監視する 必要があると思います。さらに私がこれで気になりましたのが、ペースメーカに対する 影響ということで、その周波数に合ったものに対して反応するかどうかですけれども、 それぞれの発信器というか、盗難防止装置、RFID又は無線LANがどういう周波数 でどのくらいの出力を出しているかということを明確にすると。そうしながら今度は逆 に、ペースメーカはどういう周波数のどのくらいの出力に影響するのかというスペック をきちんと書いてもらわないと、たまたま問題はなかったけれども、ある無線LANと か、又は新しい盗難防止装置のときにはもっと影響があったとか、そういう可能性があ りますので、この辺も長期的に見ていただきたいと思います。 ○佐伯委員 前回のときも私はお尋ねしたのですが、空港の通るところは大丈夫だった のでしょうか。あるいは同じようなことであると。このごろまた更に厳しいものになっ てきて、大きな穴の空いたスプーンのようなものをくっつけて探査しますが、ああいう ものは影響はあるのかどうか、あるいはそれについて表示があるのかどうか、又は例え ば搭乗手続のときにそういうペースメーカを付けている方はお申し出くださいとか、そ のようなことまでもう配慮ができているのか教えていただければと思います。 ○事務局 一応今回こちらの方で注意喚起を図らせていただいているものは総務省でま とめられた試験結果に基づいたものになるのですが、では具体的に不具合報告として上 がってきているかどうかでございますけれども、確定したものとして上がってきている ものはまだございません。それから表示の部分についてはちょっと確認しないと分かり ませんけれども、そこについてはちょっと確認をしてみたいと思います。 ○笠貫委員 御質問の飛行機に乗る際のゲートですが、通常ペースメーカの手帳を見せ ればゲートを通過しないでよいことにはなっています。それは患者様にはドクターサイ ドとメーカーサイドから十分説明が行っていると私は思っています。 ○桜井部会長 ありがとうございました。それでは資料1-1〜1-9までで何かほかに御質 問、御意見ございますか。よろしゅうございますか。それでは一応議題1を終了させて いただきます。議題2は安全対策措置に対することですが、御説明願います。 ○事務局 それでは資料2を説明させていただきたいと思います。まず資料2-1、「薬 事法第77条の4の4の規定に基づく薬事・食品衛生審議会への不具合・感染症報告につ いて」を御覧いただきたいと思います。薬事法第77条の4の4に基づきまして、当該薬 事・食品衛生審議会に報告すべきものが定められております。それが資料2-2、2-3、2-4 となってございますが、今回は4〜9月末までの案件を集計させていただいております。 前回は本年3月31日までの分を御紹介させていただきましたので、今回はその後のもの についてということになります。今回の件数でございますけれども、不具合・感染症報 告といたしましては7,369件、具体的な一覧表は後ほど資料2-2を御覧いただきたいと 思います。それから海外においてどういう措置が講じられたかという外国措置報告につ いては157件、研究報告は109件でございました。医療機関からの直接報告は325件に なります。約6か月間でこのような数字となってございます。また、当然データの取扱 い上どのような形で算定するかというのがございますけれども、この算定のときの注意 事項を下の四角い囲いに載せております。結果的には調査していくうちに実は不具合で はないのではないかというものも幾つか含まれているのですけれども、少なくとも報告 様式といたしましては、まずその期間に報告があったものを集計して載せさせていただ いております。  それから具体的に話を進めてまいりますが、まず不具合報告でございます。資料2-2 の一覧表を御覧いただきたいと思います。こちらは横表で並んでおりまして、7,369件 をそのまま書くとかなりの行数になりますので一定のルールを設けまして、同じ不具合 や健康被害の場合には「他同一不具合:○件」という形で一行にまとめることによって 申請を上げさせていただいております。並べている順番は用具の種類を表す一般名称分 類順となってございます。今回の資料で御説明しておきたいものがございまして、不具 合が多数発生しているものが一点ございます。17ページ付近のオプチペンプロ1という ものですが、こちらは件数上多数カウントされておりますけれども、健康被害として報 告上どのようになっているのかというのを我々の方で確認いたしましたところ、低血糖、 高血糖といったようなもの、その他の件数は1〜2件でございますが、違和感といった ようなものがございます。これらの報告があった製品を製造業者が回収したものがどの ような不具合があるのかということを原因分析したところ、大きく四つに大別されるこ とが分かっております。  まず一つ目がオプチペンの単位設定ダイヤルのクリック感がなくなるというもので す。今幾つかサンプルがあるので回せるかと思うのですが、単位設定ダイヤルのカチカ チという音がなくなってしまう不具合です。この場合はカートリッジ交換時のピストン 棒のリセットが不可能になってしまって結局は打てなくなってしまうのですが、ただし この不具合が起きても注入している間はその精度は保たれているという分析結果が上が ってきております。  それから二つ目としましては、このオプチペンにランタスというカートリッジをセッ トするのですが、カートリッジ300単位を使用した後に更にランタスを押し出そうとし て単位設定ダイヤルを押し込みますとオプチペンがロックされてしまう、結局投与不可 能になってしまうという不具合が上がってきています。これは使い切って最後更に絞り 出そうとすると止まってしまう、動かなくなってしまうというものです。  三つ目としましては、単位設定ダイヤルを通常の用量設定の方法とは逆向きに回すよ うな行為をしてそのまま押し込むとロックされてしまう、やはり結局打てなくなってし まうというものがございます。  それから四つ目としましては、回収してみたけれども実際にその製品について不良が なかったと。そういった四つのカテゴリーに分類されることが分かりました。  まず一つ目のカラカラ回ってしまってカチカチした音がなくなってしまうという不具 合でございますけれども、回収された品目については注入量の精度が担保されていると いう結果が得られていまして、ただ一方で高血糖、低血糖が報告されていると。これの 考え方としては当該事象が発生した時点の患者素因、例えば運動量であるとか食事量で あるとか、こういったものの可能性が否定できないのではないかといったことが考えら れます。それから先ほど説明した二つ目、三つ目の操作によって動かなくなってしまう ということですが、これについては打てなくなるので、打てないことによって高血糖が 起きる可能性はあるのですけれども、低血糖についてはよく分からない、患者素因なの ではないかと。それから実際に回収してみたけれども、投与もできるし壊れていないと いうケースもありまして、こういったものについてはやはり因果関係としてよく分から ないと。患者素因の可能性はやはり否定できないのではないかといった分析が上がって きております。  ではこれを野放しにしておくのかという話になるのですけれども、そういったわけで はございませんで、現状添付文書の中にこういった不具合が発生した場合にあっては速 やかに交換を行ってくださいと、それから予備のオプチペンを持ってくださいという注 意書きをするとともに、それからこちらの輸入販売業者の方でこの製品とはまた別の改 良版の製品を現在準備しておりまして、それが近々上市できそうだという話は聞いてお ります。こちらの資料については以上でございます。  それから資料2-3、2-4でございますが、前回の報告と基本的に形式については変えて ございません。措置報告については前回の御指摘の中で「回収」と「改修」の発音が同 じなので分かりにくい、「recall」と「repair」という表記も併せてしてほしいという ことでしたので、この点については今回措置報告の資料の方に表示させていただいてお ります。以上でございます。 ○桜井部会長 どうもありがとうございました。何か御質問、御意見ございますか。 ○土屋(文)委員 オプチペンについては私どもといいますか、ある県病薬の調査でも何 回か使うと交換せざるを得ないというような状況だというデータが実際に出ておりまし て、これだけの件数、番号で見ても275〜560で、その右側に他同一不具合何十症例とい う事例があったときに、やはりこれだけ出てくるといかがなものかという話があります。 それからもともとインスリンについてはヒューマンエラー部会の方でも、少なくともこ ういったものの操作性の標準化とかそういったことをやらないとやはり医療事故につな がるのではないかといったときに、やはりこういうところをもう少し厳しくいろいろや っていかないといけないのではないかという気がします。もちろん患者さんによるとい う事例は多数あるだろうとは思いますけれども、ここまで集まってくれば基本的にはこ れは物としてちょっといかがなものかということになるだろうという気がします。取り あえず交換してとか、予備のものをと言いますが、現場にしてみれば予備のものを持っ ていますかとかそういうことは結構大変なことでございますし、自己注とかそういう話 になりますと結局は保険薬局においてもそういうことをいろいろ徹底していかなければ いけないものですから、そういった意味でここまで件数の多いものについては何らかの 措置といいますか、そういうことが本当は必要なのかなという気がいたします。添付文 書の改訂というか、添付文書上で注意をするということだけではなくて、何かいろいろ やっていかなければいけないのではないかという気がするのですが。 ○桜井部会長 どうぞ。 ○長尾委員 前にもこれに近いようなことを聞いたかもしれませんが、この不具合報告 はルールに従ってここに出てくると思うのですけれども、この一般的な開示というのは 今どうなっているのかということなのですが。つまりもう片っ端から出るようになって いるか、あるいはここで出したらどこかへ出るのか、又はどこにも出ないのか。 ○事務局 部会の資料がそのまま公開になりますので、こちらの部会が終わりますとこ の不具合のリストが公開されていきます。そこが一番のメインといいますか、そういっ たツールがございます。 ○長尾委員 そうすると、時間的にはこの部会が行われるタイミングでしか出ていかな いということですか。 ○事務局 そのような形になります。 ○酒井委員 特にこれは患者さんが使うような器械で、在宅の器械ですが、医家向けの 添付文書もありますけれども、添付文書での患者さんへの注意喚起というのはどのよう になっているのでしょうか。実際にそこに一緒に付いているような気はするのですが、 医家向けだけだと何もできないと思うのですけれども、今度は患者さんが使う際にどこ までこういうトラブルがありますよという添付文書になっているかということがない と、同じようなことが起こってしまうのかなと理解したのですが。 ○事務局 どれくらい起きるかという頻度までは書いていなかったと思うのですが、特 に主だったこの三つの事象についてはその起こり方といいますか、その詳細が書いてあ りまして、そういったことが起きたときには交換していくような趣旨として記載がござ います。 ○酒井委員 現状としては患者さん向けの添付文書は付いているのでしょうか。その中 にはそういう記載はないわけですね。 ○事務局 この不具合等を踏まえて実際に6月に一度添付文書を変えているのですけれ ども、その際に患者の方の使用方法の部分については徹底すべく、とにかく標準的な使 い方の部分についてまでは添付文書の中で記載しているところでございます。  それから土屋先生の方から今の時点で更に措置を採るべきではないかということでご ざいますが、実際これらの不具合についてはこういったことが起きた場合には交換する よう添付文書に記載済みであること、それからここ6か月間のこれらの不具合の発生頻 度等についてちょっと確認をとっているのですが、そういったことからするとこの発生 頻度自体は今のところ大きな変化はない状態でございます。ただ我々としてもこういう 発生頻度がもし変わってくるのであれば、そこではやはり何か手を打たなければいけな いだろうと、積極的にそこはやるのだろうと考えているところでございます。 ○土屋(文)委員 申出があったときに交換するとかそういう話はもちろん当たり前なの ですけれども、そうではなくてやはり患者さんに対してこういうことが起きるかもしれ ないということも言わざるを得ないところがあると思うのです。要するに、患者さんが 不具合ではなくて、自分のやり方が悪いのかなと思ってしまう場合もあり得るわけです から、これについては少なくとも不具合がたくさん生じているという情報がきちんと患 者さんに伝わっていることが、実は違うかもしれないけれども、これはひょっとしたら 不具合だと言いやすくなると。そういう掘り起こした形を採らないと、本当にまれなも のはいいですけれども、これだけ例数が出てきているものについては潜在的なものを顕 在化させる努力をしないと、現実としては報告されない不具合がたくさん出ている可能 性もあります。申出があったときには交換することというのは当たり前の話ですけれど も、もっと医療関係者及び患者さんに対してそういう情報を伝えるような手段を採って いかないと、ここまで集まったときにこれだからというのではなく、特にこういう自己 注用のものなどについてはなるべく早い段階でそういうことを徹底していくという、要 するにそういう情報を徹底していくというすべを作っておかないと、結果としては遅れ てしまうのかなという気がするのですが。 ○野中委員 今土屋先生が言われたことは大事なことで、当然だと思います。先ほど常 識的に考えれば代替器を持っていることと簡単に言われましたけれども、実際に現場で は患者さんに代替器を持っていただくことはいろいろ無理な点があるので、もし例えば 本当に患者さんに代替器を持ってもらうには現場でどういう方法を採られるか、そのこ とをきちんと検討されて言われないと、常識的には代替器を持つということは簡単で当 たり前のことですけれども、そのことがどういうことなのかという意味を十分御理解な さって代替器のことは発言された方がいいと思いますので、よろしくお願いします。 ○桜井部会長 今代替器を持つことについての具体的な方策というのはどういうふうに お考えになっているのですか。 ○事務局 この代替器の記載でございますけれども、これは実はこのオプチペンに限っ たことではなくて、他社製品でもやはり代替器を持ってくださいということもございま す。こういった状況になっておりますので、このオプチペンについてもやはり持たなく ていいということはないだろうと、持っていただくのではないかと。 ○野中委員 ですから持ってもらうことは分かるのですけれども、2台持ってもらうの にその費用はどうなっているのですかということがあるわけですね。それから例えばほ かのメーカーのものを使えばアンプルなどが全部違うわけですから、注射器で打つ方が まだ簡単だったわけです。しかしこれでやるのだったら、中のアンプルとかそういうも のをすべて替えるということは、代替器を持ってくださいと言うほど簡単なことで保険 診療の中でできているわけではないのです。ですからそのことを十分理解されて、常識 的には代替器を持つのは当たり前の話ですけれども、それが現実に患者さんや医療機関 にとって適切にできるかどうかをきちんと理解してお話しになった方がいいですよとい う話です。 ○桜井部会長 よろしいでしょうか。実行性の問題というか、それが実現できるかどう かというのは大変大事なことだと思います。 ○小柳委員 先ほど特に議論がなく過ぎてしまったのですが、これと全く同じことが血 糖測定器にもありまして、これもなかなか際どい在宅医療だと思うのです。これは我が 国に40〜50種類あると思うのですが、よく知りませんけれども、ほとんどすべて外国製 でして、日本製だともっと立派なものができると思うのですが、実際に見ましてもなか なか簡素な作りなのです。不具合が起きる可能性は大いにあると思うのですけれども、 患者さんは血糖測定器で自分の数字が異常かどうかはなかなか分からないのです。医師 がどういうアラートを出しているかというと、具合が悪くなったらブドウ糖をなめなが ら病院においでということを言っているのです。それでだんだんいい数字が出なくなっ たら3年で替えなさいというような非常に漠然とした指示が出ているのです。血糖測定 器ですから、インスリンの注入器を含めて酒井先生のおっしゃった在宅の非常に怖い分 野ですので、是非御検討を進められたらいいかと思っております。患者さんはほとんど 数字をそのまま読むしかないので、安心している可能性もちょっとありますから、危険 だと思います。 ○桜井部会長 大変大事な御指摘だと思います。これからはやはりセルフメディケーシ ョンというのでしょうか、そういうものが増えてくると思うので、やはり一貫した対策 が必要になってくると思います。ほかはよろしゅうございますか。どうぞ。 ○澤委員 12ページにございますが、この眼内レンズは安全性情報が出たレンズだと思 います。これは特殊なハイドロキシヘマレンズですね。メチルメタクリレートのレンズ ですが、製造上容器とこの眼内レンズとのガスケットを変えることでこのカルシウムの 沈着は防げるという業者からの回答があったと思いますが、その変更前後で眼内レンズ のカルシウムの沈着にどのような違いが出ているのか、業者からきちんとした対応があ るのでしょうか。それから外国措置の方の2ページでイギリスでは注意喚起を出してい るということですが、日本での注意喚起と同じレベルの内容なのかどうかということに ついてお尋ねします。 ○事務局 眼内レンズの関係でございますけれども、このボシュロムの製品については パッケージ変更後カルシウム沈着は0件でございます。それからこの注意喚起でござい ますけれども、これについては医薬品・医療用具等安全性情報の中で発生傾向、発生予 測であるとか、そういう形を伴って注意喚起を行っております。 ○澤委員 ありがとうございました。 ○桜井部会長 よろしいですか。笠貫委員、どうぞ。 ○笠貫委員 46ページの除細動器のところで死亡2例と不明というのがあるのですが、 除細動器の場合には命に直結することになりますので、この不明というのは明らかには ならないのでしょうか。 ○事務局 ちょっと今確認いたします。 ○笠貫委員 それから48ページですけれども、ペースメーカの不具合の中で出力停止と いうのは大きな問題です。結果的に今回の場合には健康の被害状況がなかったというこ とは自己リズムがあったと考えられますが、同一機種の中にこういった出力停止がある ということについての調査がなされているかどうか、教えていただけたらと思います。 ○佐伯委員 同様ですが、14ページの骨セメントで不具合状況がなし、あるいは不明で 死亡も含めかなり重篤な健康被害状況がございますけれども、これも同じように教えて いただきたいのですが。 ○桜井部会長 ペースメーカの出力停止はどうでしょうか。何か今分かりますか。  ○事務局 ちょっと今データべースを確認中です。 ○桜井部会長 それから佐伯先生の骨セメントは何が…。 ○佐伯委員 14ページを見ますと、不具合状況がないのに死亡も含めてかなり重篤な被 害が起こっています。 ○勝呂委員 私は整形外科なので私の知る範囲で。私も実はこれを聞こうと思っていた のですが、あれほど社会の話題になって、骨セメントの使用時の注意事項を各施設に周 知徹底したにもかかわらずこれぐらい出てきていると。これは中身を見ると脂肪塞栓を 除いてセメントとは直接関係ないと思うのです。しかしそれ以外は全部骨セメントの溶 液側の血管内流入による心の拍出抑制と理解していいのではないかとは思うのです。で すから恐らく使用方法の徹底が行った割にも、ある時期を過ぎるとまた忘れてしまうの ではないかなという感じがあって、これは頻度的にちょっと高いですね。恐らくベース が70、あるいは80、90の患者さんを対象に行われているので、予備能力がなくてこう いうことが起きているのだろうと思うのですが、やはり国内ではもう一度使用方法の徹 底をメーカーに言って確認するのがいいかと思います。というのは私たち自分自身でも 年間100〜150人ぐらいの患者さんに対して骨セメントを使っていますが、過去30年間 ぐらい心停止は1例もないので、やはり使用方法をもう一度周知させればこれは恐らく ゼロとはいきませんけれども、この期間に国内としては1例又は2例ぐらいに抑えられ るのではないかと私は個人的には思っております。 ○桜井部会長 よろしいでしょうか。不具合がないというのは、結局セメントはのりみ たいなものですから、それ自体に欠陥はないのだと。ということは逆に言うと、セメン ト自体に何か本質的な問題があるとも言えるのです。ですから今先生がおっしゃったよ うに、よほど慎重に使用しないと心停止とか塞栓とか低血圧が起こると。私が冒頭に申 し上げたように、医療器械というのは物もさることながら使用法が非常にスキルが要る ということで、その一例かなという気がいたします。 ○佐伯委員 分かりました。そうしますと、またさらに認定医ですとか専門医などの講 習会のようなことも必要ということでしょうか。 ○勝呂委員 人工関節でこのセメントというのは、専門医であればほぼ日常の診療手術 の中で使うのです。本邦で股関節と人工骨頭の両方を合わせると恐らく年間7〜8万件 くらい手術されるのではないかと。そのうちセメントを使う率というのは日本だと約6 〜7割だと思うのです。そのことからいってこの頻度というのは決して高いわけではな いので、ベースの患者さんの年齢を書かれれば分かると思うのですけれども、多分対象 例というのはいずれも超高齢者で、逆にやはりそういう形にセメントを使うので出てき ているのではないかと思うのです。ですから基本的に血圧は下がるものだということで、 たしか指導だと麻酔医が正しく管理しているところで使いなさいという指示が出ている のです。その再度の徹底をしてしかるべき麻酔医がコントロールしてくれれば、基本的 には血圧低下を避ければ心停止に至るということはないので、使用方法とその状況の起 き得る事象…、というのはこの骨セメントを使うメリットは非常に大きいわけです。で すから、メリット対デメリットのバランスで使用方法をもう一度周知する時期かなと。 1年以上たちますので、そろそろ必要な時期かなと思います。 ○佐伯委員 分かりました。 ○桜井部会長 ありがとうございました。 ○小野委員 一つお願いなのですが、データベースに入れるのは大変なのでしょうけれ ども、できれば全体について使用期間のようなもの、要するに何年くらい使っているも のなのかという情報が欲しいと思います。それからもう一つは、この表の中の最後のと ころで結構ですが、簡単なことで採られた処置というものがデータベース上は必要なの ではないかと思いました。 ○井部委員 この医療用具不具合報告をするようになってから2年くらいたちますでし ょうか。私の関心事はこれがどのくらい定着しているかということですが、医療関係者 からの医療用具不具合の報告が325件と資料2-1に書いてありますけれども、体制的に どのようなルートで上がってきているのか。例えば医療安全管理室の人から出ているの か、あるいは個別に医師から出ているのか、たまたまそこに遭遇した看護師から報告さ れているのか。御覧になって、そういう体制的にはなかなかよくなってきたと思われる のか、まだまだなのか、感触を教えていただきたいと思います。 ○事務局 まずどういった方から上がってくるかということでございますが、これはケ ース・バイ・ケースでございまして、病院によっては副院長や院長級から上がってくる ケースもございます。それから担当部長級であるケースもございますし、やはり医療機 関の規模に応じて、それぞれ医療機関の方でこういったものを提出するスキームを定め ていらっしゃるのだと思うのですが、それによって様々という状況です。 ○井部委員 先ほど土屋委員からもありましたように、体制的にきちんと整えることが 重要だと思うので、そうしたルートの変遷も御覧になっていただければと思います。 ○目黒委員 先ほど小野先生の方からも対処のことが言われているのですが、例えば医 療機器から見ますと8ページ辺りに「機器内部の一部焼損により」という、モニターが 焼けたということが書いてあります。要するに医療機器の場合、ほか呼吸器もそうです が、取扱説明書に沿った定期点検がなされた上で起こっている事例なのかどうかという ことが、これは全部報告ですからきちんとやっていたと解釈していいのかというのが非 常に分からなかったのです。そこら辺は報告としては、メーカー側の保守点検がきちん となされていて出てきたのかなということが知りたいのですが。 ○事務局 実際に不具合報告を頂くときに、このケースはメーカー経由になりますが、 メーカーの方が医療機関にまいりまして、その医療機関の方から得られる情報の中で当 然よくあるのが患者素因、それから手技の問題、また当然不具合ということですので物 自体の問題、その三つが絡まった状態で上がってくる状況になるのです。私どもも例え ば患者素因なのにこのものを回収させるというのはいかがなものかというところもさす がにありますので、そこについてはメーカーを通じてできるだけ切り分けると。切り分 けられないことも多々あるのですけれども、切り分けられないときには切り分けられな いながらに措置を講じていくのですが、できるだけ切り分けた形で報告するようにとい うことはずっと指導しております。そうしたときにそれが寿命なのか、耐用期間的な問 題なのか、そういったところが浮かび上がってくるような形で報告いただいております。 ○目黒委員 メーカー側報告ということでは、一応きちんと整理された状況でというこ とで考えていいのですよね。 ○事務局 法的にそこを必ず書きなさいということではありませんが、実際に指導状況 の中でどうしてもそこを切り分けなければいけない作業が発生するものですから、そこ については分けて報告いただくと。 ○目黒委員 分かりました。かなり重要な部分だと思いますので、確認事項としてどこ か項目を設けて、メーカーがどういうふうにやっているかということをきちんとチェッ クすべきかなという気がします。メーカーの方にきちんとさせないと、どうもこの報告 だけを見ているといろいろ…、要するに医療現場の中で医療機器がありますけれども、 例えば私のところで輸液ポンプがありますが、取扱説明書に書かれたとおりの点検をや っていますと実際には仕事は進みません。莫大な時間を要しますので、現場の判断の中 でできる範囲の点検しかできないというのが現状のところも多々あると思います。ME の方々、要するに臨床工学の方が一施設に何十人もいれば、それから点検機器がたくさ んあればできると思うのですけれども、実際にはそれができにくい状況が多々あると思 いますので、そこで今気になって聞いてみたのですが。 ○事務局 不具合報告の様式を私どもは通知で示しておりまして、その中で医療機器の 使用状況という欄がございまして、初回使用で壊れてしまったのか、又は何回目で壊れ たのか、それから使用開始後どのくらいで壊れたのかという欄を設けさせていただいて おります。 ○目黒委員 分かりました。 ○桜井部会長 今の御意見は結局どこに問題があるのかということを探り出すというこ とで非常に大事だと思うのです。やはりここに結び付かないと本当に形式的な報告にな ってしまうおそれがあるので、やはりどこに問題があるのかを掘り起こすような形の報 告をおとりいただくようお願いしたいということだろうと思います。先ほどのペースメ ーカのお答えは後で笠貫先生に…。 ○事務局 申し訳ありません。ちょっと調べます。 ○桜井部会長 どうぞ、小野委員。 ── 松谷委員退席 ── ○小野委員 先ほどの情報提供という意味で、要するに使用期間の表示及び採られた処 置、例えば判断としていろいろあるわけですね。誤使用だとか不適正使用だとか、ある いは不具合だとかいろいろ前に決めたようなものがあったと思うのです。これが公開さ れるとすればそれも大きな情報ではないかと思うのです。それからどのくらいで起きて いるのかというのも、うちのは古いから気を付けようとか、あるいは捨てようとかとい う話にもなるわけですから、一つ一つのものにはかなり深い情報がそちらにはあると思 いますので、そういう情報を全部公開するのは難しいですが、そういう形での注意喚起 をするために期間と処置というのは必要ではないかと思っているわけです。 ○桜井部会長 ありがとうございました。先ほどの井部先生の御質問ともちょっと関連 するのですが、このメーカーからの報告が7,000幾つで、医療機関からが300幾つと20 分の1ですね。この辺はどういうふうに解釈するのでしょうか。 ○事務局 これはちょっと一つ考えられるのが、法的にはまずメーカー経由で上がって くるものについては重篤、既知・未知、それから中等度のもの、健康被害に至ったもの という形で明確にその範囲が決まっている状況になっています。それから医療機関から 報告を受けるときは、まず医療機関の方の判断として報告すべきかどうか。法律上重要 な情報かどうかということを報告者が判断して、それが必要だと思ったときには我々の 方に報告しなければならないという形を採っておりまして、そういったところに若干差 があるのかもしれません。 ○桜井部会長 若干でないですよね、20分の1でしょう。ですから本質的な問題がやは り何かあるのでしょうね。市販後の不具合というかそういうことは医療機関が一番直面 するのではないかと素朴に考えるのですが、その辺が何か差があり過ぎるなという感じ なのですが、何か問題があるのでしょうか。 ○安全対策課長 実はこれは両方やらなければいけないというわけではなくて、どちら か片一方でいいということになりますと…。 ○桜井部会長 そういうことを言っているのではなくて、差がある…。 ○安全対策課長 ですからお医者さんあるいは医療機関の方からいうと、メーカーの方 にこういうものがあったと言う方が最初は楽なのではないかと思います。 ○桜井部会長 メーカーを通じて報告するという。 ○安全対策課長 その方が定着していることもありまして、そちらの方から来まして、 それ以外にやはりメーカーが余り来ないケースとか、あるいは緊急性があるかもしれな いと思われたケースではダイレクトに厚生労働省の方に報告されると。いわば病院その もののやり方として何か決めておられるケースもあると思います。 ○桜井部会長 これは重複して報告してもいいわけですね。 ○安全対策課長 重複しても結構ですし、重複するかどうかもまたこちらの方からメー カーを通じてこういう報告があったかどうかの突合をするようにしておりますので、よ り完璧にしていただくのだったら重複して言っていただくのが一番確実だと思います。 ○桜井部会長 ほかはよろしゅうございますか。 ○酒井委員 この医療機関の報告については既に報告義務があるわけですけれども、や はりこの文言の中で医療機関が必要と思ったときというのですか、その言葉が自分たち がそう考えているのか、他の医療施設の方でも同じようなことが再発するのかとかいう 解釈が個々であって、そのためにこのように20分の1になってしまっているのではない だろうかと。したがって、その辺の薬事法上の文言をもう一回きちんと見直された方が いいのかなと私は思います。 ○桜井部会長 ありがとうございました。ほかはよろしゅうございますか。どうぞ、澤 先生。 ○澤委員 今の問題ですけれども、情報伝達ということでは今病院では医療安全対策室 が全部必要とされておりますし、特定機能病院では専任の担当者を置くことということ で、医療法25条で最近は医療安全に関しての立入りが重点的なのです。ですから、私の ところではインシデントレポートで医療器具に関する報告がありますと、これは厚生労 働省に黄色い用紙を使って送るようにという指導をしているわけですけれども、そのよ うな25条での立入りとかそういったところでどんどん指導していくということが特定 機能病院以外のところにも進めば医療関係、病院関係からも上がってくるのではないか と思います。 ○桜井部会長 ありがとうございました。ほかはよろしいでしょうか。どうぞ。 ○笠貫委員 医療情報の収集伝達ですが、医薬行政ではMRは非常に重要な役割をして いるわけです。半ば公的な役割をメーカーサイドのMRが担っているのですが、今御指 摘があったように、医療機器について新しいスキームをどういうふうに作っていくのか という過程にあるのだろうと思いますが、それぞれのところを充実させなければいけな いと思います。私は医薬行政でMRに当たるものを医療機器においてどういうふうに育 成していくのか、システム作りをしていくのかということも大変重要であり、医療機関 の方を含めて、是非枠組み作りをシステマティックに進めていただけたら有り難いと思 います。 ○桜井部会長 ありがとうございました。どうぞ。 ○佐伯委員 外国措置報告の資料の報告内容のところで、「回収(recall)」の後に「(日 本国内なし)」というのは、もともと日本国内では使っていなくてなしなのか、日本国内 で使っているけれども、それについてはrecallはしなかったのか、その辺りが私はちょ っと分からないので教えてください。 ○事務局 こちらは例えば海外で承認を持っていて流通していて、ただ実際にそういっ たものが国内で輸入販売承認を取っていない等の理由で流通していないものを日本国内 にはこういったものがないという形で表示させていただきました。  もう一つのケースとしまして、国内で承認を取っているけれども、当該ロットが国内 には流通していないものでございます。 ○佐伯委員 流通がないということなのですね。 ○事務局 流通がないということです。 ○佐伯委員 そう書いておいていただく方がよろしいと思います。 ○桜井部会長 ほかはよろしいでしょうか。どうぞ。 ○酒井委員 医療機関からの報告が325件ありますけれども、この間学会がありまして このようなことも話題になったのですが、医療機関では病院長又は安全対策室などいろ いろなところからまとめて報告しているわけですけれども、その報告に対するフィード バックがないことに対して、またそれがどう扱われているか分からないために、だんだ ん報告する気力がなくなってしまうということを私たちは非常に心配しております。そ の中で例えばこういうものについてはこういうふうに扱ったというフィードバック、非 常にお忙しいと思いますけれども、325件についてそれぞれの医療機関に返すというこ とでなくても結構ですが、こういう事例が報告されて、それに対して厚生労働省の方で はどういうふうに扱ったのかということをしていただくともっと不具合の報告が増えて くるだろうし、周りの医療機関にももっと十分に反映できるのではないかと思いますの で、是非それについてまた御検討いただきたいと思います。 ○桜井部会長 ありがとうございました。どうやってインセンティブを与えるかという ことですが、何かお考えいただければ有り難いと思います。ほかはよろしいでしょうか。 それでは最後の議題3、感染症報告について御説明願います。 ○事務局 事務局から議題3について御説明させていただきます。薬事法第68条の8に 基づきまして、生物由来製品の製造等をした企業から報告された感染症定期報告の状況 について御報告させていただきたいと思います。お手持ちの資料3-1及び3-2を御用意 ください。まず資料3-1でございますが、これは平成16年4月1日〜9月30日までに 生物由来製品の製造業者等から報告された感染症定期報告について、報告の登録順に並 べて表にした資料でございます。この期間に46件の報告がございまして、ブタ由来のヘ パリンを器具にコーティングした医療器具が35件、全体の約8割を占めてございます。 その他ウロキナーゼが3件、ブタの心臓弁が2件、その他各1件の報告となっておりま す。このうち感染症に関する文献等を添付した報告数が24件ございまして、資料3-1 は報告順に並べておりますが、同一の論文等がございますので、感染症ごとに整理した ものが資料3-2となっております。  本日は資料3-2に基づきまして感染症定期報告に添付された文献等の内容について御 説明させていただきたいと思います。全体といたしまして、報告者から約27の感染症に 関して82件の論文等が提出されております。文献等が多く提出された感染症はE型肝炎 が14件、インフルエンザが11件、クロイツフェルト・ヤコブ病が7件、豚コレラが6 件などとなっております。これらの文献等については事前評価委員の先生方に査読して いただき、緊急の措置を講ずる必要があるかどうか御意見を頂いているところでござい ます。  それでは今回の文献等について主なものを御紹介させていただきます。まず1ページ にE型肝炎に関する報告がございます。ブタが人畜共通感染症の感染源となっているこ と、それから特に加熱不十分なブタの肝臓が感染源となり得るのでよく加熱する必要が あること、その他世界各国でブタがE型肝炎ウイルスを保有していることなどについて 報告がなされております。E型肝炎については各製品においてウイルスの不活化工程が なされていることから、その安全性については確保されていると考えられるところでご ざいます。1ページの下から2ページの上までインフルエンザの報告がございますが、 世界各国におけるトリインフルエンザの発生、それからヒト、ブタ、トリのインフルエ ンザがブタにおいて遺伝子再構成を起こす可能性があることについて報告されておりま す。  2ページのインフルエンザの下にニパウイルスの報告がございますが、マレーシアな どで流行したものは自然宿主のオオコウモリからブタを経てヒトに感染したのではとい うような報告がございます。その下のブタ内因性レトロウイルスについては、生で異種 移植をするとヒトに感染するリスクがあるという報告でございます。以上ブタ関係のウ イルス感染の報告がありますが、我が国の各製品についてはウイルスの不活化の工程が ございまして、これらの感染に対する安全性は確保されているものと考えられておりま す。2ページ下のウエストナイルウイルスについては、米国での流行状況を受けて文献 等が出されております。  続きまして3ページにまいりますが、クロイツフェルト・ヤコブ病の報告でございま すけれども、前回も報告されました米国でのBSEに関する報告で、英国における輸血 でのvCJDの発生、スクレイピーのヒツジで微量にプリオン蛋白が検出されたことな どが報告されております。これら一連のBSEの問題に対しては、我が国では米国産の ウシを原料とする医薬品、医療器具への措置等を行っており、前回のこの部会、あるい は安全対策部会、又は伝達性海綿状脳症対策調査会における審議に基づきまして、今後 とも引き続き情報を収集し状況を監視することとなります。  次に4ページにまいりますが、口蹄疫、豚コレラの報告が続いており、いずれもヒト に感染するウイルスではございませんが、世界各地での流行状況なども報告されており ます。ただいま御紹介した以外にも資料のとおり文献等が報告されておりますが、これ らの概要については本日御出席の倉田委員、山口委員、それから本日は御欠席ですが甲 斐委員にも御確認いただき、流行の地域が限定されていることやウイルスの不活化工程 などを踏まえると緊急の措置を講ずる必要はないけれども、今後とも報告者は情報収集 に努めるようにとの御指示を頂いているところでございます。事前評価委員の先生から 御追加等があればお願いしたいと思いますが、事務局からの説明は以上でございます。 ○桜井部会長 どうもありがとうございました。これは大変な労作というか、膨大な文 献からピックアップされたのですが、倉田先生何かコメントを頂けますでしょうか。 ○倉田委員 特別なことはありませんが、付け加えることもちょっと含めまして。今報 告がありましたように、ここにある論文の大部分は動物が細菌、ウイルス、プリオンな どいろいろなものを持っていたと。そういうことがよく集められた報告だと思います。 安全対策部会の方でも医薬品に関してこれの数倍あるものが集められて、これだけ集ま ったすばらしい論文集はないというぐらいに労作といいますか、きちんと集められてお りまして感激しております。  今回のこれに関しましてはヒトに感染があったというのは非常にまれでして、あと動 物が持っているということで、こういうことが今後の医療対策には非常に役に立つとい うことであります。それで日常生活では例えばブタのE型肝炎がありますが、十分加熱 して食べればいいということであろうと思います。昨日の新聞に大きな記事がありまし たが、もしそれが本当だとすれば人間がだんだん獣のような物の食べ方をするようにな ってきたと。何でも生で食べる、野菜もしかり、生で食べる野菜もありますが、そうで ない本来熱を通していたものまでも生で食べると。それが健康だ、自然食品だというの は非常に大きな間違いで、そこから出てきている感染症、それからいろいろな問題が幾 らでもあるわけですが、そういうことを推奨するグループがまた一方にございます。そ れを非難するわけではありませんが、起こった結果は自分の責任だということはまじめ に考えないといけない。すべての生の食品、すべてのものを厚生労働省が絶対の安全を 保証するということは絶対にできることではない。今の100倍のお金を払ってもらって も多分検査は不可能だと。卵を割ってしまって、食べる卵は全部割ったものを売るかと いう話になるわけです。それに近いことが行われています。  昨日の新聞の豚肉の話は、もしこれが本当だとして、というのは6〜7時間たって分 かっているので、その間のものが家族の中で疫学的に本当に証明できるか今調査をして いる段階ですから、ウイルスの遺伝子まで含めた報告がそのうちきちんと出ると思いま す。そういうことで一般的にやらないことをやり出したということ、ウシの問題から始 まってそうですが、生や生焼けで食べると。E型肝炎は正にそれで、80℃になったらウ イルスは完全に死活するのです。その辺の常識は既に皆さんあると思うのですが、もつ を煮て食べる分には多分何も起きないと思います。  ということで、ではこれは医療用具にどういうふうに関係あるかということになりま すが、先ほども事務局からお話がありましたように、ヘパリンとかウロキナーゼはほと んど一般薬品で使われているものと同じバリデーションがされて、リスクとしてはそれ と同じレベルと。そういう意味でいけば、医療用具の使われ方においてもまず問題ない のではないかと思います。  それから1例だけ狂犬病がございますが、これは発症していない感染者の臓器が移植 されたということで、分からない面が多分にあります。感染するチャンスがあってから 最高半年間発症しなかったという例もありますし、早くても1か月掛かるわけで、その チャンスがどういうところにあったかと。日本では幸いに今までのところ45年間全く感 染者も出なければ、病原体も日本には野生にはないのではないかと考えられています。 これはこの部会の問題ではございませんけれども、一般論として犬にワクチンをやらな い人が50%ぐらいいるのです。しかしペットブームでペットを持っている人がどんどん 増えている。もう一つは数百万頭と言われる哺乳類がペットとして輸入されています。 これらの輸入の問題というのは今のところ業者が勝手にやっていいことになっていて、 農水省の問題でもないし、問題が起きれば厚生労働省ということになりますが、この辺 のところの仕切りを、感染症の問題は結構気に掛けてはいますが、そのほかの問題では 何が起きるか分からないものもはっきり言ってかなりあります。そういうことで、今の ところ何もないのですが、ペットの規制が必要な問題が今後かなり起きるのではないか と私は感じております。ズーノーシスの問題というのは非常に注目されて、最近起こっ てきているものは全部ズーノーシスです。ペットから来るものがないということはあり 得ないわけで、この辺の問題もよくテレビを見ていますとペットに口移しで物をやると かあの辺から始まって、こうなってくると自己責任でありまして、その辺のところをみ んな結構起きていなかった、冗談ではない世界中には幾らでも出ているわけで、そうい うことを一般の方々はもっと認識する必要があると。メディアの方がおられたら是非書 いていただきたい。そういうことであります。 ○桜井部会長 ありがとうございました。山口先生、どうぞ。 ○山口委員 今事務局あるいは倉田先生から御説明があったとおりで、感染症定期報告 として寄せられたものを整理し公表することで、情報の共有が可能となり、医療用具の 安全対策が進んでいくのだろうと思います。倉田先生がおっしゃったように、実際にE 型肝炎についてもいろいろなリスクがある部分にはあるのですが、医療用具に使われる 場合には特定の健康な豚から作られますし、プロセスバリデーションが行われているこ とで、すぐに対応を採る必要はないかと思います。その点では事務局から説明があった とおりです。  ただ、クロイツフェルト・ヤコブに関してつい最近11月の始めに仙台で国際会議が行 われまして、ここの中でも輸血によって感染があったということについて議論になりま したので、そのことを追加で御紹介させていただきます。ここに1例と書いてあります けれども、今までクロイツフェルト・ヤコブについては2例の輸血による感染が起きた のではないかという報告があります。1例については扁桃になかったと。これはどうい うことかというと、食事を介して感染が起こったのではないことが考えられると報告が ありまして、食事ではないとすると輸血の可能性がより高くなってきている。要するに、 vCJDが輸血で起こるという可能性は結構なリスクとして認識しておかなければなら ないと考えております。ただ、今現時点で日本に血液製剤由来、例えばヘパリンなども そうですけれども、実際に長期間のイギリス滞在者、あるいはヨーロッパ滞在者等から は献血してもらわないことになっていますので、すぐに対応ということはないと思いま す。以上、ちょっと御報告させていただきます。 ○桜井部会長 ありがとうございました。それでは一応議題3はそれで終わりですが、 よろしゅうございますでしょうか。事務局から何かございますか。 ○安全対策課長 先ほどのオプチペンの議論が途中で終わってしまっていたのですが、 自己注射に使われるということもありまして、通常の医療機器よりも更に踏み込んで指 導等をしていく必要があるだろうというふうに認識いたしました。今回いろいろな不具 合報告がかなりの頻度で出ておりますので、この辺りは使用方法を徹底するということ で一度メーカーを通じて指導いたしたわけでございますけれども、余り頻度が変わらな かったということでございますので、もう少しやり方を工夫する必要があるだろうと思 います。それからこの器具そのものは本質的に自己注射でそのまま使い続けることは無 理だろうというのは前から判断しておりまして、それに代わる故障の少ないものをすぐ 開発するように指導いたしまして、この年末から来年の始めごろにかけてそれが使える ようになってくるようでございますので、至急それに置き換えていくということをかな り積極的にやっていきたいと同時に、新しいものがまた使い勝手が悪いということでは 困りますので、十分万全な体制を採ってやっていきたいと思っております。本質的な問 題でもありますので、行政側としても今後このたぐいの対応方策について十分勉強して いきたいと思いますので、またよろしくお願いしたいと思います。 ○桜井部会長 ありがとうございました。審議官、何か一言。 ○審議官 それでは時間も過ぎておりますのでごく簡単に申し上げたいと思います。何 回か御指摘いただきました情報の伝達について、例えば一方向的なものでは不十分では ないかということ、それから出してからしばらく時間がたつとやはりその効果といいま すか、知識、記憶も薄れるのではないかと、ブースターが必要ではないかというお話だ ったかと思います。これは医療機器、医療用具だけに限らず医薬品全体についても言え ることでございまして、今後更にいい方法がないか。例えばインフォメーションテクノ ロジーの活用など、不断の検討、改善が必要だと思っております。先生方あるいは患者 さんの意識に入り、日ごろの業務内容なり服薬コンプライアンスなどに反映されるよう な方法を是非工夫し続けていきたいと思いますので、今後とも御指摘を頂きたいと思い ます。   それから簡単なハードウエアの工夫で防げるようなことについて、これは早くやれと いうお話だったかと思います。また操作の標準化ということも御指摘いただきました。 国際的な枠組みで徐々に進んではおりますが、これについても産業界に対する説明の機 会など、仮にまだそういった単純な部分が残っているとすれば早くやってほしいという ことで、繰り返し申し上げていきたいと思っております。    それから用具と医薬品が最初から共に使われるようなことを想定したCypherのよう なもの、これは今後も出てくるかと思われるわけであります。本品について言えば、私 どももこういったことは決して無視していたわけではありませんで、ただ領域が血液の 凝固というたまたま日本人と諸外国の方々のレスポンスが違うと。用量の問題とか懸命 に努力する中で、今も一歩踏み出した指導はしているわけですけれども、努力しており ますので、また御指摘、御指導いただきたいと思います。  それから大事な点ですが、インスリンの自己注用のオプチペンプロに関しまして、予 備について言及があったところ、第一線の医療機関や患者さんの御負担を当然の形とし てよしとするような心掛けというか態度はいかがなものかという御指摘を頂いたと思い ます。そういったことも今後十分視野の中、あるいは基本的な態度に踏まえてやるよう に、私ども事務局一同努力したいと思っております。どうもありがとうございました。 ○桜井部会長 ありがとうございました。ほかに何かございますか。 ○事務局 前回の宿題事項について手短に御説明したいと思います。二点ほどございま す。まず一点目でございますが、加温加湿器に係る使用上の注意等についてということ で、前回加温加湿器の電源を入れたままチャンバーに水を給水する際に、一回本体ライ ンを外してそこから水を入れてしまって、その間加温加湿器が加熱していって、それが 再度つながれたときに熱傷を起こしてしまったという事例がありました。そういったこ とは可能な限り避けてください、可能な限り給水用ポートを使ってください、そこから 水を補給してくださいということを通知で提示させていただいたのですが、その際「可 能な限り」というのは甘いのではないかという御指摘がございました。そこの部分につ いては今回通知を改めまして、吸水用ポートを使用し、そこから給水してくださいとい う形にしましたので御報告いたします。 ○事務局 続きまして、監視指導・麻薬対策課でございますが、御報告させていただき ます。前回の本部会で昨年度の医療用具の回収状況を御報告した際に、笠貫先生の方か ら植え込み型のペースメーカの回収でクラスI、死亡等の重篤な健康被害につながるも のですけれども、このクラスIではないものがあるがどうしたのかという御指摘を頂い ておりました。このことについて御報告させていただきます。クラスI以外の植え込み 型ペースメーカの回収は昨年度7例ございました。その内訳は電池状態の表示の不良で して、電池の性能自体には影響がなかったものが2例、植え込み前の動作チェックで確 認が可能なものが3例、電池の消耗が認められるけれども、即時に機能が停止すること はないものが2例ございまして、このような合計7例についてはクラスIIでの回収を行 っておりました。以上でございます。 ○桜井部会長 よろしいですか。どうぞ、土屋委員。 ○土屋(利)委員 繰り返しになりますけれども、先ほど審議官から言われましたように 情報の一方向、例えば医療機関からの報告に対するフィードバックの必要性について報 告を出された医療機関から指摘されておりますので、よろしくお願いします。 ○桜井部会長 ありがとうございました。ほかはよろしゅうございますか。不手際で少 し遅れましたが、これで閉会にさせていただきます。どうもありがとうございました。 ( 了 )   連絡先: 医薬食品局 安全対策課 課長補佐 渡邊(内線2748) - 40 -