04/11/26 第2回食品の安全に関するリスクコミュニケーションの在り方に関する研究会 議事録 第2回食品の安全に関するリスクコミュニケーションの在り方に関する研究会(議事録)                        厚生労働省医薬食品局食品安全部                          平成16年11月26日(金)                           15:00〜17:00                         於:法曹会館1階「孔雀の間」 ○林座長  では、定刻になりましたので、ただいまから「食品の安全に関するリスクコミュニケ ーションの在り方に関する研究会」を開催いたします。  本日は、御多忙のところお集まりいただきましてありがとうございました。  まず、事務局の方から本日の出欠の状況について御説明ください。 ○広瀬企画情報課長補佐  本日は、座長を含めまして5名の方に出席いただく予定となっております。  神田構成員の方は少し遅れているようですが、加藤構成員、丸井構成員からは事前に 欠席との連絡を受けております。  また、座長とも相談させていただきまして、本日は、外部の有識者として独立行政法 人食品総合研究所から、山田友紀子国際食品研究官をお招きしております。  山田研究官は、本日出張のため、3時半ごろこちらに到着する見込みとなっておりま すので、よろしくお願いいたします。  それから、金川構成員は、今回初めての参加となりますので、簡単に自己紹介をお願 いできればと思います。 ○金川構成員  今回初めてで、前回はちょっと入試業務のために欠席させていただきました。甲子園 大学の金川と申します。よろしくお願いいたします。  リスクコミュニケーションの技法のトレーニングというような観点から、今回参加さ せていただきました。どうぞよろしくお願いいたします。 ○林座長  神田先生は、まだですか。 ○広瀬課長補佐  若干到着が遅れているようですので、またお見えいただいた際に、御紹介等をいただ きたいと思います。 ○林座長  わかりました。では、山田先生と神田先生がお見えになることを期待いたしまして、 次に、配付資料の確認をお願いいたします。 ○広瀬課長補佐  お手元に、まず議事次第を配らせていただいていると思います。それから座席表。  資料1といたしまして、大山構成員の提出資料。これはパワーポイントの原稿になっ ております。  資料2は神田構成員の提出資料。こちらの方は、本日御発言いただく内容についての メモという形で御提出いただいております。  資料3が金川構成員の提出資料。こちらはリスク研究学会で発表されたリスクコミュ ニケーション養成プログラムの設計についてでございます。  本日は、パワーポイントを使って御説明いただけるということですので、こちらの資 料は御参考までにお読みいただければと思います。  資料4が、山田研究官の提出資料でございます。こちらの方も一応レジュメというよ うな形で御提出いただいておりますが、また別途パワーポイントで説明いただけるとい うふうに伺っておりますので、参考にしていただければと思います。  特に不足資料等ございましたら、お申し出いただければと思います。 ○林座長  どうもありがとうございました。では、早速議事に入らせていただきますけれども、 その前に事務局から何か。 ○広瀬課長補佐  議事に入ります前に、前回の研究会におきまして、丸井構成員の方から研究会の名称 について御意見をいただいておりましたので、事務局から少し説明させていただきたい と思います。 ○高原企画情報課長  前回の研究会で、丸井先生からこの研究会の名称が、なぜ食ではなくて食品にするん だということで、私どもは食品ということで狭く限定するつもりはございませんので、 構成員の先生方の御了解をいただければ、食の安全に関する研究会というふうなこと で、名称をちょっと変更させていただきたいと思っております。 ○林座長  どうもありがとうございました。いかがでしょうか。  もし、特別な反対意見がありませんでしたら、やはり広い立場で議論しなければなら ないということもありますので、一応、食ということに名称を変更させていただきたい と思います。よろしくお願いいたします。  では、議事を進めてまいりますけれども、前回の研究会で、それぞれ各構成員の方か ら御発表をいただくことになっておりました。20分以内で御発表をいただきまして、最 後にまとめて質疑と、それから意見交換をしていただきたいと思います。  最初は、大山構成員です。よろしくお願いいたします。 ○大山構成員  キューピーの広報室の大山でございます。15分か20分ぐらいお話しさせていただきた いと思います。  まず最初に、前回までの感想と、発表に当たっての私どもの基本スタンスということ を先にお話しさせていただきまして、それからパワーポイントに従って御説明申し上げ たいと思っております。  前回の開催前に、この研究会に参加という御案内をいただいたときに、いいですよと 簡単に返事をしてしまったんですが、開催要綱を読んでみたんですが、なかなかよくわ からずに、具体的な課題が見えませんでした。  私は広報室におるものですから、リスコミの大切さは非常に理解していたつもりです が、よく課題が見えなかったということでございます。  第1回目の前回の研究会で事務局の方から詳細な説明をいただきました。ただ、検討 課題が漠としておりまして、なかなか焦点が絞れなかったというのが実感でございま す。  厚生労働省のリスクコミュニケーションの現状について、それで十分なのかどうか判 断がつきませんでしたし、厚生労働省におけるリスクコミュニケーションの目標値はど こに設定されていたんだろうかなということもわからなかった次第でございます。  この研究会のメンバーとして、私に求められていることは、食品製造業者からの視点 で、リスクコミュニケーションに関して要望することを述べればいいんじゃないかなと いうふうに自分なりに解釈して、今回まとめております。  また、構成員の先生からも業者が安全と安心が乖離しているということは、おかしい のではないかという御指摘もちょうだいしておりますし、真摯に受け止めなければいけ ない指摘なんですが、だからこそコミュニケーションを行ってお互いに意見交換をして 理解を深め、少しでもリスクを低減できればいいなと思った次第でございます。  今回、この研究会の参加、それから発表に関して参加スタンスといたしまして、関係 者相互の共通認識を深めるために、食品製造業者の立場から他の関係者との情報や意見 を交換し、厚生労働省に行っていただきたいリスクコミュニケーションについて提言す ることだろうというふうに理解しております。  前回の会合後、いろいろなリスクコミュニケーションについての資料を集めてみまし た。雑誌とか、インターネット、簡単に集まります。  例えば、1998年にFAO/WHO合同専門委員会の食品安全のリスクコミュニケーシ ョンの報告書とか、その中でも必要性とか、課題などもすべて記載されておりました。  また、インターネットで調べてみますと、幾つも出てまいりました。例えば、環境省 の平成12年度リスクコミュニケーションでも事例調査も報告されておりますし、問題点 とか、課題についても詳細に記載されておりました。また、丸井先生の講演も拝聴させ ていただきました。  前回いただきました資料で、安全委員会の食の安全に関するリスクコミュニケーショ ンの現状と課題という中にも、現状や課題についてとりまとめられております。そのよ うないろんな情報が出ておる中で、私の役割というのは、リスクコミュニケーションと は何なのかとか、課題とは何なのかということを大上段に論ずることではなくて、私ど もが日ごろ感じていること、それから行っていることをお伝えして、それがこの研究会 に少しでもお役に立てればと考えた次第でございます。 (PW)  リスクをどのように削減するかについて、お互いの理解を深め、ともに考えるという 頭の文章をつくっております。  リスクとは何か。将来起こるかもしれない、損失または損失や危害が起こる可能性の こととありました。食品にはリスクはございます。高低、大小ありますけれども、絶対 に安全なものはありません。天然、自然だからといって安全とは言えない。  例えば、お米も、お米アレルギーの人ではリスクのある食品になってしまいます。ま た、スギヒラタケのように、今まで安全と思っていたものが有害だったりします。普通 に食べれば問題ないものが偏った食生活をすれば危険になってまいります。  そして、リスクというのは、食品そのものにあるリスクだけではなくて、経済的損失 もリスクになるんだと思っております。  食品業界は、社告回収の記事で新聞をにぎわせております。昨年12月から今年の10月 までにさまざまな理由で100 件以上の社告回収がございました。それにかかる費用は莫 大なものがあります。  例えば、5大紙に社告を掲載しますと、1,500 〜2,000 万ほどかかります。また回収 した製品は廃棄しますから、地球環境から考えても負荷をかけています。またその回収 費用も莫大なものがかかります。  法律違反の場合、ルール違反ですから、食品業者の社告回収は当然のことです。健康 被害の可能性のある場合も当然やらなければなりません。  しかし、問題と思いますことは、健康被害の発生はないものと考えられるが、法律違 反なので回収というパターンが多かったことです。  例えば、違法香料とか、輸入のホウレンソウで、基準値以上の残留が問題になりまし た。そこで回収の連鎖が多数起こりました。  リスクコミュニケーションが十分になされて、リスクが十分小さく、情報提供がなさ れておれば、回収する必要はない事例が多くあるんだろうと思っております。違法香料 の場合がその例だというふうに思っております。  安全委員会の食の安全に関するリスクコミュニケーションの現状と課題の中に掲載さ れておりますリスクコミュニケーションの現状で、行政機関の間のコミュニケーション 不足が記載されておりました。これは農水、厚生とのことだと思いますけれども、それ は行政だけではなくて、食品関連業者の間のコミュニケーションについても十分とは言 えません。  後で述べたいと思っておりますが、情報の共有というのはできているんですけれど も、認識の共有ができていないのが現状です。ですから、事業者間のリスクコミュニケ ーションもとても大事だと考えています。消費者間、マスコミ間でも同様じゃないでし ょうか。各ステークホルダーからのリスクコミュニケーションだけではなくて、各々内 部でのリスクコミュニケーションが大切だろうと思っております。 (PW)  私にとって、これまで実施されてきました厚生労働省のリスクコミュニケーションに ついて評価することは大変難しいものがあります。多分やるべきことをやられているの ではないかと思っております。しかし、それがどのぐらい効果があったのかについては まるでわかりません。効果の検証ということは難しくて、点数化することが本当に至難 でございます。  そうであれば、厚生労働省としての目標設定、目標値はどこなのか、そこから見て採 点してはどうなんだろうかなと思った次第です。そして、その点数を公表することで、 当然いろんな意見が挙がってくると思いますが、それを分析することで、リスクコミュ ニケーションの質は高まるものと思っております。  ここに私が思いつくままに、こんなような基準で点数化したらどうなのかなと思った のを挙げてみました。これは、ただ単に思いつくままでございますので、専門の先生方 に採点シートを作成していただければなというふうに思っております。 (PW)  食品産業に従事している者として感じていることを述べてみたいと思います。  私は、キューピーという会社に入社して、約二十三年間研究所で食品開発の仕事を担 当してまいりました。20年ぐらいベビーフードをやってきました。8年前に広報室に異 動後も、つい最近まで安全と安心は同義語だったと思います。また、製品と商品もほと んど同義語でした。意識して区別したことがありませんでした。  ちなみに、辞書を引いてみますと、製品は製造した品物、商品は売るためにつくられ たものとあります。売れるものでなければ商品とは言えません。  安全は、理性で判断し、安心は感性で判断するものと言います。安全については数値 等で説明すれば理解をいただけますが、安心については感情的なもので、信頼に基づき ます。メーカーがどんなに安全な製品をつくっても、安心をいただかなければ商品には なりません。買っていただけないのです。そういうことからも、食品製造業者としての リスクコミュニケーションは必須だろうと考えております。  安心と安全が同義語であった時代から乖離し始めた時代、そして再び同義語にするた めには、リスクコミュニケーションにより信頼いただけるようなことが大切だろうと思 っております。そのためには、情報を提供し、知ってもらうことが信頼される第一歩だ ろうと思います。  そして、リスクコミュニケーションが科学的レベルで話ができるようになりますと、 安全と安心が同義語になるんではなかろうかと思います。 (PW)  ところで、10年前に比べて、食品の安全性が低下しているんでしょうか。私自身はそ うではないと思っています。食品業界にいるせいかもしれませんが、私はそんなことは ないと思っています。安全面で言えば、日本の食は世界で最高の水準にあるのではない かと思っています。その証拠に、男女とも日本は世界最高の長寿国になっています。  一方、安心感はどうでしょうか。お客様が多くの負の情報を得ることにより、食品業 界に対する不信感を持たれております。食品全般に対する安心感が揺いでいます。安心 感は10年前に比べてはるかに劣っています。  ですから、お客様に安心してお求めいただける商品を提供できるように、食品業界を 挙げて努力しなければならないと思っております。  繰り返しますが、食品には絶対に安全はないと、食品添加物もしかりですし、リスク とベネフィットから判断する英知が必要だろうと思っております。  例えば、自然のものは人間にとって優しいものなのでしょうか。フグにはテトロテド キシンがあります。ジャガイモの芽にはソラニンが含まれています。にもかかわらず、 不安は抱いておられません。安全なものにするために加工し、危険な部分を除去して食 べているからです。ヤツメウナギは食べ過ぎは危険です。脂溶性のビタミンAが大量に 含まれているからです。にもかかわらず安心して食べている理由というのは、情報が十 分あり、なじみがあるからだろうと思います。 (PW)  企業の取り組みも一例としてコミュニケーションを紹介してみたいと思います。すべ てがリスクコミュニケーションではありませんけれども、リスクコミュニケーションも 含みますので紹介したいと思います。  基本は、信頼され、安心いただける企業になるために、各ステークホルダーとの顔の 見える関係づくりに努力しています。  まず、お客様相談室でございますが、年間約四万人の方から電話やメールでお問い合 わせをちょうだいしています。生の声をお聞かせいただき、大切にしています。  商品に対する御指摘は特に重要だと思っています。問題を御指摘いただきましたお客 様の御自宅に伺って、その商品の原因解明に当たります。その対応によって信頼いただ ける企業になるのか、嫌われる企業になるのか分かれ道になります。  また、その問題について重要事項につきましては、会社のトップにも報告しますし、 また商品の改良にも生かしております。  次の工場見学ですが、昭和36年から工場見学を受け入れております。現在、年間約九 万人の方に御来場いただいております。百聞は一見にしかずでございます。製造現場を 見ていただくことが、最大のコミュニケーションであり、知っているということで安心 感も生まれます。  また、工場見学は一般の方だけではなくて、マスコミの方とか、行政の方にも見てい ただきたいと思っています。特に行政の方には現場を知らなくて、行政でできないんで はないですかと、いつも言っております。こういうこともリスクコミュニケーションじ ゃないかなというふうに思っております。  ホームページでは、年間約三百万人の方がアクセスされます。私どもからメルマガで 約二十万人の方に情報を発信しております。それから社告なども必要な場合には速やか に掲載しています。  それから発行物での情報提供ですが、私どもはキユーピー・ニュース、キューピー・ プレスというものを発行しております。  キユーピー・ニュースは、昭和48年に発刊しまして、毎月出しております。最新号は 368 号になっております。  キユーピー・プレスは、平成5年に創刊して49号になっております。各々の目的は違 っておりまして、キユーピー・ニュースの場合にはオピニオン・リーダーの方に食にま つわる情報を右も左もなく宣伝種なしということで提供しております。キユーピー・プ レスは、マスコミの方に向けて記事ネタとして発行しています。  それから、講演活動でございますが、毎日放送の関連会社の毎日EVR様と一緒に食 生活の講演活動を行っております。年間20〜30回行っています。各地の消費生活センタ ーさんとか、学校からの依頼で行います。  また、それ以外にも保健所等の依頼から、例えばサルモネラでの講演などの講演依頼 もございまして、研究員が講演しています。食について、正しく知っていただくこと で、食生活に貢献できればと考えております。  最後に業界活動ですが、食品産業センターを中心にしまして、企業間の情報交換を密 に行っています。いずれにしても、フェース・トゥ・フェースの関係は基本ですし、各 ステークホルダーともリスクを含めたコミュニケーションを図っております。 (PW)  これは全く個人的な意見ですが、事業者の立場からリスクコミュニケーション重要性 を感じていることということで、一番上のところでございますけれども、不安解消のた めの回収は、不安感を助長する。リスクの大小をわかりやすく伝えてほしいというふう にまとめました。  これは、国内でBSEが発生したときに、消費者の不安を応えて、回収措置をとられ ておりますが、理解できるんですけれども、かえって不安を助長したんではないかと思 っております。リスクの大きさをきちんと説明されたらなと思いました。  特に英国でのBSE牛がふらふら倒れる映像が何度も何度も写し出されましたが、日 本でヤコブ病が発生するリスクは1人未満であること。それから、日常の病気のリスク と比較した場合、どの程度なのかわかっていただければと思います。ですから、消費者 の不安に応えるという回収はかえって不安を助長すると言えます。  真ん中ですけれども、健康被害の発生はないものと考えられるが、法律違反なので回 収のパターンが多数起こりましたということで、リスクの大きさでの行政処置で不安感 を抑え地球環境に配慮というふうにまとめました。  例えば、違法香料ですが、ここで回収の連鎖があったことは先ほどお話ししました。 ホウレンソウのクロルピリホスというのは、基準値が0.01ppm 、小松菜が1.0ppmです。 ホウレンソウは100 分の1です。  ですから、食品衛生法を読みますと、食品衛生法は食品の安全性の確保のために公衆 衛生の見地から必要な規制その他の措置を講ずることにより、飲食に起因する衛生上の 危害の発生を防止し、もって国民の健康の保護を図ることを目的とするとあります。  健康被害の発生がないものと考えられる程度のリスクの場合、例えば罰金などでペナ ルティーがあっても、回収するに及ばないんじゃないかなと思っています。回収するこ とで不安を助長させます。  ところで、私が考えております食に関する最大のリスクというものは、世界的に見て 食糧危機だろうと思います。  現在8億人の方が飢えています。それなのに、回収、廃棄とはなんともやり切れない 思いがいたします。もったいないという気持ちを忘れたら、神様のばちが当たるんじゃ ないかなと思ったりします。  3つ目ですが、事業者も、我々も消費者の気持ちの先取りということで、不使用とか 店頭から撤去いたしました。  でも、それは本当に消費者が望んでいるのかと思うと疑問に思います。事業者と消費 者のコミュニケーションが十分あったらなと思っております。  右下ですが、情報の共有と認識の共有は別だという話は、先ほどもちょっといたしま した。行政からいろんな法律や通知が出されて、確かに知っているんだけれども、そう いう意味と理解していなかったという場合が多く見られます。そのためにリスクコミュ ニケーションをやっているんだよと言われたら、おしかりを受けてしまいますが、実感 としてそう思っています。  例えば、残留農薬ポジティブリスト制が今検討されていますけれども、私どもグルー プ各社間に聞いても認識レベルがまるで違っておりました。また、同業者と情報交換を いたしましても、かなり差があります。専門分野が違いますから当然ですが、認識レベ ルを共有する、これがリスクコミュニケーションの第一歩なんじゃないかなというふう に感じた次第です。 (PW)  そこで、私どもが心がけていることを1つ紹介してみたいと思います。認識の共有を 図るならば、わかってもらうにはということで、文章を読めばわかるか、話せばわかる かということなんですけれども、相手を説得したりわかってもらうために、文章、例え ば法律で通知を出せば、周りは理解するのと。話せばわかるのといったら、そんなこと はないぞという話でございます。  ルートの法則というのがあるというふうに聞いております。例えば、100 名の方にわ かってもらうためには、ルート100 、つまり10回話をしなければ理解してもらえないと いうことだそうです。  その方法として、まず、理路整然と理屈で説明します。ただ、これだけで理解された ら大間違いですよと。次に具体的な事例やイメージと直結した言葉で訴えます。  例えば、赤い鳥と言ったらイメージがすぐわきますけれども、在り方検討会と言って もイメージが浮かびません。具体的な事例で話せば理解は簡単ですけれども、イメージ に結び付いた言葉で話されれば、自分なりに理解できます。  そして、それだけではイメージですからばらつきます。理解がずれます。そこで押さ えとして、適宜、理屈でまとめていくというようなことが大事なんではないかと思いま した。冒頭でお話ししましたけれども、この研究会の課題がよくわからなかったと。そ れはイメージと直結していなかったからだろうと思っています。  そこで、いろいろ情報を集め、自分なりに理解したつもりですけれども、事務局が意 図したとおりに理解したかどうかはわからないです。  本日、いろいろお教えいただきながら、正しく理解できればと思っております。 (PW)  最後に、今、山田先生がお見えでございますが、いろいろ文献を調べておりました ら、山田先生のが一番よくまとまっておりましたので、ここに転載してしまった次第で す。  要するに、今後の課題ということで、政府、消費者、生産者、流通業界、科学者、報 道ということで、このようにまとめておられますので、まさにこうなるんじゃないかな というふうに思った次第です。  私の発表は、以上でございます。ちょっと時間をオーバーして申し訳ございません。 ○林座長  どうもありがとうございました。課題のイメージがわからなかったということですけ れども、構成員の先生の御専門の立場からの生の意見を聞くということが、やはり方向 性、イメージをはっきりさせるということになりますので、よろしくお願いいたしま す。  次に、神田構成員からなんですけれども。 ○広瀬課長補佐  冒頭に、簡単に自己紹介いただければと思います。 ○神田構成員  全国消費者団体連絡会というところで、事務局長をしております神田と申します。よ ろしくお願いいたします。  第1回目の会議には、前もって別の会議が入っておりまして失礼させていただきまし た。今日は、またそそっかしいものですから、会場をちょっと間違えまして、遅刻をし てしまいまして、そういった人間ですので、よろしくお願いいたします。  それで、食品安全委員会のリスクコミュニケーション専門調査会の委員をしておりま す。どうぞ、よろしくお願いいたします。  そういうことで、私もこの研究会について事務局の方から、こういうことということ で御説明は受けたんですが、今日はどういうお話をしたらいいのかということで、もし かしたらずれがあるかもしれませんが、今、座長さんの方からおっしゃってくださいま したので、私の感じているところということでお話しさせていただきたいと思います。  ちょっと準備する時間が非常に短かったものですから、私は今の構成員の方のように しっかりしたものがなくて、本当にメモ程度ということで失礼させていただきます。  まず最初に、資料2の方に入っていると思いますが、リスクコミュニケーションの必 要性ということですが、これはあえて、今、ここで言うまでもなく、皆さん重要性とい うことは共通認識になっていると思います。ただ、話の順序として少しだけ触れたいと 思いますけれども、今、海外の食品が多いですとか、それから高度化したり、複雑化し た加工食品が非常に多いとか、それから流通のシステムが複雑になっているし、外食と か中食の利用が非常に多くなっている。  それから、人々の嗜好というものも多様化しているという中で、こうした食生活の中 で、食の安全をどう考えるかというものは、単純ではないだろう。単純には済まないだ ろうというふうに思っています。  ですから、皆さんがおっしゃるように、0か100 かとか、白か黒かという形で単純に 考えることは難しい、今はそういった状況にあるというふうに思っていますので、絶対 安全というような概念は、ちょっと変わってきているのではないかというふうに思って います。  実際に使用されるもの、濃度ですとか、量だとか、私たちが摂取する量だとかといっ たようなことも考えて安全かどうかという評価をする必要があるという基本的な考え方 は、多分皆さんと私も共通しているというふうに思っています。  こういった状況の中で、リスクコミュニケーションは非常に有効であるし、重要であ るというふうに思っていますので、非常に期待しています。  これまでは、昨年からこういった食品安全行政の組織が変わってきましたけれども、 以前はこのようないろいろな関係者が集まって、双方向にやりとりをするとか、意見交 換をするというようなことは、これまで余りなかったのではないかというふうに思いま すし、これまでは、行政の方、あるいは消費者団体が話をするときには、結論とか結果 というものが示されまして、説明をされて、そしてそこに対して私たちが質問をして答 えていただくと。そのときに、答えをいただいて、私たちも次に突っ込んで質問すれば いいんですけれども、ああそうかということになってしまいまして、私たちの方もそう いう感じでしたし、説明する側も消費者がわかっていないんじゃないかと思いつつも次 に進んでいってしまうというような方法を、どうも長年とってきたのではないかという ふうに思っています。そういった話す側にも受ける側にも余り納得感がないまま来てし まいました。そういうような状況があったというふうに思います。  それから、消費者団体というものの見方も非常に特殊な団体であるという見方も以前 にはあったような気がいたしますけれども、最近そういった見方も変わってきたかなと いうふうに思っています。  こういった食品安全行政組織が変化する中で、よくなってきたことを、まず最初にこ こでメモの方に載せておきました。情報提供の在り方ということにつきましては、提供 そのものも早くなりましたし、内容も豊富になったと。以前は生データなどは余り見せ てもらえなかったんですけれども、そういったデータも見られるようになりましたの で、オープンになってきたなというふうに、そこは正直思っております。  それから、会議ですとか、議事録なども勿論公開、それの徹底をしてきているという こと。パブリック・コメントについても、取る時期とか、いろいろまだ問題指摘したい ところはありますけれども、非常に増加をしたということ。それから意見交換ですと か、シンポジウム、それから学習会は、今、全国で開かれるようになりましたし、今日 はそういったリスクコミュニケーションについての方法とか手法についても、これから 話し合いということは、実際にやっているからそういう話が出てくるんだろうなと思っ ています。  それから「省庁間の連携と消費者参加」というふうに書いたんですが、これまでは、 私たち正直申し上げまして、農水省と厚労省が一緒にやるなんていうのは、以前はなか なか難しそうでした。一緒にやっているようなことは、余りなかったのではないかとい うふうに思いますが、一緒にやり、内閣府も一緒にやるという形で、食の安全というも のを中心に据えて関係各省庁のところが一緒に連携をするようになったということもあ りますし、そこで行われる審議会ですとか、委員会ですとか、研究会、ここもその1つ ですけれども、そういうところに消費者が参加できるようになったと。  それから、これは国レベルだけではなくて、都道府県のところにおいても同じような 形で進められているというふうに思います。私ども消団連のところでも、47都道府県の 調査等もしておりますけれども、食の安全行政のところについてもいろいろ横のつなが り、あるいは消費者の参加、消費者だけではなくて、いろんな関係者の参加というもの が進められてきているということで、こういったところは非常によくなってきたという ふうに思っています。  こういった姿勢が変わってきたということですけれども、次に2.のところにまいり ますけれども、リスクコミュニケーションについて、去年9月ぐらいからでしょうか、 始められてきたと思いますけれども、これをやってくる中で感じたことを少しお話しさ せていただきたいと思います。  1つ目が、いろいろなスタイルでやってきたかなというふうに思いますが、1つは何 て言っていいのかわからないので、委員会形式というふうに書きましたけれども、そこ のテーブルに就く委員が各分野から出てきて、そしてそこでやりとりをする。それを周 りで傍聴の方が見ているという形でやってきたこともあったと思いますが、それからパ ネルディスカッションのスタイル、それからシンポジウム、そして意見交換会という形 で行ってきました。  こういう形でやってまいりまして、回数だけ見ますと、結構たくさんやってきたかな というふうに思っています。例えば、残留農薬の問題とか、輸入食品の問題とか、それ からお魚のこともありましたし、カドミウムのこともありましたし、遺伝子組み換えの こと、それからBSEのことという形で、結構短い間にたくさんいろんなことをやって きたということも事実だろうなというふうに思っています。  そうは言いましても、委員会スタイルということを見ましても、やはり説明と質問と いう形で、今のところは終わってきているのではないか。討論とか、意見交換という形 で、もう少し深まった形にはまだなっていないと。スタートしたばかりですから、それ はやむを得ないというふうに思っておりますが、現実にはそこはまだ深められるような 形にはなっていないのではないかと思っています。  リスク評価、あるいはリスク管理のどちらのリスクコミュニケーションにしても、 今、言いましたように、詰めた議論がなかなかできない。公開されたところで、繰り返 しになりますけれども、説明をし、委員なりパネラーが一人ずつ意見を言い、そしてそ れに提案する方が答えると。その後に会場意見をもらってそれに答えて、最後に時間が あったら、また委員やパネラーから一言ずつもらうという形が、悪く言ってしまうと儀 式のような形、そういった形が見られる。こういうこともなかったわけですから、それ があるということいいということが前提でお話ししているんですけれども、そういった ことがありました。  そこで、出された意見とか、あるいはまだ残っている、多分たくさんあるであろう懸 念というものにどう答えていくのかといったまとめの仕方だとか、そこで得たものをど う扱うのか、そこで出されたものをどう扱ったのかということがわかりにくいと思いま す。私が見落としているのかもしれませんけれども、余り伝わってこない。  例えば、BSEの件で例を挙げますと、全国で7か所とか、9か所とかやったと。そ の多くの意見は、受け入れられなかったというふうに消費者が思っている部分がありま すね。では、その理由が伝わっているのか、なぜ受け入れられなかったのか、あるいは 受け入れているんだけれども、それが表面に出ていないだけなのかわかりませんが、そ こがどういうふうに受け止められたのかということが伝わってこない。参加者の方から しますと、これではやっても、やらなくても同じではないかといったような感想を持つ というのは当然だろうなと思いますし、現に消費者の方からそういった意見が出るとき もあります。せっかくやっているのに、そういうふうに受け止められてしまうのはとて も残念だなというふうに思っています。  これは誤解してほしくないんですが、必ずしもたくさん出された意見を取り入れろと いうことが言いたくて言っているのではなくて、そういうことに従えということではな くて、主に出た意見についてどう取り扱うのかということがわかるように提示する必要 があるのではないかというふうに思っています。  それから、ここに「時間の不足」というふうに書きましたけれども、いろいろなテー マがありますし、いろんな規模で、あるいはいろんな形でリスクコミュニケーションの 場があると思いますから、一概に時間が長ければいいということではないと思いますけ れども、往々にして今までのところを見ておりますと、不消化に終わっていて、そのま まになってしまうというケースがあるように、そんな感想を持っています。  ですから、それはいろいろな形によって工夫していく必要があるし、不消化にならな いように、不消化になった部分については、後でどういう手立てが必要なのかというこ とも考えていかなければならないなというふうに思っています。  それと、いろいろな形でやってくる中で、希望が多いのは、パネルディスカッション というのが結構多いですね。これは、多分いろいろな方、いろいろなパネラーが、パネ ラー同士でやりとりをすると。それを聞いていて、きちんと理解する、自分の考え方を 整理する、自分の意見を持つことにつなげるというようなことが、きっとパネルディス カッションだとしやすんだろうなというふうに思います。ですから、ディスカッション する時間をきちんと取る必要があるのではないかというふうに思っています。  次のBに「分かりやすさということ」というふうに書いたんですが、こういったこと をやるときに、いろんな知識のギャップだということがありますので、一番素人である 消費者に向けて、どういう情報を出すのか、あるいはどういうふうに説明をするのかと いうときに、わかりやすさというのは大きなポイントだというふうに私も思っていま す。  ただ、わかりやすさイコール簡素化とか単純化というふうに思ってしまうと違うので はないかというふうに私は思っております。  そうしますと、単純化、簡素化というふうにしてしまうと、そこに隠れてしまう情 報、あるいは表に出てこない、必要なのに出てこないというような情報があるのではな いかというふうに思いますし、ここの情報によって、いろいろな話を始める、スタート のところでありますので、わかりやすさの情報というのは難しいんですけれども、余り 専門的でも難しいですし、簡素化され過ぎても難しいと、その後の話し合いのところに 正しく伝わっていかないということがあるのではないかというふうに、そこは非常に気 になっているところです。  例えば、出されたものがどういうデータなのか、あるいは検査の結果という形で出て くるわけですから、どのような検査の結果、これが出てきたのか、あるいはサンプル数 は妥当なのかどうかといったようなことも気になります。  例えば、どうしてかと言うと、私も畜産の関係で委員をしているときに、あるデータ が出されて、そのデータから話をスタートすると。私も気になったので、何匹ぐらい実 験動物を使ってやったのかというふうに聞きましたらば、大きな動物だったので1頭だ と。1頭だとデータでどれだけ信憑性をもって見たらいいのかと、私は素人ながら非常 に疑問に思いまして、それで質問をしたら、聞くと答えてもらったんですが、聞かなけ ればそのまま行ってしまうと。  そのときに答えてもらったのが、1でもやると、やらないとでは違うんだから、それ で見ましょうというふうに言われたんです。それは勿論最もなことなんですが、ただデ ータとしての意味、あるいは信頼度とかでしたら、まだ不足があるというふうに最初に 説明されるべきだというふうに思ったものですから、そういう経験をしたものですか ら、このデータの出し方、資料の出し方というものは本当に難しいし、きちんとしなけ ればいけないというふうに思いました。  それから「情報の受け方」というふうに書きました。「いわゆる『風評被害』といわ れないために」というふうに書きましたけれども、私は風評被害という言葉を聞くたび に言うんですが、確かにあらぬうわさで右往左往してしまう消費者というふうな使われ 方をするかもしれませんけれども、情報が足りないのではないかというふうに思いま す。私は、風評被害があるとすれば、それは情報の不足というのが大きな1つの問題で あるというふうに思っております。  勿論、消費者側も限られた情報のみで判断するのではなくて、多角的に1つのものを 見て、そういった習慣をつけるということ、そういった訓練をしていくということが大 いに必要なわけですけれども、情報というものをいろんな角度から出してほしいと。そ ういうものが伴わなければ、風評被害の責任は消費者にあると言っても、それはどうか なというふうに、よく思うことでございます。  それから「マスコミ報道のあり方」というふうに書きました。先ほどの方もマスコミ の報道についてもお話しがありましたけれども、BSEの報道がよく例に挙げられます けれども、以前のへたり牛だけを何回も映すということは置いておくとしまして、アメ リカのBSEの問題もこの1年のところを見ましても、先取りするような記事というも のが目に付いたなというふうに思って、とても残念だなというふうに思うわけですけれ ども、ほとんどの人は新聞、あるいはテレビのニュース、報道によって情報を得るわけ ですから、受ける側はそういった媒体を見て、今、こういうふうになっているんだとい うふうに思ってしまうわけです。  ですから、リスクコミュニケーションを全国でやっているわけですけれども、全国に 参加する人たちというのは、そういった情報を得て参加しますから、リスクコミュニケ ーションをするのにも、やはり少し弊害があるのではないか。やはり情報の出し方、マ スコミの在り方というものも、私はマスコミの方にも考えていただきたいと思っていま すし、それだけではなくて、情報提供をする行政の側の情報提供の在り方に問題がある のか、ないのか、あるかもしれないというふうな思いもどこかにあって言っているんで すが、そういったマスコミ発表をする仕方というようなこともきちんと点検してほしい というふうに思っています。そういった問題意識をマスコミ報道の在り方ということに ついては持っています。  それから「本当の消費者」というふうにEのところに書いたんですが、最近、ちょっと 気になると言うんでしょうか、いろいろリスクコミュニケーションをやってくる中で、 一般消費者と消費者団体というのはよく分けられまして、一般消費者の意見は聞いてい ないじゃないかというような声も聞かれます。  「消費者団体は消費者ではない?」と、これはちょっと突っかかっているような言い 方で、メモなのでお許しいただきたいんですが、そういったときに、消費者団体の意見 は消費者の意見ではないというニュアンスが感じられるものですから、そうではないと いうふうに言っておきたいというふうに思っております。こういった意見がもっともっ と広い消費者に参加できるような手立てを取れという意味で言っているのでしたらば、 私もそのとおりだというふうに思うんですけれども、消費者団体は、済みません、言葉 を選ばすに言いますと、消費者団体を締め出そうというような意図があるとすれば、そ れは違うのではないかというふうに思っています。  それで、消費者団体というのは、私が言うのも口幅ったいですけれども、日常的に勉 強したり、調査、それから研究したり、情報発信をしたりと。それから多くの会員がメ ンバーにおりまして、話し合ったことを意見提出したりというような形で活動をしてお りまして、自分だけのためということよりも、全体がよくなるようにというような思い で、そういった意識で活動しているというところですので、一人の人が出てきていて も、そのバックにはたくさんの人がいるというふうにいつも見ていただけたら、ありが たいなというふうに思っています。  それから、6番目のところですけれども、専門家委員、特に科学者という意味で専門 家というふうに私はここで言っているんですが、その在り方ということでちょっとだけ 触れたいというふうに思います。  専門家と一口に言いましても、いろいろあるなと。いろいろという意味は、専門的な レベルと、そんなことを私は言うつもりはありませんけれども、でもそれもいろいろ違 いますし、私がここで申し上げたいのは、専門家のモラルのいろいろといったらいいん でしょうか、ここに「関係企業との関係」と書いているんですが、営利企業との関わり 方をどうするのかということです。多分そういうことはないとは思いますけれども、何 と言ったらいいんでしょう、今、問題になっているテーマと、その問題になっているテ ーマの関わりのある企業と何らかの関係を持つというようなことはよくないというふう に思っていますので、委員の在り方ということはクリアーにする必要があるのではない かというふうに思っております。  もう一つ、専門家との関係ということをもう一つ言うとすれば、どうしても専門家が 私たち素人と接するときに、まだまだ消費者はよくわかっていないとか、勿論勉強しな ければいけないということを指摘されるのは全然やぶさかではないんですけれども、言 ってきかせるみたいな場面が、まだなくなってはいないなというふうに思っております し、例えば食品安全委員会の中にも、そういった意見を押し付けるような形で言われる 場合がありまして、例えば全国で今、リスクコミュニケーションをやっていて、委員が 出向いていったときに、そういう感じを受けてしまう消費者というのがありまして、私 どもは全国組織なものですから、そういった感想が、委員の在り方ということで私ども に寄せられることもございますので、そういった意見交換をするときには、お互いに尊 重し合うといった姿勢が大事なのではないかという感想を持ちました。  最後になりますが、これは本当に思いつきなので、ここで言いたいことは、「リスク コミュニケーション専門委員会」というふうに書いてしまったんですが、専門委員会を つくれという意味ではないんです。議論を深める場というものも必要ではないかと。 今、行われているリスクコミュニケーションの場というのは、最初の方でも申し上げま したように、どうしても通り一遍的と言ったら言い過ぎなんですが、そういうふうにな りがちだということがありますので、そういうふうに広く呼びかけて、そして説明会的 なものも大いに必要だというふうに思いますが、1つのテーマについて深めると、少人 数で深めるといっていいかもしれませんが、そういった場も必要なのではないかという ふうに思っています。  ここ1年ぐらい携わってくる中で感じたことですので、まだ全然練られているとかと いうことではありません。感想のレベルですけれども、そんなふうに思っています。  以上です。 ○林座長  どうもありがとうございました。座長として、2つお願いしたいことがありまして、 この研究会のいつかの時点、来月でも再来月でもよろしいですけれども、今、先生がお っしゃった詰めた議論をするためにはどうすればいいか。問題点を不消化にしないため にはどうすればいいかということ。それから、専門委員会の在り方について、お話しい ただければと思います。次に、金川構成員ですけれども、よろしくお願いします。 ○金川構成員  私は、リスクコミュニケーションの今までのレビューを、皆さん厚生労働省がどんな ふうにやられていたかということではなくて、やるんならちゃんとやってという観点か ら、つまりリスクコミュニケーションというものの伝え方というか、実施の仕方の辺り から、ちょっとお話をさせていただきいたと思います。  そういう意味で言うと、実は、これまでいろんなところでおやりになった内容、ある いはプレスリリースで発表された内容のレビューを当然して、それでその問題点を挙げ なければいけないんですが、とてもそんな時間がございませんでしたので、まずはこん なふうにしたらどうでしょうかということを、実は今日は山田先生がお見えになってい ますが、農水で、私たちが農水省でやらせていただいたことをちょっとネタにお話をさ せていただきたいと思います。  先ほど大山構成員が、昔は安全と安心が一緒だったのが、安全イコール安心ではなく なってきたということですが、つまり信頼されなくなってきたということですが、実 は、私たち日本人は、だれが信用できないかというと、政府と企業とマスコミなんだそ うで、このリサーチをしますと、そうなっていまして、その人たちから何回言われて も、それは安全だとは思えないと、まず、そういう基盤があるということです。つま り、リスクコミュニケーションの基盤は信頼関係の醸成だと、一言で言うとそこがポイ ントだということです。詳しくはまた後ほど申し上げます。  それと同時に、私も今年の1月に京都での合同での意見交流会に参加させていただき ましたけれども、そこにいらっしゃる人たちは意識の高い人なんです。それで、多くの 人たちは来ない人たちで、安全だと思っていないけれども、あるいはすごく食品はあっ てほしいと思っているけれども、会場に行くまで、そこまでは興味ないとか、そこまで は関心持っていないという人たちが非常に多くて、皆さんは実はそういう人たちを相手 にしているんだということを忘れないでいただきたい。  そうなると、その人たちの頭の中身はどうなっているんだということを知った上で、 ちゃんとリスクコミュニケーションをしないことには、会場に来ている非常によく知っ ている人たちだけを相手にしたのでは、その人たちが核になって言って回ってくだされ ばいいですが、村落共同体のような構造ではありませんので、それは期待できません ね。  そうなると、相手を知るということで、多くの人たちの頭の中を知ろうというような ことも含めて、今日はちょっとお話をさせていただきたいと思います。どうすれば、上 手にできるかという話でございますが、それは具体的にはそれこそ実際に、そういう意 味では山田先生がいらっしゃるからおべんちゃるわけではないですが、農林水産省は早 かったんです。それで、実際に組織の改革もあるし、それで私たちはその要望がありま して、トレーニングを始めたんですが、要は、幾ら私がここで申し上げても、やってみ ていただかないと、そこは本当に、中身は実に当たり前のことなんです。  ということも含めて、今日のお話は、ちょっと当たり前のことだと思われるかもしれ ません。でも、大事なことは、ともかくトレーニングするんだと、そこまで行ってほし いんだというところだということは、最初に申し上げておきます。 (PW)  まず、先ほどからリスクコミュニケーションで、言わずもがななんですが、1点どう しても先ほどからの議論の中で忘れているなと思っているところは、3番目なんですけ れども、リスクコミュニケーションは説得の過程ではありません。  説得してわかってもらうという、こちらの意見を、だから先ほども神田構成員が押し 付けられているということをおっしゃっていましたが、そうではなくて、ステークホル ダー間で意見を交換するだけではなくて、交換して、そのリスクの社会的需要をどの程 度までだったらお互いにリスクを受け入れられるのかのというところをともに考えまし ょうと。それで、うまく行けば、最終的にそこで包み隠さず、勿論その前提としては、 その上にありますリスク対象の持つネガティブな側面と、ポジティブな側面と両方ちゃ んと情報開示の中には、つまり情報強者である企業なり、行政なり、そういうところは 2番目のところのポジティブ、ネガティブは両方出してもらわなければいけない。ただ 開示するだけではなくてということがありますが、それに基づいて、それでみんなで考 えるというプロセスそのものがリスクコミュニケーションでありますから、1回やった 方が納得と、そんなものではないのであります。  したがって、先ほど神田構成員がおっしゃったように、確かに1回こっきりでは会場 でもの足りない思いをなさるというのは当然なんですが、1つの過程として、まずはお 互いにともに考えるという土壌を何とか築き上げていく、その中でステークホルダー間 で信頼関係を醸成していくということです。それで、結果として、社会的な合意形成が できればいいなというものなんです。  ですから、説得を焦らないというか、説得だというふうに思わないでいただきたい と。そこの誤解はどうも皆さんお持ちになっているような気がして、ちょっと気になり ましたので、再度申し上げておきます。 (PW)  これも言わずもがなですが、それでは、多くの人の頭の中身を知りましょうと言いま したが、私も含めて消費者、あるいは私たちの頭の中身がどうなっているかというの で、先ほどの安全イコール安心ではない理由としては、不安がやたらと高い。なぜかと 言いますと、1番の安全性の不明確さということで、これはかつてはクライシスで目の 前に起こったことしかわからなかったんですが、山田先生たちのお陰で、いっぱいいろ んなリスクが発見できるようになったというので、消費者は微細なものも知るようにな ってきたというので、それが消費者の側としては不安が増えてきたということです。  それから、2番目は、事業主体への不信感と、これはニュースでいろいろありまし た。それから、マスメディアの問題ですが、これは先ほども指摘されていますが、実は マスメディアというのは、いらっしゃったら済みませんね、やはり情報強者という意味 では、情報弱者なんです。それで、記者の人たちは、ちょっとは勉強されていますが、 それでも情報強者である事業主体である人たちとは全然違いますので、しかも、もう一 つはセンセーショナルに伝えるという目的がありますので、どうしても先ほどのBSE の牛が繰り返し放送されるような、そういう偏った報道のされ方がされがちです。  実は、ここのところは、いきなり提言なんですけれども、これは農水省の方にも申し 上げたんですが、リスコミはマスメディアに対してのリスコミも必要なんですよ。それ を一番やっていないんです。幾らリスクコミュニケーションを意見交換会でやっても、 先ほどマスメディアで発せられた情報をもって、非常なる不安を持って会場に来られる 人たちの不安がそこで、要するに誤解のままでという話が先ほども神田構成員からも出 ましたけれども、そこのところは、今のままのマスメディアだったら払拭できないです から、マスメディア対象のリスクコミュニケーションをきちんとやるということも大事 だと思います。これは農水省にも提言したことであります。 (PW)  消費者の頭の中、もう一つリスクがどうして伝えにくいかということで、先ほどの不 安に加えまして、さっき申しましたが、要は言ってくる人たちが信用ならない、つまり 政府であれ、企業であれ、マスコミであれ、つまり信用ならない。しかも、もともとそ ういうものに持っているものに加えて、先ほどのいろいろな事件がありますからよけい に信用ならない。信用は一旦落としてしまったら回復はなかなか大変だということは皆 さん御存じだと思いますけれども、今、そういう状況にあるということです。 (PW)  もう一つは、実は、リスク事象そのものが持つ特性というのがあります。これはそれ こそ山田先生が詳しくおっしゃってくださるかもしれませんが、リスク事象というのは 確率事象ですから、つまり先ほども何回もおっしゃっていますが、危険だとか、安全だ とかという1−0ではかれるようなものではなくて、あくまでも確率事象、つまり危険 かもしれないし、どの程度危険なのか、よくわからないし、ハザードがどうなるのかも よくわからないしという確率事象です。一般にリスクにかかわらず、確率事象というの は、私たちわかりにくいですよ。いまだに二度あることは三度あるということを信じ て、バスケットボールで3回外して4回目にかけるという人がいますが、それぞれあれ は独立事象なのにという確率事象を4回目にも当たるだろうというような、そういうふ うにわかっていても確率事象というのは日常的に勘違いしてしまうということが多いん です。ですから、先ほどの信頼感が損われているということに加えて、リスク対象が持 つこのような特性自体がわかりにくくしているということがございます。  一方で、消費者の側の都合のいいゼロリスク期待みたいなものが勿論あるんですが、 もう一つ頭の中をしっかりしていただきたいのは次ですが、認知が歪むということで す。  リスクに関して、どんなような認知の歪みがあるかというと、これももしかして皆さ んも既に御存じことと思いますが、主観的リスクと客観的リスクの認知がずれている と。  例えば面白いのは、意見交換会にいらっしゃる方に、飛行機と車とどっちが安全だと 聞くと、皆さんにこにこして、我が意を得たりとばかりに飛行機の方が安全とおっしゃ るわけです。つまり、その人たちはリスクに関して意識が高いんです。でも、普通に聞 くと飛行機は怖いという人の方が多いんですが、統計から言うと300 倍飛行機の方が実 は安全な乗り物なんです。だけども、客観的には安全な乗り物なんだけれども、主観的 には怖いと。自動車は1万人死ぬのにもかかわらず、平気で乗っていると。  そういうものは、主観的なリスクと逆にずれるし、それから頭の中にさまざまな認知 バイアスがあります。こういうリスクは過大視されますよというようなものです。そこ に並べてありますけれども、例えば、個人でコントロールできないというような災害の リスクであるとか、あるいは一度に多くの被害者が出るとか、それから次の世代の影響 があるリスクとか、こういうものはリスクが過大視される傾向にありますが、例えば食 品の中の添加物であるとか、残留農薬であるとか、そういうようなものは、この辺の状 況をみんな満たしていますから、非常に過大視される傾向があるという特性がありま す。こういうような私たちの頭の中の特性をとらまえた上で、リスクコミュニケーショ ンをしなければいけないということになります。 (PW)  そういうリスクコミュニケーションはどうしなければいけないかというので、これ は、ともかく不安の払拭と、ステークホルダー間の信頼関係の確立と、この2点に尽き るということで、ではどうすればいいのか。 (PW)  これは、ともかくフェアであれということです。フェアであれというのはどうしたら いいかというのが次の問題であります。 (PW)  実は、先ほど私たちは、消費者の頭の中を探ってみようということで、実は全国から サンプリングをいたしましたメッセージがどんなふうなものが入っているとフェアだと 思われるのかということで調査をいたしました。フェアだと思われるものは、内容の真 実性と、それから相手への、つまり情報の受け取り手の配慮、この大きな2つの柱があ ります。  それぞれのところに、真実性、情報が正確であること、それから開示があること、そ れから隠してあるという、そういう印象がないこと。それから相手への配慮は平明であ ること。それから相手を尊重した物言いであると。それから相手の発言のチャンスがち ゃんとあることというようなものが盛り込まれたものを私たちはフェアだと思うんだと いう仮説で、実は調査をいたしました。 (PW)  あのモデルの詳しい中身はそこに書いてあるものですが、これは先ほど大山構成員も おっしゃったこういうことをやっていますといった中に盛り込まれているようなものが ここに書いてございます。 (PW)  こういうメッセージが入っていると、これはちょっと見にくいんですけれども、フェ アネスというのが一番下にございます。フェアネスが、例えば情報の危険度の認知であ るとか、ちょっと左上にあります。あるいは右上に共通性にせよ、いろんな要素にどの ような因果関係として影響を与えるかというのを調べたんですが、先ほどの安心できな いという異常な不安です。それにつきまして、フェアなコミュニケーションと、フェア ではないコミュニケーションというので調査をいたしましたところ、フェアなコミュニ ケーションは、左の方を見ていただきたいんですが、マイナスポイント40426 とござい ます。これはマイナスの方向に結構強い因果関係の規定力があるということを意味して いるんですが、フェアな内容を盛り込んでいると、危険度の認知が下がるということで す。  そこにございますが、コミュニケーション・フェアネスは、リスクに対する過剰な危 険感を抑えて、事態における不確定さを提言するということが、つまりそういうふうに 消費者は思うんだということがわかりました。 (PW)  そこで、そういうようなことであるならばというので、まとめましたのが、受け手が メッセージがフェアだと判断すると、ともかく異様な不安感が低減いたします。それで 安心感をもたらします。  そうすると、どうなるかというと、送り手に対する信頼感、特に能力的な信頼と、関 係的な信頼、能力的な信頼というのは送り手の能力です。つまり、例えば商品に対する 信頼関係とか、そういうものです。それから、関係的な信頼、つまり、この会社は信じ ていいと、そういうものが上昇するというような結果が次の仮説としてわかってきたこ とであります。 (PW)  そこで、私どもはこういう仮説に基づいて、それでは今のようなそのものを盛り込ん だリスクコミュニケーションをしていただくと、そうするとよいのではないかというこ とで、農水省でトレーニングをさせていただいたわけです。  当然、その目的は、ただリスクコミュニケーションをするだけではなくて、実はリス クコミュニケーションというのは、ある意味、社会的な合意形成をつくり上げる技法で すから、その技法の背後には思想とか、あるいは価値観があります。  これは、一般的に皆さん御存じだと思いますが、要するに民主主義です。要は知る権 利であるとか、あるいは公正であるとか、あるいは弱者の権利保護とか、そういうよう なものを理解していただくこと。それから、総合的なリスク分析におけるリスクコミュ ニケーションの位置づけ。  それから、信頼されるコミュニケーションのコンテンツ作成、それからプレゼンテー ション技術を習得していただく。  それから、一番下のフェアな情報提供を価値とする規範の確立というのは、これはリ スクコミュニケーションでトレーニングしたのはいいけれども、戻っていくと職場で浮 いてしまうということがあります。一人だけ張り切ってと。それは、職場の基本が、あ るいは現状での規範が、つまり保守的であると、せっかくのトレーニングが役に立たな いということですので、そこも変えなければいけないというので、そういうものを是と する規範を確立しなければいけないというようなことを目的といたしました。 (PW)  それをどんなふうにしたかと言いますと、それは実際には講義と実習と、それから3 番目の実習の効果性維持のための規範形成ということですが、1番目と2番目、これは リスクコミュニケーションの技法のトレーニングというのは、なかなかチームがなく て、私ども甲子園大学のチームが唯一、あるいは唯二ぐらいの感じなんですが、実は講 義と実習からなるというのは、大体リーダーシップトレーニングでも、何のトレーニン グでもあるんですが、3番目の先ほど申しました、実習の効果性を現場で維持するため には、要は組織がそれを受け入れてくれるという規範が要るわけです。  つまり、トップがよかったねと、そういうリスクコミュニケーションが大事だとい う、そこを受け入れてくれるような規範づくりをしてくれなければいけないわけです。  それで、今回農水省がすごかったのは、そこまで引き受けてくれたというので、上司 に、あるいは上部の組織の人たちに対して、規範をこんなふうなことが大事なんですよ という規範づくりをするというところまで、実はできたというところが非常に大事だっ たところでありますし、もしかしたら、このプログラムが効果性が上がったんではない かと思いますが、実は1、2番だけでは足りなくて、3番目がある意味非常に定着させ るという意味で大事なんだということをお知りおきいただきたいと思います。 (PW)  もう時間がございませんので、中身をどんなふうにやったかというのは、今日お配り いたしました資料は、リスクコミュニケーション研究会で発表いたしましたものです。 ごらんくださればいいんですけれども、1日目の講義の次に、2日目のクライシスコミ ュニケーションを見ていただきたいんですが、実は、ここはO−157の食中毒の事件 を取り上げました。  つまり、厚労省でまずかったというものを取り上げまして、それで、実は厚労省の8 月7日付けの中間報告を受けて、その次の日に農水省がプレスリリースを行ったわけで す。そのプレスリリースを今の人たちに、もしもあなたたちがその時点に立ったらとい うことで、しかも裁判、今、厚労は大変な立場におありですが、後に裁判になったとき に耐え得るような文言というものをどういうふうに作成するか、あるいはその論理展開 はどんなふうにすればいいのかというようなことを題材に、実はプレスリリースの原稿 を作成するというようなことをいたしました。 (PW)  次は、ここは山田先生から、びしばしとしごかれたところなんですが、今度は本当の リスクコミュニケーションです。これは仮想のかび毒だったんですが、まだリスクの社 会的な需要が、コンセンサスができていないものについてどのように測定して伝えるか と。これは実際に測定をするというところで、エバリエーションです。山田先生のすご い宿題で、そのときにみんながえらい思いをしてやったというのがありましたんです が、それでプレスリリースの内容をつくりまして、今度は農水省側とマスコミ側に分か れまして、ロールプレイをするということをやりました。これは、相手の観点を知ると いうことで非常によかったんですが、それで、実は即座のフィードバックをいたしまし た。 (PW)  ですから、効果性を知ろうとしますと、実は何をはかったかという物差しが必要にな ります。  実は、先ほどのお見せしました消費者の頭の中を探ったんだということは、もう一つ は物差しづくりをするということだったんです。  それで、フェアなものを測定するというのは、どんなことなのかというので、コンテ ンツに関しては物差しをつくりました。  それから、プレゼンテーションにつきましては、特に言語ではなくて、ノンバーバル な要素について信頼される要素は何かというようなことを図ったのとフィードバックに よる指導をいたしました。 (PW)  当然ですが、コンテンツは災害がどういう性質のものか、それからどういう方法で測 定され、どのような単位で表現されているのか、それからいかなる方法でリスクは低減 ないし回避できるのか。これを盛り込んでいることは当然です。これをフェアに伝える ためにはどうすればいいかということです。 (PW)   先ほどのこういうような具体的な項目はそこに書いてございますが、これは資料に書 いてございますので、ゆっくり読んでいただきたいと思いますが、こういうもので測定 をいたしました。 (PW)  それから、プレゼンテーションにつきましては、ノンバーバルのところで、姿勢と か、発生ということを特に注目して評価をいたしました。即時にビデオを見ながらフィ ードバックをいたしましたところ、皆さん面白かったのは、自分があんなに情けない、 つまり下を向いてしゃべったりとか、おどおどしていたりとか、情けないと思わなかっ たとか、あるいは一番面白かったのは、こんなにお役所言葉を使っているとは思わなか ったと、そんなの私たちは見ただけでわかるよと。でも、そこの気づきが大事だという ところで、それぐらい皆さん当たり前のところことになっていたところがございまし た。 (PW)  実は、ノンバーバルが大事なのは、中身もそうなんですが、中身をどのように伝える かというので、どのような印象を受け取られるか、これも先ほどの私たち一般消費者が 普通の人間がどんなふうに思うかということで、これも調べたものでありますが、背筋 が伸びていれば、伸びているほど、比較的に情報では、信頼できる人だとか、能力のあ る人だと思われる。あるいは、ちゃんと視線を聴衆に向けていれば向けているほどそう だと思われる。それから、ちゃんと対象を見据えているかどうかということ。それか ら、視覚よりも聴覚の方が実は規定力が強かったんですけれども、口調がはっきりして いるとか、力づよいということ。それから、はっきり言っているとか、スムーズに言っ ているというので、信頼できる、能力があるという評価が高くなるということです。  このようなことが、私たち国民が思っているということであります。ですから、この ようにやってよねということで、実はトレーニングをやったということです。  最後に、一旦、今、皆さんが落としてしまった信頼は、どうしたら回復するのかとい うことですが、国民の頭の中はどのようになっているかということで、これも調べまし た。(PW)  実は、私たちは、やはりフェアな情報を流すと、私たち国民は一緒に考えてくれてい るんだと、つまり同じ土俵に立ったんだと、つまり政府にとって、あるいは企業にとっ て都合の悪い情報も両方言ってくれるとなると、私たちと同じ土俵に立っているんだと いう気持ちが強くなるだろうと。つまり、それを私たちは共通成員性と考えたわけで す。  そうすると、一緒に問題を考えましょうという気持ちになると、つまり、先ほどの説 得ではないですよ、一緒に考えましょう、その一緒に考えましょうという問題のシェア リングの土壌ができると、そうすると、ここら辺の落としどころでリスクを受け入れよ うかなというような、そういう合意もしやすくなるんではないかと、そういうモデルを 考えました。そこで調査をいたしました。 (PW)  フェアネスから右の方に上がるところを見てください。これは非常に高い規定力を持 っているというふうにごらんください。0.826 ですが、これはフェアな情報を流せば流 すほど、先ほどの一緒に考えましょうという共通成員性が高くなるということを示して おります。そうすると、ともに手を携える仲間としての信頼を醸成するということが考 えられます。少なくとも、国民はそういうふうに頭の中で思っているよということで す。  ですので、大事なことは、フェアな情報をどうぞ流し続けてくださいということであ ります。  ということで、とりあえず発表を終わらせていただきます。 ○林座長  どうもありがとうございました。本当に、この研究会にとって直接役立つ情報をいろ いろありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。  次に、独立行政法人食品総合研究所の山田研究官にお願いしたいと思います。よろし くお願いします。 ○広瀬課長補佐  簡単に自己紹介いただければと思います。 ○山田氏  山田でございます。今日は、ちょっと出張の都合で遅れてきまして、どうも失礼いた しました。ちょっと腰が痛いので座らせていただきます。  実は、2000年の10月にFAOから日本に帰ってきまして、そのときの私のミッション は、食品の安全に関わるリスクアナリシスのプロモーションをすることであるというこ とで、いきなりやり始めたんですけれども、なんだそれはみたいな感じで、なんか外国 かぶれがわけのわからぬことを言っているみたいな感じだったんですけれども、幸か不 幸かというか、別に私が招いたわけではないんですけれども、BSEの問題が起きまし て、突然、リスクアナリシスと言っていたみたいな話になりまして、それと神田さんも 触れられたんですけれども、日本では分析結果とか、検査結果が国立の研究所でやって いるとか、大学の先生がやったからということで権威づけされているとそれは、世界の 今の常識の第三者が検証できる、第三者が検証というのは、実はリスクアセスメントも そうなんですけれども、第三者が検証して、本当に信頼できるというシステムをつくら ないといけないというのができていないということで、どちらも警鐘を鳴らす役割がで きたらいいなと思ってやってまいりました。  今のお話を聞いていると、結構警鐘が効いているなという感じで、そろそろそれを深 くやる人に引き継げるかなと思っております。  本日の課題は、特にウェブサイトについてどう思うかというお話でございまして、こ ういう会議においでになる方は、当然リスクアナリシスのことなんかはよく御存じだろ うと思うので、そういうことは一切出していないんです。  ただ、私は、恐らく日本でも有数のヘビーユーザーだと思いまして、昔のこれもな い、あれもないという時代のことを知っているものですから、ちょっと甘過ぎるかもし れないんです。  もう一つ、Codexの仕事を通じて、厚生労働省さんとは長く、結構密接なお付き 合いもしていたので、かえって期待が大き過ぎて、ちょっと重いことを言われてしまう と思われるかもしれませんが、とりあえずウェブサイトについて、以前に比べて、はっ きり言ってまだ不足なんですけれども、すごい大きな改善があると思うんです。  それは、以前は、食品安全、あちこち探し回らんとよくわからぬみたいな感じだった のが、ポータルができたということで、そこからいろんなところへ行ける。  以前は、何かどっちかと言うと、医学部もすごい改変を図らなければいけなくなって いるんですけれども、どちらかというと父親風というか、お医者さん風というか、患者 さんは知らぬでよろしい、私たちに任せておいたらよろしいからねという雰囲気がすご く感じられ、だからあなたが知らなくても任しておいたらいいんですという感じだった んですけれども、今、情報を出そうという姿勢が見られるようになったというのは、も のすごい大きな改善だと思います。  しかし、まだちょっと後追いというか、リスクコミュニケーションというよりは、ク ライシスコミュニケーション風ではあるんですけれども、社会的に関心が高い、高まっ てきた事項について、割に早く、だんだん早くなってきていると思うんですけれども、 クェスチョンズ&アンサーズというのを出されるようになってきたというのもいいと思 います。  それも、以前は翻訳調であったりとか、文章を書いてあっても、すごい官僚的な文章 で、せっかく情報を出してくれているけれども、読みたくないねみたいな感じだったん ですけれども、このごろ「です・ます」調にもなってきた。ただ、ところどころまだ官 僚的な文章があって「何とか、かんとかするところである」みたいな感じのが入ってい るので、まだ改善の余地があるかなと思います。減ったとか、なくなったとか言ってい るんじゃないんですけれども、以前は官僚的な文しかなかったんです。今は、随分と一 般的な文章も増えてきていますけれども、まだまだ改善の余地があるかなと思います。  それと、私にとって今すごく便利なのは、ポータルができたので食品衛生法を見つけ やすくなった。以前は法令の中の何段階も上がって、一体全体どこに入っているんだろ うというところから考え始めなければいけないということを考えれば、よくなったかな と思います。  こういう大きな改善をする前から、なぜかリンクはよくできていて、厚生省さんのリ ンクを開ければそこからいろんなところに行けるというのは、すごくよくできていたん ですけれども、一般の人も情報を取りたいというときには、恐らくここのリンクで行っ たら何が取れるかみたいなことを2〜3行で説明してあったら、例えば何やらかんやら の保健省みたいなのが3つも4つもいろんな国のがあるとき、どこを見たら一番こうい うのが載っているかなみたいのがわかると便利かなという気がいたします。 (PW)  それで改善してほしいと思う点、情報の中身なんですけれども、いろんな内容のヘッ ダーがあって、クリックして、何か説明してくれるのかなと思ったら、会議の報告書と か、プレスリリースしかないというのがすごく多くて、残念ながら一般の人、私も正直 言って、ああいうバーベータムの報告書は読みたくないですから、国民が理解できるよ うな文章が少ないと思います。  しかも、報告書は、何かカルチャーギャップというのを感じるんですけれども、日本 ではだれが何を言ったかが一番大事みたいな感じで、みんなテープ起こしなんです。例 えば、透明性、透明性と声高に言っている欧州連合の科学的な会議のレポートを見て も、だれが言ったか絶対に書いていないんです。だれが言ったが書いてあるのは、オー プニングスピーチとか、そういうものぐらいです。  もっと政府間の利害関係がぶつかるようなCodexでも、みんなだれが言ったとか いうのはなくて、一体どういうことが議論されて、どのように話が進んで、どういう反 対意見があって、でも、だれがとかは関係なく、どういう理由でこの結論になったのか と、そこがポイントになっているんです。  残念ながら、このごろ以前みたいに、3回読んでも4回読んでも、なぜこの結論にな ったらさっぱりわからぬというのは減ってきて、なるほどねという感じのも増えてきた んですけれども、どうも日本風の会議というのは私には理解できない部分がありまし て、詳しく書いてあるにもかかわらず、なぜこの結論になったかがちっともわからない というところがあります。  長さの問題もあるので、恐らくすごく関心を持っている方でも、まず長いので読みた くないと、それが1つです。  もう一つは、なぜというのがわからないから、厚労省の方は大変だと思うんですけれ ども、半ページぐらい、ちょうど1画面ぐらいの要約というのは付けて出せないかな と、これは希望なんですけれども。  もう一つちょっと問題かなと思うのは、海外からアクセスしているときもそうだった んですけれども、実際の基準値とか規制値の情報が、厚労省のサイトの中にはないんで す。  今、リンクは張ってあります。張っている先は民間のサイトなんです。特に内容を見 れば、例えば先ほどの神田さんの話ではないですけれども、食品添加物の利害関係があ る団体なわけですから、それを信じろと言われてもちょっと難しいんではないかという 気がして、やはりそれは公的なサイトにあるべきではないかと思います。 (PW)  もう一つ、これはリスクコミュニケーションの観点より、食品安全のリスクアナリシ ス全体を見ているという人からの意見と思っていただきたいんですけれども、厚生労働 省さんはよく御存じのように、食品安全の最大の問題というのは食中毒なんです。有害 微生物をどのようにして防ぐかということが、本当に大切なんですけれども、それをす るためにはどうしたらいいかといったら、当然、教育の効果が必要で、たとえ安全な食 品をつくっていても、家庭での取り扱いが悪かったら、また微生物が増殖してしまう。  例えば、10の3乗以内に抑えてつくっていますと言っても、家に置いておいて、そこ らの暖いこたつの横にでも置いておいたら、ひょっとしたら10の10乗とか、そういう感 じになってしまうと、もっと増えるかもわからない。そういうことを考えますと、世界 的に子どもに対してちゃんと扱いましょうという教育が重要だと思うわけです。  当然、私がいつもリスクコミュニケーションのプレゼンをするときに、悪い例で見せ ている、日本の中枢官庁のサイトがあるんですけれども、メニューだけは絵が書いてあ ったりして子ども向きなんですけれども、肝心の情報は大人向けの情報をコピーしてあ るだけと、そういうとんでもないのをキッズサイトと言っているんですけれども、本当 に実効性のある食品衛生教育のためには、やはり子どもがわかって、楽しくもっと見た いと思うようなことをしないといけないと、それについてはFDAとか、FSISと、 FDAは保健省の方で、肉と卵製品以外の食品の安全をやっていまして、FSISは農 務省の中にあって、食肉と卵の製品の安全をやっているところなんですけれども、どっ ちもものすごく熱心にやっています。ちょっと次のページで見せますけれども。  もう一つは、問題によっては、子どもだけではなくて、これはちょっと後で関連した ことを書くんですけれども、食品産業とか、教育者を対象とするサイトも必要だと思い ます。  特に、よく食品産業団体の方がぶつぶつとおっしゃるのは、小学校とか中学校の副読 本に使われるのが、食品添加物は危ないと、もう直截に危ないと書いてある。確かに消 費者に対する欺瞞であるような使い方をしていないこともないし、日本で食品添加物の 使用量は決して少ないわけではないんです。だから、減らすとか、もっと全うな食品を つくることを考えなければいけないのは確かなんですけれども、食品添加物もちゃんと 使えば、食品の安全性を高めるという効果もあって、いい面、悪い面しっかり両方書く 必要があるだろうと、そういうことを考えますと、教育者が使えるような情報も、厚生 労働省さんが文科省に頼んだって絶対につくるはずないので、厚生労働省さんがつくっ てくださるといいなと思います。  それだけではなくて、食品安全のプロとか、これから日本では数少ない研究をしよう という人向けのサイトもあると便利で、例えば基準値と分析法、そういう情報を探すの は大変なんです。1つ食品衛生法というものを見たら全部わかるじゃなくて、いろいろ 見なければいけないというのがあるんですけれども。 (PW)  例えば、これはさっき言った食品安全の教育のためのサイトで、これは1画面をコピ ー・アンド・ペーストしてきています。ごらんになったらわかるように、横長なのに、 真ん中だけしか使っていないんですけれども、言いたいのは、ちょっと色使い、関西弁 で言うとえげつない色なんですけれども、決して下品ではないんです。しかも、質問は たった3行しかないし、それをクリックすると次が出てきて、正しいよと、説明も、幾 つかやってみましたけれども、最大6行ぐらいしかないんです。  もし間違ったのをやると、間違っていますと、もう一遍やり直しましょうみたいなの が出てきて、つまりコンピュータのインタラクティブな要素を使っていて、それなりの コミュニケーションもどきにはなっているわけです。  日本みたいに、さっき言っただめなサイトは、クリックを20回ぐらいしてやっと底へ 行くみたいな、そういうのに比べると、はるかにコンピュータを使うということの意味 がわかってやっていると。  もう一つ、実はFight Bac!というプログラムがありまして、これはFDAとUSDA で協力して、政府としてやっているんです。実は、縫いぐるみとか着ぐるみもありまし て、それはセサミ・ストリートのあれをつくっているようなところに、お金をかけてい る。しかも、テレビ番組も一昨年つくって、何とエミー賞まで取ったというぐらいに力 を入れていて、例えば、こういうゲームがありまして、色もちょっとえげつないんです けれども、スゴロクみたいになっていまして、ちゃんと余ったお肉をすぐ冷蔵庫に入れ ましたと、よくできました、1ついきましょうとか、あなたはネコが食べものの上に座 るのを見過ごしました。1つ戻りなさいとか、そういうので遊びながら勉強できるよう なものです。  それ以外に、ちょっと中身は面倒なのでお見せしませんけれども、食品安全のための 情報として冊子があって、この中は色取りどりのいろんなものが入っております。 (PW)  もう一つ、これは農水省の人がだれかおられたら、こういうことを厚労省の人に教え てしまうと、怒られるかもしれないんですけれども、食品安全をやるものとして、何省 とか関係なく、国民のためにどこかが一生懸命やってくれたら、私はそれでいいので申 し上げたいんですけれども、今、世界の食品安全行政のトレンドというのは、フードチ ェーン、これは新しい用語の使い方ですけれども、一次生産から消費まで、ずっと通し てきちんとやらなければいけない。特に、生産・加工段階で安全管理をするのが重要で あると言われているわけです。ところが、厚労省さんの歴史というので、なかなか変換 しにくいかもしれないんですけれども、特に汚染物質なんかの場合には、毒性学的な情 報が主たる決定原因で、実態について、トータル・ダイエット・スタディーぐらいしか なくて、分布がきれいに書けていて、どのぐらいの達成率があるのかということを考え ずにやっている場合に、当然全品検査をするわけにはいかないわけですから、そうする と、規制値を超えているものを消費者が食べる場合もあるし、また逆に実は分布が超え ている部分にたくさんあったらば、そうすると、今度は生産者も困るということで、そ ういうのを決定するときに、決定したぞと、守りたい人はしっかりやれよというのでは なくて、どのようにして達成できるのかという情報を出していただきたい。これはアメ リカの政府なんかは必ずやっています。  そして、もう一つ食品安全行政に関わるポータル、これもアメリカは一か所からEP Aにも行けるし、FDAにも行けるし、FSISにも行けるというふうになっていて、 食品安全に関わる人は、そのポータルサイトのURLさえ知っていればどこでも行ける というのは、自分の仕事が楽になるということもあるんですが、希望の1つです。  これは、当然先ほどからあるように、ちゃんと連携をしてやっていただくというので もいいし、待っていられないから、先にやるでも何でもいいと思うんですけれども。 (PW)  そうして先ほど言いましたように、食品衛生法というのは、通知とか、通達とか、い ろんなものが次々と出てきて、それを全部見ないと、今、何が有効かというのはわかり にくいということで、それをもう少し普通の人でも見やすいように整理ができないのだ ろうかと。検索もしやすくしてほしい。検索しやすいという意味は、例えば、今出して いるプレスリリースの基礎になる条文とか、通知とかはどれというのがすっと出せるよ うにしてほしいなと思うんです。  あとは、また一般に戻りますけれども、一般人にもわかりやすいような用語とか表現 とか必要だし、情報量も不足だなと、ヨーロッパに比べたら少ないものの、でも今後増 えるかもしれない、特に東京なんか海外なんかから来ている人が多いので、イングリッ シュと書いてあるので、私も喜び勇んでクリックして、「これだけか」みたいな感じだ ったんですけれども、実はローマにいるときにいろいろ取りたくて、英語版はないとい うのがいろいろあって、ちょっと困りました。  今、国際化というのは、食品安全行政機関の課題で、例えばものによってだけですけ れども、イギリスのフード・スタンダード・エージェンシーなんかは、なんと日本語版 までつくっているんです。オランダ語版、ドイツ語版、スペイン語版まであるのです。  実は、先ほどのリスクコミュニケーションなんかで時間が足りないというのは、リス クコミュニケーションというか、意見を出すものの基になる情報を出すためにものすご い時間がかかるということで、でも、それをやらなければ意見を言う基礎になるものが ないということで、必須なんですけれども、そういうものをあらかじめインターネット に載せておくと、そういうことをして、例えば参加者を募集するときに、これについて の基礎情報は、ここをごらんくださいと、それを当然官僚用語で、何とかを踏まえてと か、かんがみてとか、ところであるとか、そういうのではない文章で書いていただきた いというふうに思います。  もう一つ、政府の人が言ったことで、私も確かにそれはそうと思うんですけれども、 マスコミによって意見がつくられると。割に消費者がどうこうということを官庁の方は おっしゃるんですけれども、私が消費者団体とか、一般消費者が来られるところに行っ てお話しする限りでは、きちんと説明してあげたらものすごい理解力があるんです。実 際、情報がないから、新聞、テレビに頼るしかない。では、新聞、テレビの人をどうし ようというところになってくるんですけれども、アメリカなんかだったら、食品専門の ジャーナリストとか、農業専門のジャーナリストがいるんですけれども、日本はほとん どそういう方はおられない。  おまけに、聞くところによると、官庁の人がくるくる回るのが問題だと言うけれど も、それよりももっとすごい頻度で変わられて、今日、厚生労働省の担当だったら、来 月には警察庁かもしれないわけです。だから、食品安全のことを知っていてもしょうが ないということも実はあるらしいということなんです。  そこで私が考えているのは、見やすく、わかりやすくつくることによって、ウェブサ イトなり、プレスリリースなりをそのまま新聞へコピーしてくれるような方向というも のをつくるということがいいんじゃないかなと。ちょっとこれは夢のような話かもしれ ないんですけれども、考えております。  そこで、実はある省で問題になったというか、私が勝手に問題視しただけですけれど も、専門家の常識と、マスコミの常識、一般人の常識は違うんです。だから、こんなこ とを書かなくても当たり前だと専門家が思っていることが、全然当たり前でないので、 一体欠けているのは何だろうねと、マスコミはわかりやすくしたいという好意のもとに 全然違うことを書いてしまうと。  それは、決してマスコミの罪ではなくて、専門家ではない人がわからないような文章 を書いている罪であると私は思っているんです。  あと、用語で、被害と危害と健康影響という言葉の使い方がかなりあいまいなような 気がしまして、危害というのが、ときにはハザードの話であったり、ときには本当に被 害が起きている話であったりする。  もう一つ、このごろ改善されたので、これもひょっとしたら以前この用語を使ってい たので、マスコミも同じように、またこれを使っていると思って使っているだけかもし れないんですけれども、汚染物質、または細菌がある程度以上含まれているということ が報告されたときに、新聞には厚生労働省によれば「直ちに健康への影響かはないと言 っている」と出るんです。それで、私は言葉の定義にこだわるので変だなと思って、そ こらの事務系のパートさんとかにチェックすると、やはり待っていたら何か起きてくる んじゃないかと、今、起きないだけで、将来何か起きるかもしれないという感じがする と言うんです。  ところが、恐らく直ちに影響があるわけではないというのは、食中毒とか、そういう のだけを考えていればいいときに使っていた用語で、どっちかというと急性的な反応が 出るときに使った用語だけれども、恐らくこれは慢性毒性、つまり何度も何度もある一 定以上食べ続けることによって影響が出てくる場合には不適切な用語だと思うんです。  つまり、食べ続けることによって影響が出るんだから、一回高いのを食べても、そん な問題があるわけではないということをはっきりと示さないといけないんではないかと 思うんです。そういう説明がないと、結局今みたいに、あったら危ない、なかったら安 全みたいなことになるのではないかと思うんです。  実は、恐らく多くの社会部とか、経済部の記者の方は技術系ではなくていらっしゃる ので、例えば法学部なんかだったら、特に有罪と無罪と両端しかなくて真ん中がないと いう感覚で食品を扱われるのは当然の話だと思うんですけれども、そういうところをマ スコミにわかるように書いてあげないといけないというのは、すごく思っているところ です。  以上でございます。 ○林座長  どうもありがとうございました。時間が20分ほどありますので、意見交換をさせてい ただきたいと思いますけれども、御発言をお願いいたします。  その前に、何か事務局からございますか。 ○広瀬課長補佐  次回の予定の話なので、最後のときにまた。 ○林座長  では、御意見をどうぞ。  どうぞ。 ○山田氏  時間が来たのでやめてしまったんですけれども、ちょっと先ほど、いろいろ何人かの 方がおっしゃったお話で、リスクコミュニケーションをしようと思うと、どうしても必 要な能力が、おおざっぱに言って2つある。  1つは、リスクを理解する能力と、もう一つはコミュニケーション能力なんです。恐 らく日本のこれまでの伝統から考えたら、両方持っているということはすごく難しいこ とで、そうすると、訓練としては2つ必要、だからリスクを理解する知識を付けるとい うことと、それからコミュニケーション能力を付けるということが必要かなと思うんで す。  もう一つは、リスクコミュニケーションで何を達成しようとしているのかというの が、余り明らかではないように見えて、やらなければいけないからやっているようにし か見えない。  残念ながら、リスクコミュニケーション、コミュニケーションという言葉が片仮名で しか書けないのが示すように、もともとそういうのが余りなかったわけです。  一応、民主主義にのっとって一応つくっているというか、要するに血を流して勝ち取 った民主主義があるところでつくったものが、どっちかというと民主主義が降ってきた ところで同じようにできるかどうかというのには、ちょっと私は悲観的な考え方を持っ ていて、日本だったら日本に合わせて何かつくらないといけないんじゃないかなと思っ ているんですけれども、何となく自分が言った意見が100 %通らないと無意味という感 覚になるんではないかというところから、やはりお互いに完全にハッピーじゃないけれ ども、でも完全にアンハッピーなわけでもないというところを探すということだろうと 思うんですけれども、どうも自分の意見が100 %通らないとだめという感じで、真ん中 にすると、みんながアンハッピーな感じになってしまうというところとか、やはり最初 にどういうことを達成したいのかということがはっきり出ていないといけないんじゃな いかなという気がしているんです。 ○林座長  どうぞ。 ○神田構成員  先ほど私のところで、1つ抜かしてしまったところがあるんですが、そういうこと が、今の話ともしかしたら関わるかなと思いますので、私も何のためにやるのかという ことを、はっきりさせてやる必要があるのではないかというふうに思っています。  これまでは、やるにはやったけれども、しかし、重複しますが、どう生かされている のか、役に立っているのかというようなことが漠っとしていると。  それだけではなくて、最近の経験では、またBSEの例になりますけれども、例えば 出された意見をいろんなところでやったリスクコミュニケーションと言われる場で出さ れた意見が都合よくと言ったら変なんですが、ピックアップされて利用されていると。 アリバイづくりというような言い方をしてしまったんですけれども、利用されていると いうふうに感じられることがあるわけです。  例えば、具体的な例を言いますと、リスク管理機関、厚労省と農水省のところで食品 安全委員会に諮問するに当たって、その前に、例えば自民党のところに説明に行くと、 そのときに持っていく資料を見てみますと、例えば、全頭検査が、このまま続けてほし いという意見があった。あるいは、見直してもいいんじゃないかという意見というふう に分けてある資料を見たときに思ったんですが、全頭検査を続けてほしいんだと、行く 行くは見直すのは必要だけれども、今の時点では続けてほしいという意見が結構あるん だけれども、そこに3つずつ検査を継続、あるいは見直すとある中で、3つのうち1つ だけは消費者から出ている意見を継続してほしい。見直してほしい方には2つ入ってい るんです。そうは言っても全体から見ると、やはり継続してほしいという意見が結構出 ていたと。  そういうところで、リスク管理のところの提案の文章を見ますと、検査は21か月以上 でいいという提案をしているということは、ちょっとわかりにくいかもしれませんけれ ども、提案するために出された意見をどこをピックアップするかというような形で使わ れてしまうんではないかという懸念というか、心配というのを感じたわけなんです。  だから、やはりリスクコミュニケーションをやって純粋にそこでどういう意見が出て いるのか、全体に量的なもの、こういった意見がたくさん出ていたのか、少なかったの かというようなこともわかるようにしてほしいなというふうに思いました。  ただ、3つぐらいピックアップして並べただけでは、その中身も伝わってこないし、 しかも重要な添付資料という中に利用されるということになると、ちょっとおかしなこ とだなというふうに思ったりします。 ○金川構成員  それと関連することなんですが、リスクコミュニケーションで、あれだけ全国あちこ ち行っていますよという表はいただいたんですが、例えば「食の」というところで、漠 然としてテーマで、効果性なんてテーマが絞られていないから、リスクコミュニケーシ ョンの効果があったのがとうかというのはわからなくて、だから先ほどの指摘から出て いるようにやりましたと。やらぬよりはましですけれども、今までやっていなかったか らと。だから端緒という意味ではいいんだと思うんですけれども、今後あの形で、幾ら やっても何と言うか、全国何県に回りましたというだけで、例えば、それこそBSEと か、あるいはどういう合意ができてきたのかみたいなところで言うと、テーマが一貫し ていないし、効果性の証明のしようがないと思うんです。  ですから、2つの質問なんですが、今までやられたところの効果性を、例えばビフォ アー・アフターのような形で、世論調査をしてみたとかいうようなことがおありになっ たかどうか。なかったらやった方がいいんじゃないかという話です。  それから、もう一つは、やはり継続的にあるテーマをもって、それこそみんなで先ほ ど山田先生がおっしゃったように、どこか落としどころ、何かというときには、余りに もテーマがあちこち飛ぶから考えようがないというところがあるんです。ですから、そ こを何かに絞って、本気でそこでやるというようなことを、今後やらなければいけない んじゃないかと思うんです。 ○林座長  どうもありがとうございました。  大山さん、何かありますか。 ○大山構成員  私も最初に、厚労省がやられたリスクコミュニケーションが、どういう効果があった のか判断できないと冒頭にお話ししたんですけれども、どうやって評価するのか、メル クマールは何にするのかなどを、お教えいただきたいと思います。どういうふうにして 効果を検証するんだろう、実際にどれだけ役立ったんだろう、リスクコミュニケーショ ンができたんだろう。数値にできればいいけれども、数値にならないだろうなと思いな がら、その辺が先生方に、この辺のことは逆に検討してもらえたらうれしいなと思った 次第なんです。 ○林座長  どうぞ。 ○山田氏  恐らく数字にはできません。どのように評価するかについては、例えばCDCのウェ ブサイトに評価法とか、そういうのが出ています。ただ、それは食品安全というよりは 環境の方の健康影響に対するものではありますけれども。要するに何かしたら評価しな ければいけないというのが私の意見なんですけれども、評価するためには漠然とやって は評価しようがないんです。だから、やはり最初に何を到達したいかということを決め ておいて、それがどの程度到達されたかということで決めないといけないんです。  もう一つ、書いてはあったんですが、先ほど言わなかったんですけれども、厚生労働 省さんのウェブサイトはちゃんと食品安全と、正しい用語の使い方をしてあるんですけ れども、ほかの省とか、国会とかではみんな食の安全と言っているんです。すごく漠然 としている。実は、漠然とさせるために食の安全にしているらしいんですけれども、予 算を取るためにというか、食の安全といったら、例えば自給率とか、それから栄養と か、そういう方が実は食品安全より重要なわけです。生活習慣病とか考えればそうなん ですけれども、そういうところも焦点を絞らないといけないと思うし、さっき申し上げ たように、食品安全と言えば、最大の問題は食中毒なんですけれども、そういうものの リスクコミュニケーションはあったかなという感じもちょっとしていまして、本当にリ スクコミュニケーションなのかなと、クライシスコミュニケーションか、単なる政策検 討会なのか、そこがよくわからないような気が、別に厚労省だけの問題ではないと思う んですけれども。 ○林座長  どうもありがとうございました。  岩渕構成員、何か御意見はございますか。 ○岩渕構成員  私もマスコミにいたものですから、余り信用されない立場のようですので、というよ りも、今、いろいろ面白い話を聞いたので、みんなそれぞれ言いっ放し、聞きっ放しで はなくて、今まで言った人たちは結構鋭いことを言っているので、この人たちがかみ合 って、もっとお互いに批判し合うと、話は前向きに進むのではないかなというふうに思 います。  なお言えば、では自分のところはどうなんだという自己批判だって必要ではないかな というふうに思います。  以上です。 ○林座長  どうもありがとうございました。まさにそのとおりだと思いますね。  先ほど、大山構成員から消費者の中にはゼロリスク志向が非常に強く定着しているか ら、それが非常にリスクコミュニケーションの支障になっているというようなことを言 われましたけれども、私は、やはりもっと大事なことは、ではなぜ、そういうゼロリス ク志向が定着してしまったのかということ。  それから、それを脱却するにはどうすればいいかということを考えなければ、これは 全然生むところがないということで、今の御意見も一つですけれども、そんなことを考 えました。何か御意見はほかにございませんでしょうか。まだ5分間ありますから。  では、事務局の方で何か。 ○原課長  私の25〜26年間の行政官の経験からしますと、意識的にやってきたこと、それから意 識せずにやってきたこと、いろいろ失敗も多くある中で、やはり今日のお話しというの は、非常に切実に感じながら聞かせていただいたわけですけれども、幾つか感じたこと を申し上げますと、1つは、大山先生からお話があった、まずは目標を設定して評価す べきではないかと。これは、多分そのとおりだと思いますので、目標設定と自己採点と いうか、自己評価をどういう方法論でやるか自体、少し工夫してみないといけないと思 いますけれども、それは是非私どもなりにチャレンジをしてみたいと思っています。  あと、神田先生から御指摘のあった点に関連して言えば、私どもも正直言って、いろ んな広報活動なり、リスクコミュニケーションをやっていくときに、対象者をどういう ところに設定していくかと。それに合わせてどういう情報の提供なり、意見交換をさせ ていただくかというのは、それはいつも頭を悩ましているところで、恐らく今までの日 本社会というのは、例えば意見交換会一つ取ってみても、やはりそこの場にそれだけの 時間とお金をかけて来ていただける人にしか直接いろんな意見交換なりができないわけ で、このこと自体は多分変わらないんだと思うんです。  むしろ、社会の在り方も、これまでの日本の社会というのは、そういう一部の関係者 にある意味でお任せしていれば、自分たちは反射的な利益を享受することで構わないよ という声なき一般の方というか、そういう方が多かったと思うんですけれども、それが かなり意識が変わってきているという面もあると思いますので、そういうことも念頭に 置いた上で、そこに来ていただける方、そこに来ていただけない方も含めて、どういう ふうに意識を相互に高めていけるかということを工夫しなければいけないということを 改めて痛感しました。  そういう意味で言えば、例えば意見交換会について、先ほど金川先生からも御指摘が ありましたように、少し一定のテーマを継続してやったりしていく中で、効果もそれな りに、どういうふうに測定できるのかかわりませんけれども、そういうこともチャレン ジをしてみたいと思いますし、やはり意見交換会ということだけではなくて、ホームペ ージなどを通じた情報提供や、やはり影響の大きい一般のマスコミを通じた情報提供な り、情報発信というのをどういうふうにしていくかについて改めて問題点を整理してい ければなと思います。  若干食品から話がそれますけれども、厚生労働省の行政の中の年金改革です。年金制 度というのは、非常に世代間の対立も多くて、これをどういう形で広く異なる世代の方 に情報提供してディスカッションするかというのは、常に頭を悩ませていまして、今回 の制度改革だけではなくて、前回の制度改革の際にも、例えば高校生や大学生を対象に したような説明会もやったり、あるいは年金に特化した白書というのをつくってやった り、私自身もできはよくなかったんですけれども、有志何人かで子ども社会保障読本と いうのをつくって、いろいろ若い世代にわかりやすく伝えるためにはどうふうにしてい ったらいいかということなど取り組んでいるつもりではあるんですけれども、そういう 意味で山田先生もおっしゃいましたが、特に食というのは、ある意味で厚生労働行政の 中でも、最も一般の国民に身近な問題ですので、そういう意味で子どもさんに対する情 報提供なども、いろんな形で工夫できたらなと感じました。  あと、ケーススタディーとして言えば、先ほど金川先生から御指摘がありましたけれ ども、O−157のカイワレの問題というのは、今まさに最高裁に継続されているよう な問題でありますが、私自身、かつてお仕えした本当に信頼した上司が心血を注いでや られたケースなので、そのときの科学的知見の持てる知見を最大限活用して対応された ケースだとは思っていますが、やはり事後的にそういうものを検証してみる必要もある のかなという感じがいたしました。  今日、いろいろいただいた御意見も参考にして、私ども事務局からも次回以降議論の 素材を提供させていただきたいと思いますし、また次回、今日御発表いただいていない 構成員の先生方からの御発表もしていただく中で議論を深めさせていただければと思い ます。 ○林座長  どうもありがとうございました。時間の関係もありますので、ここで意見交換会は一 応終了させていただきます。  広瀬課長補佐、何かございますか。 ○広瀬課長補佐  次回ですが、まだみなさんの御都合をお伺いしていませんので、これから先生方に、 今日いらしていない方には、またファックス等でお伺いさせていただきたいと思います が、日程が決まりましたら、次回の連絡をさせていただきたいと思います。  それから、前回、岩渕構成員の方から御意見をいただいております意見交換会等のビ デオについて見せていただけないかというようなお話がございましたけれども、ものと しては一応幾つか取りそろえることはできましたが、まだ、ダビングしてお配りできる ような状況になっていませんでしたので、もう少しお時間をいただければと思います。 ○林座長  どうもありがとうございました。次回でもう一回別の構成員の方から御意見をいただ くということになりますけれども、この点はいかがですか。 ○広瀬課長補佐  今の日程調整と併せて、発表者の調整をさせていただくということで、もし御了解い ただければ、よろしいでしょうか。 ○林座長  よろしいですね。では、ほかに何かございますか。  別にないですね。 ○広瀬課長補佐  はい。 ○林座長  では、本日の研究会は、これで終了させていただきます。  どうもありがとうございました。                                     <了> 照会先:医薬食品局食品安全部 企画情報課 内線(2493,2452)